JP2024048360A - 透明基材形成用インク組成物およびこれを用いて形成された透明基材または光学積層体 - Google Patents

透明基材形成用インク組成物およびこれを用いて形成された透明基材または光学積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性が高く、かつ熱性能に優れた基材シートを提供する。【解決手段】画像表示パネルなどの熱源から生じる熱を吸収するとともに熱放射を抑制する基材シートを形成するためのインク組成物であって、固形成分と、液状分散媒と、液状分散媒に溶解する樹脂成分と、を含み、固形成分は、液状分散媒に分散するナノ金属(A)と、液状分散媒に分散するナノ金属酸化物(B)と、を含む、インク組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、主に、画像表示パネルなどの熱源から生じる熱を吸収するとともに熱放射を抑制する透明基材を形成するためのインク組成物およびこれを用いて形成された透明基材に関する。
特許文献1は、「ポリオール中で成長制御剤、ハロゲン化物塩および銀塩を用い、銀塩から銀ナノワイヤを得る方法であって、さらにフラノン誘導体(a)としてα-アンゲリカラクトン、フタリドおよびR1~R3を有する3-フラノン誘導体(R1、R3は炭素数1~4の炭化水素、R2は水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1~4のアルコキシル基、炭素数2~6のアシルオキシ基のいずれかを表す)の群より選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とする銀ナノワイヤの製造方法」を提案している。
特許文献2は、「長軸450nm~1500nm、短軸1nm~45nm、およびアスペクト比20以上のワイヤ状の金属(電解法によって製造されたものではない。以下、金属ナノワイヤと云う)を含有する樹脂組成物であって、上記金属ナノワイヤの表面はアミノ基含有高分子系分散剤によって保護されており、膜厚2μmの被膜を形成したときに、70%以上の可視光透過率および1.0Ω/□以下の表面抵抗を有することを特徴とする金属ナノワイヤ含有組成物」およびこの「組成物によって形成された電磁波遮蔽フィルター、電磁波遮蔽フィルム、または電磁波遮蔽膜形成用塗料組成物」を提案している。
特許文献3は、「平均粒径が2nm~1,000nmである金属酸化物微粒子と、幅(短軸径)が2nm~100nmであり、かつアスペクト比が10~200である銀ナノワイヤとを含有する透明導電膜、又は幅(短軸径)及び長さ(長軸長さ)がそれぞれ0.05μm~100μmであり、かつ厚みが2nm~1,000nmのシート状である金属酸化物微粒子を少なくとも含有する透明導電膜」を提案している。
特許第6760548号公報 特許第4341005号公報 特開2009-224183号公報
特許文献3の透明導電膜は、高い透明性と高い導電性を有し、可撓性、保存安定性に優れた透明導電膜を提供することを目的としている。しかし、実際には透明導電膜の高い透明性を確保することは難しい。一方、画像表示パネルのような熱源もしくは発熱体から生じる熱を吸収するとともに熱放射を抑制する透明基材(例えば、透明赤外線遮蔽フィルム)を形成する場合、熱放射性と熱吸収性を両立するために、導電性の金属酸化物や金属を材料に用いることが望ましい。この場合、金属酸化物や金属が発現する高い導電性は不要であるが、用途が制限されないように、透明基材の透明性が高く、ヘイズ値(曇り度)が小さいことが求められる。
本発明の一側面は、熱源から生じる熱を吸収するとともに熱放射を抑制する透明基材を形成するためのインク組成物であって、固形成分と、液状分散媒と、前記液状分散媒に溶解する樹脂成分と、を含み、前記固形成分は、前記液状分散媒に分散するナノ金属(A)と、前記液状分散媒に分散するナノ金属酸化物(B)と、を含む、インク組成物に関する。
本発明の別の側面は、熱源から生じる熱を吸収するとともに熱放射を抑制する透明基材であって、樹脂成分と、前記樹脂成分中に分散するナノ金属(A)と、前記樹脂成分中に分散するナノ金属酸化物(B)と、を含む、透明基材に関する。
本発明の更に別の側面は、上記透明基材と、その透明基材を支持する基材シートと、を含む光学積層体に関する。
本開示に係るインク組成物によれば、透明性が高く、かつ熱性能に優れた透明基材を形成することができる。
以下、本開示の実施形態について例を挙げて説明するが、本開示は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値、材料等を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値、材料等を適用してもよい。なお、本開示に特徴的な部分以外の構成要素には、公知の構成要素を適用してもよい。この明細書において、「数値A~数値Bの範囲」という場合、当該範囲には数値Aおよび数値Bが含まれる。
以下の説明において、特定の物性や条件などに関する数値の下限と上限とを例示した場合、下限が上限以上とならない限り、例示した下限のいずれかと例示した上限のいずれかを任意に組み合わせることができる。複数の材料が例示される場合、特に言及しない限り、その中から1種を選択して単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以下の説明において、「~を含有する」もしくは「~を含む」という用語は、「~を含有する(もしくは含む)」、「実質的に~からなる」および「~からなる」を包含する表現である。
また、本開示は、添付の特許請求の範囲に記載の複数の請求項から任意に選択される2つ以上の請求項に記載の事項の組み合わせを包含する。つまり、技術的な矛盾が生じない限り、添付の特許請求の範囲に記載の複数の請求項から任意に選択される2つ以上の請求項に記載の事項を組み合わせることができる。
本開示に係るインク組成物(以下「インクHS」とも称する。)は、画像表示パネルなどの熱源から生じる熱を吸収するとともに熱放射を抑制する透明基材(例えば光学フィルム)を形成するための材料であり、固形成分と、液状分散媒と、液状分散媒に溶解する樹脂成分とを含む。固形成分は、インクHS中で、固体の状態で分散している成分である。固形成分は、液状分散媒に分散するナノ金属(A)と、液状分散媒に分散するナノ金属酸化物(B)とを含む。画像表示パネルには、有機ELパネル、液晶パネルなどのフラットパネルディスプレイが含まれるが、特に限定されない。
ナノ金属(A)とナノ金属酸化物(B)は、赤外線を遮蔽する作用を有する。よって、「透明基材」は、「透明赤外線遮蔽フィルム」と言い換えてもよい。
インクHSから形成される光学フィルム(以下「フィルムHS」とも称する。)は、ナノ金属(A)とナノ金属酸化物(B)を含むため、赤外線の放射率が低く、かつ熱伝導性に優れている。また、フィルムHSは、ナノ金属(A)とナノ金属酸化物(B)とを含むため、透明性が高く、熱性能に優れている。例えば、フィルムHSは、透明性が高く、画像表示パネルから生じる熱を吸収するとともに熱放射を抑制する作用を有する。
ここで、「透明」とは、人の肉眼でフィルムの一方側の主面から他方側の主面よりも離れた位置にある像(例えば画像、映像)を透かして観測できる程度の透明性を有することをいう。
ただし、透明性は高いほど望ましく、全光線透過率は80%以上であることが望ましい。全光線透過率は、JIS K7361-1(1997)に準拠して測定すればよい。測定装置には、例えばヘイズメーター(装置名:ヘイズメーターHZ-2、スガ試験機株式会社製)を用いることができる。
また、フィルムHSの用途が制限されないように、ヘイズ値(曇り度)をできるだけ小さくすることが望まれる。特に光学用途では、フィルム単独のヘイズ値が1.0%未満であることが望ましい。ヘイズ値は、JIS K7136(2000)に準拠して測定すればよい。測定装置には、例えばヘイズメーター(装置名:ヘイズメーターHZ-2、スガ試験機株式会社製)を用いることができる。
フィルムHSは、インクHSの膜から、液状分散媒を揮散させて除去することにより形成される。すなわち、フィルムHSは、樹脂成分と、樹脂成分中に分散するナノ金属(A)と、樹脂成分中に分散するナノ金属酸化物(B)とを含む。
固形成分は、インクHS中で微小な固体の状態で分散している成分である。液状分散媒と樹脂成分とを完全に除去したときに、25℃で固体の状態で残留する成分は、固形成分として取り扱う。
液状分散媒は、固形成分を分散させる媒体であり、室温(例えば25℃)で液状である。液状分散媒は、水でもよく、有機溶媒でもよく、水と有機溶媒との混合液でもよい。有機溶媒は、1種の単独溶媒でもよく、複数種の混合溶媒でもよい。有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、イソプロピルアルコール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
インクHS中における液状分散媒の含有率は、特に限定されないが、例えば、10質量%~95質量%でもよく、10質量%~90質量%でもよく、20質量%~90質量%でもよい。
ナノ金属(A)は、短軸径が1μm未満の微小金属であればよい。ナノ金属(A)は、ナノワイヤであってもよい。ナノワイヤは、ナノ繊維(ナノファイバ)と言い換えてもよい。ナノワイヤの短軸径は、ワイヤ径もしくは繊維径(ファイバ径)と言い換えてもよい。
ナノワイヤは、フィルムHS中で互いに接触し合う確率が高く、2次元もしくは3次元的に広がる熱伝導のネットワークが形成されやすい。よって、フィルムHSの全面からの赤外線の放射が抑制されやすく、かつ熱伝導性にも優れている。
短軸径は100本以上のナノワイヤの平均値として求められる値である。ナノワイヤの短軸径は、例えば、45nm未満であり、41nm未満でもよく、36nm未満でもよく、32nm未満でもよい。
ナノワイヤの短軸径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてナノワイヤを撮影し、画像処理ソフトウエア(商品名:Image-Pro Premier、Media Cybernetics, Inc製)を用いて算出することができる。
ナノ金属(A)もしくはナノワイヤのアスペクト比(長軸長/短軸径)は2以上でもよく、10以上でもよく、20以上でもよい。アスペクト比が上記範囲内にある場合、より良好な熱伝導のネットワークが形成されやすい。
ナノワイヤの長軸長とは、ナノワイヤの長さ方向の一端から他端までの長さをいう。長軸長は100本以上のナノワイヤの平均値として求められる値である。長軸長は、例えば、1μm~100μmでもよく、5μm~50μmでもよく、7μm~30μmでもよい。
ナノワイヤの長軸長は、例えば、暗視野顕微鏡を用いてナノワイヤを撮影し、画像処理ソフトウエア(Image-Pro Premier)を用いて算出することができる。
ナノワイヤは、酸化インジウム錫(ITO)の放射率よりも低い放射率を有する金属のナノワイヤを含むことが望ましく、中でも、銀のナノワイヤが望ましい。インクHSおよびフィルムHSに含まれるナノワイヤは、100%が銀のナノワイヤであることが望ましいが、30質量%以下が銀以外の金属のナノワイヤであってもよい。銀以外の金属として、Ni、銅、金などが挙げられる。ナノワイヤを構成する金属は1種のみでもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ナノ金属酸化物(B)は、最大径1μm未満の粒状の微小金属酸化物であってもよい。ナノ金属酸化物(B)は、コロイド粒子であってもよい。ナノ金属酸化物(B)の最大径は直径と言い換えてもよい。最大径は100個以上のナノ金属酸化物(B)の平均値として求められる値である。最大径は、例えば、1000nm以下であり、100nm以下でもよい。
ナノ金属酸化物(B)は、ある程度の赤外線を遮蔽する作用を有し、かつ高い透明性を有し得る。また、ナノ金属(A)による熱伝導のネットワークを補完する作用を有するとも考えられる。
ナノ金属酸化物(B)の最大径は、例えば、SEMを用いてナノ金属酸化物を撮影し、画像処理ソフトウエア(Image-Pro Premier)を用いて算出することができる。また、レーザ回折散乱式の粒度分布測定装置で測定される粒度分布における体積基準のメジアン径を直径(最大径)と見なしてもよい。
ナノ金属酸化物(B)のアスペクト比(最大径/短軸径)は2未満でもよい。ナノ金属酸化物の短軸径とは、最大径に垂直な方向の最大径である。
ナノ金属酸化物(B)は、特に限定されないが、Zn、Al、Ga、In、SnおよびSbからなる群より選択される少なくとも1種の金属(以下、「金属MO」とも称する。)を含む酸化物が望ましく、これらの金属の2種以上を含む酸化物がより望ましい。例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化アンチモン錫(ATO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ZnOにAlをドープした酸化物(AZO)、ZnOにGaをドープした酸化物(GZO)などが挙げられる。中でも透明性が高い点で、ITOが好ましい。
インクHSおよびフィルムHSに含まれるナノ金属酸化物(B)は、100%が金属MOの酸化物であることが望ましいが、30質量%以下が金属MOの酸化物以外の金属酸化物であってもよい。また、インクHSおよびフィルムHSに含まれるナノ金属酸化物(B)は、100%がITOであることが望ましいが、30質量%以下がITO以外の金属酸化物(例えば、金属MOの酸化物)であってもよい。
樹脂成分は、インクHS中では液状分散媒に溶解している。樹脂成分は、液状分散媒を揮散させて除去したときに、室温(例えば25℃)で液体および固体のいずれの状態であってもよい。
樹脂成分は、特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂(例えば、UV硬化型樹脂)などを用い得る。樹脂成分は、重合性化合物と硬化剤とを含む樹脂組成物であってもよい。樹脂成分は、例えば、モノマー、オリゴマー、プレポリマーなどを含み得る。重合性化合物としては、アクリル系化合物、ビニル系化合物、アリル系化合物、ジエン系化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。中でも透明性が高い点で、例えばアクリル系化合物が好ましい。アクリル系化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であってもよい。(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、ヒドロキシ化合物の(メタ)アクリル酸エステル、窒素含有化合物と(メタ)アクリル酸との酸アミド、(メタ)アクリル酸などが挙げられる。ここでは、アクリロイル基およびメタアクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と称する。
インクHSにおいて、液状分散媒に溶解する樹脂成分の量は、特に限定されないが、ナノ金属(A)とナノ金属酸化物(B)との合計100質量部に対して、例えば、10質量部~900質量部であり、20質量部~200質量部であってもよい。
同様に、フィルムHSにおいて、樹脂成分の量は、ナノ金属(A)とナノ金属酸化物(B)との合計100質量部に対して、例えば、10質量部~900質量部であり、10質量部~200質量部でもよく、10質量部~100質量部であってもよい。
インクHSおよびフィルムHSにおいて、ナノ金属(A)とナノ金属酸化物(B)との合計に占めるナノ金属(A)の割合(以下、「割合M」とも称する。)は、ナノ金属(A)およびナノ金属酸化物(B)のそれぞれの種類、形態、サイズ(粒径)などによって相違し得る。ナノ金属(A)とナノ金属酸化物(B)との合計に占めるナノ金属(A)の割合((A)/{(A)+(B)}=M)は、百分率で1質量%~30質量%であり、より好ましくは1質量%~10質量%であり、例えば、1質量%~10質量%であり、1質量%~5質量%が望ましく、1質量%~4質量%、もしくは1質量%~3質量%がより望ましい。割合Mが上記範囲内にある場合、より透明性が高く、かつ熱特性に優れたフィルムHSが得られる。具体的には、ヘイズ値(曇り度)が小さく、発熱体からの熱放射を遮蔽するなどの熱性能にも十分に優れた透明基材もしくは光学フィルムが得られる。
フィルムHSは、導電性を要するものではないため、樹脂成分を比較的多く含み得る。従って、フィルムの表面抵抗は、例えば1010Ω/□以上であってもよい。表面抵抗は、JIS K6911(2006)に準拠して測定すればよい。測定装置には、例えば、抵抗率計(装置名:ハイレスタ-UX MCP-HT800、日東精工アナリテック株式会社製)を用いることができる。
フィルムHSは、様々な下地部材に形成し得る。下地部材は、フィルム、ガラス、樹脂成形体などであってもよい。また、フィルムHSは、例えば、光学積層体に使用し得る。光学積層体は、透明基材(光学フィルム)と、その透明基材を支持する基材シートとを含む。光学積層体は、例えば、液晶パネル、有機ELパネルなどの画像表示パネルに使用される。基材シートは、樹脂シートでもよく、ガラスシートでもよく、他の材料のシートでもよい。
次に、インクHSの調製方法の一例について説明する。
インクHSは、例えば、ナノ金属酸化物(B)の分散液(B液)と、ナノ金属(A)の分散液(A液)をそれぞれ調製し、A液とB液とを混合することにより得ることができる。
B液は、例えば、予め一次粒子の直径が1μm以下になるまで粉砕された金属酸化物(B)のナノ粒子を、界面活性剤などの分散剤とともに、液状分散媒と混合し、ディゾルバーもしくはミキサーで混合することにより得ることができる。
A液には、例えば、市販のナノ金属(A)の分散液を用いればよい。また、例えば銀ナノワイヤは、いわゆるポリオールプロセスを用いることにより、容易に得ることができる。典型的には、ポリオールとして溶媒および還元剤の両方の役割を果たすエチレングリコールを用い、銀塩としてAgNOを用い、成長抑制剤としてポリ(ビニルピロリドン)をそれぞれ用いてもよい。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
(1)インクHS
(1-1)ナノ金属酸化物(B)の分散液(B液)の調製
内容量225mLのガラス瓶に、ITO(一次粒子径50nmの凝集体)、高分子分散剤(BYK-Chemie社製のDisperbyk-2200(商品名)、固形分100質量%)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を、下記配合比で、合計100gとなるように秤量した。
配合比(質量比):ナノ金属酸化物/高分子分散剤/PGMEA=25/3/72
次に、上記ガラス瓶にジルコニアビーズ200gを加え、高速振盪機(株式会社セイワ技研製のロッキングシェーカーRS05W2)を用いてITOをPGMEAに分散させた。分散処理の完了後、ポリエステル508メッシュを用いてジルコニアビーズを除去し、ITO(直径60nm、マイクロトラック・ベル社製動的光散乱式粒子径測定装置、NanoTrac Wave IIの測定値)の分散液(B液)が60g得られた。
(1-2)ナノ金属(A)の分散液(A液)の調製
市販の銀(Ag)ナノワイヤの分散液(A液)を準備した。分散液(A液)に含まれる銀ナノワイヤ含有率は0.5質量%であり、残部の大半はn-プロパノール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。銀ナノワイヤは短軸径25nm、長軸長10μmである。
(1-3)インクHSの調製
内容量30mLのガラス瓶に、ナノ金属酸化物(B)の分散液(B液:ITO含有率25質量%)、銀ナノワイヤの分散液(A液:銀ナノワイヤ含有率0.5質量%)、樹脂成分であるアクリル系モノマー(東亜合成株式会社製のアロニックスM-306(商品名))、光重合開始剤(BASF社製のイルガキュア184(商品名))を、下記配合比で、合計5gとなるように秤量し、混合撹拌・脱泡機(株式会社シンキー(THINKY)製の「泡取り練太郎」(商品名))で均一化と脱泡を行い、インクHSを得た。
配合比(質量比):B液/A液/樹脂成分/光重合開始剤=37.4/57.8/4.6/0.2
得られたインクHS中、銀ナノワイヤとITOとの合計100質量部に対する銀ナノワイヤの割合は3質量部(Ag/(Ag+ITO)=3質量%)であり、樹脂成分の量は、銀ナノワイヤとITOとの合計100質量部に対して50質量部(樹脂成分/(Ag+ITO)=50質量%)であった。
(2)フィルムHS
インクHSを厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートにワイヤバーコーターを用いて塗工し、PGMEAなどの分散媒体を揮発させた後、光照射により樹脂成分を硬化させ、理論膜厚0.7μm~0.9μmの光学フィルム(フィルムHS)を得た。
《実施例2~6》
銀ナノワイヤとITOとの合計に占める銀ナノワイヤの割合(Ag/(Ag+ITO))および銀ナノワイヤとITOとの合計に対する樹脂成分の割合(樹脂成分/(Ag+ITO))を表1に示すように材料の配合比を変更したこと以外、実施例1と同様に、インクHSおよびフィルムHSを得た。
《比較例1》
ITOの分散液(A液)のみを用いて、フィルムHSと同様のフィルムを形成し、上記と同様に、熱性能、ヘイズおよび全光線透過率を評価した。結果を表1に示す。
《比較例2》
フィルムHSの基材シートに用いたPETシートについて、上記と同様に、熱性能、ヘイズおよび全光線透過率を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2024048360000001
[評価]
実施例1~6のフィルムHSの熱性能(赤外線遮蔽性)および透明性に関する以下の評価を行った。結果を表1に示す。
<熱性能>
ホットプレートのプレート温度を70℃に設定し、プレート上に厚さ100μmのPETシート(50mm×50mm)を参照用として載置した。次に、赤外線サーモグラフィカメラ(フリアーシステムズ社製のFLIR C2)をPETシートから50cmの高さに設置し、PETシートの温度が一定になるまで約5分間待機した。その後、PETシートの隣に、厚さ100μmのPETシートとフィルムHSとの積層体を載置し、載置直後、1分後、5分後の3時点で、積層体から50cmの高さの温度を赤外線サーモグラフィカメラで測定した。
上記方法で、参照用のPETシートおよびPETシートとフィルムHSとの積層体からの熱放射を観測し、観測結果を、Flirカメラ解析用ソフトで解析し、参照用のPETシートの温度からフィルムHS上の温度を減算して、温度差(ΔT)を算出した。そして、実施例1~6の性能比は、後述の比較例1のΔTを100としたときの相対割合を示した。
<ヘイズ>
測定装置としてヘイズメーターHZ-2(スガ試験機株式会社製)を用いて、PETシートとフィルムHSとの積層体のヘイズ値を求めた。なお、実施例1~6のヘイズ値はいずれも良好であるが、後述の比較例1のヘイズ値+1.0以内の場合、ヘイズ値の増加が参照用のPETシートから僅かであり、非常に良好な透明性を有すると評価できる。なお、表4のヘイズ値は、PETシートとフィルムHSのヘイズ値の合計であり、PETシートのヘイズ値は4.0である。よって、例えば実施例1のフィルムHSのヘイズ値は0.89である。
<全光線透過率>
測定装置としてヘイズメーターHZ-2(スガ試験機株式会社製)を用いて、PETシートとフィルムHSとの積層体の全光線透過率を求めた。全光線透過率が80%以上の場合、ヘイズ値の増加が参照用のPETシートから僅かであり、非常に良好な透明性を有すると評価できる。
<表面抵抗>
測定装置としてハイレスタ-UX MCP-HT800(日東精工アナリテック株式会社製の抵抗率計)を用いて、フィルムHSの表面抵抗を求めた。フィルムHSの表面抵抗は何れも1010Ω/□以上であり、実質的に非導電性であった。
表1の結果より、実施例1~6では、比較例1、2に比べて、熱特性と透明性とのバランスがよいことが理解できる。実施例1~4では、熱特性と透明性とのバランスが更によく、実施例1~2では特にバランスがよいことが理解できる。
本開示に係る基材シート形成用のインク組成物および基材シート(透明赤外線遮蔽フィルム)は、例えば、画像表示パネルの部品として用いられる光学積層体の製造に利用される。

Claims (12)

  1. 熱源から生じる熱を吸収するとともに熱放射を抑制する透明基材を形成するためのインク組成物であって、
    固形成分と、液状分散媒と、前記液状分散媒に溶解する樹脂成分と、を含み、
    前記固形成分は、前記液状分散媒に分散するナノ金属(A)と、前記液状分散媒に分散するナノ金属酸化物(B)と、を含む、インク組成物。
  2. 前記ナノ金属(A)と前記ナノ金属酸化物(B)との合計に占める前記ナノ金属(A)の割合(A)/{(A)+(B)}が百分率で1質量%~10質量%である、請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記透明基材の表面抵抗は、1010Ω/□以上である、請求項1に記載のインク組成物。
  4. 前記ナノ金属(A)は、酸化インジウム錫よりも低い放射率を有する金属のナノワイヤを含み、
    前記ナノ金属酸化物(B)は、酸化インジウム錫を含む、請求項1に記載のインク組成物。
  5. 前記ナノ金属(A)は、銀を含む、請求項1に記載のインク組成物。
  6. 熱源から生じる熱を吸収するとともに熱放射を抑制する透明基材であって、
    樹脂成分と、前記樹脂成分中に分散するナノ金属(A)と、前記樹脂成分中に分散するナノ金属酸化物(B)と、を含む、透明基材。
  7. 前記ナノ金属(A)と前記ナノ金属酸化物(B)との合計に占める前記ナノ金属(A)の割合(A)/{(A)+(B)}が百分率で1質量%~10質量%である、請求項6に記載の透明基材。
  8. 前記ナノ金属(A)は、酸化インジウム錫の放射率よりも低い放射率を有する金属のナノワイヤを含み、
    前記ナノ金属酸化物(B)は、酸化インジウム錫を含む、請求項6に記載の透明基材。
  9. 前記ナノ金属(A)は、銀を含む、請求項6に記載の透明基材。
  10. 前記透明基材の表面抵抗は、1010Ω/□以上である、請求項6~9のいずれか1項に記載の透明基材。
  11. 全光線透過率が80%以上である、請求項6~9のいずれか1項に記載の透明基材。
  12. 請求項6~9のいずれか1項に記載の透明基材と、前記透明基材を支持する基材シートと、を含む光学積層体。
JP2023143927A 2022-09-27 2023-09-05 透明基材形成用インク組成物およびこれを用いて形成された透明基材または光学積層体 Pending JP2024048360A (ja)

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