JP2024051299A - 樹脂組成物、積層構造体、ケーブル、チューブ、及び樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、積層構造体、ケーブル、チューブ、及び樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2024051299000001
【課題】シリコーンゴムを母材とする積層構造体であって、連続的に長く製造される場合であっても全体に渡って滑り性とUV-C耐性を備える積層構造体、その積層構造体からなる絶縁体を備えたケーブル及びチューブ、並びにその積層構造体の表層を構成する樹脂組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一態様において、シリコーンゴムを母材とし、シリコーンレジン微粒子112、金属酸化物微粒子、及びナノシリカ微粒子114を含む、樹脂組成物を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂組成物、積層構造体、ケーブル、チューブ、及び樹脂組成物の製造方法に関する。
従来、微粒子を含むシリコーンゴムからなり、シースを覆うように設けられた被膜を備えた医療機器用ケーブルが知られている(特許文献1参照)。シリコーンゴムは、従来シースの材料として一般的に用いられてきたポリ塩化ビニル(PVC)と比較して、時間の経過に伴う変色がほとんどないなどの優位点があるが、表面の滑り性が低い傾向にある。
特許文献1に記載のケーブルの被膜は、シリコーンレジン微粒子などの微粒子を含むシリコーンゴムからなるため、その表面には、微粒子に由来する凹凸が形成されている。この凹凸により、被膜と他の部材とが接触したときに接触面積を小さくすることができ、被膜表面の滑り性、すなわちケーブルの滑り性を高めることができる。
特許6723489号公報
近年、医療機器用ケーブルの殺菌方法として、簡便、安価、かつ確実に殺菌することができる、UV-C光の照射による殺菌方法が注目されているが、UV-C光の照射による殺菌を実施するためには、ケーブルのUV-C光への耐性(以下、UV-C耐性と呼ぶ)が問題となる。シリコーンゴムからなるシースを備えたケーブルも、UV-C光の照射を繰り返すとシースが劣化するため、ケーブルを曲げるなどの応力が作用するとシースにクラックが入ることが確認されている。
そこで、特許文献1に記載のケーブルに、滑り性に加えてUV-C耐性を与えるため、UV-C光を遮蔽することができる金属酸化物微粒子を被膜に添加するという手段が考えられる。しかしながら、この場合、被膜の原料である液状の樹脂組成物において、シリコーンレジン微粒子などの被膜の表面に凹凸を形成するための微粒子と金属酸化物微粒子とが凝集して沈降し、被膜の母材であるシリコーンゴムを主体とした層と凝集体を主体とした層への分離が生じる。
これにより、樹脂組成物中の凹凸形成用の微粒子や金属微粒子の存在する位置に偏りが生じ、樹脂組成物をコーティングして形成されるケーブルの被膜中の凹凸形成用の微粒子や金属微粒子の存在する位置にも偏りが生じるため、ケーブル全体に滑り性やUV-C耐性を付与することが困難になる。また、液状の樹脂組成物の分離は時間の経過によって進行するため、樹脂組成物をケーブルに連続的にコーティングする場合に、ケーブルの位置によって被膜中の凹凸形成用の微粒子や金属微粒子の含有量などが変わる。特に、被膜のある程度の時間が経過してから形成される部分では凹凸形成用の微粒子や金属微粒子の含有量が不十分になり、目的とする滑り性やUV-C耐性が得られなくなる場合がある。
本発明の目的は、シリコーンゴムを母材とする積層構造体であって、連続的に長く製造される場合であっても全体に渡って滑り性とUV-C耐性を備える積層構造体、その積層構造体からなる絶縁体を備えたケーブル及びチューブ、並びにその積層構造体の表層を構成する樹脂組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決することを目的として、シリコーンゴムを母材とし、シリコーンレジン微粒子、金属酸化物微粒子、及びナノシリカ微粒子を含む、樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、シリコーンゴムを母材とする第1の層と、前記第1の層に積層された、シリコーンゴムを母材とし、シリコーンレジン微粒子、金属酸化物微粒子、及びナノシリカ微粒子を含む第2の層と、を備えた、積層構造体を提供する。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、上記の積層構造体からなる絶縁体を備えた、ケーブルを提供する。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、上記の積層構造体からなる絶縁体を備えた、チューブを提供する。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、シリコーンゴム、酸化チタン微粒子、及び有機溶媒の混合物に、ナノシリカ微粒子を添加し、次いで、シリコーンレジン微粒子を添加する、樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明によれば、シリコーンゴムを母材とする積層構造体であって、連続的に長く製造される場合であっても全体に渡って滑り性とUV-C耐性を備える積層構造体、その積層構造体からなる絶縁体を備えたケーブル及びチューブ、並びにその積層構造体の表層を構成する樹脂組成物及びその製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る積層構造体の垂直断面図である。 図2(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る超音波プローブケーブルの構成を模式的に示す斜視図である。図2(b)は、図2(a)に記載の切断線A-Aで切断された超音波プローブケーブルのケーブルの径方向の断面図である。 図3は、被膜によるケーブルの被覆に用いられる被覆装置の構成例を示す模式図である。 図4(a)~(c)は、それぞれ本発明の第2の実施の形態に係る医療用チューブの径方向の断面図である。 図5は、120分間静置した試料A1を含むスクリュ管瓶の撮影画像である。 図6は、試料A1と試料A4の分離層の幅の、静置状態に置いてからの経過時間による変化を示すグラフである。 図7は、試料A4と試料A5の分離層の幅の、静置状態に置いてからの経過時間による変化を示すグラフである。 図8は、試料A1~A4の粘度測定に用いた音叉振動式粘度計の構成を示す模式図である。 図9は、試料A1~A4の測定時間に対する粘度変化率Xを示すグラフである。 図10は、試料A1~A4の粘度変化率Xと、試料A1~A4を用いて形成される第2の層中のナノシリカ微粒子の濃度との関係を示すグラフである。 図11は、ナノシリカ微粒子の濃度が異なる7つの試料の粘度測定により得られた、液状の樹脂組成物の粘度と第2の層のナノシリカ微粒子の濃度との関係を示すグラフである。 図12は、親水性の表面処理が施されたナノシリカ微粒子と疎水性の表面処理が施されたナノシリカ微粒子を用いた場合の、第2の層の表面の光学顕微鏡及び走査電子顕微鏡(SEM)による観察像を示す。 図13は、試料C1、C2の引張試験の結果を示すグラフである。 図14(a)は、曲げ試験の様子を示す模式図である。図14(b)は、導線及び導線に巻き付けられた試験片の、導線の径方向の断面図である。 図15は、試料C1、C2から切り出された試験片の表面を光学顕微鏡により50倍の倍率で観察した観察画像を示す。 図16は、試料C1、C2から切り出された試験片の表面を走査電子顕微鏡により500倍の倍率で観察した観察画像を示す。
〔第1の実施の形態〕
(積層構造体の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る積層構造体1の垂直断面図である。積層構造体1は、シリコーンゴムを母材とする第1の層10と、第1の層10上に積層された、シリコーンゴムを母材111とし、シリコーンレジン微粒子112、酸化チタン(TiO)微粒子113、及びナノシリカ微粒子114を含む第2の層11とを備える。
第1の層10と第2の層11の母材であるシリコーンゴムは、シリコーン樹脂の一種である。シリコーンゴムは、従来、医療用途に使用されるケーブルやチューブの材料として一般的に用いられているポリ塩化ビニルと比較して紫外線(UV-A光、UV-B光、UV-C光)に対する耐性が高い。
積層構造体1は、その用途に応じて様々な形態をとり得る。例えば、ケーブルやチューブの絶縁体に用いられる場合は管状に成形され、高紫外線耐性の恒温室ハウス用シートや殺菌室などからの紫外線漏れを遮蔽するための紫外線遮蔽シート(紫外線遮蔽カーテン)などに用いられる場合はシート状に成形される。
(第2の層の構成)
第2の層11は、シリコーンゴムを母材111とし、シリコーンレジン微粒子112、酸化チタン微粒子113、及びナノシリカ微粒子114を含む樹脂組成物からなる。第2の層11の母材111であるシリコーンゴムとしては、例えば、付加反応型のシリコーンゴムコーティング剤又は縮合反応型のシリコーンゴムコーティング剤を用いることができる。特に、シリコーンゴムを母材とする第1の層10との密着性及び耐摩耗性の観点から、付加反応型のシリコーンゴムコーティング剤を用いることが好ましい。
第2の層11によって積層構造体1の表面の良好な滑り性及び所定の拭き取り耐性を得るためには、第2の層11の厚さが3μm以上であることが好ましい。また、第2の層11は第1の層10の両面に積層されていてもよい。なお、第2の層11の厚さの上限は特に制限されるものではないが、生産性、高可撓性及び高屈曲性の観点から100μm以下であることが好ましい。
シリコーンレジン微粒子112は、第2の層11の表面に凹凸を付与するために第2の層11に含まれる。表面に凹凸があると、表面が平坦な場合と比較して、第2の層11が接触物と接触したときの接触面積が小さくなり、滑り性が高くなる。
シリコーンレジンは、シリコーンゴムよりも反応基(例えば、メチル基)の数が少なく、シリコーンゴムよりも硬度が高い。このため、シリコーンレジン微粒子112は、シリコーンゴム微粒子よりも、第2の層11が接触物と接触した際の表面の凹凸の変形を効果的に抑えることができる。これは、接触物により第2の層11の表面に押し付け圧力が加わった際に、微粒子の硬度が高いほど第2の層11の表面の凹凸の変形を抑えることができるためである。これにより、第2の層11の接触物との接触面積の増加を抑え、滑り性を維持することができる。
また、シリコーンレジンの分子構造における原子間の結合エネルギーは、シリコーンゴムの分子構造における原子間の結合エネルギーよりも高い。このため、シリコーンレジンは、シリコーンゴムよりもUV-C光に対する耐性が高い。
例えば、シリコーンゴムに多く含まれるC-H結合は、結合エネルギー(およそ4.27eV)がUV-C光のエネルギー(およそ6.2eV)よりも小さいため、UV-C光の照射により結合が切れるが、シリコーンレジンに多く含まれるSi-O結合は、結合エネルギー(およそ6.52eV)がUV-C光のエネルギーよりも大きいため、UV-C光の照射により結合が切れない。このため、UV-C光に対する耐性において、シリコーンレジン微粒子112はシリコーンゴム微粒子よりも優れている。
また、シリコーンレジンは、シリカよりも密度が低い。このため、シリコーンレジン微粒子112はシリカ微粒子よりも第2の層11の製造過程において母材となる液状のシリコーンゴム中で沈降し難い。すなわち、液状のシリコーンゴム中(第2の層11中)の分散性において、シリコーンレジン微粒子112はシリカ微粒子よりも優れている。
シリコーンレジン微粒子112の平均粒径は、例えば、1μm以上10μm以下である。また、第2の層11中のシリコーンレジン微粒子112の濃度(質量%)は、例えば、10質量%以上60質量%以下である。ここで、本願明細書における「平均粒径」は、後述の酸化チタン微粒子及びナノシリカ微粒子のものも含め、レーザー回折散乱法により測定されたものをいう。
第2の層11に含まれる酸化チタン微粒子113は、UV-C光を吸収及び/又は散乱により遮蔽することができる。ここで、UV-C光は、200~280nmの波長域の紫外光である。酸化チタン微粒子113がUV-C光を遮蔽することにより、シリコーンゴムからなる母材111のUV-C光による劣化を抑えることができる。酸化チタン微粒子113を構成するTiOは、アナターゼ型、ルチル型、又はブルッカイト型のいずれであってもよく、これらのうちの2つ以上の混合物であってもよい。また、酸化チタンには、ニオブ酸化物を添加して、安定性を持たせるようにしてもよい。酸化チタン微粒子113の平均粒径は、例えば、100~300nmである。
第2の層11中のTi濃度は、1.0質量%以上4.4質量%以下であることが好ましい。第2の層11が、Ti濃度が1.0質量%以上となる濃度の酸化チタン微粒子113を含むことにより、1404J/cmのUV-C光を照射した後の45~50%引張相当の曲げ試験による、第1の層10に到達するような積層構造体1の表面におけるクラックの発生を抑えることができる。なお、曲げ試験の方法及びクラックの有無の観察方法については後述する。
一方で、第2の層11が、Ti濃度が4.4質量%を超えるような濃度の酸化チタン微粒子113を含む場合、第2の層11の表面荒れが大きくなる。表面荒れが大きくなると、汚れや細菌が付着し易く、また、除去し難くなる。また、Ti濃度が4.4質量%を超えるような濃度の酸化チタン微粒子113を含むと、シリコーンゴムからなる母材111とシリコーンレジン微粒子112との密着性が低下して、シリコーンレジン微粒子112が脱落し易くなり、第2の層11の表面の滑り性が低下する。このため、第2の層11中のTi濃度は、4.4質量%以下であることが好ましい。
なお、第2の層11中のTiは、いずれも酸化チタン微粒子113に含まれるものである。第2の層11中のTi濃度は、走査電子顕微鏡(SEM)に搭載されたエネルギー分散型X線分析装置(EDS)を用いて、横125μm×縦95μmの測定領域での平均値として求められる。
第2の層11の表面におけるシリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体の形成を抑え、第2の層11の内部に酸化チタン微粒子113を均一に分散させるため、疎水性の表面処理が施された酸化チタン微粒子を酸化チタン微粒子113として用いることが好ましい。また、第2の層11の表面におけるナノシリカ微粒子114の凝集体の形成を抑え、第2の層11の内部に酸化チタン微粒子113を均一に分散させるためには、疎水性の表面処理が施されたナノシリカ微粒子をナノシリカ微粒子114として用いることが好ましい。すなわち、酸化チタン微粒子113とナノシリカ微粒子114として、それぞれ疎水性の表面処理が施された微粒子を用いることにより、シリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体の形成を抑え、かつナノシリカ微粒子114の凝集体の形成を抑えることができる。
なお、母材111のUV-C光による劣化を抑えるために、酸化チタン微粒子113の代わりに酸化亜鉛、酸化鉄などの他の金属酸化物の微粒子を用いてもよい。
ナノシリカ微粒子114は、第2の層11の原料である、コート液としての液状の樹脂組成物にチキソ性を付与する。このとき、ナノシリカ微粒子114は液中でかさ高い網目構造を形成しており、この構造によってシリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体の沈降速度を遅らせることにより、沈降を抑制する。ナノシリカ微粒子114の平均粒径は、例えば、10~30nmである。
シリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体の沈降を効果的に抑えるためには、第2の層11のナノシリカ微粒子114の質量%濃度が、第2の層11のTiの質量%濃度の1.14倍以上であることが好ましい。また、第2の層11の原料である液状の樹脂組成物の粘度を、第2の層11を均一な厚さに成膜するためなどに好適な範囲に収めるため、第2の層11のナノシリカ微粒子114の濃度が11.5質量%以下であることが好ましい。
(第1の層の構成)
第1の層10は、第2の層11を透過したUV-C光による劣化を抑えるため、第2の層11と同様に、酸化チタン微粒子113を含んでもよい。
また、上述のように、第1の層10はシリコーンゴムを母材として用いるが、第1の層10をシース材料として用いる場合には、各種架橋剤、架橋触媒、老化防止剤、可塑剤、滑剤、充填剤、難燃剤、安定剤、着色剤等の一般的な配合剤が添加されたシリコーンゴムを母材として用いてもよい。
(積層構造体の製造方法)
積層構造体1は、第1の層10の表面に付着させた、第2の層11の原料である液状の樹脂組成物を硬化させることにより製造される。第2の層11の原料である液状の樹脂組成物は、シリコーンレジン微粒子112、酸化チタン微粒子113、ナノシリカ微粒子114、シリコーンゴム、及び有機溶媒を含む。液状の樹脂組成物は、酸化チタン微粒子113の代わりに、酸化亜鉛、酸化鉄などの金属酸化物の微粒子を含んでもよい。また、液状の樹脂組成物は、酸化チタンと酸化亜鉛などの複数種類の金属酸化物の微粒子を含んでもよい。
液状の樹脂組成物においては、有機溶媒により液状化したシリコーンゴムに、シリコーンレジン微粒子112、酸化チタン微粒子113、及びナノシリカ微粒子114が含まれている。そして、液状の樹脂組成物を加熱することにより、有機溶媒が気化し、シリコーンゴムが硬化して、固体の樹脂組成物からなる第2の層11が得られる。
液状の樹脂組成物に含まれる有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカンなどの脂肪族炭化水素系溶剤などを、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。また例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類やアセトンを用いることができる。
液状の樹脂組成物を製造する際には、シリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体の沈降による分離の進行をより効果的に抑えるため、シリコーンゴム、酸化チタン微粒子113、及び有機溶媒の混合物に、ナノシリカ微粒子114を添加し、次いで、シリコーンレジン微粒子112を添加することが好ましい。
(第1の実施の形態の効果)
本発明の第1の実施の形態によれば、第2の層11がシリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113を含むことにより、積層構造体1は滑り性とUV-C耐性を備える。そして、第2の層11の原料である液状の樹脂組成物において、ナノシリカ微粒子114がシリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体の沈降を抑えることにより、積層構造体1が連続的に長く製造される場合であっても、第2の層11中のシリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の位置の偏りや含有量の低下が抑えられる。すなわち、第2の層11がナノシリカ微粒子114を含むことにより、積層構造体1が連続的に長く(長期間に亘って)製造される場合であっても、上記の滑り性とUV-C耐性が積層構造体1の全体に渡って備えられる。
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態に係る積層構造体1からなる絶縁体を備えたケーブル又はチューブである。以下、その一例として、医療用の超音波プローブケーブルに用いられるケーブルについて説明する。
図2(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る超音波プローブケーブル2の構成を模式的に示す斜視図である。超音波プローブケーブル2においては、図2に示されるように、ケーブル20の一端部に、この一端部を保護するブーツ31を介して、超音波プローブ32が取り付けられている。一方、ケーブル20の他端部には、超音波撮像装置の本体部と接続されるコネクタ33が取り付けられている。
図2(b)は、図2(a)に記載の切断線A-Aで切断された超音波プローブケーブル2のケーブル20の径方向の断面図である。ケーブル20の内部には、例えば、複数の同軸ケーブルに代表される電線21が収納されており、この複数の電線21を覆うように編組シールドなどのシールド22が設けられている。そして、シールド22を覆うようにシース23が設けられている。さらに、ケーブル20においては、上述したシース23の周囲を覆い、かつ、シース23と密着する被膜24が形成されている。
ケーブル20のシース23と被膜24は、それぞれ積層構造体1の第1の層10と第2の層11からなる。すなわち、ケーブル20において、シース23及び被膜24として積層構造体1が用いられている。なお、被膜24中のシリコーンレジン微粒子112、酸化チタン微粒子113、及びナノシリカ微粒子114の図示は省略する。
滑り性とUV-C耐性を全体に渡って備える積層構造体1をケーブル20の絶縁体(シース23と被膜24)として用いているため、ケーブル20は滑り性とUV-C耐性を全体に渡って備える。そのため、シース23の表面のべたつきに起因する引っ掛かりを抑制することができ、かつUV-C光の照射による殺菌を実施することができる。被膜24の厚さは、例えば、3μm以上100μm以下である。
(ケーブルの製造方法)
本実施の形態に係るケーブル20の製造方法の一例について説明する。まず、複数本(例えば100本以上)の電線21を一括に束ねる。そして、束ねた複数本の電線21を覆うようにシールド22を形成する。
次に、シールド22を覆うように、積層構造体1の第1の層10と第2の層11を順に形成し、シース23と被膜24を形成する。シース23は、例えば、押出機を用いる押出成形によって形成される。被膜24は、例えば、以下に示す被覆装置4を用いて形成される。
図3は、被膜24によるケーブル20の被覆に用いられる被覆装置4の構成例を示す模式図である。被覆装置4は、タンク41と、補充用導入チューブ42と、電気炉43と、プーリ44と、巻取機45と、を備えている。タンク41には、供給ドラム47から被膜24で被覆される前のケーブル20であるケーブル200が連続して供給される。ケーブル200は、電線21、シールド22、及びシース23を有している。巻取機45には、被膜24で被覆されたケーブル20を巻き取る巻取ドラム46がセットされている。
被膜24を形成する工程は、ケーブル200の表面にコート液としての液状の樹脂組成物240を付着させる工程と、液状の樹脂組成物240が付着したケーブル200を加熱して、液状の樹脂組成物240を硬化させる工程を含む。液状の樹脂組成物240は、硬化によって被膜24となる。ここで、液状の樹脂組成物240は、第1の実施の形態において説明した第2の層11の原料である液状の樹脂組成物と同じものである。
ケーブル200の表面に液状の樹脂組成物240を付着させる工程では、供給ドラム47から送り出されたケーブル200をその長手方向に移動させて、タンク41に貯留された液状の樹脂組成物240中を通過させ、シース23の表面に液状の樹脂組成物240を付着させる。
タンク41は、入口部41aと出口部41bとを有しており、入口部41aからタンク41内に進入したケーブル200は、その長手方向が水平方向となるように、タンク41を出口部41bに向かって横方向に通り抜ける。なお、入口部41aには、液漏れを防止するため、ケーブル200を覆うパッキンやフェルト材などのカバー411が取り付けられている。出口部41bには、ケーブル200の表面に液状の樹脂組成物240を付着させるため、ケーブル200が通過できる孔を有するフェルト材412が取り付けられている。フェルト材412の多孔質体に浸透した液状の樹脂組成物240をケーブル200の表面に付着させることができる。タンク41には、補充用導入チューブ42から液状の樹脂組成物240が随時補充される。
液状の樹脂組成物240を硬化させる工程では、液状の樹脂組成物240が付着したケーブル200をその長手方向に移動させながら電気炉43によって加熱し、液状の樹脂組成物240のシリコーンゴムを架橋させる。なお、この架橋を促すため、白金等の触媒を用いるとよい。液状の樹脂組成物240は、電気炉43で加熱されることにより乾燥及び硬化する。図3に示される例では、タンク41の横方向に電気炉43が配置され、電気炉43のさらに送線方向前方にプーリ44が配置されている。液状の樹脂組成物240が付着したケーブル200は、その長手方向が水平方向となるように電気炉43の中を移動する。
電気炉43の温度及び水平方向の長さは、液状の樹脂組成物240が硬化して被膜24となったケーブル20をプーリ44によってガイドして巻取ドラム46に巻き取っても、被膜24に塑性歪みや剥がれが発生しない程度に硬化が進むよう設定されている。
電気炉43を通過したケーブル20は、プーリ44にガイドされて進行方向が変わり、プーリ44よりも下方に配置された巻取ドラム46に巻き取られる。その後、ケーブル20を所定の長さに切断して端末加工を実施し、超音波プローブ32、コネクタ33、及びブーツ31を取り付けることにより、超音波プローブケーブル2が得られる。
また、以下に、積層構造体1からなる絶縁体を備えたケーブル又はチューブの他の一例として、カテーテルなどの医療用途に使用されるチューブ(中空管)の構成について説明する。
図4(a)~(c)は、それぞれ本発明の第2の実施の形態に係る医療用チューブ70a、70b、70cの径方向の断面図である。図4(a)に示される医療用チューブ70aは、チューブ本体71の外表面71aに外側被膜72を備える。図4(b)に示される医療用チューブ70bは、チューブ本体71の内表面71bに内側被膜73を備える。図4(c)に示される医療用チューブ70cは、チューブ本体71の外表面71aと内表面71bにそれぞれ外側被膜72と内側被膜73を備える。
医療用チューブ70a、70b、70cに例示されるように、本実施の形態に係るチューブは、チューブ本体71と、チューブ本体71の外表面71aを覆う外側被膜72、チューブ本体71の内表面71bを覆う内側被膜73、又は外側被膜72と内側被膜73の両方を備える。
医療用チューブ70a、70b、70cのチューブ本体71は、積層構造体1の第1の層10からなり、外側被膜72及び内側被膜73は積層構造体1の第2の層11からなる。このため、医療用チューブ70a、70b、70cは、上述の超音波プローブケーブル2のケーブル20と同様に、滑り性とUV-C耐性を全体に渡って備える。そのため、例えば、カテーテル等の医療用チューブなどのように、内部に器具を挿入して使用するチューブとして使用する場合、器具のスムーズな挿抜が可能であり、かつUV-C光の照射による殺菌を実施することができる。
その他、本実施の形態に係るチューブは、内視鏡手術器用チューブセット、超音波手術器用チューブセット、血液分析器用チューブ、酸素濃縮器内配管、人工透析血液回路、人工心肺回路、気管内チューブなどに用いることができる。
(第2の実施の形態の効果)
本発明の第2の実施の形態によれば、積層構造体1を絶縁体に用いることにより、連続的に長く製造される場合であっても全体に渡って滑り性とUV-C耐性を備える、超音波プローブケーブル2に用いられるケーブル20などのケーブルや医療用チューブ70a、70b、70cなどのチューブを提供することができる。
第2の層11の原料である液状の樹脂組成物における、ナノシリカ微粒子114によるシリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体の沈降の抑制効果を評価した。次の表1に、本評価に用いた5種の液状の樹脂組成物(試料A1~A5とする)の成分及び調整手順を示す。
Figure 2024051299000002
表1の「シリコーンゴム+TiO」はシリコーンゴムと酸化チタン微粒子113の混合物の質量、「有機溶媒」は有機溶媒としてのトルエンの質量、「ナノシリカ」はナノシリカ微粒子114の質量、「シリコーンレジン」はシリコーンレジン微粒子112の質量を示す。「調整手順」の「手順1」はシリコーンゴム、酸化チタン微粒子113、及び有機溶媒の混合物に、ナノシリカ微粒子114を添加し、次いで、シリコーンレジン微粒子112を添加する手順であり、「手順2」はシリコーンゴム、酸化チタン微粒子113、及び有機溶媒の混合物に、シリコーンレジン微粒子112を添加し、次いで、ナノシリカ微粒子114を添加する手順である。
試料A1~A5を用いて形成した第2の層11のTi濃度は、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)を用いた分析を行い、横125μm×縦95μmの測定領域での平均値を取得したところ、いずれも1.9質量%であった。
試料A1~A5に用いられるナノシリカ微粒子114は、いずれも日本アエロジル株式会社製の平均粒径が0.020μmのナノシリカ微粒子である。また、試料A1~A5に用いられるシリコーンレジン微粒子112は、いずれも信越化学工業株式会社製の平均粒径が2μmのシリコーンレジン微粒子である。
まず、試料A1と試料A4をそれぞれ手動振とうで200回攪拌した後、50mlのスクリュ管瓶に入れた。これを室温(23±2℃)にて静置状態に置き、その外観を一定時間ごとに静止画にて撮影した。
図5は、120分間静置した試料A1を含むスクリュ管瓶の撮影画像である。図5は、試料A1に含まれるシリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体が沈降することにより現れる透明な分離層を示している。この分離層の幅はシリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体の沈降が進むほど大きくなるため、分離層の幅を測定することにより沈降の程度を測ることができる。
図6は、試料A1と試料A4の分離層の幅の、静置状態に置いてからの経過時間による変化を示すグラフである。試料A1と試料A4の分離層の幅は、上記の撮影画像から画像処理ソフトウェアImageJを用いて測定した。
図6によれば、試料Alは50分を経過するまで分離層が現出していなかったが、120分を経過した時点で2mm幅の分離層が現出し、160分経過後には分離層の幅が12mmとなった。これに対して、試料A4は130分経過時点まで分離層が現出せず、130~160分経過後に0.5mm未満の分離層が現出した。また、同様に試料A2及び試料A3の分離層の幅を測定したが、試料A4との差は確認できなかった。
これらの結果は、ナノシリカ微粒子114を含む試料A2~A4において、シリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体の沈降がナノシリカ微粒子114によって抑えられたことによると考えられる。
図7は、試料A4と試料A5の分離層の幅の、静置状態に置いてからの経過時間による変化を示すグラフである。試料A4と試料A5は、表1に示されるように、成分が同じであり、シリコーンレジン微粒子112とナノシリカ微粒子114を添加する順序が異なる。試料A5の分離層の幅は、試料A1~A4と同様の方法により測定した。なお、図7の試料A4の測定値は図6の試料A4の測定値と一致していないが、これは、これらの測定値がそれぞれ別に行われた測定により得られたことによる。図6に係る試料A1の測定と試料A4の測定を同日に実施し、また、図7に係る試料A4の測定と試料A5の測定を同日に実施している。
図7によれば、試料A4の方が試料A5よりも時間の経過による分離層の幅の増加率が小さく、30~40分が経過した時点で双方の分離層の幅に差が生じ始めることがわかった。これは、ナノシリカ微粒子114をシリコーンレジン微粒子112よりも先に添加することにより、酸化チタン微粒子113とナノシリカ微粒子114が凝集し、沈降する酸化チタン微粒子113とシリコーンレジン微粒子112の凝集体の形成を抑制できるためと考えられる。
次に、酸化チタン微粒子113とシリコーンレジン微粒子112の凝集体の沈降の程度とナノシリカ微粒子114の濃度との関係を調べるため、試料A1~A4の粘度測定を実施した。
図8は、試料A1~A4の粘度測定に用いた音叉振動式粘度計(株式会社エー・アンド・デイ製の音叉振動式粘度計SV-10H)5の構成を示す模式図である。音叉振動式粘度計5は、試料A1~A4などの液状の樹脂組成物240を貯留する容器51(サンプル容器AX-SV-34)と、液状の樹脂組成物240中で先端が一定幅で振動する振動子52と、液状の樹脂組成物240の温度を測定する温度センサ53と、振動子52を振動させる電磁駆動部54を備える。音叉振動式粘度計5は、液状の樹脂組成物240中で振動子52を共振させ、振動子52を一定幅で振幅させるのに必要となる加振力から粘度を求める。
粘度測定により酸化チタン微粒子113とシリコーンレジン微粒子112の凝集体の沈降の程度を測定できるメカニズムは以下の通りである。沈降が進行すると、液状の樹脂組成物240の固体成分が下層に集まるため、下層の粘度が上昇していくと考えられる。この状態において、液状の樹脂組成物240に攪拌されるような力を与えずに粘度の変化を測定できれば、その粘度変化が沈降の程度を表すといえる。音叉振動式粘度計5は微弱な振動によって粘度を測定できるために、液状の樹脂組成物240に力を加えずに粘度をリアルタイムで測定できる。よって、音叉振動式粘度計5により液状の樹脂組成物240の静置状態での粘度を測定し、液状の樹脂組成物240の沈降状態を定量的に評価することができる。
粘度測定は、測定系全体が室温(23±2℃)に置かれた状態で実施した。音叉振動式粘度計5にてリアルタイムで測定した粘度は、株式会社エー・アンド・デイ製のデータ通信ソフトウェアRsViscoを用いて温度変化とともに記録した。
試料A1~A4は、測定開始直前に手動振とうで200回振とうし、容器51に10ml分取し、静置したまま、音叉振動式粘度計5の振動子52を液中に入れた状態を保持して測定を行った。測定結果は、測定時間に対して温度と粘度をプロットした状態で出力される。
試料温度の値を確認し、測定時間中に粘度に影響を与えうる変化をしていないことを確認した。測定時間に対する温度の値だけでは確認できない場合には、横軸に温度、縦軸に粘度を取ったグラフを作製し、粘度と温度に相関関係がないことを確認した。このとき温度変化が大きく、温度変化が粘度に影響を及ぼしていると判断された場合には、温度を一定にした系にて再度測定を行った。
測定時間が0分であるときの粘度を初期粘度μとし、測定時間Tにおける粘度をμとした。そして、初期状態からの粘度の変化率Xを「X=((μ-μ)/μ)×100」と定義し、この変化率Xの変動が一定時間内で±2%以内であるときに、試料粘度が一定であるとした。±2%以内という指標は、音叉振動式粘度計5の繰り返し測定性(測定値の標準偏差)が1%であることと、音叉振動式粘度計5の測定に影響を与える外的要因の影響を考慮したうえで設定した。
一定時間内に、試料温度が粘度に影響を及ぼさない範囲内にある上で、粘度変化率Xの変動が±2%以内であるとき、試料中の粒子の分散状態は一定である。対して、試料温度が粘度に影響を及ぼさない範囲内にある上で、粘度変化率Xの変動が±2%に収まらない場合には、試料中の粒子の分散状態は一定ではない。特に、粘度変化率Xが上昇している場合には、試料A1~A4のように時間経過により硬化しない樹脂組成物においては、組成物中の粒子が沈降していると判断できる。
図9は、試料A1~A4の測定時間に対する粘度変化率Xを示すグラフである。図9によれば、ナノシリカ微粒子114を含まず、図6に結果が示されている分離層幅の測定でも沈降が認められた試料A1は、時間の経過とともに粘度変化率Xが大きく増加し、120分経過後の粘度変化率Xはおよそ12%となっている。このことから、試料A1では、試料中の粒子、主に酸化チタン微粒子113とシリコーンレジン微粒子112の凝集体、の位置が安定しておらず、沈降が生じたと考えられる。
これに対し、試料A2、A3、A4は試料A1と比べて時間の経過による粘度変化率Xの増加が小さく、120分経過後の粘度変化率Xはそれぞれ8.6%、4.5%、0%であった。このことから、試料A2、A3、A4においては試料A1と比較して粒子の沈降が抑えられていることがわかった。
しかしながら、試料A2と試料A3の粘度変化率Xは、試料A1と比べて緩やかではあるが時間の経過とともに増加しており、120分経過時点で2%よりも大きくなっている。このことから、試料A2と試料A3の粘度は一定ではなくある程度の粒子の沈降が生じていることがわかる。一方で、試料A4の粘度変化率Xは、時間の経過による増加が非常に小さく、120分経過時点で±2%以内であった。このことから、試料A4の粘度はほぼ一定であり、粒子の沈降がほとんど生じていないことがわかる。
試料A1~A4を用いて第2の層11を形成した場合、表1に示される成分のうち、有機溶媒はすべて除去される。このため、試料A1、A2、A3、A4を用いて形成された第2の層11におけるナノシリカ微粒子114の濃度は、それぞれ0質量%、0.441質量%、1.33質量%、2.17質量%となる。ここで、ナノシリカ微粒子114の濃度は、[(ナノシリカの質量)/{(シリコーンゴムの質量)+(TiOの質量)+(ナノシリカの質量)+(シリコーンレジンの質量)}]*100で求める。
図10は、試料A1~A4の粘度変化率Xと、試料A1~A4を用いて形成される第2の層11中のナノシリカ微粒子114の濃度との関係を示すグラフである。図10中の「10分」、「30分」、「60分」、「90分」、「120分」は、それぞれ図9のグラフにおける測定時間である。
図10によれば、第2の層11のナノシリカ微粒子114の濃度が増加するほど、粘度変化率Xが小さくなる傾向が見られる。具体的には、第2の層11のナノシリカ微粒子114の濃度が2.17質量%以上である場合には、測定時間が0~120分のいずれであるときも粘度変化率Xが±2%以内であり、シリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体の沈降が効果的に抑えられていることがわかる。
ここで、シリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体の沈降を効果的に抑えるために必要なナノシリカ微粒子114の濃度は、酸化チタン微粒子113の濃度に比例する。そして、第2の層11に含まれるTiは酸化チタン微粒子113に含まれるものであるから、シリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体の沈降を効果的に抑えるために必要なナノシリカ微粒子114の濃度は、第2の層11のTi濃度に比例する。
上述のように、試料A1~A4を用いて形成される第2の層11のTi濃度は1.9質量%であり、図10によれば、第2の層11のナノシリカ微粒子114の濃度が2.17質量%以上である場合にシリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体の沈降が効果的に抑えられる。このため、第2の層11のナノシリカ微粒子114の質量%濃度が、Tiの質量%濃度の2.17/1.9倍以上、すなわち1.14倍以上である場合に、シリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体の沈降が効果的に抑えられるといえる。ここでTi濃度は、第2の層11を走査電子顕微鏡(SEM)に搭載されたエネルギー分散型X線分析装置(EDS)を用いて評価したときに、横125μm×縦95μmの測定領域での平均値として求められるものである。
一方で、第2の層11の原料である液状の樹脂組成物においては、粘度が大きいほど第2の層11を均一な厚さに成膜することが困難になり、また、ディップコーティング法による被覆を行う場合には、粘度が大きいほど第2の層11の厚さが増加する。上述のように、第2の層11の厚さは、高可撓性及び高屈曲性の観点から100μm以下であることが好ましい。この場合、第2の層11の原料である液状の樹脂組成物の粘度は、30mPa・s以下であることが好ましい。
図11は、ナノシリカ微粒子114の濃度が異なる試料A1~A4を含む7つの試料の粘度測定により得られた、液状の樹脂組成物の粘度と第2の層11のナノシリカ微粒子114の濃度との関係を示すグラフである。なお、この粘度測定に係る7つの試料は、いずれも同じ濃度の酸化チタン微粒子113を含み、これら7つの試料を用いて形成される第2の層11のTi濃度はいずれも1.9質量%になる。7つの試料の共通条件は、「シリコーンゴム+TiO」が5.65g、「有機溶媒」が30g、「シリコーンレジン」が7gである。そして、ナノシリカ濃度が0質量%(試料A1)、0.217質量%、0.441質量%(試料A2)、0.651質量%、0.868質量%、1.33質量%(試料A3)、2.17質量%(試料A4)となるようにナノシリカの添加量を変えた。ナノシリカ濃度が0質量%、0.217質量%、0.441質量%、0.651質量%、0.868質量%、1.33質量%、2.17質量%の時のコート液の粘度(mPa・s)は、それぞれ7.17、7.17、7.14、7.30、7.49、7.51、8.18であった。
図11に示される近似曲線y=0.1667x+0.1136x+7.1453によれば、液状の樹脂組成物の粘度が30mPa・s以下となるのは第2の層11のナノシリカ微粒子114の濃度がおよそ11.5質量%以下となるときである。このため、液状の樹脂組成物の粘度を好適な範囲内に収めるため、第2の層11のナノシリカ微粒子114の濃度は11.5質量%以下であることが好ましい。
なお、ナノシリカ微粒子114として、親水性の表面処理が施されたナノシリカ微粒子と疎水性の表面処理が施されたナノシリカ微粒子のいずれを用いた場合であっても、シリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体の沈降を抑える効果に違いはない。ただし、親水性の表面処理が施されたナノシリカ微粒子をナノシリカ微粒子114として用いる場合には、第2の層11の表面にナノシリカ微粒子114の凝集体が形成されるおそれがある。
図12は、親水性の表面処理が施されたナノシリカ微粒子(親水性ナノシリカと表記)と疎水性の表面処理が施されたナノシリカ微粒子(疎水性ナノシリカと表記)をナノシリカ微粒子114として用いた場合の、第2の層11の表面の光学顕微鏡及び走査電子顕微鏡(SEM)による観察像を示す。なお、酸化チタン微粒子113としては、いずれの場合も疎水性の表面処理が施された酸化チタン微粒子を用いている。図12によれば、親水性の表面処理が施されたナノシリカ微粒子をナノシリカ微粒子114として用いた場合の第2の層11の表面に、ナノシリカ微粒子114の凝集体の存在によると考えられる微細な凹凸が確認される。
このため、第2の層11の表面におけるナノシリカ微粒子114の凝集体の形成を抑え、第2の層11の内部に酸化チタン微粒子113を均一に分散させるためには、疎水性の表面処理が施されたナノシリカ微粒子をナノシリカ微粒子114として用いることが好ましい。
第2の層11へのナノシリカ微粒子114の添加により、積層構造体1のUV-C耐性が変化しないことを試験により確かめた。
まず、液状の樹脂組成物をディップコーティングすることにより被膜24が形成された、被膜24の成分が異なる2種のケーブル20(試料B1、B2とする)を用意した。次の表2に、試料B1、B2の成分を示す。表2に示されるように、試料B1は被膜24にナノシリカ微粒子114を2.17質量%含んでおり、試料B2は被膜24にナノシリカ微粒子114を含んでいない。
Figure 2024051299000003
次に、試料B1、B2からそれぞれシース23及び被膜24を切り取り、試料B1から切り取られたシース23と被膜24の積層体を試料C1、試料B2から切り取られたシース23と被膜24の積層体を試料C2とした。上述のように、シース23と被膜24はそれぞれ第1の層10と第2の層11に相当するため、試料C1、C2は積層構造体1からなる。
次に、殺菌灯付保管庫(大信工業株式会社製DM-5、ランプGL-10)を用いて、庫内温度25~40℃、庫内湿度28~65%、庫内圧力1気圧(大気圧)、波長253.7nm、照度1.3mW/cm、照射時間200時間、300時間、450時間、600時間の条件で、試料C1、C2にUV-C光を照射した。条件は、照度計は、エムケー・サイエンティフィック製のUVC-254Aを使用した。
(引張試験)
積層構造体1のUV-C耐性を引っ張りに対する強度から検証するため、UV-C光照射後の引張試験を実施した。
シート状の試料C1、C2を6号ダンベルで打ち抜いてダンベル形状に加工した後、UV-C光を照射した試料C1、C2に対して、環境温度15~35℃、環境湿度28~65RH%、大気圧の条件で“JIS K6251(1994)”に規定される引張試験を実施した。
図13は、試料C1、C2の引張試験の結果を示すグラフである。横軸はUV-C光の照射総エネルギー(照度×照射時間:J/cm)、縦軸は破断点伸度を示す。図13によれば、試料C1、C2は、ともにUV-C光の照射総エネルギーの増加とともに破断点伸度が変化しており、第2の層11にナノシリカ微粒子114が含まれるか否かに依らず、UV-C光の照射により同様に破断点伸度が変化することがわかる。
具体的には、1404J/cmのUV-C光を照射した後の引張試験により測定される破断点伸度は、第2の層11にナノシリカ微粒子114を含む試料C1が210%、第2の層11にナノシリカ微粒子114を含まない試料C2が195%であった。このことから、1404J/cmのUV-C光を照射した場合、第2の層11にナノシリカ微粒子114を含む積層構造体1の破断点伸度の値は、第2の層11にナノシリカ微粒子114を含まない場合の破断点伸度の値に対して30%以上の低下はないことがわかった。
また、2808J/cmのUV-C光を照射した後の引張試験により測定される破断点伸度は、第2の層11にナノシリカ微粒子114を含む試料C1が122%、第2の層11にナノシリカ微粒子114を含まない試料C2が77%であった。このことから、2808J/cmのUV-C光を照射した場合、第2の層11にナノシリカ微粒子114を含む積層構造体1の破断点伸度の値は、第2の層11にナノシリカ微粒子114を含まない場合の破断点伸度の値に対して30%以上の低下はないことがわかった。
(曲げ試験)
積層構造体1のUV-C耐性を曲げに対する強度から検証するため、UV-C光照射後の曲げ試験を実施した。
図14(a)は、曲げ試験の様子を示す模式図である。図中の試験片60は、試料C1、C2の各々から切り取られた長方形の試験片である。曲げ試験においては、図14(a)に示されるように、半径が0.5mmの導線(金属線)61に試験片60を巻き付け、試験片60の重なった部分を両側から挟み込んで固定する(固定具の図示は省略する)。ここで、試験片60は、12mm(ケーブル状の試料B1、B2の円周方向)×18mm(ケーブル状の試料B1、B2の長さ方向)となる大きさで試料C1、C2から切り出した。そして、長さ18mmの辺が導線61の円周方向に沿い、かつ第2の層11が外側に位置するように試験片60を導線61に巻き付けた。
図14(b)は、導線61及び導線61に巻き付けられた試験片60の、導線61の径方向の断面図である。導線61の半径をr、試験片60の厚さをtとすると、図14(b)に示されるように、任意の角度θの範囲における試験片60の中立面60aでの長手方向の長さは(r+t/2)・θ、試験片60の外周面60bの長手方向の長さは(r+t)・θとなる。このため、導線61に巻き付けられた試験片60の外周面60bの長手方向の伸び率は、{(r+t)・θ-(r+t/2)・θ}/((r+t/2)・θ)×100=t/(2r+t)×100で表され、導線61の半径rが0.5mm、試験片60の厚さtが0.82mmであることから、およそ45%となる。
試料C1、C2から切り出された試験片60に対して曲げ試験を実施した。曲げ試験時(第2の層11に45~50%相当の伸びが作用した状態)の試験片60の表面を光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、デジタルマイクロスコープ VHX―1000)及び走査電子顕微鏡(株式会社キーエンス製、VHX-D510)により観察した。これらの観察画像を図15、図16に示す。
図15は、試料C1、C2から切り出された試験片60の表面を光学顕微鏡により50倍の倍率で観察した観察画像を示す。図16は、試料C1、C2から切り出された試験片60の表面を走査電子顕微鏡により500倍の倍率で観察した観察画像を示す。
図15、16に示されるように、第2の層11にナノシリカ微粒子114を含まない試料C2から切り出された試験片60は、UV-C光の照射総エネルギーが936J/cm、1404J/cm、2106J/cm、2808J/cmのいずれである場合にも、表面にクラックが生じないことが確認された。なお、この曲げ試験でいうクラックとは、第2の層11(被膜24)から第1の層10(シース23)にまで到達する凹み部のことをいう。
また、第2の層11にナノシリカ微粒子114を含む試料C1から切り出された試験片60は、UV-C光の照射総エネルギーが936J/cmである場合には表面にクラックが生じなかった。UV-C光の照射総エネルギーが1404J/cm、2106J/cm、2808J/cmである場合には僅かにクラックが生じたが、光学顕微鏡を用いて50倍の観察倍率で10箇所の1.5mm×4.5mmの領域を観察したときに、クラックが観察される1.5mm×4.5mmの領域が10箇所中3箇所以下であった。これらの結果より、第2の層11にナノシリカ微粒子114を含む試料C1から切り出された試験片60もUV-C耐性を有していると判定した。
なお、上記の本実施例に係る評価では、積層構造体1が第2の層11にナノシリカ微粒子114を含む場合と含まない場合とでUV-C耐性に大きな差は確認されなかったが、上記のケーブル20の製造方法で示したように、長いケーブルに連続的に被膜24を形成するような場合には、被膜24の原料である液状の樹脂組成物においてシリコーンレジン微粒子112と酸化チタン微粒子113の凝集体の沈降を抑えることが第2の層11の成分を維持するために重要になるため、第2の層11にナノシリカ微粒子114を含む積層構造体1の方が、滑り性やUV-C耐性を全体に渡って備える点において優れている。
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[1]シリコーンゴムを母材とし、シリコーンレジン微粒子(112)、金属酸化物微粒子、及びナノシリカ微粒子(114)を含む、樹脂組成物。
[2]前記金属酸化物微粒子が酸化チタン微粒子(113)である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記金属酸化物微粒子が、疎水性の表面処理が施された酸化チタン微粒子(113)である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[4]シリコーンゴムを母材とする第1の層(10)と、前記第1の層(10)に積層された、シリコーンゴムを母材とし、シリコーンレジン微粒子(112)、金属酸化物微粒子、及びナノシリカ微粒子(114)を含む第2の層(11)と、を備えた、積層構造体(1)。
[5]前記金属酸化物微粒子が酸化チタン微粒子(113)であり、前記第2の層(11)の前記ナノシリカ微粒子(114)の質量%濃度が、Tiの質量%濃度の1.14倍以上であり、かつ11.5質量%以下である、上記[4]に記載の積層構造体(1)。
[6]前記第2の層(11)のTi濃度が、1.0質量%以上4.4質量%以下である、上記[5]に記載の積層構造体(1)。
[7]上記[4]~[6]のいずれか1項に記載の積層構造体(1)からなる絶縁体(23、24)を備えた、ケーブル(20)。
[8]上記[4]~[6]のいずれか1項に記載の積層構造体(1)からなる絶縁体(71、72、73)を備えた、チューブ(70a、70b、70c)。
[9]シリコーンゴム、酸化チタン微粒子(113)、及び有機溶媒の混合物に、ナノシリカ微粒子(114)を添加し、次いで、シリコーンレジン微粒子(112)を添加する、樹脂組成物の製造方法。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、本発明は、上記実施の形態及び実施例に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1 積層構造体
10 第1の層
11 第2の層
111 母材
112 シリコーンレジン微粒子
113 酸化チタン微粒子
114 ナノシリカ微粒子
2 超音波プローブケーブル
20 ケーブル
23 シース
24 被膜
70a、70b、70c 医療用チューブ
71 チューブ本体
72 外側被膜
73 内側被膜
240 液状の樹脂組成物

Claims (9)

  1. シリコーンゴムを母材とし、シリコーンレジン微粒子、金属酸化物微粒子、及びナノシリカ微粒子を含む、
    樹脂組成物。
  2. 前記金属酸化物微粒子が酸化チタン微粒子である、
    請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記金属酸化物微粒子が、疎水性の表面処理が施された酸化チタン微粒子である、
    請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. シリコーンゴムを母材とする第1の層と、
    前記第1の層に積層された、シリコーンゴムを母材とし、シリコーンレジン微粒子、金属酸化物微粒子、及びナノシリカ微粒子を含む第2の層と、
    を備えた、
    積層構造体。
  5. 前記金属酸化物微粒子が酸化チタン微粒子であり、
    前記第2の層の前記ナノシリカ微粒子の質量%濃度が、Tiの質量%濃度の1.14倍以上であり、かつ11.5質量%以下である、
    請求項4に記載の積層構造体。
  6. 前記第2の層のTi濃度が、1.0質量%以上4.4質量%以下である、
    請求項5に記載の積層構造体。
  7. 請求項4~6のいずれか1項に記載の積層構造体からなる絶縁体を備えた、
    ケーブル。
  8. 請求項4~6のいずれか1項に記載の積層構造体からなる絶縁体を備えた、
    チューブ。
  9. シリコーンゴム、酸化チタン微粒子、及び有機溶媒の混合物に、ナノシリカ微粒子を添加し、次いで、シリコーンレジン微粒子を添加する、
    樹脂組成物の製造方法。
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