JP2024047555A - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、加工性が良好であり、高透明でかつ長期にわたり遮熱特性を維持可能な積層フィルムとすることを課題とする。【解決手段】 異なる3種類の熱可塑性樹脂層をA層、B層、C層としたときに、前記A層、前記B層、前記C層が一定の規則配列で厚み方向に101層以上積層された構成を有し、積層フィルムに含まれる規則配列の95%以上100%以下が、1つの合計厚みが250nm以上650nm以下となる規則配列であり、積層フィルムに含まれる層の40%以上60%以下が、厚み45nm以上85nm以下の層であり、かつ透過彩度C*が10以下であることを特徴とする、積層フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、加工性が良好であり、高透明でかつ長期にわたり遮熱特性を維持可能な積層フィルムに関する。
特定波長帯域の光線を遮蔽・抽出可能な光制御フィルムは、光や熱線などの環境因子から製品の内部環境や構成成分の劣化を防止する目的や、特定波長帯域の光線のみを抽出して所望の色調に発色させる目的で、多岐の分野にわたり実用化されている。例えば、建材や自動車用途では室内温度上昇を抑制するための赤外線カットフィルムが、工業材料用途では紫外線レーザー表面加工時の過剰な紫外線を吸収するための紫外線カットフィルムが利用されている。また、電子情報分野ではディスプレイ光源から発せられる眼に有害な青色光線を遮蔽するブルーライトカットフィルムや、拡散・喪失するバックライトの光を再帰反射させることができる輝度向上フィルムが利用されており、自動車内装材やモバイル筐体用途では金属調を付与するための可視光全域を反射する金属調フィルムなどが利用されている。
また、室内温度上昇を抑制するための赤外線カットフィルムは、自動車や電車などの乗り物や建物の窓ガラスに用いられている。このような窓ガラスへの遮熱性付与方法の一例として、ガラス中や合わせガラスに用いる中間膜中に熱線吸収粒子を含有させ、熱線を熱線吸収粒子によって遮断する方法(例えば特許文献1)、金属膜をガラス表面上にスパッタなどにより形成して熱線を反射させて遮断する方法(例えば特許文献2)、ポリマー多層積層フィルムによる干渉反射に加え熱線吸収粒子を併用することにより遮熱性能を高める方法(例えば特許文献3)などがある。
特開2010-17854号公報 特開2001-310407号公報 特願2012-65715号公報
特許文献1の方法では、外部から入射される太陽光を熱エネルギーに変換するため、その熱が室内へ放射されて遮熱効率が低下する問題がある。加えて、熱線を吸収することでガラス温度が上昇し、外気温との差によりガラス本体が破損する場合もある。また、特許文献2の方法では、高い遮熱性能が得られるものの熱線に加えて可視光も反射するために着色を生じ、ガラスの透明度が低下するため、乗り物や建物の窓ガラスには適用できない場合もある。
特許文献3に記載される、ポリマー多層積層フィルムは、その層厚みを制御して、反射する波長を選択できるため、近赤外領域の光を選択的に反射することができ、可視光線透過率を維持しつつ遮熱性能を向上させることができる。また、金属など電波を遮断するものを含まないために、優れた電波透過性を保持したものとなる。しかしながら、特許文献3に記載の方法では長期間にわたる遮熱性能が不足し、かつ、加工性が不十分という課題がある。
本発明は上記した従来技術の問題点に鑑み、加工性が良好であり、高透明でかつ長期にわたり遮熱特性を維持可能な積層フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は次の構成からなる。すなわち、異なる3種類の熱可塑製樹脂層をA層、B層、C層としたときに、前記A層、前記B層、前記C層が一定の規則配列で厚み方向に101層以上積層された構成を有し、積層フィルムに含まれる規則配列の95%以上100%以下が、1つの合計厚みが250nm以上650nm以下となる規則配列であり、積層フィルムに含まれる層の40%以上60%以下が、厚み45nm以上85nm以下の層であり、かつ透過彩度Cが10以下であることを特徴とする、積層フィルムである。
また、本発明の積層フィルムは以下の態様とすることもでき、これを具備する窓部材、車載部材とすることもできる。
(1) 異なる3種類の熱可塑性樹脂層をA層、B層、C層としたときに、前記A層、前記B層、前記C層が一定の規則配列で厚み方向に101層以上積層された構成を有し、積層フィルムに含まれる規則配列の95%以上100%以下が、1つの合計厚みが250nm以上650nm以下となる規則配列であり、積層フィルムに含まれる層の40%以上60%以下が、厚み45nm以上85nm以下の層であり、かつ透過彩度Cが10以下であることを特徴とする、積層フィルム。
(2) 前記規則配列がA層/B層/C層/B層であることを特徴とする、(1)に記載の積層フィルム。
(3) ヘイズ値が0.1%以上5.0%以下であり、全光線透過率が70%以上であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の積層フィルム。
(4) 垂直入射時の透過彩度をC(0°)、60°入射時の透過彩度をC(60°)としたときに、|C(60°)-C(0°)|が10以下であることを特徴とする、(1)~(3)のいずれかに記載の積層フィルム。
(5) 垂直入射時の反射彩度Cが10以下であることを特徴とする、(1)~(4)のいずれかに記載の積層フィルム。
(6) 前記A層、前記B層、前記C層の少なくとも1種類が、融点220℃以上の結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とすることを特徴とする、(1)~(5)のいずれかに記載の積層フィルム。
(7) 前記A層、前記B層、前記C層の少なくとも1種類が、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートを主成分とすることを特徴とする、(1)~(6)のいずれかに記載の積層フィルム。
(8) 前記A層、前記B層、前記C層が、結晶性/半結晶性/非晶性の熱可塑性樹脂層、又は結晶性/非晶性/非晶性の熱可塑性樹脂層の組み合わせであることを特徴とする、(1)~(7)のいずれかに記載の積層フィルム。
(9) 前記A層、前記B層、前記C層の順に屈折率が大きいことを特徴とする、(1)~(8)のいずれかに記載の積層フィルム。
(10) 積層フィルム全体から両側の最表層に位置する規則配列を除いた部分を中間規則配列群としたときに、前記中間規則配列群を構成する規則配列の厚みが、一方の最表層側から反対側の最表層側に向かって単調に増加、または減少することを特徴とする、(1)~(9)のいずれかに記載の積層フィルム。
(11) 積層フィルム全体から両側の最表層に位置する規則配列を除いた部分を中間規則配列群とし、前記中間規則配列群を構成する規則配列の厚みの最大値と最小値をそれぞれ順にX、Yとしたときに、X-Yが積層フィルムの全体厚みの0.5%以下であることを特徴とする、(1)~(10)のいずれかに記載の積層フィルム。
(12) tanδのピークを3点以上有することを特徴とする、(1)~(11)のいずれかに記載の積層フィルム。
(13) 主配向方向に直交する方向における厚みムラが3.0%以下であることを特徴とする、(1)~(12)のいずれかに記載の積層フィルム。
(14) 150℃雰囲気下で30分間処理した際の主配向方向の熱収縮Tmdと、主配向方向に直交する方向の熱収縮率Ttdとの比の絶対値|Ttd/Tmd|が、0.8以上2.5以下であることを特徴とする、(1)~(13)のいずれかに記載の積層フィルム。
(15)) 熱線吸収剤を含む層を1層以上有することを特徴とする、(1)~(14)のいずれかに記載の積層フィルム。
(16) (1)~(15)のいずれかに記載の積層フィルムを具備することを特徴とする、窓部材。
(17) (1)~(15)のいずれかに記載の積層フィルムを具備することを特徴とする、車載部材。
本発明により、加工性が良好であり、高透明でかつ長期にわたり遮熱特性を維持可能な積層フィルムを提供することができる。
本発明の一実施態様に係る積層フィルム((ABCB)mA(括弧内が繰り返し単位であり、mは繰り返し単位を表す自然数)の層構成を有する積層フィルム)の層構成を表す模式図である。
以下、本発明の積層フィルムについて詳細を説明する。本発明の積層フィルムは、異なる3種類の熱可塑製樹脂層をA層、B層、C層としたときに、前記A層、前記B層、前記C層が一定の規則配列で厚み方向に101層以上積層された構成を有し、積層フィルムに含まれる規則配列の95%以上100%以下が、1つの合計厚みが250nm以上650nm以下となる規則配列であり、積層フィルムに含まれる層の40%以上60%以下が、厚み45nm以上85nm以下の層であり、かつ透過彩度Cが10以下であることを特徴とする。
本発明の積層フィルムにおいて、熱可塑製樹脂層が「異なる」とは、(1)組成が異なる、(2)示差走査熱量測定(DSC)において、ガラス転移温度や融点が異なる、(3)透過型電子顕微鏡観察(TEM)で断面観察したときの染色後の画像のコントラストが異なる、の少なくとも一つに該当する場合を指す。
「組成が異なる」とは、以下に示す「組成が同じである」と見なす条件に該当しないことをいう。「組成が同じである」とは、各熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂の化学構造の繰り返し単位が95mol%以上共通している場合、若しくは各熱可塑性樹脂層の構成成分を比較したときに95%質量%以上の成分が共通する場合をいう。
例えば、前者について、ポリエチレンテレフタレートであれば、エチレングリコール単位とテレフタル酸単位がエステル結合により結合した構成単位(エチレンテレフタレート単位)を主たる構成単位として有するが、ホモポリエチレンテレフタレートからなる層とイソフタル酸を10mol%共重合させたポリエチレンテレフタレートからなる層のように、層を構成する樹脂がポリエチレンテレフタレートという共通の化学構造を有しながら共重合成分量が5mol%以上の場合は両者の組成が異なるものとみなす。また、後者について、ホモポリエチレンテレフタレートのみからなる層とホモポリエチレンテレフタレートを90質量%含み残りの10質量%が他の成分である層のように、同じ構成成分を主成分としつつも5質量%以上の成分が互いに異なる場合も、両者の組成が異なるものとみなす。
各熱可塑性樹脂層の具体的な組成/化学構造の繰り返し単位構造は、後述の測定方法の層構成に記載の方法に従い各熱可塑性樹脂層の層厚みを把握した後、当該熱可塑性樹脂層を切削して取り出す、あるいは、当該層を削り最表層に出すことで、赤外分光法(FT-IR法やナノIR法)、ガスクロマトグラフ/飛行時間型質量分析計(GC-MS)、核磁気共鳴装置(NMR)等を利用して特定することが出来る。なお、主成分とは層中に50質量%を超えて100質量%以下含まれる成分をいい、以下同様に解釈することができる。
一方で、熱可塑性樹脂層毎に抽出できる上で、上記方法による層の組成の同定が困難であれば、示差走査熱量測定(DSC)において、積層フィルムを構成する熱可塑性樹脂層が、異なる融点および/またはガラス転移温度を示すことで「異なる」ことを判断することもできる。本発明において、異なる融点、異なるガラス転移温度を示すとは、融点、ガラス転移温度が0.1℃以上、好ましくは2.0℃以上異なっていることを表す。DSCによる融点やガラス転移温度の測定は、JIS-K-7122(1987)に従って実施することができ、その詳細は後述する。
なお、後述の測定方法における示差走査熱量測定(DSC)の項に記載の25℃以上300℃以下の測定温度範囲において、熱可塑性樹脂層がガラス転移温度および融点を示さない場合がある。一方の熱可塑性樹脂層がガラス転移温度あるいは融点を示し、もう一方の熱可塑性樹脂層がこれらを示さない場合は、これらの温度差の算出はできないが、熱可塑性樹脂層が異なるものと解釈する。また、融点とガラス転移温度の一方が同じであっても、他方の差が0.1℃以上であれば、熱可塑性樹脂が異なるとみなす。
さらに、上記2通りの方法での特定が困難であれば、透過型電子顕微鏡観察において観察される断面画像でコントラスト差による層界面が確認できる場合、若しくは後述の「層界面(コントラスト差)」に記載の方法により測定した隣接する2層の輝度の平均値の差がその標準偏差よりも大きい場合に、隣接する熱可塑性樹脂層の「組成が異なる」と判断してもよい。本コントラストは、電子線の散乱、結晶回折などに起因して生じる。一般に、熱可塑性樹脂層の組成が前述の基準に従って異なる場合、各熱可塑性樹脂の種類や共重合量に応じて結晶性や電子密度状態も異なることとなり、結果、染色状態にも違いが生じる。そのため、熱可塑性樹脂層の組成が異なると、積層フィルムの断面画像において各層をコントラスト差のある層構造として視認することが可能となる。
本発明の積層フィルムの熱可塑性樹脂層を形成するために用いられる代表的な熱可塑性樹脂を以下に示すが、本発明で用いることができる熱可塑性樹脂は下記に記載したものに限定されない。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1-ブテン)、ポリ(4-メチルペンテン)、ポリイソブチレン,ポリイソプレン、ポリブタジエン,ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン,ポリ(α-メチルスチレン)、ポリ(p-メチルスチレン)、ポリノルボルネン、ポリシクロペンテンなどに代表されるポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などに代表されるポリアミド樹脂、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アクリルメタクリレートコポリマー、エチレン/ノルボルネンコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー,プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマーなどに代表されるビニルモノマーのコポリマー樹脂、ポリアクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリアクリルアミド,ポリアクリロニトリルなどに代表されるアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレートなどに代表されるポリエステル樹脂、ポリエチレンオキシド,ポリプロピレンオキシド、ポリアクリレングリコールに代表されるポリエーテル樹脂、エチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロースに代表されるセルロースエステル樹脂、ポリ乳酸,ポリブチルサクシネートなどに代表される生分解性ポリマー、その他、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリシロキサン、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン-6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は1種類単独で利用しても、2種類以上のポリマーブレンドあるいはポリマーアロイとして利用してもよい。ポリマーブレンドやポリマーアロイとすることで、1種類の熱可塑性樹脂からは得られない物理的・化学的性質を得ることができる他、相溶性の大きく異なる熱可塑性樹脂層の間にこのようなポリマーブレンド・ポリマーアロイを配置することで、層間密着性を向上させることができる。これらの中でも、強度・耐熱性・透明性・積層性にかかるレオロジー特性の観点から、熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂は、特にポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂から選択されることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、本来満たすべきフィルムの特性を悪化させない程度に、光吸収剤(紫外線吸収剤、染料、顔料、熱線吸収剤)、酸化防止剤、光安定剤、消光剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、有機系易滑剤、有機又は無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤などを、含有していてもよい。特に、熱可塑性樹脂によってはエネルギーの強い紫外線を吸収して劣化が促進される場合があることから、反応競合させて光劣化を抑制する目的で紫外線吸収剤を含むことが好ましい。さらに、紫外線吸収剤等の光吸収剤は、樹脂押出工程において熱や酸素による劣化や、紫外線や酸素との反応による光劣化の影響を受ける場合がある。そのため、前者の影響を軽減するために酸化防止剤を、後者の影響を軽減するために光安定剤や消光剤を、共に添加剤として、劣化の可能性がある熱可塑性樹脂に添加することも好ましい。
本発明の積層フィルムは異なる3種類の熱可塑性樹脂層をA層、B層、C層としたときに、A層、B層、C層が一定の規則配列で厚み方向に101層以上積層された構成を有することが重要である。「異なる3種類の熱可塑性樹脂層」とは、上記定義を基準に照らし合わせて判断したときに、3種類の熱可塑性樹脂層を有することをいう。3種類の熱可塑性樹脂層をいずれの組み合わせで比較しても上記の「異なる」の定義に該当する場合は当該積層フィルムが異なる3種類の熱可塑性樹脂層を有するといえる。
本発明の積層フィルムにおいて、異なる3種類の熱可塑性樹脂層を有する態様としては、前述の記述に倣い、3種類の異なる分子骨格構造を有する熱可塑製樹脂から各熱可塑性樹脂層が形成されていてもよく、2種類の骨格構造を有する熱可塑性樹脂層を用い、3つの熱可塑性樹脂層でそれらの混合比あるいは共重合量が異なるように設計することもできる。
また、一定の規則配列とは、積層構成において一定の規則で繰り返される繰り返し単位をいい、例えば、A層、B層、C層をそれぞれ順にA、B、Cと表現したときの、(ABCB)mAの構成(mは繰り返し単位の数を表す自然数)におけるABCBがこれにあたる。規則配列を有する構成としては、例えば(ABC)m、(ABCB)m、(ACBC)m、(BACA)m、(ABABC)m、(ACACB)m、(BCBCA)m、(ABCBCB)m、(ACBCBC)m、(BACACA)m、(BCACAC)m、(CABABA)m、(CBABAB)m(括弧内が繰り返し単位であり、mは繰り返し単位の数を表す自然数)なども挙げることができる。
中でも、積層フィルムが熱可塑性樹脂層の界面で剥離しないためには、界面を形成する隣り合う熱可塑性樹脂層の組み合わせの種類が少ないことが好ましい。具体的には、3種類の異なる熱可塑性樹脂から形成される界面は、A-B界面、B-C界面、C-A界面の3種類が挙げられるが、前記繰り返し単位の中で、(ABCB)m、(ABCBCB)m、(CBABAB)mは、A-B界面およびB-C界面の2種類、(ACBC)m、(ACBCBC)m、(BCACAC)mはA-C界面およびB-C界面の2種類、(BACA)m、(BACACA)m、はA-B界面およびA-C界面の2種類しか存在しない。そのため、このような態様では積層フィルムの層間剥離レスを実現するための熱可塑性樹脂層の組み合わせを検討するにあたり、3種類の組み合わせ全ての層間密着性を考慮するのではなく、界面を形成する2層の層間密着性のみを考慮すればよい。すなわち、上記のような態様とすることは、層間密着性の高い積層フィルムをより容易に形成しやすくなる点で好ましい。
さらに、層間密着性を高めるためには、隣接する熱可塑性樹脂層の相溶性パラメータの絶対値の差が小さいことが好ましい。ここで述べるところの相溶性パラメータとは、熱可塑性樹脂固有のエネルギーに関するパラメータであり、これらの数値が近いものほど、樹脂同士が混ざりやすいことを表す指標である。
本発明の積層フィルムにおいて、高い層間密着性を得るために、界面を形成する隣接する熱可塑性樹脂層の相容性パラメータ(SP値)の絶対値の差は1.5以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、隣接する熱可塑性樹脂層同士の熱可塑性樹脂の相溶性が良好となり、積層状態での層間剥離が生じにくくなる。
相溶性パラメータは、Hansen、Hoy、およびFedors等の計算法によって推算することができるが、有機高分子材料として好適に用いることができる熱可塑性樹脂の相溶性パラメータは、分子鎖の繰り返し構造単位に基づき計算が可能なFedorsの計算法を用いる。この方法を用いることにより、共重合成分由来の構造単位を含む熱可塑性樹脂の相溶性パラメータは、各構造単位の比率に従って簡便に比率計算することができる。Fedorsの計算法では、置換基の種類や数に依存する分子の凝集エネルギー密度およびモル分子体積が相溶性パラメータを決定させており、式(1)に従い相溶性パラメータが推算される。ここで、δは相溶性パラメータを、Ecoh(cal/mol)は凝集エネルギーを、Vはモル分子体積(cm/mol)をそれぞれ表す。
Figure 2024047555000002
本発明の積層フィルムにおける相溶性パラメータは、Fedorの式に基づいて計算した推算値の小数第2位を四捨五入した数値とする。なお、代表的な熱可塑性樹脂の相溶性パラメータとしては、酢酸セルロース:11.0、セルロース:15.6、ポリアクリロニトリル:14.8、ポリアミド:13.6、ポリイソブチレン:7.7、ポリエチレン:8.0、ポリエチレンテレフタレート:10.7、ポリ塩化ビニル:10.1、ポリ酢酸ビニル:9.5、ポリカーボネート:9.9、ポリスチレン:9.4、ポリビニルアルコール:12.6、ポリフェニレンサルファイド:12.5、ポリブタジエン:8.3、ポリプロピレン:8.1、ポリメタクリル酸メチル:9.3などが挙げられる。
熱可塑性樹脂層が、複数の熱可塑性樹脂を含む場合、各熱可塑性樹脂単体の相溶性パラメータの値を有機高分子材料の含有比率と掛け合わせて合計した数値を、該熱可塑性樹脂層の相溶性パラメータとする。例えば、ポリエチレンテレフタレート成分(相溶性パラメータ:10.7)とポリメタクリル酸メチル(相溶性パラメータ:9.3)が50:50の比率で含有されている場合は、両相溶性パラメータの中間値にあたる10.0が当該層の相溶性パラメータとなる。
一般的に2つの熱可塑性樹脂層の相溶性パラメータの絶対値の差を小さくする方法としては、2つの熱可塑性樹脂層における主成分である熱可塑性樹脂の骨格構造を共通のものとする方法が挙げられる。例えば、隣接する熱可塑性樹脂層の相溶性パラメータの絶対値の差を抑えるには、これらの熱可塑性樹脂層の主成分を互いに共通の骨格構造を有する熱可塑性樹脂とした上で、共重合成分やアロイ/ブレンドの種類を変える態様とすることで、2つの熱可塑性樹脂層の相溶性パラメータの絶対値の差を小さくすることができる。隣接する2つの熱可塑性樹脂層が互いに共通する化学構造を有することで、隣接する熱可塑性樹脂同士の強い分子間力が働き、高分子の界面拡散が起こり層界面を構成する厚み領域が増えることで、密着性を高める効果を奏する。
本発明の積層フィルムの最表層は、両表層とも同じ熱可塑性樹脂層が配されることが好ましい。両表層が同じ熱可塑性樹脂層で構成されることで、後述する製造方法において、ロール延伸時にロールとフィルムの粘着防止のために、ロールと接触する熱可塑性樹脂層の熱特性に合わせてロール温度を調整する必要がなくなる。そのため、上記態様は、両最表層に配される熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂の熱特性に合わせて、当該熱可塑性樹脂を主成分とする単膜フィルムを製膜する場合と同様の製膜工程で積層フィルムを得ることが可能となるため好ましい。
さらに、最表層に位置する熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂は、両表層とも結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とする層であることが好ましい。最表層に位置する熱可塑性樹脂層が非晶性樹脂を主成分とする場合、後述の製造方法で二軸延伸積層フィルムを得る場合に、ロールやクリップなどの製造設備への粘着による製膜不良や表面状態の悪化が生じたことや、延伸時に応力が立たず延伸が不均一になってフィルム面内で均一な物性・光学特性を有する積層フィルムが得られないことなどの問題が生じる場合がある。結晶性の判断は、当該熱可塑性樹脂層を切削して抽出し、示差走査熱量分析(DSC)装置を用いて、融解エンタルピーの有無を確認することで判断できる。なお、DSCによる測定方法の詳細は後述する。
本発明の積層フィルムは、後述の光学特性を満足することが重要であるが、積層フィルムが干渉による反射の効果を示すためには、熱可塑性樹脂層の面内屈折率差を高めることが重要となる。そのため、高屈折率を示す熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂は、延伸工程により屈折率を高めることが可能な結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とすることが好ましく、結晶性の熱可塑性樹脂からなることがより好ましい。さらに前記の製膜性も考慮すると、特に、積層フィルムの最表層に位置する熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂が、結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とすることが特に好ましい。熱可塑性樹脂層の屈折率が低い場合、当該層を構成する熱可塑性樹脂が非晶性であることが多く、前記の製膜性の観点でも不利となる。なお、面内屈折率とは、フィルム面内で最も配向の強い方向と、当該方向とフィルム面内で直交する方向の屈折率の平均をいう。通常、長手方向と幅方向に延伸して得られる二軸延伸フィルムであれば延伸倍率によって長手方向か幅方向のどちらかがフィルム面内で最も配向の強い方向となる。
以下、便宜のため、結晶性を示す熱可塑性樹脂層が積層フィルムを構成する熱可塑性樹脂層の中に含まれる場合は、少なくともA層は結晶性を示す熱可塑性樹脂層であることを前提として説明する。この場合、異なる3種類の熱可塑性樹脂層を有する好ましい繰り返し単位の積層フィルムの中では、(ABCB)mA、(ABCBCB)mA(括弧内が繰り返し単位であり、mは繰り返し単位を表す自然数)、が好ましい繰り返し単位構成となる。なお、図1は(ABCB)mAの構成を有する積層フィルムの例を表している。
本発明の積層フィルムは、一定の規則配列で厚み方向に101層以上積層された構成を有することで干渉反射を生じやすくなるため、積層フィルムの反射率向上や反射波長帯域拡張が可能となる。
本発明の積層フィルムのフィルム設計と光学性能の関係としては、類似する厚みの繰り返し単位が複数存在することで高反射率化、その繰り返し単位の厚みに傾斜を付与することで広反射帯域化が実現できる。さらに、繰り返し単位の中において、後述する隣接した熱可塑性樹脂層の屈折率の関係や、各熱可塑性樹脂層の屈折率と層厚みの積で表される光学厚みを一定の関係に制御することで、高次反射抑制を実現することも出来る。
先に述べたように異なる3種類の熱可塑性樹脂層を有することで、各層間に面内屈折率差を生じさせることが可能であり、このような態様とすることで各層間の屈折率の差と層厚みとの関係より特定の波長の光を反射させることが出来る光学理論に基づく光干渉反射を発現させることが可能となる。なお、異なる熱可塑性樹脂層間の面内屈折率差を大きくするには、例えば、互いの層を構成する熱可塑性樹脂の基本骨格が異なる態様とすることや、両方の層で同じ基本骨格の熱可塑性樹脂を使用しつつ共重合量の差が大きい態様とすることが効果的である。
具体的には、界面を挟んで隣接する各熱可塑性樹脂を主成分とする層の、層厚みをd、d、面内屈折率をn、n(X,Y=A,B,C)、隣接する層の面内屈折率差をΔn=|n-n|とした場合に、式(2)に従い反射光線波長(λ)が、また、隣接する層の面内屈折率差Δnに基づく式(3)に従い反射率(R)が概ね決定される(なお、式(2)、式(3)において、θ、θは積層フィルムの面直方向から見たときの当該層への入射角、隣接する層へと入射する際の入射角を指し、kは任意の自然数である。)。ここで、隣接する層に同一の屈折率を有する熱可塑性樹脂を利用する場合、特に面直方向に入射した光に対しては、反射率を表す式(3)の分子が0となるため、界面における干渉反射が発生しないことを意味する。
Figure 2024047555000003
Figure 2024047555000004
本発明の積層フィルムの反射率向上の観点から、異なる3種類の熱可塑性樹脂層であるA層、B層、C層が一定の規則配列で厚み方向に101層以上積層された構成であることが重要であり、101層以上901層以下であることが好ましい。より好ましくは301層以上701層以下であり、さらに好ましくは401層以上701層以上である。一般に、積層数は多ければ多いほど干渉反射を発現しやすいが、製造装置の大型化に伴う製造コストの増加、積層工程の煩雑化に伴う積層乱れや積層比率の幅方向傾斜による幅方向における特性均一性の悪化、フィルム厚みが厚くなることでのハンドリング性の悪化などを軽減する観点から、901層以下であることが現実的である。
本発明の積層フィルムは、積層フィルムに含まれる規則配列の95%以上100%以下が、1つの合計厚みが250nm以上650nm以下となる規則配列であり、積層フィルムに含まれる層の40%以上60%以下が、厚み45nm以上85nm以下の層であることが重要である。このような積層フィルムは、熱可塑性樹脂の種類と同数の押出機を用いて異なる流路からそれぞれ送り出し、公知の積層装置であるマルチマニホールドタイプのフィードブロックやスタティックミキサー等を用いて積層体を形成することにより得ることができる。特に、光学用途に用いる本積層フィルムの場合は、層厚みの制御が非常に重要となるため、微細スリットを有するフィードブロックを用いる方法が好ましい。スリットタイプのフィードブロックを用いて積層体を形成する場合、各層の厚みおよびその分布は、スリットの長さや幅を変化させて圧力損失を傾斜させることにより達成可能となる。ここでスリットの長さとは、スリット板内で各熱可塑性樹脂層を一定の繰り返し単位となるように流すための流路を形成する櫛歯部の長さのことである。
積層フィルムに含まれる規則配列の95%以上100%以下が、1つの合計厚みが250nm以上650nm以下となる規則配列であり、積層フィルムに含まれるA層、B層、C層全ての層を対象としたときの40%以上60%以下が、厚み45nm以上85nm以下の層である態様とすることで、積層フィルムは、層間密着性に優れ、かつ広帯域での反射を達成することが可能なものとなる。積層フィルムに含まれる規則配列の95%以上100%以下が1つの合計厚みが250nm以上650nm以下となる規則配列でない場合、一部波長において反射率の抜けが発生し好ましくない。また、積層フィルムに含まれるA層、B層、C層全ての層を対象としたときの40%以上60%以下が厚み45nm以上85nm以下の範囲では無いときについても、前述と同様で一部波長において反射率抜けが発生したり、もしくは、高次反射が発生することで色付のあるフィルムとなるため好ましくない。広帯域での反射は前記式(2)に従い、積層フィルムの層厚みに連続的に傾斜をつけた態様とすることで達成できる。なお、積層フィルムを構成する層の層厚みは透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察により測定することができ、その詳細は後述する。
その上で、積層フィルムにおける積層数を増やすことにより、反射波長帯域を拡大することや反射率を高くすることができるが、本発明の積層フィルムのように干渉反射を利用すると、主反射にあたる1次反射よりも短波長側の波長帯域に式(2)に従った高次反射が発生する場合がある。例えば、2種類の異なる屈折率を有する熱可塑性樹脂をそれぞれ主成分とする層を交互積層した(AB)mタイプ(mは繰り返し単位を表す自然数)の積層フィルムでは、式(2)の係数kを2、3としたときの反射帯域にあたる2次反射、3次反射を、屈折率と層厚みの積に相当する光学厚みを制御することで調節することもできる。
例えば、A層の光学厚みn×dとB層の光学厚みをn×dを狙いの波長帯域の1/4波長となるように設計すると2次反射を抑制することができる(nはA層の面内平均屈折率、dはA層の厚み。B層についても同様。)。これは一般的にλ/4設計と呼ばれる。さらに、A:B:A:B:A:B=1:7:1:1:7:1の特殊な等価膜設計とすることで2次反射に加えて3次反射をも同時に抑制することができる。ただし、(AB)m(mは繰り返し単位を表す自然数)タイプの積層フィルムにおいてはどのような光学厚み設計を行っても、式(2)の係数kを4としたときの4次反射までの高次反射を同時に制御することは理論上不可能である。4次反射までの高次反射を同時に抑制することは、本発明の積層フィルムのように3種類の異なる熱可塑性樹脂層を用いることで初めて達成可能となる。これは、前述した定義で「異なる」といえる熱可塑性樹脂層の間には、一般的に、面内方向あるいは面直方向の屈折率に差を生じるためである。
3種類の異なる熱可塑性樹脂層を有する積層フィルムを例に挙げて、高次反射を抑制するための好ましい積層フィルムの光学設計について説明する。異なる3種類の熱可塑性樹脂層で構成される積層フィルムにおいて高次反射を抑制するためには、例えば、屈折率の大きい順にA層、B層、C層、それぞれの層の面内平均屈折率をn、n,nとすると、最も高い屈折率を示す層と最も低い屈折率を示す層界面以外の各界面における比率、n/n、n/nが、式(4)の関係を満たすことが好ましい。
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干渉反射の光学理論では、干渉反射の有無は隣り合う界面で反射される光線同士の位相の重なりに加え、各界面で反射する光の強度にも影響する。そのため、完全に干渉反射を打ち消し合うためには、干渉し合う波の位相が反転することに加え、各界面で反射する光の強度を一定にすることが必須条件となる。界面で反射される光の大きさは、界面を構成する2種類の層の屈折率の比に影響することから、前記関係を満たすことが、干渉光を打ち消し合い高次反射を抑制するためには好ましい。具体的には、(ABCB)mの規則配列を有する積層フィルムでは、A層、B層、C層の積層比を調整することで高次反射を抑制することができ、具体的にはA層/B層の積層比を0.75以上3.00以下、C層/B層の積層比を0.5以上1.5以下とすることが好ましい。なお、ここでいう積層比とは、後述する層厚み解析の評価方法で分析した各熱可塑性樹脂層の層厚みの合計について比率計算したときの値を表す。なお、上記観点からA層/B層の積層比は1.00以上3.00以下がより好ましい。
本発明の積層フィルムは透過彩度Cが10以下であることが好ましく、より好ましくは8.0以下であり、さらに好ましくは5.0以下である。透過彩度Cを10以下とすることで、色付きがほとんどない無彩色の積層フィルムとなる。透過彩度Cは0に限りなく近いほど無彩色であり好ましいが、樹脂そのものの色付きが僅かにあるため透過彩度Cを0にすることは現実的に達成不可能であり、現実的な透過彩度Cの下限は1.0である。なお、透過彩度Cは、D65光源を備える公知の分光測色計により測定することができ、その詳細な条件等は後述する。
透過彩度Cを10以下とするためには可視光線帯域にあたる波長400~800nmの範囲に2次以上の高次反射が発生しないことが重要である。2次以上の高次反射を発生させない方法としては、上述した光学設計に従いフィルムの層構成を設計する方法、キャスト速度を調整することでフィルム厚みを制御し反射波長を制御する方法、熱処理温度を下げることで各樹脂層の面内屈折率差を下げ高次反射を抑制する方法が挙げられる。
本発明の積層フィルムはヘイズ値が0.1%以上5.0%以下であり、全光線透過率が70%以上であることが好ましい。ヘイズが5.0%以下でかつ、全光線透過率が70%以上である状態は、光の拡散に伴う透明性の低下や色付がないことを示す。すなわち、このような積層フィルムは、自動車や建材の窓貼り用遮熱フィルムとして好ましい態様となる。積層フィルムのヘイズ値が低いことは界面での密着性が良好であると解釈することができ、長期連続使用に十分耐えうる性能を有することを意味する。また、ヘイズ値はより低い方が、積層フィルム自体の光拡散性が低く透明性に優れていることを表す。上記観点から、本発明の積層フィルムのヘイズ値はより好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは2.0%以下である。ただし、本積層フィルムは干渉反射特性が十分に備わっていることを示すことから、そのヘイズ値は0.1%以上を示すことが好ましい。なお、全光線透過率とヘイズ値は、公知のヘイズメーターにより旧JIS-K-7105(1994)に準じて測定することができる。
全光線透過率を満足する方法としては、例えば、上述した可視光線帯域にあたる波長400~800nmの範囲に2次以上の高次反射を発生させない光学設計(前述)とする方法が挙げられる。また、ヘイズ値を好ましい範囲とする方法としては、例えば、反応性添加剤を添加する際に押出機のスクリュー回転数に対する吐出量の比率を下げて分散度を上げる方法や、前述した低い剥離率を示すための樹脂組成や積層構成を採用する方法、後述のプロセス条件を経る方法等が挙げられ、これらは適宜組み合わせることもできる。
本発明の積層フィルムは、垂直入射時の透過彩度をC(0°)、60°入射時の透過彩度をC(60°)としたときに、|C(60°)-C(0°)|が10以下であることが好ましい。より好ましくは|C(60°)-C(0°)|が6.0以下、さらに好ましくは|C(60°)-C(0°)|が3.0以下である。本発明の積層フィルムは、式(3)に示す光学反射理論式に従い、積層フィルムの面に対する法線方向にあたる入射角0°から斜め方向に傾けていく(入射角θが大きくなる)につれて、積層フィルム内で反射、干渉する光線の光学距離が変化し、反射帯域が短波長側にシフトする。このとき、積層フィルムの樹脂層のうち、複屈折性を示す熱可塑性樹脂を用いている樹脂層では、反射帯域のシフトに加えて、入射方向に対する屈折率条件も変化するため反射率の変化も生じる。
このような反射帯域の短波長側へのシフトと反射率の変化を抑えることにより、可視光線領域の赤~橙の光の過剰な反射が抑えられ、視認方向による色調の変化が軽減される。そのため、|C(60°)-C(0°)|が10以下を満たすようにすることで、視認方向による色調変化抑制し、透明性に優れた積層フィルムとすることが可能となる。上記観点から、|C(60°)-C(0°)|は小さいほど好ましいため0であることが理想であり、下限値も0となる。なお、C(0°)、C(60°)は公知の分光測色計により測定することができ、その詳細は後述する。
|C(60°)-C(0°)|を10以下にするための方法としては、例えば、3種類の熱可塑性樹脂層の屈折率が、斜め入射において上記式(4)を満足するように熱可塑性樹脂層の組み合わせを選定することが挙げられる。これは、高次反射発生条件の1つである層厚みが、斜め入射時でも入射角にあわせて一律に変化する一方で、屈折率の条件は3種類の熱可塑性樹脂の複屈折性に依存して大きく変化するためである。より具体的には、特に、3種類の熱可塑性樹脂層がA層/B層/C層=結晶性/半結晶性/非晶性の組合せで構成されていることが好ましい。また、熱処理温度が230℃未満であることも好ましい。230℃未満とすることで層界面での積層乱れが抑制され、斜め入射時における各層厚みが一定となり高次反射の抑制につながるためである。なお、これらの方法は適宜組み合わせることも可能である。
また、規則配列をA層/B層/C層/B層とした上で、各樹脂層の積層比をA層/B層が0.5以上1.1以下、C層/B層が0.9以上1.5以下となるように調整することで、積層フィルムの高い透明性がより維持され、斜め方向入射においてもその透明さが維持される。A層/B層を0.5以上、B層/C層を0.9以上とすることにより、中間緩衝層にあたるB層が反射波長に対して十分な厚みを有さないこととなるため、屈折率差の低いA層/B層界面およびB層/C層界面が光を反射する界面として機能せず、色付きが抑えられる。また、樹脂層界面の乱れを抑制することも|C(60°)-C(0°)|を下げるためには好ましく、そのためには熱処理温度を230℃未満とすることが効果的である。
本発明の積層フィルムは、透明性向上の観点から、垂直入射時の反射彩度Cが10以下であることが好ましく、より好ましくは6.0以下、さらに好ましくは5.0以下である。反射彩度Cが小さければ小さい程、無色となるため下限値の理想は0である。なお、垂直入射時の反射彩度Cは公知の分光測色計により測定することができ、その詳細は後述する。
積層フィルムの垂直入射時の反射彩度Cを10以下とするためには、可視光線帯域にあたる波長400~800nmの範囲における2次以上の高次反射の発生を抑えることが重要である。上記帯域における2次以上の高次反射の発生を抑える方法としては、光学設計に従いフィルムの層構成を設計する方法、キャスト速度を調整することでフィルム厚みを制御し反射波長を制御する方法、熱処理温度を下げることで各樹脂層の面内屈折率差を下げ高次反射を抑制する方法等が挙げられる。
本発明の積層フィルムにおいては、A層、B層、C層の少なくとも1種類が、融点220℃以上の結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とすることが好ましい。少なくともA層、B層、C層の少なくとも1種類が融点220℃以上の結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とすることで、寸法安定性や耐熱性に優れる積層フィルムとなる。なお、融点は、JIS-K-7122(1987)に準じて示差走査熱量測定(DSC)により測定することができ、その詳細は後述する(DSC測定で得られる融点以外のパラメータについても、同様にJIS-K-7122(1987)に準じて測定することができ、その詳細は後述する。)。
本発明の積層フィルムにおいては、A層、B層、C層の少なくとも1種類が、ポリエチレンテレフタレート、もしくはポリエチレンナフタレートを主成分とすることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートは屈折率1.58、ポリエチレンナフタレートは屈折率1.65であり、未延伸の状態でも高屈折率を示す。また、これらの樹脂は延伸することでより高い面内屈折率を示すことができ、かつ、光学用途に適した高透明性、汎用性などを兼備した結晶性の熱可塑性樹脂である。なお、ここでいう屈折率とは、ナトリウムネオンランプの波長590nmにおける屈折率をいい、以下、特に断りがない限り同様とする。これは公知のアッベ屈折率計で測定することができる。
本発明の積層フィルムにおいて、屈折率が最も低い熱可塑性樹脂層は、未延伸の状態で低屈折率を示す熱可塑性樹脂、特に屈折率1.54以下を示す熱可塑性樹脂を主成分とすることが好ましい。例えば、単独の熱可塑性樹脂で低屈折率を示す樹脂としては、フッ化エチレン-プロピレンコポリマー(1.34)、ポリフッ化ビニリデン(1.42)、ポリブチルアクリレート(1.46)、ポリ乳酸(1.46)、ポリメチルペンテン(1.46)、ポリイソブチルメタクリレート(1.48)、ポリメチルアクリレート(1.48)、ポリエチルメタクリレート(1.48)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、セルロースアセテート(1.49)、ポリプロピレン(1.50)、ポリブチレン(1.50)、ポリアクリロニトリル(1.51)、ナイロン(1.53)、ポリエチレン(1.54)、などが挙げられる。無論、これらのブレンド品、アロイ品などを用いてもよく、前記の熱可塑性樹脂をベースとして、屈折率向上、層間密着性向上に寄与するような共重合成分を加えてもよい。また、最終的な熱可塑性樹脂の屈折率が1.54以下を満足するのであれば、1.54を超える熱可塑性樹脂をベースとし、共重合成分として異なる成分を含む熱可塑性樹脂とすることもできる。
上記観点から、屈折率が最も低い熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂の屈折率は、好ましくは1.51以下、さらに好ましくは1.49以下である。中でも、延伸工程後に屈折率が大きく変化せず、透明性・層間密着性・製膜性などを考慮すると、3種類以上の熱可塑性樹脂層のうち屈折率の最も低い熱可塑性樹脂層の主成分として、シクロヘキサンジカルボン酸を含んでなる共重合ポリエステル、アクリル樹脂の少なくとも一方を含むことが好ましい。アクリル樹脂としては、例えばポリブチルアクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレートなどを好適に用いることができる。
本発明の積層フィルムにおいては、A層、B層、C層が、結晶性/半結晶性/非晶性の熱可塑性樹脂層、又は結晶性/非晶性/非晶性の熱可塑性樹脂層の組み合わせであることが好ましい。ここでいう結晶性、半結晶性、非晶性の判断は、熱可塑性樹脂層が示差走査熱量計(DSC)測定において融解エンタルピーを有するか否かにより行う。結晶性および半結晶性の熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度、吸熱ピークである結晶化エンタルピー、発熱ピークである融解エンタルピーの3点を示すことが特徴であるが、結晶性の熱可塑性樹脂の種類によっては、ガラス転移温度が後述する測定範囲に入らない場合もあるため、ここでは融解エンタルピーの大きさから結晶性の程度を判断する。本発明の積層フィルムにおいて、結晶性の熱可塑性樹脂層は融解エンタルピーが10J/g以上を示す熱可塑性樹脂層とし、一方、半結晶性の熱可塑性樹脂層は融解エンタルピーが0.1J/g以上10J/g未満を示す熱可塑性樹脂層と定義する。そして、0.1J/g以上の融解エンタルピーを有しない熱可塑性樹脂層が、非晶性の熱可塑性樹脂層となる。
異なる3種類の熱可塑性樹脂層(順にA層、B層、C層)を結晶性/半結晶性/非晶性あるいは結晶性/非晶性/非晶性の組み合わせとすることにより、例えば反射特性を高めるために面内屈折率差の大きい、骨格構造が全く異なる熱可塑性樹脂層を積層した場合においても、間に配される半結晶性あるいは非晶性の熱可塑性樹脂層が、分子鎖の絡み合いや界面での官能基同士の反応を導き、層間剥離が起こりにくい積層フィルムとすることができる。なお、この効果は規則配列がA層とC層の間にB層が位置するもの(例えば、A層/B層/C層/B層の配列)である場合に顕著となる。
例えば、上記態様におけるB層のように、異なる2つの層の間に配される半結晶性あるいは非晶性の熱可塑性樹脂層は、狙いの半結晶性あるいは非晶性を示す熱可塑性樹脂を押出機より溶融押出して積層することにより形成してもよく、より結晶性の高い熱可塑性樹脂を押出し、横延伸工程において熱処理により結晶相を融解することで、目的とする半結晶性あるいは非晶性を示す熱可塑性樹脂層を形成することもできる。
後者の場合、結晶性の熱可塑性樹脂層としては、半結晶性あるいは非晶性を示す熱可塑性樹脂層よりも融点が高い熱可塑性樹脂を用いる必要がある。このような結晶性の熱可塑性樹脂層に用いる熱可塑性樹脂としては、押出性、延伸性、汎用性に加え、積層フィルムの高反射率化にあたり重要な結晶化したときの熱可塑性樹脂層の屈折率の大きさ、積層精度に係る溶融粘度挙動の観点から、前記した好ましいポリエステル樹脂のうち、ポリオール成分としてメチレン鎖の少ないポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体から選択されることが特に好ましい。
本発明の積層フィルムは、A層、B層、C層の順に屈折率が大きいことが好ましい。「A層、B層、C層の順に屈折率が大きい」とは、A層の屈折率が最も大きく、C層の屈折率が最も小さく、B層の屈折率がその中間であることをいう。屈折率は後述の測定方法の項に記載の方法に従い、電子エネルギー損失分光測定(EELS測定)から得られた各熱可塑性樹脂層の誘電率から判断する。より具体的には、以下の手順により判断することができる。まず、王子計測機器株式会社製の位相差測定装置KOBRA-WPR(他に同様の測定が可能なものとして、例えばKOBRA-21ADHがあり、こちらを用いてもよい。また、同様の測定が可能な装置があれば適宜それらの装置を用いてもよい。)により積層フィルムの主配向軸方向を特定し、ウルトラミクロトームを用いた超薄切片法により主配向軸方向と厚み方向に平行な断面サンプルを取得する。次いで、当該断面サンプルにおける各熱可塑性樹脂層に電子線を照射して、その誘電率を解析することにより損失エネルギー2.5eVにおける誘電率を読み取る。
マクスウェルの電磁理論によれば、非磁性体かつ光をほとんど吸収しない物質においては、誘電率は一般に屈折率の2乗に等しくなる。そのため、熱可塑性樹脂の誘電率の大小関係はその屈折率の大小関係に一致するといえる。通常、結晶性の熱可塑性樹脂層は高い誘電率を示すことから、製膜時の安定性を考慮するとA層>B層>C層の順に屈折率が高いことが好ましい。すなわち、当該要件を満たすための達成手段としては、例えばA層>B層>C層の順に結晶性の高い熱可塑性樹脂を使用することが挙げられる。
本発明の積層フィルムは、積層フィルム全体から両側の最表層に位置する規則配列を除いた部分を中間規則配列群としたときに、中間規則配列群を構成する規則配列の厚みが、一方の最表層側から反対側の最表層側に向かって単調に増加、または減少することが好ましい。ここで言う、「規則配列の厚み」とは、規則配列一つの厚みをいい、例えば規則配列がA層/B層/C層/B層である場合は、この順に連続するA層/B層/C層/B層の合計厚みをいう。故に、規則配列を構成する樹脂層各々の厚みが必ずしも単調増加もしくは減少している必要はない。
ここで「単調に増加、または減少」とは、一方の最表層側から反対側の最表層側に至るまで継続して増加(減少)するものだけでなく、途中で増加から減少に転ずるもの、減少から増加に転ずるものも含むものとする。なお、積層フィルムの規則配列の厚みは必ずしも単調増加もしくは減少するものではなく、厚みムラの発生等により一部の規則配列の厚みが単調増加途中に減少に転ずる、もしくは単調減少途中に増加に転ずることがある。このように、上記の「単調増加、または減少」の定義を満たさないものであっても、当該定義を満たす意図を持って層厚みを設計したものであれば、本発明においては上記の「単調増加、または減少」に該当するものとして扱う。
積層フィルム中に同じ層厚みを有する層が多く存在するほど、特定の波長における反射率が高まるため、高反射率化に向けては層厚みの増加・減少の傾斜分布が複数存在する層厚み分布であることが好ましい。一方で、同じ積層数で同じ波長帯域を反射のターゲットとする場合、傾斜分布が複数存在する分布の方が、単調増加/減少を示す分布と比べて、少ない積層数で狙いの反射波長帯域に相当する層厚み分布を設計する必要があるため、層厚み分布の傾斜が大きくなる。
そのため、傾斜分布が複数存在する分布においては、反射帯域の端部がブロード化することや、複数の傾斜分布間で干渉反射距離が生じることで反射率のベースラインのうねりが大きくなることにより、視認方向に応じた積層フィルムの色むらが強くなる問題が生じる場合がある。このような問題を軽減するために本発明の積層フィルムにおいては、中間規則配列群を構成する規則配列の厚みが、一方の最表層側から反対側の最表層側に向かって単調に増加、または減少することが好ましい。
本発明の積層フィルムにおいて、中間規則配列群を構成する規則配列の厚みが、一方の最表層側から反対側の最表層側に向かって単調に増加、または減少する態様とする方法としては、例えば、樹脂の積層に用いるフィードブロックのスリット長さと幅を調整する方法が挙げられる。
本発明の積層フィルムは、積層フィルム全体から両側の最表層に位置する規則配列を除いた部分を中間規則配列群とし、中間規則配列群を構成する規則配列の厚みの最大値と最小値をそれぞれ順にX、Yとしたときに、X-Yが積層フィルムの全体厚みの0.5%以下であることが好ましい。このような場合、中間規則配列群において規則配列の厚みが極端に大きく変化する箇所が存在しないこととなるため、ターゲットとする波長帯域における反射率抜けがない積層フィルムを採取することが容易となる。
本発明の積層フィルムにおいて、X-Yが積層フィルムの全体厚みの0.5%以下である態様とする方法としては、例えば、樹脂の積層に用いるフィードブロックのスリット長さと幅を調整する方法、吐出量を調整する方法が挙げられる。
本発明の積層フィルムは、tanδのピークを3点以上有することが好ましい。ここでいうtanδとは、動的粘弾性測定から算出される貯蔵弾性率(E’)と損失弾性率(E”)の比(E’/E”)で算出される。tanδピークの温度が低いほど成形性が良好であり、窓部材や車載部材として使用する際にハンドリング性が良好となる。tanδは樹脂のガラス転移温度に依存するため、ガラス転移温度の異なる樹脂を積層することでtanδピークが複数点生じる。ただし、ガラス転移温度が異なる樹脂を積層すると、製膜延伸時の温度が高すぎると積層フィルムとロールが粘着することや、延伸ムラの発生により積層フィルムの厚みムラが発生するなどの問題が生じることがある。また、延伸時の温度が低すぎる場合は、延伸すること自体が出来ず、フィルム破れが発生するなどの問題も発生する。このような製膜延伸時の問題を回避するため、tanδピーク温度が分かることが好ましい。製膜延伸時は特にガラス転移温度のピーク位置と延伸時の温度条件が非常に重要となる。なお、tanδは動的粘弾性測定により測定することができ、その詳細は後述する。
本発明の積層フィルムは、主配向方向に直交する方向における厚みムラが3.0%以下であることが好ましい。より好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。ここでいう主配向方向とは、王子計測機器(株)製 位相差測定装置(KOBRA-21ADH)を用いて、入射角0°で測定した際の配向角の方向のことであり、主配向方向に直交する方向とは、フィルム面内において主配向方向に直交する方向のことである。なお、主配向方向の特定方法の詳細は後述する。
異なる性質を有する熱可塑性樹脂を繰り返し積層した積層フィルムは、特に延伸倍率が低い場合、相対的に弾性率が低く延伸しやすい部位のみが延伸され続ける。そのため、このような積層フィルムを製造する際には、延伸方向に均一に延伸を行うことが困難であり、延伸方向に厚みムラが生じることがある。また、非晶樹脂を有する積層フィルムでは熱処理温度が高いと非晶樹脂の溶融による延伸ムラが生じ、これを起因とした厚みムラが生じることがある。このような厚みムラが生じると、積層フィルムの反射帯域が変化する、加工が困難になる等の問題が発生することがある。
主配向方向に直交する方向における厚みムラを3.0%以下とする方法、言い換えれば延伸倍率が低くとも厚みムラを小さくする方法としては、積層フィルムの弾性率が高くなるようにすることであり、低温延伸や高速延伸、結晶性樹脂や分岐ポリマーの添加が好ましい。分岐ポリマーの添加は、分子鎖の絡み合いにより弾性率が高くなる。また、厚みムラの低減には、フィルムの平面性を損なわないように熱処理温度を低くすることも効果的である。
本発明の積層フィルムは150℃雰囲気下で30分間処理した際の主配向方向の熱収縮率Tmdと、主配向方向に直交する方向の熱収縮率Ttdとの比の絶対値|Ttd/Tmd|が、0.8以上2.5以下であることが好ましい。|Ttd/Tmd|は、より好ましくは0.8以上2.0以下、さらに好ましくは0.8以上1.5以下である。このように熱収縮の異方性を小さくすることで、本発明の多層積層フィルムを窓ガラスに積層する過程において加熱を行った際に皺の発生を抑えることができる。本発明の積層フィルムは、主配向方向と主配向方向に直交する方向で製膜時の延伸倍率が異なることがあり、その場合は二軸延伸直後の積層フィルムのTmdとTtdは異なる。そこで、延伸倍率の高い方向に対して弛緩熱処理を行うことで、このような延伸条件を用いる場合でも|Ttd/Tmd|を所望の範囲内に収めることができる。すなわち、|Ttd/Tmd|の値を0.8以上2.5以下又は上記の好ましい範囲とする手段としては、例えば、延伸倍率が低い方向の延伸倍率を、延伸倍率が高い方の延伸倍率の0.80倍~1.00倍とする方法や、延伸倍率の大きい方向に熱処理と併せて弛緩処理を施す方法が挙げられる。
本発明の積層フィルムは、熱線吸収剤を含む層を1層以上有することが好ましい。熱線吸収剤を含む層を設けることで、積層フィルムの遮熱性能のばらつきを軽減できる。熱線吸収剤としては、タングステン化合物、ランタン化合物、アンチモン化合物、インジウム化合物、スズ化合物などが例示されるが、中でもタングステン化合物が好ましく用いられ、酸化タングステン化合物がより好ましく用いられる。
ランタン化合物、アンチモン化合物、インジウム化合物、スズ化合物においては、波長1500nmよりも長波長帯域においては高い吸収性能を備えるものの、波長700~1500nmの範囲においては、その吸収性能は十分でない場合がある。一方で、酸化タングステン化合物は、波長1500nmよりも長波長帯域だけでなく、波長700~1500nmの波長帯域においても高い熱線吸収性能を有する。ここでいう酸化タングステン化合物とは、単純なタングステン酸化物に加えて、タングステン以外の金属を含有する酸化タングステンも含まれる。ここでいうタングステン以外の金属としては特に限定されるものではなく、例えば、セシウム酸化タングステン、タリウム酸化タングステン、インジウム酸化タングステン、マグネシウム酸化タングステンなどが好適に用いられる。特に本発明においては、赤外線のカット率が高く(熱線吸収効率が高く)、可視光線の吸収が少ないことやその光学特性の安定性という観点からセシウム酸化タングステンであることが好ましい。
続いて、本発明の窓部材と車載部材について説明する。本発明の窓部材、車載部材は、本発明の積層フィルムを具備する。窓部材や車載部材が本発明の積層フィルムを具備することで、飛散防止機能や遮熱性能を付与することができ、さらに高透明でかつ長期にわたり上記機能、性能を維持することが可能となる。なお、ここで窓部材とは窓に使用する部材を、車載部材とは自動車や鉄道等の車両に使用する部材をいう。具体的には、本発明の積層フィルムを貼付したガラスや、本発明の積層フィルムを間に挟んだ合わせガラス等が、本発明の窓部材、車載部材として例示できる。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。もちろん、本発明は係る例に限定して解釈されるものではない。
積層フィルムの各層を構成する熱可塑性樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥した後、別々の押出機に供給する。添加剤を熱可塑性樹脂中に含有する場合は、本押出の過程で粉末・顆粒・液状の添加剤を混練分散してもよく、予め熱可塑性樹脂中に添加剤を分散させたマスターペレットを供給することもできる。
押出機にて融点以上の温度で加熱溶融した各熱可塑性樹脂を、ギヤポンプ等でその押出量を均一化し、さらにフィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除いた上で、多層積層装置に送り込む。多層積層装置でこれらの熱可塑性樹脂を所望の層構成に積層し、得られた溶融積層体をダイでシート状に成形して吐出する。
多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に多層積層構造を効率よく得るためには、微細スリットを有するフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物発生量が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となる。
溶融積層体をダイまで導くための単管の流路断面形状は、流路の厚みに対する流路の幅方向長さの比が5以上の、高いアスペクト比を有することが好ましい。単管内を積層体が流れる際、単管壁面近傍と単管中心部分では、単管壁面で受けるせん断の影響により、一般に流速差が生まれる。特に、単管の幅方向端部では、単管幅方向壁面による流速差の影響も加わるため、複雑な渦状の樹脂流が発生して積層乱れが生じる。流路断面のアスペクト比が大きい単管を用いると、単管の幅方向位置での樹脂流の乱れの影響が幅方向中央付近に及びにくくなるため、フィルム幅方向での積層乱れを軽減することができる。
さらに、本発明のように、熱可塑性樹脂層の種類が3種類以上の積層体の場合、層を構成する熱可塑性樹脂ごとに粘弾性挙動が異なる場合が多く、上記メカニズムで生じる積層乱れがより顕著となる場合がある。このことから、フィルム幅方向に積層乱れの少ない積層フィルムを得るためには、単管の流路断面形状はなるべく高いアスペクト比を示すことが好ましく、より好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上である。単管流路断面のアスペクト比が極端に高い場合、流路の幅方向長さが非常に長くなることでフィルム幅方向への装置の大型化を招く、あるいは、流路の厚みが非常に薄くなることで単管の幅方向位置に限らず単管壁面における流速差の影響を強く受け、フィルム全体で厚み方向への積層厚み乱れが大きくなる等の問題が生じる場合がある。そのため、当該アスペクト比の上限は100とすることが現実的である。
その後、ダイから吐出された溶融シート状物をキャスティングドラム等の冷却体上で冷却個化し、キャストシートを得る。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力により溶融シート状物をキャスティングドラム等の冷却体に密着させ、急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出して、キャスティングドラム等の冷却体に溶融シート状物を密着させて急冷固化させたり、ニップロールにて溶融シート状物を冷却体に密着させて急冷固化させたりする方法も好ましい。また、補助的にキャスティングドラム等の冷却体面に液状の界面活性水や流動パラフィンなどの濡れ性のよい液体を塗布し、密着性を付与することもできる。なお、これらの方法は適宜組み合わせることもできる。
続いて得られたキャストシートを、長手方向および幅方向に二軸延伸することが好ましい。延伸は逐次に二軸延伸してもよいし、同時に二軸延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。ここで長手方向とは、フィルムの走行方向をいい、幅方向とは長手方向とフィルム面内で直交する方向をいう。
まず、逐次二軸延伸の場合について説明する。ここで、長手方向への延伸とは、シートに長手方向の分子配向を与えるための一軸延伸を指す。長手方向への延伸は、通常、ロールの周速差により施され、1段階で行っても、複数本のロール対を使用して多段階に行ってもよい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2~15倍が好ましく、例えば、本発明の積層フィルムに好ましく用いられる結晶性の熱可塑性樹脂であるポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを用いた場合には、2~7倍が特に好ましい。15倍を超える延伸倍率での延伸により、長手方向の延伸工程でフィルムを強く配向させた場合には、幅方向のネックダウンが生じる。そのため、十分なフィルム幅を得られない他、幅方向延伸後の長手方向および/または幅方向の厚みむらや透過スペクトルむらが大きくなる場合がある。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のうち最もガラス転移温度が高い樹脂のガラス転移温度から、当該ガラス転移温度+100℃の範囲内に設定することが好ましい。
このようにして得られた一軸延伸された積層シートに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能を付与した易接着層をインラインコーティングにより付与する。インラインコーティングの工程において、易接着層は積層フィルムの片面に塗布してもよく、積層フィルムの両面に同時あるいは片面ずつ順に塗布してもよい。
続いて一軸延伸された積層シートに幅方向の延伸を施す。幅方向の延伸シートとは、シート幅方向の配向を与えるための延伸をいい、通常は、テンターを用いてシートの幅方向両端部をクリップで把持しながら搬送し、対向するクリップの間隔を広げることにより行う。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2~15倍が好ましく、例えば、本発明の積層フィルムに好ましく用いられる結晶性の熱可塑性樹脂であるポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレートを用いた場合には、2~7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のうち最もガラス転移温度が高い樹脂のガラス転移温度~当該ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸された積層フィルムに、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を施す。その後、積層フィルムを均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取る。また、必要に応じて、熱寸法安定性を付与するために熱処理から徐冷する際に、長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理などを施してもよい。
続いて、同時二軸延伸の場合について説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストシートに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。インラインコーティングの工程において、易接着層は積層フィルムの片面に塗布してもよく、積層ユニットの両面に同時あるいは片面ずつ順に塗布してもよい。
次に、キャストシートを同時二軸テンターへ導きシートの幅方向両端部をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。
延伸の倍率は樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6~50倍が好ましく、本発明の積層フィルムに好ましく用いられる結晶性の熱可塑性樹脂であるポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレートを用いた場合には、面積倍率として8~30倍が特に好ましく用いられる。延伸速度は同じ速度でもよく、異なる速度で長手方向と幅方向に延伸してもよい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のうち最もガラス転移温度が高い樹脂のガラス転移温度~当該ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして同時二軸延伸されたシートに平面性や寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上積層フィルムを構成する熱可塑性樹脂層のうち最も融点が高い樹脂層の融点以下の温度で熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/または直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。
こうして二軸延伸された積層フィルムを均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取る。また、必要に応じて、熱処理から徐冷する際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行ってもよい。また、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理をしてもよい。
以上のようにして得られた積層フィルムは、巻き取り装置を介して必要な幅にトリミングされ、巻き取り皺が付かないようにロールの状態で巻き取られる。なお、巻き取り時に巻姿改善のためにシート両端部にエンボス処理を施してもよい。
本発明の積層フィルムの厚みは特に限定されるものではないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。各種機能性フィルムの薄膜化傾向や、ハイエンド特性である屈曲性を加味すると、85μm以下であることが好ましい。積層フィルムの厚みの下限は、ロール巻取り性を安定なものとし、破れなく製膜する観点から、現実的には10μm以上のであることが好ましい。
こうして得られた本発明の積層フィルムは、規則配列を有することで緩衝層の役割を果たす第3の熱可塑性樹脂層の効果により、従来の2種類の積層構成では困難であった面内屈折率差が大きくなるような分子骨格構造が全く異なる熱可塑性樹脂層の積層を可能とする。本発明の積層フィルムは、加工性が良好であり、さらに高透明かつ長期にわたり遮熱特性を維持可能であるため、窓部材や車両部材に好適に使用することができる。
以下、実施例に沿って本発明について説明するが、本発明はこれらの実施例に記載の態様に限定されるものではない。なお、各特性は、以下の手法により測定した。
(特性の測定方法および効果の評価方法)
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)層構成、層厚み、積層比等
積層フィルムの層厚み分布は、ウルトラミクロトームにより厚み方向と平行に切断して薄片化したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。より具体的には、透過型電子顕微鏡TEM1400 Plus((株)日本電子製)を用い、加速電圧100kVの条件で積層フィルムの断面を観察して断面像を取得し、断面像と顕微鏡の測長機能により層構成(積層数、繰り返し単位、層厚み分布)および各層厚みを測定した。なお、各層間のコントラスト差を大きく得るために、電子染色剤(RuOなど)を使用した染色技術を用いた。また、各層の厚みにあわせて、薄膜層厚みが100nm未満の場合は直接倍率4万倍、薄膜層厚みが100nm以上500nm未満である場合は直接倍率2万倍、500nm以上である場合は厚みに応じて1千倍から1万倍にて観察を実施し、層厚み分布を解析した。得られた画像のコントラスト差を基に、積層数、繰り返し単位、各層の層厚み、積層比を判断した。なお、積層比については、再表層を除く部分の繰り返し単位に着目し、熱可塑性樹脂B層を基準として他の熱可塑性樹脂層の積層比を算出した。
(2)層界面(コントラスト差)
(1)の透過型電子顕微鏡観察において得られた断面画像を圧縮画像ファイル(JPEG)に変換し、積層フィルムの厚み方向に沿って、ImagePro-10(販売元 伯東株式会社)を用いて、ラインプロファイルにより位置-輝度データを取得した。その後、表計算ソフト(マイクロソフト社“Excel”(登録商標) 2016)を用いて、位置と輝度の関係をプロットして得られたプロファイルに対し、5点移動平均処理を施して平均処理した位置-輝度プロファイルを取得した。なお、平均処理は、連続する5点の測定位置に対して輝度の平均処理を施し、位置を1点ずつ変更して同じ計算を連続処理することで行った。得られた平均処理済の位置-輝度プロファイルにおいて、傾きが正から負、あるいは負から正へ変化する変曲点で囲まれる位置を1つの層と判断した。当該手法で得られた各層に対し、続いて積層フィルムの平面方向(厚み方向に対して垂直な方向)に対して位置-輝度データを取得した。その後、層ごとに得られた輝度の平均値と標準偏差を算出し、隣接する2層の輝度の平均値の差が、隣接する熱可塑性樹脂層の輝度の標準偏差のいずれよりも大きい場合、これら隣接する2層は異なると判断した。また、当該変曲点間の位置の差(距離)を、各層の層厚みとして算出した。
(3)透過彩度C(0°)、C(60°)
積層フィルムの幅方向中央部から4cm四方でサンプルを切り出し、コニカミノルタセンシング製の分光測色計CM3600dを用いて、付属の白色校正板とゼロ校正ボックスを用いて校正を行った後、測定を行った。光源はD65光源、入射角度は0°として、光の入射面をコーティング面としたときの透過彩度Cを読み取った。同様の測定を、4cm四方の積層サンプル面内でランダムに選定した3点で行い、平均値を測定対象とした積層フィルムの透過彩度C(0°)とした。C(60°)も入射角度を60°とした以外は同様に測定した。なお、光の入射面によって測定結果に差は生じないため、測定面を変えての測定は行わなかった((12)の反射彩度Cも同じ。)。
(4)ヘイズ、全光線透過率
スガ試験機(株)製 ヘイズメーター(HGM-2DP)を用いた。サンプルをフィルム幅方向中央部から10cm×10cmで切り出し、旧JIS-K-7105(1994)に準じて測定を行うことで全光線透過率ならびにヘイズ値を測定した。フィルム幅方向に対して等間隔で3点測定し、その平均値を測定結果とした。
(5)示差走査熱量測定(DSC)
測定には(株)日立ハイテクノロジーズ社製の示差走査熱量計EXSTAR DSC6220を使用し、測定ならびに温度の読み取りはJIS-K-7122(1987)に従って実施した。まず、試料約5mgをアルミニウム製受皿上に置き、25℃から300℃まで10℃/分の速度で昇温させた際の、室温から昇温した際のベースラインと段差転移部分の変曲点での接線との交点におけるガラス転移温度より高い温度において、融点とは異なる微小な吸熱ピークを示す微結晶融解温度(℃)を読み取った。さらに、昇温後に液体窒素で試料を急冷し、さらに同じ条件で昇温した際に最も高温側で確認される吸熱ピーク(融点)の面積にあたる融解エンタルピー(J/g)を読み取った。
(6)tanδ
幅5mm×長さ50mm(測定方向(主配向方向))に切り出された矩形状のサンプル片を取得した。その後、DMS6100(セイコーインスツル(株))にサンプル片をセットし、正弦波制御の引っ張りモードにて測定周波数1Hz、チャック間距離10mm、測定温度25℃から昇温速度5℃/minにて昇温しながら動的粘弾性測定を行った。このとき得られる動的粘弾性の温度依存性プロファイルから、各温度における貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E”)、および両者の比であるtanδ(=E”/E’)を算出した。なお、動的粘弾性測定において、サンプル片の厚みは、厚み計(株式会社ニコン製 デジマイクロスタンドMS-5C、デジマイクロヘッドMH-15M、デジマイクロカウンタTC-101A)を用いて任意の箇所3点を測定し、得られた値の平均値を用いた。この値を測定装置に入力することにより、サンプル片の断面積が計算され、数値が算出される。
(7)厚みムラ
王子計測機器(株)製 位相差測定装置(KOBRA-WR)を用いた。サンプルをフィルム幅方向中央部から4cm×5cmで切り出し、フィルムの進相軸が本測定装置にて定義されている角度0°となるように装置に設置し、入射角0°における配向角を測定し主配向方向を求めた。次に、サンプルをフィルム幅方向中央部から、1.2m(主配向方向に対する垂直方向)×5cm(フィルム配向方向)に切り出した。アンリツ社製 フィルムシックネステスターKG601Aを用い、サンプル長手方向に速度3m/sで1m走行させフィルム厚みを測定した。その後、アンリツ社製 広範囲電子マイクロメータK306Cにてフィルム厚みを読み取り、次式にて厚みムラを算出した。
厚みムラ(%)=(最大厚さ-最小厚さ)/平均厚さ×100 。
(8)Ttd/Tmd
サンプルをフィルム幅方向中央部から、150mm(フィルム幅方向)×10mm(フィルム長手方向)と150mm(フィルム長手方向)×10mm(フィルム幅方向)に切り出した。このサンプル片を、23℃、相対湿度60%の雰囲気に30分間放置し、その雰囲気下で、サンプル長手方向に約100mmの間隔で2つの印をつけ、Nikon社製万能投影機(Model V-16A)を用いて、その印の間隔を測定し、その値をAとした。次に、サンプルを、張力フリーの状態で150℃の雰囲気中で30分間放置し、次いで、23℃、相対湿度60%の雰囲気中で1時間冷却、調湿後、先につけた印の間隔を測定し、これをBとした。このとき、下記式より、フィルム幅方向の熱収縮率(Ttd)とフィルム長手方向の熱収縮率(Tmd)を求めた後、フィルム幅方向の熱収縮率(Ttd)とフィルム長手方向の熱収縮率(Tmd)の比Ttd/Tmdを求めた。フィルム幅方向、長手方向それぞれについて、試験数は3とし、その平均値を採用した。
熱収縮率(%)=100×(A-B)/A。
(9)反射率・反射分光スペクトル測定
サンプルを積層フィルム幅方向中央部から4cm四方で切り出し、日立ハイテクサイエンス製の分光光度計U-4100を使用し、コーティング側を光源側に向けて積分球背面の開口部に固定し、反射分光スペクトルを測定した。測定にあたっては、装置付属の積分球に酸化アルミニウム標準白色板(本体付属)を取り付けた状態でバックグラウンド補正を行い、波長295nm以上2505nm以下の波長領域における反射分光スペクトルを、スキャン速度を600nm/min、サンプリングピッチを1nmに設定し、連続的に測定した。得られた反射分光スペクトルをもとに、反射率が100nm以上にわたって連続して20%以上を示す最も広い反射帯域をΠとし、本反射帯域における平均反射率をRとして読み取った。
(10)80℃6時間後の反射率・反射分光スペクトル測定
上述の(9)で測定したサンプルを熱収縮しないよう金枠に固定し、80℃の熱風オーブンにて6時間熱処理を実施。その後サンプルを取り出し(9)と同様の方法にて反射分光スペクトルの測定を実施し、平均反射率を読み取った。なお、本平均反射率と熱処理前の平均反射率Rの数値の差が小さいほど、より長期にわたり遮熱特性の維持が可能である。
(11)電子エネルギー損失分光測定(EELS測定)
測定前に、測定対象の積層フィルムの主配向軸方向を、王子計測機器株式会社製の位相差測定装置(KOBRA-WPR)を用いて決定した。より具体的には、本位相差測定装置を用いた面内位相差測定を行い、得られた配向角の数値と一致する方向を主配向軸方向と判断した。当該主配向軸方向と平行に、ウルトラミクロトームを用いた超薄切片法により測定対象の断面(厚み方向断面)切削サンプルを作製した。作製した断面切削サンプルに対して、日本電子製の原子分解能分析電子顕微鏡ARM200Fを用いて、誘電率を測定した。具体的には、加速電圧80kV、ビームスポットサイズを0.2mmφにてHAADF-STEM(High Angle Annular Dark-Field Scanning Transmission Electron Microscopy)画像を取得したのち、測定対象の層に対して、50msecにて多点分析(60×60ピクセル、20nm/ピクセル)を実施し、エネルギーロスと電子線強度のデータを取得した。同じ作業を積層フィルム内の同じ熱可塑性樹脂ごとに3点ずつ行い、S/N比を向上させたデータを取得した。得られたスペクトルから、弾性散乱に起因するバックグラウンド補正、多重散乱効果の除去を行ったのち、式(5)に示すKramers-Kronig変換により各層の誘電関数を算出した。Kramers-Kronig変換時の積分範囲は、0~200eVとした。式(5)の誘電関数をもとに、誘電率の実部と虚部をそれぞれ式(6)、(7)から算出したのち、これらの二乗和の平方根の式(8)から誘電率を算出した。上記の方法で、各熱可塑性樹脂層の損失エネルギー2.5eVにおける誘電率を算出したのち、最も大きい誘電率と最も小さい誘電率の比から誘電率比を求めた。なお、式(5)~(8)において、Reは実部、Imは虚部、εは誘電率(平均値)、ε(ω)は誘電関数、εは誘電率実部、εは誘電率虚部、ω、ω’は角振動数をそれぞれ示す。
Figure 2024047555000006
Figure 2024047555000007
Figure 2024047555000008
Figure 2024047555000009
(12)反射彩度C
積層フィルムの幅方向中央部から4cm四方でサンプルを切り出し、コニカミノルタセンシング製の分光測色計CM3600dを用いて、測定径をφ8mmとし、付属の白色校正板とゼロ校正ボックスを用いて校正を行った後、測定を行った。光源はD65光源とし、光の入射面をコーティング面としたときの垂直入射時の反射彩度Cを読み取った。なお、測定データは正反射光を含むSCI方式のデータを読み取った。同様の測定を、4cm四方の積層サンプル面内でランダムに選定した3点で行い、平均値を測定対象とした積層フィルムの垂直入射時の反射彩度Cとした。
<熱可塑性樹脂>
本発明の実施例で用いる熱可塑性樹脂及び添加剤について下記する。ここで述べるポリエステル樹脂の共重合量は、酸成分100mol%、ジオール成分100mol%に対する共重合量を表す。
樹脂1: ガラス転移温度78℃、融点255℃、融解エネルギー40J/gを示す、結晶性のポリエチレンテレフタレート樹脂。
樹脂2: ガラス転移温度79℃、融点230℃、融解エネルギー12J/gを示す、イソフタル酸を10mol%共重合した結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂。
樹脂3: ガラス転移温度77℃、融点220℃、融解エネルギー2J/gを示す、イソフタル酸を15mol%共重合した半結晶性のポリエチレンテレフタレート樹脂。
樹脂4: ガラス転移温度97℃、融点254℃、融解エネルギー33J/gを示す、分子量400のポリエチレングリコールを5mol%共重合した結晶性のポリエチレンナフタレート樹脂。
樹脂5: ガラス転移温度80℃を示す、シクロヘキサンジメタノールを33mol%共重合した非晶性のポリエチレンテレフタレート樹脂。
樹脂6: ガラス転移温度77℃を示す、スピログリコール20mol%共重合した非晶性のポリエチレンテレフタレート樹脂。
樹脂7: ガラス転移温度101℃を示す、非晶性のポリメチレンメタクリレート樹脂。
樹脂8: ガラス転移温度99℃を示す、樹脂4と樹脂7を50:50の体積濃度比でナノアロイ混連した非晶性の熱可塑性樹脂。
<添加剤>
エポキシ価1.4meq/gを示す平均分子量2900g/molアクリル系ポリマー。
<水系塗剤>
下記のポリエステル樹脂A(100質量部)、反応性化合物1(30質量部)、反応性化合物2(30質量部)を混合した材料(以下、バインダー樹脂ということがある。)に、面積平均粒子径100nmのシリカコロイダル粒子をバインダー樹脂100質量部に対して0.5質量部加え、溶媒として水で固形分濃度が5質量部となるように調整した後、水の合計100質量部に対して0.03質量部の界面活性剤を加え混合することで、塗料組成物とした。
ポリエステル樹脂A:
下記の共重合組成からなるポリエステル樹脂の水分散体を得た。反応器に下記の共重合成分、及び触媒としてシュウ酸チタンカリウム0.1質量部を加え、常圧、窒素雰囲気中で攪拌混合しながら200℃に昇温した。次に、4時間かけて反応温度を250℃にまで徐々に昇温しエステル交換反応を終了させた。このポリエステル樹脂15質量部及び水85質量部を溶解槽に加え攪拌下、温度80~95℃で2時間かけて分散させ、ポリエステル樹脂の15質量%水系分散体を得た。
(共重合組成)
・ジカルボン酸成分
2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル:88mol%
5-スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム:12mol%
・ジオール成分
ビスフェノールS1モルに対してエチレンオキサイド2molを付加した化合物:86mol%
1,3-プロパンジオール:14mol%
反応性化合物1:
カルボジイミド水系架橋剤(日清紡ケミカル(株)“カルボジライト”(登録商標) V-04)
反応性化合物2:
オキサゾリン含有ポリマー水系分散体((株)日本触媒製“エポクロス”(登録商標) WS-500)。
<熱線吸収層>
熱線吸収層1:DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)とグリシジルメタアクリレートと光開始剤(BASFジャパン製“IRGACURE”(登録商標)184)を質量比8:2:0.1で混合させたものを、MEK(メチルエチルケトン)で固形部濃度40%に調整した塗剤Aを得た。この塗剤Aと、固形分濃度18.5%のセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WOのスラリーを重量比2:7の割合で混合して熱線吸収層形成用の塗剤とした。この塗剤をワイヤーバーコーターにて基材フィルムの片面にコーティングしたのち、熱風オーブンにて80℃で2分間乾燥させ、UV照射装置にて紫外線を300mJ/cm照射して塗膜を硬化させて熱線吸収層を形成した。
熱線吸収層2:熱線吸収層1のDPHAの代わりにポリエステル(高松油脂株式会社製:S-140)を用い、乾燥温度を110℃に変更した以外は熱線吸収層1と同様の方法で熱線吸収層を形成した。
(実施例1)
熱可塑性樹脂層A層、B層、C層を構成する各熱可塑性樹脂として、それぞれ順に樹脂4、樹脂3、樹脂7を用いた。準備した各熱可塑性樹脂をそれぞれ、ペレット状で3台の二軸押出機に別々に投入し、それぞれ280℃、270℃、270℃で融解させて混練した。混練条件は、いずれも吐出量に対するスクリュー回転数が0.7となるように設定した。次いで、それぞれFSSタイプのリーフディスクフィルタを7枚介した後、ギヤポンプにて計量しながら、270℃に調温したスリット数601個のフィードブロックにて合流させて、積層比がA層/B層=1.89、C層/B層=0.96を示し、厚さ方向にA層/B層/C層/B層の規則配列が繰り返し積層され、かつ両表層がA層となるような合計601層の積層体を形成した。ここで、フィードブロック内のスリット長さと幅は、両最表層を除いて片側の最表面から反対側の最表面に向かって層厚みが単調増加となるように設計した。その後、フィードブロックを通過した積層体をTダイへ供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧、表面温度が25℃に保たれたキャスティングドラム上にて、キャスト速度2.5m/mimで急冷固化して未延伸の積層キャストシートを得た。得られた積層キャストシートを、115℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、長手方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。続いて、得られた積層一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施して表面の濡れ張力を55mN/mとし、そのフィルム両面の処理面に#4のメタバーで、粒径100nmのコロイダルシリカを3質量%含有し、酢酸ビニル・アクリル樹脂を含む水系塗剤をコーティングすることにより、透明・易滑・易接着層を形成した。さらに、この一軸積層フィルムを、その幅方向両端部をクリップで把持してテンターに導き、100℃の熱風で余熱後、105℃の温度で幅方向に3.6倍延伸した。二軸延伸したフィルムは、横延伸直後に210℃の熱風で熱固定を行い、テンター出口直前にて幅方向に5%の弛緩処理を施した後、巻き取った。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例2、6)
各層の樹脂や積層構成、フィルム厚み、製膜条件を表1のとおりとし、水系塗材のコーティングを実施しなかった以外、実施例1と同様にして未コートの積層フィルムを得た。次いで、<熱線吸収層>の項に記載の方法で熱線吸収層1(実施例2)、熱線吸収層2(実施例6)を形成した。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。なお、フィルム厚みの調整はキャスト速度および吐出量の調整により、積層比の調整は吐出量の調整により行った(この点は、以下他の実施例や比較例においても同じ。)。
(実施例3)
各層の樹脂や積層構成、フィルム厚み、製膜条件を表1のとおりとし、添加剤をC層に5質量%加えた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。なお、フィルム厚みの調整はキャスト速度および吐出量の調整により、積層比の調整は吐出量の調整により行った。
(実施例4、7~20、比較例1,2)
各層の樹脂や積層構成、フィルム厚み、製膜条件を表1、2、3のとおりとした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1、2、3に示す。なお、フィルム厚みの調整はキャスト速度および吐出量の調整により、積層比の調整は吐出量の調整により行った。
(実施例5)
各層の樹脂や積層構成、フィルム厚み、製膜条件を表1のとおりとし、添加剤を添加する際に押出機のスクリュー回転数に対する吐出量の比率を下げた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。なお、フィルム厚みの調整はキャスト速度および吐出量の調整により、積層比の調整は吐出量の調整により行った。
Figure 2024047555000010
表中「層構成」は、括弧内が繰り返し単位、mが繰り返し単位の数を表す。表2、3においても同じ。
Figure 2024047555000011
Figure 2024047555000012
本発明の積層フィルムは、異なる3種類の熱可塑性樹脂層からなり、規則配列を有することで緩衝層の役割を果たす第3の熱可塑性樹脂層の効果により、面内屈折率差が大きくなるような分子骨格構造が全く異なる熱可塑性樹脂層を積層することが出来る。これにより、同種の骨格構造を有する熱可塑性樹脂しか積層出来なかった従来技術に対して、高反射率・広帯域の光学特性を有する積層フィルムを得ることが可能となる。さらに、本発明の積層フィルムは、従来技術に比べ加工性が良好であり、高透明でかつ長期にわたり遮熱特性を維持可能なため、例えば窓部材や車載部材に好適に用いることができる。
1:A層
2:B層
3:C層
4:規則配列(ABCB)

Claims (17)

  1. 異なる3種類の熱可塑性樹脂層をA層、B層、C層としたときに、前記A層、前記B層、前記C層が一定の規則配列で厚み方向に101層以上積層された構成を有し、積層フィルムに含まれる規則配列の95%以上100%以下が、1つの合計厚みが250nm以上650nm以下となる規則配列であり、積層フィルムに含まれる層の40%以上60%以下が、厚み45nm以上85nm以下の層であり、かつ透過彩度Cが10以下であることを特徴とする、積層フィルム。
  2. 前記規則配列がA層/B層/C層/B層であることを特徴とする、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. ヘイズ値が0.1%以上5.0%以下であり、全光線透過率が70%以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 垂直入射時の透過彩度をC(0°)、60°入射時の透過彩度をC(60°)としたときに、|C(60°)-C(0°)|が10以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  5. 垂直入射時の反射彩度Cが10以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
  6. 前記A層、前記B層、前記C層の少なくとも1種類が、融点220℃以上の結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とすることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  7. 前記A層、前記B層、前記C層の少なくとも1種類が、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートを主成分とすることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  8. 前記A層、前記B層、前記C層が、結晶性/半結晶性/非晶性の熱可塑性樹脂層、又は結晶性/非晶性/非晶性の熱可塑性樹脂層の組み合わせであることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  9. 前記A層、前記B層、前記C層の順に屈折率が大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  10. 積層フィルム全体から両側の最表層に位置する規則配列を除いた部分を中間規則配列群としたときに、前記中間規則配列群を構成する規則配列の厚みが、一方の最表層側から反対側の最表層側に向かって単調に増加、または減少することを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  11. 積層フィルム全体から両側の最表層に位置する規則配列を除いた部分を中間規則配列群とし、前記中間規則配列群を構成する規則配列の厚みの最大値と最小値をそれぞれ順にX、Yとしたときに、X-Yが積層フィルムの全体厚みの0.5%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  12. tanδのピークを3点以上有することを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  13. 主配向方向に直交する方向における厚みムラが3.0%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  14. 150℃雰囲気下で30分間処理した際の主配向方向の熱収縮Tmdと、主配向方向に直交する方向の熱収縮率Ttdとの比の絶対値|Ttd/Tmd|が、0.8以上2.5以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  15. 熱線吸収剤を含む層を1層以上有することを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  16. 請求項1または2に記載の積層フィルムを具備することを特徴とする、窓部材。
  17. 請求項1または2に記載の積層フィルムを具備することを特徴とする、車載部材。
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