JP2024049881A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】接地端外の溝とは異なる手段によりCFmaxを低下できる空気入りタイヤを提供する。【解決手段】タイヤ1は、タイヤ軸方向一方側半部について、タイヤ軸方向外端部に設けられたショルダーブロック51であって、タイヤ軸方向中央側端がタイヤ周方向の主溝であるショルダー主溝21で規定されるショルダーブロック51を有するトレッド10を含む。ショルダーブロック51には、タイヤ周方向に延びる少なくとも1つの周方向サイプ53が形成される。周方向サイプ53のタイヤ軸方向位置は、ショルダー主溝21から接地端Tまでの長さに対し、ショルダー主溝21から50%以上90%以下のタイヤ軸方向位置にある。【選択図】図2
Description
本発明は、空気入りタイヤに関し、より詳しくは、複数のブロックを含むトレッドを備える空気入りタイヤに関する。
特許文献1には、空気入りタイヤの接地端外に、タイヤ周方向に対してなす角度が0~35度の方向に延びる溝を形成した構成が記載されている。この構成によれば、舵角が大きい車両旋回時にコーナーリングフォースの最大値であるCFmaxを下げられる。このため、重心位置が高い車両でも、旋回時にタイヤがグリップし過ぎることを防止して車両が大きくバランスを崩すことを防止できる。
特許文献1の空気入りタイヤのように、接地端外にタイヤ周方向、またはこの周方向に近い角度で伸びる広い溝を形成する手段によりCFmaxを下げることは、旋回時にタイヤの接地部の剛性が急激に変化して、車両の挙動の不安定につながる可能性がある。このため、接地端外の溝とは異なる手段によりCFmaxを低下させることが望まれる。
本発明の目的は、接地端外の溝とは異なる手段によりCFmaxを低下できる空気入りタイヤを提供することである。
本発明に係る空気入りタイヤは、タイヤ軸方向一方側半部について、前記タイヤ軸方向外端部に設けられたショルダーブロックであって、前記タイヤ軸方向中央側端がタイヤ周方向の主溝であるショルダー主溝で規定されるショルダーブロックを含むトレッドを備え、前記ショルダーブロックには、前記タイヤ周方向に延びる少なくとも1つの周方向サイプが形成され、前記周方向サイプの前記タイヤ軸方向位置は、前記ショルダー主溝から接地端までの長さに対し、前記ショルダー主溝から50%以上90%以下の長さの前記タイヤ軸方向位置にある、空気入りタイヤである。
本発明に係る空気入りタイヤによれば、タイヤ軸方向一方側半部について、ショルダーブロックの接地面内に周方向サイプが形成される。これにより、(1)タイヤの接地面において、応力集中発生部分が増えるので、平均接触圧力が高くなり、タイヤの接地端部での摩擦係数が低下する。このため、CFmaxの低下を図れる。(2)また、周方向サイプによりショルダーブロック内で、周方向サイプ付近と、ショルダー主溝近くとで剛性差をつけることができる。これにより、タイヤの接地面付近で内部のベルト内側が圧縮されることにより、ショルダーブロックのショルダー主溝側端が、ショルダーブロック51に向かって窪んだ弓形となり、接地性が悪化するバックリングがより生じやすくなる。このため、ショルダーブロックのショルダー主溝付近で接地性が低下し、接地面積が減少し接触圧力が高くなる。これによってもタイヤの接地端部での摩擦係数が低下するので、接地端外の溝とは異なる手段によりCFmaxの低下を図れる。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態の一例について詳細に説明する。以下で説明する実施形態はあくまでも一例であって、本発明は以下の実施形態に限定されない。また、以下で説明する複数の実施形態及び変形例の各構成要素を選択的に組み合わせることは本発明に含まれている。
図1は、実施形態の一例である空気入りタイヤ1の断面図である。図2は、図1に示すトレッド10の周方向一部の平面図である。図3は、図2のA部拡大図である。図1、図2に示すように、空気入りタイヤ1は、路面に接地する部分であるトレッド10を備える。以下、「空気入りタイヤ1」は、「タイヤ1」と記載する。トレッド10は、タイヤ軸方向に離れた複数のブロックを含むトレッドパターンを有し、タイヤ周方向(図2、図3の上下方向)に沿って環状に形成されている。図1~図3では、OUT側、IN側は、車両へのタイヤ1の取付状態で、それぞれ車両外側、車両内側を示している。
トレッド10は、例えば4本のタイヤ周方向の主溝である2本のセンター主溝20と2本のショルダー主溝21とにより区画されるブロック40,44,45,50,51を備える。ブロック40,44,45,50、51は、トレッド10の基準面からタイヤ径方向外側に向かって突出した突出部である。「基準面」とは、最も深い各センター主溝20と各ショルダー主溝21の底面に沿った仮想面であって、ブロックが存在しない場合のトレッド10の外周面を意味する。各センター主溝20と各ショルダー主溝21のタイヤ径方向の深さは略同じである。トレッド10には、2本のセンター主溝20と2本のショルダー主溝21によって、上記ブロックとして、タイヤ軸方向中央CLを含むセンターブロック40と、センターブロック40のタイヤ軸方向両側に、センター主溝20を介して設けられた2つのメディエイトブロック44,45と、2つのメディエイトブロック44,45のそれぞれのタイヤ軸方向外側に、ショルダー主溝21を介して設けられた2つのショルダーブロック50,51とを有する。これにより、2つのショルダーブロック50,51は、タイヤ軸方向(図2、図3の左右方向)両側に設けられ、タイヤ軸方向中央CL側端がショルダー主溝21で規定される。センターブロック40、メディエイトブロック44,45、及びショルダーブロック50,51のタイヤ軸方向両端は、タイヤ軸方向中央CLを中心として略対称に位置している。
センターブロック40、2つのメディエイトブロック44,45、及び2つのショルダーブロック50,51のそれぞれはタイヤ周方向の全周に連続するリブ状である、
タイヤ1は、トレッド10よりタイヤ軸方向外側に設けられ、最もタイヤ軸方向外側に膨らんだサイドウォール12と、ホイールのリムに固定されるビード14とを備える。サイドウォール12とビード14は、タイヤ周方向に沿って環状に形成され、タイヤ側面13を構成している。サイドウォール12は、トレッド10の軸方向両端からタイヤ径方向内側に延びている。
タイヤ1は、所定圧の空気が充填される空気入りタイヤである。トレッド10とサイドウォール12は、例えば、異なる種類のゴムで構成されている。
トレッド10の軸方向両端に配置されるショルダーブロック50,51では、接地面のタイヤ軸方向外側の端である接地端T(図2)を含んでいる。これにより、トレッド10は、タイヤ軸方向一方側(図1~図3の右側)半部について、タイヤ軸方向外端部に設けられ、接地端Tを有するショルダーブロック51を含む。ショルダーブロック51は、タイヤ軸方向中央側端がタイヤ周方向の主溝であるショルダー主溝21で規定される。また、トレッド10は、タイヤ軸方向他方側(図1~図3の左側)半部について、タイヤ軸方向外端部に設けられ、接地端Tを有するショルダーブロック50を含む。ショルダーブロック50は、タイヤ軸方向中央側端がタイヤ周方向の主溝であるショルダー主溝21で規定される。
各ショルダーブロック50,51のタイヤ軸方向端部は、接地端Tよりタイヤ軸方向外側にはみ出して、外周面が外側に向かって凸となるようにタイヤ径方向内側に緩やかに湾曲している。各ショルダーブロック50の接地端Tよりタイヤ軸方向外側にはみ出した部分は、バットレスと呼ばれる。
「接地端T」とは、未使用のタイヤ1を正規リムに装着して正規内圧となるように空気を充填した状態で、正規内圧における正規荷重の70%の負荷を加えたときに平坦な路面に接地する領域のタイヤ軸方向両端を意味する。
ここで、「正規リム」とは、タイヤ規格により定められたリムであって、JATMAであれば「標準リム」、TRAであれば「Design Rim」、ETRTOであれば「Measuring Rim」である。「正規内圧」は、JATMAであれば「最高空気圧」、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「INFLATION PRESSURE」である。「正規荷重」は、JATMAであれば「最大負荷能力」、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「LOAD CAPACITY」である。
タイヤ1は、カーカス15、ベルト16、及びインナーライナー17を備える。カーカス15は、ゴムで被覆されたコード層であり、荷重、衝撃、空気圧等に耐えるタイヤ1の骨格を形成する。ベルト16は、トレッド10を構成するゴムとカーカス15の間に配置される補強帯である。ベルト16は、カーカス15を強く締めつけてタイヤ1の剛性を高める。インナーライナー17は、カーカス15の内周面に設けられたゴム層であって、タイヤ1の空気圧を保持する。また、ビード14は、ビードコア14aとビードフィラー14bを有する。
実施形態のタイヤ1のトレッド10は、軸方向両側の半部同士で、各ブロックのサイプ及びスリットを除いて、タイヤ軸方向中央CLについて略線対称の構成を有する。また、トレッド10の軸方向両側の半部同士で、ショルダーブロック50,51に設けた後述の周方向サイプ53、軸方向サイプ55、及びスリット60と、メディエイトブロック44,45に設けた後述の外側溝47及び内側サイプ49は、タイヤ周方向の位置は異なるが基本構成は軸方向両側の半部同士で同様である。このため、以下では、ショルダーブロック50,51、メディエイトブロック44,45、センター主溝20、及びショルダー主溝21について、タイヤ軸方向一方側(図1~図3の右側)半部のショルダーブロック51、メディエイトブロック45、センター主溝20、及びショルダー主溝21の構成を中心に説明する。
実施形態では、タイヤ軸方向一方側半部について、ショルダーブロック51のタイヤ軸方向所定位置には、タイヤ周方向に延びる複数の周方向サイプ53が形成される。複数の周方向サイプ53は、タイヤ周方向に離れて形成される。各周方向サイプ53のタイヤ軸方向位置は、ショルダー主溝21から接地端Tまでの長さL2(図3)に対し、ショルダー主溝21から50%以上90%以下の長さのタイヤ軸方向位置にある。これにより、ショルダー主溝21から周方向サイプ53までのタイヤ軸方向長さL1は、L2×(50/100)~L2×(90/100)を満たす。各周方向サイプ53の幅は、例えば1mm以下である。このような周方向サイプ53の形成によって、後述のように、接地端外の溝とは異なる手段によりCFmaxを低下できる。
さらに、実施形態では、タイヤ軸方向一方側半部について、ショルダーブロック51のタイヤ周方向複数位置に、略タイヤ軸方向に延びる複数のスリット60が形成される。スリット60は、ショルダー側スリットに相当する。各スリット60のタイヤ軸方向内端は、ショルダーブロック51内で終端し、ショルダーブロック51の壁面には開口しない。各スリット60の幅は、周方向サイプ53及び後述の軸方向サイプ55の幅より大きい。このようなスリット60の形成によって、タイヤ軸方向外側への排水性の向上を図れる。
さらに、各周方向サイプ53は、ショルダーブロック51において、周方向に隣り合う2つのスリット60間に形成される。各周方向サイプ53の長さ(タイヤ周方向長さ)Laは、周方向サイプ53が挟まれる当該2つのスリット60間の、タイヤ軸方向(図3の左右方向)について周方向サイプ53と同じ位置での長さLbの50%以上、90%以下である。周方向サイプ53の長さLaがスリット60間長さLbの50%より小さいと、周方向サイプ53を設けたことによりCFmaxを低下できる効果が小さくなる。一方、周方向サイプ53の長さLaがスリット60間長さLbの90%より大きいと、ショルダーブロック51の中央部の剛性が低くなり、良好な操安性を確保できない。
さらに、各スリット60のショルダー主溝21側端は、ショルダー主溝21から離れている。各スリット60のショルダー主溝21側端は、ショルダー主溝21から接地端Tまでの長さL2に対し、ショルダー主溝から15%以上50%以下の長さのタイヤ軸方向位置にある。これにより、ショルダー主溝21からスリット60のショルダー主溝21側端までのタイヤ軸方向長さL3は、L2×(15/100)~L2×(50/100)を満たす。このため、スリット60は、ショルダー主溝21に達しない、すなわちショルダー主溝21に連通しない。
このようなスリット60をショルダーブロック51に形成することにより、良好な排水性を確保しながら、ショルダーブロック51におけるショルダー主溝21近傍の剛性を高くできる。これにより、ショルダーブロック51におけるショルダー主溝21近傍で発生するバックリングを促進できる。このため、ショルダーブロック51における摩擦係数が低下し、結果として、CFmaxの更なる低下を図れる。これについては、後で詳しく説明する。
ショルダー主溝21からスリット60のショルダー主溝21側端までのタイヤ軸方向長さL3が、ショルダー主溝21から接地端Tまでの長さL2の15%より小さいと、ショルダーブロック51におけるショルダー主溝21近傍の剛性を高くできる効果がなくなるか、または僅少になる。ショルダー主溝21からスリット60のショルダー主溝21側端までのタイヤ軸方向長さL3が、長さL2の50%より大きいと、良好な排水性を確保できない。
ショルダーブロック51は、タイヤ周方向に隣り合う2つのスリット60間において、スリット60より幅狭で、周方向サイプ53に略十字形に交差するように、ショルダー主溝21からタイヤ軸方向に延びる軸方向サイプ55を含んでいる。軸方向サイプ55の長さL4は、ショルダー主溝21から接地端Tまでの長さL2の110%以上である。これにより、長さL4は、L2×(110/100)以上を満たす。このため、後述のように、良好な排水性を確保しながら、CFmaxのさらなる低下を図れる。長さL4が、L2×(110/100)より小さいと、舵角によって軸方向サイプ55が接地端Tにかかる場合と接地端Tから外れる場合とが生じるので、車両挙動が不安定になる。
さらに、実施形態では、タイヤ軸方向一方側半部について、メディエイトブロック45は、周方向副溝46を含む。周方向副溝46は、メディエイトブロック45のタイヤ軸方向の所定位置にタイヤ周方向に延びるように形成される。例えば、周方向副溝46は、メディエイトブロック45のタイヤ軸方向中央より少しタイヤ軸方向外側に片寄った位置に、タイヤ周方向に延びるように形成される。周方向副溝46の幅は、センター主溝20及びショルダー主溝21の幅より小さい。
メディエイトブロック45の周方向副溝46より、タイヤ軸方向第1側であるタイヤ軸方向外側には、複数の外側小ブロック48が設けられる。複数の外側小ブロック48は、タイヤ軸方向に対し傾斜した方向に延びる複数の外側溝47によりタイヤ周方向に分断される。外側溝47は、メディエイト側スリットに相当する。
また、メディエイトブロック45の周方向副溝46より、タイヤ軸方向第2側であるタイヤ軸方向内側には、複数の内側大ブロック62が設けられる。複数の内側大ブロック62は、タイヤ軸方向に対し傾斜した方向に延びる複数の内側溝である細線状の内側サイプ49によりタイヤ周方向に分断される。各内側大ブロック62は、各外側小ブロック48より接地面積が大きい。さらに、複数の外側小ブロック48の総接地面積は、メディエイトブロック45の接地面積の30~50%である。
これにより、舵角がない、または小さい定常走行時には、メディエイトブロック45の内側大ブロック62の剛性を外側小ブロック48の剛性より高くできるので、タイヤの接地中央部の剛性を高くでき、定常走行時の運動性能を高くできる。また、メディエイトブロック45では、旋回時の舵角が大きいときのバックリングが、ショルダーブロック51より発生しにくい。一方、各内側大ブロック62は、各外側小ブロック48より接地面積が大きいので、外側小ブロック48の接地面積の減少により接地圧力を高くできることによりタイヤの接地端部での摩擦係数を低下できる。特に、メディエイトブロック45の接地面積に対し、複数の外側小ブロック48の総接地面積が50%以下であるので、外側小ブロック48の接地圧力をより高くしやすい。これにより、タイヤの接地面外側での摩擦係数をより低下しやすい。この結果、CFmaxの低下を図れる。
また、複数の外側小ブロック48の総接地面積が、メディエイトブロック45の接地面積の30~50%であるので、外側小ブロック48の良好な摩耗性能と、定常走行時の良好な運動性能を確保できる。複数の外側小ブロック48の総接地面積がメディエイトブロック45の接地面積の30%より小さいと、外側小ブロック48の接地圧力が過度に高くなり、接地部についての摩擦係数が過度に低下する。これにより、タイヤの良好な摩耗性能を確保することが難しくなる。一方、複数の外側小ブロック48の総接地面積がメディエイトブロック45の接地面積の50%より大きいと、内側大ブロック62により接地中央部の剛性が低くなる。これにより、タイヤの定常走行時の良好な運動性能を確保することが難しくなる。
また、メディエイトブロック45の内側サイプ49の幅は、外側溝47より小さい。内側サイプ49の幅は1mm以下である。これにより、タイヤ接地時に内側サイプ49の開口が塞がれやすい。このため、メディエイトブロック45の周方向副溝46よりもタイヤ軸方向内側(内側大ブロック62側)の剛性を、周方向副溝46よりタイヤ軸方向外側(外側小ブロック48側)の剛性より、さらに高くしやすい。これにより、定常走行時の運動性能をより高くできる。
さらに、センターブロック40には、複数のセンター小ブロック42が設けられる。複数のセンター小ブロック42は、センターブロック40において、タイヤ軸方向に対し傾斜した方向に延びる複数の細線状のセンターサイプ41により、タイヤ周方向に分断される。センターサイプ41はセンター溝に相当する。各内側大ブロック62の接地面積は、各センター小ブロック42の接地面積の100~120%である。
これにより、タイヤの接地中央部での接触圧力を均一に近づけることができるので、接地中央部の摩擦係数の不均一が抑制されることにより、制動力の不均一を抑制できる。このため、定常走行時の制動性能を高くできる。このとき、センター小ブロック42が位置するタイヤ軸方向中央CLのタイヤ周方向の接地長は、内側大ブロック62が位置するタイヤ軸方向位置の接地長に対し約110%の長さであり、内側大ブロック62の位置での接地長より長い。また、定常走行時において、タイヤ軸方向中央CLの接地部全体と、内側大ブロック62が位置するタイヤ軸方向位置の接地部全体とにかかる接地荷重はほぼ同じである。このため、内側大ブロック62では、内側大ブロック62が位置するタイヤ軸方向位置の接地部全体の接地長が短くなる分、各内側大ブロックの接地面積を大きくすることで、各センター小ブロック42との間での接触圧力の差を小さくする、またはなくすことができる。各センター小ブロック42の接地圧と各内側大ブロック62の接地圧とを均一に近づける面からは、各内側大ブロック62の接地面積を、各センター小ブロック42の接地面積に対し約110%とすることがより好ましい。
上記のように、センターブロック40、メディエイトブロック45、及びショルダーブロック51の接地面には、略タイヤ軸方向、またはタイヤ軸方向に対し傾斜した方向に延びる複数の細線状のサイプ41,49,53,55が形成される。各サイプ41,49,53,55は、雪や氷をひっかくエッジ効果を高め、雪氷路面での良好な制駆動性、操縦安定性を実現する効果を有する。
さらに、実施形態では、センター主溝20の容積に対するショルダー主溝21の容積の割合は90~100%である。これにより、センター主溝20の排水性を保ちつつ、ノイズ性能を改善できる。
また、2つのセンター主溝20の幅と2つのショルダー主溝21の幅との和を総主溝幅Wzとしたときに、2つの接地端T間の接地幅Ltに対する総主溝幅Wzの割合は20%~25%である。接地幅Ltに対する総主溝幅Wzの割合が20%より小さいと、排水性が悪化する。一方、接地幅Ltに対する総主溝幅Wzの割合が50%より大きいと、ノイズ性能の悪化抑制の効果が小さくなる。
また、各ショルダーブロック51に形成されたスリット60のショルダー主溝21側端がショルダー主溝21から離れているので、ショルダー主溝21からスリット60への音の伝搬を防止すると共に、タイヤの接地端部の排水性を向上できる。
また、メディエイトブロック45のタイヤ軸方向外側には上記の外側溝47が形成される。メディエイトブロック45のタイヤ軸方向内側には上記の内側サイプ49が形成される。内側サイプ49の溝幅は、外側溝47の溝幅より小さい1mm以下である。さらに、メディエイトブロック45のタイヤ軸方向長さL5に対し、各内側サイプ49の長さL6は50%以上である。
上記のように、メディエイトブロック45のタイヤ軸方向内側に溝幅が小さい内側サイプ49が形成される。これにより、メディエイトブロック45の内側サイプ49の形成部分が接地することにより内側サイプ49が塞がるため、センター主溝20とショルダー主溝21との間での音の伝搬を抑制できる。また、内側サイプ49の一端はメディエイトブロック45の両側の主溝であるセンター主溝20及びショルダー主溝21のうち、一方の主溝であるセンター主溝20にしか連通していない。内側サイプ49の他端は、メディエイトブロック44,45のタイヤ軸方向外側の外側溝47と突き合わせるように配置される。これにより、ショルダー主溝側への排水性を高くしながら、センター主溝20及びショルダー主溝21間での音の伝搬を抑制してノイズ性能を向上できる。
内側サイプ49の長さL6がメディエイトブロック45のタイヤ軸方向長さL5に対し、50%より小さいと、内側大ブロック62の剛性が低くなる。路面にタイヤが接触する際にゴムが変形することにより内側サイプ49は塞がりやすい。一方、内側大ブロック62の剛性が低いと旋回時等にタイヤに外力が生じた場合に、ゴムが過度に変形しやすくなり、内側サイプ49が広がりやすくなることにより内側サイプ49を通じた音の伝搬が生じてノイズ性能の悪化抑制の効果が小さくなる。一方、内側サイプ49の溝幅が1mmより大きくなると、センター主溝20とショルダー主溝21との間での音の伝搬抑制効果が小さくなる。
さらに、メディエイトブロック45に形成された外側溝47が、タイヤ軸方向外側のショルダー主溝21側に形成され、内側サイプ49がタイヤ軸方向内側のセンター主溝20側に形成される。これにより、溝幅の大きい外側溝47がショルダー主溝21側に配置されるので、メディエイトブロック45のセンター主溝20側からショルダー主溝21側に排水しやすくなる。このため、排水性を向上できる。特に、センター主溝20の容積を、ショルダー主溝21の容積以上とした場合には、センター主溝20の排水性が低下しやすくなる。このため、外側溝47をショルダー主溝21側に形成し、内側サイプ49をセンター主溝20側に形成することにより、排水性を向上できる効果が顕著になる。なお、排水性が低下するが、各メディエイトブロック45において幅広のメディエイト側スリットが、タイヤ軸方向内側のセンター主溝20側に形成され、幅狭のサイプがタイヤ軸方向外側のショルダー主溝21側に形成される構成としてもよい。これによっても、ノイズ性能を向上できる。この場合には、タイヤ軸方向内側がタイヤ軸方向第1側となり、タイヤ軸方向外側がタイヤ軸方向第2側となる。
また、実施形態では、タイヤ軸方向両側のショルダーブロック50,51のスリット60と軸方向サイプ55とについて、それぞれのタイヤ周方向位置が、2つのショルダーブロック50,51で異なっている。また、一方のショルダーブロック50のスリット60と他方のショルダーブロック51の軸方向サイプ55とがタイヤ周方向について略同じ位置にあり、一方のショルダーブロック50の軸方向サイプ55と他方のショルダーブロック51のスリット60とがタイヤ周方向について略同じ位置にある。
また、各メディエイトブロック44,45の各外側溝47と各内側サイプ49、及びセンターブロック40の各センターサイプ41は、タイヤ軸方向一方側(図2、図3の右側)に向かって、タイヤ周方向について同じ側に、略同じ角度で傾斜している。
また、各メディエイトブロック44,45において、外側溝47の数は、内側サイプ49の数の2倍である。タイヤ周方向について1つ置きの外側溝47と内側サイプ49とが同一の直線上に設けられる。これにより、ショルダー主溝21とセンター主溝20との間での排水性を高くできる。また、メディエイトブロック44,45の外側溝47と内側サイプ49とについて、それぞれのタイヤ周方向位置が、2つのメディエイトブロック44,45で異なっている。
上記のタイヤ1によれば、タイヤ軸方向一方側半部と、タイヤ軸方向他方側半部とのそれぞれについて、ショルダーブロック50,51には、タイヤ周方向に延びる複数の周方向サイプ53が形成される。周方向サイプ53のタイヤ軸方向位置は、ショルダー主溝21から接地端Tまでの長さL2に対し、ショルダー主溝21から50%以上90%以下の長さのタイヤ軸方向位置にある。
これにより、ショルダーブロック50,51の接地面内に周方向サイプ53が形成される。このため、(1)タイヤ1の接地面において、応力集中発生部分が増えるので、平均接触圧力が高くなり、タイヤ1の接地端部での摩擦係数が低下する。このため、接地端外の溝とは異なる手段である周方向サイプ53により、CFmaxの低下を図れる。(2)また、周方向サイプ53によりショルダーブロック50,51内で、周方向サイプ53付近と、ショルダー主溝21近くとで剛性差をつけることができる。これにより、タイヤ1の接地面付近で内部のベルト16内側が圧縮されることにより、ショルダーブロック50,51のショルダー主溝21側端が、ショルダーブロック51に向かって窪んだ弓形となり、接地性が悪化するバックリングがより生じやすくなる。このため、ショルダーブロック50,51のショルダー主溝21付近で接地性が低下し、接地面積が減少し接触圧力が高くなる。これによってもタイヤ1の接地端部での摩擦係数が低下するので、CFmaxの低下を図れる。
この結果、重心位置が高い車両でも、旋回時にタイヤ1がグリップし過ぎることを防止して車両が大きくバランスを崩すことを防止できる。また、接地端外の溝とは異なる手段により、CFmaxを低下できるので、その溝が舵角に応じて接地端にかかることがなく、車両挙動の安定を図れる。
図4を用いて、周方向サイプ53によりバックリングがより生じやすくなる効果が得られる理由を説明する。図4は、図1のタイヤ1と同様にトレッドが複数のブロック40,44,45,50,51を有する構成において、大舵角の旋回時のトレッドの接地圧力分布を示している。図4では、タイヤの接地部において、複数のブロック40,44,45,50,51の接触圧力が高い領域を示しており、旋回内側のショルダーブロック50から旋回外側のショルダーブロック51に向かって、接地領域が大きくなっている。そして、直進走行時のタイヤが向く方向を縦方向で示し、そのときのタイヤ軸方向を横方向で示している。また、最も接地圧が高い領域を黒で塗りつぶした領域で示し、砂地の高濃度の領域、中濃度の領域、低濃度の領域の順に接地圧が低くなり、無地の領域が最も接地圧が低い領域を示している。なお、図4では、各ブロック40,44,45,50,51にサイプや周方向副溝、及びスリットがないと仮定した状態で接地圧力分布を計算している。
図4の接地圧分布図から分かるように、旋回時には旋回外側のショルダーブロック51で最も接地圧が高い領域が広がっている。さらに、旋回外側のショルダーブロック51においてショルダー主溝21側端で接地部を示す線がショルダーブロック51に向かって窪んだ弓形となっている。このような現象が生じる理由は、ショルダーブロック51のショルダー主溝21近傍でベルト16内側が圧縮されるバックリングが生じることにより、接地性が悪化するためと考えられる。
本実施形態では、ショルダー主溝21の直線Bで示す付近にタイヤ周方向に不連続な周方向サイプ53が形成されるので、その部分に応力集中発生部分が増える。これにより、その部分の平均接触圧力がさらに高くなるので、摩擦係数が低下することにより、CFmaxが低下する。また、周方向サイプ53がある部分の近傍では剛性が低くなり、ショルダー主溝21の近傍との間での剛性差が大きくなる。これにより、バックリングが促進されやすくなり、ショルダーブロック51のショルダー主溝21付近の接地性がさらに低下する。このため、接地面積の減少により、接触圧力が高くなり、タイヤの接地端部での摩擦係数が低下するので、これによってもCFmaxの低下を図れる。
さらに、実施形態では、ショルダーブロック50,51のスリット60をショルダー主溝21に貫通させないので、ショルダーブロック50,51のショルダー主溝21付近の剛性をより高くできる。これによってもバックリングを促進できるので、タイヤ1の接地端部での摩擦係数を低下できることにより、CFmaxのさらなる低下を図れる。
次に、本発明者が実施形態の効果を確認するために行った第1~第4のシミュレーション結果を説明する。各シミュレーションでは、実施例及び比較例のタイヤを用いて、周方向サイプのタイヤ軸方向位置がCFmaxに及ぼす影響を確認した。
まず、第1のシミュレーションでは、実施例1~3と、比較例1~2を用い、周方向サイプ53の長さ、軸方向サイプ55の長さ、及びショルダーブロック50,51のスリット60のショルダー主溝21側端のタイヤ軸方向位置(スリット内端位置)をそれぞれ同じとした。実施例1~3は、図1~図3に示した実施形態と同様の構成を有する。実施例1~3では、ショルダー主溝21から周方向サイプ53の位置までの長さについて、ショルダー主溝21から接地端Tまでの長さL2に対する割合(%)を、50、70、90%で異ならせた。
比較例1では、ショルダー主溝21から周方向サイプ53の位置までの長さについて、ショルダー主溝21から接地端Tまでの長さL2に対する割合(%)を40%とし、比較例2では100%とした。比較例1,2において、それ以外の構成は実施例1と同様である。
表1は、実施例1~3、比較例1~2における、CFmaxと車両挙動のシミュレーション結果を示している。表1において、「周方向サイプの位置」の欄の数値は、ショルダー主溝21から接地端Tまでの長さL2に対する、ショルダー主溝21から周方向サイプ53の位置までの長さL1の割合(%)である。表1の「周方向サイプ」の欄の数値は、周方向サイプ53が挟まれる2つのスリット60間の長さLbに対する周方向サイプ53の長さLaの割合(%)である。表1の「軸方向サイプの長さ」の欄の数値は、長さL2に対する軸方向サイプ55の長さL4の割合(%)である。表1の「スリット内端位置」の欄の数値は、長さL2に対する、ショルダー主溝21からスリット60のショルダー主溝21側端までの長さL3の割合(%)である。
表1では、シミュレーション結果として、比較例1の場合のCFmaxを基準値の100とした場合の、実施例1~3及び比較例2の値を、相対値で示している。表1では、シミュレーション結果として、「車両挙動」の欄で、Aは車両挙動が安定であることを、Cは車両挙動が不安定であることを示している。
表1のシミュレーション結果から分かるように、比較例1の場合には、周方向サイプ53の位置がショルダー主溝21に近いため、CFmaxの低減効果を得られなかった。比較例2の場合には、周方向サイプ53が接地端Tにかかり、車両挙動が不安定となった。
一方、実施例1~3の場合には、周方向サイプ53が適切な範囲に設けられるので、CFmaxを低下できると共に、車両挙動が安定であることを確認できた。これにより、本発明の効果を確認できた。
第2のシミュレーションでは、実施例1、4~6と、比較例3を用い、軸方向サイプ55の長さ、及びショルダーブロック50,51のスリット60のショルダー主溝21側端のタイヤ軸方向位置(スリット内端位置)を同じとした。実施例4~6は、図1~図3に示した実施形態と同様の構成を有する。実施例4~6では、ショルダー主溝21から周方向サイプ53の位置までの長さについて、ショルダー主溝21から接地端Tまでの長さL2に対する割合(%)を、同じ50%とする一方、周方向サイプ53が挟まれる2つのスリット60間の長さLbに対する周方向サイプ53の長さLaの割合(%)を、50,70,90,100%で異ならせた。
比較例3では、ショルダー主溝21から周方向サイプ53の位置までの長さについて、ショルダー主溝21から接地端Tまでの長さL2に対する割合(%)を40%とした。また、比較例3では、周方向サイプ53が挟まれる2つのスリット60間の長さLbに対する周方向サイプ53の長さLaの割合(%)を、40%とした。比較例3において、それ以外の構成は実施例1と同様である。
表2は、実施例1、4~6と、比較例3における、CFmaxと操安性のシミュレーション結果を示している。表2における、周方向サイプの位置及び長さ、軸方向サイプの長さ及びスリット内端位置の欄の数値の意味は、表1と同様である。
表2では、シミュレーション結果として、比較例1の場合のCFmaxを基準値の100とした場合の、実施例1、4~6と、比較例3の値を、相対値で示している。表2では、シミュレーション結果として、操安性の欄で、Aが最も操安性が良好であり、B、Cの順に操安性が低下することを示し、Cは操安性が不十分であることを示している。
表2のシミュレーション結果から分かるように、比較例3の場合には、周方向サイプ53の位置がショルダー主溝21に近いため、CFmaxの低減効果を得られなかった。
一方、実施例1,4~6の場合には、周方向サイプ53が適切な範囲に設けられるので、CFmaxを低下できた。また、比較例3、実施例1,4,5の場合には、2つのスリット60間の長さLbに対する周方向サイプ53の長さLaの割合(%)が90%以下であるので、十分な操安性を確保できた。一方、実施例6の場合には上記長さLaの割合が100%であるため、ショルダーブロック50,51の中央部の剛性が低くなるので、操安性が不十分であることが確認された。
第3のシミュレーションでは、実施例1、7と、比較例4を用い、周方向サイプ53の長さ、及びショルダーブロック50,51のスリット60のショルダー主溝21側端のタイヤ軸方向位置(スリット内端位置)を同じとした。実施例7は、図1~図3に示した実施形態と同様の構成を有する。実施例1、7では、ショルダー主溝21から周方向サイプ53の位置までの長さについて、ショルダー主溝21から接地端Tまでの長さL2に対する割合(%)を、同じ50%とする一方、長さL2に対する軸方向サイプ55の長さL4の割合(%)を110、120%で異ならせた。
比較例4では、ショルダー主溝21から周方向サイプ53の位置までの長さについて、ショルダー主溝21から接地端Tまでの長さL2に対する割合(%)を40%とし、長さL2に対する軸方向サイプ55の長さL4の割合(%)を100%とした。比較例4において、それ以外の構成は実施例1と同様である。
表3は、実施例1、7と、比較例4における、CFmaxと車両挙動のシミュレーション結果を示している。表3における、周方向サイプの位置及び長さ、軸方向サイプの長さ及びスリット内端位置の欄の数値の意味は、表1と同様である。
表3では、シミュレーション結果として、比較例1の場合のCFmaxを基準値の100とした場合の、実施例1、7と、比較例4の値を、相対値で示している。表3では、シミュレーション結果として、車両挙動の欄で、表1と同様に、安定(A)、不安定(C)を示している。
表3のシミュレーション結果から分かるように、比較例4の場合には、周方向サイプ53の位置がショルダー主溝21に近いため、CFmaxの低減効果を得られなかった。さらに、軸方向サイプ55の長さの割合が100%であるため、軸方向サイプ55の車両軸方向外端が接地端Tにかかることにより、車両挙動が不安定であることが確認された。
一方、実施例1,7の場合には、周方向サイプ53が適切な範囲に設けられるので、CFmaxを低下できた。また、実施例1,7の場合には、軸方向サイプ55も適切な範囲に設けられるので、車両挙動が安定であることを確認できた。
第4のシミュレーションでは、実施例1、8~10と、比較例5を用い、周方向サイプ53及び軸方向サイプ55の長さを同じとした。実施例8~10は、図1~図3に示した実施形態と同様の構成を有する。実施例1、8~10では、ショルダー主溝21から周方向サイプ53の位置までの長さについて、ショルダー主溝21から接地端Tまでの長さL2に対する割合(%)を同じ50%とする一方、長さL2に対する、ショルダー主溝21からスリット60のショルダー主溝21側端のタイヤ軸方向位置(スリット内端位置)までの長さL3の割合(%)を15、30、50,60%で異ならせた。
比較例5では、ショルダー主溝21から周方向サイプ53の位置までの長さについて、ショルダー主溝21から接地端Tまでの長さL2に対する割合(%)を40%とした。また、比較例5では、長さL2に対する、ショルダー主溝21からスリット60のショルダー主溝21側端のタイヤ軸方向位置(スリット内端位置)までの長さL3の割合(%)を5%とした。比較例5において、それ以外の構成は実施例1と同様である。
表4は、実施例1、8~10と、比較例5における、CFmaxと排水性のシミュレーション結果を示している。表4における、周方向サイプの位置及び長さ、軸方向サイプの長さ及びスリット内端位置の欄の数値の意味は、表1と同様である。
表4では、シミュレーション結果として、比較例1の場合のCFmaxを基準値の100とした場合の、実施例1、8~10と、比較例5の値を、相対値で示している。表4では、シミュレーション結果として、排水性の欄で、比較例5の場合の排水性を基準値の100とした場合の、実施例1、8~10の値を、相対値で示している。
表4のシミュレーション結果から分かるように、比較例5の場合には、周方向サイプ53の位置がショルダー主溝21に近いため、CFmaxの低減効果を得られなかった。一方、比較例5では、スリット60のショルダー主溝21側端がショルダー主溝21に近いので、排水性は良好であった。
実施例1,8~10の場合には、周方向サイプ53が適切な範囲に設けられるので、CFmaxを低下できた。また、実施例1,8,9の場合には、スリット60のショルダー主溝21側端が適切な範囲に設けられるので、排水性を比較例5と同様に良好に確保できることを確認できた。一方、実施例10の場合には、スリット60のショルダー主溝21側端がショルダー主溝21側端から大きく離れた位置に設けられるので、排水性が大きく低下することが確認された。
なお、上記の実施形態では、各メディエイトブロック44,45の各外側溝47及び各内側サイプ49がタイヤ軸方向に対し傾斜した方向に延びている場合を説明したが、それぞれタイヤ軸方向に延びる形状としてもよい。また、実施形態では、センターブロック40の各センタースリット60がタイヤ軸方向に延びる形状としてもよい。また、実施形態では、周方向サイプ53は、各ショルダーブロック50,51に1つのみ形成されてもよい。
また、実施形態では、各ショルダーブロック50,51の各周方向サイプ53の長さを、周方向サイプ53が挟まれる当該2つのスリット60間の長さに対し、50%以上、90%以下の範囲外としてもよい。また、実施形態では、ショルダーブロック50,51が、ショルダー主溝21に非貫通のスリットを有しない構成としてもよい。
1 空気入りタイヤ(タイヤ)、10 トレッド、12 サイドウォール、13 タイヤ側面、14 ビード、14a ビードコア、14b ビードフィラー、15 カーカス、16 ベルト、17 インナーライナー、20 センター主溝、21 ショルダー主溝、40 センターブロック、41 センターサイプ、42 センター小ブロック、44,45 メディエイトブロック、46 周方向副溝、47 外側溝、48 外側小ブロック、49 内側サイプ、50,51 ショルダーブロック、53 周方向サイプ、55 軸方向サイプ、60 スリット、62 内側大ブロック。
Claims (4)
- タイヤ軸方向一方側半部について、前記タイヤ軸方向外端部に設けられたショルダーブロックであって、前記タイヤ軸方向中央側端がタイヤ周方向の主溝であるショルダー主溝で規定されるショルダーブロックを含むトレッドを備え、
前記ショルダーブロックには、前記タイヤ周方向に延びる少なくとも1つの周方向サイプが形成され、
前記周方向サイプの前記タイヤ軸方向位置は、前記ショルダー主溝から接地端までの長さに対し、前記ショルダー主溝から50%以上90%以下の長さの前記タイヤ軸方向位置にある、
空気入りタイヤ。 - 前記ショルダーブロックは、前記タイヤ周方向複数位置に形成され、前記タイヤ軸方向に延びる複数のスリットを含み、
前記周方向サイプは、前記ショルダーブロックにおいて、隣り合う2つの前記スリット間に形成され、
前記周方向サイプの長さは、前記周方向サイプが挟まれる当該2つのスリット間の長さの50%以上、90%以下である、
請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - 前記ショルダーブロックは、隣り合う2つの前記スリット間において、前記スリットより幅狭で、前記周方向サイプに交差するように、前記ショルダー主溝から前記タイヤ軸方向に延びる軸方向サイプを含み、
前記軸方向サイプの長さは、前記ショルダー主溝から前記接地端までの長さの110%以上である、
請求項2に記載の空気入りタイヤ。 - 前記ショルダーブロックは、前記タイヤ周方向複数位置に形成され、前記タイヤ軸方向に延びる複数のスリットを含み、
前記複数のスリットのそれぞれの前記ショルダー主溝側端は、前記ショルダー主溝から離れており、前記ショルダー主溝から前記接地端までの長さに対し、前記ショルダー主溝から15%以上50%以下の長さの前記タイヤ軸方向位置にある、
請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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