JP2024043650A - 石英ガラスルツボ及びその製造方法及び石英ガラスルツボ用石英粉 - Google Patents

石英ガラスルツボ及びその製造方法及び石英ガラスルツボ用石英粉 Download PDF

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Abstract

【課題】原料石英粉に対する特別な前処理や強加熱を行うことなく、ルツボの内側の透明層の気泡含有率を低減することが可能な石英ガラスルツボの製造方法を提供する。【解決手段】本発明による石英ガラスルツボの製造方法は、回転するモールド14の内面14iに石英粉を堆積させるステップと、石英粉の堆積層16をモールド14の内側から加熱して石英粉を溶融するステップとを有し、容器内にタップ充填された前記石英粉の1300℃での熱伝導率は0.4W/(m・K)以上1.0W/(m・K)以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、石英ガラスルツボ及びその製造方法に関し、特に、チョクラルスキー法(CZ法)によるシリコン単結晶の製造に用いられる石英ガラスルツボの製造方法に関する。また本発明は、そのような石英ガラスルツボの原料として用いられる石英粉に関する。
CZ法によるシリコン単結晶の製造では石英ガラスルツボが用いられている。CZ法では、シリコン原料を石英ガラスルツボ内で加熱して融解し、このシリコン融液に種結晶を浸漬し、ルツボを回転させながら種結晶を徐々に引き上げて単結晶を成長させる。CZ法によれば、半導体デバイス用の大口径で高品質なシリコン単結晶を高い歩留まりで製造することが可能である。
石英ガラスルツボの内表面近傍には気泡が存在しないことが望ましい。シリコン融液と接触するルツボの内表面近傍の気泡が熱膨張により破裂した場合、ルツボから微小なシリカ片が剥離してシリコン融液中に混入し、育成中の単結晶に取り込まれることで単結晶の有転位化の原因となるからである。そのため、石英ガラスルツボの内表面近傍には気泡が排除された透明層が設けられている。
石英ガラスルツボの内側の透明層の品質向上を図るため、例えば特許文献1には、溶融モールドを遮熱材で覆い、遮熱材のガス入口を通して溶融モールド内に軽ガスを供給し、軽ガスを含有する雰囲気中の溶融モールド内でSiO内層顆粒をガラス化して透明内層を得ることにより、エネルギー及び材料に関する努力を可能な限り低く抑えながら気泡の少ない内層を有する石英ガラスルツボを製造する方法が記載されている。
特許文献2には、直接法又はスート法により合成石英ガラス材を作製する工程と、合成石英ガラス材を粉砕することなくルツボ形状に加工する工程と、ルツボ形状に加工された合成石英ガラス材の外壁にシリカ粉末を溶着させる工程とを含む石英ガラスルツボの製造方法が記載されている。直接法又はスート法により作製された合成石英ガラス材を粉砕することなくルツボ形状に加工することにより、実質的に気泡を含まない合成石英ガラス材とすることができる。
特許文献3には、石英原料粉末を成形型内に供給して直胴部、コーナー部および底部を有するシリカ粉成形体を形成し、このシリカ粉成形体を酸素雰囲気中でアーク溶融して石英ガラスルツボを製造する際、シリカ粉成形体の開口端部に接するようにカーボン部材を配置することが記載されている。開口端部からシリカ粉成形体内へ侵入する酸素をカーボン部材との反応、燃焼などによって防止することにより、得られるシリカガラスルツボの透明層における酸素過剰欠陥の増加を抑制し、シリコン単結晶引上げ中における透明層内の気泡膨張を抑制することができる。また、特許文献4には、ルツボ内表面に沿って水素を供給することにより酸素過剰欠陥を抑制することが記載されている。
特許文献5には、溶融炉内へ石英原料粉を充填する充填工程と、溶融炉内に充填された石英原料粉に対して水分及びガス除去のための前熱処理を施す前熱処理工程と、前熱処理された石英原料粉を加熱溶融する溶融工程と、溶融炉内で溶融された石英ガラス融体を冷却し石英ガラスブロックとする冷却工程とを含み、充填工程において、溶融炉に充填された石英原料粉の充填密度を1.4g/cm以上1.6g/cm以下の範囲の密充填とし、かつ前熱処理工程において、真空引き及び希ガス又はHガス導入処理を行うことが記載されている。
特開2011-521882号公報 特開2012-218980号公報 特開2014-065621号公報 特開2014-065622号公報 特開2009-096674号公報
従来の石英ガラスルツボの製造方法においては、ルツボの内表面近傍の気泡を極力排除するため、原料石英粉を前処理する方法や、原料石英粉の溶融時に強加熱する方法が採用されている。
しかしながら、原料石英粉を前処理する方法は、そのような前処理を行うことによるルツボの製造コストの増加が問題となる。また、原料石英粉の溶融時の強加熱する方法では電力消費量の増加や製造設備の改善/増強による製造コストの増加の問題がある。
したがって、本発明の目的は、原料石英粉に対する特別な前処理や強加熱を行うことなく、ルツボの内側の透明層の気泡含有率を低減することが可能な石英ガラスルツボの製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、透明層の気泡含有率が低減された石英ガラスルツボを製造することが可能な石英粉を提供することにある。さらにまた、本発明は、透明層の気泡含有率が低減された高品質な石英ガラスルツボを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明による石英ガラスルツボの製造方法は、回転するモールドの内面に石英粉を堆積させるステップと、前記石英粉の堆積層を前記モールドの内側から加熱して前記石英粉を溶融するステップとを有し、容器にタップ充填された前記石英粉の1300℃での熱伝導率が0.4W/(m・K)以上1.0W/(m・K)以下であることを特徴とする。
本発明によれば、原料石英粉に対する特別な前処理や強加熱を行うことなく、透明層の気泡含有率が低い石英ガラスルツボを製造することができる。熱伝導率が低い原料石英粉を用いる場合、石英粉の堆積層をその内側から加熱したときに熱が外側へ逃げにくいので、石英粉の堆積層の内面の温度を高温に保持することができる。石英粉の堆積層の内面が高温化すると、石英粉の溶融速度が速くなり、石英粉の溶融初期に形成される気泡含有率が僅かに高い透明シリカガラス層の表層部(シール層)の気泡サイズを小さくすることができる。シール層の気泡サイズが小さい場合、気泡内圧が大きいため、その後の加熱で気泡を構成するガスがガラス中に溶け込みやすく、これにより気泡を消滅させることができる。したがって、ルツボの内面側の透明層の気泡含有率を低減することができる。
本明細書において、「石英粉の熱伝導率」とは、石英粉一粒の熱伝導率ではなく、多数の石英粉の集合体の熱伝導率を意味する。また、1300℃における熱伝導率を評価する理由は、石英粉の堆積層が加熱されて融解する過程で、1000℃の高温状態から、石英粉が融解する1650℃までの温度範囲における熱の伝わる度合を示す代表的な指標として適切だからである。1300℃は高温であるが、熱伝導率の測定が可能な温度である。
本発明において、前記石英粉の堆積層は、前記モールドの内面に形成された天然石英粉の堆積層と、前記天然石英粉の堆積層の内面に形成された合成石英粉の堆積層とを有し、前記天然石英粉の堆積層の厚さは前記合成石英粉の堆積層の厚さの2倍以上であり、少なくとも前記天然石英粉の1300℃での熱伝導率が0.4W/(m・K)以上1.0W/(m・K)以下であることが好ましい。このように、天然石英粉の熱伝導率を制御することにより、ルツボの内面側の透明層の気泡含有率を低減することができる。
本発明において、前記天然石英粉の1300℃での熱伝導率は0.5W/(m・K)以上0.8W/(m・K)以下であることが好ましく、0.6W/(m・K)以上0.8W/(m・K)以下であることがさらに好ましい。これにより、透明層の気泡含有率が低い石英ガラスルツボの製造歩留まりを高めることができる。
本発明において、25℃の水に対する前記合成石英粉の浸漬熱は250J/g以上450J/g以下であることが好ましい。これにより、ルツボの内面側の透明層の気泡含有率を低減することができる。
前記石英粉の堆積層を加熱して溶融するステップは、前記モールドの内面側から前記石英粉の堆積層を真空引きしながら溶融することにより、気泡を含まないシリカガラスからなる透明層を形成する透明層形成ステップと、前記モールドの内面側からの前記真空引きの吸引力を弱めるかまたは停止することにより、多数の気泡を含むシリカガラスからなる気泡層を形成する気泡層形成ステップとを含むことが好ましい。これによれば、透明層および気泡層を有する2層構造の石英ガラスルツボを製造することができる。
また、本発明による石英ガラスルツボの製造方法は、回転するモールドの内面に天然石英粉の堆積層を形成するステップと、前記天然石英粉の堆積層の内面に合成石英粉の堆積層を形成するステップと、前記天然石英粉及び前記合成石英粉の堆積層を前記モールドの内側から加熱して前記石英粉を溶融するステップとを有し、25℃の水に対する前記合成石英粉の浸漬熱が250J/g以上450J/g以下であることを特徴とする。本発明によれば、石英ガラスルツボの内面側の透明層の気泡含有率を低減することができる。
また、本発明による石英粉は、石英ガラスルツボの原料となるものであって、天然石英からなり、容器内にタップ充填された状態での1300℃での熱伝導率が0.4W/(m・K)以上1.0W/(m・K)以下であることを特徴とする。本発明によれば、石英ガラスルツボの内面側の透明層の気泡含有率を低減することができる。
さらに、本発明による石英粉は、石英ガラスルツボの原料となるものであって、合成石英からなり、浸漬熱が250J/g以上450J/g以下であることが好ましい。本発明によれば、石英ガラスルツボの内面側の透明層の気泡含有率を低減することができる。
さらにまた、本発明による石英ガラスルツボは、天然石英粉を加熱し溶解して形成された多数の気泡を含む石英ガラスからなる気泡層と、合成石英粉を加熱し溶解して形成された気泡を含まない石英ガラスからなり、前記気泡層の内側に設けられた透明層を有し、前記天然石英粉は容器内にタップ充填された状態での1300℃での熱伝導率が0.4W/(m・K)以上1.0W/(m・K)以下であり、深さ2mm以内の透明層の表層部の平均気泡含有率が0.05vol%以下であることを特徴とする。この場合において、25℃の水に対する前記合成石英粉の浸漬熱は250J/g以上450J/g以下であることが好ましい。
本発明によれば、原料石英粉に対する特別な前処理や強加熱を行うことなく、ルツボの内側の透明層の気泡含有率を低減することが可能な石英ガラスルツボの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、透明層の気泡含有率が低減された石英ガラスルツボを製造することが可能な石英粉を提供することができる。さらにまた、本発明は、透明層の気泡含有率が低減された高品質な石英ガラスルツボを提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態による石英ガラスルツボの構成を示す図であって、(a)は略斜視図、(b)は略側面断面図である。 図2は、石英ガラスルツボの製造方法を説明するための模式図である。 図3は、原料石英粉の堆積層の熱伝導率がルツボ内面近傍の気泡含有率に与える影響について説明する模式図である。 図4は、合成石英粉の浸漬熱の説明図である。 図5は、原料石英粉の堆積層の熱伝導率の測定方法の一例を説明する模式図である。 図6は、比較例1~4及び実施例1~3による石英ガラスルツボの品質及び評価結果を示す表である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態による石英ガラスルツボの構成を示す図であって、(a)は略斜視図、(b)は略側面断面図である。
図1(a)及び(b)に示すように、石英ガラスルツボ1はシリコン融液を支持するためのシリカガラス製の容器であって、円筒状の側壁部10aと、底部10bと、側壁部10aと底部10bとの間に設けられたコーナー部10cとを有している。底部10bは緩やかに湾曲したいわゆる丸底であることが好ましいが、いわゆる平底であってもよい。コーナー部10cは側壁部10aと底部10bとの間に位置し、底部10bよりも大きな曲率を有する部位である。側壁部10aとコーナー部10cとの境界位置は、側壁部10aが曲がり始める位置である。またコーナー部10cと底部10bとの境界位置は、コーナー部10cの大きな曲率が底部10bの小さな曲率に変化し始める位置である。
石英ガラスルツボ1の口径(直径)はそれを用いて引き上げられるシリコン単結晶インゴットの直径によっても異なるが、22インチ(約560mm)以上であることが好ましく、32インチ(約800mm)以上であることが特に好ましい。このような大口径のルツボは直径300mm以上の大型のシリコン単結晶インゴットの引き上げに用いられ、長時間使用しても単結晶の製造歩留まりや品質に影響を与えないことが求められるからである。
ルツボの肉厚はその部位によって多少異なるが、22インチ以上のルツボの側壁部10aの肉厚は7mm以上であることが好ましく、32インチ以上の大型ルツボの側壁部10aの肉厚は10mm以上であることが好ましい。これにより、多量のシリコン融液を高温下で安定的に保持することができる。
図1(b)に示すように、石英ガラスルツボ1は、気泡を含まないシリカガラスからなる透明層11(無気泡層)と、多数の微小な気泡を含むシリカガラスからなり、透明層11の外側に設けられた気泡層12(不透明層)とを有している。
透明層11は、シリコン融液と接触するルツボの内面10iを構成する層であって、シリカガラス中の気泡が原因で単結晶歩留まりが低下することを防止するために設けられている。ルツボの内面10iはシリコン融液と反応して溶損するため、ルツボの内面近傍の気泡をシリカガラス中に閉じ込めておくことができず、熱膨張によって気泡が破裂したときにルツボ破片(シリカ破片)が剥離するおそれがある。シリコン融液中に放出されたルツボ破片が融液対流に乗って単結晶の成長界面まで運ばれて単結晶中に取り込まれた場合には、単結晶の有転位化の原因となる。またシリコン融液中に放出された気泡が浮上して固液界面に到達し、単結晶中に取り込まれた場合には、シリコン単結晶中のピンホールの発生原因となる。
透明層11が「気泡を含まない」とは、気泡が原因で単結晶化率が低下しない程度の気泡含有率及び気泡サイズを有することを意味する。そのような気泡含有率は例えば0.1vol%以下であり、気泡の平均直径は例えば100μm以下である。
透明層11の厚さは0.5~10mmであることが好ましく、単結晶の引き上げ工程中の溶損によって完全に消失して気泡層12が露出することがないように、ルツボの部位ごとに適切な厚さに設定される。透明層11はルツボの側壁部10aから底部10bまでのルツボ全体に設けられていることが好ましいが、シリコン融液と接触することがないルツボの上端部において透明層11を省略することも可能である。
透明層11の気泡含有率及び気泡の直径は、光学的検出手段を用いて非破壊で測定することができる。光学的検出手段は、ルツボに照射した光の透過光又は反射光を受光する受光装置を備える。受光装置は、光学レンズ及び撮像素子を含むデジタルカメラを用いることができる。照射光としては、可視光、紫外線及び赤外線のほか、X線もしくはレーザ光などを利用することができる。光学的検出手段による測定結果は画像処理装置に取り込まれ、気泡の直径及び単位体積当たりの気泡含有率が算出される。
気泡層12は、ルツボの外面10oを構成する層であり、ルツボ内のシリコン融液の保温性を高めると共に、単結晶引き上げ装置内においてルツボを取り囲むように設けられたヒータからの輻射熱を分散させてルツボ内のシリコン融液をできるだけ均一に加熱するために設けられている。そのため、気泡層12はルツボの側壁部10aから底部10bまでのルツボ全体に設けられている。気泡層12の厚さは、ルツボの厚さから透明層11の厚さを差し引いた値とほぼ等しく、ルツボの部位によって異なる。
気泡層12の気泡含有率は、透明層11よりも高く、0.1vol%よりも大きく且つ5vol%以下であることが好ましい。気泡層12の気泡含有率が0.1vol%以下では気泡層12に求められる保温機能を発揮できないからである。また、気泡層12の気泡含有率が5vol%を超える場合には気泡の熱膨張によりルツボが変形して単結晶歩留まりが低下するおそれがあり、さらに伝熱性が不十分となるからである。保温性と伝熱性のバランスの観点から、気泡層12の気泡含有率は1~4vol%であることが特に好ましい。気泡層12に含まれる多数の気泡は目視で容易に認識することができる。なお上述の気泡含有率は、使用前のルツボを室温環境下で測定した値である。気泡層12の気泡含有率は、例えばルツボから切り出した不透明シリカガラス片の比重測定(アルキメデス法)により求めることができる。
シリコン融液の汚染を防止するため、透明層11を構成するシリカガラスは高純度であることが望ましい。そのため、本実施形態による石英ガラスルツボ1は、合成石英粉から形成される合成シリカガラス層(合成層)と、天然石英粉から形成される天然シリカガラス層(天然層)の二層構造を有することが好ましい。合成石英粉は、四塩化珪素(SiCl)の気相酸化(乾燥合成法)やシリコンアルコキシドの加水分解(ゾル・ゲル法)によって製造することができる。また天然石英粉は、α-石英を主成分とする天然鉱物を粉砕して粒状にすることによって製造される石英粉である。
詳細は後述するが、合成シリカガラス層と天然シリカガラス層の二層構造は、ルツボ製造用モールドの内面に沿って天然石英粉を堆積し、その上に合成石英粉を堆積し、アーク放電によるジュール熱によりこれらの石英粉を溶融することにより製造することができる。アーク溶融工程の初期には石英粉の堆積層の外側から強く真空引きすることによって気泡を除去して透明層11を形成する(透明層形成ステップ)。その後、真空引きの吸引力を弱めるかまたは真空引きを停止することによって透明層11の外側に気泡層12を形成する(気泡層形成ステップ)。そのため、合成シリカガラス層と天然シリカガラス層との境界位置は、透明層11と気泡層12との境界位置と必ずしも一致するものではないが、合成シリカガラス層は、透明層11と同様に、単結晶引き上げ工程中のルツボの内面の溶損によって完全に消失しない程度の厚さを有することが好ましい。
図2は、石英ガラスルツボ1の製造方法を説明するための模式図である。
図2に示すように、石英ガラスルツボ1はいわゆる回転モールド法により製造することができる。回転モールド法では、ルツボの外径に合わせたキャビティを有するモールド14を用意し、回転するモールド14の内面14iに沿って天然石英粉13a及び合成石英粉13bを順に充填して原料石英粉の堆積層16を形成する。原料石英粉は遠心力によってモールド14の内面14iに張り付いたまま一定の位置に留まり、ルツボ形状に維持される。
次に、モールド14内にアーク電極15を設置し、モールド14の内側から原料石英粉の堆積層16をアーク溶融する。加熱時間、加熱温度等の具体的条件は原料石英粉の特性やルツボのサイズなどの条件を考慮して適宜定められる。
アーク溶融中はモールド14の内面14iに設けられた多数の通気孔14aから原料石英粉の堆積層16を真空引きすることにより溶融シリカガラス中の気泡量を制御する。具体的には、アーク溶融開始時に原料石英粉に対する減圧を強めて透明層11を形成し、透明層11の形成後に原料石英粉に対する減圧を弱めて気泡層12を形成する。透明層11を形成する際の減圧力は-70~-95kPaであることが好ましく、気泡層12を形成する際の減圧力は大気圧~-35kPaであることが好ましい。
アーク熱は原料石英粉の堆積層16の内側から外側に向かって徐々に伝わり原料石英粉を融解していくので、原料石英粉が溶融し始めるタイミングで減圧条件を変えることにより、透明層11と気泡層12とを作り分けることができる。すなわち、石英粉が融解するタイミングで減圧を強める減圧溶融を行えば、アーク雰囲気ガスがガラス中に閉じ込められないので、溶融シリカは気泡を含まないシリカガラスになる。また、石英粉が融解するタイミングで減圧を弱める通常溶融(大気圧溶融)を行えば、アーク雰囲気ガスがガラス中に閉じ込められるので、溶融シリカは多数の気泡を含むシリカガラスになる。
その後、アーク溶融を終了し、ルツボを冷却する。以上により、ルツボ壁の内側から外側に向かって透明層11及び気泡層12が順に設けられたシリカガラスからなる石英ガラスルツボ1が完成する。
透明層11の気泡含有率を低減するため、本発明においては熱伝導率が低い原料石英粉が用いられる。具体的には、原料石英粉、特に天然石英粉の熱伝導率は0.4W/(m・K)以上1.0W/(m・K)以下である。原料石英粉の熱伝導率が1.0W/(m・K)よりも高い場合、ルツボの内面近傍の気泡含有率が高くなるからである。原料石英粉の熱伝導率が高い場合、熱の逃げが多いためルツボ内面温度が上がらず、原料石英粉の溶融速度が遅く、石英粉が部分的に溶融して玉状になることで空隙が取り込まれ、シリカガラス中に比較的大きな気泡が内包されやすくなると考えられる。また原料石英粉の熱伝導率が高い場合、ルツボ肉厚が薄くなってしまうという問題もある。
一方、原料石英粉の熱伝導率が0.4W/(m・K)よりも低い場合、断熱性が高すぎて溶融速度が速すぎるため、初期シール層が厚くなり、気泡を除去することができず、内面から少し深い領域に気泡が残ってしまう。その場合、内面直下の気泡は除去できるが、少し深い領域に微気泡層が残っているルツボをシリコン単結晶の引き上げに使用した場合、使用後に時間が経ってから微気泡層がルツボ内面に露出してしまい、引き上げ成績を低下させる要因になる。
原料石英粉、特に天然石英粉の熱伝導率は0.5W/(m・K)以上0.8W/(m・K)以下であることが好ましく、0.6W/(m・K)以上0.8W/(m・K)以下であることが特に好ましい。このように、原料石英粉の熱伝導率を低く抑えることにより、透明層11の気泡含有率を低減することができ、特に透明層11の気泡含有率が低い石英ガラスルツボ1の製造歩留まりを高めることができる。
上記のように、石英粉の熱伝導率とは、石英粉一粒の熱伝導率ではなく、多数の石英粉の集合体の熱伝導率を意味する。このような多数の石英粉の集合体の熱伝導率は、容器内にタップ充填された状態で測定することができる。
原料石英粉の堆積層16の大部分は天然石英粉13aからなり、合成石英粉13bの堆積層の厚さは天然石英粉13aの堆積層に比べて非常に薄い。通常、天然石英粉13aの堆積層の厚さは合成石英粉13bの堆積層の厚さの2倍以上である。そのため、天然石英粉13aの熱伝導率が原料石英粉の堆積層16全体の熱伝導率に与える影響は大きく、合成石英粉13bの熱伝導率が原料石英粉の堆積層16全体の熱伝導率に与える影響は小さい。したがって、天然石英粉13aの熱伝導率が上記範囲内に収まっていれば、合成石英粉13bの熱伝導率が多少高くても問題はない。しかし、天然石英粉13aの堆積層のみならず合成石英粉13bの堆積層の熱伝導率も上記範囲内であれば、原料石英粉の堆積層16全体の熱伝導率を確実に上記範囲内に収めることができるので、特に好ましい。
図3は、原料石英粉の堆積層16の熱伝導率がルツボ内面近傍の気泡含有率に与える影響について説明する模式図である。
図3に示すように、原料石英粉の堆積層16の熱伝導率が高い場合には、原料石英粉の堆積層16に加えた熱が逃げやすいので、原料石英粉の堆積層16の内面温度は低くなる。原料石英粉の堆積層16の内面温度が低いときには、原料石英粉の堆積層16の溶融速度が遅く、ガラスの表面張力が低くなり、気泡内圧も低くなる。そのため、気泡がガラス中に溶け込みやすく、ガラス中の気泡のサイズを小さくすることができず、これにより透明層11には気泡が残る。
一方、原料石英粉の堆積層16の熱伝導率が低い場合には、原料石英粉の堆積層に加えた熱が逃げにくいので、原料石英粉の堆積層16の内面温度は高くなる。原料石英粉の堆積層の内面温度が高いときには、原料石英粉の堆積層16の溶融速度が速く、ガラスの表面張力が高くなり、気泡内圧も高くなる。そのため、気泡がガラス中に溶け込みやすく、これにより透明層11中の気泡を消滅させることができる。
石英粉の熱伝導率はバルクの石英の熱伝導率と異なり、石英粉の平均粒径、粒子形状、粒子の比表面積などの物性値の違いによって変化し、また石英粉の堆積層16の嵩密度又はタップ密度によっても変化する。石英粉の堆積層16の熱伝導率を低くするためには、例えば、石英粉の平均粒径が小さいことが好ましく、粒子形状は球状よりも扁平であることが好ましい。また石英粉の粒子の比表面積が大きいほど熱伝導率は低くなる。さらに、石英粉の堆積層の嵩密度又はタップ密度が小さいほど熱伝導率は低くなる。
原料石英粉の熱伝導率はできるだけ高温下で測定することが好ましく、例えば1000~1300℃における熱伝導率を測定することが好ましい。石英ガラスルツボ1の製造では石英粉を溶融してガラス化する際の熱伝導率が問題となるからであり、また高温下で測定するほど原料石英粉ごとの熱伝導率の違いがはっきりと表れるからである。すなわち、1000~1300℃における熱伝導率を評価する理由は、石英粉の堆積層16が加熱されて融解する過程で、1000℃の高温状態から、石英粉が融解する1650℃までの温度範囲における熱の伝わり方が問題となるからである。本実施形態では、特に1300℃における熱伝導率を代表的な指標とする。1300℃は高温であるが、熱伝導率の測定が可能な温度である。
1300℃といった高温における天然石英粉の集合体の熱伝導率に影響を与える要素としては、石英粉の粒子内の熱伝導率、石英粉の粒子表面の面積および輻射率、粒子間の空隙等の様々な要素が挙げられ複雑である。しかし、1300℃での天然石英粉の集合体の熱伝導率を0.4W/(m・K)以上1.0W/(m・K)以下とし、さらに天然石英粉の平均粒子アスペクト比1.7以上2.1以下とすることにより、ルツボの内面側の透明層の気泡含有率を低減する効果を高めることができる。
本実施形態において、ルツボの内面を構成する透明層11の原料となる合成石英粉13bの浸漬熱はできるだけ高いほうがよく、25℃の水に対する合成石英粉13bの浸漬熱は250~450J/gであることが好ましい。ここで、「浸漬熱」(「湿潤熱」ともいう)とは、固体表面に液体が接触したときに発生する熱のことを言い、発熱量から粉体の表面積やその性質、混ざりやすさなどを知ることができる。
図4に示すように、浸漬熱が高い合成石英粉をルツボの内面に使用することで液体(溶融石英17)との親和性が高くなるため、石英粒子が溶融したときに隣接する石英粒子との接触面積が大きくなり、粒子間の空隙に存在するガスを減圧時に除去することができる。逆に、浸漬熱が低い合成石英粉を使用した場合には液体(溶融石英17)との親和性が低くなるため、粒子間の空隙に存在する気泡が空隙から抜けにくくなる。そのため、図示のように透明層11には気泡が残りやすくなる。
石英粉の熱伝導率の測定方法は特に限定されないが、粉体の熱伝導率の測定方法としては熱線法が良く知られている。熱線法は、非定常法による熱伝導率の測定方法の一つであり、JIS R2616やASTM D5930に規定されている。石英粉の浸漬熱は、例えばサーミスターによる直接測熱方法により測定することができる。
図5は、原料石英粉の堆積層の熱伝導率の測定方法の一例を説明する模式図である。
図5に示すように、原料石英粉の熱伝導率は熱線法により求めることができる。熱線法による石英粉の熱伝導率の測定では、無限大と仮定した石英粉の試料41(試験体)の中に直線状のヒータ42をおき、それに一定の直流電流を流した時のヒータ42の温度を熱電対43で測定し、ヒータ42自体の温度上昇から試料の熱伝導率を求める。このように、非定常法では試料に過渡的な熱流エネルギーを加えて非定常的に加熱したときの試料の温度応答から熱伝導率を算出する。熱線法は絶対測定法であり、標準試料は不要であるが、得られた測定値が妥当かどうかをチェックするために熱伝導率が既知の標準試料は必要である。
以上説明したように、本実施形態による石英ガラスルツボの製造方法は、回転するモールド14の内面に沿って原料石英粉の堆積層16を形成するステップと、原料石英粉の堆積層16をモールド14の内側から加熱して原料石英粉を溶融するステップとを有し、原料石英粉の1300℃での熱伝導率が0.4W/(m・K)以上1.0W/(m・K)以下であるため、原料石英粉に対する特別な前処理や強加熱を行うことなく、ルツボの内側の透明層11の気泡含有率を低減することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
内層側に合成石英粉、外層側に天然石英粉を使用した石英ガラスルツボにおいて、天然石英粉の熱伝導率及び合成石英粉の浸漬熱がルツボの品質及び性能に与える影響を評価した。そのため、図6に示すように、物性値が互いに異なる合成石英粉及び天然石英粉をそれぞれ使用して、比較例1~4及び実施例1~3による口径32インチの石英ガラスルツボを回転モールド法により製造した。その後、これらのルツボサンプルを用いてCZ法によるシリコン単結晶の引き上げを行い、単結晶歩留まり(無転位引き上げ率)を評価した。単結晶歩留まりは、ルツボ内に投入される多結晶シリコン原料に対するシリコン単結晶の重量比を百分率で表したものであり、75%以上であれば合格である。
合成石英粉の物性値の評価では、25℃の水に対する浸漬熱[mJ/m]、平均粒径[μm]、比表面積[m/g]、嵩密度[g/cm]を測定した。また、天然石英粉の物性値の評価では、1300℃での熱伝導率[W/(m・K)]、平均粒子アスペクト比、嵩密度[g/cm]を測定した。
天然石英粉の熱伝導率の測定では、Al製の耐熱性の試料容器(約230mm×115mm×130mm)に石英粉を充填した後、約50mm高さから自由落下させて10回のタッピングを実施した。タッピングの方向(自由落下の方向)は、図5の試料41の右端から左端に向かう方向である。その後、熱線法熱伝導率測定装置を用いて天然石英粉の熱伝導率を大気中で測定した。
浸漬熱の測定には東京理工製のマルチマイクロカロリーメーターMMC-5111を用い、石英粉を25℃の蒸留水に浸漬し、その時発生した熱量から単位面積当たりの浸漬熱を算出した。石英粉の比表面積はBET法により測定した。天然石英粉の粒子の平均アスペクト比はSEM写真を画像解析することにより粒子の長径と短径を測定しアスペクト比を算出し、100個の測定粒子からアスペクト比の相加平均値を算出した。石英粉の嵩密度の測定には多機能型粉体物性測定器を使用した。
比較例1による石英ガラスルツボの製造で使用した合成石英粉の、25℃の水に対する浸漬熱は200mJ/m、平均粒径は105μm、比表面積は0.040m/g、嵩密度は1.10g/cmであった。また、天然石英粉の1300℃での熱伝導率は0.35W/(m・K)、平均粒子アスペクト比は2.6、嵩密度は1.08g/cmであった。
続いて、完成したルツボの内面から深さ2mm以内の透明層の表層部の平均気泡含有率を非破壊検査により測定した。また、ルツボの外表面に形成される未溶融層の厚さを評価した。未溶融層の厚さ評価は、ある基準値を設定し、その基準値以上の厚さであればOK、その基準値未満の厚さであればNGと判定した。その結果、平均気泡含有率は0.135vol%となり、0.1vol%以上の高い結果となった。また、未溶融層の厚さは基準値未満(NG)となった。この比較例1によるルツボを用いてシリコン単結晶の引き上げを行った結果、単結晶歩留まりは71%となり、75%を下回る結果となった。
比較例2による石英ガラスルツボの製造で使用した合成石英粉の浸漬熱は316mJ/m、平均粒径は190μm、比表面積は0.036m/g、嵩密度は1.23g/cmであった。また、天然石英粉の熱伝導率は0.38W/(m・K)、平均粒子アスペクト比は2.4、嵩密度は1.12g/cmであった。
続いて、完成したルツボの内面から深さ2mm以内の平均気泡含有率と、未溶融層の厚さを求めた。その結果、平均気泡含有率は0.151vol%、未溶融層の厚さはNG(基準値未満)となった。この比較例2によるルツボを用いてシリコン単結晶の引き上げを行った結果、単結晶歩留まりは70%となった。
比較例3による石英ガラスルツボの製造で使用した合成石英粉の浸漬熱は225mJ/m、平均粒径は90μm、比表面積は0.026m/g、嵩密度は1.05g/cmであった。また、天然石英粉の熱伝導率は1.05W/(m・K)、平均粒子アスペクト比は1.5、嵩密度は1.37g/cmであった。
続いて、完成したルツボの内面から深さ2mm以内の平均気泡含有率と、未溶融層の厚さを求めた。その結果、平均気泡含有率は0.175vol%、未溶融層の厚さはNG(基準値未満)となった。この比較例3によるルツボを用いてシリコン単結晶の引き上げを行った結果、単結晶歩留まりは72%となった。
比較例4による石英ガラスルツボの製造で使用した合成石英粉の浸漬熱は480mJ/m、平均粒径は450μm、比表面積は0.015m/g、嵩密度は1.7g/cmであった。また、天然石英粉の熱伝導率は1.12W/(m・K)、平均粒子アスペクト比は1.2、嵩密度は1.41g/cmであった。
続いて、完成したルツボの内面から深さ2mm以内の平均気泡含有率と、未溶融層の厚さを求めた。その結果、平均気泡含有率は0.198vol%、未溶融層の厚さはNG(基準値未満)となった。この比較例4によるルツボを用いてシリコン単結晶の引き上げを行った結果、単結晶歩留まりは70%となった。以上のように、比較例1~4のルツボサンプルにおいては、単結晶が有転位化し、単結晶歩留まりは72%以下の低い結果となった。
実施例1による石英ガラスルツボの製造で使用した合成石英粉の浸漬熱は250mJ/m、平均粒径は87μm、比表面積は0.071m/g、嵩密度は0.99g/cmであった。また、天然石英粉の熱伝導率は0.43W/(m・K)、平均粒子アスペクト比は2.1、嵩密度は1.16g/cmであった。
続いて、完成したルツボの内面から深さ2mm以内の平均気泡含有率と、未溶融層の厚さを求めた。その結果、平均気泡含有率は0.025vol%となり、ルツボ内面の気泡が十分に排除されていることを示す0.05vol%以下の良好な結果となった。また、未溶融層の厚さは基準値以上となった。この実施例1によるルツボを用いてシリコン単結晶の引き上げを行った結果、単結晶歩留まりは86%となった。
実施例2による石英ガラスルツボの製造で使用した合成石英粉の浸漬熱は450mJ/m、平均粒径は222μm、比表面積は0.035m/g、嵩密度は1.27g/cmであった。また、天然石英粉の熱伝導率は0.71W/(m・K)、平均粒子アスペクト比は1.9、嵩密度は1.25g/cmであった。
続いて、完成したルツボの内面から深さ2mm以内の平均気泡含有率と、未溶融層の厚さを求めた。その結果、平均気泡含有率は0.020vol%となり、0.05vol%以下の良好な結果となった。また、未溶融層の厚さは基準値以上となった。この実施例2によるルツボを用いてシリコン単結晶の引き上げを行った結果、単結晶歩留まりは89%となった。
実施例3による石英ガラスルツボの製造で使用した合成石英粉の浸漬熱は365mJ/m、平均粒径は235μm、比表面積は0.040m/g、嵩密度は1.33g/cmであった。また、天然石英粉の熱伝導率は0.95W/(m・K)、平均粒子アスペクト比は1.7、嵩密度は1.33g/cmであった。
続いて、完成したルツボの内面から深さ2mm以内の平均気泡含有率と、未溶融層の厚さを求めた。その結果、平均気泡含有率は0.024vol%となり、0.05vol%以下の良好な結果となった。また、未溶融層の厚さは基準値以上となった。この実施例3によるルツボを用いてシリコン単結晶の引き上げを行った結果、単結晶歩留まりは93%となった。
1 石英ガラスルツボ
10a 側壁部
10b 底部
10c コーナー部
10i ルツボの内面
10o ルツボの外面
11 透明層
12 気泡層
13a 天然石英粉
13b 合成石英粉
14 モールド
14a 通気孔
14i モールドの内面
15 アーク電極
16 石英粉の堆積層
17 溶融石英(溶融ガラス)
41 試料(試験体)
42 ヒータ
43 熱電対

Claims (10)

  1. 回転するモールドの内面に石英粉を堆積させるステップと、前記石英粉の堆積層を前記モールドの内側から加熱して前記石英粉を溶融するステップとを有し、容器内にタップ充填された前記石英粉の1300℃での熱伝導率が0.4W/(m・K)以上1.0W/(m・K)以下であることを特徴とする石英ガラスルツボの製造方法。
  2. 前記石英粉の堆積層は、前記モールドの内面に形成された天然石英粉の堆積層と、前記天然石英粉の堆積層の内面に形成された合成石英粉の堆積層とを有し、
    前記天然石英粉の堆積層の厚さは前記合成石英粉の堆積層の厚さの2倍以上であり、少なくとも前記天然石英粉の1300℃での熱伝導率が0.4W/(m・K)以上1.0W/(m・K)以下である、請求項1に記載の石英ガラスルツボの製造方法。
  3. 前記天然石英粉の1300℃での熱伝導率が0.5W/(m・K)以上0.8W/(m・K)以下である、請求項2に記載の石英ガラスルツボの製造方法。
  4. 25℃の水に対する前記合成石英粉の浸漬熱が250J/g以上450J/g以下である、請求項2に記載の石英ガラスルツボの製造方法。
  5. 前記石英粉の堆積層を加熱して溶融するステップは、前記モールドの内面側から前記石英粉の堆積層を真空引きしながら溶融することにより、気泡を含まないシリカガラスからなる透明層を形成する透明層形成ステップと、前記モールドの内面側からの前記真空引きの吸引力を弱めるかまたは停止することにより、多数の気泡を含むシリカガラスからなる気泡層を形成する気泡層形成ステップとを含む、請求項1に記載の石英ガラスルツボの製造方法。
  6. 回転するモールドの内面に天然石英粉の堆積層を形成するステップと、前記天然石英粉の堆積層の内面に合成石英粉の堆積層を形成するステップと、前記天然石英粉及び前記合成石英粉の堆積層を前記モールドの内側から加熱して前記石英粉を溶融するステップとを有し、25℃の水に対する前記合成石英粉の浸漬熱が250J/g以上450J/g以下であることを特徴とする石英ガラスルツボの製造方法。
  7. 石英ガラスルツボの原料となる石英粉であって、天然石英からなり、
    容器内にタップ充填された状態での1300℃での熱伝導率が0.4W/(m・K)以上1.0W/(m・K)以下であることを特徴とする石英粉。
  8. 石英ガラスルツボの原料となる石英粉であって、合成石英からなり、
    25℃の水に対する浸漬熱が250J/g以上450J/g以下であることを特徴とする石英粉。
  9. 天然石英粉を加熱し溶解して形成された多数の気泡を含む石英ガラスからなる気泡層と、
    合成石英粉を加熱し溶解して形成された気泡を含まない石英ガラスからなる透明層を有し、
    前記天然石英粉は、容器内にタップ充填された状態での1300℃での熱伝導率が0.4W/(m・K)以上1.0W/(m・K)以下であり、
    深さ2mm以内の前記透明層の表層部の平均気泡含有率が0.05vol%以下であることを特徴とする石英ガラスルツボ。
  10. 25℃の水に対する前記合成石英粉の浸漬熱が250J/g以上450J/g以下である、請求項9に記載の石英ガラスルツボ。
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