JP2024052033A - 燃料電池用加湿器 - Google Patents
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Abstract
【課題】異物の発生を抑制するように構成された燃料電池用加湿器を提供する。【解決手段】燃料電池用加湿器は、一方の面の中央領域に乾燥空気が流通する乾燥ガス流路11aが形成された板状の第一流路面11と、第一流路面11に対向配置され、乾燥ガス流路11aに対向する面の中央領域に含水空気が流通する含水ガス流路12aが形成された板状の第二流路面12と、乾燥ガス流路11aと含水ガス流路12aとの間に配置され、乾燥空気に対して含水空気に含まれる水分を与えることにより、乾燥空気を加湿空気にすると共に含水空気を除湿空気にする加湿膜13と、加湿膜13の表裏に積層した状態で設けられる二つの保持部材14と、を備えている。保持部材14は、外縁14cに保持部材14からの異物の脱落を防止する脱落防止部17を有する。【選択図】図4
Description
本開示は、燃料電池用加湿器に関する。
近年、燃料電池が利用されており、燃料電池にはカソード側に供給されるカソードガスを加湿するために加湿器が設けられている。このような加湿器には、カソードガスを案内するセパレータと水を透過する膜とを交互に配置した加湿ユニットが備えられているものがある。このような加湿器として、例えば下記に出典を示す特許文献1に記載のものがある。
特許文献1には、燃料電池用加湿器(特許文献1においては燃料電池用膜加湿器)が開示されている。この燃料電池用加湿器は、加湿膜(特許文献1においては水透過膜)の両面に一対のガス拡散層を配設し、更にその両外側にガス分離板をそれぞれ設けて構成されている。この燃料電池用加湿器は、一対のガス拡散層の一方にカソードガス(特許文献1では反応ガス)を流通させ、一対のガス拡散層の他方にカソードオフガス(特許文献1においては排出ガス)を流通させると共に、他方のガス拡散層を流通するカソードオフガスの水分を加湿膜を介して一方のガス拡散層を流通するカソードガスに供給可能とした。
特許文献1に開示された燃料電池用加湿器において、ガス拡散層は不織布により形成されている。不織布は繊維をシート状に形成したものであるため、燃料電池用加湿器の製造工程内、及び製品使用状態で、特に裁断された外周部において繊維端部の脱落が発生し易い。繊維の脱落が発生すると、脱落した繊維は異物となる。製造工程において燃料電池用加湿器のセパレータ間のシール面にこの異物(繊維)が付着すると、シール不良を引き起こすおそれがある。また、燃料電池用加湿器よりも下流側に位置する燃料電池(FCスタック)の異物詰まりを引き起こしたり、バルブ類の弁部への異物噛み込みによるシール不良を引き起こしたりするおそれがある。このため、燃料電池用加湿器は、異物の発生を抑制する上で改良の余地がある。
そこで、異物の発生を抑制するように構成された燃料電池用加湿器が求められる。
本開示に係る燃料電池用加湿器の一つの実施形態は、一方の面の中央領域に乾燥空気が流通する乾燥ガス流路が形成された板状の第一流路面と、前記第一流路面に対向配置され、前記乾燥ガス流路に対向する面の中央領域に含水空気が流通する含水ガス流路が形成された板状の第二流路面と、前記乾燥ガス流路と前記含水ガス流路との間に配置され、前記乾燥空気に対して前記含水空気に含まれる水分を与えることにより、前記乾燥空気を加湿空気にすると共に前記含水空気を除湿空気にする加湿膜と、前記加湿膜の表裏に積層した状態で設けられる二つの保持部材と、を備え、前記保持部材は、外縁に前記保持部材からの異物の脱落を防止する脱落防止部を有する。
本実施形態によると、保持部材が外縁に保持部材からの異物の脱落を防止する脱落防止部を有するので、保持部材が例えば不織布で構成されていた場合には、保持部材の外縁から異物としての不織布の繊維が脱落するのを抑制することができる。また、加湿膜と二枚の保護膜とが積層されるので、後工程におけるハンドリングが容易になる。また、例えばシール材を塗布して第一流路面と第二流路面とを固定する際に異物が混入しないので、シール不良を抑制することができる。さらに、燃料電池用加湿器よりも下流側に位置する燃料電池(FCスタック)の異物詰まりを抑制すると共に、バルブ類の弁部への異物噛み込みによるシール不良も抑制することができる。
本開示に係る燃料電池用加湿器の他の一つの実施形態において、前記保持部材は不織布であり、前記脱落防止部は、前記不織布に含浸された目止め材により構成される。
本実施形態によると、保持部材が不織布である場合、目止め材を保持部材の外縁に塗布することにより、目止め材が保持部材である不織布の繊維間に浸透する。その後、目止め材を硬化させることにより、不織布の繊維を硬化した目止め材の内部に封じ込めることができる。これにより、保持部材の外縁からの異物である繊維の脱落が抑制される。
本開示に係る燃料電池用加湿器の他の一つの実施形態は、前記保持部材を補強する補強部材を更に備え、前記目止め材を前記補強部材にも含浸させることにより前記保持部材と前記補強部材とが一体化されている。
本実施形態によると、保持部材を補強する補強部材を備え、また、補強部材に目止め材を含浸させることにより、加湿膜と保持部材のハンドリングを容易にすることができると共に、補強部材の外縁からの異物の脱落を抑制することができる。
本開示に係る燃料電池用加湿器の他の一つの実施形態は、前記乾燥ガス流路と前記含水ガス流路との連通を防ぐシール材を更に備え、前記目止め材は前記シール材と共用である。
本実施形態によると、目止め材とシール材とに同じ材料を用いて共用することにより、目止め材とシール材との境界がなくなり、該境界における目止め材とシール材との密着性について考慮する必要がない。したがって、目止め材とシール材との境界を介しての第一流路面の乾燥ガス流路と第二流路面の含水ガス流路とが連通するおそれがなく、連通を確実に防止することができる。
本開示に係る燃料電池用加湿器の他の一つの実施形態は、前記乾燥ガス流路と前記含水ガス流路との連通を防ぐシール材を更に備え、前記目止め材は前記シール材とは異なる材料である。
本実施形態によると、目止め材とシール材とが異なる材料であるため、目止め材とシール材とにそれぞれの目的に応じた最適の材料を用いることができる。
以下、本開示に係る燃料電池用加湿器の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に記載される実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示をこれらの実施形態にのみ限定するものではない。したがって、本開示は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
〔第一実施形態〕
燃料電池用加湿器1(以下、単に加湿器ともいう)は、図1に示されるように、複数のセパレータ10aと、複数のセパレータ10aを収容するケース20と、複数のセパレータ10aをケース20の底面との間で挟持して固定するトッププレート22とにより構成されている。トッププレート22はボルト24によりケース20に固定される。セパレータ10aは、矩形板状であり、複数のセパレータ10aは、板厚方向に沿って積層されている。以下、積層された複数のセパレータ10aを加湿ユニット10ともいう。
燃料電池用加湿器1(以下、単に加湿器ともいう)は、図1に示されるように、複数のセパレータ10aと、複数のセパレータ10aを収容するケース20と、複数のセパレータ10aをケース20の底面との間で挟持して固定するトッププレート22とにより構成されている。トッププレート22はボルト24によりケース20に固定される。セパレータ10aは、矩形板状であり、複数のセパレータ10aは、板厚方向に沿って積層されている。以下、積層された複数のセパレータ10aを加湿ユニット10ともいう。
加湿器1は、不図示の燃料電池(FCスタック)に供給するために外部から導入された乾燥空気を加湿ユニット10で加湿してカソードガス(加湿空気の一例)を生成する機能を有する。加湿ユニット10で加湿されたカソードガスは、加湿ユニット10から排出されて燃料電池に供給され発電に使用される。発電に使用されたカソードガスはカソードオフガス(含水空気の一例)となり、燃料電池から排出される。カソードオフガスは発電により発生した水分を含有しており、加湿器1に供給される。そして、加湿ユニット10でカソードオフガスに含有される水分の一部が取り除かれた後に、カソードオフガスは除湿空気として排出される。加湿ユニット10でカソードオフガスから取り除かれた水分は、導入された乾燥空気に与えられ、この水分により乾燥空気は加湿されたカソードガスになる。なお、除湿空気は、カソードオフガスから少しでも水分が取り除かれていればよく、水分が完全に取り除かれた空気に限定されるものではない。
加湿ユニット10には、図2、図3に示されるように、加湿器1に導入された乾燥空気が流通する乾燥空気流路31と、加湿により生成されたカソードガスが流通するカソードガス流路32と、加湿器1に供給されたカソードオフガス流路41と、除湿空気が流通する除湿空気流路42とが形成されている。本実施形態においては、乾燥空気流路31、カソードガス流路32、カソードオフガス流路41、除湿空気流路42は、それぞれ矩形状のセパレータ10aの四隅に形成されており、乾燥空気流路31とカソードガス流路32、カソードオフガス流路41と除湿空気流路42がそれぞれ対角線上に位置するように配置されている。乾燥空気流路31、カソードガス流路32、カソードオフガス流路41、除湿空気流路42は、複数のセパレータ10aのそれぞれに形成され、ケース20の底面に隣接しているセパレータ10aを除き、積層された状態で加湿ユニット10を貫通している。加湿ユニット10を貫通する乾燥空気流路31、カソードガス流路32、カソードオフガス流路41、及び除湿空気流路42は、トッププレート22の板面に突出形成された乾燥空気ポート31a、カソードガスポート32a、カソードオフガスポート41a、及び除湿空気ポート42aにそれぞれ連通している。なお、乾燥空気ポート31a、カソードガスポート32a、カソードオフガスポート41a、及び除湿空気ポート42aのいずれか又は全部は、トッププレート22の板面ではなく、トッププレート22の側面から突出して形成されるように構成されてもよい。
セパレータ10aは、加湿ユニット10の積層方向の両端に位置するセパレータ10aを除いて、セパレータ10aの板面の一方の面の中央領域には、乾燥空気流路31とカソードガス流路32との間に乾燥空気を流通させてカソードガスを生成する加湿流路11a(乾燥ガス流路の一例)が形成されており、他方の面の中央領域には、カソードオフガス流路41と除湿空気流路42との間にカソードオフガスを流通させて水分を取り除く除湿流路12a(含水ガス流路の一例)が形成されている。加湿流路11aと除湿流路12aは、セパレータ10aに形成された複数の溝である。加湿流路11aと除湿流路12aとは互いに対向配置されている。以下、セパレータ10aの両面のうち加湿流路11aが形成された面を第一流路面11と称し、除湿流路12aが形成された面を第二流路面12と称する。なお、セパレータ10aには、加湿流路11aと除湿流路12aのいずれか一方だけが形成されていてもよい。加湿ユニット10の積層方向の両端に位置するセパレータ10aは、加湿流路11aと除湿流路12aのいずれか一方だけが形成されている。
積層方向で隣り合うセパレータ10aは、図4に示されるように、第一流路面11の加湿流路11aと第二流路面12の除湿流路12aとが対向配置されている。そして、対向する加湿流路11aと除湿流路12aの間には、加湿膜13と二枚の保護膜14(保持部材の一例)が配置されている。本実施形態においては、加湿膜13の両面に二枚の保護膜14のそれぞれが配置されている。加湿膜13、二枚の保護膜14は、セパレータ10aにおける乾燥空気流路31、カソードガス流路32、カソードオフガス流路41、及び除湿空気流路42が形成された領域の内側に配置されている。
加湿膜13は、除湿流路12aを流れるカソードオフガスに含まれる水分を透過させる機能を有しており、これにより、除湿流路12aを流れるカソードオフガスに含まれる水分の一部が加湿流路11aを流れる乾燥空気に与えられ、乾燥空気が加湿されてカソードガスが生成される。一方、カソードオフガスは含有された水分の一部が取り除かれて除湿空気となる。
保護膜14は、加湿膜13に密着して積層された状態で設けられ、加湿膜13を補強する。本実施形態では、保護膜14は、加湿膜13における第一面13a及び第二面13bの双方(表裏)にそれぞれ設けられる。保護膜14としては、例えば不織布を利用するが、これに限定されず、抄紙、メッシュ、多孔膜等を利用することが可能である。これにより保護膜14が、薄膜(例えば厚さが数μm)である加湿膜13を保護すると共に機械的強度を補強し、例えば製造工程におけるハンドリング性を高め、損傷を防止することが可能となる。なお、平面視における二枚の保護膜14の外形は、加湿膜13の外形と同じであり、いずれも平面視で六角形状である。
図5に示されるように、二枚の保護膜14には、外縁14cの全周に亘って目止め材19が含浸された脱落防止部17が形成されている。目止め材19は、例えば、粘性の低い接着剤が挙げられる。具体的には、一液性もしくは二液性の接着剤、浸透性のある樹脂、粘着性のある樹脂、シリコン系、エポキシ系の樹脂等が望ましい。目止め材19を保護膜14の外縁14cに塗布することにより、粘性の低い目止め材19が保護膜14の不織布の繊維間に浸透する。その後、目止め材19を硬化させることにより、不織布の繊維を硬化した目止め材19の内部に封じ込める。これにより、保護膜14の外縁14cからの繊維の脱落が抑制される。以下、「目止め材19を含浸させる」とは、目止め材19を塗布し、浸透させ、硬化させるまでを意味するものとする。
目止め材19を保護膜14の外縁14cに含浸させる前に、加湿膜13の外縁13cと加湿膜13を挟む二枚の保護膜14の外縁14cとを圧接や溶着等の方法により予め一体化しておくことが好ましい。予め一体化することにより、目止め材19を保護膜14の外縁14cに含浸させる際の加湿膜13と保護膜14との位置決めとハンドリングを容易にすることができる。加湿膜13と二枚の保護膜14とを一体化することなく積層した状態で保護膜14に目止め材19を含浸させて脱落防止部17を形成してもよい。この場合、目止め材19の接着力により加湿膜13と二枚の保護膜14とが一体化される。逆に、接着剤に目止め材19の機能を持たせてもよい。
以上より、目止め材19を保護膜14の外縁14cに含浸させることにより、保護膜14が不織布で構成されていた場合等には、外縁14cからの異物としての不織布の繊維の脱落が抑制される。また、加湿膜13と二枚の保護膜14とが一体化されるので、後工程におけるハンドリングが容易になる。なお、図4においては、目止め材19は、保護膜14のみに含浸し加湿膜13には含浸していないが、加湿膜13に含浸するように構成してもよい(以降の実施形態でも同様)。
図4に示されるように、加湿ユニット10を構成する積層方向で隣り合うセパレータ10a(第一流路面11と第二流路面12)はシール材16により接着されている。シール材16は、例えば、接着剤のような弾性を有する絶縁物からなり、目止め材19とは異なる材料である。シール材16により、隣り合う第一流路面11と第二流路面12とが固定される。このとき、目止め材19により一体化された加湿膜13、二枚の保護膜14も同時に固定される。シール材16を配置することにより、加湿膜13、二枚の保護膜14を挟んで対向する第一流路面11の加湿流路11aと第二流路面12の除湿流路12aとが連通するのを防止する。目止め材19とシール材16とを異なる材料にすることにより、目止め材19とシール材16とにそれぞれの目的に応じた最適の材料を用いることができる。
シール材16が塗布される箇所は、第一流路面11の第一密着部11bと第二流路面12の第二密着部12bである。第一密着部11bと第二密着部12bとで、第一流路面11と第二流路面12とはシール材16と密着する。第一密着部11bは、図2の網掛けで示されるように、第一流路面11の外縁の全周と、カソードオフガス流路41、除湿空気流路42の全周である。同様に、第二密着部12bは、図3の網掛けで示されるように、第二流路面12の外縁の全周と、乾燥空気流路31、カソードガス流路32の全周である。
上記のように、目止め材19を含浸させて二枚の保護膜14に脱落防止部17を形成すると共に二枚の保護膜14と加湿膜13とを一体化することにより、シール材16を塗布して第一流路面11と第二流路面12とを固定する際に、保護膜14の外縁14cからの異物(繊維)の脱落が抑制される。これにより、シール材16を塗布して第一流路面11と第二流路面12とを固定する際に異物が混入しないので、シール不良を抑制することができる。また、加湿器1よりも下流側に位置する不図示の燃料電池(FCスタック)の異物詰まりを抑制すると共に、不図示のバルブ類の弁部への異物噛み込みによるシール不良も抑制することができる。
〔第二実施形態〕
次に、第二実施形態に係る加湿器1について説明する。本実施形態においては、図7に示されるように、目止め材19とシール材16とに同じ材料を用いている。その他の構成については第一実施形態と同様であるため、同様の構成については詳細な説明を省略する。
次に、第二実施形態に係る加湿器1について説明する。本実施形態においては、図7に示されるように、目止め材19とシール材16とに同じ材料を用いている。その他の構成については第一実施形態と同様であるため、同様の構成については詳細な説明を省略する。
目止め材19とシール材16とに同じ材料(接着剤)を用いて共用することにより、目止め材19とシール材16との境界がなくなり、該境界における目止め材19とシール材16との密着性について考慮する必要がない。したがって、目止め材19とシール材16との境界を介しての第一流路面11の加湿流路11aと第二流路面12の除湿流路12aとが連通するおそれがなく、連通を確実に防止できる。本実施形態においては、二枚の保護膜14への目止め材19の含浸と、シール材16による第一流路面11と第二流路面12との固定を同一工程で行ってもよい。すなわち、目止め材19を含浸させていない状態の二枚の保護膜14と加湿膜13とをシール材16を塗布した第一流路面11と第二流路面12との間に配置して、第一流路面11と第二流路面12との固定、及び保護膜14の外縁14cへの目止め材19(シール材16)の含浸、すなわち脱落防止部17の形成を同時に行う。
〔第三実施形態〕
次に、第三実施形態に係る加湿器1について説明する。本実施形態においては、図8に示すように、第一流路面11と第二流路面12との間に、加湿膜13、二枚の保護膜14に加え、補強部材15を配置している。その他の構成については第一実施形態と同様であるため、同様の構成については詳細な説明を省略する。
次に、第三実施形態に係る加湿器1について説明する。本実施形態においては、図8に示すように、第一流路面11と第二流路面12との間に、加湿膜13、二枚の保護膜14に加え、補強部材15を配置している。その他の構成については第一実施形態と同様であるため、同様の構成については詳細な説明を省略する。
補強部材15は、加湿膜13の第一面13a側に設けられた保護膜14に対向するように、加湿膜13とは反対側に積層されて配置され、加湿膜13と二枚の保護膜14とを補強する。補強部材15は、保護膜14と第二流路面12との間に配置されている。補強部材15と保護膜14とは密着している。本実施形態において、補強部材15は、加湿膜13及び保護膜14と同じ形状、同じ大きさを有している。補強部材15としては、例えば樹脂製のメッシュを利用するが、これに限定されず、抄紙、不織布、多孔膜等を利用することが可能である。なお、補強部材15は、加湿膜13及び保護膜14と同じ大きさでなくてもよい。
本実施形態においては、目止め材19を保護膜14の外縁14cに含浸させる前に、加湿膜13の外縁13cと二枚の保護膜14の外縁14cと補強部材15の外縁15aとを圧接や溶着等の方法により予め一体化しておくことが好ましい。予め一体化することにより、目止め材19を保護膜14の外縁14cに含浸させる際の加湿膜13、保護膜14、及び補強部材15の位置決めとハンドリングを容易にすることができる。そして、一体化された加湿膜13、二枚の保護膜14、補強部材15における二枚の保護膜14の外縁14cに目止め材19を含浸させて脱落防止部17を形成する。
なお、加湿膜13と二枚の保護膜14と補強部材15とを一体化することなく積層した状態で保護膜14に目止め材19を含浸させて脱落防止部17を形成してもよい。この場合、目止め材19の接着力により加湿膜13と二枚の保護膜14、及び補強部材15と保護膜14が一体化される。なお、図8においては、目止め材19は、保護膜14のみに含浸し加湿膜13と補強部材15には含浸していないが、加湿膜13と補強部材15にも含浸するように構成してもよい。補強部材15に目止め材19が含浸していると、例えば、補強部材15が不織布で形成されている場合には、補強部材15の目止め材19の含浸箇所が脱落防止部17になり、補強部材15の外縁15aからの異物(繊維)の脱落が抑制される。
その後、第一実施形態と同様に、隣り合う第一流路面11と第二流路面12とをシール材16により固定する際に、一体化された加湿膜13、二枚の保護膜14、補強部材15も同時に固定する。
〔第四実施形態〕
次に、第四実施形態に係る加湿器1について説明する。本実施形態においては、図9から図11に示すように、加湿膜13を挟む二枚の保護膜14の膜面の大きさが異なる。その他の構成については第一実施形態と同様であるため、同様の構成については詳細な説明を省略する。
次に、第四実施形態に係る加湿器1について説明する。本実施形態においては、図9から図11に示すように、加湿膜13を挟む二枚の保護膜14の膜面の大きさが異なる。その他の構成については第一実施形態と同様であるため、同様の構成については詳細な説明を省略する。
本実施形態においては、二枚の保護膜14のうち一方の保護膜14の外縁14cが、加湿膜13の外縁13cよりも加湿膜13の中央側に引退している。他方の保護膜14の外形は加湿膜13の外形と同じである。加湿膜13の中央部側に引退した状態とは、図9に示されるように、加湿膜13に積層した保護膜14の平面視において、保護膜14の外縁14cの周囲に加湿膜13が露出している状態であることを意味する。以下、保護膜14のうち、外縁14cが加湿膜13の外縁13cよりも加湿膜13の中央側に引退しているものを保護膜14a、加湿膜13の外形と同じものを保護膜14bという。
本実施形態においては、目止め材19を含浸させる範囲が、図10に示される場合と図11に示される場合とで異なっている。図10においては、保護膜14a、保護膜14bとも、外縁14cから保護膜14の中央部側(図10で左側)に向かう同じ長さの範囲に目止め材19を含浸させている。このように構成することにより、二枚の保護膜14の大きさが異なっても、目止め材19の使用量を最小限にすることができる。また、加湿器1により高い気密性が求められる場合等には、保護膜14を介さず、加湿膜13とシール材16とが直接接触する構造で接着することになるので、より確実なシール性を持たせることが可能になる。
図11においては、保護膜14bにおける目止め材19を含浸させる範囲が図10に示される場合よりも広く、目止め材19を含浸させた範囲の保護膜14の中央部側(図10で左側)の内端が、平面視で保護膜14aに目止め材19を含浸させた範囲の内端に等しい。この場合、目止め材19の含浸端を統一することが可能となるので、含浸方法が簡便である。
上記各実施形態に係る構成は、可能な限り組み合わせることができる。
本開示は、燃料電池用加湿器に用いることが可能である。
1 :燃料電池用加湿器
11 :第一流路面
11a :加湿流路(乾燥ガス流路)
12 :第二流路面
12a :除湿流路(含水ガス流路)
13 :加湿膜
14 :保護膜(保持部材)
14a :保護膜(保持部材)
14b :保護膜(保持部材)
14c :外縁
15 :補強部材
16 :シール材
17 :脱落防止部
19 :目止め材
11 :第一流路面
11a :加湿流路(乾燥ガス流路)
12 :第二流路面
12a :除湿流路(含水ガス流路)
13 :加湿膜
14 :保護膜(保持部材)
14a :保護膜(保持部材)
14b :保護膜(保持部材)
14c :外縁
15 :補強部材
16 :シール材
17 :脱落防止部
19 :目止め材
Claims (5)
- 一方の面の中央領域に乾燥空気が流通する乾燥ガス流路が形成された板状の第一流路面と、
前記第一流路面に対向配置され、前記乾燥ガス流路に対向する面の中央領域に含水空気が流通する含水ガス流路が形成された板状の第二流路面と、
前記乾燥ガス流路と前記含水ガス流路との間に配置され、前記乾燥空気に対して前記含水空気に含まれる水分を与えることにより、前記乾燥空気を加湿空気にすると共に前記含水空気を除湿空気にする加湿膜と、
前記加湿膜の表裏に積層した状態で設けられる二つの保持部材と、を備え、
前記保持部材は、外縁に前記保持部材からの異物の脱落を防止する脱落防止部を有する燃料電池用加湿器。 - 前記保持部材は不織布であり、
前記脱落防止部は、前記不織布に含浸された目止め材により構成される請求項1に記載の燃料電池用加湿器。 - 前記保持部材を補強する補強部材を更に備え、
前記目止め材を前記補強部材にも含浸させることにより前記保持部材と前記補強部材とが一体化されている請求項2に記載の燃料電池用加湿器。 - 前記乾燥ガス流路と前記含水ガス流路との連通を防ぐシール材を更に備え、
前記目止め材は前記シール材と共用である請求項2又は3に記載の燃料電池用加湿器。 - 前記乾燥ガス流路と前記含水ガス流路との連通を防ぐシール材を更に備え、
前記目止め材は前記シール材とは異なる材料である請求項2又は3に記載の燃料電池用加湿器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022158469A JP2024052033A (ja) | 2022-09-30 | 2022-09-30 | 燃料電池用加湿器 |
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Publication Number | Publication Date |
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-
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- 2022-09-30 JP JP2022158469A patent/JP2024052033A/ja active Pending
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