JP7321111B2 - ケーブルおよび医療用中空管 - Google Patents

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Description

本発明は、ケーブルおよび医療用中空管に関する。
特開2008-287号公報(特許文献1)や特開2018-23758号公報(引用文献2)には、表面に潤滑剤を付与することなく、安定した摺動性を付与することが可能な医療用コーティング組成物に関する技術が記載されている。
特開2008-287号公報 特開2018-23758号公報(引用文献2)
ケーブルの表面には、絶縁部材からなるシースが形成されている。このシースには、べたつきなどがなく、すべり性(摺動性)が良好であることが望まれている。一方、ケーブルの端部には、ブーツなどの保護部材を接着剤によりシースに取り付ける加工が施される。ここで、保護部材が取り付けられたケーブルにおいては、例えば、ケーブルの端部を屈曲させた場合に、シースの表面に形成した被膜が剥離し、保護部材がケーブルから外れてしまうことがある。すなわち、ケーブルには、当該ケーブルの表面にべたつきなどがなく、すべり性が良好であるとともに、シースの表面に形成した被膜が剥離しにくいことが要求される。
また医療用中空管においても、中空管本体の外表面や内表面に被膜が設けられる。この被膜についてもケーブルと同様、すべり性が良好であるとともに、中空管本体の表面に形成した被膜が剥離しにくいことが要求される。
一方、ケーブルや医療用中空管は衛生面から表面をアルコールでふき取り清潔に保つ必要がある。そのため、被膜には、薬剤などで繰り返しふき取りを行った場合でも、すべり性を高く維持できるような高い拭き取り耐性が要求される。
そこで、本発明は、被膜において、すべり性および拭き取り耐性を高い水準で発現させる技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
シースと、
前記シースの周囲を覆い、かつ、前記シースと密着して設けられる被膜と、を備え、
前記被膜は、ゴム成分および微粒子を含むゴム組成物から形成され、前記被膜の表面に
おける静止摩擦係数が0.5以下であり、
前記被膜の表面における任意の複数個所について前記微粒子の単位面積当たりの個数を測定したときに、前記個数の最大値Nmaxと最小値Nminとから式(Nmax-Nmin)/(Nmax+Nmin)×100で算出される個数分布が5%以下である、
ケーブルが提供される。
本発明の他の態様によれば、
中空管本体と、
前記中空管本体の内表面および外表面の少なくとも一方を覆い、かつ、前記中空管本体と密着する被膜と、
を備え、
前記被膜は、ゴム成分および微粒子を含むゴム組成物から形成され、前記被膜の表面における静止摩擦係数は、0.5以下であり、
前記被膜の表面における任意の複数個所について前記微粒子の単位面積当たりの個数を測定したときに、前記個数の最大値Nmaxと最小値Nminとから式(Nmax-Nmin)/(Nmax+Nmin)×100で算出される個数分布が5%以下である、医療用中空管が提供される。
本発明によれば、被膜において、すべり性および拭き取り耐性を高い水準で発現させることができる。
図1は、本発明の一実施形態にかかるケーブルの長さ方向に垂直な断面図である。 図2Aは、超音波撮像装置と接続可能なプローブケーブルを模式的に示す図である。 図2Bは、図2AのA-A線に沿ったプローブケーブルの断面図である。 図3Aは、本発明の一実施形態のケーブルにおける被膜の表面を模式的に示す断面図である。 図3Bは、本発明の比較形態のケーブルにおける被膜の表面を模式的に示す断面図である。 図4Aは、中空管本体の外表面に外側被膜を備えた医療用中空管の断面図である。 図4Bは、中空管本体の内表面に内側被膜を備えた医療用中空管の断面図である。 図4Cは、中空管本体の外表面と内表面にそれぞれ外側被膜と内側被膜を備えた医療用中空管の断面図である。 図5は、シースと被膜との間の密着強度を評価する評価用サンプルの作成方法を説明する図である。 図6は、評価用サンプルを使用して、引張りせん断強さを測定する測定方法を模式的に示す図である。 図7は、プローブケーブルの屈曲耐性試験を模式的に示す図である。 図8は、拭き取り試験方法を説明するための図である。 図9は、拭き取り回数による被膜の静止摩擦係数の変化を示す図である。 図10Aは、実施例1のケーブルにおける被膜表面のSEM像である。 図10Bは、実施例1のケーブルにおける被膜断面のSEM像である。 図11Aは、比較例1のケーブルにおける被膜表面のSEM像である。 図11Bは、比較例1のケーブルにおける被膜断面のSEM像である。 図12は、実施例1の被膜についての表面プロファイルを示す図である。 図13は、比較例1の被膜についての表面プロファイルを示す図である。
<本発明者らによる知見>
まず、本発明者らが得た知見について説明する。
例えば、医療機器である超音波撮像装置ではケーブルに超音波プローブが接続されており、この超音波プローブを人体上で動かすことにより検査が行われる。このとき、超音波プローブに接続されるケーブルがべたつくと、ケーブル同士が接触したり、あるいはケーブルが検査者の衣類などに触れたりすることで、ケーブルが引っ掛かってしまうことがある。この結果、超音波プローブをスムーズに動かしにくくなり、医療機器の取扱い性が損なわれることがある。
従来、ケーブルのすべり性を確保する観点から、シースの形成材料としてポリビニルクロライド(PVC)が使用されていた。ただし、PVCでは、ケーブルの使用期間が長くなるにつれてシースが変色するといったようにシースが変質しやすい傾向にある。
このことから、シース材料としては、PVCに代わり、耐熱性や耐薬品性に優れるシリコーンゴムが検討されている。ただし、シリコーンゴムから形成されるシースはべたつきやすい(いわゆるタックを有している)ため、すべり性(摺動性)が低い傾向にある。
そこで、ケーブルのすべり性を向上させるため、シリコーンゴムから形成されるシースの表面に静止摩擦係数の小さな被膜を設けることが提案されている。静止摩擦係数の小さな被膜としては、微粒子を含むゴム組成物で形成され、微粒子による微小な凹凸を表面に有する被膜が検討されている。
しかし、本発明者らの検討によると、上述した被膜を設けたケーブルでは、すべり性は得られるものの、以下のような課題が生じることが見出された。
1つは、被膜とシースとの間で十分な密着強度を確保できないことである。ケーブルは、例えばプローブケーブルとして使用する場合、その端末に保護部材としてブーツを取り付けることがある。このとき、ケーブルの最表面に形成されている被膜に接着剤を介してブーツを取り付けることになる。しかし、シースと被膜との密着強度が低いためか、ケーブルに取り付けられたブーツに屈曲圧力が加わると、シースと被膜との界面で剥離が生じて、ケーブルからブーツが外れてしまうことがある。
もう1つは、被膜の拭き取り耐性が低いことである。医療用途のケーブルは、表面を清潔に保つために消毒用アルコール等で拭き取り、繰り返し使用される。しかし、本発明者らの検討によると、拭き取りを繰り返すことにより、被膜表面の凹凸状態が変化するためか、拭き取り回数が増えると、被膜の静止摩擦係数が大きくなり、所望のすべり性が得られにくくなることが分かった。つまり、被膜においては、すべり性を長期の使用にわたって高く維持できないことがある。
本発明者らは上記課題について検討したところ、被膜の諸特性を低下させる要因が被膜に存在する気泡であることを見出した。気泡は、被膜を形成する液状材料を硬化させる際に生じるものである。この気泡が被膜のシースと接する面に存在すると、被膜のシースとの接着面積が少なくなり、密着強度が低くなる。また一方で、気泡が被膜の表面に存在すると、陥没(凹部)が形成されることがあり、このような凹部の縁が拭き取りの際に引っ掛かりとなる。そのため、拭き取りの際に被膜が削られやすくなり、拭き取りを繰り返すことで、すべり性が低下しやすくなる。さらに、気泡は、被膜の表面における微粒子の緻密な分布を阻害し、被膜表面の凹凸状態、ひいては凹凸による諸特性にも大きな影響を及ぼす。
これらの点から本発明者らは、被膜を硬化させて形成する際に気泡の発生を抑制することで、被膜に存在する気泡(空隙)を減らすように検討したところ、被膜において、すべり性、密着性および拭き取り耐性を高い水準でバランスよく実現できることを見出した。
本発明は上記知見に基づいてなされたものである。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について医療機器と接続可能な医療機器用ケーブルを一例として図を用いて説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
[ケーブル]
図1に示すように、本実施形態の医療機器用ケーブル10(以下、単にケーブル10ともいう)は、ケーブルコア11の外周上にシース13および被膜14を順に積層させて構成される。
(ケーブルコア)
ケーブルコア11は、複数の電線11aを撚り合わせ、その外周をシールド12で被覆して構成される。電線11aとしては、純銅線や錫めっき銅線などの単線または撚線からなる導体の外周を絶縁体で被覆したもの、同軸ケーブル、光ファイバなどを用いることができる。シールド12としては例えば編組線などを用いることができる。
(シース)
シース13は、絶縁材料から形成され、ケーブルコア11を覆うように設けられる。絶縁材料としては、シース13に使用できるものであれば特に限定されず、例えば、シリコーンゴム、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、クロロプレンゴム、ポリビニルクロライド(PVC)などを用いることができる。中でも、耐薬品性や耐熱性の観点からはシリコーンゴムやクロロプレンゴムが好ましい。なお、シースを形成する絶縁材料には、各種架橋剤、架橋触媒、老化防止剤、可塑剤、滑剤、充填剤、難燃剤、安定剤、着色剤等の一般的な配合剤を添加してもよい。
(被膜)
被膜14はシース13を覆うように設けられる。被膜14は、微粒子とゴム成分とを含むゴム組成物から形成されており、ゴム成分中に微粒子が微細に分散して構成されている。被膜14の表面には微粒子に由来する凹凸が形成されている。この凹凸により、被膜14と他の部材とが接触したときに接触面積を小さくすることができ、被膜14の静止摩擦係数を、被膜14を構成するゴム成分が本来有する静止摩擦係数よりも小さくすることができる。このような被膜14によれば、表面にシース13が存在する場合と比べて、ケーブル10のすべり性を高めることができる。
被膜14の静止摩擦係数は、特に限定されないが、ケーブル10に所望のすべり性を付与する観点からは、0.5以下であることが好ましい。
また、被膜14の表面には微粒子が緻密に分布しているので、被膜14は高い拭き取り耐性を有する。具体的には、被膜14の表面に消毒用アルコールを含む綿布を圧力2×10-3MPa~4×10-3MPaで当接させて、被膜14の表面を速さ200mm/分~300mm/分でふき取ることを2万回繰り返す試験を行ったときに、被膜14の静止摩擦係数の試験前後での差(絶対値)を0.1以下、好ましくは0.05以下とすることができる。つまり、被膜14を繰り返し拭き取りした場合でも、表面凹凸を維持し、凹凸によるすべり性を長期にわたって維持することができる。
また本実施形態では、詳細を後述するように、ゴム組成物を硬化させる際の気泡の発生を抑制しているので、被膜14中に存在する気泡(空隙)を減らすことができる。そのため、被膜14のシース13側の面において、気泡(空隙)による面積の減少を抑制することができる。これにより、被膜14のシース13との接触面積を大きく維持することができ、被膜14とシース13との密着強度を、気泡が存在する場合よりも高くすることができる。具体的には、被膜14とシース13との密着強度を0.3MPa以上とすることができる。なお、シース13と被膜14との密着強度の上限は特に限定されないが、実質的には0.7MPa程度が上限である。
また、被膜14の表面側の面においても気泡を減らすことができるので、気泡による陥没を減らすことができる。陥没箇所では微粒子が存在できないので、陥没が形成されると、微粒子が分布できる領域が少なくなる。そのため、被膜14の表面に分布する微粒子の個数が少なくなってしまう。つまり、微粒子の分布が疎らになる。しかも、複数の微粒子が凝集して粗大な凝集粒子を形成しやすくなるので、所望の凹凸を得られにくくなる。一方、陥没を減らすことで、被膜14の表面に占める微粒子の個数を増やしたり、微粒子の凝集を抑制したりすることができ、微粒子をより緻密に分布させることができる。
また、微粒子が被膜14の表面に緻密に分布しているので、領域による微粒子の個数のバラつきが少ない。具体的には、被膜14の表面における任意の複数個所について微粒子の単位面積当たりの個数を測定したときに、個数の最大値Nmaxと最小値Nminとから式((Nmax-Nmin)/(Nmax+Nmin))×100で算出される個数分布が5%以下となることが好ましい。この個数分布が小さくなるほど、微粒子の個数の偏りが小さく、微粒子の分布にバラつきが少なくなることを示す。
また、被膜14の表面において、気泡による空隙は少ないことが好ましく、実質的に存在しないことが好ましい。具体的には、電子顕微鏡SEMで1000倍の条件で観察したときに、大きさが1μm以上の空隙が単位面積当たりに存在する個数が5個/40μm角以下であることが好ましく、大きさが10μm以上の空隙が実質的に存在しないことがより好ましい。
被膜14の表面には、空隙による陥没した凹部が少なく、微粒子により隆起された凸部が多く存在するとよい。つまり、被膜14の表面は、主に凸部から形成される表面凹凸を有することが好ましい。
被膜14の厚さは、特に限定されないが、3μm以上100μm以下であることが好ましい。3μm以上とすることで、被膜14に所定の拭き取り耐性を付与することができる。また、100μm以下とすることで、ケーブル10の可とう性や屈曲性を高く維持することができる。
(被膜形成用のゴム組成物)
次に、被膜14を形成するゴム組成物について説明する。
ゴム組成物は、液状ゴム、微粒子、硬化触媒、必要に応じて、その他の添加剤を含む液状ゴム組成物(以下、塗料ともいう)を硬化させた硬化物であり、硬化したゴム成分と微粒子とを含んで構成される。
ゴム成分は被膜14を構成するマトリックス成分である。ゴム成分としては、シリコーンゴムを用いることができる。シリコーンゴムには、硬化方法により縮合反応型と付加反応型の2種類があるが、この中でも付加反応型が好ましい。付加反応型のシリコーンゴムは、縮合反応型に比べて硬化の際に気泡が生成しにくく、被膜14における微粒子の分布をより緻密なものにできる。
付加反応型のシリコーンゴムは、液状のシリコーンゴム組成物を付加反応により硬化させたものである。液状のシリコーンゴム組成物は、例えば、ビニル基(CH2=CH-)を含有するオルガノポリシロキサンと、ヒドロシリル基(Si-H)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含む。オルガノポリシロキサンはシリコーンゴムのベースポリマとなる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンはベースポリマの架橋剤となる。例えば白金触媒を混合することで、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ヒドロシリル基とベースポリマ中のビニル基との間でヒドロシリル化反応することにより、ベースポリマを架橋させて硬化させる。オルガノポリシロキサンやオルガノハイドロジェンポリシロキサンは特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。
また、ゴム成分としてはクロロプレンゴムを用いてもよく、被膜14がクロロプレンゴムを含むように構成されてもよい。
微粒子は、被膜14の表面に隆起する凸部を形成するものである。微粒子としては、シリコーンゴム微粒子、シリコーンレジン微粒子およびシリカ微粒子の少なくとも1つを用いることが好ましい。微粒子の種類は、被膜14に要求される特性に応じて、適宜変更することができる。
具体的には、被膜14に物を接触させたときに被膜14の凹凸形状を維持し、すべり性を確保する観点からは、微粒子は被膜14よりも硬度が高いことが好ましい。具体的には、微粒子は、ショア(デュロメータA)硬さで、被膜14を構成する硬化物の1.1倍以上の硬度を有することが好ましい。微粒子の硬度が高くなるほど、被膜14の表面に物を接触させたときに、押し付ける圧力で微粒子が変形しにくくなり、被膜14の凹凸形状を維持しやすくなるためである。硬度はシリコーンゴム、シリコーンレジン、シリカの順に高くなるので、硬度の観点からはシリカ微粒子が好ましい。
一方、被膜14の表面において微粒子を均一に分布させて、所望の表面凹凸を形成する観点からは、微粒子は質量が小さいことが好ましい。微粒子の質量が大きいと、塗料を硬化させて被膜14を形成する前に微粒子が沈降してしまい、被膜14に適度な凹凸を形成しにくくなるためである。この点、微粒子の質量を小さくすることで、沈降を抑制し、被膜に適度な凹凸を形成しやすくなる。質量はシリコーンゴム、シリコーンレジン、シリカの順に大きくなるので、質量の観点からはシリコーンゴム粒子が好ましい。
また被膜14において、凹凸形状を維持してすべり性を確保するとともに、所望の凹凸形状を形成しやすくして、これらを両立させる観点からは、シリコーンレジン微粒子が好ましい。
ゴム組成物に含まれる微粒子の含有量は、10質量%以上60質量%以下であることが好ましい。10質量%以上とすることで、被膜14の表面に凹凸を形成することができ、被膜14の静止摩擦係数を小さくして所望のすべり性を付与することができる。一方、微粒子が過度に多くなると、被膜14の強度が低下するおそれがあるが、含有量を60質量%以下とすることで、すべり性を得ながらも強度を維持することができる。なお、微粒子の含有量は、塗料がほぼ質量減少無しに硬化するものと仮定して算出したものであり、硬化させたゴム成分100質量部に対する比率を示す。
微粒子の大きさは、被膜14の厚さに応じて適宜変更するとよく、特に限定されない。被膜14に所望の凹凸を形成する観点からは、微粒子の平均粒径は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。ここで平均粒径とは、レーザ回折散乱法により測定されたものを示す。平均粒径を1μm以上とすることで、被膜14の表面に適度な凹凸を形成しやすくなるので、被膜14の静止摩擦係数を小さくして、すべり性をより高めることができる。また、平均粒径を10μm以下とすることで、微粒子の質量を適度な大きさに調整できるので、微粒子の沈降と、液状のゴム組成物を塗布する際の塗布ムラとを抑制することができる。
硬化触媒としては、付加反応を促進できるものであれば特に限定されず、例えば白金または白金系化合物を用いるとよい。
他の添加剤は、必要に応じて配合するとよい。例えば、塗料の粘度調整の目的で有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカンなどの脂肪族炭化水素系溶剤などを、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。また例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類やアセトンを用いることができる。
塗料の粘度は、特に限定されないが、微粒子を緻密に分布させる観点からは1mPa・s以上100mPa・s以下であることが好ましい。このような粘度範囲であれば、被膜の厚さも適宜変更することができる。なお、粘度は、温度25±2℃のもと、音叉振動式の粘度計(エー・アンド・デイ社製、SV-H)を使って測定したものである。
また例えば、ゴム組成物には、被膜の表面に所望の凹凸を形成する観点から、上記微粒子よりも粒子径の小さなヒュームドシリカを添加することが好ましい。ヒュームドシリカとは、原料の珪素塩化物を高温で焼成することで得られるものであり、例えば一次粒子の平均粒子径が10nm以上30nm以下であるシリカ超微粒子を示す。ヒュームドシリカには、その表面にシラノール基(Si-OH)を有する親水性のものと、表面のシラノール基を化学反応させた疎水性のものとがあるが、いずれも使用することができる。ヒュームドシリカは、塗料への分散性に優れ、上記微粒子の塗料への分散性を向上させることに寄与する。この結果、塗料中での微粒子の沈降を抑制し、被膜表面に所望の凹凸を形成することができる。
ヒュームドシリカの含有量は、特に限定されないが、0.1質量%以上0.5質量%以下であることが好ましい。なお、ここでの含有量は、上記微粒子と同様、塗料がほぼ質量減少無しに硬化するものと仮定して算出したものであり、硬化させたゴム成分100質量部に対する比率を示す。
[ケーブルの製造方法]
次に、上述したケーブル10の製造方法について説明する。
まず、例えば同軸ケーブルなどの電線11aを複数本(例えば100本以上)一括に束ねる。この複数本の電線を束ねたものを覆うようにシールド12として例えば編組シールドを形成する。これにより、ケーブルコア11を得る。
続いて、ケーブルコア11の表面を覆うように、例えばシリコーンゴムを含むシース材料を押し出し、シース13を形成する。
続いて、シース13の表面に塗料を塗布して塗膜を形成する。塗料の塗布方法は、特に限定されず、例えば、ディッピング法やスプレー塗布法、ロール塗布法などから適宜選択するとよい。この中でも、ディッピング法が好ましい。
ディッピング法は、例えば、シース13を形成した線材を塗料中に浸漬させて引き上げることにより、シース13の表面に塗膜を形成する方法である。ディッピング法によれば、塗膜厚を均一にできるので、被膜14の膜厚を長さ方向で均一に形成することができる。しかも、ケーブル10の引き上げ速度を調整することにより、被膜14における微粒子の分布をより緻密に制御することができる。以下、この点について説明する。
ディッピング法では、ケーブル10が塗料の液面から引き上げられるときに、ケーブル10の表面に塗料が付着する。この塗料がケーブル10表面に付着するときに、塗膜中で微粒子が移動して自己配列することがある。この自己配列により微粒子が塗膜の表面で緻密に分布できるようになる。そして、ケーブルの引き上げ速度を遅くするほど、微粒子の自己配列する時間を確保することができ、微粒子の緻密な分布状態をより安定して再現することができる。
具体的には、微粒子を緻密に分布させる観点からは、ケーブル10の引き上げ速度を10m/分以下とすることが好ましく、5m/分以下とすることがより好ましい。一方、生産性の観点からは1m/分以上とすることが好ましい。すなわち、1m/分以上5m/分以下とすることにより、生産性を維持しつつ、被膜の表面における微粒子の分布をより緻密にすることができる。
続いて、塗膜を加熱することにより、乾燥させて硬化させ、所定の表面凹凸を有する被膜14を形成する。加熱温度は特に限定されないが、例えば120℃~200℃とするとよい。
以上により、本実施形態のケーブル10を得る。
[プローブケーブル]
プローブケーブル20は、例えば図2Aに示すように、ケーブル10の一端に超音波プローブ端子23(以下、単に端子23ともいう)と、その端子23を保護するための保護部材22とが取り付けられ、他端にコネクタ24が取り付けられて構成される。端子23は例えば超音波プローブと接続され、コネクタ24は例えば超音波撮像装置の本体部と接続される。保護部材22は、いわゆるブーツであり、図2Bに示すように、被膜14上に接着層21を介して被膜14を覆うように取り付けられる。接着層21は、例えシリコーン系接着剤やエポキシ系接着剤から形成される。
<本実施形態に係る効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
(a)本実施形態のケーブル10では、ゴム成分および微粒子を含むゴム組成物から形成される被膜14をシース13の表面に設けている。このとき、ゴム成分として、付加反応型のシリコーンゴムを用いている。付加反応型のシリコーンゴムによれば、硬化反応の際に発生する気泡を縮合反応型と比べて少なくすることができる。これにより、被膜14のシース13と接する面において気泡に由来する空隙の発生を抑制することができる。この結果、被膜14がシース13と接触する面積を減らすことなく維持し、被膜14とシース13との間で高い密着性を確保することができる。また、被膜14の形成前に、被膜14とシース13との密着強度を向上させるための特別な層(例えば、プライマーやシランカップリング剤等からなる密着補強層、短時間火炎に曝す火炎処理、またはガスをイオン化、ラジカル化して表面に衝突させるプラズマ処理、大気中放電に空気中の成分をイオン化し、これに曝すコロナ処理を行うなどの方法による表面改質層等)をシース13の表面に形成すること無しに、シース13と被膜14との密着強度を0.30MPa以上とすることができる。ただし、さらに強度を増加するために、上記特別な層を設けることを除外するものでは無い。また、付加反応型のシリコーンゴムによれば、膜中の空隙も減少するため、膜自体の強度も向上する効果が期待できる。
(b)また、被膜14において、その表面での空隙の発生も抑制できるので、被膜14の表面に占める微粒子の個数を増やしたり、微粒子の凝集を抑制したりすることができ、被膜14の表面に微粒子をより緻密に分布させることができる。これにより、被膜14の表面に所望の凹凸を形成できるので、被膜14の静止摩擦係数をシース13よりも小さくして、高いすべり性を実現することができる。
(c)しかも、被膜14の表面には空隙による陥没が少ないので、被膜14の表面を綿布などで繰り返し拭き取りするときに、綿布が陥没の縁で引っ掛かり、被膜14を損傷させることを抑制することができる。このため、繰り返し拭き取りを行った場合でも静止摩擦係数を小さく維持することができ、高い拭き取り耐性を実現することができる。具体的には、被膜14の表面に消毒用アルコールを含む綿布を圧力2×10-3MPa~4×10-3MPaで当接させて、被膜14の表面を速さ200mm/分~300mm/分でふき取ることを2万回繰り返す試験を行ったときに、被膜14の静止摩擦係数の試験前後での差(絶対値)を0.1以下、好ましくは0.05以下とすることができる。
(d)また、被膜14は、液状ゴムおよび微粒子を含む塗料を用いてディッピング法により形成することが好ましい。ディッピング法によれば、塗料の液面からケーブル10を引き出して、ケーブル10の表面に塗料を付着させる際に、塗料中で微粒子の自己配列を促すことができ、微粒子を被膜の表面により緻密に分布させることができる。
(e)また、ディッピング法において、ケーブル10の引き上げ速度を1m/分以上10m/分以下とすることが好ましい。このような速度でケーブル10を引き上げることにより、微粒子の自己配列する時間を確保できるとともに、被膜14の生産性を高く維持することができる。これにより、被膜14の表面において微粒子をより緻密に分布させることができる。
(f)被膜14の表面における静止摩擦係数は0.5以下、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.22以下であることが好ましい。本実施形態では、被膜14の表面に凹凸を形成することにより、被膜14の表面における静止摩擦係数を、被膜14を構成するゴム成分が本来有する静止摩擦係数よりも小さくすることができ、0.5以下にすることができる。このような摩擦係数とすることにより、ケーブル10同士が接触したときに引っ掛かることがないような高いすべり性を実現することができる。
(g)被膜14の表面には微粒子が緻密に分布しているので、その表面において任意に選択される複数個所のそれぞれで分布する微粒子の個数が大きく隔てることなく、個数のバラつきが少ない。具体的には、被膜14の表面における任意の複数個所について微粒子の単位面積当たりの個数を測定したときに、個数の最大値Nmaxと最小値Nminとから算出される個数分布((Nmax-Nmin)/(Nmax+Nmin))×100が5%以下となることが好ましい。このように被膜14の表面において微粒子を緻密かつ一様に分布させることにより、被膜14のすべり性および拭き取り耐性をより高くすることができる。
(h)被膜14の表面においては、大きさが1μm以上の空隙が単位面積当たりに存在する個数が5個/40μm角以下であることが好ましく、電子顕微鏡で測定できる大きさの空隙が実質的に存在しないことがより好ましい。空隙をより少なくすることにより、微粒子をより緻密に分布させることができるので、被膜14のすべり性および拭き取り耐性をより高くすることができる。
(i)被膜14では、陥没による凹部を抑制できるので、表面凹凸を、主に微粒子による凸部で構成することができる。これにより、拭き取り耐性を高くすることができる。以下、この点について具体的に説明する。
例えば図3Bに示すように、被膜14´を縮合反応型のシリコーンゴムで形成する場合、被膜14´には、気泡に由来する空隙34が形成される。この空隙34が表面に存在すると、陥没33(凹部33)となってしまう。このような被膜14´では、綿布で拭き取りを行う際に、綿布がその陥没33の開口の縁で引っ掛かりやすくなる。綿布が引っ掛かると被膜14´が削られ、これを繰り返すことで、被膜14´から微粒子31が脱離したりして被膜14´の凸部32が徐々に小さくなる。この結果、被膜14´の静止摩擦係数を小さく維持できずに、徐々にすべり性が損なわれることになる。
これに対して、図3Aに示すように被膜14の表面において空隙による陥没の形成を抑制することで、微粒子31による凸部32を増やすことができる。このような被膜14によれば、表面凹凸があるものの、深い陥没が形成されにくいので、綿布による引っ掛かりを抑制することができ、繰り返し拭き取りを行った場合でも被膜14の静止摩擦係数を小さく維持することができる。つまり、拭き取り耐性をより高くすることができる。
(j)微粒子31は、被膜14を形成するゴム成分よりも高い硬度を有することが好ましい。このような微粒子31によれば、被膜14の凹凸形状を維持しやすく、所望のすべり性を実現することができる。
(k)微粒子31としては、シリコーンレジン微粒子、シリコーンゴム微粒子およびシリカ微粒子の少なくとも1つを用いることが好ましい。シリカ微粒子によれば、硬度が高いので、すべり性を確保しやすい。またシリコーンゴム微粒子によれば、質量が比較的小さいので、塗料を塗布した際に沈降しにくく、適度な表面凹凸を形成することができる。シリコーンレジン微粒子によれば、硬度および質量がともにシリコーンゴム微粒子とシリカ微粒子との間にあるので、所望の凹凸形状を形成しやすく、また凹凸形状を維持してすべり性を確保しやすい。
(l)また、ゴム組成物は、さらにヒュームドシリカを含むことが好ましい。ヒュームドシリカによれば、塗料における微粒子の沈降を抑制できるので、すべり性、密着性および拭き取り耐性を高い水準でバランスよく有する被膜を形成することができる。
(m)プローブケーブル20では、ケーブル10の一端の被膜14上に接着層21を介して保護部材22が取り付けられる。本実施形態では、被膜14とシース13との密着強度を高くできるので、例えば保護部材22に屈曲圧力が加わった場合であっても、被膜14がシース13から剥離して保護部材22が外れてしまうことを抑制できる。また、表面に凹凸を有する被膜14はすべり性に優れているので、例えばプローブケーブル20に接続される超音波プローブを動かすときに、プローブケーブル20同士が接触した場合でも引っ掛かりを抑制することができる。また、被膜14は拭き取り耐性に優れているので、綿布で繰り返し拭き取りを行った場合でも、被膜14の損傷や摩耗を抑制し、そのすべり性を長期間にわたって維持することができる。さらに、シリコーンゴムから形成される被膜14は耐薬品性や耐熱性にも優れているので、消毒用アルコールなどの薬品で洗浄したり熱がかかったりした場合でも被膜の変質を抑制することができる。
<他の実施形態>
上述した実施形態ではプローブケーブル20に被膜14を設ける場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、プローブケーブル20以外の医療用ケーブル(内視鏡ケーブルやカテーテル用接続ケーブルなど)やキャブタイヤケーブルにも上述した被膜を設けることができる。
また、被膜14をケーブル10のシース13の表面に設ける場合を説明したが、本発明はこれに限定されず、被膜14はカテーテル等の医療用中空管にも適用することができる。以下、図面を用いて具体的に説明する。
図4Aは、中空管本体71の外表面71aに外側被膜72を備えた医療用中空管70の断面図である。図4Bは、中空管本体71の内表面71bに内側被膜73を備えた医療用中空管70の断面図である。図4Cは、中空管本体71の外表面71aと内表面71bにそれぞれ外側被膜72と内側被膜73を備えた医療用中空管70の断面図である。
医療用中空管70は、中空管本体71と、中空管本体71の周囲(外表面71a又は内表面71b、あるいは両面)を覆い、かつ、中空管本体71と密着する外側被膜72及び/又は内側被膜73とを備えて構成される。中空管本体71は、例えばシリコーンゴムで形成するとよい。外側被膜72及び/又は内側被膜73は、上述した被膜14で構成するとよい。
このような医療用中空管70によれば、内表面および外表面がすべり性に優れているので、他の部材と接触したときに引っ掛かりを抑制できるとともに、管内に器具を挿入したときに器具をスムーズに挿抜することができる。
次に、本発明について実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[実施例1]
(ケーブルの作製)
まず、直径約0.25mmの同軸ケーブル200本を撚り合わせたものを編組線で覆い、ケーブルコアを作製した。続いて、押出機を用いて、ケーブルコアの外周にシース材料を5m/分の速度で押出被覆し、厚さ0.8mmのシースを形成した(ケーブル外径約8mm)。シース材料としては、シリコーンゴム(信越化学工業株式会社製の「KE-541-U」)を用いた。
続いて、被膜を形成するための材料を調製した。実施例1では、ゴム成分として、付加反応型シリコーンゴムコーティング剤(商品名:SILMARK-TM、信越化学工業株式会社製)を、微粒子として、平均粒径が5μmのシリコーンレジン微粒子(商品名:X-52-1621、信越化学工業株式会社製)をそれぞれ準備した。このゴム成分100質量部に対して、微粒子を120質量部、粘度調整用の溶媒としてトルエンを600質量部、硬化抑制剤(商品名:CAT-TM、信越化学工業株式会社製)8質量部、硬化触媒(商品名:CAT-PL-2、信越化学工業株式会社製)0.3質量部を混合し、被膜に対するシリコーンレジン微粒子の割合が55質量%となるコーティング溶液を調製した。また、コーティング溶液に疎水性のヒュームドシリカ(商品名:AEROSIL R972、日本アエロジル株式会社製)を0.1質量%添加した。なお、上記の被膜中のシリコーンレジン微粒子の含量は、コーティング剤がほぼ質量減少無しに硬化するもの(配合質量比とほぼ等価である)と仮定して、算出した。なお、コーティング溶液の組成を下記表1に示す。
続いて、ケーブルコア上に設けられたシースの表面を洗浄した。その後、ケーブルコアにシースが設けられたものを、ディップコーティング法により、上記コーティング溶液に浸漬させて、シース表面にシリコーンゴムからなる塗膜を製膜した。本実施例では、ケーブルコアの引き上げ速度を2m/分とした。その後、塗膜に150℃の温度で10分間の乾燥・硬化処理を施すことで、表面に凹凸を有する被膜を形成した。得られた被膜の膜厚は15μmであった。
以上により、実施例1のケーブルを作製した。
Figure 0007321111000001
[実施例2]
実施例2では、シリコーンゴムレジン粒子の含有量を120質量部から150質量部に変更して、被膜に対するシリコーンレジン微粒子の割合が60.0質量%となるように変更した以外は実施例1と同様にコーティング溶液を調製しケーブルを作製した。
[比較例1]
比較例1では、縮合反応型シリコーンゴムコーティング剤と、平均粒径が5μmのシリコーンレジン微粒子(商品名:X-52-1621、信越化学工業株式会社製)を用いてケーブルを作製した。なお、コーティング剤としては、ビニルオキシムシランおよび溶媒(トルエン、n-ヘプタン)を含む縮合反応型のシリコーンゴムコーティング剤(商品名:X-93-1755-1、信越化学工業株式会社製)を用いた。
(評価)
上記で作製した各ケーブルについて、被膜およびシースの静止摩擦係数、被膜とシースとの密着強度、保護部材を取り付けたときの屈曲耐性、被膜の拭き取り耐性、そして被膜の表面凹凸を評価した。以下、各測定方法について説明する。
(静止摩擦係数)
まず、上記で作製したケーブルのシース部分に長さ方向に切れ目を入れて、シース以外の内容物を除去し、シースを開いた。このようにして作製した長さ約10cm、幅約2.5cmの平面シートを平板に貼り付けた試験用シート1と、1.5cm×1.5cm角の平面シートを平板に貼り付けたシート2を準備した。試験用シート1のコーティングを施した表面あるいは拭取り後の表面に、シート2のコーティングを施した表面が向かい合うように上部から接触させ、シート2平板の上から2Nの荷重Wを掛けながら、プッシュプルゲージにてシート2の付いた平板を水平に引いて、その引き力(摩擦力)Fを測定した。静止摩擦係数μは、F=μWより算出した。本実施例では、被膜を形成するゴム組成物、シースを形成するゴム組成物のそれぞれについて静止摩擦係数を算出した。なお、ここでは、拭取り試験を行った後のケーブルを用いて、シート1およびシート2を準備し、ふき取り後の静止摩擦係数の測定を行った。
(密着強度)
シースと被膜との密着強度は、図5および図6に基づいて測定した。図5は、シースと被膜との間の密着強度を評価する評価用サンプルの作成方法を説明する図である。図6は、評価用サンプルを使用して、引張りせん断強度を測定する測定方法を模式的に示す図である。
具体的には、まず、上記で作製したケーブルから長さ100mmのサンプルケーブルを採取した。また、ブーツ材チューブ(内径約8mm、厚さ0.8mm、長さ100mm)を準備し、その長さ方向に切れ目(スリット)を入れた。図5に示すように、サンプルケーブル50の一端において、その外周面に接着剤51を塗布した。続いて、このサンプルケーブル50の一端部分をブーツ材チューブ52で切れ目52aをつなぎ合わせるように包み込んで、サンプルケーブル50とブーツ材チューブ52とを接着させた。次に、サンプルケーブル50の他端からシース以外の内容物(ケーブルコアなど)を引っ張って除去し、シース材チューブ53とブーツ材チューブ52とが接着一体化したものを作製した。続いて、この接着一体化したものを長さ方向に切れ目を入れた。この時、ブーツ材チューブ52に設けた切れ目52aと連続するようにシース材チューブ53に切れ目を入れた。これにより、図6に示す密着強度評価用サンプル54を作製した。なお、シース材チューブ53とブーツ材チューブ52とは、同じシリコーンゴム(静止摩擦係数:1.0以上)を用いた。接着剤51は、市販のシリコーン系接着剤KE-45(信越化学工業(株)製)を使用した。このときの接着領域は、例えば、長さ10mm×外周25mmであり、接着剤51の厚さは、50μm~200μm程度とした。このようにして作成された評価用サンプル54を25℃の大気中に168時間放置した。
シース材チューブ53と被膜との間の密着強度は、評価用サンプル54を使用して、引張りせん断強度を測定することにより評価した。具体的には、図6に示すように、シース材チューブ53とブーツ材チューブ52のそれぞれの端部を把持しながら、500mm/minの速度で、シース材チューブ53とブーツ材チューブ52とを引っ張ることにより、引張りせん断強度を測定して、シース材チューブ52と被膜との間の密着強度を測定した。なお、各チューブを把持したときに把持部分間の距離が70mmとなるように、各チューブを把持する箇所を調整した。本実施例では、密着強度が0.30MPa以上であれば、十分な密着性があるものと評価した。
(屈曲耐性)
屈曲特性は、ケーブルの一端に保護部材としてのブーツをシリコーン系接着剤KE-45により接着してプローブケーブルを作製して、そのプローブケーブルを繰り返し屈曲させたときのブーツの密着から評価した。
具体的には、図7に示すように評価した。図7は、プローブケーブルの屈曲耐性試験を模式的に示す図である。まず、プローブケーブル60に500gの荷重を加えて、プローブケーブルが垂直の状態となるよう、プローブケーブルの端部に取り付けられたブーツ61の部分を保持し、この保持部分を30回/分の速度で90度ずつ左右に屈曲させる動作を実施した。ここでは、まず保持部分を垂直の状態とし、次に左に90度屈曲させ、また垂直の状態に戻し、次に右に90度屈曲させ、また垂直の状態に戻すという、この一連の屈曲動作を1回と数える。屈曲回数は、左右の屈曲のトータルで15万回以上実施した。本実施例では、このような屈曲耐性試験を行ったときにブーツ61の剥がれや破断が生じない場合には、屈曲耐性が良好である(○)と判断する一方、ブーツ61の剥がれや破断が生じる場合には、屈曲耐性が不良である(×)と判断した。
(拭き取り耐性)
被膜の拭き取り耐性は、図8に示す試験により、被膜の表面を消毒用アルコールを含侵させた綿布で繰り返し拭き取り評価した。図8は、拭き取り試験方法を説明するための図である。具体的に説明すると、まず、ケーブル10の一端に紐81を結び付け、紐81をプーリー82やガイドプーリー83で引き回して、回転可能な回転円盤84に接続した。ケーブル10はぶら下げられて、下方の端部に重り85を結び付けた。これにより、ケーブル10を、回転円盤84の回転により垂直方向に上下動できるよう、保持した。そして、ケーブル10の被膜14の表面に綿布86として綿状ガーゼ布(長さ50mm)を巻き付けた。綿布86には予め消毒用エタノール(エタノール75%~80%を含有)を含侵させておいた。続いて、巻き付けた綿布86をシリコーンゴムからなるワイパーホルダ87,87で覆うように保持し、綿布86の被膜14に当接する圧力が2×10-3MPa~4×10-3MPaとなるようにホルダ87を調整した。続いて、ホルダ87に対してケーブル10を上下に往復して移動させることにより、ホルダ87で保持された綿布86にてケーブル10表面(被膜14)の拭き取りを行った。本実施例では、拭き取り長さを150mmとした。またケーブル10を1分当たり40~60往復させて、被膜14表面の拭き取り速さを200mm/分~300mm/分とした。また、ケーブル10を綿布86に対して500往復させるごとに綿布86を新しいものに交換した。本実施例では、2万回(1万往復)拭き取り操作を行った後の、被膜の表面の静止摩擦係数を測定し、試験前後での静止摩擦係数の差((<試験後の静止摩擦係数>-<試験前の静止摩擦係数>))を算出した。差(絶対値)が0.1以下であれば、拭き取りによる被膜の損傷が少なく、拭き取り耐性に優れるものと評価した。なお、綿布86としては、旭化成株式会社製の「ベンコット」を用いた。
(表面凹凸)
被膜の表面凹凸については、被膜の表面を電子顕微鏡で観察し、単位面積当たりに存在する微粒子や空隙の数、微粒子の個数分布から評価した。
微粒子や空隙の単位面積当たりの個数は、被膜の表面を電子顕微鏡で観察して算出した。
微粒子の個数分布は、まず、被膜の表面において、倍率1000倍で撮影し、40μm×40μmの領域を任意に4か所選択して、各領域に存在する微粒子の個数をカウントし、単位面積当たりの個数を算出した。そして、4か所の個数のうち、最大値をNmax、最小値をNminとして、式((Nmax-Nmin)/(Nmax+Nmin))×100で算出される個数分布を算出した。本実施例では、算出される数値が5%以下であれば、微粒子の個数のばらつきが少ないものと評価した。
(評価結果)
評価結果を表1にまとめる。表1に示すように、実施例1および2では、被膜の静止摩擦係数が0.5以下であり、すべり性に優れていることが確認された。また、被膜とシースとの密着強度が0.3MPa以上であり、かつ屈曲試験でもブーツが剥がれないことから、被膜の密着性が高いことが確認された。
また、拭き取り耐性についても、拭き取りを繰り返し行った後でも、静止摩擦係数が試験前から大きく変動せず、試験前後での差が0.1以下であることが確認された。
ここで、実施例1の被膜について、拭き取り作業による静止摩擦係数の変化を図を用いて具体的に説明する。図9は、拭き取り回数による被膜の静止摩擦係数の変化を示す図であり、横軸が拭き取り回数[回]、縦軸が被膜の静止摩擦係数を示す。図9では、被膜の静止摩擦係数の変化について、実施例1を丸(〇)のプロットで、比較例1を四角(□)のプロットで、そして、参考例として、ポリビニルクロライド(PVC)からなる被膜を三角(△)のプロットでそれぞれ示す。図9に示すように、実施例1の被膜の静止摩擦係数は、拭き取り試験前が0.16であり、2万回拭き取り後が0.17であって、差が0.01であることが確認された。また、実施例2の被膜の静止摩擦係数は、拭き取り試験前が0.14であり、2万回拭き取り後が0.15であって、差が0.01であった。つまり、2万回拭き取りを行った後でも、静止摩擦係数が大きく変動せず、すべり性を高く維持することができ、拭き取り耐性に優れることが確認された。しかも、PVC被膜よりも静止摩擦係数を低く維持できることも確認された。
これに対して、比較例1では、すべり性に優れるものの、シースと被膜との密着強度が低いばかりか、被膜の拭き取り耐性が低いことが確認された。具体的には、密着強度が0.22MPaであり、屈曲試験によりブーツが剥がれてしまった。また、図9の□のプロットに示すように、比較例1の被膜の静止摩擦係数は、拭き取り試験前が0.16であり、2万回拭き取り後が0.45であって、差が0.29であった。比較例1では、拭き取りを繰り返すことにより被膜の静止摩擦係数が徐々に増え、すべり性を維持できなかった。つまり、比較例1の被膜は拭き取り耐性に劣ることが確認された。
この特性の違いは、被膜の表面における微粒子の分布とそれに伴う凹凸形状に起因している。以下、これらの点について説明する。
実施例と比較例のそれぞれについて、拭き取り試験前の被膜の表面凹凸及び断面を確認したところ、被膜の表面が図10および図11に示すような状態であることが確認された。図10Aは、実施例1の被膜表面のSEM像である。図10Bは、実施例1の被膜断面のSEM像である。図11Aは、比較例1の被膜表面のSEM像である。図11Bは、比較例1の被膜断面のSEM像である。これらの図を比較すると、実施例1の被膜では、微粒子が緻密に分布しているのに対して、比較例1では、微粒子だけでなく、陥没(図中で黒く表示される箇所)が存在することが確認された。また、比較例1の被膜では、気泡(空隙)が被膜のシースと接する面に広範囲にわたって存在するのに対して、実施例1の被膜では、比較例1よりも気泡(空隙)が減ったことが確認された。
SEM像に基づいて、微粒子の個数をカウントしたところ、実施例1は面積1600μm2(40μm角)当たり94個~96個、実施例2は98個~101個であるのに対して、比較例1は42個~52個であった。つまり、実施例は比較例と比べて微粒子の分布する個数が多かった。また、実施例1および2では、大きさが1μm以上の空隙が実質的に存在しないのに対して、比較例1では、40μm角の範囲内において大きさが1μm以上の空隙が少なくとも40個存在していた。さらに、各領域での微粒子の個数から個数分布を求めたところ、実施例1では1.05%であり、実施例2では1.51%であり、ともに個数分布のバラつきが小さかった。これに対して、比較例1では、個数分布が10.6%であり、被膜において微粒子の分布が一様ではなく、バラつきが大きかった。
さらに、実施例1および比較例1のそれぞれの被膜について表面プロファイルを取得したところ、図12および図13に示すような結果が得られた。図12は、実施例1の被膜についての表面プロファイルを示す図である。図13は、比較例1の被膜についての表面プロファイルを示す図である。図12に示すように、実施例1の被膜では、空隙による陥没が確認されず、陥没による凹部よりも微粒子による凸部が多く存在していることが確認された。一方、比較例1では、図13に示すように、被膜の表面に陥没による凹部が多く存在することが確認された。
被膜に形成される陥没は、縮合反応型のシリコーンゴムを硬化させる際に縮合反応に伴って生成する気泡に起因している。この陥没によると、被膜を綿布で拭き取りするときに、綿布が陥没の縁で引っ掛かりやすくなるため、拭き取りにより被膜が損傷しやすくなる。この結果、比較例1では、拭き取りにより微粒子が脱落などすることで静止摩擦係数が増えやすく、すべり性を長く維持できないものと推測される。また、被膜のシースとの接触面に空隙が存在することにより、接触面積が減少してしまい、密着強度が低下するものと推測される。
この点、本実施例では、付加反応型のシリコーンゴムを使用することにより、硬化に伴う気泡の生成を抑制し、被膜表面での陥没や被膜中の空隙を減らしている。また好ましくは、塗料をディッピング法で塗布する際にケーブルの引き上げ速度を調整することで微粒子の自己配列を促している。また、塗料にヒュームドシリカを添加して微粒子の沈降を抑制している。これらの結果、被膜での空隙や陥没を抑制し、微粒子を被膜表面で緻密に分布させて、すべり性、シースとの密着性、および拭き取り耐性に優れる被膜を得ることができる。
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様を付記する。
(付記1)
本発明の一態様によれば、
シースと、
前記シースの周囲を覆い、かつ、前記シースと密着して設けられる被膜と、を備え、
前記被膜は、ゴム成分および微粒子を含むゴム組成物から形成され、前記被膜の表面における静止摩擦係数は、0.5以下であり、
前記被膜の表面にアルコールを含む綿布を圧力2×10-3MPa~4×10-3MPaで当接させて、前記被膜の表面を速さ200mm/分~300mm/分でふき取ることを2万回繰り返す試験を行ったときに、前記被膜の静止摩擦係数の試験前後での差(絶対値)が0.1以下である、ケーブルが提供される。
(付記2)
付記1の態様において、
前記シースと前記被膜との密着強度が0.30MPa以上である。
(付記3)
付記1又は2の態様において、
前記ゴム成分は、シリコーンゴムおよびクロロプレンゴムの少なくとも1つである。
(付記4)
付記1~3の態様において、
前記ゴム成分がシリコーンゴムであり、
前記微粒子がシリコーンレジン微粒子、シリコーンゴム微粒子およびシリカ微粒子の少なくとも1つである。
(付記5)
付記1~4の態様において、
前記微粒子は、前記ゴム成分よりも高い硬度を有する。
(付記6)
付記1~5の態様において、
前記微粒子の平均粒径が1μm以上10μm以下である。
(付記7)
付記1~6の態様において、
前記被膜の厚さが3μm以上100μm以下である。
(付記8)
付記1~7の態様において、
前記シースがシリコーンゴムから形成される。
(付記9)
付記1~6の態様において、
前記ゴム成分が付加反応型のシリコーンゴムである。
(付記10)
付記1~9の態様において、
前記被膜の表面における任意の複数個所について前記微粒子の単位面積当たりの個数を測定したときに、前記個数の最大値Nmaxと最小値Nminとから式(Nmax-Nmin)/(Nmax+Nmin)×100で算出される個数分布が5%以下である。
(付記11)
付記1~10の態様において、
前記被膜の表面において、大きさが1μm以上の空隙が単位面積当たりに存在する個数が5個/40μm角以下である。
(付記12)
付記1~11の態様において、
前記ケーブルは、医療機器と接続可能である。
(付記13)
本発明の他の態様によれば、
中空管本体と、
前記中空管本体の内表面および外表面の少なくとも一方を覆い、かつ、前記中空管本体と密着する被膜と、
を備え、
前記被膜は、ゴム成分および微粒子を含むゴム組成物から形成され、前記被膜の表面における静止摩擦係数は、0.5以下であり、
前記被膜の表面にアルコールを含む綿布を圧力2×10-3MPa~4×10-3MPaで当接させて、前記被膜の表面を速さ200mm/分~300mm/分でふき取ることを2万回繰り返す試験を行ったときに、前記被膜の静止摩擦係数の試験前後での差(絶対値)が0.1以下である、
医療用中空管が提供される。
10 ケーブル
11 ケーブルコア
11a 電線
12 シールド
13 シース
14 被膜
20 プローブケーブル
21 接着層
22 ブーツ
23 超音波プローブ端子
24 コネクタ
31 微粒子
32 凸部
33 凹部(陥没)
34 空隙
50 サンプルケーブル
51 接着材
52 ブーツ材チューブ
53 シース材チューブ
54 密着強度評価用サンプル
60 プローブケーブル
61 ブーツ
70 医療用中空管
71 中空管本体
72 外側被膜
73 内側被膜

Claims (8)

  1. シースと、
    前記シースの周囲を覆い、かつ、前記シースと密着して設けられる被膜と、を備え、
    前記被膜は、ゴム成分および微粒子を含むゴム組成物から形成され、前記被膜の表面における静止摩擦係数は、0.5以下であり、
    前記ゴム成分が付加反応型のシリコーンゴムであり、
    電子顕微鏡により倍率1000倍で前記被膜の表面を撮影し、当該撮影画像から40μm×40μmの領域を4か所選択し、当該4か所の領域それぞれに存在する前記微粒子の個数をカウントし、前記微粒子の個数の最大値をNmax、前記微粒子の個数の最小値をNminとしたときに、式(Nmax-Nmin)/(Nmax+Nmin)×100で算出される個数分布が5%を超える領域が存在せず
    前記微粒子の平均粒径が1μm以上10μm以下であり、
    前記被膜の表面において、前記被膜を形成する際に生じる気泡による陥没であって前記表面における開口部の大きさが1μm以上の陥没の単位面積当たりに存在する個数が5個/40μm角を超える領域が存在しない、
    ケーブル。
  2. 前記シースと前記被膜との密着強度が0.30MPa以上である、
    請求項1に記載のケーブル。
    ただし、前記密着強度は、前記被膜が設けられた前記シースからなる第1部材の一端において、前記被膜に接着剤を塗布し、当該接着剤を介して、前記シースと同材料からなる第2部材の一端と前記第1部材の一端とを接着一体化した後に、前記第1部材の他端と前記第2部材の他端とを把持して、500mm/minの速度で、前記第1部材と前記第2部材とを引っ張ることにより測定された引張りせん断強度である。
  3. 記微粒子がシリコーンレジン微粒子、シリコーンゴム微粒子およびシリカ微粒子の少なくとも1つである、
    請求項1又は2に記載のケーブル。
  4. 前記微粒子は、前記ゴム成分よりも高い硬度を有する、
    請求項1~のいずれか1項に記載のケーブル。
  5. 前記被膜の厚さが3μm以上100μm以下である、
    請求項1~いずれか1項に記載のケーブル。
  6. 前記シースがシリコーンゴムから形成される、
    請求項1~のいずれか1項に記載のケーブル。
  7. 前記ケーブルは、医療機器と接続可能である、
    請求項1~のいずれか1項に記載のケーブル。
  8. 中空管本体と、
    前記中空管本体の内表面および外表面の少なくとも一方を覆い、かつ、前記中空管本体と密着する被膜と、
    を備え、
    前記被膜は、ゴム成分および微粒子を含むゴム組成物から形成され、前記被膜の表面における静止摩擦係数は、0.5以下であり、
    前記ゴム成分が付加反応型のシリコーンゴムであり、
    電子顕微鏡により倍率1000倍で前記被膜の表面を撮影し、当該撮影画像から40μm×40μmの領域を4か所選択し、当該4か所の領域それぞれに存在する前記微粒子の個数をカウントし、前記微粒子の個数の最大値をNmax、前記微粒子の個数の最小値をNminとしたときに、式(Nmax-Nmin)/(Nmax+Nmin)×100で算出される個数分布が5%を超える領域が存在せず
    前記微粒子の平均粒径が1μm以上10μm以下であり、
    前記被膜の表面において、前記被膜を形成する際に生じる気泡による陥没であって前記表面における開口部の大きさが1μm以上の陥没の単位面積当たりに存在する個数が5個/40μm角を超える領域が存在しない、
    医療用中空管。
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