JP2024046538A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】画質に優れる画像形成装置を提供する。【解決手段】導電性基体、感光層、並びに、第13族元素及び酸素原子を含有する無機表面層をこの順に備えた電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を非接触で帯電する帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を供給して、前記電子写真感光体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記電子写真感光体の表面に電圧を印可する電圧印可手段と、を備え、前記電圧印可手段が印可する電圧における電圧波形の振幅の最大値と最小値との差Vppが、0.8kV以上7kV以下である画像形成装置。【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成は、近年、複写機及びレーザープリンター等の画像形成装置に幅広く利用されている。
電子写真方式を用いた画像形成装置においては、先ず、電子写真感光体の表面が帯電装置によって帯電され、画像信号を変調したレーザ光等で静電濳像を形成した後、帯電したトナーで電子写真感光体の表面の静電濳像を現像して可視化したトナー像が形成される。そして、トナー像を、中間転写体を介して、又は、直接、記録紙等の記録材に静電的に転写し、記録材に定着することにより再生画像が得られる。
例えば、特許文献1には、導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた下引層と、前記下引層上に設けられた電荷発生層と、前記電荷発生層上に設けられた電荷輸送層と、前記電荷輸送層上に設けられた無機表面層と、を有し、前記下引層、前記電荷輸送層及び前記無機表面層の膜弾性率が、各々、5GPa以上である電子写真感光体が開示されている。
例えば、特許文献2には、導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた下引層と、前記下引層上に設けられた電荷発生層と、前記電荷発生層上に設けられた電荷輸送層と、
前記電荷輸送層上に設けられた無機表面層と、を有し、前記導電性基体上に設けられた層のうち、前記電荷発生層を除き最も膜弾性率が低い層の膜厚をA、前記導電性基体上に設けられた層の総膜厚をBとしたとき、式:0<A/B<0.5を満たす電子写真感光体が記載されている。
特開2020-8688号公報 特開2019-197188号公報
本発明の課題は、第13族元素及び酸素原子を含有する無機表面層を備えた電子写真感光体を有する画像形成装置において、電子写真感光体の表面に電圧を印可する電圧印可手段が印可する電圧における電圧波形の振幅の最大値と最小値との差Vppが、0.8k
V未満又は7kV超である場合に比べ、画質に優れる画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
<1> 導電性基体、感光層、並びに、第13族元素及び酸素原子を含有する無機表面層をこの順に備えた電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を非接触で帯電する帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を供給して、前記電子写真感光体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記電子写真感光体の表面に電圧を印可する電圧印可手段と、を備え、前記電圧印可手段が印可する電圧における電圧波形の振幅の最大値と最小値との差Vppが、0.8kV以上7kV以下である画像形成装置。
<2> 前記電圧印可手段が、導電性ブラシ又は導電性ロールである<1>に記載の画像形成装置。
<3> 前記電圧印可手段が、導電性ブラシである<2>に記載の画像形成装置。
<4> 前記帯電手段が、前記電子写真感光体の表面に放電可能な手段である<1>~<3>のいずれか1つに記載の画像形成装置。
<5> 前記帯電手段が、前記電子写真感光体と非接触のスコロトロン帯電器である<1>~<4>のいずれか1つに記載の画像形成装置。
<6> 前記電圧印可手段の体積抵抗率が、10Ωcm以下である<1>~<5>のいずれか1つに記載の画像形成装置。
<7> 前記電圧印可手段の体積抵抗率が、10Ωcm以上10Ωcm以下である<6>に記載の画像形成装置。
<8> 前記導電性ブラシの毛密度が、10,000本/inch以上500,000本/inch以下である<3>に記載の画像形成装置。
<9> 前記導電性ブラシの毛密度が、30,000本/inch以上500,000本/inch以下である<8>に記載の画像形成装置。
<10> 前記無機表面層が、酸化ガリウムを含む<1>~<9>のいずれか1つに記載の画像形成装置。
<1>又は<4>に係る発明によれば、第13族元素及び酸素原子を含有する無機表面層を備えた電子写真感光体を有する画像形成装置において、電子写真感光体の表面に電圧を印可する電圧印可手段が印可する電圧における電圧波形の振幅の最大値と最小値との差Vppが、0.8kV未満又は7kV超である場合に比べ、画質に優れる画像形成装置が提供される。
<2>に係る発明によれば、前記電圧印可手段が、導電性粒子又は導電性ブレードによる帯電手段である場合に比べ、画質により優れる画像形成装置が提供される。
<3>に係る発明によれば、前記電圧印可手段が、導電性ロールである場合に比べ、画質により優れる画像形成装置が提供される。
<5>に係る発明によれば、前記帯電手段が、前記電子写真感光体と非接触のコロトロン帯電器である場合に比べ、画質により優れる画像形成装置が提供される。
<6>に係る発明によれば、前記電圧印可手段の体積抵抗率が、10Ωcm超である場合に比べ、画質により優れる画像形成装置が提供される。
<7>に係る発明によれば、前記電圧印可手段の体積抵抗率が、10Ωcm未満又は10Ωcm超である場合に比べ、画質により優れる画像形成装置が提供される。
<8>に係る発明によれば、前記導電性ブラシの毛密度が、10,000本/inch未満又は500,000本/inch超である場合に比べ、画質により優れる画像形成装置が提供される。
<9>に係る発明によれば、前記導電性ブラシの毛密度が、30,000本/inch]未満又は500,000本/inch超である場合に比べ、画質により優れる画像形成装置が提供される。
<10>に係る発明によれば、前記無機表面層が、酸化アルミニウムのみからなる場合に比べ、画質により優れる画像形成装置が提供される。
電子写真感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。 電子写真感光体の無機表面層の形成に用いる成膜装置の一例を示す概略模式図である。 電子写真感光体の無機表面層の形成に用いるプラズマ発生装置の例を示す概略模式図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
なお、段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
また、数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する前記物質の合計量を意味する。
「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
〔画像形成装置〕
本実施形態に係る画像形成装置は、導電性基体、感光層、並びに、第13族元素及び酸素原子を含有する無機表面層をこの順に備えた電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を非接触で帯電する帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を供給して、前記電子写真感光体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記電子写真感光体の表面に電圧を印可する電圧印可手段と、を備え、前記電圧印可手段が印可する電圧における電圧波形の振幅の最大値と最小値との差Vppが、0.8kV以上7kV以下である画像形成装置である。
従来の無機表面層を有する電子写真感光体を備えた画像形成装置では、画質が低下する場合があった。画質の低下は、前記無機表面層が電子及び正孔(ホール)の透過を抑制するため、前記無機表面層の表面又は感光層との界面に電子又は正孔が蓄積することによると、本発明者らは推定している。
本実施形態に係る画像形成装置においては、無機表面層を有する電子写真感光体に加え、前記電子写真感光体の表面に電圧を印可する電圧印可手段を備え、前記電圧印可手段が印可する電圧において、電圧波形の振幅の最大値と最小値との差Vppが、0.8kV以上7kV以下であることにより、前記無機表面層の表面又は感光層との界面における前記電荷又は正孔が蓄積を解消し、画質に優れる画像が得られる。
(電圧印可手段)
本実施形態に係る画像形成装置は、前記電子写真感光体の表面に電圧を印可する電圧印可手段を備え、前記電圧印可手段が印可する電圧における電圧波形の振幅の最大値と最小値との差Vppが、0.8kV以上7kV以下である。
本実施形態において、Vpp(Voltage peak to peak)は、交流電圧波形の電圧の振幅の最大値と最小値との差を表す。
前記電圧印可手段が印可する電圧における電圧波形の振幅の最大値と最小値との差Vppは、画質の観点から、1kV以上6kV以下であることが好ましく、1.5kV以上5kV以下であることがより好ましく、2kV以上4kV以下であることが更に好ましい。
前記電圧印可手段としては、例えば、導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。
中でも、画質の観点から、導電性ブラシ又は導電性ロールであることが好ましく、導電性ブラシであることがより好ましい。
ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
前記電圧印可手段の体積抵抗率は、画質の観点から、10Ωcm以下であることが好ましく、10Ωcm以下であることがより好ましく、10Ωcm以上10Ωcm以下であることが更に好ましく、10Ωcm以上10Ωcm以下であることが特に好ましい。
本実施形態における電圧印可手段の体積抵抗率測定は、以下の方法により行う。
試料表面に形成した測定用電極に直流電圧を印加し、試料内又は試料表面を流れる微弱電流を計測する。
計測された電流からオームの法則を用いて試料の体積抵抗を算出する。
体積抵抗率(Ωcm)=体積抵抗×電極の有効面積÷試料厚さ
また、前記電圧印可手段が導電性ブラシである場合、前記導電性ブラシの毛密度は、画質の観点から、10,000本/inch以上500,000本/inch以下であることが好ましく、30,000本/inch以上500,000本/inch以下であることがより好ましく、50,000本/inch以上500,000本/inch以下であることが特に好ましい。
(電子写真感光体)
本実施形態に係る画像形成装置は、導電性基体、感光層、並びに、第13族元素及び酸素原子を含有する無機表面層をこの順に備えた電子写真感光体を備える。
前記感光層は、電荷発生層及び電荷輸送層を有する積層型感光層であっても、単層型感光層であってもよい。
以下、本実施形態に用いられる電子写真感光体について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。感光体107Aは、導電性基体104上に、下引層101が設けられ、その上に電荷発生層102、電荷輸送層103、及び無機表面層106が順次形成された構造を有する。感光体107Aは、電荷発生層102と電荷輸送層103とに機能が分離された有機感光層105を有している。
また、導電性基体104と下引層101との間には中間層を有していてもよい。
以下、電子写真感光体を構成する各要素について説明する。なお、符号は省略して説明する場合がある。
<導電性基材>
導電性基材としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基材としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。
<下引層>
電子写真感光体は、導電性基材と感光層との間に、下引層を有していてもよい。
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ωcm以上1011Ωcm以下の無機粒子が挙げられる。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m/g以上がよい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
無機粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。無機粒子は、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤と他のシランカップリング剤とを併用してもよい。この他のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリス(2-メトキシエトキシ)シラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
表面処理剤の処理量は、例えば、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
ここで、下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
電子受容性化合物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7-トリニトロフルオレノン、2,4,5,7-テトラニトロ-9-フルオレノン等のフルオレノン化合物;2-(4-ビフェニル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール、2,5-ビス(4-ナフチル)-1,3,4-オキサジアゾール、2,5-ビス(4-ジエチルアミノフェニル)-1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’テトラ-t-ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;等の電子輸送性物質等が挙げられる。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着させる方法としては、例えば、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
乾式法は、例えば、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させた電子受容性化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させて、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。電子受容性化合物の滴下又は噴霧するときは、溶剤の沸点以下の温度で行うことがよい。電子受容性化合物を滴下又は噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限されない。
湿式法は、例えば、撹拌、超音波、サンドミル、アトライター、ボールミル等により、無機粒子を溶剤中に分散しつつ、電子受容性化合物を添加し、撹拌又は分散した後、溶剤除去して、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。溶剤除去方法は、例えば、ろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後には、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては、電子受容性化合物を添加する前に無機粒子の含有水分を除去してもよく、その例として溶剤中で撹拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法が挙げられる。
なお、電子受容性化合物の付着は、表面処理剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面処理剤による表面処理と同時に行ってもよい。
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下がよく、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これらの中でも、下引層に用いる結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリス(2-メトキシエトキシ)シラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するときの無機粒子の分散方法としては、例えば、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が挙げられる。
下引層形成用塗布液を導電性基材上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
下引層の膜厚は、例えば、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上50μm以下の範囲内に設定される。
<中間層>
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
これらの中でも、中間層は、ジルコニウム原子又はケイ素原子を含有する有機金属化合物を含む層であることが好ましい。
中間層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた中間層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上3μm以下の範囲に設定される。なお、中間層を下引層として使用してもよい。
<電荷発生層>
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro-Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、ヒドロキシガリウムフタロシアニン;クロロガリウムフタロシアニン;ジクロロスズフタロシアニン;チタニルフタロシアニンがより好ましい。
一方、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;ビスアゾ顔料等が好ましい。
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合にも、上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いるときには、感光層中の電界強度が高くなり、基体からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレン、フタロシアニン顔料等のp-型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いたときに顕著となる。
これに対し、電荷発生材料として、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等のn-型半導体を用いた場合、暗電流を生じ難く、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。
なお、n-型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn-型とする。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、結着樹脂としては、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
電荷発生層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷発生層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。なお、電荷発生層の形成は、電荷発生材料の蒸着により行ってもよい。電荷発生層の蒸着による形成は、特に、電荷発生材料として縮環芳香族顔料、ペリレン顔料を利用する場合に好適である。
電荷発生層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n-ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液-液衝突や液-壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷発生層形成用塗布液を下引層上(又は中間層上)に塗布する方法としては、例えばブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の範囲内に設定される。
<電荷輸送層>
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
電荷輸送材料としては、p-ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7-トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記構造式(a-1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び下記構造式(a-2)で示されるベンジジン誘導体が好ましい。
構造式(a-1)中、ArT1、ArT2、及びArT3は、各々独立に置換若しくは無置換のアリール基、-C-C(RT4)=C(RT5)(RT6)、又は-C-CH=CH-CH=C(RT7)(RT8)を示す。RT4、RT5、RT6、RT7、及びRT8は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
構造式(a-2)中、RT91及びRT92は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。RT101、RT102、RT111及びRT112は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基、-C(RT12)=C(RT13)(RT14)、又は-CH=CH-CH=C(RT15)(RT16)を示し、RT12、RT13、RT14、RT15及びRT16は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。Tm1、Tm2、Tn1及びTn2は各々独立に0以上2以下の整数を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
ここで、構造式(a-1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び前記構造式(a-2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「-C-CH=CH-CH=C(RT7)(RT8)」を有するトリアリールアミン誘導体、及び「-CH=CH-CH=C(RT15)(RT16)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度の観点で好ましい。
高分子電荷輸送材料としては、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、ポリエステル系の高分子電荷輸送材は特に好ましい。なお、高分子電荷輸送材料は、単独で使用してよいが、結着樹脂と併用してもよい。
電荷輸送層に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、スチレン-アルキッド樹脂、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの中でも、結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2-ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、例えば、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下の範囲内に設定される。
<無機表面層>
無機表面層は、第13族元素及び酸素原子を含有する層であり、強度、及び、画質の観点から、第13族元素及び酸素原子を含有する金属酸化物からなる金属酸化物層が好ましい。
第13族元素及び酸素原子を含有する金属酸化物としては、例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ホウ素等の金属酸化物、又はこれらの混晶が挙げられる。
これらの中でも、第13族元素及び酸素原子を含有する金属酸化物としては、機械的強度、透光性に優れ、特にn型導電性を有し、その導電制御性に優れるという観点から、酸化ガリウム及び酸化アルミニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化ガリウムを含むことがより好ましい。
つまり、無機表面層は、酸化ガリウムを含む金属酸化物層からなる無機表面層であることがより好ましい。
金属酸化物層からなる無機表面層は、例えば、第13族元素(好ましくはガリウム)及び酸素原子を含んで構成されていればよく、必要に応じて、水素及び炭素を含んで構成されていてもよい。
金属酸化物層からなる無機表面層は、水素を含むことで、第13族元素(好ましくはガリウム)及び酸素原子を含んで構成された、金属酸化物層からなる無機表面層の諸物性が容易に制御され易くなる。例えば、ガリウム原子、酸素原子及び水素原子を含む、金属酸化物層からなる無機表面層(例えば、水素を含む酸化ガリウムで構成された無機表面層)において、組成比[O]/[Ga]を1.0から1.5と変化させることで、10Ω・cm以上1014Ω・cmの範囲で体積抵抗率の制御が実現され易くなる。
特に、金属酸化物層からなる無機表面層は、第13族元素、酸素原子及び水素原子を含有し、無機表面層を構成する全元素に対する、第13族元素、酸素及び水素の元素構成比率の和が90原子%以上であることが好ましい。
また、酸素及び第13族元素の元素組成比(酸素/第13族元素)を変えることで、膜弾性率の制御が容易に行われる。酸素及び第13族元素の元素組成比(酸素/第13族元素)において、酸素組成比が高いほど、膜弾性率は高くなる傾向にあり、例えば、1.0以上1.5未満であることが好ましく、1.03以上1.47以下がより好ましく、1.05以上1.45以下が更に好ましく、1.10以上1.40以下が特に好ましい。
金属酸化物層からなる無機表面層を構成する材料の元素組成比(酸素/第13族元素)が、上記範囲であると、感光体の表面における傷に起因する画像欠陥が抑制され、また感光体表面に供給された脂肪酸金属塩との親和性が向上し脂肪酸金属塩による装置内の汚染が抑制される。同様の点で、第13族元素はガリウムであることが好ましい。
また、金属酸化物層からなる無機表面層を構成する全元素に対する、第13族元素(特にガリウム)、酸素及び水素の元素構成比率の和は、90原子%以上であることで、例えば、N,P,Asなどの第15族元素などが混入した場合、これらが第13族元素(特にガリウム)と結合する影響などが抑制され、無機表面層の硬度や電気特性を向上させ得る酸素及び第13族元素(特にガリウム)組成比(酸素/第13族元素(特にガリウム))の適正範囲を見出しやすくなる。上記元素構成比率の和は、上記の観点で、95原子%以上が好ましく、96原子%以上がより好ましく、97原子%以上が更に好ましい。
金属酸化物層からなる無機表面層には、上記した第13族元素、酸素原子、水素原子及び炭素原子の他、導電型の制御のために、他の元素を含んでいてもよい。
金属酸化物層からなる無機表面層は、導電型の制御のために、n型の場合、C、Si、Ge、Snから選ばれる1つ以上の元素を含んでいてもよく、p型の場合、N、Be、Mg、Ca、Srから選ばれる1つ以上の元素を含んでいてもよい。
ここで、金属酸化物層からなる無機表面層が、ガリウム原子と酸素原子と必要に応じて水素原子とを含んで構成された場合、機械的強度、透光性、柔軟性に優れ、その導電制御性に優れるという観点から、好適な元素構成比率は以下の通りである。
ガリウムの元素構成比率は、例えば、無機表面層の全構成元素に対して、15原子%以上50原子%以下であることが好ましく、20原子%以上40原子%以下であることがより好ましく、20原子%以上30原子%以下であることが更に好ましい。
酸素の元素構成比率は、例えば、無機表面層の全構成元素に対して、30原子%以上70原子%以下であることが好ましく、40原子%以上60原子%以下であることがより好ましく、45原子%以上55原子%以下であることが更に好ましい。
水素の元素構成比率は、例えば、無機表面層の全構成元素に対して、10原子%以上40原子%以下であることが好ましく、15原子%以上35原子%以下であることがより好ましく、20原子%以上30原子%以下であることが更に好ましい。
ここで、無機表面層における各元素の確認、元素構成比率、原子数比等は、厚み方向の分布も含めてラザフォードバックスキャタリング(以下、「RBS」と称する)により求められる
なお、RBSでは、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS-400、システムとして3S-R10を用いる。解析にはCE&A社のHYPRAプログラム等を用いる。
なお、RBSの測定条件は、He++イオンビームエネルギーは2.275eV、検出角度160°、入射ビームに対してGrazing Angleは約109°とする。
RBS測定は、具体的には以下のように行う
まず、He++イオンビームを試料に対して垂直に入射し、検出器をイオンビームに対して、160°にセットし、後方散乱されたHeのシグナルを測定する。検出したHeのエネルギーと強度から組成比と膜厚を決定する。組成比及び膜厚を求める精度を向上させるために二つの検出角度でスペクトルを測定してもよい。深さ方向分解能や後方散乱力学の異なる二つの検出角度で測定しクロスチェックすることにより精度が向上する。
ターゲット原子によって後方散乱されるHe原子の数は、1)ターゲット原子の原子番号、2)散乱前のHe原子のエネルギー、3)散乱角度の3つの要素のみにより決まる。 測定された組成から密度を計算によって仮定して、これを用いて厚みを算出する。密度の誤差は20%以内である。
なお、水素の元素構成比率は、ハイドロジェンフォワードスキャタリング(以下、「HFS」と称する)により求められる。
HFS測定では、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS-400を用い、システムとして3S-R10を用いる。解析にはCE&A社のHYPRAプログラムを用いる。そして、HFSの測定条件は、以下の通りである。
・He++イオンビームエネルギー:2.275eV
・検出角度:160°入射ビームに対してGrazing Angle30°
HFS測定は、He++イオンビームに対して検出器が30°に、試料が法線から75°になるようにセットすることにより、試料の前方に散乱する水素のシグナルを拾う。この時検出器をアルミ箔で覆い、水素とともに散乱するHe原子を取り除くことがよい。定量は参照用試料と被測定試料との水素のカウントを阻止能で規格化した後に比較することによって行う。参照用試料としてSi中にHをイオン注入した試料と白雲母を使用する。
白雲母は水素濃度が6.5原子%であることが知られている。
最表面に吸着しているHは、例えば、清浄なSi表面に吸着しているH量を差し引くことによって補正を行う。
なお、金属酸化物層からなる金属酸化物層からなる無機表面層は、目的に応じて、厚み方向に組成比に分布を有していてもよいし、多層構成からなるものであってもよい。
-無機表面層の物性-
金属酸化物層からなる無機表面層の外周面(すなわち、電子写真感光体107Aの表面)における表面粗さRa(算術平均表面粗さRa)は、例えば、5nm以下が挙げられ、好ましくは4.5nm以下、より好ましくは4nm以下である。
この表面粗さRaを上記範囲とすることで、帯電ムラが抑制される。
なお、表面粗さRaを上記範囲とするには、例えば、電荷輸送層における無機表面層側の表面の表面粗さRaを前述の範囲とする等の方法が挙げられる
また、無機表面層の外周面における表面粗さRaの測定は、無機表面層の外周面について直接測定すること以外は、前述の電荷輸送層における無機表面層側の表面の表面粗さRaの測定方法と同様である。
金属酸化物層からなる無機表面層の体積抵抗率は、5.0×10Ωcm以上1.0×1012Ωcm未満が好ましい。無機表面層の体積抵抗率は、像流れの発生をより抑制し易くし、感光体の表面における傷に起因する画像欠陥をより抑制し易くする点で、8.0×10Ωcm以上7.0×1011Ωcm以下がより好ましく、1.0×10Ωcm以上5.0×1011Ωcm以下が更に好ましく、5.0×10Ωcm以上2.0×1011Ωcm以下が特に好ましい。
この体積抵抗率は、nF社製LCRメーターZM2371を用いて、周波数1kHz、電圧1Vの条件にて測定した抵抗値から、電極面積、試料厚みに基づき算出して求められる。
なお、測定試料は、測定対象となる無機表面層の成膜時の同条件でアルミ基体上に成膜し、その成膜物上に真空蒸着により金電極を形成し得られた試料であってもよいし、又は作製後の電子写真感光体から無機表面層を剥離し、一部エッチングして、これを一対の電極で挟み込んだ試料であってもよい。
金属酸化物層からなる無機表面層は、微結晶膜、多結晶膜、非晶質膜などの非単結晶膜であることが好ましい。これらの中でも、非晶質は表面の平滑性で特に好ましいが、微結晶膜は硬度の点でより好ましい。
無機表面層の成長断面は、柱状構造をとっていてもよいが、滑り性の観点からは、平坦性の高い構造が好ましく、非晶質が好ましい。
なお、結晶性、非晶質性は、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像の点や線の有無により判別される。
金属酸化物層からなる無機表面層の膜弾性率は、5GPa以上であることが好ましく、30GPa以上80GPa以下であることがより好ましく、40GPa以上65GPa以下であることが更に好ましい。
この弾性率を上記範囲とすると、無機表面層の凹部(傷)の発生、剥れ及び割れが抑制され易くなる。
無機表面層の膜厚は、例えば、1.0μm以上10.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以上10μm以下であることがより好ましい。
この膜厚を上記範囲とすると、無機表面層の凹部(傷)の発生、剥れ及び割れが抑制され易くなる。
-無機表面層の形成-
保護層の形成には、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、有機金属気相成長法、分子線エキタピシー法、蒸着、スパッタリング等の公知の気相成膜法が利用される。
以下、無機表面層の形成について、成膜装置の一例を図面に示しつつ具体例を挙げて説明する。なお、以下の説明は、ガリウム、酸素、及び水素を含んで構成された無機表面層の形成方法について示すが、これに限られず、目的とする無機表面層の組成に応じて、周知の形成方法を適用すればよい。
図2は、本実施形態に係る電子写真感光体の無機表面層の形成に用いる成膜装置の一例を示す概略模式図であり、図2(A)は、成膜装置を側面から見た場合の模式断面図を表し、図2(B)は、図2(A)に示す成膜装置のA1-A2間における模式断面図を表す。図2中、210は成膜室、211は排気口、212は基体回転部、213は基体支持部材、214は基体、215はガス導入管、216はガス導入管215から導入したガスを噴射する開口を有するシャワーノズル、217はプラズマ拡散部、218は高周波電力供給部、219は平板電極、220はガス導入管、221は高周波放電管部である。
図2に示す成膜装置において、成膜室210の一端には、不図示の真空排気装置に接続された排気口211が設けられており、成膜室210の排気口211が設けられた側と反対側に、高周波電力供給部218、平板電極219及び高周波放電管部221からなるプラズマ発生装置が設けられている。
このプラズマ発生装置は、高周波放電管部221と、高周波放電管部221内に配置され、放電面が排気口211側に設けられた平板電極219と、高周波放電管部221外に配置され、平板電極219の放電面と反対側の面に接続された高周波電力供給部218とから構成されたものである。なお、高周波放電管部221には、高周波放電管部221内にガスを供給するためのガス導入管220が接続されており、このガス導入管220のもう一方の端は、不図示の第1のガス供給源に接続されている。
なお、図2に示す成膜装置に設けられたプラズマ発生装置の代わりに、図3に示すプラズマ発生装置を用いてもよい。図3は、図2に示す成膜装置において利用されるプラズマ発生装置の他の例を示す概略模式図であり、プラズマ発生装置の側面図である。図3中、222が高周波コイル、223が石英管を表し、220は、図2中に示すものと同様である。このプラズマ発生装置は、石英管223と、石英管223の外周面沿って設けられた高周波コイル222とからなり、石英管223の一方の端は成膜室210(図3中、不図示)と接続されている。また、石英管223のもう一方の端には、石英管223内にガスを導入するためのガス導入管220が接続されている。
図2において、平板電極219の放電面側には、放電面に沿って延びる棒状のシャワーノズル216が接続されており、シャワーノズル216の一端は、ガス導入管215と接続されており、このガス導入管215は成膜室210外に設けられた不図示の第2のガス供給源と接続されている。
また、成膜室210内には、基体回転部212が設けられており、円筒状の基体214が、シャワーノズル216の長手方向と基体214の軸方向とが沿って対面するように基体支持部材213を介して基体回転部212に取りつけられるようになっている。成膜に際しては、基体回転部212が回転することによって、基体214が周方向に回転する。なお、基体214としては、電荷輸送層まで積層された感光体製造用の積層体が用いられる。
無機表面層の形成は、例えば、以下のように実施する。
まず、酸素ガス(又は、ヘリウム(He)希釈酸素ガス)、ヘリウム(He)ガス、及び必要に応じ水素(H)ガスを、ガス導入管220から高周波放電管部221内に導入すると共に、高周波電力供給部218から平板電極219に、13.56MHzのラジオ波を供給する。この際、平板電極219の放電面側から排気口211側へと放射状に広がるようにプラズマ拡散部217が形成される。ここで、ガス導入管220から導入されたガスは成膜室210を平板電極219側から排気口211側へと流れる。平板電極219は電極の周りをアースシールドで囲んだものでもよい。
次に、トリメチルガリウムガスをガス導入管215、活性化手段である平板電極219の下流側に位置するシャワーノズル216を介して成膜室210に導入することによって、基体214表面にガリウムと酸素と水素とを含む非単結晶膜を成膜する。
基体214としては、電荷輸送層まで積層された感光体製造用の積層体を用いる。
無機表面層の成膜時の基体214表面の温度は、電荷発生層及び電荷輸送層を含む有機感光層を有するため、150℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、30℃以上100℃以下が更に好ましい。
基体214表面の温度が成膜開始当初は150℃以下であっても、プラズマの影響で150℃より高くなる場合には有機感光層が熱で損傷を受ける場合があるため、この影響を考慮して基体214の表面温度を制御することが好ましい。
基体214表面の温度は加熱手段及び冷却手段の少なくとも一方(図中、不図示)によって制御してもよいし、放電時の自然な温度の上昇に任せてもよい。基体214を加熱する場合にはヒータを基体214の外側や内側に設置してもよい。基体214を冷却する場合には基体214の内側に冷却用の気体又は液体を循環させてもよい。
放電による基体214表面の温度の上昇を避けたい場合には、基体214表面に当たる高エネルギーの気体流を調節することが効果的である。この場合、ガス流量や放電出力、圧力などの条件を所要温度となるように調整する。
また、トリメチルガリウムガスの代わりにアルミニウムを含む有機金属化合物やジボラン等の水素化物を用いることもでき、これらを2種類以上混合してもよい。
例えば、無機表面層の形成の初期において、トリメチルインジウムをガス導入管215、シャワーノズル216を介して成膜室210内に導入することにより、基体214上に窒素とインジウムとを含む膜を成膜すれば、この膜が、継続して成膜する場合に発生し、有機感光層を劣化させる紫外線を吸収する。このため、成膜時の紫外線の発生による有機感光層へのダメージが抑制される。
また、成膜時におけるドーパントのドーピングの方法としては、n型用としてはSiH、SnHを、p型用としては、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム、ジメチルカルシウム、ジメチルストロンチウム、などをガス状態で使用する。また、ドーパント元素を表面層中にドーピングするには、熱拡散法、イオン注入法等の公知の方法を採用してもよい。
具体的には、例えば、少なくとも一つ以上のドーパント元素を含むガスをガス導入管215、シャワーノズル216を介して成膜室210内に導入することによって、n型、p型等の導電型の無機表面層を得る。
図2及び図3を用いて説明した成膜装置では、放電エネルギーにより形成される活性窒素又は活性水素を、活性装置を複数設けて独立に制御してもよいし、NHなど、窒素原子と水素原子を同時に含むガスを用いてもよい。更にHを加えてもよい。また、有機金属化合物から活性水素が遊離生成する条件を用いてもよい。
このようにすることで、基体214表面上には、活性化された、炭素原子、ガリウム原子、窒素原子、水素原子、等が制御された状態で存在する。そして、活性化された水素原子が、有機金属化合物を構成するメチル基やエチル基等の炭化水素基の水素を分子として脱離させる効果を有する。
このため、三次元的な結合を構成する硬質膜(無機表面層)が形成される。
図2及び図3に示す成膜装置のプラズマ発生手段は、高周波発振装置を用いたものであるが、これに限定されるものではなく、例えば、マイクロ波発振装置を用いてもよいし、エレクトロサイクロトロン共鳴方式やヘリコンプラズマ方式の装置を用いてもよい。また、高周波発振装置の場合は、誘導型でも容量型でもよい。
更に、これらの装置を2種類以上組み合わせて用いてもよく、同種の装置を2つ以上用いてもよい。プラズマの照射によって基体214表面の温度上昇を抑制するためには高周波発振装置が好ましいが、熱の照射を抑制する装置を設けてもよい。
2種類以上の異なるプラズマ発生装置(プラズマ発生手段)を用いる場合には、同じ圧力で同時に放電が生起されるようにすることが好ましい。また、放電する領域と、成膜する領域(基体が設置された部分)とに圧力差を設けてもよい。これらの装置は、成膜装置内をガスが導入される部分から排出される部分へと形成されるガス流に対して直列に配置してもよいし、いずれの装置も基体の成膜面に対向するように配置してもよい。
例えば、2種類のプラズマ発生手段をガス流に対して直列に設置する場合、図2に示す成膜装置を例に上げれば、シャワーノズル216を電極として成膜室210内に放電を起こさせる第2のプラズマ発生装置として利用される。この場合、例えば、ガス導入管215を介して、シャワーノズル216に高周波電圧を印加して、シャワーノズル216を電極として成膜室210内に放電を起こさせる。又は、シャワーノズル216を電極として利用する代わりに、成膜室210内の基体214と平板電極219との間に円筒状の電極を設けて、この円筒状電極を利用して、成膜室210内に放電を起こさせる。
また、異なる2種類のプラズマ発生装置を同一の圧力下で利用する場合、例えば、マイクロ波発振装置と高周波発振装置とを用いる場合、励起種の励起エネルギーを大きく変えることができ、膜質の制御に有効である。また、放電は大気圧近傍(70000Pa以上110000Pa以下)で行ってもよい。大気圧近傍で放電を行う場合にはキャリアガスとしてHeを使用することが好ましい。
無機表面層の形成は、例えば、成膜室210に、電荷輸送層まで積層された感光体製造用の積層体である基体214を設置し、各々組成の異なる混合ガスを導入して、無機表面層を形成する。
また、成膜条件としては、例えば高周波放電により放電する場合、低温で良質な成膜を行うには、周波数として10kHz以上50MHz以下の範囲とすることが好ましい。また、出力は基体214の大きさに依存するが、基体の表面積に対して0.01W/cm以上0.2W/cm以下の範囲とすることが好ましい。基体214の回転速度は0.1rpm以上500rpm以下の範囲が好ましい。
本実施形態において、無機表面層に対する下引層の膜厚比が0.01以上40以下(より好ましくは0.1以上35以下)であることが好ましい。
また、本実施形態において、無機表面層に対する電荷輸送層の膜厚比が1以上60以下(より好ましくは2以上50以下)であることが好ましい。
本実施形態に係る電子写真感光体において、電子写真感光体としての機能発現の点、無機表面層における打痕の発生の抑制の点等から、下引層の膜厚が0.1μm以上35μm以下であり、電荷輸送層の膜厚が10μm以上60μm以下であり、かつ無機表面層の膜厚が1.0μm以上10μm以下であることが好ましい。
<<単層型感光層>>
単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)は、例えば、電荷発生材料と電荷輸送材料と、必要に応じて、結着樹脂、及びその他周知の添加剤と、を含む層である。なお、これら材料は、電荷発生層及び電荷輸送層で説明した材料と同様である。
そして、単層型感光層中、電荷発生材料の含有量は、全固形分に対して0.1質量%以上10質量%以下がよく、好ましくは0.8質量%以上5質量%以下である。また、単層型感光層中、電荷輸送材料の含有量は、全固形分に対して5質量%以上50質量%以下がよい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。
単層型感光層の膜厚は、例えば、5μm以上50μm以下がよく、好ましくは10μm以上40μm以下である。
本実施形態に係る画像形成装置は、前述した電圧印可手段及び電子写真感光体に加え、前記電子写真感光体の表面を非接触で帯電する帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を供給して、前記電子写真感光体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に電子写真感光体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、電子写真感光体を備える部分が、画像形成装置に対して着脱されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。なお、プロセスカートリッジには、電子写真感光体以外に、例えば、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を図4に示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
電圧印可装置15(電圧印可手段)は、感光体12の表面を帯電する。
電圧印可装置15は、例えば、感光体12表面に接触して設けられ、感光体12の表面を帯電する接触方式の電圧印可部材14、及び電圧印可部材14に交流電圧を印加する交流電源28(帯電部材用の交流電圧印加部の一例)を備えている。交流電源28は、電圧印可手段部材14に電気的に接続されている。
電圧印可部材14としては、例えば、導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。
中でも、画質の観点から、導電性ブラシ又は導電性ロールであることが好ましく、導電性ブラシであることがより好ましい。
交流電源28により、電圧印可部材14に印加する交流電圧における、ピーク間電圧Vppが350V以下4,000V以下(好ましくは1,000V以下4,000V以下)であり、周波数が100Hz以上(好ましくは2500Hz以上)であることがよい。
ここで、交流電源28は、電圧印可部材14に、直流電圧に交流電圧が重畳された重畳電圧を印加してもよい。
本実施形態では、接触方式の電圧印可部材14が補助帯電部材として機能し、感光体12に電子注入する役割を担うため、非接触方式の電部材14Aを採用しても、感光体12における、電気特性及び無機保護層の耐摩耗性が向上する。
(帯電手段)
帯電装置15A(帯電手段)としては、例えば、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
中でも、帯電手段としては、画質の観点から、前記電子写真感光体の表面に放電可能な手段であることが好ましく、前記電子写真感光体と非接触のスコロトロン帯電器又はコロトロン帯電器であることがより好ましく、前記電子写真感光体と非接触のスコロトロン帯電器であることが特に好ましい。
挙げられる。
帯電装置15Aは、接触方式の電圧印可部材14よりも感光体12の回転方向上流側に設けられ、感光体12の表面を帯電する非接触方式の帯電部材14Aと、非接触方式の帯電部材14Aに直流電圧を印加する直流電源28A(直流電圧印加部の一例)と、を備える態様であってもよい。
直流電源28Aにより、非接触方式の帯電部材14Aに印加する直流電圧は、600V以下1000V以下であることが好ましい。
(静電荷像形成手段)
静電荷像形成装置16(静電荷像形成手段)は、帯電された感光体12の表面に静電荷像を形成する。具体的には、例えば、静電荷像形成装置16は、帯電部材14Aにより帯電された感光体12の表面に、形成する対象となる画像の画像情報に基づいて変調された光Lを照射して、感光体12上に画像情報の画像に応じた静電荷像を形成する。
静電荷像形成装置16としては、例えば、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を像様に露光する光源を持つ光学系機器等が挙げられる。
(現像手段)
現像装置18(現像手段)は、例えば、静電荷像形成装置16による光Lの照射位置より感光体12の回転方向下流側に設けられている。現像装置18内には、現像剤を収容する収容部が設けられている。この収容部には、トナーを有する静電荷像現像剤が収容されている。トナーは、例えば、現像装置18内で帯電された状態で収容されている。
現像装置18は、例えば、トナーを含む現像剤により、感光体12の表面に形成された静電荷像を現像する現像部材18Aと、現像部材18Aに現像電圧を印加する電源32と、を備えている。この現像部材18Aは、例えば、電源32に電気的に接続されている。
現像装置18の現像部材18Aとしては、現像剤の種類に応じて選択されるが、例えば、磁石が内蔵された現像スリーブを有する現像ロールが挙げられる。
現像装置18(電源32を含む)は、例えば、画像形成装置10に設けられた制御装置36に電気的に接続されており、制御装置36により駆動制御されて、現像部材18Aに現像電圧を印加する。現像電圧を印加された現像部材18Aは、現像電圧に応じた現像電位に帯電される。そして、現像電位に帯電された現像部材18Aは、例えば、現像装置18内に収容された現像剤を表面に保持して、現像剤に含まれるトナーを現像装置18内から感光体12表面へと供給する。トナーが供給された感光体12表面では、形成された静電荷像がトナー画像として現像される。
(転写手段)
転写装置31(転写手段)は、例えば、現像部材18Aの配設位置より感光体12の回転方向下流側に設けられている。転写装置31は、例えば、感光体12の表面に形成されたトナー画像を記録媒体30Aへ転写する転写部材20と、転写部材20に転写電圧を印加する電源30と、を備えている。転写部材20は、例えば、円柱状とされており、感光体12との間で記録媒体30Aを挟んで搬送する。転写部材20は、例えば、電源30に電気的に接続されている。
転写部材20としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムクリーニングブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器又はコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の非接触型転写帯電器が挙げられる。
転写装置31(電源30を含む)は、例えば、画像形成装置10に設けられた制御装置36に電気的に接続されており、制御装置36により駆動制御されて、転写部材20に転写電圧を印加する。転写電圧を印加された転写部材20は、転写電圧に応じた転写電位に帯電される。
転写部材20の電源30から転写部材20に、感光体12上に形成されたトナー画像を構成するトナーとは逆極性の転写電圧が印加されると、例えば、感光体12と転写部材20との向かい合う領域(図4中、転写領域32A参照)には、感光体12上のトナー画像を構成する各トナーを静電力により感光体12から転写部材20側へと移動させる電界強度の転写電界が形成される。
記録媒体30Aは、例えば、図示を省略する収容部に収容されており、この収容部から図示を省略する複数の搬送部材によって搬送経路34に沿って搬送され、感光体12と転写部材20との向かい合う領域である転写領域32Aに到る。図4中に示す例では、矢印B方向に搬送される。転写領域32Aに到った記録媒体30Aは、例えば、転写部材20に転写電圧が印加されることにより該領域に形成された転写電界によって、感光体12上のトナー画像が転写される。すなわち、例えば、感光体12表面から記録媒体30Aへのトナーの移動により、記録媒体30A上にトナー画像が転写される。そして、感光体12上のトナー画像は、転写電界により記録媒体30A上に転写される。
(清掃手段)
クリーニング装置22(清掃手段)は、転写領域32Aより感光体12の回転方向下流側に設けられている。クリーニング装置22は、トナー画像を記録媒体30Aに転写した後に、感光体12に付着した残留トナーをクリーニング(清掃)する。クリーニング装置22では、残留トナー以外にも、紙粉等の付着物をクリーニングする。
クリーニング装置22は、クリーニングブレード22Aを有し、クリーニングブレード22Aの先端を感光体12の回転方向と対向する方向に向けて接触させて感光体12の表面の付着物を除去するものである。
(除電手段)
除電装置24(除電手段)は、例えば、クリーニング装置22より感光体12の回転方向下流側に設けられている。除電装置24は、トナー画像を転写した後、感光体12の表面を露光して除電する。具体的には、例えば、除電装置24は、画像形成装置10に設けられた制御装置36に電気的に接続されており、制御装置36により駆動制御されて、感光体12の全表面(具体的には例えば画像形成領域の全面)を露光して除電する。
除電装置24としては、例えば、白色光を照射するタングステンランプ、赤色光を照射する発光ダイオード(LED)等の光源を有する装置が挙げられる。
(定着手段)
定着装置26(定着手段)は、例えば、転写領域32Aより記録媒体30Aの搬送経路34の搬送方向下流側に設けられている。定着装置26は、定着部材26Aと、定着部材26Aに接触して配置される加圧部材26Bと、を有し、定着部材26Aと加圧部材26Bとの接触部で記録媒体30A上に転写されたトナー画像を定着する。具体的には、例えば、定着装置26は、画像形成装置10に設けられた制御装置36に電気的に接続されており、制御装置36により駆動制御されて、記録媒体30A上に転写されたトナー画像を熱及び圧力によって記録媒体30Aに定着する。
定着装置26としては、それ自体公知の定着器、例えば熱ローラ定着器、オーブン定着器等が挙げられる。
具体的には、例えば、定着装置26は、定着部材26Aとして、定着ロール又は定着ベルトと、加圧部材26Bとして、加圧ロール又は加圧ベルトとを備える周知の定着装置が適用される。
ここで、搬送経路34に沿って搬送されて感光体12と転写部材20との向かい合う領域(転写領域32A)を通過することによりトナー画像を転写された記録媒体30Aは、例えば、図示を省略する搬送部材によってさらに搬送経路34に沿って定着装置26の設置位置に到り、記録媒体30A上のトナー画像の定着が行われる。
トナー画像の定着によって画像形成された記録媒体30Aは、図示を省略する複数の搬送部材によって画像形成装置10の外部へと排出される。なお、感光体12は、除電装置24による除電後、再度、帯電装置15によって帯電電位に帯電される。
(画像形成装置の動作)
本実施形態に係る画像形成装置10の動作の一例について説明する。なお、画像形成装置10の各種動作は、制御装置36において実行する制御プログラムにより行われる。
画像形成装置10の画像形成動作について説明する。
まず、感光体12の表面が帯電装置15により帯電され、電圧印可装置15により電圧が印可される。静電荷像形成装置16は、帯電された感光体12の表面を画像情報に基づいて露光する。これにより、感光体12上に画像情報に応じた静電荷像が形成される。現像装置18では、トナーを含む現像剤により、感光体12の表面に形成された静電荷像が現像される。これにより、感光体12の表面に、トナー画像が形成される。
転写装置31では、感光体12の表面に形成されたトナー画像が記録媒体30Aへ転写される。記録媒体30Aに転写されたトナー画像は、定着装置26により定着される。
一方、トナー画像を転写した後の感光体12の表面が、クリーニング装置22におけるクリーニングブレード22Aによりクリーニング(清掃)される、その後除電装置24により除電される。
以下に実施例を挙げて本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔シリカ粒子の準備〕
-シリカ粒子(1)-
未処理(親水性)シリカ粒子「商品名:OX50(アエロジル社製)」100質量部に、疎水化処理剤として1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(東京化成工業(株)製)30質量部を添加し、24時間反応させ、その後、濾取し疎水化処理されたシリカ粒子(1)を得た。
このシリカ粒子(1)の縮合率は93%であり、表面にトリメチルシリル基を有していた。また、このシリカ粒子(1)の体積平均粒径は40nmであった。
<実施例1>
-下引層の作製-
酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と撹拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業(株)製)1.3質量部を添加し、2時間撹拌した。その後、テトラヒドロフランを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛(シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛)110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと撹拌混合し、アリザリン0.6質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間撹拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、更に60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60質量部と、硬化剤(ブロック化イソシアネート、スミジュール3175、住友バイエルンウレタン(株)製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBM-1、積水化学工業(株)製)15質量部と、メチルエチルケトン85質量部と、を混合した混合液を得た。この混合液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部と、を混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):40質量部と、を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径60mm、長さ357mm、肉厚1mmのアルミニウム基体上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い、下引層を得た。
-電荷発生層の作製-
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3°、16.0°、24.9°、28.0°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー(株)製)10質量部、n-酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn-酢酸ブチル175質量部、メチルエチルケトン180質量部を添加し、撹拌して電荷発生層形成用の塗布液を得た。この電荷発生層形成用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、常温(25℃)で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
-電荷輸送層の作製-
シリカ粒子(1)50質量部に、テトラヒドロフラン250質量部を入れ、20℃の液温に保ちながら4-(2,2-ジフェニルエチル)-4’,4’’-ジメチル-トリフェニルアミン25質量部、結着樹脂として、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:30,000)25質量部を加え、12時間撹拌混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
この電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布して135℃で40分間乾燥して電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
以上の工程を経て、アルミニウム基体上に、下引層と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に積層形成した有機感光体(1)を得た。
-無機表面層の形成-
次に、有機感光体(1)の表面へ、水素原子を含む酸化ガリウムで構成された無機表面層を形成した。この無機表面層の形成は、図2に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。
まず、有機感光体(1)を成膜装置の成膜室210内の基体支持部材213に載せ、排気口211を介して成膜室210内を圧力が0.1Paになるまで真空排気した。
次に、He希釈40%酸素ガス(流量1.6sccm)と水素ガス(流量50sccm)とを、ガス導入管220から直径85mmの平板電極219が設けられた高周波放電管部221内に導入し、高周波電力供給部218及びマッチング回路(図2中不図示)により、13.56MHzのラジオ波を出力150Wにセットしチューナでマッチングを取り平板電極219から放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、トリメチルガリウムガス(流量1.9sccm)を、ガス導入管215を介してシャワーノズル216から成膜室210内のプラズマ拡散部217に導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室210内の反応圧力は5.3Paであった。
この状態で、有機感光体(1)を500rpmの速度で回転させながら成膜し、有機感光体(1)の電荷輸送層表面に無機表面層を形成した。
無機表面層の外周面における表面粗さRaは、1.9nmであった。
無機表面層における、酸素とガリウムとの元素組成比(酸素/ガリウム)は1.25であった。
以上の工程を経て、導電性基体上に、下引層、電荷発生層、電荷輸送層、無機表面層が順次形成された、電子写真感光体を得た。
電子写真感光体の表面を非接触で帯電する帯電手段(非接触ストロコロン帯電器)と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を供給して、前記電子写真感光体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記電子写真感光体の表面に電圧を印可する電圧印可手段と、を備え、前記電圧印可手段を表1に記載の導電性ブラシに変更した画像形成装置(富士フイルムビジネスイノベーション(株)製VARSANT 2100 PRESS)の改造機を準備した。
前記において得られた電子写真感光体を、前記画像形成装置に組み込み、実施例1の電圧印可手段を得た。
<実施例2乃至5>
電圧印可手段である導電性ブラシの各物性を表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2乃至5の画像形成装置をそれぞれ得た。
<比較例1>
電圧印可手段を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の画像形成装置を得た。
<比較例2及び3>
電圧印可手段である導電性ブラシに印可する電圧における電圧波形の振幅の最大値と最小値との差Vppを表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2又は3の画像形成装置をそれぞれ得た。
-画質の評価-
各例で得られた画像形成装置を用い、以下の評価を行った。
22℃、55%RH環境下で10ptの文字サイズの文字画像を出力して画像形成を行い、1枚目及び15枚目に形成した画像を目視により評価した。
--評価基準--
A:文字の乱れがない。原稿にない筋が未発生。
B:文字の乱れがほとんど見えない。原稿にない筋が未発生。
C:文字が見えない。原稿にない筋が未発生。
D:文字の乱れがない。原稿にない筋が発生。
以上の評価結果より、実施例の画像形成装置では、画質に優れることが確認できた。
(((1))) 導電性基体、感光層、並びに、第13族元素及び酸素原子を含有する無機表面層をこの順に備えた電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を非接触で帯電する帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を供給して、前記電子写真感光体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記電子写真感光体の表面に電圧を印可する電圧印可手段と、を備え、前記電圧印可手段が印可する電圧における電圧波形の振幅の最大値と最小値との差Vppが、0.8kV以上7kV以下である画像形成装置。
(((2))) 前記電圧印可手段が、導電性ブラシ又は導電性ロールである(((1)))に記載の画像形成装置。
(((3))) 前記電圧印可手段が、導電性ブラシである(((2)))に記載の画像形成装置。
(((4))) 前記帯電手段が、前記電子写真感光体の表面に放電可能な手段である(((1)))~(((3)))のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(((5))) 前記帯電手段が、前記電子写真感光体と非接触のスコロトロン帯電器である(((1)))~(((4)))のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(((6))) 前記電圧印可手段の体積抵抗率が、10Ωcm以下である(((1)))~(((5)))のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(((7))) 前記電圧印可手段の体積抵抗率が、10Ωcm以上10Ωcm以下である(((6)))に記載の画像形成装置。
(((8))) 前記導電性ブラシの毛密度が、10,000本/inch以上500,000本/inch以下である(((3)))に記載の画像形成装置。
(((9))) 前記導電性ブラシの毛密度が、30,000本/inch以上500,000本/inch以下である(((8)))に記載の画像形成装置。
(((10))) 前記無機表面層が、酸化ガリウムを含む(((1)))~(((9)))のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(((1)))又は(((4)))に係る発明によれば、第13族元素及び酸素原子を含有する無機表面層を備えた電子写真感光体を有する画像形成装置において、電子写真感光体の表面に電圧を印可する電圧印可手段が印可する電圧における電圧波形の振幅の最大値と最小値との差Vppが、0.8kV未満又は7kV超である場合に比べ、画質に優れる画像形成装置が提供される。
(((2)))に係る発明によれば、前記電圧印可手段が、導電性粒子又は導電性ブレードによる帯電手段である場合に比べ、画質により優れる画像形成装置が提供される。
(((3)))に係る発明によれば、前記電圧印可手段が、導電性ロールである場合に比べ、画質により優れる画像形成装置が提供される。
(((5)))に係る発明によれば、前記帯電手段が、前記電子写真感光体と非接触のコロトロン帯電器である場合に比べ、画質により優れる画像形成装置が提供される。
(((6)))に係る発明によれば、前記電圧印可手段の体積抵抗率が、10Ωcmである場合に比べ、画質により優れる画像形成装置が提供される。
(((7)))に係る発明によれば、前記電圧印可手段の体積抵抗率が、10Ωcm未満又は10Ωcm超である場合に比べ、画質により優れる画像形成装置が提供される。
(((8)))に係る発明によれば、前記導電性ブラシの毛密度が、10,000本/inch未満又は500,000本/inch超である場合に比べ、画質により優れる画像形成装置が提供される。
(((9)))に係る発明によれば、前記導電性ブラシの毛密度が、30,000本/inch未満又は500,000本/inch超である場合に比べ、画質により優れる画像形成装置が提供される。
(((10)))に係る発明によれば、前記無機表面層が、酸化アルミニウムのみからなる場合に比べ、画質により優れる画像形成装置が提供される。
10:画像形成装置、12:感光体、14:接触方式の帯電部材、15:帯電装置、
14A:電圧印可部材、15A:電圧印可装置、16:静電荷像形成装置
18:現像装置、20:転写部材、22:クリーニング装置、22A:クリーニングブレード、24:除電装置、26:定着装置、30A:記録媒体、31:転写装置、36:制御装置、101:下引層、102:電荷発生層、103:電荷輸送層、104:導電性基体、105:有機感光層、106:無機表面層、107A,7:電子写真感光体(感光体)、8:帯電装置、9:露光装置、11:現像装置、13:クリーニング装置、14:潤滑材、30:駆動モータ、40:転写装置、50:中間転写体、60:制御装置、210:成膜室、211:排気口、212:基体回転部、213:基体支持部材、214:基体、215、220:ガス導入管、216:シャワーノズル、217:プラズマ拡散部、218:高周波電力供給部、219:平板電極、221:高周波放電管部、222:高周波コイル、223:石英管

Claims (10)

  1. 導電性基体、感光層、並びに、第13族元素及び酸素原子を含有する無機表面層をこの順に備えた電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を非接触で帯電する帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    静電荷像現像剤を供給して、前記電子写真感光体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
    前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    前記電子写真感光体の表面に電圧を印可する電圧印可手段と、を備え、
    前記電圧印可手段が印可する電圧における電圧波形の振幅の最大値と最小値との差Vppが、0.8kV以上7kV以下である
    画像形成装置。
  2. 前記電圧印可手段が、導電性ブラシ又は導電性ロールである請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記電圧印可手段が、導電性ブラシである請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記帯電手段が、前記電子写真感光体の表面に放電可能な手段である請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記帯電手段が、前記電子写真感光体と非接触のスコロトロン帯電器である請求項1に記載の画像形成装置。
  6. 前記電圧印可手段の体積抵抗率が、10Ωcm以下である請求項1に記載の画像形成装置。
  7. 前記電圧印可手段の体積抵抗率が、10Ωcm以上10Ωcm以下である請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記導電性ブラシの毛密度が、10,000本/inch以上500,000本/inch以下である請求項3に記載の画像形成装置。
  9. 前記導電性ブラシの毛密度が、30,000本/inch以上500,000本/inch以下である請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記無機表面層が、酸化ガリウムを含む請求項1に記載の画像形成装置。
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