JP2024048319A - 細胞組織の製造方法 - Google Patents

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佳也 塚本
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Abstract

【課題】寸法および中心位置を考慮しつつ塗布液を高い位置精度で供給することにより、小スケールかつハイスループットで作用を再現性高く高精度に評価可能な細胞組織の製造方法を提供する。【解決手段】第2塗布液Bを供給する工程においては、N個の第1塗布液Aのそれぞれの第1寸法をr1n(1≦n≦Nの自然数)、M個の第2塗布液のそれぞれの第2寸法をr2m(1≦m≦Mの自然数)とし、N個の中から選択された任意の第1寸法がr1nの第1塗布液の中心と、M個の中から選択された任意の第2寸法がr2mの第2塗布液の中心との距離をDn,mとすれば、任意の第1塗布液と任意の第2塗布液との間で(数1)Dn,m<r2m-r1n・・・(1)および(数2)Dn,m>r2m+r1n・・・(2)のいずれかが成立するように供給される。【選択図】図8

Description

本開示は、細胞組織の製造方法に関する。
1つの容器内に、異種の細胞および組織を近接して培養することで、生体と類似した極性のある細胞・組織を形成する技術が、たとえば特開2020-178612号公報(特許文献1)に開示されている。特開2020-178612号公報には、1つの容器内に複数の細胞組織を塗布針方式により形成する方法が開示されている。
特開2020-178612号公報
特開2020-178612号公報では、たとえば段落0096および図17にて、塗布対象物であるウェルと、その中に供給される第1塗布液としての細胞組織との組み合わせについて例示されている。
しかし特開2020-178612号公報には、細胞を含む第1塗布液の半径と、それを覆う第2塗布液との半径と、ウェルの大きさとの3つのパラメータの間の関係について開示されていない。仮に特開2020-178612号公報の図17(a)において、ウェルの内壁に近い位置に第2塗布液をディスペンサを用いて滴下すれば、静電気により第2塗布液がウェルの内壁に付着したり、目的の位置からずれたりすることがある。結果として、第2塗布液が第1塗布液を完全に覆うことが出来ず、第1塗布液が崩壊する可能性がある。
本開示は上記の課題に鑑みなされたものである。本開示の目的は、寸法および中心位置を考慮しつつ塗布液を高い位置精度で供給することにより、小スケールかつハイスループットで作用を再現性高く高精度に評価可能な細胞組織の製造方法を提供することである。
本開示に従った細胞組織の製造方法では、塗布対象物内に第1塗布液がN個(N≧1の自然数)供給され、細胞が配置される。N個の第1塗布液のうち少なくとも1個を覆うように、塗布対象物内に第2塗布液がM個(M≧1の自然数)供給される。第2塗布液を供給する工程においては、N個の第1塗布液のそれぞれの中心から外縁までの寸法の最大値である第1寸法をr1n(1≦n≦Nの自然数)、M個の第2塗布液のそれぞれの中心から外縁までの寸法の最大値である第2寸法をr2m(1≦m≦Mの自然数)とし、N個の中から選択された任意の第1寸法がr1nの第1塗布液の中心と、M個の中から選択された任意の第2寸法がr2mの第2塗布液の中心との距離をDn,mとすれば、任意の第1塗布液と任意の第2塗布液との間で
(数1)Dn,m<r2m-r1n・・・(1)
および
(数2)Dn,m>r2m+r1n・・・(2)
のいずれかが成立するように供給される。
本開示によれば、寸法および中心位置を考慮しつつ塗布液を高い位置精度で供給することにより、小スケールかつハイスループットで作用を再現性高く高精度に評価可能な細胞組織の製造方法を提供できる。
実施の形態1に従った塗布装置の模式図である。 図1に示した塗布装置の塗布機構を示す模式図である。 試料塗布セットの概略斜視図である。 実施の形態1の細胞組織の製造方法の各工程において供給される各塗布液の中心および寸法を示す概略図である。 2個の第1塗布液の配置関係を示す概略図である。 第1塗布液と、これを覆う第1仮想曲線との中心、寸法、位置の関係を示す概略図である。 第1仮想曲線と第2塗布液との関係を示す概略図である。 第1塗布液と第2塗布液との位置関係の第1例を示す概略図である。 第1塗布液と第2塗布液との位置関係の第2例を示す概略図である。 2個の第2塗布液の配置関係を示す概略図である。 第2塗布液と、これを覆う第2仮想曲線との中心、寸法、位置の関係を示す概略図である。 第2仮想曲線とウェルとの関係を示す概略図である。 実施例1における位相差顕微鏡像である。 実施例2における位相差顕微鏡像である。 実施例3において供給された各塗布液の位置および寸法を示す概略平面図である。 図15と同一の各塗布液の中心位置および中心間の距離を示す概略平面図である。 実施例3における位相差顕微鏡像である。 実施例4における位相差顕微鏡像である。 第2塗布液のウェル内における塗布位置を変化させたときの、塗布されると想定される位置と、実際に塗布された位置とを示す模式図および写真である。 実施の形態2における第1塗布液が塗布される前の態様を示す概略図である。 実施の形態2における第1塗布液の組成を示す概略図である。 実施の形態2における第1塗布液が塗布される工程を示す概略図である。 実施の形態2における第1塗布液が塗布された後の態様を示す概略図である。 実施の形態2における第2塗布液が供給される工程を示す概略図である。 図24の工程がなされた後のウェル内の態様を示す概略図である。 実施の形態2における培地が供給される工程を示す概略図である。 培養前の第1塗布液内の細胞の態様を示す概略図である。 培養後の第1塗布液内の細胞の態様を示す概略図である。 ウェル内に塗布液が供給された直後の位相差顕微鏡像(左)、および6日間培養後の位相差顕微鏡像(右)である。 塗布組織の実験におけるCa2+トランジエント波形を示すグラフである。 塗布組織および2D組織のそれぞれにイソプロテレノールを添加した際のBPMの変化を示すグラフである。 塗布組織および2D組織のそれぞれにイソプロテレノールを添加した際のAMPの変化を示すグラフである。
(はじめに)
はじめに、実施の形態1の細胞組織の製造方法の特徴について簡単に説明する。図8を参照して、(A)のように、供給される第1寸法r1nの第1塗布液Aの中心と、それを覆う第2寸法r2mの第2塗布液Bの中心との距離Dn,mは、
(数1)Dn,m<r2m-r1n・・・(1)
である。あるいは(B)のように、
(数2)Dn,m>r2m+r1n・・・(2)
である。以下、実施の形態1の細胞組織の製造方法について、図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
(装置構成)
図1は、実施の形態1に従った塗布装置の模式図である。図1を用いて、本実施形態に従った塗布装置を説明する。なお、説明の便宜のため、X方向、Y方向、Z方向が導入されている。図1を参照して、本実施形態である塗布装置は、処理室と、当該処理室の内部に配置されたY軸テーブル2と、X軸テーブル1と、Z軸テーブル3と、塗布機構4と、観察光学系6と、当該観察光学系6に接続されたCCDカメラ7と、制御部とを主に備えている。制御部は、モニタ9と、制御用コンピュータ10と、操作パネル8とを含む。
処理室の内部においては、当該処理室の底部上にY軸テーブル2が設置されている。このY軸テーブル2は、Y軸方向に移動可能になっている。具体的には、Y軸テーブル2の下面にガイド部が設置されている。当該ガイド部は、処理室の底面に設置されたガイドレールに摺動可能に接続されている。また、Y軸テーブル2の下面にはボールねじが接続されている。当該ボールねじをモータなどの駆動部材により動作させることにより、Y軸テーブル2はガイドレールに沿って(Y軸方向に)移動可能になっている。また、Y軸テーブル2の上部表面上は、後述の試料塗布セット11を搭載する搭載面となっている。つまりY軸テーブル2は、液体材料を塗布される対象物である試料塗布セット11を保持する保持台としての機能を有している。
Y軸テーブル2上には、X軸テーブル1が設置されている。X軸テーブル1は、Y軸テーブル2をX軸方向に跨ぐように設置された構造体上に配置されている。X軸テーブル1には、Z軸テーブル3が接続された移動体がX軸方向に移動可能に設置されている。移動体は、たとえばボールねじを用いてX軸方向に移動可能となっている。なお、X軸テーブル1は上記構造体を介して処理室の底面に固定されている。そのため、上述したY軸テーブル2は、X軸テーブル1に対してY軸方向に移動可能になっている。
X軸テーブル1に接続された移動体には、上述のようにZ軸テーブル3が設置されている。Z軸テーブル3には、観察光学系6および塗布機構4が接続されている。観察光学系6は塗布される対象物である試料塗布セット11の塗布位置を観察するためのものである。CCDカメラ7は、観察した画像を電気信号に変換する。Z軸テーブル3は、これらの観察光学系6および塗布機構4をZ軸方向に移動可能に保持している。
これらのY軸テーブル2、X軸テーブル1、Z軸テーブル3、観察光学系6および塗布機構4を制御するための制御用コンピュータ10および操作パネル8、さらに制御用コンピュータに付随するモニタ9は、処理室の外部に設置されている。モニタ9は、上述したCCDカメラ7で変換された画像データや、制御用コンピュータ10からの出力データを表示する。操作パネル8は、制御用コンピュータ10への指令を入力するために用いられる。
図2は、図1に示した塗布装置の塗布機構を示す模式図である。図2を参照して、本実施の形態の塗布機構4は、サーボモータ41、カム43、当該カム43のカム面に接触した状態で保持されている軸受44、カム連結板45、可動部46、塗布針ホルダ20を保持する可動ベース35、および塗布材料容器21を主に含む。塗布針ホルダ20は可動ベース35と着脱可能になっている。言い換えれば、ベース体としての可動ベース35は、塗布針ホルダ20を着脱可能に保持する。
塗布機構4において、サーボモータ41は、図1に示したZ軸方向に沿った方向に中心軸が延びるように設置されている。サーボモータ41の回転軸にはカム43が接続されている。カム43は、サーボモータ41の中心軸を中心として回転可能になっている。カム43は、サーボモータ41の回転軸に接続された中心部と、当該中心部の一方端部に接続されたフランジ部とを含む。フランジ部の上部表面(サーボモータ41側の表面)はカム面となっている。このカム面は、中心部の外周に沿って円環状に形成されているとともに、フランジ部の底面からの距離が変動するようにスロープ状に形成されている。具体的には、カム面は底面からの距離が最も遠くなっている(厚みの厚い)上端フラット領域と、この上端フラット領域から間隔を隔てて配置された下端フラット領域と、この上端フラット領域と下端フラット領域との間を滑らかに接続するスロープ部とを含む。下端フラット領域は、底面からの距離が最も近くなっている(厚みの薄い)領域である。
このカム43のカム面に接するように軸受44が配置されている。この軸受44にカム連結板45が接続されている。カム連結板45において、軸受44と接続された一方端部と反対側の他方端部は可動部46に固定されている。この可動部46には、ベース体としての可動ベース35が接続されている。この可動ベース35に塗布針ホルダ20が設置されている。塗布針ホルダ20は塗布針24を含む。塗布針24は、試料塗布セット11のたとえばウェル12に液体材料を塗布可能である。塗布針24は、塗布針ホルダ20の下面(サーボモータ41が位置する側と反対側である下側)において塗布針ホルダ20から突出するように配置されている。塗布針ホルダ20下には塗布材料容器21が配置されている。塗布材料容器21に塗布針24は挿入された状態で保持されている。
可動部46には固定ピンが固定されている。また、サーボモータ41を保持している架台には他方の固定ピンが固定されている。この固定ピンの間を繋ぐようにバネが設置されている。このバネにより、可動部46は塗布材料容器21側に向けた力を受けた状態になっている。また、このバネの力によって、軸受44はカム43のカム面に押圧された状態を維持している。
また、可動部46、可動ベース35は、サーボモータ41を保持する架台に設置されたリニアガイドに接続され、Z軸方向に沿って移動可能になっている。
上述した塗布機構4においては、サーボモータ41を駆動することにより当該サーボモータ41の回転軸を回転させてカム43を回転させる。この結果、カム43のカム面に接触している軸受44のZ軸方向における位置がサーボモータ41の回転軸の回転に応じて変動する。そして、この軸受44のZ軸方向での位置変動に応じて、可動部46、可動ベース35がZ軸方向に移動することにより、塗布針24のZ軸方向における位置を変化させることができる。つまり塗布針24をZ軸方向に往復運動させることができる。この動作により、塗布針24がZ軸方向の上方にある時には、液体材料が収納された塗布材料容器21内に塗布針24の先端が浸漬される。この状態に対し、塗布針24は塗布材料容器21の底面の先端穴から下方に突出することで塗布動作がなされる。塗布針24の先端に液体材料が付着した状態で、塗布針24の先端が塗布材料容器21の先端穴から突出し、塗布材料容器21の外に出る。このとき、表面張力によって液体材料が上方に引き上げられ、塗布針24の先端にはほぼ一定量の液体材料が付着した状態となる。このように付着した液体材料が試料塗布セット11に転写されることで、再現性の高い塗布工程が実現できる。
より詳しくは、図1および図2を参照して、操作パネル8から出力された塗布速度指令値は、制御用コンピュータ10の記憶装置に保管される。塗布動作時には、記憶装置から読みだされた塗布速度指令値が、塗布機構4の制御プログラムに送信される。塗布機構4の制御プログラムは、塗布速度指令値に基づいて、サーボモータ41の回転速度を決定し回転させる。これにより塗布針24をZ軸方向に往復運動させながら塗布動作がなされる。制御用コンピュータ10が図示されない上位の制御システムと通信している場合には、塗布速度指令値は上位の制御システムから塗布機構4の制御プログラムに送信されてもよい。また、塗布される液体材料の種類に応じたパラメータが、制御用コンピュータ10の記憶装置に保管されてもよい。指定された液体材料の種類、塗布量、塗布寸法に応じて塗布速度指令値が算出されてもよい。
(製造方法の特徴)
図3は、試料塗布セットの概略斜視図である。図3を参照して、本実施の形態では、液体材料としての塗布液は、試料塗布セット11に複数形成されたウェル12の内部に塗布供給される。ただし塗布液が供給される塗布対象物はこれに限られない。試料塗布セット11はZ軸方向に厚みを有し、その最上面に複数のウェル12が形成されている。複数のウェル12は、試料塗布セット11の上面がくぼんだ凹形状の部分である。複数のウェル12は互いに間隔をあけて、たとえば図3のY軸方向に8列、X軸方向に12列で合計96個形成されてもよい。ウェル12の平面形状はたとえば円形など任意である。
図4は、実施の形態1の細胞組織の製造方法の各工程において供給される各塗布液の中心および寸法を示す概略図である。図4以降の各図の塗布液は、Z方向から平面視した形状を示す。図4を参照して、本実施の形態においては、たとえば平面視にて円形の塗布液が供給されることが好ましい。ただしこれに限らず、塗布液は完全な円形からやや崩れたものであったり、やや一方に大きくずれた形状の楕円形の平面形状であったりしてもよい。さらに塗布液は円形、楕円形のいずれとも異なる、たとえば八角形、十二角形などの多角形の平面形状(またはこれらの多角形に近似する平面形状)であってもよい。いずれにしても、以降に述べる塗布液の寸法とは、中心(図心)から外縁までの寸法の最大値を意味することとする。塗布液の平面形状が円形であれば、寸法は図4中の(A)における半径としてのr1nを意味し、楕円形であれば寸法は図4中の(A)における長半径としてのr1nを意味する。
まず試料塗布セット11の複数のウェル12から選ばれた1つのウェル12に、第1塗布液がN個供給される。Nは1以上の自然数であり、(A)に示す第1塗布液Aが少なくとも1個供給される。なお複数の第1塗布液Aは、1つの塗布機構により時間的に連続して供給された液体によるものを1個とする。1つの塗布機構により時間的に分断されながら供給された液体による第1塗布液Aは互いに別個のものとする。また時間的に同時であっても、互いに異なる塗布機構から供給された液体による第1塗布液Aは互いに別個のものとする。複数個の第1塗布液Aが供給される場合、そのうち少なくとも1個に培養すべき細胞が含まれる。このため第1塗布液Aの供給により、ウェル12内には培養すべき細胞が配置される。
第1塗布液Aの寸法を第1寸法r1n(1≦n≦N)とする。すなわちN個の第1塗布液Aのうち1個目の第1寸法はr11で表記され、2個目の第1寸法はr12で表記される。
図5は、2個の第1塗布液の配置関係を示す概略図である。図5を参照して、N個(Nは2以上の自然数)のうち任意に選択された2個の第1塗布液Aのそれぞれの寸法をr1n、r1(n+1)とする。2個の第1塗布液Aのそれぞれの中心(図心)間の距離をdn,n+1とする。このとき2個の第1塗布液の配置関係は、図5中の(A)のように互いに重ならない場合と、(B)のように一方が他方の内部に完全に収まる場合と、(C)のように両者が部分的に重なる場合とがある。(A)には両者が互いに外接する場合を含む。(B)には一方が他方に内接する場合を含む。
図5中の(A)の場合には以下の式(3)が、(B)の場合には以下の式(4)が、(C)の場合には以下の式(5)が、それぞれ成立する。式(3)中の等号は図5の(A)にて2つの第1塗布液Aが互いに外接する場合である。式(4)中の等号は図5の(B)にて一方の第1塗布液Aが他方に内接する場合である。式(5)にてr1n=r1(n+1)であれば、dn,n+1<r1n+r1(n+1)のみ成立する。
(数3)dn,n+1≧r1n+r1(n+1)・・・(3)
(数4)dn,n+1≦r1(n+1)-r1n・・・(4)
(数5)r1(n+1)-r1n<dn,n+1<r1n+r1(n+1)・・・(5)
第2塗布液B(図4中の(C)参照)は、N個の第1塗布液Aのうち少なくとも1個をZ軸方向の上側から覆うようにM個(M≧1の自然数)だけ、ウェル12内に供給される。つまりたとえば、複数の第2塗布液Bのうち1個は複数の第1塗布液Aのうち一部を覆い、第2塗布液Bのうち他の1個は複数の第1塗布液Aのうち他の一部を覆ってもよい。図6は、第1塗布液と、これを覆う第1仮想曲線との中心、寸法、位置の関係を示す概略図である。図6および図4中の(B)を参照して、第1仮想曲線A’は、第1塗布液Aと重なる1個の第2塗布液Bの寸法を決めるために用いられる仮想の図形(たとえば円形)である。仮想曲線は曲線でない(直線となる)こともあり得るが、以下ではその場合もまとめて仮想曲線と呼称する。N個の第1塗布液Aのうち、1個の第2塗布液Bと重なる1個以上の第1塗布液Aが選ばれる。それら1個以上の第1塗布液Aのそれぞれの中心(図心)から、それらの第1塗布液Aの図心が、第1仮想曲線A’の第1図心G1として求められる。
たとえばN個の第1塗布液Aの全てを覆う1個の第2塗布液Bが供給される場合、図6に示すように、N個の第1塗布液Aのそれぞれの中心を考える。1個の第1塗布液Aの中心の位置は、それぞれの第1塗布液Aの図心を決める。図心は、その位置を支点にすることにより、塗布液が釣り合う点を意味する。たとえば円形または楕円形などの、重量が均一に作用する第1塗布液Aであれば、その図心は中心に等しくなる。
1個目の第1塗布液Aの中心の位置座標を(x,y)とし、同様にN個目の第1塗布液Aの中心を(x,y)とする。この中心位置(中心の座標)は、第1塗布液Aが円形または楕円形の場合には当該第1塗布液Aの図心の座標に等しい。当該中心の座標は、塗布装置の制御部に含まれるモニタ9の出力などから求められる。このとき第1図心G1の座標(X,Y)は、N=3のときは、各中心点の座標を3で除することにより、各中心点の座標を結んでなる三角形の図心として得られる。N≧4のときは、各中心を結んでなるN角形を(N-2)個の三角形に分割し、それぞれの三角形の面積sに三角形の図心座標gx(gy)を乗じたものを合計し、N角形の全面積で割ることにより得られる。すなわち
Figure 2024048319000002
Figure 2024048319000003
となる。第1塗布液Aを全て覆うよう、第1仮想曲線A’の第1仮想寸法r1vが求められる。第1仮想寸法r1vは、図6のように最も第1図心G1から離れたたとえばn=3およびn=Nの第1塗布液Aが第1仮想曲線A’の円形に内接するときの第1仮想曲線A’の(円形の)寸法として求められる。すなわち第1仮想曲線A’は、複数の第1塗布液Aのうち最も第1図心G1から見て外側にあり、それと内接することにより他の第1塗布液Aと内接するよりも寸法が大きくなる(最大寸法を生じる)ように形成される。つまり第1塗布液の寸法r1nと第1仮想曲線A’の第1仮想寸法r1vとの間には、
(数8)r1v≧r1n・・・(8)
の関係が成り立ち、特に第1塗布液Aが1個の場合は上記の式(8)は等式となる。
また第1図心G1と、n=3(3個目)であり寸法がr13の第1塗布液A(第1仮想曲線A’に内接)の中心との距離L1は、
(数9)L1=r1v-r13・・・(9)
となる。
なお図6のように、単一の第1仮想曲線A’内における複数の第1塗布液A間の配置状態は、図5中の(A),(B),(C)のいかなる態様であってもよい。すなわち(次に述べる)第2塗布液Bが覆う複数の第1塗布液A同士は、互いに離れていてもよいし、一方が他方の内部に収まってもよいし、部分的に交わるように配置されてもよい。
このようにして形成された第1仮想曲線A’の第1仮想寸法r1vよりも、第2塗布液Bの第2寸法r2mの方が大きい。先述した通り、第2塗布液Bの第2寸法は、中心(図心)から外縁までの寸法の最大値を意味する。そのことを図7に示す。図7は、第1仮想曲線と第2塗布液との関係を示す概略図である。図7および図4中の(C)を参照して、第2塗布液Bは第1仮想曲線A’の全体を覆うように供給される。また第2塗布液Bは第1仮想曲線A’を内接せずにその全体が第2塗布液Bと重なるように供給される。このため、M個の中から選ばれたm個目の第2塗布液Bの寸法をr2m(1≦m≦M)とすれば、当然に
(数10)r2m>r1v・・・(10)
が成り立つ。また図7において第1図心G1と、寸法がr2mの第2塗布液Bの中心との距離L2は、
(数11)L2<r2m-r1v・・・(11)
で表される。
なお、第1仮想寸法r1vよりも大きい寸法r1v’=α×r1v(α>1.0)を基準寸法とし、当該基準寸法r1v’よりも大きくなるように第2塗布液Bの第2寸法r2mが決定されてもよい。αは1.1以上であることがより好ましい。αを大きくすれば、第1塗布液Aと第2塗布液Bとの外縁同士の隙間を広くできる。このことと、第2寸法r2mが第1仮想寸法r1v(上記のα=1.0)よりも大きくなるように決定されることとを全てまとめれば、第1仮想寸法r1v以上の基準寸法r1v’よりも、第2寸法r2mの方が大きい。
図8は、第1塗布液と第2塗布液との位置関係の第1例を示す概略図である。図8を参照して、たとえば(A)のように、第1塗布液Aが第2塗布液Bに内接することなくその内側に完全に収まるように第2塗布液Bに覆われてもよい。あるいは(B)のように、第1塗布液Aが第2塗布液Bに外接することも重なることもなく第2塗布液Bの外側に完全に外れてもよい。(B)の場合には、第1塗布液Aは図示される第2塗布液Bの左側に存在する図示されない他の第2塗布液に内接しないように完全に覆われる。
図8各図の第1塗布液A、第2塗布液Bはいずれも1個以上の中から選択された任意のものである。このため、n番目の第1塗布液Aの中心とm番目の第2塗布液の中心との距離をDn,mとすれば、(A),(B)いずれの場合も当然に
(数12)r2m>r1n・・・(12)
が成り立つ。その上で、(A)の場合には
(数13)Dn,m<r2m-r1n・・・(1)
が成り立つ。また(B)の場合には
(数14)Dn,m>r2m+r1n・・・(2)
が成り立つ。上記の式(1)と(2)とのいずれかが成立するように、第2塗布液Bが供給される。
図9は、第1塗布液と第2塗布液との位置関係の第2例を示す概略図である。図9を参照して、本実施の形態では、第2塗布液Bに内接、外接のいずれもしないように第1塗布液Aが配置されればよい。図9では、左側の第1塗布液A1、右側の第1塗布液A2のいずれも第2塗布液B1,B2のいずれとも内接、外接しない。このため図9のように、第2塗布液B1と第2塗布液B2とが部分的に重なってもよい。図9の場合、第1塗布液A1と第2塗布液B1との間には式(1)が成立し、第1塗布液A1と第2塗布液B2との間には式(2)が成立する。また第1塗布液A2と第2塗布液B2との間には式(1)が成立し、第1塗布液A2と第2塗布液B1との間には式(2)が成立する。
図10は、2個の第2塗布液の配置関係を示す概略図である。図10を参照して、M個(Mは2以上の自然数)のうち任意に選択された2個の第2塗布液Bのそれぞれの寸法をr2m、r2(m+1)とする。2個の第2塗布液Bのそれぞれの中心(図心)間の距離をpm,m+1とする。このとき2個の第2塗布液の配置関係は、図10中の(A)のように互いに重ならない場合と、(B)のように一方が他方の内部に完全に収まる場合と、(C)のように両者が部分的に重なる場合とがある。(A)には両者が互いに外接する場合を含む。(B)には一方が他方に内接する場合を含む。
図10中の(A)の場合には以下の式(13)が、(B)の場合には以下の式(14)が、(C)の場合には以下の式(15)が、それぞれ成立する。式(13)中の等号は図10の(A)にて2つの第2塗布液Bが互いに外接する場合である。式(14)中の等号は図10の(B)にて一方の第2塗布液Bが他方に内接する場合である。式(15)にてr2m=r2(m+1)であれば、pm,m+1<r2m+r2(m+1)のみ成立する。
(数15)pm,m+1≧r2m+r2(m+1)・・・(13)
(数16)pm,m+1≦r2(m+1)-r2m・・・(14)
(数17)r2(m+1)-r2m<pm,m+1<r2m+r2(m+1)・・・(15)
次に第2塗布液Bと、これらが供給されるウェル12との寸法の関係を考える。第2塗布液Bはすべて同一(単一)のウェル12内に供給される。図11は、第2塗布液と、これを覆う第2仮想曲線との中心、寸法、位置の関係を示す概略図である。図11および図4中の(D)を参照して、第2仮想曲線B’は、第2塗布液Bを供給すべきウェル12の寸法を決めるために用いられる仮想の図形(たとえば円形)である。ウェル12内に供給されるM個の第2塗布液Bのそれぞれの中心(図心)から、それらM個の第2塗布液B全体の図心が、第2仮想曲線B’の第2図心G2として求められる。
たとえば図11に示すように、M個の第2塗布液Bのそれぞれをm=1,2,・・・,Mとする。なお第2塗布液Bの中心位置の測定方法は第1塗布液Aと同様である。
1個目の第2塗布液Bの中心の位置座標を(x,y)とし、同様にM個目の第2塗布液Bの中心を(x,y)とする。この中心位置(中心の座標)は、第2塗布液Bが円形または楕円形の場合には当該第2塗布液Bの図心の座標に等しい。当該中心の座標は、塗布装置の制御部に含まれるモニタ9の出力などから求められる。このとき第2図心G2の座標(X,Y)は、M=3のときは、各中心点の座標を3で除することにより、各中心点の座標を結んでなる三角形の図心として得られる。M≧4のときは、各中心を結んでなるM角形を(M-2)個の三角形に分割し、それぞれの三角形の面積sに三角形の図心座標gx(gy)を乗じたものを合計し、M角形の全面積で割ることにより得られる。すなわち
Figure 2024048319000004
Figure 2024048319000005
となる。M個の第2塗布液Bを全て覆うよう、第2仮想曲線B’の第2仮想寸法r2vが求められる。第2仮想寸法r2vは、図11のように最も第2図心G2から離れたたとえばm=3およびm=Mの第2塗布液Bが第2仮想曲線B’の円形に内接するときの第2仮想曲線B’の(円形の)寸法として求められる。すなわち第2仮想曲線B’は、複数の第2塗布液Bのうち最も第2図心G2から見て外側にあり、それと内接することにより他の第2塗布液Bと内接するよりも寸法が大きくなる(最大寸法を生じる)ように形成される。つまり第2塗布液の寸法r2mと第2仮想曲線B’の第2仮想寸法r2vとの間には、
(数20)r2v≧r2m・・・(18)
の関係が成り立ち、特に第2塗布液Bが1個の場合は上記の式(18)は等式となる。
また第2図心G2と、m=3(3個目)であり寸法がr23の第2塗布液B(第2仮想曲線B’に内接)の中心との距離L2は、
(数21)L2=r2v-r23・・・(19)
となる。
なお図11のように、第2仮想曲線B’内における複数の第2塗布液A間の配置状態は、図10中の(A),(B),(C)のいかなる態様であってもよい。すなわち(次に述べる)ウェル12内に供給される複数の第2塗布液B同士は、互いに離れていてもよいし、一方が他方の内部に収まってもよいし、部分的に交わるように配置されてもよい。
このようにして形成された第2仮想曲線B’の第2仮想寸法r2vよりも、ウェル12の第3寸法rの方が大きい。そのことを図12に示す。図12は、第2仮想曲線とウェルとの関係を示す概略図である。図12および図4中の(E)を参照して、ウェル12は第2仮想曲線B’を内接することなく収納する。このため、ウェル12の寸法をrとすれば、当然に
(数22)r>r2v・・・(20)
が成り立つ。また図12において第2図心G2と、寸法がrのウェル12の中心との距離L3は、
(数23)L3<r-r2v・・・(21)
で表される。
なお、第2仮想寸法r2vよりも大きい寸法r2v’=β×r2v(β>1.0)を基準寸法とし、当該基準寸法r2v’よりもウェル12の第3寸法rの方が大きくなってもよい。βは1.1以上であることがより好ましい。βを大きくすれば、第2塗布液Bの外縁とウェル12の内壁面との隙間を広くできる。このことと、第3寸法rが第2仮想寸法r2v(上記のβ=1.0)よりも大きいこととを全てまとめれば、第2仮想寸法r2v以上の基準寸法r2v’よりも、第3寸法rの方が大きい。
(作用効果)
本実施の形態に係る細胞組織の製造方法では、塗布対象物としてのウェル12内に第1塗布液AがN個(N≧1の自然数)供給され、細胞が配置される。N個の第1塗布液Aのうち少なくとも1個を覆うように、ウェル12内に第2塗布液BがM個(M≧1の自然数)供給される。第2塗布液Bを供給する工程においては、N個の第1塗布液Aのそれぞれの中心から外縁までの寸法の最大値である第1寸法をr1n(1≦n≦Nの自然数)、M個の第2塗布液Bのそれぞれの中心から外縁までの寸法の最大値である第2寸法をr2m(1≦m≦Mの自然数)とし、N個の中から選択された任意の第1寸法がr1nの第1塗布液Aの中心と、M個の中から選択された任意の第2寸法がr2mの第2塗布液Bの中心との距離をDn,mとすれば、任意の第1塗布液Aと任意の第2塗布液Bとの間で
(数24)Dn,m<r2m-r1n・・・(1)
および
(数25)Dn,m>r2m+r1n・・・(2)
のいずれかが成立するように供給される。
式(1)が成立すれば、図8中の(A)のように、第1塗布液Aは第2塗布液Bと内接することなく収納される。このため第2塗布液Bを第1塗布液A上に滴下する際における第1塗布液Aの崩壊が抑制できる。式(2)が成立すれば、図8中の(B)のように、第1塗布液Aは第2塗布液Bと全く接触しないため、第2塗布液Bを第1塗布液A上に滴下する際における第1塗布液Aの崩壊が抑制できる。このため寸法および中心位置を考慮しつつ塗布液を高い位置精度で供給することにより、小スケールかつハイスループットで作用を再現性高く高精度に評価可能な細胞組織の製造方法を提供できる。
上記細胞組織の製造方法において、N個の第1塗布液Aのうち第2塗布液Bと重なる1個以上の第1塗布液Aの第1図心G1を中心とし1個以上の第1塗布液Aを全て覆い1個以上の第1塗布液Aのいずれかと内接するよう求められた第1仮想曲線A’の最大寸法である第1仮想寸法r1v以上の基準寸法よりも、第2寸法r2mの方が大きい。第1図心G1は、第2塗布液Bと重なる1個以上の第1塗布液Aのそれぞれの中心位置から求められる。
いずれかの第1塗布液Aと第1仮想曲線A’とが内接し得る最大寸法が第1仮想寸法r1vであるため、それよりも第2寸法r2mを大きくすれば、第1塗布液Aと重なる第2塗布液Bは第1塗布液Aと内接しない。このため第2塗布液Bを第1塗布液A上に滴下する際における第1塗布液Aの崩壊が抑制できる。
上記細胞組織の製造方法において、M個の第2塗布液Bの第2図心G2を中心とし、M個の第2塗布液Bを全て覆いM個の第2塗布液のいずれかと内接するよう求められた第2仮想曲線B’の最大寸法である第2仮想寸法r2v以上の基準寸法よりも、ウェル12の第3寸法rの方が大きい。第2図心G2は、M個の第2塗布液Bのそれぞれの中心位置から求められる。
いずれかの第2塗布液Bと第2仮想曲線B’とが内接し得る最大寸法が第2仮想寸法r2vであるため、それよりも第3寸法rを大きくすれば、第2塗布液Bはウェル12の内壁面に付着しない。このため第2塗布液Bを第1塗布液A上に滴下する際における第1塗布液Aの崩壊が抑制できる。
(塗布液供給方法の変形例)
本実施の形態の細胞組織の製造方法において、図1、図2の塗布装置を用いて上記の塗布工程(塗布液の供給)を行なう場合、第1塗布液Aを供給する工程において塗布針方式が用いられる。これにより、第1塗布液Aをウェル12内に微小量、すなわち非常に小さい寸法となるように塗布することができる。また塗布針方式によれば、第1塗布液Aが高粘度であっても塗布可能である。
上記細胞組織の製造方法では、第2塗布液Bを供給する工程において、塗布針方式、インクジェット方式、ディスペンサ方式、レーザープリント方式、ピペット方式からなる群から選択されるいずれかが用いられてもよい。第2塗布液Bの粘度が高い(高粘度溶液である)場合には、塗布針方式が用いられてもよい。ただし第2塗布液Bは塗布針方式以外の、インクジェット方式、ディスペンサ方式、レーザープリント方式、ピペット方式が用いられることにより、第2塗布液Bは滴下により第1塗布液A上に供給される。このためたとえば塗布針を有する塗布装置の第2塗布液Bを収納する塗布材料容器内に、第1塗布液Aが混入し汚染されるなどの不具合を抑制できる。
上記細胞組織の製造方法では、第2塗布液BをM個供給する工程において、M個のうち少なくとも1個の第2塗布液Bは塗布針方式、インクジェット方式、ディスペンサ方式、レーザープリント方式、ピペット方式からなる群から選択される第1方式により供給され、M個のうち少なくとも1個とは異なる他の第2塗布液Bは第1方式とは異なる第2方式により供給されてもよい。つまり第1塗布液Aは塗布針方式により、第2塗布液Bはインクジェット方式により供給されてもよい。あるいは第1塗布液Aは塗布針方式により、第2塗布液Bはディスペンサ方式により供給されてもよい。このように、塗布される塗布液の性質および順序に応じて適宜好ましい方式を用いることで、塗布工程の効率および形成される塗布液の品質を高めることができる。
なお塗布針方式以外の方式を用いる場合には、図1、図2の塗布装置に、方式に応じたインクジェット方式用の装置、ディスペンサ方式用の装置等が組み合わされることが好ましい。あるいはたとえば第1塗布液Aが塗布針方式、第2塗布液Bがディスペンサ方式により供給される場合、第1塗布液Aは図1、図2の塗布装置により供給され、第2塗布液Bはこれとは異なるディスペンサ方式用の塗布装置により供給されてもよい。さらに、たとえば図1、図2の塗布装置においては単一の塗布機構4のみを有するが、複数の塗布機構4を有する塗布装置が用いられることにより、複数の塗布液のすべてが単一の塗布装置内の異なる塗布機構4により供給されてもよい。
(細胞組織)
形成される細胞組織の第1例は次の通りである。第1塗布液Aは培養すべき細胞とゲル化剤とを含み、第2塗布液Bは高粘度溶液である。高粘度溶液とはゲル化剤よりも粘度の高い溶液である。これにより、ウェル12内への第2塗布液Bおよび培地の添加時に第1塗布液の保形性が向上するという効果が得られる。さらに細胞組織としては、コラーゲンゲルのスキャホールドを含む細胞組織を構築することができる効果が得られる。具体的には、第1塗布液Aとして、細胞と、ゲル化剤としてのコラーゲン溶液とを混合したものが準備され、ウェル12内に供給される。第2塗布液Bとして、コラーゲン溶液よりも粘度が高いメチルセルロースが用いられ、第1塗布液Aを覆うように供給される。さらに、ウェル12内の第1塗布液Aおよび第2塗布液Bの上に培地を滴下することにより、細胞組織が形成される。細胞組織においては、培地の中に第1塗布液Aおよび第2塗布液Bが浸漬される。
上記細胞組織は、たとえば37℃、5%COの環境下で培養される。これによりコラーゲン溶液がゲル化し、塗布した組織がウェル12内に固定される。また、第2塗布液Bとしての高粘度溶液は培地交換をすることにより除去が可能である。
形成される細胞組織の第2例は次の通りである。第1塗布液Aは培養すべき細胞を含み、第2塗布液Bはゲル化剤を含む。これにより、ゲル化剤は第1塗布液Aと第2塗布液Bとの界面でゲル化し、ゲルドーム内にスキャホールドフリーの細胞組織を形成することができるという効果が得られる。具体的には、第1塗布液Aとして、細胞と、ゲル化開始剤であるトロンビンと、高粘度高分子であるヒアルロン酸ナトリウムとが混合される。ゲル化剤であるフィブリノゲンを含有する第2塗布液Bが第1塗布液Aを覆うように滴下される。これにより第1塗布液Aと第2塗布液Bとの界面がゲル化され、いわゆるゲルドームが形成される。やがて第2塗布液Bは全体がゲル化される。ゲルドーム内で第1塗布液A内の細胞が沈殿することで、細胞組織が形成される。その後、第1例と同様に培地が滴下され、第1例と同様の環境下で培養される。第1塗布液Aを供給する工程以降にゲル化剤を用いて、ウェル12内に供給された細胞から細胞組織が形成される。ただし仮に第1塗布液Aにフィブリノゲンが含まれれば、ゲルドームは形成されない。
以上をまとめると、第1塗布液Aおよび第2塗布液Bの少なくともいずれかに、ゲル化剤としてのコラーゲンとフィブリノゲンとの少なくともいずれかが含まれる。つまり第1塗布液Aおよび第2塗布液Bの少なくともいずれかに、ゲル化剤としてのコラーゲンとフィブリノゲンとの一方が含まれてもよい。あるいは上記しないが、第1塗布液Aおよび第2塗布液Bの少なくともいずれかに、ゲル化剤としてのコラーゲンとフィブリノゲンとの双方が含まれてもよい。
(ゲル化剤について)
上記の細胞組織の第2例のように、本実施の形態において、2液混合方式によりウェル12内に第1塗布液Aおよび第2塗布液Bが供給されてもよい。なお2液混合方式とは、第1塗布液と第2塗布液との双方がゲル化剤およびゲル化開始剤の少なくともいずれかを含むことである。すなわち第1塗布液Aは細胞とゲル化開始剤とを含み、第2塗布液Bはゲル化剤を含んでもよい。この場合、スキャホールドフリーの細胞組織を構築することができる。第1塗布液Aは細胞とゲル化剤とを含み、第2塗布液Bはゲル化開始剤を含んでもよい。この場合、スキャホールドを含む細胞組織を構築することができる。あるいは第1塗布液Aと第2塗布液Bとの双方がゲル化剤を含んでもよい。
ゲル化剤は特に限定されるものではなく、2液混合方式に用いられるゲル化剤の他に、温度応答性のゲル化剤を用いることができる。たとえばゲル化剤に、タンパク質、糖鎖、天然高分子、合成高分子、ペプチド等が含まれてもよい。より具体的には、ゲル化剤に、コラーゲン、フィブリノゲン、ゼラチン、GelMA、アルギン酸ナトリウム、ポリアミノ酸、ポリエチレングリコール、感熱応答性高分子、マトリゲル等が含まれてもよい。また、上記のゲル化剤から適宜選ばれた複数種を組み合わせて細胞組織を構築することができる。
2液混合方式においてゲル化剤が用いられる場合、ゲル化剤に対応したゲル化開始剤が含まれる必要がある。たとえば、ゲル化剤がフィブリノゲンであればゲル化開始剤はトロンビンが用いられる。またゲル化剤がアルギン酸ナトリウムであればゲル化開始剤は塩化カルシウムである。
ゲル化剤よりも粘度の高い高粘度溶液は特に限定されるものではない。具体的には、高粘度溶液は、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、セルロースナノファイバーからなる群から選択されるいずれかが用いられる。また、上記の高粘度溶液から適宜選ばれた複数種を組み合わせて用いることができる。
(ゲル化剤以外の材料について)
本実施の形態で使用できる細胞は特に限定されるものではない。ただし当該細胞は、たとえば心筋細胞、神経細胞、肝細胞、癌細胞、血管内皮細胞、線維芽細胞からなる群から選択されるいずれかであってもよい。より詳しくは、当該細胞は、心筋細胞、神経細胞、肝細胞、血管内皮細胞、線維芽細胞、表皮細胞、平滑筋細胞、消化管細胞、腎細胞、膵細胞などの各種初代細胞、幹細胞由来(iPSおよびES等)の分化細胞、および各種癌細胞等のうちのいずれかであってもよい。
細胞は、疾患様のものであるか、正常様のものであるかを問わず、複数の細胞を混合したものが培養されてもよい。つまり、N個の第1塗布液Aのうち1個の第1塗布液A中に、細胞として、第3細胞と、当該第3細胞とは異なる第4細胞とが含まれるように共培養されてもよい。第3細胞は次に述べる第1細胞と同一でもよいし異なってもよい。第4細胞は次に述べる第2細胞と同一でもよいし異なってもよい。
第1塗布液A中に含まれる細胞の体積の割合を第1塗布液Aの細胞体積濃度とする。つまり細胞体積濃度は、第1塗布液A全体の体積に対する細胞の体積の割合を示すものである。第1塗布液Aの細胞体積濃度は0.001vol%以上50vol%以下であることが好ましい。本明細書では細胞体積濃度は体積百分率(単位vol%)で表記される。たとえば50vol%は50v/v%に等しい。また50vol/%は体積の割合が50%であることとも等しい。このため体積百分率は単位v/v%で表記されてもよい。あるいは体積百分率は本明細書では単位%で表記されてもよい。つまり単位vol%で表される体積百分率の数値は、単位v/v%で表される体積百分率の数値、および単位%で表される百分率の数値に等しい。上記の中でも第1塗布液Aの細胞体積濃度は1vol%以上30vol%以下であることがより好ましい。その中でも第1塗布液Aの細胞体積濃度は25vol%であることが最も好ましい。
ウェル12内に第1塗布液AがN個(N≧2の自然数)供給されるとき、ウェル12内に供給されるN個の第1塗布液Aのうち少なくとも1個に細胞が含まれ、上記少なくとも1個とは異なる他の少なくとも1個の第1塗布液Aには細胞を含まずサイトカイン、薬剤、ECMおよび添加因子からなる群から選択される少なくともいずれかが含まれてもよい。つまり第1塗布液Aにサイトカイン、ECMおよび添加因子からなる群から選択される少なくともいずれかが含まれてもよいし、これらのうち複数が混合されてもよい。上記サイトカイン、薬剤、ECM、添加因子は、少なくとも1個の第1塗布液Aに含まれる細胞に作用する。
さらに、1つのウェル12内に第1塗布液Aを複数個塗布する場合に、たとえばそのうちの1個が心筋細胞であり、他の1個が癌細胞であるように、第1塗布液A間で異なる種類の細胞が含まれてもよい。あるいは複数個の第1塗布液Aのうちの1個に心筋細胞が含まれ、他の1個にも同種の心筋細胞が含まれてもよい。つまりウェル12内に供給されるN個の第1塗布液Aのうち少なくとも1個に含まれる細胞は第1細胞であり、少なくとも1個とは異なる他の少なくとも1個の第1塗布液Aに含まれる細胞は第2細胞である。第2細胞は第1細胞と同種でも異種でもよい。なお、第1細胞または第2細胞を含む第1塗布液Aには、フィブロネクチン、ゼラチン、コラーゲン、ラミニン、エラスチン、マトリゲルなどの細胞外マトリックス成分、線維芽細胞増殖因子、血小板由来成長因子などの細胞増殖因子等の添加剤が含まれてもよい。これにより、当該第1塗布液Aに内包される細胞が安定して接着および増殖できる環境が与えられる。
培地は特に限定されるものではない。培地として、DMEM、RPMI1640、M199、MEMからなる群から選択されるいずれかを用いることができる。培地には、抗生物質、FBS、各種成長因子等、特に限定されるものではなく種々の添加物を添加できる。また培地と第2塗布液Bとは同じ溶液を使用することができる。ただし培地と第2塗布液Bとに同じ溶液を用いる場合には、培地は高粘度溶液とする必要がある。
培地を滴下する位置は、第2塗布液Bの中心と平面的に重なる位置であることが好ましいが、これに限られない。培地は第2塗布液Bと同じ溶液としてもよい。ただし培地を形成するための溶液は第2塗布液Bとは独立に、第2塗布液Bを浸漬するように供給される。
さらに、たとえば上記の細胞組織の第1例または第2例において、第1塗布液Aおよび第2塗布液Bの少なくともいずれかに増粘多糖類が混合されてもよい。増粘多糖類として、具体的にはアルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、セルロースナノファイバーからなる群から選択されるいずれかが用いられてもよい。増粘多糖類の混合により、第1塗布液Aの保形性の向上という効果が得られる。
第1塗布液Aが1個のみ形成され、ゲル化剤が第1塗布液Aに含まれる実施例について説明する。
第1塗布液として、iPS心筋細胞(iCell cardiomyocyte2)と心臓線維芽細胞とが4:1の個数比で含まれたものに、1.05mg/mLのコラーゲン溶液が混合されたものが用いられた。iPS心筋細胞と心臓線維芽細胞とが4:1の個数比で含まれたものの細胞体積濃度は25vol%であった。第2塗布液として、溶液100mL中に0.75gのメチルセルロースが溶解され、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを含むPBS(+)の溶液が用いられた。培地として、iCell播種培地が用いられた。塗布対象物は、96個のウェル12を有する試料塗布セット11(図3参照。96ウェルプレートと称する)に含まれる1つのウェル12が用いられた。96ウェルプレートの直径6.5mmの円形のウェルの中心に、針径が700μmの塗布針を用いて、第1塗布液が供給された。第1塗布液の中心の真上に、直径4.5mmの第2塗布液が、ディスペンサにより滴下された。さらに、ピペットを用いて、100μLの培地が、第1塗布液および第2塗布液の上に滴下された。
図13は、実施例1における位相差顕微鏡像である。図13を参照して、第1塗布液が崩壊することなく組織を形成できた。なお、本実施例における上記の各パラメータの数値は以下の通りであり、上記の数式を全て満足する。
11=r1v=0.7mm、L1=0mm、r21=r2v=4.5mm、L2=0mm、Dn,m=0mm、r=6.5mm、L3=0mm。
第1塗布液Aが1個のみ形成され、ゲル化剤が第2塗布液Bに含まれる実施例について説明する。
第1塗布液として、iPS心筋細胞(iCell cardiomyocyte2)と心臓線維芽細胞とが4:1の個数比で含まれたものに、3mg/mLのヒアルロン酸ナトリウム溶液と、260unit/mLのトロンビン溶液とが混合されたものが用いられた。iPS心筋細胞と心臓線維芽細胞とが4:1の個数比で含まれたものの細胞体積濃度は10vol%であった。第2塗布液として、5mg/mLのヒアルロン酸ナトリウム溶液と、5mg/mLのフィブリノゲン溶液とが混合され、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを含むPBS(+)の溶液が準備された。培地として、iCell播種培地が用いられた。塗布対象物は、96ウェルプレートの1つのウェルが用いられた。96ウェルプレートの直径6.5mmの円形のウェルの中心に、針径が700μmの塗布針を用いて、第1塗布液が供給された。第1塗布液の中心の真上に、直径3.5mmの第2塗布液が、ディスペンサにより滴下された。さらに、ピペットを用いて、100μLの培地が、第1塗布液および第2塗布液の上に滴下された。
図14は、実施例2における位相差顕微鏡像である。図14を参照して、第1塗布液が崩壊することなく組織を形成できた。なお、本実施例における上記の各パラメータの数値は以下の通りであり、上記の数式を全て満足する。
11=r1v=0.7mm、L1=0mm、r21=r2v=3.5mm、L2=0mm、D1,1=0mm、r=6.5mm、L3=0mm。
第1塗布液Aが2個形成され、第2塗布液Bが1個形成され、ゲル化剤が第1塗布液Aに含まれる実施例について説明する。
第1塗布液として、iPS心筋細胞(iCell cardiomyocyte2)と心臓線維芽細胞とが4:1の個数比で含まれたものに、1.05mg/mLのコラーゲン溶液が混合されたものが用いられた。iPS心筋細胞と心臓線維芽細胞とが4:1の個数比で含まれたものの細胞体積濃度は25vol%であった。第2塗布液として、溶液100mL中に0.75gのメチルセルロースが溶解され、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを含むPBS(+)の溶液が用いられた。培地として、iCell播種培地が用いられた。塗布対象物は、96ウェルプレートの1つのウェルが用いられた。
図15は、実施例3において供給された各塗布液の位置および寸法を示す概略平面図である。図16は、図15と同一の各塗布液の中心位置および中心間の距離を示す概略平面図である。図15および図16を参照して、96ウェルプレートの直径6.5mmの円形のウェルの中心から1.0mmずれた位置に、針径1000μmの塗布針を用いて、1個目の第1塗布液A1が供給された。第1塗布液A1の中心から2.0mmずれた位置に、針径700μmの塗布針を用いて、2個目の第1塗布液A2が供給された。2個の第1塗布液A1,A2の中心を結んだ直線上における、第1塗布液A1の中心から0.5mmずれた位置(第1塗布液A1の外縁)を中心として、直径4.5mmの第2塗布液Bが、ディスペンサにより滴下された。さらに、ピペットを用いて、100μLの培地が、第1塗布液および第2塗布液の上に滴下された。
図17は、実施例3における位相差顕微鏡像である。図17を参照して、2個の第1塗布液が崩壊することなく組織を形成できた。なお、本実施例における上記の各パラメータの数値は以下の通りであり、上記の数式を全て満足する。
11=0.7mm、r12=1.0mm、d1,1=2.0mm、r1v=1.425mm、r21=r2v=4.5mm、L2=0mm、D1,1=0mm、P1,1=0mm、r=6.5mm、L3=0.5mm。
第1塗布液Aが多数個(3個以上)形成され、第2塗布液Bが1個形成され、ゲル化剤が第2塗布液Bに含まれる実施例について説明する。
第1塗布液として、iPS心筋細胞(iCell cardiomyocyte2)と心臓線維芽細胞とが4:1の個数比で含まれたものに、3mg/mLのヒアルロン酸ナトリウム溶液と、260unit/mLのトロンビン溶液とが混合されたものが用いられた。iPS心筋細胞と心臓線維芽細胞とが4:1の個数比で含まれたものの細胞体積濃度は10vol%であった。第2塗布液として、5mg/mLのヒアルロン酸ナトリウム溶液と、5mg/mLのフィブリノゲン溶液とが混合され、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを含むPBS(+)の溶液が準備された。培地として、iCell播種培地が用いられた。塗布対象物は、96ウェルプレートの1つのウェルが用いられた。
図18は、実施例4における位相差顕微鏡像である。図18を参照して、図中の丸印はいずれも第1塗布液の外縁を示す。すなわち図18の左上の写真は互いに接触しないように間隔をあけて4個の第1塗布液が塗布された細胞組織である。図18の右上の写真は部分的に接触するように5個の第1塗布液が一直線状に塗布された細胞組織である。図18の左下の写真は部分的に接触するように8個の第1塗布液が四角形の周を形成するように並べられた細胞組織である。図18の右下の写真は部分的に接触するように6個の第1塗布液が中実の三角形を形成するように並べられた細胞組織である。
図18に示されないが、第1塗布液と内接も外接もせず、第1仮想曲線の第1仮想寸法r1vよりも十分に大きい第2寸法r2mを有する第2塗布液が供給された。このため第1塗布液が崩壊することなく組織を形成できた。いずれの写真の例も、第1塗布液の寸法r1nは0.2mmである。dn,mの値は、左上の写真のみ0.3mm、左上以外の写真はいずれも0.15mmである。
塗布位置を変えながら、第2塗布液Bのみをウェル12内に塗布する実施例について説明する。
図19は、第2塗布液のウェル内における塗布位置を変化させたときの、塗布されると想定される位置と、実際に塗布された位置とを示す模式図および写真である。図19の上段は塗布されると想定される位置を示す模式図である。図19の中段は実際に塗布された位置を示す模式図である。図19の下段は図19の中段に示す模式図についての実際の写真である。第2塗布液としては、溶液100mL中に0.75gのメチルセルロースが溶解され、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを含むPBS(+)の溶液が用いられた。第2塗布液の寸法は4.5mmであり、ウェルの直径は6.5mmである。
図19を参照して、左列のようにウェルの中心を狙って第2塗布液が塗布された場合には、想定通りの結果となった。中列のようにウェルの中心から0.5mm上側に離れた位置を狙って第2塗布液が塗布された場合にも、想定通りの塗布結果が得られた。しかし右列のようにウェルの中心から1.0mm上側に離れた位置を狙って第2塗布液が塗布された場合、想定模式図とは異なり、ウェルの上側の内壁に第2塗布液が付着し、楕円形の第2塗布液となった。このことから、第2塗布液がウェルの内壁に内接するように塗布されれば、第2塗布液の位置および形状が想定とは異なり、第1塗布液に対してずれた位置に配置される可能性がある。このため第1塗布液が崩壊する可能性が高くなる。したがって第2塗布液はウェルの内壁に接しないように供給することが求められる。
(実施の形態2)
本実施の形態の技術分野は、塗布装置(バイオプリンター)を用いて心筋細胞から心筋組織を製造する方法(心筋組織の製造方法)に関する。具体的には、実施の形態1の塗布装置と同一の塗布装置を用いた心筋組織の作製に関するものである。
図20は、実施の形態2における第1塗布液が塗布される前の態様を示す概略図である。図20を参照して、まずバイオプリンターを構成する塗布針24の先端が、第1塗布液A(第1バイオインク)に浸漬され、第1塗布液Aが塗布針24の先端に付着される。図21は、実施の形態2における第1塗布液の組成を示す概略図である。図21を参照して、第1塗布液Aは、培養すべき細胞Cと、ゲル化剤としてのコラーゲンと、第1溶媒mとの混合により得られる。図21の細胞CはC1とC2とを含むが、これらについては後述する。図22は、実施の形態2における第1塗布液が塗布される工程を示す概略図である。図22を参照して、第1塗布液Aが付着された塗布針24の先端が、ウェル12(図3参照)のたとえば底部(ウェル底部12a)に接触する。これは第1塗布液Aが付着された塗布針24が図20の矢印M1に示すように下方に移動することによりなされる。これによりウェル底部12aに第1塗布液Aが塗布される。図23は、実施の形態2における第1塗布液が塗布された後の態様を示す概略図である。図23を参照して、その後塗布針24が矢印M2に示すように上方に移動する。このように、第1塗布液Aはいわゆるピン方式のバイオプリンターを用いてウェル12などの容器に塗布される。
図24は、実施の形態2における第2塗布液が供給される工程を示す概略図である。図25は、図24の工程がなされた後のウェル内の態様を示す概略図である。図24および図25を参照して、ウェル12内に塗布された第1塗布液Aを覆うように、ウェル12内に第2塗布液B(第2バイオインク)が供給される。第2塗布液Bはたとえばディスペンサにより滴下されてもよいが、第2塗布液Bの供給方法はこれに限られない。第2塗布液Bは、ピン方式、インクジェット方式、ディスペンサ方式、ピペットを用いた手動からなる群から選択されるいずれかにより供給されてもよい。
図26は、実施の形態2における培地が供給される工程を示す概略図である。図26を参照して、第2塗布液Bを供給する工程の後に、培地Mがウェル12内に供給される。培地Mは第1塗布液Aおよび第2塗布液Bが浸され覆われるように供給される。培地Mの滴下方法は特に限定されない。培地Mは、ピン方式、インクジェット方式、ディスペンサ方式、ピペットを用いた手動からなる群から選択されるいずれかにより供給されてもよい。あるいは培地Mは、分注機またはマイクロポンプにより供給されてもよい。
図27は、培養前の第1塗布液内の細胞の態様を示す概略図である。図28は、培養後の第1塗布液内の細胞の態様を示す概略図である。図27、図28(および図21)を参照して、培養前の第1塗布液A内の細胞Cは、心筋細胞C1と、心臓線維芽細胞C2とを含んでいる。細胞C中の心筋細胞C1の個数の比率は75%以上であるが、80%以上であることが好ましい。細胞C中の心臓線維芽細胞C2の個数の比率は20%以下である。したがって、最も心筋細胞C1の個数の比率が低い場合はC1:C2=80:20であり、最も心筋細胞C1の個数の比率が高い場合はC1:C2=100:0である。言い換えれば、上記の比例式において、細胞C中の個数比率(%)は80≦C1≦100(または75≦C1≦100)であり、0≦C2≦20である。第1塗布液A中に含まれる心筋細胞C1と心臓線維芽細胞C2との細胞体積濃度は0.001vol%以上50vol%以下であることが好ましい。その中でも細胞体積濃度は1vol%以上30vol%以下であることがより好ましい。その中でも細胞体積濃度は25vol%であることが最も好ましい。心筋細胞C1と心臓線維芽細胞C2との個数の比率および細胞体積濃度を上記のようにすることにより、後述の実施例6のように、細胞を培養させることによる細胞組織を安定的に形成できる。培養により、心筋細胞C1および心臓線維芽細胞C2はいずれも図27の状態から図28のように成長し、心筋組織が形成される。
(材料)
ここで、本実施の形態にて各塗布液などに使用可能な材料について説明する。
第1塗布液A(第1バイオタンク)は、上記のように細胞Cと、コラーゲンと、第1溶媒mとが混合される。第1塗布液Aは、上記の混合液に各種添加物が加えられてもよい。
細胞Cに含まれる心筋細胞C1は、正常心筋細胞および疾患由来の心筋細胞の少なくともいずれかであってもよい。正常心筋細胞はたとえばヒトiPS細胞由来心筋細胞であり、疾患由来の心筋細胞はたとえば疾患由来ヒトiPS細胞由来心筋細胞である。また心筋細胞C1は、初代心筋細胞および幹細胞由来心筋細胞のいずれかであってもよい。初代心筋細胞は、ヒト、マウス、ラットなど各種動物種由来であってもよい。幹細胞由来心筋細胞としては、(上記の)iPS細胞由来心筋細胞、ES細胞由来心筋細胞、ダイレクトリプログラミング細胞由来心筋細胞などが挙げられる。疾患由来の心筋細胞としては、疾患を有する動物種から採取した細胞、疾患を発症した動物種から採取した細胞から作製した幹細胞を分化誘導した細胞、および遺伝子改変が行なわれた細胞などが挙げられる。また細胞Cには心筋細胞C1以外に、心臓線維芽細胞C2、血管内皮細胞、神経細胞などが混合されてもよい。心筋細胞以外の上記細胞についても、心筋細胞と同様に動物由来のものまたは疾患由来のものなどを用いることができる。これらを用いれば、培養により得られる細胞組織をより心筋組織に酷似したものにできる。
ゲル化剤としてのコラーゲンは、コラーゲンtypeI、typeII、typeIII、typeVが用いられる。しかし本実施の形態ではコラーゲンtypeIが用いられることが好ましく、コラーゲンtypeI-Aが用いられることが特に好ましい。コラーゲンの中でもコラーゲンtypeI-Aは心臓に最も多く発現するためである。コラーゲンtypeI-Aの濃度は0.01mg/mL以上2.1mg/mL以下であり、その中でも0.1mg/mL以上2.1mg/mL以下が好ましい。さらにその中でも0.5mg/mL以上2.1mg/mL以下が特に好ましい。第1塗布液A内のコラーゲンのゲルには、フィブリンゲル、マトリゲル、ゼラチン、GelMA(ゼラチンメタクリロイル)などが任意に比率で混合されてもよい。
第1塗布液A中の第1溶媒mの材料は特に限定されるものではない。ただし第1溶媒mには培地または緩衝液を用いることが好ましい。たとえば第1溶媒mとしての培地は、DMEM、DMEM/Ham F-12、αMEM、RPMI1640(たとえばLonza製、Thermo製、ナカライテスク製、Wako製の培地。型番はたとえば30264-85(ナカライテスク株式会社))、ウィリアム培地、M199、市販の心筋細胞専用培地(iCell心筋細胞解凍用培地、iCell心筋細胞維持培地など)および市販の線維芽細胞専用培地(FGM-3)からなる群から選択される少なくともいずれかを用いることが好ましい。また第1溶媒mの緩衝液は、PBS(+/-)、トリス緩衝液およびタイロード緩衝液からなる群から選択される少なくともいずれかを用いることが好ましい。第1溶媒mとして、上記の各種培地および各種緩衝液の少なくともいずれかから2種類以上が選択されそれらが混合されたものが用いられてもよく、その場合に2種類以上が混合される比率は任意であってもよい。
第1塗布液A中の各種添加物は特に限定されるものではない。ただし第1塗布液A中の各種添加物として、増粘剤、細胞成長因子、タンパク質、薬剤などが添加されてもよい。第1塗布液Aの増粘剤は、セルロース、セルロースナノファイバー、キチン、キトサン、キチンナノファイバー、キトサンナノファイバー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ジェランガム、カラギーナン、ペクチン、キサンタンガム、ゼラチン、アガロース、ポリビニルアルコールからなる群から選択される1つ以上の物質を含んでもよい。
第1塗布液A中の各種添加物としての細胞成長因子、タンパク質、薬剤などは、FGF(線維芽細胞増殖因子)、B27(登録商標)サプリメント、トリヨードチロニン、デキサメタゾン、インシュリン用成長因子(IGF-I)、インシュリン、神経成長因子(NGF)、イソプロテレノール、上皮成長因子(EGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、ラミニン、フィブロネクチン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸ナトリウム、プロテオグリカン、ニドゲン、Rhoキナーゼ阻害物質(Rock Inhibitor)、マトリゲルからなる群から選択されてもよい。
第2塗布液B(第2バイオタンク)は、増粘剤と第2溶媒との混合溶液として構成される。第2塗布液Bは、上記の混合液に各種添加物が加えられてもよい。
第2塗布液Bの増粘剤は、セルロース、セルロースナノファイバー、キチン、キトサン、キチンナノファイバー、キトサンナノファイバー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ジェランガム、カラギーナン、ペクチン、キサンタンガム、ゼラチン、アガロース、ポリビニルアルコールからなる群から選択される1つ以上の物質を含んでもよい。これらを用いれば、第1塗布液Aを覆う第2塗布液Bの保形性を向上でき、第2塗布液Bが第1塗布液Aを覆う位置以外のずれた位置に配置される不具合を抑制できる。
第2溶媒の材料は特に限定されるものではない。ただし当該溶媒には培地または緩衝液を用いることが好ましい。第2溶媒としての培地、緩衝液は、上記の第1溶媒mとしての培地、緩衝液と同様の材料群から選択され、第1溶媒mと同様の比率で混合使用されてもよいため、その説明を繰り返さない。第2溶媒(第2塗布液B)への各種添加物は、上記の第1塗布液A(第1溶媒m)への各種添加物と同様の材料群から選択されてもよいため、その説明を繰り返さない。
第2塗布液Bの後に供給される培地Mは、上記第1溶媒m、第2溶媒に用いられる培地と同様の材料群から選択され、第1溶媒m、第2溶媒と同様の比率で混合使用されてもよいため、その説明を繰り返さない。また培地Mに追加される各種添加物は、上記第1塗布液A、第2塗布液Bへの各種添加物と同様の材料群から選択されてもよいため、その説明を繰り返さない。ただし一例として、後述の実施例6のように、培地MはRPMI1640であり、培地Mへの添加因子(添加物)は、B27(登録商標)サプリメント、トリヨードチロニン、デキサメタゾン、インシュリン様成長因子からなる群から選択される1つ以上(これら4種すべて)であることが好ましい。これにより後述の実施例6のように、細胞を培養させることによる細胞組織を安定的に形成できる。
(実施の形態2の背景技術および解決しようとする課題)
国際公開第2019/088224号には、ピン方式のバイオプリンターを用いて細胞含有溶液を塗布する技術が開示されている。ただし国際公開第2019/088224号の技術によれば、塗布針等のバイオプリンティング技術における塗布工程において、塗布工程を実行する前の塗布液容器内部にて、塗布液が意図せずゲル化および目詰まりを起こす可能性がある。このような現象は、特に心筋細胞をフィブリノゲンに分散させた塗布液において起こりやすい。そこで特開2020-141599号公報には、そのような塗布工程を実行する前の塗布溶液の意図しないゲル化を抑制する技術が開示されている。具体的には、特開2020-141599号公報では、細胞とゲル化開始剤と増粘剤とが第1塗布液として塗布され、ゲル化剤が第2塗布液として滴下されることによりいわゆるゲルドームが形成される。
特開2020-141599号公報では第1塗布液が塗布前から意図せずゲル化する不具合を抑制する技術が提案されるが、いわゆる2液混合方式により塗布液が供給されるため、塗布後は細胞組織が収容される塗布液の外殻としてゲルドームが存在する。このため塗布液の外部から供給される薬剤およびタンパク等が、当該外殻としてのゲルドームの網目を通り抜けることが困難となる。その結果、薬剤およびタンパク等が細胞組織に浸透および作用しにくくなるという課題がある。また特開2020-141599号公報には、成体の心臓に最も多く存在するタンパク質をゲル化剤として用いた例が開示されていない。このためにより構築される心筋組織は、成体の心臓を高機能に再現できていない可能性がある。
本開示は上記の課題に鑑みなされたものである。本開示の目的は、外部から細胞組織への薬剤などの浸透および作用が阻害されず、より成体の心臓に近く高機能な心筋組織を形成可能な心筋組織の製造方法を提供することである。
そこで本開示に従った心筋組織の製造方法では、塗布装置に含まれる塗布針24の先端を第1塗布液Aに浸漬させることにより、第1塗布液Aが塗布針24の先端に付着される。塗布針24の先端に付着された第1塗布液Aが塗布対象物であるウェル12内に塗布される。第1塗布液Aは、培養すべき細胞と、ゲル化剤としてのコラーゲンと、第1溶媒mの混合溶液である。
本開示の心筋組織の製造方法によれば、いわゆる2液混合方式を適用しないため、2液混合方式にて生じるゲルドームが形成されない。このため、ゲルドームに起因する細胞組織への薬剤およびタンパクなどの浸透および作用の阻害が起こりにくくなる。したがって、薬剤およびタンパクを容易に浸透および作用させることが可能な細胞組織を構築できる。またコラーゲン(特にコラーゲンtypeI-A)は成体の心臓に最も多く存在するタンパク質である。このため第1塗布液Aにゲル化剤としてのコラーゲンを含めることで、より成体の心臓に近い高機能な心筋組織を構築できる。さらに上記の心筋組織の製造方法によれば、第2塗布液Bおよび培地(RPMI1640など)が供給され、塗布液がゲル化可能な温度(たとえば37℃)に制御されない限り、コラーゲンはゲル化されない。このため塗布液の供給が完了する前の時点での、第1塗布液Aの意図せぬゲル化を防ぐことができる。
(心筋組織の形成)
実施の形態2の心筋組織の製造方法に基づき実際に心筋組織を形成する実験がなされた。当該実験では、塗布装置(図1参照)を用いて、次のように塗布液が準備された。第1塗布液Aに含まれる細胞Cは、心筋細胞C1としてのiPS心筋細胞(iCell Cardiomyocyte2)と、心臓線維芽細胞C2としての正常ヒト心臓線維芽細胞とが、個数の比率で4:1とされた。第1塗布液A中の細胞Cの細胞体積濃度は25vol%とされた。
第1塗布液Aに含まれるゲル化剤はコラーゲンとし、濃度が0.7mg/mLのコラーゲンtypeI-Aとされた。第1塗布液Aに含まれる第1溶媒mは、RPMI1640とされた。
次に、第2塗布液Bは増粘剤と第2溶媒との混合溶液とされた。具体的には、第2塗布液Bの保形成を向上するための増粘剤としてメチルセルロースが用いられた。第2溶媒はリン酸緩衝生理食塩水(+)(PBS(+))とされた。
第2塗布液Bの供給後に供給された培地はRPMI1640とされた。当該培地への添加因子は、B27(登録商標)サプリメントと、75nMのトリヨードチロニンと、1μMのデキサメタゾンと、100ng/mLのインシュリン様成長因子(IGF-I)とからなるものとされた。
本実施例において、図20の工程では、先端部以外の針径が一定である領域の、延在方向に直交するよう切られた断面が直径1000μmの円形である塗布針24が用いられた。第1塗布液Aが96ウェルプレートの1つのウェル12(図3参照)に塗布された。第1塗布液Aを覆うように、ディスペンサーを用いて第2塗布液Bが滴下された。さらに当該ウェル12内に添加された培地RPMI1640は、2,3日に一度培地交換され、6日間~7日間培養することにより細胞組織すなわち心筋組織が構築された。培養日数は6日以上が好ましい。培養日数は2週間以上であってもよい。
図29は、ウェル内に塗布液が供給された直後の位相差顕微鏡像(左)、および6日間培養後の位相差顕微鏡像(右)である。図29を参照して、56個の第2塗布液Bの塗布直径は1095±42μmであった。このように、安定的に心筋組織が形成できた。
(Ca2+トランジエント測定)
7日間の培養後の心筋組織が染色された後、心筋収縮の機能を調査する観点から、Ca2+トランジエント測定がなされた。測定は、本実施例の図29に示す培養後の心筋組織(以下「塗布組織」と記す)と、比較例としての平面培養された組織(以下「2D組織」と記す)とについてなされた。比較例の心筋組織は、iPS心筋細胞(iCell Cardiomyocyte2)と、正常ヒト心臓線維芽細胞とが個数の比率で4:1とされた。比較例の心筋組織は、1ウェルあたり50000個の細胞が播種され、実施の形態2と同じ塗布装置で得られた塗布組織と同様の培地で平面培養された。その結果を次の表1に示す。
Figure 2024048319000006
表1に示すように、得られた心筋組織の拍動数(BPM)は、塗布組織の方が2D組織の約2倍であった。また心筋組織の収縮により検出されるCa2+トランジエント波形の蛍光強度のピーク幅は、塗布組織が2D組織の約半分であった。なお蛍光強度のピーク幅とは、次の図30に示すCa2+トランジエント波形の時間幅を意味する。このことから、塗布組織の方が2D組織よりも安定した組織であることが確認できた。
図30は、塗布組織の実験におけるCa2+トランジエント波形を示すグラフである。図30の横軸は経過時間を示し、縦軸は検出される蛍光強度を示している。図30を参照して、塗布組織における蛍光強度のピーク幅は945msec程度であることがわかる。なお図30のグラフ中、Ca2+トランジエント波形の蛍光強度はAMPで示され、蛍光強度のピーク幅はPWD90で示される。
次に、βアドレナリン受容体アゴニストであるイソプロテレノールを添加した際のCa2+トランジエント波形の変化が評価された。イソプロテレノールは一般的に心筋細胞の拍動数と収縮力を上昇させる。心筋細胞の収縮力はCa2+トランジエント測定の蛍光強度(AMP)と相関がある。つまり成熟した心筋細胞であれば蛍光強度が上昇するのに対し、未成熟な心筋細胞では蛍光強度が上昇しない。
図31は、塗布組織および2D組織のそれぞれにイソプロテレノールを添加した際のBPMの変化を示すグラフである。図31の横軸はイソプロテレノールの添加量を単位nMで示し、縦軸はBPMの変化量を単位%で示す。図31を参照して、BPMの値は塗布組織、2D組織ともにイソプロテレノール濃度の増加に伴い上昇した。
図32は、塗布組織および2D組織のそれぞれにイソプロテレノールを添加した際のAMPの変化を示すグラフである。図32の横軸はイソプロテレノールの添加量を単位nMで示し、縦軸はAMPの変化量を単位%で示す。図32を参照して、AMPの値は塗布組織においてはイソプロテレノールの濃度に依存して上昇したが、2D組織においてはイソプロテレノールの濃度が増加してもあまり上昇しなかった。この結果より、塗布組織は2D組織と比較して心筋細胞が成熟化すなわち高機能化している可能性が示された。
以上を総合的に考察して、ゲルが混ざらず細胞だけが平面培養された比較例に比べて、ゲル化剤としてのコラーゲンが細胞に混合された溶液が塗布装置で供給された本実施例の方が優れた効果が得られた。
以上に述べた各実施の形態(各実施例)に記載した特徴を、技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせるように適用してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
塗布対象物内に第1塗布液をN個(N≧1の自然数)供給し、細胞を配置する工程と、前記N個の第1塗布液のうち少なくとも1個を覆うように、前記塗布対象物内に第2塗布液をM個(M≧1の自然数)供給する工程とを備え、前記第2塗布液を供給する工程においては、前記N個の第1塗布液のそれぞれの中心から外縁までの寸法の最大値である第1寸法をr1n(1≦n≦Nの自然数)、前記M個の第2塗布液のそれぞれの中心から外縁までの寸法の最大値である第2寸法をr2m(1≦m≦Mの自然数)とし、N個の中から選択された任意の前記第1寸法がr1nの前記第1塗布液の中心と、M個の中から選択された任意の前記第2寸法がr2mの前記第2塗布液の中心との距離をDn,mとすれば、任意の前記第1塗布液と任意の前記第2塗布液との間で
(数1)Dn,m<r2m-r1n・・・(1)
および
(数2)Dn,m>r2m+r1n・・・(2)
のいずれかが成立するように供給される、細胞組織の製造方法。
(付記2)
前記N個の第1塗布液のうち前記第2塗布液と重なる1個以上の前記第1塗布液の第1図心を中心とし前記1個以上の第1塗布液を全て覆い前記1個以上の前記第1塗布液のいずれかと内接するよう求められた第1仮想曲線の最大寸法である第1仮想寸法r1v以上の基準寸法よりも、前記第2寸法r2mの方が大きく、前記第1図心は、前記第2塗布液と重なる1個以上の前記第1塗布液のそれぞれの中心位置から求められる、付記1に記載の細胞組織の製造方法。
(付記3)
前記M個の第2塗布液の第2図心を中心とし、前記M個の第2塗布液を全て覆い前記M個の第2塗布液のいずれかと内接するよう求められた第2仮想曲線の最大寸法である第2仮想寸法r2v以上の基準寸法よりも、前記塗布対象物の第3寸法rの方が大きく、前記第2図心は、前記M個の前記第2塗布液のそれぞれの中心位置から求められる、付記1または2に記載の細胞組織の製造方法。
(付記4)
前記塗布対象物内に供給される前記N個の第1塗布液のうち少なくとも1個に含まれる前記細胞は第1細胞であり、前記少なくとも1個とは異なる他の少なくとも1個の前記第1塗布液に含まれる前記細胞は第2細胞である、付記1~3のいずれか1項に記載の細胞組織の製造方法。
(付記5)
前記塗布対象物内に供給される前記N個の第1塗布液のうち少なくとも1個に前記細胞が含まれ、前記少なくとも1個とは異なる他の少なくとも1個の前記第1塗布液には前記細胞を含まずサイトカイン、薬剤、ECMおよび添加因子からなる群から選択される少なくともいずれかが含まれる、付記1~4のいずれか1項に記載の細胞組織の製造方法。
(付記6)
前記第1塗布液にサイトカイン、ECMおよび添加因子からなる群から選択される少なくともいずれかが含まれる、付記1~5のいずれか1項に記載の細胞組織の製造方法。
(付記7)
前記第1塗布液を供給する工程以降にゲル化剤を用いて、前記塗布対象物内に供給された前記細胞から細胞組織が形成される、付記1~6のいずれか1項に記載の細胞組織の製造方法。
(付記8)
前記第1塗布液は前記細胞とゲル化剤とを含み、前記第2塗布液は前記ゲル化剤よりも粘度の高い溶液である、付記7に記載の細胞組織の製造方法。
(付記9)
前記第1塗布液は前記細胞を含み、前記第2塗布液はゲル化剤を含む、付記7に記載の細胞組織の製造方法。
(付記10)
2液混合方式により前記塗布対象物内に前記第1塗布液および前記第2塗布液が供給される、付記1~9のいずれか1項に記載の細胞組織の製造方法。
(付記11)
前記第1塗布液は前記細胞とゲル化開始剤とを含み、前記第2塗布液はゲル化剤を含む、付記10に記載の細胞組織の製造方法。
(付記12)
前記第1塗布液は前記細胞とゲル化剤とを含み、前記第2塗布液はゲル化開始剤を含む、付記10に記載の細胞組織の製造方法。
(付記13)
前記第1塗布液および前記第2塗布液の少なくともいずれかに、ゲル化剤としてのコラーゲンとフィブリノゲンとの少なくともいずれかが含まれる、付記1~12のいずれか1項に記載の細胞組織の製造方法。
(付記14)
前記第1塗布液および前記第2塗布液の少なくともいずれかに増粘多糖類が混合された、付記1~13のいずれか1項に記載の細胞組織の製造方法。
(付記15)
前記細胞は心筋細胞、神経細胞、肝細胞、癌細胞、血管内皮細胞および線維芽細胞からなる群から選択されるいずれかである、付記1~14のいずれか1項に記載の細胞組織の製造方法。
(付記16)
前記第1塗布液の細胞体積濃度が1vol%以上30vol%以下である、付記1~15のいずれか1項に記載の細胞組織の製造方法。
(付記17)
前記N個の第1塗布液のうち1個の前記第1塗布液中に、前記細胞として、第3細胞と、前記第3細胞とは異なる第4細胞とが含まれるように共培養される、付記1~16のいずれか1項に記載の細胞組織の製造方法。
(付記18)
前記第1塗布液を供給する工程において塗布針方式が用いられる、付記1~17のいずれか1項に記載の細胞組織の製造方法。
(付記19)
前記第2塗布液を供給する工程において、塗布針方式、インクジェット方式、ディスペンサ方式、レーザープリント方式、ピペット方式からなる群から選択されるいずれかが用いられる、付記1~18のいずれか1項に記載の細胞組織の製造方法。
(付記20)
前記第2塗布液をM個供給する工程において、前記M個のうち少なくとも1個の前記第2塗布液は塗布針方式、インクジェット方式、ディスペンサ方式、レーザープリント方式、ピペット方式からなる群から選択される第1方式により供給され、前記M個のうち少なくとも1個とは異なる他の前記第2塗布液は前記第1方式とは異なる第2方式により供給される、付記1~19のいずれか1項に記載の細胞組織の製造方法。
(付記21)
塗布装置に含まれる塗布針の先端を第1塗布液に浸漬させることにより、前記第1塗布液を前記塗布針の先端に付着させる工程と、
前記塗布針の先端に付着された前記第1塗布液を塗布対象物内に塗布する工程とを備え、
前記第1塗布液は、培養すべき細胞と、ゲル化剤としてのコラーゲンと、第1溶媒との混合溶液である、心筋組織の製造方法。
(付記22)
前記第1塗布液を覆うように、前記塗布対象物内に第2塗布液を供給する工程をさらに備え、
前記第2塗布液は、増粘剤と第2溶媒との混合溶液である、付記21に記載の心筋組織の製造方法。
(付記23)
前記増粘剤は、セルロース、セルロースナノファイバー、キチン、キトサン、キチンナノファイバー、メチルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ジェランガム、カラギーナン、ペクチン、キサンタンガム、ゼラチン、アガロース、ポリビニルアルコールからなる群から選択される1つ以上の物質を含む、付記22に記載の心筋組織の製造方法。
(付記24)
前記第2塗布液を供給する工程の後に、前記細胞を培養させるための培地を前記塗布対象物内に供給する工程をさらに備え、
前記培地はRPMI1640であり、
前記培地への添加因子は、B27(登録商標)サプリメント、トリヨードチロニン、デキサメタゾン、インシュリン様成長因子からなる群から選択される1つ以上である、付記22または23に記載の心筋組織の製造方法。
(付記25)
前記コラーゲンはコラーゲンtypeI-Aである、付記21~24のいずれか1項に記載の心筋組織の製造方法。
(付記26)
前記第1塗布液の細胞体積濃度が1vol%以上30vol%以下である、付記21~25のいずれか1項に記載の細胞組織の製造方法。
(付記27)
前記細胞は少なくとも心筋細胞を含み、
前記細胞を構成する前記心筋細胞の個数の比率は80%以上であり、
前記細胞を構成する心臓線維芽細胞の個数の比率は20%以下である、付記21~26のいずれか1項に記載の心筋組織の製造方法。
(付記28)
前記心筋細胞は、正常ヒトiPS細胞由来心筋細胞および疾患由来ヒトiPS細胞由来心筋細胞の少なくともいずれかを有する、付記27に記載の心筋組織の製造方法。
1 X軸テーブル、2 Y軸テーブル、3 Z軸テーブル、4 塗布機構、6 観察光学系、7 CCDカメラ、8 操作パネル、9 モニタ、10 制御用コンピュータ、11 試料塗布セット、12 ウェル、12a ウェル底部、20 塗布針ホルダ、21 塗布材料容器、24 塗布針、35 可動ベース、41 サーボモータ、43 カム、44 軸受、45 カム連結板、46 可動部、A,A1,A2 第1塗布液、B,B1,B2 第2塗布液、C 細胞、C1 心筋細胞、C2 心臓線維芽細胞、G1 第1図心、G2 第2図心、m 第1溶媒、M 培地。

Claims (20)

  1. 塗布対象物内に第1塗布液をN個(N≧1の自然数)供給し、細胞を配置する工程と、
    前記N個の第1塗布液のうち少なくとも1個を覆うように、前記塗布対象物内に第2塗布液をM個(M≧1の自然数)供給する工程とを備え、
    前記第2塗布液を供給する工程においては、前記N個の第1塗布液のそれぞれの中心から外縁までの寸法の最大値である第1寸法をr1n(1≦n≦Nの自然数)、前記M個の第2塗布液のそれぞれの中心から外縁までの寸法の最大値である第2寸法をr2m(1≦m≦Mの自然数)とし、N個の中から選択された任意の前記第1寸法がr1nの前記第1塗布液の中心と、M個の中から選択された任意の前記第2寸法がr2mの前記第2塗布液の中心との距離をDn,mとすれば、任意の前記第1塗布液と任意の前記第2塗布液との間で
    (数1)Dn,m<r2m-r1n・・・(1)
    および
    (数2)Dn,m>r2m+r1n・・・(2)
    のいずれかが成立するように供給される、細胞組織の製造方法。
  2. 前記N個の第1塗布液のうち前記第2塗布液と重なる1個以上の前記第1塗布液の第1図心を中心とし前記1個以上の第1塗布液を全て覆い前記1個以上の前記第1塗布液のいずれかと内接するよう求められた第1仮想曲線の最大寸法である第1仮想寸法r1v以上の基準寸法よりも、前記第2寸法r2mの方が大きく、
    前記第1図心は、前記第2塗布液と重なる1個以上の前記第1塗布液のそれぞれの中心位置から求められる、請求項1に記載の細胞組織の製造方法。
  3. 前記M個の第2塗布液の第2図心を中心とし、前記M個の第2塗布液を全て覆い前記M個の第2塗布液のいずれかと内接するよう求められた第2仮想曲線の最大寸法である第2仮想寸法r2v以上の基準寸法よりも、前記塗布対象物の第3寸法rの方が大きく、
    前記第2図心は、前記M個の前記第2塗布液のそれぞれの中心位置から求められる、請求項1に記載の細胞組織の製造方法。
  4. 前記塗布対象物内に供給される前記N個の第1塗布液のうち少なくとも1個に含まれる前記細胞は第1細胞であり、前記少なくとも1個とは異なる他の少なくとも1個の前記第1塗布液に含まれる前記細胞は第2細胞である、請求項1または2に記載の細胞組織の製造方法。
  5. 前記塗布対象物内に供給される前記N個の第1塗布液のうち少なくとも1個に前記細胞が含まれ、前記少なくとも1個とは異なる他の少なくとも1個の前記第1塗布液には前記細胞を含まずサイトカイン、薬剤、ECMおよび添加因子からなる群から選択される少なくともいずれかが含まれる、請求項1または2に記載の細胞組織の製造方法。
  6. 前記第1塗布液にサイトカイン、ECMおよび添加因子からなる群から選択される少なくともいずれかが含まれる、請求項1または2に記載の細胞組織の製造方法。
  7. 前記第1塗布液を供給する工程以降にゲル化剤を用いて、前記塗布対象物内に供給された前記細胞から細胞組織が形成される、請求項1または2に記載の細胞組織の製造方法。
  8. 前記第1塗布液は前記細胞とゲル化剤とを含み、前記第2塗布液は前記ゲル化剤よりも粘度の高い溶液である、請求項7に記載の細胞組織の製造方法。
  9. 前記第1塗布液は前記細胞を含み、前記第2塗布液はゲル化剤を含む、請求項7に記載の細胞組織の製造方法。
  10. 2液混合方式により前記塗布対象物内に前記第1塗布液および前記第2塗布液が供給される、請求項1または2に記載の細胞組織の製造方法。
  11. 前記第1塗布液は前記細胞とゲル化開始剤とを含み、前記第2塗布液はゲル化剤を含む、請求項10に記載の細胞組織の製造方法。
  12. 前記第1塗布液は前記細胞とゲル化剤とを含み、前記第2塗布液はゲル化開始剤を含む、請求項10に記載の細胞組織の製造方法。
  13. 前記第1塗布液および前記第2塗布液の少なくともいずれかに、ゲル化剤としてのコラーゲンとフィブリノゲンとの少なくともいずれかが含まれる、請求項1または2に記載の細胞組織の製造方法。
  14. 前記第1塗布液および前記第2塗布液の少なくともいずれかに増粘多糖類が混合された、請求項1または2に記載の細胞組織の製造方法。
  15. 前記細胞は心筋細胞、神経細胞、肝細胞、癌細胞、血管内皮細胞および線維芽細胞からなる群から選択されるいずれかである、請求項1または2に記載の細胞組織の製造方法。
  16. 前記第1塗布液の細胞体積濃度が1vol%以上30vol%以下である、請求項1または2に記載の細胞組織の製造方法。
  17. 前記N個の第1塗布液のうち1個の前記第1塗布液中に、前記細胞として、第3細胞と、前記第3細胞とは異なる第4細胞とが含まれるように共培養される、請求項1または2に記載の細胞組織の製造方法。
  18. 前記第1塗布液を供給する工程において塗布針方式が用いられる、請求項1または2に記載の細胞組織の製造方法。
  19. 前記第2塗布液を供給する工程において、塗布針方式、インクジェット方式、ディスペンサ方式、レーザープリント方式、ピペット方式からなる群から選択されるいずれかが用いられる、請求項1または2に記載の細胞組織の製造方法。
  20. 前記第2塗布液をM個供給する工程において、前記M個のうち少なくとも1個の前記第2塗布液は塗布針方式、インクジェット方式、ディスペンサ方式、レーザープリント方式、ピペット方式からなる群から選択される第1方式により供給され、前記M個のうち少なくとも1個とは異なる他の前記第2塗布液は前記第1方式とは異なる第2方式により供給される、請求項19に記載の細胞組織の製造方法。
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