JP2022123979A - 高分子材料及びその品質管理方法、樹脂組成物の製造方法、ケーブル又はチューブ及びそれらの品質管理方法、並びにファクトリーオートメーション又はファクトリーオートメーションロボット - Google Patents

高分子材料及びその品質管理方法、樹脂組成物の製造方法、ケーブル又はチューブ及びそれらの品質管理方法、並びにファクトリーオートメーション又はファクトリーオートメーションロボット Download PDF

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Abstract

Figure 2022123979000001
【課題】シリコーンを滑剤として含む高分子材料の表面の滑り性を評価することができる高分子材料の品質管理方法と、この高分子材料の品質管理方法を利用した樹脂組成物の製造方法、ケーブル又はチューブ及びそれらの品質管理方法、並びにファクトリーオートメーション又はファクトリーオートメーションロボットを提供する。
【解決手段】本発明の一態様において、シリコーンを滑剤として含む高分子材料にレーザーを照射し、ラマンスペクトルを測定する測定工程と、前記ラマンスペクトルにおける、前記シリコーンに由来する分子振動に帰属されるピークの強度に基づいて、前記高分子材料の表面の滑り性を評価する評価工程と、を含む、高分子材料の品質管理方法を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、高分子材料及びその品質管理方法、樹脂組成物の製造方法、ケーブル又はチューブ及びそれらの品質管理方法、並びにファクトリーオートメーション又はファクトリーオートメーションロボットに関する。
従来、導体外周に被覆される絶縁体の材料に有機系高分子量シリコーンポリマーを含むポリエステルエラストマーを用いたケーブルが知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載のケーブルによれば、シリコーンが他物質との親和力が小さく、表面同士が接着するのを防ぎ、離型性を付与するため、絶縁心線同士の表面滑り性が良好になり、ケーブルに屈曲、捻れ等のストレスを受けた場合には、撚り合わせられる絶縁心線相互がスムーズに動き易くなり、延いては、屈曲・捻れ寿命の向上に寄与する。また、絶縁心線相互の滑りを良くすることにより、ケーブル自体の可とう性も向上させることができる。
また、有機系高分子量シリコーンポリマーを含むポリエステルエラストマーは、表面の滑り性に優れた絶縁体の材料として従来一般的に用いられていたエチレンテトラフロロエチレン(ETFE)などのフッ素系樹脂と比較して安価であるため、ケーブルの製造コストを抑えることができる。
特開2008-218061号公報
しかしながら、ポリエステルエラストマーなどの高分子材料にシリコーンを配合すると、配合後の高分子材料のシリコーンの含有量が原料の配合比と一致せず、所望の滑り性が得られないおそれがある。このため、シリコーンを含む高分子材料を材料に用いた絶縁体の表面の実際の滑り性を評価することが望まれる。
本発明の目的は、シリコーンを滑剤として含む高分子材料の表面の滑り性を評価することができる高分子材料の品質管理方法と、この高分子材料の品質管理方法を利用した樹脂組成物の製造方法、ケーブル又はチューブ及びそれらの品質管理方法、並びにファクトリーオートメーション又はファクトリーオートメーションロボットを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決することを目的として、シリコーンを滑剤として含む高分子材料にレーザーを照射し、ラマンスペクトルを測定する測定工程と、前記ラマンスペクトルにおける、前記シリコーンに由来する分子振動に帰属されるピークの強度に基づいて、前記高分子材料の表面の滑り性を評価する評価工程と、を含む、高分子材料の品質管理方法を提供する。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、シリコーンを滑剤として含む高分子材料からなる絶縁体を有するケーブル又はチューブの品質管理方法であって、上記の高分子材料の品質管理方法により、前記絶縁体の表面の滑り性を評価する、ケーブル又はチューブの品質管理方法を提供する。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、上記の高分子材料の品質管理方法により表面の滑り性を評価された、シリコーンを滑剤として含む高分子材料を用いて樹脂組成物を形成する、樹脂組成物の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、シリコーンを滑剤として含むポリエチレンからなる高分子材料であって、レーザーを照射して得られるラマンスペクトルにおける、前記シリコーンのSi-O伸縮振動に帰属される第1のピークのピーク高さの前記ポリエチレンのCH横揺れ振動に帰属される第3のピークのピーク高さに対する比の値が0.043以上であるという第1の条件と、前記第1のピークの積分強度の前記第3のピークの積分強度に対する比の値が0.1以上であるという第2の条件と、前記シリコーンのC-Si-C伸縮振動に帰属される第2のピークのピーク高さの前記第3のピークのピーク高さに対する比の値が0.014以上であるという第3の条件と、前記第2のピークの積分強度の前記第3のピークの積分強度に対する比の値が0.011以上であるという第4の条件と、の少なくともいずれか1つを満たす、高分子材料を提供する。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、上記の高分子材料からなる絶縁体を備えた、ケーブル又はチューブを提供する。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、上記のケーブル又はチューブを備えた、ファクトリーオートメーション又はファクトリーオートメーションロボットを提供する。
本発明によれば、シリコーンを滑剤として含む高分子材料の表面の滑り性を評価することができる高分子材料の品質管理方法と、この高分子材料の品質管理方法を利用した樹脂組成物の製造方法、ケーブル又はチューブ及びそれらの品質管理方法、並びにファクトリーオートメーション又はファクトリーオートメーションロボットを提供することができる。
図1は、本実施の形態に係るケーブルの一例である、FAロボット用のケーブルの径方向の断面図である。 図2は、シリコーンを含まないポリエチレン、及び0.99~6.54質量%で添加されたシリコーンを含むポリエチレンのラマンスペクトルを示すグラフである。 図3(a)は、図2に示されるラマンスペクトルのピークA1、ピークA2近傍を拡大したグラフである。図3(b)は、図2に示されるラマンスペクトルのピークA3近傍を拡大したグラフである。 図4(a)は、ピークA1のピーク高さのピークA3のピーク高さに対する比の値(ピーク高さ比)とシリコーンの添加濃度との関係を示すグラフである。図4(b)は、ピークA1の積分強度のピークA3の積分強度に対する比の値(積分強度比)とシリコーンの添加濃度との関係を示すグラフである。 図5(a)は、ピークA2のピーク高さのピークA3のピーク高さに対する比の値(ピーク高さ比)とシリコーンの添加濃度との関係を示すグラフである。図5(b)は、ピークA2の積分強度のピークA3の積分強度に対する比の値(積分強度比)とシリコーンの添加濃度との関係を示すグラフである。 図6(a)は、25℃、50℃、75℃の温度条件下で測定された、0~6.54質量%のシリコーンが添加されたポリエチレンのピークA1のピーク高さ比と表面の静摩擦係数との関係を示すグラフである。図6(b)は、図6(a)のピーク高さ比が0~0.2の範囲を拡大したグラフであり、25℃の温度条件下で測定されたETFEの静摩擦係数である0.351を示す直線を含む。 図7(a)は、25℃、50℃、75℃の温度条件下で測定された、0~6.54質量%のシリコーンが添加されたポリエチレンのピークA1の積分強度比と表面の静摩擦係数との関係を示すグラフである。図7(b)は、図7(a)の積分強度比が0~0.4の範囲を拡大したグラフであり、25℃の温度条件下で測定されたETFEの静摩擦係数である0.351を示す直線を含む。 図8(a)は、25℃、50℃、75℃の温度条件下で測定された、0~6.54質量%のシリコーンが添加されたポリエチレンのピークA2のピーク高さ比と表面の静摩擦係数との関係を示すグラフである。図8(b)は、図8(a)のピーク高さ比が0~0.08の範囲を拡大したグラフであり、25℃の温度条件下で測定されたETFEの静摩擦係数である0.351を示す直線を含む。 図9(a)は、25℃、50℃、75℃の温度条件下で測定された、0~6.54質量%のシリコーンが添加されたポリエチレンのピークA2の積分強度比と表面の静摩擦係数との関係を示すグラフである。図9(b)は、図9(a)の積分強度比が0~0.08の範囲を拡大したグラフであり、25℃の温度条件下で測定されたETFEの静摩擦係数である0.351を示す直線を含む。
〔実施の形態〕
(高分子材料の品質管理方法)
シリコーンを滑剤として含むポリエステルエラストマーなどの高分子材料は、優れた表面の滑り性を有し、例えば、ファクトリーオートメーション(FA)、FAロボット、医療用超音波プローブなどに用いられるケーブル又はチューブの絶縁体の材料として用いることができる。
本実施の形態に係る高分子材料の品質管理方法によれば、ラマン散乱測定を用いて、非破壊、非接触で、高分子材料の原姿状態を保持したまま、表面の滑り性の評価を行うことができる。
本実施の形態に係る高分子材料の品質管理方法は、例えば、シリコーンを滑剤として含む高分子材料にレーザーを照射し、ラマンスペクトルを測定する測定工程と、ラマンスペクトルにおける、シリコーンに由来する分子振動に帰属されるピークの強度に基づいて、高分子材料の表面の滑り性を評価する評価工程とを含む。ここで、本実施の形態におけるラマンスペクトルのピークの強度は、ピーク高さ又は積分強度を意味する。
高分子材料の表面の滑り性はシリコーンの濃度に依存し、また、ラマンスペクトルにおけるシリコーンに由来する分子振動に帰属されるピークは、高分子材料のシリコーンの含有量に応じて強度が変わるため、この強度に基づいて高分子材料の表面の滑り性を評価することができる。特に、シリコーンのSi-O伸縮振動に帰属されるピーク(第1のピークとする)と、シリコーンのC-Si-C伸縮振動に帰属されるピーク(第2のピークとする)が、高分子材料のシリコーンの含有量に応じた強度の変化を読み取りやすいため、上記の評価工程においては、第1のピークの強度と第2のピークの強度の少なくともいずれか一方に基づいて、高分子材料の表面の滑り性を評価することが好ましい。
第1のピークは、ラマンスペクトルにおいて460cm-1以上520cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークである。また、第2のピークは、ラマンスペクトルにおいて700cm-1以上720cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークである。なお、第1のピークと第2のピークの位置は、測定時の高分子材料の温度などによって、上記の波数範囲内でシフトし得る。
なお、高分子材料に泥などのSiを含む汚染物が含まれていた場合、その汚染物に含まれるSiに起因して上記の第1のピーク又は第2のピークの強度が増加し、高分子材料の表面の滑り性を正確に評価できないおそれがある。この場合であっても、汚染物に含まれるSiの量に応じて第1のピークと第2のピークの両方が変化する可能性はほとんどないため、第1のピークと第2のピークの両方に基づいて評価を行うことにより、シリコーンの含有量に応じた高分子材料の表面の滑り性を正確に評価することができる。
また、Si-O伸縮振動やC-Si-C伸縮振動などのシリコーンに由来する分子振動に帰属されるピークの強度と高分子材料におけるシリコーンの濃度との相関関係を予め調べておくことにより、シリコーンに由来する分子振動に帰属されるピークの強度から、高分子材料におけるシリコーンの具体的な濃度を求めることもできる。
また、高分子材料がポリエチレンである場合、上記の評価工程において、第1のピーク及び第2のピークの強度の基準として、母材であるポリエチレンに由来する分子振動に帰属されるピークのうち、例えば、ポリエチレンのCH横揺れ振動に帰属されるピーク(第3のピークとする)を用いることができる。すなわち、ラマンスペクトルにおける第3のピークの強度に対する第1のピークの強度の比の値と、第3のピークの強度に対する第2のピークの強度の比の値の少なくともいずれか一方に基づいて、高分子材料の表面の滑り性を評価することができる。第3のピークは、1150cm-1以上1200cm-1以下の範囲内で最大強度をとる。
具体的には、例えば、第1のピークの強度に基づいて高分子材料の表面の滑り性を評価する場合、第3のピークのピーク高さに対する第1のピークのピーク高さの比の値が0.043以上であるか否かの結果と、第3のピークの積分強度に対する第1のピークの積分強度の比の値が0.1以上であるか否かの結果の少なくともいずれか一方に基づいて、高分子材料の表面の滑り性を評価することができる。
第3のピークのピーク高さに対する第1のピークのピーク高さの比の値が0.043以上である場合や、第3のピークの積分強度に対する第1のピークの積分強度の比の値が0.1以上である場合、高分子材料としてのポリエチレン(25~50℃)の表面の静摩擦係数がETFE(25℃)の表面の静摩擦係数以下となり、優れた滑り性を発揮することが本発明者らにより確認されている。
また、第2のピークの強度に基づいて高分子材料の表面の滑り性を評価する場合、第3のピークのピーク高さに対する第2のピークのピーク高さの比の値が0.014以上であるか否かの結果と、第3のピークの積分強度に対する第2のピークの積分強度の比の値が0.011以上であるか否かの結果の少なくともいずれか一方に基づいて、高分子材料の表面の滑り性を評価することができる。
第3のピークのピーク高さに対する第2のピークのピーク高さの比の値が0.014以上である場合や、第3のピークの積分強度に対する第2のピークの積分強度の比の値が0.011以上である場合、高分子材料としてのポリエチレン(25~50℃)の表面の静摩擦係数がETFE(25℃)の表面の静摩擦係数以下となり、優れた滑り性を発揮することが本発明者らにより確認されている。
ここで、第1~第3のピークの積分強度やピーク高さは、Pseudo-voigt関数、Lorentz関数、Gauss分布関数などの統計分布関数を用いるフィッティング解析により得られるピークプロファイルを用いて算出されるものであり、ピークプロファイルをバックグラウンド補正した後に求められる。バックグラウンド補正は、高分子材料及びシリコーンの分子構造に起因しない、発生蛍光、照射レーザー光起源のレイリー及びミー散乱光、照射レーザー光以外の擾乱光などの不可避の光に起因すると考えられるバックグラウンドの影響を除去するために実施されるものであり、多項式関数やスプライン関数などを用いるフィッティング解析により求められるバックグラウンドプロファイル(ベースライン)を上述のピークプロファイルから差し引いて行われる。また、第1~第3のピークの積分強度を求める際の積分範囲は、上述のピークプロファイルとバックグラウンドプロファイルの2つの交点の間の範囲である。
なお、第3のピークのピーク高さに対する第1のピークのピーク高さの比の値、第3のピークの積分強度に対する第1のピークの積分強度の比の値、第3のピークのピーク高さに対する第2のピークのピーク高さの比の値、及び第3のピークの積分強度に対する第2のピークの積分強度の比の値は、高分子材料中にシリコーンが限界まで添加されたときにそれぞれの上限値をとる。
本実施の形態に係る高分子材料の品質管理方法におけるラマン散乱測定においては、高分子材料の表面に照射されるレーザーのスポット径が測定領域となるため、直径が1μm以下(例えば、0.4~1.0μm)の微小領域内での評価を行うことができる。すなわち、高分子材料のシリコーン濃度の大小について、平均的な情報だけでなく、微小な領域ごとの情報を得ることができる。このため、例えば、高分子材料中でのシリコーンの凝集に伴う不均化状況を明らかにすることができ、より高度に高分子材料の品質を管理することができる。なお、レーザーのスポット径は、前述の値が限界値ではない。原理上、レーザースポット径はレーザー光源の波長と対物レンズの開口数で決まる。このため、本実施の形態に係る高分子材料に対して、より短い波長のレーザーと大きい開口数の対物レンズを用いてラマン分光分析を行った場合は、更に小さい0.4μm未満の微小領域の計測も可能になる。
(高分子材料)
本実施の形態によれば、表面の滑り性に優れる高分子材料を提供することができる。この高分子材料は、上記の高分子材料の品質管理方法によって表面の滑り性を評価された高分子材料から、表面の滑り性に優れる高分子材料を選別することにより得ることができる。
本実施の形態に係る高分子材料は、例えば、シリコーンを滑剤として含むポリエチレンからなる高分子材料であって、レーザーを照射して得られるラマンスペクトルにおける、第1のピークのピーク高さの第3のピークのピーク高さに対する比の値が0.043以上であるという第1の条件と、第1のピークの積分強度の第3のピークの積分強度に対する比の値が0.1以上であるという第2の条件と、第2のピークのピーク高さの第3のピークのピーク高さに対する比の値が0.014以上であるという第3の条件と、第2のピークの積分強度の第3のピークの積分強度に対する比の値が0.011以上であるという第4の条件との少なくともいずれか1つを満たす。
(ケーブル又はチューブの品質管理方法)
本実施の形態によれば、シリコーンを滑剤として含む高分子材料からなる絶縁体を有するケーブル又はチューブの品質管理方法として、上記の高分子材料の品質管理方法により、絶縁体の表面の滑り性を評価する方法を提供することができる。
このケーブル又はチューブの品質管理方法によれば、例えば、FA、FAロボット、医療用超音波プローブなどに用いられるケーブル又はチューブなどの、表面の滑り性が重要なケーブル又はチューブの品質を管理することができる。
図1は、本実施の形態に係るケーブルの一例である、FAロボット用のケーブル1の径方向の断面図である。ケーブル1は、複数の絶縁体11に被覆された線状の導体10と、束ねられた複数の絶縁体11に被覆された導体10の周囲に巻き付けられた押さえ巻きテープ12と、押さえ巻きテープ12の周囲に設けられた編組シールド13と、編組シールド13の周囲に設けられたシース14とを備える。
導体10は、銅などの導体からなる。ケーブル1に含まれる導体10の本数は特に限定されず、ケーブル1の用途などに応じて適宜設定される。絶縁体11は、上述のように、シリコーンを滑剤として含む高分子材料からなる。押さえ巻きテープ12には、樹脂テープなどが用いられる。編組シールド13は、編組された導線などからなる。シース14は、ポリ塩化ビニル(PVC)などからなる。
絶縁体11の表面の滑り性が優れていれば、ケーブル1の内部で絶縁体11が動きやすくなるため、ケーブル1の屈曲や捻れに対する絶縁体11の耐性が高くなり、また、ケーブル1の可とう性が高くなる。
なお、ケーブル又はチューブの表面に露出した絶縁体(例えば、ケーブル1の端部から露出する絶縁体11)を診断する場合には、ケーブル又はチューブをそのままの状態でラマン散乱測定装置にセットし、非破壊で測定を行うことができる。ケーブル又はチューブの表面に露出していない絶縁体を診断する場合には、例えば、ケーブル又はチューブを切開して測定を行う。
また、レーザーの照射部と散乱光の受光部を自由に動かすことができるガンタイプのラマン散乱測定装置を用いることにより、未加工の長尺のケーブル又はチューブなど、通常の測定装置では測定が困難なケーブル又はチューブであっても、そのままの状態で測定を行うことができる。
(ケーブル又はチューブ)
本実施の形態によれば、上記の高分子材料からなる絶縁体を備えた、絶縁体の表面の滑り性に優れるケーブル又はチューブを提供することができる。このケーブル又はチューブは、上記のケーブル又はチューブの品質管理方法によって絶縁体の表面の滑り性を評価されたケーブル又はチューブから、絶縁体の表面の滑り性に優れるケーブル又はチューブを選別することにより得られる。また、このケーブル又はチューブは、上記の高分子材料の品質管理方法によって表面の滑り性を評価された高分子材料から選別された、表面の滑り性に優れる高分子材料を用いて絶縁体を形成することにより得られる。
本実施の形態に係るケーブル又はチューブは、例えば、シリコーンを滑剤として含むポリエチレンからなる高分子材料であって、レーザーを照射して得られるラマンスペクトルにおける、第1のピークのピーク高さの第3のピークのピーク高さに対する比の値が0.043以上であるという第1の条件と、第1のピークの積分強度の第3のピークの積分強度に対する比の値が0.1以上であるという第2の条件と、第2のピークのピーク高さの第3のピークのピーク高さに対する比の値が0.014以上であるという第3の条件と、第2のピークの積分強度の第3のピークの積分強度に対する比の値が0.011以上であるという第4の条件との少なくともいずれか1つを満たす高分子材料からなる絶縁体を備える。
(ケーブル又はチューブを備える装置やシステム)
本実施の形態によれば、上記の絶縁体の表面の滑り性に優れるケーブル又はチューブを備えた、FA、FAロボット、医療用超音波プローブなどの装置やシステムを提供することができる。
(樹脂組成物の製造方法)
本発明の実施の形態によれば、上記の高分子材料の品質管理方法によって品質を管理された高分子材料を用いて樹脂組成物を製造することができる。この樹脂組成物の製造方法によれば、表面の滑り性に優れた高分子材料を選別して樹脂組成物の材料に用いることができる。
ここで、樹脂組成物の形態は、高分子材料を含むものであれば特に限定されず、例えば、遷移元素、金、銀、白金のような貴金属やカーボンなどを加工・成形した糸状の材料からなる繊維に編み込む高分子材料からなる繊維や、摺動時の摩耗が顕著なセラミックスや金属材料などの摩擦係数が大きな材料からなる下地材の上に積層する高分子材料からなる膜に適用することができる。
(実施の形態の効果)
上記実施の形態によれば、ラマン散乱測定を用いることにより、シリコーンを滑剤として含む高分子材料の表面の滑り性を評価し、その品質を管理することができる。また、ケーブル又はチューブのシリコーンを滑剤として含む高分子材料からなる絶縁体の表面の滑り性を評価し、その品質を管理することができる。また、この高分子材料の品質管理方法を利用して、表面の滑り性に優れた高分子材料を含む樹脂組成物を製造することができる。
また、この高分子材料やケーブル又はチューブの品質管理を実施することにより、表面の滑り性に優れた高分子材料、表面の滑り性に優れた絶縁体を備えたケーブル又はチューブ、さらにはそのケーブル又はチューブを備えたファクトリーオートメーション又はファクトリーオートメーションロボットを提供することができる。
また、上記実施の形態に係る高分子材料の品質管理方法やケーブル又はチューブの品質管理方法、樹脂組成物の製造方法などは、機械学習や人工知能(AI)などを活用してデータを分析するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を用いた材料開発に適用することもできる。
また、上記実施の形態に係る高分子材料の品質管理方法と同様に、ラマン散乱測定を用いて、PTFEなどのフッ素系樹脂からなる微粒子、又は酸化物、金属などの無機物質からなる微粒子を添加、分散させた高分子材料や、Siを含有する微粒子が分散したシリコーンゴムなどのシリコーン滑性層の品質を管理することもできる。
シート状に加工された、シリコーンを滑剤として含む高分子材料としてのポリエチレンを用意し、ラマン散乱測定を実施した。ラマン散乱測定は、ナノフォトン株式会社製のRAMANforce Standard VIS-NIR-HSを用いて、レーザー波長が532nm、分光器の入射スリットの幅が50μm、回折格子の刻線数が300gr/mm、NDフィルタのレーザー最大光量に対する減弱後の光量の比の値(減弱比)が250/255、対物レンズの倍率、開口数(NA)、理論測定径がそれぞれ5倍、0.15、2.2μm、計数時間が1秒×20サイクル、の測定条件で実施した。また、ラマン散乱測定は、温度が20℃(分析室の2点測定での平均値)、湿度が28RH%(分析室の3点測定での平均値)、気圧が常圧(いわゆる大気圧)の環境下で実施した。
図2は、シリコーンを含まないポリエチレン、及び0.99~6.54質量%(mass%)で添加されたシリコーンを含むポリエチレンのラマンスペクトルを示すグラフである。このラマンスペクトルにおいて460cm-1以上520cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークA1がシリコーンのSi-O伸縮振動に帰属されるピークであり、700cm-1以上720cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークA2がシリコーンのC-Si-C伸縮振動に帰属されるピークであり、1150cm-1以上1200cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークA3がポリエチレンのCH横揺れ振動に帰属されるピークである。
図3(a)は、図2に示されるラマンスペクトルのピークA1、ピークA2近傍を拡大したグラフである。図2、図3(a)に示されるように、シリコーンのSi-O伸縮振動に帰属されるピークA1とシリコーンのC-Si-C伸縮振動に帰属されるピークA2のいずれも、シリコーンの添加濃度の増加に伴って強度が増加する。図3(b)は、図2に示されるラマンスペクトルのピークA3近傍を拡大したグラフである。
図4(a)は、ピークA1のピーク高さのピークA3のピーク高さに対する比の値(ピーク高さ比)とシリコーンの添加濃度との関係を示すグラフである。図4(b)は、ピークA1の積分強度のピークA3の積分強度に対する比の値(積分強度比)とシリコーンの添加濃度との関係を示すグラフである。
次の表1に、図4(a)、(b)の各プロット点の数値に係るシリコーンの添加濃度ごとのピークA1のピーク高さ比と積分強度比、及びそれらの算出に用いたシリコーンの添加濃度ごとのピークA1のピーク高さと積分強度とピークA3のピーク高さと積分強度を示す。
Figure 2022123979000002
図5(a)は、ピークA2のピーク高さのピークA3のピーク高さに対する比の値(ピーク高さ比)とシリコーンの添加濃度との関係を示すグラフである。図5(b)は、ピークA2の積分強度のピークA3の積分強度に対する比の値(積分強度比)とシリコーンの添加濃度との関係を示すグラフである。
次の表2に、図5(a)、(b)の各プロット点の数値に係るシリコーンの添加濃度ごとのピークA2のピーク高さ比と積分強度比、及びそれらの算出に用いたシリコーンの添加濃度ごとのピークA2のピーク高さと積分強度とピークA3のピーク高さと積分強度を示す。
Figure 2022123979000003
図6(a)は、25℃、50℃、75℃の温度条件下で測定された、0~6.54質量%のシリコーンが添加されたポリエチレンのピークA1のピーク高さ比と表面の静摩擦係数との関係を示すグラフである。
図7(a)は、25℃、50℃、75℃の温度条件下で測定された、0~6.54質量%のシリコーンが添加されたポリエチレンのピークA1の積分強度比と表面の静摩擦係数との関係を示すグラフである。
図8(a)は、25℃、50℃、75℃の温度条件下で測定された、0~6.54質量%のシリコーンが添加されたポリエチレンのピークA2のピーク高さ比と表面の静摩擦係数との関係を示すグラフである。
図9(a)は、25℃、50℃、75℃の温度条件下で測定された、0~6.54質量%のシリコーンが添加されたポリエチレンのピークA2の積分強度比と表面の静摩擦係数との関係を示すグラフである。
ここで、図6(a)、図7(a)、図8(a)、図9(a)に係る静摩擦係数の測定方法について説明する。これらの静摩擦係数の測定は、オリエンテック社製「EMF-3-F」をベースとした摩擦摩耗試験装置を用いて、日本工業規格 JIS K 7218に準拠する試験方法により実施した。測定形式をリングオンリング(リング状試料を対向接触させた状態での周回摺動)として、リング状試料の半径「r」を11.4mmとした。測定条件は、荷重「W」を0.8kgw、回転周速を10mm/s、試験時間を1minとした。
そして、リング状試料の中心からの距離「R」が100mmの点における「F」(トルク)を測定し、試験時間中において最大力F(最大トルク)を計測したときの摩擦係数を「静摩擦係数μ」と定義した。以下に、静摩擦係数μの導出に用いた計算式を式1として示す。
Figure 2022123979000004
次の表3に、図6(a)、図7(a)、図8(a)、図9(a)の各プロット点の数値に係るピークA1のピーク高さ比と積分強度比、ピークA2のピーク高さ比と積分強度比、及び25℃、50℃、75℃の温度条件下で測定された静摩擦係数との関係を示す。
Figure 2022123979000005
図6(b)は、図6(a)のピーク高さ比が0~0.2の範囲を拡大したグラフであり、25℃の温度条件下で測定されたETFEの静摩擦係数である0.351を示す直線を含む。図6(b)に示されるように、シリコーン含有ポリエチレンの静摩擦係数は温度が低くなるほど小さくなり、ピークA1のピーク高さ比がおよそ0.043以上であるときに、50℃以下のシリコーン含有ポリエチレンの静摩擦係数が、25℃のETFEの静摩擦係数以下になる。
図7(b)は、図7(a)の積分強度比が0~0.4の範囲を拡大したグラフであり、25℃の温度条件下で測定されたETFEの静摩擦係数である0.351を示す直線を含む。図7(b)に示されるように、シリコーン含有ポリエチレンの静摩擦係数は温度が低くなるほど小さくなり、ピークA1の積分強度比がおよそ0.1以上であるときに、50℃以下のシリコーン含有ポリエチレンの静摩擦係数が、25℃のETFEの静摩擦係数以下になる。
図8(b)は、図8(a)のピーク高さ比が0~0.08の範囲を拡大したグラフであり、25℃の温度条件下で測定されたETFEの静摩擦係数である0.351を示す直線を含む。図8(b)に示されるように、シリコーン含有ポリエチレンの静摩擦係数は温度が低くなるほど小さくなり、ピークA2のピーク高さ比がおよそ0.014以上であるときに、50℃以下のシリコーン含有ポリエチレンの静摩擦係数が、25℃のETFEの静摩擦係数以下になる。
図9(b)は、図9(a)の積分強度比が0~0.08の範囲を拡大したグラフであり、25℃の温度条件下で測定されたETFEの静摩擦係数である0.351を示す直線を含む。図9(b)に示されるように、シリコーン含有ポリエチレンの静摩擦係数は温度が低くなるほど小さくなり、ピークA2の積分強度比がおよそ0.011以上であるときに、50℃以下のシリコーン含有ポリエチレンの静摩擦係数が、25℃のETFEの静摩擦係数以下になる。
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[1]シリコーンを滑剤として含む高分子材料にレーザーを照射し、ラマンスペクトルを測定する測定工程と、前記ラマンスペクトルにおける、前記シリコーンに由来する分子振動に帰属されるピークの強度に基づいて、前記高分子材料の表面の滑り性を評価する評価工程と、を含む、高分子材料の品質管理方法。
[2]前記評価工程において、前記ラマンスペクトルにおける、前記シリコーンのSi-O伸縮振動に帰属される第1のピークの強度と前記シリコーンのC-Si-C伸縮振動に帰属される第2のピークの強度の少なくともいずれか一方に基づいて、前記高分子材料の表面の滑り性を評価する、上記[1]に記載の高分子材料の品質管理方法。
[3]前記高分子材料がポリエチレンであり、前記評価工程において、前記ラマンスペクトルにおける、前記ポリエチレンのCH横揺れ振動に帰属される第3のピークの強度に対する前記第1のピークの強度の比の値と前記第3のピークの強度に対する前記第2のピークの強度の比の値の少なくともいずれか一方に基づいて、前記高分子材料の表面の滑り性を評価する、上記[2]に記載の高分子材料の品質管理方法。
[4]前記第1のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて460cm-1以上520cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークであり、前記第2のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて700cm-1以上720cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークであり、前記第3のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて1150cm-1以上1200cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークである、上記[3]に記載の高分子材料の品質管理方法。
[5]前記評価工程において、前記第3のピークのピーク高さに対する前記第1のピークのピーク高さの比の値が0.043以上であるか否かの結果と、前記第3のピークの積分強度に対する前記第1のピークの積分強度の比の値が0.1以上であるか否かの結果の少なくともいずれか一方に基づいて、前記高分子材料の表面の滑り性を評価する、上記[3]又は[4]に記載の高分子材料の品質管理方法。
[6]前記評価工程において、前記第3のピークのピーク高さに対する前記第2のピークのピーク高さの比の値が0.014以上であるか否かの結果と、前記第3のピークの積分強度に対する前記第2のピークの積分強度の比の値が0.011以上であるか否かの結果の少なくともいずれか一方に基づいて、前記高分子材料の表面の滑り性を評価する、上記[3]~[5]のいずれか1項に記載の高分子材料の品質管理方法。
[7]シリコーンを滑剤として含む高分子材料からなる絶縁体(11)を有するケーブル(1)又はチューブの品質管理方法であって、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の高分子材料の品質管理方法により、前記絶縁体(11)の表面の滑り性を評価する、ケーブル(1)又はチューブの品質管理方法。
[8]上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の高分子材料の品質管理方法により表面の滑り性を評価された、シリコーンを滑剤として含む高分子材料を用いて樹脂組成物を形成する、樹脂組成物の製造方法。
[9]シリコーンを滑剤として含むポリエチレンからなる高分子材料であって、レーザーを照射して得られるラマンスペクトルにおける、前記シリコーンのSi-O伸縮振動に帰属される第1のピークのピーク高さの前記ポリエチレンのCH横揺れ振動に帰属される第3のピークのピーク高さに対する比の値が0.043以上であるという第1の条件と、前記第1のピークの積分強度の前記第3のピークの積分強度に対する比の値が0.1以上であるという第2の条件と、前記シリコーンのC-Si-C伸縮振動に帰属される第2のピークのピーク高さの前記第3のピークのピーク高さに対する比の値が0.014以上であるという第3の条件と、前記第2のピークの積分強度の前記第3のピークの積分強度に対する比の値が0.011以上であるという第4の条件と、の少なくともいずれか1つを満たす、高分子材料。
[10]上記[9]に記載の高分子材料からなる絶縁体(11)を備えた、ケーブル(1)又はチューブ。
[11]上記[10]に記載のケーブル(1)又はチューブを備えた、ファクトリーオートメーション又はファクトリーオートメーションロボット。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、本発明は、上記実施の形態及び実施例に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1 ケーブル
10 導体
11 絶縁体
12 押さえ巻きテープ
13 編組シールド
14 シース

Claims (11)

  1. シリコーンを滑剤として含む高分子材料にレーザーを照射し、ラマンスペクトルを測定する測定工程と、
    前記ラマンスペクトルにおける、前記シリコーンに由来する分子振動に帰属されるピークの強度に基づいて、前記高分子材料の表面の滑り性を評価する評価工程と、
    を含む、高分子材料の品質管理方法。
  2. 前記評価工程において、前記ラマンスペクトルにおける、前記シリコーンのSi-O伸縮振動に帰属される第1のピークの強度と前記シリコーンのC-Si-C伸縮振動に帰属される第2のピークの強度の少なくともいずれか一方に基づいて、前記高分子材料の表面の滑り性を評価する、
    請求項1に記載の高分子材料の品質管理方法。
  3. 前記高分子材料がポリエチレンであり、
    前記評価工程において、前記ラマンスペクトルにおける、前記ポリエチレンのCH横揺れ振動に帰属される第3のピークの強度に対する前記第1のピークの強度の比の値と前記第3のピークの強度に対する前記第2のピークの強度の比の値の少なくともいずれか一方に基づいて、前記高分子材料の表面の滑り性を評価する、
    請求項2に記載の高分子材料の品質管理方法。
  4. 前記第1のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて460cm-1以上520cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークであり、
    前記第2のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて700cm-1以上720cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークであり、
    前記第3のピークが、前記ラマンスペクトルにおいて1150cm-1以上1200cm-1以下の範囲内で最大強度をとるピークである、
    請求項3に記載の高分子材料の品質管理方法。
  5. 前記評価工程において、前記第3のピークのピーク高さに対する前記第1のピークのピーク高さの比の値が0.043以上であるか否かの結果と、前記第3のピークの積分強度に対する前記第1のピークの積分強度の比の値が0.1以上であるか否かの結果の少なくともいずれか一方に基づいて、前記高分子材料の表面の滑り性を評価する、
    請求項3又は4に記載の高分子材料の品質管理方法。
  6. 前記評価工程において、前記第3のピークのピーク高さに対する前記第2のピークのピーク高さの比の値が0.014以上であるか否かの結果と、前記第3のピークの積分強度に対する前記第2のピークの積分強度の比の値が0.011以上であるか否かの結果の少なくともいずれか一方に基づいて、前記高分子材料の表面の滑り性を評価する、
    請求項3~5のいずれか1項に記載の高分子材料の品質管理方法。
  7. シリコーンを滑剤として含む高分子材料からなる絶縁体を有するケーブル又はチューブの品質管理方法であって、
    請求項1~6のいずれか1項に記載の高分子材料の品質管理方法により、前記絶縁体の表面の滑り性を評価する、
    ケーブル又はチューブの品質管理方法。
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載の高分子材料の品質管理方法により表面の滑り性を評価された、シリコーンを滑剤として含む高分子材料を用いて樹脂組成物を形成する、
    樹脂組成物の製造方法。
  9. シリコーンを滑剤として含むポリエチレンからなる高分子材料であって、
    レーザーを照射して得られるラマンスペクトルにおける、前記シリコーンのSi-O伸縮振動に帰属される第1のピークのピーク高さの前記ポリエチレンのCH横揺れ振動に帰属される第3のピークのピーク高さに対する比の値が0.043以上であるという第1の条件と、前記第1のピークの積分強度の前記第3のピークの積分強度に対する比の値が0.1以上であるという第2の条件と、前記シリコーンのC-Si-C伸縮振動に帰属される第2のピークのピーク高さの前記第3のピークのピーク高さに対する比の値が0.014以上であるという第3の条件と、前記第2のピークの積分強度の前記第3のピークの積分強度に対する比の値が0.011以上であるという第4の条件と、の少なくともいずれか1つを満たす、
    高分子材料。
  10. 請求項9に記載の高分子材料からなる絶縁体を備えた、
    ケーブル又はチューブ。
  11. 請求項10に記載のケーブル又はチューブを備えた、
    ファクトリーオートメーション又はファクトリーオートメーションロボット。
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