JP2024057587A - 蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムおよびそれを用いた蓄電デバイス用外装材 - Google Patents

蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムおよびそれを用いた蓄電デバイス用外装材 Download PDF

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Abstract

【課題】滑り性に優れて製膜およびラミネート工程での皺やエアー巻き込みによるツブ欠点による巻き姿の欠点がなく、また製膜時の口金リップ汚れや工程ロールの汚れもなくて工程通過性に優れ、ヒートシール強度およびラミネート強度が高く、ラミネート後にエージングしても巻き締まりによるリング状の欠点がなく、フィルム表面の滑剤量を適切な範囲内に維持できて絞り成型の金型汚れがなく、易滑性、ヒートシール性、ラミネート性、絞り成型性に優れた蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムおよびそれを用いた蓄電デバイス外装材を提供する。【解決手段】表層A/基材層B/表層Cの3層積層フィルムであって、表層Aがエチレン・プロピレンランダム共重合体を主成分として、平均粒子径が4μm超の粒子を6000ppm超含有し、基材層Bがプロピレン系共重合体を主成分として、平均粒子径が4μm超の粒子を含有し、その含有量が上記表層Aの平均粒子径が4μm超の粒子含有量未満であり、表層Cはエチレン・プロピレンランダム共重合体を主成分とする蓄電デバイス外装材用シーラントフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルムの滑り性、成形性、ヒートシール強度、ラミネート強度に優れた蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムおよびそれを用いた蓄電デバイス外装材に関する。
蓄電デバイス外装材として、シーラントフィルムとポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやナイロン(Ny)フィルム、特に延伸PETフィルムや延伸ナイロンフィルム(ONy)、およびアルミニウム箔を積層した外装材が広く知られている。
蓄電デバイス用外装材に用いられるシーラントフィルムには一般的に粒子や有機滑剤が添加されており、粒子により表面突起を形成し、有機滑剤がフィルム表面に滲み出す(ブリードアウト)ことで良好な滑り性を発現して、絞り成型性が良好となっている。従来のシーラントフィルムにおいては、製膜工程において、滑剤による工程ロールの汚染や、巻取り時の皺やエアー巻き込みによるツブ欠点による巻き姿不良や、該シーラントフィルムに接着剤を介して延伸PETフィルムやONyなどのフィルム、アルミニウム箔などと貼り合わせる工程で、滑剤による工程汚染が起こり、また、接着剤を硬化させるために一定以上の温度をかけてエージングすると、フィルム表面に滲み出た有機滑剤(とくに、脂肪酸アミド系滑剤)によってシール強度の低下や、ラミネート構成でのラミネート強度が低下し、また、絞り成型時にシール層表面の滑剤や樹脂によって金型汚染が起こる問題があった。
上記の問題により、絞り成型で易滑性とヒートシール強度およびラミネート強度が求められる蓄電デバイス外装材用途などで満足に使用できないことがあり、シーラントフィルムに他のフィルム等をラミネートして積層体とし、40℃以上60℃未満でエージングされる場合にあっても、他のフィルムとの高いラミネート強度を有し、また、そのフィルム表面が、良好な滑り性を有し、金型汚染がなくて良好な絞り成型性を有することが望まれていた。
このような要望に関して、特許文献1には、積層フィルムが開示されているが、非相溶粒子の粒径が小さく、また、粒子含有量が少ないために滑り性に劣り、製膜工程およびラミネート工程において、フィルムをロール状に巻く取る際に皺やエアー巻き込みによるツブ欠点による巻き姿不不良や、絞り成型時の皺や成型不良による歩留まりが悪くなるという問題があった。
また、特許文献2には、樹脂組成物が開示されているが、粗面化材として添加した高密度ポリエチレンパウダーでは滑り性改善が不足で、上記特許文献1と同じく製膜工程およびラミネート工程において、フィルムをロール状に巻く取る際に皺やエアー巻き込みによるツブ欠点による巻き姿不不良や、絞り成型時の皺や成型不良による歩留まりが悪くなるという問題があった。
このように蓄電デバイス外装材用のシーラントフィルムとして、ヒートシール性、絞り成型性、滑り性、ラミネート強度等の特性が高いレベルでバランス良く優れていることが求められるが、従来のシーラントフィルムは、近年の高い要求に対し必ずしも満足できるものではなかった。とくに近年、厳しい条件下での易滑性とラミネート強度および絞り成型性が要求に対して満足する蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムは見当たらなかった。
特開2019-61938号公報 特開2020-11409号公報
そこで本発明の課題は、滑り性に優れて製膜およびラミネート工程での皺やエアー巻き込みによるツブ欠点による巻き姿の欠点がなく、また口金リップ汚れやロール汚れもなくて工程通過性に優れ、ヒートシール強度およびラミネート強度が高く、長時間エージングしても巻き締まりによるリング状の欠点がなく、フィルム表面の滑剤量を適切な範囲内に維持できて絞り成型の金型汚れがなく、易滑性、ヒートシール性、ラミネート性、絞り成型性に優れた蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムおよびそれを用いた蓄電デバイス外装材を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムは、以下のとおりとした。
表層A/基材層B/表層Cの3層積層フィルムであって、表層Aがエチレン・プロピレンランダム共重合体を主成分として、平均粒子径が4μm超の粒子を6000ppm超含有し、基材層Bがプロピレン系共重合体を主成分として、平均粒子径が4μm超の粒子を含有し、その含有量が上記表層Aの平均粒子径が4μm超の粒子含有量未満であり、表層Cはエチレン・プロピレンランダム共重合体を主成分とする蓄電デバイス用外装材用シーラントフィルム。
また、上記記載の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムを用いた蓄電デバイス外装材である。
本発明によれば、フィルム表面に特定範囲の平均粒子径を有する粒子と含有量および特定の酸化防止剤と有機滑剤を適切な範囲の量に含有する蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムとすることにより、フィルムの製膜性および工程通過性に優れ、フィルムの滑り性、ヒートシール性、ラミネートに優れ、絞り成型性の良好な蓄電デバイス外装材を提供することができる。
本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムは、表層A/基材層B/表層Cの3層積層フィルムであって、表層Aがエチレン・プロピレンランダム共重合体を主成分として、平均粒子径が4μm超の粒子を6000ppm超含有し、基材層Bがプロピレン系共重合体を主成分とし、平均粒子径が4μm超の粒子を含有し、その含有量が上記表層Aの平均粒子径が4μm超の粒子含有量未満であり、表層Cはエチレン・プロピレンランダム共重合体を主成分とする蓄電デバイス用外装材用シーラントフィルムである。
表層A
上記表層Aは、蓄電デバイス用外装材として用いたときの最内層となり、絞り成型時に金型に直接接触する層となる。そのため、表層Aには絞り成型時の金型との滑り性と、耐金型汚染性が求められる。また、製膜工程において、口金のリップ部への目ヤニ付着による製膜性改善が求められる。
上記要求に対して、表層Aには、エチレン・プロピレンランダム共重合体を主成分として、平均粒子径が4μm超の粒子を6000ppm超含有することが重要である。
上記エチレン・プロピレンランダム共重合体を主成分とは、表層Aの樹脂組成に対して50質量%以上含有することを言う。エチレン・プロピレンランダム共重合体の含有量が50質量%未満では、ヒートシール強度が低下することがある。
上記エチレン・プロピレンランダム共重合体は、プロピレンに、α-オレフィンを少なくとも1種以上、1~10質量%共重合したものであり、α-オレフィンとしては、エチレン、ブテン、オクテンなどが挙げられるが、滑り性とヒートシール性からエチレンとの共重合体のエチレン・プロピレンランダム共重合体が好ましい。
上記エチレン・プロピレンランダム共重合体の230℃でのメルトフローレート(以下、MFRと略称することがある)が2~10g/10分、融点は130~150℃の範囲とすることが、後記する基材層Bとの均一な積層性が良く、ヒートシール強度、滑り性、絞り成型性を両立できて好ましい。
上記エチレン・プロピレンランダム共重合体以外に配合される樹脂は、ホモポリプロピレン、エチレン・プロピレンブロック共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン・α-オレフィン共重合体、および、プロピレン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種以上のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
上記表層Aに含有される粒子は平均粒子径が4μm超であり、好ましくは5~20μの範囲である。平均粒子径が4μm以下ではフィルム表面の突起形成が不十分で滑り性に劣り、そのため、粒子や有機滑剤を多量に添加して滑り性を補おうとすると、工程汚染やヒートシール強度が低下する問題が起こる。
上記平均粒子径が4μm超の粒子含有量は6000ppm超であり、好ましくは8000~30000ppmの範囲である。粒子含有量は6000ppm以下ではフィルム表面の突起形成数が少なく滑り性が不十分であり、成型金型との摩擦が大きくなって、成型時に皺や白化が発生して絞り成型性が悪化することがある。
上記平均粒子径が4μm超の粒子は、無機粒子および有機粒子が挙げられる。該無機粒子としては、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム等が挙げられ、有機粒子としては、架橋ポリスチレン(PS)、架橋ポリメチルメタクリレート(PMMA)、架橋高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。なお、平均粒子径が4μm以下の粒子をヒートシール強度が低下しない範囲で含有してもよい。
上記粒子は、フィルム製膜時に押し出し機に樹脂と一緒に直接混合することができるが、粒子の分散性から、予め、二軸押出機を用いてベース樹脂と粒子を混練りしてマスターチップを作成して、フィルム製膜時に混合することが好ましい。
上記表層Aのフィルム表面平均粗さRaは0.08μm以上、好ましくは0.1~0.4μmの範囲である場合に、フィルムの滑り性がよく、製膜時およびラミネート加工時の工程通過性が良好となるので好ましい。
粗さ曲線要素に基づく0.3μm以上のピークカウントは100個/10mm以上、好ましくは200個/10mm以上、より好ましくは300個/10mm以上である。100個/10mm未満では対金属滑り性、絞り成型性が悪化する。上限は800個/10mm以下が好ましい。800個/10mmを超えると、フィルム表面の凸部が脱落して、絞り成型時に金型を汚染することがある。
上記表層Aには、ヒンダードフェノール系とホスファイト系の両機能を併せ持つ酸化防止剤、または、ヒンダードフェノール系とホスファイト系の両機能を併せ持つ酸化防止剤とアクリル酸系酸化防止剤と混合した酸化防止剤を、300~3000ppm含有することが好ましい。
上記ヒンダードフェノール系とホスファイト系の両機能を併せ持つ酸化防止剤としては、例えば、6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]-ジオキサホスフェピンが挙げられ、アクリル酸系酸化防止剤としては、例えば、アクリル酸2[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルを挙げることができる。上記酸化防止剤を含有することにより、フィルム製膜の押出時の熱分解抑制と粒子添加による口金汚れ抑制(目ヤニ状の樹脂劣化物付着)や、40℃でのエージングでのフィルムの酸化劣化抑制に効果を発揮することから好ましい。上記ヒンダードフェノール系とホスファイト系の両機能を併せ持つ酸化防止剤、または、アクリル酸系酸化防止剤と混合した酸化防止の含有量が300ppm未満では含有効果がみられないことがあり、2000ppmを超えるとフィルム表面にブリードアウトしてヒートシール強度が低下することがある。
表層Aは、脂肪酸アミド系滑剤を200~1000ppm含有することが好ましい。脂肪酸アミド系滑剤の含有量が200ppm未満では滑り性が悪くなることがあり、1000ppmを超えると溶融押出時に熱飛散が多くなり製膜工程を汚して製膜性の悪化や、成型時の金型を汚染して成型歩留まりが悪化することがあり、ヒートシール強度も低下することがある。
上記脂肪酸アミド系滑剤とは、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ベヘン酸アミド等が好ましく挙げられ、特にエルカ酸アミドが、本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムで用いる樹脂組成への分散性と、滑り性の発現性から、好ましい。
上記表層Aの表面滑剤量は、40℃・7日エージング後で2~10mg/mの範囲、および、40℃・30日エージング後で5~20mg/mの範囲が好ましい。上記表面滑剤量が40℃・7日エージング後で2mg/m未満では、フィルムの巻取り性が悪化することがあり、巻き皺や噛み込みエアーによるツブ欠点ができやすくなることがある。一方、10mg/mを超えるとフィルムの巻きずれが起こりやすくなることがある。また40℃・30日エージング後で5mg/mの未満では、成型時に金型との摩擦が大きくなって皺や破れが起こりやすくなることがあり、20mg/mを超えるとラミネート工程や成型時の金型に滑剤が付着して工程汚染が起こる場合がある。
基材層B
本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムにおいて、基材層Bは、エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体等のプロピレン系共重合体を主成分とし、プロピレン系エラストマー、および、エチレン系エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含有する樹脂組成物であることが好ましい。特に、樹脂組成をエチレン・プロピレンブロック共重合体と、エチレン・プロピレンランダム共重合体のプロピレン系共重合体を主成分とし、プロピレン系エラストマーを含有する3成分の樹脂組成にすることが、絞り成型時の白化がなく、基材層から表層への滑剤の移行が良好となって、絞り成型性と滑り性が良好となり好ましい。
ここで、上記プロピレン系共重合体を主成分とは、基材層Bの樹脂総量に対してプロピレン系共重合体が50質量%以上をいう。
上記エチレン・プロピレンブロック共重合体とエチレン・プロピレンランダム共重合体のプロピレン系共重合体と、プロピレン系エラストマーの3成分の含有量は、エチレン・プロピレンブロック共重合体30~80質量%、エチレン・プロピレンランダム共重合体10~40質量%、プロピレン系エラストマー10~30質量%範囲が好ましい(但し樹脂総量は100質量%とする)。
上記基材層B中のエチレン・プロピレンランダム共重合体の含有量が10質量%未満では、表層Aとの界面接着力が低下してヒートシール強度が低下することがあり、40質量%を超えると絞り成型性が低下することがある。また、上記基材層B中のプロピレン系エラストマーの含有量が10質量%未満では絞り成型性が低下することがあり、30質量%を超えると表層Aとの界面接着力が低下してヒートシール強度が低下することがある。
上記エチレン・プロピレンブロック共重合体は、20℃のキシレンの可溶部の極限粘度[η]Cxsと不溶部の極限粘度[η]Cxisの比([η]Cxs/[η]Cxis)は1.6以上が好ましく、1.6~2.0の範囲がより好ましい。[η]Cxs/[η]Cxisが1.6未満では、160℃以上でヒートシールした際にフィルムの潰れによる薄膜化でヒートシール強度が低下することがあり、また、ヒートシールや絞り成型時の加圧によって樹脂のはみ出しが起こることがあり、外装材製造工程や成型工程の汚れが起こることがある。また、[η]Cxs/[η]Cxisが2.0を超えると、フィルム内に小さなゲル状の欠点ができてフィルム突起となることがあり、他基材とのラミネート時に界面に空気を噛み込んでラミネート強度が低下することがある。また、ヒートシール強度が低下して内容物の電解液漏れを生じることがある。
上記エチレン・プロピレンブロック共重合体は、ポリプロピレン部の割合を示す20℃キシレン不溶部の割合が70~85質量%で、該キシレン不溶部の極限粘度[η]Cxisが1.7~2.5dl/gが好ましく、エチレン・プロピレン共重合体のゴム成分の割合を示す20℃キシレン可溶部の極限粘度[η]Cxsが2.7~5.0dl/gであることが好ましい。キシレン不溶部の極限粘度[η]Cxisが1.7未満では、ヒートシールや絞り成型時にフィルムの潰れによる薄膜化が起こることがあり、2.5dl/gを超えると、フィルムが硬くなり過ぎることがあり、絞り成型性が悪化することがある。また、キシレン可溶部の極限粘度[η]Cxsが2.7dl/g未満では、ヒートシール強度が低下することがあり、5.0dl/gを超えるとゴム成分の粒径が非常に大きく、フィルムの海島構造の界面にクラックが生じることがあり、成型時の白化やヒートシール強度低下が生じることがある。
上記エチレン・プロピレンランダム共重合体のMFRは、230℃で1~20g/10分の範囲であることが、吐出変動が少なくて安定押出ができるので好ましい。
上記エチレン・プロピレンランダム共重合体は、プロピレンに、α-オレフィンを少なくとも1種以上共重合したものであり、α-オレフィンとしては、エチレン、ブテン、オクテンなどが挙げられるが、絞り成型性と表層への滑剤の移行性からエチレンを1~7質量%共重合したものが好ましい。
上記エチレン・プロピレンランダム共重合体は、230℃でのMFRが2~10g/10分で、融点が130~150℃の範囲のものが、上記エチレン・プロピレンブロック共重合体との相溶性がよく、表層Aおよび表層Cとの共押出性が良好となり、絞り成型性が良く、ヒートシール強度も高くなるので好ましい。
上記プロピレン系エラストマーは、プロピレンにエチレンを共重合したゴム弾性を有する樹脂で、プロピレン成分が80質量%以上のものをいう。プロピレン成分が80質量%未満では上記エチレン・プロピレンランダム共重合体およびエチレン・プロピレンブロック共重合体との相溶性が低下することがあり、絞り成型時に白化が起こることがある。
上記プロピレン系エラストマーは、230℃でのMFRが2~50g/10分の範囲で、密度が0.860~0.890g/cmの範囲とすることがエチレン・プロピレンブロック共重合体およびエチレン・プロピレンランダム共重合体への分散性がよく、エチレン・プロピレンブロック共重合体のゴム成分の分散効果が高いので、絞り成型時の白化が抑制されて成型性が向上するので好ましい。
基材層Bには、製膜でのゲルや口金スジが発生しない程度に、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂を10質量%未満で混合することにより、絞り成型時の白化がより抑制されて成型性が向上するので好ましい。
基材層Bには、上記表層Aと同じく、粒子、ヒンダードフェノール系とホスファイト系の両機能を併せ持つ酸化防止剤、アクリル酸系酸化防止剤、脂肪酸アミド系滑剤を含有することが、製膜時の樹脂の熱劣化や蓄電デバイス外装材として用いたときのフィルムの酸化劣化を防止できて好ましい。
上記基材層Bの粒子は、上記表層Aと同じ種類、同じ平均粒子径のものが好ましい。また、基材層Bにおける平均粒子径が4μm超の粒子含有量は、本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムの自己回収率によるが、表層Aの平均粒子径が4μm超の粒子含有率よりも少ないことが好ましい。さらに、基材層Bにおける平均粒子径が4μm超の粒子含有量は、6000ppm未満であることが、製膜時のフィルムのフィッシュアイ等の欠点が少なく、表層Aとの界面接着力の低下がなくて好ましい。
上記基材層Bの脂肪酸アミド系滑剤は、上記表層Aと同じエルカ酸アミドが好ましく例示され、500~1500ppm含有することが好ましい。
本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムを製膜後に40℃・30日のエージングする場合、基材層Bの脂肪酸アミド系滑剤が表層Aおよび表層Cの界面側に移行し、さらにそこから表層Aおよび表層Cへと移行することがある。その結果、他基材とラミネート後にエージングするとき、表層Aの脂肪酸アミド系滑剤が、表層Aの内部に移行して表層A表面の脂肪酸アミド系滑剤量が減少することがあるのに対し、基材層Bから表層Aへ移行した脂肪酸アミド系滑剤量と適切にバランスして、結果的にラミネート後の滑り性が問題となる表層A表面において、脂肪酸アミド系滑剤量が最適な範囲となることがある。例えば40℃・30日間エージング後のフィルム表面にブリードした脂肪酸アミド系滑剤量の範囲が5~20mg/mに維持することが可能になり、成型性が良好となる。
上記基材層Bの脂肪酸アミド系滑剤の含有量が500ppm未満では、表層Aおよび表層C表面の脂肪酸アミド系滑剤量が少なくて滑り性が悪化することがあり、ラミネート加工および絞り成型で易滑性が求められる蓄電デバイス外装材用途では満足に使用することができないことがある。また、1500ppmを超えるとフィルム表面への脂肪酸アミド系滑剤量が多くなりすぎることがあり、製膜やラミネート工程でのロール等に脂肪酸アミド系滑剤が付着して作業環境上の問題が生じることがある。また、表層Aどうしを重ねてヒートシールをする際に、フィルム界面に脂肪酸アミド系滑剤が溜まりヒートシール強度も低下することがある。
基材層Bにおける酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系とホスファイト系の両機能を併せ持つ酸化防止剤単独、または、アクリル酸系酸化防止剤と併用して、300~2000ppm含有することが、溶融押出時の樹脂劣化を抑制でき、また蓄電デバイス外装材として用いたときのフィルムの劣化を抑制することができて好ましい。含有量が300ppm未満では添加効果みられないことがあり、2000ppmを超えると表層へブリードアウトして工程汚染が起こることがある。
表層C
本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムにおける表層Cは、エチレン・プロピレンランダム共重合体を主成分とすることが好ましい。上記エチレン・プロピレンランダム共重合体を主成分とするとは、表層Cの樹脂組成中で50質量%を超える成分を言う。上記エチレン・プロピレンランダム共重合体が50質量%未満では他基材とのラミネート強度が低下することがあるので好ましくない。
上記エチレン・プロピレンランダム共重合体は、プロピレンに、エチレンを1~12質量%共重合した、エチレン・プロピレンランダム共重合体が、滑り性とラミネート強度から好ましい。
上記表層Cに、エチレン・プロピレンランダム共重合体以外に樹脂を配合する場合は、ホモポリプロピレン、エチレン・プロピレンブロック共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン・α-オレフィン共重合体、および、プロピレン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種以上のポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
上記エチレン・プロピレンランダム共重合体の、230℃でのMFRが2~10g/10分、融点が130~150℃の範囲であると基材層Bとの共押出性がよく、他基材とのラミネート強度も高くなるので好ましい。
エチレン・プロピレンランダム共重合体と、エチレン・プロピレンランダム共重合体以外の上記樹脂とのMFRの差は、0~20g/10分の範囲であることが、分散性がよく溶融押出が安定して製膜性がよいので好ましい。
表層Cは、樹脂組成総量に対して表層Aと同じ脂肪酸アミド系滑剤を50~1000ppm含有することが好ましい。表層Cの脂肪酸アミド系滑剤含有量が50ppm未満では、表層Cを他基材とのラミネート層とする場合に、ラミネート加工時に滑り性が悪くなることがあるためラミネート時に皺が入ることがあり、1000ppmを超えると溶融押出時に熱飛散が多くなることがあり、製膜工程を汚して製膜性の悪化や、ラミネート強度が低下することがある。
上記表層C表面の脂肪酸アミド系滑剤量は40℃・30日エージング後で2~10mg/mの範囲であることが好ましく、そのことにより、表層C表面にコロナ放電処理をして濡れ張力を上げて、その上に接着剤を塗布して他基材とラミネートする際に、ラミネート強度が高く保持できるので好ましい。
表層Cは、ラミネート強度が低下しない範囲で、無機または有機の粒子を300~3000ppm添加すると、脂肪酸アミド系滑剤の含有量を減らしても滑り性が向上することがあり、フィルムを長尺に巻き取るときに皺や空気抜け不良によるツブ欠点が減少することがあるので好ましい。含有量が300ppm以下では滑り性付与効果がみられないことがあり、3000ppmを超えるとラミネート強度の低下や粒子の脱落が起こることがある。
該無機粒子としては、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム等が好ましく挙げられ、該有機粒子としては、架橋ポリスチレン(PS)、架橋ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が好ましく挙げられる。
上記無機又は有機粒子の平均粒子径は1~10μmの範囲であることが好ましい。平均粒子径が1μm未満では添加効果がみられないことがあり、10μmを超えるとラミネート強度が低下することがある。
上記表層Cには、ヒンダードフェノール系とホスファイト系の両機能を併せ持つ酸化防止剤単独、または、アクリル酸系酸化防止剤と併用して、300~2000ppm含有することが、溶融押出時の樹脂劣化と粒子添加による口金リップ汚れ(目ヤニ状の樹脂劣化物付着)を抑制でき、また蓄電デバイス外装材として用いたときのフィルムの劣化を抑制することができて好ましい。含有量が300ppm未満では添加効果みられないことがあり、2000ppmを超えると工程汚染が起こることがある。
上記表層Cの表面は、コロナ放電処理をして濡れ張力を38mN/m以上に上げることにより、その上に接着剤を塗布して他基材とラミネートする際に、ラミネート強度が高くなるので好ましい。
本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムは、トータル厚さが20~200μmの範囲にあることが好ましく、表層Aおよび表層Cの厚さは1μm以上30μm以下が好ましい。
本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムのトータル厚さが20μm未満では絞り成型性が十分に得られないことがあり、内容物である蓄電デバイス用の電解液の液漏れが起こる懸念がある。また、トータル厚さが200μmを超えると製膜性やラミネート加工性および絞り成型性が低下して製造コストが高くなることがあるので、好ましくない。
上記表層Aおよび表層Cの厚さが1μm未満では、上記の十分なヒートシール強度およびラミネート強度が得られないことがあり、30μmを超えると絞り成型性が低下することがある。
本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムにおける表層C側に、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、および、アルミニウム箔からなる群から選ばれる1つ以上がラミネートされた積層体からなる蓄電デバイス外装材を提供できる。
上記積層体の製造方法としては、積層体の構成フィルムに接着剤を用いて貼合わせる通常のドライラミネート法が好適に採用できるが、必要に応じて本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムの表層Cと他基材の貼合わせには直接接着性のポリオレフィン系樹脂を押出してラミネートする方法も採用できる。
上記ドライラミネート用接着剤としては特に限定されるものではないが、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとラミネートするときは、ポリウレタン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、及び、ポリエーテル系ポリオールからなる群より選ばれるポリオールの1種または2種以上からなる第1液と、イソシアネートからなる第2液(硬化剤)とで構成される2液反応型接着剤などが挙げられる。また、アルミニウム箔とラミネートするときは、例えば、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、エラストマー系接着剤、フッ素系接着剤等により形成された接着剤層が挙げられる。中でも、アクリル系接着剤、ポリオレフィン系接着剤を用いるのが好ましく、蓄電デバイス外装材として用いたときに耐電解液性及び水蒸気バリア性を向上させることができる。
上記積層体は、本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムの表層Aを積層体の表層(ヒートシールする側の層)として、蓄電デバイス外装材に加工されて使用される。また、これら積層体の積層構造は、蓄電デバイス外装材の要求特性、例えば内容物の質量に対応できるサイズや耐電解液性などに応じて適宜選択される。
本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムを用いた上記蓄電デバイス外装材の表層Aと金属板SUS430(JIS Z 3043:1990)との動摩擦係数が0.1~0.5の範囲であることが好ましい。表層Aと金属板との動摩擦係数が上記範囲にあることにより、ラミネート工程での金属ロールとの滑り性が良くてフィルムおよび積層体の皺の発生が無く、絞り成型時の金型との滑りがよくて成型性が良好となる。上記動摩擦係数が0.1未満では、製膜およびラミネート工程においてフィルムおよび積層体の巻きずれが起こりやすいことがあり、また、絞り成型時に金型枠とずれが起こって成型性が低下することがある。上記動摩擦係数が0.5を超えると、製膜およびラミネート工程での金属ロールとの滑りが悪くて皺が入りやすく、絞り成型時に皺が入りやすく、成型品の歩留まりが悪化することがある。
上記蓄電デバイス外装材の表層Cと上記他基材とのラミネート強度は、23℃雰囲気下でのラミネート強度が10N/15mm以上であることが好ましい。23℃雰囲気下でのラミネート強度が10N/15mm未満では、内容物充填および絞り成型時に層間剥がれが起こり、実用不可となることがある。
また、上記蓄電デバイス外装材は、電池の電解液の漏れを防ぐために、表層Aどうしを160℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が、23℃雰囲気下で40N/15mm以上であることが好ましい。
また、80℃雰囲気下でのヒートシール強度が30N/15mm以下であり、10~30N/15mmの範囲あることが好ましい。電池内部の異常や過充電により、電池の温度が上がり、内圧が上昇して破裂することがあるため、80℃でのヒートシール強度が30N/15mm以下とすることにより、内圧上昇で電解液がシール部から漏れて電池の破裂を防ぐことができる。下限値は10N/15mmとすることが、電池の繰り返し充放電時の電解液保持性に適する。
以下に、実施例について本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。また、各種物性値の測定方法、および評価方法を以下に示す。
(1)エチレン・プロピレンブロック共重合体の20℃キシレン不溶部と可溶部の含有量
試料ペレット5gを沸騰キシレン(関東化学(株)製1級)500mLに完全に溶解させた後に、20℃に降温し、4時間以上放置する。その後、これを析出物と溶液とにろ過して可溶部と不溶部に分離した。可溶部は濾液を乾固して減圧下70℃で乾燥し、その質量を測定して含有量(質量%)を求めた。
(2)20℃キシレン可溶部と不溶部の極限粘度([η]Cxs、[η]Cxis)
上記(1)により可溶部と不溶部に分離したサンプルを用い、ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。
(3)共重合体のエチレン含量
高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)616頁に記載されている方法により、赤外分光法で測定を行って求めた。
(4)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210(1999)に準拠し、プロピレン系ランダム共重合体およびエチレン・プロピレンブロック共重合体は温度230℃、低密度ポリエチレン系重合体は温度190℃で、それぞれ荷重21.18Nにて測定した。
(5)樹脂の融点
示差走査熱量計(島津製作所製 DSC-60)を用いて、20℃から10℃/分の速度で昇温し、250℃まで加熱した際の融解ピークの最も高いピーク温度を融点とした。
(6)樹脂の密度
JIS K7112(1999)に準拠し、密度勾配管による測定法で測定した。
(7)フィルム内の各層の平均粒子径
フィルム中に含有される粒子の平均粒子径は、フィルム断面粒子を透過型電子顕微鏡(日立製作所製 H-7100FA)を用いて30,000倍で断面写真撮影を行う。写真上の個々の粒子について円相当径を測定する。1,00個の粒子について、円相当径を求め、粒子径を0~0.05μm未満、0.05~0.10μm未満、0.10~0.15μm未満・・・、0.55~0.60μm未満・・・、とグループ分けし、それぞれのグループにいくつの粒子が含まれるか粒度分布を求める。各グループの中間値をそのグループの代表径dとし(たとえば、0.10~0.15μm未満のグループではd=0.125μm)、グループに含まれる粒子個数nとから、下記式により平均粒子径(重量平均径)を算出する。
d=(Σn・d )/(Σn・d )。
(8)フィルムの各層の粒子含有量
蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムの各層の粒子含有量は、上記(7)での断面写真撮影にて得られた写真について、1μm辺りの粒子の数と粒子の密度から計算して求めた。
(9)脂肪酸アミド系滑剤含有量
蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムの各層の脂肪酸アミド系滑剤含有量は、まず、各層への脂肪酸アミド系滑剤の添加量を変更した単層のサンプルを作成し、該滑剤添加量を変更したフィルムの断面を、電子線プローブマイクロアナライザー(FE-EPMA:WDX)にて、アミド系滑剤特有のN濃度の定量分析を行い、滑剤添加量とN濃度の検量線を作成した。
次に、本発明で作成したフィルムの各層について、電子線プローブマイクロアナライザー(FE-EPMA:WDX)にてN濃度の定量分析を行い、上記検量線から各層の滑剤含有量を求めた。
(10)表面滑剤量
フィルムサンプルを40℃で7日間、および、30日間保存した直後に各サンプルで内寸が20cm×25cmの袋を作り、その中に50mlのエタノールを入れ、3分間攪拌してエタノール中に溶解させた。滑剤が溶解したエタノールを、水素塩イオン検出器付薄層クロマトグラフィー(LSIメディエンス製のイアトロスキャン)を用い、定量分析を行った。
(11)酸化防止剤含有量
蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムの各層の酸化防止剤含有量は、まず、各層への酸化防止剤の添加量を変更した単層のサンプルを作成し、該酸化防止剤添加量を変更したフィルムの断面を、電子線プローブマイクロアナライザー(FE-EPMA:WDX)にて、ホスファイト系特有のP濃度の定量分析を行い、滑剤添加量とN濃度の検量線を作成した。
次に、本発明で作成したフィルムの各層について、電子線プローブマイクロアナライザー(FE-EPMA:WDX)にてP濃度の定量分析を行い、上記検量線から各層の酸化防止剤含有量を求めた。
(12)23℃でのヒートシール強度
蓄電デバイス外装材として、市販の厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム(PET-BO)と市販の厚さ15μmのナイロン6延伸フィルム(ONy)と市販の両面を化成処理した厚さ40μmのアルミニウム箔と本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムの表層Cとを市販のウレタン系接着剤を用いて通常のラミネート装置を用いてドライラミネート法で貼合わせ、60℃で3日間エージングして、PET-BO/接着剤/ONy/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルム(最外層は表層A面)の積層体(A)を得た。次に、上記積層体(A)を用いて、平板ヒートシーラーを使用し、表層A面同士を重ねてシール温度160℃、シール圧力0.2MPa、 シール時間2秒の条件でヒートシールした後、15mm幅の短冊状に切断し、オリエンテック社製のテンシロンを使用して、23℃の雰囲気中で、300mm/分の引張速度で、T型剥離法にてヒートシール強度を測定して、下記の評価をした。
〇:ヒートシール強度が、40N/15mm以上。
×:ヒートシール強度が、40N/15mm未満。
(13)80℃でのヒートシール強度
(12)のヒートシール強度測定サンプルを、加熱オーブンの付いたオリエンテック社製のテンシロンを使用して80℃の雰囲気中で上記(12)と同じ条件でヒートシール強度を測定し、下記の評価をした。
〇:ヒートシール強度が、10N/15mm以上30N/15mm未満。
×:ヒートシール強度が、10N/15mm未満または30N/15mmを超えるもの。
(14)ラミネート強度
(12)の積層体作成時に、アルミニウム箔とシーラントフィルム間にスペーサーを入れて剥離点を作成して、ラミネート強度測定用のサンプルを作成した。ラミネート強度測定条件は上記(12)と同じく15mm幅の短冊状に切断し、オリエンテック社製のテンシロンを使用して300mm/分の引張速度で、T型剥離法にてラミネート強度を測定した。ラミネート強度が、10N/15mm以上であれば(○)とし、10N/15mm未満を(×)とした。
(15)フィルム厚さおよび厚さ構成
フィルム厚さは、ダイヤルゲージを用い、JIS K7130(1992)A-2法に準じて、フィルムの任意の10ヶ所について厚さを測定した。その平均値をフィルム厚みとした。また、積層フィルムの場合の各層の厚さは、積層フィルムをエポキシ樹脂に包埋しフィルム断面をミクロトームで切り出し、該断面を走査型電子顕微鏡で3,000倍の倍率で観察して、各層の厚みを算出した。
(16)対金属滑り性
卓上形精密万能試験機オートグラフAGS-X,摩擦係数測定装置を使用して、JIS K7312-1996に沿って、(11)で得た積層体の蓄電デバイス外装材の表層Aと金属板SUS430(JIS Z 3043:1990)との動摩擦係数を測定し、n数3の平均値を用いた。動摩擦係数が0.1~0.5の範囲を金属との滑り性良好として(〇)とし、動摩擦係数が0.1未満、または0.5を超えるものを金属との滑り性不良として(×)とした。
(17)工程通過性
本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムの製膜工程において、積層乱れおよび工程ロールの汚れや、上記(11)のヒートシール強度測定用サンプル作成用の積層体ラミネート工程において、工程ロールの汚れや皺の発生等をみて、下記の評価をした。
○:製膜工程、ラミネート工程でのロール汚れや、シーラントフィルムおよび他基材とラミネートした積層体の巻取り時に皺やツブ等の欠点発生がなく、外観および平面性が良好なフィルムおよび積層体が得られた。
×:製膜工程、ラミネート工程でのロール汚れや、シーラントフィルムおよび他基材とラミネートした積層体の巻取り時の皺やツブの発生や、エージング後の巻き締まりによるリング状の外観、平面性悪化があった。
(18)絞り成型性
(12)で得た積層体を用いて、常温で絞り成型金型を用いて絞り成型を行い、その際に成型品の白化や皺、金型汚れ等をみて、下記評価をした。
〇:成型品に白化や皺がなく、成形金型汚れがなく、成形金型に沿った形の成型品が得られた。
×:成型品に白化や皺がある。成形金型汚れがある。成形金型に沿った形の成型品が得られなかった。上記いずれか一つが該当するもの。
(19)フィルム表面平均粗さRa、0.3μm以上のピークカウント
(株)小坂研究所製の全自動微細形状測定機(SURFCORDER ET4000A)を用いて、JIS B-0601:1982に定める測定方法により、測定方向はフィルムの流れ方向に直交する方向(TD)のフィルム表面を下記条件で測定して、フィルム表面平均粗さRaと、0.3μm以上のピークカウントを求めた。
測定長:2mm
Y方向測定長:10mm
Y方向測定ピッチ:0.1mm
スキャン数:100回。
実施例1~8および比較例1~5の表層A、基材層B、表層C用の樹脂と滑剤として、下記を準備した。
(1)エチレン・プロピレンランダム共重合体
MFR7.5g/10分、融点143℃のエチレン・プロピレンランダム共重合体をEPCと表示。
(2)エチレン・プロピレンブロック共重合体(BPP-1)
20℃キシレン可溶部13質量%、該可溶部の極限粘度[η]Cxs2.0dl/g、20℃キシレン不溶部87質量%、該不溶部の極限粘度[η]Cxis2.0dl/g、[η]Cxs/[η]Cxis=1.0のエチレン・プロピレンブロック共重合体をBPP-1と表示。
(3)エチレン・プロピレンブロック共重合体(BPP-2)
20℃キシレン可溶部20質量%、該可溶部の極限粘度[η]Cxs3.2dl/g、20℃キシレン不溶部80質量%、該不溶部の極限粘度[η]Cxis1.9dl/g、[η]Cxs/[η]Cxis=1.7のエチレン・プロピレンブロック共重合体をBPP-2と表示。
(4)ホモポリプロピレン
MFR7.5g/10分、融点163℃のホモポリプロピレンをHPPと表示。
(5)プロピレン系エラストマー
プロピレン系エラストマーとして、Bistamaxx(商品名)6202FLを用いて、TPOと表示。
(6)脂肪酸アミド系滑剤
上記(1)のエチレン・プロピレンランダム共重合体EPCに、脂肪酸アミド系滑剤としてエルカ酸アミドを50,000ppm混合して、二軸押出機にて230℃で溶融混合してマスターチップを作成して、MB-1と表示。
(7)無機粒子および有機粒子
上記(1)のエチレン・プロピレンランダム共重合EPCに、平均粒子径3μmのアルミノシリケート粒子を50,000ppm混合して、二軸押出機にて230℃で溶融混合してマスターチップを作成して、MB-2と表示
上記(1)のエチレン・プロピレンランダム共重合EPCに、平均粒子径5μmのアルミノシリケート粒子を50,000ppm混合して、二軸押出機にて230℃で溶融混合してマスターチップを作成して、MB-3と表示
上記(1)のエチレン・プロピレンランダム共重合EPCに、平均粒子径7μmのアルミノシリケート粒子を50,000ppm混合して、二軸押出機にて230℃で溶融混合してマスターチップを作成して、MB-4と表示
上記(1)のエチレン・プロピレンランダム共重合EPCに、平均粒子径10μmのアルミノシリケート粒子を50,000ppm混合して、二軸押出機にて230℃で溶融混合してマスターチップを作成して、MB-5と表示
上記(1)のエチレン・プロピレンランダム共重合EPCに、平均粒子径5μmの架橋ポリメチルメタクリレート粒子を50,000ppm混合して、二軸押出機にて230℃で溶融混合してマスターチップを作成して、MB-6と表示。
(8)酸化防止剤
上記(1)のエチレン・プロピレンランダム共重合EPCに、ヒンダードフェノール系とホスファイト系の両機能を併せ持つ酸化防止剤として、6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]-ジオキサホスフェピンのSumilizerGP(商品名)を50,000ppm混合して、二軸押出機にて230℃で溶融混合してマスターチップを作成して、MB-7と表示。
実施例1
表層Aの組成として、上記エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPC)78質量%、脂肪酸アミドのマスターチップ(MB-1)1質量%(滑剤含有量500ppm)、平均粒子径10μmの粒子マスターチップ(MB-5)20質量%(粒子含有量10000ppm)、酸化防止剤マスターチップ(MB-7)1質量%(酸化防止剤混合500ppm)とした。
基材層Bの組成として、エチレン・プロピレンブロック共重合体(BPP-2)52質量%、エチレン・プロピレンランダム共重合体EPC20質量%、ポリプロピレン系エラストマー(TPO)20質量%、脂肪酸アミドのマスターチップ(MB-1)2質量%(1000ppm)、平均粒子径10μmの粒子マスターチップ(MB-5)5質量%(2500ppm)、酸化防止剤マスターチップ(MB-7)1質量%(500ppm)を混合した。
表層Cの組成として、上記エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPC1)76.9質量%、エチレン・プロピレンブロック共重合体(BPP-1)20質量%、脂肪酸アミドのマスターチップ(MB-1)0.1質量%(50ppm)、平均粒子径10μmの粒子マスターチップ(MB-5)2質量%(1000ppm)、酸化防止剤マスターチップ(MB-7)1質量%(500ppm)を混合した。
上記表層A、基材層B、表層Cの混合組成それぞれを別々の押出機に供給して260℃で加熱溶融し、3種3層T型口金で表層A/基材層B/表層Cの3層の無延伸の蓄電デバイス用外装材用シーラントフィルムを作製した。それぞれの層の厚さは、5μm/30μm/5μmの合計40μmとした。得られたフィルムは、製膜時の口金リップ汚れや巻取り工程の汚染がなく、ロール状に巻き取ったときの皺やツブの欠点がなく、また、40℃でエージングしたときの巻き締まりによるリング状の外観変化がなく、巻き姿および平面性は良好であった。
次に、蓄電デバイス外装材として、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム(PET-BO)と厚さ15μmのナイロン6延伸フィルム(ONy)と両面を化成処理した厚さ40μmのアルミニウム箔と上記のシーラントフィルムの表層Cとをウレタン系接着剤を用いて通常のドライラミネート法で貼合わせ、60℃で3日間エージングして、PET-BO/接着剤/ONy/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/シーラントフィルム(最外層は表層A面)の積層体(A)を得た。得られた積層体は、ラミネート加工時の工程汚染がなく、ラミネート工程での金属ロールとの滑りが良くて積層体の皺やツブなどの欠点がなく、巻き姿は良好であった。また上記積層体は滑り性に優れ、ヒートシール強度とラミネート強度が高く、絞り成型性に優れていた。
実施例2
実施例1において、表層A/基材層B/表層Cの3層の粒子マスターチップを平均粒子径7μmの粒子マスターチップ(MB-4)とした以外は、実施例1と同様にして3層のフィルムを得た。得られたフィルムは、製膜時の工程汚染がなく、ロール状に巻き取ったときの皺やツブの欠点がなく、また、40℃でエージングしたときの巻き締まりによるリング状の外観変化がなく、巻き姿および平面性は良好であった。また実施例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体は、ラミネート加工時の工程汚染がなく、ラミネート工程での金属ロールとの滑りが良くて積層体の皺やツブなどの欠点がなく、巻き姿は良好であった。また上記積層体は滑り性に優れ、ヒートシール強度とラミネート強度が高く、絞り成型性に優れていた。
実施例3
実施例1において、表層A/基材層B/表層Cの3層の粒子マスターチップを平均粒子径5μmの粒子マスターチップ(MB-3)とした以外は、実施例1と同様にして3層のフィルムを得た。得られたフィルムは、製膜時の工程汚染がなく、ロール状に巻き取ったときの皺やツブの欠点がなく、また、40℃でエージングしたときの巻き締まりによるリング状の外観変化がなく、巻き姿および平面性は良好であった。また実施例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体は、ラミネート加工時の工程汚染がなく、ラミネート工程での金属ロールとの滑りが良くて積層体の皺やツブなどの欠点がなく、巻き姿は良好であった。また上記積層体は滑り性に優れ、ヒートシール強度とラミネート強度が高く、絞り成型性に優れていた。
実施例4
実施例1において、表層A/基材層B/表層Cの3層の粒子マスターチップを平均粒子径5μmの粒子マスターチップ(MB-3)とし、表層Aの組成として、上記エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPC)84.4質量%に、脂肪酸アミドのマスターチップ(MB-1)を1質量%(滑剤含有量500ppm)と、平均粒子径5μmの粒子マスターチップ(MB-3)を14質量%(粒子含有量7000ppm)、酸化防止剤マスターチップ(MB-7)を0.6質量%(酸化防止剤混合300ppm)した以外は、実施例1と同様にして3層のフィルムを得た。得られたフィルムは、製膜時の工程汚染がなく、ロール状に巻き取ったときの皺やツブの欠点がなく、また、40℃でエージングしたときの巻き締まりによるリング状の外観変化がなく、巻き姿および平面性は良好であった。また実施例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体は、ラミネート加工時の工程汚染がなく、ラミネート工程での金属ロールとの滑りが良くて積層体の皺やツブなどの欠点がなく、巻き姿は良好であった。また上記積層体は滑り性に優れ、ヒートシール強度とラミネート強度が高く、絞り成型性に優れていた。
実施例5
実施例1において、表層A/基材層B/表層Cの3層の粒子マスターチップを平均粒子径5μmの粒子マスターチップ(MB-3)とし、表層Aの組成として、上記エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPC)53質量%に、脂肪酸アミドのマスターチップ(MB-1)を1質量%(滑剤含有量500ppm)と、平均粒子径5μmの粒子マスターチップ(MB-3)を40質量%(粒子含有量20,000ppm)、酸化防止剤マスターチップ(MB-7)を6質量%(酸化防止剤混合3000ppm)とした以外は、実施例1と同様にして3層のフィルムを得た。得られたフィルムは、製膜時の工程汚染がなく、ロール状に巻き取ったときの皺やツブの欠点がなく、また、40℃でエージングしたときの巻き締まりによるリング状の外観変化がなく、巻き姿および平面性は良好であった。また実施例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体は、ラミネート加工時の工程汚染がなく、ラミネート工程での金属ロールとの滑りが良くて積層体の皺やツブなどの欠点がなく、巻き姿は良好であった。また上記積層体は滑り性に優れ、ヒートシール強度とラミネート強度が高く、絞り成型性に優れていた。
実施例6
実施例1において、表層A/基材層B/表層Cの3層に混合する粒子マスターチップを、平均粒子径5μmの架橋ポリメチルメタクリレート粒子のマスターチップ(MB-6)とした以外は、実施例1と同様にして3層のフィルムを得た。得られたフィルムは、製膜時の工程汚染がなく、ロール状に巻き取ったときの皺やツブの欠点がなく、また、40℃でエージングしたときの巻き締まりによるリング状の外観変化がなく、巻き姿および平面性は良好であった。また実施例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体は、ラミネート加工時の工程汚染がなく、ラミネート工程での金属ロールとの滑りが良くて積層体の皺やツブなどの欠点がなく、巻き姿は良好であった。また上記積層体は滑り性に優れ、ヒートシール強度とラミネート強度が高く、絞り成型性に優れていた。
実施例7
実施例1において、表層A/基材層B/表層Cの3層に混合する粒子マスターチップを、平均粒子径5μmの架橋ポリメチルメタクリレート粒子のマスターチップ(MB-6)とし、表層Aとして、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPC)77質量%脂肪酸アミドのマスターチップ(MB-1)を2質量%(滑剤含有量1000ppm)、平均粒子径5μmの粒子マスターチップ(MB-3)20質量%(粒子含有量10000ppm)、酸化防止剤マスターチップ(MB-7)1質量%(酸化防止剤混合500ppm)とした以外は、実施例1と同様にして3層のフィルムを得た。得られたフィルムは、製膜時の工程汚染がなく、ロール状に巻き取ったときの皺やツブの欠点がなく、また、40℃でエージングしたときの巻き締まりによるリング状の外観変化がなく、巻き姿および平面性は良好であった。また実施例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体は、ラミネート加工時の工程汚染がなく、ラミネート工程での金属ロールとの滑りが良くて積層体の皺やツブなどの欠点がなく、巻き姿は良好であった。また上記積層体は滑り性に優れ、ヒートシール強度とラミネート強度が高く、絞り成型性に優れていた。
実施例8
実施例1において、表層A/基材層B/表層Cに混合する粒子マスターチップを、平均粒子径5μmの架橋ポリメチルメタクリレート粒子のマスターチップ(MB-6)とし、表層Aとして、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPC)78.6質量%、脂肪酸アミドのマスターチップ(MB-1)を0.4質量%(滑剤含有量200ppm)、平均粒子径5μmの粒子マスターチップ(MB-3)20質量%(粒子含有量10000ppm)、酸化防止剤マスターチップ(MB-7)1質量%(酸化防止剤混合500ppmとした以外は、実施例1と同様にして3層のフィルムを得た。得られたフィルムは、製膜時の工程汚染がなく、ロール状に巻き取ったときの皺やツブの欠点がなく、また、40℃でエージングしたときの巻き締まりによるリング状の外観変化がなく、巻き姿および平面性は良好であった。また実施例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体は、ラミネート加工時の工程汚染がなく、ラミネート工程での金属ロールとの滑りが良くて積層体の皺やツブなどの欠点がなく、巻き姿は良好であった。また上記積層体は滑り性に優れ、ヒートシール強度とラミネート強度が高く、絞り成型性に優れていた。
比較例1
実施例1において、表層A/基材層B/表層Cの3層の粒子マスターチップを平均粒子径5μmの粒子マスターチップ(MB-3)とし、表層Aを上記エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPC)20質量%、エチレン・プロピレンブロック共重合体58質量%、脂肪酸アミドのマスターチップ(MB-1)を1質量%(滑剤含有量500ppm)と、平均粒子径10μmの粒子マスターチップ(MB-5)を20質量%(粒子含有量10000ppm)、酸化防止剤マスターチップ(MB-7)を1質量%(酸化防止剤混合500ppm)した以外は、実施例1と同様にして3層のフィルムおよび積層体を得た。得られたフィルムは、表層Aのエチレン・プロピレンランダム共重合体(EPC)含有量が少ないために、23℃および80℃でのヒートシール強度が低く、実用性に劣っていた。
比較例2
実施例1において、表層A/基材層B/表層Cの3層の粒子マスターチップを平均粒子径3μmの粒子マスターチップ(MB-2)とした以外は、実施例1と同様にして3層のフィルムを得た。得られたフィルムは滑り性に劣り、ロール状に巻き取ったときの皺やツブの欠点が発生し、また、40℃でエージングしたときの巻き締まりによるリング状の外観変化が起り、巻き姿および平面性は不良となった。また実施例1と同様にして得られた積層体は、ラミネート加工時の工程時に皺が発生して巻き姿が不良となり、また積層体は金属との滑り性に劣り、絞り成型性に皺が発生して絞り成型性に劣り、80℃でのヒートシール強度が高く、蓄電デバイス外装材として安全性に劣っていた。
比較例3
実施例1において、表層A/基材層B/表層Cの3層の粒子マスターチップを平均粒子径5μmの粒子マスターチップ(MB-3)とし、表層Aの組成として、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPC)88質量%、脂肪酸アミドのマスターチップ(MB-1)を1質量%(滑剤含有量500ppm)、平均粒子径5μmの粒子マスターチップ(MB-3)10質量%(5000ppm)、酸化防止剤マスターチップ(MB-7)1質量%(酸化防止剤混合500ppm)とした以外は、実施例1と同様にして3層のフィルムを得た。得られたフィルムは表層Aの粒子含有量が少なくて滑り性に劣り、ロール状に巻き取ったときの皺やツブの欠点が発生し、また、40℃でエージングしたときの巻き締まりによるリング状の外観変化が起り、巻き姿および平面性は不良となった。また実施例1と同様にして得られた積層体は、ラミネート加工時の工程時に皺が発生して巻き姿が不良となり、また積層体は金属との滑り性に劣り、絞り成型性に皺が発生して絞り成型性に劣り、80℃でのヒートシール強度が高く、蓄電デバイス外装材として安全性に劣っていた。
比較例4
実施例1において、表層A/基材層B/表層Cの3層の粒子マスターチップを平均粒子径5μmの粒子マスターチップ(MB-3)とし、基材層の組成として、エチレン・プロピレンブロック共重合体(BPP-2)18質量%、エチレン・プロピレンランダム共重合体EPC20質量%、ポリプロピレン系エラストマー(TPO)20質量%、脂肪酸アミドのマスターチップ(MB-1)2質量%(1000ppm)、平均粒子径5μmの粒子マスターチップ(MB-3)40質量%(20,000ppm)とした以外は、実施例1と同様にして3層のフィルムおよび積層体を得た。得られたフィルムは基材層の粒子含有量が表層Aの粒子含有量よりも多いために、23℃および80℃のヒートシール強度測定時に基材層Bと表層Aの界面で界面剥離が起こり、ヒートシール強度が低いものとなった。
比較例5
表層A及び基材層Bは実施例3と同じ組成とし、表層Cを上記エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPC)36.9質量%、エチレン・プロピレンブロック共重合体60質量%、脂肪酸アミドのマスターチップ(MB-1)0.1質量%(50ppm)、平均粒子径5μmの粒子マスターチップ(MB-3)2質量%(1000ppm)、酸化防止剤マスターチップ(MB-7)1質量%(500ppm)とした以外は、実施例1と同様にして3層のフィルムおよび積層体を得た。得られたフィルムは、表層Cのエチレン・プロピレンランダム共重合体の含有量が少ないために、他基材とのラミネート強度が低く、実用性に劣っていた。
Figure 2024057587000001
Figure 2024057587000002
本発明の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルムは、エージングしてもフィルムの巻き姿および平面性が良く、表面の滑剤量を適切な範囲内に維持できて、ヒートシール強度とラミネート強度が高く、絞り成型性に優れ、蓄電デバイス外装材として好適に使用できるものである。

Claims (10)

  1. 表層A/基材層B/表層Cの3層積層フィルムであって、表層Aがエチレン・プロピレンランダム共重合体を主成分として、平均粒子径が4μm超の粒子を6000ppm超含有し、基材層Bがプロピレン系共重合体を主成分として、平均粒子径が4μm超の粒子を含有し、その含有量が上記表層Aの平均粒子径が4μm超の粒子含有量未満であり、表層Cはエチレン・プロピレンランダム共重合体を主成分とする蓄電デバイス外装材用シーラントフィルム。
  2. 前記表層Aのフィルム表面平均粗さRaが0.08μm以上、かつ、0.3μm以上のピークカウントが100個/10mm以上である請求項1に記載の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルム。
  3. 前記3層積層フィルムの少なくとも1層に、ヒンダードフェノール系とホスファイト系の両機能を併せ持つ酸化防止剤を、300~2000ppm含有してなる請求項1に記載の蓄電デバイス用外装材用シーラントフィルム。
  4. 前記3層積層フィルムの少なくとも1層に、ヒンダードフェノール系とホスファイト系の両機能を併せ持つ酸化防止剤とアクリル酸系酸化防止剤とを混合した酸化防止剤を、300~2000ppm含有してなる請求項1に記載の蓄電デバイス用外装材用シーラントフィルム。
  5. 前記表層Aが脂肪酸アミド系滑剤を200~1000ppm含有し、基材層Bが脂肪酸アミド系滑剤を500~1500ppm含有し、表層Cが脂肪酸アミド系滑剤を50~1000ppm含有する請求項1に記載の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルム。
  6. 前記基材層Bが、エチレン・プロピレンブロック共重合体30~80質量%含有し、エチレン・プロピレンランダム共重合体10~40質量%含有し、プロピレン系エラストマー10~30質量%含有する樹脂組成(但し樹脂組成総量は100質量%とする)である請求項1に記載の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルム。
  7. 前記表層Aの表層Aの表面滑剤量が、40℃・7日エージング後で2~10mg/mの範囲、および、40℃・30日エージング後で5~20mg/mの範囲である請求項1に記載の蓄電デバイス外装材用シーラントフィルム。
  8. 請求項1に記載の蓄電デバイス用外装材用シーラントフィルムに、他基材として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、および、アルミニウム箔からなる群から選ばれる少なくとも一種以上を積層してなる蓄電デバイス用外装材。
  9. 前記表層Aと金属板SUS430(JIS Z 3043:1990)との動摩擦係数が0.1~0.5の範囲である請求項8に記載の蓄電デバイス外装材用。
  10. 前記表層A同士を重ねて160℃でヒートシールした後、23℃雰囲気下でのヒートシール強度が40N/15mm以上、80℃雰囲気下でのヒートシール強度が30N/15mm以下である請求項8に記載の蓄電デバイス外装材用。
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