JP2024059082A - 二軸配向ポリエステルフィルム、二軸配向ポリエステルフィルムロールおよび、二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルム、二軸配向ポリエステルフィルムロールおよび、二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光沢度の幅方向変動率を高くし、厚み斑のロール巻き外観への影響を緩和可能なポリエステルフィルム、およびポリエステルフィルムの製造方法を提供すること。【解決手段】フィルムの総質量を100質量%として、カーボンブラックを0.1質量%以上5.0質量%以下含有する二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、両表面の60°光沢度がいずれも70以上150以下であり、一方の表面(A面)の60°光沢度の幅方向変動率が2.0%/m以上10.0%/m以下であり、フィルムの厚み斑(R)が1.5%以上10.0%以下である、二軸配向ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、カーボンブラックを含有する二軸配向ポリエステルフィルム、二軸配向ポリエステルフィルムロールおよび、二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法に関するものである。
ポリエステル(特にポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレン2,6-ナフタレンジカルボキシレートなど)樹脂は機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性、成形性に優れ、様々な用途に用いられている。そのポリエステルをフィルム化したポリエステルフィルム、中でも二軸配向ポリエステルフィルムは、その機械的特性、電気的特性、光学特性などから、液晶ディスプレイ用の光学フィルム保護材料、工程支持材料、離型材料、太陽電池バックシート用材料、給湯器モーター用電気絶縁材料、ハイブリッド車などに使用されるカーエアコン用モーターや駆動モーター用などの電気絶縁材料、テープ材料やコンデンサ用材料、包装材料、建築材料、写真用途、グラフィック用途、感熱転写用途などの各種用途に使用されている。
これらの用途の中で、デジタルカメラやレーザービームプリンター、スマートフォン、スマートウォッチ等の電子機器内部に使用されるテープ部材には、デバイス内部における光学的な外乱を抑制するため遮光性が要求されており、黒色ポリエステルフィルムが利用されている。
黒色ポリエステルフィルムとしては、安価で機械特性に優れるポリエステルなどの樹脂に、カーボンブラックをはじめとした黒色顔料を練りこんだものが挙げられ、隠蔽性、耐久性に優れたフィルムとして提案されている(特許文献1、2)。
特開2014-192180公報 特開2014-145046公報
しかしながら、特許文献1、2に記載のカーボンブラックを含有した黒色ポリエステルフィルムでは、遮光性には優れるものの、こういった遮光性を有する黒色ポリエステルフィルムは、外光が黒色ポリエステルフィルムの表面に鮮明に映り込むことから、フィルムとしては厚み斑が認識しにくいものの、巻取ってフィルムロールとすると、透明なフィルムを巻取ったフィルムロールより、黒色フィルムを巻取ったフィルムロールの方が、ロールとして厚み斑に起因する外観の凹凸が目立ちやすく、外観の意匠性が悪いという問題があった。
そこで、本発明は、隠蔽性に優れ、フィルムをフィルムロールとして巻取った際のフィルムロールの外観意匠性に優れた二軸配向ポリエステルフィルム、二軸配向ポリエステルフィルムロール、およびその二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法を提供すること、を課題とする。
かかる課題を解決するための本発明の好ましい一態様は以下のとおりである。
[1]フィルムの総質量を100質量%として、カーボンブラックを0.1質量%以上5.0質量%以下含有する二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、両表面の60°光沢度がいずれも70以上150以下であり、一方の表面(A面)の60°光沢度の幅方向変動率が2.0%/m以上10.0%/m以下であり、フィルムの厚み斑(R)が1.5%以上10.0%以下である、二軸配向ポリエステルフィルム。
[2]前記B面の、60°光沢度の幅方向変動率が0.0%/m以上1.5%/m以下のB面を有する、[1]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[3]前記フィルムは、実質的に単層構成である、[1]または[2]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[4]前記フィルムの光学濃度が6.0以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[5]前記[1]~[4]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムを巻取ってなる二軸配向ポリエステルフィルムロールであって、フィルムロールの幅長さが500mm以上8,000mm以下であり、巻取り長のフィルムの長さが1,000m以上である、二軸配向ポリエステルフィルムロール。
[6]複数種のポリエステル樹脂を未溶融状態で搬送する工程と、前記未溶融状態のポリエステル樹脂を溶融押出し未延伸シートを得る工程と、前記未延伸シートを二軸延伸する工程を有する、[1]~[5]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法であって、前記複数種のポリエステル樹脂は、カーボンブラックを含有するポリエステルフィルムを粉砕したフレーク状のポリエステル樹脂(α)と、ポリエステルをペレタイズしたチップ状のポリエステル樹脂(β)と、前記ポリエステル樹脂(α)を押し固めたペレット状のポリエステル樹脂(γ)である、二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
[7]前記未延伸シートを二軸延伸する工程の後に、さらに、前記フィルムのA面に相当する面のフィルム温度と、前記フィルムのB面に相当する面のフィルム温度の差が5℃以上20℃以下となるように熱処理する工程を有する、[6]に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
本発明によれば、隠蔽性に優れ、フィルムロールとした際のフィルムロールの外観意匠性に優れた二軸配向ポリエステルフィルム、およびその製造方法を提供することができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルム(以下、単にポリエステルフィルムということがある)は、ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂から構成されるポリエステルフィルムである。また、二軸配向とは、直交する二方向に樹脂の分子鎖が配向していることをいい、通常、直交する二方向に延伸することで実現できる。ここで、ポリエステル樹脂を主成分とする、とは、ポリエステルフィルムを構成する樹脂組成物全体に対してポリエステル樹脂が90質量%を超えて含有されていることを指す。また、ポリエステル樹脂とは、カルボン酸構成成分とジオール構成成分とを反応せしめて得られる、主鎖の主要な結合鎖としてエステル結合を有する高分子である。ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂としては、たとえばカルボン酸構成成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカジオン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸を用い、ジオール構成成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの芳香族グリコールを用いたものが挙げられ、具体的には、安価で機械特性に優れることから、ポリエチレンテレフタレート、ポリチレン2,6-ナフタレートが好ましい。これらのポリエステル樹脂は、単独で用いてもよく、他の成分と共重合したものであってもよい。共重合樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2、6-ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のホモ重合体、およびこれらの共重合体が挙げられ、本発明のフィルムを構成するポリエステル樹脂は前記のホモ重合体および共重合体の中から1種類を選択して用いてもよく、ホモ重合体同士、またはホモ重合体と共重合体をブレンドして用いてもよい。
ここでポリエステル樹脂のホモ重合体としては、製膜性の観点からポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2、6-ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸が好ましく、中でも加工性が容易であることからポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2、6-ナフタレート、がより好ましく、製膜性により優れることからポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
また、ポリエステル樹脂の共重合体とは、ポリエステル樹脂全体の50mol%未満を異なるジカルボン酸成分とジオール成分のいずれか、または両方で構成される共重合体のことを示し、ホモ重合体とのブレンドを想定する場合は、対象のホモ重合体と同じ分子構造が全体の50mol%以上を構成する共重合体を用いることが好ましい。
ここでポリエステル樹脂の共重合体としては、重合適性や熱安定性、ホモ重合体との相溶性に優れる観点からジカルボン酸成分として、脂環族ジカルボン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が、ジオール成分としてはブタンジオール、エチレングリコール、スピログリコール、シクロヘキサンジメタノールを共重成分として含むものが好ましく用いられ、これらは単独で用いても、必要に応じて組み合わせて用いてもよい。中でも製膜性を向上させる観点からジカルボン酸成分としてイソフタル酸を共重合体成分として含むものや、ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノールを共重合体成分として含むものがより好ましく用いられる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの総質量を100質量%とするフィルム中に、カーボンブラックを0.1質量%以上5.0質量%以下含有するフィルムである。カーボンブラックの含有量を該範囲とすることで、フィルムに、遮光性、光沢感の意匠性を付与せしめ、フィルムの製造時のフィルム破断を抑制し製膜性を良好なものとすることができる。二軸配向ポリエステルフィルムの遮光性の指標として、光学濃度が、6.0以上であることが好ましい。カーボンブラックの含有量が0.1質量%未満となると、光学濃度が6.0未満となりやすく、高度な遮光性や光沢感を付与することが難しい場合がある。また、カーボンブラックの含有量が5.0質量%を超えると、製膜性が低下しやすくなる。カーボンブラックの含有量は、好ましくは、0.1質量%以上2.8質量%以下であり、さらに好ましくは0.3質量%以上1.5質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以上1.2質量%以下である。
カーボンブラックの種類としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど公知の種類のものを用いることができる。その平均一次粒子径a(nm)が10nm以上150nm以下であると、フィルムの製造時の溶融ポリマーを押出する時に、フィルターのろ過圧が安定し、また、カーボンブラックの過度の凝集を抑制することができ、厚み斑(R)が10.0%を超えにくくなり、外観意匠性とフィルムの二次加工性を高めることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、一方の面(A面)と一方の面とは反対の面(B面)を有する二軸配向ポリエステルフィルムである。一方の面(A面)はフィルムのいずれかの一方の面であり、一方の面とは反対の面(B面)とは特定したA面とは反対の面を言う。本発明は、A面およびB面の構成を規定するものであり、ポリエステルフィルムの層構成、すなわち単層構成でA面とB面を形成するものでも、2層構成や3層構成などの複合構成でA面とB面を形成するものでもいずれでもよい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムのA面およびB面の60°光沢度がいずれも70以上150以下である。該範囲とすることで、光沢性のよい意匠性に優れた遮光性フィルムとすることができる。フィルムA面またはB面の60°光沢度が70よりも低いと、光沢性が低く意匠性が不良となる。また、フィルムA面またはB面の60°光沢度が150より大きい場合には、ロール搬送時のキズが付きやすく、またそのキズも目立つため、光沢度の斑や表面品位が不十分となり意匠性が低下しやすい。フィルム両面の60°光沢度をいずれも70以上150以下とする方法は特に限定されないが、カーボンブラックの添加量の他、その他のフィラーの添加や表面形状形成処理等の従来公知の方法にて達成することができる。また、上記の意匠性の観点から、フィルムA面およびB面の60°光沢度は80以上140以下であるとより好ましく、70以上130以下であるとさらに好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、A面の、60°光沢度の幅方向変動率が2.0%/m以上10.0%/m以下であるフィルムである。該範囲とすることで、フィルムロールとした際のフィルムロールの厚み斑を認識しにくくすることが出来る。上述したとおり、カーボンブラックを含有するフィルムは分散性を向上させようとすると耐熱性が低下しやすくなるため、ポリエステル樹脂の剪断に限界があり、フィルムの厚み斑は発生しやすい。また、剪断力の他、フィルムを製造する際の溶融押出において、樹脂の固有粘度や、樹脂の添加物や異物による流動変動、押出機の濾圧変動や濾圧上昇、フィルターによる目つまり、さらには再生原料の一度結晶化した樹脂特性など様々な要因に起因して厚み斑は発生しやすく、厚み斑は皆無とすることには限界がある。そのため、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの厚み斑(R)が1.5%以上10.0%以下である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、A面の、60°光沢度の幅方向変動率を2.0%/m以上10.0%/m以下とすることで、フィルムロールとせしめた際に、厚み斑が認識しにくくなる。幅方向とは、フィルムを巻取ってなる方向とは垂直な方向をさす。幅方向の長さは、500mm幅以上であることが好ましく、1、000mm以上の幅であることが好ましい。幅の長さの上限は特段に制限されるものではないが、フィルムの製造設備の観点から一般的には8000mm以下であることが好ましい。また、巻き取り長さは、1,000m以上であることが好ましい。巻き取り長さの上限は特段に限定されるものではないが、フィルムの取り扱いのしやすさから、10,000m以下であることが好ましい。光沢度の幅方向変動率とは、後述する測定方法によって説明する。
また、A面の60°光沢度の幅方向変動率を10.0%/m以下にすることにより、電子部材の遮光用途に小サイズで用いる際の外観均一性を良好とでき、近年の小サイズ化著しい電子デバイスの内部に用いられる遮光部材として用いた際の遮光均一性を問題なく実現可能である。
B面の、60°光沢度の幅方向変動率は、0.0%以上1.5%/m以下であることが好ましい。B面の60°光沢度の幅方向変動率を1.5%/m以下とすることにより遮光性の製品として、より大きいサイズや、光学濃度の均一性を高めた遮光部材とすることが可能である。ここでいう幅方向変動率は、上述したA面の幅方向変動率と同様にして求められる。 前記A面およびB面の60°B面の光沢度の幅方向変動率について、B面の60°光沢度の幅方向変動率が0.0%/m以上1.3%/m以下、かつA面の60°光沢度の幅方向変動率が3.0%/m以上9.0%/m以下であることがより好ましく、B面の60°光沢度の幅方向変動率が0.0%/m以上1.0%/m以下、かつA面の60°光沢度の幅方向変動率が4.0%/m以上8.0%/m以下であるとさらに好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、種々の方法で製造することができるが、複数種のポリエステル樹脂を未溶融状態で混合しながら搬送する工程と、前記未溶融状態のポリエステル樹脂を溶融押出し未延伸シートを得る工程と、前記未延伸シートを二軸延伸する工程を有する製造方法で製造することができる。特に、複数種のポリエステル樹脂として、上述した、カーボンブラックを含有するポリエステルフィルムを粉砕したフレーク状のポリエステル樹脂(α)と、ポリエステルをペレタイズしたチップ状のポリエステル樹脂(β)と、前記ポリエステル樹脂(α)を押し固めたペレット状のポリエステル樹脂(γ)とすることが好ましい。このようにポリエステル樹脂(α)、ポリエステル樹脂(β)、ポリエステル樹脂(γ)を併用し、ポリエステル樹脂の組成物間の分級をバラバラにすることで、前記A面の60°光沢度の幅方向変動率を2.0%/m以上10.0%/m以下としやすくすることができる。このようにし、原料搬送工程におけるホッパーの配管内の半径方向に原料のサイズについての段階的な分級を与え、敢えてポリエステル樹脂の分散を不均一化させる方法が好ましい。
また、B面の、60°光沢度の幅方向変動率が0.0%/m以上1.5%/m以下を形成する方法として、B面をキャストドラム上に着地する面とする方法が挙げられる。一般的に、溶融押出しキャストドラム上に着地する面が結晶化を抑制され平滑化されやすく、B面に相当しやすくなる。
上記したポリエステル樹脂(α)、ポリエステル樹脂(β)、ポリエステル樹脂(γ)を併用することで、よりA面の60°光沢度の幅方向変動率が2.0%/m以上10.0%/m以下としやすくすることができる。本発明の光沢度の幅方向変動率は、その値が大きくなるほど幅方向にわたり光沢度の上下変動の差が大きいことを意味している。フィルムロールは巻取った際の厚み斑によりフィルムロールの外径として局所的に大きくなった部分は、外光の映り込みにより厚み斑が認識されやすく、外観意匠性を損なうことになるが、この幅方向変動率が高くなるとその厚み斑が認識されにくくなる傾向がある。一方で光沢度の最大値と最小値との差(公差)は後工程やフィルムが搭載される製品サイズによっては問題とならなかったり、適宜除去することもできる。
このような光沢度の最大値と最小値との差(公差)をより引き起こさせる方法として、カーボンブラックの表面の官能基である-COOHや、=O、-H、-OHなどの官能基により、カーボンブラックがフィルム中に均一に分散されていない状態を作り出す方法があると考えられる。例えば、後述するカーボンブラックを含有するポリエステルフィルムを本発明のフィルムの原料として用いる場合、即ち再生原料を用いる場合は、光沢度の公差がより多くなりやすい傾向がある。これは、一度、溶融状態に付されたポリエステル樹脂の分子とカーボンブラックの官能基が何らかの反応を起こしているため、ポリマー中でカーボンブラックの分散性が若干悪化しやすくなっているものと考えられる。
本発明のポリエステルフィルムは、上述したとおり、A面およびB面をフィルムとして形成していればよいが、実質的に単層構成であることが好ましい。本態様とすることにより、電子部材の小サイズ化により、フィルムの単位面積当たりの加工量が増える中、フィルムが複数層で構成されると、その層が剥がれるといった不具合を抑制することができる。また、単層構成であると、本発明を自己再生原料とする場合に、組成分析が把握しやすく、また、主成分とするポリマーが特定しやすく、結晶性や、劣化具合を把握しやすい。
なお、実質的に単層構成である、ということは、日本ミクロトーム研究所製電動ミクロトームST-201を用いて断面切削したフィルムのスライス片を透過光顕微鏡で観察したときに層境界が確認されないか、観察された場合であってもフィルム厚みに対して95%以上の厚みの層が存在する場合をいう。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルムの長手方向(MD方向)、および幅方向(TD方向)における破断強度が、120MPa以上であることが好ましく、さらに好ましくは150MPa以上である。ここで言う、フィルムの長手方向とは、フィルムを製造する際の流れ方向をいい、フィルムロールとした際に、フィルムを巻き出す方向を意味する。また、幅方向とは、長手方向とは垂直な方向をさす。前記の好ましい範囲とすることにより、打ち抜き製品とした際の製品のカール等の不具合を抑制することができる。
また、後述のTD方向の延伸後熱処理を行う最初のゾーンにてフィルム表裏の熱処理温度差を特定の範囲とする方法を用いることで製品のカールの発生を抑制することができる。具体的には、上述した未延伸シートを二軸延伸する工程の後に、さらに、前記フィルムのA面に相当する面のフィルム温度と、前記フィルムのB面に相当する面のフィルム温度の差が、5℃以上20℃以下となるように熱処理する方法が挙げられる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、幅長さが500mm以上8,000mm以下であることが好ましく、また巻き取りのフィルムの長さが1,000m以上であることが好ましく、このフィルムを巻き取り二軸配向ポリエステルフィルムロールとすることができる。
(フィルムの製造方法)
次に本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について、好ましい態様について具体例を挙げて説明する。なお、本発明のフィルムは下記の製法により得られたものに限定されるものではない。
使用する原料となるポリエステル樹脂は、水分率が50ppm以下となるように真空乾燥した後、原料ホッパーに投入し、単軸押出機まで未溶融状態で搬送する。前記ポリエステル樹脂は、特段に限定されるものではないが、カーボンブラックを含有するポリエステルフィルムを粉砕したフレーク状のポリエステル樹脂(α)と、ポリエステルをカットしてペレタイズしたチップ状のポリエステル樹脂(β)と、前記フレーク状のポリエステル樹脂(α)を押し固めたペレット状のポリエステル樹脂(γ)との混合物する。
ポリエステル樹脂(α)は、一度、フィルム状に形成されたフィルム屑があげられる。そのようなフィルム屑としては、製品とならない端部位置のフィルムや、表面の機能層や異物などを取り除いたフィルムがあげられる。
ポリエステル樹脂(β)は、ポリエステルがチップ状に形成されたものである。
ポリエステル樹脂(γ)は、前記フレーク状のポリエステル樹脂(α)を、完全には溶けないが熱融着し加圧し粒状に押し固めたペレット状にしたものである。
これらの異なるポリエステル樹脂を併用し、搬送工程における配管内の半径方向に段階的なサイズに関する分級を与えることが好ましい。カーボンブラックを含有するポリエステル樹脂は、比重が重くなるため、自重で落下しやすくなる。原料搬送工程中のホッパーが下部に垂れ下がる形状、例えば、円錐のようになっている場合、原料供給のホッパーの中で、これら3種の安息角の異なるポリエステル樹脂は原料ホッパーの円周部に分級して分布し易く、半径方向に濃度分布を形成させることが可能となる。
ポリエステル樹脂(α)、ポリエステル樹脂(β)、ポリエステル樹脂(γ)の安息角の比は、特段限定されるものではないが、ポリエステル樹脂(β)を基準として、ポリエステル樹脂(α):ポリエステル樹脂(β):ポリエステル樹脂(γ)が、4.5~10.0:1:1.5~4.5の範囲とすることが好ましい。安息角とは、数値が小さいほど原料ホッパー内で流動性がよいと言える指標であり、当該範囲とすることで、原料供給の円管中でポリエステル樹脂(α)が円周部に分布し易くなり、半径方向に濃度分布を形成させることがより容易となる。
ポリエステル樹脂(α)とポリエステル樹脂(γ)のフィルムを構成する配合量の合計は、フィルムを構成するポリエステル樹脂に対して、20質量%以上50質量%以下が好ましい。ポリエステル樹脂(α)とポリエステル樹脂(γ)の配合量の合計をこの範囲とすることで、本発明のA面の光沢度の幅方向変動率としやすくなる。なかでも、ポリエステル樹脂(α)とポリエステル樹脂(γ)の含有量の合計を、ポリエステル樹脂全体の25質量%以上とすると、A面の光沢度の幅方向変動率が上昇しやすく好ましい。また、ポリエステル樹脂(α)とポリエステル樹脂(γ)の含有量比、ポリエステル樹脂(α)の配合量(質量%)/ポリエステル樹脂(γ)の配合量(質量%)が0.5以上であると、A面の光沢度の幅方向変動率を上昇させやすい傾向があり、ポリエステル樹脂(α)の配合量(質量%)/ポリエステル樹脂(γ)の配合量(質量%)は好ましくは1.0以上である。また、ポリエステル樹脂(α)の配合量(質量%)/ポリエステル樹脂(γ)の配合量(質量%)が0.5%未満の場合は、A面の光沢度の幅方向変動率が低下する場合がある。
また、前記ポリエステル樹脂(α)とポリエステル樹脂(γ)の合計100質量%中に含まれる、カーボンブラックの平均含有量をa(質量%)、チップ原料100質量%に含まれるカーボンブラックの平均含有量をb(質量%)としたとき、|a-b|は5.0以上10.0質量%以下であることが好ましい。当該範囲とすることで、本発明の目的とする幅方向で光沢度の分布を持つフィルムを製造しやすい。なお、ポリエステル樹脂(β)は、本発明の効果を阻害しない範囲でカーボンブラックが含まれていてもよい。
また、前記ポリエステル樹脂(α)を、カーボンブラックを含有するポリエステルフィルムを粉砕して得たものとすることで、本発明の幅方向の光沢度に分布を持たせやすくすることができる。
次に、上記ポリエステル樹脂(α)、ポリエステル樹脂(β)、ポリエステル樹脂(γ)を未溶融状態から、押出機入り口へと搬送し溶融状態とさせる。押出機内のポリエステル樹脂の温度は265℃~295℃に制御することが好ましい。本発明は、ポリエステル樹脂(α)、ポリエステル樹脂(β)、ポリエステル樹脂(γ)の分散を、特に、形状を調整することで、ポリエステルフィルム原料を未溶融状態で搬送する際において、直管における円断面にて半径方向に分布させることで、光沢度の幅方向変動率を本発明の範囲としやすくなる。次に溶融したポリエステル樹脂を、押出口(ダイ)から回転する冷却ドラム上へと溶融押出し、冷却固化せしめて未延伸(未配向)シートを作製する。冷却固化する際は、フィルムの厚み斑が本発明の範囲となるよう、静電気を印加して溶融したポリエステル樹脂を冷却ドラム上に密着固化させることが好ましい。未延伸シートの厚みは、1000μm以上2500μm以下とすることが好ましい。該範囲であることで、幅方向の光沢度変動率を満たしやすくすることができる。
この未延伸フィルムを冷却ドラムから剥がし、未延伸フィルムを加熱されたロールで予熱し、必要に応じて、赤外線で未延伸フィルムをポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)以上に加熱し、後工程の延伸をしやすくする。延伸工程は、フィルムの走行方向である長手方向(MD方向)またはその垂直方向である幅方向(TD方向)に延伸し一軸延伸とした後、その延伸方向とは異なる垂直方向、すなわち、先に長手方向(MD方向)に延伸した場合は、その垂直方向である幅方向(TD方向)に延伸し、二軸延伸する。この逐次二軸延伸の場合、長手方向(MD方向)の延伸はフィルムに対向して配置される2対以上のロール群を用い周速差を利用して延伸する。長手方向(MD方向)延伸倍率は1.5~3.8倍が好ましい。長手方向(MD方向)延伸倍率を1.5倍以上、より好ましくは2.0倍以上、さらに好ましくは2.8倍以上とすることで、機械特性に優れたフィルムを得ることができる。また、長手方向(MD方向)延伸倍率を3.8倍以下、より好ましくは3.5倍以下とすることで、製膜中の破断の発生を防ぐことができる。また、長手方向(MD方向)の延伸時のフィルムの温度は、フィルムのTg以上Tg+20℃以下であることが均一な延伸を達成しつつロール粘着を抑制する観点から好ましい。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。
幅方向(TD方向)の予熱および延伸は、ステンターと呼ばれるオーブンの中で行われ、予熱および延伸温度はポリマーのガラス転移温度Tgに対して、Tg以上、Tg+50℃以下で行うのが好ましい。TD延伸の倍率は、2.5~3.9倍が好ましい。2.5倍以上、より好ましくは3.0倍以上とすることで、機械特性に優れたフィルムを生産効率高く得ることができる。3.9倍以下、より好ましくは3.5倍以下とすることで、製膜中の破断の発生を抑制することができる。また、幅方向(TD方向)の延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。
さらに、二軸延伸の後にフィルムに熱処理を付与する。この熱処理は横延伸同様オーブンの中で行われ、加熱したロール上にフィルムを通過させる方法など従来公知の任意の方法により行うことができる。熱処理の温度は150℃以上240℃以下とするとフィルムとした際の高い寸法安定性を付与することができる。熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは5秒以上60秒以下、より好ましくは10秒以上40秒以下、最も好ましくは15秒以上30秒以下で行うのがよい。幅方向(TD方向)の延伸を行った後、熱処理で高温となる最初のゾーンにおいて、フィルムの表裏温度設定に5℃以上20℃以下の温度差をもたらすことも好ましい。本設定条件とすることにより、クリップを介してフィルム表裏で熱伝導のある端部付近と幅方向の中央付近で延伸実温に傾斜をもたらすことができ、前述のフィルム幅方向(TD方向)において意図的に原料分布を不均一としたことによる幅方向機械強度の不均一を相殺する方向にバランス化することができる。とくに、前記フレークとして、一度製膜済みの二軸配向ポリエステルフィルムを粉砕したフレークを用いる場合に、意図的に原料分布を不均一にすると幅方向の機械強度の不均一が大きくなりやすいので、幅方向(TD方向)の延伸を行った後、熱処理で高温となる最初のゾーンにおいて、フィルムのA面に相当するフィルム温度と、フィルムB面に相当する面のフィルム温度の差が5℃以上20℃以下とするように熱処理をすることにより、幅方向機械強度、特に破断強度の変動率を抑制することが可能である。
熱処理を行った後に、幅方向(TD方向)、あるいは長手方向(MD方向)に3~15%の弛緩処理を行うことが好ましい。その後、均一に徐冷後、室温まで冷却し、ロールに巻き取る。
またここでは逐次二軸延伸法によって延伸する場合を例に詳細に説明したが、同時に長手方向(MD方向)、幅方向(TD方向)に延伸する、同時二軸延伸法を採用してもよい。
本発明のポリエステルフィルムは、遮光性に優れ、フィルムロールとした際のフィルムロールの外観意匠性が良好であり遮光部材として好適に使用することができる。
(物性の測定法)
(1)厚み(μm)、厚み公差(μm)、厚み斑(R)(%)
フィルムロールから幅方向に全幅分と、長手方向に500mm採取し、測定用の試料(大)とした。この試料(大)内の幅方向の端部から他方の端部まで10mm間隔で10mm×10mm角のマス目を描き、10mm間隔に満たないものは除外し、任意の幅方向の一列について、その10mm角となるよう日本ミクロトーム研究所製電動ミクロトームST-201を用いて断面を切削し、採取した全てのn個の10mm角の切断葉を、試料(小)とした。この試料(小)n個について、透過光顕微鏡で各試料(小)の任意点を観察し、全n個の各厚み(μm)を計測し、計測した小数点下2桁を四捨五入し、小数点下一桁で求めた。その各厚み(μm)の総和をnで割返し平均値を算出し、その平均値を小数点下1桁を四捨五入しフィルム厚み(μm)とした。
上記で測定した計n個の厚みの 最大となる値と、最小となる値の差である、(最大値)-(最小値)より算出した値を厚み公差(μm)をフィルム厚みで割返し100分率にし、小数点下2桁を四捨五入し厚み斑(R)(%)とした。
(2)カーボンブラック含有量(質量%)
上記(1)の試料(大)から、フィルム片5mgとなるよう切り出し、示差熱分析装置(TAインスツルメント製(型番Q5000IR)に設置し、空気中、2℃/分の昇温速度にて室温から1000℃まで昇温した。その時の550℃から900℃の間での質量減少(質量%)をカーボンブラックの減量として解析した。質量減量率0.3%以下は装置検出誤差範囲内である。
(3)60°光沢度、60°光沢度の幅方向変動率、60°光沢度の表裏差
(1)で用いた試料(大)から(1)同様に、試料(大)内の幅方向の端部から他方の端部まで10mm間隔で10mm×10mm角のマス目を描き、10mm間隔に満たないものは除外し、任意の幅方向の一列について測定する。それぞれ、JIS-Z-8741(1997年)に規定された方法に従って、スガ試験機製デジタル変角光沢度計UGV-5Dを用いて60°における光沢度を5回測定し、平均値を求め小数点下二桁を四捨五入して、1マス目毎の60°光沢度(M)とした。この60°光沢度(M)を全n個から求め、各60°光沢度(M)を総和しnで割返し、小数点下一桁を四捨五入したものを、60°光沢度(c)とした。また、1マス目毎の60°光沢度(M)のうち、最大値となる60°光沢度(M)を、最大60°光沢度値(a)とし、最小値となる60°光沢度(M)を、最小60°光沢度(b)とした。さらに、その最大60°光沢度(a)を有するマス目の中心点と、最小60°光沢度(b)を有するマス目の中心点の距離をダイヤルゲージ(ミツトヨ社製“No2110S-10”)で小数点下4桁を四捨五入し、それを単位m換算し変動幅(I)とし、60°光沢度(c)から下記式を基に幅方向変動率を求め、光沢度の幅方向変動率とした。
光沢度の幅方向変動率(%/m)=[最大60°光沢度(a)-最小60°光沢度(b)]÷60°光沢度(c) ×100 ÷変動幅(I)
また、他方の面についても、上記で測定した10mm角のマス目状の同一の幅方向の一列を裏面側から同様に測定し、各60°光沢度(M)、60°光沢度(c)と、最大60°光沢度(a)最小60°光沢度(b)、変動幅(I)、光沢度の幅方向変動率を求めた。
上記の一方の面の、光沢度の幅方向変動率と、他方の面の、光沢度の幅方向変動率を比較し、大きい光沢度の幅方向変動率を有する面をA面とし、A面とは反対の他方の面をB面とした。
(4)フィルムロールの外観意匠性
フィルムロールを外周方向に回転させながら、目視にて厚み斑が認識できるか否かを確認した。次に、そのフィルムロールをキタノ企画(株)製バルク形状測定器を用いてフィルムロールを幅方向にロール形状を測定し、直径の変動を表す曲線を求める。任意の点から幅方向全幅測定し、その曲線の両端を結んで得られた直線に凸部から垂直に引いた線が交差する最大となる凸部およびその距離をダイヤルゲージ(ミツトヨ社製“No2110S-10”)で調べ小数点下1桁を四捨五入して求めた。これを上記の任意点を基準にしてフィルムロールの円周方向120°、240°の位置でも同様にして頂部およびその距離を調べ、計3点の頂部において、各々の頂部からフィルムロールの円周方向に白色マーカーでマーキングをした。全てのマーキングにおいて、前記幅両端を結んで得られた直線から頂部までの距離が300μmを超えるフィルムロールを下記にて評価を行った。
◎:フィルムロールの厚み斑は認識できなかった。
○:フィルムロールの厚み斑が認識でき、いずれか1つのマーキング上に認識できた。
△:フィルムロールの厚み斑が認識でき、いずれか2つのマーキング上に認識できた。
×:フィルムロールの厚み斑が認識でき、全てのマーキング上に認識された。
(5)加工性
ロールtoロールでの連続打ち抜き機により打ち抜き加工を行い、作製した30×80mmの長方形のピース100個についてカールの状態を以下の基準で評価し、△以上を合格とした。
◎:打ち抜いたピースにカールが見られない。
〇:カールが生じたピースが1個以上5個以下である。
△:カールが生じたピースが6個以上10個以下である。
×:カールが生じたピースが11個以上である。
(6)遮光製品の外観
(5)で作成したピース100個について、黒色の外観を目視比較した結果を以下の基準で評価し、△以上を合格とした。
◎:100個中すべてのピースに目視で確認できる黒色の光沢度斑が無かった。
〇:100個中1個以上5個以下のピースに目視で確認できる黒色の光沢度斑があった。
△:100個中6個以上10個以下のピースに目視で確認できる黒色の光沢度斑があった。
×:100個中11個以上のピースに目視で確認できる黒色の光沢度斑があった。
(7)光学濃度(遮光性)
(1)の測定試料(小)で測定した列の各マス目毎に下記の方法にて測定した。得られた50点の光学濃度の測定値を小数点1桁まで測定し、その平均値を小数点下2桁で四捨五入し光学濃度とした。
<光学濃度測定方法>
光学濃度計(株式会社システムロード製、DD8)を用い、試料に垂直透過光束を照射して、試料が無い状態との比をlog(対数)で表したものを光学濃度とした。光束幅は直径1mmの円形、もしくは、それ以上の広さのものとした。
<遮光性>
上記により求めた光学濃度により、以下の基準で評価した。
○:光学濃度が6.0以上
△:光学濃度が6.0未満。
(8)ポリエステル樹脂の安息角
本発明の各実施例および各比較例で用いるポリエステル樹脂を、JIS R9301-1-2(2013)に準拠し安息角を測定した。
〔ポリエステル樹脂の調整〕
・PET-β1:ポリエチレンテレフタレート樹脂(チップ状)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール57.5質量部、酢酸マグネシウム2水和物0.03質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を150℃、窒素雰囲気下で溶融した。この溶融物を撹拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、リン酸0.005質量部をエチレングリコール0.5質量部に溶解したエチレングリコール溶液(pH5.0)を添加した。このときのポリエステル組成物の固有粘度は0.2未満であった。この後、重合反応を最終到達温度285℃、真空度0.1Torrで行い、重縮合反応終了後、重縮合反応容器下部の小孔から円柱状にポリマを押出し、切断して、固有粘度0.65dl/g、末端カルボキシル基量が34当量/トンのチップ状のポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET-β1)とした。
・PET-β2:カーボンブラックマスターバッチ(チップ状)
上記1.項によって得られたポリエチレンテレフタレート95質量%と、一次粒径18nmのファーネス法によって製造されたカーボンブラック5質量%を、ベントした280℃の押出機内で溶融混練し、これを混練下部の小孔から円柱状にポリマを押出し、PET-β1同様にしてチップ状のカーボンブラックのマスターバッチを作製した。PET-β1およびPET-β2の安息角は同一であった。これをカーボンブラックを含有するポリエチレンテレフタレート樹脂(PET-β2)とした。
・PET-α:ポリエチレンテレフタレート樹脂(フレーク状)
(ポリエステルフィルムの製造:比較例1)
PET-β1およびPET-β2を、表1に示す割合で原料ホッパー内でブレンドした後、窒素雰囲気下、ベント式押出機(L/D=28)に供給した。280℃で真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、290℃に設定したフィルターで濾過した後、280℃に設定したTダイの口金から溶融押出して表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、キャストドラムの回転速度を6.0m/分とし未延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、90℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、ステンターに導き、延伸温度95℃、延伸倍率3.6倍でフィルムの幅方向に延伸し、熱処理ゾーンの温度をフィルムの上面を232℃、下面を225℃として6秒間熱処理を行ったあと、幅方向両端部を全幅の15%ずつトリミングして除去し、フィルムの厚みが250μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムをロール状に巻き取り、二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロールを得た。フィルムロールは、幅800mm、長さ5,000mであった。得られた二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロールの評価結果を表2に示す。
次に、この二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロールからフィルムを巻だし粉砕し、フレーク状にしてポリエステル樹脂を得た。これをPET-αとした。
・PET-γ:ポリエチレンテレフタレート樹脂(ペレット状)
PET-αを融着加圧し、ペレット状のポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。これを、PET-γとした。
(ポリエステル樹脂の安息角)
PET-α、PET-β(PET-β1およびPET-β2のいずれも),PET-γの安息角の比は、〔PET-αの安息角〕/〔PET-γの安息角〕は3.0、〔PET-γの安息角〕/〔PET-βの安息角〕は2.2であった。
(実施例1)
ポリエステル樹脂として、PET-β1、PET-β2、PET-α、PET-γの含有量をそれぞれ、表1に記載の原料配合量とすること以外は、比較例1と同様にして厚み250μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得、これを巻取って二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロールとした。得られた二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロールの評価結果を表2に示す。
(実施例2~8、14~16 比較例2~4)
表1に記載の原料配合、条件にて、実施例1と同様にして厚み250μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィムロールを得た。評価結果を表2に示す。
(実施例9)
表1に記載の原料配合にてキャストドラムの回転速度を8.0m/分とした以外は実施例1と同様にして厚み250μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィムロールを得た。評価結果を表2に示す。
(実施例10)
表1に記載の原料配合にてキャストドラムの回転速度を7.0m/分とした以外は実施例1と同様にして厚み250μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィムロールを得た。評価結果を表2に示す。
(実施例11)
表1に記載の原料配合にて、熱処理ゾーンの温度をフィルム上面が240℃、下面を225℃とした以外は実施例1と同様にして厚み250μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィムロールを得た。評価結果を表2に示す。
(実施例12)
表1に記載の原料配合にて、熱処理ゾーンの温度をフィルム上面が227℃、下面を225℃とした以外は実施例1と同様にして厚み250μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィムロールを得た。評価結果を表2に示す。
Figure 2024059082000001
Figure 2024059082000002

Claims (7)

  1. フィルムの総質量を100質量%として、カーボンブラックを0.1質量%以上5.0質量%以下含有する二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、両表面の60°光沢度がいずれも70以上150以下であり、一方の表面(A面)の60°光沢度の幅方向変動率が2.0%/m以上10.0%/m以下であり、フィルムの厚み斑(R)が1.5%以上10.0%以下である、二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 前記A面とは反対の表面(B面)の、60°光沢度の幅方向変動率が0.0%/m以上1.5%/m以下である、請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 前記フィルムは、実質的に単層構成である、請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 前記フィルムの光学濃度が6.0以上である、請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 前記請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルムを巻取ってなる、二軸配向ポリエステルフィルムロールであって、フィルムロールの幅長さが500mm以上8,000mm以下であり、巻き取り長のフィルムの長さが1,000m以上である二軸配向ポリエステルフィルムロール。
  6. 複数種のポリエステル樹脂を未溶融状態で混合しながら搬送する工程と、前記未溶融状態のポリエステル樹脂を溶融押出し未延伸シートを得る工程と、前記未延伸シートを二軸延伸する工程を有する、請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法であって、前記複数種のポリエステル樹脂は、カーボンブラックを含有するポリエステルフィルムを粉砕したフレーク状のポリエステル樹脂(α)と、ポリエステルをペレタイズしたチップ状のポリエステル樹脂(β)と、前記ポリエステル樹脂(α)を押し固めたペレット状のポリエステル樹脂(γ)である、二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
  7. 前記未延伸シートを二軸延伸する工程の後に、さらに、前記フィルムのA面に相当する面のフィルム温度と、前記フィルムのB面に相当する面のフィルム温度の差が、5℃以上20℃以下となるように熱処理する工程を有する、請求項6に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
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