JP2024065778A - 正極及び非水電解質蓄電素子 - Google Patents

正極及び非水電解質蓄電素子 Download PDF

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Abstract

【課題】出力性能が高い正極及び非水電解質蓄電素子を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の一側面に係る正極は、基材と、上記基材に積層され炭素被覆正極活物質を含む正極活物質層とを有し、上記炭素被覆正極活物質が、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物を含有する正極活物質と、炭素元素を含み上記正極活物質の少なくとも一部を被覆する被覆層とを有し、上記炭素被覆正極活物質のBET比表面積に対する上記正極活物質のBET比表面積の比が0.70以上であり、上記基材のBET比表面積が0.10m2/g以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、正極及び非水電解質蓄電素子に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、一対の電極及びセパレータを有する電極体と、非水電解質と、これら電極体及び非水電解質を収容する容器とを有し、両電極間で電荷輸送イオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解質二次電池以外の非水電解質蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
従来、充放電特性の向上等を目的として、非水電解質蓄電素子の正極、負極等に含まれる活物質の開発が進められている。非水電解質蓄電素子の一例として、特許文献1には、正極活物質としてリン酸鉄リチウムを、負極として黒鉛等を用いたリチウムイオン二次電池が開示されている。
国際公開第2012/114502号
正極活物質としてリン酸鉄リチウム等のポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物を用いた非水電解質二次電池においては、正極の基材と正極活物質との密着性を高めて出力性能を向上するべく、正極の基材にバインダ、導電剤としての炭素材料等を含む中間層を積層したものを用いる場合がある(以下、この中間層を積層した基材を「カーボンコート箔」ともいう)。しかしながら、カーボンコート箔を用いると、製造時のコストが大きくなるおそれがある。したがって、カーボンコート箔を用いない簡易な構成によって、非水電解質二次電池の出力性能を十分に確保できることが望まれる。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、出力性能が高い正極及び非水電解質蓄電素子を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る正極は、基材と、上記基材に積層され炭素被覆正極活物質を含む正極活物質層とを有し、上記炭素被覆正極活物質が、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物を含有する正極活物質と、炭素元素を含み上記正極活物質の少なくとも一部を被覆する被覆層とを有し、上記炭素被覆正極活物質のBET比表面積に対する上記正極活物質のBET比表面積の比が0.70以上であり、上記基材のBET比表面積が0.10m/g以上である。
本発明の他の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、当該正極を備える。
本発明の一側面に係る正極及び他の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、出力性能を高くできる。
図1は、本発明に係る正極を備える非水電解質蓄電素子の一実施形態を示す透視斜視図である。 図2は、非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置の一実施形態を示す概略図である。
初めに、本明細書によって開示される正極及び蓄電素子の概要について説明する。
(1)本発明の一側面に係る正極は、基材と、上記基材に積層され炭素被覆正極活物質を含む正極活物質層とを有し、上記炭素被覆正極活物質が、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物を含有する正極活物質と、炭素元素を含み上記正極活物質の少なくとも一部を被覆する被覆層とを有し、上記炭素被覆正極活物質のBET比表面積に対する上記正極活物質のBET比表面積の比が0.70以上であり、上記基材のBET比表面積が0.10m/g以上である。
上記(1)に記載の本発明の一側面に係る正極によれば、出力性能を高くできる。この理由は定かではないが、以下の理由が推測される。当該正極は、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物を含有する正極活物質を有する。また、この正極活物質は炭素元素を含む上記被覆層によって被覆されているため、導電性が改善されている。一方、従来のこのような正極においては、十分な出力性能を確保するため基材としてカーボンコート箔の使用を要する場合があった。これに対し、本発明の一側面に係る正極においては、上記基材のBET比表面積を一定以上に制御することによって、上記基材と上記正極活物質層との密着性を向上できる。すなわち、簡易な構成の基材によって出力性能を高くし得る。また、当該正極は上記炭素被覆正極活物質のBET比表面積に対する上記正極活物質のBET比表面積の比が一定以上に制御されている。これは、上記被覆層の被覆量が一定範囲内に制御されていること、又は上記正極活物質のBET比表面積が大きいことを意味する。このため、当該正極にあっては、上記比が一定以上であることによって、上記正極活物質と上記非水電解質との接触面積が増大する。さらに、上記比が一定以上であることによって、上記基材と上記正極活物質層との密着性も向上する。したがって、当該正極は、簡易な構成によって、効果的に出力性能を高くできる。
(2)上記(1)に記載の正極において、上記炭素被覆正極活物質の平均一次粒子径は、0.4μm以下としてもよい。
上記(2)に記載の正極によれば、上記炭素被覆正極活物質の平均一次粒子径が上記上限以下であることによって、上記正極活物質と上記非水電解質との接触面積がさらに増大するため、当該正極は、出力性能をさらに高くできる。
(3)上記(1)又は上記(2)に記載の正極において、上記基材がアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、かつ上記正極活物質層が上記基材に直接積層されていてもよい。
上記(3)に記載の正極によれば、上記基材がアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、かつ上記正極活物質層が上記基材に直接積層されていることによって、製造コストを低減することができる。また、上記基材と上記正極活物質層との密着性を向上することによって出力性能が高くなる本発明の効果を十分に享受することができる。
(4)本発明の他の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、上記(1)、上記(2)又は上記(3)に記載の正極を備える。
上記(4)に記載の非水電解質蓄電素子によれば、当該正極を備えるため、出力性能を高くできる。
本発明において、「ポリアニオン構造を有する」とは、オキソ酸アニオン(PO 3-、SiO 4-、BO 3-等)を有することを意味する。
本発明において、「BET比表面積」は、液体窒素で冷却した試料に窒素ガスを供給することにより粒子表面に窒素分子が物理吸着することを基にその時の圧力と吸着量を測定することにより求められる。具体的な測定手法としては、相対圧力0.05から0.20の範囲における多点法により、試料に対する窒素吸着量[m]を求める。得られた窒素吸着量を、試料の質量[g]で除した値をBET比表面積[m/g]とする。
本発明において、BET比表面積は、当該正極を含む初期充放電させた後の非水電解質蓄電素子から測定対象の試料を採取して測定するものとする。初期充放電後に非水電解質蓄電素子から測定対象の試料を採取する手順は以下の通りである。まず、初期充放電後の非水電解質蓄電素子を、0.1Cの電流で、通常使用時の放電終止電圧まで定電流放電し、放電された状態とする。ここで、通常使用時とは、上記非水電解質蓄電素子について推奨され、又は指定される充放電条件を採用して上記非水電解質蓄電素子を使用する場合をいう。次に、この放電された状態の非水電解質蓄電素子を解体し、正極を取り出して、ジメチルカーボネートにより正極に付着した成分(電解質等)を充分に洗浄する。その後、正極を室温にて24時間減圧乾燥させる。次に、正極から、基材、及び正極活物質層の粉体を採取する。正極活物質については、風力分級等を用いて正極活物質層の粉体に混合された導電剤等の任意成分を除去した後、バインダや増粘剤が可溶な溶媒を用いて洗浄およびろ過を行い、バインダや増粘剤を除去する。最後に、得られた正極活物質を加熱乾燥することにより、測定対象の試料を採取する。加熱する温度は、溶媒が除去できる温度であればよく、例えば60℃から100℃にすることができる。非水電解質蓄電素子の解体から測定対象の試料の採取までは、必要に応じ露点-60℃以下のアルゴン雰囲気中で行うことができる。
本発明において、「基材のBET比表面積」は、上述の方法によって採取された上記基材を測定対象の試料とすることにより、測定される。「炭素被覆正極活物質のBET比表面積」は、上述の方法によって採取された上記炭素被覆正極活物質を測定対象の試料とすることにより、測定される。「正極活物質のBET比表面積」は、上述の方法によって採取された炭素被覆正極活物質を大気雰囲気下にて350℃で4時間焼成することによって上記被覆層を除去した正極活物質を測定対象の試料とすることにより、測定される。
なお、本発明において「一次粒子」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)での観察において、外観上に粒界が観測されない粒子であり、「平均一次粒子径」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)において観察される正極活物質粒子を構成する任意の10個の一次粒子の粒子径の算術平均値である。測定に供する正極活物質粒子は、上記「炭素被覆正極活物質のBET比表面積」の測定対象の試料と同様の手順で採取したものとする。一次粒子の粒子径は、次のようにして求める。一次粒子の最小外接円の中心を通り最も短い径を短径とし、上記中心を通り短径に直交する径を長径とする。長径と短径との算術平均値を一次粒子の粒子径とする。ただし、最も短い径が2本以上存在する場合は、直交する径が最も長いものを短径とする。
以下、本発明の一実施形態に係る正極、非水電解質蓄電素子、蓄電装置、非水電解質蓄電素子の製造方法及びその他の実施形態について順に説明する。なお、各実施形態に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称は、背景技術に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
[正極]
本発明の一実施形態に係る正極は、基材(以下、「正極基材」ともいう)、及びこの正極基材に直接又は中間層を介して積層される正極活物質層を有する。当該正極は、非水電解質蓄電素子用の正極である。
<正極基材>
正極基材は、導電性を有する。「導電性」を有するか否かは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10-2Ω・cmを閾値として判定する。正極基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ、及びコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。正極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、正極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)又はJIS-H-4160(2006年)に規定されるA1085、A3003、A1N30等が例示できる。
正極基材としては、貫通孔を有するアルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔(以下、「貫通箔」ともいう)、又は、表面に粗面化処理を施したアルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔(以下、「粗面化箔」ともいう)がより好ましい。このように正極基材を貫通箔又は粗面化箔とすることによって、正極基材と正極活物質層との密着性を向上することができる。
正極基材の平均厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下が特に好ましい。正極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、正極基材の強度を高めつつ、非水電解質蓄電素子の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる
正極基材のBET比表面積の下限としては、0.10m/gであり、0.15m/gが好ましく、0.20m/gがより好ましい。一方、正極基材のBET比表面積の上限としては、3.00m/gが好ましく、2.50m/gがより好ましく、2.00m/gがさらに好ましい。正極基材のBET比表面積が上記下限以上であると、上記正極基材と上記正極活物質層との密着性を向上できる。また、正極基材のBET比表面積が上記上限以下であると、正極基材の強度を十分に確保することができる。
中間層は、正極基材と正極活物質層との間に配される層である。中間層は、炭素粒子等の導電剤を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば、バインダ及び導電剤を含む。
<正極活物質層>
正極活物質層は、上記中間層を介さずにアルミニウム又はアルミニウム合金からなる正極基材に直接積層されることが好ましい。このように上記正極活物質層が上記中間層を介さずに上記正極基材に直接積層されることによって、製造コストを低減することができる。また、正極基材と正極活物質層との密着性を向上する本発明の効果を十分に享受することができる。
正極活物質層は、炭素被覆正極活物質を含むいわゆる正極合剤から形成される。また、正極活物質層を形成する正極合剤は、必要に応じて、導電剤、バインダ(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含むことができる。
(組成)
炭素被覆正極活物質は、正極活物質と、炭素元素を含み正極活物質の少なくとも一部を被覆する被覆層(以下、「炭素被覆層」ともいう)とを有する。上記炭素被覆正極活物質は、通常、正極活物質の粒子を核とした粒状物である。炭素被覆正極活物質の製造方法としては、例えば正極活物質の原料、炭素源となる有機化合物及び溶媒を混合した混合物をビーズミル等で粉砕してスラリーを調製した後、乾燥し、不活性雰囲気下で熱処理すること等が挙げられる。上記有機化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース、デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、マルトース、スクロース、ラクトース、グリコーゲン、ペクチン、アルギン酸、グルコマンナン、キチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、アガロース、ポリエーテル、多価アルコール等が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン、グリセリン等が挙げられる。
本発明の一実施形態において、炭素被覆正極活物質の正極活物質は、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物を含有する。
上記リチウム遷移金属化合物(以下、「ポリアニオン化合物」ともいう)としては、例えばLiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiMn0.5Ni0.5PO、LiCoPO、Li(PO、LiMnSiO、LiFePOF、LiCoPOF、LiNiPOF等を挙げることができる。これらの中でも、リン酸イオン(PO 3-)を含む化合物(リン酸化合物)が好ましく、リン酸鉄リチウムがより好ましい。ポリアニオン化合物は、構成する原子又はポリアニオンの一部が他の原子又は他のアニオン種で置換されたものであってもよい。一般に、ポリアニオン化合物は導電性が低いが、炭素被覆層によって少なくとも一部を被覆することによって導電性向上効果を十分に享受することができる。ポリアニオン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の一実施形態において、上記炭素被覆正極活物質の被覆層は、上述の通り炭素元素を含む。上記被覆層における炭素元素の含有量は、例えば95質量%以上100質量%以下とすることができる。また、上記被覆層は、炭素被覆正極活物質の正極活物質の一部を被覆するものであってもよい。上記被覆層における炭素元素は、通常、高結晶性炭素と低結晶性炭素とが混在する形態として存在する。
炭素被覆正極活物質に占める上記炭素元素の含有量の下限としては、0.8質量%が好ましく、0.9質量%がより好ましく、1.0質量%がさらに好ましい。上記炭素元素の含有量を上記下限以上とすることで、炭素被覆正極活物質の導電性を向上することができる。一方、この含有量の上限としては、3.0質量%が好ましく、2.5質量%がより好ましく、2.0質量%がさらに好ましい。上記炭素元素の含有量を上記上限以下とすることで、相対的に正極活物質の含有量を高め、上記正極のエネルギー密度を増大することができる。
上記正極活物質層は炭素被覆正極活物質以外の他の正極活物質を含有していてもよい。上記他の正極活物質としては、例えば、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、炭素被覆層を有さないポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1、0<1-x-γ)、Li[LiCo(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγMn(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1、0<1-x-γ)、Li[LiNiγMnβCo(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1、0<1-x-γ-β)、Li[LiNiγCoβAl(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1、0<1-x-γ-β)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、LiMn、LiNiγMn(2-γ)等が挙げられる。炭素被覆層を有さないポリアニオン化合物として、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、Li(PO、LiMnSiO、LiCoPOF等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。これらの材料は表面が炭素被膜層以外の他の材料で被覆されていてもよい。正極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記正極活物質層に占める炭素被覆正極活物質の含有量の下限としては、例えば50質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、99質量%が好ましく、98質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましい。
正極活物質層における正極活物質の含有量は、50質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。正極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛、非黒鉛質炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラック及びファーネスブラックが好ましい。
正極活物質層における導電剤の含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、2質量%以上8質量%以下がより好ましい。導電剤の含有量を上記の範囲とすることで、二次電池のエネルギー密度を高めることができる。なお、上記炭素被覆層は、導電剤には含まれない。
バインダとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
バインダに十分な粘性がない場合には、正極合剤ペーストの保管安定性や塗工面の観点から、増粘剤を併用することが好ましい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予め中和等によりこの官能基を失活させてもよい。
正極活物質層におけるバインダ及び増粘剤の含有量の総量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、2質量%以上8質量%以下がより好ましい。バインダ及び増粘剤の含有量の総量を上記の範囲とすることで、正極活物質を安定して保持することができる。
フィラーは、特に限定されない。フィラーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。
正極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を正極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
(物性)
炭素被覆正極活物質は、通常粒子(粉体)である。炭素被覆正極活物質の平均粒径は、例えば、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。炭素被覆正極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、炭素被覆正極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。炭素被覆正極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、正極活物質層におけるイオン拡散性が向上する。「平均粒径」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザー回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。以下において、「平均粒径」は同義である。
粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェットミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
炭素被覆正極活物質及び他の正極活物質は、通常一次粒子が凝集してなる二次粒子である。炭素被覆正極活物質の平均一次粒子径の下限としては、製造効率の観点から、0.05μmが好ましく、0.08μmがより好ましく、0.10μmがさらに好ましい。一方、炭素被覆正極活物質の平均一次粒子径の上限としては、0.4μmが好ましく、0.3μmがより好ましく、0.2μmがさらに好ましい。上記平均一次粒子径が上記上限以下であると、上記正極活物質と上記非水電解質との接触面積を増大させることができる。
炭素被覆正極活物質を所定の一次粒子径で得るためには、上述した炭素被覆正極活物質の製造方法において熱処理温度及び熱処理時間を調整すること等によって制御することができる。
上記炭素被覆正極活物質のBET比表面積に対する上記正極活物質のBET比表面積の比の下限としては、0.70であり、0.73がより好ましく、0.75がさらに好ましい。一方、上記比の上限としては、1.0が好ましく、0.9がより好ましく、0.8がさらに好ましい。上記比が上記下限以上であると、上記正極活物質と上記非水電解質との接触面積が増大し、かつ正極基材と正極活物質層との密着性を容易に向上することができる。すなわち、当該正極を用いた非水電解質蓄電素子の出力性能を高くしやすい。また、上記比が上記上限以下であると、上記正極活物質と上記非水電解質との接触面積の過度な増大を抑制できる。このため、当該正極を用いた非水電解質蓄電素子の出力性能を維持しつつ、充放電サイクル時の容量維持率を向上することができる。
上記炭素被覆正極活物質のBET比表面積の下限としては、6.0m/gが好ましく、8.0m/gがより好ましく、10.0m/gがさらに好ましい。一方、上記炭素被覆正極活物質のBET比表面積の上限としては、30.0m/gが好ましく、25.0m/gがより好ましく、20.0m/gがさらに好ましい。上記BET比表面積が上記下限以上であると、当該正極を用いた非水電解質蓄電素子の出力性能を高くしやすい。また、上記BET比表面積が上記上限以下であると、当該正極を用いた非水電解質蓄電素子の出力性能を維持しつつ、充放電サイクル時の容量維持率を向上することができる。なお、上記炭素被覆正極活物質のBET比表面積は、後述する方法により、上記炭素被覆正極活物質における正極活物質のBET比表面積及び上記被覆層のBET比表面積を調整することによって調整することができる。
上記炭素被覆正極活物質における正極活物質のBET比表面積の下限としては、4.0m/gが好ましく、6.0m/gがより好ましく、7.0m/gがさらに好ましい。一方、上記正極活物質のBET比表面積の上限としては、18.0m/gが好ましく、16.0m/gがより好ましく、14.0m/gがさらに好ましい。上記BET比表面積が上記下限以上であると、当該正極を用いた非水電解質蓄電素子の出力性能を高くしやすい。また、上記BET比表面積が上記上限以下であると、当該正極を用いた非水電解質蓄電素子の出力性能を維持しつつ、充放電サイクル時の容量維持率を向上することが容易となる。なお、上記炭素被覆正極活物質における正極活物質のBET比表面積は、例えば上述した炭素被覆正極活物質の製造方法においてビーズミル等で粉砕する時間を調整すること等によって制御することができる。
上記被覆層のBET比表面積の下限としては、150m/gが好ましく、180m/gがより好ましく、200m/gがさらに好ましい。一方、上記被覆層のBET比表面積の上限としては、300m/gが好ましく、280m/gがより好ましく、260m/gがさらに好ましい。上記BET比表面積が上記下限以上であると、当該正極を用いた非水電解質蓄電素子の出力性能を高くしやすい。また、上記BET比表面積が上記上限以下であると、当該正極を用いた非水電解質蓄電素子の出力性能を維持しつつ、充放電サイクル時の容量維持率を向上することが容易となる。ここで、「被覆層のBET比表面積」は、上記被覆層のBET比表面積をBp[m/g]、上記正極活物質のBET比表面積をBp[m/g]、上記炭素被覆正極活物質のBET比表面積をBp[m/g]、上記炭素被覆正極活物質に占める上記被覆層の割合をα[質量%]とした場合に、下記式1で算出される。上記「被覆層の割合」は、上述の方法で上記被覆層を除去した前後の正極活物質の質量から算出する。また、上記被覆層のBET比表面積は、例えば上述した炭素被覆正極活物質の製造方法において炭素源の変更や熱処理温度及び熱処理時間を調整すること等によって制御することができる。
Bp={100Bp-(100-α)Bp}/α ・・・1
[非水電解質蓄電素子]
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子(以下、単に「蓄電素子」ともいう。)は、正極、負極及びセパレータを有する電極体と、非水電解質と、上記電極体及び非水電解質を収容する容器と、を備える。電極体は、通常、複数の正極及び複数の負極がセパレータを介して積層された積層型、又は、正極及び負極がセパレータを介して積層された状態で巻回された巻回型である。非水電解質は、正極、負極及びセパレータに含まれた状態で存在する。非水電解質蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう。)について説明する。
<正極>
当該非水電解質蓄電素子が備える正極は、上述した通りである。
<負極>
負極は、負極基材と、当該負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層とを有する。中間層の構成は特に限定されず、例えば上記正極で例示した構成から選択することができる。
負極基材は、導電性を有する。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、アルミニウム等の金属又はこれらの合金、炭素質材料等が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
負極活物質層は、負極活物質を含む。負極活物質層は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分は、上記正極で例示した材料から選択できる。
負極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
負極活物質としては、公知の負極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。負極活物質としては、例えば、金属Li;Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;LiTi12、LiTiO2、TiNb等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。これらの材料の中でも、黒鉛及び非黒鉛質炭素が好ましい。負極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、エックス線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。安定した物性の材料を入手できるという観点で、人造黒鉛が好ましい。
「非黒鉛質炭素」とは、充放電前又は放電状態においてエックス線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。非黒鉛質炭素としては、難黒鉛化性炭素や、易黒鉛化性炭素が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、例えば、樹脂由来の材料、石油ピッチまたは石油ピッチ由来の材料、石油コークスまたは石油コークス由来の材料、植物由来の材料、アルコール由来の材料等が挙げられる。
ここで、「放電状態」とは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオンが十分に放出されるように放電された状態を意味する。例えば、負極活物質として炭素材料を含む負極を作用極として、金属Liを対極として用いた単極電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態である。
「難黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.36nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。
「易黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.34nm以上0.36nm未満の炭素材料をいう。
負極活物質は、通常、粒子(粉体)である。負極活物質の平均粒径は、例えば、1nm以上100μm以下とすることができる。負極活物質が炭素材料、チタン含有酸化物又はポリリン酸化合物である場合、その平均粒径は、1μm以上100μm以下であってもよい。負極活物質が、Si、Sn、Si酸化物、又は、Sn酸化物等である場合、その平均粒径は、1nm以上1μm以下であってもよい。負極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、負極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。負極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、負極活物質層の電子伝導性が向上する。粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法及び分級方法は、例えば、上記正極で例示した方法から選択できる。負極活物質が金属Li等の金属である場合、負極活物質は、箔状であってもよい。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、90質量%以上98質量%以下がより好ましい。負極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
<セパレータ>
セパレータは、公知のセパレータの中から適宜選択できる。セパレータとして、例えば、基材層のみからなるセパレータ、基材層の一方の面又は双方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を使用することができる。セパレータの基材層の形状としては、例えば、織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの形状の中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。セパレータの基材層の材料としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータの基材層として、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
耐熱層に含まれる耐熱粒子は、1気圧の空気雰囲気下で室温から500℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものが好ましく、室温から800℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものがさらに好ましい。質量減少が所定以下である材料として無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、チタン酸バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、非水電解質蓄電素子の安全性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はアルミノケイ酸塩が好ましい。
セパレータの空孔率は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電性能の観点から20体積%以上が好ましい。ここで、「空孔率」とは、体積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。
セパレータとして、ポリマーと非水電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。ポリマーとして、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。ポリマーゲルを用いると、漏液を抑制する効果がある。セパレータとして、上述したような多孔質樹脂フィルム又は不織布等とポリマーゲルを併用してもよい。
<非水電解質>
非水電解質としては、公知の非水電解質の中から適宜選択できる。非水電解質には、非水電解液を用いてもよい。非水電解液は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩とを含む。
非水溶媒としては、公知の非水溶媒の中から適宜選択できる。非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換されたものを用いてもよい。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でもECが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でもEMCが好ましい。
非水溶媒として、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートを用いることで、電解質塩の解離を促進して非水電解液のイオン伝導度を向上させることができる。鎖状カーボネートを用いることで、非水電解液の粘度を低く抑えることができる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比率(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から50:50の範囲とすることが好ましい。
電解質塩としては、公知の電解質塩から適宜選択できる。電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等が挙げられる。これらの中でもリチウム塩が好ましい。
リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
非水電解液における電解質塩の含有量は、20℃1気圧下において、0.1mol/dm以上2.5mol/dm以下であると好ましく、0.3mol/dm以上2.0mol/dm以下であるとより好ましく、0.5mol/dm以上1.7mol/dm以下であるとさらに好ましく、0.7mol/dm以上1.5mol/dm以下であると特に好ましい。電解質塩の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解液のイオン伝導度を高めることができる。
非水電解液は、非水溶媒と電解質塩以外に、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)等のハロゲン化炭酸エステル;リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸塩;リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等のイミド塩;ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、1,3-プロペンスルトン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,4-ブテンスルトン、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
非水電解液に含まれる添加剤の含有量は、非水電解液全体の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であると好ましく、0.1質量%以上7質量%以下であるとより好ましく、0.2質量%以上5質量%以下であるとさらに好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であると特に好ましい。添加剤の含有量を上記の範囲とすることで、高温保存後の容量維持性能又はサイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
非水電解質には、固体電解質を用いてもよく、非水電解液と固体電解質とを併用してもよい。
固体電解質としては、リチウム、ナトリウム、カルシウム等のイオン伝導性を有し、常温(例えば15℃から25℃)において固体である任意の材料から選択できる。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、及び窒化物固体電解質、ポリマー固体電解質等が挙げられる。
硫化物固体電解質としては、リチウムイオン二次電池の場合、例えば、LiS-P、LiI-LiS-P、Li10Ge-P12等が挙げられる。
本実施形態の非水電解質蓄電素子の形状については特に限定されるものではなく、例えば、円筒型電池、角型電池、扁平型電池、コイン型電池、ボタン型電池等が挙げられる。
図1に角型電池の一例としての非水電解質蓄電素子1を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する電極体2が角型の容器3に収納される。正極は正極リード41を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極は負極リード51を介して負極端子5と電気的に接続されている。
[蓄電装置]
本実施形態の非水電解質蓄電素子は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の非水電解質蓄電素子を集合して構成した蓄電ユニット(バッテリーモジュール)として搭載することができる。この場合、蓄電ユニットに含まれる少なくとも一つの非水電解質蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されていればよい。
図2に、電気的に接続された二以上の非水電解質蓄電素子1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、二以上の非水電解質蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、二以上の蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)等を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、一以上の非水電解質蓄電素子の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
[非水電解質蓄電素子の製造方法]
本実施形態の非水電解質蓄電素子の製造方法は、公知の方法から適宜選択できる。当該製造方法は、例えば、電極体を準備することと、非水電解質を準備することと、電極体及び非水電解質を容器に収容することと、を備える。電極体を準備することは、正極及び負極を準備することと、セパレータを介して正極及び負極を積層又は巻回することにより電極体を形成することとを備える。
非水電解質を容器に収容することは、公知の方法から適宜選択できる。例えば、非水電解質に非水電解液を用いる場合、容器に形成された注入口から非水電解液を注入した後、注入口を封止すればよい。
[その他の実施形態]
尚、本発明の非水電解質蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
上記実施形態では、非水電解質蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、非水電解質蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明は、種々の二次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタにも適用できる。
上記実施形態では、正極及び負極がセパレータを介して積層された電極体について説明したが、電極体は、セパレータを備えなくてもよい。例えば、正極又は負極の活物質層上に導電性を有さない層が形成された状態で、正極及び負極が直接接してもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
(正極の作製)
正極基材として、表面を粗面化(エッチング処理)したアルミニウム箔(冠業電子社製)を用いた。上記正極基材のBET比表面積は0.28m/gであった。
炭素被覆正極活物質を以下の手順によって調製した。
水酸化リチウム一水和物、リン酸水素二アンモニウム及び硫酸鉄七水和物を、Li:Fe:Pのモル比が3:1:1になるように量り取り、それらをイオン交換水中で混合した溶液を調製した。次に、この溶液をポリテトラフルオロエチレン製の容器に移し、これを耐圧性の水熱反応容器に設置した。水熱反応容器内を窒素ガスで十分に置換して密閉した後、170℃で15時間加熱することにより水熱合成を行った。水熱合成反応終了後、室温まで自然放冷して得られた生成物を、イオン交換水で十分に洗浄した後に、120℃で6時間の減圧乾燥を行うことによってリン酸鉄リチウム(LFP)の正極活物質を得た。
その後、上記正極活物質を被覆する炭素被覆層を形成すべく、上記正極活物質の粉末と、炭素源であるポリビニルアルコールとをイオン交換水中で混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いてビーズミル処理を10時間行い、湿式粉砕した。なお、正極活物質粉末とポリビニルアルコールの混合比は、炭素被覆正極活物質に占める炭素被覆層の割合が1.4質量%になるように調整した。正極活物質粉末及びポリビニルアルコールの混合物をスプレードライヤーによって噴霧乾燥することによって、造粒された乾燥粉末を得た。最終工程として、この乾燥粉末を管状炉にて、窒素ガス流通下、720℃で2時間加熱することにより、炭素被覆正極活物質を得た。
上述のように得た炭素被覆正極活物質のBET比表面積は13.0m/gであった。また、炭素被覆正極活物質の平均一次粒子径は0.2μmであった。なお、発明者等の知見によれば、初期充放電の前に測定されたBET比表面積は、初期充放電後に測定されるBET比表面積と実質的に差異がないため、本実施例においては初期充放電の前に測定されたBET比表面積を採用することとした。
N-メチルピロリドン(NMP)を分散媒とし、上記炭素被覆正極活物質、導電剤であるアセチレンブラック(AB)、及びバインダであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を固形分換算で90:5:5の質量比率で含有する正極合剤ペーストを作製した。上記正極基材の両面に、上記正極合剤ペーストを直接塗布し、乾燥後プレスした。これにより、上記正極基材の両面に正極活物質層が積層された正極を得た。
(負極の作製)
負極活物質である人造黒鉛及び天然黒鉛(Gr)、バインダであるスチレン-ブタジエンゴム(SBR)、増粘剤であるカルボキシルメチルセルロース(CMC)並びに分散媒である水を混合した負極合剤ペーストを調製した。なお、Gr、SBR及びCMCの質量比率は97:2:1(固形分換算)とした。負極基材である銅箔の両面に負極合剤ペーストを塗布し、乾燥した。その後、ロールプレスを行い、負極を得た。
(非水電解質の調製)
EC、DMC、及びEMCを体積比30:35:35の割合で混合した混合溶媒に、電解質塩としてLiPFを0.9mol/dmの濃度で溶解させ、添加剤としてVCを0.3質量%加えた溶液を調製した。上記溶液を非水電解質として得た。
(非水電解質蓄電素子の作製)
以下の手順により、アルミニウム製の角型の容器に封入された非水電解質蓄電素子(非水電解質二次電池)を作製した。最初に、上述の正極と負極とをポリオレフィン製多孔質樹脂フィルムセパレータを介して巻回することで電極体を作製した。そして、上記電極体の正極及び負極にそれぞれリードを溶接した後、各リードをそれぞれ角型の容器の蓋に設けられた正極端子及び負極端子に溶接した。さらに、電極体及びリードを角型の容器の本体に収納し、蓋を角型の容器の本体にレーザー溶接した。その後、上記非水電解質の全量の77%を、角型の容器の注液口から注入し、充電電流0.2Cで1時間予備充電を行った。予備充電後、角型の容器の注液口から残りの上記非水電解質を注入し、レーザー溶接により封口することによって実施例1の非水電解質蓄電素子を得た。
[実施例2から4、比較例1から3及び参考例1、2]
実施例2から4及び比較例1から3については、正極基材のBET比表面積、正極活物質のBET比表面積、炭素被覆正極活物質のBET比表面積、及び炭素被覆正極活物質の平均一次粒子径を表1に示す通りとしたことを除き、実施例1と同様の手順によって非水電解質蓄電素子を得た。参考例1、2については、正極活物質をLi1.29MeO(Li/Me比が1.29であり、MeはNi、Co及びMnを含む遷移金属元素であり、かつNi:Co:Mn=27:27:46である)とし、正極活物質を炭素被覆層で被覆せず、かつ正極基材のBET比表面積、正極活物質のBET比表面積及び正極活物質の平均一次粒子径を表1に示す通りとしたことを除き、実施例1と同様の手順によって非水電解質蓄電素子を得た。なお、実施例1から4及び比較例1から3における正極基材のBET比表面積、正極活物質のBET比表面積及び炭素被覆正極活物質のBET比表面積、及び炭素被覆正極活物質の平均一次粒子径は以下の方法によって調整した。
正極基材のBET比表面積は、粗面化のためのエッチング処理時間等の異なるアルミニウム箔を用いることによって調整した。
正極活物質のBET比表面積は、上述した炭素被覆正極活物質の調製におけるビーズミル処理の時間を変更することによって調整した。
炭素被覆正極活物質のBET比表面積は、上述した炭素被覆正極活物質の調製における最終工程の加熱温度およびビーズミル処理の時間を変更することによって調整した。
炭素被覆正極活物質の平均一次粒子径は、上述した炭素被覆正極活物質の調製における水熱合成の加熱温度及び加熱時間を変更することによって調整した。
(初期充放電)
得られた各非水電解質蓄電素子について、25℃の下、以下の要領にて初期充放電を行った。充電電流0.2C、充電終止電圧3.5Vとして定電流定電圧充電を行った。充電の終了条件は、充電電流が0.01Cとなるまでとした。その後、10分間の休止時間を設けた。その後、放電電流0.2C、放電終止電圧2.0Vとして定電流放電を行った。
(初期の容量確認試験)
次いで、各非水電解質蓄電素子について、25℃の下、以下の要領で初期の容量確認試験を行った。充電電流1.0C、充電終止電圧3.5Vとして定電流定電圧充電を行った。充電の終了条件は、充電電流が0.01Cとなるまでとした。その後、10分間の休止期間を設けた。その後、放電電流1.0C、放電終止電圧2.0Vとして定電流放電を行った。このときの放電容量を「初期の放電容量」とした。初期の放電容量を基準とした満充電状態をSOC(充電状態、State Of Charge)100%とした。
(初期の出力確認試験)
上記初期の容量確認試験後の各非水電解質蓄電素子について、25℃の恒温槽中で、SOC50%となるまで0.2Cの充電電流で定電流充電した。充電の終了条件は、総充電時間が2.5時間になるまでとした。次に、0.2C、0.5C及び1.0Cの放電電流で60秒間放電させた。各放電の終了後、10分間の休止期間を設けた後に、0.2Cの充電電流でSOCを50%になるまで補充電を行った。各放電開始10秒後の電圧を縦軸とし、放電電流を横軸としてプロットして得た電流-電圧特性のグラフから、下限電圧を2.0VとしてIV法により10秒目の出力[W]を求め、25℃初期出力とした。結果を表1に示す。
Figure 2024065778000002
上記表1に示されるように、正極基材のBET比表面積が0.10m/g未満の比較例1は、初期出力が1.0W未満である。また、炭素被覆正極活物質のBET比表面積に対する正極活物質のBET比表面積の比が0.70未満の比較例2及び比較例3も初期出力が1.0W未満である。なお、参考例1及び参考例2においても、正極基材のBET比表面積が0.10m/g未満の場合に初期出力が小さくなることが確認された。これに対し、正極基材のBET比表面積が0.10m/g以上かつ炭素被覆正極活物質のBET比表面積に対する正極活物質のBET比表面積の比が0.70以上の実施例1から実施例4は初期出力が1.0W以上である。実施例1から実施例4においては、正極と正極活物質層との密着性が向上するとともに正極活物質と非水電解質との接触面積が増大することによって、出力性能が高くなったものと考えられる。
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車などの電源として使用される非水電解質蓄電素子などに適用できる。
1 非水電解質蓄電素子
2 電極体
3 容器
4 正極端子
41 正極リード
5 負極端子
51 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (4)

  1. 基材と、上記基材に積層され炭素被覆正極活物質を含む正極活物質層とを有し、
    上記炭素被覆正極活物質が、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物を含有する正極活物質と、炭素元素を含み上記正極活物質の少なくとも一部を被覆する被覆層とを有し、
    上記炭素被覆正極活物質のBET比表面積に対する上記正極活物質のBET比表面積の比が0.70以上であり、
    上記基材のBET比表面積が0.10m/g以上である正極。
  2. 上記炭素被覆正極活物質の平均一次粒子径が0.4μm以下である請求項1に記載の正極。
  3. 上記基材がアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、かつ上記正極活物質層が上記基材に直接積層されている請求項1又は請求項2に記載の正極。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の正極を備える非水電解質蓄電素子。

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