JP2024045042A - スチルベン系化合物の抗腫瘍薬物の調製における使用 - Google Patents

スチルベン系化合物の抗腫瘍薬物の調製における使用 Download PDF

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Abstract

【課題】スチルベン系化合物の抗腫瘍薬物の調製における使用を提供する。【解決手段】式Iに示す化合物、またはその塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物の、抗腫瘍薬物および/または眼疾患を予防および/または治療するための薬物の調製における使用である。TIFF2024045042000068.tif45170(ただし、Mは水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムまたは有機アミンから選択され、R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立して水素、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲンから選択される)【選択図】なし

Description

本発明は、薬物の分野に関し、具体的にはスチルベン系化合物の抗腫瘍薬物の調製における使用に関する。
CD8Tリンパ球は、腫瘍細胞を死滅させ、腫瘍の拡散を遮断することができる細胞傷害性Tリンパ球である。薬物を使用した後に、固形腫瘍組織におけるCD8Tリンパ球の細胞濃度を著しく向上させ、CD8Tリンパ球を固形腫瘍組織内に多く集めることができれば、薬物の抗癌作用を実現することができる。
また、悪性腫瘍内部の血液供給と悪性腫瘍周辺の血管はいずれも非常に豊富であるが、もし薬物が腫瘍血管内皮細胞に作用して、活発な腫瘍血管に炎症応答を発生させ且つ膨張させて血管を塞ぎ、血液の腫瘍内での流れを遮断することができれば、腫瘍細胞の「栄養を断った」後に徐々に飢餓状態にして死滅させることができ、抗腫瘍の効果が実現できる。
発明者のこれまでの研究により、スチレン酸誘導体は、腫瘍血管に対して特異的な標的作用を一定程度有するため腫瘍の成長を抑制することができるが、腫瘍細胞、特に固形腫瘍組織の縁の部分の腫瘍細胞を死滅させることはできず、それにより腫瘍組織が縁の部分を通じて急速に増殖するため、腫瘍の治療効果は芳しくない、ということが見出された。
CD8Tリンパ球を固形腫瘍組織に多く集めるだけでなく、腫瘍内の血液の流れを阻止することも可能な薬物を提供できれば、抗腫瘍への応用において大いに期待されるものとなる。
本発明の目的は、スチルベン系化合物の、抗腫瘍薬物の調製における使用を提供することである。
本発明は、式Iに示す化合物、またはその塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物の、抗腫瘍薬物および/または眼疾患を予防および/または治療するための薬物の調製における使用を提供する。
Figure 2024045042000001
ただし、Mは水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムまたは有機アミンから選択され、
、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、C~Cアルキル基、C~Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲンから選択される。
さらに、前記有機アミンはアミノ酸、ペプチド、t-ブチルアミンまたはn-ブチルアミンであり、
および/または、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、C~Cアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、フッ素、塩素または臭素から選択され、
好ましくは、
前記有機アミンはメグルミン、ピラジン、アラニン、n-ブチルアミン、リジン、t-ブチルアミンから選択され、
および/または、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素または臭素から選択される。
さらに、前記化合物は式IIに示す化合物であり、
Figure 2024045042000002
ただし、Mは水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、メグルミン、ピラジン、アラニン、n-ブチルアミン、リジンまたはt-ブチルアミンから選択され、
、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素または臭素から選択される。
さらに、前記化合物は式IIIに示す化合物であり、
Figure 2024045042000003
ただし、Mは水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、メグルミン、ピラジン、アラニン、n-ブチルアミン、リジンまたはt-ブチルアミンから選択され、
、R、Rはそれぞれ独立して水素、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素または臭素から選択される。
さらに、前記化合物は式IVに示す化合物であり、
Figure 2024045042000004
ただし、Mは水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、メグルミン、ピラジン、アラニン、n-ブチルアミン、リジンまたはt-ブチルアミンから選択され、
、Rはそれぞれ独立して水素、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素または臭素から選択される。
さらに、前記抗腫瘍薬物は、固形腫瘍内にCD8Tリンパ球を多く集めおよび/または腫瘍血管の内壁を破壊する効果を有する薬物であり、
好ましくは、前記薬物は、固形腫瘍の中心部位の腫瘍細胞の壊死を引き起こす薬物である。
さらに、前記抗腫瘍薬物は腫瘍の転移を抑制する薬物である。
さらに、前記抗腫瘍薬物が腫瘍の転移を抑制する薬物である場合、式Iに示す化合物の構造は式Vaに示すとおりであり、
Figure 2024045042000005
好ましくは、前記腫瘍の転移を抑制する薬物は、メラノーマの転移を抑制する薬物である。
さらに、前記抗腫瘍薬物は、肺癌、肝癌、胃癌、卵巣癌、前立腺癌または腎細胞癌を予防および/または治療するための薬物である。
さらに、前記抗腫瘍薬物が、肺癌、肝癌、胃癌または卵巣癌を予防および/または治療するための薬物である場合、式Iに示す化合物の構造は式Vaに示すとおりである。
Figure 2024045042000006
さらに、前記抗腫瘍薬物が、前立腺癌または腎細胞癌を予防および/または治療するための薬物である場合、式Iに示す化合物の構造は式Vbに示すとおりである。
Figure 2024045042000007
さらに、前記眼疾患を予防および/または治療するための薬物は、眼表面の血管の成長を抑制する薬物である。
さらに、前記眼疾患は、網膜症、眼底血管腫、眼底出血、涙嚢炎、緑内障、白内障、硝子体混濁、視神経萎縮、黄斑変性および/または網膜剥離である。
さらに、前記眼疾患は糖尿病眼疾患であり、
好ましくは、前記糖尿病眼疾患は、糖尿病と関係する網膜症、眼底血管腫、眼底出血、涙嚢炎、緑内障、白内障、硝子体混濁、視神経萎縮、黄斑変性および/または網膜剥離である。
さらに、前記薬物が、眼疾患を予防および/または治療するための薬物である場合、前記化合物の構造は式Vaに示すとおりである。
Figure 2024045042000008
本発明は、腫瘍を治療するための薬物製剤をさらに提供し、該薬物製剤は、前述の化合物、またはその塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物を活性成分とし、薬学的に許容可能な補助材料または補助性成分を添加して調製された薬物製剤であり、
好ましくは、前記薬物製剤は注射製剤、経口製剤または外用製剤である。
本発明は、眼疾患を治療するための薬物製剤をさらに提供し、該薬物製剤は、前述の化合物、またはその塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物を活性成分とし、薬学的に許容可能な補助材料または補助性成分を添加して調製された薬物製剤であり、
好ましくは、前記薬物製剤は眼部を通じて投与する製剤であり、
より好ましくは、前記製剤の剤形は点眼剤、眼軟膏、眼用ゲル、ナノ製剤、マイクロスフェア製剤、リポソーム製剤であり、
さらに好ましくは、前記点眼剤は水溶液、懸濁剤、乳剤である。
本発明は、前述の化合物、またはその塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物の、腫瘍免疫治療薬物との併用による、抗腫瘍併用薬物の調製における使用をさらに提供し、
好ましくは、前記腫瘍免疫治療薬物はPD1、PD-L1、T細胞、NK細胞またはCART細胞である。
さらに、式Vcに示す化合物、またはその塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物の、PD-L1との併用による、肺癌を予防および/または治療するための併用薬物の調製における使用である。
Figure 2024045042000009
さらに、式Vaに示す化合物、またはその塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物の、T細胞との併用による、肝癌を予防および/または治療するための併用薬物の調製における使用である。
Figure 2024045042000010
本発明の発明者がこれまで研究してきたスチレン酸誘導体は、腫瘍血管に対して特異的な標的作用を一定程度有するものの、腫瘍血管を破壊し、腫瘍の成長を抑制できるだけで、腫瘍細胞、特に固形腫瘍組織の縁の部分の腫瘍細胞を死滅させることはできず、それにより腫瘍組織が縁の部分から急速に増殖してしまった。過去の作業を踏まえて、発明者は、構造最適化およびインビボスクリーニングにより、本発明の一連の化合物が、固形腫瘍内にCD8Tリンパ球を多く集め且つ新生血管の内皮細胞の接着タンパク質を破壊するという二重の効果を有し、抗腫瘍薬物の調製に用いることができることを、研究の結果見出した。
式(I)の構造のスチルベン系化合物を有効活性成分とし、薬物において許容可能な相応の薬用補助材料または担体などの補助添加成分と組み合わせ、且つ相応の通常の製薬方法によって加工処理した後、経口、注射または外用型などの相応の形式の血管標的剤薬物として調製することができる。例えば、経口薬物製剤において許容される崩壊剤、賦形剤、潤滑剤、結合剤、充填剤等の常用の補助添加成分と混合した後、相応の通常のプロセス方法で処理し、錠剤、丸剤、顆粒剤、カプセル剤または適切な形態の徐放剤、放出制御剤等の固体製剤の形態の経口薬物として調製することができる。注射薬物製剤において使用が許可されている適切な溶剤および添加剤を配合し、且つ相応のプロセス操作で処理した後、相応の水性注射剤または粉末注射剤等の筋肉または静脈形式の注射製剤薬物として調製することができる。常用の溶剤、安定剤またはポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、植物油、ワセリン、ラノリン等の親油性基質および/または水溶性基質と混合し、相応の外用薬物製剤の処理に従って、点眼液または膏剤、膏薬、ゲル剤、軟膏剤、リニメント剤、塗布剤などとして調製することができる。これらの注射液、無菌粉末注射剤、無菌凍結乾燥粉末注射剤等の注射製剤、錠剤、カプセル、各種徐放性製剤等の経口製剤、および点眼液、軟膏等の外用製剤形式の薬物等は、それぞれ抗固形腫瘍薬物の治療に用いることができる。
本発明はスチルベン系化合物の抗腫瘍薬物の調製における使用を提供し、本発明の研究により、一部のスチルベン系化合物は固形腫瘍内にCD8Tリンパ球を多く集め且つ腫瘍血管の内壁を標的破壊するという二重の効果を有し、抗原CD8キラーTリンパ球によって腫瘍細胞を消滅させると同時に、腫瘍組織への血液供給を遮断し、固形腫瘍内部の急速な壊死を引き起こし、腫瘍に対する殺傷力を大幅に向上させ、さらに腫瘍転移に対して抑制効果を有することが見出された。本発明のスチルベン系化合物は、抗腫瘍薬物の調製に用いることができ、また、腫瘍免疫治療薬物と併用して相乗的な抗腫瘍効果を発揮することもできる。これらのスチルベン系化合物は、構造が異なると化合物の抗腫瘍効果も異なるため、様々な抗腫瘍薬物の調製に用いることができる。また、本発明のスチルベン系化合物は、眼表面の血管の成長を抑制することができるため、様々な眼部疾患を治療するための薬物の調製に用いることができる。本発明のスチルベン系化合物の応用には将来性がある。
当然ながら、本発明の上記内容に基づき、当分野の一般的な技術的知識や慣用的手段に照らし、本発明の上記基本的な技術的思想を逸脱しないという前提において、他の様々な形態の修正、置換または変更を行うことができる。
以下、実施例という形の具体的な実施形態によって、本発明の上記内容を更に詳細に説明する。但し、これをもって、本発明の上記主題の範囲が以下の実施例に限定されると理解してはならない。本発明の上記内容に基づいて実現される技術は、いずれも本発明の範囲に属する。
図1は、定量的プロテオミクス実験のフローチャートである。 図2は、ヒト肺癌95DのHE染色の結果である。 図3は、ヒト肝癌Bel7404のHE染色の結果である。 図4は、ヒト肺癌95DのPCNA免疫組織化学染色の結果である。 図5は、ヒト肝癌Bel7404のPCNA免疫組織化学染色の結果である。 図6は、投与10日目(d10)の眼表面の血管の成長状況を示し、Aはモデル群、Bはブランク対照群、Cは投与群1、Dは投与群2である。
本発明の「発明を実施するための形態」において使用される材料、機器はすべて従来の製品であり、市販の製品を購入したものである。
本発明のスチルベン系化合物の構造は式(I)に示すとおりであり、
Figure 2024045042000011
式中、Mは水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、またはアミノ酸、t-ブチルアミン、n-ブチルアミン、ペプチドを含む有機アミンから選択され、R、R、R、R、Rはそれぞれ水素、アルキル基、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、フッ素、塩素または臭素から選択される。
本発明の具体的な化合物を表1に示す。
表1 本発明の化合物の具体的な構造
Figure 2024045042000012
実施例1 本発明の化合物1の調製
Figure 2024045042000013
調製方法:50mlの三つ口フラスコに2.26g(0.010mol)の3,4,5-トリメトキシフェニル酢酸、2.02g(0.012mol)の2,3-ジヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒドを加え、さらに3.2mlの無水酢酸および1.6mlのトリエチルアミンを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、還流冷却管を取り付け、窒素ガスを導入して保護し、油浴で加熱して150℃まで昇温し、5時間保温して反応させ、80℃まで冷却し、還流冷却管を滴下漏斗に交換し、8mlの塩酸溶液を滴下し、80℃を維持して1時間反応させ、室温まで冷却し、40%水酸化ナトリウム溶液2mlを滴下し、1時間反応を継続させ、次に1.8mlの濃塩酸を滴下し、固体が析出した後に1時間撹拌し反応を継続させ、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体(化合物1)2.17gを得た(収率57.7%)。1H NMR (400 MHz, DMSO) 3.672(d 9H 3’,4’,5’-OCH3),3.821(d 3H 4’’-OCH3),5.265(s 1H 2’’-OH),5.318(s 1H 3’’-OH),6.273(s 1H 2’-H),6.348(d 1H 6’-H),6.386(d 1H 5’’-H),7.415(s 1H 3-H);10.982(s 1H CO-OH);13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 57.692 ,57.826 ,62.837 ,109.313 ,112.713 ,118.627 ,125.392 ,129.883 ,137.423 ,138.153 ,138.232 ,138.772 ,146.391 ,149.167 ,154.482,178.277計16グループの炭素。
実施例2 本発明の化合物2の調製
Figure 2024045042000014
調製方法:10mlの三つ口フラスコに1.82g(4.84mmol)の(E)-3-(2,3-ジヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸(化合物1)、0.99g(5.08mmol)のメグルミンを加え、さらに15mlのエタノールを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、水浴で加熱して60℃まで昇温し、溶解して透明になったら、室温まで冷却し、固体を析出させた後、1時間撹拌を継続し、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体(化合物2)2.21gを得た(収率80.0%)。1H NMR (400 MHz, DMSO) 2.791(d,3H a-CH3),3.187(d,2H a-CH2),3.297(d,1H a-CH),3.365(d,1H a-CH),3.382(d,1H a-CH),3.516(d,2H a-CH2),3.683(d,4H a-OH),3.698(d,1H a-OH),3.713(d 9H 3’,4’,5’-OCH3),3.796(d 3H 4’’-OCH3),5.159(s 1H 2’’-OH),5.435(s 1H 3’’-OH),6.368(s 1H 2’-H),6.521(d 1H 6’-H),6.472(d 1H 5’’-H),7.477(s 1H 3-H);13C NMR (100 MHz, DMSO) δ34.286,51.217, 57.692 ,57.826 ,62.837 ,63.295,68.786,71.198,73.136,73.982,109.313 ,112.713 ,118.627 ,125.392 ,129.883 ,137.423 ,138.153 ,138.232 ,138.772 ,146.391 ,149.167 ,154.482,178.277計23グループの炭素。
実施例3 本発明の化合物3の調製
Figure 2024045042000015
調製方法:50mlの三つ口フラスコに2.26g(0.010mol)の3,4,5-トリメトキシフェニル酢酸、1.99g(0.012mol)の3,5-ジメトキシベンズアルデヒドを加え、さらに3.2mlの無水酢酸および1.6mlのトリエチルアミンを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、還流冷却管を取り付け、窒素ガスを導入して保護し、油浴で加熱して150℃まで昇温し、5時間保温して反応させ、80℃まで冷却し、還流冷却管を滴下漏斗に交換し、8mlの塩酸溶液を滴下し、80℃を維持して1時間反応させ、室温まで冷却し、40%水酸化ナトリウム溶液2mlを滴下し、1時間反応を継続させ、次に1.8mlの濃塩酸を滴下し、固体が析出した後に1時間撹拌し反応を継続させ、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体2.25gを得た(収率60.1%)。類白色の結晶性固体は、(E)-3-(3,5-ジメトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸である。
10mlの三つ口フラスコに1.81g(4.84mmol)の(E)-3-(3,5-ジメトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸、10mlの無水エタノール、0.5mlの40%水酸化ナトリウム溶液を加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、撹拌し、固体が析出した後、1時間撹拌を継続し、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体(化合物3)1.62gを得た(収率84.4%)。1H NMR (400 MHz, DMSO) 3.727(d 9H 3’,4’,5’-OCH3),3.869(d 6H 3’’,5’’-OCH3), 6.174(d 1H 4’’-H),6.273(s 1H 2’-H),6.348(d 1H 6’-H),6.386(d 1H 5’’-H),6.723(d 2H 2’’,5’’-H)),7.329(s 1H 3-H);13C NMR (100 MHz, DMSO) δ55.823,57.314 ,62.729 ,108.476 ,113.626 ,117.196 ,126.181 ,128.347 ,136.973 ,137.826 ,137.951 ,137.865 ,147.127 ,148.331 ,154.672,171.323計16グループの炭素。
実施例4 本発明の化合物4の調製
Figure 2024045042000016
調製方法:50mlの三つ口フラスコに2.26g(0.010mol)の3,4,5-トリメトキシフェニル酢酸、1.85g(0.012mol)の3-フルオロ-4-メトキシベンズアルデヒドを加え、さらに3.2mlの無水酢酸および1.6mlのトリエチルアミンを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、還流冷却管を取り付け、窒素ガスを導入して保護し、油浴で加熱して150℃まで昇温し、5時間保温して反応させ、80℃まで冷却し、還流冷却管を滴下漏斗に交換し、8mlの塩酸溶液(1+5)を滴下し、80℃を維持して1時間反応させ、室温まで冷却し、40%水酸化ナトリウム溶液2mlを滴下し、1時間反応を継続させ、次に1.8mlの濃塩酸を滴下し、固体が析出した後に1時間撹拌し反応を継続させ、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体2.15gを得た(収率59.3%)。類白色の結晶性固体は、(E)-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸である。
10mlの三つ口フラスコに1.75g(4.84mmol)の(E)-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸、10mlの無水エタノール、0.41gのピラジンを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、撹拌し、固体が析出した後、1時間撹拌を継続し、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体(化合物4)1.76gを得た(収率82.2%)。1H NMR (400 MHz, DMSO)δ3.612(d 9H 3’,4’,5’-OCH3),3.824(d 3H 4’’-OCH3),6.287(s 2H 2’,6’-H),6.413(s 1H 2’’-H),6.578(d 1H 6’’-H),6.612(d 1H 5’’-H), 9.583(s 2H C-H),9.689(s 2H C-H), 9.823(s 1H 3-H);13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 56.276 ,57.327 ,63.196 ,108.893,113.746,117.845 ,125.637 ,130.762 ,138.524 ,138.267 ,139.241 ,139.482 ,142.158,146.783,148.298 ,152.930,174.128計17グループの炭素。
実施例5 本発明の化合物5の調製
Figure 2024045042000017
調製方法:50mlの三つ口フラスコに2.26g(0.010mol)の3,4,5-トリメトキシフェニル酢酸、2.24g(0.012mol)の3-クロロ-5-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒドを加え、さらに3.2mlの無水酢酸および1.6mlのトリエチルアミンを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、還流冷却管を取り付け、窒素ガスを導入して保護し、油浴で加熱して150℃まで昇温し、5時間保温して反応させ、80℃まで冷却し、還流冷却管を滴下漏斗に交換し、8mlの塩酸溶液を滴下し、80℃を維持して1時間反応させ、室温まで冷却し、40%水酸化ナトリウム溶液2mlを滴下し、1時間反応を継続させ、次に1.8mlの濃塩酸を滴下し、固体が析出した後に1時間撹拌し反応を継続させ、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体2.13gを得た(収率53.9%)。類白色の結晶性固体は、(E)-3-(3-クロロ-5-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸である。
10mlの三つ口フラスコに1.75g(4.84mmol)の(E)-3-(3-クロロ-5-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸、0.45g(5.08mmol)のアラニン、10mlの無水エタノールを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、撹拌し、固体が析出した後、1時間撹拌を継続し、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体(化合物5)1.42gを得た(収率60.6%)。[M+H] +:443.16。1H-NMR(CDCl3,δ(ppm)):9.972(2H),9.712(2H),7.326(1H),6.887(1H),6.865(1H),6.853(1H),3.812(3H),3.924(9H),6.615(2H)。
実施例6 本発明の化合物6の調製
Figure 2024045042000018
調製方法:50mlの三つ口フラスコに2.26g(0.010mol)の3,4,5-トリメトキシフェニル酢酸、1.83g(0.012mol)のイソバニリンを加え、さらに3.2mlの無水酢酸および1.6mlのトリエチルアミンを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、還流冷却管を取り付け、窒素ガスを導入して保護し、油浴で加熱して150℃まで昇温し、5時間保温して反応させ、80℃まで冷却し、還流冷却管を滴下漏斗に交換し、8mlの塩酸溶液を滴下し、80℃を維持して1時間反応させ、室温まで冷却し、40%水酸化ナトリウム溶液12mlを滴下し、1時間反応を継続させ、次に10mlの濃塩酸を滴下し、固体が析出した後に1時間撹拌し反応を継続させ、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体2.56gを得た(収率71.0%)。類白色の結晶性固体は、(E)-3-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸である。
10mlの三つ口フラスコに1.74g(4.84mmol)の(E)-3-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸、0.37g(5.08mmol)のn-ブチルアミン、10mlの無水エタノールを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、撹拌し、固体が析出した後、1時間撹拌を継続し、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体(化合物6)1.68gを得た(収率80.1%)。1H NMR (400 MHz, DMSO)δ0.832(d,3H a-CH3),1.329(d 2H b-CH3),1.546(d 2H c-CH2),2.914(d 2H,d-CH3),3.593(d 9H 3’,4’,5’-OCH3),3.749(d 3H 4’’-OCH3),6.375(s 2H 2’-H),6.386(s 1H 2’’-H),6.462(d 1H 6’’-H),6.499(d 1H 5’’-H),7.346(s 1H 3-H);13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 15.103 ,21.343 ,31.101 ,41.526 ,57.788 ,58.186 ,63.341 ,109.224 ,113.626 ,118.900 ,125.518 ,130.918 ,137.718 ,137.812 ,138.175 ,139.291 ,146.588 ,149.858 ,154.930,178.099計20グループの炭素。
実施例7 本発明の化合物7の調製
Figure 2024045042000019
調製方法:50mlの三つ口フラスコに2.26g(0.010mol)の3,4,5-トリメトキシフェニル酢酸、1.83g(0.012mol)のバニリンを加え、さらに3.2mlの無水酢酸および1.6mlのトリエチルアミンを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、還流冷却管を取り付け、窒素ガスを導入して保護し、油浴で加熱して150℃まで昇温し、5時間保温して反応させ、80℃まで冷却し、還流冷却管を滴下漏斗に交換し、8mlの塩酸溶液を滴下し、80℃を維持して1時間反応させ、室温まで冷却し、40%水酸化ナトリウム溶液2mlを滴下し、1時間反応を継続させ、次に1.8mlの濃塩酸を滴下し、固体が析出した後に1時間撹拌し反応を継続させ、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体2.74gを得た(収率76.0%)。類白色の結晶性固体は、(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸である。
10mlの三つ口フラスコに1.74g(4.84mmol)の(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸、0.74g(5.08mmol)のリジンを加え、さらに15mlのエタノールを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、水浴で加熱して60℃まで昇温し、溶解して透明になったら、室温まで冷却し、固体を析出させた後、1時間撹拌を継続し、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体(化合物7)1.75gを得た(収率71.4%)。[M+H] +:507.23。1H-NMR(CDCl3,δ(ppm)):1.187(2H),1.742(2H),2.116(2H),3.281(2H),3.373(1H),5.095(2H),7.386(1H),3.659(3H),5.287(1H),7.137(1H),7.349(1H),3.876(9H),6.517(2H)。
実施例8 本発明の化合物8の調製
Figure 2024045042000020
調製方法:50mlの三つ口フラスコに2.26g(0.010mol)の3,4,5-トリメトキシフェニル酢酸、1.83g(0.012mol)の5-フルオロ-3-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒドを加え、さらに3.2mlの無水酢酸および1.6mlのトリエチルアミンを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、還流冷却管を取り付け、窒素ガスを導入して保護し、油浴で加熱して150℃まで昇温し、5時間保温して反応させ、80℃まで冷却し、還流冷却管を滴下漏斗に交換し、8mlの塩酸溶液を滴下し、80℃を維持して1時間反応させ、室温まで冷却し、40%水酸化ナトリウム溶液2mlを滴下し、1時間反応を継続させ、次に1.8mlの濃塩酸を滴下し、固体が析出した後に1時間撹拌し反応を継続させ、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体2.45gを得た(収率64.7%)。類白色の結晶性固体は、(E)-3-(5-フルオロ-3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸である。
10mlの三つ口フラスコに1.74g(4.84mmol)の(E)-3-(5-フルオロ-3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸、0.37g(5.08mmol)のt-ブチルアミン、10mlの無水エタノールを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、撹拌し、固体が析出した後、1時間撹拌を継続し、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体(化合物8)1.52gを得た(収率69.6%)。[M+H] +:452.20。1H-NMR(CDCl3,δ(ppm)):1.287(9H),3.635(3H),3.831(9H),6.228(2H),7.267(1H),7.338(1H),7.643(1H)。
実施例9 本発明の化合物9の調製
Figure 2024045042000021
調製方法:50mlの三つ口フラスコに2.26g(0.010mol)の3,4,5-トリメトキシフェニル酢酸、1.83g(0.012mol)の2-フルオロ-3-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒドを加え、さらに3.2mlの無水酢酸および1.6mlのトリエチルアミンを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、還流冷却管を取り付け、窒素ガスを導入して保護し、油浴で加熱して150℃まで昇温し、5時間保温して反応させ、80℃まで冷却し、還流冷却管を滴下漏斗に交換し、8mlの塩酸溶液を滴下し、80℃を維持して1時間反応させ、室温まで冷却し、40%水酸化ナトリウム溶液12mlを滴下し、1時間反応を継続させ、次に10mlの濃塩酸を滴下し、固体が析出した後に1時間撹拌し反応を継続させ、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体2.56gを得た(収率67.6%)。類白色の結晶性固体は、(E)-3-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸である。
10mlの三つ口フラスコに1.74g(4.84mmol)の(E)-3-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸、0.37g(5.08mmol)のn-ブチルアミン、10mlの無水エタノールを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、撹拌し、固体が析出した後、1時間撹拌を継続し、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、1.78gの類白色の結晶性固体(化合物9)を得た(収率81.5%)。[M+H] +:452.20。1H-NMR(CDCl3,δ(ppm)):0.912(3H),1.276(2H),2.314(2H),3.251(2H),3.586(3H),3.773(9H),6.643(2H),7.084(1H),7.237(1H),7.539(1H)。
実施例10 本発明の化合物10の調製
Figure 2024045042000022
調製方法:50mlの三つ口フラスコに2.26g(0.010mol)の3,4,5-トリメトキシフェニル酢酸、1.99g(0.012mol)の4-フルオロ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒドを加え、さらに3.2mlの無水酢酸および1.6mlのトリエチルアミンを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、還流冷却管を取り付け、窒素ガスを導入して保護し、油浴で加熱して150℃まで昇温し、5時間保温して反応させ、80℃まで冷却し、還流冷却管を滴下漏斗に交換し、8mlの塩酸溶液を滴下し、80℃を維持して1時間反応させ、室温まで冷却し、40%水酸化ナトリウム溶液2mlを滴下し、1時間反応を継続させ、次に1.8mlの濃塩酸を滴下し、固体が析出した後に1時間撹拌し反応を継続させ、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体2.47gを得た(収率62.9%)。類白色の結晶性固体は、(E)-3-(3,5-ジメトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸である。
10mlの三つ口フラスコに1.81g(4.84mmol)の(E)-3-(3,5-ジメトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸、10mlの無水エタノール、0.7mlの40%水酸化カリウム溶液を加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、撹拌し、固体が析出した後、1時間撹拌を継続し、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体(化合物10)1.45gを得た(収率69.6%)。[M+H] +:432.08。1H-NMR(CDCl3,δ(ppm)):3.541(3H),3.682(3H),3.773(9H),6.327(2H),6.495(1H),6.676(1H),7.329(1H)。
実施例11 本発明の化合物11の調製
Figure 2024045042000023
調製方法:50mlの三つ口フラスコに2.26g(0.010mol)の3,4,5-トリメトキシフェニル酢酸、2.02g(0.012mol)の3,5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒドを加え、さらに3.2mlの無水酢酸および1.6mlのトリエチルアミンを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、還流冷却管を取り付け、窒素ガスを導入して保護し、油浴で加熱して150℃まで昇温し、5時間保温して反応させ、80℃まで冷却し、還流冷却管を滴下漏斗に交換し、8mlの塩酸溶液を滴下し、80℃を維持して1時間反応させ、室温まで冷却し、40%水酸化ナトリウム溶液2mlを滴下し、1時間反応を継続させ、次に1.8mlの濃塩酸を滴下し、固体が析出した後に1時間撹拌し反応を継続させ、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体2.14gを得た(収率56.8%)。類白色の結晶性固体は、(E)-3-(3,5-ジヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸である。
10mlの三つ口フラスコに1.82g(4.84mmol)の(E)-3-(3,5-ジヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸、0.37g(5.08mmol)のn-ブチルアミン、10mlの無水エタノールを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、撹拌し、固体が析出した後、1時間撹拌を継続し、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体(化合物11)1.56gを得た(収率71.7%)。[M+H] +:450.21。1H-NMR(CDCl3,δ(ppm)):0.821(3H),1.327(2H),2.172(2H),3.319(2H),3.591(3H),3.836(9H),5.243(2H),6.385(2H),7.326(2H),7.613(1H)。
実施例12 本発明の化合物12の調製
Figure 2024045042000024
調製方法:50mlの三つ口フラスコに2.26g(0.010mol)の3,4,5-トリメトキシフェニル酢酸、2.19g(0.012mol)の3-ヒドロキシ-2,4-ジメトキシベンズアルデヒドを加え、さらに3.2mlの無水酢酸および1.6mlのトリエチルアミンを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、還流冷却管を取り付け、窒素ガスを導入して保護し、油浴で加熱して150℃まで昇温し、5時間保温して反応させ、80℃まで冷却し、還流冷却管を滴下漏斗に交換し、8mlの塩酸溶液を滴下し、80℃を維持して1時間反応させ、室温まで冷却し、40%水酸化ナトリウム溶液2mlを滴下し、1時間反応を継続させ、次に1.8mlの濃塩酸を滴下し、固体が析出した後に1時間撹拌し反応を継続させ、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体2.38gを得た(収率61.0%)。類白色の結晶性固体は、(E)-3-(3-ヒドロキシ-2,4-ジメトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸である。
10mlの三つ口フラスコに1.89g(4.84mmol)の(E)-3-(3-ヒドロキシ-2,4-ジメトキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸、0.74g(5.08mmol)のリジンを加え、さらに15mlのエタノールを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、水浴で加熱して60℃まで昇温し、溶解して透明になったら、室温まで冷却し、固体を析出させた後、1時間撹拌を継続し、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体(化合物12)1.85gを得た(収率75.5%)。[M+H] +:537.24。1H-NMR(CDCl3,δ(ppm)):1.183(2H),1.649(2H),2.173(2H),3.286(2H),3.513(1H),3.597(3H),3.876(9H),5.237(2H),5.459(1H),6.525(2H),7.193(1H),7.315(1H),7.613(1H)。
実施例13 本発明の化合物13の調製
Figure 2024045042000025
調製方法:50mlの三つ口フラスコに2.26g(0.010mol)の3,4,5-トリメトキシフェニル酢酸、1.99g(0.012mol)の4-エトキシ-3-ヒドロキシベンズアルデヒドを加え、さらに3.2mlの無水酢酸および1.6mlのトリエチルアミンを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、還流冷却管を取り付け、窒素ガスを導入して保護し、油浴で加熱して150℃まで昇温し、5時間保温して反応させ、80℃まで冷却し、還流冷却管を滴下漏斗に交換し、8mlの塩酸溶液を滴下し、80℃を維持して1時間反応させ、室温まで冷却し、40%水酸化ナトリウム溶液2mlを滴下し、1時間反応を継続させ、次に1.8mlの濃塩酸を滴下し、固体が析出した後に1時間撹拌し反応を継続させ、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体2.02gを得た(収率53.9%)。類白色の結晶性固体は、(E)-3-(4-エトキシ-3-ヒドロキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸である。
10mlの三つ口フラスコに1.81g(4.84mmol)の(E)-3-(4-エトキシ-3-ヒドロキシフェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリル酸、0.74g(5.08mmol)のリジンを加え、さらに15mlのエタノールを加え、振とうして均一にし、磁気撹拌子を入れ、水浴で加熱して60℃まで昇温し、溶解して透明になったら、室温まで冷却し、固体を析出させた後、1時間撹拌を継続し、濾過し、濾過ケーキを氷冷した無水エタノールで洗浄し、減圧乾燥して、類白色の結晶性固体(化合物13)2.05gを得た(収率81.4%)。[M+H] +:521.25。1H-NMR(CDCl3,δ(ppm)):1.187(2H),1.341(3H),1.843(2H),2.117(2H),3.415(2H),3.523(1H),3.786(9H),4.217(2H),5.302(2H),5.476(1H),6.558(2H),7.181(1H),7.328(1H),7.613(1H)。
実施例14 本発明の化合物を用いた0.9%塩化ナトリウム注射液の調製
0.9%塩化ナトリウム静脈内注射液を調製した。
処方一:
Figure 2024045042000026
処方二:
Figure 2024045042000027
処方三:
Figure 2024045042000028
上記処方において、化合物の安定性を向上させるため、注射液を調製する際に、一般的な方法に従って、薬物でよく用いられる安定剤、抗酸化剤、pH調整剤をそれぞれ加えてもよい。安定剤は、例えば、シクロデキストリン包接化合物、界面活性剤(アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤)等であり、抗酸化剤は、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、システイン等であり、pH調整剤は、クエン酸、フマル酸、グルタミン酸、L-アスパラギン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ガラクツロン酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、塩酸、酢酸等である。
実施例15 本発明の化合物を用いた無菌粉末注射剤の調製
処方一:
Figure 2024045042000029
処方二:
Figure 2024045042000030
処方三:
Figure 2024045042000031
実施例16 本発明の化合物を用いた5%ブドウ糖注射液の調製
5%ブドウ糖の静脈注射用注射液を調製した。
処方一:
Figure 2024045042000032
処方二:
Figure 2024045042000033
処方三:
Figure 2024045042000034
実施例17 本発明の化合物を用いた錠剤の調製
処方:
Figure 2024045042000035
錠剤を調製する際、充填剤として、例えばデンプン、デキストリン、粉砂糖、アルファ化デンプン、ラクトース、グルコース、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸水素カルシウム等を選択することができ、結合剤として、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、デンプンスラリー、デキストリンスラリー、シロップ、ゼラチンスラリー、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ピーチガム、アラビアガム等を選択することができ、崩壊剤として、例えばクロスカルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クエン酸、酒石酸、酸無水物、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等を選択することができる。
実施例18 本発明の化合物を用いたカプセル剤の調製
処方:
Figure 2024045042000036
カプセルを調製する際、充填剤として、例えばデンプン、デキストリン、粉砂糖、アルファ化デンプン、ラクトース、グルコース、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸水素カルシウム等を選択することができ、結合剤として、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、デンプンスラリー、デキストリンスラリー、シロップ、ゼラチンスラリー、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ピーチガム、アラビアガム等を選択することができる。
以下の具体的な試験例により、本発明の有益な効果を実証する。
試験例1.本発明の化合物による、マウスLewis非小細胞肺癌モデルにおける抗原CD8キラーTリンパ球の集中に関する研究
LLC(マウス肺癌細胞)は、マウスLewis肺癌細胞である。
LLC細胞肺癌マウスのモデリング方法は以下のとおりである。
LLC細胞を、10%ウシ胎児血清および100μ/mlのペニシリン-ストレプトマイシン溶液を含む汎用培地で培養し、37℃、5%COの細胞培養インキュベーター内で通常培養した。対数期まで成長したLLC細胞を、0.25%トリプシン(EDTAを含む)で消化して細胞懸濁液にし、1000rpm/minで3min遠心分離し、上清を廃棄して細胞の沈殿を収集し、無血清且つペニシリン-ストレプトマイシン溶液を含まない培地で再懸濁し、細胞計数と同様の条件で再び遠心分離して体積を調整し、細胞濃度が1×10/μlの細胞懸濁液となるよう調製した。各マウスの右脇腹に200μlの細胞懸濁液を注射して腫瘍細胞の接種を完了した。腫瘍を約10日間増殖させた後、体積が100mm前後に達したところで、投与を開始した。
薬物の調製:本発明の化合物1~13を注射用水を用いて調製し、注射液とした。
実験方法:腹腔内注射の方式で、モデル化に成功したLLC細胞肺癌マウスに、本発明の化合物を含む注射液を、400mg/kgで、腹腔内注射して治療を行い、投与を行わない陰性群(モデル化マウスに等体積の注射用水のみを腹腔内注射したもの)と、投与を行う実験群(モデル化マウスに本発明の化合物で調製した注射液を腹腔内注射したもの)とを設けた。腹腔内注射の方法は、毎日1回、決まった時間に投与し、投与前に体重を量り、投与容量を10ml/kgとし、連続10日間投与を行って、治療を受けた10日目にマウスを死なせて皮下腫瘍を剥離した。陰性群と投与群の腫瘍組織における抗原CD8キラーTリンパ球の比率を、フローサイトメトリーによって測定した。
腫瘍組織におけるCD8腫瘍浸潤リンパ球をフローサイトメーターによって測定した。具体的なステップは以下のとおりである。
マウスを死なせ、眼科用ハサミでマウスの腹部表皮を切開し、皮下腫瘍を十分に露出させ、鉗子と眼科用ハサミを用いてマウスの右側腹部の皮下腫瘍組織を徐々に剥離した。PBSで腫瘍組織を洗浄した後、眼科用ハサミで剥離した腫瘍組織を1mm前後に細かく切断し、切断した腫瘍組織を、100μg/mlのヒアルロニダーゼを含有する3mlのPBS緩衝溶液に入れた。消化液が入った遠心管を水浴鍋に入れ、37℃で20min水浴を行い、5minおきにピペットで吹きかけ振とうして、腫瘍組織を十分に消化させた。完全に消化しきれていない腫瘍組織を含む消化液を、70μmのステンレスセルストレーナーで濾過し、残留した未消化の腫瘍組織を20mlシリンジのプランジャーを用いて70μmのセルストレーナー上で粉砕し、粉砕しながら1mlのPBSで5回洗浄した。セルストレーナーを通過した細胞懸濁液を15mlの遠心管に移し、4000rpmで3min遠心分離した後、細胞の沈殿を収集するとともに、2mlの赤血球溶解バッファーを加え、10min静置した後に、再度4000rpmで3min遠心分離した。PBSで洗浄した後、2~3mlのPBSを加えて細胞を再懸濁させた。
適量の細胞をフロー分析のサンプルとし、細胞懸濁液について計数を行うとともに、細胞濃度を5×10/mlに調整し、ピペットガンで細胞懸濁液を100μl吸引してフローサイトメトリーチューブに加えた。各フローサイトメトリーチューブにそれぞれFFITC anti mouse CD3、PE-Cy5 anti-mouse CD8、PE/Cyanine7 anti-mouse CD45を加え、そのうち前の二者を同時に1本のフローサイトメトリーチューブに加え、蛍光抗体を加えた後に、フローサイトメトリーチューブを改めて氷上に放置し、光を避けて20minインキュベートした。さらにフローサイトメトリーチューブに2mlの滅菌PBSを加え、1000rpmで5min遠心分離し、上清を廃棄した。0.5mlの滅菌PBSを加えて細胞を再懸濁させ、細胞の総量は1×10を選択し、フローサイトメーターで測定して、BD-FACSDiVaで結果を分析した。
CD45、CD3およびCD8細胞における、CD8抗原を含有する細胞傷害性Tリンパ球の比率を比較した。
腫瘍免疫組織化学の顕微画像を、ImageJのIHC Profilerプラグインによって処理し、染色された画像についてカラーデコンボリューションを行い、青色の陰性領域と茶色の陽性領域を分離させ、染色された領域の総面積に対する陽性領域のパーセンテージを得た。
薬物の、腫瘍組織におけるCD8キラーTリンパ球の分布に対する影響および腫瘍細胞殺傷効果を、免疫組織化学によって測定した。具体的な操作手順は以下のとおりである。
治療を受けて10日後にマウスを死なせ、眼科用ハサミでマウスの腹部表皮を切開し、腫瘍を切除し、固定のためにホルマリンに入れた。固定が完了した後にパラフィン包埋を行い、連続した3μmの切片を2枚切り出し、スライドガラスに乗せて乾燥させた(60℃、1h)。それぞれ一次抗体を加えた後に4℃で一晩放置し、二次抗体を滴下した。ジアミノベンジジン(DAB)を用いて発色させ、ヘマトキシリンで再染色し、脱水し、透明化した後に封入した。
20倍に拡大して得たスライドガラス全体の画像について、ImageJ内で切片の染色画像を処理し、青色の陰性領域と茶色の陽性領域を分け、切片の総面積に対する陽性部分のパーセンテージを算出した。
研究結果を表2に示す。
表2 本発明の化合物が、CD8の腫瘍組織内への集中に及ぼす影響および分布面積比率の結果
Figure 2024045042000037
実験結果の説明:本発明の化合物は、抗原CD8キラーTリンパ球を腫瘍組織に多く集め且つ腫瘍血管の内壁を標的破壊するという二重の効果を有する。抗原CD8キラーTリンパ球の腫瘍組織における集中比率および分布面積を大幅に向上させることができ、抗原CD8キラーTリンパ球によって腫瘍細胞を消滅させると同時に、腫瘍組織への血液供給を遮断し、固形腫瘍の内部を急速に壊死させることができた。
試験例2.本発明の化合物が、非融合状態のヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の接着タンパク質に及ぼす影響
融合状態のHUVECs:対数増殖期にあるHUVECs細胞を取り、8×10個/ml、100μl/ウェルとして、96ウェル培養プレートに接種し(即ち8000個/ウェル)、細胞を10%ウシ胎児血清を含有する培養液で増殖させ、37℃、5%COのインキュベーター内で培養し、24h後に試験化合物を加えた。試験サンプルをPBS(-)で希釈した後に各ウェルに加え(10μL/ウェル)、同一濃度で3ウェル設定した。インキュベーターに入れて24時間培養した後、各ウェルそれぞれに10μlのCCK-8溶液を加え、気泡が発生しないように注意した。インキュベーター内で2.5時間前後培養を続けた後、吸光度の測定が可能となった。MK-2全自動マイクロプレートリーダーを用いて450nmの波長でOD値とIC50値を測定した。
非融合状態のHUVECs:対数増殖期にあるHUVECs細胞を取り、2×10個/ml、100μl/ウェルとして、96ウェル培養プレートに接種し(即ち2000個/ウェル)、細胞を10%ウシ胎児血清を含有する培養液で増殖させ、37℃、5%COのインキュベーター内で培養し、24h後に試験化合物を加えた。試験サンプルをPBS(-)で希釈した後に各ウェルに加え(10μL/ウェル)、同一濃度で3ウェル設定した。インキュベーターに入れて24時間培養した後、気泡が発生しないように各ウェルそれぞれに10μlのCCK-8溶液を加えた。インキュベーター内で2.5時間前後培養を続けた後、吸光度の測定が可能となった。MK-2全自動マイクロプレートリーダーを用いて450nmの波長でOD値とIC50値を測定した。
非融合状態のヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いて新生腫瘍血管を模倣し、融合状態のHUVECが正常血管を模倣するように実験モデルを調製した。10μMの同用量の化合物で2種類の異なる状態のヒト臍帯静脈内皮細胞を処理し、融合細胞の状態を模倣して、プロテオームのサンプルを調製し、ペプチド断片を調製した後、TMTで標識して、定量プロテオミクスによる研究を行った。TMT標識の効率は99.4%を超え、1%FDRの厳格なスコアで、合計4934個のタンパク質由来の28372本のペプチド断片を同定し、そのうち定量可能なタンパク質は4909個であり、品質は信頼できるものであった。非融合状態および融合状態の薬物処理群をそれぞれの対照群と比較し、対照群を基準として、1.5倍を超える差異または0.67倍未満の差異を有意差異タンパク質スコア基準とした。
非融合細胞群と融合細胞群のサンプルそれぞれの総細胞タンパク質を抽出し、タンパク質サンプルから2μgを取って質量測定を行い、定量プロテオミクスの実験を行い、グレースケール定量を用いてタンパク質濃度測定を完了した。具体的なフローチャートを図1に示す。
得られたデータの分析:UniProtからヒトタンパク質データベース(Scientific name: Homo sapiens,9606)をダウンロードした。MaxQuant(v 1.5.5.1)検索エンジンを用いてデータベースを検索した。TMT定量プロテオミクスの実験により、合計4934個のタンパク質(4909個の定量タンパク質)と、28372本のペプチド断片を同定でき、標識効率は99%を上回り、全酵素切断比率は86.3%であった。
本発明の化合物の、非融合状態のヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に対するプロテオミクスの試験結果を表3に示す。
表3 本発明の化合物がタンパク質に及ぼす影響
Figure 2024045042000038
差異タンパク質に対してGOエンリッチメント解析を行ったところ、非融合群の差異発現タンパク質は主に細胞間接着の制御に関与していた。これは、上記化合物が非融合状態のヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の接着機能を狙って破壊し、内皮細胞を血管基底から脱離させ、それにより非融合血管の炎症反応を引き起こし、さらに血管を遮断することを示している。
試験例3.ヌードマウスにおけるヒト肺癌A549移植腫瘍に対する化合物の治療効果
本試験は、ヌードマウスに移植されたヒト肺癌A549モデルを用いて試験サンプルの抗腫瘍効果を研究したものであり、用量400mg/kgを経口により14日間投与し、ヒト肺癌A549に対する腫瘍抑制率を測定した。
調製:投与前に、化合物を蒸留水で所望の濃度に調製した。
動物の系統:BALB/Cヌードマウス(SPFグレード)、体重:19~21g、性別: 雄。
投与群の各グループの動物数:8匹、対照群(Control)の動物数:>12匹。
試験方法:
良好に増殖した肺癌A549腫瘍の塊を取り、無菌条件下で3mm大の均一な塊を切り出し、トロカールで各マウスの右腋窩の皮下に1つずつ接種して、以下の9グループを設定し、投与群は各グループ8匹、対照群は12匹より多い数とした。
接種の14日後に腫瘍の塊の平均体積が約100mmであることを確認し、腫瘍の大きさによって動物を改めてグループ分けし、腫瘍が大きすぎる動物および小さすぎる動物を排除して、各グループの腫瘍の平均体積をほぼ一致させ、投与を開始した。投与群には、14日間連続で経口により毎日1回投与し、1回あたりの投与体積を0.5ml/体重20gとし、対照群には、同体積の生理食塩水を投与した。接種14日目から毎週2回デジタル電子ノギスで腫瘍の長径a(mm)およびそれと直交する腫瘍の短径b(mm)を測定した。腫瘍体積の計算式はTV=ab/2、相対腫瘍体積の計算式はRTV=Vt/Voであり、Voはケージ分け時(即ちd1)において測定した腫瘍体積であり、Vtは毎回の測定時の腫瘍体積である。
以下の式に従って、結果を判定した。
Figure 2024045042000039
試験結果を表4に示す。
表4 肺癌A549腫瘍塊に対する化合物の腫瘍抑制効果
Figure 2024045042000040
対照群との比較: P<0.05、**P<0.01。その他の化合物と化合物6との比較:P<0.05、##P<0.01.
上記試験結果の説明:本発明の一部の化合物は、肺癌に対して有意な抑制効果を有し、特に化合物6は肺癌を抑制する効果が最も優れており、肺癌を治療するための薬物の調製に用いることができる。
試験例4.ヌードマウスにおけるヒト肝癌QGY7703移植腫瘍に対する化合物の治療効果
本試験は、ヌードマウスに移植されたヒト肝癌QGY7703モデルを用いて試験サンプルの抗腫瘍効果を研究したものであり、用量100mg/kgを静脈注射により14日間投与し、ヒト肝癌QGY7703に対する腫瘍抑制率を測定した。
調製:投与前に、化合物を滅菌生理食塩水で所望の濃度に調製した。
動物の系統:BALB/Cヌードマウス(SPFグレード)、体重:19~21g、性別: 雄。
投与群の各グループの動物数:8匹、対照群(Control)の動物数:>12匹。
試験方法:
良好に増殖したヒト肝癌QGY7703腫瘍の塊を取り、無菌条件下で3mm大の均一な塊を切り出し、トロカールで各マウスの右腋窩の皮下に1つずつ接種して、以下の9グループを設定し、投与群は各グループ8匹、対照群は12匹より多い数とした。
接種の14日後に腫瘍の塊の平均体積が約100mmであることを確認し、腫瘍の大きさによって動物を改めてグループ分けし、腫瘍が大きすぎる動物および小さすぎる動物を排除して、各グループの腫瘍の平均体積をほぼ一致させ、投与を開始した。投与群には、14日間連続で静脈注射により毎日1回投与し、1回あたりの投与体積を0.1ml/体重20gとし、対照群には、同体積の滅菌生理食塩水を投与した。接種14日目から毎週2回デジタル電子ノギスで腫瘍の長径a(mm)およびそれと直交する腫瘍の短径b(mm)を測定した。腫瘍体積の計算式はTV=ab/2、相対腫瘍体積の計算式はRTV=Vt/Voであり、Voはケージ分け時(即ちd1)において測定した腫瘍体積であり、Vtは毎回の測定時の腫瘍体積である。
以下の式に従って、結果を判定した。
Figure 2024045042000041
試験結果を表5に示す。
表5 化合物の肝癌QGY7703腫瘍塊に対する腫瘍抑制効果
Figure 2024045042000042
対照群との比較: P<0.05、**P<0.01。その他の化合物と化合物6との比較:P<0.05、##P<0.01.
上記試験結果の説明:本発明の一部の化合物は、肝癌に対して有意な抑制効果を有し、特に化合物6は肝癌を抑制する効果が最も優れており、肝癌を治療するための薬物の調製に用いることができる。
試験例5.ヌードマウスにおけるヒト胃癌MGC803移植腫瘍に対する化合物の治療効果
本試験は、ヌードマウスに移植されたヒト胃癌MGC803モデルを用いて試験サンプルの抗腫瘍効果を研究したものであり、用量200mg/kgを腹腔内注射により14日間投与し、ヒト胃癌MGC803に対する腫瘍抑制率を測定した。
調製:投与前に、化合物を滅菌生理食塩水で所望の濃度に調製した。
動物の系統:BALB/Cヌードマウス(SPFグレード)、体重:19~21g、性別: 雄。
投与群の各グループの動物数:8匹、対照群(Control)の動物数:>12匹。
試験方法:
良好に増殖したヒト胃癌MGC803腫瘍の塊を取り、無菌条件下で3mm大の均一な塊を切り出し、トロカールで各マウスの右腋窩の皮下に1つずつ接種して、以下の9グループを設定し、投与群は各グループ8匹、対照群は12匹より多い数とした。
接種の14日後に腫瘍の塊の平均体積が約100mmであることを確認し、腫瘍の大きさによって動物を改めてグループ分けし、腫瘍が大きすぎる動物および小さすぎる動物を排除して、各グループの腫瘍の平均体積をほぼ一致させ、投与を開始した。投与は、14日間連続で腹腔内注射により毎日1回行い、1回あたりの投与体積を0.2ml/体重20gとした。接種14日目から毎週2回デジタル電子ノギスで腫瘍の長径a(mm)およびそれと直交する腫瘍の短径b(mm)を測定した。腫瘍体積の計算式はTV=ab/2、相対腫瘍体積の計算式はRTV=Vt/Voであり、Voはケージ分け時(即ちd1)において測定した腫瘍体積であり、Vtは毎回の測定時の腫瘍体積である。
以下の式に従って、結果を判定した。
Figure 2024045042000043
試験結果を表6に示す。
表6 化合物の胃癌MGC803腫瘍塊に対する腫瘍抑制効果
Figure 2024045042000044
対照群との比較: P<0.05、**P<0.01。その他の化合物と化合物6との比較:P<0.05、##P<0.01.
上記試験結果の説明:本発明の一部の化合物は、胃癌に対して有意な抑制効果を有し、特に化合物6は胃癌を抑制する効果が最も優れており、胃癌を治療するための薬物の調製に用いることができる。
試験例6.ヌードマウスにおけるヒト卵巣癌A2780移植腫瘍に対する化合物の治療効果
本試験は、ヌードマウスに移植されたヒト卵巣癌A2780モデルを用いて試験サンプルの抗腫瘍効果を研究したものであり、用量200mg/kgを腹腔内注射により14日間投与し、ヒト卵巣癌A2780に対する腫瘍抑制率を測定した。
調製:投与前に、化合物を滅菌生理食塩水で所望の濃度に調製した。
動物の系統:BALB/Cヌードマウス(SPFグレード)、体重:19~21g、性別: 雄。
投与群の各グループの動物数:8匹、対照群(Control)の動物数:>12匹。
試験方法:
良好に増殖した卵巣癌A2780腫瘍の塊を取り、無菌条件下で3mm大の均一な塊を切り出し、トロカールで各マウスの右腋窩の皮下に1つずつ接種して、以下の9グループを設定し、投与群は各グループ8匹、対照群は12匹より多い数とした。
接種の14日後に腫瘍の塊の平均体積が約100mmであることを確認し、腫瘍の大きさによって動物を改めてグループ分けし、腫瘍が大きすぎる動物および小さすぎる動物を排除して、各グループの腫瘍の平均体積をほぼ一致させ、投与を開始した。投与群には、14日間連続で腹腔内注射により毎日1回投与し、1回あたりの投与体積を0.2ml/体重20gとし、対照群には、同体積の滅菌生理食塩水を投与した。接種14日目から毎週2回デジタル電子ノギスで腫瘍の長径a(mm)およびそれと直交する腫瘍の短径b(mm)を測定した。腫瘍体積の計算式はTV=ab/2、相対腫瘍体積の計算式はRTV=Vt/Voであり、Voはケージ分け時(即ちd1)において測定した腫瘍体積であり、Vtは毎回の測定時の腫瘍体積である。
以下の式に従って、結果を判定した。
Figure 2024045042000045
試験結果を表7に示す。
表7 化合物の卵巣癌A2780腫瘍塊に対する腫瘍抑制効果
Figure 2024045042000046
対照群との比較: P<0.05、**P<0.01。その他の化合物と化合物6との比較:P<0.05、##P<0.01.
上記試験結果の説明:本発明の一部の化合物は、卵巣癌に対して有意な抑制効果を有し、特に化合物6は卵巣癌を抑制する効果が最も優れており、卵巣癌を治療するための薬物の調製に用いることができる。
試験例7.ヌードマウスにおけるヒト前立腺細胞LNCaP移植腫瘍に対する化合物の治療効果
本試験は、ヌードマウスに移植されたヒト前立腺細胞LNCaPモデルを用いて試験サンプルの抗腫瘍効果を研究したものであり、用量200mg/kgを腹腔内注射により14日間投与し、ヒト前立腺細胞LNCaPに対する腫瘍抑制率を測定した。
調製:投与前に、化合物を滅菌生理食塩水で所望の濃度に調製した。
動物の系統:BALB/Cヌードマウス(SPFグレード)、体重:19~21g、性別: 雄。
投与群の各グループの動物数:8匹、対照群(Control)の動物数:>12匹。
試験方法:
良好に増殖したヒト前立腺細胞LNCaP腫瘍の塊を取り、無菌条件下で3mm大の均一な塊を切り出し、トロカールで各マウスの右腋窩の皮下に1つずつ接種して、以下の9グループを設定し、投与群は各グループ8匹、対照群は12匹より多い数とした。
接種の14日後に腫瘍の塊の平均体積が約100mmであることを確認し、腫瘍の大きさによって動物を改めてグループ分けし、腫瘍が大きすぎる動物および小さすぎる動物を排除して、各グループの腫瘍の平均体積をほぼ一致させ、投与を開始した。投与群には、14日間連続で腹腔内注射により毎日1回投与し、1回あたりの投与体積を0.2ml/体重20gとし、対照群には、同体積の滅菌生理食塩水を投与した。接種14日目から毎週2回デジタル電子ノギスで腫瘍の長径a(mm)およびそれと直交する腫瘍の短径b(mm)を測定した。腫瘍体積の計算式はTV=ab/2、相対腫瘍体積の計算式はRTV=Vt/Voであり、Voはケージ分け時(即ちd1)において測定した腫瘍体積であり、Vtは毎回の測定時の腫瘍体積である。
以下の式に従って、結果を判定した。
Figure 2024045042000047
試験結果を以下の表8に示す。
表8 化合物の前立腺細胞LNCaP腫瘍塊に対する腫瘍抑制効果
Figure 2024045042000048
対照群との比較: P<0.05、**P<0.01。その他の化合物と化合物4との比較:P<0.05、##P<0.01.
上記試験結果の説明:本発明の一部の化合物は、前立腺癌に対して有意な抑制効果を有し、特に化合物4は前立腺癌を抑制する効果が最も優れており、前立腺癌を治療するための薬物の調製に用いることができる。
試験例8.ヌードマウスにおけるヒト腎細胞癌AGHN移植腫瘍に対する化合物の治療効果
本試験は、ヌードマウスに移植されたヒト腎細胞癌AGHNモデルを用いて試験サンプルの抗腫瘍効果を研究したものであり、用量200mg/kgを腹腔内注射により14日間投与し、ヒト腎細胞癌AGHNに対する腫瘍抑制率を測定した。
調製:投与前に、化合物を滅菌生理食塩水で所望の濃度に調製した。
動物の系統:BALB/Cヌードマウス(SPFグレード)、体重:19~21g、性別: 雄。
投与群の各グループの動物数:8匹、対照群の動物数:>12匹。
試験方法:
良好に増殖したヒト腎細胞癌AGHN腫瘍の塊を取り、無菌条件下で3mm大の均一な塊を切り出し、トロカールで各マウスの右腋窩の皮下に1つずつ接種して、以下の9グループを設定し、投与群は各グループ8匹、対照群は12匹より多い数とした。
接種の14日後に腫瘍の塊の平均体積が約100mmであることを確認し、腫瘍の大きさによって動物を改めてグループ分けし、腫瘍が大きすぎる動物および小さすぎる動物を排除して、各グループの腫瘍の平均体積をほぼ一致させ、投与を開始した。投与群には、14日間連続で腹腔内注射により毎日1回投与し、1回あたりの投与体積を0.2ml/体重20gとし、対照群には、同体積の滅菌生理食塩水を投与した。接種14日目から毎週2回デジタル電子ノギスで腫瘍の長径a(mm)およびそれと直交する腫瘍の短径b(mm)を測定した。腫瘍体積の計算式はTV=ab/2、相対腫瘍体積の計算式はRTV=Vt/Voであり、Voはケージ分け時(即ちd1)において測定した腫瘍体積であり、Vtは毎回の測定時の腫瘍体積である。
以下の式に従って、結果を判定した。
Figure 2024045042000049
試験結果を表9に示す。
表9 化合物の腎細胞癌AGHN腫瘍塊に対する腫瘍抑制効果
Figure 2024045042000050
対照群との比較: P<0.05、**P<0.01。その他の化合物と化合物4との比較:P<0.05、##P<0.01.
上記試験結果の説明:本発明の一部の化合物は、腎細胞癌に対して有意な抑制効果を有し、特に化合物4は腎細胞癌を抑制する効果が最も優れており、腎細胞癌を治療するための薬物の調製に用いることができる。
試験例9.化合物6によるインビボの腫瘍の壊死
1.試験方法:
良好に増殖した固形腫瘍(ヒト肺癌95Dおよびヒト肝癌Bel7404)を取り、無菌条件下で2~3mm大の均一な塊を切り出し、トロカールで各ヌードマウスの右腋窩の皮下に1つずつ接種した。接種の14日後に、投与量400mg/kg、投与体積0.5ml/体重20gで経口投与し(化合物6)、薬物は滅菌生理食塩水を用いて調製した。投与後の異なる時点(4h、24h)で、ヌードマウスマウスを死なせ、解剖して腫瘍組織を取り出し、10%ホルマリンで固定し、病理切片を作製し、HE染色し、写真を撮り、腫瘍内部の壊死状況と、細胞の増殖状況を観察した。
2.試験結果:
HE染色を図2および図3に示す。400mg/kgの化合物6を経口投与した4時間後に、腫瘍組織の内部の壊死が現れ始め、24時間で腫瘍内部の広範囲な壊死(明るい色の領域)を引き起こした。これは、本発明の化合物6が効果的に腫瘍の壊死を引き起こし、抗腫瘍の目的を達成できることを示している。
試験例10.化合物6によるインビボの腫瘍内部血管の壊死
1.試験方法:
良好に増殖した固形腫瘍(ヒト肺癌95Dおよびヒト肝癌Bel7404)を取り、無菌条件下で2~3mm大の均一な塊を切り出し、トロカールで各ヌードマウスの右腋窩の皮下に1つずつ接種した。接種の14日後に、投与量400mg/kg、投与体積0.5ml/体重20gで経口投与し(化合物6)、薬物は滅菌生理食塩水を用いて調製した。投与後の異なる時点(4h、24h)で、ヌードマウスマウスを死なせ、解剖して腫瘍組織を取り出し、10%ホルマリンで固定し、病理切片を作製し、PCNA免疫組織化学染色を行い、写真を撮り、腫瘍内部の腫瘍血管の壊死状況を観察した。
2.試験結果:
PCNA免疫組織化学(図4および図5)は、400mg/kgの化合物6を経口投与した4時間後、腫瘍組織内における血管内皮細胞の増殖は一部のみであり、投与の24h後に、腫瘍内の広範囲の血流遮断および腫瘍組織を壊死させることができた、ということを示している。腫瘍組織においてPCNAの発現が低下したことは、インビボでの腫瘍血管破壊効果が良好であったことを表している。
試験例11.ヌードマウスにおけるヒト肝癌Bel7404異種移植腫瘍の増殖に対する、化合物3とレンバチニブの併用による抑制効果
試験方法:ヒト肝癌Bel7404のヌードマウス移植腫瘍は、ヒト肝癌Bel7404細胞株をヌードマウスの腋窩皮下に接種して作成した。細胞接種量は1×10であり、接種して移植腫瘍を形成した後に、さらにヌードマウスの体内で3世代継代した後に使用した。増殖がピーク期にある腫瘍組織を約1.5mm切り出し、無菌条件下でホモジナイズした後に、1×10/mlの細胞懸濁液に調製し、0.1mlをヌードマウスの右側腋窩皮下に接種した。ヌードマウスに移植した腫瘍の直径をノギスで測定し、腫瘍が100mmに成長したところで、マウスを無作為に群分けし、各群6匹とした。腫瘍径を測定する方法を用いて、試験物の抗腫瘍効果を動的に観察した。化合物3は、400mg/kgで、経口により、毎日1回、3週間投与し、レンバチニブは、10mg/kgで、経口により、毎日1回、2週間投与した。腫瘍径の測定回数は、3日に1回測定とした。陰性対照群には、同量の生理食塩水溶液を経口投与した。併用投与の効果は、金氏の公式に基づいてQ値を計算した。
Q = Ea+b / (Ea+Eb-Ea×Eb)
Ea+bは、併用投与の腫瘍抑制率であり、EaとEbはそれぞれ薬剤Aと薬剤Bの腫瘍抑制率である。Q値が0.85~1.15の場合は相加的(+)とし、>1.15の場合は増強的(++)とした。
試験結果を表10に示す。
表10 ヌードマウスにおけるヒト肝癌Bel7404異種移植腫瘍の増殖に対する、化合物3とレンバチニブの併用による抑制効果
Figure 2024045042000051
ブランク対照群と比較して、P<0.05
試験の結論:
化合物3をレンバチニブと組み合わせたQ値は0.970であり、有意な抗腫瘍の相加効果があったが、相乗的な抗腫瘍効果はなかった。動物の体重に有意な低下はなく、レンバチニブを併用しても、有意な毒性の相加反応は見られなかった。
試験例12.ヌードマウスにおけるヒト胃癌SGC7901異種移植腫瘍の増殖に対する、化合物6とパクリタキセルの併用による抑制効果
試験方法:ヒト胃癌SGC7901のヌードマウス移植腫瘍は、ヒト胃癌SGC7901細胞株をヌードマウスの腋窩皮下に接種して作成した。細胞接種量は1×10であり、接種して移植腫瘍を形成した後に、さらにヌードマウスの体内で3世代継代した後に使用した。増殖がピーク期にある腫瘍組織を約1.5mm切り出し、無菌条件下でホモジナイズした後に、1×10/mlの細胞懸濁液に調製し、0.1mlをヌードマウスの右側腋窩皮下に接種した。ヌードマウスに移植した腫瘍の直径をノギスで測定し、腫瘍が100mmに成長したところで、マウスを無作為に群分けし、各群6匹とした。腫瘍径を測定する方法を用いて、試験物の抗腫瘍効果を動的に観察した。化合物6は、200mg/kgで、腹腔内注射により、1日おきに1回、3週間投与し、パクリタキセルは、10mg/kgで、静脈注射により、1日おきに1回、3週間投与した。腫瘍径の測定回数は、3日に1回測定とした。投与体積は0.1ml/20gとした。陰性対照群には、同量の生理食塩水溶液を静脈注射により投与した。併用投与の効果は、金氏の公式に基づいてQ値を計算した。
Q = Ea+b / (Ea+Eb-Ea×Eb)
Ea+bは、併用投与の腫瘍抑制率であり、EaとEbはそれぞれ薬剤Aと薬剤Bの腫瘍抑制率である。Q値が0.85~1.15の場合は相加的(+)とし、>1.15の場合は増強的(++)とした。
試験結果を表11に示す。
表11 ヌードマウスにおけるヒト胃癌SGC7901異種移植腫瘍の増殖に対する、化合物6とパクリタキセルの併用による抑制効果
Figure 2024045042000052
ブランク対照群と比較して、P<0.05
試験の結論:
化合物6をパクリタキセルと組み合わせたQ値は0.927であり、有意な抗腫瘍の相加効果があったが、相乗的な抗腫瘍効果はなかった。動物の体重に有意な低下はなく、パクリタキセルを併用しても、有意な毒性の相加反応は見られなかった。
試験例13.ヌードマウスにおけるヒト肺癌A549異種移植腫瘍の増殖に対する、化合物8とカルボプラチンの併用による抑制効果
試験方法:ヒト肺癌A549のヌードマウス移植腫瘍は、ヒト肺癌A549細胞株をヌードマウスの腋窩皮下に接種して作成した。細胞接種量は1×10であり、接種して移植腫瘍を形成した後に、さらにヌードマウスの体内で3世代継代した後に使用した。増殖がピーク期にある腫瘍組織を約1.5mm切り出し、無菌条件下でホモジナイズした後に、1×10/mlの細胞懸濁液に調製し、0.1mlをヌードマウスの右側腋窩皮下に接種した。ヌードマウスに移植した腫瘍の直径をノギスで測定し、腫瘍が100mmに成長したところで、マウスを無作為に群分けし、各群6匹とした。腫瘍径を測定する方法を用いて、試験物の抗腫瘍効果を動的に観察した。化合物8は、200mg/kgで、腹腔内注射により、1日おきに1回、3週間投与し、カルボプラチンは、10mg/kgで、腹腔内注射により、1日おきに1回、3週間投与した。腫瘍径の測定回数は、3日に1回測定とした。投与体積は0.1ml/20gとした。陰性対照群には、同量の生理食塩水溶液を静脈注射により投与した。併用投与の効果は、金氏の公式に基づいてQ値を計算した。
Q = Ea+b / (Ea+Eb-Ea×Eb)
Ea+bは、併用投与の腫瘍抑制率であり、EaとEbはそれぞれ薬剤Aと薬剤Bの腫瘍抑制率である。Q値が0.85~1.15の場合は相加的(+)とし、>1.15の場合は増強的(++)とした。
試験結果を表12に示す。
表12 ヌードマウスにおけるヒト肺癌A549異種移植腫瘍の増殖に対する、化合物8とカルボプラチンの併用による抑制効果
Figure 2024045042000053
ブランク対照群と比較して、P<0.05
試験の結論:
化合物8をカルボプラチンと組み合わせたQ値は0.941であり、有意な抗腫瘍の相加効果があったが、相乗的な抗腫瘍効果はなかった。動物の体重に有意な低下はなく、カルボプラチンを併用しても、有意な毒性の相加反応は見られなかった。
試験例14.マウスにおけるLewis非小細胞肺癌モデルに対する、化合物11とPD-L1の併用による腫瘍抑制効果
試験方法:C57BL/6マウスの移植腫瘍は、Lewis非小細胞肺癌株をC57BL/6マウスの腋窩皮下に接種して作成した。細胞接種量は1×10であり、接種して移植腫瘍を形成した後に、さらにC57BL/6マウスの体内で3世代継代した後に使用した。増殖がピーク期にある腫瘍組織を約1.5mm切り出し、無菌条件下でホモジナイズした後に、1×10/mlの細胞懸濁液に調製し、0.1mlをC57BL/6マウスの右側腋窩皮下に接種した。C57BL/6マウスに移植した腫瘍の直径をノギスで測定し、腫瘍が100mmに成長したところで、マウスを無作為に群分けし、各群6匹とした。腫瘍径を測定する方法を用いて、試験物の抗腫瘍効果を動的に観察した。化合物11は、200mg/kgで、腹腔内注射により、1日おきに1回、3週間投与し、PD-L1は、10mg/kgで、腹腔内注射により、1日おきに1回、3週間投与した。腫瘍径の測定回数は、3日に1回測定とした。投与体積は0.1ml/20gとした。陰性対照群には、同量の生理食塩水溶液を静脈注射により投与した。
併用投与の効果は、金氏の公式に基づいてQ値を計算した。
Q = Ea+b / (Ea+Eb-Ea×Eb)
Ea+bは、併用投与の腫瘍抑制率であり、EaとEbはそれぞれ薬剤Aと薬剤Bの腫瘍抑制率である。Q値が0.85~1.15の場合は相加的(+)とし、>1.15の場合は増強的(++)とした。
試験結果を表13に示す。
表13 マウスにおけるLewis非小細胞肺癌モデルに対する、化合物11とPD-L1の併用による腫瘍抑制効果
Figure 2024045042000054
ブランク対照群と比較して、P<0.05
試験の結論:
化合物11をPD-L1と組合わせたQ値は1.16であり、これは、化合物11とPD-L1を併用した場合に有意な相乗的抗肺癌効果があることを示している。動物の体重に有意な低下はなく、薬物を併用しても、有意な毒性の相加反応は見られなかった。
試験例15.NOGマウスにおけるヒト肝癌QGY7703モデル内での、化合物6とT細胞の併用による腫瘍抑制効果
試験方法:QGY7703腫瘍細胞をPBSで2回洗浄し、次にPBS:Matrigel(体積比1:1で混合)で再懸濁させ、細胞濃度を2.5×10個/mlに調整し、実験動物の右側腋窩の皮下に、マウス1匹あたり200μl、すなわちマウス1匹あたり5×10個の細胞を接種した。腫瘍が50mm前後に成長したところで、群分けし、投与を行った。
T細胞の培養および収穫:ドナーのPBMCを、T細胞培養の標準操作規程に従ってインビトロで活性化させ増殖させた。対数増殖期の細胞を収穫し、中用量(2×10個/ml)の要件に応じて溶媒に懸濁して使用に備えた。
腫瘍が適切な大きさに成長したところで、T細胞の注射および化合物6の投与を行い、この時間をD0として記録した。化合物6の投与方式は腹腔内注射であり、用量は200mg/kgとした。D0日に投与を開始し、毎日、14日間投与を続けた。T細胞の投与方式は皮下投与とし、投与部位と腫瘍細胞接種部位とは同じであり、D0において3回に分けて注射して投与した。注射スケジュールを以下の表14に示す。T細胞の各回の投与は、化合物6の投与の約4時間後に行った。
3日毎にマウスの一般症状、マウスの体重、腫瘍体積および腫瘍重量を記録した。腫瘍の状態に基づいて、追加のEAL注射を行うかどうかを決定した。
表14 投与計画
Figure 2024045042000055
併用投与の効果は、金氏の公式に基づいてQ値を計算した。
Q = Ea+b / (Ea+Eb-Ea×Eb)
Ea+bは、併用投与の腫瘍抑制率であり、EaとEbはそれぞれ薬剤Aと薬剤Bの腫瘍抑制率である。Q値が0.85~1.15の場合は相加的(+)とし、>1.15の場合は増強的(++)とした。
試験結果を表15に示す。
表15 NOGマウスにおけるヒト肝癌QGY7703モデル内での、化合物6とT細胞の併用による腫瘍抑制効果
Figure 2024045042000056
ブランク対照群と比較して、P<0.05
試験の結論:
化合物6をT細胞と組合わせたQ値は1.20であり、これは、化合物6とT細胞を併用した場合に有意な相乗的抗肝癌効果があることを示している。動物の体重に有意な低下はなく、T細胞を併用しても、有意な毒性の相加反応は見られなかった。
試験例14および15は、本発明のスチルベン系化合物が、腫瘍免疫治療薬物との併用により相乗的な抗腫瘍効果を発揮することができる、ということを示している。
試験例16.化合物6の腫瘍転移に対する抑制効果
無菌条件下で、対数増殖期のB16マウスメラノーマ培養細胞を取り、2.8×10/mlの細胞懸濁液に調製し、C57BL/6マウスの尾静脈にマウス1匹あたり0.2mlを接種し、翌日に、表16に示す投与方式により投与を行い、3週間後に各動物を死なせ、各群の肺を取り出し、各群のマウスの肺に転移したコロニー数を計測し、各群の腫瘍の平均コロニー数に基づき、式に従って腫瘍抑制率を計算した:腫瘍抑制率%=[(対照群平均コロニー数-投与群平均コロニー数)/対照群平均コロニー数]×100%。結果を表16に示す。
表16 B16マウスメラノーマ肺転移モデルに対する化合物6の抗転移効果
Figure 2024045042000057
**P<0.01 vs陰性対照。
この結果は、化合物6がB16マウスにおけるメラノーマの転移に対して抑制効果を有し、且つ用量依存の関係を示し、その経路は癌関連血栓の動きの抑制に関連する可能性がある、ということを示している。
試験例17.化合物6のラット眼表面新生血管抑制に関する研究
SDラット4匹、雌雄を問わず、単眼でモデル化し、合計4眼とし、ブランク対照(無処理群)1眼、モデル群1眼、投与群1と投与群2をそれぞれ1眼とした。
ペントバルビタールナトリウム(25~30mg/kg、腹腔内注射)で麻酔し、同時に両眼に2滴のオキシブプロカイン塩酸塩点眼液を滴下して眼表面の麻酔を行い、ピペットガンで30μLのNaOH(1mol/L)溶液を取って、直径が約3mmの乾燥した濾紙に10秒乗せ、湿潤した円形濾紙をモデル化した眼の角膜中心(角膜強膜の縁を覆う)に軽く貼り付け、適切な時間密着を維持して、濾紙を除去し、次に生理食塩水を用いて、針を用いて1分間洗浄した。術後にオフロキサシン眼軟膏を塗布して感染を防止した(3回/日、5日間継続)。
モデル化して1、3、5、7、10日目(D1、D3、D5、D7、D10)に、細隙灯で前眼部の結膜充血状況、角膜浮腫および角膜新生血管の成長状況を観察した。
5日目(D5)に血管新生が現れ、これを試験薬の投与1日目(d1)とし、1日3回点眼し、10日間連続投与し(d10)、d10日の投与が終了した後に、細隙灯で前眼部の結膜充血状況、角膜浮腫および角膜新生血管の成長状況を観察した。試験を終了し、ラットを安楽死させた。
ブランク対照(未処理群):いかなる処理もせず、モデル化もせず、投与も行わなかった。
モデル群:30μLのNaOH(1mol/L)で湿潤させた円形濾紙(直径約3mm)を角膜に軽く貼り付けてモデル化し、モデル化した後に抗感染処理を行ったが、投与は行わなかった。
投与群1:モデル化した後に投与を行い、投与は化合物6を生理食塩水に溶解させて濃度を10mg/mLにし、投与時50μL/眼とし、下眼の結膜嚢に、3回/日、10日間連続で点眼した。
投与群2:モデル化した後に投与を行い、投与は化合物6を生理食塩水に溶解させて濃度を25mg/mLにし、投与時50μL/眼とし、下眼の結膜嚢に、3回/日、10日間連続で点眼した。
結果を図6に示す:投与群の眼表面新生血管はいずれもモデル群よりも減少し、そのうち高用量群の血管増殖面積は有意に減少した。化合物6は、眼表面の新生血管の成長に対して抑制効果を有するとともに、用量反応関係を有する。
以上のように、本発明はスチルベン系化合物の抗腫瘍薬物の調製における使用を提供し、本発明の研究により、一部のスチルベン系化合物は、固形腫瘍内にCD8Tリンパ球を多く集め且つ腫瘍血管の内壁を標的破壊するという二重の効果を有し、抗原CD8キラーTリンパ球によって腫瘍細胞を消滅させると同時に、腫瘍組織への血液供給を遮断し、固形腫瘍内部の急速な壊死を引き起こし、腫瘍に対する殺傷力を大幅に向上させ、さらに腫瘍転移に対して抑制効果を有することが見出された。本発明のスチルベン系化合物は、抗腫瘍薬物の調製に用いることができ、また、腫瘍免疫治療薬物と併用して相乗的な抗腫瘍効果を発揮することもできる。これらのスチルベン系化合物は、構造が異なると化合物の抗腫瘍効果も異なるため、様々な抗腫瘍薬物の調製に用いることができる。また、本発明のスチルベン系化合物は、眼表面の血管の成長を抑制することができるため、様々な眼部疾患を治療するための薬物の調製に用いることができる。本発明のスチルベン系化合物の応用には将来性がある。

Claims (20)

  1. 式Iに示す化合物、またはその塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物の、抗腫瘍薬物および/または眼疾患を予防および/または治療するための薬物の調製における使用:
    Figure 2024045042000058
    (ただし、Mは水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムまたは有機アミンから選択され、
    、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、C~Cアルキル基、C~Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲンから選択される)。
  2. 前記有機アミンはアミノ酸、ペプチド、t-ブチルアミンまたはn-ブチルアミンであり、
    および/または、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、C~Cアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、フッ素、塩素または臭素から選択され、
    好ましくは、
    前記有機アミンはメグルミン、ピラジン、アラニン、n-ブチルアミン、リジン、t-ブチルアミンから選択され、
    および/または、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素または臭素から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
  3. 前記化合物は式IIに示す化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の使用:
    Figure 2024045042000059
    (ただし、Mは水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、メグルミン、ピラジン、アラニン、n-ブチルアミン、リジンまたはt-ブチルアミンから選択され、
    、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素または臭素から選択される)。
  4. 前記化合物は式IIIに示す化合物であることを特徴とする、請求項3に記載の使用:
    Figure 2024045042000060
    (ただし、Mは水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、メグルミン、ピラジン、アラニン、n-ブチルアミン、リジンまたはt-ブチルアミンから選択され、
    、R、Rはそれぞれ独立して水素、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素または臭素から選択される)。
  5. 前記化合物は式IVに示す化合物であることを特徴とする、請求項4に記載の使用:
    Figure 2024045042000061
    (ただし、Mは水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、メグルミン、ピラジン、アラニン、n-ブチルアミン、リジンまたはt-ブチルアミンから選択され、
    、Rはそれぞれ独立して水素、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素または臭素から選択される)。
  6. 前記抗腫瘍薬物は、固形腫瘍内にCD8Tリンパ球を多く集めおよび/または腫瘍血管の内壁を破壊する効果を有する薬物であり、
    好ましくは、前記薬物が、固形腫瘍の中心部位の腫瘍細胞の壊死を引き起こす薬物であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1つに記載の使用。
  7. 前記抗腫瘍薬物が腫瘍の転移を抑制する薬物であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1つに記載の使用。
  8. 前記抗腫瘍薬物が腫瘍の転移を抑制する薬物である場合、式Iに示す化合物の構造は式Vaに示すとおりであり、
    Figure 2024045042000062
    好ましくは、前記腫瘍の転移を抑制する薬物が、メラノーマの転移を抑制する薬物であることを特徴とする、請求項7に記載の使用。
  9. 前記抗腫瘍薬物が、肺癌、肝癌、胃癌、卵巣癌、前立腺癌または腎細胞癌を予防および/または治療するための薬物であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1つに記載の使用。
  10. 前記抗腫瘍薬物が、肺癌、肝癌、胃癌または卵巣癌を予防および/または治療するための薬物である場合、式Iに示す化合物の構造は式Vaに示すとおりであることを特徴とする、請求項9に記載の使用。
    Figure 2024045042000063
  11. 前記抗腫瘍薬物が、前立腺癌または腎細胞癌を予防および/または治療するための薬物である場合、式Iに示す化合物の構造は式Vbに示すとおりであることを特徴とする、請求項9に記載の使用。
    Figure 2024045042000064
  12. 前記眼疾患を予防および/または治療するための薬物が、眼表面の血管の成長を抑制する薬物であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1つに記載の使用。
  13. 前記眼疾患が、網膜症、眼底血管腫、眼底出血、涙嚢炎、緑内障、白内障、硝子体混濁、視神経萎縮、黄斑変性および/または網膜剥離であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1つに記載の使用。
  14. 前記眼疾患が糖尿病眼疾患であり、
    好ましくは、前記糖尿病眼疾患が、糖尿病と関係する網膜症、眼底血管腫、眼底出血、涙嚢炎、緑内障、白内障、硝子体混濁、視神経萎縮、黄斑変性および/または網膜剥離であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1つに記載の使用。
  15. 前記化合物の構造は式Vaに示すとおりであることを特徴とする、請求項12~14のいずれか1つに記載の使用。
    Figure 2024045042000065
  16. 腫瘍を治療するための薬物製剤であって、該薬物製剤は、請求項1~11のいずれか1つに記載の化合物、またはその塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物を活性成分とし、薬学的に許容可能な補助材料または補助性成分を添加して調製された薬物製剤であり、
    好ましくは、前記薬物製剤が注射製剤、経口製剤または外用製剤であることを特徴とする、薬物製剤。
  17. 眼疾患を予防および/または治療するための薬物製剤であって、該薬物製剤は、請求項1~5、15のいずれか1つに記載の化合物、またはその塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物を活性成分とし、薬学的に許容可能な補助材料または補助性成分を添加して調製された薬物製剤であり、
    好ましくは、前記薬物製剤が眼部を通じて投与する製剤であり、
    より好ましくは、前記製剤の剤形が点眼剤、眼軟膏、眼用ゲル、ナノ製剤、マイクロスフェア製剤、リポソーム製剤であり、
    さらに好ましくは、前記点眼剤が水溶液、懸濁剤、乳剤であることを特徴とする、薬物製剤。
  18. 請求項1~11のいずれか1つに記載の化合物、またはその塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物の、腫瘍免疫治療薬物との併用による、抗腫瘍併用薬物の調製における使用であって、
    好ましくは、前記腫瘍免疫治療薬物がPD1、PD-L1、T細胞、NK細胞またはCART細胞であることを特徴とする、使用。
  19. 式Vcに示す化合物、またはその塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物の、PD-L1との併用による、肺癌を予防および/または治療するための併用薬物の調製における使用であることを特徴とする、請求項18に記載の使用。
    Figure 2024045042000066
  20. 式Vaに示す化合物、またはその塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物の、T細胞との併用による、肝癌を予防および/または治療するための併用薬物の調製における使用であることを特徴とする、請求項18に記載の使用。
    Figure 2024045042000067
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