JP2024054515A - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂皮膜、感光性ドライフィルム、パターン形成方法、及び発光素子 - Google Patents

感光性樹脂組成物、感光性樹脂皮膜、感光性ドライフィルム、パターン形成方法、及び発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高いリソグラフィー解像性、良好な発光特性を有する皮膜を容易に形成できる感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いて得られる感光性樹脂皮膜、感光性ドライフィルム及びこれらを用いるパターン形成方法、並びに前記感光性樹脂組成物を用いて得られる発光素子を提供する。【解決手段】感光性樹脂組成物であって、(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂、(B)光酸発生剤、及び(C)量子ドットを含み、前記量子ドットはシロキサンを含有する表面被覆層を有するものであることを特徴とする感光性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いた感光性樹脂皮膜、感光性ドライフィルム、パターン形成方法、及び発光素子に関する。
赤色、緑色および青色のサブピクセルを含むディスプレイを形成するために、様々な方法が提案されている。その中の一つの方法として、色変換構造体を通してLEDアレイからの光を青色であるより短い波長から、赤色および緑色であるより長い波長の光に変換する方法がある。この色変換を担うものとしては量子ドットが用いられている。
近年、このLEDアレイはマイクロサイズとなっており、これを用いたマイクロLEDディスプレイが注目されている。色変換構造体をLEDアレイ上に形成する方法としては感光性材料を用いたリソグラフィープロセスがあるが(特許文献1)、近年では小型ディスプレイへの適応のためにさらなる微細化が求められている。またディスプレイの鮮明さという観点では発光特性についても高い要求がある。
特開2021-089347号公報
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、高いリソグラフィー解像性、良好な発光特性を有する皮膜を容易に形成できる感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いて得られる感光性樹脂皮膜、感光性ドライフィルム及びこれらを用いるパターン形成方法、並びに前記感光性樹脂組成物を用いて得られる発光素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、感光性樹脂組成物であって、
(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂、
(B)光酸発生剤、及び
(C)量子ドット
を含み、前記量子ドットはシロキサンを含有する表面被覆層を有するものである感光性樹脂組成物を提供する。
このような感光性樹脂組成物であれば、高いリソグラフィー解像性、良好な発光特性を有する皮膜を容易に形成できるものとなる。
また、本発明では、前記(C)成分が、前記表面被覆層にフェノール性水酸基を有する骨格を含むものであることが好ましい。
このような感光性樹脂組成物であれば、現像時に量子ドットが抜け出てしまうのを抑制し、パターンの高い発光特性が得られるものとなる。
また、本発明では、前記(A)成分が、下記式(a1)で表される繰り返し単位及び下記式(b1)で表される繰り返し単位を含むものであることが好ましい。
Figure 2024054515000001
[式中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~8の1価炭化水素基である。mは、0~600の整数である。Xは、下記式(X1)で表される2価の基である。
Figure 2024054515000002
(式中、Yは、単結合、メチレン基、プロパン-2,2-ジイル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル基又はフルオレン-9,9-ジイル基である。R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。a及びaは、それぞれ独立に、0~7の整数である。b及びbは、それぞれ独立に、0~2の整数である。)]
このような感光性樹脂組成物であれば、得られた硬化皮膜が高い信頼性を有するものとなる。
また、本発明では、(D)成分として、1分子中に平均して2個以上のメチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含む、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物及びウレア化合物、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド-アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチル基を有するフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種である架橋剤を更に含むものであることが好ましい。
このような感光性樹脂組成物であれば、光硬化後の樹脂皮膜の強度を更に上げることができるものとなる。
また、本発明では、前記(C)成分の量子ドットは、その表面に配位する配位子を有し、前記表面被覆層は前記配位子と結合したシロキサン結合を含有し、前記配位子の置換基がアミノ基、チオール基、カルボキシ基、ホスフィノ基、ホスフィンオキシド基、及びアンモニウムイオンのいずれか1種以上を有するものであることが好ましい。
このような配位子を有する量子ドットであれば、表面に配位しやすいため好ましい。
また、本発明では、前記(C)成分を前記感光性樹脂組成物中5~80質量%含むものであることが好ましい。
このような感光性樹脂組成物であれば、良好な発光特性を維持したまま、微細なパターン形成を行うことができるものとなる。
また、本発明では、更に、(E)溶剤を含むものであることが好ましい。
このような感光性樹脂組成物であれば、塗布性を向上させることができるものとなる。
また、本発明では、上記に記載の感光性樹脂組成物の乾燥体である感光性樹脂皮膜を提供する。
このような感光性樹脂皮膜であれば、高いリソグラフィー解像性、良好な発光特性を有する皮膜となる。
また、本発明では、支持フィルムと、前記支持フィルム上に上記に記載の感光性樹脂皮膜とを備えるものである感光性ドライフィルムを提供する。
このような感光性ドライフィルムであれば、高いリソグラフィー解像性、良好な発光特性を有するものとなる。
また、本発明では、パターン形成方法であって、
(i)上記に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、前記基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する工程
を含むパターン形成方法を提供する。
また、本発明では、パターン形成方法であって、
(i’)上記に記載の感光性ドライフィルムの前記感光性樹脂皮膜を基板上に貼り付けて、前記基板上に前記感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する工程
を含むパターン形成方法を提供する。
これらのパターン形成方法であれば、高いリソグラフィー解像性でパターンを形成することができ、良好な発光特性を有する皮膜のパターンを得ることができる。
また、本発明では、上記に記載のパターン形成方法により得られた硬化皮膜を備えるものである発光素子を提供する。
このような発光素子であれば、高いリソグラフィー解像性、良好な発光特性を有するものとなる。
本発明の感光性樹脂組成物は、フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂、光酸発生剤、特定の表面被覆層を有する量子ドットを含むことで、高い解像性、良好な発光特性を有する皮膜を容易に形成できるため、発光素子に適する。
上述のように、高いリソグラフィー解像性、良好な発光特性を有する皮膜を容易に形成できる感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いて得られる感光性樹脂皮膜、感光性ドライフィルム及びこれらを用いるパターン形成方法、並びに前記感光性樹脂組成物を用いて得られる発光素子の開発が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂、(B)光酸発生剤、(C)量子ドットを含むものであることを特徴とする感光性樹脂組成物で、前記量子ドットはシロキサンを含有する表面被覆層を有するものであることを特徴とする感光性樹脂組成物が高いリソグラフィー解像性を有し、良好な発光特性を有する皮膜(感光性樹脂皮膜)を容易に形成できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、感光性樹脂組成物であって、
(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂、
(B)光酸発生剤、及び
(C)量子ドット
を含み、前記量子ドットはシロキサンを含有する表面被覆層を有するものである感光性樹脂組成物である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂、(B)光酸発生剤、及び(C)特定の表面被覆層を有する量子ドットを含むものである。必要に応じて、更に、(D)架橋剤、(E)溶剤などのその他の成分を含んでもよい。以下、感光性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
[(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂]
本発明に用いられる(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂は、フェノール性水酸基を有しているものであれば特に限定されない。
好ましい例として、下記式(a1)で表される繰り返し単位及び下記式(b1)で表される繰り返し単位を含むシリコーン樹脂が挙げられる。
Figure 2024054515000003
式(a1)中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~8の1価炭化水素基であり、炭素数1~6のものが好ましい。前記1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基等が挙げられ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基及びこれらの構造異性体、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。これらのうち、メチル基及びフェニル基が原料の入手の容易さから好ましい。
式(a1)中、mは、0~600の整数であり、0~400が好ましく、0~200がより好ましい。
は、下記式(X1)で表される2価の基である。
Figure 2024054515000004
式(X1)中、Yは、単結合、メチレン基、プロパン-2,2-ジイル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル基又はフルオレン-9,9-ジイル基である。R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。a及びaは、それぞれ独立に、0~7の整数であるが、1~5の整数が好ましく、1~3の整数がより好ましい。b及びbは、それぞれ独立に、0~2の整数であるが、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
前記炭素数1~4のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、これらの構造異性体等が挙げられる。前記炭素数1~4のアルコキシ基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、これらの構造異性体等が挙げられる。
樹脂(A)において、a1+b1=1となるように繰り返し単位を含み、a1>0として、好ましくは、0.1≦a1≦0.9、0.1≦b1≦0.9となることがよく、さらにシリコーン含有率は20~80重量%が好ましく、30~70重量%とすることがよい。
(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂は、フィルム形成能を与え、フェノール性水酸基が光架橋点として機能する。
前述した各繰り返し単位は、ランダムに結合していても、ブロック重合体として結合していてもよい。また、各繰り返し単位中のシロキサン単位は、ランダムに結合していても、同種のシロキサン単位のブロックを複数含むものであってもよい。また、(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂において、シリコーン(シロキサン単位)含有率は、30~80質量%であることが好ましい。
(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3,000~500,000であることが好ましく、5,000~200,000であることがより好ましい。なお、本発明においてMwは、テトラヒドロフランを溶出溶剤として用いた、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂は、下記式(1)で表される化合物と、下記式(2)で表される化合物と、下記式(3)で表される化合物とを、金属触媒存在下、付加重合させることにより製造することが好ましい。
Figure 2024054515000005
(式中、R~R及びmは、前記と同じである。)
Figure 2024054515000006
(式中、R~R12、Y、a、a、b、bは、前記と同じである。)
前記金属触媒としては、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;HPtCl・xHO、HPtCl・xHO、NaHPtCl・xHO、KHPtCl・xHO、NaPtCl・xHO、KPtCl・xHO、PtCl・xHO、PtCl、NaHPtCl・xHO(ここで、xは、0~6の整数が好ましく、特に0又は6が好ましい。)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(例えば、米国特許第3,220,972号公報に記載のもの);塩化白金酸とオレフィンとの錯体(例えば、米国特許第3,159,601号公報、米国特許第3,159,662号公報、及び米国特許第3,775,452号公報に記載のもの);白金黒やパラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム-オレフィン錯体;クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(いわゆるウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン(特に、ビニル基含有環状シロキサン)との錯体等を使用することができる。
前記触媒の使用量は触媒量であり、通常、前記付加重合反応において使用する溶剤以外の化合物の総質量中、白金族金属として0.001~0.1質量%であることが好ましく、0.01~0.1質量%であることがより好ましい。
前記付加重合反応においては、必要に応じて溶剤を使用してもよい。溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤が好ましい。
反応温度は、触媒が失活せず、かつ短時間で重合の完結が可能という観点から、40~150℃が好ましく、60~120℃がより好ましい。重合時間は、得られる樹脂の種類及び量にもよるが、重合系中に湿気の介入を防ぐため、およそ0.5~100時間が好ましく、0.5~30時間がより好ましい。反応終了後、溶剤を使用した場合はこれを留去することにより、(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂を得ることができる。
本発明において、(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[(B)光酸発生剤]
(B)成分の光酸発生剤としては、光照射によって分解し、酸を発生するものであれば特に限定されないが、波長190~500nmの光を照射することによって酸を発生するものが好ましい。(B)光酸発生剤は、硬化触媒として用いられる。前記光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、β-ケトスルホン誘導体、ジスルホン誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、スルホン酸エステル誘導体、イミド-イル-スルホネート誘導体、オキシムスルホネート誘導体、イミノスルホネート誘導体、トリアジン誘導体等が挙げられる。
前記オニウム塩としては、下記式(B1)で表されるスルホニウム塩又は下記式(B2)で表されるヨードニウム塩が挙げられる。
Figure 2024054515000007
式(B1)及び(B2)中、R101~R105は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数7~12のアラルキル基である。Aは、非求核性対向イオンである。
前記アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等が挙げられる。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
前記置換基としては、オキソ基、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~12のアルコキシ基、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~24のアリール基、炭素数7~25のアラルキル基、炭素数6~24のアリールオキシ基、炭素数6~24のアリールチオ基等が挙げられる。
101~R105としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、2-オキソシクロヘキシル基等の置換基を有していてもよいアルキル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、o-、m-又はp-メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、m-又はp-tert-ブトキシフェニル基、2-、3-又は4-メチルフェニル基、エチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ターフェニリル基、ビフェニリルオキシフェニル基、ビフェニリルチオフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の置換基を有していてもよいアラルキル基が好ましい。これらのうち、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基がより好ましい。
前記非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン;トリフレートイオン、1,1,1-トリフルオロエタンスルホネートイオン、ノナフルオロブタンスルホネートイオン等のフルオロアルカンスルホネートイオン;トシレートイオン、ベンゼンスルホネートイオン、4-フルオロベンゼンスルホネートイオン、1,2,3,4,5-ペンタフルオロベンゼンスルホネートイオン等のアリールスルホネートイオン;メシレートイオン、ブタンスルホネートイオン等のアルカンスルホネートイオン;トリフルオロメタンスルホンイミドイオン等のフルオロアルカンスルホンイミドイオン;トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン等のフルオロアルカンスルホニルメチドイオン;テトラキスフェニルボレートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のボレートイオン等が挙げられる
前記ジアゾメタン誘導体としては、下記式(B3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024054515000008
式(B3)中、R111及びR112は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリール基、又は炭素数7~12のアラルキル基である。
前記アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、R101~R105の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。前記ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、1,1,1-トリフルオロエチル基、1,1,1-トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
前記置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基;2-、3-又は4-メトキシフェニル基、2-、3-又は4-エトキシフェニル基、3-又は4-tert-ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;2-、3-又は4-メチルフェニル基、エチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基;フルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5-ペンタフルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基等が挙げられる。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
前記グリオキシム誘導体としては、下記式(B4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024054515000009
式(B4)中、R121~R124は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリール基、又は炭素数7~12のアラルキル基である。また、R123及びR124は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよく、環を形成する場合、R123及びR124が結合して形成される基は、炭素数2~12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。
前記アルキル基、ハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、及びアラルキル基としては、R111及びR112として例示したものと同様のものが挙げられる。前記直鎖状又は分岐状のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
前記オニウム塩として具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p-tert-ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p-トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p-トルエンスルホン酸(p-tert-ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p-tert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウム、p-トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸ビス(p-tert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2-オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p-トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2-オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル(4-チオフェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、[4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル]-4-ビフェニリルフェニルスルホニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、テトラキス(フルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルスルホニウム、テトラキス(フルオロフェニル)ホウ酸トリス[4-(4-アセチルフェニル)チオフェニル]スルホニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルスルホニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリス[4-(4-アセチルフェニル)チオフェニル]スルホニウム等が挙げられる。
前記ジアゾメタン誘導体として具体的には、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec-ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert-ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、1-シクロへキシルスルホニル-1-(tert-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1-シクロヘキシルスルホニル-1-(tert-ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、1-tert-ペンチルスルホニル-1-(tert-ブチルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
前記グリオキシム誘導体として具体的には、ビス-o-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(p-トルエンスルホニル)-α-ジフェニルグリオキシム、ビス-o-(p-トルエンスルホニル)-α-ジシクロへキシルグリオキシム、ビス-o-(p-トルエンスルホニル)-2,3-ペンタンジオングリオキシム、ビス-(p-トルエンスルホニル)-2-メチル-3,4-ペンタンジオングリオキシム、ビス-o-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(n-ブタンスルホニル)-α-ジフェニルグリオキシム、ビス-o-(n-ブタンスルホニル)-α-ジシクロへキシルグリオキシム、ビス-o-(n-ブタンスルホニル)-2,3-ペンタンジオングリオキシム、ビス-o-(n-ブタンスルホニル)-2-メチル-3,4-ペンタンジオングリオキシム、ビス-o-(メタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(トリフルオロメタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(1,1,1-トリフルオロエタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(tert-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(パーフルオロオクタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(シクロヘキサンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(ベンゼンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(p-フルオロベンゼンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(p-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(キシレンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(カンファースルホニル)-α-ジメチルグリオキシム等が挙げられる。
前記β-ケトスルホン誘導体として具体的には、2-シクロヘキシルカルボニル-2-(p-トルエンスルホニル)プロパン、2-イソプロピルカルボニル-2-(p-トルエンスルホニル)プロパン等が挙げられる。
前記ジスルホン誘導体として具体的には、ジフェニルジスルホン、ジシクロへキシルジスルホン等が挙げられる。
前記ニトロベンジルスルホネート誘導体として具体的には、p-トルエンスルホン酸2,6-ジニトロベンジル、p-トルエンスルホン酸2,4-ジニトロベンジル等が挙げられる。
前記スルホン酸エステル誘導体として具体的には、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等が挙げられる。
前記イミド-イル-スルホネート誘導体として具体的には、フタルイミド-イル-トリフレート、フタルイミド-イル-トシレート、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド-イル-トリフレート、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド-イル-トシレート、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド-イル-n-ブチルスルホネート、n-トリフルオロメチルスルホニルオキシナフチルイミド等が挙げられる。
前記オキシムスルホネート誘導体として具体的には、α-(ベンゼンスルホニウムオキシイミノ)-4-メチルフェニルアセトニトリル等が挙げられる。
前記イミノスルホネート誘導体として具体的には、(5-(4-メチルフェニル)スルホニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(5-(4-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)フェニルスルホニルオキシイミノ)-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)-アセトニトリル等が挙げられる。
前記トリアジン誘導体として具体的には、2-[2-(フラン-2-イル)エチニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エチニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-メトキシフェニル)エチニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等が挙げられる。
また、2-メチル-2-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1-[(4-メチルチオ)フェニル]-1-プロパン等も好適に使用できる。
(B)成分の光酸発生剤としては、特に前記オニウム塩及び前記スルホニウム塩が好ましく、前記スルホニウム塩がより好ましい。
(B)光酸発生剤は、感光性樹脂組成物の総量に対して0.05~20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5~10質量%の範囲にあることがより好ましい。光酸発生剤が上記範囲内で含まれる場合、露光時の感度及び現像性のバランスに優れて残膜なしに解像度が優れたパターンが得られる。また、光酸発生剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[(C)特定の表面被覆層を有する量子ドット]
量子ドットとは、ナノサイズの半導体物質である。原子が分子を成して、分子は、クラスタという小さい分子の集合体を構成してナノ粒子を形成する。このようなナノ粒子が特に半導体特性を示しているとき、これを量子ドット(量子ドット粒子)と言う。
量子ドットは、外部からエネルギーを受けて浮き立った状態に至ると、自体(自律)的に該当するエネルギーバンドギャップによるエネルギーを放出する(発光する)。
本発明に用いられる(C)量子ドットはシロキサンを含有する表面被覆層を有するものであれば特に限定されることはなく、どのような形態でも使用することが可能である。量子ドットは主に10nm以下のナノ粒子であるが、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、ナノキューブ等でもよく、どのような形状のものでも適用可能である。本発明において、量子ドットの平均粒径は透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いて少なくとも20個の粒子を直接観察し、粒子の投影面積と同一面積を有する円の直径を算出し、それらの平均の値を用いた。
本発明に用いられる(C)量子ドットは任意の好適な材料、例えば、半導体材料としては、II-VI族、III-V族、IV族、IV-VI族、I-III-VI族、II-IV-V族およびこれらの混晶や合金、またはペロブスカイト構造をもつ化合物からなる群より選択されるものを用いることができる。具体的には、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、Si、Ge、Sn、Pb、PbS、PbSe、PbTe、SnS、SnSe、SnTe、AgGaS、AgInS、AgGaSe、AgInSe、CuGaS、CuGaSe、CuInS、CuInSe、ZnSiP、ZnGeP、CdSiP、CdGeP、CsPbCl、CsPbBr、CsPbI、CsSnCl、CsSnBr、CsSnIを含む化合物が挙げられるが、これに限定されない。
本発明に用いられる(C)量子ドットはコアシェル構造を有することができる。コアシェル構造を形成できるシェル材料としては、特に限定されないが、コア材料に対してバンドギャップが大きく、格子不整合性が低いものが好ましく、コア材料に合わせて任意に組み合わせることが可能である。具体的なシェル材料は、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、MgTe、PbS、PbSe、PbTe、SnS、SnSe、SnTe、CuF、CuCl、CuBr、CuIなどが挙げられ、上記材料を単一または複数の混晶としても選択されてもよいが、これに限定されない。
本発明に用いられる(C)量子ドットの製造法は液相法や気相法など様々な方法があるが、本発明においては特に限定されないが、高い蛍光発光効率を示す観点から、高沸点の非極性溶媒中において高温で前駆体種を反応させる、ホットソープ法やホットインジェクション法を用いて得られる半導体ナノ粒子を用いることが好ましく、非極性溶媒への分散性を付与し、表面欠陥を低減するため、表面に有機配位子が配位していることが望ましい。
有機配位子は分散性の観点から脂肪族炭化水素を含むことが好ましい。このような有機配位子としては、例えば、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリル酸、デカン酸、オクタン酸、オレイルアミン、ステアリル(オクタデシル)アミン、ドデシル(ラウリル)アミン、デシルアミン、オクチルアミン、オクタデカンチオール、ヘキサデカンチオール、テトラデカンチオール、ドデカンチオール、デカンチオール、オクタンチオール、トリオクチルホスフィン、トリオクチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィン、トリブチルホスフィンオキシド等が挙げられ、これらを1種単独で用いても複数組み合わせても良い。
本発明に用いられる(C)量子ドットには前記の有機配位子の他にシロキサン結合を形成できる置換基を有する配位子が配位している。シロキサン結合を形成できる置換基を有する配位子として、量子ドット表面に相互作用または吸着する置換基を有することが望ましい。量子ドット表面に相互作用または吸着する置換基として、アミノ基、チオール基、カルボキシ基、メルカプト基、ホスフィノ基、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、スルホニル基、アンモニウムイオン、第4級アンモニウム塩等が挙げられ、この中で配位性の強さの観点からアミノ基、カルボキシ基、メルカプト基、ホスフィン基、第4級アンモニウム塩が好ましい。
本発明に用いられる(C)量子ドットはシロキサンによって量子ドット表面を被覆されている。そのため、上記量子ドット表面に相互作用または吸着する置換基を有する配位子にシロキサン結合を形成できる置換基を有している。シロキサン結合を形成できる置換基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジメチルメトキシシリル基、エトキシジメチルシリル基などのアルコキシシランを含有する化合物、シラザン結合を有する化合物、Si-OH結合を有する化合物、Si-X(X:ハロゲン)結合を有する化合物、カルボン酸などがあるが、反応の副生成物として酸が発生しない温和な条件で反応が進行できることから、アルコキシシランやシラザン、Si-OHを含有する配位子を用いることが好ましい。これらとジフェニルジシラノール等を反応させることでフェニル基含有シロキサンを形成できる。
シロキサンの被覆量は特に限定されないが、量子ドット中1~50質量%の範囲にあることが好ましく、5~30質量%の範囲にあることがより好ましい。シロキサンの被覆量が多すぎると量子ドット含有量が下がってしまうが、上記範囲内に含まれる場合、ベースポリマーへの分散性改善や露光時の量子ドットの劣化を抑えることができる。
本発明に用いられる(C)量子ドットはさらに表面被覆層にフェノール性水酸基を有する骨格を含むものであっても良い。
フェノール性水酸基を有する骨格としては下記式(c)に由来する骨格構造が好ましい。
Figure 2024054515000010
式(c)中、Yは、単結合、メチレン基、プロパン-2,2-ジイル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル基又はフルオレン-9,9-ジイル基である。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。a及びaは、それぞれ独立に、0~7の整数であるが、1~5の整数が好ましく、1~3の整数がより好ましい。b及びbは、それぞれ独立に、0~2の整数であるが、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
前記炭素数1~4のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、これらの構造異性体等が挙げられる。前記炭素数1~4のアルコキシ基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、これらの構造異性体等が挙げられる。
表面被覆層に式(c)の骨格構造を導入することによって、露光後に(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂と表面被覆層が架橋するため、現像時に量子ドットが抜け出てしまうのを抑制し、パターンの高い発光特性が得られる。
また、表面被覆層に式(c)の骨格構造を導入することによって、(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂との相溶性が高まり、感光性樹脂組成物にした際の凝集物の発生を抑制できる。
本発明に用いられる(C)量子ドットは、感光性樹脂組成物の総量に対して5~80質量%が好ましく、より好ましくは10~70質量%である。量子ドット粒子の含有率が上記の範囲内であれば良好な発光特性を維持したまま、微細なパターン形成を行うことができる。
(C)成分におけるフェノール性水酸基の導入方法や導入量は特に限定されないが、上記フェニル基含有シロキサンを形成する際に、あらかじめ作製しておいたアルコキシシラン含有フェノール性水酸基を有する骨格を加えて反応させる方法や、フェノール性水酸基を有する骨格をラジカル反応などで直接導入する方法が使用できる。導入量については樹脂への相溶性を鑑みて、適宜調整すればよい。
[(D)架橋剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、更に、(D)成分として架橋剤を含んでもよい。前記架橋剤は、(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂中のフェノール性ヒドロキシ基と縮合反応を起こし、パターンの形成を容易になし得るための成分であるとともに、光硬化後の樹脂皮膜の強度を更に上げるものである。
前記架橋剤としては、1分子中に平均して2個以上のメチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含む、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物等の含窒素化合物、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド-アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチル基を有するフェノール化合物、及び1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物も好ましい。これらの化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記メラミン化合物としては、下記式(D1)で表されるものが挙げられる。
Figure 2024054515000011
式(D1)中、R201~R206は、それぞれ独立に、メチロール基、炭素数2~5のアルコキシメチル基、又は水素原子であるが、1分子中に平均して2個以上のメチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含む。前記アルコキシメチル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基等が挙げられる。
式(D1)で表されるメラミン化合物としては、トリメトキシメチルモノメチロールメラミン、ジメトキシメチルモノメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン等が挙げられる。
式(D1)で表されるメラミン化合物は、例えば、まず公知の方法に従ってメラミンモノマーをホルムアルデヒドでメチロール化して変性させ、又はこれを更にアルコールでアルコキシ化して変性させることで得ることができる。なお、前記アルコールとしては、低級アルコール、例えば炭素数1~4のアルコールが好ましい。
前記グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメトキシエチルグアナミン等が挙げられる。
前記グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル等が挙げられる。前記ウレア化合物としては、テトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメトキシエチルウレア、テトラエトキシメチルウレア、テトラプロポキシメチルウレア等が挙げられる。
前記ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド-アルコールにより変性されたアミノ縮合物としては、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド-アルコールにより変性されたメラミン縮合物、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド-アルコールより変性された尿素縮合物等が挙げられる。
前記変性メラミン縮合物としては、式(D1)で表される化合物又はこの多量体(例えば二量体、三量体等のオリゴマー体)と、ホルムアルデヒドとを所望の分子量になるまで付加縮合重合させて得られるものが挙げられる。なお、前記付加縮合重合方法としては、従来公知の方法を採用し得る。また、式(D1)で表される変性メラミンは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド-アルコールにより変性された尿素縮合物としては、メトキシメチル化尿素縮合物、エトキシメチル化尿素縮合物、プロポキシメチル化尿素縮合物等が挙げられる。
前記変性尿素縮合物は、例えば公知の方法に従って所望の分子量の尿素縮合物をホルムアルデヒドでメチロール化して変性させ、又はこれを更にアルコールでアルコキシ化して変性させることで得ることができる。
前記1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチル基を有するフェノール化合物としては、(2-ヒドロキシ-5-メチル)-1,3-ベンゼンジメタノール、2,2’,6,6’-テトラメトキシメチルビスフェノールA等が挙げられる。
前記2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂等が挙げられる。
(D)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、含有する場合は0.5~100質量部が好ましく、0.5~50質量部がより好ましく、1~30質量部が更に好ましい。(D)成分の含有量が、0.5質量部以上であれば光照射時に十分な硬化性が得られる。(D)成分は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
[(E)溶剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、更に、(E)成分として溶剤を含んでもよい。前記溶剤としては、前述した各成分を溶解し得るものであれば、特に限定されない。溶剤を配合することによって、感光性樹脂組成物の塗布性を向上させることができる。
このような溶剤としては、有機溶剤がこれらの成分の溶解性に優れていることから好ましい。前記有機溶剤としては、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル-2-n-ペンチルケトン等のケトン類;3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノ-tert-ブチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン等のエステル類等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。特に、光酸発生剤の溶解性に優れている乳酸エチル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、PGMEA、γ-ブチロラクトン及びこれらの混合溶剤が好ましい。
(E)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の相溶性及び粘度の観点から、感光性樹脂組成物の総量に対して、25~85質量%が好ましく、35~75質量%がより好ましい。
[感光性樹脂皮膜]
本発明の感光性樹脂皮膜は、上記に記載の感光性樹脂組成物の乾燥体である。
[感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法]
本発明の感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法は、
(i)上記に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、前記基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する工程
を含む。
工程(i)は、前記感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、前記基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程である。前記基板としては、例えば、シリコンウエハー、ガラスウエハー、石英ウエハー、マイクロLED積層基板等が挙げられる。
塗布方法としては、公知の方法でよく、ディップ法、スピンコート法、ロールコート法等が挙げられる。塗布量は、目的に応じて適宜選択することができるが、得られる感光性樹脂皮膜の膜厚が好ましくは0.1~200μm、より好ましくは1~150μmとなるように塗布することが好ましい。
基板面における膜厚均一性を向上させる目的で、感光性樹脂組成物を塗布する前に溶剤を基板に滴下してもよい(プリウェット法)。滴下する溶剤は、目的に応じて適宜選択することができる。前記溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール類、シクロヘキサノン等のケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール類等が好ましいが、感光性樹脂組成物に使用される溶剤を用いることも可能である。
ここで、光硬化反応を効率的に行うため、必要に応じて予備加熱(プリベーク)により溶剤等を予め揮発させておいてもよい。プリベークは、例えば、40~140℃で1分~1時間程度行うことができる。
次いで、(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する。このとき、露光は、波長10~600nmの光で行うことが好ましく、190~500nmの光で行うことがより好ましい。このような波長の光としては、例えば放射線発生装置により発生された種々の波長の光、例えば、g線、h線、i線等の紫外線光、遠紫外線光(248nm、193nm)等が挙げられる。これらのうち、波長248~436nmの光が特に好ましい。露光量は、10~10,000mJ/cmが好ましい。
露光は、フォトマスクを介して行ってもよい。前記フォトマスクは、例えば所望のパターンをくり貫いたものであってもよい。なお、フォトマスクの材質は、特に限定されないが、前記波長の光を遮蔽するものが好ましく、例えば、遮光膜としてクロムを備えるものが好適に用いられるが、これに限定されない。
更に、現像感度を高めるために、露光後加熱処理(PEB)を行ってもよい。PEBは、40~150℃で0.5~20分間とすることが好ましい。PEBによって、露光部分が架橋して現像液である有機溶剤に不溶な不溶化パターンが形成される。このプリベークを経て溶剤を除去した状態を乾燥体とする。
(iii)露光後又はPEB後、現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する。現像液としては、例えば、IPA等のアルコール類、シクロヘキサノン等のケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール類等の有機溶剤が好ましいが、感光性樹脂組成物に使用される溶剤を用いることも可能である。現像方法としては、通常の方法、例えばパターン形成された基板を前記現像液に浸漬する方法等が挙げられる。その後、必要に応じて、洗浄、リンス、乾燥等を行い、所望のパターンを有する硬化皮膜が得られる。
更に、パターンを形成した皮膜を、オーブンやホットプレートを用いて、好ましくは100~200℃で後硬化してもよい。
[感光性ドライフィルム]
本発明の感光性ドライフィルムは、支持フィルムと、前記支持フィルム上に感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂皮膜とを備えるものである。
前記感光性ドライフィルム(支持フィルム及び感光性樹脂皮膜)は固体であり、感光性樹脂皮膜が溶剤を含まないため、その揮発による気泡が前記感光性樹脂皮膜の内部及び凹凸のある基板との間に残留するおそれがない。前記感光性樹脂皮膜の膜厚は、特に限定されないが、1~200μmが好ましく、3~100μmがより好ましい。
また、前記感光性樹脂皮膜の粘度と流動性とは密接に関係しており、前記感光性樹脂皮膜は、適切な粘度範囲において適切な流動性を発揮でき、狭い隙間の奥まで入っていったり、樹脂が軟化することにより基板との接着性を強くしたりすることができる。したがって、前記感光性樹脂皮膜の粘度は、前記感光性樹脂皮膜の流動性の観点から、80~120℃において、好ましくは10~5,000Pa・s、より好ましくは30~2,000Pa・s、更に好ましくは50~300Pa・sである。なお、本発明において粘度は、回転粘度計による測定値である。
本発明の感光性ドライフィルムは、凹凸のある基板に密着させる際に、感光性樹脂皮膜が前記凹凸に追随して被覆され、高い平坦性を達成できる。特に、本発明の感光性樹脂組成物は、軟化性能が特徴であるため、より高い平坦性を達成できる。更に、前記感光性樹脂皮膜を真空環境下で前記基板に密着させると、それらの隙間の発生をより効果的に防止できる。
本発明の感光性ドライフィルムは、前記感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、乾燥させて感光性樹脂皮膜を形成することによって製造することができる。前記感光性ドライフィルムの製造装置としては、一般的に粘着剤製品を製造するためのフィルムコーターが使用できる。前記フィルムコーターとしては、例えば、コンマコーター、コンマリバースコーター、マルチコーター、ダイコーター、リップコーター、リップリバースコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、3本ボトムリバースコーター、4本ボトムリバースコーター等が挙げられる。
支持フィルムを前記フィルムコーターの巻出軸から巻き出し、前記フィルムコーターのコーターヘッドを通過させるとき、前記支持フィルム上に前記感光性樹脂組成物を所定の厚みで塗布した後、所定の温度及び時間で熱風循環オーブンを通過させ、前記支持フィルム上で乾燥させて感光性樹脂皮膜とすることで、感光性ドライフィルムを製造することができる。また、必要に応じて、感光性ドライフィルムを前記フィルムコーターの別の巻出軸から巻き出された保護フィルムとともに、所定の圧力でラミネートロールを通過させて前記支持フィルム上の前記感光性樹脂皮膜と保護フィルムとを貼り合わせた後、前記フィルムコーターの巻取軸に巻き取ることによって、保護フィルム付き感光性ドライフィルムを製造することができる。この場合、前記温度としては25~150℃が好ましく、前記時間としては1~100分間が好ましく、前記圧力としては0.01~5MPaが好ましい。
本発明の感光性ドライフィルムにおいて使用される支持フィルムは、単一のフィルムからなる単層フィルムであっても、複数のフィルムを積層した多層フィルムであってもよい。前記フィルムの材質としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムが挙げられる。これらのうち、適度の可撓性、機械的強度及び耐熱性を有するポリエチレンテレフタレートが好ましい。これらのフィルムは、コロナ処理や剥離剤塗布等の各種処理が行われたものでもよい。これらは市販品を使用することができ、例えばセラピールWZ(RX)、セラピールBX8(R)(以上、東レフィルム加工(株)製)、E7302、E7304(以上、東洋紡(株)製)、ピューレックスG31、ピューレックスG71T1(以上、帝人デュポンフィルム(株)製)、PET38×1-A3、PET38×1-V8、PET38×1-X08(以上、ニッパ(株)製)等が挙げられる。
前記保護フィルムとしては、前述した支持フィルムと同様のものを用いることができるが、適度の可撓性を有するポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンが好ましい。これらは市販品を使用することができ、ポリエチレンテレフタレートとしてはすでに例示したもの、ポリエチレンとしては、例えばGF-8(タマポリ(株)製)、PEフィルム0タイプ(ニッパ(株)製)等が挙げられる。
前記支持フィルム及び保護フィルムの厚さは、感光性ドライフィルム製造の安定性、及び巻き芯に対する巻き癖、所謂カール防止の観点から、いずれも好ましくは10~100μm、より好ましくは25~50μmである。
[感光性ドライフィルムを用いるパターン形成方法]
本発明の感光性ドライフィルムを用いるパターン形成方法は、
(i’)上記に記載の前記感光性ドライフィルムの前記感光性樹脂皮膜を基板上に貼り付けて、前記基板上に前記感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する工程
を含む。
まず、(i’)感光性ドライフィルムを用いて、前記感光性樹脂皮膜を基板上に貼り付けて、前記基板上に感光性樹脂皮膜を形成する。つまり、感光性ドライフィルムの感光性樹脂皮膜を基板に貼り付けることで基板上に感光性樹脂皮膜を形成する。また、前記感光性ドライフィルムが保護フィルムを有している場合には、感光性ドライフィルムから保護フィルムを剥がした後、感光性ドライフィルムの感光性樹脂皮膜を基板に貼り付ける。貼り付けは、例えばフィルム貼り付け装置を用いて行うことができる。
前記フィルム貼り付け装置としては、真空ラミネーターが好ましい。例えば、前記感光性ドライフィルムの保護フィルムを剥離し、露出した前記感光性樹脂皮膜を所定真空度の真空チャンバー内において、所定の圧力の貼り付けロールを用いて、所定の温度のテーブル上で前記基板に密着させる。なお、前記温度としては60~120℃が好ましく、前記圧力としては0~5.0MPaが好ましく、前記真空度としては50~500Paが好ましい。
前記感光性樹脂皮膜の光硬化反応を効率的に行うため、及び感光性樹脂皮膜と基板との密着性を向上させるため、必要に応じてプリベークを行ってもよい。プリベークは、例えば、40~140℃で1分間~1時間程度行うことができる。
基板に貼り付けた感光性樹脂皮膜は、前記感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法の場合と同様に、(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する工程、及び必要に応じて(iv)後硬化加熱処理をすることでパターンを形成することができる。なお、感光性ドライフィルムの支持フィルムは、プロセスに応じてプリベーク前又はPEB前に剥がすか、他の方法で除去する。
本発明の感光性樹脂組成物や感光性ドライフィルムを用いるパターン形成方法により、微細なパターン形成を容易に行うことができる。例えば、基板上に数多く敷き詰められた青色のマイクロLEDを被覆するように本発明の感光性樹脂組成物や感光性ドライフィルムを成膜し、次いで微細なパターン形成を行うことで部分ごとに赤や緑の量子ドットを含む硬化膜を青色マイクロLED上に形成することで、赤や緑の発光も生じることができるため、フルカラー化した発光素子を作製することが可能となる。
[発光素子]
本発明の発光素子は、上記に記載のパターン形成方法により得られた硬化皮膜を備えるものである。
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、量子ドット材料としてInP/ZnSe/ZnSのコアシェル型量子ドットを用いており、コアの合成方法は後述の[1-1](赤の量子ドット)、[1-2](緑の量子ドット)に示す通りであり、その後のシェルの合成方法は[2]に示す通りである。
[1-1]赤の量子ドットコア合成工程
フラスコを二つ用意し、それぞれパルミチン酸を0.23g(0.9mmol)、酢酸インジウムを0.088g(0.3mmol)、1-オクタデセンを10mL加え、減圧下、100℃で加熱撹拌を行い、原料を溶解させながら1時間脱気を行った。その後、窒素を二つのフラスコ内にパージし、両方のフラスコに0.75mL(0.15mmol)のトリストリメチルシリルホスフィン/トリオクチルホスフィン溶液(0.2M)を加えた。その後、片方のフラスコを300℃に昇温し、昇温させていないフラスコから溶液を抜き取り、300℃に加熱しているフラスコに添加していき、コア粒子が生成した。
[1-2]緑の量子ドットコア合成工程
フラスコ内にパルミチン酸を0.23g(0.9mmol)、酢酸インジウムを0.088g(0.3mmol)、1-オクタデセンを10mL加え、減圧下、100℃で加熱撹拌を行い、原料を溶解させながら1時間脱気を行った。その後、窒素をフラスコ内にパージし、トリストリメチルシリルホスフィンをトリオクチルホスフィンと混合して0.2Mに調製した溶液を0.75mL(0.15mmol)加えて300℃に昇温し、コア粒子が生成した。
[2]量子ドットシェル層合成工程
次いで、別のフラスコにステアリン酸亜鉛2.85g(4.5mmol)、1-オクタデセン15mLを加え、減圧下、100℃で加熱撹拌を行い、溶解させながら1時間脱気を行ったステアリン酸亜鉛オクタデセン溶液0.3Mを用意し、コア合成後の反応溶液に3.0mL(0.9mmol)添加して200℃まで冷却した。次いで、別のフラスコにセレン0.474g(6mmol)、トリオクチルホスフィン4mLを加えて150℃に加熱して溶解させ、セレントリオクチルホスフィン溶液1.5Mを調製し、200℃に冷却しておいたコア合成工程後の反応溶液を320℃まで30分かけて昇温しながら、セレントリオクチルホスフィン溶液を0.1mLずつ合計0.6mL(0.9mmol)添加するように加えて320℃で10分保持した後に室温まで冷却した。酢酸亜鉛を0.44g(2.2mmol)加え、減圧下、100℃で加熱撹拌することで溶解させた。再びフラスコ内を窒素でパージして230℃まで昇温し、1-ドデカンチオールを0.98mL(4mmol)添加して1時間保持した。得られた溶液を室温まで冷却し、コアシェル型量子ドット含有溶液を作製した。[1-1]から[2]の工程を経て合成された赤のコアシェル型量子ドットをR-1、[1-2]から[2]の工程を経て合成された緑のコアシェル型量子ドット含有溶液をG-1とする。
[3]配位子交換工程
シロキサン結合を形成可能な置換基と量子ドット表面に配位する置換基を有するリガンド(配位子)として(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシランを使用した。リガンドの交換反応としては室温まで冷却したシェル合成工程後の溶液に(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシラン(3.0mmol)添加して24時間撹拌した。反応終了後、エタノールを加えて反応溶液を沈殿させ、遠心分離を行い、上澄みを除去した。同様な精製をもう一度行い、トルエンに分散させてシロキサン結合を形成可能な置換基を有するリガンドが配位した量子ドット溶液を作製した。R-1を用いて合成したシロキサン結合を形成可能な置換基を有するリガンドが配位した量子ドットをR-2、G-1を用いて合成したシロキサン結合を形成可能な置換基を有するリガンドが配位した量子ドットをG-2とする。
[4-1]表面被覆層形成工程
窒素でパージしておいたフラスコにメタクリル酸トリエトキシシリルプロピル(4.0mmol)とジフェニルシランジオール(6mmol)と水酸化バリウム・一水和物(0.15mmol)とリガンド交換工程後の量子ドットトルエン溶液を加え、65℃で24時間加熱撹拌した。反応終了後室温まで冷却し、エタノールを加えて反応溶液を沈殿させ、遠心分離を行い、上澄みを除去した。トルエンに分散させ、あらかじめ窒素でパージしておいたフラスコに加え、下記式(1)で示す化合物と量子ドットトルエン溶液100質量部に対して2質量部添加した。さらに、Irgacure1173を下記式(1)で示す化合物100質量部に対して1質量部添加し、撹拌混合を行った後にUVLED照射装置により波長365nm出力4000mW/cmの光を20秒照射した。反応終了後、エタノールを加えて沈殿させ、遠心分離の後に上澄みを除去して再度トルエンに分散させた。その後、PGMEAを加えて、減圧蒸留によりトルエン溶媒を除去し、表面被覆層を形成した量子ドット溶液(固形分濃度60%溶液)を作製した。ここで、R-2をベースに表面被覆層を形成した量子ドットをR-(1)、G-2をベースに表面被覆層を形成した量子ドットをG-(1)とする。
[4-2]表面被覆層形成工程
窒素でパージしておいたフラスコにメタクリル酸トリエトキシシリルプロピル(4.0mmol)とジフェニルシランジオール(6mmol)と水酸化バリウム・一水和物(0.15mmol)とリガンド交換工程後の量子ドットトルエン溶液を加え、65℃で24時間加熱撹拌した。反応終了後室温まで冷却し、エタノールを加えて反応溶液を沈殿させ、遠心分離を行い、上澄みを除去した。トルエンに分散させ、あらかじめ窒素でパージしておいたフラスコに加え、下記式(1’)で示す化合物と量子ドットトルエン溶液100質量部に対して2質量部添加した。さらに、Irgacure1173を下記式(1’)で示す化合物100質量部に対して1質量部添加し、撹拌混合を行った後にUVLED照射装置により波長365nm出力4000mW/cmの光を20秒照射した。反応終了後、エタノールを加えて沈殿させ、遠心分離の後に上澄みを除去して再度トルエンに分散させた。その後、PGMEAを加えて、減圧蒸留によりトルエン溶媒を除去し、表面被覆層を形成した量子ドット溶液(固形分濃度60%溶液)を作製した。ここで、R-2をベースに表面被覆層を形成した量子ドットをR-(1’)、G-2をベースに表面被覆層を形成した量子ドットをG-(1’)とする。
[5]シリコーン樹脂の合成
[合成例1]樹脂1の合成
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、化合物(1)215.0g(0.50モル)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃まで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、化合物(2)58.2g(0.30モル)及び化合物(4)604.0g(0.20モル)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃まで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂1を得た。GPCにおいて各原料のピークの消失及び樹脂1のMwを80,000と確認した(シリコーン含有率は68.9質量%:シリコーン含有率は仕込み量からの計算値)。
[合成例2]樹脂2の合成
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、化合物(1)215.0g(0.50モル)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃まで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、化合物(2)67.9g(0.35モル)及び(3)6.7g(0.05モル)、化合物(4)302.0g(0.10モル)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃まで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂2を得た。GPCにおいて各原料のピークの消失及び樹脂2のMwを40,000と確認した(シリコーン含有率は52.2質量%)。
[合成例3]樹脂3の合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、化合物(1)215.0g(0.50モル)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃まで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、化合物(2)87.3g(0.45モル)及び(3)6.7g(0.05モル)、化合物(4)151.0g(0.05モル)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃まで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂2を得た。GPCにおいて各原料のピークの消失及び樹脂3のMwを13,000と確認した(シリコーン含有率は34.3質量%)。
上記合成例において使用した化合物(1)~(4)は、以下のとおりである。
Figure 2024054515000012
[6]感光性樹脂組成物の調製、及びその評価
[実施例1~12及び比較例1~24]
表1~4に記載の配合量に従って各成分を配合し、その後常温にて撹拌、混合し、1.0μmのグラスフィルターで精密濾過を行い、実施例1~12及び比較例1~24の感光性樹脂組成物を得た。
Figure 2024054515000013
Figure 2024054515000014
Figure 2024054515000015
Figure 2024054515000016
表1~4中、使用した光酸発生剤B-1及びB-2は、以下のとおりである。
Figure 2024054515000017
表1~4中、使用した架橋剤D-1及びD-2は、以下のとおりである。
Figure 2024054515000018
表1~4中、量子ドットのR-3は昭栄化学(株)製S-BE030(粒子サイズ5~10nm、材質InP:ZnS:SeZn=25:50:25)、R-4はAldrich社製900514-1ML(粒子サイズ5~10nm、材質CdSe(コア)/CdS(シェル)コアシェルタイプ)、G-3は昭栄化学(株)製S-BE029(粒子サイズ3~5nm、材質InP:ZnS:SeZn=25:50:25)、G-4はAldrich社製900511-1ML(粒子サイズ3~5nm、材質CdSe(コア)/CdS(シェル)コアシェルタイプ)である。
[7]感光性ドライフィルムの作製
フィルムコーターとしてダイコーター、支持フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)を用いて、表1~4に記載した感光性樹脂組成物をそれぞれ前記支持フィルム上に塗布した。次いで、100℃に設定された熱風循環オーブン(長さ4m)を5分間で通過させることにより乾燥し、支持フィルム上に感光性樹脂皮膜を厚さ20μmになるように形成し、感光性ドライフィルムを得た。前記感光性樹脂皮膜の上から、保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(厚さ50μm)をラミネートロールで圧力1MPaにて貼り合わせ、保護フィルム付き感光性ドライフィルムを作製した。
[8]感光性樹脂皮膜の評価
(1)感光性樹脂皮膜中の凝集物の確認
前記保護フィルム付き感光性ドライフィルムの保護フィルムを剥離し、感光性ドライフィルム中の凝集物の確認を光学顕微鏡で行い、1μm以上の大きさの凝集物があるものを×、凝集物がないもしくは1μm未満の大きさであるものを○として結果を表5~8に示す。
(2)パターン形成及びその評価
前記保護フィルム付き感光性ドライフィルムは、保護フィルムを剥離し、真空ラミネーターTEAM-100RF((株)タカトリ製)を用いて、真空チャンバー内の真空度を80Paに設定し、支持フィルム上の感光性樹脂皮膜をシリコンウエハーに密着させた。温度条件は、100℃とした。常圧に戻した後、前記基板を真空ラミネーターから取り出し、支持フィルムを剥離した。次に、基板との密着性を高めるため、ホットプレートにより110℃で3分間プリベークを行った。得られた感光性樹脂皮膜に対してマスクを介して隣のパターンとのピッチ幅が1:1である正方形のアイランドパターンを形成するために、i線ステッパーNSR-2205i11D((株)ニコン製)を用いて露光した。照射後、ホットプレートにより120℃で3分間PEBを行った後冷却し、前記基板をPGMEAにて60秒間スプレー現像を行い、パターンを形成した。その後、オーブンを用いて150℃で2時間、窒素パージしながら後硬化した。その後に走査型電子顕微鏡(SEM)により、形成した一辺が100μm、50μm、30μm、20μm、10μmのアイランドパターンを観察し、隣のアイランドパターン(ピッチ幅が1:1)と繋がっていない最小のパターンサイズを限界解像性とした。なお、解像力が100μmに達しなかったものもしくはパターンの現像剥離が発生したものを×とした。結果を表5~8に示す。
(3)形成したパターンの発光特性評価
株式会社堀場テクノサービス製のLabRAM HR Evоlutiоnを用いて、上記(2)で作製したパターン付きサンプルに457nmのレーザー光(0.03mW)を照射し、光変換されたアイランドパターン領域を測定し、光変換された光の発光強度、発光波長、半値幅を測定した。また、上記(2)で作製したラミネート及び支持フィルム剥離工程後のサンプルについても同様に測定して、光変換された光の発光強度を測定した。結果を表5~8に示す(M:100万)。
(4)信頼性試験評価
ガラス基板上に、スピンコーターを使用して、100μmの膜厚で表1~4に記載した感光性樹脂組成物をコートした。組成物から溶剤を除去するため、基板をホットプレートにのせ、110℃で20分間、加熱乾燥させた。得られた感光性樹脂皮膜に対してマスクを介して一辺が1cmの正方形のアイランドパターンを形成するために、365nmの露光条件でコンタクトアライナ型露光装置を使用して露光した。照射後、ホットプレートにより140℃で5分間PEBを行った後冷却し、前記基板をPGMEAにて300秒間スプレー現像を行い、パターンを形成した。その後、オーブンを用いて150℃で2時間、窒素パージしながら後硬化した。このパターン付きサンプルをヒートサイクル試験(-55℃で10分間保持、125℃で10分間保持を1,000サイクル繰り返した。)に供し、ヒートサイクル試験後の硬化皮膜の基板からの剥離状態、クラックの有無を確認した。全く剥離・クラックを生じなかったものを○、1つでも剥離やクラックが生じたものを×とした。結果を表5~8に示す。
Figure 2024054515000019
Figure 2024054515000020
Figure 2024054515000021
Figure 2024054515000022
以上の結果より、本発明の感光性樹脂組成物は、凝集物のない(もしくはあっても極めて小さい)良好な感光性皮膜や感光性ドライフィルムを形成でき、高いリソグラフィー解像性、リソグラフィー工程前後で変化のない高い発光特性、良好な信頼性(密着性、耐クラック性)を有し、発光素子に適する硬化皮膜を提供することができることが示された。
本明細書は、以下の態様を包含する。
[1]:感光性樹脂組成物であって、
(A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂、
(B)光酸発生剤、及び
(C)量子ドット
を含み、前記量子ドットはシロキサンを含有する表面被覆層を有するものであることを特徴とする感光性樹脂組成物。
[2]:前記(C)成分が、前記表面被覆層にフェノール性水酸基を有する骨格を含むものであることを特徴とする上記[1]の感光性樹脂組成物。
[3]:前記(A)成分が、下記式(a1)で表される繰り返し単位及び下記式(b1)で表される繰り返し単位を含むものであることを特徴とする上記[1]又は上記[2]の感光性樹脂組成物。
Figure 2024054515000023
[式中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~8の1価炭化水素基である。mは、0~600の整数である。Xは、下記式(X1)で表される2価の基である。
Figure 2024054515000024
(式中、Yは、単結合、メチレン基、プロパン-2,2-ジイル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル基又はフルオレン-9,9-ジイル基である。R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。a及びaは、それぞれ独立に、0~7の整数である。b及びbは、それぞれ独立に、0~2の整数である。)]
[4]:(D)成分として、1分子中に平均して2個以上のメチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含む、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物及びウレア化合物、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド-アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチル基を有するフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種である架橋剤を更に含むものであることを特徴とする上記[1]、上記[2]又は上記[3]の感光性樹脂組成物。
[5]:前記(C)成分の量子ドットは、その表面に配位する配位子を有し、前記表面被覆層は前記配位子と結合したシロキサン結合を含有し、前記配位子の置換基がアミノ基、チオール基、カルボキシ基、ホスフィノ基、ホスフィンオキシド基、及びアンモニウムイオンのいずれか1種以上を有するものであることを特徴とする上記[1]、上記[2]、上記[3]又は上記[4]の感光性樹脂組成物。
[6]:前記(C)成分を前記感光性樹脂組成物中5~80質量%含むものであることを特徴とする上記[1]、上記[2]、上記[3]、上記[4]又は上記[5]の感光性樹脂組成物。
[7]:更に、(E)溶剤を含むものであることを特徴とする上記[1]、上記[2]、上記[3]、上記[4]、上記[5]又は上記[6]の感光性樹脂組成物。
[8]:上記[1]、上記[2]、上記[3]、上記[4]、上記[5]、上記[6]又は上記[7]の感光性樹脂組成物の乾燥体であることを特徴とする感光性樹脂皮膜。
[9]:支持フィルムと、前記支持フィルム上に上記[8]の感光性樹脂皮膜とを備えるものであることを特徴とする感光性ドライフィルム。
[10]:パターン形成方法であって、
(i)上記[1]、上記[2]、上記[3]、上記[4]、上記[5]、上記[6]又は上記[7]の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、前記基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する工程
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
[11]:パターン形成方法であって、
(i’)上記[9]の感光性ドライフィルムの前記感光性樹脂皮膜を基板上に貼り付けて、前記基板上に前記感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する工程
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
[12]:上記[10]又は上記[11]のパターン形成方法により得られた硬化皮膜を備えるものであることを特徴とする発光素子。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (12)

  1. 感光性樹脂組成物であって、
    (A)フェノール性水酸基を有するシリコーン樹脂、
    (B)光酸発生剤、及び
    (C)量子ドット
    を含み、前記量子ドットはシロキサンを含有する表面被覆層を有するものであることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  2. 前記(C)成分が、前記表面被覆層にフェノール性水酸基を有する骨格を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分が、下記式(a1)で表される繰り返し単位及び下記式(b1)で表される繰り返し単位を含むものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2024054515000025
    [式中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~8の1価炭化水素基である。mは、0~600の整数である。Xは、下記式(X1)で表される2価の基である。
    Figure 2024054515000026
    (式中、Yは、単結合、メチレン基、プロパン-2,2-ジイル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル基又はフルオレン-9,9-ジイル基である。R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。a及びaは、それぞれ独立に、0~7の整数である。b及びbは、それぞれ独立に、0~2の整数である。)]
  4. (D)成分として、1分子中に平均して2個以上のメチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含む、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物及びウレア化合物、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド-アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチル基を有するフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種である架橋剤を更に含むものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記(C)成分の量子ドットは、その表面に配位する配位子を有し、前記表面被覆層は前記配位子と結合したシロキサン結合を含有し、前記配位子の置換基がアミノ基、チオール基、カルボキシ基、ホスフィノ基、ホスフィンオキシド基、及びアンモニウムイオンのいずれか1種以上を有するものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記(C)成分を前記感光性樹脂組成物中5~80質量%含むものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 更に、(E)溶剤を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の乾燥体であることを特徴とする感光性樹脂皮膜。
  9. 支持フィルムと、前記支持フィルム上に請求項8に記載の感光性樹脂皮膜とを備えるものであることを特徴とする感光性ドライフィルム。
  10. パターン形成方法であって、
    (i)請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、前記基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
    (ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
    (iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する工程
    を含むことを特徴とするパターン形成方法。
  11. パターン形成方法であって、
    (i’)請求項9に記載の感光性ドライフィルムの前記感光性樹脂皮膜を基板上に貼り付けて、前記基板上に前記感光性樹脂皮膜を形成する工程、
    (ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
    (iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する工程
    を含むことを特徴とするパターン形成方法。
  12. 請求項10又は請求項11に記載のパターン形成方法により得られた硬化皮膜を備えるものであることを特徴とする発光素子。
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