JP7459695B2 - シリコーンゴムの品質管理方法、ケーブル又はチューブの品質管理方法、並びに積層構造体の製造方法 - Google Patents

シリコーンゴムの品質管理方法、ケーブル又はチューブの品質管理方法、並びに積層構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シリコーンゴム及びその品質管理方法、ケーブル又はチューブ及びそれらの品質管理方法、並びに積層構造体及びその製造方法に関する。
従来、ポリ塩化ビニル(PVC)のラマンスペクトルが紫外線暴露により変化することが知られている(非特許文献1)。非特許文献1によれば、紫外線暴露によりポリ塩化ビニル中にC-C結合及びC=C結合が生成され、これらの結合に対応するピークがラマンスペクトルに現れるとされている。
このため、ラマンスペクトルのC-C結合及びC=C結合に対応するピークの強度を調べることにより、ポリ塩化ビニルの紫外線暴露による分子レベルの構造変化(変質)の度合いを診断することができる。
国際公開第2016/031063号
医療機器用のケーブルやチューブの絶縁体材料などに用いられるシリコーンゴムは、紫外線に対する耐性が高く、紫外線照射による殺菌を実施してもポリ塩化ビニルのように変色が生じないという優れた材料である。一方で、紫外線暴露による変質が進行しても変色が生じないため、目視により変質の度合いを確認することが困難であるという問題がある。また、シリコーンゴムの紫外線露による変質のメカニズムは未知であるため、他の方法による耐用年数診断も困難である。このため、非特許文献1に記載されているような方法でラマン散乱測定による変質の度合いの診断ができれば、シリコーンゴムの品質管理において非常に有用である。
しかしながら、ラマンスペクトルが紫外線暴露により変化するか否か、あるいは変化する場合にどのピークがどのように変化するかは、測定対象である物質により異なる。このため、非特許文献1に記載されたポリ塩化ビニルのラマンスペクトルの情報を用いて、ポリ塩化ビニル以外の物質のラマンスペクトルの評価を行うことはできない。
本発明の目的は、ラマン散乱測定を用いて紫外線暴露によるシリコーンゴムの変質の度合いを診断することができるシリコーンゴムの品質管理方法、そのシリコーンゴムの品質管理方法を利用した積層構造体の製造方法及びケーブル又はチューブの品質管理方法、並びにシリコーンゴムの変質の度合いの少ないシリコーンゴム、積層構造体、及びケーブル又はチューブを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決することを目的として、シリコーンゴムにレーザーを照射し、ラマンスペクトルを測定する測定工程と、前記ラマンスペクトルにおける、Si-O伸縮振動に帰属される第1のピークの強度とC-C-O対称伸縮振動に帰属されるピークを含む第2のピークの強度の少なくともいずれか一方に基づいて、前記シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する診断工程と、を含む、シリコーンゴムの品質管理方法を提供する。
本発明によれば、ラマン散乱測定を用いて紫外線暴露によるシリコーンゴムの変質の度合いを診断することができるシリコーンゴムの品質管理方法、そのシリコーンゴムの品質管理方法を利用した積層構造体の製造方法及びケーブル又はチューブの品質管理方法、並びにシリコーンゴムの変質の度合いの少ないシリコーンゴム、積層構造体、及びケーブル又はチューブを提供することができる。
図1は、シリコーンゴムの構造式である。 図2(a)~(c)は、微粒子分散シリコーンゴムの内部に分散する微粒子の材料の構造式である。 図3は、本実施の形態に係る積層構造体の垂直断面図である。 図4は、本実施の形態に係るプローブケーブルの構成を模式的に示す平面図である。 図5は、図4に示されるA-A線に沿って切断されたプローブケーブルの断面図である。 図6(a)~(c)は、それぞれ本実施の形態に係る医療用チューブの径方向の断面図である。 図7(a)は、UV-C波長域の紫外線を、照度1.2~1.3mW/cmで0~800時間照射した後のシリコーンゴムのラマンスペクトルである。図7(b)は、紫外線を800時間照射した後のシリコーンゴムの表面の光学顕微鏡による観察像である。 図8(a)は、シリコーンゴムにおける、ピークA1、A2、A4の積分強度のピークA3の積分強度に対する比の値(積分強度比)を示すグラフである。図8(b)は、ピークA1、A2、A4のピーク高さのピークA3のピーク高さに対する比の値(ピーク高さ比)を示すグラフである。 図9(a)は、UV-C波長域の紫外線を、照度1.2~1.3mW/cmで0~800時間照射した後のシリコーンゴムのラマンスペクトルである。図9(b)は、紫外線を800時間照射した後の微粒子分散シリコーンゴムの表面の光学顕微鏡による観察像である。 図10(a)は、微粒子分散シリコーンゴムにおける、ピークB1、B2、B4の積分強度のピークB3の積分強度に対する比の値(積分強度比)を示すグラフである。図10(b)は、ピークB1、B2、B4のピーク高さのピークB3のピーク高さに対する比の値(ピーク高さ比)を示すグラフである。
〔実施の形態〕
(シリコーンゴムの特性)
図1は、シリコーンゴムの構造式である。シリコーンゴムは、シリコーン樹脂の一種であり、例えば、医療機器と接続可能なプローブケーブルや、カテーテルを挿入するチューブなどの絶縁体の材料として用いることができる。
上述のように、シリコーンゴムは、従来、医療用途に使用されるケーブルやチューブの材料として一般的に用いられているポリ塩化ビニルと比較して紫外線に対する耐性が高く、紫外線照射による殺菌を実施してもほとんど変色しないという点で優れている。しかしながら、一方で、シリコーンゴムは紫外線暴露の影響により脆化などの変質が生じていてもポリ塩化ビニルのように変色しないため、目視により紫外線暴露による変質の度合いを診断することが困難である。
また、シリコーンゴムは、シリコーンレジン微粒子、シリカ(酸化シリコン)微粒子などのSiを含む微粒子をその内部に分散させることにより、表面のべたつき(タック)を抑え、滑り性(摺動性)を向上させることができる。そのため、微粒子を含まないシリコーンゴムにSiを含む微粒子を分散させたシリコーンゴムを積層してその表面を覆うことにより、シリコーンゴム部品の表面のべたつきを抑えて滑り性を向上させることができる。以下、このSiを含む微粒子を分散させたシリコーンゴムを微粒子分散シリコーンゴムと呼ぶ。
すなわち、微粒子分散シリコーンゴムは、母材としてのシリコーンゴムと、このシリコーンゴム中に分散するSiを含む微粒子を有する。微粒子は、シリコーンレジン微粒子、シリカ微粒子、又はこれらの2種を混合したものである。上記した微粒子は、母体よりも高い硬度(例えば、ショア(デュロメータA)硬さで1.1倍程度以上の硬さ)を有することが好ましい。
ここで、微粒子分散シリコーンゴムに含まれる微粒子の平均粒径は、例えば、1μm以上10μm以下である。なお、本願明細書における「平均粒径」は、レーザー回折散乱法により測定されたものをいう。また、微粒子分散シリコーンゴムに含まれる微粒子の質量%は、例えば、10質量%以上60質量%以下である。微粒子分散シリコーンゴムは、複数の微粒子を含んでいるため、表面に凹凸形状が形成される。このため、微粒子分散シリコーンゴムの方が、表面に凹凸形状を有しないシリコーンゴムよりも、接触物との接触面積が小さくなり、滑り性が高くなる。
図2(a)~(c)は、微粒子分散シリコーンゴムの内部に分散する微粒子の材料の構造式である。図2(a)はシリコーンレジンの構造式を示し、図2(b)はシリカの構造式を示す。また、参考として、図2(c)にシリコーンゴムの構造式を示す。
シリコーンゴムとシリコーンレジンとの主な相違点は、構造式に含まれる反応基(例えば、メチル基)の数である。図2(a)~(c)に示されるように、シリコーンゴムの構造式に含まれる反応基の数は、シリコーンレジンの構造式に含まれる反応基の数よりも多く、また、シリカには反応基が含まれない。反応基の数が多いほど軟らかく、少ないほど硬い特性を有するため、シリコーンゴム、シリコーンレジン、シリカのうち、シリカの硬度が最も高く、シリコーンレジンの硬度が次に高く、シリコーンゴムの硬度が最も低い。
また、質量についても、シリカの質量が最も大きく、シリコーンレジンの質量が次に大きく、シリコーンゴムの質量が最も小さい。
ここで、微粒子分散シリコーンゴムが接触物と接触した際の表面の凹凸の変形を抑える観点からは、硬度が高いシリカが最も好ましく、シリコーンレジンが次に好ましい。これは、接触物により微粒子分散シリコーンゴムの表面に押し付け圧力が加わった際に、微粒子の硬度が高いほど凹凸の変形を抑えることができるためである。これにより、接触物との接触面積の増加を抑え、滑り性を維持することができる。
一方で、シリカは上述のように質量が大きいため、シリカ微粒子は微粒子分散シリコーンゴムの製造過程において母材である液状のシリコーンゴム中で沈降しやすく、シリコーンゴム微粒子やシリコーンレジン微粒子と比べて、シリコーンゴム中に分散させることが難しい。したがって、微粒子分散シリコーンゴム中の分散の均一性を高める観点からは、シリコーンゴムやシリコーンレジンからなる微粒子を用いることが好ましい。
したがって、微粒子分散シリコーンゴムが接触物と接触した際の滑り性の維持と、母材であるシリコーンゴム中の微粒子の分散の均一性とを両立させるためには、微粒子分散シリコーンゴムに分散させる微粒子としてシリコーンレジン微粒子を用いることが最も好ましい。
(シリコーンゴムの品質管理方法)
本実施の形態に係るシリコーンゴムの品質管理方法によれば、ラマン散乱測定を用いて紫外線暴露による変質の度合いを診断し、シリコーンゴム及び微粒子分散シリコーンゴムの品質を管理することができる。また、ラマン散乱測定によれば、シリコーンゴム及び微粒子分散シリコーンゴムの原姿状態を保持したまま、紫外線暴露による変質の度合いを診断することができる。
ここで、シリコーンゴム及び微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露は、殺菌などの目的で意図的に紫外線を照射することによる暴露、紫外線が放出されている特殊な環境下で使用することによる暴露、直射日光を浴びるような環境下で製造や保管をすることによる暴露などを含む。
また、シリコーンゴム及び微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質は、例えば、脆化などの劣化であり、本実施の形態に係るシリコーンゴムの品質管理方法によれば、ラマン散乱測定を用いて紫外線暴露による劣化の度合いを診断し、シリコーンゴム及び微粒子分散シリコーンゴムの品質を管理することもできる。
本実施の形態に係るシリコーンゴムの品質管理方法は、例えば、Siを含む微粒子を含まないシリコーンゴムに適用する場合、シリコーンゴムにレーザーを照射し、ラマンスペクトルを測定する測定工程と、測定されたラマンスペクトルにおける、Si-O伸縮振動に帰属される第1のピークの強度と遊離アルコール(第三級アルコール)のC-C-O対称伸縮振動に帰属されるピークを含む第2のピークの強度の少なくともいずれか一方に基づいて、シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する診断工程とを含む。ここで、本実施の形態におけるラマンスペクトルのピークの強度は、積分強度又はピーク高さを意味する。
第1のピークは、ラマンスペクトルにおいて600cm-1以上660cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークである。また、第2のピークは、ラマンスペクトルにおいて730cm-1以上770cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークである。なお、第1のピークと第2のピークの位置は、測定時のシリコーンゴムの温度などによって、上記の波数範囲内でシフトし得る。
第2のピークは、C-C-O対称伸縮振動に帰属される単独のピークではなく、C-C-O対称伸縮振動に帰属されるピークとSi-C伸縮に帰属されるピークの合成ピークである可能性がある。
本願発明者らは、シリコーンゴムが紫外線に暴露されることにより、上記の第1のピークや第2のピークの強度が増加することを見出した。これは、紫外線暴露により、Si-O結合やC-C-O結合を含む新たな分子構造がシリコーンゴムに生成されることによると考えられる。このため、第1のピークの強度と第2のピークの強度の少なくともいずれか一方に基づいて、シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断することができる。
上記の診断工程においては、第1のピーク及び第2のピークの強度の基準として、シリコーンゴムの紫外線暴露の前後で強度がほとんど変化しないSiC伸縮振動に帰属される第3のピークを用いることができる。すなわち、ラマンスペクトルにおけるSiC伸縮振動に帰属される第3のピークの強度に対する第1のピークの強度の比の値と、前記第3のピークの強度に対する前記第2のピークの強度の比の値の少なくともいずれか一方に基づいて、シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断することができる。第3のピークは、660cm-1以上730cm-1以下の範囲内で最大強度をとる。
具体的には、例えば、測定温度20℃の条件下で測定されたラマンスペクトルにおける第3のピークの積分強度に対する第1のピークの積分強度の比の値が0.23以下であるか否かの結果によって、シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断することができる。この場合、これをシリコーンゴムの品質の合否の判定基準として用いて、第3のピークの積分強度に対する第1のピークの積分強度の比の値が0.23以下である場合に合格、0.23より大きい場合に不合格、と判定してもよい。
また、測定温度20℃の条件下で測定されたラマンスペクトルにおける第3のピークの積分強度に対する第2のピークの積分強度の比の値が0.02以下であるか否かの結果によって、シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断することができる。この場合、これをシリコーンゴムの品質の合否の判定基準として用いて、第3のピークの積分強度に対する第2のピークの積分強度の比の値が0.02以下である場合に合格、0.02より大きい場合に不合格、と判定してもよい。
また、測定温度20℃の条件下で測定されたラマンスペクトルにおける第3のピークのピーク高さに対する第1のピークのピーク高さの比の値が0.18以下であるか否かの結果によって、シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断することができる。この場合、これをシリコーンゴムの品質の合否の判定基準として用いて、第3のピークのピーク高さに対する第1のピークのピーク高さの比の値が0.18以下である場合に合格、0.18より大きい場合に不合格、と判定してもよい。
また、測定温度20℃の条件下で測定されたラマンスペクトルにおける第3のピークのピーク高さに対する第2のピークのピーク高さの比の値が0.023以下であるか否かの結果によって、シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断することができる。この場合、これをシリコーンゴムの品質の合否の判定基準として用いて、第3のピークのピーク高さに対する第2のピークのピーク高さの比の値が0.023以下である場合に合格、0.023より大きい場合に不合格、と判定してもよい。
ここで、第1~第3のピークの積分強度やピーク高さは、Pseudo-voigt関数、Lorentz関数、Gauss分布関数などの統計分布関数を用いるフィッティング解析により得られるピークプロファイルを用いて算出されるものであり、ピークプロファイルをバックグラウンド補正した後に求められる。バックグラウンド補正は、シリコーンゴムの分子構造に起因しない、発生蛍光、照射レーザー光起源のレイリー及びミー散乱光、照射レーザー光以外の擾乱光などの不可避の光に起因すると考えられるバックグラウンドの影響を除去するために実施されるものであり、多項式関数やスプライン関数などを用いるフィッティング解析により求められるバックグラウンドプロファイル(ベースライン)を上述のピークプロファイルから差し引いて行われる。また、第1~第3のピークの積分強度を求める際の積分範囲は、上述のピークプロファイルとバックグラウンドプロファイルの2つの交点の間の範囲である。
なお、第3のピークの積分強度に対する第1のピークの積分強度の比の値の下限値は、0.201であり、第3のピークのピーク高さに対する第1のピークのピーク高さの比の値の下限値は、0.127である。なお、それぞれの下限値はシリコーンゴムが紫外線に暴露していない状態での値である。また、シリコーンゴムが紫外線に暴露していない状態では第2のピークの積分強度及びピーク高さはほぼゼロであるため、第3のピークの積分強度に対する第2のピークの積分強度の比の値の下限値と、第3のピークのピーク高さに対する第2のピークのピーク高さの比の値の下限値はゼロである。
また、本実施の形態に係るシリコーンゴムの品質管理方法は、微粒子分散シリコーンゴムに適用する場合、微粒子分散シリコーンゴムにレーザーを照射し、ラマンスペクトルを測定する測定工程と、測定されたラマンスペクトルにおける、Si-CH横揺れ振動に帰属されるピークを含む第1のピークの強度と遊離アルコール(第三級アルコール)のC-C-O対称伸縮振動に帰属されるピークを含む第2のピークの強度の少なくともいずれか一方に基づいて、微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する診断工程とを含む。
第1のピークは、ラマンスペクトルにおいて770cm-1以上850cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークである。また、第2のピークは、ラマンスペクトルにおいて730cm-1以上770cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークである。なお、第1のピークと第2のピークの位置は、測定時の微粒子分散シリコーンゴムの温度などによって、上記の波数範囲内でシフトし得る。
第1のピークは、Si-CH横揺れ振動に帰属される単独のピークではなく、Si-CH横揺れ振動に帰属されるピークとC-Si-C伸縮に帰属されるピークの合成ピークである可能性がある。また、第2のピークは、C-C-O対称伸縮振動に帰属される単独のピークではなく、C-C-O対称伸縮振動に帰属されるピークとSi-C伸縮に帰属されるピークの合成ピークである可能性がある。
本願発明者らは、上記の微粒子分散シリコーンゴムが紫外線に暴露することにより、上記の第1のピークや第2のピークの強度が増加することを見出した。これは、紫外線暴露により、Si-CH結合やC-C-O結合を含む新たな分子構造が、微粒子分散シリコーンゴムに生成されることによると考えられる。このため、第1のピークの強度と第2のピークの強度の少なくともいずれか一方に基づいて、微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断することができる。
微粒子分散シリコーンゴムにおいては、シリコーンゴム中にSiを含有する微粒子(シリコーンレジン微粒子、シリカ微粒子、又はこれらの2種を混合したもの)が分散しているため、Siをベースとする酸化物や有機系物質が混在している。そして、紫外線暴露によりこれらが局所的に反応することにより、第1のピークや第2のピークの強度が増加するものと考えられる。
上記の診断工程においては、第1のピーク及び第2のピークの強度の基準として、微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露の前後で強度がほとんど変化しないSiC伸縮振動に帰属される第3のピークを用いることができる。すなわち、ラマンスペクトルにおけるSiC伸縮振動に帰属される第3のピークの強度に対する第1のピークの強度の比の値と、前記第3のピークの強度に対する前記第2のピークの強度の比の値の少なくともいずれか一方に基づいて、微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断することができる。第3のピークは、660cm-1以上730cm-1以下の範囲内で最大強度をとる。
具体的には、例えば、測定温度20℃の条件下で測定されたラマンスペクトルにおける第3のピークの積分強度に対する第1のピークの積分強度の比の値が2.1以下であるか否かの結果によって、微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断することができる。この場合、これを微粒子分散シリコーンゴムの品質の合否の判定基準として用いて、第3のピークの積分強度に対する第1のピークの積分強度の比の値が2.1以下である場合に合格、2.1より大きい場合に不合格、と判定してもよい。
また、測定温度20℃の条件下で測定されたラマンスペクトルにおける第3のピークの積分強度に対する第2のピークの積分強度の比の値が1.3以下であるか否かの結果によって、微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断することができる。この場合、これを微粒子分散シリコーンゴムの品質の合否の判定基準として用いて、第3のピークの積分強度に対する第2のピークの積分強度の比の値が1.3以下である場合に合格、1.3より大きい場合に不合格、と判定してもよい。
また、測定温度20℃の条件下で測定されたラマンスペクトルにおける第3のピークのピーク高さに対する第1のピークのピーク高さの比の値が0.94以下であるか否かの結果によって、微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断することができる。この場合、これを微粒子分散シリコーンゴムの品質の合否の判定基準として用いて、第3のピークのピーク高さに対する第1のピークのピーク高さの比の値が0.94以下である場合に合格、0.94より大きい場合に不合格、と判定してもよい。
また、測定温度20℃の条件下で測定されたラマンスペクトルにおける第3のピークのピーク高さに対する第2のピークのピーク高さの比の値が0.71以下であるか否かの結果によって、微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断することができる。この場合、これを微粒子分散シリコーンゴムの品質の合否の判定基準として用いて、第3のピークのピーク高さに対する第2のピークのピーク高さの比の値が0.71以下である場合に合格、0.71より大きい場合に不合格、と判定してもよい。
ここで、第1~第3のピークのピーク高さや積分強度は、Pseudo-voigt関数、Lorentz関数、Gauss分布関数などの統計分布関数を用いるフィッティング解析により得られるピークプロファイルを用いて算出されるものであり、ピークプロファイルをバックグラウンド補正した後に求められる。バックグラウンド補正は、微粒子分散シリコーンゴムの分子構造に起因しない、発生蛍光、照射レーザー光起源のレイリー及びミー散乱光、照射レーザー光以外の擾乱光などの不可避の光に起因すると考えられるバックグラウンドの影響を除去するために実施されるものであり、多項式関数やスプライン関数などを用いるフィッティング解析により求められるバックグラウンドプロファイル(ベースライン)を上述のピークプロファイルから差し引いて行われる。また、第1~第3のピークの積分強度を求める際の積分範囲は、上述のピークプロファイルとバックグラウンドプロファイルの2つの交点の間の範囲である。
なお、第3のピークの積分強度に対する第1のピークの積分強度の比の値の下限値は、1.0であり、第3のピークのピーク高さに対する第1のピークのピーク高さの比の値の下限値は、0.46である。なお、それぞれの下限値は、微粒子分散シリコーンゴムが紫外線に暴露していない状態での値である。また、第3のピークの積分強度に対する第2のピークの積分強度の比の値の下限値は、0.23であり、第3のピークのピーク高さに対する第2のピークのピーク高さの比の値の下限値は、0.185である。なお、それぞれの下限値は、微粒子分散シリコーンゴムが紫外線に暴露していない状態の値である。
(シリコーンゴム)
本実施の形態によれば、上記のシリコーンゴムの品質管理方法によって品質を管理されたシリコーンゴム又は微粒子分散シリコーンゴムを、紫外線暴露による変質の少ないシリコーンゴムとして提供することができる。
本実施の形態に係るシリコーンゴムは、例えば、レーザーを照射して得られるラマンスペクトルにおける、Si-O伸縮振動に帰属される第1のピークの強度のSiC伸縮振動に帰属される第3のピークの強度に対する比の値が0.23以下となるという第1の条件と、C-C-O対称伸縮振動に帰属されるピークを含む第2のピークの強度の第3のピークの強度に対する比の値が0.02以下となるという第2の条件の少なくともいずれか一方を満たす。以下、このシリコーンゴムをシリコーンゴムAと呼ぶ。
本実施の形態に係る他のシリコーンゴムは、例えば、微粒子分散シリコーンゴムであって、レーザーを照射して得られるラマンスペクトルにおける、Si-CH横揺れ振動に帰属されるピークを含む第1のピークの強度のSiC伸縮振動に帰属される第3のピークの強度に対する比の値が2.1以下となるという第1の条件と、C-C-O対称伸縮振動に帰属されるピークを含む第2のピークの強度の第3のピークの強度に対する比の値が1.3以下となるという第2の条件の少なくともいずれか一方を満たす。以下、このシリコーンゴムをシリコーンゴムBと呼ぶ。
(積層構造体及びその製造方法)
上述のように、微粒子分散シリコーンゴムは、微粒子を含まないシリコーンゴムと比較して、表面の滑り性に優れる。一方で、微粒子を含まないシリコーンゴムは、微粒子分散シリコーンゴムと比較して、単一素材の構成であることから緻密性や平滑性などの点で優れる。このため、ケーブルやチューブなどには、シリコーンゴムに微粒子分散シリコーンゴムを積層した構成を用いることが好ましい。
図3は、本実施の形態に係る積層構造体1の垂直断面図である。積層構造体1は、シリコーンゴムからなる第1の層10に微粒子分散シリコーンゴムからなる第2の層11を積層したものであり、第2の層11によって表面のべたつきを抑えて滑り性を向上させたものである。また、積層構造体1は、第1の層10と第2の層11の少なくともいずれか一方が、上記のシリコーンゴムの品質管理方法によって品質を管理されたシリコーンゴム又は微粒子分散シリコーンゴムからなる。
なお、第2の層11に用いる微粒子分散シリコーンゴムの母材として、付加反応型のシリコーンゴムコーティング剤又は縮合反応型のシリコーンゴムコーティング剤を用いることができる。特に、シリコーンゴムからなる第1の層10との密着性及び耐摩耗性の観点から付加反応型のシリコーンゴムコーティング剤を用いることが好ましい。
すなわち、積層構造体1は、例えば、シリコーンゴムからなる第1の層10と、第1の層10に積層された、微粒子分散シリコーンゴムからなる第2の層11と、を有し、第1の層10のシリコーンゴムが上記のシリコーンゴムAであるという第1の条件と、第2の層11の微粒子が分散したシリコーンゴムが上記のシリコーンゴムBであるという第2の条件の少なくともいずれか一方を満たす。
第2の層11によって積層構造体1の表面の滑り性を確保するためには、第2の層11の厚さが15μm以上であることが好ましい。また、第2の層11は第1の層10の両面に積層されていてもよい。
積層構造体1は、その用途に応じて様々な形態をとり得る。例えば、ケーブルやチューブの絶縁体に用いられる場合は管状に成形され、高紫外線耐性の恒温室ハウス用シートなどに用いられる場合はシート状に成形される。
また、本実施の形態に係る積層構造体1の製造方法は、例えば、シリコーンゴムからなる第1の層10を形成する工程と、微粒子分散シリコーンゴムからなる第2の層11を第1の層10に積層する工程と、を含み、第1の層10のシリコーンゴムが、上記の本実施の形態に係るシリコーンゴムの品質管理方法により紫外線暴露による変質の度合いを診断されたものであるという第1の条件と、第2の層11の微粒子分散シリコーンゴムが上記の本実施の形態に係るシリコーンゴムの品質管理方法により紫外線暴露による変質の度合いを診断されたものであるという第2の条件の少なくともいずれか一方を満たす。
(ケーブル及びチューブ)
本実施の形態に係る積層構造体1は、ケーブルに用いられる絶縁体、特に医療用途に使用されるケーブルの絶縁体として好適に用いることができる。
近年、医療用途に使用されるケーブルでは、シースの材料として、耐熱性や耐薬品性に優れたシリコーンゴムを使用することが検討されている。しかしながら、上述のように、シリコーンゴムは滑り性が悪いという問題点を有する。そのため、シリコーンゴムをケーブルのシースの材料に用いる場合には、ケーブルが他の部材に引っ掛かりやすくなるとともに、ケーブルの表面に埃もつきやすくなるといった問題が生じる。
特に、ケーブルが他の部材と引っ掛かりやすくなると、例えば、超音波撮像装置などの医療機器と接続されるプローブケーブルでは、取扱いが困難になる。なぜなら、超音波撮像装置では、プローブケーブルに接続された超音波プローブを人体上で動かしながら検査することから、プローブケーブルが他のケーブルや衣服などに引っ掛かりやすくなると、スムーズに超音波プローブを動かすことができなくなるからである。したがって、医療用途に使用されるケーブルにおいては、べたつきがなく、表面の滑り性が良好であることが望まれる。
本実施の形態に係る積層構造体1は滑り性に優れた第2の層11を有するため、積層構造体1を用いて、表面の滑り性に優れるケーブルを製造することができる。以下に、積層構造体1からなる絶縁体を有するケーブルの一例として、医療機器と接続可能なプローブケーブルについて説明する。
図4は、本実施の形態に係るプローブケーブル20の構成を模式的に示す平面図である。図4に示されるように、プローブケーブル20の一端部には、この一端部を保護するブーツ31を介して、超音波プローブと接続される超音波プローブ端子32が取り付けられている。一方、プローブケーブル20の他端部には、超音波撮像装置の本体部と接続されるコネクタ33が取り付けられている。
図5は、図4に示されるA-A線に沿って切断されたプローブケーブル20の断面図である。プローブケーブル20の内部には、例えば、複数の同軸ケーブルに代表される電線21が収納されており、この複数の電線21を覆うように編組シールドなどのシールド22が設けられている。そして、シールド22を覆うようにシース23が設けられている。
さらに、本実施の形態におけるプローブケーブル20では、上述したシース23の周囲を覆い、かつ、シース23と密着する被膜24が形成されている。さらに、被膜24の周囲に接着剤25を介してブーツ31が取り付けられている。接着剤25は、例えば、シリコーン系接着剤やエポキシ系接着剤である。
プローブケーブル20のシース23と被膜24は、それぞれ積層構造体1の第1の層10と第2の層11からなる。すなわち、プローブケーブル20において、シース23及び被膜24として積層構造体1が用いられている。滑り性に優れる第2の層11からなる被膜24を用いることにより、シース23の表面のべたつきに起因するプローブケーブル20の引っ掛かりを抑制することができる。被膜24の厚さは、例えば、3μm以上100μm以下である。
次に、本実施の形態におけるプローブケーブル20の製造方法の一例について説明する。まず、複数本(例えば100本以上)の電線21を一括に束ねる。そして、束ねた複数本の電線21を覆うようにシールド22を形成する。
続いて、シールド22を覆うように、積層構造体1の第1の層10と第2の層11を順に形成し、シース23と被膜24を形成する。シース23は、例えば、押出機を用いる押出成形によって形成される。被膜24は、例えば、ディッピング法やスプレー塗布法やロール塗布法などによって形成される。ディッピング法では、シース23まで形成されたプローブケーブル20を液状の被膜材中を通して引き上げることにより、シース23の表面に被膜24を形成する。このディッピング法は、形成される被膜24の膜厚の均一性において、スプレー塗布法やロール塗布法に比べて優れている。
ディッピング法で使用される液状の被膜材中には微粒子が含まれるため、被膜24は、母材としてのシリコーンゴムと、このシリコーンゴムに分散された微粒子とから構成される。このとき、液状被膜材に含まれる微粒子の含有量を調整することにより、被膜24に含まれる微粒子の含有量を制御することができる。
また、本実施の形態に係る積層構造体1は、チューブ(中空管)に用いられる絶縁体、特にカテーテルなどの医療用途に使用されるチューブの絶縁体として好適に用いることができる。
図6(a)~(c)は、それぞれ本実施の形態に係る医療用チューブの径方向の断面図である。図6(a)に示される医療用チューブ40aは、チューブ本体41の外表面41aに外側被膜42を備える。図6(b)に示される医療用チューブ40bは、チューブ本体41の内表面41bに内側被膜43を備える。図6(c)に示される医療用チューブ40cは、チューブ本体41の外表面41aと内表41bにそれぞれ外側被膜42と内側被膜43を備える。
医療用チューブ40a、40b、40cのチューブ本体41は、積層構造体1の第1の層10からなり、外側被膜42及び内側被膜43は積層構造体1の第2の層11からなる。
医療用チューブ40a、40b、40cに例示されるように、本実施の形態に係るチューブは、チューブ本体41と、チューブ本体41の外表面41aを覆う外側被膜42、チューブ本体41の内表面41bを覆う内側被膜43、又は外側被膜42と内側被膜43の両方を備え、チューブ本体431は、積層構造体1の第1の層10からなり、外側被膜42及び内側被膜43は積層構造体1の第2の層11からなる。
本実施の形態に係るチューブは、内表面や外表面の滑り性に優れるため、例えば、カテーテル等の医療用チューブなどのように、チューブ内に器具を挿入して使用する場合に、器具のスムーズな挿抜が可能となる。その他、本実施の形態に係るチューブは、内視鏡手術器用チューブセット、超音波手術器用チューブセット、血液分析器用チューブ、酸素濃縮器内配管、人工透析血液回路、人工心肺回路、気管内チューブなどに用いることができる。
(ケーブル又はチューブの品質管理方法)
本実施の形態によれば、上述のシリコーンゴムの品質管理方法を用いて絶縁体の紫外線暴露による変質の度合いを診断し、シリコーンゴム若しくは微粒子分散シリコーンゴムからなる絶縁体を有するケーブル又はチューブ、又はプローブケーブル20、医療用チューブ40a、40b、40cのような、シリコーンゴムと微粒子分散シリコーンゴムが積層された積層構造体1からなる絶縁体を有するケーブル及びチューブの品質管理を実施することができる。
すなわち、シリコーンゴムからなる絶縁体を有するケーブル又はチューブの品質を管理する場合は、上述のようにシリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いをラマン散乱測定により診断して、ケーブル又はチューブの品質を管理することができる。
また、微粒子分散シリコーンゴムからなる絶縁体を有するケーブル又はチューブの品質を管理する場合は、上述のように微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いをラマン散乱測定により診断して、ケーブル又はチューブの品質を管理することができる。
このように、本実施の形態に係るケーブル又はチューブの品質管理方法によれば、シリコーンゴム及び微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断し、品質を管理することができる。このため、例えば、紫外線照射殺菌を繰り返し施すケーブル又はチューブの経時劣化を定量的に把握することによって、余命や信頼度を正確に管理することができる。
なお、ケーブル又はチューブの表面に露出したシリコーンゴム又は微粒子分散シリコーンゴム(例えば、プローブケーブル20の被膜24や、医療用チューブ40a、40cの外側被膜42)を診断する場合には、ケーブル又はチューブをそのままの状態でラマン散乱測定装置にセットし、非破壊で測定を行うことができる。ケーブル又はチューブの表面に露出していないシリコーンゴム又は微粒子分散シリコーンゴム(例えば、プローブケーブル20のシース23や、医療用チューブ40a、40b、40cのチューブ本体41、内側被膜43)を診断する場合には、例えば、ケーブル又はチューブを切開して測定を行う。
また、レーザーの照射部と散乱光の受光部を自由に動かすことができるガンタイプのラマン散乱測定装置を用いることにより、未加工の長尺のケーブル又はチューブなど、通常の測定装置では測定が困難なケーブル又はチューブであっても、そのままの状態で測定を行うことができる。この場合、例えば、リールなどに巻き付けられた状態のケーブル又はチューブに対して、リールを回転させながら測定を行うこともできる。
(実施の形態の効果)
上記実施の形態によれば、ラマン散乱測定を用いることにより、目視による診断が困難な、シリコーンゴム及び微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の診断を実施し、その品質を管理することができる。また、ケーブルやチューブのシリコーンゴムや微粒子分散シリコーンゴムからなる絶縁体の紫外線暴露による変質の診断を実施し、その品質を管理することができる。
また、このシリコーンゴム及び微粒子分散シリコーンゴムの品質管理を実施することにより、紫外線暴露による変質の少ないシリコーンゴムや微粒子分散シリコーンゴム、シリコーンゴムと微粒子分散シリコーンゴムが積層された積層構造体、さらには、紫外線暴露による変質の生じていないシリコーンゴムや微粒子分散シリコーンゴムを絶縁体として有するケーブル及びチューブを提供することができる。
また、上記実施の形態に係るシリコーンゴムの品質管理方法やケーブル又はチューブの品質管理方法、積層構造体の製造方法などは、機械学習や人工知能(AI)などを活用してデータを分析するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を用いた材料開発に適用することもできる。
まず、シート状に加工された上記の本実施の形態に係るシリコーンゴムを用意し、ラマン散乱測定を実施した。ラマン散乱測定は、ナノフォトン株式会社製のRAMANforce Standard VIS-NIR-HSを用いて、レーザー波長が532nm、分光器の入射スリットの幅が50μm、回折格子の刻線数が300gr/mm(測定波数範囲の中心波数が2450cm-1)、NDフィルタのレーザー最大光量に対する減弱後の光量の比の値(減弱比)が220/255、測定温度が20℃の条件で実施した。
図7(a)は、UV-C波長域の紫外線を、照度1.2~1.3mW/cmで0~800時間照射した後のシリコーンゴムのラマンスペクトルである。ラマンスペクトルにおいて600cm-1以上660cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークがピークA1であり、730cm-1以上770cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークがピークA2であり、660cm-1以上730cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークがピークA3であり、770cm-1以上850cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークがピークA4である。これらのラマンスペクトルにおけるおよそ640cm-1のピークA1はSi-O伸縮振動に起因するピークであり、およそ750cm-1のピークA2はC-C-O対称伸縮振動に起因するピーク、およそ710cm-1のピークA3はSiC伸縮振動に起因するピーク、およそ795cm-1のピークA4はSi-CH横揺れ振動に起因するピークである。
図7(b)は、紫外線を800時間照射した後のシリコーンゴムの表面の光学顕微鏡による観察像である。図7(b)中の黒丸はラマン散乱測定の観察位置(レーザー照射位置)を示しており、この観察位置は、紫外線を0時間(未照射)、400時間、658時間照射した後の観察位置と同じである。
図8(a)は、シリコーンゴムにおける、ピークA1、A2、A4の積分強度のピークA3の積分強度に対する比の値(積分強度比)を示すグラフである。図8(b)は、ピークA1、A2、A4のピーク高さのピークA3のピーク高さに対する比の値(ピーク高さ比)を示すグラフである。次の表1に図8(a)の各プロット点の数値を示し、表2に図8(b)の各プロット点の数値を示す。
Figure 0007459695000001
Figure 0007459695000002
図8(a)、図8(b)によれば、ピークA1の積分強度比とピーク高さ比は、紫外線の照射時間が658時間を超えると増加を始める。このことから、シリコーンゴムの紫外線暴露による変質に伴いピークA1の積分強度比とピーク高さ比が増加することが確認された。
本実施例における紫外線の照射時間の1つである658時間は、クラックの発生を観察する目視試験により導かれた、シリコーンゴムの紫外線暴露による変質が始まる時間である。紫外線の照射時間が658時間であるときのピークA1の積分強度比とピーク高さ比(点線R1で示す)は、それぞれおよそ0.23と0.18であるため、これらをシリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断するための基準値として用いることができる。
なお、シリコーンゴムのクラックは、必ずしも紫外線暴露による変質が始まったときに生じるとは限らない。このため、上記の目視試験においては、多数の実験を繰り返し、最も短かったクラックの発生時間を紫外線暴露による変質が始まる時間とした。また、シリコーンゴムのクラックが必ずしも紫外線暴露による変質が始まったときに生じるとは限らないということは、クラックの発生によってシリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断することが困難であることを意味している。
また、図8(a)、図8(b)によれば、ピークA2の積分強度比とピーク高さ比は、紫外線の照射時間の増加に伴って増加する。このことから、シリコーンゴムの紫外線暴露による変質に伴いピークA2の積分強度比とピーク高さ比が増加することが確認された。
紫外線の照射時間が658時間であるときのピークA2の積分強度比とピーク高さ比(点線R2で示す)は、それぞれおよそ0.02と0.023であるため、これらをシリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断するための基準値として用いることができる。
一方、図8(a)、図8(b)によれば、ピークA4の積分強度比とピーク高さ比の紫外線の照射時間の増加に伴う明確な増加を確認することができなかった。
まず、シリコーンゴムからなる第1の層10に微粒子分散シリコーンゴムからなる第2の層11が積層された、シート状の上記の本実施の形態に係る積層構造体1を用意し、微粒子分散シリコーンゴムからなる表面のラマン散乱測定を実施した。ここで、第2の層11を構成する微粒子分散シリコーンゴムの母材として付加反応型のシリコーンゴムコーティング剤を用いて、微粒子分散シリコーンゴムに含まれるSiを含有する微粒子としてシリコーンレジン微粒子を用いた。このゴムコーティング剤は、第2の層11(被膜)に対するシリコーンレジン微粒子の割合が55質量%となるように調整を行った。また、ラマン散乱測定の条件は、上記実施例1のものと同じとした。
図9(a)は、UV-C波長域の紫外線を、照度1.2~1.3mW/cmで0~800時間照射した後のシリコーンゴムのラマンスペクトルである。ラマンスペクトルにおいて770cm-1以上850cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークがピークB1であり、730cm-1以上770cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークがピークB2であり、660cm-1以上730cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークがピークB3であり、600cm-1以上660cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークがピークB4である。これらのラマンスペクトルにおけるおよそ795cm-1のピークB1はSi-CH横揺れ振動に起因するピークであり、およそ745cm-1のピークB2はC-C-O対称伸縮振動に起因するピーク、およそ710cm-1のピークB3はSiC伸縮振動に起因するピーク、およそ620cm-1のピークB4はSi-O伸縮振動に起因するピークである。
図9(b)は、紫外線を800時間照射した後の微粒子分散シリコーンゴムの表面の光学顕微鏡による観察像である。図9(b)中の黒丸はラマン散乱測定の観察位置を示しており、この観察位置は、紫外線を0時間(未照射)、400時間、658時間照射した後の観察位置と同じである。
図10(a)は、微粒子分散シリコーンゴムにおける、ピークB1、B2、B4の積分強度のピークB3の積分強度に対する比の値(積分強度比)を示すグラフである。図10(b)は、ピークB1、B2、B4のピーク高さのピークB3のピーク高さに対する比の値(ピーク高さ比)を示すグラフである。次の表3に図10(a)の各プロット点の数値を示し、表4に図10(b)の各プロット点の数値を示す。
Figure 0007459695000003
Figure 0007459695000004
図10(a)、図10(b)によれば、ピークB1の積分強度比とピーク高さ比は、紫外線の照射時間が400時間を超えると増加を始める。このことから、微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質に伴いピークB1の積分強度比とピーク高さ比が増加することが確認された。
上記の紫外線の照射時間の1つである658時間は、クラックの発生を観察する目視試験により導かれた、微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質が始まる時間である。紫外線の照射時間が658時間であるときのピークB1の積分強度比とピーク高さ比(点線R1で示す)は、それぞれおよそ2.1と0.94であるため、これらを微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断するための基準値として用いることができる。
なお、シリコーンゴムのクラックと同様に、微粒子分散シリコーンゴムのクラックは、必ずしも紫外線暴露による変質が始まったときに生じるとは限らない。このため、上記の目視試験においては、多数の実験を繰り返し、最も短かったクラックの発生時間を紫外線暴露による変質が始まる時間とした。また、微粒子分散シリコーンゴムのクラックが必ずしも紫外線暴露による変質が始まったときに生じるとは限らないということは、クラックの発生によって微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断することが困難であることを意味している。
また、図10(a)、図10(b)によれば、ピークB2の積分強度比とピーク高さ比は、紫外線の照射時間が400時間を超えると上昇を始める。このことから、微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質に伴いピークA2の積分強度比とピーク高さ比が増加することが確認された。
紫外線の照射時間が658時間であるときのピークB2の積分強度比とピーク高さ比(点線R2で示す)は、それぞれおよそ1.3と0.71であるため、これらを微粒子分散シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断するための基準値として用いることができる。
一方、図10(a)、図10(b)によれば、ピークB4の積分強度比とピーク高さ比の紫外線の照射時間の増加に伴う増加を確認することができなかった。
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[1]シリコーンゴムにレーザーを照射し、ラマンスペクトルを測定する測定工程と、前記ラマンスペクトルにおける、Si-O伸縮振動に帰属される第1のピークの強度とC-C-O対称伸縮振動に帰属されるピークを含む第2のピークの強度の少なくともいずれか一方に基づいて、前記シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する診断工程と、を含む、シリコーンゴムの品質管理方法。
[2]前記診断工程において、前記ラマンスペクトルにおけるSiC伸縮振動に帰属される第3のピークの強度に対する前記第1のピークの強度の比の値と、前記第3のピークの強度に対する前記第2のピークの強度の比の値の少なくともいずれか一方に基づいて、前記シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いへの紫外線暴露の影響を診断する、上記[1]に記載のシリコーンゴムの品質管理方法。
[3]前記第1のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて600cm-1以上660cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークであり、前記第2のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて730cm-1以上770cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークであり、前記第3のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて660cm-1以上730cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークである、上記[2]に記載のシリコーンゴムの品質管理方法。
[4]前記診断工程において、前記第3のピークの積分強度に対する前記第1のピークの積分強度の比の値が0.23以下であるか否かの結果によって、前記シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する、上記[2]又は[3]に記載のシリコーンゴムの品質管理方法。
[5]前記診断工程において、前記第3のピークの積分強度に対する前記第2のピークの積分強度の比の値が0.02以下であるか否かの結果によって、前記シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する、上記[2]~[4]のいずれか1項に記載のシリコーンゴムの品質管理方法。
[6]Siを含有する微粒子が分散したシリコーンゴムにレーザーを照射し、ラマンスペクトルを測定する測定工程と、前記ラマンスペクトルにおける、Si-CH横揺れ振動に帰属されるピークを含む第1のピークの強度とC-C-O対称伸縮振動に帰属されるピークを含む第2のピークの強度の少なくともいずれか一方に基づいて、前記微粒子が分散したシリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する診断工程と、を含む、シリコーンゴムの品質管理方法。
[7]前記診断工程において、前記ラマンスペクトルにおけるSiC伸縮振動に帰属される第3のピークの強度に対する前記第1のピークの強度の比の値と、前記第3のピークの強度に対する前記第2のピークの強度の比の値の少なくともいずれか一方に基づいて、前記微粒子が分散したシリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する、上記[6]に記載のシリコーンゴムの品質管理方法。
[8]前記第1のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて770cm-1以上850cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークであり、前記第2のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて730cm-1以上770cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークであり、前記第3のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて660cm-1以上730cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークである、上記[7]に記載のシリコーンゴムの品質管理方法。
[9]前記診断工程において、前記第3のピークの積分強度に対する前記第1のピークの積分強度の比の値が2.1以下であるか否かの結果によって、前記微粒子が分散したシリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する、上記[7]又は[8]に記載のシリコーンゴムの品質管理方法。
[10]前記診断工程において、前記第3のピークの積分強度に対する前記第2のピークの積分強度の比の値が1.3以下であるか否かの結果によって、前記微粒子が分散したシリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する、上記[7]~[9]のいずれか1項に記載のシリコーンゴムの品質管理方法。
[11]シリコーンゴムからなる第1の層(10)を形成する工程と、Siを含有する微粒子が分散したシリコーンゴムからなる第2の層(11)を前記第1の層(10)に積層する工程と、を含み、前記第1の層(10)の前記シリコーンゴムが、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載のシリコーンゴムの品質管理方法により紫外線暴露による変質の度合いを診断されたものであるという第1の条件と、前記第2の層(11)の前記微粒子が分散したシリコーンゴムが上記[6]~[10]のいずれか1項に記載のシリコーンゴムの品質管理方法により紫外線暴露による変質の度合いを診断されたものであるという第2の条件の少なくともいずれか一方を満たす、積層構造体(1)の製造方法。
[12]シリコーンゴムからなる絶縁体を有するケーブル又はチューブの品質管理方法であって、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載のシリコーンゴムの品質管理方法により、前記絶縁体の紫外線暴露による変質の度合いを診断する、ケーブル(20)又はチューブ(40a、40b、40c)の品質管理方法。
[13]Siを含有する微粒子が分散したシリコーンゴムからなる絶縁体を有するケーブル又はチューブの品質管理方法であって、上記[6]~[10]のいずれか1項に記載のシリコーンゴムの品質管理方法により、前記絶縁体の紫外線暴露による変質の度合いを診断する、ケーブル(20)又はチューブ(40a、40b、40c)の品質管理方法。
[14]レーザーを照射して得られるラマンスペクトルにおける、Si-O伸縮振動に帰属される第1のピークの強度のSiC伸縮振動に帰属される第3のピークの強度に対する比の値が0.23以下となるという第1の条件と、C-C-O対称伸縮振動に帰属されるピークを含む第2のピークの強度の前記第3のピークの強度に対する比の値が0.02以下となるという第2の条件の少なくともいずれか一方を満たす、シリコーンゴム。
[15]前記第1のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて600cm-1以上660cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークであり、前記第2のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて730cm-1以上770cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークであり、前記第3のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて660cm-1以上730cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークである、上記[14]に記載のシリコーンゴム。
[16]Siを含有する微粒子が分散したシリコーンゴムであって、レーザーを照射して得られるラマンスペクトルにおける、Si-CH横揺れ振動に帰属されるピークを含む第1のピークの強度のSiC伸縮振動に帰属される第3のピークの強度に対する比の値が2.1以下となるという第1の条件と、C-C-O対称伸縮振動に帰属されるピークを含む第2のピークの強度の前記第3のピークの強度に対する比の値が1.3以下となるという第2の条件の少なくともいずれか一方を満たす、シリコーンゴム。
[17]前記第1のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて770cm-1以上850cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークであり、前記第2のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて730cm-1以上770cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークであり、前記第3のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて660cm-1以上730cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークである、上記[16]に記載のシリコーンゴム。
[18]シリコーンゴムからなる第1の層と、前記第1の層に積層された、Siを含有する微粒子が分散したシリコーンゴムからなる第2の層と、を有し、前記第1の層の前記シリコーンゴムが、上記[14]又は[15]に記載のシリコーンゴムであるという第1の条件と、前記第2の層の前記微粒子が分散したシリコーンゴムが上記[16]又は[17]に記載のシリコーンゴムであるという第2の条件の少なくともいずれか一方を満たす、積層構造体(1)。
[19]上記[18]に記載の積層構造体(1)からなる絶縁体を有する、ケーブル(20)又はチューブ(40a、40b、40c)。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、本発明は、上記実施の形態及び実施例に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1 積層構造体
10 第1の層
11 第2の層
20 プローブケーブル
23 シース
24 被膜
40a、40b、40c 医療用チューブ
41 チューブ本体
42 外側被膜
43 内側被膜

Claims (11)

  1. シリコーンゴムにレーザーを照射し、ラマンスペクトルを測定する測定工程と、
    前記ラマンスペクトルにおける、Si-O伸縮振動に帰属される第1のピークの強度とC-C-O対称伸縮振動に帰属されるピークを含む第2のピークの強度の少なくともいずれか一方に基づいて、前記シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する診断工程と、
    を含み、
    前記診断工程において、前記ラマンスペクトルにおけるSiC伸縮振動に帰属される第3のピークの強度に対する前記第1のピークの強度の比の値と、前記第3のピークの強度に対する前記第2のピークの強度の比の値の少なくともいずれか一方に基づいて、前記シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いへの紫外線暴露の影響を診断する、
    シリコーンゴムの品質管理方法。
  2. 前記第1のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて600cm-1以上660cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークであり、
    前記第2のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて730cm-1以上770cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークであり、
    前記第3のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて660cm-1以上730cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークである、
    請求項1に記載のシリコーンゴムの品質管理方法。
  3. 前記診断工程において、前記第3のピークの積分強度に対する前記第1のピークの積分強度の比の値が0.23以下であるか否かの結果によって、前記シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する、
    請求項1又は2に記載のシリコーンゴムの品質管理方法。
  4. 前記診断工程において、前記第3のピークの積分強度に対する前記第2のピークの積分強度の比の値が0.02以下であるか否かの結果によって、前記シリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する、
    請求項1~3のいずれか1項に記載のシリコーンゴムの品質管理方法。
  5. Siを含有する微粒子が分散したシリコーンゴムにレーザーを照射し、ラマンスペクトルを測定する測定工程と、
    前記ラマンスペクトルにおける、Si-CH横揺れ振動に帰属されるピークを含む第1のピークの強度とC-C-O対称伸縮振動に帰属されるピークを含む第2のピークの強度の少なくともいずれか一方に基づいて、前記微粒子が分散したシリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する診断工程と、
    を含み、
    前記診断工程において、前記ラマンスペクトルにおけるSiC伸縮振動に帰属される第3のピークの強度に対する前記第1のピークの強度の比の値と、前記第3のピークの強度に対する前記第2のピークの強度の比の値の少なくともいずれか一方に基づいて、前記微粒子が分散したシリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する、
    シリコーンゴムの品質管理方法。
  6. 前記第1のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて770cm-1以上850cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークであり、
    前記第2のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて730cm-1以上770cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークであり、
    前記第3のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて660cm-1以上730cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークである、
    請求項5に記載のシリコーンゴムの品質管理方法。
  7. 前記診断工程において、前記第3のピークの積分強度に対する前記第1のピークの積分強度の比の値が2.1以下であるか否かの結果によって、前記微粒子が分散したシリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する、
    請求項5又は6に記載のシリコーンゴムの品質管理方法。
  8. 前記診断工程において、前記第3のピークの積分強度に対する前記第2のピークの積分強度の比の値が1.3以下であるか否かの結果によって、前記微粒子が分散したシリコーンゴムの紫外線暴露による変質の度合いを診断する、
    請求項5~7のいずれか1項に記載のシリコーンゴムの品質管理方法。
  9. シリコーンゴムからなる第1の層を形成する工程と、
    Siを含有する微粒子が分散したシリコーンゴムからなる第2の層を前記第1の層に積層する工程と、
    を含み、
    前記第1の層の前記シリコーンゴムが、請求項1~4のいずれか1項に記載のシリコーンゴムの品質管理方法により紫外線暴露による変質の度合いを診断されたものであるという第1の条件と、前記第2の層の前記微粒子が分散したシリコーンゴムが請求項5~8のいずれか1項に記載のシリコーンゴムの品質管理方法により紫外線暴露による変質の度合いを診断されたものであるという第2の条件の少なくともいずれか一方を満たす、
    積層構造体の製造方法。
  10. シリコーンゴムからなる絶縁体を有するケーブル又はチューブの品質管理方法であって、
    請求項1~4のいずれか1項に記載のシリコーンゴムの品質管理方法により、前記絶縁体の紫外線暴露による変質の度合いを診断する、
    ケーブル又はチューブの品質管理方法。
  11. Siを含有する微粒子が分散したシリコーンゴムからなる絶縁体を有するケーブル又はチューブの品質管理方法であって、
    請求項5~8のいずれか1項に記載のシリコーンゴムの品質管理方法により、前記絶縁体の紫外線暴露による変質の度合いを診断する、
    ケーブル又はチューブの品質管理方法。
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