JP2024045868A - トナー - Google Patents

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JP2024045868A JP2022150925A JP2022150925A JP2024045868A JP 2024045868 A JP2024045868 A JP 2024045868A JP 2022150925 A JP2022150925 A JP 2022150925A JP 2022150925 A JP2022150925 A JP 2022150925A JP 2024045868 A JP2024045868 A JP 2024045868A
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龍一郎 松尾
Ryuichiro Matsuo
伸 北村
Shin Kitamura
隆二 村山
Ryuji Murayama
徹 高橋
Toru Takahashi
仁思 佐野
Hitoshi Sano
尚邦 小堀
Naokuni Kobori
吉寛 小川
Yoshihiro Ogawa
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Abstract

【課題】低温定着性、耐ホットオフセット性向上と共に、画像ボソを抑制したトナーの提供。【解決手段】結着樹脂及び外添剤を有するトナーにおいて、外添剤は表面処理されたシリカ微粒子を含有し、シリカ微粒子の固体29Si-NMRのDD/MAS測定において、式(1)で表される構造中のSiaで示されるケイ素原子に対応するピークPD1の面積をSD1とし、式(2)で表される構造中のSibで示されるケイ素原子に対応するピークPD2の面積をSD2とした時、1.2≦(SD1+SD2)/SD1≦10.0を満たし、TIFF2024045868000021.tif25157結着樹脂は、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とを含有する、又はハイブリッド樹脂を含有するもので、各樹脂成分はそれぞれ所定のモノマーユニットを適量以上含有し、トナー表面におけるポリエステル樹脂成分の存在率をSp(面積%)、ビニル系樹脂成分の存在率をSs(面積%)としたとき、SpおよびSsが別式の関係を満たす。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、及び静電記録法などに用いられる静電荷像を現像するためのトナーに関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及し、印刷市場への適用が始まっている。印刷市場では、幅広いメディア(紙種)に対応しながら、高速、高画質、長時間連続稼働による高生産性が要求されるようになってきている。
高画質化の為には、トナーの帯電特性を安定化する必要がある。トナーの帯電特性を安定化する為に、外添剤の検討が種々行われている。例えば、特許文献1では、環状シロキサンにより表面処理を行ったシリカ粒子を外添することで帯電特性を向上させたトナーが開示されている。特許文献2には、表面に環状シロキサンを有するトナーが開示されている。
一方、幅広いメディアへの対応、および長時間連続稼働による高生産性を達成するために、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立するトナーが求められている。例えば、特許文献3には、ポリエステル樹脂と特定の構造を持つビニル樹脂を用いることで低温定着性と耐ホットオフセット性を両立するトナーが開示されている。
特開2016-167029号公報 特開2009-31426号公報 特開2021-189217号公報
しかしながら、さらなる高いレベルで高速、高画質、幅広いメディアへの対応、長時間連続稼働による高生産性を満足させるためには、トナーの帯電性の環境依存性が少ないことや、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立することに加えて、トナー一粒子中のミクロな帯電ムラを抑制し、さらなる高画質化を達成することが求められる。
通常、中間転写体を用いた転写方法においては、像担持体上に顕像化されたトナー像を中間転写体に転写後、更に中間転写体から転写材上に転写することが必要である。そのため、従来の方法と比べると転写回数が多くなり、トナーとしては、より高い転写性能を有することが望まれている。その際、特にエンボス紙のような凹凸が大きいメディアにトナーを転写する場合において、転写時に電界を受けた際にメディアの凹部と中間転写体のギャップで局所的な放電が発生しやすくなり、2次色のようなベタ画像においてメディアの凹部へトナーが転写せずに欠損する「画像ボソ」が発生する場合があり、更なる改善が必要であった。
特許文献1乃至特許文献3に開示されているトナーでは、低温定着性、耐ホットオフセット性、画像ボソの抑制を同時に満足させるには不十分であった。
本発明は上述した課題を解決するためになされるものであり、その目的は、更なる低温定着性、耐ホットオフセット性向上と共に、画像ボソを抑制したトナーを提供することである。
本発明は、結着樹脂を含有するトナー粒子及び該トナー粒子表面の外添剤を有するトナーにおいて、
該外添剤は、シリカ微粒子を含有し、該シリカ微粒子は、表面処理された処理シリカ微粒子であって、
該シリカ微粒子の固体29Si-NMRのDD/MAS測定において、下記式(1)で表される構造中のSiaで示されるケイ素原子に対応するピークPD1と、下記式(2)で表される構造中のSibで示されるケイ素原子に対応するピークPD2とが観測され、該ピークPD1の面積をSD1とし、該ピークPD2の面積をSD2としたとき、該SD1および該SD2が、
1.2≦(SD1+SD2)/SD1≦10.0を満たし、
Figure 2024045868000001
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基またはエチル基を表わす。)
該結着樹脂は、以下の(i)及び(ii)の少なくとも一方の規定を満たし、
(i)ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とを含有する
(ii)ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分とが化学的に結合したハイブリッド樹脂を含有する
該ポリエステル樹脂または該ポリエステル樹脂成分は、下記式(3)で表されるモノマーユニットを10質量%以上含有し、該ビニル系樹脂又は該ビニル系樹脂成分は、下記式(4)で表されるモノマーユニットを60質量%以上含有し、
Figure 2024045868000002
該トナー粒子表面における該ポリエステル樹脂又は該ポリエステル樹脂成分の存在率をSp(面積%)、該ビニル系樹脂又は該ビニル系樹脂成分の存在率をSs(面積%)としたとき、SpおよびSsが、下記式(5)及び(6)をみたすことを特徴とするトナーに関する。
Figure 2024045868000003
本発明によれば、更なる低温定着性、耐ホットオフセット性向上と共に、画像ボソを抑制したトナーを提供することができる。
本発明において、数値範囲を示す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
〔本発明の特徴〕
本発明者らは、更なる低温定着性、耐ホットオフセット性向上と共に、画像ボソを抑制したトナーを提供することを目的として、鋭意検討した結果、結着樹脂を含有するトナー粒子及び該トナー粒子表面の外添剤を有するトナーにおいて、
該外添剤は、シリカ微粒子を含有し、該シリカ微粒子は、表面処理された処理シリカ微粒子であって、
該シリカ微粒子の固体29Si-NMRのDD/MAS測定において、下記式(1)で表される構造中のSiaで示されるケイ素原子に対応するピークPD1と、下記式(2)で表される構造中のSibで示されるケイ素原子に対応するピークPD2とが観測され、該ピークPD1の面積をSD1とし、該ピークPD2の面積をSD2としたとき、該SD1および該SD2が、
1.2≦(SD1+SD2)/SD1≦10.0を満たし、
Figure 2024045868000004
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基またはエチル基を表わす。)
該結着樹脂は、以下の(i)及び(ii)の少なくとも一方の規定を満たし、
(i)ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とを含有する
(ii)ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分とが化学的に結合したハイブリッド樹脂を含有する
該ポリエステル樹脂または該ポリエステル樹脂成分は、下記式(3)で表されるモノマーユニットを10質量%以上含有し、該ビニル系樹脂又は該ビニル系樹脂成分は、下記式(4)で表されるモノマーユニットを60質量%以上含有し、
Figure 2024045868000005
該トナー粒子表面における該ポリエステル樹脂又は該ポリエステル樹脂成分の存在率をSp(面積%)、該ビニル系樹脂又は該ビニル系樹脂成分の存在率をSs(面積%)としたとき、SpおよびSsが、下記式(5)及び(6)を満たすトナーを用いることで、更なる低温定着性、耐ホットオフセット性向上と共に、画像ボソを抑制したトナーを得られることを見出した。
Figure 2024045868000006
上記効果が得られた理由は以下のように考えている。
画像ボソは、凹凸が大きいメディアにトナーを転写する場合において、転写時に電界を受けた際にメディアの凹部と中間転写体のギャップで局所的な放電の発生により生じる。この時、トナー表面にミクロな帯電ムラが大きい場合、トナー表面の局所的に帯電が集中した場所が起点となって放電が発生し、トナーの帯電性が低下して凹部へのトナーの転写が起こらずに画像ボソが生じると考えられる。このトナー表面のミクロな帯電ムラの原因の一つとして、帯電付与機能を持つシリカ微粒子がトナー表面に局在化することが挙げられる。
本発明のトナーに用いられるトナー粒子は、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立を目的として、(i)ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とを含有、または、(ii)ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分とが化学的に結合したハイブリッド樹脂を含有する。そのため、トナー粒子表面には、ポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂成分と、ビニル系樹脂またはビニル系樹脂成分が存在している。
本発明は、ポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂成分と、ビニル系樹脂またはビニル系樹脂成分が存在しているトナー粒子表面に、(SD1+SD2)/SD1が特定の範囲のシリカ微粒子を有することが特徴である。
本発明で用いられるシリカ微粒子は表面処理剤などにより表面処理されており(表面処理剤及び処理方法の詳細は後述する)、例えば、下記式(A)で表される構造を有している。
Figure 2024045868000007
(式(A)中のR1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立して、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、nは0以上の整数である。)
シリカ微粒子の表面に存在するシロキサン鎖の末端には、極性基O-R(式(A)においては-O-R5)が存在する。シロキサン鎖の末端にある極性基O-Rの極性の大きさは、シロキサン鎖の長さに関連し、シロキサン鎖が短くなるほど極性基O-Rの極性は大きくなり、長くなるほど極性は小さくなる。
シロキサン鎖が短くなると、シリカ微粒子の表面に存在する極性基O-Rの極性が大きくなり、同じく極性基であるエステル結合を多く持つポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂成分に静電的に付着しやすくなる。その結果、トナー表面のポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂成分にシリカ微粒子が局在しやすくなる。
一方、シロキサン鎖が長すぎると、上記式(2)で表される構造中のSibで示されるケイ素原子に結合するR(水素原子、メチル基又はエチル基)の構造が多くなりすぎる。そのため、分子内に炭化水素部を多く持つビニル系樹脂またはビニル系樹脂成分との組成的な親和性が高くなるため、トナー表面のビニル系樹脂またはビニル系樹脂成分にシリカ微粒子が局在しやすくなる。
つまり、シロキサン鎖の長さが特定の範囲にあることで、シリカ微粒子のトナー表面のポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂成分への付着のしやすさとビニル系樹脂またはビニル系樹脂成分への付着のしやすさのバランスが適正となる。その結果、トナー表面へのシリカ微粒子の局在化が抑制され、画像ボソの発生が抑制されたと考えられる。
シリカ微粒子は、シリカ微粒子基体の表面に結合したシロキサン鎖を有しており、所定の割合以下であれば、シリカ微粒子基体に結合せずに付着して存在するシロキサン鎖を有していてもよい。
ここで、シロキサン鎖の平均長さは、固体29Si-NMRのDD/MAS測定における、上記式(1)で表される構造中のSiaで示されるケイ素原子に対応するピークの面積(SD1)、及び上記式(2)で表される構造中のSibで示されるケイ素原子に対応するピークの面積(SD2)から、(SD1+SD2)/SD1により表すことができる。なお、「式(1)で表される構造中のSiaで示されるケイ素原子」は、いわゆる、D1単位構造を有するケイ素原子のことであり、「式(2)で表される構造中のSibで示されるケイ素原子」は、いわゆる、D2単位構造を有するケイ素原子のことである。
すなわち、シリカ微粒子は、シリカ微粒子の固体29Si-NMRのDD/MAS測定において、上記式(1)で表される構造中のSiaで示されるケイ素原子に対応するピーク(PD1)、及び上記式(2)で表される構造中のSibで示されるケイ素原子に対応するピーク(PD2)が観察される。そして、ピークPD1の面積をSD1とし、ピークPD2の面積をSD2としたとき、(SD1+SD2)/SD1が、1.2以上10.0以下である。
(SD1+SD2)/SD1は、6.3以上10.0以下であることが好ましい。(SD1+SD2)/SD1が上記範囲であると、トナー表面へのシリカ微粒子の局在化がさらに抑制されるため好ましい。
(SD1+SD2)/SD1の値は、シロキサン結合を含む表面処理剤の種類を変更することや、表面処理の温度、時間を変更することなどによって調整することができる。
ポリエステル樹脂またはポリエステル樹脂成分は、上記式(3)で表されるモノマーユニットを10質量%以上含有することが必要である。上記式(3)で表されるモノマーユニットを10質量%以上含有することで低温定着性と耐ホットオフセット性が向上し、かつトナー表面におけるシリカ微粒子の局在化が抑制される。
ビニル系樹脂またはビニル系樹脂成分は、上記式(4)で表されるモノマーユニットを60質量%以上含有することが必要である。上記式(4)で表されるモノマーユニットを60質量%以上含有することで、低温定着性と耐ホットオフセット性が向上し、かつトナー表面におけるシリカ微粒子の局在化が抑制される。
トナー粒子表面におけるポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂成分の存在率をSp(面積%)、ビニル系樹脂又はビニル系樹脂成分の存在率をSs(面積%)としたとき、SpおよびSsが、上記式(5)を満たす必要がある。SpおよびSsが、上記式(5)を満たすことで、低温定着性と耐ホットオフセット性が向上し、かつトナー表面におけるシリカ微粒子の局在化が抑制される。
また、SpおよびSsが、上記式(6)を満たす必要がある。SpおよびSsが、上記式(6)を満たすことで、低温定着性と耐ホットオフセット性が向上し、かつトナー表面におけるシリカ微粒子の局在化が抑制される。シリカ微粒子の局在化の抑制の観点から、SpおよびSsが、下記式(7)を満たすことが好ましい。なお、式(5)~(7)に係るSpおよびSsの算出方法の詳細は後述する。
Figure 2024045868000008
本発明のトナーは、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から、130℃における貯蔵弾性率G’(130℃)が1.0×102Pa以上1.0×105Pa以下であることが好ましい。トナーの貯蔵弾性率G’(130℃)の算出方法の詳細は後述する。
また、本発明のトナーに用いられる結着樹脂は低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から、ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分とが化学的に結合したハイブリッド樹脂を含有することが好ましい。
上記したシリカ微粒子にかかる物性の測定に際して、トナー粒子からシリカ微粒子を分離する必要がある場合、後述する方法にて分離した後に測定することができる。後述の分離方法では、水系媒体中で分離を行うため、ケイ素化合物の媒体への溶出が生じない。その結果、分離工程前のシリカ微粒子の物性を維持したままで、トナー粒子からのシリカ微粒子の分離を行うことができる。そのため、トナー粒子から分離したシリカ微粒子を用いて測定される各物性の値は、外添前のシリカ微粒子を用いて測定される各物性の値と、実質的に同じになる。
<固体29Si-NMRの測定方法>
固体29Si-NMRの測定条件は、具体的には下記の通りである。
装置:JNM-ECA400 (JEOL RESONANCE)
校正:TMS(テトラメチルシラン)を0ppm
温度:室温
測定法:DD/MAS法 29Si 45°
試料管:ジルコニア8.0mmφ
試料:試験管にシリカ微粒子を粉末状態で充填
試料回転数:6kHz
relaxation delay :90秒
Scan:5640
上述のような測定で得られたNMRスペクトルにおいて、-20ppm付近に現れるシロキサン鎖に対応するピークをピーク分離することにより、D1単位構造を有するケイ素原子に対応するピークPD1及びD2単位構造を有するケイ素原子に対応するピークPD2を得て、それぞれのピークから、ピーク面積SD1、SD2を求め、半値幅WD2を求める。ピーク分離は以下のような手順で行う。
(ピーク分離方法)
上述の方法で得られたNMRスペクトルのデータを、解析することによりピーク分離を行う。ピーク分離は以下に述べる手順で行えば、市販のソフトを用いてもよいし、独自に作成したプログラムを用いて行ってもよい。
ピークPD1の位置として-18.2ppmに、ピークPD2の位置として-21.0ppmに、それぞれのピーク位置を固定し、フォークト関数を用いてピーク分離処理を行う。
(トナー粒子からのシリカ微粒子の分離方法)
50mL容量のバイアルに「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤)の10質量%水溶液20gを秤量し、トナー1gと混合する。
いわき産業(株)製「KM Shaker」(model: V.SX)にセットし、speedを50に設定して30秒間振とうする。これにより、シリカ微粒子がトナー粒子表面から、水溶液側へ移行する。その後、磁性体を含有する磁性トナーの場合は、ネオジム磁石を用いてトナー粒子を拘束した状態で、上澄み液に移行したシリカ微粒子を分離させ、沈殿しているトナーを真空乾燥(40℃/24時間)することで乾固させて、シリカ微粒子を得る。
また、非磁性トナーの場合は、遠心分離機(H-9R;株式会社コクサン社製)(1000rpmにて5分間)にて、トナーと上澄み液に移行したシリカ微粒子を分離する。
なお、シリカ微粒子以外の外添剤がトナーに外添されている場合には、上述の方法でトナーから分離した外添剤に対して、遠心分離処理を行うことで、シリカ微粒子と他の外添剤を分離することができる。複数種のシリカ微粒子がトナーに外添されている場合であっても、粒径範囲が異なるものであれば、遠心分離処理で分離が可能であり、例えば、CS120FNX;株式会社日立工機社製を用いて、40000rpm、20分間の条件で分離を行うことができる。
〔シリカ微粒子の表面処理剤及び処理方法〕
シリカ微粒子はシリカ微粒子表面のシロキサン構造について上記の規定を満たすものが得られる限り、シリカ微粒子原体の表面を処理する表面処理剤については特に限定されるものではないが、シロキサン構造を有する処理剤を用いることが好ましい。
シロキサン結合を含む表面処理剤は特に限定されるものではなく公知の材料を用いることができる。シロキサン結合を含む表面処理剤は、例えば、ジメチルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル;メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、クロロアルキル変性シリコーンオイル、クロロフェニル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどのジメチルシリコーンオイルの側鎖又は末端を有機基で変性したシリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどの環状シロキサンである。
シロキサン結合を含む表面処理剤は、好ましくは環状シロキサンである。より好ましくは10員環までの環状シロキサンである。環状シロキサンは、ケイ素原子に結合しているメチル基の一部が置換基を有するものであってもよい。また、環状シロキサンの中でも、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサンからなる群から選択される少なくとも一であることが好ましい。鎖長の制御のしやすさ及び精製の容易さの観点から、オクタメチルシクロテトラシロキサンがより好ましい。
前記シリカ微粒子原体の表面処理を行う方法は特に限定されず、シロキサン結合を含む表面処理剤をシリカ微粒子に接触させることにより行うことができる。シリカ微粒子原体の表面に均一に本発明の構成を形成させる観点から、前記表面処理剤を乾式でシリカ微粒子原体に接触させることが好ましい。後述するように、前記表面処理剤の蒸気をシリカ微粒子原体に接触させる方法、または前記表面処理剤の原液あるいは各種溶媒による希釈液を噴霧してシリカ微粒子原体に接触させる方法が挙げられる。
処理温度は、用いた表面処理剤の反応性等によっても異なるが、好ましくは150℃以上380℃以下、より好ましくは300℃以上380℃以下である。
処理時間は、処理温度や用いた表面処理剤の反応性によっても異なるが、好ましくは5分以上300分以下、より好ましくは30分以上180分以下である。表面処理の処理温度及び処理時間が上述の範囲であると、処理剤をシリカ微粒子原体と十分に反応させる観点、および生産効率の観点からも好ましい。
前記表面処理剤のシリカ微粒子原体への接触は、減圧下、または窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気下において、前記表面処理剤の蒸気を接触させる方法が好ましい。蒸気を接触させる方法を用いることにより、シリカ微粒子表面と反応しない表面処理剤を除去しやすく、水分吸着量の制御が容易となる。前記表面処理剤の蒸気を接触させる方法を用いる場合、表面処理剤の沸点以上の処理温度で処理する必要がある。
環状シロキサンの中でも鎖長の制御のし易さ及び精製の容易さの観点から、オクタメチルシクロテトラシロキサンがより好ましい。
環状シロキサンの添加量は、前記シリカ原体微粒子100質量部に対して、40質量部以上150質量部以下が好ましく、70質量部以上150質量部以下がより好ましい。特に、環状シロキサンを蒸気により接触させる方法で表面処理する場合は、シリカ原体微粒子に対して100質量部以上添加することで、シリカ原体微粒子を均一に表面処理することができる。
また、減圧下で表面処理を行う場合は、容器内の表面処理剤の蒸気による圧力が0.1Pa以上100Pa以下となるようにすることが好ましく、1.0Pa以上10Pa以下がさらに好ましい。前記圧力範囲とすることで、表面処理剤の蒸気分子が互いに接触する頻度が低減され表面処理剤同士の化学的反応を抑制し、シリカ原体微粒子表面に接触した表面処理剤とシリカ原体微粒子との化学的反応を優先的に行うことができる。さらに、シリカ原体微粒子と表面処理剤との化学的反応で発生した反応副生成物を、シリカ微粒子表面近傍から除去しやすく、表面処理剤がシリカ原体微粒子の表面により接触させやすくなり、シリカ原体微粒子をより均一に表面処理することができる。
また、減圧下で表面処理を行う場合は、表面処理剤をシリカ原体微粒子の表面に接触させる前に、シリカ原体微粒子を減圧下で加熱を行い、シリカ原体微粒子の表面に吸着した水分などを除去する脱気処理を行うことが好ましい。このようにすることで、シリカ原体微粒子と表面処理剤がシリカ原体微粒子の表面により接触しやすくなり、シリカ原体微粒子をより均一に表面処理することができる。また、表面処理剤をシリカ原体微粒子の表面により接触しやすくする観点から、前記脱気処理と、表面処理剤によるシリカ微粒子の表面処理とを繰り返し行うことも好ましい。
また、本発明の規定を満たす範囲内であれば、上述のような方法でシリカ微粒子を得た後に、上述したシロキサン結合を含む表面処理剤を用いてさらなる処理を行ってもよい。処理を行う方法は特に限定されず、例えば、シロキサン結合を含む表面処理剤をシリカ微粒子に接触させることにより行うことができる。
表面処理前のシリカ微粒子であるシリカ原体としては、公知の材料を用いることができる。例えば、ケイ素化合物、特にケイ素のハロゲン化物、一般にはケイ素の塩化物、通常は精製した四塩化ケイ素を酸水素火炎中で燃焼して製造されたフュームドシリカ、水ガラスから製造される湿式シリカ、湿式法により得られるゾルゲル法シリカ粒子、ゲル法シリカ粒子、水性コロイダルシリカ粒子、アルコール性シリカ粒子、気相法により得られる溶融シリカ粒子、爆燃法シリカ粒子等が挙げられる。
本発明に用いられるシリカ微粒子は、シリカ微粒子の局在化抑制の観点から、表面処理後のBET比表面積は、60m2/g以上160m2/g以下が好ましく、70m2/g以上160m2/g以下がより好ましい。
<シリカ粒子のBET比表面積の測定>
BET比表面積は、BET法(好ましくはBET多点法)に従って、動的定圧法による低温ガス吸着法により求めることができる。例えば、比表面積測定装置(商品名:ジェミニ2375 Ver.5.0、(株)島津製作所製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて測定することにより、BET比表面積(m2/g)を算出することができる。
〔トナー粒子の結着樹脂〕
本発明のトナー粒子に用いられる結着樹脂は、以下の(i)及び(ii)の少なくとも一方の規定を満たすことが重要である。
(i)ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とを含有する
(ii)ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分とが化学的に結合したハイブリッド樹脂を含有する
ポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂成分を構成する成分について詳述する。なお、以下の成分は種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができるが、上述の通り上記式(3)で表されるモノマーユニットを10質量%以上含有することが必要である。
ポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂成分を構成する2価の酸成分としては、以下のジカルボン酸又はその誘導体が挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル;炭素数の平均値が1以上50以下のアルケニルコハク酸類又はアルキルコハク酸類、又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸類又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル。該低級アルキルエステル中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。
ポリエステル樹脂を構成する2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられる。
エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、水素化ビスフェノールA、式(I-1)で表されるビスフェノール及びその誘導体:及び式(I-2)で示されるジオール類。
Figure 2024045868000009
(式(I-1)中、Rはエチレン基又はプロピレン基であり、x、yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
Figure 2024045868000010
(式(I-2)中、R’はエチレン基又はプロピレン基であり、x’、y’はそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x’+y’の平均値は0以上10以下である。)
該ポリエステル樹脂の構成成分は、上述の2価のカルボン酸化合物及び2価のアルコール化合物以外に、3価以上のカルボン酸化合物、3価以上のアルコール化合物を構成成分として含有してもよい。
3価以上のカルボン酸化合物としては、特に制限されないが、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。また、3価以上のアルコール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリンなどが挙げられる。
ポリエステル樹脂の構成成分は、上述した化合物以外に、1価のカルボン酸化合物及び1価のアルコール化合物を構成成分として含有してもよい。具体的には、1価のカルボン酸化合物としては、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸などが挙げられる。また、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、テトラコンタン酸、ペンタコンタン酸なども挙げられる。
また、1価のアルコール化合物としては、ベヘニルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、テトラコンタノールなどが挙げられる。
ビニル樹脂又はビニル系樹脂成分を構成する成分について詳述する。なお、以下の成分は種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができるが、上述の通り上記式(4)で表されるモノマーユニットを60質量%以上含有することが必要である。
ビニル樹脂又はビニル系樹脂成分を構成するビニル系モノマーとしては、スチレン;o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-フェニルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、p-クロルスチレン、3,4-ジクロルスチレン、m-ニトロスチレン、o-ニトロスチレン、p-ニトロスチレンの如きスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα-メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸-2-クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N-ビニルピロール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N-ビニルピロリドンの如きN-ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β-不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β-不飽和酸無水物、前記α,β-不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
さらに、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4-(1-ヒドロキシ-1-メチルブチル)スチレン、4-(1-ヒドロキシ-1-メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
上述の通り、本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分とが化学的に結合したハイブリッド樹脂を含有することが好ましい。
ハイブリッド樹脂を製造する際には、ポリエステル樹脂成分及びビニル系樹脂成分のいずれか一方または両方の中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系樹脂成分と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。ビニル系樹脂成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基またはヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分とが化学的に結合したハイブリッド樹脂を得る方法としては、先に挙げたポリエステル樹脂成分及びビニル系樹脂成分のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応を行うことにより得る方法が好ましい。
本発明に使用できるビニル系重合体ユニットを製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2-(カーバモイルアゾ)-イソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2-フェニルアゾ-2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチル-プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-クミルパーオキサイド、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド、ジ-イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ-メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシネオデカノエイト、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾエイト、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、t-ブチルパーオキシアリルカーボネート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ-t-ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
本発明のトナーに用いられるハイブリッド樹脂を調製するための製造方法としては、例えば、以下の(1)乃至(5)に示す製造方法を挙げることができる。
(1)ビニル系樹脂とポリエステル系樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行ってハイブリッド樹脂を合成する方法。
(2)ビニル系樹脂成分を製造後に、この存在下にポリエステル系樹脂成分を構成するモノマーを反応させ、ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分を有するハイブリッド樹脂を製造する方法。ハイブリッド樹脂はビニル系樹脂成分(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(多価アルコール、多価カルボン酸)との反応、及び前記ビニル系樹脂成分及びモノマーと必要に応じて添加されるポリエステル樹脂成分との反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(3)ポリエステル樹脂成分を製造後に、この存在下にビニル系樹脂成分を構成するモノマーを反応させ、ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分を有するハイブリッド樹脂を製造する方法。ハイブリッド樹脂成分はポリエステル樹脂成分(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマーとの反応、及び前記ユニット及びモノマーと必要に応じて添加されるビニル系樹脂成分との反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(4)ビニル系樹脂成分及びポリエステル樹脂成分を製造後に、これらの樹脂成分存在下にビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(多価アルコール、多価カルボン酸)のいずれか一方または両方を添加し、添加したモノマーに応じた条件の重合反応を行うことにより、ハイブリッド樹脂成分を製造する方法。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(5)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(多価アルコール、多価カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系樹脂成分、ポリエステル樹脂成分及びハイブリッド樹脂を製造する方法。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
〔トナー粒子のその他の構成成分〕
本発明のトナーは、磁性一成分トナー、非磁性一成分トナー、非磁性二成分トナーのいずれのトナーとしても使用できる。
磁性一成分トナーとして用いる場合、着色剤としては、磁性酸化鉄粒子が好ましく用いられる。磁性一成分トナーに含まれる磁性酸化鉄粒子としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトのような磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、及びこれらの混合物が挙げられる。
磁性酸化鉄粒子の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、30質量部以上150質量部以下が好ましい。
非磁性一成分トナー、及び非磁性二成分トナーとして用いる場合の着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色の顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが用いられ、また、マグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15;1、15;2、15;3、15;4、16、17、60、62、66等、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48;2、48;3、48;4、49,50,51,52,53,54,55,57,57;1、58,60,63,64,68,81,81;1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166、169、177、184,185,202,206,207,209,220、221、238、254等、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52、58、63、81,82,83,84,100,109,111、121、122等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40等、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下が好ましい。
トナーに離型性を与えるために、離型剤(ワックス)を用いてもよい。ワックスの一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化型ワックス;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系共重合モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
特に好ましく用いられるワックスは、脂肪族炭化水素系ワックスである。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒で重合した低分子量の炭化水素;石炭又は天然ガスから合成されるフィッシャートロプシュワックス;パラフィンワックス;高分子量のオレフィンポリマーを熱分解して得られるオレフィンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。特に前記パラフィンワックスの中でも直鎖成分が主であるn-パラフィンワックスやフィッシャートロプシュワックスが分子量分布の観点から好ましい。
これらワックスは、一種類を単独で使用してもよいし二種類以上を併用して使用してもよい。ワックスは、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。
トナーは、荷電制御剤として、既知の荷電制御剤を用いることができる。既知の荷電制御剤としては、アゾ系鉄化合物、アゾ系クロム化合物、アゾ系マンガン化合物、アゾ系コバルト化合物、アゾ系ジルコニウム化合物、カルボン酸誘導体のクロム化合物、カルボン酸誘導体の亜鉛化合物、カルボン酸誘導体のアルミ化合物、カルボン酸誘導体のジルコニウム化合物が挙げられる。前記カルボン酸誘導体は、芳香族ヒドロキシカルボン酸が好ましい。また、荷電制御樹脂も用いることもできる。必要に応じて一種類又は二種類以上の荷電制御剤を併用してもかまわない。荷電制御剤は結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下添加することが好ましい。
〔外添剤のトナー粒子への添加〕
本発明のトナーにおけるシリカ微粒子の量は、トナー粒子100質量部に対して、シリカ微粒子を0.01質量部以上10.00質量部以下用いることが好ましく、0.20質量部以上2.00質量部以下用いることがより好ましい。さらに好ましくは0.40質量部以上1.5質量部以下であるとよい。これにより、シリカ微粒子がトナー粒子を適切に被覆することができ、より効果的に本発明の作用が発現し帯電安定性が良好となり、部材汚染を抑制することができる。
トナー粒子への外添は、トナー粒子と外添剤を以下のような混合機により混合することで行うことができる。混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。
〔トナー粒子の製造方法〕
本発明のトナーを製造する方法としては、特に限定されず、公知の方法によって製造することができる。例えば、粉砕法、乳化凝集法、懸濁重合法、溶解懸濁法などが挙げられる。
(粉砕法)
粉砕法により製造されるトナー粒子は、例えば下記のようにして製造される。結着樹脂、着色剤及び必要に応じてその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミルのような混合機により充分混合する。混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練する。その際、ワックス、磁性酸化鉄粒子及び含金属化合物を添加することもできる。溶融混練物を冷却固化した後、粉砕及び分級を行い、トナー粒子を得る。この際、微粉砕時の排気温度を調整することで、トナー粒子表面のシリカ微粒子の埋没率を制御することができる。トナー粒子とシリカ外添剤をヘンシェルミキサーのような混合機により混合し、トナーを得ることができる。
混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。
混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。
粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。
また、必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、イノマイザ(ホソカワミクロン社製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)、メカノミル(岡田精工社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)を用いて、トナー粒子の表面処理を行い、トナー粒子表面のシリカ微粒子の埋没率を制御することもできる。
分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。
粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
(乳化凝集法)
乳化凝集法により製造されるトナー粒子は、例えば下記のようにして製造される。
・樹脂微粒子分散液を調製する工程(調製工程):
例えば、結着樹脂成分を有機溶媒に溶解し、均一な溶解液を形成する。その後、必要に応じて塩基性化合物や界面活性剤を添加する。この溶解液にホモジナイザーなどによりせん断力を付与しながら水系媒体をゆっくり添加し結着樹脂の樹脂微粒子を形成する。最後に有機溶媒を除去し樹脂微粒子が分散された樹脂微粒子分散液を作製する。
該樹脂微粒子分散液の調製に際し、有機溶媒に溶解させる樹脂成分の添加量は、有機溶媒100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下であることが好ましく、30質量部以上50質量部以下であることがより好ましい。
有機溶媒としては、樹脂成分を溶解できるものであればどのようなものでも使用可能であるが、トルエン、キシレン、酢酸エチルなどのオレフィン系樹脂に対する溶解度の高い溶媒が好ましい。
該界面活性剤は、特に限定されない。例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、カルボン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型などのカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系の非イオン系界面活性剤が挙げられる。
該塩基性化合物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの無機塩基やトリエチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノールなどの有機塩基が挙げられる。該塩基性化合物は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
・凝集工程:
凝集工程は、例えば、上記樹脂微粒子分散液に、必要に応じて、着色剤微粒子分散液、脂肪族炭化水素微粒子分散液、及びシリコーンオイル乳化液を混合し、混合液を調製し、ついで、調製された混合液中に含まれる微粒子を凝集して、凝集体粒子を形成させる工程である。
該凝集体粒子を形成させる方法としては、凝集剤を上記混合液中に添加及び混合し、温度を上げたり、機械的動力などを適宜加えたりする方法が好適に例示できる。
該着色剤微粒子分散液は、上記着色剤を分散させて調製される。着色剤微粒子は公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライターなどのメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機などが好ましく用いられる。また、必要に応じて分散安定性を付与する界面活性剤や高分子分散剤を添加することができる。
脂肪族炭化水素微粒子分散液、及びシリコーンオイル乳化液は、各材料を水系媒体中に分散させて調製する。各材料は公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライターなどのメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機などが好ましく用いられる。また、必要に応じて分散安定性を付与する界面活性剤や高分子分散剤を添加することができる。
該凝集剤としては、例えば、ナトリウム、カリウムなどの1価の金属の金属塩;カルシウム、マグネシウムなどの2価の金属の金属塩;鉄、アルミニウムなどの3価の金属の金属塩;ポリ塩化アルミニウムなどの多価金属塩が挙げられる。凝集工程の粒子径制御性の観点から塩化カルシウムや硫酸マグネシウムなどの2価の金属の金属塩が好ましい。
該凝集剤の添加及び混合は、室温から75℃までの温度範囲で行うことが好ましい。この温度条件下で上記混合を行うと、凝集が安定した状態で進行する。上記混合は、公知の混合装置、ホモジナイザー、ミキサーなどを用いて行うことができる。
・融合工程:
融合工程は、該凝集体粒子を、好ましくはオレフィン系樹脂の融点以上に加熱し融合することで、凝集体粒子表面を平滑化した粒子を製造する工程である。
融合工程に入る前に、得られた樹脂粒子間の融着を防ぐため、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤などを適宜投入することができる。
キレート剤の例としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)及びそのNa塩などのアルカリ金属塩、グルコン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸カリウム及びクエン酸ナトリウム、ニトリロトリアセテート(NTA)塩、COOH及びOHの両方の官能性を含む多くの水溶性ポリマー類(高分子電解質)が挙げられる。
融合工程の時間は、加熱温度が高ければ短い時間で足り、加熱温度が低ければ長い時間が必要である。すなわち、加熱融合の時間は、加熱の温度に依存するので一概に規定することはできないが、一般的には10分~10時間程度である。
・冷却工程:
融合工程で得られた樹脂粒子を含む水系媒体の温度を冷却する工程である。特に限定されないが具体的な冷却速度は、0.1~50℃/分程度である。
・洗浄工程:
上記工程を経て作製した樹脂粒子を、洗浄及びろ過を繰り返すことにより、樹脂粒子中の不純物を除去することができる。
具体的には、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)及びそのNa塩などのキレート剤を含有した水溶液を用いて樹脂粒子を洗浄し、さらに純水で洗浄することが好ましい。
純水での洗浄とろ過を複数回繰り返すことにより、樹脂粒子中の金属塩や界面活性剤などを除くことができる。ろ過の回数は3~20回が製造効率の点から好ましく、3~10回がより好ましい。
・乾燥および分級工程:
洗浄された樹脂粒子の乾燥を行い、適宜分級することによりトナー粒子を得ることができる。
(溶解懸濁法)
溶解懸濁法により製造されるトナー粒子は、例えば下記のように製造される。
溶解懸濁法では、結着樹脂成分を有機溶媒に溶解して得られた樹脂組成物を、水系媒体に分散させて該樹脂組成物の粒子を造粒した後、該樹脂組成物の該粒子に含まれる該有機溶媒を除去することにより、トナー粒子を製造する。
該溶解懸濁法は、有機溶剤に溶解する樹脂成分であれば適応することが可能であることに加え、脱溶剤時の条件により形状制御が容易である。
以下、溶解懸濁法を用いたトナーの製造方法を具体的に記載するが、これに限定されるものではない。
・樹脂成分溶解工程:
樹脂成分溶解工程では結着樹脂、並びに、必要に応じて、着色剤、脂肪族炭化水素及びシリコーンオイルなどの他の成分を有機溶媒に溶解又は分散して樹脂組成物を調製する。
使用される有機溶媒は、樹脂成分を溶解し得る有機溶媒であれば任意の溶媒を使用できる。具体的には、トルエン、キシレン、クロロホルム、塩化メチレン及び酢酸エチルなどが挙げられる。なお、結晶性樹脂の結晶化促進性及び溶媒除去の容易性からトルエン、酢酸エチルを使用することが好ましい。
該有機溶媒の使用量には制限がないが、樹脂組成物が水などの貧媒体中に分散し、造粒できる粘度となる量であればよい。具体的には、樹脂成分、並びに、必要に応じて、着色剤、脂肪族炭化水素及びシリコーンオイルなどの他の成分と有機溶媒の質量比が10/90~50/50が後述の造粒性及びトナー粒子の生産効率の観点から好ましい。
一方、着色剤、脂肪族炭化水素及びシリコーンオイルは有機溶媒に溶解している必要はなく、分散していてもよい。着色剤、脂肪族炭化水素及びシリコーンオイルを分散状態で使用する場合は、ビーズミルなどの分散機を使用して分散させることが好ましい。
・造粒工程:
造粒工程は、得られた樹脂組成物を水系媒体に、所定のトナー粒子径になるように、分散剤を用いて分散させて、樹脂組成物の粒子を調製する工程である。
水系媒体としては、主に水が用いられる。
また、該水系媒体は、1価の金属塩を1質量%以上30質量%以下含有することが好ましい。1価の金属塩を含有していることにより、樹脂組成物中の有機溶媒が水系媒体中へ拡散することが抑制され、得られたトナー粒子に含まれる樹脂成分の結晶性が高まる。
その結果、トナーの耐ブロッキング性が良好になり易く、かつトナーの粒度分布が良好になり易い。
該1価の金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭化カリウムが例示でき、これらのうち、塩化ナトリウム、塩化カリウムが好ましい。
また、水系媒体と樹脂組成物の混合比(質量比)は、水系媒体/樹脂組成物=90/10~50/50が好ましい。
上記分散剤は特に限定されないが、有機系分散剤として、陽イオンタイプ、陰イオンタイプ及びノニオンタイプの界面活性剤が用いられ、陰イオンタイプのものが好ましい。
例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。一方、無機系分散剤としてリン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム微粒子、酸化チタン微粒子及びシリカ微粒子などが挙げられる。
これらのうち、無機系分散剤のリン酸三カルシウムが好ましい。その理由は、造粒性及びその安定性、さらには得られるトナーの特性に対する悪影響が極めて少ないためである。
分散剤の添加量は造粒物の粒子径に応じて決定され、分散剤の添加量が増加すれば粒子径が小さくなる。そのために、所望の粒子径によって分散剤の添加量は異なるが、樹脂組成物に対して0.1質量%以上15質量%以下の範囲で用いられるのが好ましい。
また、水系媒体中で樹脂組成物の粒子を調製する際は、高速剪断下で行われるのが好ましい。高速剪断を与える装置としては各種の高速分散機や超音波分散機が挙げられる。
・脱溶剤工程:
脱溶剤工程では、得られた樹脂組成物の粒子に含まれる有機溶媒を除去し、トナー粒子を製造する。該有機溶媒の除去は、撹拌しながら、実施するとよい。
・洗浄乾燥および分級工程:
該脱溶剤工程の後に、水などで複数回洗浄し、トナー粒子をろ過及び乾燥する洗浄乾燥工程を実施してもよい。また、分散剤にリン酸三カルシウムなどの酸性条件で溶解する分散剤を使用した場合は、塩酸などで洗浄後に水洗することが好ましい。洗浄を行うことで造粒のために使用した分散剤を除去することができる。洗浄後、ろ過乾燥を行い、適宜分級することによりトナー粒子を得ることができる。
(懸濁重合法)
懸濁重合法により製造されるトナー粒子は、例えば下記のように製造される。
重合性単量体、着色剤、ワックス成分、および重合開始剤などを、ホモジナイザー、ボールミル、超音波分散機等の分散機によって均一に溶解又は分散させた重合性単量体組成物を調製し、前記重合性単量体組成物を水系媒体中に分散して重合性単量体組成物の粒子を造粒後、前記重合性単量体組成物からなる粒子中の重合性単量体を重合させることにより重合粒子を得る。
この際に、前記重合性単量体組成物は、着色剤を第1の重合性単量体(あるいは一部の重合性単量体)に分散させた分散液を、少なくとも第2の重合性単量体(あるいは残りの重合性単量体)と混合して調製されたものであることが好ましい。すなわち、着色剤を第1の重合性単量体に十分に分散させた状態にした後に、他のトナー材料と共に第2の重合性単量体と混合することにより、着色剤をより良好な分散状態で重合粒子中に存在させることができる。
得られた重合粒子を公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥、分級することによりトナー粒子が得られる。
(トナー粒子への外添剤添加工程)
上述したような方法により得られたトナー粒子と外添剤とをヘンシェルミキサーのような混合機により混合し、トナーを得ることができる。
本発明のトナーの重量平均粒径(D4)は4.0μm以上15.0μm以下が好ましい。さらに好ましくは4.0μm以上9.0μm以下である。これにより、シリカ微粒子がトナー粒子を適切に被覆できることに加えて、シリカ微粒子とトナー粒子の接触面積が最適化され、より効果的に本発明の作用が発現し更なる低温定着性、耐ホットオフセット性向上と共に、画像ボソを抑制することができる。
<トナーの重量平均粒径の測定方法>
トナーの重量平均粒径は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出した。測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<トナー粒子表面におけるSp/(Sp+Ss)およびSp+Ssの測定方法>
FT-IRスペクトルは、ユニバーサルATR測定アクセサリー(Universal ATR Sampling Accessory)を装着したフーリエ変換赤外分光分析装置(Spectrum One;PerkinElmer社製)を用い、ATR法で測定する。具体的な測定手順と、SpおよびSsの算出方法は以下の通りである。
赤外光の入射角は45°に設定する。ATR結晶としては、GeのATR結晶(屈折率=4.0)を用いる。その他の条件は以下の通りである。
Range
Start:4000cm-1
End:600cm-1(GeのATR結晶)
Duration
Scan number:16
Resolution:4.00cm-1
Advanced :CO2/H2O補正あり
(トナーからの外添剤の分離方法)
50mL容量のバイアルに「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤)の10質量%水溶液20gを秤量し、トナー1gと混合する。
いわき産業(株)製「KM Shaker」(model: V.SX)にセットし、speedを50に設定して30秒間振とうする。これにより、外添剤がトナー粒子表面から、水溶液側へ移行する。その後、磁性体を含有する磁性トナーの場合は、ネオジム磁石を用いてトナーを拘束した状態で、上澄み液に移行した外添剤を分離させ、沈殿しているトナーを真空乾燥(40℃/24時間)することで乾固させて、外添剤を分離したトナーを得る。
また、非磁性トナーの場合は、遠心分離機(H-9R;株式会社コクサン社製)(1000rpmにて5分間)にて、トナーと上澄み液に移行した外添剤とを分離する。その後、トナー部分を回収し、真空乾燥(40℃/24時間)することで乾固させて、外添剤を分離したトナーを得る。
[Sp/(Sp+Ss)の算出方法]
(1)GeのATR結晶(屈折率=4.0)を装置に装着する。
(2)Scan typeをBackground、UnitsをEGYに設定し、バックグラウンドを測定する。
(3)Scan typeをSample、UnitsをAに設定する。
(4)トナーをATR結晶の上に、0.01g精秤する。
(5)圧力アームでサンプルを加圧する。(Force Gaugeは90)
(6)サンプルを測定する。
(7)得られたFT-IRスペクトルを、Automatic Correctionでベースライン補正をする。
(8)次に、トナーに使用したポリエステル樹脂またはポリエステル樹脂成分と、ビニル系樹脂またはビニル系樹脂成分を、比率を振って混合し、トナーと同様にそれぞれ上記のように測定し、各樹脂混合物のスペクトルを得る。
(9)各樹脂混合物のスペクトル中のモノマー由来のピーク比とトナーから得られたスペクトル中のモノマー由来のピーク比を比較し、トナーに最も近しいポリエステル樹脂またはポリエステル樹脂成分と、ビニル系樹脂またはビニル系樹脂成分の比率からSp/(Sp+Ss)を算出した。
[Sp+Ssの算出方法]
(1)上記Sp/(Sp+Ss)を算出した比率の樹脂混合物を、上記と同様に測定してスペクトルを得る。
(2)トナーから得られたスペクトル中のモノマー由来のピーク強度と、樹脂混合物から得られたスペクトル中のモノマー由来のピーク強度の比率からSp+Ssを算出する。
トナーに使用したポリエステル樹脂またはポリエステル樹脂成分と、ビニル系樹脂またはビニル系樹脂成分を構成するモノマーは、トナーから分析することも可能である。下記にその手法を示す。
<樹脂成分のモノマー分析方法>
[トナーから樹脂成分の分離]
トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、得られた可溶分から溶媒を減圧留去して、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分を得る。得られたトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分をクロロホルムに溶解し、濃度25mg/mLの試料溶液を調製する。得られた試料溶液3.5mLを、下記装置に注入し、下記条件で、分子量2000未満の離型剤由来の低分子量成分と、分子量2000以上の樹脂成分由来の高分子量成分とを分取する。
分取GPC装置:日本分析工業(株)製 分取HPLC LC-980型
分取用カラム:JAIGEL 3H、JAIGEL 5H(日本分析工業(株)社製)
溶離液:クロロホルム
流速:3.5mL/min
樹脂成分由来の高分子量成分を分取した後、溶媒を減圧留去し、さらに90℃雰囲気中、減圧下で24時間乾燥する。樹脂が100mg程度得られるまで上記操作を繰り返す。得られた樹脂を40℃で24時間減圧乾燥する。
[樹脂成分のモノマー分析]
樹脂成分のモノマーの種類は、トナーから分取した各樹脂成分の試料を下記条件で熱分解GC/MS装置を用いて分析する。
測定装置:「Voyager」(商品名、サーモエレクトロン社製)
熱分解温度:600℃
カラム:HP-1(15m×0.25mm×0.25μm)
Inlet:300℃、Split:20.0
注入量:1.2mL/min
昇温:50℃(4min)-300℃(20℃/min)
<トナーの貯蔵弾性率G’(130℃)の測定方法>
測定装置としては、回転平板型レオメーター「ARES」(TA INSTRUMENTS社製)を用いる。測定試料としては、25℃の環境下で、錠剤成型器を用いて、トナーを直径7.9mm、厚さ2.0±0.3mmの円板状に加圧成型した試料を用いる。該試料をパラレルプレートに装着し、室温(25℃)から100℃に15分間で昇温して、試料の形を整えた後、粘弾性の測定開始温度まで冷却し、測定を開始する。この際、初期のノーマルフォースが0になるようにサンプルをセットすることが、重要である。また、以下に述べるように、その後の測定においては、自動テンション調整(Auto Tension Adjustment ON)にすることで、ノーマルフォースの影響をキャンセルできる。
測定は、以下の条件(1)~(10)で行う。
(1)直径7.9mmのパラレルプレートを用いる。
(2)周波数(Frequency)は6.28rad/sec(1.0Hz)とする。
(3)印加歪初期値(Strain)を0.1%に設定する。
(4)30乃至200℃の間を、昇温速度(Ramp Rate)2.0℃/minで測定を行う。尚、測定においては、以下の自動調整モードの設定条件で行う。自動歪み調整モード(Auto Strain)で測定を行う。
(5)最大歪(Max Applied Strain)を20.0%に設定する。
(6)最大トルク(Max Allowed Torque)200.0g・cmとし、最低トルク(Min Allowed Torque)0.2g・cmと設定する。
(7)歪み調整(Strain Adjustment)を「20.0% of Current Strain」と設定する。測定においては、自動テンション調整モード(Auto Tension)を採用する。
(8)自動テンションディレクション(Auto Tension Direction)をコンプレッション(Compression)と設定する。
(9)初期スタティックフォース(Initial Static Force)を10.0g、自動テンションセンシティビティ(Auto Tension Sensitivity)を40.0gと設定する。
(10)自動テンション(Auto Tension)の作動条件は、サンプルモデュラス(Sample Modulus)が1.0×103Pa以上である。
上記の方法により得られた温度T(℃)-貯蔵弾性率G’(Pa)曲線から、貯蔵弾性率G’(130℃)を求める。
〔磁性キャリア〕
本発明のトナーと、磁性キャリアとを混合して二成分現像剤として使用してもよい。磁性キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイト等の磁性キャリアや樹脂コートキャリアを使用することができる。また、樹脂成分中に磁性体紛が分散された磁性体分散型樹脂粒子、又は空隙部に樹脂を含有する多孔質磁性粒子を用いることができる。
前記磁性体分散型樹脂粒子に使用する磁性体成分としては、マグネタイト粒子粉末、マグヘマイト粒子粉末、又はこれらにケイ素の酸化物、ケイ素の水酸化物、アルミニウムの酸化物及びアルミニウムの水酸化物から選ばれる少なくとも1種が含まれる磁性鉄酸化物粒子粉末;バリウム、ストロンチウム又はバリウム-ストロンチウムを含むマグネトプランバイト型フェライト粒子粉末;マンガン、ニッケル、亜鉛、リチウム及びマグネシウムから選ばれた少なくとも1種を含むスピネル型フェライト粒子粉末などの各種磁性鉄化合物粒子粉末が使用できる。
さらに磁性体成分の他に、ヘマタイト粒子粉末のような非磁性鉄酸化物粒子粉末、ゲータイト粒子粉末のような非磁性含水酸化第二鉄粒子粉末、酸化チタン粒子粉末、シリカ粒子粉末、タルク粒子粉末、アルミナ粒子粉末、硫酸バリウム粒子粉末、炭酸バリウム粒子粉末、カドミウムイエロー粒子粉末、炭酸カルシウム粒子粉末、亜鉛華粒子粉末などの非磁性無機化合物粒子粉末を、磁性鉄化合物粒子粉末と併用してもよい。
前記多孔質磁性コア粒子の材質としては、マグネタイト又はフェライトが挙げられる。フェライトの具体例を次の一般式で示す。
(M12O)x(M2O)y(Fe23Z
(上記の式中、M1は1価、M2は2価の金属であり、x+y+z=1.0とした時、x及びyは、それぞれ0≦(x,y)≦0.8であり、zは、0.2<z<1.0である。)
式中において、M1及びM2としては、Li、Fe、Mn、Mg、Sr、Cu、Zn、Ca、からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属原子を用いることが好ましい。そのほかにもNi、Co、Ba、Y、V、Bi、In、Ta、Zr、B、Mo、Na、Sn、Ti、Cr、Al、Si、希土類なども用いることができる。
樹脂コートキャリアは、磁性キャリアコア粒子と磁性キャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂被覆層からなる。磁性キャリアコア粒子の表面を樹脂で被覆する方法としては、特に限定されないが、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、及び流動床の如き塗布方法により被覆する方法が挙げられる。中でも、浸漬法が好ましい。磁性キャリアコア粒子の表面を被覆する樹脂の量としては、磁性キャリアコア粒子100質量部に対し、0.1質量部以上5.0質量部以下であることがトナーへの帯電付与性をコントロールするために好ましい。
前記樹脂被覆層に用いられる樹脂としては、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン-アクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂、アイオモノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独又は複数を併用して用いることができる。この中でも、帯電安定性の観点から特に脂環式の炭化水素基を有するメタクリル酸エステルを含有する共重合体であることが好ましい。前記脂環式の炭化水素基を有するメタクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸シクロブチル、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ジシクロペンテニル、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸シクロブチル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸ジシクロペンテニル及びメタクリル酸ジシクロペンタニルなどが挙げられる。脂環式の炭化水素基は、シクロアルキル基であることが好ましく、炭素数は、3以上10以下が好ましく、4以上8以下がより好ましい。これらは、1種又は2種以上を選択して使用してもよい。
また、前記樹脂被覆層に用いられる共重合体中における、前記脂環式の炭化水素基を有するメタクリル酸エステルモノマーの質量基準の共重合割合は、5.0質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。上記範囲であると、高温高湿環境における帯電性が良好となる。
さらに、帯電安定性の観点から、磁性キャリアコア粒子と前記樹脂被覆層との密着性を高め、前記樹脂被覆層の局所的な剥離などを抑制する観点から、樹脂被覆層にはマクロモノマーを共重合成分として含有することがより好ましい。具体的なマクロモノマーの一例を式(B)に示す。
Figure 2024045868000011
式(B)において、Aはアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルからなるグループより選ばれる1種又は2種以上の化合物を重合成分とする重合体を示し、R3はHまたはCH3である。
磁性キャリアコア粒子と前記樹脂被覆層との密着性を向上するためには、マクロモノマーの重量平均分子量は、3,000以上10,000以下が好ましく、さらには4,000以上、7,000以下であることがより好ましい。
磁性キャリアコア粒子と前記樹脂被覆層との密着性を向上するためには、前記樹脂被覆層に用いられる共重合体中における前記マクロモノマーの質量基準の共重合割合は0.5質量%以上30.0質量%以下であることが好ましい。
<マクロモノマーの重量平均分子量の測定>
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下の手順で測定する。
まず、測定試料は以下のようにして作製する。
試料(磁性キャリアから被覆用樹脂を分離し、分取装置で分取したもの)と、テトラヒドロフラン(THF)とを5mg/mlの濃度で混合し、室温にて24時間静置して、試料をTHFに溶解した。その後、サンプル処理フィルター(マイショリディスクH-25-2 東ソー社製)を通過させたものをGPCの試料とする。
次に、GPC測定装置(HLC-8120GPC 東ソー社製)を用い、前記装置の操作マニュアルに従い、下記の測定条件で測定する。
(測定条件)
装置:高速GPC「HLC8120 GPC」(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :THF
流速 :1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量 :0.10ml
また、試料の重量平均分子量の算出にあたって、検量線は、標準ポリスチレン樹脂(東ソー社製TSK スタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500)により作成した分子量較正曲線を使用する。
〔本発明の実施形態に含まれる構成〕
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)結着樹脂を含有するトナー粒子及び該トナー粒子表面の外添剤を有するトナーにおいて、
該外添剤は、シリカ微粒子を含有し、該シリカ微粒子は、表面処理された処理シリカ微粒子であって、
該シリカ微粒子の固体29Si-NMRのDD/MAS測定において、上記式(1)で表される構造中のSiaで示されるケイ素原子に対応するピークPD1と、上記式(2)で表される構造中のSibで示されるケイ素原子に対応するピークPD2とが観測され、該ピークPD1の面積をSD1とし、該ピークPD2の面積をSD2としたとき、該SD1および該SD2が、
1.2≦(SD1+SD2)/SD1≦10.0を満たし、
該結着樹脂は、以下の(i)及び(ii)の少なくとも一方の規定を満たし、
(i)ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とを含有する
(ii)ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分とが化学的に結合したハイブリッド樹脂を含有する
該ポリエステル樹脂または該ポリエステル樹脂成分は、上記式(3)で表されるモノマーユニットを10質量%以上含有し、該ビニル系樹脂又は該ビニル系樹脂成分は、上記式(4)で表されるモノマーユニットを60質量%以上含有し、
該トナー粒子表面における該ポリエステル樹脂又は該ポリエステル樹脂成分の存在率をSp(面積%)、該ビニル系樹脂又は該ビニル系樹脂成分の存在率をSs(面積%)としたとき、SpおよびSsが、上記式(5)及び(6)をみたすことを特徴とするトナー。
(構成2)前記トナーの130℃における貯蔵弾性率G’(130℃)が1.0×102Pa以上1.0×105Pa以下である構成1に記載のトナー。
(構成3)前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂成分とが化学的に結合したハイブリッド樹脂である構成1または2に記載のトナー。
(構成4)前記Spおよび前記Ssが、上記式(7)を満たす構成1~3のいずれかに記載のトナー。
(構成5)前記シリカ微粒子の含有量が、前記トナー粒子100質量部に対して0.20質量部以上3.00質量部以下である構成1~4のいずれかに記載のトナー。
(構成6)前記シリカ微粒子のBET比表面積が、70m2/g以上160m2/g以下である構成1~5のいずれかに記載のトナー。
(構成7)前記シリカ微粒子における前記SD1および前記SD2が、6.3≦(SD1+SD2)/SD1≦10.0である構成1~6のいずれかに記載のトナー。
以上、本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下、実施例に基づいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、本発明は何らこれに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り部及び%は、質量基準である。
<シリカ微粒子1の製造例>
BET比表面積145m2/gのフュームドシリカ(シリカ微粒子原体)500gを反応容器に入れ、窒素パージ下の撹拌下に加熱を行い、反応容器内の温度が330℃になるように制御した。次に、表面処理剤として、オクタメチルシクロテトラシロキサンを蒸気の状態で、反応容器内に10g/分で60分間供給した後、180分間、加熱撹拌を行うことでシリカ微粒子原体の表面処理(1段目)を行った。その後、未反応の表面処理剤を除去した後、窒素パージ下の撹拌下に、ポリジメチルシロキサン(温度25℃における動粘度:100mm2/s)50gをヘキサン500gで希釈した溶液をスプレーで噴霧して供給した後、120分間、加熱撹拌を行うことで表面処理(2段目)を行い、シリカ微粒子1を得た。表1に処理条件及びシリカ微粒子1の物性を示す。
<シリカ微粒子2~10の製造例>
表1に示すようにフュームドシリカ(シリカ微粒子原体)、表面処理剤および処理条件を変更した以外は、シリカ微粒子1と同様にして製造を行い、シリカ微粒子2~10を得た。表1にシリカ微粒子2~10の物性を示す。
Figure 2024045868000012
<結着樹脂A1の製造例>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド(2.2モル付加物): 56.0質量部
・テレフタル酸(式(3)相当): 12.0質量部
・無水トリメリット酸: 4.0質量部
・フマル酸: 8.0質量部
上記ポリエステルモノマーを4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下にて170℃で撹拌する。そこに、ビニル系重合モノマー(スチレン(式(4)相当):18質量部と2エチルヘキシルアクリレート:2質量部)と重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO)を混合したものを滴下ロートから4時間かけて滴下した。その後、170℃で5時間反応した後、240℃に昇温してジブチル錫オキシド(DBO)を添加し、5時間縮重合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して、ハイブリッド樹脂である結着樹脂A1を得た。
<結着樹脂A2~3の製造例>
表2に示すようにモノマーの比率を変更した以外は結着樹脂A1と同様にして製造を行ない、ハイブリッド樹脂である結着樹脂A2~3を得た。
<結着樹脂B1の製造例>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド(2.2モル付加物): 70.0質量部
・テレフタル酸: 15.0質量部
・無水トリメリット酸: 5.0質量部
・フマル酸: 10.0質量部
上記ポリエステルユニットを構成するモノマーをチタンテトラブトキシド500ppmと共に5リットルオートクレーブに混合した。
そこに、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管、温度計及び撹拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で縮重合反応を行った。所望の軟化点になるように反応時間を調整し、反応終了後、容器から取り出し、冷却、粉砕して、ポリエステル樹脂である結着樹脂B1を得た。
<結着樹脂B2~3の製造例>
表2に示すようにモノマーの比率を変更した以外は結着樹脂B1と同様にして製造を行ない、ポリエステル樹脂である結着樹脂B2~3を得た。
<結着樹脂C1の製造例>
・スチレン: 90.0質量部
・2-エチルヘキシルアクリレート: 10.0質量部
上記ビニル系重合モノマーと重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO)を混合したものを170℃で5時間反応させた。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して、ビニル系樹脂である結着樹脂C1を得た。
<結着樹脂C2~3の製造例>
表2に示すようにモノマーの比率を変更した以外は結着樹脂C1と同様にして製造を行ない、ビニル系樹脂である結着樹脂C2~3を得た。
Figure 2024045868000013
<実施例1>
・結着樹脂A1 100質量部
・パラフィンワックス(融点78℃) 4質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 6質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(商品名:FM-10C型、日本コークス(株)製)で予備混合した後、二軸混練押し出し機によって、160℃で溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミルで微粉砕した。得られた微粉砕物を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.5μmのトナー粒子1を得た。
得られたトナー粒子1に対し、下記のようにシリカ微粒子A1の外添処理を行った。
・トナー粒子1: 100部
・シリカ微粒子A1: 1.0部
上記材料をヘンシェルミキサー(商品名:FM-10C型、日本コークス(株)製)を用いて、回転数67s-1(4000rpm)、回転時間2min、外添温度室温で混合した後、目開き54μmの超音波振動篩を通過させトナー1を得た。
<トナー2~24の製造例>
使用した樹脂およびシリカ微粒子の種類を表3のように変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2~24を得た。
Figure 2024045868000014
<磁性キャリアコア粒子1の製造例>
工程1(秤量・混合工程)
Fe23 68.3質量%
MnCO3 28.5質量%
Mg(OH)2 2.0質量%
SrCO3 1.2質量%
上記フェライト原材料を秤量し、フェライト原料80質量部に水20質量部を加え、その後、直径(φ)10mmのジルコニアを用いてボールミルで3時間湿式混合しスラリーを調製した。スラリーの固形分濃度は、80質量%とした。
工程2(仮焼成工程)
混合したスラリーをスプレードライヤー(大川原化工機社製)により乾燥した後、バッチ式電気炉で、窒素雰囲気下(酸素濃度1.0体積%)、温度1050℃で3.0時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。
工程3(粉砕工程)
仮焼フェライトをクラッシャーで0.5mm程度に粉砕した後に、水を加え、スラリーを調製した。スラリーの固形分濃度を70質量%とした。1/8インチのステンレスビーズを用いた湿式ボールミルで3時間粉砕し、スラリーを得た。さらにこのスラリーを直径1mmのジルコニアを用いた湿式ビーズミルで4時間粉砕し、体積基準の50%粒子径(D50)が1.3μmの仮焼フェライトスラリーを得た。
工程4(造粒工程)
上記仮焼フェライトスラリー100質量部に対し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール1.5質量部を添加した後、スプレードライヤー(大川原化工機社製)で球状粒子に造粒、乾燥した。得られた造粒物に対して、粒度調整を行った後、ロータリー式電気炉を用いて700℃で2時間加熱し、分散剤やバインダー等の有機物を除去した。
工程5(焼成工程)
窒素雰囲気下(酸素濃度1.0体積%)で、室温から焼成温度(1100℃)になるまでの時間を2時間とし、温度1100℃で4時間保持し、焼成した。その後、8時間をかけて温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
工程6(選別工程)
凝集した粒子を解砕した後に、目開き150μmの篩で篩分して粗大粒子を除去、風力分級を行って微粉を除去し、さらに磁力選鉱により低磁力分を除去して多孔質磁性コア粒子を得た。
工程7(充填工程)
多孔質磁性コア粒子を100質量部、混合撹拌機(ダルトン社製の万能撹拌機NDMV型)の撹拌容器内に入れ、60℃に温度を保ち、常圧でメチルシリコーンオリゴマー:95.0質量%、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン:5.0質量%からなる充填樹脂を5質量部滴下した。
滴下終了後、時間を調整しながら撹拌を続け、70℃まで温度を上げ、各多孔質磁性コアの粒子内に樹脂組成物を充填した。
冷却後得られた樹脂充填型磁性コア粒子を、回転可能な混合容器内にスパイラル羽根を有する混合機(杉山重工業社製のドラムミキサーUD-AT型)に移し、窒素雰囲気下で、2℃/分の昇温速度で、撹拌しながら140℃まで上昇させた。その後140℃で50分間加熱撹拌を続けた。
その後室温まで冷却し、樹脂が充填、硬化されたフェライト粒子を取り出し、磁力選鉱機を用いて、非磁性物を取り除いた。さらに、振動篩にて粗大粒子を取り除き樹脂が充填された磁性キャリアコア粒子1を得た。
(被覆樹脂の製造例)
・シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8%
・メチルメタクリレートモノマー 0.2%
・メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
・トルエン 31.3%
・メチルエチルケトン 31.3%
・アゾビスイソブチロニトリル 2.0%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、及びメチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れた。セパラブルフラスコ内に、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加し、5時間還流して重合させた。
得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させた。
得られた沈殿物を濾別後、真空乾燥して樹脂を得た。
30質量部の該樹脂を、トルエン40質量部及びメチルエチルケトン30質量部の混合溶媒に溶解して、樹脂溶液(固形分濃度30質量%)を得た。
(被覆樹脂溶液の調製)
・樹脂溶液(固形分濃度30質量%) 33.3%
・トルエン 66.4%
・カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3%
(一次粒子の個数平均粒径:25nm、窒素吸着比表面積:94m2/g、DBP吸油量:75ml/100g)
上記材料を、ペイントシェーカーに投入し、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、1時間分散を行った。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過を行い、被覆樹脂溶液を得た。
(磁性キャリア1の製造例)
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに、前記被覆樹脂溶液及び前記磁性キャリアコア粒子を投入した(被覆樹脂溶液の投入量は、磁性キャリアコア粒子1を100質量部に対して、樹脂成分として2.5質量部)。
投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後に冷却した。
得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)が38.2μmの磁性キャリア1を得た。
〔実施例1〕
<二成分現像剤1の調製、及び評価>
トナー1と磁性キャリア1を、トナー濃度が8.0質量%になるように添加し、V型混合機(V-10型:株式会社徳寿製作所)を用いて、0.5s-1、回転時間5minの条件で混合して二成分現像剤1を調製した。得られた二成分現像剤1を用いて以下の評価を行った。二成分現像剤1はいずれの評価もAであった。
[低温定着性の評価]
・紙:GFC-300(300.0g/m2
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
・紙上のトナーの載り量:1.20mg/cm2
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
・評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×5cmの画像を配置
・試験環境:低温低湿環境:温度15℃/湿度10%RH(以下「L/L」)
・定着:imagePRESS C10010VP定着器を単独で動作できるように改造し、180℃から2度刻みで温度を制御
・プロセススピード:A4片面120ページ/分
非接触温度計で、定着ベルト上の温度を測定し、狙いの温度になったら、評価画像を出力し、白ポチの発生する温度を目視により判断し、低温定着性を評価した。白ポチが発生する温度のプラス2度を最低定着可能温度として低温定着性の評価指標とした。
(評価基準)
A:定着可能温度が140℃以下
B:定着可能温度が140℃より高く、150℃以下
C:定着可能温度が150℃より高く、160℃以下
D:定着可能温度が160℃より高い。
[耐ホットオフセット性の評価]
紙:GF-C081(A3、坪量81.4g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:0.10mg/cm2
(現像剤担持体の直流電圧VDC、電子写真感光体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A3用紙の先端から1cmの中心に2cm×5cmの画像を配置
試験環境:常温低湿環境:温度23℃/湿度5%RH(以下「N/L」)
プロセススピード:A4片面120ページ/分
imagePRESS C10010VPの定着温度を140℃から順に2℃ずつ上げ、オフセットが生じない上限温度を耐ホットオフセット温度とした。ホットオフセットの発生温度は、評価画像が触れた定着ベルトが、再び紙に触れる部分をカブリ濃度計で測定し、カブリ濃度計の値が、白地部に対して0.5上がった温度として判定した。
(評価基準)
A:定着可能温度が230℃以上
B:定着可能温度が230℃未満220℃以上
C:定着可能温度が220℃未満210℃以上
D:定着可能温度が210℃未満
[画像ボソの評価]
画像形成装置として、imagePRESS C850(キヤノン製)を用い、定着ユニットを外部に取り出して定着温度を任意に制御できるようにし、画像形成速度がA4サイズで105枚/minを出せるように改造した。また、現像コントラストを任意の値で調整可能にし、本体による自動補正が作動しないようにした。また、交番電界の周波数は2.0kHzに固定し、ピーク間の電圧(Vpp)は、Vppが0.7kVから1.8kVまで0.1kV刻みで変えられるようにした。また、現像器内部で過剰になった磁性キャリアを現像器から排出する機構を取り外した。
この画像形成装置のマゼンタ位置とシアン位置の現像器に二成分現像剤1を入れ、静電潜像担持体の帯電電圧VD、レーザーパワーを調整し、後述の評価を行った。なお、各評価につき、画像形成速度がA4サイズで105枚/minにおける評価を実施した。
通紙時の評価紙としては白色用紙(商品名:CS-814(A4、81.4g/m2)、キヤノンマーケティングジャパン社)を用いた。
また、下記評価においてFFH画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFHが256階調の256階調目(ベタ部)である。
常温低湿環境(温度23℃、湿度5RH%、以下「N/L環境」ともいう)および高温高湿環境(温度30℃/湿度80RH%、以下「H/H環境」ともいう)で、複写機本体の現像コントラストを調整し、FFH画像で出力した画像の反射濃度を光学濃度計により測定し、反射濃度が1.50になるように設定した。その後、各環境とも印字比率1%のチャートを連続で30000枚出力したのち、180g/m2のA3サイズのエンボス紙にマゼンタ位置、シアン位置の順にそれぞれFFHのベタ画像を出力した。画像ボソが発生した場合、ベタ画像上に斑状の跡が見られる。その斑状の跡を目視で個数確認し、以下の基準で判断した。
(評価基準)
A:1個以下
B:2個以上3個以下
C:4個以上5個以下
D:6個以上7個以下
E:8個以上9個以下
F:10個以上11個以下
G:12個以上13個以下
H:14個以上16個以下
I:17個以上20個以下
J:21個以上
〔実施例2~17、比較例1~7〕
<二成分現像剤2~24の調製、及び評価>
トナー1をトナー2~24に代える以外は二成分現像剤1と同様に、表4に示す二成分現像剤2~24を調製した。
次いで、二成分現像剤2~24を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表5に示す。
Figure 2024045868000015
Figure 2024045868000016

Claims (7)

  1. 結着樹脂を含有するトナー粒子及び該トナー粒子表面の外添剤を有するトナーにおいて、
    該外添剤は、シリカ微粒子を含有し、該シリカ微粒子は、表面処理された処理シリカ微粒子であって、
    該シリカ微粒子の固体29Si-NMRのDD/MAS測定において、下記式(1)で表される構造中のSiaで示されるケイ素原子に対応するピークPD1と、下記式(2)で表される構造中のSibで示されるケイ素原子に対応するピークPD2とが観測され、該ピークPD1の面積をSD1とし、該ピークPD2の面積をSD2としたとき、該SD1および該SD2が、
    1.2≦(SD1+SD2)/SD1≦10.0
    を満たし、
    Figure 2024045868000017
    (式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基またはエチル基を表わす。)
    該結着樹脂は、以下の(i)及び(ii)の少なくとも一方の規定を満たし、
    (i)ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とを含有する
    (ii)ポリエステル系樹脂成分とビニル系樹脂成分とが化学的に結合したハイブリッド樹脂を含有する
    該ポリエステル樹脂または該ポリエステル樹脂成分は、下記式(3)で表されるモノマーユニットを10質量%以上含有し、該ビニル系樹脂又は該ビニル系樹脂成分は、下記式(4)で表されるモノマーユニットを60質量%以上含有し、
    Figure 2024045868000018
    該トナー粒子表面における該ポリエステル樹脂又は該ポリエステル樹脂成分の存在率をSp(面積%)、該ビニル系樹脂又は該ビニル系樹脂成分の存在率をSs(面積%)としたとき、SpおよびSsが、下記式(5)及び(6)をみたすことを特徴とするトナー。
    Figure 2024045868000019
  2. 前記トナーの130℃における貯蔵弾性率G’(130℃)が1.0×102Pa以上1.0×105Pa以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記結着樹脂が、ポリエステル系樹脂成分とビニル系樹脂成分とが化学的に結合したハイブリッド樹脂である請求項1に記載のトナー。
  4. 前記Spおよび前記Ssが、下記式(7)を満たす請求項1に記載のトナー。
    Figure 2024045868000020
  5. 前記シリカ微粒子の含有量が、前記トナー粒子100質量部に対して0.20質量部以上3.00質量部以下である請求項1に記載のトナー。
  6. 前記シリカ微粒子のBET比表面積が、70m2/g以上160m2/g以下である請求項1に記載のトナー。
  7. 前記シリカ微粒子における前記SD1および前記SD2が、6.3≦(SD1+SD2)/SD1≦10.0である請求項1に記載のトナー。
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