JP2008208291A - ポリビニルアルコール系フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い近赤外線遮蔽性と可視光透過性を兼ね備え、テント、天幕、建材、窓材などの熱線遮蔽材料、赤外線カットフィルターなどの光学材料、記録材料、蓄熱材料、近赤外線検出センサーをはじめとして多くの用途に極めて有効なPVA系フィルムおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 ポリビニルアルコール系ポリマーと硫化銅微粒子からなり、かつ該ポリマー中に平均粒子径50nm以下の硫化銅ナノ微粒子が微細に分散されてなるフィルムであって、下記(1)、(2)の条件を共に満たすことを特徴とする、ポリビニルアルコール系フィルム。
(1)波長が400〜760nmの可視光領域における平均透過率が50%以上であること、
(2)波長が800〜1200nmの近赤外線領域での平均透過率が60%以下であること。
【選択図】図2

Description

本発明は、高い近赤外線遮蔽性と可視光透過性を兼ね備えたポリビニルアルコール(以下、PVAと略する)系フィルムとその製造方法に関するものであり、テント、天幕、建材、窓材などの熱線遮蔽材料、赤外線カットフィルターなどの光学材料、記録材料、蓄熱材料、近赤外線検出センサーをはじめとして多くの用途に極めて有効に使用することができる。
近年、省エネルギー化を図る目的の一つとして、建築物や乗り物の窓ガラスなどに近赤外線を反射または吸収する、いわゆる熱線遮蔽材料の需要が高まってきており、これまでにも種々の技術が提案されている。例えば、透明ポリエステルフィルム上にアルミニウム、銀または金等の金属薄膜を蒸着もしくはスパッタリングにより形成し、近赤外線反射フィルムとして、窓ガラスに貼着する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照。)。しかし、金属薄膜を蒸着またはスパッタリングしたフィルムは、近赤外線の遮蔽性を高めることを目的に、スパッタリング厚を大きくする必要があるが、この場合、可視光透過率は40%以下と低いものとなってしまい、実使用において制限がかかるものであった。また、酸化などによる金属の化学的変化など、耐久性の面で問題を抱えていた。更には、蒸着あるいはスパッタリングによって形成された金属薄膜は、鏡状となり可視光を反射するため、反射した光が周囲に及ぼす光害が問題となっていた。
蒸着やスパッタリングの代わりに錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子、またはアンチモンドープ酸化錫(ATO)微粒子を塗布あるいはポリマー中に練り込んだ近赤外線遮蔽技術が提案されている(例えば、特許文献3〜6参照。)。これらのフィルムは、金属薄膜を蒸着またはスパッタリングしたフィルムに比べて可視光透過率は高いものの、粒子同士の凝集による散乱が起こってしまう場合があり、近赤外線遮蔽性を付与できても、可視光領域における透明性やヘイズが悪化するなどの問題があり、実使用において制限がかかるものであった。また微粒子の塗布の場合、実使用において溶液が基材から剥離してしまい、長期に渡っての近赤外線遮蔽性が失われるなど耐久性に乏しいものであった。更には、ITOやATOの価格は非常に高価であり、コスト的にも不利になることに加えて、資源の枯渇化も懸念されており、これらに代わる材料の創出が望まれていた。
また、近赤外線遮蔽能力を持つ硫化銅を、透明ポリマーに溶融混練して複合したフィルムが提案されている(例えば、特許文献7参照。)。これは、10μm程度の硫化銅粒子を数重量%ポリマーと複合したものであり、近赤外線遮蔽能力には優れているが、粒子径が大きいため、可視光下において光が散乱してしまい、満足する可視光透過性を付与することは困難であった。また、このようにポリマーと金属化合物を溶融混練にて製造したフィルムあるいはシートは、一般的には製造工程にて粒子の凝集物ができやすく、それ故、表面凹凸が起こり、ヘイズが高くなるなどの問題を抱えていた。
可視光透過性と近赤外線遮蔽性の両立のために、比較的ポリマーと複合しやすい有機物を用いた材料も提案されており、例えば、近赤外線吸収材としてフタロシニアン化合物を用いた方法が提案されている(例えば、特許文献8〜10参照。)。しかしながら特許文献8〜10に記載されているような有機物では耐候性が悪く、長期の使用において効果が損なわれるなど、基本的な耐久性の面で問題を抱えていた。
一方、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン等の導電性高分子は、近赤外線を吸収する特性を有することが知られており、このような特性を利用した赤外線カットフィルム等が提案されている(例えば、特許文献11〜12参照。)。しかし、導電性高分子は、可視光透過性を満足することはできず、かつその安定性の問題から、近赤外線を吸収するという特性が短期間で著しく低下したり、黄変したりするため、窓用の遮熱フィルムのように、長期間に亘って熱線を遮蔽することを目的とした用途には使用が困難であった。また、窓用フィルムには表面の傷付き防止のため紫外線硬化型樹脂等の表面保護層が設けられるが、遮熱層に導電性高分子を使用した場合、遮熱層と表面保護層間の密着性が著しく低下するという問題があった。
特開昭57−59748号公報 特開昭57−59749号公報 特開平8−281860号公報 特開平10−250001号公報 特開平10−250002号公報 特開平9−140275号公報 特許第3224869号 特開2003−265033号公報 特開2003−265034号公報 特開2005−157011号公報 特許第3213115号 特許第3309264号
本発明の目的は、高い近赤外線遮蔽性と可視光透過性を兼ね備えたPVA系フィルムとその製造方を提供することである。
本願発明者等は上記したPVA系フィルムを得るべく鋭意検討を重ねた結果、PVA系ポリマーに対して特別に高価な設備を必要とせず、通常のフィルム製造工程中において、銅イオンを含む化合物をフィルム中に含浸させ、その後の工程でフィルム内部の銅イオンを硫化処理することにより、フィルム内部に微細に分散した硫化銅ナノ微粒子を形成させることで、高い近赤外線遮蔽性と可視光透過性を兼ね備えたPVA系フィルムを安価に製造できることを見出した。
すなわち本発明は、PVA系ポリマーと硫化銅微粒子からなり、かつ該ポリマー中に平均粒子径50nm以下の硫化銅ナノ微粒子が微細に分散されてなるフィルムであって、下記(1)、(2)の条件を共に満たすことを特徴とするPVA系フィルムに関する。
(1)波長が400〜760nmの可視光領域における平均透過率が50%以上であること、
(2)波長が800〜1200nmの近赤外線領域での平均透過率が60%以下であること。
また本発明は、好ましくは波長が200〜360nmの紫外線領域における平均透過率が60%以下であることを特徴とする上記のPVA系フィルムに関するものであり、更に好ましくはPVA系ポリマー100質量%に対して、硫化銅ナノ微粒子が0.1〜3質量%含有されてなることを特徴とする上記のPVA系フィルムに関する。
そして本発明は、銅イオンを含む化合物が0.1〜50g/Lの濃度で溶解された浴と、硫化物イオンを含む化合物が1〜50g/Lの濃度で溶解された浴を通して、フィルム中に各々の化合物を含有させ、さらに銅を硫化させることで、フィルムの内部にのみ平均粒子径が50nm以下の硫化銅ナノ微粒子を微細に生成させることを特徴とする上記のPVA系フィルムの製造方法に関する。
本発明によれば、高い近赤外線遮蔽性および可視光透過性を兼ね備えたPVA系フィルムを提供することが可能である。また本発明のPVA系フィルムは、特別な工程を必要とせず、通常の繊維製造工程で達成可能であるので、安価に製造することができる。
本発明のPVA系フィルムはテント、天幕、建材、窓材などの熱線遮蔽材料、赤外線カットフィルターなどの光学材料、記録材料、蓄熱材料、近赤外線検出センサーをはじめとして多くの用途に極めて有効に使用することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。まず本発明のPVA系フィルムを構成するPVA系ポリマーについて説明する。本発明に用いるPVA系ポリマーの重合度は特に限定されるものではないが、得られるフィルムの機械的特性や寸法安定性等を考慮すると30℃水溶液の粘度から求めた平均重合度が1200〜20000のものが望ましい。高重合度のものを用いると、強度、耐湿熱性等の点で優れるので好ましいが、ポリマー製造コストやフィルム化コストなどの観点から、より好ましくは、平均重合度が1500〜8000である。
本発明で用いるPVA系ポリマーのケン化度は特に限定されるものではないが、得られるフィルムの機械的特性の点から、88モル%以上であることが好ましい。PVA系ポリマーのケン化度が88モル%よりも低いものを使用した場合、得られるフィルムの機械的特性や工程通過性、製造コストなどの面で好ましくない。
また本発明のフィルムを構成するPVA系ポリマーは、ビニルアルコールユニットを主成分とするものであれば特に限定されず、本発明の効果を損なわない限り、所望により他の構成単位を有していてもかまわない。このような構造単位としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン類、アクリル酸及びその塩とアクリル酸メチルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、ポリアルキレンオキシドを側鎖に有するアリルエーテル類、メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アクリロニトリル等のニトリル類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル、マレイン酸およびその塩またはその無水物やそのエステル等の不飽和ジカルボン酸等がある。このような変性ユニットの導入法は共重合による方法でも、後反応による方法でもよい。しかしながら、本発明の目的とするフィルムを得るためにはビニルアルコール単位が88モル%以上のポリマーがより好適に使用される。もちろん本発明の効果を損なわない範囲であれば、目的に応じてポリマー中に酸化防止剤、凍結防止剤、pH調整剤、隠蔽剤、着色剤、油剤、難燃剤、特殊機能剤などの添加剤が含まれていてもよい。
本発明のPVA系フィルムは上記PVA系ポリマー以外の構成成分として、平均粒子径50nm以下の硫化銅ナノ微粒子が、フィルム内部にのみ微細に分散されていることがキーポイントである。詳細は後述するが、このようなナノ粒子であることにより、可視光領域における高い透過性をはじめて達成することが可能となる。顕微鏡や目視レベルで確認できる1μm以上の大きな粒子が多く存在するフィルムは本発明のPVA系フィルムの範囲外であり、目的である高い近赤外光遮蔽性と可視光透過性を兼備することはできない。なお、本発明において、フィルム中の硫化銅ナノ微粒子の分散状態は透過型電子顕微鏡(TEM)にて初めてその存在形態を確認することができる。
本発明のPVA系フィルムは、PVA系ポリマー100質量%に対して、硫化銅ナノ微粒子を好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.13〜2質量%含有するものである。硫化銅ナノ微粒子の含有量が0.1質量%より少ないと、可視光透過性は良好なものの、近赤外線遮蔽性が小さくなってしまうので好ましくない。一方で、硫化銅ナノ粒子の含有量が3質量%より大きいと、近赤外線遮蔽性には優れるものの、可視光透過性が低下する場合があるので好ましくない。
本発明のPVA系フィルムは、波長が400〜760nmの可視光領域における平均透過率が50%以上、且つ波長が800〜1200nmの近赤外線領域での平均透過率が60%以下であることが重要である。可視光領域の平均透過率が50%未満の場合、高い透過性を有しているとは言い難く、また近赤外領域における透過率が60%を超える場合は、十分な遮蔽能力を有しているとは言い難い。すなわち本発明においては、後述する硫化銅のナノ粒子効果により、これら二つの要件を同時に満たすことができることがキーポイントである。なお、本発明のPVA系フィルムの可視光透過率および近赤外線透過率については、硫化銅の導入量やフィルムの厚さなどによって、適宜コントロールできる。
更には、本発明のPVA系フィルムは、波長が200〜360nmの紫外線領域における平均透過率が60%以下であることが望ましい。紫外線は人体に悪影響を及ぼす光線として知られており、平均透過率としては50%以下であることが更に望ましい。
かかる硫化銅微粒子の平均粒子径は、50nm以下のナノ微粒子であることが必要であり、30nm以下であるようなナノ微粒子であることが好ましく、20nm以下であるようなナノ微粒子であると更に好ましい。一般に、高い可視光透過性を示すということは、この波長領域においてポリマー或いはポリマー中の微粒子による光の吸収と散乱が少ないことを示している。このうち特に問題になるのは、ポリマー中に複合された粒子からの散乱であるが、光の波長より小さい粒子による散乱の大きさは、レイリー散乱式で表され〔例えば、色材、Vol.31、p85(1958年発刊)参照〕、散乱の大きさは粒径の関数であり、粒径を小さくすることが散乱を小さくする最も重要な要因となる。一般には100nm以下、望ましくは50nm以下の粒子であれば、散乱が小さく十分透明なフィルムとなる。従って、本発明で初めて達成できる、このサイズ効果により、可視光領域における高い透明性を付与することができる。一方で、平均粒子径が50nmより大きい場合、上記の理由で散乱が大きくなり、透明性を失うことになるので、本発明の目的とする高い可視光透過率を達成することはできない。
上述したナノ微粒子であることは、可視光領域の透明性を実現するのみならず、近赤外線遮蔽性にも大きな威力を発揮する。硫化銅は近赤外領域にプラズマ振動を持っており、これにより近赤外線を遮蔽することが知られている。従って、硫化銅粒子をフィルム内に均一に分散させことが、フィルム全体の性能の均一性の面からは望ましい。一般に、同じ質量%の硫化銅含有量であっても、粒子径が百分の一になると、粒子間距離は一万分の一にまで小さくなる事が知られている〔例えば、ナノコンポジットの世界、p22(工業調査会)参照〕。従って、本発明で初めて達成できる、このナノサイズ効果により、少ない量で、且つフィルム全体に渡って均一に近赤外光遮蔽性を付与することができる。ここでも、平均粒子径が50nmより大きい場合、上記の理由で近赤外線遮蔽能力の斑ができたりするので好ましくない。
一般にPVA系ポリマーはその水酸基を介して銅などの金属イオンと強く配位結合することが知られている〔例えば、Polymer、Vol37,No.14、3097、(1996)参照〕。本発明ではこのPVA系ポリマー独自の挙動に着目し、硫化銅微粒子をフィルム内部にだけ均一に分散させることを試み、種々検討の結果、遂に本発明を完成したものである。つまり、フィルム中においてPVA分子鎖と銅イオンで形成された錯体ブロックは、その大きさが数オングストロームであることから、後述する硫化銅ナノ微粒子構成ユニットとなりえる。本発明では、まずこの銅イオンをPVA系フィルムの内部にまで浸透させ、PVA系ポリマーの有する水酸基と配位させ、PVAと銅との配位結合を形成させることが必須である。詳細は後述するが、これを達成するには、フィルム製造工程中あるいは後加工工程において浴溶媒で所定の膨潤状態にあるPVA系フィルムを、銅イオンを含有する化合物が溶解された浴を通過させることにより、フィルムの内部まで銅イオンを均一に浸透させ、配位させることができる。
続いて、PVA系フィルム内部にまでPVA系ポリマーの水酸基と配位結合している銅イオンを硫化処理することで、硫化銅ナノ微粒子を形成させることができる。すなわち、前述した銅イオン含浸処理に引き続き、硫化能力を有する硫化物イオンを含む化合物が溶解された浴を通すことで、PVA系ポリマーと銅イオンの配位を外すことにより、硫化銅ナノ微粒子をフィルム内部にのみ形成させることができる。この時も、フィルム内部の銅イオンまで硫化処理が進む為には、やはり浴溶媒で膨潤していることが好適であり、さらに連続して処理することが望ましい。なお、ここでの処理は、特別に高価な工程を設ける必要はなく、通常のフィルム製造工程中で処理可能である。
本発明で使用する銅イオンを含有する化合物としては、可溶であるものであれば特に限定はなく、酢酸銅、蟻酸銅、硝酸銅、くえん酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、沃化第一銅、沃化第二銅などが用いられる。かかる銅イオンは一価でも二価でもよく、特に限定されるものではない。一価の銅イオンを含有する化合物を用いる場合は、その溶解性を向上させる目的で、塩酸、ヨウ化カリウム、アンモニア等を併用してもかまわない。これらの中でも、溶液状態でPVA系ポリマーと配位結合し易いものがより望ましく、その観点からは、銅イオンを含む化合物は、硝酸銅や酢酸銅、蟻酸銅などが好適に用いられる。
PVA系フィルム中で配位した銅イオンを硫化する硫化剤としては、硫化物イオンを放出し得る化合物が用いられ、例えば、硫化ナトリウム、第二チオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ硫酸ナトリウム、硫化水素、チオ尿素、チオアセトアミド等が挙げられる。これらの中でもコスト、入手し易さ、低腐食性の点で、硫化物イオンを含む化合物としては、硫化ナトリウムが好適である。
このように、従来の近赤外光遮蔽材料とは異なり、フィルム内部にのみ硫化銅ナノ微粒子を分散させることで、高い可視光透過性と近赤外線遮蔽性を兼備することができる。また、粒子径が小さいことから、これを延伸する場合も何ら問題なく、硫化銅を含有していないPVA系フィルムと同等の延伸倍率と力学物性を発現させることが可能である。
本発明により得られるフィルム厚さは特に制限はないが、一般的には20〜300μm、好ましくは30〜200μm、40〜100μm程度であることが好ましい。
次に本発明のPVA系フィルムの製造方法について説明する。本発明においては、PVA系ポリマーを水あるいは有機溶剤に溶解した原液を用いて後述する方法でフィルムを製造することにより、硫化銅ナノ微粒子がフィルム内部にのみ微細に分散した、高い可視光透過性と近赤外線遮蔽性を兼備したPVA系フィルムを効率良く安価に製造することができる。原液を構成する溶媒としては、例えば水、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略記)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどの極性溶媒やグリセリン、エチレングリコールなどの多価アルコール類、およびこれらとロダン塩、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛などの膨潤性金属塩の混合物、さらにはこれら溶媒同士、あるいはこれら溶媒と水との混合物などが挙げられるが、これらの中でも、とりわけ水、ジメチルスルホキシド、水とジメチルスルホキシドの混合溶媒、あるいは水とグリセリンの混合溶媒等が環境負荷や回収性の点から好適に使用される。
原液の揮発分率(製膜時に揮発や蒸発によって除去される溶媒などの揮発性成分の含有割合)は、PVA系ポリマーの重合度、製膜方法、製膜条件などによって異なり得るが、一般には、50〜95質量%、更には55〜90質量%、特に60〜85質量%であることが好ましい。原液揮発分率が低すぎると、製膜原液の粘度が高くなり過ぎて、原液調製時の濾過や脱泡が困難となり、異物や欠点のないPVA系フィルムの製造が困難となる傾向がある。一方、揮発分率が高すぎると製膜原液の粘度が低くなり過ぎて、目的とする厚みや厚み精度を有するPVA系フィルムの製造が困難になる傾向がある。
また、PVA系フィルムを製造するための原液中に界面活性剤を添加しておくことが好ましく、界面活性剤の添加により、製膜性が向上してフィルムの厚さ斑の発生が抑制されると共に、製膜に使用する金属ロールやベルトからのフィルムの剥離が容易になる。界面活性剤の種類は特に限定されないが、金属ロールやベルトなどからの剥離性の観点からアニオン性またはノニオン性の界面活性剤が好ましく、特にノニオン性界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウムなどのカルボン酸型、オクチルサルフェートなどの硫酸エステル型、ドデシルベンゼンスルホネートなどのスルホン酸型のアニオン性界面活性剤が好適である。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンラウレートなどのアルキルエステル型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルなどのアルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン酸アミドなどのアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルなどのポリプロピレングリコールエーテル型、オレイン酸ジエタノールアミドなどのアルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルなどのアリルフェニルエーテル型などのノニオン性界面活性剤が好適である。これらの界面活性剤は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
製膜用の原液中に界面活性剤を添加する場合は、その添加量はPVA系ポリマー100質量%に対して0.01〜0.5質量%、更には0.02〜0.03質量%、特に0.05〜0.1質量%が好ましい。界面活性剤の添加量が0.01質量%よりも少ないと、界面活性剤を添加したことによる製膜性および剥離性の向上効果が現れにくくなり、一方で0.5質量%を超えると、界面活性剤がPVA系フィルムの表面にブリードアウトしてブロッキングの原因になり、取り扱い性が低下する場合がある。
上記した原液を用いてPVA系フィルムを製膜する製膜方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。例えば上記した原液を使用して、流延製膜法、湿式製膜法(貧溶媒中への吐出)、ゲル製膜法(PVA系重合体を含む前記原液を一旦冷却ゲル化した後に溶媒を抽出除去してPVAフィルムを得る方法)、あるいはこれらの組み合わせによる方法などを採用することができる。これらの中でも流延製膜法が、膜の厚さおよび幅が均一で、物性の良好なPVA系フィルムが得られることから好ましく採用される。
またPVA系フィルムは必要に応じて乾燥や熱処理を行う。
製膜にあたっては、T型スリットダイや、ホッパープレート、I−ダイ、リップコーターダイなどを用いたり、キャスト製膜などによって、製膜用の原液を最上流側に位置されて回転する加熱した第1ロールの周面上に均一に吐出し(流延し)、この第1の加熱ロール上に吐出(流延)された膜の一方の面から揮発分を蒸発させて乾燥させ、続いて吐出(流延)された膜の他方の面を回転する第2の加熱ロール(乾燥ロール)の周面上を通過させて乾燥し、その下流側に配置した1個または複数個の回転する加熱ロールの周面上で更に乾燥するか、または熱風乾燥装置の中を通過させて乾燥した後、巻き取り装置に巻き取る方法が工業的には好ましく採用される。ロール乾燥と熱風乾燥は適宜組み合わせて実施することも可能である。
PVA系フィルムを適切な状態に調整するためには、熱処理装置や調湿装置、さらにはそれぞれのロール駆動用のモータや変速機などの速度調整機構が付設されることが望ましい。
原液の吐出から乾燥したPVA系フィルムの製造に至るまでの乾燥処理は、一般に乾燥温度は50〜150℃、特に60℃〜140℃の温度で行うことが、その後の延伸性や後述する硫化銅複合処理に適するので好ましい。
本発明の目的とするPVA系フィルムを得るためには、上記の乾燥後または延伸後のフィルムを、銅イオンを含む化合物を溶解した浴を通過させて該化合物をフィルム中に含浸させる。この場合、フィルム内部への銅イオンを含む化合物を均一浸透させ、銅イオンをPVA系ポリマーの水酸基と配位結合を形成せしめるためには、フィルムは浴溶媒により膨潤していることが望ましく、そのためには浴に用いる溶媒はメタノール等のアルコール類や水、塩類あるいはこれらの混合物であることが好ましい。その時の浴溶媒によるフィルムの膨潤率は20質量%以上であることが好ましい。なお、膨潤率調整のため、フィルムを先ず所定の浴に浸漬し、その後、銅イオンを放出する化合物が溶解された浴に浸漬することが望ましい場合もある。膨潤率が20質量%未満の場合、銅イオンがPVA系ポリマーの水酸基と十分な配位結合を形成できず、フィルム内部にて硫化銅ナノ微粒子を生成させることができない。一方で、膨潤率が大きくなりすぎた場合、浴へのPVA系ポリマーの溶出などが起こり、工程通過性の面で好ましくない。以上のことから、銅イオンを含む化合物が溶解された浴での膨潤率は30質量%以上300質量%以下であることが好ましく、50質量%以上250質量%以下であることがより好ましい。
本発明のPVA系フィルムは、硫化銅ナノ微粒子の導入量などにより、可視光透明性と近赤外線遮蔽性を適宜コントロール可能である。銅イオンを含む化合物の浴への溶解量は要求される特性に応じて適宜設定すればよいが、0.1〜50g/Lの範囲であることが好ましい。添加量が0.1g/L未満の場合、所望の物性が得られず、また50g/Lを越える場合は、ローラーへの付着など、工程性不良をもたらすので好ましくない。より好ましくは1〜30g/Lである。前記したように、所定の膨潤状態にある場合、銅イオンが溶解された浴にフィルムが通過した時点で、銅イオンを含む化合物のフィルムへの含浸は起こるので、浴での滞留時間については特に制限はないが、フィルム中心部にまで銅イオンを均一に含浸させ、PVA系ポリマーと配位結合を十分にせしめることを目的に、浴での滞留時間は3秒以上、好ましくは30秒以上であることが望ましい。
次にPVA系フィルム内部で配位結合している銅イオンを硫化処理する目的で、硫化物イオンを含む化合物を溶解した浴を通過させる必要がある。その場合、硫化物イオンを含む化合物の浴への添加量は銅イオンの導入量によって必要に応じて適宜設定すればよいが、1〜50g/Lの範囲であることが好ましい。添加量が1g/L未満の場合、フィルム内部の銅イオンまで硫化処理が進まない可能性があるので好ましくない。また50g/Lを超える場合は、PVA系フィルム内部に含まれる銅イオンを硫化処理するに十分な量ではあるが、回収系や臭気問題など工程性の面であまり好ましくない。
フィルムに含浸された銅イオンを硫化する反応は、特に硫化能の大きい化合物を用いた場合は瞬時に起こることから、この場合の滞留時間には特に制限はないが、フィルム内部にまで十分硫化処理を施すことを目的に、滞留時間は0.1秒以上であることが望ましい。
一方で、10μm程度の市販の硫化銅粒子を予め原液から仕込んだ場合には、原液中での分散不良や凝集、沈降などが起こり、高い可視光透過性と近赤外線遮蔽性を満足することはできない。また、ナノ微粒子を原液から仕込んだ場合にも、ナノ微粒子の高い表面活性のために二次凝集を起こしてしまい、やはり所望の特性を発現させることはできない。更には、あらかじめ銅イオンを配位させたPVA系ポリマーを原料として使用した場合は、銅の配位による溶液粘度の上昇や、固化性が悪化するなど、工程性が悪化することに加えて、得られるフィルムの力学物性は低いものとなる。
このようにして得られた、フィルム中に硫化銅ナノ微粒子を導入されたフィルムに、熱処理を施し力学物性等を向上させることで、本発明のPVA系フィルムを製造することができる。このための熱処理条件は、一般的には100℃以上の温度、好ましくは150℃〜250℃の温度で行うのがよい。温度が100℃未満の場合、フィルム物性の向上効果が不十分である。また250℃を越えるとフィルム表面の部分的な融解が性能の低下をもたらすので好ましくない。
本発明のPVA系フィルムは、高い近赤外線遮蔽性と可視光透過性を兼ね備えていることから、テント、天幕、建材、窓材などの熱線遮蔽材料、赤外線カットフィルターなどの光学材料、記録材料、蓄熱材料、近赤外線検出センサーをはじめとして多くの用途に極めて有効に使用することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例により何等限定されるものではない。なお以下の実施例において、可視光透過率、近赤外線透過率、紫外線透過率、フィルム中の硫化銅ナノ微粒子の含有量、存在形態および粒子径は下記の方法により測定したものを示す。
[可視光領域の平均透過率 %]
島津製作所社製の紫外可視光光度計UV−2500PCを用い、得られたフィルムについて可視光線の透過率を測定した。400〜760nmまでのの5nmごとの透過率の平均値を求めて評価した。
[近赤外線領域の平均透過率 %]
島津製作所社製の自己分光度計UV−310を用い、得られたフィルムについて可視光線の透過率を測定した。400〜760nmまでのの5nmごとの透過率の平均値を求めて評価した。
[紫外線領域の平均透過率 %]
島津製作所社製の紫外可視光光度計UV−2500PCを用い、得られたフィルムについて可視光線の透過率を測定した。200〜360nmまでのの5nmごとの透過率の平均値を求めて評価した。
[フィルム中の硫化銅微粒子の含有量測定 質量%]
フィルム中の硫化銅微粒子の含有量測定は、ジャーレルアッシュ社製ICP発光分析装置IRIS−APを用いて行った。
[フィルム中の硫化銅微粒子の存在形態]
フィルムの硫化銅粒子の存在形態は、日立社製H−800NA透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて行った。フィルム断面の写真から任意に50個の硫化銅微粒子を選び、その大きを夫々実測し、平均値を平均粒子径とした。
[実施例1]
(1)粘度平均重合度1700、ケン化度99.9モル%以上のPVAをPVA濃度13質量%となるように水を含水させ、この水溶液を60℃の金属ロール上で乾燥して厚みが75μmのPVA系フィルムを得た。
(2)得られたフィルムを、和光純薬(株)製の硝酸銅を1g/L溶解した25℃の水浴に滞留時間が300秒になるように浸漬し、引き続き、和光純薬(株)製の硫化ナトリウムを30g/L溶解した25℃の水浴に滞留時間が300秒間になるように浸漬した。その後、水洗し、120℃の熱風で乾燥し、硫化銅ナノ微粒子複合PVA系フィルムを得た。得られたフィルムの性能評価結果を表1に、参考としてフィルムの断面TEM写真を図1に、可視光透過率のグラフを図2に、近赤外線透過率のグラフを図3に、紫外線透過率のグラフを図4に示した。
(3)得られたフィルムの外観は良好で、硫化銅量は0.17質量%、粒子径は8nmであり、フィルム内部にのみ均一に分散していた。また、得られたフィルムの可視光透過率は77.1%、近赤外線透過率は59.8%、紫外線透過率は23.5%であり、優れた可視光透過性と近赤外遮蔽性を示すものであった。
[実施例2]
実施例1の(2)において、硝酸銅濃度を3g/Lとした以外は実施例1と同様な方法でフィルムを作成した。性能評価結果を表1に示した。得られたフィルムの外観は良好で、硫化銅量は0.51質量%、粒子径は10nmであり、フィルム内部にのみ均一に分散していた。また、得られたフィルムの可視光透過率は58.8%、近赤外線透過率は38.1%、紫外線透過率は17.4%であり、優れた可視光透過性と近赤外遮蔽性を示すものであった。
[実施例3]
実施例1の(2)において、硝酸銅濃度を50g/L、硝酸銅水溶液中での滞留時間を10秒とした以外は、実施例1と同様な方法でフィルムを作成した。性能評価結果を表1に示した。得られたフィルムの外観は良好で、硫化銅量は1.13質量%、粒子径は24nmであり、フィルム内部にのみ均一に分散していた。また、得られたフィルムの可視光透過率は53.1%、近赤外線透過率は29.9%、紫外線透過率は3.8%であり、優れた可視光透過性と近赤外遮蔽性を示すものであった。
[比較例1]
実施例1において、(2)の処理をしない、すなわち硫化銅を複合しない以外は実施例1と同様な方法でフィルムを作成した。性能評価結果を表2に、参考としてフィルム可視光透過率のグラフを図2に、近赤外線透過率のグラフを図3に、紫外線透過率のグラフを図4に示した。得られたフィルムの外観は良好で、可視光透過率は94.3%であったが、近赤外線透過率は94.8%、紫外線透過率は85.9%であり、近赤外線および紫外線の遮蔽能力は示さなかった。
[比較例2]
和光純薬(株)製の硝酸銅を5g/L溶解した水溶液と、和光純薬(株)製の硫化ナトリウムを50g/L溶解した水溶液を混合し、2次粒子径約1μm(=1000nm)の硫化銅粒子を析出させた。これを水で十分洗浄後、80℃で乾燥したものを、PVAに対して0.5質量%となるように原液に添加する、いわゆる原液添加にて比較例1と同様な方法でフィルムを作成した。性能評価結果を表2に示した。得られたフィルム中には所々硫化銅の凝集物が観察され、かつ表面は凹凸しており、外観は良好とは言えなかった。また得られたフィルムの可視光透過率は73.1%であったが、近赤外線透過率は70.8%、紫外線透過率は61.9%であり、十分な近赤外線および紫外線の遮蔽能力は示さなかった。更には、各透過率測定において、バラツキが見られ、均一性に劣るものであった。
[比較例3]
実施例1において、(2)の処理を5回繰り返し、フィルム中の硫化銅量を増加させた以外は、実施例1と同様な方法でフィルムを作成した。性能評価結果を表2に示した。得られたフィルムの外観は良好で、硫化銅量は2.35質量%、粒子径は15nmであり、フィルム内部にのみ均一に分散していた。また、得られたフィルムの近赤外線透過率は5.1%、紫外線透過率は2.4%であったが、可視光透過率は12.1%と低く、高い可視光透過性と近赤外遮蔽性を満足するものは得られなかった。
Figure 2008208291
Figure 2008208291
表1、図1〜4の結果から明らかなように、本発明のPVA系フィルムは、フィルム内部に硫化銅ナノ粒子が均一に分散した状態を保っており、高い可視光透過性と近赤外遮蔽性を兼ね備えている。一方、表2の結果から明らかなように、フィルム中における硫化銅ナノ粒子の含有量が少ない場合や過剰に多い場合、また粒子径が大きい場合は、本発明のようなフィルムのように、高い可視光透過性と近赤外遮蔽性を兼備することはできない。
本発明によれば、高い近赤外線遮蔽性と可視光透過性を兼ね備えたPVA系フィルムを提供することができる。また本発明のPVA系フィルムは特別に高価な工程を必要とせず、通常の製造、延伸、加工工程で安価に製造可能である。さらに本発明のPVA系フィルムは、テント、天幕、建材、窓材などの熱線遮蔽材料、赤外線カットフィルターなどの光学材料、記録材料、蓄熱材料、近赤外線検出センサーをはじめとして多くの用途に極めて有効に使用することができる。
本発明のPVA系フィルムにおいて、フィルム中に硫化銅ナノ微粒子が均一に分散している状態を示す透過型電子顕微鏡写真。 実施例1および比較例1において、波長域400〜760nmの可視光領域での透過率を示す図。 実施例1および比較例1において、波長域800〜1200nmの近赤外線領域での透過率を示す図。 実施例1および比較例1において、波長域200〜360nmの紫外線領域での透過率を示す図。

Claims (4)

  1. ポリビニルアルコール系ポリマーと硫化銅微粒子からなり、かつ該ポリマー中に平均粒子径50nm以下の硫化銅ナノ微粒子が微細に分散されてなるフィルムであって、下記(1)、(2)の条件を共に満たすことを特徴とする、ポリビニルアルコール系フィルム。
    (1)波長が400〜760nmの可視光領域における平均透過率が50%以上であること、
    (2)波長が800〜1200nmの近赤外線領域での平均透過率が60%以下であること。
  2. 波長が200〜360nmの紫外線領域における平均透過率が60%以下であることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルム
  3. ポリビニルアルコール系ポリマー100質量%に対して、硫化銅ナノ微粒子が0.1〜3質量%含有されてなることを特徴とする請求項1または2記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  4. 銅イオンを含む化合物が0.1〜50g/Lの濃度で溶解された浴と、硫化物イオンを含む化合物が1〜50g/Lの濃度で溶解された浴を通して、フィルム中に各々の化合物を含有させ、さらに銅を硫化させることで、フィルムの内部にのみ平均粒子径が50nm以下の硫化銅ナノ微粒子を微細に生成させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
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