JP2024065727A - 積層体およびそれを用いたディスプレイのカバーウィンドウ - Google Patents

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斉二郎 福田
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Abstract

【課題】表面弾性率や表面硬度が高く、かつ耐屈曲性にも優れる、カバーウィンドウ等の部材として好適な積層体を提供する。【解決手段】第1樹脂層と、前記第1樹脂層の一方の主面側に設けられた第2樹脂層と、を備えた積層体であって、前記第1樹脂層は、樹脂成分と、前記樹脂成分に対して15~65質量%の繊維状アルミナナノフィラーとを含み、前記第2樹脂層は、樹脂成分と、前記樹脂成分に対して0~5質量%の繊維状アルミナナノフィラーとを含み、前記繊維状アルミナナノフィラーは、平均繊維径が4~30nmで、かつ平均繊維長が200~4,000nmの形状を有し、前記第1樹脂層においてナノインデンターを用いISO14577に準拠して測定される表面弾性率が6.5GPa以上である、積層体とする。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体に関し、より詳細には、フォルダブルデバイス等のディスプレイのカバーウィンドウとして好適に使用できる積層体、およびそれを用いたディスプレイのカバーウィンドウに関する。
フォルダブルデバイスは、スマートフォンやタブレット等の携帯情報端末の携帯性をさらに高めるため、最近注目を集めている。このようなフォルダブルデバイスを構成するフレキシブルディスプレイに用いられるカバーウィンドウ等の部材としては、透明性に加えて、柔軟性を有することが要求される。具体的には、2.5mm程度の小さな屈曲半径で180°の折り曲げを実現できる極めて高い柔軟性を有する部材が求められている。
このような部材として、柔軟性を有する有機ポリマーからなる材料が種々検討されている。例えば、透明性や耐熱性の観点から、柔軟性を有する有機ポリマーとして、ポリイミド樹脂を含むフィルムが検討され提案されており、従来の剛直なガラスに代わる材料として期待されている。
ポリイミドは、柔軟性を有する材料でありながら耐熱性、透明性、機械的強度といった物性面にも優れる材料であるものの、カバーウィンドウとして求められる性能(例えば、耐熱性、透明性、機械的強度、表面硬度、耐屈曲性)としては不十分であった。そのため、樹脂に無機酸化物を添加した複合材料も検討されており、工業的にも実用化されるようになってきている。このような材料として、例えば、特許文献1には、フレキシブルディスプレイ用のフィルムとして、特定の分子構造を有したポリイミド樹脂とシリカ微粒子とを含むポリイミド樹脂組成物が提案されている。また、特許文献2には、ポリアミドイミド樹脂に繊維状のアルミナナノフィラーを配合することが提案されている。
また、フォルダブルデバイスのディスプレイには、開いた状態で、折り畳んだ状態の痕(屈曲痕)が残らないことや、指触やタッチペンによる操作によって圧迫痕が生じないように高弾性であることも要求される。このような要求に対して、例えば特許文献3には、無機フィラーを含まないポリイミド樹脂フィルムとアルミナフィラーを含むポリイミド樹脂フィルムとハードコート層とを積層した3層構造のカバーウィンドウ部材が提案されている。
国際公開第2016/060213号パンフレット 国際公開第2022/221118号パンフレット 特開2021-169178号公報
しかしながら、高耐屈曲性と高弾性とはトレードオフの関係にあるため、耐屈曲性を重視して柔軟性に優れるフィルムとすると表面弾性率や表面硬度が低下し、指触やタッチペンによる操作に対する耐性が不足するといった問題があった。したがって、本発明の主たる目的は、表面弾性率や表面硬度が高く、かつ耐屈曲性にも優れる、カバーウィンドウ等の部材として好適な積層体を提供することである。また、本発明の別の目的は、当該積層体を用いたディスプレイのカバーウィンドウを提供することである。
本発明者らは、樹脂成分に繊維状のアルミナナノフィラーを配合することで、表面弾性率や表面硬度を向上させる優れる効果があること、その一方で、繊維状アルミナナノフィラーの配合量が一定以上になると、フィルム成形時に繊維状アルミナナノフィラーが製膜方向に配向することで引張弾性率に異方性が生じ、折り曲げ方向によっては耐屈曲性が不十分になることに着目した。そして、本発明者らが更なる検討を行ったところ、繊維状アルミナナノフィラーを一方の層に局在化させた2層の積層構造とすることにより、表面弾性率や表面硬度が高く、かつ等方的な耐屈曲性を実現できるフィルムが得られる、との知見を得た。本発明は係る知見に基づいて完成したものである。本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 第1樹脂層と、前記第1樹脂層の一方の主面側に設けられた第2樹脂層と、を備えた積層体であって、
前記第1樹脂層は、樹脂成分と、前記樹脂成分に対して15~65質量%の繊維状アルミナナノフィラーとを含み、
前記第2樹脂層は、樹脂成分と、前記樹脂成分に対して0~5質量%の繊維状アルミナナノフィラーをと含み、
前記繊維状アルミナナノフィラーは、平均繊維径が4~30nmで、かつ平均繊維長が200~4,000nmの形状を有し、
前記第1樹脂層において、ナノインデンターを用いてISO14577に準拠して測定される表面弾性率が、6.5GPa以上である、積層体。
[2] 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層の厚さの総和に対して、前記第2樹脂層の厚さが10~80%である、[1]に記載の積層体。
[3] 前記第1樹脂層の製膜方向をMD方向とし、前記MD方向と直交する方向をTD方向とした場合に、MD方向の積層体弾性率とTD方向の積層体弾性率との差が2GPa以上である、[1]または[2]に記載の積層体。
[4] 積層体全体の厚さが10~250μmである、[1]~[3]のいずれか一項に記載の積層体。
[5] 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層の樹脂成分の少なくとも一方が、ポリイミド、ポリアミド、およびポリアミドイミドからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載の積層体。
[6] [1]~[5]のいずれか一項に記載の積層体を用いたディスプレイのカバーウィンドウ。
[7] 前記積層体の第1樹脂層が表面側となるように配置されている、[6]に記載のカバーカバーウィンドウ。
本発明によれば、表面弾性率や表面硬度が高く、かつ耐屈曲性にも優れる、カバーウィンドウ等の部材として好適な積層体を提供することができる。
本発明の一実施形態による積層体の断面図である。 本発明の別の実施形態による積層体の断面図である。 本発明の別の実施形態による積層体の断面図である。
[積層体]
以下、図を参照しながら、本発明の積層体を説明する。なお、積層体は、互いに直交する長手方向X、短手方向Yおよび厚さ方向Zを有し、長手方向とは製膜方向(例えば、キャスティング等によって製膜する場合はキャスト方向)である。また、積層体の断面は任意切断面であるが、図面では、便宜上、積層体の断面が長手方向Xと平行となるように記載している。
図1は、本発明の一実施形態による積層体の断面図である。本発明の積層体1は、第1樹脂層10と、第1樹脂層10の一方の主面T1側に設けられた第2樹脂層20と、を備えている。また、本発明の別の実施形態による積層体は、図2に示すように、第1樹脂層10の他方の主面T2側に、ハードコート層等の保護層30が設けられている。また、保護層30は、図3に示すように、第2樹脂層20の一方の主面U1側に設けられていてもよい。なお、図示はしないが、図2および図3に示した実施形態による積層体は、保護層30(ハードコート層)側の表面に、さらに指紋付着防止層等の機能層が設けられていてもよい。以下、本発明の積層体を構成する各層について説明する。
<第1樹脂層>
第1樹脂層は、耐屈曲性、透明性に加えて表面弾性率や表面硬度を担う機能を有する層であり、樹脂成分と繊維状アルミナナノフィラーとを必須成分として含む。
第1樹脂層を構成する樹脂成分としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂といった樹脂を用いることができるが、イミド構造および/またはアミド構造を有する樹脂を好適に使用することができる。イミド構造とアミド構造を有する樹脂としては、イミド構造を含む構成単位とアミド構造を含む構成単位が共重合された構造を有するポリアミドイミド樹脂、イミド構造を含む構成単位からなるポリイミド樹脂、アミド構造を含む構成単位からなるポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂およびポリアミド樹脂の混合物、これら樹脂の混合物が挙げられ、アミド構造、イミド構造およびその他の骨格構造の選択や比率から、剛直性や柔軟性を適宜調整することができる。そして、これらの樹脂成分が含まれる樹脂組成物中に、さらに後述する繊維状アルミナナノフィラーが特定の繊維寸法状態で分散されていることで第1樹脂層は、優れた耐屈曲性、透明性に加えて、高い表面弾性率や表面硬度を有することができる。
ポリイミド樹脂は、モノマー成分であるジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物との反応、ポリアミド樹脂は、ジアミン化合物とジカルボン酸化合物との反応、ポリアミドイミド樹脂は、ジアミン化合物、テトラカルボン酸化合物およびジカルボン酸化合物との反応等の公知の合成方法により得られる。例えば、ポリアミドイミド樹脂の合成では、ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物とを反応させてイミド前駆体構造を有する重合体を合成し、次いで該重合体とジカルボン酸化合物とを反応させてイミド前駆体構造とアミド構造を有する共重合体を合成した後、該共重合体中のイミド前駆体構造を閉環反応(イミド化)させることで得られる。これら樹脂成分には、用いるモノマー成分の構造として、脂肪族環、および芳香族環同士をスルホニル基またはフッ素原子で置換されていても良いアルキレン基で連結した構造からなる群から選択される少なくとも1つの構造を含むことが好ましい。
イミド構造および/またはアミド構造を有する樹脂の合成に用いるジアミン化合物としては、例えば、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミンおよびこれらの混合物が挙げられる。なお、本明細書において「脂肪族ジアミン」とは、アミノ基が脂肪族基に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に芳香環やその他の置換基を含んでいてもよい。また、「芳香族ジアミン」とは、アミノ基が芳香環に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に脂肪族基またはその他の置換基を含んでいてもよい。芳香環は単環でも縮合環でもよく、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環およびフルオレン環等が例示されるが、これらに限定されるわけではない。これらのなかでも、好ましくはベンゼン環である。これらジアミン化合物は単独または二種以上組合せて使用できる。
脂肪族ジアミンの具体例としては、ヘキサメチレンジアミン等の非環式脂肪族ジアミン;1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ノルボルナンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン等の環式脂肪族ジアミン等が挙げられる。これらは単独でまたは二種以上を組合せて使用できる。
芳香族ジアミンの具体例としては、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-トルエンジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン等の、芳香環を1つ有する芳香族ジアミン;4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’-ジメチルベンジジン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-アミノ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-アミノ-3-フルオロフェニル)フルオレン等の、芳香環を2つ以上有する芳香族ジアミンが挙げられる。これらは単独でまたは二種以上を組合せて使用できる。
上記したジアミン化合物のなかでも、積層体としての無色透明性や弾性を向上する観点から、ビフェニル構造を有する芳香族ジアミンからなる群から選ばれる1種以上、具体的には、2,2’-ジメチルベンジジン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニルおよび4,4’-ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましく、さらに無色透明性を向上しやすい観点から、ビフェニル構造を有し、芳香族環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基から選ばれる置換基で置換したジアミン、具体的には、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)を用いることがより好ましい。
ポリアミドイミド樹脂の合成に用いるテトラカルボン酸化合物としては、テトラカルボン酸またはテトラカルボン酸誘導体があり、テトラカルボン酸誘導体は、テトラカルボン酸の無水物、好ましくは二無水物、酸クロリド等が挙げられる。テトラカルボン酸化合物としては、例えば芳香族テトラカルボン酸およびその無水物、好ましくはその二無水物等の芳香族テトラカルボン酸化合物;脂肪族テトラカルボン酸化合物およびその無水物、好ましくはその二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸化合物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸化合物は単独または二種以上組合せて使用できる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、非縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物、単環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物および縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。非縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,4-オキシジフタル酸二無水物(aODPA)、4,4‘-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸二無水物(BPADA)3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(sBPDA)、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(aBPDA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、1,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’-(p-フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物および4,4’-(m-フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物等が挙げられる。また、単環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、環式または非環式の脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物とは、脂環式炭化水素構造を有するテトラカルボン酸二無水物であり、その具体例としては、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等のシクロアルカンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物(HBPDA)およびこれらの位置異性体等が挙げられる。これらは単独または二種以上を組合せて使用できる。非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、および1,2,3,4-ペンタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらは単独または二種以上を組合せて使用できる。また、環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物および非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物を組合せて用いてもよい。
上記したテトラカルボン酸化合物のなかでも、フィルムとしての耐屈曲性や光学特性を向上する観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物の芳香族環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基から選ばれる置換基で置換した芳香族テトラカルボン酸二無水物、具体的には、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、ビフェニル構造または脂環式炭化水素構造を有するテトラカルボン酸二無水物、具体的には、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(sBPDA)、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、ジシクロヘキシル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物(HBDA)、エーテル結合を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物、具体的には、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,4-オキシジフタル酸二無水物(aODPA)を用いることが好ましい。
イミド構造および/またはアミド構造を有する樹脂の合成に用いるジカルボン酸化合物としては、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体があり、ジカルボン酸誘導体としては、例えば該ジカルボン酸の酸クロリドやエステル体などが挙げられる。ジカルボン酸化合物は単独または二種以上組合せて使用できる。
ジカルボン酸化合物の具体例としては、例えば、1,3-シクロブタンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’-オキシビス安息香酸(OBBC)、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、3,3’-ビフェニルジカルボン酸、2つのシクロヘキサンカルボン酸または2つの安息香酸が単結合、-CH-、-C(CH-、-C(CF-、-SO2-もしくはフェニレン基で連結された化合物等の脂環式ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸およびそれらの誘導体(例えば酸クロリド、酸無水物);炭素数8以下である鎖式炭化水素のジカルボン酸化合物等の脂肪族ジカルボン酸およびそれらの誘導体(例えば酸クロリド、エステル体)等が挙げられる。これらのジカルボン酸化合物は単独または二種以上を組合せて使用できる。
上記したジカルボン酸化合物のなかでも、フィルムとしての破断点伸び率や引張弾性率を向上させる観点から、テレフタル酸または4,4’-オキシビス安息香酸またはその誘導体、特に、テレフタル酸クロリド(TPCと表記することがある)または4,4’-オキシビス(ベンゾイルクロリド)(OBBCと表記することがある)を用いることが好ましい。
ポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂の合成におけるイミド前駆体の閉環反応(イミド化)は、水と共沸する共沸溶媒(例えば、トルエン、キシレン等)を添加して加熱する熱イミド化、または縮合剤および反応促進剤を用いる化学イミド化、のいずれも用いることができるが、無色透明性が維持されることから、化学イミド化が好ましい。
化学イミド化に用いる反応促進剤としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルピペリジン、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジン、3-エチルピリジン、3,5-ジメチルピリジン、3,5-ジエチルピリジン、イソキノリン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾールが挙げられる。これらの反応促進剤は、1種であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
化学イミド化に用いる縮合剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸等の酸無水物、亜リン酸エステル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸エステル等が挙げられる。これらの縮合剤は、1種であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
イミド構造および/またはアミド構造を有する樹脂の合成に用いる有機溶媒は、反応に不活性な有機溶媒であれば、特に限定されない。例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、m-クレゾール、γ-ブチロラクトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの有機溶媒は1種でも、2種以上を組み合わせでもよい。
イミド構造および/またはアミド構造を有する樹脂の合成の反応条件は、10~50℃で1~27時間以下とすることができ、無色透明性維持の点から、窒素雰囲気下で合成することが好ましい。
イミド構造および/またはアミド構造を有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、引張弾性率や破断点伸び率が向上する観点から、50,000~1,000,000の範囲であることが好ましく、80,000~800,000の範囲であることがより好ましく、110,000~600,000の範囲であることがさらに好ましい。なお、重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
上記した第1樹脂層に含まれる繊維状アルミナナノフィラーは、上述した樹脂成分中において、平均繊維径が4~30nm、かつ平均繊維長が200~4,000nmの状態で分散されている。本発明においては、第1樹脂層を構成する樹脂成分に対して15~65質量%の繊維状アルミナナノフィラーを含む。繊維状アルミナナノフィラーを上記したような配合量で含むことにより、第1樹脂層の表面弾性率や表面硬度を向上させることができる。具体的には、第1樹脂層においてナノインデンターを用いてISO14577に準拠して測定される表面弾性率を6GPa以上とすることができる。なお、本明細書において、ナノインデンターを用いて測定される表面弾性率とは、試料表面に圧子を荷重30mNにて押し込んだときの、圧子への負荷荷重と押し込み深さとを負荷時、除荷時にわたり連続的に測定し、得られた負荷荷重-押し込み深さ曲線から求められる弾性率をいい、試験数n=5にて測定を行い、その平均値を算出した値をいうものとする。また、第1樹脂層の表面に、上記したハードコート層等の他の層が設けられている場合においては、当該他の層を除去し第1樹脂層の表面を露出させて表面弾性率を測定してもよいし、当該他の層を除去せずに圧子の先端が第1樹脂層の表面に到達するように押し込んで表面弾性率を測定してもよい。第1樹脂層のナノインデンターを用いて測定される表面弾性率は、好ましくは6.5~9GPaである。
上記したような形状を有する繊維状アルミナナノフィラーは、球状や不定形のアルミナフィラーに比べて、光透過性を損なうことなく優れた機械的強度(表面弾性率や表面硬度)を付与することができる。好ましい繊維状アルミナナノフィラーの配合量は、樹脂成分に対して20~60質量%である。
繊維状アルミナナノフィラーは、平均繊維径が4~30nmかつ平均繊維長が200~4,000nmの状態、好ましくは平均繊維径が7~25nmかつ平均繊維長が500~3,000nmの状態、より好ましくは平均繊維径が11~20nmかつ平均繊維長が700~2,000nmの状態で分散している。繊維状アルミナナノフィラーが、樹脂組成物中で上述した範囲の平均繊維径と平均繊維長の状態で分散されていれば、この樹脂組成物からなるフィルムは、着色、濁りが抑制され、柔軟性を維持しつつ高弾性化を実現することができる。
繊維状アルミナナノフィラーの分散状態での「平均繊維径」および「平均繊維長」は、樹脂組成物をメチルイソブチルケトン(MIBK)にて一万倍に希釈し、カバーガラス(カバーグラストロフィー、松浪硝子社製)上に1滴滴下し、50℃で乾燥した後、電子顕微鏡画像(例えば、日立ハイテク製FE-SEMを用いた10,000倍観察画像)にて観察することで測定される。また、測定対象の繊維状アルミナナノフィラーは、電子顕微鏡画像にて一本の繊維状として視認可能であれば、単繊維または複数の単繊維が凝集した繊維束のいずれの状態であってもよく、電子顕微鏡画像中で任意に選択した50本の繊維状アルミナナノフィラーの短辺方向の直径の平均測長値を「平均繊維径」とし、長辺方向の平均測長値を「平均繊維長」とする。
繊維状アルミナナノフィラーは、上述した樹脂成分に、粉体または後述の分散液(ゾル)の状態で配合、撹拌し、必要に応じて混練することで、樹脂組成物中における分散状態、即ち「平均繊維径」および「平均繊維長」を調整する。例えば、ディゾルバーやバタフライミキサー等の撹拌機、ロールミルやビーズミル等の混練機等を用いて撹拌ないし混練を行うことができるが、その際の撹拌機/混練機等の回転速度、撹拌羽/混練装置の形状、撹拌/混練時間、撹拌/混練温度、ビーズ充填率やロール間隔等、種々の条件により調整することができる。
繊維状アルミナナノフィラーは、表面処理を施すことや、有機溶媒等に分散した分散液(ゾル)として用いることができる。表面処理することや分散液として配合することで、分散状態を安定させることができる。分散液(ゾル)中にて、繊維状アルミナナノフィラーの分散状態を、第1樹脂層中での繊維状アルミナナノフィラーの分散状態、即ち「平均繊維径」および「平均繊維長」と同じ状態になるよう調整した分散液を用いればよい。
繊維状アルミナナノフィラーの表面処理や分散液とする方法は特に限定されず、例えば、シラン系、チタネート系、アルミネート系およびジルコアルミネート系等のカップリング剤等による表面処理方法や、特開2008-31010号公報に開示される有機スルホン酸処理された分散液の製造方法を用いることができる。
第1樹脂層には、樹脂成分と繊維状アルミナナノフィラーの他に、必要に応じてさらに添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、製膜性や脱泡性を向上させる界面活性剤等が挙げられる。
また、樹脂成分として、本発明の効果を損なわない範囲において、上記した樹脂成分以外のその他の樹脂を含有していても良い。その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ガラス- エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリノルボルネン等のポリシクロオレフィン等が挙げられる。
<第2樹脂層>
上述のとおり、所定量の繊維状アルミナナノフィラーを樹脂成分に配合することにより、樹脂層に透明性と機械的強度を付与できるものの、繊維状アルミナナノフィラーが一定以上の割合で含まれていると、その形状の特性上、第1樹脂層を形成する際(すなわち、樹脂組成物を用いて製膜する際)に繊維状アルミナナノフィラーが製膜方向に配向するため、MD方向(製膜方向)とTD方向(製膜方向と直交する方向)とで、耐屈曲性等に異方性が不可避的に生じてしまう。そのため、カバーウィンドウ部材に使用した場合に、折り曲げ軸がMD方向と直交する場合には、耐屈曲性が低下し、屈曲痕や破断が生じる場合がある。本発明の積層体においては、第1樹脂層の一方の主面側に、樹脂成分に対して0~5質量%の繊維状アルミナナノフフィラーを含む第2樹脂層を設けることにより、表面弾性率や表面硬度を高く維持しながら、耐屈曲性を改善したものである。
第2樹脂層を構成する樹脂成分としては、上記した第1樹脂層を構成する樹脂成分と同様の材料を使用することができる。なお、第1樹脂層および第2樹脂層を構成する各樹脂成分は同一であってもよいし異なっていてもよい。
第2樹脂層中の繊維状アルミナナノフィラーの配合量は、樹脂成分に対して0~3質量%であることが好ましく、0質量%であることがより好ましい。
本発明の積層体において、第2樹脂層の厚さは、第1樹脂層および第2樹脂層の厚さの総和に対して10~80%であることが好ましく、40~60%であることがより好ましい。第2樹脂層の厚さが小さすぎると、積層体とした場合の耐屈曲性が不十分となる場合があり、一方、第2樹脂層の厚さが大きすぎると、積層体の表面弾性率(表面硬度)が損なわれる場合がある。
本発明の積層体は、使用用途にもよるが、後述するようなフォルダブルデバイスのディスプレイのカバーウィンドウ部材として用いる場合は、全体の厚みが10~250μmであることが好ましく、50~150μmであることがより好ましい。
その場合、第1樹脂層の厚さは、1~200μmであることが好ましく、20~30μmであることがより好ましい。また、第2樹脂層の厚さは、9~50μmであることが好ましく、20~30μmであることがより好ましい。
本発明の積層体は、第1樹脂層の製膜方向をMD方向とし、前記MD方向と直交する方向をTD方向とした場合に、MD方向の積層体弾性率とTD方向の積層体弾性率との差が5GPa以下であることが好ましい。ここでの「積層体弾性率」とは、引っ張り試験機等を用いて測定された積層体の強度-伸度曲線から得られる弾性率をいうものとする。
本発明の積層体は、第1樹脂層を形成した後に、第1樹脂層の一方の主面側に第2樹脂層を形成してもよいし、第2樹脂層を形成した後に、その一方の表面に第1樹脂層を形成してもよいが、第2樹脂層を先に形成しておき、その後に第1樹脂層を形成した方が弾性率や表面硬度がより一層高い積層体とすることができる。
具体的には、第2樹脂層形成用の樹脂組成物(樹脂成分を溶解し得る溶剤を含むワニス)を公知の塗布手段により塗布した後、塗布膜を乾燥することにより第2樹脂層を形成し、続いて、第2樹脂層の表面に、第1樹脂層形成用の樹脂組成物(樹脂成分を溶解し得る溶剤を含むワニス)を公知の塗布手段により塗布した後、塗布膜を乾燥することにより第1樹脂層を形成することができる。溶剤としては、樹脂成分を溶解し得るものであれば特に制限なく使用することができる。
塗布手段としては、従来公知の手段を適用することがき、例えば、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、ブレードコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法、スプレーコート法、ナイフコート法、ダイコート法などが挙げられる。
[ディスプレイのカバーウィンドウ]
本発明のディスプレイのカバーウィンドウは、本発明の積層体からなり、各種ディスプレイの表面に位置するように配置して用いられる。その場合、積層体の第1樹脂層が表面側となるように配置されていることが好ましい。積層体の第2樹脂層が表面側となるように配置する場合と比較して耐屈曲性、表面弾性率および表面硬度がより一層向上する。
ディスプレイのカバーウィンドウは、公知の各種ディスプレイに用いることができ、用途は特に限定されるものではなく、従来薄い板ガラス等ガラス製品が用いられていたディスプレイのカバーウィンドウ等の代替品として用いることができる。本発明の積層体は、耐熱性、透明性に加えて、従来技術では達成できなかった、高弾性、表面硬度、耐屈曲性を兼ね備えるため、曲面に対応できるディスプレイ用の基材やカバーウィンドウ等の部材として好適に用いることができる。特に、折り畳み可能なフォルダブルデバイスに搭載されるディスプレイのカバーウィンドウとして特に好適に用いることができる。
本発明の積層体は、例えば、薄くて曲げられるフォルダブルタイプの有機ELディスプレイや、スマートフォンや腕時計型端末などの携帯端末、自動車内部の表示装置、腕時計などに使用するフレキシブルパネル等にも好適に用いることができる。また、液晶表示装置、有機EL表示装置等の画像表示装置用部材や、タッチパネル用部材、フレキシブルプリント基板、表面保護膜や基板材料等の太陽電池パネル用部材、光導波路用部材、その他半導体関連部材等にも適用することもできる。
ディスプレイのカバーウィンドウをディスプレイの表面に配置する方法としては、特に限定はされないが、例えば、接着層を介する方法等が挙げられる。接着層としては、ディスプレイ用表面材の接着に用いることができる従来公知の接着層を用いることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
[樹脂成分の準備]
撹拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた500mLの反応器に窒素を通過させながら、DMAc130gを充填し、TFMB32.27g(100.8mmol)を加えて溶解させた。次いで、このTFMBの溶液に6FDA2.558g(5.758mmol)、sBPDA2.541g(8.637mmol)を添加し、20℃で2時間撹拌して反応させて、イミド前駆体構造を有する重合体を含む溶液を得た。その後、この溶液にTPC17.54g(86.37mol)を添加し、液温を20℃に保ちながらで1時間撹拌して反応させて、イミド前駆体構造とアミド構造を有する共重合体を含む溶液を得た。
その後、ピリジン1.14gおよび無水酢酸3.00g、DMAc234gを投入して20~30℃で1時間撹拌し、さらに15~25℃で18時間撹拌し、ポリアミドイミド溶液を得た。さらに、DMAcを660g加えて均一になるまで撹拌した後、この溶液をメタノール4L入りの容器に徐々に投入して沈殿させた後、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、80℃で真空にて18時間乾燥させて48.9gの固形分粉末のポリアミドイミド(PAI)を得た。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は167,000であった。
撹拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた500mLの反応器に窒素を通過させながら、DMAc200gを充填し、TFMB15.00g(46.8mmol)を加えて溶解させた。次いで、このTFMBの溶液にOBBC13.55g(45.9mmol)を添加し、20℃で2時間撹拌して反応させて、ポリアミドを含む溶液を得た。得られたポリアミド(PA)のGPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は280,000であった。
撹拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた500mLの反応器に窒素を通過させながら、DMAc206gを充填し、TFMB15.00g(46.8mmol)を加えて溶解させた。次いで、このTFMBの溶液にODPA14.24g(45.9mmol)を添加し、20℃で2時間撹拌して反応させて、ポリイミド前駆体を含む溶液を得た。
その後、ピリジン13.49gおよび無水酢酸19.11g、DMAc300gを投入して20~30℃で1時間撹拌し、さらに15~25℃で18時間撹拌し、ポリイミド溶液を得た。この溶液をメタノール4L入りの容器に徐々に投入して沈殿させた後、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、80℃で真空にて18時間乾燥させて26.1gの固形分粉末のポリイミド(PI)を得た。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は126,000であった。
また、厚さ25μmのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人株式会社製)、テオネックス)を準備した。
[繊維状アルミナナノフィラーの準備]
平均繊維径が18.9nm、平均繊維長が1600nmの繊維状アルミナナノフィラーを濃度5%にてMIBKに分散させたスラリー(川研ファインケミカル株式会社製)を準備した。
[積層体の作製]
DMAc中にPAI、PA又はPIの粉体を溶解させた後、表1に示す配合量にて、繊維状アルミナナノフィラーを配合し分散、均一化して第1樹脂層形成用組成物を調製した。なお、表中の配合量は、不揮発性固形分の質量基準配合量である。
先ず、PAI、PA又はPIの粉体をDMAcに溶解させた第2樹脂層形成組成物を、ガラス板上にテーブルコーター(コーテック株式会社製 AFA-standard)を用いて、乾燥後の膜厚が表1の厚さとなるように塗布し、イナートガスオーブン(ヤマト科学株式会社製 INL-45N1)で250℃、1時間の条件で乾燥させて第2樹脂層を形成した。なお、実施例14では、厚さ25μmのポリエチレンナフタレートフィルムを第2樹脂層として用いた。
次いで、第2樹脂層の一方の表面に、上記の第1樹脂層形成用組成物をテーブルコーター(コーテック株式会社製、AFA-standard)を用いて、乾燥後の膜厚が表1の厚さとなるように塗布し、イナートガスオーブン(ヤマト科学株式会社製、INL-45N1)で250℃、1時間の条件で乾燥させて第1樹脂層を形成した。
その後、ガラス板から第2樹脂層を剥離することにより、第1樹脂層と第2樹脂層とからなる積層体を得た。
[引張弾性率の測定]
上記のようにして得られた各積層体について、第1樹脂層形成時の製膜方向(MD方向)とその直交方向(TD方向)との引張弾性率(積層体弾性率)の差を、引張試験機(株式会社島津製作所製、EZ-SX)を用いて、以下の条件で測定した。積層体弾性率は、得られた応力ひずみ線図の応力が5MPaから10MPaにおける傾きより求めた。
<試験条件>
サンプルサイズ:50mm×5mm
把持具間の距離:30mm
速度:1mm/分
測定回数:5回
[ナノインデンターによる表面弾性率の測定]
各積層体について、第1樹脂層の表面弾性率を、ナノインデンターを用いISO14577に準拠して測定した。具体的には、探針(圧子)を押し当てることで得られる変位-荷重ヒステリシス曲線を、測定装置付帯のソフトウェア(triboscan)で数値処理することで表面弾性率を測定し、5回の平均を測定値とした。
<測定装置および測定条件>
装置:ナノインデンター(株式会社エリオニクス製、ENT-2000)
測定方法:単一押し込み法
試験荷重:30mN
負荷時間:100000msec
保持時間:1000msec
除荷時間:100000msec
探針:ダイヤモンド製、Berkovich型(三角錐型)
[耐屈曲性試験]
各積層体について、卓上耐久試験機を用いて繰り返し折り曲げ試験を行い、耐屈曲性を評価した。具体的には、下記の測定条件にて、各積層体の積層体弾性率が大きな方向に対して折り曲げ軸が垂直になるような方向に180度繰り返し折り曲げ、屈曲部にクラックや白化等の外観不良がみられないかを、以下の基準により評価した。
<測定装置および測定条件>
装置:卓上型耐久試験機(ユアサシステム株式会社、Tension-Free(登録商標)Folding Clamshell-type)
試料片:10mm×100mm(長辺が高積層体弾性率方向に平行)
曲げ半径:1.5mm
曲げ速度:30cyc/min
曲げ回数:20万回
観測方法:光学顕微鏡
<評価基準>
○:折り曲げを20万回した後に、クラックや白化が確認されない
×:折り曲げを20万回した後に、クラックまたは白化が確認された
10 第1樹脂層
20 第2樹脂層
30 保護層

Claims (7)

  1. 第1樹脂層と、前記第1樹脂層の一方の主面側に設けられた第2樹脂層と、を備えた積層体であって、
    前記第1樹脂層は、樹脂成分と、前記樹脂成分に対して15~65質量%の繊維状アルミナナノフィラーとを含み、
    前記第2樹脂層は、樹脂成分と、前記樹脂成分に対して0~5質量%の繊維状アルミナナノフィラーとを含み、
    前記繊維状アルミナナノフィラーは、平均繊維径が4~30nmで、かつ平均繊維長が200~4,000nmの形状を有し、
    前記第1樹脂層において、ナノインデンターを用いてISO14577に準拠して測定される表面弾性率が、6.5GPa以上である、積層体。
  2. 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層の厚さの総和に対して、前記第2樹脂層の厚さが10~80%である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記第1樹脂層の製膜方向をMD方向とし、前記MD方向と直交する方向をTD方向とした場合に、MD方向の積層体弾性率とTD方向の積層体弾性率との差が2GPa以上である、請求項1に記載の積層体。
  4. 積層体全体の厚さが10~250μmである、請求項1に記載の積層体。
  5. 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層の樹脂成分の少なくとも一方が、ポリイミド、ポリアミド、およびポリアミドイミドからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含む、請求項1に記載の積層体。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の積層体を用いたディスプレイのカバーウィンドウ。
  7. 前記積層体の第1樹脂層が表面側となるように配置されている、請求項6に記載のカバーカバーウィンドウ。
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