JP2024048822A - R-t-b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents

R-t-b系焼結磁石の製造方法 Download PDF

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Kazuki Yamamoto
英樹 石田
Hideki Ishida
憲司 栗田
Kenji Kurita
健吾 大林
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Abstract

Figure 2024048822000001
【課題】製造工程中の回収される固形再生原料の適切な利用を可能にする。
【解決手段】R-T-B系焼結磁石の製造方法は、R-T-B系焼結磁石用原料合金を準備する合金準備工程と、前記原料合金から合金粉末を作製する粉砕工程と、前記合金粉末から粉末成形体を作製する成形工程と、前記粉末成形体から焼結体を作製する焼結工程と、を含む。前記粉砕工程、成形工程、および焼結工程を含む製造工程中に回収された固形再生原料の種類、および製造するべきR-T-B系焼結磁石の目標酸素濃度に応じて、前記固形再生原料を用いて作製された前記原料合金、および/または、前記固形再生原料から作製された粉末再製粉を混合した前記合金粉末を使用する。
【選択図】図1

Description

本開示は、R-T-B系焼結磁石の製造方法に関する。
R-T-B系焼結磁石(Rは希土類元素であり、Nd、PrおよびCeからなる群から選択される少なくとも1つを必ず含み、Tは遷移金属の少なくとも1つでありFeを必ず含み、Bはホウ素である)は、RFe14B型結晶構造を有する化合物の主相と、この主相の粒界部分に位置する粒界相および微量添加元素や不純物の影響により生成する化合物相とから構成されている。R-T-B系焼結磁石は、高い残留磁束密度B(以下、単に「B」と記載する場合がある)と、高い保磁力HcJ(以下、単に「HcJ」と記載する場合がある)を示し、優れた磁気特性を有することから、永久磁石の中で最も高性能な磁石として知られている。このため、R-T-B系焼結磁石は、電気自動車(EV、HV、PHV)等の自動車分野、風力発電等の再生可能エネルギー分野、家電分野、産業分野等のさまざまなモーターに使用されている。
R-T-B系焼結磁石などの希土類系R-T-B系焼結磁石は、原料合金を準備する工程、合金粉末を準備する工程、合金粉末をプレス成形して成形体を作製する工程、成形体を焼結する工程を経て製造される。合金粉末は、例えば、以下の方法で作製される。
まず、ストリップキャスト法などの方法によって各種原料金属の溶湯から原料合金を製造する。得られた原料合金を粉砕工程に供し、所定の粒径分布を有する原料合金粉末を得る。この粉砕工程には、通常、粗粉砕工程と微粉砕工程とが含まれており、前者は、例えば水素脆化現象を利用する「水素粉砕工程」によって行われる。後者は例えば気流式粉砕機(ジェットミル)を用いて行われる。成形体を焼結する工程によって得られた焼結体は、その後、研削、切断などの機械的な加工を施されて個片化される。
ストリップキャスト法などの方法によって作製された原料合金(主原料合金)の粉末に対して、組成調整用の合金(補助合金)の粉末を混合することが行われている。補助合金として、例えば、粉末成形の工程で発生した成形体不良品や、焼結工程で割れや欠けが発生したR-T-B系焼結磁石等の固形再生原料を用いることができれば、リサイクルにより、希少資源の無駄な消費が減り、また、製造コストを低下させることも可能になる。これらの製造工程中に得られる固形再生原料は、例えば、粗粉砕および微粉砕の工程を経て(前記成形体不良品の場合は、成形体不良品を焼結した後、粗粉砕および微粉砕の工程を経て)原料合金(ストリップキャスト合金)の粉末に混ぜて使用され得る。
特許文献1は、第1微粉末(再生原料微粉末)と第2微粉末(新原料微粉末)とを混合した粉末を用いて希土類焼結磁石を製造する方法を開示している。
特開2003-49234号公報
上記の固形再生原料の粉末を原料合金粉末に混合して使用すると、最終的に得られるR-T-B系焼結磁石の磁気特性が変動してしまうという問題がある。そのため、効率的に固形再生原料を利用して所望の磁気特性を有するR-T-B系焼結磁石を製造することが困難であった。
本開示の実施形態は、上記の問題を解決することを可能にするR-T-B系焼結磁石の製造方法を提供する。
本開示のR-T-B系焼結磁石の製造方法は、非限定的で例示的な態様において、R-T-B系焼結磁石用原料合金を準備する合金準備工程と、前記原料合金から合金粉末を作製する粉砕工程と、前記合金粉末から粉末成形体を作製する成形工程と、前記粉末成形体から焼結体を作製する焼結工程とを含み、前記粉砕工程、成形工程、および焼結工程を含む製造工程中に回収された固形再生原料の種類、および製造するべきR-T-B系焼結磁石の目標酸素濃度に応じて、前記固形再生原料を用いて作製された前記原料合金、および/または、前記固形再生原料から作製された粉末再製粉を混合した前記合金粉末を使用する。
本開示の実施形態によれば、製造工程中に回収された固形再生原料の種類、および製造するべきR-T-B系焼結磁石の目標酸素濃度に応じて、固形再生原料を用いて作製された原料合金を使用したり、固形再生原料から作製された粉末再製粉を混合した合金粉末を使用したりすることにより、最終的に得られるR-T-B系焼結磁石の磁気特性の変動を抑制することができるため、効率的に固形再生原料を利用して所望の磁気特性を有するR-T-B系焼結磁石を製造することができる。
図1は、R-T-B系焼結磁石の製造工程における「回収」の例を模式的に示す図である。 図2は、本開示のR-T-B系焼結磁石の製造方法における主な工程を示すフローチャートである。
発明者の検討の結果、最終的に得られるR-T-B系焼結磁石の磁気特性が変動する原因は、様々な品種のR-T-B系焼結磁石を製造する過程で回収される固形再生原料における酸素濃度が品種や回収される工程段階によって変動することに主に起因することがわかった。固形再生原料には、例えば900~7000ppm程度の濃度で酸素が含まれ得る。粉末再製粉は固形再生原料を粉砕すれば得られるため、効率的に固形再生原料を再利用することができる。しかし、得られた粉末再製粉には、固形再生原料と同レベルの酸素が含まれるため、このような濃度の酸素の存在が最終的に得られるR-T-B系焼結磁石の性能を左右することになる。これに対し、固形再生原料を用いて作製された原料合金は、固形再生原料の溶解時に酸素をスラグとして回収できるため、固形生成原料の酸素量に影響されず最終的に得られる原料合金の酸素レベルは低くなる。しかし、固形再生原料を用いて作製された原料合金は、固形再生原料を溶解する必要があるため、粉末再製粉を作製する場合と比べて効率的ではない。よって、製造工程中に回収された固形再生原料の種類、および製造するべきR-T-B系焼結磁石の目標酸素濃度に応じて、固形再生原料を用いて作製された原料合金を使用したり、固形再生原料から作製された粉末再製粉を混合した合金粉末を使用したりすれば、効率的に固形再生原料を利用して所望の磁気特性を有するR-T-B系焼結磁石を製造することができる。
本開示のR-T-B系焼結磁石の製造方法では、R-T-B系焼結磁石の製造工程中に回収される成形体および焼結体の割れ・欠けなどを再利用する。
図1は、R-T-B系焼結磁石の製造工程における「回収」の例を模式的に示す図である。図1の例において、R-T-B系焼結磁石の製造は、下記の工程を順次実行することによって進行する。
まず、合金入荷によって原料合金の入荷が行われる。原料合金は水素処理によって脆化され、粗く砕かれる(粗粉砕)。更にジェットミル装置などにより、微粉砕が行われる。微粉砕によって作製された粉末は、磁界中プレスなどによって成形されることにより、粉末の成形体が得られる。粉末成形体は、焼結炉で焼結されて焼結体(R-T-B系焼結磁石素材)が得られる。磁石特性向上のための熱処理を行った後、切断研磨などの機械的な加工を受けて所望の形状および大きさを持つR-T-B系焼結磁石が得られる。更にメッキなどの表面処理がなされた後、外観検査を経て出荷される。
これらの各工程の前後において、ひび、割れ欠け、寸法不良、コート不良などから、製品に用いられない固形物が固形再生原料として回収される。ここで、ひびは、成形時に成形体の密度が不均一になることや、金型から成形体を取り出すときに応力が強く働くことなどにより発生する成形体のひびである。割れ欠けは、焼結や熱処理による収縮不良や加工時の焼結体どうしの接触などにより発生する焼結体の割れや欠けである。寸法不良は、加工装置のトラブルなどにより目標寸法へ加工できないことで発生する加工後の焼結体の寸法不良である。コート不良は、磁石表面に異物が付着したまま塗装されることなどにより発生する塗装後の焼結体のコート不良である。外観不良は、各製造工程を経て得られたR-T-B系焼結磁石において、これらひび、割れ欠け、寸法不良、コート不良などに起因する不良品がないか最終的に検査することで発生するR-T-B系焼結磁石の不良である。これらのひび、割れ欠け、寸法不良、コート不良、外観不良などは、人による目視や検査機器を用いることで確認し得る。また、人ではなく自動検査装置などにより確認してもよい。なお、成形体不良品は焼結して固形再生原料として回収することが好ましく、コート不良品はコートをはがしたものを固形再生原料として回収することが好ましい。このような固形再生原料は、原料合金の作製に利用されたり、粉末化した補助合金(粉末再製粉)として複数のパックに所定の重量単位に分けて保管されたりし得る。
このように、製造工程中に得られる種々の固形再生原料は、原料合金(ストリップキャスト合金)の作製に利用される場合(1)と、粉末再製粉(補助合金)として原料合金粉末と混合されて利用される場合(2)がある。
本開示の実施形態では、固形再生原料を粉末再製粉として原料合金(主原料合金)の粉末と配合してR-T-B系焼結磁石の製造に再利用するだけではなく、原料合金の作製にも利用するが、固形再生原料を合金粉末との混合に用いるのか、それとも、原料合金の作製に利用するかを、固形再生原料の種類、および、製造するべきR-T-B系焼結磁石の目標酸素濃度に応じて決定する。
以下、本実施形態におけるR-T-B系焼結磁石の製造方法を説明する。
本実施形態のR-T-B系焼結磁石の製造方法は、図2のフローチャートに示されるように、
R-T-B系焼結磁石用原料合金を準備する合金準備工程(S10)と、
原料合金から合金粉末を作製する粉砕工程(S12)と、
合金粉末から粉末成形体を作製する成形工程(S14)と、
粉末成形体から焼結体を作製する焼結工程(S16)と、
を含む。
そして、本実施形態のR-T-B系焼結磁石の製造方法では、参照符号S18のブロック内に記載されているように、粉砕工程(S14)、成形工程(S18)、および焼結工程(S16)を含む製造工程中に回収された固形再生原料の種類、および製造するべきR-T-B系焼結磁石の目標酸素濃度に応じて、固形再生原料を用いて作製された原料合金、および/または、固形再生原料から作製された粉末再製粉を混合した前記合金粉末を使用する。
前述したように、固形再生原料は、原料合金の作製にも用いることができるし、粉末再製粉として利用することも可能である。製造工程中に回収される固形再生原料を再利用して製造されるR-T-B系焼結磁石(以下、「固形再生原料使用磁石」と称する場合がある。)の目標酸素濃度は、必要な磁石特性に応じて異なる。言い換えると、R-T-B系焼結磁石の品種により、それぞれの目標酸素濃度は異なる。
製造工程の不良率によって異なり得るが、「固形再生原料使用磁石」には、例えば3質量%程度の固形再生原料が含まれ得る。本実施形態では、複数の同一組成、酸素濃度の固形再生原料があっても、固形再生原料使用磁石の種類に応じて、言い換えると、目標酸素濃度に応じて、それらの固形再生原料を、原料合金の作製に利用するか、粉末再製粉の作製に利用するかを判別する。
本実施形態において、回収された固形再生原料は、焼結されてから再利用され得る。例えば、成形体不良品は、そのまま原料合金粉末と混合されるのではなく、焼結および粉砕工程を経ることにより、粉末再製粉になる。
R-T-B系焼結磁石の製造工程で回収される固形再生原料には、900~7000ppm程度の濃度で酸素が含まれる。固形再生原料に対して水素粉砕などの処理を行って粉砕した後でも、同レベルの酸素濃度が維持される。これに対して、一般的な原料合金に含まれる酸素の濃度は100~200ppmである。したがって、目標酸素濃度が比較的低いR-T-B系焼結磁石を製造する場合には、固形再生原料から作製された粉末再製粉を通常の原料合金粉末に混合するとき、混合比率を低くすることが望ましい。すなわち、目標酸素濃度が第1の設定値(例えば1500ppm)以下である場合、R-T-B系焼結磁石に含まれる固形再生原料の全体に占める粉末再製粉の作製に用いられる固形再生原料の割合を第2の設定値(例えば10%)未満にすることが望ましい。
なお、固形再生原料を粉末再製粉の作製に用いる場合、水素処理によって粗粉砕粉を作製することが好ましい。粉砕工程は、例えば、水素処理によって前記原料合金の粗粉砕粉を作製する工程と、固形再生原料の粗粉砕粉を原料合金の粗粉砕粉に混合して混合粉末を作製した後、混合粉末を微粉砕して前記合金粉末を作製する工程とを含み得る。
合金準備工程は、固形再生原料を他の原料合金とともに溶融して合金溶湯を作製し、合金溶湯を冷却して原料合金を作製することが好ましい。目標酸素濃度が第1の設定値(例えば1500ppm)以下となるような高性能磁石を作製する場合、粉末再製粉を用いる場合に比べて効率が落ちたとしても、それを許容することが可能だからである。このような原料合金は、例えば、ストリップキャスト法による合金である。
一方、目標酸素濃度が第1の設定値(例えば1500ppm)を超える場合は、R-T-B系焼結磁石に含まれる固形再生原料の全体に占める粉末再製粉の作製に用いられる固形再生原料の割合を第2の設定値(例えば10%)以上にすることが好ましい。その理由は、製造工程中に回収された固定再生原料から粉末再製粉を作製するための効率が、固定再生原料を原料合金の作製に用いる場合の効率よりも低いからである。
上記のようなリサイクルを実現するには、固形再生原料を、酸素濃度などの組成情報を含むデータに基づいて複数のグループに分類して保管しておくことが望ましい。そのような分類がなされていれば、保管中の固形再生原料を、それが属するグループに応じて、原料合金の作製に用いるか、粉末再製粉の作製に用いるかを判定することができる。
以下、本実施形態をより詳細に説明する。
まず、以下の組成を有するR-T-B系焼結磁石を製造する場合を例にとって本実施形態を説明する。
R:26.5mass%以上35mass%以下、
B:0.80mass%以上1.20mass%以下、
Ga:1.2mass%以下(0mass%を含む)、
Cu:1.2mass%以下(0mass%を含む)、
O:2000ppm以下
T:60mass%以上を含有する。
ここで、各組成範囲について説明する。
(R:26.5~35mass%)
Rは希土類元素であり、Nd、PrおよびCeからなる群から選択された少なくとも1つを必ず含む。Rが26.5mass%未満では焼結過程で液相が十分に生成せず、焼結体を充分に緻密化することが困難になる可能性がある。一方、Rが35mass%を超えると焼結時に粒成長が起こり、HcJが低下する可能性がある。Rの含有量は、好ましくは29.5~33.0mass%である。Rがこのような範囲であれば、より高いBを得ることができる。
(B:0.80~1.20mass%)
Bが0.80mass%未満であると、Bが低下する可能性がある。一方、Bが1.20mass%を超えるとHcJが低下する可能性がある。Bの含有量は、好ましくは0.88~0.90mass%である。Bがこのような範囲であれば、より高いHcJが得られる。
(Ga:0~1.2mass%)
Gaの含有量は、0~1.2mass%が好ましく、より好ましくは、0.2~0.7mass%である。Gaがこのような範囲であれば、より高いHcJが得られる。
(Cu:0~1.2mass%)
Cuの含有量は、0~1.2mass%が好ましく、より好ましくは0.05~0.50mass%である。Cuがこのような範囲であれば、より高いHcJが得られる。
(T:60mass%以上)
Tは遷移金属元素のうち少なくとも1種であり、Feを必ず含む。
焼結磁石中のTの含有量が60mass%未満であると、磁気特性が大幅に低下する可能性がある。Tの含有量は61.5~69.5mass%が好ましい。また、Tの全量を100mass%としたとき、その10mass%以下をCoで置換できる。例えば、Tの全量の90mass%がFeであり、10mass%がCoであり得る。また、Tの全量(100mass%)をFeにしてもよい。Coを含有することにより耐食性を向上させることができるが、Coの置換量がFeの10mass%を超えると、高いBが得られない可能性がある。
なお、本開示のR-T-B系焼結磁石は、他の元素を更に含んでよい。
上記のR-T-B系焼結磁石用合金(原料合金)を準備した後、この原料合金を例えば水素粉砕法などによって粗く粉砕する。
上述した組成となるように事前に調整した金属または合金を溶解し、鋳型に入れて凝固させるインゴット鋳造法により合金インゴットを得ることができる。また、上述した組成となるように事前に調整した金属または合金の溶湯を単ロール、双ロール、回転ディスク、または回転円筒鋳型等に接触させて急冷し、急冷凝固合金を作製するストリップキャスト法によって合金を作製してもよい。また、遠心鋳造法など、他の急冷法によってフレーク状の合金を製造してもよい。
本開示の実施形態においては、ストリップキャスト法などの急冷法により製造された合金を用いることが好ましい。急冷法によって作製した合金の厚さは、通常0.03mm~1mmの範囲にあり、フレーク形状である。得られた合金を水素粉砕することで、水素粉砕粉(粗粉砕粉)のサイズを例えば1.0mm以下とすることができる。このようにして得た粗粉砕粉を、例えばジェットミルにより粉砕する。ジェットミル粉砕は、窒素等の不活性雰囲気で粉砕する。粉砕は、例えば加湿雰囲気のジェットミルで粉砕してもよい。
本実施形態では、目標酸素濃度が2000ppm以下であり、第1の設定値(1500ppm)を超える。したがって、R-T-B系焼結磁石に含まれる固形再生原料の全体に占める粉末再製粉の作製に用いられる固形再生原料の割合を第2の設定値(例えば20%)以上にする。具体的には、上記のジェットミル粉砕を行うとき、あるいは、ジェットミル粉砕後の原料合金粉末に対して、例えば酸素濃度が5000ppm程度の固形再生原料から得た粉末(粉末再製粉)を混合する。混合比率は、例えば、R-T-B系焼結磁石に含まれる再生原料の全体に占める粉末再製粉の作製に用いられる固形再生原料の割合が10~30%になるように決定される。
R-T-B系焼結磁石の作製に用いる微粉末は、原料合金の粉末として、一種類の原料合金(単一原料合金)だけではなく、二種類以上の原料合金の粉末を含んでいてもよい。
次に、磁場中プレスによって上記の微粉末から粉末成形体を作製した後、この粉末成形体を焼結する。磁場中プレスでは酸化抑制の観点から不活性ガス雰囲気中によるプレスまたは湿式プレスによって粉末成形体を形成する方が好ましい。特に湿式プレスは粉末成形体を構成する粒子の表面が油剤などの分散剤によって被覆され、大気中の酸素や水蒸気との接触が抑制される。このため、プレス工程の前後あるいはプレス工程中に粒子が大気によって酸化されることを防止または抑制することができる。このため、酸素含有量を所定範囲内に制御しやすい。磁場中湿式プレスを行う場合、微粉末に分散媒を混ぜたスラリーを用意し、湿式プレス装置の金型におけるキャビティに供給して磁場中でプレス成形する。
こうして得た成形体を焼結してR-T-B系焼結磁石素材を得る。成形体の焼結は、好ましくは、温度950℃以上1150℃以下の範囲で行なう。焼結による酸化を防止するために、雰囲気の残留ガスは、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスにより置換され得る。得られた、焼結体(R-T-B系焼結磁石)に対しては、熱処理を行ってもよい。熱処理温度、熱処理時間などの熱処理条件は、公知の条件を採用することができる。なお、R-T-B系焼結磁石は上述した成形などを行わず、例えば特開2006-19521などに記載されているPLP(Press-Less Process)法など、公知の方法を用いて準備してもよい。
以上のように、本開示は、以下の項目に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法を含む。
[項目1]
R-T-B系焼結磁石用原料合金を準備する合金準備工程と、
前記原料合金から合金粉末を作製する粉砕工程と、
前記合金粉末から粉末成形体を作製する成形工程と、
前記粉末成形体から焼結体を作製する焼結工程と、
を含み、
前記粉砕工程、成形工程、および焼結工程を含む製造工程中に回収された固形再生原料の種類、および製造するべきR-T-B系焼結磁石の目標酸素濃度に応じて、前記固形再生原料を用いて作製された前記原料合金、および/または、前記固形再生原料から作製された粉末再製粉を混合した前記合金粉末を使用する、R-T-B系焼結磁石の製造方法。
[項目2]
前記目標酸素濃度が第1の設定値以下である場合、前記R-T-B系焼結磁石に含まれる前記固形再生原料の全体に占める前記粉末再製粉の作製に用いられる前記固形再生原料の割合を第2の設定値未満にし、
前記目標酸素濃度が前記第1の設定値を超える場合、前記R-T-B系焼結磁石に含まれる前記固形再生原料の全体に占める前記粉末再製粉の作製に用いられる前記固形再生原料の割合を前記第2の設定値以上にする、項目1に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
[項目3]
前記第1の設定値は、1500ppmであり、
前記第2の設定値は、10%である、項目2に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
[項目4]
前記合金準備工程は、前記固形再生原料を他の原料合金とともに溶融して合金溶湯を作製し、前記合金溶湯を冷却して原料合金を作製する工程を含む、項目1から3のいずれか1項に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
[項目5]
前記原料合金は、ストリップキャスト合金である、項目4に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
[項目6]
前記固形再生原料を前記粉末再製粉の作製に用いる場合、水素処理によって粗粉砕粉を作製する、項目1から5のいずれか1項に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
[項目7]
前記粉砕工程は、
水素処理によって前記原料合金の粗粉砕粉を作製する工程と、
前記固形再生原料の粗粉砕粉を前記原料合金の粗粉砕粉に混合して混合粉末を作製した後、前記混合粉末を微粉砕して前記合金粉末を作製する工程と、
を含む、項目6に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
本開示のR-T-B系焼結磁石のR-T-B系焼結磁石の製造方法は、原料合金に希少資源元素を含有するR-T-B系焼結磁石の製造分野で広く利用され得る。

Claims (7)

  1. R-T-B系焼結磁石用原料合金を準備する合金準備工程と、
    前記原料合金から合金粉末を作製する粉砕工程と、
    前記合金粉末から粉末成形体を作製する成形工程と、
    前記粉末成形体から焼結体を作製する焼結工程と、
    を含み、
    前記粉砕工程、成形工程、および焼結工程を含む製造工程中に回収された固形再生原料の種類、および製造するべきR-T-B系焼結磁石の目標酸素濃度に応じて、前記固形再生原料を用いて作製された前記原料合金、および/または、前記固形再生原料から作製された粉末再製粉を混合した前記合金粉末を使用する、R-T-B系焼結磁石の製造方法。
  2. 前記目標酸素濃度が第1の設定値以下である場合、前記R-T-B系焼結磁石に含まれる前記固形再生原料の全体に占める前記粉末再製粉の作製に用いられる前記固形再生原料の割合を第2の設定値未満にし、
    前記目標酸素濃度が前記第1の設定値を超える場合、前記R-T-B系焼結磁石に含まれる前記固形再生原料の全体に占める前記粉末再製粉の作製に用いられる前記固形再生原料の割合を前記第2の設定値以上にする、請求項1に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
  3. 前記第1の設定値は、1500ppmであり、
    前記第2の設定値は、10%である、請求項2に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
  4. 前記合金準備工程は、前記固形再生原料を他の原料合金とともに溶融して合金溶湯を作製し、前記合金溶湯を冷却して原料合金を作製する工程を含む、請求項1に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
  5. 前記原料合金は、ストリップキャスト合金である、請求項4に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
  6. 前記固形再生原料を前記粉末再製粉の作製に用いる場合、水素処理によって粗粉砕粉を作製する、請求項1から5のいずれか1項に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
  7. 前記粉砕工程は、
    水素処理によって前記原料合金の粗粉砕粉を作製する工程と、
    前記固形再生原料の粗粉砕粉を前記原料合金の粗粉砕粉に混合して混合粉末を作製した後、前記混合粉末を微粉砕して前記合金粉末を作製する工程と、
    を含む、請求項6に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
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