JP2024050380A - 希土類元素含有粉末を再生する方法、および希土類系焼結磁石の製造方法 - Google Patents

希土類元素含有粉末を再生する方法、および希土類系焼結磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】解砕にかかる時間を短縮可能な希土類元素含有粉末の再生方法を提供する。【解決手段】希土類元素含有粉末を含んで成る希土類系焼結磁石用の成形体を、油中において、149メッシュパス500メッシュオンとなる粉末を含むように解砕する工程と、解砕後の粉末のうち149メッシュパスとなる粉末を分離回収して再生粉末を得る工程と、を含む、希土類元素含有粉末を再生する方法。【選択図】なし

Description

本開示は希土類元素含有粉末を再生する方法、および希土類系焼結磁石の製造方法に関する。
R-T-B系焼結磁石(Rは希土類元素であり、TはFe又はFeとCoであり、Bはホウ素である)およびサマリウム・コバルト系焼結磁石等の希土類系焼結磁石は、金属等の原料を溶解(溶融)し、ストリップキャスティング法等で作製された所望の組成を有する原料合金鋳造材を粉砕して所定の粒度(粒度分布)を有する合金粉末を得た後、当該合金粉末を湿式成形法などにより成形体(圧粉体)を得て、さらに当該成形体を焼結および熱処理することにより製造できる。
成形体において、例えば搬送等のハンドリング時に何かと接触し一部が欠けて所望の形状と異なるため又は成形時のトラブルにより亀裂が生ずる等のために、成形不良品が発生する場合がある。
さらに、例えば、プレス成形に用いる金型の種類を増やさないことを目的に、一旦、プレス成形により汎用サイズの成形体を得た後、当該成形体に切断加工を施して所望のサイズの成形体を得る場合がある。この場合、汎用サイズの成形体の一部は端尺サイズの成形体(以下、「成形体端材」という場合がある。)として残ってしまう。
希土類系焼結磁石に用いる希土類元素の供給について、価格および生産量の両方に関する懸念が従来以上に増していることもあり、このような成形不良品および成形体端材を有効に再利用したいとの要望が従来以上に強くなっている。
特許文献1は、希土類元素含有粉末を含んで成る希土類系焼結磁石用の成形体を、油中において、当該粉末の粒径が変化しないように大きくない適度な強さで時間をかけて解砕することにより、希土類元素含有粉末(を含むスラリー)を再生する方法を開示している。特許文献1の方法によれば、再生後のスラリーを使用しても、通常どおり製造した希土類系焼結磁石と比較して磁気特性変化が生じないことを開示している。
国際公開第2011/125578号
特許文献1に開示されるような従来技術では、スラリー中に粉末の凝集体が存在しないように(例えば500メッシュ/インチ(以下、「目開き25μm」または「500メッシュ」とも称する)の篩に通る(以下「500メッシュパス」とも称する)ように)、長時間かけて成形体を解砕していた。しかしながら、希土類系焼結磁石の製造において、解砕工程に長時間かけると、生産性の低下に加え、保管中に成形不良品および成形体端材が劣化してしまうなどの問題が生じた。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、解砕にかかる時間を短縮可能な希土類元素含有粉末の再生方法、および希土類系焼結磁石の製造方法を提供することである。
本発明の態様1は、
希土類元素含有粉末を含んで成る希土類系焼結磁石用の成形体を、油中において、149メッシュパス500メッシュオンとなる粉末を含むように解砕する工程と、
解砕後の粉末のうち149メッシュパスとなる粉末を分離回収して再生粉末を得る工程と、を含む、希土類元素含有粉末を再生する方法である。
本発明の態様2は、
態様1に記載の方法で再生された前記再生粉末と、油と、を含むスラリーを得る工程と、
前記スラリーを磁界中で湿式成形し、成形体を得る工程と、
湿式成形された前記成形体を焼結する工程と、を含む、希土類系焼結磁石の製造方法である。
本発明者は、解砕にかかる時間を短縮可能な希土類元素含有粉末の再生方法を実現するべく、様々な角度から検討した。
特許文献1に開示されるような従来技術では、焼結磁石の磁気特性を確保するために、再生粉末中に凝集体が存在しないよう(例えば、500メッシュ(目開き25μm)パスとなるよう)長時間かけて成形体を解砕していたところ、本発明者らは、解砕後の粉末中に凝集体がある程度存在しても(すなわち500メッシュパスとならず、500メッシュの篩上に残る(以下「500メッシュオン」とも称する)粉末が存在しても)、そのサイズが所定の範囲以下(すなわち149メッシュ(目開き100μm)パス)であれば、それを用いた焼結磁石において十分な磁気特性を確保できる(例えば、通常通り作製した未再生の粉末(例えば500メッシュパスであり得る)を用いた焼結磁石と比較して、同等の残留磁束密度が得られる)ことを見出した。すなわち、149メッシュパス500メッシュオンとなる粉末を含むように解砕することにより、解砕にかかる時間を従来技術よりも短縮でき、且つ解砕後の粉末から149メッシュパスとなる粉末を分離回収することにより、それを用いた焼結磁石において十分な磁気特性を確保できることを見出した。
以下に、本発明の実施形態が規定する各要件の詳細を示す。
なお、本明細書において、「成形体を解砕する」とは、成形体に外力を加えて、粉末を得ることであり、成形体に加えられる外力が、成形体を破砕して粉末を得るのには十分であり、かつ得られた粉末を砕く又は磨耗させるほど大きくない適度な強さとなっている。ただし、得られた粉末は分子間力などの弱い力で凝集し得るが、「解砕する」とはその凝集をほぐすことまでを要しない。また、本発明の成形体は、希土類元素含有粉末を成形して得られた成形体に加え、成形体に切断加工を施した場合に生じる成形体端材や、切断加工後に所望のサイズに切断された成形体も含む。
<1.希土類元素含有粉末の再生方法>
本発明の実施形態に係る希土類元素含有粉末の再生方法は、(1a)希土類元素含有粉末を含んで成る希土類系焼結磁石用の成形体を、油中において、149メッシュパス500メッシュオンとなる粉末を含むように解砕する工程と、(1b)解砕後の粉末のうち149メッシュパスとなる粉末を分離回収して再生粉末を得る工程と、を含む。これにより、解砕にかかる時間を短縮可能であり、且つその再生粉末を用いた焼結磁石において十分な磁気特性を確保できる。
以下、各工程について詳述する。
<(1a)希土類系焼結磁石用の成形体を解砕する工程>
本発明の実施形態において、解砕の対象となる希土類系焼結磁石用の成形体は、希土類元素含有粉末を含んで成る。希土類元素含有粉末は、希土類元素を含む粉末であればよく、好ましくは、R-T-B系焼結磁石に用いられる合金粉末であることが好ましい。
R-T-B系焼結磁石用合金粉末のRは、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、ジスプロシウム(Dy)およびテルビウム(Tb)より成る群から選択される少なくとも1種であり、NdまたはPrの少なくとも一方を含むことが好ましい。Rは更に好ましくは、Nd-Dy、Nd-Tb、Nd-Pr-DyおよびNd-Pr-Tbの希土類元素の組合せよりなる群から選択される1つである。また、R-T-B系焼結磁石用合金粉末は、Rとして、Dyおよび/またはTbを含有すると保磁力向上の効果を有する。
R-T-B系焼結磁石用合金粉末は、Rとして、上記元素以外に、少量のCeおよびLa等の他の希土類元素を含有してよく、ミッシュメタル及び/又はジジム(NdとPrを主成分とする合金)を用いてもよい。また、Rは純元素でなくてよく、工業上入手できる範囲で不可避不純物を含んでよい。
R-T-B系焼結磁石用合金粉末中のR含有量は27質量%以上33質量%以下であり得る。R含有量は、好ましくは、28質量%以上31質量%以下であればより高い磁気特性を得ることができる。
R-T-B系焼結磁石用合金粉末のTは、Fe又はFeとCoである。TはFeを含み、例えば、Feの50質量%以下をコバルト(Co)で置換してもよい。Coは温度特性の向上および耐食性の向上に有効であり得る。R-T-B系焼結磁石用合金粉末中のCo含有量は10質量%以下であり得る。
R-T-B系焼結磁石用合金粉末中のT含有量について、R-T-B系焼結磁石用合金粉末の残部がTおよび不可避不純物(例えば酸素、窒素および炭素等)であることが好ましい。
R-T-B系焼結磁石用合金粉末中のB含有量は、特に制限されず、例えば公知のR-T-B系焼結磁石のB含有量の範囲内であり得る。例えば、B含有量は、0.9~1.2質量%であることが好ましい。0.9質量%以上にすることでより高い残留磁束密度を得ることができ、1.2質量%以下とすることにより、より高い保磁力を得ることができる。なお、Bの一部をC(炭素)で置換してよい。Cによる置換は、磁石の耐食性を向上させる効果がある。BとCとを添加する場合の含有量は、Cの置換原子数をBの原子数で換算し、上記の好ましいB濃度の範囲とすることが好ましい。
上記元素に加え、保磁力向上のためにM元素を添加することができる。M元素は、Al、Si、Ti、V、Cr、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Hf、TaおよびWよりなる群から選択される少なくとも1種である。M元素の添加量は合計で5.0質量%以下が好ましい。5.0質量%以下にすることで、より高い残留磁束密度を得ることができる。
上記希土類元素含有粉末は、例えば、ストリップキャスティング法等で作製された原料合金鋳造材を、気流式粉砕機(ジェットミル装置)などを用いて粉砕して得ることができる。より高い残留磁束密度および保磁力を有する焼結磁石を得るためには、上記希土類元素含有粉末の粒径D50は、1.0μm以上10.0μm以下であることが好ましく、2.0μm以上5.0μm以下であることがより好ましい。ここで、粒径D50は、気流分散法によるレーザー回折法で得られる粒度分布において、小径側からの積算粒度分布(体積基準)が50%になる粒径である。また、粒径D50は、例えば、Sympatec社製の粒度分布計測装置「HELOS&RODOS」を用いて、分散圧:4bar、測定レンジ:R2、計測モード:HRLDの条件にて測定することができる。
本発明の実施形態において、希土類系焼結磁石用の成形体は、上記希土類元素含有粉末を公知の方法で成形(例えばプレス成形)することにより得られる。希土類系焼結磁石用の成形体は、例えば、上述の成形不良品および成形体端材であってもよいが、これらに限定されるものではなく、例えば、余剰となった良好な成形体等のような各種の成形体であってもよい。
希土類系焼結磁石用の成形体は、上記希土類元素含有粉末を磁界(例えば1テスラ(T)以上)中でプレス成形することによって得ることが好ましい。これにより、後述する焼結磁石の三方向配向度(以下単に「配向度」とも称する)および残留磁束密度が向上し得る。
また、成形方法として、粉末をそのまま成形する乾式成形と、粉末を分散媒と混ぜたスラリーにしてから成形する湿式成形とがあるが、湿式成形が好ましい。湿式成形では、成形体を構成する粉末の表面が分散媒によって被覆され、大気中の酸素および水蒸気との接触が抑制され得る。このため、成形の前後あるいは成形中に粉末が大気によって酸化されることを抑制できる。なお、本明細書において、用語「スラリー」は、固体粒子と液体との混合物であって、固体粒子が液体の中に懸濁している流動体を意味する。
以下、希土類系焼結磁石用の成形体を、磁界中湿式プレス成形により得る方法を詳述する。
磁界中湿式プレス成形を行う場合、まず上記希土類元素含有粉末に、分散媒を混ぜたスラリーを用意する。好ましい分散媒としては、鉱物油、合成油及び植物油からなる群から選択される一種以上などの油を挙げることができる。油は、常温で10cSt以下の動粘度を有することが好ましい。これにより、粉末同士の局所的な結合を抑制でき、得られる成形体の配向度が向上し得る。また、油の分留点は400℃以下が好ましい。これにより、成形後の脱油が容易となり、その結果、焼結磁石において、残留炭素量を低減でき、磁気特性が向上し得る。
スラリー中の希土類元素含有粉末の濃度は、特に限定されないが、70質量%以上であることが好ましい。これにより、例えば20~600cm/秒の流量において、キャビティ内部に効率的に粉末を供給できると共に、得られる焼結磁石の磁気特性が向上し得る。スラリー中の希土類元素含有粉末の濃度の上限は、スラリーの流動性の観点で、95質量%以下であることが好ましい。希土類元素含有粉末と分散媒との混合方法は、特に限定されず。例えば、希土類元素含有粉末と分散媒とを別々に用意し、両者を所定量秤量して混ぜ合わせてもよい。また、ジェットミル等で乾式粉砕して希土類元素含有粉末を得る際に、ジェットミル等の粉砕装置の粉末排出口に分散媒を入れた容器を配置し、粉砕して得られた希土類元素含有粉末を容器内の分散媒中に直接回収してスラリーを得てもよい。この場合、容器内も窒素ガスおよび/またはアルゴンガスからなる雰囲気とし、得られる希土類元素含有粉末を大気に触れさせることなく直接分散媒中に回収して、スラリーとすることが好ましい。さらには、分散媒中で振動ミル、ボールミルまたはアトライター等を用いて原料を湿式粉砕してスラリーを得ることも可能である。
上記のようにして用意したスラリーを、湿式プレス成形装置の金型におけるキャビティに供給して磁界中でプレス成形する。こうして形成される成形体は、例えば、4g/cm以上5g/cm以下の密度を有し得る。また、成形後の成形体に切断加工を施す方法は、例えば特開平8-181028、特開2003-303728および特開2021-155809などの公知の方法を採用することができる。これらの切断後の成形体および成形体端材も本発明の成形体に含む。
上記のようにして得られた成形体を、油中で解砕する。油中とは、成形体が完全に油に浸かった状態、あるいは成形体表面が大気中の酸素との接触を防ぐのに十分な油の膜により覆われている状態を言う。油としては、例えば鉱物油、合成油及び植物油からなる群から選択される一種以上を用いることができ、例えば上述したスラリーの分散媒の油と全く同一のものを用いてもよく、異なるものを使用してもよい。解砕方法としては、成形体を149メッシュパス500メッシュオンとなる粉末を含むように解砕できれば特に制限されない。例えば成形体を単にステンレス製部材などで押しつぶすことにより解砕してもよく、国際公開第2011/125578号又は国際公開第2013/047429号に記載されるような装置を用いて解砕してもよい。解砕後の粉末において、149メッシュパスの粉末の割合が多ければ多いほど好ましく、例えば10質量%以上、25質量%以上、50質量%以上、75質量%以上、90質量%以上および100質量%であることが順に好ましい。これにより、再生粉末の収率をより向上させることができる。また、解砕後の粉末において、500メッシュオンの粉末の割合が多ければ多いほど好ましく、例えば10質量%以上、25質量%以上、50質量%以上、75質量%以上、90質量%以上および100質量%であることが順に好ましい。これにより、解砕工程において全て500メッシュパスとしていた従来技術と比較して解砕にかかる時間をより短縮できる。より好ましくは、解砕後の粉末が、149メッシュパス500メッシュオンの粉末からなることである。
<(1b)解砕後の粉末のうち149メッシュパスとなる粉末を分離回収して再生粉末を得る工程>
上記のようにして得た解砕後の粉末のうち149メッシュパスとなる粉末を分離回収して再生粉末を得る。例えば、解砕後の粉末を149メッシュの篩に通し、その通った粉末を再生粉末として分離回収すればよい。
工程(1b)で分離回収された再生粉末は、成形に使用するまで油中で保管してもよい。
本発明の実施形態に係る希土類元素含有粉末の再生方法は、その目的が達成される範囲内で、他の工程を含んでいてもよい。
<2.希土類系焼結磁石の製造方法>
本発明の実施形態に係る希土類系焼結磁石の製造方法は、(2a)上記方法で再生された再生粉末と、油と、を含むスラリーを得る工程と、(2b)前記スラリーを磁界中で湿式成形し、成形体を得る工程と、(2c)湿式成形された前記成形体を焼結する工程と、を含む。
以下、各工程について詳述する。
<(2a)スラリーを得る工程>
まず、上記方法で再生された希土類元素含有粉末と、油とを含むスラリーを用意する。ここで、スラリーに含まれる希土類元素含有粉末としては、本発明の実施形態に係る希土類元素含有粉末の再生方法により得られた再生粉末のみを含んでもよく、再生粉末と、再生粉末と同様の成分組成であって未再生の希土類元素含有粉末とを混合して用いてもよい。スラリーに含まれる油としては、上述の「1.希土類元素含有粉末の再生方法」で記載したスラリーに含まれる油と同様のものとすることができる。
<(2b)スラリーを湿式成形して成形体を得る工程>
上記スラリーを、磁界中で湿式成形する。磁界中で湿式成形する方法についても、上述の「1.希土類元素含有粉末の再生方法」で記載した方法と同様に行うことができる。
<(2c)湿式成形された成形体を焼結する工程>
得られた成形体を焼結する。焼結温度は、特に制限されず、焼結による緻密化が十分起こる温度であり得、例えば900℃以上1100℃以下であり得る。
工程(2c)後に得られる希土類系焼結磁石(例えばR-T-B系焼結磁石)において、不可避不純物である酸素の含有量は、500ppm以上8000ppm以下が好ましく、より好ましくは500ppm以上3200ppm以下、さらに好ましくは500ppm以上2500ppm以下である。また、不可避不純物である窒素の含有量は、50ppm以上1000ppm以下が好ましい。また、不可避不純物である炭素の含有量は、50ppm以上2000ppm以下が好ましい。
本発明の実施形態に係る希土類系焼結磁石の製造方法は、その目的が達成される範囲内で、他の工程を含んでいてもよい。例えば焼結後に、真空又は不活性ガス雰囲気中、400℃以上950℃以下で、かつ、焼結温度よりも低い温度で熱処理を行うことが好ましい。これにより高い保磁力を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明の実施形態をより具体的に説明する。本発明の実施形態は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前述および後述する趣旨に合致し得る範囲で、適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の実施形態の技術的範囲に包含される。
[実験例1]
Nd:23.4%、Pr:7.4%、B:0.89%、Co:0.8%、Al:0.1%、Cu:0.15%、Ga:0.4%、Zr:0.1%(いずれも質量%)、残部:Feおよび不可避不純物の組成となるように各元素の原料を秤量し、ストリップキャスティング法により、原料合金鋳造材を得た。その原料合金鋳造材を水素粉砕し粗粉砕粉を得た。その粗粉砕粉に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を、粗粉砕粉100質量部%に対して0.04質量部%添加および混合した後、ジェットミルを用いて、窒素気流中で乾式粉砕し、粒径D50が4.8μmの希土類元素含有粉末を得た。なお、D50は、Sympatec社製の粒度分布計測装置「HELOS&RODOS」を用いて、分散圧:4bar、測定レンジ:R2、計測モード:HRLDの条件にて測定した。
上記希土類元素含有粉末の一部を、未再生粉末1として確保した。なお、未再生粉末1は、全て500メッシュパスであった。
上記希土類元素含有粉末の別の一部を、窒素雰囲気中で分留点が250℃、室温での動粘度が2cStの鉱物油に浸漬してスラリーを準備した。スラリー中の希土類元素含有粉末濃度は、75質量%であった。得られたスラリーを1.6Tの磁界中で成形(湿式成形)し、成形体を作製した。
窒素雰囲気下のボックス内に、油を入れたステンレス製容器を用意した。その油に上記成形体を浸漬させつつ、さらに上記成形体を別のステンレス製容器で上から押しつぶすことにより解砕し、280メッシュ(目開き53μm)パスとなる粉末を回収することにより、再生粉末1を得た。なお、再生粉末1はかろうじて280メッシュ(目開き53μm)の篩を通った粉末であり、大半は500メッシュ(目開き25μm)オンである(例えば500メッシュオンとなる粉末を50質量%以上含む)と考えられる。また、再生粉末1は、280メッシュ(目開き53μm)パスであるので、それより目開きの大きい149メッシュ(目開き100μm)の篩も通る粉末(すなわち149メッシュパスの粉末)といえる。
149メッシュ(目開き100μm)パス且つ280メッシュ(目開き53μm)オンとなる粉末を分離回収する以外は、再生粉末1と同様にして再生粉末2を得た。なお、再生粉末2は、280メッシュ(目開き53μm)オンであるので、それより目開きの小さい500メッシュ(目開き25μm)の篩上にも残る粉末(すなわち、500メッシュオンの粉末)といえる。
50メッシュ(目開き300μm)パス且つ149メッシュ(目開き100μm)オンとなる粉末を分離回収する以外は、再生粉末1と同様にして再生粉末3を得た。
未再生粉末1および再生粉末1~3を、窒素雰囲気中で分留点が250℃、室温での動粘度が2cStの鉱物油に浸漬してスラリーを準備した。スラリー中の希土類元素含有粉末濃度は、75質量%であった。得られたスラリーを1.6Tの磁界中で成形(湿式成形)し、各粉末を用いた成形体を作製した。
得られた成形体を、真空中で4時間焼結(焼結温度としては、焼結による緻密化が十分起こる温度を選定)した後、急冷し、各粉末を用いた焼結体を得た。各焼結体の密度は7.5Mg/m以上であった。さらに、各粉末を用いた焼結体を800℃に加熱する熱処理を行った。熱処理後、表面研削盤を用いて、各粉末を用いた焼結体の全面を切削加工し、7.0mm×7.0mm×7.0mmの立方体形状の希土類系焼結磁石No.1~4を得た。
得られた希土類系焼結磁石No.1~4を、B-Hトレーサによって成形時の磁界印加方向(X方向と称する)における残留磁束密度Brx(単位:テスラ(T))を測定した。また、X方向とは垂直な方向(以下「Y方向」とも称する)における残留磁束密度Bry(単位:テスラ(T))、ならびにX方向およびY方向とは垂直な方向(以下「Z方向」とも称する)における残留磁束密度Brz(単位:テスラ(T))をB-Hトレーサによって測定し、下記式(1)から三方向配向度ORを求めた。

OR=Brx/((Brx+(Bry+(Brz1/2 ・・・(1)
得られた希土類系焼結磁石No.1~4中の、酸素および炭素含有量をガス融解-赤外線吸収法によるガス分析装置を使用して測定した。
表1に結果をまとめる。なお、表1において、未再生粉末1を用いて作製した希土類系焼結磁石No.1は比較対象のため、磁気特性の判定欄に「-」を記載した。また、表1において、再生粉末1~3を用いて作製した希土類系焼結磁石No.2~4の磁気特性の判定欄には、Brxが希土類系焼結磁石No.1のBrxと比較して同等(低下していたとしても0.1T未満)のものを十分(〇)、0.1T以上低下したものを不十分(×)とした。
Figure 2024050380000001
表1から以下のことがわかる。
再生粉末1および2は、本発明の実施形態に係る希土類元素含有粉末の再生方法で規定する全ての要件を満たす方法で再生した粉末であり、500メッシュオンとなる粉末を含むように解砕されているため、全て500メッシュパスとなるよう長時間かけて成形体を解砕していた従来技術と比較して、解砕にかかる時間を短縮可能であった。発明者らによると、一定量の再生粉末1を得るために解砕にかかる時間の約半分の時間で同量の再生粉末2を得られることを確認している。このようにメッシュパスとなるメッシュサイズが280メッシュから149メッシュと約半分のメッシュサイズ(すなわち目開きが約2倍のサイズ)になった際に解砕にかかる時間が約半分になったことを考慮すると、未再生原料と同じ500メッシュパスとなる粉末を一定量得ることと比較して、その解砕にかかる時間の約半分の時間で同量の再生粉末1を、約4分の1の時間で同量の再生粉末2をそれぞれ得ることができると考えられる。
再生粉末1および2を用いた希土類系焼結磁石No.2および3は、本発明の実施形態に係る希土類系焼結磁石の製造方法で規定する全ての要件を満たす方法で作製した焼結磁石であり、未再生粉末1を用いた希土類系焼結磁石No.1に比べて酸素含有量は300ppm程度まで増加したが許容の範囲であり、炭素含有量はほとんど変化せず、十分な磁気特性(すなわちBrxが未再生粉末1を用いた希土類系焼結磁石No.1と同等)を示した。また、再生粉末2を用いた希土類系焼結磁石No.3の酸素含有量1680ppmに比べて、解砕にかかる時間が長い再生粉末1を用いた希土類系焼結磁石No.2の酸素含有量は1790ppmと多いことから、解砕にかかる時間の長さと酸素含有量の増大には相関があると考えられる。したがって、再生粉末1よりも解砕にかかる時間が長いと考えられる500メッシュパスの再生粉末では再生粉末1を用いた希土類系焼結磁石No.2の酸素含有量よりも増大することが推察される。
一方、再生粉末3は、解砕後の粉末のうち50メッシュ(目開き300μm)パス149メッシュ(目開き100μm)オンとなる粉末を分離回収しており、一定量を得るために解砕にかかる時間は再生粉末2よりも再生粉末3の方が短く、再生粉末3を用いた希土類系焼結磁石No.4は未再生粉末1を用いた希土類系焼結磁石No.1と同程度の酸素含有量であったが、希土類系焼結磁石No.4の磁気特性は不十分であった。これは、希土類系焼結磁石No.4の三方向配向度ORが希土類系焼結磁石No.1と比較して低いことに起因すると考えられる。希土類系焼結磁石No.4の配向度が低下した原因として、以下のように考えられる。すなわち、再生粉末3は149メッシュオンとなるような比較的大きい粉末であり、その大きい粉末は他の粉末と接触して摩擦力を受けやすいために、その大きい粉末の磁化容易方向が成形時に磁界印加方向に十分に配向しにくかったと考えられる。
[実験例2]
Nd:23.8%、Pr:6.7%、Dy:0.0%、B:0.96%、Co:0.9%、Al:0.1%、Cu:0.1%、Ga:0.1%、Zr:0.05%(いずれも質量%)、残部:Feおよび不可避不純物の組成となるように各元素の原料を秤量し、ストリップキャスティング法により、原料合金鋳造材を得た。その原料合金鋳造材を水素粉砕し粗粉砕粉を得た。その粗粉砕粉に、潤滑剤としてパラフィンワックスを、粗粉砕粉100質量部%に対して0.04質量部%添加および混合した後、ジェットミルを用いて、窒素気流中で乾式粉砕し、粒径D50が4.0μmの希土類元素含有粉末を得た。なお、D50は、Sympatec社製の粒度分布計測装置「HELOS&RODOS」を用いて、分散圧:4bar、測定レンジ:R2、計測モード:HRLDの条件にて測定した。
上記希土類元素含有粉末の一部を、未再生粉末11として確保した。なお、未再生粉末1は、全て500メッシュパスであった。
上記希土類元素含有粉末の別の一部を、窒素雰囲気中で分留点が250℃、室温での動粘度が2cStの鉱物油に浸漬してスラリーを準備した。スラリー中の希土類元素含有粉末濃度は、75質量%であった。得られたスラリーを1.6Tの磁界中で成形(湿式成形)し、成形体を作製した。
149メッシュ(目開き100μm)パス且つ280メッシュ(目開き53μm)オンとなる粉末を分離回収する以外は、実験例1と同様にして再生粉末11を得た。なお、再生粉末11は、280メッシュ(目開き53μm)オンであるので、それより目開きの小さい500メッシュ(目開き25μm)の篩上にも残る粉末(すなわち、500メッシュオンの粉末)といえる。
50メッシュ(目開き300μm)パス且つ149メッシュ(目開き100μm)オンとなる粉末を分離回収する以外は、実験例1と同様にして再生粉末12を得た。
未再生粉末11および再生粉末11~12を、窒素雰囲気中で分留点が250℃、室温での動粘度が2cStの鉱物油に浸漬してスラリーを準備した。スラリー中の希土類元素含有粉末濃度は、75質量%であった。得られたスラリーを1.6Tの磁界中で成形(湿式成形)し、各粉末を用いた成形体を作製した。
得られた成形体を、真空中で4時間焼結(焼結温度としては、焼結による緻密化が十分起こる温度を選定)した後、急冷し、各粉末を用いた焼結体を得た。各焼結体の密度は7.5Mg/m以上であった。さらに、表面研削盤を用いて、各粉末を用いた焼結体の全面を切削加工し、7.0mm×7.0mm×7.0mmの立方体形状の希土類系焼結磁石No.11~13を得た。
得られた希土類系焼結磁石11~13を、B-Hトレーサによって成形時の磁界印加方向(X方向と称する)における残留磁束密度Brx(単位:テスラ(T))を測定した。
また、三方向配向度ORおよび希土類系焼結磁石11~13中の酸素および炭素含有量を実験例1と同様にして求めた。
表2に結果をまとめる。なお、表2において、未再生粉末11を用いて作製した希土類系焼結磁石No.11は比較対象のため、磁気特性の判定欄に「-」を記載した。また、表2において、再生粉末11~12を用いて作製した希土類系焼結磁石No.12~13の磁気特性の判定欄には、Brxが希土類系焼結磁石No.11のBrxと比較して同等(低下していたとしても0.1T未満)のものを十分(〇)、0.1T以上低下したものを不十分(×)とした。
Figure 2024050380000002
表2から以下のことがわかる。
再生粉末11は、本発明の実施形態に係る希土類元素含有粉末の再生方法で規定する全ての要件を満たす方法で再生した粉末であり、500メッシュオンとなる粉末を含むように解砕されているため、全て500メッシュパスとなるよう長時間かけて成形体を解砕していた従来技術と比較して、解砕にかかる時間を短縮可能であった。
再生粉末11を用いた希土類系焼結磁石No.12は、本発明の実施形態に係る希土類系焼結磁石の製造方法で規定する全ての要件を満たす方法で作製した焼結磁石であり、未再生粉末11を用いた希土類系焼結磁石No.11に比べて酸素含有量は700ppm程度まで増加したが許容の範囲であり、炭素含有量はほとんど変化せず、十分な磁気特性(すなわちBrxが未再生粉末11を用いた希土類系焼結磁石No.11と同等)を示した。
一方、再生粉末12は、解砕後の粉末のうち50メッシュ(目開き300μm)パス149メッシュ(目開き100μm)オンとなる粉末を分離回収しており、一定量を得るために解砕にかかる時間は再生粉末11よりも再生粉末12の方が短いが、希土類系焼結磁石No.13の磁気特性は不十分であった。これは、希土類系焼結磁石No.13の三方向配向度ORが希土類系焼結磁石No.11と比較して低いことに起因すると考えられる。
[実験例3]
Nd:23.8%、Pr:6.7%、Dy:0.0%、B:0.96%、Co:0.9%、Al:0.1%、Cu:0.1%、Ga:0.1%、Zr:0.05%(いずれも質量%)、残部:Feおよび不可避不純物の組成となるように各元素の原料を秤量し、ストリップキャスティング法により、原料合金鋳造材を得た。その原料合金鋳造材を水素粉砕し粗粉砕粉を得た。その粗粉砕粉に、潤滑剤としてパラフィンワックスを、粗粉砕粉100質量部%に対して0.04質量部%添加および混合した後、ジェットミルを用いて、窒素気流中で乾式粉砕し、粒径D50が3.2μmの希土類元素含有粉末を得た。なお、D50は、Sympatec社製の粒度分布計測装置「HELOS&RODOS」を用いて、分散圧:4bar、測定レンジ:R2、計測モード:HRLDの条件にて測定した。
上記希土類元素含有粉末の一部を、未再生粉末21として確保した。なお、未再生粉末21は、全て500メッシュパスであった。
上記希土類元素含有粉末の別の一部を、窒素雰囲気中で分留点が250℃、室温での動粘度が2cStの鉱物油に浸漬してスラリーを準備した。スラリー中の希土類元素含有粉末濃度は、75質量%であった。得られたスラリーを1.6Tの磁界中で成形(湿式成形)し、成形体を作製した。
149メッシュ(目開き100μm)パス且つ280メッシュ(目開き53μm)オンとなる粉末を分離回収する以外は、実験例1と同様にして再生粉末21を得た。なお、再生粉末21は、280メッシュ(目開き53μm)オンであるので、それより目開きの小さい500メッシュ(目開き25μm)の篩上にも残る粉末(すなわち、500メッシュオンの粉末)といえる。
50メッシュ(目開き300μm)パス且つ149メッシュ(目開き100μm)オンとなる粉末を分離回収する以外は、実験例1と同様にして再生粉末22を得た。
未再生粉末21および再生粉末21~22を、窒素雰囲気中で分留点が250℃、室温での動粘度が2cStの鉱物油に浸漬してスラリーを準備した。スラリー中の希土類元素含有粉末濃度は、75質量%であった。得られたスラリーを1.6Tの磁界中で成形(湿式成形)し、各粉末を用いた成形体を作製した。
得られた成形体を、真空中で4時間焼結(焼結温度としては、焼結による緻密化が十分起こる温度を選定)した後、急冷し、各粉末を用いた焼結体を得た。各焼結体の密度は7.5Mg/m以上であった。さらに、表面研削盤を用いて、各粉末を用いた焼結体の全面を切削加工し、7.0mm×7.0mm×7.0mmの立方体形状の希土類系焼結磁石No.21~23を得た。
得られた希土類系焼結磁石21~23を、B-Hトレーサによって成形時の磁界印加方向(X方向と称する)における残留磁束密度Brx(単位:テスラ(T))を測定した。
また、三方向配向度ORおよび希土類系焼結磁石21~23中の酸素および炭素含有量を実験例1と同様にして求めた。
表3に結果をまとめる。なお、表3において、未再生粉末21を用いて作製した希土類系焼結磁石No.21は比較対象のため、磁気特性の判定欄に「-」を記載した。また、表1において、再生粉末21~22を用いて作製した希土類系焼結磁石No.22~23の磁気特性の判定欄には、Brxが希土類系焼結磁石No.1のBrxと比較して同等(低下していたとしても0.1T未満)のものを十分(〇)、0.1T以上低下したものを不十分(×)とした。
Figure 2024050380000003
表3から以下のことがわかる。
再生粉末21は、本発明の実施形態に係る希土類元素含有粉末の再生方法で規定する全ての要件を満たす方法で再生した粉末であり、500メッシュオンとなる粉末を含むように解砕されているため、全て500メッシュパスとなるよう長時間かけて成形体を解砕していた従来技術と比較して、解砕にかかる時間を短縮可能であった。
再生粉末21を用いた希土類系焼結磁石No.22は、本発明の実施形態に係る希土類系焼結磁石の製造方法で規定する全ての要件を満たす方法で作製した焼結磁石であり、未再生粉末21を用いた希土類系焼結磁石No.21に比べて酸素含有量は700ppm程度まで増加したが許容の範囲であり、炭素含有量はほとんど変化せず、十分な磁気特性(すなわちBrxが未再生粉末21を用いた希土類系焼結磁石No.21と同等)を示した。
一方、再生粉末22は、解砕後の粉末のうち50メッシュ(目開き300μm)パス149メッシュ(目開き100μm)オンとなる粉末を分離回収しており、一定量を得るために解砕にかかる時間は再生粉末21よりも再生粉末22の方が短いが、希土類系焼結磁石No.23の磁気特性は不十分であった。これは、希土類系焼結磁石No.23の三方向配向度ORが希土類系焼結磁石No.21と比較して低いことに起因すると考えられる。
[実験例4]
Nd:17.6%、Pr:4.9%、Dy:8.0%、B:0.96%、Co:0.9%、Al:0.1%、Cu:0.1%、Ga:0.1%、Zr:0.05%(いずれも質量%)、残部:Feおよび不可避不純物の組成となるように各元素の原料を秤量し、ストリップキャスティング法により、原料合金鋳造材を得た。その原料合金鋳造材を水素粉砕し粗粉砕粉を得た。その粗粉砕粉に、潤滑剤としてパラフィンワックスを、粗粉砕粉100質量部%に対して0.04質量部%添加および混合した後、ジェットミルを用いて、窒素気流中で乾式粉砕し、粒径D50が3.2μmの希土類元素含有粉末を得た。なお、D50は、Sympatec社製の粒度分布計測装置「HELOS&RODOS」を用いて、分散圧:4bar、測定レンジ:R2、計測モード:HRLDの条件にて測定した。
上記希土類元素含有粉末の一部を、未再生粉末31として確保した。なお、未再生粉末1は、全て500メッシュパスであった。
上記希土類元素含有粉末の別の一部を、窒素雰囲気中で分留点が250℃、室温での動粘度が2cStの鉱物油に浸漬してスラリーを準備した。スラリー中の希土類元素含有粉末濃度は、75質量%であった。得られたスラリーを1.6Tの磁界中で成形(湿式成形)し、成形体を作製した。
149メッシュ(目開き100μm)パス且つ280メッシュ(目開き53μm)オンとなる粉末を分離回収する以外は、実験例1と同様にして再生粉末31を得た。なお、再生粉末31は、280メッシュ(目開き53μm)オンであるので、それより目開きの小さい500メッシュ(目開き25μm)の篩上にも残る粉末(すなわち、500メッシュオンの粉末)といえる。
50メッシュ(目開き300μm)パス且つ149メッシュ(目開き100μm)オンとなる粉末を分離回収する以外は、実験例1と同様にして再生粉末32を得た。
未再生粉末31および再生粉末31~32を、窒素雰囲気中で分留点が250℃、室温での動粘度が2cStの鉱物油に浸漬してスラリーを準備した。スラリー中の希土類元素含有粉末濃度は、75質量%であった。得られたスラリーを1.6Tの磁界中で成形(湿式成形)し、各粉末を用いた成形体を作製した。
得られた成形体を、真空中で4時間焼結(焼結温度としては、焼結による緻密化が十分起こる温度を選定)した後、急冷し、各粉末を用いた焼結体を得た。各焼結体の密度は7.5Mg/m以上であった。さらに、表面研削盤を用いて、各粉末を用いた焼結体の全面を切削加工し、7.0mm×7.0mm×7.0mmの立方体形状の希土類系焼結磁石No.31~33を得た。
得られた希土類系焼結磁石31~33を、B-Hトレーサによって成形時の磁界印加方向(X方向と称する)における残留磁束密度Brx(単位:テスラ(T))を測定した。
また、三方向配向度ORおよび希土類系焼結磁石31~33中の酸素および炭素含有量を実験例1と同様にして求めた。
表4に結果をまとめる。なお、表4において、未再生粉末31を用いて作製した希土類系焼結磁石No.31は比較対象のため、磁気特性の判定欄に「-」を記載した。また、表1において、再生粉末31~32を用いて作製した希土類系焼結磁石No.32~33の磁気特性の判定欄には、Brxが希土類系焼結磁石No.1のBrxと比較して同等(低下していたとしても0.1T未満)のものを十分(〇)、0.1T以上低下したものを不十分(×)とした。
Figure 2024050380000004
表4から以下のことがわかる。
再生粉末31は、本発明の実施形態に係る希土類元素含有粉末の再生方法で規定する全ての要件を満たす方法で再生した粉末であり、500メッシュオンとなる粉末を含むように解砕されているため、全て500メッシュパスとなるよう長時間かけて成形体を解砕していた従来技術と比較して、解砕にかかる時間を短縮可能であった。
再生粉末31を用いた希土類系焼結磁石No.32は、本発明の実施形態に係る希土類系焼結磁石の製造方法で規定する全ての要件を満たす方法で作製した焼結磁石であり、未再生粉末31を用いた希土類系焼結磁石No.31に比べて酸素含有量は800ppm程度まで増加したが許容の範囲であり、炭素含有量はほとんど変化せず、十分な磁気特性(すなわちBrxが未再生粉末31を用いた希土類系焼結磁石No.31と同等)を示した。
一方、再生粉末32は、解砕後の粉末のうち50メッシュ(目開き300μm)パス149メッシュ(目開き100μm)オンとなる粉末を分離回収しており、一定量を得るために解砕にかかる時間は再生粉末31よりも再生粉末32の方が短いが、希土類系焼結磁石No.33の磁気特性は不十分であった。これは、希土類系焼結磁石No.33の三方向配向度ORが希土類系焼結磁石No.31と比較して低いことに起因すると考えられる。

Claims (2)

  1. 希土類元素含有粉末を含んで成る希土類系焼結磁石用の成形体を、油中において、149メッシュパス500メッシュオンとなる粉末を含むように解砕する工程と、
    解砕後の粉末のうち149メッシュパスとなる粉末を分離回収して再生粉末を得る工程と、を含む、希土類元素含有粉末を再生する方法。
  2. 請求項1に記載の方法で再生された前記再生粉末と、油と、を含むスラリーを得る工程と、
    前記スラリーを磁界中で湿式成形し、成形体を得る工程と、
    湿式成形された前記成形体を焼結する工程と、を含む、希土類系焼結磁石の製造方法。
JP2023027602A 2022-09-29 2023-02-24 希土類元素含有粉末を再生する方法、および希土類系焼結磁石の製造方法 Pending JP2024050380A (ja)

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