JP2024053327A - 浄化槽 - Google Patents
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Abstract
【課題】被処理水の流入水量によらず被処理水の勢いを低減することのできるバッフルを備える浄化槽を提供すること。【解決手段】被処理水の水処理を行う水処理部と、水処理部へと被処理水が流入する流入部7と、流入部7に接続されているバッフル9と、を備える浄化槽において、流入部7の正面に位置するバッフルの正面壁90に、被処理水を受けるための横方向に延びる横方向受け面902が形成されており、被処理水を移送可能な配管70が、流入部7からバッフル9の正面壁90の側に向かって延伸しており、配管70の開口71より排出された被処理水が、横方向受け面902で受けられた後にバッフル9の流出口95から排出されるように構成される。【選択図】図3
Description
本発明は、被処理水の水処理を行う水処理部と、前記水処理部へと被処理水が流入する流入部と、前記流入部に接続されているバッフルと、を備える浄化槽に関する。
従来の浄化槽には、流入部から流れてきた被処理水が浄化槽の水処理部に流入する際、水面に浮上しているスカム(汚泥の塊)が被処理水の勢いで破砕しないように、バッフル部材が設けられている。
また、バッフル部材を通過した被処理水が勢いよく水処理部の底部に向かうと、底部に堆積した汚泥を撹拌して巻き上げてしまうことになる。そのため、バッフル部材の、流入部と対向する壁面に被処理水を受けるような受け部分を設けて、その受け部分で被処理水の勢いを低減することによって、堆積した汚泥の巻き上げを防ぐようにしている。
従来の浄化槽では、流入部と、それに対向するバッフル部材の壁面との間に比較的大きな距離が設けられている。そのため、被処理水の流入水量が比較的多い場合は、バッフル部材の受け部分が機能するが、被処理水の流入水量が少ない場合は、被処理水が受け部分を通過し難くなるため、汚泥の巻き上げを防ぐ効果が得られ難くなる。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、被処理水の流入水量によらず被処理水の勢いを低減することのできるバッフルを備える浄化槽を提供することにある。
本発明に係る浄化槽の特徴は、被処理水の水処理を行う水処理部と、前記水処理部へと被処理水が流入する流入部と、前記流入部に接続されているバッフルと、を備える浄化槽において、
前記流入部の正面に位置する前記バッフルの正面壁に、被処理水を受けるための横方向に延びる横方向受け面が形成されており、
被処理水を移送可能な配管が、前記流入部から前記バッフルの正面壁の側に向かって延伸しており、前記配管の開口より排出された被処理水が、前記横方向受け面で受けられた後に前記バッフルの流出口から排出されるように構成される点にある。
前記流入部の正面に位置する前記バッフルの正面壁に、被処理水を受けるための横方向に延びる横方向受け面が形成されており、
被処理水を移送可能な配管が、前記流入部から前記バッフルの正面壁の側に向かって延伸しており、前記配管の開口より排出された被処理水が、前記横方向受け面で受けられた後に前記バッフルの流出口から排出されるように構成される点にある。
本発明に係る浄化槽においては、前記バッフルの正面壁が、前記バッフルの底部より立ち上がる縦面と、前記縦面に連設する前記横方向受け面と、前記横方向受け面に連設して縦方向に延びる縦方向受け面とを備えると好適である。
本発明に係る浄化槽においては、前記横方向受け面が、前記流入部の側に傾斜していると好適である。
本発明に係る浄化槽においては、前記横方向受け面の水平面に対する傾斜角度が20°~35°であると好適である。
本発明に係る浄化槽においては、前記配管の開口が、前記バッフルの正面壁の下端部の略真上か、もしくは前記横方向受け面の上方に位置すると好適である。
本発明に係る浄化槽においては、前記横方向受け面における前記流入部の側の端部と、前記配管の開口との間の水平方向における距離が、10mm~20mmであると好適である。
被処理水を移送可能な配管が、流入部からバッフルの正面壁の側に向かって延伸している。これにより、配管の開口より排出された被処理水は、バッフルの横方向受け面で受けられた後にバッフルの流出口から排出されるように構成されている。そのため、たとえ被処理水の流入水量が少ない場合であっても、被処理水の勢いを低減することができる。従って、本発明におけるバッフルによれば、被処理水の流入水量によらずその勢いを低減することが可能であり、その結果、固液分離槽の槽底部に堆積した汚泥が撹拌及び巻き上げられることが抑制されるため、次槽以降への汚泥の流出が低減される。さらに、汚泥の静置状態が継続されるため、汚泥の圧密化と濃縮化が進み、汚泥以外の空間が増えることで、次槽以降への汚泥の流出がさらに軽減される。
以下、図面に基づいて、本発明に係る浄化槽の実施形態を説明する。
〔浄化槽〕
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る浄化槽1の本体内部には、固液分離槽2(水処理部の一例)、嫌気ろ床槽3、担体流動槽4、処理水槽5、及び消毒槽6が備えられている。尚、本実施形態においては、浄化槽1の長手方向というときは、浄化槽1における固液分離槽2、嫌気ろ床槽3、及び担体流動槽4が並ぶ方向を指し、浄化槽1の幅方向とは、平面視において長手方向と直交する方向を指すものとする。
〔浄化槽〕
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る浄化槽1の本体内部には、固液分離槽2(水処理部の一例)、嫌気ろ床槽3、担体流動槽4、処理水槽5、及び消毒槽6が備えられている。尚、本実施形態においては、浄化槽1の長手方向というときは、浄化槽1における固液分離槽2、嫌気ろ床槽3、及び担体流動槽4が並ぶ方向を指し、浄化槽1の幅方向とは、平面視において長手方向と直交する方向を指すものとする。
被処理水Wの原水は、流入部7から固液分離槽2に流入し、嫌気ろ床槽3、担体流動槽4、処理水槽5、消毒槽6の順に移送され、各槽において処理が施された後、放流口8から槽外に放流される。
固液分離槽2は、流入部7から流入した被処理水Wを受けて一時貯留するように構成されている。固液分離槽2によって、被処理水W中に含まれる比較的大きな夾雑物、固形物等が重力沈降により分離されて、槽上部にスカム等の浮遊性の懸濁物質が貯留されると共に、槽底部に汚泥が貯留される。
嫌気ろ床槽3は、嫌気ろ材30を備えており、被処理水Wが嫌気ろ材30を通過する際に、浮遊物質の分離と嫌気性微生物の働きによる有機物の分解、及び硝酸性・亜硝酸性窒素の脱窒が実施される。
本実施形態における担体流動槽4は、図示しない流動担体と散気管とを備える。
担体流動槽4は、微生物を担持した状態で被処理水Wと共に流動可能な複数の流動担体を収容保持する。流動担体の一例としては、例えば、比重約1.01、大きさ20mm×20mmの角形スポンジ状担体が挙げられる。また流動担体の素材としては、例えばポリウレタン(PU)が挙げられる。尚、流動担体の形状、大きさ、素材については上記構成に限定されるものではなく、耐久性や処理性能が同等以上と判断され得るような構成であればどのような構成であっても良い。
散気管は、担体流動槽4の槽底部の近傍に設けられており、槽外に設置された図示しないブロワからの空気供給により、散気管から気泡が放出されるように構成されている。
散気管から気泡が放出されると、気泡が担体流動槽4に供給される。これにより流動担体が担体流動槽4内を旋回流動し、このとき担体流動槽4では、流動担体に付着した微生物の働きによって有機物の好気分解及びアンモニア態窒素の硝化反応が行われる。
担体流動槽4で処理された被処理水Wは、担体流動槽4と処理水槽5とを仕切る隔壁の下部に設けられている移流部を介して、処理水槽5に流れる。
また担体流動槽4における、処理水槽5と隣接する位置には、循環用のエアリフトポンプAPが設けられており、剥離汚泥と被処理水Wの一部が循環水として、循環返送管を介して固液分離槽2におけるバッフル9に常時移送されるように構成されている。尚、エアリフトポンプAPには、槽外に設置された図示しないブロワから空気が供給される。
処理水槽5は、担体流動槽4で処理された被処理水Wを一時的に貯留すると共に、担体流動槽4で捕捉できなかった剥離汚泥等を分離し、汚泥の流出を防止する。
処理水槽5で処理された被処理水Wは、処理水槽5と消毒槽6とを仕切る隔壁の上部に設けられている移流部を通ってオーバーフローにより消毒槽6の消毒装置(図示せず)に流れる。消毒装置で消毒剤と接触して消毒された被処理水Wは、放流口8から槽外方に放流される。
〔バッフル〕
本実施形態におけるバッフル9は、流入部7の正面に位置する正面壁90と、正面壁90の向かい側に位置する背面壁91と、幅方向に対面配置される右側面壁92及び左側面壁93と、底部94とを有する、横断面が略矩形の部材である。
本実施形態におけるバッフル9は、流入部7の正面に位置する正面壁90と、正面壁90の向かい側に位置する背面壁91と、幅方向に対面配置される右側面壁92及び左側面壁93と、底部94とを有する、横断面が略矩形の部材である。
バッフル9は、背面壁91を介して流入部7に接続されている。そして、被処理水Wを移送可能な配管70が、流入部7に嵌め込まれている。尚、配管70については、流入部7と一体に構成してあっても良い。
バッフル9の正面壁90には、被処理水Wを受けるための横方向に延びる横方向受け面902が形成されている。横方向受け面902は、被処理水Wの水位WLよりも常に下にある位置に設けられている。
本実施形態においては、被処理水Wが流出する流出口95は、バッフル9の底部94に形成されている。
被処理水Wを移送可能な配管70が、流入部7からバッフル9の正面壁90の側に向かって延伸している。これにより、配管70の開口71より排出された被処理水Wは、バッフル9の横方向受け面902で受けられた後にバッフル9の流出口95から排出されるように構成されている。
そのため、たとえ被処理水Wの流入水量が少ない場合であっても、被処理水Wの勢いを低減することができる。従って、本実施形態におけるバッフル9によれば、被処理水Wの流入水量によらずその勢いを低減することが可能であり、その結果、固液分離槽2の槽底部に堆積した汚泥が撹拌及び巻き上げられることが抑制されるため、次槽(本実施形態では嫌気ろ床槽3)以降への汚泥の流出が低減される。さらに、汚泥の静置状態が継続されるため、汚泥の圧密化と濃縮化が進み、汚泥以外の空間が増えることで、次槽以降への汚泥の流出がさらに軽減される。
また本実施形態においては、バッフル9の正面壁90には、バッフル9の底部94より立ち上がる縦面901と、縦面901に連設する横方向受け面902と、横方向受け面902に連設して縦方向に延びる縦方向受け面903とが形成されている。
本実施形態における配管70の開口71は、バッフル9の正面壁90の下端部の略真上に位置する。尚、配管70の開口71の位置については、これに限らず、横方向受け面902の上方に位置するようにしても良い。
本実施形態に示されるように、横方向受け面902は、流入部7の側に傾斜していると良い。その際、横方向受け面902の水平面に対する傾斜角度θは20°~35°であることが望ましい。
これにより、図4に示すように、配管70の開口71より排出された被処理水Wは、バッフル9の横方向受け面902で受けられた後に、横方向受け面902が流入部7の側に傾斜していることにより流入方向とは逆方向である背面壁91の側に向かって流れて、その後下降して、流出口95から排出される。また、横方向受け面902の水平面に対する傾斜角度θが、急傾斜でもなく、平ら過ぎでもなく、適度な傾斜である20°~35°であることで、被処理水Wの流下速度を減速させることができ、かつ被処理水W中に含まれる固形物等が横方向受け面902の水平面に堆積することもなく、円滑に流下することができる。即ち、バッフル9内の空間がより有効に活用されて、被処理水Wの勢いをより確実に低減することができる。
また、配管70の開口71が横方向受け面902の上方に位置していない場合は、横方向受け面902における流入部7の側の端部と、配管70の開口71との間の水平方向における距離Tを、10mm~20mmとすることが望ましい。
〔その他の実施形態〕
上述の実施形態においては、被処理水Wが抽出する流出口95が、バッフル9の底部94に形成してある構成が示されているが、この構成に限定されるものでなく、例えば、図5及び図6に示すように、被処理水Wが流出する流出口95が、バッフル9の右側面壁92及び左側面壁93のそれぞれにおける底部94近くの下部に形成されている構成としても良い。また、流出口95をバッフル9の側壁に設ける場合は、側壁の前後左右のいずれでもよく、即ち本実施形態では、正面壁90、背面壁91(浄化槽本体との間に隙間がある場合)、右側面壁92、左側面壁93のいずれでもよく、また一か所、もしくは複数か所に設ける構成としても良い。
上述の実施形態においては、被処理水Wが抽出する流出口95が、バッフル9の底部94に形成してある構成が示されているが、この構成に限定されるものでなく、例えば、図5及び図6に示すように、被処理水Wが流出する流出口95が、バッフル9の右側面壁92及び左側面壁93のそれぞれにおける底部94近くの下部に形成されている構成としても良い。また、流出口95をバッフル9の側壁に設ける場合は、側壁の前後左右のいずれでもよく、即ち本実施形態では、正面壁90、背面壁91(浄化槽本体との間に隙間がある場合)、右側面壁92、左側面壁93のいずれでもよく、また一か所、もしくは複数か所に設ける構成としても良い。
尚、上述のように図面を参照しつつ本発明を説明したが、本発明は当該図面の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができることは言うまでもない。
本発明に係る浄化槽は、小型の浄化槽だけでなく、中型及び大型の浄化槽にも適用することができる。
1 浄化槽
2 固液分離槽(水処理部の一例)
3 嫌気ろ床槽
30 嫌気ろ材
4 担体流動槽
5 処理水槽
6 消毒槽
7 流入部
70 配管
71 開口
8 放流口
9 バッフル
90 正面壁
901 縦面
902 横方向受け面
903 縦方向受け面
91 背面壁
92 右側面壁
93 左側面壁
94 底部
95 流出口
W 被処理水
WL 水位
AP エアリフトポンプ
T 距離
θ 傾斜角度
2 固液分離槽(水処理部の一例)
3 嫌気ろ床槽
30 嫌気ろ材
4 担体流動槽
5 処理水槽
6 消毒槽
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70 配管
71 開口
8 放流口
9 バッフル
90 正面壁
901 縦面
902 横方向受け面
903 縦方向受け面
91 背面壁
92 右側面壁
93 左側面壁
94 底部
95 流出口
W 被処理水
WL 水位
AP エアリフトポンプ
T 距離
θ 傾斜角度
Claims (6)
- 被処理水の水処理を行う水処理部と、前記水処理部へと被処理水が流入する流入部と、前記流入部に接続されているバッフルと、を備える浄化槽において、
前記流入部の正面に位置する前記バッフルの正面壁に、被処理水を受けるための横方向に延びる横方向受け面が形成されており、
被処理水を移送可能な配管が、前記流入部から前記バッフルの正面壁の側に向かって延伸しており、前記配管の開口より排出された被処理水が、前記横方向受け面で受けられた後に前記バッフルの流出口から排出されるように構成される浄化槽。 - 前記バッフルの正面壁が、前記バッフルの底部より立ち上がる縦面と、前記縦面に連設する前記横方向受け面と、前記横方向受け面に連設して縦方向に延びる縦方向受け面とを備える請求項1に記載の浄化槽。
- 前記横方向受け面が、前記流入部の側に傾斜している請求項1に記載の浄化槽。
- 前記横方向受け面の水平面に対する傾斜角度が20°~35°である請求項3に記載の浄化槽。
- 前記配管の開口が、前記バッフルの正面壁の下端部の略真上か、もしくは前記横方向受け面の上方に位置する請求項1~4のいずれか一項に記載の浄化槽。
- 前記横方向受け面における前記流入部の側の端部と、前記配管の開口との間の水平方向における距離が、10mm~20mmである請求項1~4のいずれか一項に記載の浄化槽。
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