JP2024062685A - 配線基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス基板へのダメージを抑制しつつ、安定的にガラス基板から支持体を剥離する。【解決手段】配線基板の製造方法は、互いに対向する第1面と第2面とを有するガラス基板の前記第2面側に第1支持体を設ける第1工程と、前記第1支持体が設けられたガラス基板にレーザを照射し、前記ガラス基板に第1改質部を形成する第2工程と、前記第1面側に第1導体層を形成する第3工程と、前記ガラス基板から前記第1支持体を剥離する際の起点を形成する第4工程と、前記起点を用いて前記ガラス基板から前記第1支持体を分離する第5工程と、前記第1改質部にエッチング処理を行い、前記ガラス基板に貫通孔を形成する第6工程と、を備える。【選択図】図9

Description

本発明は、配線基板の製造方法に関する。
電子機器の高機能化及び小型化が進んでいる。これに伴い、インターポーザのような、電子機器に搭載される多層配線基板にも、更なる高精度化が求められている。インターポーザは、コア材を貫通する貫通電極が設けられた多層配線基板である。インターポーザは、配線のデザインルールが互いに異なる集積回路(IC)チップ及びプリント基板のように、端子間距離が異なる部品を、貫通電極を介して中継する機能を有する。
近年、コア材にガラス基板を採用したガラスインターポーザが注目されている。ガラスインターポーザは、安価で大面積のガラス基板に貫通電極等を形成し、これを個片化することによって得られるため、製造コストが低い。一方、ガラス基板の厚さが100μm程度に薄くなると、ガラス基板には、製造中に割れ等の障害が発生しやすい。このような障害を防ぐために、ガラス基板を支持体で補強する方法が提案されている。
例えば、特許文献1では、ガラス基板に剥離層を介して支持体を接着し、配線の形成後に支持体を剥離除去する方法が記載されている。具体的には、まず、ガラス基板の第1面上に第1の配線を形成する。次に、第1の配線が形成されたガラス基板の第1の配線側を支持体でサポートする。そして、ガラス基板に対して、貫通孔形成の起点となるレーザ改質部を、第1面とは反対側の面から照射するレーザで形成する。次に、ガラス基板の第1面とは反対側の面から第1面に向けて、弗酸を用いたエッチングを施して、ガラス基板の薄板化を行いつつ貫通孔を形成する。次いで、貫通孔形成後に、貫通孔の内部に貫通電極を形成すると共に、ガラス基板の第1面とは反対側の面に第2の配線を形成して、貫通電極を介して第1の配線と第2の配線を接続する。そして、第2の配線の形成後に、ガラス基板から支持体を外す。このようにして、製造中におけるガラス基板の割れ等の障害が抑制される。
特許文献2では、支持体をガラス基板に積層する工程が記載されている。一方、特許文献2には、支持体をガラス基板から剥離する工程については記載されていない。
特許文献3では、支持体をガラス基板から剥離する工程が記載されている。一方、特許文献3には、支持体の剥離方法、及び剥離の際の懸念点等については記載されていない。
国際公開第2019/235617号 特許第7011215号公報 特許第6176253号公報
ガラス基板から支持体を剥離させる際には、ガラス基板に意図しない欠けや割れ等が発生する可能性がある。このため、ガラス基板を傷つけずに安定的に支持体を剥離することは、困難である。
本発明は、ガラス基板へのダメージを抑制しつつ、安定的にガラス基板から支持体を剥離し得る技術を提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、互いに対向する第1面と第2面とを有するガラス基板の前記第2面側に第1支持体を設ける第1工程と、前記第1支持体が設けられたガラス基板にレーザを照射し、前記ガラス基板に第1改質部を形成する第2工程と、前記第1面側に第1導体層を形成する第3工程と、前記ガラス基板から前記第1支持体を剥離する際の起点を形成する第4工程と、前記起点を用いて前記ガラス基板から前記第1支持体を分離する第5工程と、前記第1改質部にエッチング処理を行い、前記ガラス基板に貫通孔を形成する第6工程と、を備える配線基板の製造方法が提供される。
本発明の他の側面によると、前記第2工程において、前記ガラス基板の端部又は前記第1支持体の端部にレーザを照射し、第2改質部を形成することと、前記第4工程において、前記第2改質部にエッチング処理を行い、前記ガラス基板と前記第1支持体との間に溝を形成することで前記ガラス基板から前記第1支持体を分離する際の前記起点を形成することと、を更に含む上記側面に係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記ガラス基板又は前記第1支持体において、前記第2改質部が形成された部分は、前記第2改質部が形成されていない部分と比較してエッチングレートが高い上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記溝は、前記ガラス基板と前記第1支持体との界面に沿って形成される第1部分と、前記第2改質部に沿って形成される第2部分と、を有する上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記第2改質部が形成された前記第1支持体の角部と接する前記ガラス基板の角部から広がるように形成される第3部分又は、前記第2改質部が形成された前記ガラス基板の角部と接する前記第1支持体の角部から広がるように形成される第4部分を更に有する上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記第1支持体は、前記第1面及び前記第2面と交差する方向に見て、前記ガラス基板より大きい上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記第2工程において、前記レーザの照射角度は、前記ガラス基板垂直方向に対して0°以上90°以下である上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記第2工程において、前記レーザの照射角度は、前記ガラス基板垂直方向に対して0°以上60°以下である上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記第2工程において、前記レーザの照射角度は、前記ガラス基板垂直方向に対して30°以上60°以下である上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記溝の深さは、10μm以上、5mm以下である上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記溝の深さは、50μm以上、500μm以下である、上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記溝の深さとは、前記第1支持体及び前記ガラス基板の端面からエッチングが進行した領域までの、前記ガラス基板と前記第1支持体との界面に沿った方向における深さである、上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記分離することは、先細りした先端を有する治具を、前記先端が前記溝内に位置するように押し当てると共に、前記ガラス基板と前記第1支持体とを互いに引き離す方向に力を加えることを含む、上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記分離することは、先細りした先端を有する治具を、前記先端が前記溝内に位置するように押し当てると共に、前記溝の位置から前記ガラス基板と前記第1支持体との間に流体を導入することを含む、上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記第2工程において、前記第1改質部を形成するレーザは、前記第1面側から照射される、上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記第1導体層が形成されたガラス基板の前記第1面側に第2支持体を設ける第7工程を更に備える、上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記貫通孔が形成されたガラス基板の前記第1面の下方に第2導体層を形成する第8工程と、前記第2導体層が形成されたガラス基板から前記第2支持体を剥離する第9工程と、を更に備える上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記第2支持体を分離したガラス基板の前記第1面側に第1ビルドアップ層を形成することと、前記第2支持体を分離したガラス基板の前記第2面側に第2ビルドアップ層を形成することと、の少なくとも一方を実行する第10工程を更に備える、上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
本発明によれば、ガラス基板へのダメージを抑制しつつ、安定的にガラス基板から支持体を剥離し得る技術が提供される。
図1は、本発明の第1実施形態に係る配線基板の断面図である。 図2は、図1に示す配線基板の一部を拡大して示す断面図である。 図3は、図1に示す配線基板の製造に用いられるガラス基板を示す平面図である。 図4は、図1に示す配線基板の製造方法における一工程を示す断面図である。 図5は、図1に示す配線基板の製造方法における他の工程を示す断面図である。 図6は、図5に示す支持体12の平面図である。 図7は、図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。 図8は、図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。 図9は、図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。 図10は、図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。 図11は、図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。 図12は、図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。 図13は、図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。 図14は、図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。 図15は、図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。 図16は、第1変形例に係る配線基板の製造方法における一工程を示す断面図である。 図17は、第1変形例に係る配線基板の製造方法における他の工程を示す断面図である。 図18は、第1変形例に係る配線基板の製造方法における他の工程を示す断面図である。 図19は、第1変形例に係る配線基板の製造方法における他の工程を示す断面図である。 図20は、第2変形例に係る配線基板の製造方法における一工程を示す断面図である。 図21は、第2変形例に係る配線基板の製造方法における他の工程を示す断面図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。以下に記載する事項は、単独で又は複数を組み合わせて、上記側面の各々に組み入れることができる。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の構成部材の材質、形状、及び構造等によって限定されるものではない。本発明の技術的思想には、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
なお、同様又は類似した機能を有する要素については、以下で参照する図面において同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は模式的なものであり、或る方向の寸法と別の方向の寸法との関係、及び、或る部材の寸法と他の部材の寸法との関係等は、現実のものとは異なり得る。
なお、本開示において、「面」とは、板状部材の面のみならず、板状部材に含まれる層について、板状部材の面と略平行な層の界面も指すことがある。また、「上面」、「下面」とは、板状部材や板状部材に含まれる層を図示した場合の、図面上の上方または下方に示される面を意味する。なお、「上面」、「下面」については、「第1面」、「第2面」と称することもある。
また、「側面」とは、板状部材や板状部材に含まれる層における面や層の厚さの部分を意味する。さらに、面の一部および側面を合わせて「端部」ということがある。
また、「上方」とは、板状部材または層を水平に載置した場合の垂直上方の方向を意味する。さらに、「上方」およびこれと反対の「下方」については、これらを「Z軸プラス方向」、「Z軸マイナス方向」ということがあり、水平方向については、「X軸方向」、「Y軸方向」ということがある。
<1>第1実施形態
<1.1>配線基板
図1は、本発明の第1実施形態に係る配線基板の断面図である。図2は、図1に示す配線基板の領域IIを拡大して示す断面図である。
配線基板1は、ガラスコア配線基板である。配線基板1は、例えば、図示しないプリント配線基板やシリコンチップ等に接続される。図1の例では、配線基板1が、インターポーザとして使用する配線基板、即ち、ガラスインターポーザである場合が示される。
配線基板1は、ガラス基板10s、第1導体層20、誘電体層31、上部電極32、層間絶縁膜40s、ビルドアップ層50、絶縁層60s、導体層70、第2導体層80、層間絶縁膜90s、ビルドアップ層100、絶縁層110s、及び導体層120を含む。配線基板1内には、キャパシタ30が内蔵される。配線基板1内には、図示せぬインダクタが内蔵されていてもよい。
ガラス基板10sは、光透過性を有する透明のガラス材料である。ガラス基板10sの成分、及び成分の配合比率は、特に限定されない。ガラス基板10sの例としては、珪酸塩を主成分とするガラス材料が挙げられるが、その他のガラス材料であってもよい。ガラス基板10sの具体例としては、無アルカリガラス、アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス、サファイアガラス、感光性ガラス等が挙げられるが、無アルカリガラスがより好ましい。
ガラス基板10sの厚さは、50μm以上、150μm以下の範囲内にあることが好ましい。配線基板1をシリコンチップと接続する場合、ガラス基板10sの線膨張係数は、シリコンチップとの線膨張係数差を考慮して決定される。この場合、ガラス基板10sの線膨張係数は、0.5ppm/K以上、8.0ppm/K以下の範囲内にあることが好ましく、1.0ppm/K以上、4.0ppm/K以下の範囲内にあることがより好ましい。
ガラス基板10sは、互いに向き合う第1面S1及び第2面S2を有する。第1面S1と第2面S2とは、互いに対して略平行である。ガラス基板10sには、各々が第1面S1から第2面S2まで伸びた1以上の貫通孔、ここでは、複数の貫通孔が設けられている。貫通孔の各々は、第2面S2から第1面S1へ向けて先細りしている。
以下では、第1面S1及び第2面S2と平行な面をXY平面とする。XY平面内で互いに交差する方向をX方向及びY方向とする。XY平面と交差する方向をZ方向とする。Z方向のうち、第2面S2から第1面S1に向かう方向を上方向とも呼ぶ。Z方向のうち、第1面S1から第2面S2に向かう方向を下方向とも呼ぶ。また、第1面S1は、ガラス基板10sの表面又は上面とも呼ぶ。第2面S2は、ガラス基板10sの裏面又は下面とも呼ぶ。
第1導体層20は、第1面S1上に設けられた導体パターンである。この導体パターンは、ランド部と、配線部と、キャパシタ30の下部電極とを含む。第1導電体層20は、第1配線層である。
第1導体層20は、多層構造を有する。具体的には、第1導体層20は、第1面S1と向き合った金属層22と、金属層22とガラス基板10との間に介在する耐弗酸金属層21と、を含む。
耐弗酸金属層21は、ガラス基板10sに設けられた貫通孔の第1面S1側の開口を覆う。耐弗酸金属層21は、ガラス基板10sと比較して、弗酸によるエッチングに対する耐性に優れた金属材料からなる。耐弗酸金属層21は、例えば、Cr及びNiからなる群より得られる合金層である。耐弗酸金属層21の厚さは、10nm以上1000nm以下の範囲内にあることが好ましい。
金属層22は、耐弗酸金属層21上に設けられる。金属層22は、例えば、シード層及び銅層がこの順に積層される。シード層の材料は、例えば、Cu、Ni、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、ITO、IZO、AZO、ZnO、PZT、TiN、及びCuからなる群から適宜選ばれる。シード層の厚さは、100nm以上1000nm以下の範囲内にあることが好ましく、100nm以上500nm以下の範囲内にあることがより好ましい。銅層の厚さは、2μm以上20μm以下の範囲内にあることが好ましい。シード層は、銅層を電解めっきによって形成する場合に設けられる。銅層を無電解めっきやスパッタリング等の他の方法を利用して形成する場合、シード層を省略してもよい。
誘電体層31及び上部電極32は、第1導電体20の一部の上に、この順に積層される。第1導体層20のうち上部電極32と向き合う部分は、下部電極である。上部電極32と誘電体層31と下部電極とは、キャパシタ30を、具体的にはMIMコンデンサを構成する。
誘電体層31は、絶縁性、非誘電率の観点から、アルミナ、シリカ、シリコンナイトライド、タンタルオキサイド、酸化チタン、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、及びチタン酸ストロンチウムから選択される少なくとも1つの材料を用いることができる。誘電体層31の厚さは、10nm以上、5μm以下の範囲内であることが好ましく、50nm以上、1μm以下の範囲内であることがより好ましい。誘電体層31の厚さが10nm未満である場合、絶縁性を保つことが困難であり、キャパシタとしての機能が発現しない場合がある。誘電体層31の厚さが5μmより大きい場合、後述する製造工程に時間がかかり、量産性に欠ける。
上部電極32は、例えば、シード層及び金属層がこの順に設けられる。上部電極32のシード層上に設けられる金属層には、銅、ニッケル、クロム、パラジウム、金、ロジウム、イリジウム等が適用可能である。上部電極32のシード層上に設けられる金属層は、電気伝導性及び価格の観点から、銅が好ましい。
図1に示す例では、下部電極は、ガラス基板10sに設けられた貫通孔の第1面S1側の開口を覆う。下部電極は、ガラス基板10sに設けられた貫通孔から離間させてもよい。下部電極をガラス基板10sに設けられた貫通孔の第1面S1側の開口を覆うように設ける場合、配線に起因した電気抵抗を小さくすることや、配線長の短縮が可能になる。
なお、ここでは、第1面S1と向き合うようにキャパシタ30を設置しているが、キャパシタは、第2面S2側に設置してもよい。或いは、第1面S1と向き合うようにキャパシタ30を接地すると共に、第2面S2側に他のキャパシタを更に設置してもよい。キャパシタ30は、省略することができる。
層間絶縁膜40sは、多層構造を有する。具体的には、層間絶縁膜40sは、層間絶縁膜41s及び42sがこの順に積層される。
ビルドアップ層50は、1層以上の配線構造を有する。図1の例では、ビルドアップ層50は、2層の積層配線構造を有する場合が示される。具体的には、ビルドアップ層50は、導体層51及び52がこの順に積層される。ビルドアップ層50は、第1ビルドアップ層である。
層間絶縁膜41sは、第1面S1を被覆すると共に、第1導体層20、誘電体層31及び上部電極32を埋め込む。層間絶縁膜41sには、第1導体層20が含むランド部の位置及び上部電極32の位置に、貫通孔が設けられる。一例によれば、層間絶縁膜41sは、絶縁樹脂層である。絶縁樹脂層としては、熱硬化性樹脂にフィラーが充填された液状樹脂又はフィルム状樹脂が主に使用される。熱硬化性樹脂としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂の少なくとも1種類の材料を含むことが好ましい。フィラーとしては、シリカ、酸化チタン、ウレタン等の材料を含むことが好ましい。
導体層51は、層間絶縁膜41s上に設けられた導体パターンである。この導体パターンは、層間絶縁膜41sの主面に設けられたランド部及び配線部と、層間絶縁膜41sに設けられた貫通孔の側壁を被覆したビア部と、を含む。導体層51が含むビア部の各々は、第1導体層20が含むランド部又は上部電極32を、導体層51が含むランド部へ接続する。
導体層51は、シード層及び銅層を含む。導体層51が含むシード層及び銅層は、層間絶縁膜41s上に、この順に積層される。導体層51が含むシード層には、前述した第1導体層20が含むシード層について例示した材料を使用することができる。
層間絶縁膜42sは、層間絶縁膜41sの上面を被覆すると共に、導体層51が含むランド部及び配線部を埋め込む。層間絶縁膜42sには、導体層51が含むランド部の位置に、貫通孔が設けられる。一例によれば、層間絶縁膜42sは、絶縁樹脂層である。層間絶縁膜42sが含む絶縁樹脂層には、前述した層間絶縁膜41sが含む絶縁樹脂層について例示した材料を使用することができる。
導体層52は、層間絶縁膜42s上に設けられた導体パターンである。この導体パターンは、層間絶縁膜42sの主面に設けられたパッド部及び配線部と、層間絶縁膜42sに設けられた貫通孔の側壁を被覆したビア部と、を含む。導体層52が含むビア部の各々は、導体層51が含むランド部を、導体層52が含むパッド部へ接続する。
導体層52は、シード層及び銅層を含む。導体層52が含むシード層及び銅層は、層間絶縁膜42s上に、この順に積層される。導体層52が含むシード層には、前述した第1導体層20が含むシード層について例示した材料を使用することができる。
絶縁層60sは、層間絶縁膜42sを少なくとも部分的に被覆すると共に、導体層52が含むパッド部及び配線部を埋め込む。絶縁層60sには、導体層52が含むパッド部の位置に貫通孔が設けられる。絶縁層60sは、例えば、ソルダーレジストからなる。
導体層70は、配線基板1の表側を外部のプリント配線基板と接続するためのバンプである。導体層70は、絶縁層60sよりも上方の部分を有する。導体層70は、例えば、はんだからなる。
第2導体層80は、ガラス基板10sの第2面S2を被覆した部分と、ガラス基板10sに設けられた貫通孔の側壁を被覆した部分と、第1導体層20のうちガラス基板10sに設けられた貫通孔を覆う部分と接する部分と、を含む導体パターンである。この導体パターンは、ランド部、配線部、及びビア部を含む。第2導体層80のうち第2面S2を被覆した部分は、第2配線層であって、ランド部及び配線部を含む。第2導体層80が含むビア部は、第2導体層80のうち、ガラス基板10sに設けられた貫通孔の側壁を被覆した部分と、第1導体層20のうちガラス基板10sに設けられた貫通孔を覆う部分と接する部分と、からなる。
第2導体層80は、ガラス基板10sに設けられた貫通孔の側壁、第1導体層20のうちガラス基板10sに設けられた貫通孔を覆う部分、及び第2面S2のうちガラス基板10sに設けられた貫通孔の第2面S2側の開口を取り囲む領域を被覆する。第2導体層80は、これら面に対してコンフォーマルである。
第2導体層80は、多層構造を有する。具体的には、第2導体層80は、シード層及び銅層を含む。第2導体層80が含むシード層及び銅層は、ガラス基板10s上に、この順に積層される。第2導体層80が含むシード層には、前述した第1導体層20が含むシード層について例示した材料を使用することができる。
層間絶縁膜90sは、多層構造を有する。具体的には、層間絶縁膜90sは、層間絶縁膜91s及び92sがこの順に積層される。
ビルドアップ層100は、1層以上の配線構造を有する。図1の例では、ビルドアップ層100は、2層の積層配線構造を有する場合が示される。具体的には、ビルドアップ層100は、導体層101及び102がこの順に積層される。ビルドアップ層100は、第2ビルドアップ層である。
層間絶縁膜91sは、第2面S2を被覆すると共に、第2導体層80を埋め込む。層間絶縁膜91sには、第2導体層80が含むランド部の位置に、貫通孔が設けられる。一例によれば、層間絶縁膜91sは、絶縁樹脂層である。層間絶縁膜91sが含む絶縁樹脂層には、前述した層間絶縁膜41sが含む絶縁樹脂層について例示した材料を使用することができる。
導体層101は、層間絶縁膜91s上に設けられた導体パターンである。この導体パターンは、層間絶縁膜91sの主面に設けられたランド部及び配線部と、層間絶縁膜91sに設けられた貫通孔の側壁を被覆したビア部と、を含む。導体層101が含むビア部の各々は、第2導体層80が含むランド部を、導体層101が含むランド部へ接続する。
導体層101は、シード層及び銅層を含む。導体層101が含むシード層及び銅層は、層間絶縁膜91s上に、この順に積層される。導体層101が含むシード層には、前述した第1導体層20が含むシード層について例示した材料を使用することができる。
層間絶縁膜92sは、層間絶縁膜91sの下面を被覆すると共に、導体層101が含むランド部及び配線部を埋め込む。層間絶縁膜92sには、導体層101が含むランド部の位置に、貫通孔が設けられる。一例によれば、層間絶縁膜92sは、絶縁樹脂層である。層間絶縁膜92sが含む絶縁樹脂層には、前述した層間絶縁膜41sが含む絶縁樹脂層について例示した材料を使用することができる。
導体層102は、層間絶縁膜92s上に設けられた導体パターンである。この導体パターンは、層間絶縁膜92sの主面に設けられたパッド部及び配線部と、層間絶縁膜92sに設けられた貫通孔の側壁を被覆したビア部と、を含む。導体層102が含むビア部の各々は、導体層101が含むランド部を、導体層102が含むパッド部へ接続する。
導体層102は、シード層及び銅層を含む。導体層102が含むシード層及び銅層は、層間絶縁膜92s上に、この順に積層される。導体層102が含むシード層には、前述した第1導体層20が含むシード層について例示した材料を使用することができる。
絶縁層110sは、層間絶縁膜92sを少なくとも部分的に被覆すると共に、導体層102が含むパッド部及び配線部を埋め込む。絶縁層110sには、導体層102が含むパッド部の位置に貫通孔が設けられる。絶縁層110sは、例えば、ソルダーレジストからなる。
導体層120は、配線基板1の裏側を外部のプリント配線基板と接続するためのバンプである。導体層120は、絶縁層110sよりも下方の部分を有する。導体層120は、例えば、はんだからなる。
<1.2>配線基板の製造方法
上記の配線基板1は、例えば、以下の方法により製造することができる。
図3は、図1に示す配線基板の製造に用いられるガラス基板を示す平面図である。図4乃至図15は、図1に示す配線基板の製造方法における一工程を示す断面図である。このうち、図4、図5、図7、及び図8、並びに図10乃至図15は、図3のA-A線に沿った断面図である。図6は、図5に示す支持体12の平面図である。図9は、図8に示される複合体の端部を拡大して示す断面図である。
<1.2.1>第1工程
まず、表面である第1面S1と、裏面である第2面S2とを有するガラス基板10を準備する。例えば、無アルカリガラス板の表面から、超音波洗浄などで汚染物を除去して、ガラス基板10を得る。
ガラス基板10の製造方法は、特に限定されない。ガラス基板10の製造方法の例としては、フロート法、ダウンドロー法、フュージョン法、アップドロー法、ロールアウト法等が挙げられる。
図3に示すように、ガラス基板10は、ガラス基板10sと比較して、X方向及びY方向の寸法がより大きな大判のガラス基板である。ガラス基板10は、XY平面視において(Z方向に見て)、中央部IRと、端部ORと、を有する。中央部IRは、複数のガラス基板10sがマトリクス状に配置される領域である。端部ORは、中央部IRよりも外側の領域であり、ガラス基板10の端部を含む。ガラス基板10の厚さは、75μm以上、200μm以下の範囲内であることが好ましい。
<1.2.2>第2工程
次に、図4に示すように、第2面S2に、接着層11を介して支持体12を貼り合わせる。ガラス基板10に支持体12を貼り合わせるためには、例えば、ラミネータ、真空加圧プレス、減圧貼り合わせ機等を使用することができる。
接着層11は、ガラス基板10に対して支持体12を仮固定するための接着層である。接着層11は、例えば、第2面S2上に形成された官能基である。接着層11として用いられる官能基としては、例えば、水酸基(ヒドロキシル基)が挙げられる。
なお、図4乃至図21では、説明の便宜上、接着層11を、厚さを有する層状に図示している。しかしながら、接着層11として第2面S2上に形成された官能基が用いられる場合、接着層11の厚さは、ガラス基板10及び支持体12と比較して無視できるほど小さい。このため、接着層11は、ガラス基板10と支持体12との間の界面と表現することもできる。
支持体12は、第1支持体であり、薄板状のキャリアである。接着性の観点から、支持体12は、ガラス基板10と同一の材料で構成されることが望ましい。即ち、ガラス基板10が無アルカリガラスである場合、支持体12も無アルカリガラスであることが好ましい。支持体12の厚さは、ガラス基板10の厚さに応じて適宜設定して構わない。支持体12の厚さは、ガラス基板10の搬送性を鑑み、300μm以上、1500μm以下の範囲内にあることが好ましい。
<1.2.3>第3工程
次に、ガラス基板10へレーザ光を照射して、ガラス基板10に1以上の改質部13-1を形成する。レーザ光の照射方向は、第1面S1から第2面S2へ向けた方向でもよいし、第2面S2から第1面S1へ向けた方向でもよい。
改質部13-1は、例えば、レーザ光照射によって加熱されることにより、レーザ光未照射部との間で結晶性等に相違を生じた部分である。改質部13-1は、ガラス基板10に形成される予定の貫通孔に対応した位置に形成される。改質部13-1は、例えば、Z方向に延びる。第1面S1から第2面S2に向かって形成される場合、改質部13-1は、図5に示すように、接着層11及び支持体12まで到達するように形成されてもよい。
また、支持体12へレーザ光を照射して、支持体12に改質部13-2を形成する。このときレーザ光は、接着層11との界面側から支持体12に照射される。レーザ光は、例えば、支持体12が有する角部のうちの一箇所から照射される。すなわち、改質部13-2は、支持体12が有する角部のうちの一箇所に形成される。支持体12が有する角部とは、図6に示すように、XY平面視において、支持体12のX軸に沿った縁と、Y軸に沿った縁とが交差する点の周辺である。
改質部13-2は、後に支持体12を剥離する工程において、剥離を始めるきっかけとなる、剥離起点Nが形成される予定の領域に形成される。
レーザー光の照射角度θは、図5に示すように、支持体12及びガラス基板10の側面(すなわちZ方向)に対して、正の方向(反時計回り)に0°より大きく90°以下の範囲である。言い換えると、レーザ光の照射角度θは、支持体12及び(又は)ガラス基板10の垂直方向に対して0°以上90°以下である。好ましくは、レーザー光の照射角度θは、支持体12及びガラス基板10の側面に対して、正の方向に0°以上、60°以下の範囲である。更に好ましくは、レーザー光の照射角度θは、支持体12及びガラス基板10の側面に対して、正の方向に30°以上、60°以下の範囲である。
レーザ光の照射角度が支持体12及びガラス基板10の側面に対して、正の方向に0°より大きく90°以下の範囲なので、改質部13-2の角度も支持体12の側面(すなわちZ方向)に対して、正の方向(反時計回り)に0°より大きく90°以下の範囲である。
改質部13-2は、支持体12が有する角部のうちの複数箇所に形成されてもよい。このとき、剥離起点Nは、複数個形成される。改質部13-2は、支持体12の縁部に形成されてもよい。このように、レーザ光の照射数及び(又は)照射位置は変更してもよい。
ここで用いるレーザ光の波長は、535nm以下である。レーザ光の好ましい波長は、355nm以上、535nm以下である。レーザ光の波長を355nm未満とすると、十分なレーザ出力を得ることが難しく、安定的なレーザ改質が難しくなるおそれがある。一方、レーザ光の波長を535nmより大きくすると、照射スポットが大きくなり、小範囲のレーザ改質が難しくなる。また、熱の影響により、マイクロクラックが発生し、ガラス基板10が割れやすくなる。
パルスレーザを用いる場合、レーザパルス幅はピコ秒からフェムト秒の範囲内にあることが望ましい。レーザパルス幅がナノ秒以上になると、1パルス当たりのエネルギー量の制御が困難となり、マイクロクラックが発生して、ガラス基板10が割れやすくなる。
レーザパルスのエネルギーは、ガラスの組成や、どのようなレーザ改質を生じさせるかに応じて好ましい値が選択され、5μJ以上、150μJ以下の範囲内にあることが好ましい。レーザパルスのエネルギーを増加させることで、それに比例するように改質部の長さを大きくすることが可能となる。
<1.2.4>第4工程
次に、図7に示すように、改質部13-1を覆うように、第1面S1上に第1導体層20が形成される。
例えば、まず、第1面S1上に、耐弗酸金属層21、及び金属層22に含まれるシード層が、この順に形成される。ここでは、耐弗酸金属層21及びシード層の各々は、連続膜として形成される。耐弗酸金属層21は、例えば、スパッタリングにより形成される。シード層は、例えば、スパッタリング又は無電解めっきにより形成される。
次に、例えば、セミアディティブ工法(SAP)によって、図7に示されるような第1導体層20を得る。
具体的には、まず、シード層上に、金属層22に含まれる銅層に対応する位置で開口したマスクパターンを形成する。マスクパターンは、例えば、シード層上にフォトレジスト層を設け、このフォトレジスト層へのパターン露光及び現像を行うことにより形成する。一例によれば、昭和電工マテリアルズ社製のドライフォトレジストであるRD1225をシード層へラミネートし、このドライフォトレジストへのパターン露光及び現像を順次行うことにより、樹脂からなるマスクパターンを得る。マスクパターンの形成には、液体のレジストを用いてもよい。
続いて、シード層を給電層として用いた電解銅めっきを行う。これにより、マスクパターンの開口部の位置でシード層上に銅を堆積させて、銅層を得る。
その後、マスクパターンを除去する。例えば、ドライフィルムレジストを溶解剥離する。次いで、銅層とガラス基板10とを含んだ複合体の銅層側の面全体を、シード層の露出部が除去されるまでエッチングする。
以上のようにして、第1導体層20を得る。なお、第1導体層20は、上記の通り、ランド部、配線部、及び下部電極を含む。
<1.2.5>第5工程
次に、第1導体層20が含む下部電極上に、誘電体層31及び上部電極32をこの順に形成して、図7に示すキャパシタ30を得る。上部電極32は、例えば、第1導体層20が含むシード層及び銅層について上述したのと同様の方法により形成することができる。
その後、キャパシタ30とガラス基板10とを含んだ複合体のキャパシタ30側の面に、層間絶縁膜41を設ける。液状樹脂の場合、層間絶縁膜41は、スピンコート法により形成される。フィルム状樹脂の場合、層間絶縁膜41は、真空ラミネータを用いて真空下で加熱及び加圧することにより形成される。一例によれば、層間絶縁膜41として、味の素ファインテクノ社製の絶縁樹脂フィルムであるABF-GXT31(32.5μm厚)を上記の面へラミネートし、これをプリキュアする。
<1.2.6>第6工程
次に、図8に示すように、ガラス基板10と層間絶縁膜41とを含んだ複合体を、支持体15に支持させる。ここでは、上記複合体の層間絶縁膜41が支持体15と向き合うように、上記複合体と支持体15とを接着層14を介して貼り合わせる。
接着層14には、樹脂、又は支持体15に形成された官能基が用いられる。樹脂としては、UV光等の光を吸収して発熱、昇華、又は変質することにより剥離可能となる樹脂、熱によって発泡することにより剥離可能となる樹脂、温度によって密着力が変化する樹脂、粘着性樹脂等が挙げられる。一例によれば、接着層14として、日東電工社製のリバアルファ(登録商標)が使用される。
支持体15は、第2支持体であり、薄板状のキャリアである。支持体15は、ガラス基板10と同一の材料で構成されることが望ましい。即ち、ガラス基板10が無アルカリガラスである場合、支持体15も無アルカリガラスであることが好ましい。支持体15の厚さは、ガラス基板10の厚さに応じて適宜設定して構わない。支持体15の厚さは、ガラス基板10の搬送性を鑑み、300μm以上、1500μm以下の範囲内にあることが好ましい。
<1.2.7>第7工程
次に、支持体15に支持させた上記複合体をエッチング液に浸漬させることにより、エッチング処理を施す。第7工程におけるエッチング処理は、第1エッチング処理である。これにより、ガラス基板10、接着層11、及び支持体12の一部が除去される。また、これまでの各種工程でガラス基板10及び支持体12に発生したマイクロクラック等の傷が除去される。
第1エッチング処理を実行すると、支持体12が設けられたガラス基板10の端面において、ガラス基板10と支持体12との間には、図9に示すように、剥離の起点となる剥離起点Nが形成される。剥離起点Nは、例えば、溝G、面取り部M、及びレーザ照射部Rを含む。
溝Gは、上記複合体の端部から、上記複合体の内部に向かってXY平面に沿って延びる。接着層11を含むガラス基板10と支持体12との間は、エッチング液が浸透しやすいため、他の部分と比較して、エッチングレートが高い。このため、当該エッチング処理によって、ガラス基板10と支持体12との間には溝Gが形成される。
レーザ照射部Rは、改質部13-2が形成された位置に沿って広がるように形成される、支持体12の一部が除去された領域である。支持体12のうち、改質部13-2は、他の部分と比較して、エッチングレートが高い。このため、当該エッチング処理によって、改質部13-2が形成されていた位置の周辺にはレーザ照射部Rが形成される。レーザ照射部Rは、溝Gと連続する。
面取り部Mは、改質部13-2が形成された支持体12の角部と接するガラス基板10の角部から広がるように形成され、ガラス基板10の一部が除去された領域である。面取り部Mは、ガラス基板10の当該角部を削るように形成される。面取り部Mが形成された後、例えばガラス基板10は面取り形状を有する。レーザ照射部Rが形成されることにより、ガラス基板10の当該角部は、他の部分と比較して、エッチングレートが高い。このため、当該エッチング処理によって、改質部13-2が形成された支持体12の角部と接するガラス基板10の角部は面取り部Mの形状にエッチングされる。面取り部Mは、溝Gと連続する。
剥離起点Nは、顕微鏡等でガラス基板10又は支持体12を透過して観察することができる。また、剥離起点Nは、上記複合体の端部を実体顕微鏡等で直接観察する方法、割断して電子顕微鏡等で観察することができる。剥離起点Nは、上記複合体の4辺全てで観察できるが、剥離の起点とする部位において形成されていればよい。
溝Gの深さPは、10μm以上、5mm以下の範囲内であることが好ましく、50μm以上、500μm以下の範囲内であることがより好ましい。深さPが10μm未満の場合、溝Gを剥離の起点として機能させることが困難であるため、不適である。深さPが5mmより大きい場合、エッチング処理が過度に進行することによってガラス基板10の寸法の減少、及び他の部材のエッチング液によるダメージの増加等が発生するため、有用ではない。溝Gの深さPはガラス基板の端部から、エッチングが進行した領域までの水平方向における距離である。
エッチング液は、弗酸等の、ガラスを溶解除去し得る溶液であることが好ましい。また、エッチング液の浸透性が高いほうが、より短期間で溝Gを形成できるため、より好ましい。エッチング液の濃度、温度、及び添加剤等は、ガラス基板10、及び支持体12のサイズ及びガラス組成等に応じて、適宜調整することができる。これにより、ガラス基板10と支持体12との間への浸透量、及びエッチング量を適切な値に制御することができる。
<1.2.8>第8工程
次に、図10に示すように、ガラス基板10から接着層11及び支持体12を分離させる。ガラス基板10からの接着層11及び支持体12の分離に際しては、剥離起点Nに機械荷重を加えることによって、剥離起点Nを物理的な起点として、剥離を進行させることができる。
より具体的には、剥離起点Nに対して、けがき処理が施される。けがき処理は、カミソリ刃等の先細りした先端を有する治具を、当該先端が剥離起点N内に位置するように押し当てる処理を含む。そして、治具が剥離起点N内に押し当てられた状態で、ガラス基板10と支持体12とを互いに引き離す方向に力を加える。又は、治具が剥離起点N内に押し当てられた状態で、剥離起点Nの位置からガラス基板10と支持体12との間に液体及び気体等の流体を導入してもよい。これにより、より円滑にガラス基板10から支持体12を分離することができる。
接着層11及び支持体12の剥離処理後に、ガラス基板10に接着層11の残渣が生じる場合、プラズマ洗浄、超音波洗浄、水洗浄、及びアルコールを使用した溶剤洗浄等を行ってもよい。
<1.2.9>第9工程
次に、接着層11及び支持体12を剥離させたガラス基板10の第2面S2を、弗化水素を含んだエッチング液でエッチングする。第9工程におけるエッチング処理は、第2エッチング処理である。これにより、図11に示すように、第2面S2を後退させるとともに、改質部13の位置に貫通孔Hをそれぞれ形成する。ガラス基板10のうち、改質部13は、他の部分と比較して、エッチングレートが高い。従って、当該エッチング処理によって、ガラス基板10の薄板化と貫通孔Hの形成とを同時に達成できる。
当該エッチング処理によるエッチング量は、ガラス基板10の厚さに応じて、適宜設定される。例えば、エッチング処理前のガラス基板10の厚さが200μmである場合、ガラス基板10のエッチング量は、50μm以上、150μm以下の範囲内であることが好ましい。これにより、エッチング処理後のガラス基板10の厚さは、50μm以上、150μm以下の範囲内とすることができる。
なお、当該エッチング処理において、耐弗酸金属層21は、エッチングストッパ膜としての役割を果たす。また、上記のエッチングによって得られる貫通孔Hは、図11では、第2面S2側の径(又は断面積)が第1面S1側の径(又は断面積)よりも大きい円錐台形状を有している。
弗化水素を含んだエッチング液は、例えば、弗化水素水溶液である。エッチング液は、硝酸、塩酸及び硫酸からなる群から選ばれる1種以上の無機酸を更に含むことができる。
エッチング液の弗化水素濃度は、例えば1.0質量%以上6.0質量%以下の範囲内にあり、好ましくは2.0質量%以上5.0質量%以下の範囲内にある。無機酸濃度は、例えば1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲内にあり、好ましくは3.0質量%以上16.0質量%以下の範囲内にある。各成分の濃度を上記範囲内に設定したエッチング液を使用して、1.0μm/min以下のエッチングレートでエッチング処理を行うことが望ましい。エッチング処理の際のエッチング液の温度は、10℃以上40℃以下の範囲内とすることが望ましい。
<1.2.10>第10工程
次に、貫通孔Hを覆うように、第2導体層80が形成される。
具体的には、まず、第2導体層80が含むシード層が、貫通孔Hの側壁、エッチング処理によって露出した耐弗酸金属層21の面、及び第2面S2を被覆した連続膜として形成される。シード層は、例えば、スパッタリング又は無電解めっきによって形成される。
次に、例えば、セミアディティブ工法によって、図12に示されるような第2導体層80を得る。
具体的には、まず、シード層上に、第2導体層80に含まれる銅層に対応する位置で開口したマスクパターンを形成する。マスクパターンは、例えば、シード層上にフォトレジスト層を設け、このフォトレジスト層へのパターン露光及び現像を行うことにより形成する。一例によれば、昭和電工マテリアルズ社製のドライフォトレジストであるRD1225をシード層へラミネートし、このドライフォトレジストへのパターン露光及び現像を順次行うことにより、樹脂からなるマスクパターンを得る。マスクパターンの形成には、液体のレジストを用いてもよい。
続いて、シード層を給電層として用いた電解銅めっきを行う。これにより、マスクパターンの開口部の位置でシード層上に銅を堆積させて、銅層を得る。
その後、マスクパターンを除去する。例えば、ドライフィルムレジストを溶解剥離する。次いで、銅層とガラス基板10とを含んだ複合体の銅層側の面全体を、シード層の露出部が除去されるまでエッチングする。
以上のようにして、第2導体層80を得る。なお、第2導体層80は、上記の通り、ランド部、及び配線部を含む。
次いで、第1導体層20、第2導体層80、及びガラス基板10を含んだ複合体の第2導体層80側の面に対して、第5工程における層間絶縁膜41の形成処理と同様の処理を実施して、層間絶縁膜91を設ける。なお、層間絶縁膜91は、層間絶縁膜41と異なる材料で形成されてもよい。
<1.2.11>第11工程
次に、図13に示すように、ガラス基板10、第1導体層20及び第2導体層80等を含んだ複合体から、接着層14及び支持体15を分離させる。接着層14及び支持体15の分離に際しては、接着層14の材料に応じて、UV光の照射、加熱処理、物理剥離等の剥離方式が適宜選択される。
接着層14及び支持体15の剥離処理後に、層間絶縁膜41に接着層14の残渣が生じる場合、プラズマ洗浄、超音波洗浄、水洗浄、及びアルコールを使用した溶剤洗浄等を行ってもよい。
<1.2.12>第12工程
次に、図14に示すように、第1面S1側にビルドアップ層50が設けられ、第2面S2側にビルドアップ層100が設けられる。
ビルドアップ層50及びビルドアップ層100の形成順は任意である。また、ビルドアップ層50及びビルドアップ層100の形成工程は、形成される面が異なる点を除いて、同等である。ここでは、一例として、ビルドアップ層50の形成について説明する。
まず、レーザ加工によって層間絶縁膜41にブラインドビアを形成する。その後、デスミア処理を実施して、レーザ加工によって発生した残渣を除去する。これにより、第1導体層20のランド部及び上部電極32が露出する。なお、ブラインドビアの形成に用いられるレーザは、改質部13-1及び13-2の形成に用いられるレーザとは異なっていてもよい。例えば、ブラインドビアの形成には、炭酸ガスレーザ、UV-YAGレーザ等のパルスレーザを用いることが好ましい。パルスレーザを用いる場合、レーザパルス幅は、マイクロ秒の範囲内にあることが好ましい。
次いで、スパッタリング又は無電解めっきにより、第1導体層20、第2導体層80、及びガラス基板10を含んだ複合体の第1導体層20側の面上に、導体層51に含まれるシード層を連続膜として形成する。
次に、例えば、セミアディティブ工法によって、導体層51を得る。
具体的には、まず、シード層上に、導体層51に含まれる銅層に対応する位置で開口したマスクパターンを形成する。マスクパターンは、例えば、シード層上にフォトレジスト層を設け、このフォトレジスト層へのパターン露光及び現像を行うことにより形成する。一例によれば、昭和電工マテリアルズ社製のドライフォトレジストであるRD1225をシード層へラミネートし、このドライフォトレジストへのパターン露光及び現像を順次行うことにより、樹脂からなるマスクパターンを得る。マスクパターンの形成には、液体のレジストを用いてもよい。
続いて、シード層を給電層として用いた電解銅めっきを行う。これにより、マスクパターンの開口部の位置でシード層上に銅を堆積させて、銅層を得る。
その後、マスクパターンを除去する。例えば、ドライフィルムレジストを溶解剥離する。次いで、第1導体層20、第2導体層80、及びガラス基板10を含んだ複合体の第1導体層20側の面全体を、シード層の露出部が除去されるまでエッチングする。以上のようにして、導体層51を得る。
次いで、層間絶縁膜41上に、層間絶縁膜42を設けた後、レーザ加工によって層間絶縁膜42にブラインドビアを形成する。その後、デスミア処理を実施して、レーザ加工によって発生した残渣を除去する。これにより、導体層51のランド部が露出する。なお、ブラインドビアの形成に用いられるレーザは、改質部13の形成に用いられるレーザとは異なっていてもよい。例えば、ブラインドビアの形成には、炭酸ガスレーザ、UV-YAGレーザ等のパルスレーザを用いることが好ましい。パルスレーザを用いる場合、レーザパルス幅は、マイクロ秒の範囲内にあることが好ましい。
次いで、スパッタリング又は無電解めっきにより、第1導体層20、第2導体層80、及びガラス基板10を含んだ複合体の第1導体層20側の面上に、導体層52に含まれるシード層を連続膜として形成する。
次に、例えば、セミアディティブ工法によって、導体層52を得る。
具体的には、まず、シード層上に、導体層52に含まれる銅層に対応する位置で開口したマスクパターンを形成する。マスクパターンは、例えば、シード層上にフォトレジスト層を設け、このフォトレジスト層へのパターン露光及び現像を行うことにより形成する。一例によれば、昭和電工マテリアルズ社製のドライフォトレジストであるRD1225をシード層へラミネートし、このドライフォトレジストへのパターン露光及び現像を順次行うことにより、樹脂からなるマスクパターンを得る。マスクパターンの形成には、液体のレジストを用いてもよい。
続いて、シード層を給電層として用いた電解銅めっきを行う。これにより、マスクパターンの開口部の位置でシード層上に銅を堆積させて、銅層を得る。
その後、マスクパターンを除去する。例えば、ドライフィルムレジストを溶解剥離する。次いで、第1導体層20、第2導体層80、及びガラス基板10を含んだ複合体の第1導体層20側の面全体を、シード層の露出部が除去されるまでエッチングする。以上のようにして、導体層52が形成され、ビルドアップ層50を得る。
また、第1導体層20、第2導体層80、及びガラス基板10を含んだ複合体の第2導体層80側の面に対して、上述したビルドアップ層50の形成処理と同様の処理を実施して、ビルドアップ層100を得る。
<1.2.13>第13工程
次に、層間絶縁膜42上に、絶縁層60を設ける。例えば、層間絶縁膜42上にソルダーレジストを設け、フォトリソグラフィ法などを用いてこれをパターニングする。これにより、導体層52のパッド部が露出する。その後、露出した導体層52のパッド部上に、表面処理を施した後、導体層70が設けられる。
同様に、層間絶縁膜92上に、絶縁層110を設ける。例えば、層間絶縁膜92上にソルダーレジストを設け、フォトリソグラフィ法などを用いてこれをパターニングする。これにより、導体層102のパッド部が露出する。その後、露出した導体層102のパッド部上に、表面処理を施した後、導体層120が設けられる。
表面処理としては、ニッケル及び金を用いた処理、ニッケル、パラジウム、及び金のいずれかを用いた処理、置換スズ(IT:immersion tin plating)めっき、並びに水溶性プリフラックス(OSP:organic solderability preservative)等が挙げられる。
以上のようにして、図15の構造を得る。
<1.2.14>第14工程
その後、得られた複合体から端部ORを分離すると共に、中央部IR内を複数のガラス基板10sに対応する領域毎に個片化する。
以上のようにして、図1に示す配線基板1を得る。
<1.3>効果
上述した技術は、例えば、以下に記載する効果を奏する。
<1.3.1>ハンドリング性
上述した製造方法によると、ガラス基板10の破損を生じ難く、優れたハンドリング性を実現し得る。これについて、以下に説明する。
ガラス基板に貫通孔を形成すると、その機械的強度が低下する可能性がある。また、厚さが小さなガラス基板、例えば、厚さが100μm以下であるガラス基板は、回路など導電部を形成するための搬送時などに割れを生じ易く、取扱いが困難である。
上述した製造方法では、第1導体層20等が形成される前に、ガラス基板10に支持体12を貼り合わせる。これにより、ガラス基板10と支持体12とを含んだ複合体は、高い強度を有することができる。また、支持体12を剥離する前に、第1導体層20等が形成された第1面S1側に、支持体15を貼り合わせる。これにより、複合体の強度は更に高められる。このため、支持体12を剥離した後であっても、ガラス基板10の破損は生じ難い。従って、上述した製造方法によると、ガラス基板10の破損を生じ難く、その取扱いが容易である。
<1.3.2>生産性
また、上述した製造方法によると、以下に説明するように、高い生産性を達成可能である。
改質部13-1及び13-2の形成に際しては、レーザ光によってガラス基板10に対して過度なエネルギーが加わることにより、ガラス基板10にマイクロクラックが発生する可能性がある。このため、レーザ光の波長やレーザパルス幅等の照射条件(process window)、及びレーザの照射位置に、制約が課される場合がある。
上述した製造方法によると、支持体12と貼り合わせたガラス基板10に対して、改質部13-1及び13-2を形成するためのレーザ光を照射する。これにより、支持体12と貼り合わせていないガラス基板10に対してレーザ光を照射する場合よりも、レーザ光の照射に際して、ガラス基板10の機械的強度を高くできる。このため、レーザ照射の処理条件を緩和することが可能となる。加えて、ガラス基板10に対して所望の位置に改質部13-1及び13-2を形成することが可能となる。従って、上述した製造方法によると、高い生産性を達成可能である。
<1.3.3>歩留まり
更に、上述した製造方法によると、支持体12をガラス基板10から剥離する際に、ガラス基板10へのダメージを抑制することができ、高い歩留まりを達成することができる。これについて、以下に説明する。
ガラス基板10から支持体12を剥離する際には、ガラス基板10に割れや欠け等のダメージが発生する可能性がある。即ち、ガラス基板10から支持体12を剥離する工程でガラス基板10に発生するダメージが、歩留まりを低下させる可能性がある。
図5を参照しながら説明した製造方法では、エッチング処理の前に、支持体12へレーザ光を照射して、支持体12に改質部13-2を形成する。その後、図9を参照しながら説明した製造方法では、ガラス基板10から支持体12を剥離する前に、エッチング処理によって、ガラス基板10と支持体12との間に剥離起点Nを形成する。エッチング処理は、溝Gの深さPが10μm以上、5mm以下の範囲内、より好ましくは50μm以上、500μm以下の範囲内となるように実行する。
さらに、剥離起点Nは、溝Gに加えて面取り部M及びレーザ照射部Rを含む。これにより、ガラス基板10から支持体12を剥離する際に、カミソリ刃等を用いたけがき処理が容易に実行できる。このため、剥離処理に伴うマイクロクラックの発生を抑制できる。
また、当該エッチング処理では、ガラス基板10の端部が全体的にエッチングされる。このため、エッチング処理の前の工程でガラス基板10に生じたマイクロクラックを除去することができる。従って、上述した製造方法によると、歩留まりを向上させることができる。
図5を参照しながら説明した製造方法において、レーザ光の照射角度θが0°であると、支持体12に十分にレーザ照射部R、すなわち剥離起点Nが形成されない場合がある。一方でレーザ光の照射角度θが大きくなると、剥離起点Nの形成において、レーザ照射部Rが大きくなり、面取り部Mが十分大きさで形成できない。このため、当該レーザ光の照射角度θは、図5に示すように、支持体12及びガラス基板10の側面(すなわちZ方向)に対して、正の方向(反時計回り)に0°より大きく90°以下の範囲である。
第1実施形態においては、ガラス基板10に支持体12を重ねた状態でレーザを照射することによって、レーザ照射の処理条件(process window)を広くとることが可能となり、且つガラス基板10に対して所望の位置に改質部13-2を形成することが可能となる。
<1.4>変形例
上述した配線基板1には、様々な変形が可能である。
<1.4.1>支持体
例えば、接着層11を介してガラス基板10と貼り合わされる支持体の大きさは、ガラス基板10と異なっていてもよい。
図16~図19は、第1変形例に係る配線基板の製造方法における一工程を示す断面図である。図16~図19は、第1実施形態における図9に対応する。図16及び図18の例では、支持体12に代えて、支持体12Aが接着層11を介してガラス基板10と貼り合わされる場合における改質部13-2の形成処理の様子が示される。図17及び図19の例では、支持体12に代えて、支持体12Aが接着層11を介してガラス基板10と貼り合わされる場合における剥離起点Nの形成処理の様子が示される。
支持体12Aは、ガラス基板10よりもXY平面に沿って(Z方向に見て)大きい面積を有する。これにより、レーザの照射位置をガラス基板10の端部より外側に設定できる。また、剥離処理の際に、カミソリ刃等を剥離起点Nに入れ易くなる。このため、剥離処理の容易性を高めることができ、ガラス基板10に意図せずダメージが発生する可能性を低減できる。
図16及び図18に示すように、第1変形例に係る配線基板の製造方法によると、溝Gの深さPを調整できる。図16における改質部13-2Aは、図18における改質部13-2Bよりも、ガラス基板10の端面から離れた位置に形成される。この結果、図17における溝Gの深さPは、図18における溝Gの深さPよりも大きく形成される。
このように、第1変形例に係る配線基板の製造方法によれば、溝Gの深さPの設定を、例えばエッチング溶液の調整等を行わずに、レーザの照射位置を調整することによって行うことができる。
<1.4.2>改質部13-2
例えば、改質部13-2は、支持体12ではなく、ガラス基板10に形成してもよい。
図20及び図21は、第2変形例に係る配線基板の製造方法における一工程を示す断面図である。図20及び図21は、第1実施形態における図9に対応する。図20及び図21の例では、改質部13-2に代えて、改質部13-2Cがガラス基板10に形成される場合における処理の様子が示される。
図21に示すように、第2変形例に係る配線基板の製造方法によると、以下のようにレーザ照射部R及び面取り部Mが形成される。
レーザ照射部Rは、ガラス基板10の改質部13-2Cが形成された位置に沿って広がるように形成される。面取り部Mは、改質部13-2が形成されたガラス基板10の角部と接する支持体12の角部から広がるように形成される。面取り部Mは、支持体12の当該角部を削るように形成される。面取り部Mが形成された後、例えば支持体12は面取り形状を有する。
<1.4.3>他の変形例
上記の配線基板1には、更に他の変形も可能である。
例えば、第1導体層20、上部電極32、ビルドアップ層50、第2導体層80、及びビルドアップ層100の各々に含まれるシード層は、密着層を含む多層構造であってもよい。密着層の形成には、例えば、スパッタリング法及び無電解めっき法等が用いられる。密着層の材料としては、例えば、チタンが好適である。密着層の厚さは、連続膜として成膜することと、生産性とを鑑みて、5nm以上、100nm以下の範囲内であることが好ましい。
以下に、本発明に関連して行った試験について記載する。
(例1)
第5工程による改質部13-2の形成、第6工程による支持体12との貼合処理、第7工程によるエッチング処理、及び第8工程による剥離処理を実行したガラス基板10を20個製造した。
ここでは、ガラス基板10のサイズは、厚さ150μm、X方向の長さ200mm、及びY方向の長さ200mmとした。また、支持体12のサイズは、厚さ500μmとし、X方向及びY方向の寸法はガラス基板10と同じとした。ガラス基板10及び支持体12の材料は、いずれも無アルカリガラスとした。
エッチング処理では、弗酸濃度が2%の弗酸エッチング液に10分浸漬し、その後水洗乾燥を行った。そして、エッチング処理後のガラス基板10の端部を光学顕微鏡にて観察し、溝Gの深さPを測定した。
また、剥離処理後のガラス基板10の端部における割れの有無を光学顕微鏡にて観察し、NGとなるガラス基板10の枚数(NG数)を算出した。NG数の算出に際しては、1カ所でも割れ、又はヒビが確認されたガラス基板10は、NGであるとした。
(例2)
ガラス基板10のX方向長さ及びY方向長さをそれぞれ320mm及び400mmへ変更したこと以外は、例1において製造したのと同様のガラス基板10を20個製造した。これらガラス基板10についても、例1と同様の方法により、深さPの測定及びNG数の算出を行った。
(比較例1)
改質部13-2の形成及びエッチング処理を省略したこと以外は、例1において製造したのと同様のガラス基板を20個製造した。これらガラス基板についても、例1と同様の方法により、深さPの測定及びNG数の算出を行った。
(比較例2)
エッチング処理を省略したこと以外は、例2において製造したのと同様のガラス基板を20個製造した。これらガラス基板についても、例2と同様の方法により、深さPの測定及びNG数の算出を行った。
(結果)
以下の表1に結果を示す。
表1に示すように、改質部13-2の形成及びエッチング処理を実施した場合、ガラス基板10のサイズに依らず、ガラス基板10と支持体12との間に、深さPが50μm以上、130μm以下の範囲内となる溝Gを形成できた。一方、改質部13-2の形成及びエッチング処理を実施しない場合、ガラス基板10のサイズに依らず、ガラス基板10と支持体12との間には溝Gが形成されなかった。
また、剥離処理に際しては、改質部13-2の形成及びエッチング処理を実施した場合、ガラス基板10のサイズに依らず、改質部13-2の形成及びエッチング処理を実施しない場合よりも少ないNG数を達成できた。そして、改質部13-2の形成及びエッチング処理を実施した場合には、ガラス基板10のサイズに依らず、NG数0枚を達成できた。一方で、改質部13-2の形成及びエッチング処理を実施しない場合では、主に剥離の起点のカミソリ刃を入れた箇所にて、割れや欠けが発生する頻度が高かった。
1…配線基板、10,10s…ガラス基板、11…接着層、12,12A…支持体、13-1,13-2…改質部、14…接着層、15…支持体、20…第1導体層、21…耐弗酸金属層、22…金属層、30…キャパシタ、31…誘電体層、32…上部電極、40,40s,41,41s,42,42s…層間絶縁膜、50…ビルドアップ層、51,52…導体層、60,60s…絶縁層、70…導体層、80…第2導体層、90,90s,91,91s,92,92s…層間絶縁膜、100…ビルドアップ層、101,102…導体層、110,110s…絶縁層、120…導体層、S1…第1面、S2…第2面、IR…中央部、OR…端部、N…剥離起点、G…溝、M…面取り部、P…深さ、H…貫通孔。

Claims (18)

  1. 互いに対向する第1面と第2面とを有するガラス基板の前記第2面側に第1支持体を設ける第1工程と、
    前記第1支持体が設けられたガラス基板にレーザを照射し、前記ガラス基板に第1改質部を形成する第2工程と、
    前記第1面側に第1導体層を形成する第3工程と、
    前記ガラス基板から前記第1支持体を剥離する際の起点を形成する第4工程と、
    前記起点を用いて前記ガラス基板から前記第1支持体を分離する第5工程と、
    前記第1改質部にエッチング処理を行い、前記ガラス基板に貫通孔を形成する第6工程と、
    を備える、
    配線基板の製造方法。
  2. 前記第2工程において、前記ガラス基板の端部又は前記第1支持体の端部にレーザを照射し、第2改質部を形成することと、
    前記第4工程において、前記第2改質部にエッチング処理を行い、前記ガラス基板と前記第1支持体との間に溝を形成することで前記ガラス基板から前記第1支持体を分離する際の前記起点を形成することと、
    を更に含む、
    請求項1記載の製造方法。
  3. 前記ガラス基板又は前記第1支持体において、前記第2改質部が形成された部分は、前記第2改質部が形成されていない部分と比較してエッチングレートが高い、
    請求項2記載の製造方法。
  4. 前記溝は、前記ガラス基板と前記第1支持体との界面に沿って形成される第1部分と、
    前記第2改質部に沿って形成される第2部分と、
    を有する、
    請求項2記載の製造方法。
  5. 前記第2改質部が形成された前記第1支持体の角部と接する前記ガラス基板の角部から広がるように形成される第3部分又は、
    前記第2改質部が形成された前記ガラス基板の角部と接する前記第1支持体の角部から広がるように形成される第4部分を更に有する、
    請求項4記載の製造方法。
  6. 前記第1支持体は、前記第1面及び前記第2面と交差する方向に見て、前記ガラス基板より大きい、
    請求項1記載の製造方法。
  7. 前記第2工程において、前記レーザの照射角度は、前記ガラス基板垂直方向に対して0°以上90°以下である、
    請求項2記載の製造方法。
  8. 前記第2工程において、前記レーザの照射角度は、前記ガラス基板垂直方向に対して0°以上60°以下である、
    請求項2記載の製造方法。
  9. 前記第2工程において、前記レーザの照射角度は、前記ガラス基板垂直方向に対して30°以上60°以下である、
    請求項2記載の製造方法。
  10. 前記溝の深さは、10μm以上、5mm以下である、
    請求項2記載の製造方法。
  11. 前記溝の深さは、50μm以上、500μm以下である、
    請求項2記載の製造方法。
  12. 前記溝の深さとは、前記第1支持体及び前記ガラス基板の端面からエッチングが進行した領域までの、前記ガラス基板と前記第1支持体との界面に沿った方向における深さである、
    請求項10又は請求項11記載の製造方法。
  13. 前記分離することは、先細りした先端を有する治具を、前記先端が前記溝内に位置するように押し当てると共に、前記ガラス基板と前記第1支持体とを互いに引き離す方向に力を加えることを含む、
    請求項2記載の製造方法。
  14. 前記分離することは、先細りした先端を有する治具を、前記先端が前記溝内に位置するように押し当てると共に、前記溝の位置から前記ガラス基板と前記第1支持体との間に流体を導入することを含む、
    請求項2記載の製造方法。
  15. 前記第2工程において、前記第1改質部を形成するレーザは、前記第1面側から照射される、
    請求項1記載の製造方法。
  16. 前記第1導体層が形成されたガラス基板の前記第1面側に第2支持体を設ける第7工程を更に備える、
    請求項1又は請求項2記載の製造方法。
  17. 前記貫通孔が形成されたガラス基板の前記第1面の下方に第2導体層を形成する第8工程と、
    前記第2導体層が形成されたガラス基板から前記第2支持体を剥離する第9工程と、
    を更に備える、
    請求項16記載の製造方法。
  18. 前記第2支持体を分離したガラス基板の前記第1面側に第1ビルドアップ層を形成することと、
    前記第2支持体を分離したガラス基板の前記第2面側に第2ビルドアップ層を形成することと、
    の少なくとも一方を実行する第10工程を更に備える、
    請求項17記載の製造方法。
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