JP2024066127A - フロントフォーク - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、伸側減衰力の調整と圧側減衰力の調整とをフロントフォークの上端側で行えるフロントフォークの提供を目的とする。【解決手段】フロントフォークFは、フォーク本体1と、フォーク本体1内に収容されるダンパDとを備え、ダンパDは、シリンダ10と、シリンダ10内を伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン11と、シリンダ10内に軸方向へ移動可能に挿入されてピストン11に連結されるピストンロッド12と、伸側室R1をフォーク本体1とダンパDとの間の空間で形成されるリザーバ室Rに連通する減衰力調整通路Pと、減衰力調整通路Pに設けられて流路面積を調整可能な減衰力調整バルブV1と、減衰力調整通路Pに減衰力調整バルブV1と直列に設けられてダンパDの伸長作動時に流路面積を最大とするとともにダンパDの収縮作動時に流路面積を最小とする弁要素V2とを備えている。【選択図】図2

Description

本発明は、フロントフォークに関する。
自動二輪車の車体と前輪との間に介装されるフロントフォークは、自動二輪車の走行時における車体および前輪の振動を抑制するために、伸縮作動時に減衰力を発生するダンパを内蔵している。
より詳しくは、フロントフォークは、たとえば、車体側チューブと、車体側チューブに対して軸方向へ相対移動可能な車軸側チューブと、車体側チューブの上端を閉塞するキャップと、車軸側チューブの下端を閉塞するとともに前輪の車軸を保持するアクスルブラケットとを備えたフォーク本体と、フォーク本体に収容されるダンパとを備えている。
また、ダンパは、下端がアクスルブラケットに固定されるシリンダと、上端がキャップに連結されるとともにシリンダ内に挿入されるピストンロッドと、ピストンロッドの先端に装着されるとともにシリンダ内に摺動自在に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、シリンダ内の下方側に挿入されてシリンダに設けられた孔を介してシリンダ外のリザーバ室に連通される部屋と圧側室との間を仕切るバルブディスクと、ピストンに設けられた伸側減衰通路と圧側通路と、伸側減衰通路を開閉して伸側室から圧側室へ向かう作動油の流れに抵抗を与える伸側リーフバルブと、圧側通路を開閉して圧側室から伸側室へ向かう作動油の流れのみを許容する圧側チェックバルブと、バルブディスクに設けられた圧側減衰通路と吸込通路と、圧側減衰通路を開閉して圧側室からリザーバ室へ向かう液体の流れに抵抗を与える圧側リーフバルブと、吸込ポートを開閉してリザーバ室から圧側室へ向かう作動油の流れのみを許容する伸側チェックバルブとを備えている。
このように構成されたフロントフォークでは、ダンパが発生する減衰力の調整を可能とするために、前記構成に加えて、ピストンロッドに伸側減衰通路を迂回して伸側室と圧側室とを連通する伸側減衰力調整通路と、当該伸側減衰力調整通路の途中に設けた伸側ニードルバルブと、アクスルブラケットに設けられて圧側室とリザーバ室とを連通する圧側減衰力調整通路と、当該圧側減衰力調整通路の途中に設け圧側ニードルバルブとを備えている。このフロントフォークでは、伸側ニードルバルブの流路面積をフォーク本体のキャップに設けられた伸側アジャスタの操作によってダンパの伸長時の伸側減衰力を調節できるとともに、圧側ニードルバルブの流路面積をアクスルブラケットに設けられた圧側アジャスタの操作によってダンパの収縮時の圧側減衰力を調整できる(たとえば、特許文献1または2参照)。
特開平11-201214号公報 実開平6-56532号公報
従来の懸架装置では、各フロントフォークにおけるダンパの伸側減衰力と圧側減衰力とを独立に調整できるが、圧側アジャスタがフロントフォークの下端のアクスルブラケットに設けられているために、圧側減衰力の調整を行うにはユーザは車両から降車して屈みこんで圧側アジャスタを操作する必要がある。このように、従来の懸架装置における圧側減衰力の調整は面倒な作業になっており、伸側減衰力の調整だけではなく、圧側減衰力の調整もフロントフォークの上端側で行える懸架装置が要望されている。
また、圧側減衰力をアクチュエータの利用で調整する場合を考えると、従来の懸架装置ではアクチュエータを地面近くに配置する構造となってしまうので、従来の懸架装置ではアクチュエータの設置にも不向きである。
そこで、本発明は、伸側減衰力の調整と圧側減衰力の調整とをフロントフォークの上端側で行えるフロントフォークの提供を目的としている。
前述の課題を解決するため、本発明のフロントフォークは、車体側チューブと車軸側チューブとを有して伸縮可能なフォーク本体と、フォーク本体内に収容されて車体側チューブと車軸側チューブとの間に介装されるダンパとを備え、ダンパは、車軸側チューブに連結されるシリンダと、シリンダ内に軸方向へ移動可能に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、シリンダ内に軸方向へ移動可能に挿入されて上端が車体側チューブに連結されるとともに下方側がピストンに連結されるピストンロッドと、伸側室をフォーク本体とダンパとの間の空間で形成されるリザーバ室に連通する減衰力調整通路と、減衰力調整通路に設けられて流路面積を調整可能な減衰力調整バルブと、減衰力調整通路に減衰力調整バルブと直列に設けられてダンパの伸長作動時に流路面積を最大とするとともにダンパの収縮作動時に流路面積を最小とする弁要素とを備えている。
このように構成されたフロントフォークでは、伸長作動時に弁要素が流路面積を最大として伸側室から減衰力調整通路を介してリザーバ室へ液体の移動を許容し、減衰力調整バルブが通過する液体の流れに与える抵抗を調整できる。よって、フロントフォークは伸長作動時の伸側減衰力を減衰力調整バルブによって調整できる。また、フロントフォークでは、収縮作動時に弁要素が流路面積を最小として絞りとして機能して伸側室から減衰力調整通路を介してリザーバ室へ向かう液体の流れに対して抵抗を与えるとともに、減衰力調整バルブの開閉によって減衰力調整通路の連通と遮断を切り替え得る。よって、フロントフォークは収縮作動時の圧側減衰力をソフトとハードの2段階に調整できる。
また、フロントフォークにおけるダンパは、伸側室と圧側室とを連通する圧側通路と、圧側通路に設けられてダンパの伸長作動時に閉弁するとともにダンパの収縮作動時に開弁して圧側室から伸側室へ向かう液体の流れを許容する圧側チェックバルブとを備え、弁要素は、圧側チェックバルブの圧側通路の開閉に連動して動作するようになっていてもよい。このように構成されたフロントフォークによれば、弁要素がダンパの伸長作動時に閉弁するとともに収縮作動時に開弁する圧側チェックバルブの動作に連動するので、ダンパの伸長作動と収縮作動とに合わせて流路面積の大小切り換えを的確に行える。
さらに、フロントフォークは、ピストンロッドが軸方向に沿って減衰力調整通路を形成する縦孔を有しており、減衰力調整バルブが縦孔内であってリザーバ室の液面より下方に設置されて構成されてもよい。このように構成されたフロントフォークによれば、伸長作動時に減衰力調整バルブによる減衰力発生が遅れてしまうのを防止できる。
さらに、フロントフォークは、減衰力調整通路がピストンロッドの伸側室に面する側部から開口してピストンロッド内を介してリザーバ室へ通じており、圧側チェックバルブがピストンに軸方向へ遠近可能に重ねられて圧側通路の出口端を開閉する環状板を有し、弁要素がピストンロッドの外周に軸方向へ移動可能に装着されて環状板とともに軸方向へ移動して開口を開閉する環状のシャッタと、シャッタと環状板とをピストンへ向けて付勢するばねとを備えて構成されてもよい。このように構成されたフロントフォークによれば、圧側チェックバルブに連動する弁要素を少ない部品点数でダンパに設置できるとともに加工工数の増加を招かずにダンパに設置できるので、フロントフォークの製造コストを低減できる。
また、フロントフォークは、弁要素がピストンロッドに設けられてシャッタに当接するとシャッタのピストンから離間する方向への移動を規制するストッパとを備えて、シャッタがストッパに当接した状態で弁要素における流路面積を最小とするように構成されてもよい。このように構成されたフロントフォークによれば、ストッパを設けることによってシャッタの移動を規制することによって弁要素の最小の流路面積を狙い通りに設定できる。
さらに、フロントフォークにおけるダンパは、伸側室と圧側室とを連通する伸側減衰通路に設けられて伸側室から圧側室へ向かう液体の流れに抵抗を与える伸側減衰バルブと、圧側室とリザーバ室とを連通する圧側減衰通路に設けられて圧側室からリザーバ室へ向かう液体の流れに抵抗を与える圧側減衰バルブと、圧側室とリザーバ室とを連通する吸込通路に設けられてリザーバ室から圧側室へ向かう液体の流れのみを許容する吸込チェックバルブとを備えて構成されてもよい。このように構成されたフロントフォークでは、前記回路構成を備えることでダンパがバイフロー型のダンパとして機能するが、バイフロー型のダンパであっても減衰力調整バルブと弁要素とで伸長作動時と収縮作動時の両方の減衰力の調整が可能となるとともに、伸長作動時と収縮作動時の減衰力の特性を伸側減衰バルブと圧側減衰バルブとにより独立して設定でき、車両の振動の抑制に最適な伸側減衰力と圧側減衰力とを発生できる。
本発明のフロントフォークによれば、伸側減衰力の調整と圧側減衰力の調整とをフロントフォークの上端側で行える。
本発明の一実施の形態のフロントフォークの断面図である。 本発明の一実施の形態のフロントフォークの減衰力調整バルブおよび弁要素の拡大断面図である。 本発明の一実施の形態の一変形例におけるフロントフォークの弁要素の拡大断面図である。
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1に示すように、一実施の形態におけるフロントフォークFは、車体側チューブ2と車軸側チューブ3とを有して伸縮可能なフォーク本体1と、フォーク本体1内に収容されて車体側チューブ2と車軸側チューブ3との間に介装されるダンパDとを備えて構成されており、図示はしないが、自動二輪車やトライク等の鞍乗型車両の車体と前輪との間に介装されて車体と前輪との振動を抑制するものである。
以下、フロントフォークFの各部について詳細に説明する。フロントフォークFは、前述したように、フォーク本体1とフォーク本体内に収容されるダンパDとを備えている。フォーク本体1は、車体側チューブ2と、車体側チューブ2に対して軸方向へ移動可能な車軸側チューブ3とを備えて伸縮可能となっている。また、フォーク本体1は、車体側チューブ2の上端を閉塞するキャップ4と、車軸側チューブ3の下端を閉塞するとともに前記前輪の車軸を保持するアクスルブラケット5と備えており、内部が密閉状態となっている。
キャップ4は、筒状であって、車体側チューブ2の上端の開口部の内周に螺子結合される大径部4aと、大径部4aの図1中下端から下方へ延びて外径が大径部4aよりも小径であって内周に符示しない小径部4bとを備えている。また、キャップ4の大径部4aの内周には、ステッピングモータとステッピングモータの図外のロータの回転運動を直動軸6aの軸方向への運動に変換する変換機構とを備えたアクチュエータ6が収容されている。アクチュエータ6は、通電によって駆動されるとキャップ4内で直動軸6aを図1中上下方向へ変位させ得る。
車軸側チューブ3は、車体側チューブ2の下方から車体側チューブ2内に挿入されており、車体側チューブ2に対して軸方向へ相対移動できる。なお、車体側チューブ2の下端の内周には、車軸側チューブ3の外周に摺接する環状のブッシュ7と環状のシール部材8とが設けられており、車軸側チューブ3の上端外周には車体側チューブ2の内周に摺接する環状のブッシュ9が装着されている。よって、車体側チューブ2と車軸側チューブ3とは、ブッシュ7,9によって互いに軸ぶれせずに軸方向へ移動できる。
車軸側チューブ3の下端は、図外の前記前輪の車軸を把持するアクスルブラケット5によって閉塞されており、アクスルブラケット5によってフォーク本体1が前記前輪に連結される。そして、このように構成されたフォーク本体1内は、シール部材8によって外方から密閉された空間となっている。アクスルブラケット5は、筒状であって車軸側チューブ3の下端の外周に螺子締結される有底筒状の筒部5aと、筒部5aの底部に連なって図外の前記車軸を把持する把持部5bとを備えている。なお、図示はしないが、アクスルブラケット5には、ブレーキキャリパやフェンダ等の装着を可能とする取り付け部が設けられる。
なお、本実施の形態のフロントフォークFでは、フォーク本体1は、車体側チューブ2内に車軸側チューブ3を挿入した倒立型として構成されているが、車体側チューブ2を車軸側チューブ3内に挿入した正立型として構成されてもよい。
ダンパDは、車軸側チューブ3にアクスルブラケット5を介して連結されるシリンダ10と、シリンダ10内に軸方向へ移動可能に挿入されてシリンダ10内を液体が充填される伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン11と、シリンダ10内に軸方向へ移動可能に挿入されて上端がキャップ4を介して車体側チューブ2に連結されるとともに下方側がピストン11に連結されるピストンロッド12と、伸側室R1をフォーク本体1とダンパDとの間の空間で形成されるリザーバ室Rに連通する減衰力調整通路Pと、減衰力調整通路Pに設けられて流路面積を調整可能な減衰力調整バルブV1と、減衰力調整通路Pに減衰力調整バルブV1と直列に設けられてダンパDの伸長作動時に流路面積を最大とするとともにダンパDの収縮作動時に流路面積を最小とする弁要素V2とを備えている。さらに、本実施の形態のフロントフォークFでは、ダンパDは、伸側室R1と圧側室R2とを連通する圧側通路11aと伸側減衰通路11bと、圧側通路11aに設けられた圧側チェックバルブ13と、伸側減衰通路11bに設けられた伸側減衰バルブ14と、圧側室R2とリザーバ室Rとを連通する圧側減衰通路16aと吸込通路16bと、圧側減衰通路16aに設けられた圧側減衰バルブ17と、吸込通路16bに設けられた吸込チェックバルブ18とを備えている。そして、ダンパDは、フォーク本体1内に収容されており、フォーク本体1内であってダンパD外に液体が貯留されるリザーバ室Rが形成される。
以下、ダンパDの各部について説明する。シリンダ10は、フォーク本体1におけるアクスルブラケット5に固定されるベースバルブ組立体15を介してアクスルブラケット5に連結されている。シリンダ10は、下端の側部から開口してシリンダ10内とリザーバ室Rとを連通する透孔10aを備えている。また、シリンダ10の上端開口端には、環状のロッドガイド20が装着されている。ロッドガイド20は、環状であってシリンダ10の上端の内周に螺合されて内周に挿通されるピストンロッド12の外周に摺接するガイド部20aと、ガイド部20aの上端から上方へ向けて突出する筒状のケース部20bとを備えている。なお、シリンダ10内およびリザーバ室Rに充填される液体は、作動油とされているが、作動油以外の液体とされてもよい。
ベースバルブ組立体15は、シリンダ10の透孔10aよりも上方側に嵌合する環状の隔壁体16と、アクスルブラケット5の筒部5aの底部を貫くボルト21によってアクスルブラケット5に固定されるとともにシリンダ10の下端に螺合するとともに隔壁体16を保持する保持部材19とを備えている。保持部材19は、シリンダ10の下端であって透孔10aよりも下方の内周に螺合してシリンダ10の下端を閉塞する閉塞部19aと、閉塞部19aから上方へ向けて突出するとともに外周に隔壁体16が装着される軸部19bとを備えている。このように、シリンダ10内であって隔壁体16と閉塞部19aとの間の空間は、透孔10aを介してリザーバ室Rに連通されており、隔壁体16は、シリンダ10内を圧側室R2とリザーバ室Rに連通される空間とに区画している。
また、隔壁体16には、前記空間を介して圧側室R2をリザーバ室Rに連通する圧側減衰通路16aと吸込通路16bとが設けられている。そして、圧側減衰通路16aには、圧側室R2からリザーバ室Rへ向かう液体の流れに抵抗を与える圧側減衰バルブ17が設けられており、吸込通路16bには、リザーバ室Rから圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容する吸込チェックバルブ18が設けられている。
ピストンロッド12は、筒状のピストンロッド本体22と、ピストンロッド本体22の下端に連結されてピストン11を保持する筒状のセンターロッド23とを備えている。そして、ピストンロッド12は、上端がキャップ4における小径部4bの内周に螺子結合されて連結されており、下端側がロッドガイド20の内周を通してシリンダ10内に挿入されている。ピストンロッド12は、ロッドガイド20とピストン11によってシリンダ10に対して径方向への移動が規制された状態でピストン11とともに軸方向となる図1中上下方向へ相対移動できる。
図1および図2に示すように、ピストンロッド12におけるセンターロッド23は、筒状であってピストンロッド本体22の下端外周に螺子結合されるバルブ収容筒23aと、バルブ収容筒23aの図2中下端から下方へ延びてバルブ収容筒23aよりも外径が小径であって外周に弁要素V2が装着される中実円柱状の弁装着部23bと、弁装着部23bの図2中下端から下方へ延びて弁装着部23bよりも外径が小径であって外周にピストン11が装着される中実円柱状のピストン装着部23cと、伸側室R1に臨む弁装着部23bの側方から開口してバルブ収容筒23a内に連通されるポート23dと、弁装着部23bのバルブ収容筒23a内に面してポート23dの開口を取り囲む環状弁座23eとを備えている。
また、ピストンロッド本体22の上方側には、側方から開口して内部に通じる横孔22aが設けられている。このように、ピストンロッド本体22内は、横孔22aを通じてダンパD外であってフォーク本体1内に形成されるリザーバ室Rに連通されるとともに、センターロッド23のバルブ収容筒23a内およびポート23dを介して伸側室R1に連通されており、ピストンロッド12内を介して伸側室R1とリザーバ室Rとが連通される。ピストンロッド本体22が筒状とされており、ピストンロッド本体22内とピストンロッド本体22に連結されるセンターロッド23のバルブ収容筒23aとによってピストンロッド12内に縦孔が形成されている。そして、本実施の形態ではピストンロッド12に設けられた前記縦孔、横孔22aおよびポート23dによって伸側室R1とリザーバ室Rとを連通する減衰力調整通路Pが形成されている。
また、ピストンロッド本体22の外周には、ダンパDが最収縮する際にロッドガイド20のケース部20b内に侵入する環状のロックピース24が設けられている。ケース部20bとロックピース24とは液圧クッション装置を構成しており、液圧クッション装置は、ケース部20b内にロックピース24が侵入すると、ケース部20b内の圧力を上昇させてダンパDのそれ以上の収縮を抑制する。ロッドガイド20のケース部20bとキャップ4の小径部4bの外周に装着された筒状のばね受40との間には、フォーク本体1を常時伸長させる方向へ付勢する懸架ばね41が介装されている。よって、フロントフォークFを車体と前輪との間に介装するとフロントフォークFは懸架ばね41による弾発力を発揮して車体を弾性支持する。
ピストン11は、環状であって、ピストンロッド12のセンターロッド23の図2中下方となる先端に設けられたピストン装着部23cの外周に嵌合しており、弁装着部23bの下端とピストン装着部23cの図2中下端に螺子結合されるピストンナット25とによって挟持されてピストン装着部23cに固定されている。また、ピストン11は、シリンダ10の内周に接しており、シリンダ10内を伸側室R1と圧側室R2とに区画している。さらに、ピストン11は、伸側室R1と圧側室R2とを並列に連通する圧側通路11aと伸側減衰通路11bとを備えている。
ピストン11の伸側室側端には、圧側通路11aの外周を取り囲む圧側弁座11cが設けられており、圧側弁座11cに離着座して圧側通路11aを開閉するとともに圧側通路11aを圧側室R2から伸側室R1へ向けて通過する液体の流れのみを許容する圧側チェックバルブ13が重ねられている。圧側チェックバルブ13は、圧側弁座11cに離着座する環状板とされており、センターロッド23の弁装着部23bの外周に嵌合されて軸方向への移動が許容されており、ピストン11に対して遠近できる。そして、圧側チェックバルブ13は、圧側弁座11cから離間してピストン11から遠ざかる方向へ移動すると圧側通路11aを開放し、圧側弁座11cに着座すると圧側通路11aを遮断する。よって、圧側チェックバルブ13は、圧側通路11aを圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体の流れのみを許容する一方通行の通路に設定している。
ピストン11の圧側室側端には、伸側減衰通路11bの外周を取り囲む伸側弁座11dが設けられるとともに、伸側弁座11dに離着座して伸側減衰通路11bを開閉するとともに伸側減衰通路11bを伸側室R1から圧側室R2へ向けて通過する液体の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与える伸側減衰バルブ14が重ねられている。伸側減衰バルブ14は、複数の環状のリーフバルブを積層して構成された積層リーフバルブとされており、内周がピストン11とともに弁装着部23bとピストンナット25との間で挟持されてピストン装着部23cに固定されており、外周側の撓みが許容されている。よって、伸側減衰バルブ14は、伸側減衰通路11bを介して作用する伸側室R1の圧力を受けて外周側を撓ませて伸側弁座11dから離間すると伸側減衰通路11bを開放するとともに通過する液体の流れに抵抗を与える一方、伸側弁座11dに着座した状態では伸側減衰通路11bを遮断する。よって、伸側減衰バルブ14は、伸側減衰通路11bを伸側室R1から圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容する一方通行の通路に設定している。
弁要素V2は、センターロッド23の弁装着部23bの外周に軸方向移動可能に嵌合されるとともに圧側チェックバルブ13の反ピストン側端に積層されるシャッタ26と、センターロッド23のバルブ収容筒23aの図2中下端とシャッタ26との間に介装されてシャッタ26とともに圧側チェックバルブ13をピストン11に向けて付勢するばね27とを備えて構成されている。
シャッタ26は、全体として環状であって、弁装着部23bの外周に摺動自在に嵌合されて圧側チェックバルブ13の反ピストン側面の内周に当接するガイド筒26aと、ガイド筒26aの反圧側チェックバルブ端の外周から径方向へ向けて広がるフランジ部26bと、フランジ部26bの反圧側チェックバルブ端から反圧側チェック側へ向けて立ち上がる筒状のばね収容部26cとを備えている。
ばね27は、ばね収容部26c内に収容されるとともにセンターロッド23のバルブ収容筒23aとフランジ部26bとの間に圧縮状態で介装されており、常時、シャッタ26を介して圧側チェックバルブ13を付勢している。ばね27は、図示したところでは、円錐状のコイルばねとされているが、コイルばね以外にも皿ばねやウェーブワッシャの他にもゴムによって構成されてもよい。また、ばね27は、シャッタ26のばね収容部26c内に収容されると、大径側端である下端がばね収容部26cの内周に嵌合し、ばね収容部26cよって径方向に位置決めされて、シャッタ26に対して径方向へ大幅に偏心しないようになっている。
圧側チェックバルブ13は、圧側室R2の圧力と伸側室R1の圧力との差が開弁圧に達するまではばね27の付勢力によって圧側弁座11cに着座した状態に維持される。また、シャッタ26は、ばね27によって付勢されているので圧側チェックバルブ13に当接した状態に維持される。そして、圧側チェックバルブ13が圧側弁座11cに着座して圧側通路11aを遮断する状態では、シャッタ26はガイド筒26aを圧側チェックバルブ13に当接させて図2中で最下方に位置決めされる。この状態では、シャッタ26のガイド筒26aは、弁装着部23bの外周であってポート23dの開口よりも下方に位置決めされており、ポート23dの開口を閉塞せず、当該開口を全開にするようになっている。つまり、圧側チェックバルブ13の軸方向長さとシャッタ26のガイド筒26aの軸方向長さとの合計長さは、弁装着部23bの図2中下端からポート23dの弁装着部23bの開口の下端までの長さより短くなっている。
そして、シャッタ26のばね収容部26cの内径は、少なくともセンターロッド23のバルブ収容筒23aの外径よりも小径に設定されており、ばね収容部26cの図2中上端は、バルブ収容筒23aの図2中下端に対向している。さらに、圧側チェックバルブ13の軸方向長さとシャッタ26の軸方向の全長との合計長さは、弁装着部23bの軸方向長さよりも短い。よって、シャッタ26は、当該合計長さと弁装着部23bの軸方向長さとの差分の長さだけ軸方向へセンターロッド23およびピストン11に対してストロークでき、バルブ収容筒23aの下端に当接するとピストン11から離間する方向への移動が規制される。このように、ピストンロッド12におけるセンターロッド23のバルブ収容筒23aは、シャッタ26のストッパとして機能しており、バルブ収容筒23aの下方側の外周に互いに平行に対向する二面幅形状に切欠部23fが設けられている。よって、シャッタ26がストッパとしてのバルブ収容筒23aに当接してピストン11からの離間が規制された状態でも切欠部23fを通じて伸側室R1とばね収容部26c内とが連通され、伸側室R1と減衰力調整通路Pとの連通が断たれないようになっている。
また、シャッタ26がストッパとしてのバルブ収容筒23aに当接する状態では、ガイド筒26aがポート23dの弁装着部23bに対する入口開口部に対して径方向で一部を除いて覆うようになっており、ポート23dの入口開口部におけるばね収容部26c内に面する面積を大きく制限して通過する液体の流れに対して抵抗を与える絞りを形成する。
なお、本実施の形態では、シャッタ26のガイド筒26aによるポート23dの入口開口部の流路面積を減少させることで弁要素V2の流路面積を小さくしているが、以下のようにしてもよい。シャッタ26のばね収容部26cとバルブ収容筒23aとの当接によって伸側室R1とばね収容部26c内とが切欠部23fのみによって連通されるため、ばね収容部26cとバルブ収容筒23aとが当接した状態における切欠部23fの流路面積が伸側室R1からポート23dに至るまでの間で最小となるように設定して、バルブ収容筒23aとばね収容部26cとの当接によって流路を絞るようにしてもよい。
シャッタ26は、ガイド筒26aで圧側チェックバルブ13の内周を支持しており、薄い環状板で形成される圧側チェックバルブ13の外周が撓んで圧側弁座11cに着座するようになっているので、ピストン11の圧側チェックバルブ13が当接する内周部よりも圧側通路11aを図2中上方側へ突出させて両者に段差を付けることによって圧側チェックバルブ13は圧側弁座11cに着座すると圧側通路11aを密に遮断できる。
なお、シャッタ26は、圧側チェックバルブ13と分離不能に一体化されてもよい。その場合、たとえば、弁装着部23bの外周に摺接するとともにシャッタとして機能する筒部と、筒部のピストン側端の外周に設けられて圧側弁座11cに離着座して圧側チェックバルブとして機能するフランジと備えた部品を設けて、前記部品のフランジとバルブ収容筒23aとの間にばね27を介装してシャッタと圧側チェックバルブとを構成してもよい。
つづいて、減衰力調整バルブV1は、ピストンロッド12内に設けられている。より詳細には、減衰力調整バルブV1は、本実施の形態のフロントフォークFではニードルバルブとされており、減衰力調整通路Pの一部を形成するセンターロッド23のバルブ収容筒23a内に軸方向へ移動可能に挿入されるニードル30と、センターロッド23のバルブ収容筒23aの底部におけるポート23dの開口の周囲で形成される環状弁座23eと、バルブ収容筒23aの底部とニードル30との間に介装されてニードル30を環状弁座23eから離間する方向へ付勢するばね31と、ピストンロッド本体22内に軸方向へ移動可能に挿入されてアクチュエータ6の直動軸6aの推力をニードル30へ伝達するコントロールロッド32とを備えて構成されている。
ニードル30は、図2に示すように、ポート23d内に軸方向へ移動可能に挿入される円錐状の頭部30aと、頭部30aの図2中上端に連なって環状弁座23eに図2中下端を対向させて環状弁座23eに離着座可能な円柱状の胴部30bと、胴部30bの図2中上端の外周に設けられてバルブ収容筒23aの内周に摺接するフランジ状のばね受部30cとを備えている。ニードル30は、胴部30bの図2中下端外周を環状弁座23eに着座させるとポート23dを閉塞して減衰力調整通路Pを介して伸側室R1とリザーバ室Rとの連通を断つ。また、ニードル30は、胴部30bの図2中下端外周を環状弁座23eから離間させた状態では円錐状の頭部30aと環状弁座23eの内周との間に隙間を生じさせてポート23dを開放し、減衰力調整通路Pを介しての伸側室R1とリザーバ室Rとを連通させる。また、ニードル30は、胴部30bの図2中下端外周を環状弁座23eから離間させた状態で、環状弁座23eに対して軸方向へ変位すると、環状弁座23eに対する位置に応じて頭部30aと環状弁座23eの内周との間に隙間の大きさを変化させることができ、これによって、減衰力調整バルブV1を通過する液体の流れに与える抵抗を大小調整できる。
また、ばね受部30cがセンターロッド23のバルブ収容筒23aの内周に摺接しているので、ニードル30は、センターロッド23内で軸ぶれせずに軸方向へ移動できる。なお、ニードル30のばね受部30cの外周には切欠30dが設けられており、ばね受部30cによって減衰力調整通路Pが遮断されないようになっている。
さらに、ニードル30は、ばね31によって環状弁座23eから離間する方向へ常時付勢される一方で、コントロールロッド32を介してアクチュエータ6の推力を受けることができる。よって、アクチュエータ6の推力の調整によって、ニードル30は、減衰力調整バルブV1における流路面積の大きさを調整して減衰力調整バルブV1を通過する液体の流れに与える抵抗の大きさを調整できるとともに、減衰力調整バルブV1を閉弁させて減衰力調整通路Pを遮断できる。また、減衰力調整バルブV1におけるニードル30の頭部30aの形状は、ダンパDの伸長作動時に減衰力調整通路Pを通過する液体の流量に最適となるように設定されている。また、減衰力調整バルブV1は、ダンパDが最伸長してシリンダ10からピストンロッド12が最大限に図1中上方へ移動しても、リザーバ室Rに貯留されている液体の液面Oよりも下方になる位置に設けられている。
フロントフォークFは、以上のように構成されており、以下にフロントフォークFの作動について説明する。まず、フロントフォークFが伸長する場合、フォーク本体1とともにダンパDが伸長する。ダンパDは、伸長すると、シリンダ10内をピストン11が図1中で上方へ移動して伸側室R1を縮小させるとともに圧側室R2を拡大させる。すると、液体は、ピストン11の伸側減衰バルブ14を押し開いて伸側減衰通路11bを通過して伸側室R1から圧側室R2へ移動する。液体が伸側減衰バルブ14を通過する際に抵抗を受けるので伸側室R1の圧力が上昇する。また、ダンパDの伸長作動時では、圧側チェックバルブ13は伸側室R1の圧力を受けて圧側弁座11cに着座するため、シャッタ26がポート23dの開口を閉塞せずに全開させる。よって、減衰力調整バルブV1におけるニードル30が環状弁座23eから離間して減衰力調整バルブV1が開弁している場合、伸側室R1の液体は、伸側減衰通路11bを通過して圧側室R2へ向かう他に、減衰力調整バルブV1および減衰力調整通路Pを通過してリザーバ室Rへ移動する。よって、フロントフォークFの伸長作動時であって減衰力調整バルブV1の開弁時には、伸側室R1の容積の減少に見合った流量の液体が伸側減衰バルブ14および減衰力調整バルブV1を通過し、伸側減衰バルブ14および減衰力調整バルブV1が通過する液体の流れに抵抗を与える。
また、フロントフォークFの伸長作動時には、ピストンロッド12がシリンダ10から退出するため、拡大する圧側室R2内ではピストンロッド12がシリンダ10から退出する体積分の液体が不足するが、この不足分の液体は、吸込チェックバルブ18が開弁して吸込通路16bを介してリザーバ室Rから圧側室R2へ供給される。よって、圧側室R2の圧力は、略リザーバ室R内の圧力と等しくなる。
このように、フロントフォークFの伸長作動時には、伸側室R1の圧力が上昇して圧側室R2の圧力よりも高くなってピストン11に作用し、ダンパDはフロントフォークFの伸長を妨げる伸側減衰力を発生する。
減衰力調整通路Pにおける減衰力調整バルブV1は、アクチュエータ6の推力調整によって通過する液体の流れに与える抵抗の大きさを調整できるので、フロントフォークFの伸長作動時におけるダンパDの伸側室R1の圧力を高低調整できる。よって、フロントフォークFの伸長作動時にダンパDが発生する伸側減衰力の大きさを調整でき、減衰力調整バルブV1の流路面積を最小して減衰力調整通路Pを遮断すると伸側減衰力を最大にできる。このように、フロントフォークFの伸長作動時には、減衰力調整バルブV1によってフロントフォークFの伸側減衰力を大小調整できる。
つづいて、フロントフォークFが収縮作動する場合、フォーク本体1とともにダンパDが収縮する。ダンパDは、収縮すると、シリンダ10内をピストン11が図1中で下方へ移動して圧側室R2を縮小させるとともに伸側室R1を拡大させる。すると、液体は、圧側チェックバルブ13を圧側弁座11cから離間させるとともに圧側チェックバルブ13の全体をピストン11から後退させて圧側通路11aを通過して圧側室R2から伸側室R1へ移動する。圧側チェックバルブ13がピストン11から離間して図1中上方へ移動するとシャッタ26も圧側チェックバルブ13とともにセンターロッド23のバルブ収容筒23aに当接するまで図1中上方へ移動する。このようにシャッタ26が図1中上方へ移動するとシャッタ26のガイド筒26aが弁装着部23bの側方に開口するポート23dの入口の一部を残して覆ってポート23dの入口開口部の流路面積を小さく制限する。なお、圧側チェックバルブ13の外周が撓んで圧側弁座11cから離間する際に、シャッタ26のフランジ部26bの外周で圧側チェックバルブ13の外周を支持して、シャッタ26を圧側チェックバルブ13の過剰な撓みを規制するバルブストッパとして利用してもよい。
また、ピストンロッド12がシリンダ10内に侵入するため、シリンダ10ではピストンロッド12がシリンダ10内に侵入する体積分の液体が過剰となる。この過剰分の液体は、圧側減衰バルブ17を押し開いて圧側減衰通路16aを通じて圧側室R2からリザーバ室Rへ移動するが、減衰力調整バルブV1が開弁している場合には、シャッタ26によって入口が小さく制限されたポート23dを通過するとともに減衰力調整バルブV1を通過して伸側室R1から減衰力調整通路Pを介してリザーバ室Rへ移動する。
圧側減衰バルブ17およびシャッタ26によって入口を制限されたポート23dは、通過する液体の流れに対して抵抗を与えるのでシリンダ10内の圧力が上昇する。ここで、本実施の形態におけるフロントフォークFでは、フォーク本体1によってフロントフォークFに作用する横方向の力を受ける構造となっているため、ピストンロッド12は軸方向においてダンパDが発生する減衰力に耐え得る強度を備えていればよく、ピストンロッド12の外径を小さくする方がフロントフォークFの重量を軽減できコストも安価になるので、ピストンロッド12の外径を極力小さくしている。このことから、減衰力調整バルブV1の開弁時に、フロントフォークFの伸長作動時に減衰力調整通路Pを通過する液体の流量とフロントフォークFの収縮作動時に減衰力調整通路Pを通過する液体の流量とを比較すると、フロントフォークFの伸長作動時の液体の流量の方が多くなる。減衰力調整バルブV1は、フロントフォークFの伸長作動時の液体の流量に対して適度な抵抗を与えるようにニードル30の頭部30aの形状を設計しているため、フロントフォークFの収縮作動時における液体の流量では十分な抵抗を与えられない場合がある。そこで、本実施の形態のフロントフォークFでは、フロントフォークFの収縮作動時において減衰力調整通路Pを通過する液体の流量でも十分に液体の流れに抵抗を与えるように、シャッタ26によってポート23dの入口開口部の流路面積を小さくしている。
このように、フロントフォークFの収縮作動時には、伸側室R1の圧力と圧側室R2の圧力が略等しく上昇して、伸側室R1の圧力がピストン11の上面に作用し、圧側室R2の圧力がピストン11の下面に作用するが、ピストン11がピストンロッド12に連結されているのでピストン11の上面の受圧面積よりも下面の受圧面積の方が大きくなるため、ダンパDはフロントフォークFの収縮を妨げる圧側減衰力を発生する。
このように、フロントフォークFの収縮作動時であって減衰力調整バルブV1の開弁時には、弁要素V2と圧側減衰バルブ17とでシリンダ10の圧力を上昇させてフロントフォークFが圧側減衰力を発生する。他方、フロントフォークFの収縮作動時であって減衰力調整バルブV1の閉弁時には、シリンダ10内の液体が減衰力調整通路Pを通過できなくなり圧側減衰バルブ17のみを通じてリザーバ室Rへ移動する。よって、フロントフォークFの収縮作動時であって減衰力調整バルブV1の閉弁時には、フロントフォークFは、減衰力調整バルブV1の開弁時より大きな圧側減衰力を発生する。前述したところから理解できるように、本実施の形態のフロントフォークFでは、減衰力調整バルブV1の開閉によって、フロントフォークFが発生する圧側減衰力をハードとソフトの2段階に調整できる。
以上のように、本実施の形態のフロントフォークFは、車体側チューブ2と車軸側チューブ3とを有して伸縮可能なフォーク本体1と、フォーク本体1内に収容されて車体側チューブ2と車軸側チューブ3との間に介装されるダンパDとを備え、ダンパDは、車軸側チューブ3に連結されるシリンダ10と、シリンダ10内に軸方向へ移動可能に挿入されてシリンダ10内を伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン11と、シリンダ10内に軸方向へ移動可能に挿入されて上端が車体側チューブ2に連結されるとともに下方側がピストン11に連結されるピストンロッド12と、伸側室R1をフォーク本体1とダンパDとの間の空間で形成されるリザーバ室Rに連通する減衰力調整通路Pと、減衰力調整通路Pに設けられて流路面積を調整可能な減衰力調整バルブV1と、減衰力調整通路Pに減衰力調整バルブV1と直列に設けられてダンパDの伸長作動時に流路面積を最大とするとともにダンパDの収縮作動時に流路面積を最小とする弁要素V2とを備えている。
このように構成されたフロントフォークFでは、伸長作動時に弁要素V2が流路面積を最大として伸側室R1から減衰力調整通路Pを介してリザーバ室Rへ液体の移動を許容し、減衰力調整バルブV1が通過する液体の流れに与える抵抗を調整できる。よって、フロントフォークFは伸長作動時の伸側減衰力を減衰力調整バルブV1によって調整できる。また、フロントフォークFでは、収縮作動時に弁要素V2が流路面積を最小として絞りとして機能して伸側室R1から減衰力調整通路Pを介してリザーバ室Rへ向かう液体の流れに対して抵抗を与えるとともに、減衰力調整バルブV1の開閉によって減衰力調整通路Pの連通と遮断を切り替え得る。よって、フロントフォークFは収縮作動時の圧側減衰力をソフトとハードの2段階に調整できる。
以上、本実施の形態のフロントフォークFによれば、減衰力調整通路Pに設けた減衰力調整バルブV1の開閉と流路面積の調整とを制御することによって、伸長作動時の伸側減衰力の調整と収縮作動時の圧側減衰力の調整との両方を行うことができる。よって、本実施の形態のフロントフォークFによれば、減衰力調整バルブV1のみの制御によって伸側減衰力の調整と圧側減衰力の調整とが可能となるので、伸側減衰力の調整と圧側減衰力の調整とをフロントフォークFの上端側で行える。また、本実施の形態のフロントフォークFによれば、フォーク本体1の上端側に減衰力調整バルブV1を駆動するアクチュエータ6を1つ設置すればよく、フロントフォークFの伸圧双方の減衰力調整の電動化を安価に実現できる。
なお、減衰力調整バルブV1は、ニードルバルブとされているが、ニードルバルブ以外にもスプールバルブやロータリバルブといった流路面積の調整と減衰力調整通路Pの開閉を行えるバルブを利用できる。また、減衰力調整バルブV1は、減衰力調整通路Pの任意の位置に弁要素V2と直列に設けられればよいので、減衰力調整バルブV1の設置位置はピストンロッド12の上端側に設けられてもよい。
また、弁要素V2は、減衰力調整通路Pに減衰力調整バルブV1と直列に設けられてダンパDの伸長作動時に流路面積を最大とするとともにダンパDの収縮作動時に流路面積を最小とするバルブであればよいので、たとえば、図3に示すように、弁要素V2は、センターロッド23の圧側室R2に面する図3中下端から開口してポート23dへ通じる孔23gを設けて、当該孔23g内に軸方向移動可能に挿入される受圧部50aと受圧部50aから延びてポート23d内に侵入可能であってポート23dの流路面積の変更可能な弁部50bとを有するシャッタ50と、シャッタ50を弁部50bがポート23d内から退出する方向へ付勢するばね51と、弁部50bがポート23d内に侵入して完全に閉塞しないようにシャッタ50の移動を規制するストッパ52とを備えて構成されてもよい。このように構成された弁要素V2は、フロントフォークFの伸長作動時にはシャッタ50における弁部50bがポート23d内から退出して流路面積を最大とし、フロントフォークFの収縮作動時には弁部50bが最大限にポート23d内に侵入して流路面積を最小とする。なお、孔23gは、ピストンロッド12の圧側室R2に連通されていればよいので、センターロッド23の下端以外が圧側室R2に面していれば下端以外から開口してもよい。
また、本実施の形態のフロントフォークFでは、ダンパDは、伸側室R1と圧側室R2とを連通する圧側通路11aと、圧側通路11aに設けられてダンパDの伸長作動時に閉弁するとともにダンパDの収縮作動時に開弁して圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体の流れを許容する圧側チェックバルブ13とを備え、弁要素V2は、圧側チェックバルブ13の圧側通路11aの開閉に連動して動作するようになっている。このように構成されたフロントフォークFによれば、弁要素V2がダンパDの伸長作動時に閉弁するとともに収縮作動時に開弁する圧側チェックバルブ13の動作に連動するので、ダンパDの伸長作動と収縮作動とに合わせて流路面積の大小切り換えを的確に行える。
さらに、本実施の形態のフロントフォークFでは、ピストンロッド12は、軸方向に沿って減衰力調整通路Pを形成する縦孔を有しており、減衰力調整バルブV1は、縦孔内であってリザーバ室Rの液面Oより下方に設置されている。本実施の形態のフロントフォークFでは、減衰力調整バルブV1が開弁状態に維持されている場合、弁要素V2も減衰力調整通路Pを遮断することがないため、減衰力調整通路P内の液面がリザーバ室Rの液体の液面Oまで低下する場合があるが、減衰力調整バルブV1が液面Oより下方に配置されているので、減衰力調整バルブV1が常に液中に配置されることになる。よって、本実施の形態のフロントフォークFによれば、伸長作動時に減衰力調整バルブV1による減衰力発生が遅れてしまうのを防止できる。なお、減衰力調整バルブV1を液面Oよりも上方に配置することも可能であるが、その場合、減衰力調整通路Pの減衰力調整バルブV1の前後いずれかに伸側室R1からリザーバ室Rへ向かう液体の流れのみを許容して逆向きへの流れを阻止するチェックバルブを設けて減衰力発生の応答遅れを防止してもよい。換言すれば、減衰力調整バルブV1を液面Oよりも可能に配置することによって、減衰力調整通路Pにチェックバルブを設けなくとも減衰力発生の応答遅れを防止できるのでフロントフォークFのコストを低減できる。
さらに、本実施の形態のフロントフォークFでは、減衰力調整通路Pは、ピストンロッド12の伸側室R1に面する側部から開口してピストンロッド12内を介してリザーバ室Rへ通じており、圧側チェックバルブ13は、ピストン11に軸方向へ遠近可能に重ねられて圧側通路11aの出口端を開閉する環状板を有し、弁要素V2は、ピストンロッド12の外周に軸方向へ移動可能に装着されて環状板とともに軸方向へ移動して開口を開閉する環状のシャッタ26と、シャッタ26と環状板とをピストン11へ向けて付勢するばね27とを備えている。このようい構成されたフロントフォークFによれば、圧側チェックバルブ13に連動する弁要素V2を少ない部品点数でダンパDに設置できるとともに加工工数の増加を招かずにダンパDに設置できるので、フロントフォークFの製造コストを低減できる。
また、本実施の形態のフロントフォークFでは、弁要素V2は、ピストンロッド12に設けられてシャッタ26に当接するとシャッタ26のピストン11から離間する方向への移動を規制するストッパとしてバルブ収容筒23aを有し、シャッタ26がバルブ収容筒23aに当接した状態で弁要素V2における流路面積を最小とする。このように構成されたフロントフォークFによれば、ストッパを設けることによってシャッタ26の移動を規制することによって弁要素V2の最小の流路面積を狙い通りに設定できる。なお、ストッパは、本実施の形態ではバルブ収容筒23aをストッパとして機能させているが、弁装着部23bの外周に別途ストッパを設けてもよい。
さらに、本実施の形態のフロントフォークFでは、ダンパDは、伸側室R1と圧側室R2とを連通する伸側減衰通路11bに設けられて伸側室R1から圧側室R2へ向かう液体の流れに抵抗を与える伸側減衰バルブ14と、圧側室R2とリザーバ室Rとを連通する圧側減衰通路16aに設けられて圧側室R2からリザーバ室Rへ向かう液体の流れに抵抗を与える圧側減衰バルブ17と、圧側室R2とリザーバ室Rとを連通する吸込通路16bに設けられてリザーバ室Rから圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容する吸込チェックバルブ18とを備えている。このように構成されたフロントフォークFでは、前記回路構成を備えることでダンパDが伸長作動時には伸側室R1の液体が圧側室R2へ移動するとともに収縮作動時には圧側室R2の液体が伸側室R1へ移動するバイフロー型のダンパとなるが、バイフロー型のダンパDであっても減衰力調整バルブV1と弁要素V2とで伸長作動時と収縮作動時の両方の減衰力の調整が可能となるとともに、伸長作動時と収縮作動時の減衰力の特性を伸側減衰バルブ14と圧側減衰バルブ17とにより独立して設定でき、車両の振動の抑制に最適な伸側減衰力と圧側減衰力とを発生できる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形および変更が可能である。
1・・・フォーク本体、2・・・車体側チューブ、3・・・車軸側チューブ、10・・・シリンダ、11・・・ピストン、11a・・・圧側通路、11b・・・伸側減衰通路、12・・・ピストンロッド、13・・・圧側チェックバルブ、14・・・伸側減衰バルブ、16a・・・圧側減衰通路、16b・・・吸込通路、17・・・圧側減衰バルブ、18・・・吸込チェックバルブ、23a・・・バルブ収容筒(ストッパ)、26・・・シャッタ、27・・・ばね、D・・・ダンパ、F・・・フロントフォーク、O・・・液面、P・・・減衰力調整通路、R・・・リザーバ室、R1・・・伸側室、R2・・・圧側室、V1・・・減衰力調整バルブ、V2・・・弁要素

Claims (6)

  1. 車体側チューブと車軸側チューブとを有して伸縮可能なフォーク本体と、
    前記フォーク本体内に収容されて前記車体側チューブと前記車軸側チューブとの間に介装されるダンパとを備え、
    前記ダンパは、
    前記車軸側チューブに連結されるシリンダと、
    前記シリンダ内に軸方向へ移動可能に挿入されて前記シリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、
    前記シリンダ内に軸方向へ移動可能に挿入されて上端が前記車体側チューブに連結されるとともに下方側が前記ピストンに連結されるピストンロッドと、
    前記伸側室を前記フォーク本体と前記ダンパとの間の空間で形成されるリザーバ室に連通する減衰力調整通路と、
    前記減衰力調整通路に設けられて流路面積を調整可能な減衰力調整バルブと、
    前記減衰力調整通路に前記減衰力調整バルブと直列に設けられて前記ダンパの伸長作動時に流路面積を最大とするとともに前記ダンパの収縮作動時に流路面積を最小とする弁要素とを有する
    ことを特徴とするフロントフォーク。
  2. 前記ダンパは、
    前記伸側室と前記圧側室とを連通する圧側通路と、
    前記圧側通路に設けられて、前記ダンパの伸長作動時に閉弁するとともに前記ダンパの収縮作動時に開弁して前記圧側室から前記伸側室へ向かう液体の流れを許容する圧側チェックバルブとを有し、
    前記弁要素は、前記圧側チェックバルブの前記圧側通路の開閉に連動して動作する
    ことを特徴とする請求項1に記載のフロントフォーク。
  3. 前記ピストンロッドは、軸方向に沿って前記減衰力調整通路を形成する縦孔を有しており、
    前記減衰力調整バルブは、前記縦孔内であって前記リザーバ室の液面より下方に設置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のフロントフォーク。
  4. 前記減衰力調整通路は、前記ピストンロッドの前記伸側室に面する側部から開口して前記ピストンロッド内を介して前記リザーバ室へ通じており、
    前記圧側チェックバルブは、前記ピストンに軸方向へ遠近可能に重ねられて前記圧側通路の出口端を開閉する環状板を有し、
    前記弁要素は、
    前記ピストンロッドの外周に軸方向へ移動可能に装着されて前記環状板とともに軸方向へ移動して前記開口を開閉する環状のシャッタと、
    前記シャッタと前記環状板とを前記ピストンへ向けて付勢するばねとを有する
    ことを特徴とする請求項2に記載のフロントフォーク。
  5. 前記弁要素は、
    前記ピストンロッドに設けられて前記シャッタに当接すると前記シャッタの前記ピストンから離間する方向への移動を規制するストッパを有し、
    前記シャッタが前記ストッパに当接した状態で前記弁要素における流路面積を最小とする
    ことを特徴とする請求項4に記載のフロントフォーク。
  6. 前記ダンパは、
    前記伸側室と前記圧側室とを連通する伸側減衰通路に設けられて前記伸側室から前記圧側室へ向かう液体の流れに抵抗を与える伸側減衰バルブと、
    前記圧側室と前記リザーバ室とを連通する圧側減衰通路に設けられて前記圧側室から前記リザーバ室へ向かう液体の流れに抵抗を与える圧側減衰バルブと、
    前記圧側室と前記リザーバ室とを連通する吸込通路に設けられて前記リザーバ室から前記圧側室へ向かう液体の流れのみを許容する吸込チェックバルブとを有する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のフロントフォーク。
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