JP2024042211A - 気液分離器 - Google Patents
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Abstract
【課題】単純な構成でありながら気液分離器の底部での凍結を解消し、底部の水の排出を迅速に行える気液分離器を構成する。【解決手段】ハウジングHと、ハウジングHの上部において含水ガスから水を分離する気液分離部と、ハウジングHの下部において含水ガスから分離した水を貯留する貯水部7と、貯水部7の水をハウジングの外部に排出する排出孔路11と、貯水部7の底部で水が排出孔路11に流れる領域に配置され、通電により発熱する発熱体Fから伝えられる熱により温度が上昇する加熱部材20と備えた。加熱部材20は、発熱体Fが貯水部7の外部に配置された状態で、貯水部7の底部に収容される本体部22と、この本体部22から上方に突出する板状部21とを有している。【選択図】図4
Description
本発明は、気液分離器に関する。
特許文献1には、燃料電池から排出される排出ガス通路を通る水の凍結を抑制するために、排ガス通路内に凍結抑制剤を循環させるための凍結抑制剤循環部を備えた燃料電池システムが記載されている。
この特許文献1では、酸化オフガス通路の生成水の凍結を抑制するため、エチレングリコールを利用した凍結抑制剤を酸化オフガス通路に注入し、酸化オフガス通路の下流側部分において、加熱により生成水から凍結抑制剤を分離して回収し、再利用する構成が記載されている。
特許文献2には、燃料電池スタックから排出された燃料オフガスから気液分離器で分離された水を流体導入部から弁装置に送り、この弁装置の制御によって排水する構成を備え、流体導入部の内孔に加熱装置を配置した燃料電池システムが記載されている。
この特許文献2では、加熱装置として電力供給によって発熱するPTCヒータが、筒状のカバー部本体の端部に配置され、カバー部本体の内部の水が凍結した場合にPTCヒータの発熱により解凍を行う点が記載されている。
特許文献3には、アノード電極から排出される燃料排ガスを気液分離器において気体と液体とに分離し、液体を排出する排出流路に圧縮酸化剤ガスを導くことにより、圧縮酸化剤ガスの熱によって、排出流路およびその近傍の加熱を行う燃料電池システムが記載されている。
この特許文献3では、排出流路に導かれる圧縮酸化剤ガスを加熱するヒータユニットも記載されている。
燃料電池を用いた発電システムでは、燃料オフガス(アノードオフガス)に含まれる燃料ガスを燃料電池で再利用するために、気液分離器によって水を除去した燃料オフガスを、燃料ガスの供給流路に戻すことが行われている。
特許文献2に記載されるように、気液分離器は、分離された水を底部に一時的に貯留し、所定のタイミングでバルブを開放することにより貯留した水を外部に排出する形態で使用されている。
このように燃料電池で発電された電力によって走行する燃料電池車は、寒冷地で走行した際や、寒冷地で駐車した際には、気液分離器の底部に貯留されている水が凍結し、排出が困難になるおそれもある。尚、燃料電池車は、寒冷地で駐車する場合には、燃料電池の発電停止時に、気液分離器に貯留された水を排出する制御が行われるものの、燃料電池のアノード側に残留する水滴や、アノードオフガスが流れる経路の水滴が気液分離器に流れ込み、凍結するおそれがあるので、何らかの対策が必要である。
このような不都合を解消するため、特許文献1に記載される凍結抑制剤を用いて凍結を防止することも考えられる、しかしながら、特許文献1に記載されるようにヒータによる加熱によって水を蒸発させ、水と凍結抑制剤との分離を図る構成では、ヒータで消費される電流が大きく、凍結抑制剤を回収するための機構が複雑化することが考えられる。
また、特許文献2に記載されるように、PTCヒータを用いる構成では、通電によるPTCヒータの熱により、弁装置の加熱も可能となる。しかしながら、この構成ではPTCヒータと、弁装置とは離間しており、弁装置の近傍の凍結の解消に時間が掛かることも想像できた。尚、特許文献2の構成においてPTCヒータを弁装置に近接して配置した場合には、PCTヒータが水の流れを妨げる不都合を招くことも考えられる。
更に、特許文献3に記載されるように、圧縮酸化剤ガスの供給により気液分離器の液体排出口の凍結を解消する構成を備えることも考えられるが、この特許文献3の構成は、専用のガス流路を必要とするため、構成の複雑化が懸念される。
このような理由から、単純な構成でありながら気液分離器の底部での凍結を解消し、底部の水の排出を迅速に行える気液分離器が求められる。
本発明に係る気液分離器の特徴構成は、含水ガスが供給されるハウジングと、前記ハウジングの上部に配置され前記含水ガスから水を分離する気液分離部と、前記ハウジングの下部に配置され前記気液分離部によって前記含水ガスから分離した水を貯留する貯水部と、前記ハウジングの前記貯水部より下部に配置され、前記貯水部より送られた前記水を前記ハウジングの外部に排出する排出孔路と、前記貯水部の底部で前記水が前記排出孔路に流れる領域に配置され、通電により発熱する発熱体から伝えられる熱により温度が上昇する加熱部材と備え、前記加熱部材は、前記発熱体が前記貯水部の外部に配置された状態で、前記貯水部の底部に収容される本体部と、当該本体部から上方へ向けて板状に突出する板状部とを有している点にある。
本構成によると、貯水部の水が凍結する状況において加熱部材の温度上昇を図ることにより、貯水部の底部において貯水部の水が排出孔路に流れる領域の凍結部分に直接的に熱を作用させて解凍を行える。また、加熱部材が本体部と、本体部から上方に突出する板状部とを有しているため、貯水部に流れ込む水に対し伝熱面積の大きい領域(主に板状部)を接触させる形態で貯水部の温度を上昇させ、貯水部で凍結する水位が比較的高くても凍結を解消できる。更に、本構成では、貯水部の外部に配置された発熱体の熱が加熱部材に伝えられるため、発熱体に貯水部の水が接触する不都合を招くことがなく、電気的な絶縁を確実に行える。従って、単純な構成でありながら気液分離器の底部での凍結を解消し、底部の水の排出を迅速に行える気液分離器が構成された。
他の構成として、前記板状部が、前記貯水部の底部に配置された状態において、前記排出孔路に近接する位置まで延在しても良い。
これによると、延在方向の端部が排出孔路に近接する位置関係となり、この端部から伝えられる熱により排出孔路の近傍に滞留した氷の解凍を可能にする。
他の構成として、前記加熱部材は、前記排出孔路の側において、縦方向の長さが横方向の最大幅に対して大きくしても良い。
これによると、排出孔路の側において、加熱部材の縦方向の長さが横方向の最大幅に対して大きいことから、排出孔路に流れ込む水に対し伝熱面積の大きい領域をより確保することが可能となる。その結果、貯水部の貯留許容量が大きくなって装置のコンパクト化が図られるだけでなく、貯水部の温度を速やかに上昇させて凍結を解消できる。
他の構成として、前記本体部は、前記板状部の下部に接続され、横方向の中央を基準に前記横方向の両側において基端から前記排出孔路に近接する先端に向けて横幅が縮小する翼状部を備えても良い。
これによると、本体部の下端位置から横方向に延びる領域に翼状部が形成されるため、翼状部の広い面からの熱により排出孔路の解凍を可能にする。また、翼状部の幅が、排出孔路に近接する先端ほど横幅が縮小するため、先端側ほど熱伝導性が向上し、排出孔路の解凍を効果的に行えるだけでなく、加熱部材で加熱された水が排出孔路に流れる際に、翼状部から水に作用する抵抗を低減して滞りのない流れを可能にする。
他の構成として、前記翼状部の上面が、前記横方向の外側ほど下側に向けて傾斜する姿勢であっても良い。
これによると、貯水部に流れ込む水が翼状部の上面において外側に流れることにより、翼状部から水に作用する抵抗を低減して滞りのない流れを可能にする。また、貯水部が凍結する状態で加熱部材の温度上昇を図った場合には、翼状部の広い面から熱を伝えることにより、迅速な解凍を実現する。
他の構成として、前記翼状部の下面が、前記横方向の外側ほど上側に向けて傾斜する姿勢であっても良い。
これによると、翼状部の下面に広い伝熱面積を確保して迅速な解凍を行い、翼状部の横方向の中央を貯水部の底部に接近させることにより、この中央より外側の領域の翼状部の下側と貯水部の底部との間に解凍後の水を流す空間を確保し、この空間から排出孔路に水を円滑に流すことが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1には、燃料電池車(FCV)に搭載される燃料電池FC、及び、この燃料電池FCのアノード側から排出されるアノードオフガス(含水ガスの一例)に含まれる水を分離する気液分離器Aが示されている。
〔基本構成〕
図1には、燃料電池車(FCV)に搭載される燃料電池FC、及び、この燃料電池FCのアノード側から排出されるアノードオフガス(含水ガスの一例)に含まれる水を分離する気液分離器Aが示されている。
燃料電池FCは、燃料ガスとしての水素ガスがアノード側に供給され、酸化ガスとしての酸素を含む空気がカソード側に供給されることで電気化学反応により発電するものであるが、同図には燃料電池FCのアノード側だけを示している。
図1に示すように、燃料電池FCを有する発電システムでは、燃料タンクTに貯留した水素ガスを供給経路L1から燃料電池FCのアノード側に供給し、燃料電池FCのアノード側から排出されたアノードオフガスを排出経路L2から気液分離器Aの導入部3に供給する。
アノードオフガスは、未反応の水素ガスを含むものであり、気液分離器Aは、導入部3から供給されたアノードオフガスを気液分離部5に導き、この気液分離部5においてアノードオフガスから水を分離し、分離した水を貯水部7に貯留し、水が分離した乾燥状態のアノードオフガスを導出部4から還元経路L3に送り出す。このように還元経路L3に送り出されたアノードオフガスは、還元経路L3の流路中の循環ポンプPによって供給経路L1から燃料電池FCのアノード側に供給され、未反応の水素が発電に利用される。
〔気液分離器〕
図1、図2、図4、図5に示すように、気液分離器Aは、上部ハウジング1と下部ハウジング2とで成るハウジングHを有し、夫々のフランジ部が互いに連結することによって上部ハウジング1と下部ハウジング2と一が体化し、内部空間を有するハウジングHが構成される。
図1、図2、図4、図5に示すように、気液分離器Aは、上部ハウジング1と下部ハウジング2とで成るハウジングHを有し、夫々のフランジ部が互いに連結することによって上部ハウジング1と下部ハウジング2と一が体化し、内部空間を有するハウジングHが構成される。
上部ハウジング1は、上部位置に筒状の導入部3と、筒状の導出部4とを備え、内部にアノードオフガス(含水ガス)から水を分離する気液分離部5を備えている。気液分離部5は、導入部3から供給されるアノードオフガスが衝突することにより、水を分離する複数の縦板状の衝突壁5aを備えている。また、この気液分離部5を通過した乾燥状態のアノードオフガスが導出部4から排出される。
下部ハウジング2は、気液分離部5で分離された水の落下を可能にする開放空間6と、この開放空間6を落下した水を貯留する貯水部7と、貯水部7の上側において、水に含まれる塵埃等を除去するフィルタユニット8とを備えている。
図4、図5に示すように、下部ハウジング2の下部は、下窄まりの複数の漏斗状内面2aを有し、最下端の漏斗状内面2aの上側に隣接する位置にフィルタユニット8が配置される。また、最下端の漏斗状内面2aの下側に連なる位置に、平面視で円形となる円筒状内面2bが形成されている。
この最下端の漏斗状内面2aに取り囲まれる空間と、円筒状内面2bに取り囲まれる空間とで貯水部7が構成されている。尚、貯水部7は、平面視で円形となる空間に限るものではなく、平面視で矩形、楕円形、多角形であっても良い。
フィルタユニット8は、環状フレーム8aの内周側にフィルタ材8bを備え、中央が下部ハウジング2の支持部に対しビス8cによって固定されている。これにより貯水部7に流れ込む水に含まれる塵埃がフィルタ材8bによって除去される。
図4、図5に示すように、下部ハウジング2の下端部に、ブロック状部10が一体的に形成され、このブロック状部10に対し、前述した貯水部7が形成されている。
ブロック状部10には、貯水部7の貯留空間に連通する位置に水平姿勢で、平面視で貯水部7の径方向の外方に窪む凹状部10aが形成されている。この凹状部10aの外端位置に、貯水部7に貯留された水を横方向に送る排出孔路11が小径のオリフィスとして形成されている。
ブロック状部10は、排出孔路11とブロック内流路10bを介して連通し、排出孔路11からの水を下方に排出する筒状の排出部12が形成されている。更に、このブロック状部10に対し、排出孔路11から排出部12に流れる水の流れを制御する電磁型の開閉弁Vを備えている。
図1、図4、図5に示すように、貯水部7の底部において、この貯水部7に貯留された水が排出孔路11に流れる領域に加熱部材20を備えている。この加熱部材20は、熱伝導率が高い材料、例えば一例としてアルミニウム材で構成されている。また、貯水部7の外部(ブロック状部10の外部)に対し、通電により発熱し加熱部材20に熱を伝える発熱体Fを備えている。
ブロック状部10のうち、貯水部7の空間を挟んで排出孔路11と反対側に、貯水部7の空間に連通する貫通孔部10cが形成され、加熱部材20は、貫通孔部10cに挿入する状態で配置されている。加熱部材20は図3、図6に示すように基端側にプレート状部21が一体形成され、このプレート状部21と、発熱体Fとを覆う位置に配置されるホルダ30によってブロック状部10に固定されている。この加熱部材20の具体的な形状や固定形態は後述する。
図4、図5に示すように、排出孔路11は、貯水部7の底壁7aから僅かに高い位置に形成され、この排出孔路11と同軸芯で凹状部10aが形成されている。前述したように、排出孔路11は、内端部が貯水部7の空間に連通し、外端部がブロック状部10の一方の縦壁状の端部の外部に連通するように水平姿勢で形成されている。尚、排出孔路11の排出側の端部は、円錐台状の突出部10Tに開口している。
排出孔路11と、排出部12とは、ブロック状部10のブロック内流路10bを介して連通しており、開閉弁Vを開放することにより、排出孔路11からの水がブロック内流路10bを介して排出部12に流れることで排出される。
〔開閉弁〕
図4、図5に示すように、開閉弁Vは、鉄材等の磁性体で成るプランジャ15と、このプランジャ15を取り囲む領域に配置された電磁ソレノイド16と、プランジャ15を突出方向に付勢するスプリング17と、排出孔路11の下流側の端部を閉塞する位置に配置され、閉塞位置と開放位置との間で柔軟に変形し得るゴム等の膜状素材から成る弁体18とを備えている。
図4、図5に示すように、開閉弁Vは、鉄材等の磁性体で成るプランジャ15と、このプランジャ15を取り囲む領域に配置された電磁ソレノイド16と、プランジャ15を突出方向に付勢するスプリング17と、排出孔路11の下流側の端部を閉塞する位置に配置され、閉塞位置と開放位置との間で柔軟に変形し得るゴム等の膜状素材から成る弁体18とを備えている。
開閉弁Vは、電磁ソレノイド16が非通電状態にある場合には、図4に示すようにスプリング17の付勢力によりプランジャ15が突出し、弁体18が、排出孔路11の外端位置を閉塞する位置に保持される。これに対し、電磁ソレノイド16が通電状態にある場合には、図5に示すようにスプリング17の付勢力に抗してプランジャ15が排出孔路11の外端部から離間する方向にシフトし、弁体18が開放位置に作動する。
〔加熱部材〕
気液分離器Aは、低温環境において燃料電池の発電を停止して燃料電池車を駐車した場合に、貯水部7から排出孔路11に亘る領域に残留する水が凍結することもある。また、気液分離器Aは、低温の環境で燃料電池車を走行させる状況において貯水部7の水が凍結することもある。このような凍結を解消するため、図1、図4、図5に示すように、加熱部材20を貯水部7の底部に収容する形態で備えている。
気液分離器Aは、低温環境において燃料電池の発電を停止して燃料電池車を駐車した場合に、貯水部7から排出孔路11に亘る領域に残留する水が凍結することもある。また、気液分離器Aは、低温の環境で燃料電池車を走行させる状況において貯水部7の水が凍結することもある。このような凍結を解消するため、図1、図4、図5に示すように、加熱部材20を貯水部7の底部に収容する形態で備えている。
図2、図3に示すように、加熱部材20は、貫通孔部10cに対し、外側(下部ハウジング2のブロック状部10外側)から貯水部7の底部に挿入する形態で配置される。この加熱部材20は、基端側に一体形成されたプレート状部21の外面に発熱体Fを配置し、これらを覆う位置にホルダ30を配置し、複数のボルト34により下部ハウジング2のブロック状部10に固定される。
発熱体Fは、プレート状部21の外面側(図4,図5で左側)に接触状態で配置しており、この発熱体Fの発熱時の熱が加熱部材20に伝えられる。発熱体Fは、温度上昇に伴い電気抵抗が上昇する特性のPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータが用いられている。
加熱部材20は、前述したように熱伝導率が高い材料、例えばアルミニウム材によって、プレート状部21と、加熱本体部22(本体部の一例)と、縦板状部23(板状部の一例)とが一体的に形成されている。プレート状部21は平坦なプレート状に形成され、このプレート状部21のプレート面に直交する方向に加熱本体部22と縦板状部23とが一体化した状態で延出されている。
縦板状部23は、図3、図6に示すように、平面視において横方向の幅が、排出孔路11に近接する先端ほど僅かに幅狭になるように形成され、側面視において高さ方向で一定の厚みで形成されている。これに対し、加熱本体部22は、平面視で延出方向に沿って排出孔路11に近接する先端ほど細くなる先細形状である。中央付近から先端側の領域において、加熱本体部22の少なくとも一部が横方向の最大幅W(加熱本体部22の最大となる横幅)に対し、縦方向の長さX(加熱部材20の上下方向の厚み)が大きく設定されている。
図6の上段には、加熱部材20と、発熱体Fと、ホルダ30とを平面視における分解状態で示している。また、この上段の加熱部材20の図では、下部ハウジング2に形成された貯水部7の円筒状内面2bを二点鎖線で示すことにより、平面視における加熱部材20と貯水部7との位置関係を示している。
また、図6には、上段に示した加熱部材20においてC1、C2、C3の各断面指示線に対応する断面を、中段にC1、C2として示し、下段にC3として示している。
加熱部材20は、図4、図5に示すように、下部ハウジング2に固定された状態で、加熱本体部22と縦板状部23とを併せた部位が貯水部7の内部に配置される。この加熱本体部22と縦板状部23とは、図6においてC2の断面図に示すように加熱本体部22の少なくとも一部の横方向の最大幅Wに対し、縦板状部23の縦方向の長さXが大きくなるように寸法関係が設定されている。最大幅Wと長さXとの大小関係は加熱本体部22と縦板状部23との全ての領域で成立するものではなく、一部で成立する。
加熱部材20は、図6に示すように、加熱本体部22の左右部分に翼状部22aが形成され、この左右の翼状部22aの上面に、横方向の外側ほど下側に向けて傾斜する傾斜面22bが形成されている。
図3~図4に示すように、加熱本体部22の先端部分から、この加熱本体部22の突出方向に延出する(プレート状部21の反対方向に延出する)ように円筒状部22cが形成されている。この円筒状部22cに主排出孔24が形成され、主排出孔24に連通する導入孔25が加熱本体部22の下面に形成されている。この主排出孔24の内径は、排出孔路11の内径より大きく形成されている。
加熱部材20は、下部ハウジング2に装着した状態で、加熱本体部22の円筒状部22cが、凹状部10aの内部に嵌まり込む位置に配置される。また、縦板状部23の先端は排出孔路11に近接する位置に配置される。このような配置において、主排出孔24と排出孔路11とが同軸芯となる。更に、主排出孔24は、加熱本体部22の先端位置からプレート状部21の方向に所定距離だけ延びる領域に形成され、この主排出孔24に導入孔25が連通している。
加熱部材20を下部ハウジング2に装着した状態で、加熱本体部22の下面と、貯水部7の底壁7aとの間に図4、図5に示す間隙が形成される。この間隙は、水が凍結した状態でも、凍結部の厚みを小さくすることにより、加熱部材20から作用する熱により迅速な解凍を可能にし、水の流れを可能にする。
図2~図5に示すように、ホルダ30は、絶縁性の樹脂材料を用い、カバー部31と、一対の連結部32と、コネクタ部33とが一体的に形成されている。
カバー部31は、加熱部材20のプレート状部21を収容する形態で、ブロック状部10の外面に接触可能に構成されている。連結部32は、カバー部31の外縁に一体形成され、ボルト挿通孔32aが形成されている。コネクタ部33は、筒状のコネクタ空間の内部に一対の電極33aを備えている。
この構成から、加熱部材20を下部ハウジング2に装着する場合には、先に説明したように、ブロック状部10のうち貫通孔部10cから貯水部7の内部空間に加熱部材20を挿入し、加熱部材20のプレート状部21の外面に発熱体Fを配置し、プレート状部21と発熱体Fとに重ねるようにカバー部31を配置し、連結部32のボルト挿通孔32aにボルト34を挿通し、ブロック状部10の雌ネジ部に螺合させる形態でホルダ30が固定される。
また、加熱部材20が装着される際には、ブロック状部10の外面と、プレート状部21との間、及び、プレート状部21とカバー部31との間にゴムや樹脂のリングで成るシール体27が配置される。
また、このように加熱部材20を装着した状態で、プレート状部21の外面に発熱体Fが密着し、コネクタ部33の電極33aから発熱体Fに電流を供給する導通部が形成される。
〔加熱部材による加熱〕
図面には示していないが、燃料電池車は、開閉弁Vを制御し、発熱体Fに供給する電流を制御する制御部を備えている。この制御部は、走行時における燃料電池での発電量から発電に伴って生成される水量を演算によって求め、貯水部7に貯留される水量を推定し、推定した水量が設定量に達する毎に、設定された時間だけ開閉弁Vを開放することで、貯水部7の水を排出孔路11から排出する制御を行う。
図面には示していないが、燃料電池車は、開閉弁Vを制御し、発熱体Fに供給する電流を制御する制御部を備えている。この制御部は、走行時における燃料電池での発電量から発電に伴って生成される水量を演算によって求め、貯水部7に貯留される水量を推定し、推定した水量が設定量に達する毎に、設定された時間だけ開閉弁Vを開放することで、貯水部7の水を排出孔路11から排出する制御を行う。
尚、このような制御形態に代えて、貯水部7に貯留された水の水量を計測するために水面位置を検出する水位センサを備え、この水位センサで検出される水位が設定値に達する毎に、開閉弁Vを開放して貯水部7に貯留された水の排出を行うように制御形態を設定しても良い。
また、制御部は、氷点下の低温環境に燃料電池車(FCV)を駐車し、燃料電池FCの発電を停止した後に、この燃料電池車を走行させる場合には、走行を開始する以前に、発熱体Fに電流を供給して加熱部材20の温度上昇を図ることにより、凍結を解消する。このように凍結を解消する場合には、開閉弁Vを開放し、燃料電池FCにおいて所定のエアストイキ比を設定して運転(発電)を行う形態で掃気が行われる。
また、掃気では、前述したように燃料電池FCを運転(発電)する状態で、図1に示す循環ポンプPの駆動により、気液分離器Aの内部のガスを導出部4から還元経路L3に送り、この還元経路L3から燃料電池FCのアノード側にガスを供給し、燃料電池FCのアノード側を通過したガスを、排出経路L2を介して気液分離器Aの導入部3から気液分離器Aの内部に戻す形態でガスが循環する。
特に、掃気において、発熱体Fに電流を供給して加熱部材20の温度が上昇することにより、加熱本体部22の下面と、貯水部7の底壁7aとの間の空間の温度を上昇させ、加熱本体部22、あるいは、縦板状部23の外面の温度を上昇させる。これにより、これらの部位が凍結している場合には凍結を解消し、これらの部位が凍結しない状況でも温度が低下している場合には水の温度が上昇し、解凍された水が排出孔路11から排出されることになる。
〔実施形態の作用効果〕
このように、加熱部材20を装着する場合には、下部ハウジング2のブロック状部10の貫通孔部10cに外部から加熱部材20を挿入し、プレート状部21の外面に発熱体Fを配置し、ホルダ30をブロック状部10の外面に固定することにより、加熱部材20の装着が完了する。このため、加熱部材20の装着が容易でメンテナンスに手間が掛からない。また、この構成では、発熱体Fが下部ハウジング2の外部に配置されるため、発熱体Fに水が接触する不都合を招くことがなく、電気的な絶縁を行うための構成が簡素化し、漏電や短絡を招くこともない。
このように、加熱部材20を装着する場合には、下部ハウジング2のブロック状部10の貫通孔部10cに外部から加熱部材20を挿入し、プレート状部21の外面に発熱体Fを配置し、ホルダ30をブロック状部10の外面に固定することにより、加熱部材20の装着が完了する。このため、加熱部材20の装着が容易でメンテナンスに手間が掛からない。また、この構成では、発熱体Fが下部ハウジング2の外部に配置されるため、発熱体Fに水が接触する不都合を招くことがなく、電気的な絶縁を行うための構成が簡素化し、漏電や短絡を招くこともない。
図3、図6に示すように、加熱部材20は、加熱本体部22と縦板状部23とが一体形成され、これらが貯水部7の空間の内部に配置されるため、縦方向と横方向との広い外面を水に接触させて効率的な解凍を可能にする。また、縦板状部23により、貯水部の比較的に高い水位の凍結でも解氷できる。特に、加熱本体部22の下面と、貯水部7の底壁7aとの間に間隙が形成されているため、この間隙に水の流れを作り、この間隙の水の一部を導入孔25から主排出孔24に流すことにより、この主排出孔24に流れる水の温度上昇を可能にする。
図4、図5に示すように、加熱部材20は、円筒状部22cを凹状部10aに嵌め込む形態で配置され、この円筒状部22cがオリフィス状に形成された排出孔路11に近接するため、排出孔路11が凍結していても、この円筒状部22cからの熱によって解凍を可能にする。特に、円筒状部22cに対し、排出孔路11と同軸芯で主排出孔24が形成され、この主排出孔24に、導入孔25から水を供給するため、加熱部材20で加熱された水を主排出孔24から送り出し、排出孔路11の解凍を効率的に行える。
また、図6に示すように、加熱部材20は、加熱本体部22の下部において、横方向の中央を基準に横方向の両側において外方に拡大する一対の翼状部22aを形成しており、平面視において、一対の翼状部22aが、先端側(円筒状部22cの位置側)ほど、先細形状になるように成形されているため、貯水部7の水を円滑に排出孔路11に流すことが可能となる。
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
(a)図7に示すように、翼状部22aの下面が、横方向の外側ほど上側に向けて傾斜するU字状の傾斜面22dを備えていても良い。この別実施形態(a)では、翼状部22aの上面が水平姿勢に形成することや、幅方向の外方が上方に持ち上がる姿勢であっても良い。つまり、翼状部22aの形状は、加熱本体部22の下面と貯水部7の底壁7aとの間に間隙が形成されていれば、如何なる形状であっても良い。
(b)加熱部材20の一部において、横方向の最大幅が縦方向の長さより大きくなるように、例えば、断面形状が台形、あるいは、長方形等、決まった断面でなくても良い。また、加熱部材20の表面積を増大して水との熱交換効率を高めるために、表面に溝状部を形成することや、凹凸を形成しても良い。さらに、加熱部材20の全部において、横方向の最大幅が縦方向の長さより大きくなるように構成しても良い。
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、気液分離器に利用することができる。
5 気液分離部
7 貯水部
11 排出孔路
20 加熱部材
22 加熱本体部(本体部)
22a 翼状部
23 縦板状部(板状部)
F 発熱体
H ハウジング
W 幅
X 厚み
7 貯水部
11 排出孔路
20 加熱部材
22 加熱本体部(本体部)
22a 翼状部
23 縦板状部(板状部)
F 発熱体
H ハウジング
W 幅
X 厚み
Claims (6)
- 含水ガスが供給されるハウジングと、
前記ハウジングの上部に配置され前記含水ガスから水を分離する気液分離部と、
前記ハウジングの下部に配置され前記気液分離部によって前記含水ガスから分離した水を貯留する貯水部と、
前記ハウジングの前記貯水部より下部に配置され、前記貯水部より送られた前記水を前記ハウジングの外部に排出する排出孔路と、
前記貯水部の底部で前記水が前記排出孔路に流れる領域に配置され、通電により発熱する発熱体から伝えられる熱により温度が上昇する加熱部材と備え、
前記加熱部材は、前記発熱体が前記貯水部の外部に配置された状態で、前記貯水部の底部に収容される本体部と、当該本体部から上方へ向けて板状に突出する板状部とを有している気液分離器。 - 前記板状部が、前記貯水部の底部に配置された状態において、前記排出孔路に近接する位置まで延在している請求項1に記載の気液分離器。
- 前記加熱部材は、前記排出孔路の側において、縦方向の長さが横方向の最大幅に対して大きい請求項2に記載の気液分離器。
- 前記本体部は、前記板状部の下部に接続され、横方向の中央を基準に前記横方向の両側において基端から前記排出孔路に近接する先端に向けて横幅が縮小する翼状部を備えている請求項1に記載の気液分離器。
- 前記翼状部の上面が、前記横方向の外側ほど下側に向けて傾斜する姿勢である請求項4に記載の気液分離器。
- 前記翼状部の下面が、前記横方向の外側ほど上側に向けて傾斜する姿勢である請求項4に記載の気液分離器。
Priority Applications (2)
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Applications Claiming Priority (1)
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JP2022146771A JP2024042211A (ja) | 2022-09-15 | 2022-09-15 | 気液分離器 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP7041538B2 (ja) * | 2018-02-09 | 2022-03-24 | 本田技研工業株式会社 | 燃料電池システム |
JP2022157050A (ja) * | 2021-03-31 | 2022-10-14 | 本田技研工業株式会社 | 燃料電池システム、燃料電池システムの制御方法、およびプログラム |
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2022
- 2022-09-15 JP JP2022146771A patent/JP2024042211A/ja active Pending
-
2023
- 2023-08-25 WO PCT/JP2023/030675 patent/WO2024057877A1/ja unknown
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Publication number | Publication date |
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WO2024057877A1 (ja) | 2024-03-21 |
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