JP2024043858A - 二次電池、電池パック、車両及び定置用電源 - Google Patents

二次電池、電池パック、車両及び定置用電源 Download PDF

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Abstract

【課題】充放電効率及びサイクル寿命性能に優れた二次電池、この二次電池を含む電池パック、並びにこの電池パックを含む車両及び定置用電源を提供する。【解決手段】実施形態によると、二次電池が提供される。二次電池は、正極5と、チタンを含む負極活物質を含む負極3と、正極5と負極3の間に配置されるセパレータ4と、負極3及び/又はセパレータ4の表面と接する疎水部102と、疎水部102上に形成される親水部103と、水系電解質とを含む。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、二次電池、電池パック、車両及び定置用電源に関する。
負極活物質として炭素材料又はリチウムチタン酸化物を、正極活物質としてニッケル、コバルト及びマンガン等を含有する層状酸化物を用いた非水電解質電池、特にリチウム二次電池が、幅広い分野における電源として既に実用化されている。このような非水電解質電池の形態は、各種電子機器用などの小型の物から、電気自動車用などの大型の物まで多岐にわたる。
ところで、電解液の水溶液化の検討がなされている。水系電解液では、電池の充放電を実施する電位範囲を、溶媒として含まれている水の電気分解反応が起こらない電位範囲に留める必要がある。例えば、正極活物質としてリチウムマンガン酸化物及び負極活物質としてリチウムバナジウム酸化物を用いることで、水の電気分解を回避できる。これらの組み合わせでは、1~1.5V程度の起電力が得られるものの、電池として十分なエネルギー密度は得られにくい。
正極活物質にリチウムマンガン酸化物、負極活物質としてLiTi24、Li4Ti512などといったリチウムチタン酸化物を用いると、理論的には2.6~2.7V程度の起電力が得られ、エネルギー密度の観点からも魅力的な電池になりうる。このような正負極材料の組み合わせを採用した非水系のリチウム二次電池では優れた寿命性能が得られ、このような電池は既に実用化されている。しかしながら、水系電解液においては、リチウムチタン酸化物のリチウム挿入脱離の電位は、リチウム電位基準にて約1.5V(vs.Li/Li+)であるため、水の電気分解が起こりやすい。特に負極においても、負極集電体、又は負極と電気的に接続されている金属製の外装缶の表面での電気分解による水素発生が起こる。そのため、このような電池では動作が安定せず、充放電効率に課題がある。
特開2010-277935号公報 特開2007-109549号公報 特開2019-169355号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされ、充放電効率及びサイクル寿命性能に優れた二次電池、この二次電池を含む電池パック、並びにこの電池パックを含む車両及び定置用電源を提供することを目的とする。
実施形態によると、二次電池が提供される。二次電池は、正極と、チタンを含む負極活物質を含む負極と、正極と負極の間に配置されるセパレータと、負極及び/又はセパレータの表面と接する疎水部と、疎水部上に形成される親水部と、水系電解質とを含む。
他の実施形態によると、二次電池が提供される。二次電池は、正極と、チタンを含む負極活物質を含む負極と、正極と負極の間に配置されるセパレータと、水系電解質とを含む。負極及び/又はセパレータの表面に、RXを含む基が形成される。Rは、炭素数3以上9以下の非環式炭化水素の基である。Xは、RXを含む基の末端に位置し、炭素原子とヘテロ原子と水素原子から成る。ヘテロ原子の数に対する炭素原子の数の比が1以上3以下であって、ヘテロ原子がRと結合している。
他の実施形態によると、実施形態に係る二次電池を含む電池パックが提供される。
他の実施形態によると、実施形態に係る電池パックを含む車両が提供される。
他の実施形態によると、実施形態に係る電池パックを含む定置用電源が提供される。
実施形態に係る二次電池が含む負極又はセパレータの表面近傍を概略的に示す断面図。 実施形態に係る二次電池が含む負極又はセパレータの表面に、RXを含む基が形成されている形態を概略的に示す図。 実施形態に係る二次電池の一例を概略的に示す断面図。 図3に示す二次電池のII-II線に沿う断面図。 実施形態に係る二次電池の他の例を模式的に示す部分切欠斜視図。 図5に示す二次電池のB部を拡大した断面図。 実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図。 実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す斜視図。 図8に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図。 実施形態に係る車両への適用例を概略的に示す断面図。 実施形態に係る定置用電源への適用例を示す概略図。
以下、実施の形態について適宜図面を参照して説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
本明細書において「負極及び/又はセパレータ」と記載した場合には、「負極及びセパレータから選択される少なくとも1つの部材」を指すものとする。
(第1の実施形態)
第1の実施形態によると、二次電池が提供される。二次電池は、正極と、チタンを含む負極活物質を含む負極と、正極と負極の間に配置されるセパレータと、負極及び/又はセパレータの表面と接する疎水部と、疎水部上に形成される親水部と、水系電解質とを含む。
スピネル型リチウムチタン酸化物Li4Ti512(TLO)を含め、多くのチタン含有酸化物の動作電位が水の電気分解電位よりも低い。そのため、例えば、TLOなどのチタン含有酸化物を負極活物質として用い且つ電解液に水を多く含む二次電池では、負極活物質へのキャリア(例えば、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンや、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン)の挿入反応と水の電気分解によるプロトン(水素カチオン;H)の還元反応とが競合する。その結果、二次電池の充放電効率や放電容量が低下する。
水系電解質が含む水分子は、二次電池内で移動可能なため、負極活物質に接近し得る。例えば、負極からセパレータを隔てて存在していた水分子が、セパレータを通過して負極活物質へと接近し得る。その結果、水の電気分解がさらに進行する。
第1の実施形態に係る二次電池は、負極及び/又はセパレータの表面と接する疎水部を含む。疎水部は、水との親和性が低い。そのため、疎水部は、二次電池において、疎水部よりも正極側に存在する水分子が、疎水部よりも負極側へ移動するのを抑制できる。よって、水系電解質を使用した二次電池において、負極活物質への水分子の接近を抑制できる。その結果、負極上における水の電気分解を抑制でき、二次電池の充放電効率及びサイクル寿命性能を向上できる。
疎水部上には、親水部が形成されている。そのため、本実施形態に係る二次電池では、親水部、疎水部、負極及び/又はセパレータの順に並ぶ。親水部は、水との親和性が高い。よって、親水部は、水系電解質との親和性が高いため、イオン伝導を促進できる。例えば、リチウムイオン伝導を促進することができる。その結果、充放電効率の向上に寄与する。疎水部上に親水部が形成されていることにより、負極活物質への水分子の接近を抑制しつつ、イオン伝導性を高くできる。従って、実施形態に係る二次電池は、高い充放電効率及びサイクル寿命性能を両立できる。
以下、実施形態に係る二次電池を詳細に説明する。
当該二次電池は、例えば、アルカリ金属イオンをキャリアイオンとする二次電池であり得る。例えば、リチウム二次電池(リチウムイオン二次電池)であり得る。二次電池には、水系電解質(例えば、水溶液電解質)を含んだ水系電解質二次電池が含まれる。つまり二次電池は、水系電解質リチウムイオン二次電池であり得る。
二次電池において、負極、正極、及びセパレータは、電極群を構成することができる。水系電解質は、電極群に保持され得る。
疎水部は、負極及び/又はセパレータの表面と接している。疎水部は、当該表面の全体と接していてもよく、又は一部と接していてもよい。疎水部は、親水性が低い。具体的には、疎水部の厚み方向に沿う断面の、後述する分析における官能基濃度、またはヘテロ原子濃度が低い。
親水部は、疎水部上に形成されている。親水部は、疎水部全体の上に形成されていてもよく、又は疎水部の一部の上に形成されていてもよい。親水部は、親水性が高い。具体的には、親水部の厚み方向に沿う断面の、後述する分析における官能基濃度、またはヘテロ原子濃度が高い。
官能基は、ヘテロ原子を含む。ヘテロ原子は、水素及び炭素以外の原子である。ヘテロ原子を含む基は、極性が高いため、水との親和性が高くなり得る。官能基が含むヘテロ原子の例としては、例えば、酸素、窒素が挙げられる。官能基が含むヘテロ原子の種類は、1種又は2種以上にすることができる。官能基としては、例えば、水酸基(OH)、アミノ基(NH)、エーテル結合、OCHCH(O)CH、OCHCH(OH)CHOH、NH(CHnNH(0≦n≦7)がある。官能基の種類は、1種又は2種以上にすることができる。また、上記官能基のうち、OCHCH(O)CHは、加水分解によりOCHCH(OH)CHOHを生じ得る。
図1は、実施形態に係る二次電池が含む負極又はセパレータの表面近傍を概略的に示す断面図である。図1に示す負極又はセパレータ101の表面に、当該表面と接する疎水部102が形成されている。疎水部102上に、親水部103が形成されている。
図1に示す例では、負極又はセパレータの一方を101として示しているが、実施形態に係る二次電池において、負極及びセパレータの両方の表面に疎水部102が形成され、疎水部102上に親水部103が形成されていてもよい。
二次電池は、電極群および水系電解質を収容可能な外装部材を更に含むことができる。また、二次電池は、負極に電気的に接続された負極端子及び正極に電気的に接続された正極端子を更に含むことができる。
以下、負極、正極、セパレータ、疎水部、親水部、水系電解質、外装部材、負極端子及び正極端子について詳細に説明する。
(負極)
負極は、負極集電体と、負極集電体の片面又は両面に担持され、負極活物質、導電剤及び結着剤を含む負極活物質含有層とを有する。
負極活物質含有層は、チタンを含む負極活物質を単独で含んでもよく、チタンを含む負極活物質と、1種又は2種以上の他の活物質とを混合した混合物を含んでもよい。
チタンを含む負極活物質としては、例えば、二酸化チタン、リチウムチタン複合酸化物、ナトリウムチタン複合酸化物、アルミニウムチタン複合酸化物及びニオブチタン酸化物を挙げることができる。
二酸化チタンは、例えば、単斜晶構造のチタン酸化物、ルチル構造のチタン酸化物、アナターゼ構造のチタン酸化物を含む。各結晶構造のチタン酸化物は、充電前の組成をTiO2、充電後の組成をLixTiO2(xは0≦x≦1)で表すことができる。また、単斜晶構造のチタン酸化物の充電前構造をTiO2(B)と表すことができる。
リチウムチタン酸化物は、例えば、スピネル構造のリチウムチタン酸化物(例えば一般式Li4+xTi512(xは-1≦x≦3))、ラムスデライト構造のリチウムチタン酸化物(例えば、Li2+xTi37(-1≦x≦3))、Li1+xTi24(0≦x≦1)、Li1.1+xTi1.84(0≦x≦1)、Li1.07+xTi1.864(0≦x≦1)、LixTiO2(0<x≦1)などを含む。また、リチウムチタン酸化物は、異種元素が導入されているリチウムチタン複合酸化物であってもよい。
ナトリウムチタン複合酸化物としては、例えば直方晶型(orthorhombic)チタン含有複合酸化物を挙げることができる。直方晶型(orthorhombic)チタン含有複合酸化物、例えば、Li2+aI 2-bTi6-cII d14+σで表される化合物を含む。ここで、MIは、Sr,Ba,Ca,Mg,Na,Cs,Rb及びKからなる群より選択される少なくとも1つである。MIIはZr,Sn,V,Nb,Ta,Mo,W,Y,Fe,Co,Cr,Mn,Ni,及びAlからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦a≦6、0≦b<2、0≦c<6、0≦d<6、-0.5≦σ≦0.5である。直方晶型チタン含有複合酸化物の具体例として、Li2+aNa2Ti614(0≦a≦6)が挙げられる。
アルミニウムチタン複合酸化物としては、例えばAl23・TiO2を挙げることができる。
ニオブチタン酸化物は、例えば、LiaTiMbNb2±β7±σ(0≦a≦5、0≦b≦0.3、0≦β≦0.3、0≦σ≦0.3、MはFe,V,Mo及びTaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素)で表されるものを含む。
負極活物質は、例えば粒子の形態で負極に含まれている。負極活物質粒子は、単独の一次粒子、一次粒子の凝集体である二次粒子、あるいは、単独の一次粒子と二次粒子の混合物であり得る。粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、楕円形状、扁平形状、繊維状等にすることができる。
チタンを含む負極活物質は、水と反応して表面に水酸基を生じ得る。そのため、負極表面には水酸基が存在していてもよい。
負極活物質粒子の平均一次粒子径は、例えば20nm~3μmの範囲内にある。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、及び黒鉛のような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。あるいは、導電剤を用いる代わりに、活物質粒子の表面に、炭素コートや電子導電性無機材料コートを施してもよい。
結着剤は、分散された活物質の間隙を埋め、また、活物質と負極集電体を結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジェンゴム、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
負極活物質含有層中の負極活物質、導電剤及び結着剤の配合割合は、負極活物質が70質量%以上95質量%以下、導電剤が3質量%以上20質量%以下、結着剤が2質量%以上10質量%以下の範囲であることが好ましい。導電剤の配合割合が3質量%以上であると、負極活物質含有層の集電性能を向上させることができる。また、結着剤の配合割合が2質量%以上であると、十分な電極強度が得られ、10質量%以下であると電極の絶縁部を減少させることができる。
また、負極活物質含有層は、Hg,Pb,Zn,及びBiから成る群より選択される1以上の第1金属元素をさらに含んでもよい。上記第1金属元素は、水素発生過電圧が高い金属である。第1金属元素のうち、亜鉛を含むことが望ましい。従って、第1金属元素が亜鉛を少なくとも含むことが望ましい。第1金属元素は、例えば、第1金属元素の金属単体、酸化物、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、及び水酸化物から成る群より選択される1以上の形態で、負極活物質含有層に含まれ得る。例えば、第1金属元素の単体または化合物が、負極活物質等の粒子表面を被覆した状態に在り得る。負極活物質含有層が第1金属元素を含むことにより、負極での水分解を抑制できる。
実施形態に係る二次電池の負極の負極活物質含有層に第1金属元素を含有させることにより、負極での水分解を抑制できる。従って、二次電池の充放電効率およびサイクル寿命性能をさらに高めることができる。
負極集電体は、負極活物質にアルカリ金属イオンが挿入及び脱離される電位において電気化学的に安定である材料が用いられる。例えば、負極集電体は、亜鉛、銅、ニッケル、ステンレス又はアルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金から作られることが好ましい。
負極集電体の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましい。このような厚さを有する負極集電体は、負極の強度と軽量化のバランスをとることができる。
また、負極集電体は、その表面に負極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、負極集電タブとして働くことができる。
負極活物質含有層の密度(集電体を含まず)は、1.8g/cm3以上2.8g/cm3以下であることが好ましい。負極活物質含有層の密度がこの範囲内にある負極は、エネルギー密度と水系電解質の保持性とに優れている。負極活物質含有層の密度は、2.1g/cm3以上2.6g/cm3以下であることがより好ましい。
負極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、負極活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、負極集電体の片面又は両面に塗布する。次いで、塗布したスラリーを乾燥させて、負極活物質含有層と負極集電体との積層体を得る。その後、この積層体にプレスを施す。このようにして、負極を作製する。
或いは、負極は、次の方法により作製してもよい。まず、負極活物質、導電剤及び結着剤を混合して、混合物を得る。次いで、この混合物をペレット状に成形する。次いで、これらのペレットを負極集電体上に配置することにより、負極を得ることができる。
(正極)
正極は、正極集電体と、正極活物質含有層とを含むことができる。正極活物質含有層は、正極集電体の片面又は両面に形成され得る。正極活物質含有層は、正極活物質と、任意に導電剤及び結着剤を含むことができる。
正極活物質としては、例えば、酸化物又は硫化物を用いることができる。正極は、正極活物質として、1種類の化合物を単独で含んでいてもよく、或いは2種類以上の化合物を組み合わせて含んでいてもよい。酸化物及び硫化物の例には、Li又はLiイオンを挿入及び脱離させることができる化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24又はLixMnO2;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4;0<x≦1、LixFe1-yMnyPO4;0<x≦1、0<y≦1、LixCoPO4;0<x≦1)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV25)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。
上記のうち、正極活物質としてより好ましい化合物の例には、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムリン酸鉄(例えばLixFePO4;0<x≦1)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。これらの化合物を正極活物質に用いると、正極電位を高めることができる。
正極活物質の一次粒径は、100nm以上1μm以下であることが好ましい。一次粒径が100nm以上の正極活物質は、工業生産上の取り扱いが容易である。一次粒径が1μm以下の正極活物質は、リチウムイオンの固体内拡散をスムーズに進行させることが可能である。
正極活物質の比表面積は、0.1m2/g以上10m2/g以下であることが好ましい。0.1m2/g以上の比表面積を有する正極活物質は、Liイオンの吸蔵・放出サイトを十分に確保できる。10m2/g以下の比表面積を有する正極活物質は、工業生産の上で取り扱い易く、かつ良好な充放電サイクル性能を確保できる。
結着剤は、分散された正極活物質の間隙を埋め、また、正極活物質と正極集電体とを結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、正極活物質と正極集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック及び黒鉛のような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。また、導電剤を省略することもできる。
正極活物質含有層において、正極活物質及び結着剤は、それぞれ、80質量%以上98質量%以下、及び2質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。
結着剤の量を2質量%以上にすることにより、十分な電極強度が得られる。また、結着剤は、絶縁体として機能し得る。そのため、結着剤の量を20質量%以下にすると、電極に含まれる絶縁体の量が減るため、内部抵抗を減少できる。
導電剤を加える場合には、正極活物質、結着剤及び導電剤は、それぞれ、77質量%以上95質量%以下、2質量%以上20質量%以下、及び3質量%以上15質量%以下の割合で配合することが好ましい。
導電剤の量を3質量%以上にすることにより、上述した効果を発揮することができる。また、導電剤の量を15質量%以下にすることにより、電解質と接触する導電剤の割合を低くすることができる。この割合が低いと、高温保存下において、電解質の分解を低減することができる。
正極集電体は、アルミニウム箔、又は、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。
アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。アルミニウム箔の純度は99質量%以上であることが好ましい。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔に含まれる鉄、銅、ニッケル、及びクロムなどの遷移金属の含有量は、1質量%以下であることが好ましい。
また、正極集電体は、その表面に正極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、正極集電タブとして働くことができる。
正極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、正極活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、正極集電体の片面又は両面に塗布する。次いで、塗布したスラリーを乾燥させて、正極活物質含有層と正極集電体との積層体を得る。その後、この積層体にプレスを施す。このようにして、正極を作製する。
(セパレータ)
セパレータは、例えば、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、セルロース、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、若しくはガラスを含む多孔質フィルム、又は合成樹脂製不織布から形成される。
セパレータは、例えば粒子形状の固体電解質であってもよい。この場合、セパレータは高分子材料を更に含んでいてもよい。高分子材料の例は、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアミン系、ポリエチレン系、シリコーン系及びポリスルフィド系を含む。
固体電解質は、Liイオン伝導性を有する固体物質である。ここでいうLiイオン伝導性を有するとは、25℃で1×10-6S/cm以上のリチウムイオン伝導度を示すことを指す。
固体電解質は、例えば、硫化物系のLi2SeP25系ガラスセラミックス、ペロブスカイト型構造を有する無機化合物、LiSICON型構造を有する無機化合物、NASICON型骨格を有する無機化合物(例えば、後述するLATP)、アモルファス状のLIPON、及びガーネット型構造を有する無機化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つである。固体電解質は、好ましくは、NASICON型骨格を有するLATP(Li1+xAlxTi2-x(PO43)(0.1≦x≦0.4)、アモルファス状のLIPON(Li2.9PO3.30.46)、ガーネット型のLi7La3Zr212(LLZ)などの酸化物である。固体電解質の種類は、1種又は2種以上にすることができる。
セパレータは、厚さが20μm以上100μm以下、密度が0.2g/cm以上0.9g/cm以下であることが好ましい。この範囲であると、機械的強度と電池抵抗の軽減のバランスを取ることができ、高出力で内部短絡が抑制された二次電池を提供することができる。
セパレータは、表面に水酸基を有することができる。表面に水酸基を有するセパレータの材料の例としては、セルロース、ガラス、金属酸化物が挙げられる。金属酸化物を含むセパレータの例としては、セラミック板、セラミックと樹脂の複合膜が挙げられる。金属酸化物の例としては、アルミナ、ジルコニア、シリカが挙げられる。前記原料を圧粉、または樹脂等で結着させることで膜、または板状に成型することで、表面に水酸基を有するセパレータを得ることができる。
(疎水部)
疎水部は、親水性が低い。疎水部は、例えば、負極及び/又はセパレータの表面の少なくとも一部に形成された疎水性高分子の層であり得る。疎水性高分子の例としては、ポリプロピレン、ポリエチレンが挙げられる。
疎水性高分子の層の厚さが厚いと、疎水部よりも正極側に存在する水分子が、疎水部よりも負極側へ移動するのを抑制できる効果が高くなり得る。疎水性高分子の層の厚さが薄いと、イオン伝導性を良好にできる。
他の疎水部の形態としては、例えば、負極及び/又はセパレータの表面の少なくとも一部に形成された疎水性の基であり得る。
疎水性の基としては、例えば、炭素数3以上の炭化水素基が挙げられる。
炭化水素基が過度に短いと、疎水部が過度に緻密になり得る。疎水部が過度に緻密であると、水系電解質との親和性が低下し得る。炭素数が9より大きいと、疎水性基同士の疎水性相互作用が強くなる。そのため、疎水部が緻密になり得る。その結果、水系電解質との親和性が低下し得る。過度に水系電解質との親和性が落ちると、電池としての効率が落ちるため好ましくない。炭素数が3以上9以下であると、疎水部の緻密性が適度で、水系電解質との親和性が良好である。そのため、疎水部は、炭素数3以上9以下の非環式炭化水素であることが好ましい。
疎水性の基と負極及び/又はセパレータの表面とは、他の原子を介して結合していてもよい。他の原子は、1個又は複数個にすることができる。例えば、疎水性の基が炭化水素基である場合に、炭化水素基と当該表面とが、炭素及び水素以外の原子を介して結合していてもよい。この場合も、当該表面と接している疎水性の基の例に含まれる。
疎水部は、後述の親水部と同時に形成してもよい。例えば、疎水性の基及び親水性の基を含む物質を、疎水性の基が負極及び/又はセパレータの表面と接するように、当該表面と結合させる。これによって、負極及び/又はセパレータの表面上に、当該表面と接する疎水部と、疎水部上に形成された親水部とを同時に形成できる。
疎水性の基及び親水性の基を含む物質において、例えば、疎水性の基及び親水性の基は直接結合していてもよく、他の基(連結基)を介して結合していてもよい。疎水性の基及び親水性の基を含む物質としては、例えば、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤は、疎水性の基及び親水性の基を含み、疎水性の基と結合するケイ素原子(Si)と、ケイ素原子と結合する酸素原子(O)とをさらに含む。ケイ素原子と結合する酸素原子は、例えば、メチル基とさらに結合することにより、メトキシ基を形成している。他にも、酸素原子は、エトキシ基などの他のアルコキシ基を形成していてもよい。
負極及び/又はセパレータの表面の少なくとも一部には、水酸基が存在していることが好ましい。当該水酸基が、シランカップリング剤が含むアルコキシ基と反応できる。その結果、当該表面と、疎水性の基とが、Si-O結合を介して結合できる。当該表面は、Oと結合できる。疎水性の基は、Siと結合できる。したがって、負極及び/又はセパレータの表面に、当該表面と接する疎水部と、疎水部上に形成される親水部とを同時に形成できる。
シランカップリング剤の例としては、8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、[3-(6-アミノヘキシルアミノ)プロピル]トリメトキシシランが挙げられる。
負極及び/又はセパレータの表面の水酸基濃度が高いと、シランカップリング剤との反応性が良好であり、好ましい。
(親水部)
親水部は、親水性が高い。親水部は、例えば、疎水部の少なくとも一部の上に形成された親水性高分子の層であり得る。親水性高分子の例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)などの、親水性の基を含む高分子が挙げられる。
他の親水部の形態としては、例えば、疎水部の少なくとも一部の上に形成された親水性の基であり得る。
親水性の基としては、例えば、先に説明した官能基と同じものを挙げることができる。
親水部が含むヘテロ原子の数に対する、疎水部が含む炭素原子の数の比は、1以上4以下であると好ましい。上記比が1以上4以下であると、疎水部による負極活物質への水分子の接近を抑制する効果と、親水部による水系電解質との親和性向上の効果とを両立しやすいため、好ましい。
(水系電解質)
水系電解質は、水系溶媒と電解質塩とを含む。水系溶媒としては、水を含む溶液を用いることができる。水を含む溶液とは、純水であってもよく、水と水以外の物質との混合溶液又は混合溶媒であってもよい。
水系電解質は、例えば、電解質塩を水系溶媒に溶解することにより調製される水溶液である。水系電解質は、この水溶液に高分子材料を複合化したゲル状の水系電解質であってもよい。高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキサイド(PEO)等を挙げることができる。
上記水溶液は、溶質である電解質塩1molに対し、水系溶媒を1mol以上含むことが好ましい。電解質塩1molに対し、水系溶媒が3.5mol以上であることがより好ましい。
水系電解質に水が含まれていることは、GC-MS(ガスクロマトグラフィー-質量分析;Gas Chromatography - Mass Spectrometry)測定により確認できる。また、水系電解質中の塩濃度および水含有量の算出は、例えばICP(誘導結合プラズマ;Inductively Coupled Plasma)発光分析などで測定することができる。水系電解質を規定量はかり取り、含まれる塩濃度を算出することで、モル濃度(mol/L)を算出できる。また水系電解質の比重を測定することで、溶質と溶媒のモル数を算出できる。
リチウム塩の例は、例えば、LiCl、LiBr、LiOH、Li2SO4、LiNO3、LiN(SO2CF32(LiTFSI:リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、LiN(SO2F)2(LiFSI:リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、及びLiB[(OCO)2]2(LiBOB:リチウムビスオキサレートボラート)などを含む。使用するリチウム塩の種類は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
ナトリウム塩の例は、NaCl、Na2SO4、NaOH、NaNO3、NaTFSA(ナトリウムトリフルオロメタンスルホニルアミド)、NaClO4(過塩素酸ナトリウム)、クエン酸三Na、酢酸Na、アスコルビン酸Na及びグルコン酸Naなどを含む。使用するナトリウム塩の種類は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
アルミニウム塩の例は、AlCl3、Al2(SO43、Al(NO33、Al(ClO43及びAl(OH)3を含む。使用するアルミニウム塩の種類は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
水系電解質のpHは適宜変更することが可能であるが、水素過電圧を高める観点から、アルカリ側であることが好ましいと考えられる。pHがアルカリ側であると、水素の発生をより抑制することができる。水溶液のpHをアルカリ側に調整する方法としては、例えばLiOHを添加することが挙げられる。但し、pHが12を超える場合は、集電体の腐食が進行するため好ましくない。水溶液のpHは、好ましくは2~11の範囲内にあり、より好ましくは3~9の範囲内にある。
水系電解質は、疎水性の基及び親水性の基を含む物質をさらに含んでもよい。疎水性の基及び親水性の基を含む物質の詳細は、先に説明した通りである。
例えば、電極群を組立て後、疎水性の基及び親水性の基を含む物質を含有させた水系電解質を注液して二次電池を作製する。このような二次電池を、例えば初充電、エージングなどの工程に供すると、負極及び/又はセパレータの表面に、疎水性の基及び親水性の基を含む物質を結合させることができる。
よって、疎水性の基及び親水性の基を含む物質を含有させた水系電解質を、負極及びセパレータのいずれの表面にも疎水部及び親水部を形成していない状態で組立てた電極群と組み合わせると、負極及び/又はセパレータの表面に、当該表面と接する疎水部、及び、疎水部上に形成された親水部を形成できる。
疎水性の基及び親水性の基を含む物質として、前述のシランカップリング剤を用いると、疎水性の基が負極及び/又はセパレータと結合しやすいため、好ましい。
(外装部材)
正極、負極及び水系電解質が収容される外装部材としては、金属製容器、ラミネートフィルム製容器、ポリエチレン又はポリプロピレンなどからなる樹脂製容器を使用することができる。
金属製容器としては、ニッケル、鉄、ステンレスなどからなる金属缶で角形、円筒形の形状のものが使用できる。
樹脂製容器及び金属製容器のそれぞれの板厚は、0.05mm以上1mm以下の範囲内にあることが好ましい。板厚は、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは0.3mm以下である。
ラミネートフィルムとしては、例えば、金属層を樹脂層で被覆した多層フィルムなどを挙げることができる。金属層の例に、ステンレス箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔が含まれる。樹脂層には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子を用いることができる。ラミネートフィルムの厚さは、0.01mm以上0.5mm以下の範囲内にあることが好ましい。ラミネートフィルムの厚さは、より好ましくは0.2mm以下である。
本実施形態に係る二次電池は、角形、円筒形、扁平型、薄型、コイン型等の様々な形態で使用され得る。
(負極端子)
負極端子は、キャリアイオンの吸蔵放出電位において電気化学的に安定であり、かつ導電性を有する材料から形成されることができる。具体的には、負極端子の材料としては、亜鉛、銅、ニッケル、ステンレス若しくはアルミニウム、又は、Mg,Ti,Zn,Mn,Fe,Cu,及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。負極端子の材料としては、亜鉛又は亜鉛合金を用いることが好ましい。負極端子は、負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料からなることが好ましい。
(正極端子)
正極端子の材料としては、チタン、アルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子は、正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。キャリアイオンがリチウムイオンである場合、正極端子は、リチウムの酸化還元電位に対し3V以上4.5V以下の電位範囲(vs.Li/Li)において電気的に安定であり、且つ導電性を有する材料から形成することができる。
以下、実施形態に係る二次電池を、図面を参照しながらより具体的に説明する。
図3は、実施形態に係る二次電池の一例を概略的に示す断面図である。図4は、図3に示す二次電池のII-II線に沿った断面図である。図3及び図4には、二次電池の一例として、角形二次電池を示す。
電極群1は、外装部材2内に収納されている。図3及び図4に例示した外装部材2は、矩形筒状の金属製容器である。電極群1は、例えば複数の正極5と負極3とセパレータ4とを、正極5、セパレータ4、負極3、セパレータ4の順で積層させた構造を有する。或いは、電極群1は、正極5と負極3とをその間にセパレータ4を介在させて扁平形状となるように渦巻き状に捲回した構造を有することもできる。電極群1を何れの構造とした場合も、電極と外装部材2との接触を避けるために、電極群1の最外層にセパレータ4が配置される構造とすることが望ましい。電極群1は、水系電解質(図示しない)を保持している。
図4に示すように、電極群1の端面に位置する負極3の端部の複数個所それぞれに帯状の負極タブ17が電気的に接続されている。また、図示してないが、この端面に位置する正極5の端部の複数個所それぞれに帯状の正極タブ16が電気的に接続されている。この複数ある負極タブ17は、一つに束ねられた状態で負極側リード23と電気的に接続されている。負極タブ17(負極内部端子)と負極側リード23(負極外部端子)とは負極端子を構成する。また、正極タブ16は、一つに束ねられた状態で正極側リード22と電気的に接続されている。正極タブ16(正極内部端子)と正極側リード22(正極外部端子)とは正極端子を構成する。
金属製の封口板10は、外装部材2の開口部に溶接等により固定されている。正極側リード22及び負極側リード23は、それぞれ、封口板10に設けられた取出穴から外部に引き出されている。封口板10の各取出穴の内周面には、正極側リード22及び負極側リード23との接触による短絡を回避するために、それぞれ正極ガスケット18及び負極ガスケット19が配置されている。正極ガスケット18及び負極ガスケット19を配置することで、角形二次電池の気密性を維持できる。
封口板10には制御弁11(安全弁)が配置されている。水系溶媒の電気分解により発生したガスに起因して電池セルにおける内圧が高まった場合には、制御弁11から発生ガスを外部へと放散できる。制御弁11としては、例えば内圧が設定値よりも高くなった場合に作動し、内圧が低下すると封止栓として機能する復帰式のものを使用することができる。或いは、一度作動すると封止栓としての機能が回復しない非復帰式の制御弁を使用してもよい。図3では、制御弁11が封口板10の中央に配置されているが、制御弁11の位置は封口板10の端部であってもよい。制御弁11は省略してもよい。
また、封口板10には注液口12が設けられている。水系電解質は、この注液口12を介して注液され得る。注液口12は、水系電解質が注液された後、封止栓13により塞がれている。注液口12及び封止栓13は省略してもよい。
実施形態に係る二次電池は、図3及び図4に示す構成の二次電池に限らず、例えば図5及び図6に示す構成の電池であってもよい。
図5は、実施形態に係る二次電池の他の例を模式的に示す部分切欠斜視図である。図6は、図5に示す二次電池のB部を拡大した断面図である。
図5及び図6に示す二次電池100は、図5及び図6に示す電極群1と、図5に示す外装部材2と、図示しない水系電解質とを具備する。電極群1及び水系電解質は、外装部材2内に収納されている。水系電解質は、電極群1に保持されている。
外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
図5及び図6に示す電極群1は、積層型の電極群である。積層型の電極群1は、負極3と正極5とをその間にセパレータ4を介在させながら交互に積層した構造を有している。
電極群1は、複数の負極3を含んでいる。複数の負極3は、それぞれが、負極集電体3aと、負極集電体3aの両面に担持された負極活物質含有層3bとを備えている。また、電極群1は、複数の正極5を含んでいる。複数の正極5は、それぞれが、正極集電体5aと、正極集電体5aの両面に担持された正極活物質含有層5bとを備えている。
各負極3の負極集電体3aは、その一辺において、いずれの表面にも負極活物質含有層3bが担持されていない部分3cを含む。この部分3cは、負極集電タブとして働く。図6に示すように、負極集電タブとして働く部分3cは、正極5と重なっていない。また、複数の負極集電タブ(部分3c)は、帯状の負極端子6に電気的に接続されている。帯状の負極端子6の先端は、外装部材2の外部に引き出されている。
また、図示しないが、各正極5の正極集電体5aは、その一辺において、いずれの表面にも正極活物質含有層5bが担持されていない部分を含む。この部分は、正極集電タブとして働く。正極集電タブは、負極集電タブ(部分3c)と同様に、負極3と重なっていない。また、正極集電タブは、負極集電タブ(部分3c)に対し電極群1の反対側に位置する。正極集電タブは、帯状の正極端子7に電気的に接続されている。帯状の正極端子7の先端は、負極端子6とは反対側に位置し、外装部材2の外部に引き出されている。
実施形態に係る二次電池は、組電池を構成していてもよい。組電池は、本実施形態に係る二次電池を複数個具備している。
実施形態に係る組電池において、各単電池は、電気的に直列若しくは並列に接続して配置してもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて配置してもよい。
実施形態に係る組電池の一例について、図面を参照しながら説明する。
図7は、実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図である。図7に示す組電池200は、5つの単電池100a~100eと、4つのバスバー21と、正極側リード22と、負極側リード23とを具備している。5つの単電池100a~100eのそれぞれは、実施形態に係る二次電池である。
バスバー21は、例えば、1つの単電池100aの負極端子6と、この単電池100aの隣に位置する単電池100bの正極端子7とを電気的に接続している。このようにして、5つの単電池100は、4つのバスバー21により電気的に直列に接続されている。すなわち、図7の組電池200は、5直列の組電池である。
図7に示すように、5つの単電池100a~100eのうち、左端に位置する単電池100aの正極端子7は、外部接続用の正極側リード22に電気的に接続されている。また、5つの単電池100a~100eのうち、右端に位置する単電池100eの負極端子6は、外部接続用の負極側リード23に電気的に接続されている。
<疎水部と親水部の特定>
負極及び/又はセパレータの表面と接する疎水部と、疎水部上に形成される親水部が存在していることは、例えば、負極及び/又はセパレータ断面の顕微FT-IR・ラマンイメージング、SEM-EDXマッピング、TEM-EDXマッピングにより確認する。
まず、電池を分解して負極又はセパレータを取り出し、純水で洗浄後、乾燥させる。乾燥後イオンミリング等により断面を削り出すことで、分析試料を得る。イオンミリング等の前に、分析試料をエポキシ樹脂に包埋してもよい。得られた分析試料に対して顕微FT-IR・ラマンイメージング、SEM-EDX分析、またはTEM-DEX分析を行うが、疎水部と親水部から成る部分の厚さが、ミクロンオーダーの場合は顕微FT-IR・ラマンイメージング、サブミクロンオーダーの場合はSEM-EDXマッピング、ナノオーダーの場合はTEM-EDXマッピングが特に適する。顕微FT-IR・ラマンイメージングでは、前記官能基に帰属されるピーク強度が強い領域とそうでない領域が色で視覚化されるので、前者が親水部、後者が疎水部と特定できる。SEM-EDXおよびTEM-EDX分析では、ヘテロ原子の元素マッピングにおいて、ヘテロ原子の濃度の分布が視覚化されるので、前記濃度が高い領域が親水部、前記濃度が低い領域が疎水部と特定できる。
<親水部が含むヘテロ原子の数に対する疎水部が含む炭素原子の数の比分析>
親水部が含むヘテロ原子の数に対する疎水部が含む炭素原子の数の比は、上記の方法で特定した親水部および疎水部に対してそれぞれSEM-EDXまたはTEM-EDXで元素分析を行うことによって特定できる。疎水部と親水部の特定を顕微FT-IR・ラマンイメージングまたはSEM-EDXマッピングで行う場合には、SEM-EDXで元素分析を行う。疎水部と親水部の特定をTEM-EDXマッピングで行う場合には、TEM-EDXで元素分析を行う。元素分析により、疎水部の単位面積当たりの炭素原子濃度、及び、親水部の単位面積当たりのヘテロ原子濃度を得る。得られた疎水部の炭素原子濃度を親水部のヘテロ原子濃度で除することにより、親水部が含むヘテロ原子の数に対する疎水部が含む炭素原子の数の比を算出できる。
第1の実施形態によると、二次電池が提供される。二次電池は、正極と、チタンを含む負極活物質を含む負極と、正極と負極の間に配置されるセパレータと、負極及び/又はセパレータの表面と接する疎水部と、疎水部上に形成される親水部と、水系電解質とを含む。当該二次電池では、負極活物質への水分子の接近を抑制しつつ、イオン伝導性を高くできるため、高い充放電効率及びサイクル寿命性能を両立できる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態によると、二次電池が提供される。二次電池は、正極と、チタンを含む負極活物質を含む負極と、正極と負極の間に配置されるセパレータと、水系電解質とを含む。負極及び/又はセパレータの表面に、RXを含む基が形成される。Rは、炭素数3以上9以下の非環式炭化水素の基である。Xは、RXを含む基の末端に位置し、炭素原子とヘテロ原子と水素原子から成る。ヘテロ原子の数に対する炭素原子の数の比が1以上3以下であって、ヘテロ原子がRと結合している。
Rは、非環式炭化水素の基であるため、水との親和性が低い。そのため、Rは、二次電池において、Rよりも正極側に存在する水分子が、Rよりも負極側へ移動するのを抑制できる。よって、水系電解質を使用した二次電池において、負極活物質への水分子の接近を抑制できる。その結果、負極上における水の電気分解を抑制でき、二次電池の充放電効率及びサイクル寿命性能を向上できる。
Rの炭素数が3以上9以下であると、RXを含む基同士の距離が近くなりすぎない。Rの炭素数が少なすぎると、RXを含む基同士の距離が近くなりすぎ、Rが過剰に緻密に配置され得る。Rの炭素数が9より大きいと、RXを含む基におけるR同士の疎水性相互作用が強くなる。そのため、Rが過剰に緻密に配置され得る。過度に水系電解質との親和性が落ちると、電池としての効率が落ちるため好ましくない。その結果、リチウムイオン伝導性などのイオン伝導性が低下して充放電効率が低下し得る。
第2の実施形態に係る二次電池は、Rの炭素数が3以上9以下であるため、充放電効率を良好にすることができる。
Xは、RXを含む基の末端に位置し、炭素原子とヘテロ原子と水素原子から成る。ヘテロ原子の数に対する炭素原子の数の比が1以上3以下である。当該比が1以上3以下であるため、RXを含む基の疎水性を適度にすることができる。そのため、水分子がRXを含む基よりも負極側に移動するのを抑制でき、かつ、キャリアイオンの伝導性を高く保つことができる。
ヘテロ原子を含むXは極性が大きいため、親水性が高くなり得る。よって、Xは、水系電解質との親和性が高いため、リチウムイオン伝導などのイオン伝導を促進することができる。その結果、充放電効率の向上に寄与する。
よって、RXを含む基は、負極活物質への水分子の接近を抑制しつつ、イオン伝導性を高くできる。従って、第2の実施形態に係る二次電池は、高い充放電効率及びサイクル寿命性能を両立できる。
以下、実施形態に係る二次電池を詳細に説明する。
RXを含む基は、第1の実施形態で説明した疎水部及び親水部から選択される少なくとも1つであってもよい。第2の実施形態に係る二次電池は、RXを含む基に加えて、疎水部及び親水部から選択される少なくとも1つをさらに含んでもよい。第2の実施形態に係る二次電池は、第1の実施形態に係る二次電池であってもよい。
RXを含む基は、負極及び/又はセパレータの表面の少なくとも一部に形成されている。例えば、RXを含む基において、負極及び/又はセパレータの表面から近い側(表面側)にRが位置し、負極及び/又はセパレータの表面から遠い側(末端側)にXが位置している。RXを含む基は、RとXに加えて、さらに1又は2以上の他の元素を含むことができる。2以上の他の元素同士が結合して、R及びX以外の基を形成していてもよい。例えば、RXを含む基は、ケイ素原子と酸素原子とをさらに含み、これらが結合してSi-O結合を形成していてもよい。
Rは、炭素数3以上9以下の非環式炭化水素の基である。非環式炭化水素は、例えば鎖式炭化水素であり得る。そのため、Rは疎水性であり得る。Rの炭素数は、後述するTOF-SIMS分析により特定した、RXを含む基の構造から算出できる。
Rは、負極及び/又はセパレータの表面と接していてもよい。例えば、Rと、負極及び/又はセパレータの表面とが、直接結合していてもよく、Rと、当該表面とが、Rと当該表面の間に1又は2以上の他の元素を介在させて結合していてもよい。
Rは、第1の実施形態で説明した疎水部であり得る。Rと、負極及び/又はセパレータの表面とが、1又は2以上の他の元素を介在させて結合している場合には、Rに加えて当該他の元素が疎水部に含まれ得る。
Xは、炭素原子とヘテロ原子と水素原子から成る。ヘテロ原子の数に対する炭素原子の数の比が1以上3以下であって、ヘテロ原子がRと結合している。Xの組成及び上記比は、後述するTOF-SIMS分析により特定した、RXを含む基の構造から算出できる。
ヘテロ原子の数に対する炭素原子の数の比が1以上3以下であるXとしては、例えば、OCHCH(O)CH、OCHCH(OH)CHOH、NH(CHCHNHがある。Xの種類は、1種又は2種以上にすることができる。上記Xにおいて、例えば、それぞれの先頭に示した酸素原子または窒素原子がRと結合できる。また、上記Xのうち、OCHCH(O)CHは、加水分解によりOCHCH(OH)CHOHを生じ得る。
Xは、第1の実施形態で説明した親水部であり得る。
負極及び/又はセパレータの表面への、RXを含む基の形成は、例えば、RXを含む物質を、Xが末端側に位置するように当該表面と結合させることによって行うことができる。
RXを含む物質として、例えば、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤については、第1の実施形態で説明した通りである。シランカップリング剤に含まれる疎水性の基がR、親水性の基がXにそれぞれ相当する。シランカップリング剤を用いて、負極及び/又はセパレータの表面にRXを含む基を形成すると、当該表面と、Rとが、Si-O結合を介して結合できる。このようにして形成されたRXを含む基は、Rと結合するケイ素原子と、当該ケイ素原子及び当該表面と結合する酸素原子とをさらに含み得る。上記のようにして、負極及び/又はセパレータの表面に、RXを含む基を、Xが末端側に位置するように形成できる。
図2は、実施形態に係る二次電池が含む負極又はセパレータの表面に、RXを含む基が形成されている形態を概略的に示す図である。図2は、一例として、負極又はセパレータ101の表面に、RXを含む基104が複数形成されている形態を示している。
RXを含む基104のそれぞれは、Rと、末端に位置するXとを含む。図2は、一例として、Rと負極又はセパレータ101の表面とが結合している形態を示す。
負極又はセパレータ101の表面上において、Rが存在する領域、及び、Xが存在する領域を、それぞれ二点鎖線で示す。Rが存在する領域は、第1の実施形態で説明した疎水部102であり得る。Xが存在する領域は、親水部103であり得る。図2に示した例においては、負極又はセパレータ101の表面に、当該表面と接する疎水部102が形成されている。疎水部102上に、親水部103が形成されている。したがって、図2に示す負極又はセパレータを備える二次電池は、第1の実施形態に係る二次電池でもあり得る。
図示しないが、RXを含む基104は、Rと結合しているケイ素原子を含んでもよい。さらに、負極又はセパレータ101の表面と結合している酸素原子を含んでもよい。上記ケイ素原子と酸素原子は、Si-O結合を形成することができる。すなわち、図2において、Rと、負極又はセパレータ101の表面とは、Si-O結合を介して結合していてもよい。
図2に示す例では、負極又はセパレータの一方を101として示しているが、実施形態に係る二次電池において、負極及びセパレータの両方の表面にRXを含む基104が形成されていてもよい。
二次電池は、電極群および水系電解質を収容可能な外装部材を更に含むことができる。また、二次電池は、負極に電気的に接続された負極端子及び正極に電気的に接続された正極端子を更に含むことができる。また、二次電池は、疎水部及び親水部から選択される少なくとも1つを更に含むことができる。
正極、疎水部、親水部、外装部材、負極端子及び正極端子は、第1の実施形態で説明したのと同じものを用いることができる。
水系電解質は、第1の実施形態で説明したものでもよく、RXを含む物質をさらに含むものでもよい。RXを含む物質の詳細は、先に説明した通りである。
例えば、電極群を組立て後、RXを含む物質を含有させた水系電解質を注液して二次電池を作製する。このような二次電池を、例えば初充電、エージングなどの工程に供すると、負極及び/又はセパレータの表面に、RXを含む物質を結合させることができる。
よって、RXを含む物質を含有させた水系電解質を、負極及びセパレータのいずれの表面にもRXを含む基が形成されていない状態で組立てた電極群と組み合わせると、負極及び/又はセパレータの表面にRXを含む基を形成できる。
RXを含む物質が結合している物質として、前述のシランカップリング剤を用いると、Xが、RXを含む基の末端に位置するように負極及び/又はセパレータと結合しやすいため、好ましい。
負極及びセパレータの組み合わせについて説明する。RXを含む基が表面に形成されている負極と組み合わせて用いるセパレータとしては、表面に疎水部及び親水部から選択される少なくとも1つが形成されているセパレータを用いてもよく、表面にRXを含む基が形成されているセパレータを用いてもよく、疎水部、親水部及びRXを含む基のいずれも形成されていないセパレータを用いてもよい。RXを含む基が表面に形成されているセパレータと組み合わせて用いる負極としては、表面に疎水部及び親水部から選択される少なくとも1つが形成されている負極を用いてもよく、表面にRXを含む基が形成されている負極を用いてもよく、疎水部、親水部及びRXを含む基のいずれも形成されていない負極を用いてもよい。
負極及びセパレータは、第1の実施形態で説明したのと同じものを用いることができる。
第2の実施形態に係る二次電池の構造は、第1の実施形態で説明したのと同様にすることができる。また、二次電池は、組電池を構成していてもよい。組電池の構造は、第1の実施形態で説明したのと同様にすることができる。
<TOF-SIMS分析>
親水部と疎水部を有する基は、例えば、負極及び/又はセパレータの飛行時間型二次イオン質量分析法(Time Of Flight-Secondary Ion Mass Spectrometry;TOF-SIMS)により特定できる。電池を分解して負極又はセパレータを取り出し、純水で洗浄後、乾燥させることで分析試料を得る。得られた分析試料に対してTOF-SIMSを行う。得られる結果から、親水部と疎水部を有する基の部分構造が分かるので、これを基に、親水部と疎水部を有する基、親水部及び疎水部のそれぞれの構造を特定できる。この測定からRXを含む基を特定することができる。また、TOF-SIMSによって、RXを含む基と、負極又はセパレータとの結合の状態を特定することが可能である。
第2の実施形態によると、二次電池が提供される。二次電池は、正極と、チタンを含む負極活物質を含む負極と、正極と負極の間に配置されるセパレータと、水系電解質とを含む。負極及び/又はセパレータの表面に、RXを含む基が形成される。Rは、炭素数3以上9以下の非環式炭化水素の基である。Xは、RXを含む基の末端に位置し、炭素原子とヘテロ原子と水素原子から成る。ヘテロ原子の数に対する炭素原子の数の比が1以上3以下であって、ヘテロ原子がRと結合している。当該二次電池では、負極活物質への水分子の接近を抑制しつつ、イオン伝導性を高くできるため、高い充放電効率及びサイクル寿命性能を両立できる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第1の実施形態に係る二次電池及び/又は第2の実施形態に係る二次電池を含む。この電池パックは、第1の実施形態に係る二次電池又は第2の実施形態に係る二次電池を1つ含んでいてもよく、第1の実施形態に係る二次電池及び/又は第2の実施形態に係る二次電池を複数含む組電池を含んでいてもよい。
実施形態に係る電池パックは、保護回路を更に含むことができる。保護回路は、二次電池の充放電を制御する機能を有する。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用してもよい。
また、実施形態に係る電池パックは、通電用の外部端子を更に含むこともできる。通電用の外部端子は、外部に二次電池からの電流を出力するため、及び/又は二次電池に外部からの電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車などの動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。
次に、実施形態に係る電池パックの一例について、図面を参照しながら説明する。
図8は、実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図である。図9は、図8に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図である。
図8及び図9に示す電池パック300は、収容容器31と、蓋32と、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35と、図示しない絶縁板とを備えている。
図8に示す収容容器31は、長方形の底面を有する有底角型容器である。収容容器31は、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35とを収容可能に構成されている。蓋32は、矩形型の形状を有する。蓋32は、収容容器31を覆うことにより、組電池200等を収容する。収容容器31及び蓋32には、図示していないが、外部機器等へと接続するための開口部又は接続端子等が設けられている。
組電池200は、複数の単電池100と、正極側リード22と、負極側リード23と、粘着テープ24とを備えている。
単電池100は、図3及び図4に示す構造を有している。複数の単電池100の少なくとも1つは、第1の実施形態に係る二次電池又は第2の実施形態に係る二次電池である。複数の単電池100は、外部に延出した負極端子6及び正極端子7が同じ向きになるように揃えて積層されている。複数の単電池100の各々は、図9に示すように電気的に直列に接続されている。複数の単電池100は、電気的に並列に接続されていてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されていてもよい。複数の単電池100を並列接続すると、直列接続した場合と比較して、電池容量が増大する。
粘着テープ24は、複数の単電池100を締結している。粘着テープ24の代わりに、熱収縮テープを用いて複数の単電池100を固定してもよい。この場合、組電池200の両側面に保護シート33を配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて複数の単電池100を結束させる。
正極側リード22の一端は、単電池100の積層体において、最下層に位置する単電池100の正極端子7に電気的に接続されている。負極側リード23の一端は、単電池100の積層体において、最上層に位置する単電池100の負極端子6に電気的に接続されている。
プリント配線基板34は、収容容器31の内側面のうち、一方の短辺方向の面に沿って設置されている。プリント配線基板34は、正極側コネクタ341と、負極側コネクタ342と、サーミスタ343と、保護回路344と、配線345及び346と、通電用の外部端子347と、プラス側配線348aと、マイナス側配線348bとを備えている。プリント配線基板34の一方の主面は、組電池200において負極端子6及び正極端子7が延出する面と向き合っている。プリント配線基板34と組電池200との間には、図示しない絶縁板が介在している。
正極側コネクタ341には、貫通孔が設けられている。この貫通孔に、正極側リード22の他端が挿入されることにより、正極側コネクタ341と正極側リード22とは電気的に接続される。負極側コネクタ342には、貫通孔が設けられている。この貫通孔に、負極側リード23の他端が挿入されることにより、負極側コネクタ342と負極側リード23とは電気的に接続される。
サーミスタ343は、プリント配線基板34の一方の主面に固定されている。サーミスタ343は、単電池100の各々の温度を検出し、その検出信号を保護回路344に送信する。
通電用の外部端子347は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。通電用の外部端子347は、電池パック300の外部に存在する機器と電気的に接続されている。
保護回路344は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。保護回路344は、プラス側配線348aを介して通電用の外部端子347と電気的に接続されている。保護回路344は、マイナス側配線348bを介して通電用の外部端子347と電気的に接続されている。また、保護回路344は、配線345を介して正極側コネクタ341に電気的に接続されている。保護回路344は、配線346を介して負極側コネクタ342に電気的に接続されている。更に、保護回路344は、複数の単電池100の各々と配線35を介して電気的に接続されている。
保護シート33は、収容容器31の長辺方向の両方の内側面と、組電池200を介してプリント配線基板34と向き合う短辺方向の内側面とに配置されている。保護シート33は、例えば、樹脂又はゴムからなる。
保護回路344は、複数の単電池100の充放電を制御する。また、保護回路344は、サーミスタ343から送信される検出信号、又は、個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号に基づいて、保護回路344と通電用の外部端子347との電気的な接続を遮断する。
サーミスタ343から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の温度が所定の温度以上であることを検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の過充電、過放電及び過電流を検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100について過充電等を検出する場合、電池電圧を検出してもよく、正極電位又は負極電位を検出してもよい。後者の場合、参照極として用いるリチウム電極を個々の単電池100に挿入する。
なお、保護回路344としては、電池パック300を電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を用いてもよい。
また、この電池パック300は、上述したように通電用の外部端子347を備えている。したがって、この電池パック300は、通電用の外部端子347を介して、組電池200からの電流を外部機器に出力するとともに、外部機器からの電流を、組電池200に入力することができる。言い換えると、電池パック300を電源として使用する際には、組電池200からの電流が、通電用の外部端子347を通して外部機器に供給される。また、電池パック300を充電する際には、外部機器からの充電電流が、通電用の外部端子347を通して電池パック300に供給される。この電池パック300を車載用電池として用いた場合、外部機器からの充電電流として、車両の動力の回生エネルギーを用いることができる。
なお、電池パック300は、複数の組電池200を備えていてもよい。この場合、複数の組電池200は、電気的に直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。また、プリント配線基板34及び配線35は省略してもよい。この場合、正極側リード22及び負極側リード23を通電用の外部端子として用いてもよい。
このような電池パックは、例えば、大電流を取り出したときにサイクル性能が優れていることが要求される用途に用いられる。この電池パックは、具体的には、例えば、電子機器の電源、定置用電源、各種車両の車載用電池として用いられる。電子機器としては、例えば、デジタルカメラを挙げることができる。この電池パックは、車載用電池として特に好適に用いられる。
第3の実施形態に係る電池パックは、第1の実施形態に係る二次電池及び/又は第2の実施形態に係る二次電池を含む。それ故、この電池パックは、優れた充放電効率及びサイクル寿命性能を達成できる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態によると、車両が提供される。この車両は、第3の実施形態に係る電池パックを含む。
実施形態に係る車両において、電池パックは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。車両は、この車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含んでいてもよい。
車両の例としては、例えば、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、及び、アシスト自転車及び鉄道用車両が挙げられる。
車両における電池パックの搭載位置は、特に限定されない。例えば、電池パックを自動車に搭載する場合、電池パックは、車両のエンジンルーム、車体後方又は座席の下に搭載することができる。
車両は、複数の電池パックを搭載してもよい。この場合、電池パックは、電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。
実施形態に係る車両の一例について、図面を参照しながら説明する。
図10は、実施形態に係る車両の一例を概略的に示す断面図である。
図10に示す車両400は、車両本体40と、第3の実施形態に係る電池パック300とを含んでいる。図10に示す例では、車両400は、四輪の自動車である。
この車両400は、複数の電池パック300を搭載してもよい。この場合、電池パック300は、電気的に直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。
図10では、電池パック300が車両本体40の前方に位置するエンジンルーム内に搭載されている例を図示している。上述したとおり、電池パック300は、例えば、車両本体40の後方又は座席の下に搭載してもよい。この電池パック300は、車両400の電源として用いることができる。また、この電池パック300は、車両400の動力の回生エネルギーを回収することができる。
第4の実施形態に係る車両は、第3の実施形態に係る電池パックを含む。それ故、本実施形態によれば、優れた充放電効率及びサイクル寿命性能を達成できる電池パックを含む車両を提供することができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態によると、定置用電源が提供される。この定置用電源は、第3の実施形態に係る電池パックを含む。
図11は、実施形態に係る組電池及び電池パック300A、300Bの使用例として、定置用電源112及び123への適用例を示す図である。図11に示す一例では、定置用電源112及び123が用いられるシステム110が示される。システム110は、発電所111、定置用電源112、需要家側電力系統113及びエネルギー管理システム(EMS)115を備える。また、システム110には、電力網116及び通信網117が形成され、発電所111、定置用電源112、需要家側電力系統113及びEMS115は、電力網116及び通信網117を介して、接続される。EMS115は、電力網116及び通信網117を活用して、システム110全体を安定化させる制御を行う。
発電所111は、火力及び原子力等の燃料源によって、大容量の電力を生成する。発電所111からは、電力網116等を通して電力が供給される。また、定置用電源112には、電池パック300Aが搭載される。電池パック300Aは、発電所111から供給される電力等を蓄電できる。また、定置用電源112は、電池パック300Aに蓄電された電力を、電力網116等を通して供給できる。システム110には、電力変換装置118が設けられる。電力変換装置118は、コンバータ、インバータ及び変圧器等を含む。したがって、電力変換装置118は、直流と交流との間の変換、互いに対して周波数が異なる交流の間の変換、及び、変圧(昇圧及び降圧)等を行うことができる。このため、電力変換装置118は、発電所111からの電力を、電池パック300Aへ蓄電可能な電力に変換できる。
需要家側電力系統113には、工場用の電力系統、ビル用の電力系統、及び、家庭用の電力系統等が、含まれる。需要家側電力系統113は、需要家側EMS121、電力変換装置122及び定置用電源123を備える。定置用電源123には、電池パック300Bが搭載される。需要家側EMS121は、需要家側電力系統113を安定化させる制御を行う。
需要家側電力系統113には、発電所111からの電力、及び、電池パック300Aからの電力が、電力網116を通して供給される。電池パック300Bは、需要家側電力系統113に供給された電力を蓄電できる。また、電力変換装置122は、電力変換装置118と同様に、コンバータ、インバータ及び変圧器等を含む。したがって、電力変換装置122は、直流と交流との間の変換、互いに対して周波数が異なる交流の間の変換、及び、変圧(昇圧及び降圧)等を行うことができる。このため、電力変換装置122は、需要家側電力系統113に供給された電力を、電池パック300Bへ蓄電可能な電力に変換できる。
なお、電池パック300Bに蓄電された電力は、例えば、電気自動車等の車両の充電等に用いることができる。また、システム110には、自然エネルギー源が設けられてもよい。この場合、自然エネルギー源は、風力及び太陽光等の自然エネルギーによって、電力を生成する。そして、発電所111に加えて自然エネルギー源からも、電力網116を通して、電力が供給される。
第5の実施形態に係る定置用電源は、第3の実施形態に係る電池パックを含む。それ故、本実施形態によれば、優れた充放電効率及びサイクル寿命性能を達成できる電池パックを含む定置用電源を提供することができる。
[実施例]
以下に実施例を説明するが、実施形態は、以下に記載される実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<正極の作製>
正極活物質としてLiMn、導電剤として黒鉛粉末、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)、及び、溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を混合して、スラリーを調製した。このスラリーにおける正極活物質、導電剤、及び結着剤の質量比は100:5:5とした。このスラリーを、Ti箔の片面上に塗布した。その後、溶媒を除去して積層体を得た。次いで、この積層体を圧延することで正極を得た。得られた正極を直径10mmの円形に打ち抜いた。
<負極の作製>
負極活物質としてLiTi12、導電剤として黒鉛粉末、結着剤としてPVdF、及び溶媒としてNMPを混合してスラリーを調製した。このスラリーにおける負極活物質、導電剤、及び結着剤の質量比は100:5:1とした。スラリーを、Zn箔の片面上に塗布し、乾燥させ、得られた積層体を圧延することで負極を得た。得られた負極を直径10mmの円形に打ち抜いた。
<セパレータの作製>
ガラス製スクリュー管瓶に、エタノールと水を重量比9:1で混合した溶媒(4.95g)と、シランカップリング剤として8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン(0.05g)を入れ、ミックスローター(60rpm)で45分撹拌した。このガラス製スクリュー管瓶に、セルロースを含有するろ紙(桐山製作所製 型番:No.5c, Φ=21mm)を入れ、ミックスローター(60rpm)でさらに15分撹拌した。ろ紙を取り出し終夜風乾させ、次いで120℃の恒温槽中で90分加熱した。かくして、セパレータを得た。
<水系電解質の調製>
塩化リチウム12mol/L水溶液に、水酸化リチウム一水和物を濃度が1mol/Lとなるように溶解させるとともに、塩化亜鉛を濃度1wt%となるように入れ、撹拌することで溶液を得た。得られた溶液とN-メチル-2-ピロリドンを、体積比率9対1で混合することで、水系電解質を得た。
<試験用電池の作製>
プラスチック板上に、陽極酸化処理されたアルミニウム板を固定し、その上に負極を固定した。別のプラスチック板上にTi板を固定し、その上に正極を固定した。負極の上に、先に作製した水系電解質を滴下し、その上にセパレータを置き、密着させた。同じセパレータの逆側に、さらに水系電解質を滴下し、その上から正極を置いて密着させ、ねじで固定した。かくして、電池容量0.40mAhの試験用電池を得た。
(実施例2)
セパレータの製造において、エタノールと水を重量比9:1で混合した溶媒(4.5g)と、シランカップリング剤として8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン(0.5g)を用いた他は実施例1と同様にして、実施例2に係る電池を得た。
(実施例3)
シランカップリング剤として8-グリシドキシオクチルトリメトキシシランに代えて3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いた他は実施例2と同様にして、実施例3に係る電池を得た。
(実施例4)
シランカップリング剤として、8-グリシドキシオクチルトリメトキシシランに代えて[3-(6-アミノヘキシルアミノ)プロピル]トリメトキシシランを用いた他は実施例2と同様にして、実施例4に係る電池を得た。
(比較例1)
セパレータとして、セルロースを含有するろ紙(桐山製作所製 型番:No.5c, Φ=21mm)を120℃の恒温槽中で90分加熱したものを用いた他は実施例1と同様にして、比較例1に係る電池を得た。
各実施例及び比較例の電池について、親水部と疎水部の構成を表1、RXが含むXの構成を表2に示した。
なお、実施例1~3の電池が含む親水部及びXについては、OCHCH(O)CH,OCHCH(OH)CHOHの2種類を記載した。これらの実施例の電池の製造において添加した8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン又は3-グリシドキシオクチルトリメトキシシランの末端に存在するOCHCH(O)CHは、水系電解質中で加水分解して,OCHCH(OH)CHOHを生じるためである。
上記加水分解反応により、親水部及びXのヘテロ原子数は2から3に変動する。そのため、実施例1~3の電池が含む親水部及びXとしては、加水分解前のOCHCH(O)CHと、加水分解後のOCHCH(OH)CHOHの両方が存在している。そのため、実施例1~3の親水部のヘテロ原子数、疎水部が含む炭素原子数/親水部が含むヘテロ原子数、及び、Xが含む炭素原子数/Xが含むヘテロ原子数は、「(加水分解前の値),(加水分解後の値)」を、表1、2に記載した。
<評価>
各実施例及び比較例の電池を2つずつ作製し、各電池について、クーロン効率、放電容量及び放電容量維持率を以下のようにして測定した。2つの電池の測定値を平均した値を、各実施例及び比較例の測定結果として、表3に記載した。
(充放電試験)
各実施例および比較例について、試験用電池作製後、待機時間無しで速やかに試験を開始した。充電は定電流定電圧(Constant Current, Constant Voltage;CCCV)、放電は定電流(Constant Current;CC)で行った。
充電は、電圧値が2.7Vになるまで1Cの定電流で行い、電圧値が2.7Vに達した後は2.7Vの定電圧で行った。電流値が0.5Cになるまで、もしくは、充電時間が66分間になるまで、のいずれか早いものを終止条件とした。
放電は、0.5Cの定電流で行った。電圧値が2.1Vになり、かつ放電時間が66分間になるまでを終止条件とした。
上記充電を1回行い、上記放電を1回行うことを充放電の1サイクルとし、充放電を20サイクル繰り返した。各充放電サイクルにおける充電容量および放電容量をそれぞれ測定した。得られた結果から、下記式に従って、サイクルごとのクーロン効率を算出した。
表3に、「初回クーロン効率(%)」として、1サイクル目で測定したクーロン効率を記載した。また、「クーロン効率(%)」として、20サイクルの充放電を行った際の、サイクルごとに測定したクーロン効率を、1サイクル目から20サイクル目まですべて平均した値を記載した。
「初回放電容量(mAh)」としては、1サイクル目の放電容量を記載した。放電容量(mAh)として、20サイクル目の放電容量を記載した。「放電容量維持率(%)」として、1サイクル目の放電容量に対する20サイクル目の放電容量を百分率で記載した。
実施例に係る二次電池は、比較例と比較して、いずれも、初回クーロン効率、クーロン効率、初回放電容量、放電容量及び放電容量維持率に優れていた。
実施例1~4は、セパレータの表面に、RXを含む基が形成されていることにより、親水部と疎水部を含む実施例である。Rは、炭素数3以上9以下の非環式炭化水素の基である。Xが含むヘテロ原子の数に対する、Xが含む炭素原子の数の比が1以上3以下である。これらの要件を満たす実施例1~4は、初回クーロン効率、クーロン効率及び初回放電容量に優れる傾向にあった。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、実施形態に係る発明を付記する。
[1]
正極と、
チタンを含む負極活物質を含む負極と、
前記正極と前記負極の間に配置されるセパレータと、
前記負極及び/又は前記セパレータの表面と接する疎水部と、
前記疎水部上に形成される親水部と
水系電解質とを含む、二次電池。
[2]
前記疎水部は炭素原子を含み、
前記親水部はヘテロ原子を含み、
前記親水部が含む前記ヘテロ原子の数に対する、前記疎水部が含む前記炭素原子の数の比が1以上4以下である、[1]に記載の二次電池。
[3]
正極と、
チタンを含む負極活物質を含む負極と、
前記正極と前記負極の間に配置されるセパレータと、
水系電解質とを含み、
前記負極及び/又は前記セパレータの表面に、RXを含む基が形成され、
前記Rは、炭素数3以上9以下の非環式炭化水素の基であり、
前記Xは、前記RXを含む基の末端に位置し、炭素原子とヘテロ原子と水素原子から成り、前記ヘテロ原子の数に対する前記炭素原子の数の比が1以上3以下であって、前記ヘテロ原子が前記Rと結合している、二次電池。
[4]
前記Xは、OCHCH(O)CH、OCHCH(OH)CHOH及びNH(CHCHNHからなる群から選択される少なくとも1つである、[3]に記載の二次電池。
[5]
前記RXを含む基は、
前記Rと結合するケイ素原子と、
前記ケイ素原子及び前記表面と結合する酸素原子とをさらに含む、[3]又は[4]に記載の二次電池。
[6]
[1]~[5]の何れか1項に記載の二次電池を含む電池パック。
[7]
通電用の外部端子と、保護回路とを更に含む[6]に記載の電池パック。
[8]
複数の前記二次電池を含み、前記二次電池が、直列、並列、又は、直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている[6]又は[7]に記載の電池パック。
[9]
[6]~[8]の何れか一項に記載の電池パックを含む車両。
[10]
[6]~[8]の何れか一項に記載の電池パックを含む定置用電源。
1…電極群、2…外装部材、3…負極、4…セパレータ、5…正極、6…負極端子、7…正極端子、10…封口板、11…制御弁、12…注液口、13…封止栓、18…正極ガスケット、19…負極ガスケット、21…バスバー、22…正極側リード、23…負極側リード、24…粘着テープ、31…収容容器、32…蓋、33…保護シート、34…プリント配線基板、35…配線、40…車両本体、100…二次電池、101…セパレータ又は負極、102…疎水部、103…親水部、104…RXを含む基、341…正極側コネクタ、342…負極側コネクタ、343…サーミスタ、344…保護回路、345…配線、346…配線、347…通電用の外部端子、400…車両、348a…プラス側配線、348b…マイナス側配線、3a…負極集電体、3b…負極活物質含有層、5a…正極集電体、5b…正極活物質含有層、R…炭化水素基、X…親水性官能基。

Claims (10)

  1. 正極と、
    チタンを含む負極活物質を含む負極と、
    前記正極と前記負極の間に配置されるセパレータと、
    前記負極及び/又は前記セパレータの表面と接する疎水部と、
    前記疎水部上に形成される親水部と
    水系電解質とを含む、二次電池。
  2. 前記疎水部は炭素原子を含み、
    前記親水部はヘテロ原子を含み、
    前記親水部が含む前記ヘテロ原子の数に対する、前記疎水部が含む前記炭素原子の数の比が1以上4以下である、請求項1に記載の二次電池。
  3. 正極と、
    チタンを含む負極活物質を含む負極と、
    前記正極と前記負極の間に配置されるセパレータと、
    水系電解質とを含み、
    前記負極及び/又は前記セパレータの表面に、RXを含む基が形成され、
    前記Rは、炭素数3以上9以下の非環式炭化水素の基であり、
    前記Xは、前記RXを含む基の末端に位置し、炭素原子とヘテロ原子と水素原子から成り、前記ヘテロ原子の数に対する前記炭素原子の数の比が1以上3以下であって、前記ヘテロ原子が前記Rと結合している、二次電池。
  4. 前記Xは、OCHCH(O)CH、OCHCH(OH)CHOH及びNH(CHCHNHからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項3に記載の二次電池。
  5. 前記RXを含む基は、
    前記Rと結合するケイ素原子と、
    前記ケイ素原子及び前記表面と結合する酸素原子とをさらに含む、請求項3に記載の二次電池。
  6. 請求項1~5の何れか1項に記載の二次電池を含む電池パック。
  7. 通電用の外部端子と、保護回路とを更に含む請求項6に記載の電池パック。
  8. 複数の前記二次電池を含み、前記二次電池が、直列、並列、又は、直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている請求項6に記載の電池パック。
  9. 請求項6に記載の電池パックを含む車両。
  10. 請求項6に記載の電池パックを含む定置用電源。
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