JP2024048080A - 燃料電池用加湿器 - Google Patents
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Abstract
【課題】余剰のシール材が流路にはみ出さないように構成された燃料電池用加湿器を提供する。【解決手段】燃料電池用加湿器は、乾燥ガス流路11aが形成された板状の第一セパレータ11と、第一セパレータ11に対向配置され、含水ガス流路12aが形成された板状の第二セパレータ12と、乾燥ガス流路11aと含水ガス流路12aとの間に配置された加湿膜13と、乾燥ガス流路11aと含水ガス流路12aとの連通を防ぐシール材16と、を備えている。第一セパレータ11はシール材16が密着する第一密着部11bと第一段部11cとを有し、第二セパレータ12は第二密着部12bと第二段部12cとを有している。シール材16は、第一密着部11b及び第二密着部12bの全体に密着すると共に、余剰シール材16aが第一密着部11bから第一段部11cにはみ出すと共に、第二密着部12bから第二段部12cにはみ出している。【選択図】図4
Description
本開示は、燃料電池用加湿器に関する。
近年、燃料電池が利用されており、燃料電池にはカソード側に供給されるカソードガスを加湿するために加湿器が設けられている。このような加湿器には、カソードガスを案内するセパレータと水を透過する膜とを交互に配置した加湿ユニットが備えられているものがある。このような加湿器として、例えば下記に出典を示す特許文献1に記載のものがある。
特許文献1には、燃料電池用加湿器(特許文献1においては加湿器)が開示されている。この燃料電池加湿器は、カソードガスとカソードオフガスとが流通するガス貫通孔を有し厚み方向に積層される複数のセパレータと、積層方向において互いに隣り合うセパレータで挟まれた水分保持膜と、少なくともガス貫通孔の外縁に沿って設けられたシール部とを備えている。シール部は、積層されたセパレータを固定すると共に、水分保持膜を挟持することによりカソードガスが流通する加湿室とカソードオフガスが流通する吸湿室とを区画する。シール部はシール材(特許文献1においては接着剤)を塗布することにより形成される。
特許文献1に開示された燃料電池用加湿器においては、加湿室のカソードガスと吸湿室のカソードオフガスとの連通を防止するために、シール部で確実に区画することが必要である。そのため、ガス貫通孔の外縁に塗布されるシール材の量は、適量よりも多い方が好ましい。しかし、適量よりも多い量のシール材が塗布された場合、余剰のシール材がガス貫通孔、加湿室、及び吸湿室等の流路にはみ出す場合があり、はみ出したシール材がガスの流路断面積を減少させてしまい、圧力損失や加湿性能の低下を引き起こすおそれがある。このため、余剰のシール材がガス貫通孔、加湿室、及び吸湿室等の流路にはみ出さないようにする上で、改良の余地がある。
そこで、余剰のシール材が流路にはみ出さないように構成された燃料電池用加湿器が求められる。
本開示に係る燃料電池用加湿器の一つの実施形態は、一方の面の中央領域に乾燥空気が流通する乾燥ガス流路が形成された板状の第一セパレータと、前記第一セパレータに対向配置され、前記乾燥ガス流路に対向する面の中央領域に含水空気が流通する含水ガス流路が形成された板状の第二セパレータと、前記乾燥ガス流路と前記含水ガス流路との間に配置され、前記乾燥空気に対して前記含水空気に含まれる水分を与えることにより、前記乾燥空気を加湿空気にすると共に前記含水空気を除湿空気にする加湿膜と、前記乾燥ガス流路と前記含水ガス流路との連通を防ぐシール材と、を備え、前記第一セパレータは、前記シール材が密着する第一密着部と、前記第一密着部から段状に拡幅された第一段部とを有し、前記第二セパレータは、前記第一密着部に対向し前記シール材が密着する第二密着部と、前記第二密着部から段状に拡幅された第二段部とを有し、前記シール材は、前記第一密着部及び前記第二密着部の全体に密着すると共に、余剰シール材が前記第一密着部から前記第一段部にはみ出すと共に、前記第二密着部から前記第二段部にはみ出している。
本実施形態によると、第一セパレータは、シール材が密着する第一密着部と、第一密着部から段状に拡幅された第一段部とを有し、第二セパレータは、第一密着部に対向しシール材が密着する第二密着部と、第二密着部から段状に拡幅された第二段部とを有している。これにより、シール材は、第一密着部及び第二密着部の全体に密着すると共に、余剰シール材が第一密着部から第一段部にはみ出し、第二密着部から第二段部にはみ出す。この結果、適量よりも多い量のシール材が塗布された場合であっても、第一密着部及び第二密着部の密着に使用されなかった余剰シール材が第一段部と第二段部とにはみ出すので、シール材を第一セパレータの第一密着部と第二セパレータの第二密着部との全体に密着させることができる。その結果、乾燥空気と含水空気との連通を確実に防止することができる。また、第一段部及び第二段部は、シール材がはみ出す凹状領域となり、乾燥ガス流路や含水ガス流路にシール材がはみ出すことを抑制する緩衝機能を発揮する。このように、余剰のシール材が流路にはみ出さないように構成された燃料電池用加湿器となっている。
本開示に係る燃料電池用加湿器の他の一つの実施形態において、前記第一密着部と前記第一段部とは、前記第一セパレータの外縁の全周に亘って形成され、前記第二密着部と前記第二段部とは、前記第二セパレータの外縁の全周に亘って形成され、前記第一段部の一部は前記乾燥ガス流路に連続し、前記第二段部の一部は前記含水ガス流路に連続しており、前記シール材の前記余剰シール材は、前記第一段部から前記乾燥ガス流路にはみ出しておらず、且つ前記第二段部から前記含水ガス流路にはみ出していない。
本実施形態によると、第一密着部が第一セパレータの外縁の全周に亘って形成されると共に、第二密着部が第二セパレータの外縁の全周に亘って形成されているので、乾燥空気が第一セパレータから漏出することを防止できると共に、含水空気が第二セパレータから漏出することを防止することができる。また、シール材の余剰シール材は、第一段部から乾燥ガス流路にはみ出しておらず、且つ第二段部から含水ガス流路にはみ出していないので、シール材が乾燥ガス流路及び含水ガス流路の流路断面積を減少させることはなく、圧力損失や加湿性能の低下を引き起こすこともない。
本開示に係る燃料電池用加湿器の他の一つの実施形態は、前記第一段部を構成する壁面のうち前記乾燥ガス流路に連続する第一段部壁面と、前記乾燥ガス流路を構成する壁面のうち前記第一段部に連続する第一流路壁面とのなす角は鈍角であり、前記第二段部を構成する壁面のうち前記含水ガス流路に連続する第二段部壁面と、前記含水ガス流路を構成する壁面のうち前記第二段部に連続する第二流路壁面とのなす角は鈍角である。
第一セパレータと第二セパレータとを垂直になるように配置すると、第一段部と第二段部とに含水空気に含まれる水分が凝縮して溜まる場合がある。この凝縮水は、凍結すると、シール材と第一セパレータの第一密着部、及びシール材と第二セパレータの第二密着部を引き剥がす方向に力を作用させる。本実施形態によると、第一段部及び第二段部に鈍角となる傾斜を設けているため、凍結した凝縮水がシール材と第一密着部、及びシール材と第二密着部を引き剥がす方向の分力を低減させる。その結果、シール材と第一密着部、及びシール材と第二密着部を剥がれにくくすることが可能となる。
本開示に係る燃料電池用加湿器の他の一つの実施形態は、前記第一セパレータと前記第二セパレータはそれぞれ、前記乾燥ガス流路に供給される前記乾燥空気が流通する乾燥空気導入口と、前記乾燥ガス流路から排出された前記加湿空気が流通する乾燥空気導出口と、前記含水ガス流路に供給される前記含水空気が流通する含水空気導入口と、前記含水ガス流路から排出された前記除湿空気が流通する含水空気導出口とを有し、前記第一段部は、前記含水空気導入口の全周又は一部、及び前記含水空気導出口の全周又は一部に形成され、前記第二段部は、前記乾燥空気導入口の全周又は一部、及び前記乾燥空気導出口の全周又は一部に形成されている。
本実施形態によると、第一段部を含水空気導入口の全周又は一部、及び含水空気導出口の全周又は一部に形成し、第二段部を乾燥空気導入口の全周又は一部、及び乾燥空気導出口の全周又は一部に形成することにより、シール材が、含水空気導入口、含水空気導出口、乾燥空気導入口、及び乾燥空気導出口からはみ出ることを抑制することができる。そのため、シール材が含水空気導入口、含水空気導出口、乾燥空気導入口、及び乾燥空気導出口の流路断面積を減少させることはなく、圧力損失や加湿性能の低下を引き起こすこともない。
以下、本開示に係る燃料電池用加湿器の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に記載される実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示をこれらの実施形態にのみ限定するものではない。したがって、本開示は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
加湿器1は、図1に示されるように、複数のセパレータ10aと、複数のセパレータ10aを収容するケース20と、複数のセパレータ10aをケース20の底面との間で挟持して固定するトッププレート22とにより構成されている。トッププレート22はボルト24によりケース20に固定される。セパレータ10aは、矩形板状であり、複数のセパレータ10aは、板厚方向に沿って積層されている。以下、積層された複数のセパレータ10aを加湿ユニット10ともいう。
燃料電池用加湿器1(以下、単に加湿器1ともいう)は、不図示の燃料電池(FCスタック)に供給するために外部から導入された乾燥空気を加湿ユニット10で加湿してカソードガス(加湿空気の一例)を生成する機能を有する。加湿ユニット10で加湿されたカソードガスは、加湿ユニット10から排出されて燃料電池に供給され発電に使用される。発電に使用されたカソードガスはカソードオフガス(含水空気の一例)となり、燃料電池から排出される。カソードオフガスは発電により発生した水分を含有しており、加湿器1に供給される。そして、加湿ユニット10でカソードオフガスに含有される一部の水分が取り除かれた後に、カソードオフガスは除湿空気として排出される。加湿ユニット10でカソードオフガスから取り除かれた水分は、導入された乾燥空気に与えられ、この水分により乾燥空気は加湿されたカソードガスになる。なお、除湿空気は、カソードオフガスから少しでも水分が取り除かれていればよく、水分が完全に取り除かれた空気に限定されるものではない。
加湿ユニット10には、図2、図3に示されるように、加湿器1に導入された乾燥空気が流通する乾燥空気流路31(乾燥空気導入口及び乾燥ガス流路の一例)と、加湿により生成されたカソードガスが流通するカソードガス流路32(乾燥空気導出口及び乾燥ガス流路の一例)と、加湿器1に供給されたカソードオフガス流路41(含水空気導入口及び含水ガス流路の一例)と、除湿空気が流通する除湿空気流路42(含水空気導出口及び含水ガス流路の一例)とが形成されている。本実施形態においては、乾燥空気流路31、カソードガス流路32、カソードオフガス流路41、除湿空気流路42は、それぞれ矩形状のセパレータ10aの四隅に形成されており、乾燥空気流路31とカソードガス流路32、カソードオフガス流路41と除湿空気流路42がそれぞれ対角線上に位置するように配置されている。乾燥空気流路31、カソードガス流路32、カソードオフガス流路41、及び除湿空気流路42は、複数のセパレータ10aのそれぞれに形成され、ケース20の底面に隣接しているセパレータ10aを除き、積層された状態で加湿ユニット10を貫通している。加湿ユニット10を貫通する乾燥空気流路31、カソードガス流路32、カソードオフガス流路41、及び除湿空気流路42は、トッププレート22の板面に突出形成された乾燥空気ポート31a、カソードガスポート32a、カソードオフガスポート41a、及び除湿空気ポート42aにそれぞれ連通している。なお、乾燥空気ポート31a、カソードガスポート32a、カソードオフガスポート41a、及び除湿空気ポート42aのいずれか又は全部は、トッププレート22の板面ではなく、トッププレート22の側面から突出して形成されるように構成されてもよい。
セパレータ10aは、加湿ユニット10の積層方向の両端に位置するセパレータ10aを除いて、セパレータ10aの板面の一方の面の中央領域には、乾燥空気流路31とカソードガス流路32との間に乾燥空気を流通させてカソードガスを生成する加湿流路11a(乾燥ガス流路の一例)が形成されており、他方の面の中央領域には、カソードオフガス流路41と除湿空気流路42との間にカソードオフガスを流通させて一部の水分を取り除く除湿流路12a(含水ガス流路の一例)が形成されている。加湿流路11aと除湿流路12aは、セパレータ10aに形成された複数の溝である。加湿流路11aと除湿流路12aとは互いに対向配置されている。以下、セパレータ10aの両面のうち加湿流路11aが形成された面を第一セパレータ11と称し、除湿流路12aが形成された面を第二セパレータ12と称する。なお、セパレータ10aには、加湿流路11aと除湿流路12aのいずれか一方だけが形成されていてもよい。加湿ユニット10の積層方向の両端に位置するセパレータ10aは、加湿流路11aと除湿流路12aのいずれか一方だけが形成されている。
積層方向で隣り合うセパレータ10aは、図4に示されるように、第一セパレータ11の加湿流路11aと第二セパレータ12の除湿流路12aとが対向配置されている。そして、対向する加湿流路11aと除湿流路12aの間には、加湿膜13、二枚の保護膜14、補強部材15が配置されている。本実施形態においては、加湿膜13の両面に二枚の保護膜14のそれぞれが配置され、保護膜14と第二セパレータ12との間に補強部材15が配置されている。加湿膜13、二枚の保護膜14、補強部材15は、セパレータ10aにおける乾燥空気流路31、カソードガス流路32、カソードオフガス流路41、及び除湿空気流路42が形成された領域の内側に配置されており、平面視で六角形状である(図2、図3も参照)。
加湿膜13は、除湿流路12aを流れるカソードオフガスに含まれる水分を透過させる機能を有しており、これにより、除湿流路12aを流れるカソードオフガスに含まれる水分が加湿流路11aを流れる乾燥空気に与えられ、乾燥空気が加湿されてカソードガスが生成される。一方、カソードオフガスは含有された一部の水分が取り除かれて除湿空気となる。保護膜14は、加湿膜13に密着して積層された状態で設けられ、加湿膜13を補強する。本実施形態では、保護膜14は、加湿膜13における第一面13a及び第二面13bの双方(表裏)にそれぞれ設けられる。保護膜14としては、例えば不織布を利用するが、これに限定されず、抄紙、メッシュ、多孔膜等を利用することが可能である。これにより保護膜14が、薄膜(例えば厚さが数μm)である加湿膜13を保護すると共に機械的強度を補強し、例えば製造工程におけるハンドリング性を高め、損傷を防止することが可能となる。
平面視における二枚の保護膜14の外形は、加湿膜13の外形と同じである。しかし、少なくとも一方の保護膜14の外縁部14aが、加湿膜13の外縁部13cよりも加湿膜13の中央側に引退していてもよいし、加湿膜13の外縁部13cよりはみ出していてもよい。保護膜14の外縁部14aが、加湿膜13の外縁部13cよりも加湿膜13の中央側に引退していれば、保護膜14の外形は加湿膜13の外形よりも小さくなる。保護膜14の外縁部14aが、加湿膜13の外縁部13cよりはみ出していれば、保護膜14の外形は加湿膜13の外形よりも大きくなる。
補強部材15は、加湿膜13の第一面13a側に設けられた保護膜14に対向するように、加湿膜13とは反対側に積層されて配置されている。補強部材15と保護膜14とは、密着している。本実施形態において、補強部材15は、加湿膜13及び密着する保護膜14と同じ大きさを有している。補強部材15としては、例えば樹脂製のメッシュを利用するが、これに限定されず、抄紙、不織布、多孔膜等を利用することが可能である。
加湿ユニット10を構成する積層方向で隣り合うセパレータ10aはシール材16により接着されている。シール材16は、例えば、接着剤のような弾性を有する絶縁物からなる。シール材16により、隣り合う第一セパレータ11と第二セパレータ12とが固定される。また、加湿膜13、二枚の保護膜14、補強部材15が配置された箇所においては、隣り合う第一セパレータ11と第二セパレータ12に加え、加湿膜13、二枚の保護膜14、補強部材15も固定される。シール材16を配置することにより、加湿膜13、二枚の保護膜14、補強部材15を挟んで対向する第一セパレータ11の加湿流路11aと第二セパレータ12の除湿流路12aとが連通するのを防止する。
シール材16が塗布される箇所は、第一セパレータ11の第一密着部11bと第二セパレータ12の第二密着部12bである。第一密着部11bと第二密着部12bとにより、第一セパレータ11及び第二セパレータ12はシール材16と密着する。第一密着部11bは、図2の網掛けで示されるように、第一セパレータ11の外縁の全周と、カソードオフガス流路41、除湿空気流路42の全周に形成される。同様に、図3の網掛けで示されるように、第二密着部12bは、第二セパレータ12の外縁の全周と、乾燥空気流路31、カソードガス流路32の全周に形成される。
第一密着部11bと第二密着部12bとの全体に密着させるシール材16は適量であることが望ましい。適量とは、第一セパレータ11の加湿流路11aと第二セパレータ12の除湿流路12aとの連通を防止し、且つ加湿流路11aを流通する乾燥空気の流通と除湿流路12aを流通するカソードオフガスの流通とを妨げない量である。しかし、シール材16の塗布量はばらつくことが考えられる。塗布量がばらつく場合、塗布量は適量に対して不足するよりも過剰である方が好ましい。仮にシール材16の量が適量よりも不足していると、第一セパレータ11の加湿流路11aと第二セパレータ12の除湿流路12aとが連通するおそれがあるからである。しかし、シール材16の量が適量に対して多すぎると、シール材16のうちの余剰シール材16aが加湿流路11aや除湿流路12aに入り込み、加湿流路11aを流通する乾燥空気と除湿流路12aを流通するカソードオフガスの流通を妨げるおそれがある。
そこで、本実施形態においては、図2、図3に示すように、第一セパレータ11に、第一密着部11bに隣接して第一密着部11bから段状に拡幅された第一段部11cを形成している。また、第二セパレータ12に、第二密着部12bに隣接して第二密着部12bから段状に拡幅された第二段部12cを形成している。第一段部11cの一部は加湿流路11aに連続し、第二段部12cの一部は除湿流路12aに連続している。また、第一段部11cの他の一部と第二段部12cの他の一部は、乾燥空気流路31、カソードガス流路32、カソードオフガス流路41、及び除湿空気流路42にそれぞれ連続している。第一段部11cを構成する壁面のうち加湿流路11aに連続する第一段部壁面11dと、加湿流路11aを構成する壁面のうち第一段部11cに連続する第一流路壁面11eとのなす角は直角である(図4も参照)。第二段部12cを構成する壁面のうち除湿流路12aに連続する第二段部壁面12dと、除湿流路12aを構成する壁面のうち第二段部12cに連続する第二流路壁面12eとのなす角は直角である。
第一段部11cは、図2に示されるように、カソードオフガス流路41の全周、及び除湿空気流路42の全周に形成されると共に、乾燥空気流路31、加湿流路11a、カソードガス流路32を囲む全周に形成されている。また、第二段部12cは、図3に示されるように、乾燥空気流路31の全周、及びカソードガス流路32の全周に形成されると共に、カソードオフガス流路41、除湿流路12a、除湿空気流路42を囲む全周に形成されている。
第一段部11cと第二段部12cを設けることにより、第一密着部11bと第二密着部12bとに密着したシール材16に余剰シール材16aがあった場合には、余剰シール材16aは第一段部11cと第二段部12cとにそれぞれはみ出し、それ以上ははみ出さない。これにより、余剰シール材16aが加湿流路11aや除湿流路12aにはみ出ることを抑制し、加湿流路11aを流通する乾燥空気と除湿流路12aを流通するカソードオフガスの流通を妨げることを抑制する。
図4は図2のIV-IV矢視断面図、図5は図2のV-V矢視断面図、図6は図2のVI-VI矢視断面図である。図4に示されるように、第一セパレータ11と第二セパレータ12とは、第一密着部11bと第二密着部12bとでシール材16に密着している。そして、第一段部11cは加湿流路11aに連続し、第二段部12cは除湿流路12aに連続している。余剰シール材16aは、第一密着部11bと第二密着部12bとから第一段部11cと第二段部12cとにそれぞれはみ出しているが、加湿流路11aと除湿流路12aには、はみ出していない。
図5に示されるように、第一セパレータ11と第二セパレータ12とは、第一密着部11bと第二密着部12bとでシール材16に密着している。そして、第一段部11cと第二段部12cとは、いずれも乾燥空気流路31に連続している。余剰シール材16aは、第一密着部11bと第二密着部12bとから第一段部11cと第二段部12cとにそれぞれはみ出しているが、乾燥空気流路31には、はみ出していない。
図6に示されるように、第一セパレータ11は、第一密着部11bでシール材16に密着している。そして、第一段部11cは第一密着部11bの両側に形成されており、一方の第一段部11cは加湿流路11aに連続し、他方の第一段部11cはカソードオフガス流路41に連続している。余剰シール材16aは、第一密着部11bから両側の第一段部11cにはみ出しているが、加湿流路11aとカソードオフガス流路41には、はみ出していない。
図6において、第二密着部12bは形成されているが、第二段部12cは形成されていない。第二密着部12bには載置溝18が形成され、載置溝18に複数の除湿流路12aを跨ぐシールプレート17が配置されている(図2も参照)。そして、シール材16は、シールプレート17の上面に密着しており、第二密着部12bには密着していない。シールプレート17を設けることにより、シール材16だけを配置した場合と比較して、カソードオフガスが除湿流路12aに漏出するおそれを更に低下させることができる。なお、シール材16は、平面視で、シールプレート17より除湿流路12a側及びカソードオフガス流路41側にはみ出さないように構成されている。
本実施形態によると、第一セパレータ11はシール材16が密着する第一密着部11bと第一段部11cとを有し、第二セパレータ12は第一密着部11bに対向しシール材16が密着する第二密着部12bと第二段部12cとを有している。これにより、シール材16は、第一密着部11b及び第二密着部12bの全体に密着すると共に、余剰シール材16aが第一密着部11bから第一段部11cにはみ出し、第二密着部12bから第二段部12cにはみ出す。この結果、適量よりも多い量のシール材16が塗布された場合であっても、第一密着部11b及び第二密着部12bの密着に使用されなかった余剰シール材16aが第一段部11cと第二段部12cとにはみ出すので、シール材16を第一セパレータ11の第一密着部11bと第二セパレータ12の第二密着部12bとの全体に密着させることができる。その結果、乾燥空気とカソードオフガスとの連通を確実に防止することができる。また、第一段部11c及び第二段部12cは、シール材16がはみ出す凹状領域となり、加湿流路11aや除湿流路12aにシール材16がはみ出すことを抑制する緩衝機能を発揮する。
また、第一密着部11bが第一セパレータ11の外縁の全周に亘って形成されると共に、第二密着部12bが第二セパレータ12の外縁の全周に亘って形成されているので、乾燥空気が第一セパレータ11から漏出することを防止できると共に、カソードオフガスが第二セパレータ12から漏出することを防止することができる。また、シール材16の余剰シール材16aは、第一段部11cから加湿流路11aにはみ出しておらず、且つ第二段部12cから除湿流路12aにはみ出していないので、シール材16が加湿流路11a及び除湿流路12aの流路断面積を減少させることはなく、圧力損失や加湿性能の低下を引き起こすこともない。
さらに、第一段部11cをカソードオフガス流路41の全周、及び除湿空気流路42の全周に形成し、第二段部12cを乾燥空気流路31の全周、及びカソードガス流路32の全周に形成することにより、シール材16が、乾燥空気流路31、カソードガス流路32、カソードオフガス流路41、及び除湿空気流路42にはみ出ることを抑制することができる。そのため、シール材16が乾燥空気流路31、カソードガス流路32、カソードオフガス流路41、及び除湿空気流路42の流路断面積を減少させることはなく、圧力損失や加湿性能の低下を引き起こすこともない。なお、シール材16のはみ出しが許容されている箇所等においては、第一段部11cや第二段部12cを形成しなくてもよい。すなわち、そのような箇所においては、第一段部11cをカソードオフガス流路41の全周の一部、及び除湿空気流路42の全周の一部に形成し、第二段部12cを乾燥空気流路31の全周の一部、及びカソードガス流路32の全周の一部に形成するように構成してもよい。
第一セパレータ11と第二セパレータ12とが垂直になるようにセパレータ10aを配置して加湿ユニット10を構成した場合、シール材16の上方であって、第一密着部11bとシール材16と第二密着部12bとで形成される窪みにカソードオフガスに含まれる水分が凝縮して溜まる場合がある。これは、特に、乾燥空気流路31、カソードガス流路32、カソードオフガス流路41、及び除湿空気流路42の鉛直方向の下端の部位において顕著である。以下では、カソードオフガス流路41の鉛直方向下端の部位についてのみ説明するが、乾燥空気流路31、カソードガス流路32、除湿空気流路42のそれぞれの鉛直方向下端の部位においても同様である。
カソードオフガス流路41に連続する窪みに溜まった凝縮水19は、凍結すると、シール材16と第一セパレータ11の第一密着部11b、及びシール材16と第二セパレータ12の第二密着部12bを引き剥がす方向に力を作用させる。しかし、本実施形態のように、第一密着部11bに連続する第一段部11cと第二密着部12bに連続する第二段部12cとを形成することにより、図7に示されるように、凝縮水19が第一段部11c及び第二段部12cに溜まって凍結したとしても、凍結した凝縮水19がシール材16と第一密着部11b、及びシール材16と第二密着部12bを引き剥がす力を低減させることができる。これは、余剰シール材16aが第一段部11c及び第二段部12cの底部を覆っており、シール材16と第一密着部11b及び第二密着部12bとの間への凝縮水19の浸入を防止して密着性を担保できるからである。これにより、シール材16と第一密着部11b、及びシール材16と第二密着部12bを剥がれにくくすることが可能となる。
図7においては、第一段部壁面11dと第一流路壁面11eが直角であり、第二段部壁面12dと第二流路壁面12eが直角であった。しかし、図8に示されるように、第一段部11cを構成する第一段部壁面11dと第一流路壁面11eとのなす角である壁面角θを鈍角にし、第二段部12cを構成する第二段部壁面12dと第二流路壁面12eとのなす角である壁面角θを鈍角にすることにより、更に凝縮水19がシール材16と第一密着部11b、及びシール材16と第二密着部12bを引き剥がす方向の分力を低減させることができる。これにより、シール材16と第一密着部11b、及びシール材16と第二密着部12bを更に剥がれにくくすることが可能となる。
上記各実施形態及び変形例に係る構成は、可能な限り組み合わせることができる。
本開示は、燃料電池用加湿器に用いることが可能である。
1 :燃料電池用加湿器
11 :第一セパレータ
11a :加湿流路(乾燥ガス流路)
11b :第一密着部
11c :第一段部
11d :第一段部壁面
11e :第一流路壁面
12 :第二セパレータ
12a :除湿流路(含水ガス流路)
12b :第二密着部
12c :第二段部
12d :第二段部壁面
12e :第二流路壁面
13 :加湿膜
16 :シール材
16a :余剰シール材(シール材)
31 :乾燥空気流路(乾燥空気導入口、乾燥ガス流路)
32 :カソードガス流路(乾燥空気導出口、乾燥ガス流路)
41 :カソードオフガス流路(含水空気導入口、含水ガス流路)
42 :除湿空気流路(含水空気導出口、含水ガス流路)
θ :壁面角
11 :第一セパレータ
11a :加湿流路(乾燥ガス流路)
11b :第一密着部
11c :第一段部
11d :第一段部壁面
11e :第一流路壁面
12 :第二セパレータ
12a :除湿流路(含水ガス流路)
12b :第二密着部
12c :第二段部
12d :第二段部壁面
12e :第二流路壁面
13 :加湿膜
16 :シール材
16a :余剰シール材(シール材)
31 :乾燥空気流路(乾燥空気導入口、乾燥ガス流路)
32 :カソードガス流路(乾燥空気導出口、乾燥ガス流路)
41 :カソードオフガス流路(含水空気導入口、含水ガス流路)
42 :除湿空気流路(含水空気導出口、含水ガス流路)
θ :壁面角
Claims (4)
- 一方の面の中央領域に乾燥空気が流通する乾燥ガス流路が形成された板状の第一セパレータと、
前記第一セパレータに対向配置され、前記乾燥ガス流路に対向する面の中央領域に含水空気が流通する含水ガス流路が形成された板状の第二セパレータと、
前記乾燥ガス流路と前記含水ガス流路との間に配置され、前記乾燥空気に対して前記含水空気に含まれる水分を与えることにより、前記乾燥空気を加湿空気にすると共に前記含水空気を除湿空気にする加湿膜と、
前記乾燥ガス流路と前記含水ガス流路との連通を防ぐシール材と、を備え、
前記第一セパレータは、前記シール材が密着する第一密着部と、前記第一密着部から段状に拡幅された第一段部とを有し、
前記第二セパレータは、前記第一密着部に対向し前記シール材が密着する第二密着部と、前記第二密着部から段状に拡幅された第二段部とを有し、
前記シール材は、前記第一密着部及び前記第二密着部の全体に密着すると共に、余剰シール材が前記第一密着部から前記第一段部にはみ出すと共に、前記第二密着部から前記第二段部にはみ出している燃料電池用加湿器。 - 前記第一密着部と前記第一段部とは、前記第一セパレータの外縁の全周に亘って形成され、
前記第二密着部と前記第二段部とは、前記第二セパレータの外縁の全周に亘って形成され、
前記第一段部の一部は前記乾燥ガス流路に連続し、前記第二段部の一部は前記含水ガス流路に連続しており、
前記シール材の前記余剰シール材は、前記第一段部から前記乾燥ガス流路にはみ出しておらず、且つ前記第二段部から前記含水ガス流路にはみ出していない請求項1に記載の燃料電池用加湿器。 - 前記第一段部を構成する壁面のうち前記乾燥ガス流路に連続する第一段部壁面と、前記乾燥ガス流路を構成する壁面のうち前記第一段部に連続する第一流路壁面とのなす角は鈍角であり、
前記第二段部を構成する壁面のうち前記含水ガス流路に連続する第二段部壁面と、前記含水ガス流路を構成する壁面のうち前記第二段部に連続する第二流路壁面とのなす角は鈍角である請求項2に記載の燃料電池用加湿器。 - 前記第一セパレータと前記第二セパレータはそれぞれ、前記乾燥ガス流路に供給される前記乾燥空気が流通する乾燥空気導入口と、前記乾燥ガス流路から排出された前記加湿空気が流通する乾燥空気導出口と、前記含水ガス流路に供給される前記含水空気が流通する含水空気導入口と、前記含水ガス流路から排出された前記除湿空気が流通する含水空気導出口とを有し、
前記第一段部は、前記含水空気導入口の全周又は一部、及び前記含水空気導出口の全周又は一部に形成され、
前記第二段部は、前記乾燥空気導入口の全周又は一部、及び前記乾燥空気導出口の全周又は一部に形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料電池用加湿器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022153933A JP2024048080A (ja) | 2022-09-27 | 2022-09-27 | 燃料電池用加湿器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022153933A JP2024048080A (ja) | 2022-09-27 | 2022-09-27 | 燃料電池用加湿器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2024048080A true JP2024048080A (ja) | 2024-04-08 |
Family
ID=90606652
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022153933A Pending JP2024048080A (ja) | 2022-09-27 | 2022-09-27 | 燃料電池用加湿器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2024048080A (ja) |
-
2022
- 2022-09-27 JP JP2022153933A patent/JP2024048080A/ja active Pending
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