JP2024067077A - ポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法、ポリアミド系積層樹脂チューブ及び包装用袋 - Google Patents

ポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法、ポリアミド系積層樹脂チューブ及び包装用袋 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒートシール部で波打ちが発生することを効果的に抑制することができるポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法を提供する。また、ヒートシール部で波打ちが発生しにくいポリアミド系積層樹脂チューブ及び包装用袋を提供する。【解決手段】ポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法であって、環状ダイスから樹脂組成物をチューブ状に溶融押出成形して原管を得る押出原管成形ステップと、前記原管を冷却する冷却ステップと、冷却された前記原管を二軸延伸する延伸ステップと、延伸された前記原管をアニール処理するアニールステップとを備え、前記アニールステップは、延伸された前記原管に対して、弛緩率が75%以上90%未満となるように制御されるポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法、ポリアミド系積層樹脂チューブ及び包装用袋に関する。
従来、ナイロン樹脂などのポリアミド系樹脂を含むチューブフィルムは、ガスバリア性、また、チューブフィルムを延伸することにより強靭性を有するフィルムとして各方面で多用されている。例えば、最外層/中間層/最内層の3層からなるチューブフィルムは包装用として広く利用されている。上記のようなポリアミド系積層樹脂チューブフィルムは、例えば市場に流通する食品等の包装用袋として用いられるが、ポリアミド系積層樹脂チューブフィルムを所定長さにカットして、両サイドやカット部分にヒートシールを施してサイドシール部や底シール部を有する包装用袋(3方シールの包装用袋)を構成した場合、シール部分に大きな波打ちやシワが発生してしまい、数百枚単位で重ねて束状に構成した場合に、シール部分が重なっている個所が、他の部分(例えば、包装用袋の中央部分)と比べて大きく盛り上がってしまうという問題があった。その結果、一つの束に含めることができる包装用袋の枚数が少なくなり、また、強引に多くの包装用袋を重ねた場合に、束崩れが発生するおそれが生じ、搬送・運搬の効率が悪いという問題があった。
特開2017-2114号公報 特開2021-154661号公報
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、ヒートシール部で波打ちが発生することを効果的に抑制することができるポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法を提供することを目的とする。また、ヒートシール部で波打ちが発生しにくいポリアミド系積層樹脂チューブ及び包装用袋を提供することを目的とする。
本発明の前記目的は、ポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法であって、環状ダイスから樹脂組成物をチューブ状に溶融押出成形して原管を得る押出原管成形ステップと、前記原管を冷却する冷却ステップと、冷却された前記原管を二軸延伸する延伸ステップと、延伸された前記原管をアニール処理するアニールステップとを備え、前記アニールステップは、延伸された前記原管に対して、弛緩率が75%以上90%未満となるように制御されるポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法により達成される。
上記ポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法において、前記冷却ステップは、前記原管の表面温度を30℃以下に急冷する工程であることが好ましい。
また、本発明の前記目的は、ポリアミド系樹脂およびポリエステル系エラストマーから主としてなる最外層、変性ポリエチレン系樹脂から主としてなる中間層、ならびにポリエチレン系樹脂から主としてなる最内層を含む積層樹脂チューブであって、145℃以上165℃以下の温度範囲で、5分間の加熱処理後の熱収縮率が、4.5%以上14%以下であることを特徴とする積層樹脂チューブにより達成される。
また、本発明の前記目的は、上記ポリアミド系積層チューブを用いて製造される、包装用袋により達成される。
本発明によれば、ヒートシール部で波打ちが発生することを効果的に抑制することができるポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法を提供することができる。また、ヒートシール部で波打ちが発生しにくいポリアミド系積層樹脂チューブ及び包装用袋を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法を説明するためのブロック図である。 ポリアミド系積層樹脂チューブにおけるカット面のカール状態を説明するための模式図である。 (a)は実施例1に係るヒートシールされたポリアミド系積層樹脂チューブのサイドシール部分の画像であり、(b)は、底シール部の画像である。 実施例1に係るポリアミド系積層樹脂チューブを400枚重ねた際のシール部分の盛り上り状態を示す画像である。 比較例1に係るヒートシールされたポリアミド系積層樹脂チューブのシール部分の画像である。
以下、本発明の一実施形態に係るポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法について添付図面を参照して説明する。本発明に係るポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法は、図1のブロック図に示すように、押出原管成形ステップS1と、冷却ステップS2と、延伸ステップS3と、アニールステップS4とを備えている。
ここで、ポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法により好適に製造されるポリアミド系積層樹脂チューブは、最外層、中間層、および最内層を有する3層構造の積層樹脂チューブである。最外層は、ポリアミド系樹脂およびポリエステル系エラストマーを主として形成される層であり、中間層は、変性ポリエチレン系樹脂を主として形成される層である。また、最内層は、ポリエチレン系樹脂を主として形成される層である。なお、「主として形成される」とは、対象成分以外の他の成分を含むことを許容することを意味し、成分の含有率を制限するものではないが、通常、層成分全体に対する対象成分の含有率が50重量%以上を占めていることをいう。好ましくは当該含有率が70重量%以上を占めること、より好ましくは80重量%以上ないし90重量%以上を占めていることをいう。当該含有率が100重量%であってもよい。
また、最外層は、例えば、本発明に係るポリアミド系積層樹脂チューブを用いて食品を包装するための包装用袋を製造した場合、食品と接触しない外側に形成される層である。最外層で用い得るポリアミド系樹脂としては、例えば、ω-アミノ酸の重縮合やジアミンとジカルボン酸の共縮重合等によるポリアミドが挙げられる。また、最外層で用い得るポリエステル系エラストマーとしては、例えば、変性ポリエステル系エラストマーが挙げられる。当該変性ポリエステル系エラストマーは、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマーが、不飽和カルボン酸またはその誘導体により変性されたものである。
本発明に係るポリアミド系積層樹脂チューブにおけるポリエステル系エラストマーの配合割合は、当該最外層を構成する樹脂成分を100重量%としたとき、4~10重量%の範囲内であることが適当である。ポリエステル系エラストマーの配合割合がこの範囲であると、冷凍環境下での耐ピンホール性に優れたポリアミド系積層樹脂チューブを得ることができる。また、ポリエステル系エラストマーの配合は、ポリアミド系樹脂が本来有している強い突き刺し強度低下させる傾向にあるが、上記4~10重量%の範囲内であると、突き刺し強度の低下は最小限に抑えることができる。この中でも5~7重量%の範囲内であることが好ましい。なお、当該最外層には、必要に応じて、無機または有機添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、アンチブロッキング剤、核剤、撥水剤、酸化防止剤、熱安定剤、金属石鹸等が挙げられる。
中間層は、最外層と最内層との間に設けられる層であり、中間層で用い得る変性ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などの変性物が挙げられる。変性物としては、酸変性物が挙げられ、無水マレイン酸変性ポリオレフィンが好ましい。なお、中間層は、変性ポリエチレン系樹脂のみからなるものであってもよいが、必要に応じて、無機または有機添加剤、例えば、顔料、染料、酸化防止剤、熱安定剤等を適宜配合することができる。
最内層は、例えば、本発明に係るポリアミド系積層樹脂チューブを用いて食品を包装するための包装用袋を製造した場合、食品と接触する内側に形成される層である。最内層で用い得るポリエチレン系樹脂は、エチレン単独重合体またはエチレンを主成分とする共重合体である。具体的には、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを挙げることができる。また、その他のポリエチレン系樹脂として、エチレンと(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等との共重合体または多元重合体を挙げることもでき、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。なお、最内層は、上記のポリエチレン系樹脂のみからなるものであってもよいが、必要に応じて、無機または有機添加剤を配合して形成することができる。添加剤としては、例えば、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミドなどの滑剤、アンチブロッキング剤( シリカ、タルク、カオリン等) 、スリップ剤、ポリエチレンワックス、酸化防止剤や熱安定剤、また着色の為に染料、顔料が挙げられる。
ポリアミド系積層樹脂チューブの総膜厚は、用途等にあわせて適宜設定することができるため、特に限定されないが、通常20~100μm程度であり、好ましくは25~80μm程度であり、より好ましくは30~60μm程度である。また、各層の膜厚は、通常、最外層が5~50μm程度、好ましくは10~40μm程度、より好ましくは12~30μm程度、中間層が2~15μm程度、好ましくは3~10μm程度、より好ましくは4~8μm程度、最内層が5~50μm程度、好ましくは10~40μm程度、より好ましくは12~30μm程度である。
本発明に係るポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法が備える押出原管成形ステップS1は、環状ダイスから樹脂組成物をチューブ状(円筒形状)に連続して溶融押出成形して原管を得る工程である。この押出原管成形ステップS1は、例えば、複数の押出機及び環状ダイスを備える押出装置によって実施される。より具体的には、例えば、適正な温度に設定された3台の押出機のそれぞれに、最外層を形成する樹脂組成物、中間層を形成する樹脂組成物、および、最内層を形成する樹脂組成物を投入し、各押出機内で樹脂を溶融・混錬した後、多層構造の環状ダイスで樹脂組成物をチューブ状に共押出しして原管を形成する。なお、押出機や環状ダイスとしては、従来から知られている各種押出機や環状ダイスを用いることができる。
押出原管成形ステップS1により形成されたチューブ状の原管は、冷却装置に導かれて冷却ステップS2が実施される。この冷却ステップS2は、原管の表面温度を30℃以下に急冷する工程であり、押出原管成形ステップS1完了後、原管の表面温度を30℃以下とすることが好ましい。また、押出原管成形ステップS1により形成されたチューブ状の原管を冷却する冷却装置としては、従来から使用されている各種冷却装置を使用することができる。
冷却装置において冷却ステップS2が実施された冷却後の原管は、例えば、延伸機に導かれ、延伸ステップS3が実施される。延伸ステップS3は、原管を二軸延伸する工程である。延伸機においては、原管を適当な温度条件下にて加熱して空気を封入して延伸し配向を付与する。この際、縦方向(MD方向)×横方向(TD方向)の面倍率を4倍以上に延伸することが好ましい。より具体的には、縦方向×横方向が、2倍×2倍以上となるように延伸することが好ましい。延伸ステップS3にて用いられる延伸機としては、従来から知られている延伸機を用いることができる。
延伸ステップS3が完了した原反(延伸された原管)は、アニール装置に導かれアニール処理が施される(アニールステップS4)。このアニールステップS4では、適当な温度条件化で再加熱することによりアニール処理を行う。アニール処理に際しては、アニール塔を通過する原管(延伸された原管)のドロー比率を制御することにより、延伸された原管の縦方向(MD方向)を所望の弛緩率で弛緩する。また、延伸された原管内に送り込まれる空気の量を制御することにより、延伸された原管の横方向(TD方向)を所望の弛緩率で弛緩する。アニール塔を通過する原管(延伸された原管)のドロー比率や、延伸された原管内に送り込まれる空気量について、アニール装置が備える制御装置にあらかじめ設定しておくことにより、延伸された原管の縦方向(MD方向)及び横方向(TD方向)の弛緩率が所望の値となるように制御することができる。
ここで、アニール処理に際して、アニール塔を出た直後のチューブの表面温度が、90℃以上120℃以下の温度範囲となるように設定することが好ましく、95℃以上115℃以下の温度範囲となるように設定することがより好ましい。なお、アニール塔を出た直後のチューブの表面温度を上記温度範囲に設定するには、アニール塔内移動速度(時間)や雰囲気温度を調整することにより設定することができる。また、延伸された原管に対して、アニール処理での弛緩率が、縦方向(MD方向)及び横方向(TD方向)共に、75%以上90%未満の範囲、より好ましくは、78%以上88%以下の範囲となるようにアニール装置の駆動が制御されることが好ましい。
アニール処理が施された原反(ポリアミド系積層樹脂チューブ)は、例えば、巻取り機に巻き取られて、所定の折り幅のチューブフィルムロール体として構成され、その後に実施される検査工程等に供される。
また、本発明に係るポリアミド系積層樹脂チューブは、常法により、自動包装機等により包装用袋に成形することができる。具体的には、所定の長さ寸法にてポリアミド系積層樹脂チューブをカットし、一方のカット部分と所定の折り幅に構成されるチューブフィルムの両サイド部分とをヒートシール等することにより、一方に開口部を有する包装用袋を得ることができる。包装用袋で包装される内容物としては、包装され得るものであれば特に限定されないが、包装後に内容物を冷凍環境下で流通するものが好適であり、例えば、豚肉、鶏肉等の畜肉やその加工食品、魚の切り身やその加工食品、等が挙げられる。
以下に実施例等を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
最外層の厚みが15μm、中間層の厚みが5μm、最内層の厚みが15μmとなる3層構造の積層樹脂フィルムを上記製造方法により形成した。最外層を形成する樹脂組成物として、ポリアミド系樹脂及びポリエステル系エラストマーからなる混合組成物を採用した。配合比率は、ポリアミド系樹脂を94重量部、ポリエステル系エラストマーを6重量部とした。なお、ポリアミド系樹脂としては、ナイロン-6(密度1140kg/m、相対粘度4.08、融点220℃ )を採用し、ポリエステル系エラストマーとしては、ポリエステルエラストマー( 密度1060kg/m、MFR=34、融点145℃)を採用した。また、中間層を形成する樹脂組成物としては、酸変性メタロセンポリエチレン(密度903kg/m、MFR=2.9、融点90℃)を採用した。更に、最内層を形成する樹脂組成物としては、C8メタロセンポリエチレン(密度916kg/m、MFR=1.0、融点122℃)にエルカ酸アミド(滑剤)を添加したものを採用した。最内層を形成する樹脂組成物に関しては、C8メタロセンポリエチレンを99重量部、エルカ酸アミド(滑剤)を1重量部とした。
この実施例1における冷却ステップS2では、押出原管成形ステップS1完了後、原管の表面温度が30℃となるように冷却している。また、延伸ステップS3において、延伸倍率が、縦方向×横方向=3.0倍×3.3倍となるように形成し、アニールステップS4においては、積層樹脂フィルム表面温度が104℃となる条件にてアニール処理を行い、アニール弛緩率:縦方向×横方向=80%×85%となるように構成した。
最外層の厚みが19μm、中間層の厚みが5μm、最内層の厚みが15μmとなるように3層構造の積層樹脂フィルムを構成した点以外は、上記実施例1と同様にして形成した。
最外層の厚みが15μm、中間層の厚みが5μm、最内層の厚みが21μmとなるように3層構造の積層樹脂フィルムを構成した点以外は、上記実施例1と同様にして形成した。
比較例1
延伸ステップS3において、延伸倍率が縦方向×横方向=3.0倍×3.3倍となるように形成し、アニールステップS4において、積層樹脂フィルム表面温度が104℃となる条件にてアニール処理を行い、アニール弛緩率:縦方向×横方向=90%×98%となるように構成した点、並びに、冷却ステップS2において、押出原管成形ステップS1完了後、原管の表面温度が40℃となるように冷却した点以外については、実施例1と同様にして形成した。
なお、実施例1~3、比較例1にて製造したポリアミド系積層樹脂チューブは、折り幅が、200mmのチューブフィルムロール体として巻取り機に巻き取られて得られた。
これら実施例1~3、比較例1に係るポリアミド系積層樹脂チューブについて、耐ピンホール性、熱収縮性、製袋性、外観の評価を行った。
耐ピンホール性の評価に関しては、突刺し強度評価、及び、耐スクラッチ評価を行った。突刺し強度評価は、JISZ-1707(1997)に準拠した測定方法により突刺し強度を測定した。具体的には、試験片を固定し、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を毎分50mmの速度で突刺し、針が貫通するまでの最大応力を測定した。試験片の数は5枚とし、平均値を求めて測定結果とした。
耐スクラッチ性評価は、形が錘状のアルミニウム製の治具の先端に直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を取り付けた治具に、テープ等を用いて試験片を装着し針先の頂点を、試験片を介してアルミニウム板(表面粗度Ra=0.02)に接触させた。次いで治具に200gの荷重を乗せた。治具を4000mm/分の速度で、かつ移動距離10mmの範囲でアルミニウム板に対して平行に往復摺動させる治具とアルミニウム板にテスターを当てておき、試験片にピンホール空くことで通電が確認された時点で測定を停止し、その往復回数を測定した。なお、本評価は、新東科学製 表面性測定装置TYPE:14DRを用いて試験を実施した。
熱収縮性については、得られたポリアミド系積層樹脂チューブを長さ150mmにカットし、チューブの中央部分に、MD方向100mm、TD方向100mmの十字線を油性マジックにて書き入れる。得られたサンプルを所定の温度雰囲気に加熱した乾熱ギアオーブン(東洋精機製作所社製)に5分間投入し、加熱処理後の十字線の長さをMD、TDそれぞれ測定し、下記式にてMD方向及びTD方向の乾熱収縮率をそれぞれ算出した。なお、乾熱温度としては、100℃から190℃までの温度範囲に関し、10℃刻みで変化させて行った。
<数式1>
乾熱収縮率(%)=(100―L/100)×100
L:加熱処理後の十字線の長さ
製袋性の評価に関しては、得られたポリアミド系積層樹脂チューブを幅方向にカットし、温度:35℃、湿度:80%の雰囲気環境に24時間放置した後のカット面でのカール状態を確認することにより行った。なお、このカット面で大きなカール状態が発生する場合、数多くの積層樹脂チューブを重ねることが困難になる。また、3方シール(カット部分と所定の折り幅に構成されるチューブフィルムの両サイド部分とをヒートシールしたシール形態)や1方シール(カット部分をヒートシールしたシール形態)を有する袋体に内容物を封入した後に、カット面側を真空包装等してヒートシールする際に、積層樹脂チューブのカット面にカールが発生していると作業性が悪くなる。また、カット面でのカール状態の確認に際しては、図4の模式断面図に示すように、カールしたカット面の先端部における接線Sと、積層樹脂チューブの長手方向に沿う仮想線Tとの角度θを計測することにより評価する。
外観に関しては、得られたポリアミド系積層樹脂チューブを長さ2mにカットし、チューブ両サイドを持ち、その表面に形状ダレが生じているか否かについて目視評価した。また、東洋精機製作所社製:直読ヘイズメーターを用いて、全光線透過率、及び、ヘイズ値の測定を行った。また、得られたポリアミド系積層樹脂チューブを長さ300mmにカットし、一方のカット部分、及び、チューブフィルムの両サイド部分をヒートシール(3方シール)し、このヒートシール部分での波打ちの発生状況について目視評価するとともに、ヒートシールされた積層樹脂チューブ(チューブフィルム)を400枚重ねた際のシール部分の盛り上り状態の確認を行った。
以下、耐ピンホール性、熱収縮性、製袋性、外観の評価結果について説明する。まず、表1に、耐ピンホール性評価結果について示す。この表1から、実施例1~3,及び、比較例1共に、突刺し強度が10N以上あり、耐スクラッチ性も200回往復以上の耐久性があることから、耐ピンホール性に問題はないものであることがわかる。
Figure 2024067077000002
表2に、乾熱温度として、100℃から190℃までの温度範囲において10℃刻みで変化させた際のMD方向及びTD方向の乾熱収縮率を示す。なお、表2においては、145℃の熱収縮率を140℃と150℃における熱収縮率の算術平均値として算出し、165℃の熱収縮率を160℃と170℃における熱収縮率の算術平均値として算出して記載している。この表2の結果から、実施例1~3に係る積層樹脂チューブは、比較例1に比べて、MD方向、TD方向共に熱収縮率が極めて小さくなっていることがわかる。特に、乾熱温度が、100℃以上150℃以下の範囲においては、MD方向、TD方向共に熱収縮率が10%以下であり、この数値は、比較例1における熱収縮率と比べて50%以下程度の熱収縮率であることがわかる。また、ヒートシールを施す温度として、145℃以上165℃以下の温度範囲が想定されるが、係る温度範囲において、実施例1~実施例3は、熱収縮率が、4.5%以上14%以下となっている。より具体的には、MD方向の熱収縮率が、8%以上13.5%以下であり、TD方向の熱収縮率が4.5%以上10.5%以下であり、比較例1における熱収縮率と比べて70%以下程度の熱収縮率であり、このことから、実施例1~実施例3に係る積層樹脂チューブについては、比較例1に係る積層樹脂チューブよりも、ヒートシール部での波打ちやシワが生じてしまうことを効果的に抑制できることがわかる。
Figure 2024067077000003
表3に、製袋性の評価(カット面カール)、形状ダレ評価、全光線透過率、ヘイズ値、ヒートシール部分での波打ちの発生状況、ヒートシールされた積層樹脂チューブ(チューブフィルム)を400枚重ねた際のシール部分の盛り上り状態の結果について示す。また、図5に、実施例1に係るヒートシールされた積層樹脂チューブのヒートシール部分の画像を、図6に、実施例1に係る積層樹脂チューブ(チューブフィルム)を400枚重ねた際のシール部分の盛り上り状態を示す画像を示す。なお、図5(a)は、サイドシール部分の画像であり、(b)は、底シール部(カット部におけるシール部)の画像である。
Figure 2024067077000004
実施例1及び実施例2に係る積層樹脂フィルムには、45度以内の軽微なカット面カールが発生し、実施例3に係る積層樹脂フィルムには、45度~90度の問題ない範囲でのカット面カールが発生していることが確認された。一方、比較例1においては、180度~360度のカット面カールが発生していることが確認された。このように、実施例1~実施例3に係る積層樹脂チューブは、カット面に大きなカールが発生せず、ヒートシールを行いやすいものであることが確認された。
また、形状ダレ評価については、実施例1~実施例3、及び、比較例1共に使用上、問題となるような形状ダレは確認できず、良好な外観を有するものであることが確認された。
また、全光線透過率は、実施例1~実施例3、及び、比較例1共に略同等の結果になった。また、ヘイズ値に関しては、実施例1~実施例3に係る積層樹脂チューブの方が、比較例1に比べて小さい値となり、より透明性が向上していることが確認された。
また、ヒートシール部分での波打ちの発生状況に関しては、実施例1~実施例3共に、サイドシール部分では波打ちがほとんど確認されなかった。また、底シール部分で若干の波打ちが生じていることが確認されたが、使用に際して全く問題ないレベルの波打ち状態であると認められた。一方、比較例1に係る積層樹脂チューブにおいては、図5の画像に示すように大きな波打ちやシワが確認された。
また、ヒートシールされた積層樹脂チューブ(チューブフィルム)を400枚重ねた際のシール部分の盛り上り状態については、実施例1~実施例3に係る積層樹脂チューブは、盛り上がりが少なく、綺麗に重ねられることが確認された。一方、比較例1に係る積層樹脂チューブの場合、シール部分での盛り上がりが大きすぎて400枚重ねることができない結果となった。
以上より、アニールステップS4での弛緩率が75%以上90%未満の範囲となるように形成した実施例1~実施例3に係る積層樹脂チューブに関しては、シール部分で発生する波打ちを極めて小さく(少なく)することができ、数多くの積層樹脂チューブを重ねた場合であってもシール部分での盛り上がりを抑制して綺麗に重ねることができ、数百枚重ねて束として搬送される積層樹脂チューブの搬送性を高めることができる。
また、本発明の発明者らは、追加的に上記実施例1~実施例3に関連して、冷却ステップS2の冷却条件として、比較例1と同様に原管の表面温度を30℃超とすることにより積層樹脂チューブを製造したが、得られた積層樹脂チューブの耐ピンホール性、熱収縮性、製袋性は、実施例1~実施例3の結果と略同等な結果であった。一方、外観に関しては、ヘイズ値が上昇(11%レベル)し、透明性が低下する結果となった(ヘイズ値以外の外観に関する評価結果は、上記実施例1~実施例3の結果と同等であった)。このことから、押出原管成形ステップS1完了後、原管の表面温度を30℃以下とする冷却を行うことによって樹脂の結晶化抑制を図ることができ、得られる積層樹脂チューブの透明性を向上させることができることが確認された。
また、本発明の発明者らは、更に追加的に上記実施例1~実施例3に関連して、アニールステップS4において、アニール処理での弛緩率が、縦方向(MD方向)及び横方向(TD方向)共に、70%以上75%未満となるようにして積層樹脂チューブを製造した。得られた積層樹脂チューブは、熱収縮性は低下し、製袋性に関しては、実施例1~実施例3の結果と略同等な結果であったが、耐ピンホール性に劣るものであることが確認された。このことから、アニールステップS4における弛緩率を75%以上に設定することが、積層樹脂チューブの強度を高めるという観点から好ましいことがわかる。
S1 押出原管形成ステップ
S2 冷却ステップ
S3 延伸ステップ
S4 アニールステップ

Claims (4)

  1. ポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法であって、
    環状ダイスから樹脂組成物をチューブ状に溶融押出成形して原管を得る押出原管成形ステップと、
    前記原管を冷却する冷却ステップと、
    冷却された前記原管を二軸延伸する延伸ステップと、
    延伸された前記原管をアニール処理するアニールステップとを備え、
    前記アニールステップは、延伸された前記原管に対して、弛緩率が75%以上90%未満となるように制御されるポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法。
  2. 前記冷却ステップは、前記原管の表面温度を30℃以下に急冷する工程である請求項1に記載のポリアミド系積層樹脂チューブの製造方法。
  3. ポリアミド系樹脂およびポリエステル系エラストマーから主としてなる最外層、変性ポリエチレン系樹脂から主としてなる中間層、ならびにポリエチレン系樹脂から主としてなる最内層を含むポリアミド系積層樹脂チューブであって、
    145℃以上165℃以下の温度範囲で、5分間の加熱処理後の熱収縮率が、4.5%以上14%以下であることを特徴とするポリアミド系積層樹脂チューブ。
  4. 請求項3に記載のポリアミド系積層樹脂チューブを用いて製造される、包装用袋。
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