JP2024060831A - プラスチックレンズ用研磨剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリカーボネートやチオウレタン樹脂等のプラスチックレンズ用基材の研磨に対して高い研磨効率を発揮可能なプラスチックレンズ用研磨剤組成物の提供を課題とする。【解決手段】プラスチックレンズ用研磨剤組成物は、アルミナと、水溶性高分子化合物と、水とを含有し、水溶性高分子化合物は、重合体の主鎖にオキサゾリン基が結合した、オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物である。【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチックレンズ用研磨剤組成物に関する。
近年、光学レンズとして、ガラスレンズの代わりに樹脂素材を用いたプラスチックレンズが多用されている。その理由としては、プラスチックレンズがガラスレンズに比べて軽量であり、割れにくく、かつ、加工成形がし易いこと等の利点があることに起因している。このプラスチックレンズは光学分野で幅広く利用されているが、上記の利点があることから、眼鏡用レンズとして特に使用されている。
プラスチックレンズ用基材としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、及びチオウレタン樹脂等が挙げられる。アクリル樹脂(PMMA)は、透明性や耐候性に優れ、機械的強度が良好で表面硬度が高いことから有機ガラスとも呼ばれ、ガラスよりも光を透過し、屈折率が低いため、光学レンズ素材として広く使用されている。しかしながら、吸水性が高く、吸水により屈折率が変化し、耐熱性が低いという欠点を有している。
更に、ポリカーボネートは、高い耐衝撃性を持つエンジニアリングプラスチックの一種であり、ガラスと同程度の透明性で、アクリル樹脂の次に高い透明性を持っている。また、ポリカーボネートは、寸法安定性に優れるが、複屈折が大きいという欠点を有している。例えば、CR-39(登録商標)(ピッツバーグ・プレート・ガラスカンパニー(PPG Industries)製)としてポリカーボネート系アリルジグリコール炭酸塩ポリマーが知られている。
シクロオレフィンポリマーは、環状オレフィンポリマーであり、モノマーのシクロペンタジエンを開環重合させ、水素添加で安定させて得られるポリマーであり、アクリル樹脂と同等の透明性を持ち、吸水性はプラスチックの中でも最小レベルである。高湿度下でも寸法安定性に優れ、成形品の反りや変形がほとんどないため、精密成形に適している。
シクロオレフィンコポリマーは、環状オレフィンコポリマーで、2つのモノマーであるノルボルネンとエチレンユニットを付加重合させたポリマーであり、高剛性と、高透明性(アクリル樹脂と同等の透明性)、高光学性(高透明性、低複屈折)であり、光学部品として優れた特性を有している。
チオウレタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物とポリチオール組成物とを反応させることにより得られるポリマーであり、屈折率が高く、耐衝撃性も優れていることから高屈折率プラスチックレンズ用として幅広く使用されている。例えば、MR-10(登録商標)(三井化学株式会社製)等が知られている。
これらのプラスチックレンズ用基材の研磨に使用するための様々なプラスチックレンズ用研磨剤組成物が当業者において従来から周知となっている。これらの周知の研磨剤組成物は、水及び/または他の液体中に分散した研磨粒子から一般的に構成されている。このような研磨粒子としては、例えば、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、二酸化珪素、及び酸化チタンが知られている。
ここで、酸化アルミニウムスラリーは、上述のプラスチックレンズ用基材を研磨するプラスチックレンズ用研磨剤組成物として使用されている。単に水に分散された酸化アルミニウム研磨粒子からなるプラスチックレンズ用研磨剤組成物の場合、プラスチックレンズ用基材の研磨に使用すると、許容可能な表面品質を提示する一方で、許容できない低い研磨効率を示すことがある。このようなスラリー組成物は、かなり大きい酸化アルミニウム粒子を用いることによって研磨効率を改善することが可能であるものの、許容することができない表面品質、すなわち、かすり傷、くぼみ傷、オレンジの皮状の凹凸(みかん肌、orange peel)、或いは同様の欠陥をもたらすことになる。
例えば、特許文献1(米国特許第4225349号明細書)には、脱イオン水に分散された、か焼アルミナ(酸化アルミニウム粒子)及び硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩研磨促進剤からなるプラスチックレンズ用研磨剤組成物が、表面品質を損なうことなくCR-39基材材料の研磨を促進することが示されている。
一方、特許文献2(特表2008-537704号公報)には、ピロリドン化合物、或いはポリビニルカプロラクタム等を添加したアルミナ系研磨剤組成物を用いることにより、高い研磨効率が得られるとの提案がなされているが、依然として十分な研磨効率には到達していない。
更に、特許文献3(特表2018-533071号公報)には、いくつかの第三級アミド含有化合物を添加したアルミナ系研磨剤組成物を用いることにより、高い研磨効率が得られるとの提案がなされているが、同様に十分な研磨効率には到達していない。
米国特許第4225349号明細書 特表2008-537704号公報 特表2018-533071号公報
CR-39等のような低屈折率基板の研磨に使用される周知のプラスチックレンズ用研磨剤組成物は、例えば、硝酸アルミニウム等の研磨促進剤が存在している条件下であっても、十分な研磨効率を提供することができなかった。更に高い屈折率を有するチオウレタン樹脂等のプラスチックレンズ用基材(例えば、MR-10等)であっても同様に高い研磨効率を有するプラスチックレンズ用研磨剤組成物の開発が期待されていた。
そこで、本発明は上記実情に鑑み、ポリカーボネートやチオウレタン樹脂等のプラスチックレンズ用基材の研磨に対して高い研磨効率を発揮可能なプラスチックレンズ用研磨剤組成物の提供を課題とするものである。
上記課題を解決するため、本願発明者は鋭意検討した結果、以下のプラスチックレンズ用研磨剤組成物を用いることにより、低屈折率及び高屈折率の双方のプラスチックレンズ用基材に対し、高い研磨効率を有し、かつ、光沢のある表面形状を得ることが可能なことを見出した。
[1] アルミナと、水溶性高分子化合物と、水とを含有し、前記水溶性高分子化合物は、重合体の主鎖に下記の化1で示されるオキサゾリン基が結合した、オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物であるプラスチックレンズ用研磨剤組成物。
Figure 2024060831000001
(ここで、化1において、R、R、R、Rは、それぞれH、CH、CHCHのいずれか一つである。)
[2] 前記オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物は、アクリル系単量体に由来する構成単位とオキサゾリン基含有単量体に由来する構成単位を必須構成単位とする前記[1]に記載のプラスチックレンズ用研磨剤組成物。
[3] 前記アクリル系単量体は、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸塩、及びメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記[2]に記載のプラスチックレンズ用研磨剤組成物。
[4] 前記オキサゾリン基含有単量体は、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-ビニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記[2]に記載のプラスチックレンズ用研磨剤組成物。
[5] 前記オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物は、ポリエーテルに付加重合性オキサゾリンをグラフト重合させて得られたものである前記[1]に記載のプラスチックレンズ用研磨剤組成物。
[6] 前記オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物は、カルボキシル基及び/またはエステル基を有する重合体にアミノアルコールを反応させて得られたものである前記[1]に記載のプラスチックレンズ用研磨剤組成物。
[7] 分散剤を更に含有する前記[1]~[6]のいずれかに記載のプラスチックレンズ用研磨剤組成物。
[8] pH値(25℃)は、1.0~10.0である前記[1]~[6]のいずれかに記載のプラスチックレンズ用研磨剤組成物。
本発明のプラスチックレンズ用研磨剤組成物は、アルミナと水溶性高分子化合物と水を含有し、特に水溶性高分子化合物がオキサゾリン基含有水溶性高分子化合物であることを特徴とするものであり、プラスチックレンズの研磨に用いることにより、研磨速度を向上させ、高い研磨効率を達成可能であり、かつ、研磨後のプラスチックレンズを光沢表面に仕上げることができる優れた作用効果を実現できる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
1.プラスチックレンズ用研磨剤組成物
本発明のプラスチックレンズ用研磨剤組成物(以下、単に「研磨剤組成物と称す。)は、アルミナと水溶性高分子化合物と水とを含有することを特徴とする。更に、好ましくは分散剤を含有するものであっても構わない。以下本発明の一実施形態の研磨剤組成物の各構成について詳述する。
1.1 アルミナ
本実施形態の研磨剤組成物で使用されるアルミナは、α―アルミナ、中間アルミナ、及び、α―アルミナと中間アルミナとの混合物のいずれかを用いるものであってもよい。また、中間アルミナとしては、例えば、γ―アルミナ、δ―アルミナ、及びθ―アルミナ等を示すことができる。
特に、プラスチックレンズ用基材の研磨において、研磨速度を可能な限り早くする観点から、α-アルミナを好適に使用することができる。
本実施形態の研磨剤組成物に使用されるアルミナを製造する際の原料としては、ギブサイト:Al・3HO、ベーマイト:Al・HO、擬ベーマイト:Al3・nHO(n=1~2)等を列挙することができる。更に、これらのアルミナ原料は、例えば以下のような方法で調製することができる。
・ギブサイト:Al・3H
ボーキサイトを水酸化ナトリウムの熱溶液で溶解し、不純分をろ過により除去して得られた溶液を冷却し、その結果得られた沈殿物を乾燥することにより得ることができる。
・ベーマイト:Al・H
金属アルミニウムとアルコールとの反応により得られるアルミニウムアルコキシド:Al(OR)を加水分解することにより得ることができる。
・擬ベーマイト:Al・nHO(n=1~2)
ギブサイトをアルカリ性雰囲気下、水蒸気で処理して得ることができる。
更に、上述したアルミナ原料を焼成等することにより、α―アルミナ、或いはγ―アルミナ、δ―アルミナ、θ―アルミナ等の中間アルミナを得ることができる。
ここで、使用するアルミナの平均粒子径(D50)は、好ましくは0.1~10.0μmであり、より好ましくは0.1~5.0μm、更に好ましくは0.2~2.0μmである。
また、本実施形態の研磨剤組成物中のアルミナの濃度は、好ましくは1~50質量%、より好ましくは2~45質量%、更に好ましくは3~40質量%である。アルミナの濃度が1質量%よりも少ないと十分な研磨速度が得られず、一方、アルミナの濃度が50質量%より多い場合はそれ以上の研磨速度の向上が認められず、経済的な点を考慮すると適切ではない。
1.2 水溶性高分子化合物
本実施形態の研磨剤組成物に使用される水溶性高分子化合物は、重合体の主鎖に下記に示す化1のオキサゾリン基が結合したオキサゾリン基含有水溶性高分子化合物である特徴を有している。換言すれば、炭素―窒素二重結合を有する五員環構造のオキサゾリン基を含有する水溶性高分子化合物が使用される。
Figure 2024060831000002
上記の化1において、R、R、R、RはそれぞれH、CH、CHCHのいずれかである。
ここで、オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物は、従来から公知の種々の製法で得ることができる。例えば、オキサゾリン基含有単量体と他の単量体とのラジカル共重合により、オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物を得ることができる。更に、ポリエーテル、アクリルポリマー等の既存の重合体に対し、オキサゾリン基含有単量体をグラフト重合させることにより、オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物を得るものであっても構わない。例えば、アクリル系単量体に由来する構成単位とオキサゾリン基含有単量体に由来する構成単位を必須構成単位とするものであっても構わない。
加えて、カルボキシル基及び/またはエステル基を有する重合体にアミノアルコールを反応させることによりオキサゾリン基含有水溶性高分子化合物を得ることもできる。
なお、オキサゾリン化合物をカチオン重合により開環させて得られるオキサゾリン重合体は、上述した炭素―窒素二重結合を有しない重合体であり、本発明の研磨剤組成物において使用される炭素―窒素二重結合を有する五員環構造のオキサゾリン基を含有する水溶性高分子化合物とは相違するものである。以下に、オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物を得るための上記した3つの製法について具体的に説明する。
1.2.1 アクリル系単量体と付加重合性オキサゾリンのラジカル共重合によりオキサゾリン基含有水溶性高分子化合物を得る方法
付加重合性オキサゾリンの具体例としては、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-ビニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-メチル-2-オキサゾリン、及び2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等を挙げることができる。
一方、アクリル系単量体の具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸塩、及びメタクリル酸エステル等を挙げることができる。更に具体的には、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸アンモニウム、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸エチル等を挙げることができる。
上記の単量体成分をラジカル重合させる際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2-ジアミノプロパン)ハイドロクロライド等のアゾ化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、及び過酸化アンモニウム等の過酸化物等を例示することが可能であり、特に限定されるものではない。
更に、重合方法としては、溶液重合、塊状重合、または懸濁重合等を使用することが可能であるが、特に、オキサゾリン基含有重合体が水溶性高分子化合物であることから、水と有機溶媒との混合溶媒を用いる溶液重合が好適である。更に、好適な有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、メトキシエチルアルコール、エトキシエチルアルコール、及びメトキシプロピルアルコール等が挙げられる。
ここで、単量体成分を重合させる際の重合温度は、通常、好ましくは20~150℃、より好ましくは60~95℃である。
また、単量体成分を重合させる際の雰囲気は、特に限定されないが、重合開始剤の効率を高める観点から、窒素ガス等の不活性ガスであることが好ましい。
1.2.2 ポリエーテルに付加重合性オキサゾリンをグラフト重合させてオキサゾリン基含有水溶性高分子化合物を得る方法
ここでポリエーテルは、グラフト重合体の主鎖を形成するものであり、アルキレンオキシド由来の構造単位を有する一般的なポリエーテルであればよく、グラフト重合体の水溶性の観点からアルキレンオキシドとしてはエチレンオキシドを必須成分として含むのが好ましい。ポリエーテルの数平均分子量は、好ましくは200~100000の範囲である。200未満だと得られるグラフト重合体の分子量が低くなり、100000を超えると粘度が高くなり、グラフト重合を行う際の取り扱いがしにくくなるおそれがある。
付加重合性オキサゾリンとしては、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-ビニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-メチル-2-オキサゾリン、及び2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等が挙げられる。
グラフト重合に際しては、重合開始剤を用いることが好ましく、重合開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。有機過酸化物としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t―ブチルハイドロパーオキサイド、及びクメンハイドロパーオキサイド等を挙げることができる。
反応溶媒を用いてグラフト重合を行う場合には、反応溶媒としてイソブチルアルコール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、エチレングリコール、及びジエチレングリコール等を用いることができる。
グラフト重合を行う際の重合温度は、特に制限はないが、好ましくは20~160℃である。20℃未満であるとグラフト重合が進行しにくくなり、160℃を越えるとポリエーテル鎖及び得られたグラフト重合体の熱分解が起こるおそれがある。
1.2.3 カルボキシル基及び/またはエステル基を有する重合体にアミノアルコールを反応させてオキサゾリン基含有水溶性高分子化合物を得る方法
カルボキシル基及び/またはエステル基を有する重合体の具体例としては、アクリル酸重合体、メタクリル酸重合体、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、及びこれらの共重合体が挙げられる。また他のカルボキシル基含有単量体としては、マレイン酸、フマル酸、及びイタコン酸等のジカルボン酸が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、及びアクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル、及びメタクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
アミノアルコールの具体例としては、エタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール、3-アミノ-2-プロパノール、3-アミノ-2-ブタノール、2-アミノ-2-フェニル-エタノール、及び2-アミノ-3-フェニル-ブタノール等が挙げられる。
カルボキシル基及び/またはエステル基を有する重合体とアミノアルコールを反応させる際には、無触媒でも可能であるが、反応収率を高くする目的で触媒として遷移金属化合物(例えば亜鉛系化合物、カドミウム系化合物等)を用いる方法でもよい。
反応条件は、任意の適切な条件を採用し得る。例えば、任意の適切な溶媒中で行ってもよい。または、カルボキシル基及び/またはエステル基を有する重合体を二軸押出機へ投入して重合体を溶融させ、アミノアルコールと遷移金属化合物の溶液を添加して溶剤の不存在下でカルボキシル基及び/またはエステル基とアミノエタノールを反応させることも可能である。
上記溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒、酢酸ブチル、及び酢酸エチル等のエステル系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びシクロヘキサノン等のケトン系溶媒等が挙げられる。
上記反応の反応温度は、好ましくは80~180℃、より好ましくは100~175℃、最も好ましくは150~170℃である。反応温度は、使用する溶媒の種類や量等を考慮して設定される。
オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物中のオキサゾリン基含有単量体に由来する構成単位の割合は、オキサゾリン基量(mmol/g・固形分)として定義され、オキサゾリン基量の好ましい範囲は、0.1~20.0mmol/g・固形分であり、より好ましくは0.2~10.0mmol/g・固形分である。ここでオキサゾリン基量(mmol/g・固形分)とは、オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物1g当たりのオキサゾリン基含有単量体に由来する構成単位のmmol数を表す。なお、オキサゾリン基量の算出方法は、仕込みモノマーの反応率が100%とした理論値である。
オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、通常1000~1000000の範囲であり、好ましくは5000~500000の範囲である。オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
研磨剤組成物中のオキサゾリン基含有水溶性高分子化合物の含有量は、通常0.001~5.0質量%であり、好ましくは0.01~3.0質量%である。
1.3 分散剤
本発明の研磨剤組成物に、必要に応じて分散剤を配合することができる。分散剤としては、アルミナゾル、セルロース類、及び縮合リン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
研磨剤組成物中のアルミナ粒子が、経時や静置で沈降することを防止する必要があるため、また、研磨剤組成物の取り扱いの面から、長期保存中にアルミナ粒子が沈降した場合であっても、簡単にアルミナ粒子が再分散されることが望ましい。このため、研磨剤組成物に分散剤を配合することが行われる。
アルミナゾルとは、水酸化アルミニウムまたは水和アルミナを水溶液中にコロイド状に分散させたものである。水和アルミナには、ベーマイト、擬ベーマイト、ダイアスポア、ギブサイト、及びバイヤライト等を挙げることができる。
水酸化アルミニウムが水溶液中にコロイド状に分散したアルミナゾルとしては、アルミニウム塩のゾル化生成物を使用することが好ましい。アルミニウム塩のゾル化生成物は、各種アルミニウム塩と、水と反応して水酸基を発生しやすい化合物との反応によって得られる。また、各種アルミニウム塩と水酸基を含有する化合物との反応によっても得られる。
使用される各種アルミニウム塩としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、及び硝酸アルミニウム等が挙げられる。使用される水と反応して水酸基を発生しやすい化合物としては、アンモニア、アルキルアミン、アミン系キレート化合物、アミノカルボン酸、アミノカルボン酸系キレート化合物、及びアミノホスホン酸系キレート化合物等が挙げられる。使用される水酸基を含有する化合物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が挙げられる。
水和アルミナが水溶液にコロイド状に分散したアルミナゾルとしては、ベーマイトゾルを使用することが好ましい。ベーマイトゾルは、ベーマイトまたは擬ベーマイトを各種アルミニウム塩、無機酸、及び有機酸等と共存させることにより得られる。使用される各種アルミニウム塩としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、及び硝酸アルミニウム等が挙げられる。使用される無機酸としては、硝酸、及び塩酸等が挙げられる。使用される有機酸としては酢酸、及びグルコン酸等が挙げられる。
セルロース類としては、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
縮合リン酸塩としては、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、酸性メタリン酸ナトリウム、及び酸性ピロリン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの分散剤の中でもアルミナゾルが好ましく用いられる。
研磨剤組成物中の分散剤の含有量は、好ましくは0.01~5.00質量%であり、更に好ましくは0.02~2.00質量%である。0.01質量%未満では、アルミナ粒子の分散効果が低下する。5質量%を超えると研磨剤組成物の粘度が上昇し、研磨剤組成物の流動性が低下する懸念がある。
1.4 水
本発明で使用される水は、蒸留水、及びイオン交換水等の不純物を除去した水が、好ましく用いられる。水は、研磨剤組成物の流動性を制御する機能を有するので、その含有量は、研磨速度のような目標とする研磨特性に合わせて適宜決定することができる。例えば、水の含有割合は40~90質量%とすることが好ましい。水の含有量が、研磨剤組成物の40質量%未満では、研磨剤の粘性が高くなり、流動性が損なわれる場合がある。一方、水の含有量が90質量%を超えると、砥粒濃度が低くなり、十分な研磨速度が得られない場合がある。
2.物性
本発明の研磨剤組成物のpH(25℃)は、1.0~10.0の範囲が好ましく、更に好ましくは2.0~7.0である。pH(25℃)が1.0未満であると、研磨機や配管等が腐食するおそれがある。pH(25℃)が10.0を超えると、研磨後のプラスチックレンズの表面粗さが悪化するおそれがある。上記のように、本実施形態の研磨剤組成物は、当該研磨剤組成物のpHを好ましい範囲に調整するために、酸や塩基、及びそれらの塩等のpH調整剤を用いることができる。
3.プラスチックレンズの研磨方法
プラスチックレンズの研磨は、レンズ表面の曲率に合わせた研磨を行うために設計された曲面研磨用の研磨機を用いて通常行われるが、研磨剤組成物の研磨性能は、平板状のプラスチックレンズ素材を平面研磨用の研磨機を用いても評価できるため、本発明の研磨剤組成物の研磨性能評価は、平面研磨用の研磨機を用いて以下のように行った。
所定量の研磨剤組成物を研磨機に設けられた供給容器に投入する。その後、供給容器からノズルやチューブを介して、研磨機の定盤上に貼付された研磨パッドに対して当該研磨剤組成物を滴下して供給しつつ、研磨対象物の研磨面を研磨パッド面に押圧し、定盤を所定の回転速度にて回転させることにより、研磨対象物の表面を研磨する。研磨パッドは、スェードタイプ、不織布タイプ、及びその他タイプのいずれのタイプも使用することができる。また、研磨パッドの表面形状としては、溝あり、溝無し、いずれの研磨パッドも使用することができる。
以下、本発明の研磨剤組成物を下記に示す実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、本発明には、以下の実施例の他にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えることができる。
実施例1~13、及び比較例1~9としてそれぞれ調製した研磨剤組成物は、下記に示す表1に記載した材料を、表1に記載の含有量で含んで構成される。更に、これらの実施例1~13、及び比較例1~9の研磨剤組成物による各種研磨試験(詳細は後述する。)の結果を表2及び表3に示す。
ここで、表2は、研磨対象として低屈折率基板(CR-39)を用いた場合の研磨試験結果を示すものであり、一方、表3は、研磨対象として高屈折率基板(MR-10)を用いた場合の試験結果を示すものである。
ここで、実施例に使用されるオキサゾリン基含有水溶性高分子化合物は、以下の2種である。
・エポクロス WS―500(株式会社日本触媒製、ポリマー主鎖=アクリル、オキサゾリン基の化1のR~Rが全てH、オキサゾリン基量=4.5mmol/g・固形分、重量平均分子量=70000)
・エポクロス WS―700(株式会社日本触媒製、ポリマー主鎖=アクリル、オキサゾリン基の化1のR~Rが全てH、オキサゾリン基量=4.5mmol/g・固形分、重量平均分子量=40000)
比較例に使用したポリビニルアルコールは以下の通りである。
・JP-18(日本酢ビ・ポバール株式会社製、ケン化度=88%、重合度=1800、オキサゾリン基の化1のR~Rが全てH)
Figure 2024060831000003
4.研磨剤組成物の調製方法
4.1 実施例1の研磨剤組成物の調製
市販のα―アルミナ(平均粒子径(D50)=1.7μm)と、市販のアルミナゾルと、硝酸アルミニウムと、水溶性高分子化合物としてエポクロス WS―500(重量平均分子量=70000)とを、表1に記載された濃度となるように純水で希釈しながら添加し、攪拌混合して均質化されたものを実施例1の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。実施例1の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表2に示す。
4.2 実施例2の研磨剤組成物の調製
実施例1の研磨剤組成物の調製において使用したエポクロス WS―500の含有量を表1に記載の量となるように変更したこと以外は、実施例1と同様に調製し、実施例2の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。実施例2の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表2に示す。
4.3 実施例3の研磨剤組成物の調製
実施例1の研磨剤組成物の調製において、水溶性高分子化合物をエポクロス WS―700(重量平均分子量=40000)に変更すること以外は、実施例1と同様に調製し、実施例3の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。実施例3の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表2に示す。
4.4 実施例4の研磨剤組成物の調製
実施例3の研磨剤組成物の調製において使用したエポクロス WS―700の含有量を表1に記載の量となるように変更したこと以外は、実施例3と同様に調製し、実施例4の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。実施例4の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表2に示す。
4.5 実施例5の研磨剤組成物の調製
実施例2の研磨剤組成物の調製において使用したアルミナを、α―アルミナ(平均粒子径(D50)=0.7μm)に変更したこと以外は、実施例2と同様に調製し、実施例5の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。実施例5の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表2に示す。
4.6 実施例6の研磨剤組成物の調製
実施例2の研磨剤組成物の調製において、pH値(25℃)が2.0となるようにクエン酸を0.1質量%添加したこと以外は、実施例2と同様に調製し、実施例6の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。実施例6の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表2に示す。
4.7 実施例7の研磨剤組成物の調製
実施例2の研磨剤組成物の調製において、硝酸アルミニウムを使用せずpH値(25℃)が7.5となるように調製したこと以外は、実施例2と同様に調製し、実施例7の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。実施例7の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表2に示す。
4.8 実施例8の研磨剤組成物の調製
実施例2の研磨剤組成物の調製において、pH値(25℃)が10.0となるように水酸化ナトリウムを添加したこと以外は、実施例2と同様に調製し、実施例8の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。実施例8の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表2に示す。
4.9 実施例9の研磨剤組成物の調製
実施例1と同様に研磨剤組成物を調製して、実施例9の研磨試験に用いた。実施例9の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表3に示す。
4.10 実施例10の研磨剤組成物の調製
実施例2と同様に研磨剤組成物を調製して、実施例10の研磨試験に用いた。実施例10の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表3に示す。
4.11 実施例11の研磨剤組成物の調製
実施例3と同様に研磨剤組成物を調製して、実施例11の研磨試験に用いた。実施例11の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表3に示す。
4.12 実施例12の研磨剤組成物の調製
実施例4と同様に研磨剤組成物を調製して、実施例12の研磨試験に用いた。実施例12の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表3に示す。
4.13 実施例13の研磨剤組成物の調製
実施例5と同様に研磨剤組成物を調製して、実施例13の研磨試験に用いた。実施例13の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表3に示す。
4.14 比較例1の研磨剤組成物の調製
実施例1の研磨剤組成物の調製において水溶性高分子化合物を使用しないこと以外は、実施例1と同様に調製し、比較例1の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。比較例1の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表2に示す。
4.15 比較例2の研磨剤組成物の調製
実施例6の研磨剤組成物の調製において、水溶性高分子化合物を使用しないこと以外は、実施例6と同様に調製し、比較例2の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。比較例2の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表2に示す。
4.16 比較例3の研磨剤組成物の調製
実施例7の研磨剤組成物の調製において、水溶性高分子化合物を使用しないこと以外は、実施例7と同様に調製し、比較例3の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。比較例3の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表2に示す。
4.17 比較例4の研磨剤組成物の調製
実施例8の研磨剤組成物の調製において、水溶性高分子化合物を使用しないこと以外は、実施例8と同様に調製し、比較例4の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。比較例4の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表2に示す。
4.18 比較例5の研磨剤組成物の調製
実施例5の研磨剤組成物の調製において、水溶性高分子化合物を使用しないこと以外は、実施例5と同様に調製し、比較例5の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。比較例5の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表2に示す。
4.19 比較例6の研磨剤組成物の調製
実施例2の研磨剤組成物の調製において、水溶性高分子化合物を日本酢ビ・ポバール株式会社製、JP―18に変更すること以外は、実施例2と同様に調製し、比較例6の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。比較例6の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表2に示す。
4.20 比較例7の研磨剤組成物の調製
実施例10の研磨剤組成物の調製において、水溶性高分子化合物を使用しないこと以外は、実施例10と同様に調製し、比較例7の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。比較例7の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表3に示す。
4.21 比較例8の研磨剤組成物の調製
実施例13の研磨剤組成物の調製において、水溶性高分子化合物を使用しないこと以外は、実施例10と同様に調製し、比較例8の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。比較例8の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表3に示す。
4.22 比較例9の研磨剤組成物の調製
実施例10の研磨剤組成物の調製において、水溶性高分子化合物をJP―18に変更すること以外は、実施例10と同様に調製し、比較例9の研磨剤組成物として研磨試験に用いた。比較例9の研磨剤組成物による研磨試験の結果を表3に示す。
5.アルミナの粒子径
本発明で使用されるアルミナの平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定機(SALD2200、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。アルミナの平均粒子径は、体積を基準とした小粒径側からの積算粒径分布が50%となる平均粒子径(D50)である。
6.研磨条件
研磨機 片面研磨機 定盤径350mm
基板 高屈折率基板(MR-10) 75mm径の円形状
低屈折率基板(CR-39) 一辺が50mmの正方形状
研磨パッド SUBA600溝無し
研磨圧力 160g/cm(高屈折率基板)
200g/cm(低屈折率基板)
定盤回転数 60rpm
研磨時間 8min
研磨剤流量 25ml/min
7.研磨した基板の評価
7.1 研磨速度の測定方法
研磨開始前の基板の厚さと研磨後の基板の厚さをマイクロメータ(株式会社ミツトヨ製、測定精度:1μm)を用いて測定し、これにより研磨速度(μm/min)を測定した。なお、それぞれの実施例等及び比較例等の研磨剤組成物について、3枚の研磨対象の基板を同時に研磨したため、かかる研磨速度はそれらの3枚についての平均値を記載している。
7.2 研磨後の基板表面の外観(曇り)評価方法
研磨後の基板表面の曇りは、基板表面に集光灯(ECO LIGHT、株式会社永田製作所製、3万LuX)の光を当て、反射観察により、下記の評価条件に基づいて目視にて判定した。なお、判定は同時に研磨した3枚の基板についての総合判定を示している。
7.3 曇り評価条件
〇:曇りなし
△:曇り一部あり
×:全面に曇りあり
7.4 研磨後の基板の表面粗さ(Ra)測定方法
研磨後の基板の表面粗さ(Ra)は、3D測定レーザー顕微鏡(OLYMPUS株式会社製)を用いて測定した。測定条件は、測定装置(OLS4100、OLYMPUS株式会社製、測定倍率:2160倍)を用い、カットオフ無し、測定エリアは128μm×128μmとした。
実施例1~13、及び比較例1~9の研磨剤組成物を用い、低屈折率基板を研磨した結果を表2、及び、高屈折率基板を研磨した結果を表3にそれぞれ示す。
Figure 2024060831000004
Figure 2024060831000005
8.考察
始めに、低屈折率基板の研磨試験の結果について表2に基づいて考察する。平均粒子径(D50)が1.7μmのα―アルミナを用いて、水溶性高分子化合物を含有しない研磨剤組成物を用いた比較例1~4に対して、同様のアルミナを用いてオキサゾリン基含有水溶性高分子化合物を含有する研磨剤組成物を用いた実施例1~4、6~8は、研磨速度の向上が認められる。
更に具体的に説明すると、研磨剤組成物のpH値(25℃)が2.0の比較例2に対して、研磨剤組成物のpH値が同じ実施例6は、約2倍の研磨速度を示している。また、研磨剤組成物のpH値(25℃)が3.5の比較例1に対して、研磨剤組成物のpH値が同じ実施例2は、約1.6倍の研磨速度を示している。更に、研磨剤組成物のpH値(25℃)が7.5の比較例3に対して、研磨剤組成物のpH値が同じ実施例7は、約1.2倍の研磨速度を示している。加えて、研磨剤組成物のpH値(25℃)が10.0の比較例4に対して、研磨剤組成物のpH値が同じ実施例8は、1.2倍の研磨速度を示している。
なお、比較例1の研磨剤組成物に市販のポリビニルアルコール(ケン化度=88%、重合度=1800)を添加した研磨剤組成物を用いた比較例6は、比較例1に対して研磨速度が向上しなかった。研磨後の基板の表面粗さは、研磨剤組成物のpH値(25℃)が中性~アルカリ性の実施例7及び実施例8よりも、研磨剤組成物のpH値(25℃)が酸性域にある実施例2及び実施例6の方が良好な結果になっている。
平均粒子径(D50)が0.7μmのα―アルミナを用いて、水溶性高分子化合物を含有しない研磨剤組成物を用いた比較例5に対して、同様のアルミナを用いてオキサゾリン基含有重合体を含有する研磨剤組成物を用いた実施例5は、約2.3倍の研磨速度を示している。
実施例1は、実施例2に対してオキサゾリン基含有水溶性高分子化合物の含有量が異なる研磨剤組成物を用いた研磨試験結果である。実施例3及び実施例4は、実施例1及び実施例2に対して重量平均分子量の異なるオキサゾリン基含有水溶性高分子化合物を含有する研磨剤組成物を用いた研磨試験結果である。
次に、高屈折率基板の研磨試験の結果について表3に基づいて考察する。平均粒子径(D50)が1.7μmのα―アルミナを用いて、水溶性高分子化合物を含有しない研磨剤組成物を用いた比較例7に対して、同様のアルミナを用いてオキサゾリン基含有重合体を含有する研磨剤組成物を用いた実施例9~12は、研磨速度の向上が認められる。更に具体的に説明すると、水溶性高分子化合物を含有しない研磨剤組成物を用いた比較例7に対して、実施例10は、研磨速度が約2.3倍に向上している。一方、比較例7の研磨剤組成物に市販のポリビニルアルコール(ケン化度=88%、重合度=1800)を添加した研磨剤組成物を用いた比較例9は、比較例7に対して研磨速度が向上しなかった。
平均粒子径(D50)が0.7μmのα―アルミナを用いて、水溶性高分子化合物を含有しない研磨剤組成物を用いた比較例8に対して、同様のアルミナを用いてオキサゾリン基含有水溶性高分子化合物を含有する研磨剤組成物を用いた実施例13は、研磨速度が約2.2倍に向上している。
実施例9は、実施例10に対してオキサゾリン基含有水溶性高分子化合物の含有量が異なる研磨剤組成物を用いた研磨試験結果である。実施例11及び実施例12は、実施例9及び10に対して重量平均分子量が異なるオキサゾリン基含有水溶性高分子化合物を含有する研磨剤組成物を用いた研磨試験結果である。
以上のことから、低屈折率基板の研磨においても、高屈折率基板の研磨においても、研磨剤組成物がオキサゾリン基含有水溶性高分子化合物を含有することにより、研磨後の基板の表面粗さと外観を維持しながら、研磨速度が向上することが明らかである。
本発明の研磨剤組成物は、眼鏡用レンズ等に広く使用されているプラスチックレンズの研磨を効率的に、かつ表面性状を良好にすることに寄与する。

Claims (8)

  1. アルミナと、
    水溶性高分子化合物と、
    水と
    を含有し、
    前記水溶性高分子化合物は、
    重合体の主鎖に下記の化1で示されるオキサゾリン基が結合した、オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物であるプラスチックレンズ用研磨剤組成物。
    Figure 2024060831000006
    (ここで、化1において、R、R、R、Rは、それぞれH、CH、CHCHのいずれか一つである。)
  2. 前記オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物は、
    アクリル系単量体に由来する構成単位とオキサゾリン基含有単量体に由来する構成単位を必須構成単位とする請求項1に記載のプラスチックレンズ用研磨剤組成物。
  3. 前記アクリル系単量体は、
    アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸塩、及びメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載のプラスチックレンズ用研磨剤組成物。
  4. 前記オキサゾリン基含有単量体は、
    2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-ビニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載のプラスチックレンズ用研磨剤組成物。
  5. 前記オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物は、
    ポリエーテルに付加重合性オキサゾリンをグラフト重合させて得られたものである請求項1に記載のプラスチックレンズ用研磨剤組成物。
  6. 前記オキサゾリン基含有水溶性高分子化合物は、
    カルボキシル基及び/またはエステル基を有する重合体にアミノアルコールを反応させて得られたものである請求項1に記載のプラスチックレンズ用研磨剤組成物。
  7. 分散剤を更に含有する請求項1~6のいずれか一項に記載のプラスチックレンズ用研磨剤組成物。
  8. pH値(25℃)は、
    1.0~10.0である請求項1~6のいずれか一項に記載のプラスチックレンズ用研磨剤組成物。

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