JP5135655B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池システムに関する。この燃料電池システムは電気自動車、ハイブリッド車等に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、燃料電池装置と、この燃料電池装置に接続された水素供給手段と、燃料電池装置に接続された給水手段としての直噴ノズルとを備えた燃料電池システムが知られている。
【0003】
燃料電池装置は、大気中の空気が空気流路により供給される空気極と、水素ガスが水素ガス流路により供給される水素極と、空気極及び水素極に挟持されたイオン交換樹脂からなる固体高分子膜型の電解質層とを有しており、空気中の酸素と水素ガスとの電気化学反応により電力を生じ得るようになっている。水素供給手段は、水素吸蔵合金により水素を貯蔵する水素貯蔵装置と、水素貯蔵装置と燃料電池装置とを水素ガス給気路として接続し、水素極側に水素ガスを供給可能な水素供給管とを有している。
【0004】
また、燃料電池システムは、燃料電池装置の空気極側に水を供給する直噴ノズルと、水を貯溜する水タンクと、水タンクから直噴ノズルに水を供給する給水路としての給水管とを備えている。
【0005】
この燃料電池システムでは、燃料電池装置の空気流路に大気中の空気が供給される一方、燃料電池装置の水素ガス流路に水素供給手段から供給される水素ガスが供給されることにより、水素極側では、
H2→2H++2e-
の反応を生じる。ここで生じたH+がH3O+の形で電解質層を移動し、空気極側において、
(1/2)O2+2H++2e-→H2O
の反応を生じる。こうして、水素極と空気極との間において、
H2+(1/2)O2→H2O
の電気化学反応による起電力が得られることとなる。また、これにより空気極側では生成水を生じることとなる。
【0006】
この際、空気流路に新たに供給される空気は、上記電気化学反応で生じる熱により加熱され、その飽和水蒸気圧が上がることから、生成水を取り込んだ形で排出ガスとして流れ出てしまうこととなる。特に、生成水によって空気極に空気中の酸素が接触しないことを回避すべく、空気流路を上下に延在させている場合には、生成水が自重により下方に移動しやすい。こうして、燃料電池装置内では、生成水が電解質層中に補充されにくくなり、水素極側からのH+の移動が困難になってしまう。こうであれば、燃料電池装置の発電効率が低下してしまう。
【0007】
一方、燃料電池装置の温度がさほど高くないのであれば、生成水により電解質層が乾き難くなっており、そのままで燃料電池装置の発電効率を確保可能である。つまり、燃料電池装置が高温になりすぎると、燃料電池装置の発電効率が低下してしまう。
【0008】
このため、燃料電池装置の空気極側には、燃料電池装置より排出される排出ガスの出口温度等に応じ、水タンクから直噴ノズルにより液体状の水が直接供給されるようになっており、これにより最適な条件で水が電解質層中に補充され、水素極側からのH+の移動を容易にし、燃料電池装置の発電効率を好適に確保することがなされている。また、空気極側に供給された水は空気極の冷却も行い、燃料電池装置の発電効率の低下を防止している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の燃料電池システムでは、氷点下等、外気温が低温である環境下において、発電運転の停止時に給水手段及び給水路で水が凍結するおそれがある。
【0010】
この場合、水の凍結による体積膨張により応力が給水手段及び給水路に作用することから、給水手段及び給水路の耐久性が懸念される。また、こうして給水手段及び給水路で水が凍結してしまうと、水タンク内の水を迅速に燃料電池装置の空気極側に供給することができないため、燃料電池装置の発電を好適に始めることができなくなってしまう。
【0011】
この点、特開平9−147892号公報記載の技術のように、給水路に空気ポンプを接続し、空気ポンプによって生じる圧搾空気を給水路に送り込むことも考えられる。こうすれば、給水路の内部に残留しようとする水が圧搾空気によって移動せしめられ、給水路で凍結することを防止することができる。
【0012】
しかしながら、上記のように給水路に空気ポンプを接続するとすれば、空気ポンプを駆動するための動力が必要となり、それを燃料電池装置の起電力又は二次電池で賄うことは燃料電池システム等の効率上好ましくない。また、この場合、多くの切換弁も必要になり、燃料電池システムが大型化及び高騰化してしまう。
【0013】
また、給水手段及び給水路に断熱材を取り付けることも考えられるが、こうすると一旦内部で水が凍結した場合にその断熱効果によってその解凍が困難になってしまう。また、こうすると、給水手段及び給水路の容積が大きくなり、車両への搭載性が損なわれてしまうとともに、製造コストの高騰化を生じてしまう。
【0014】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、優れた効率の下、燃料電池システムの大型化及び高騰化を生じることなく、低温の環境下における優れた耐久性と優れた初期発電とを発揮可能な燃料電池システムを提供することを解決すべき課題としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池システムは、大気中の空気が上下に延びる空気流路により供給される空気極と、水素ガスが水平に延びる水素ガス流路により供給される水素極と、該空気極及び該水素極に挟持された固体高分子膜型の電解質層とを有し、該空気中の酸素と該水素ガスとの電気化学反応により電力を生じ得る燃料電池装置と、
該燃料電池装置の該空気極側に水を供給する給水手段と、
水を貯溜する水タンクと、
該水タンクから該給水手段に水を供給する給水路と、
該給水手段と該水タンクとの間に設けられた給水ポンプと、
該給水ポンプと該水タンクとの間の該給水路に設けられ、該給水手段及び該給水ポンプを大気に連通させるための大気開放弁と、
該給水ポンプと該給水手段との間の該給水路に設けられ、該給水路を開閉可能な開閉弁と、
該大気開放弁を開き、該開閉弁が開いた状態で該給水ポンプを一定時間駆動させる制御部とを備え、
該大気開放弁より下方に該水タンク、該給水路、該開閉弁、該給水ポンプ及び該給水手段が位置していることを特徴とする。
【0017】
本発明の燃料電池システムによれば、大気開放弁が発電運転の停止時に給水手段及び給水路を大気に開放することにより、給水手段内及び給水ポンプに大気圧を作用することができ、水が自重で排出又は大量に貯留され、給水手段及び給水ポンプの内部で少量だけ水が残留するようなことがなくなる。こうして、氷点下等、外気温が低温である環境下においても、給水手段及び給水ポンプは、内部における水の凍結が防止され、優れた耐久性を発揮できる。また、水を大量に貯溜する水タンク内の水さえ凍結していなければ、その水を迅速に燃料電池装置の空気極側に供給することができるため、外気温にかかわらず、燃料電池装置の発電を好適に始めることができる。
【0018】
この際、特別な動力を必要とせず、燃料電池システム等の効率を損なわない。
また、断熱材も必要でなく、簡易な構造で足りるため、燃料電池システムの小型化及び低廉化を実現できる。
【0019】
したがって、この燃料電池システムによれば、優れた効率の下、大型化及び高騰化を生じることなく、低温の環境下における優れた耐久性と優れた初期発電とを発揮することができる。
【0020】
本発明の燃料電池システムでは、給水ポンプと給水手段との間の給水路に設けられ、給水路を開閉可能な開閉弁を備える。また、大気開放弁より下方に水タンク、給水路、開閉弁、給水ポンプ及び給水手段が位置している。こうであれば、大気開放弁を開放することにより、大気開放弁より下方の給水路、開閉弁、給水ポンプ及び給水手段内の水が自重で排出される。こうして、これらの内部で少量だけ水が残留するようなことがなく、これらの内部で水が凍結することがない。また、大気開放弁を開放することにより、大気開放弁より下方の水タンクに給水路等内の水が還流される。こうして、水タンク内では大量の水が貯留され、その大量の水は給水路等に比して凍結し難くなる。
【0021】
また、本発明の燃料電池システムでは、特に大気開放弁、給水ポンプ、開閉弁、給水手段が順次上方より位置していることがより好ましい。こうであれば、大気開放弁を開放し、開閉弁が開いた状態で給水ポンプを駆動させていることによる大気圧をそれより下方の開閉弁及び給水手段に作用させやすい。こうして、給水ポンプ、開閉弁及び給水手段内で少量だけ水が残留しにくく、これらの内部で水が凍結することをより防止できる。なお、開閉弁より下方に給水手段が位置するのは給水手段からの液体状の水の噴出を開閉弁により操作するためである。
【0022】
本発明の燃料電池システムでは、開閉弁が開いた状態で給水ポンプを一定時間駆動する制御部を備えている。こうであれば、大気開放弁を開放させた後、給水ポンプを作動させることにより、給水ポンプや開閉弁に残留する水が吹き飛ばされるとともに、大気圧をそれより下方の開閉弁及び給水手段に確実に作用させることができる。こうして、給水ポンプ、開閉弁及び給水手段内で少量だけ水が残留することがなくなり、これらの内部で水が凍結することを確実に防止できる。
【0023】
また、本発明の燃料電池システムでは、燃料電池装置の空気流路の上流側には空気を送る給気ファンが設けられ、制御部は停止時にその給気ファンを一定時間駆動することが好ましい。こうであれば、燃料電池装置の空気流路内に残留しようとする水が給気ファンによって下方に移動し、燃料電池装置の内部で水が凍結することを確実に防止できる。
【0024】
さらに、本発明の燃料電池システムでは、燃料電池装置の空気流路の下流側で排出ガスから水を凝縮する凝縮器と、この凝縮器と水タンクとを接続する還水路と、還水路に設けられて水を圧送可能な還水ポンプとを有し、制御部は停止時に還水ポンプを一定時間駆動することが好ましい。こうであれば、凝縮器及び還水路内に残留しようとする水が還水ポンプによって水タンク内に移動し、凝縮器及び還水路内で水が凍結することを確実に防止できる。
【0025】
制御部は外気温に応じて作動することが好ましい。外気温によって給水手段及び給水路内の水が凍結するからである。このため、外気温を検出するための外気温センサが設けられ、外気温センサの検出信号が制御部に入力されるようになっていることが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1に示すように、実施形態の燃料電池システム1は、電気自動車において、DC/DCコンバータ2と接続され、DC/DCコンバータ2はダイオード3を介してインバータ4と接続され、インバータ4がその電気自動車を駆動するモータ5と接続されている。また、ダイオード3とインバータ4との間及びDC/DCコンバータ2とインバータ4との間には二次電池としてのバッテリ6が接続されている。そして、これら燃料電池システム1、DC/DCコンバータ2、インバータ4及びバッテリ6は、CPU、ROM、RAM及び入出力ポートを備えた制御部7に電気的に接続されている。
【0028】
燃料電池システム1は、図2に示すように、燃料電池装置10と、この燃料電池装置10に接続された水素供給手段30と、燃料電池装置10に接続された給水手段としての直噴ノズル56と、水を貯溜する水タンク51と、水タンク51から直噴ノズル56に水を供給する給水路としての給水管52とを備えている。
【0029】
燃料電池装置10は、外郭を構成するハウジング11内に図3にその一部を示すスタック12が収納されたものである。スタック12は複数個のセル13を隣り合うセパレータ13aを共通させて組み合わせたものである。各セル13は、図4に示すように、対をなすセパレータ13a、13aと、各セパレータ13a、13a間に設けられた空気極(カソード)13bと、イオン交換樹脂からなる固体電解質膜型の電解質層13cと、水素極(アノード)13dとで構成されている。空気極13bの電解質及び水素極13dの電解質には触媒が担持されている。図3に示すように、スタック12の両端に位置するセパレータ13aには、上下に延びる複数本の空気流路13e又は水平に延びる複数本の水素ガス流路13fが形成され、他のセパレータ13aには各空気流路13e及び各水素流路13fが形成されている。
【0030】
燃料電池装置10のハウジング11の上方には、図2に示すように、全空気流路13eの上端と連通する給気マニホールド21が固定されており、給気マニホールド21の上流側には、上流側から順にエアフィルタ22、給気ファン23及びヒータ24が接続されている。また、燃料電池装置10のハウジング11の下方には全空気流路13eの下端と連通する排気マニホールド25が固定されている。
【0031】
また、排気マニホールド25の下端では、燃料電池装置10より排出される排出ガスが水タンク51、水素供給手段30の水素貯蔵装置31及び凝縮器61に順次案内されるようになっている。
【0032】
水タンク51には内部を給水路とする給水管52が接続されており、給水管52は、下方に傾斜しながら、水フィルタ53、給水ポンプ54及び開閉弁55を介して複数個の直噴ノズル56に接続され、各直噴ノズル56は給気マニホールド21に接続されている。また、給水管52と水フィルタ53との間には大気開放管57を介して大気開放弁58が接続されている。大気開放弁58より下方に大気開放管57、水タンク51、給水管52、水フィルタ53、給水ポンプ54、開閉弁55及び直噴ノズル56が位置している。より詳細には、大気開放弁58、大気開放管57、水フィルタ53、給水ポンプ54、開閉弁55、直噴ノズル56が順次上方より位置している。
【0033】
他方、水タンク51には内部を還水路とする還水管59が接続されており、還水管59は、還水ポンプ60を介して凝縮器61の底部に接続されている。凝縮器61は、冷却ファン61aを有しており、この冷却ファン61aにより排出ガスの冷却を行い、排出ガスを空気と水とに分離するようになっている。こうして凝縮器61の底部に貯溜された水が還水ポンプ60により汲み上げられ、還水管59を経て水タンク51に還流されるようになっている。また、凝縮器61よりも下流側にはエアフィルタ27が設けられており、凝縮器61により排出ガスから分離された空気は、エアフィルタ27によってろ過された後、大気に放出されるようになっている。還水管59、還水ポンプ60及び凝縮器61は補機50である。
【0034】
また、水タンク51と凝縮器61との間には水素供給手段30の水素貯蔵装置31が位置している。水素貯蔵装置31は外郭を構成するハウジング32内に水素吸蔵合金が充填されたものである。水素貯蔵装置31のハウジング32には内部を水素ガス給気路とする水素供給管33が接続されており、水素供給管33は調圧弁35及び開閉弁36を介して燃料電池装置10のハウジング11の側方に接続され、図3に示すスタック12の全水素ガス流路13fの入り口側に連通している。また、図2に示すように、燃料電池装置10のハウジング11の側方には、燃料電池装置10の全水素ガス流路13fの出口側と連通する水素排気管38が接続されており、水素排気管38には逆止弁39を介して開閉弁40が設けられている。これら水素貯蔵装置31、水素供給管33、調圧弁35、開閉弁36、水素排気管38、逆止弁39及び開閉弁40が水素供給手段30である。
【0035】
さらに、エアフィルタ22の上流側には外気温T1を検出するための外気温センサ70が設けられ、排気マニホールド25に近い位置には排出ガスの出口温度を検出するための排出温度センサ71が設けられている。また、水タンク51内には内部に貯溜している水の温度を検出するための水温センサ72と、その水の水位を検出するための水位センサ73とが設けられている。これら外気温センサ70、排出温度センサ71、水温センサ72及び水位センサ73の検出信号は、図1に示すように、制御部7に入力されるようになっている。
【0036】
上記開閉弁55、大気開放弁58、開閉弁36及び開閉弁40は電磁弁で構成されている。また、これら開閉弁55、大気開放弁58、開閉弁36及び開閉弁40並びに上記給水ポンプ54、還水ポンプ60、給気ファン23、ヒータ24及び冷却ファン61aも制御部7に電気的に接続されている。
【0037】
上記のように構成された燃料電池システム1では、制御部7の指令により、開閉弁55、大気開放弁58、開閉弁36及び開閉弁40並びに上記給水ポンプ54、還水ポンプ60、給気ファン23及び冷却ファン61aが駆動される。特に、氷点下等、外気温T1が低温である環境下においては、制御部7の指令によりヒータ24が駆動される。
【0038】
これにより、エアフィルタ22、給気ファン23、ヒータ24及び給気マニホールド21を介して燃料電池装置10に大気中の空気が供給される。こうして、スタック12の全空気流路13eに空気が供給される。
【0039】
一方、水素貯蔵装置31内の水素ガスが水素供給管33、調圧弁35及び開閉弁36を介して燃料電池装置10に供給される。こうして、スタック12の全水素ガス流路13fに水素ガスが供給される。
【0040】
これにより、スタック12の全水素極13dと全空気極13bとの間において電気化学反応を生じ、起電力が得られる。こうして得られた起電力はDC/DCコンバータ2により昇圧又は減圧され、バッテリ6及びインバータ4に印加される。これによりモータ5が駆動され、電気自動車が走行可能となる。
【0041】
この間、スタック12の全空気極13b側では生成水を生じるが、全空気流路13eに新たに供給される空気が生成水を取り込んだ形で排気マニホールド25から排出ガスとして流れ出てしまう。特に、この燃料電池システム1では、全空気流路13bを上下に延在させているため、生成水が自重により下方に移動する。一方、燃料電池装置10の温度がさほど高くないのであれば、生成水により電解質層13cが乾き難くなっており、そのままで燃料電池装置10の発電効率を確保可能である。
【0042】
このため、この燃料電池システム1では、排出ガスの出口温度等に応じ、水タンク51内に貯溜されている液体状の水が給水管52、水フィルタ53、給水ポンプ54、開閉弁55、各直噴ノズル56及び給気マニホールド21を介して燃料電池装置10の全空気極13b側に直接供給される。これにより最適な条件で水が電解質層13c中に補充され、燃料電池装置10の発電効率を好適に確保する。また、空気極13b側に供給された水は空気極13bの冷却も行い、燃料電池装置10の発電効率の低下を防止する。
【0043】
そして、電気化学反応を生じなかった酸素を含む空気と生成水及び余剰の水とからなる排出ガスが排気マニホールド25から流出する。
【0044】
この燃料電池システム1が停止(発電運転の停止時であって水が凍結するおそれのある時又は停止中であってもよい。)されれば、制御部7は、図5に示すフローチャートに従って制御を行う。まず、ステップS10において、外気温センサ70による外気温T1を読み込む。
【0045】
そして、ステップS11において、外気温T1が水の凍結温度を示す設定温度(0°C)未満であるか否かを判断する。ここで、外気温T1が設定温度未満である場合には(YES)、停止時に水の凍結のおそれがあるため、第1ステップとして、ステップS12に進み、開閉弁55及び大気開放弁58を開く。これにより大気開放管57が大気に開放され、この大気開放管57に連通している給水管52、水フィルタ53、給水ポンプ54、開閉弁55及び直噴ノズル56を大気に開放する。こうして、大気開放管57等内の水に大気圧を作用することができ、水が自重で排出されたり、水タンク51内に大量に貯留されたりしようとする。
【0046】
特に、この燃料電池システム1では、大気開放弁58より下方に大気開放管57、水タンク51等が位置している。また、大気開放管58、水フィルタ53、給水ポンプ54、開閉弁55、直噴ノズル56が順次上方より位置している。このため、大気開放管58等内の水は自重で排出されたり、水タンク51内に大量に貯溜されたりしやすい。
【0047】
この後、第2ステップとして、ステップS13に進む。ここで、給水ポンプ54と給気ファン23とを一定時間駆動する。これにより、給水ポンプ54や開閉弁55に残留する水が吹き飛ばされるとともに、大気圧をそれより下方の開閉弁55及び直噴ノズル56に確実に作用させ、給水ポンプ54、開閉弁55及び直噴ノズル56内で少量だけ水が残留することがなくなる。また、燃料電池装置10の空気流路13e内に残留しようとする水が給気ファン23によって下方に移動する。
【0048】
そして、第3ステップとして、ステップS14に進む。ここで、還流ポンプ60を一定時間駆動する。これにより、凝縮器61及び還水管59内に残留しようとする水が還水ポンプ60によって水タンク51内に移動する。
【0049】
したがって、この燃料電池システム1及びこの方法では、氷点下等、外気温T1が低温である環境下においても、直噴ノズル56及び給水管52は、内部における水の凍結が防止され、優れた耐久性を発揮できる。また、水を大量に貯溜する水タンク51内の水さえ凍結していなければ、直噴ノズル56及び給水管52等を介してその水を迅速に燃料電池装置10の空気極13b側に供給することができるため、外気温T1にかかわらず、燃料電池装置10の発電を好適に始めることができる。
【0050】
この際、特別な動力を必要とせず、燃料電池システム1等の効率を損なわない。また、断熱材も必要でなく、簡易な構造で足りるため、燃料電池システム1の小型化及び低廉化を実現できる。
【0051】
したがって、この燃料電池システム1及び方法によれば、優れた効率の下、大型化及び高騰化を生じることなく、低温の環境下における優れた耐久性と優れた初期発電とを発揮することができる。
【0052】
なお、上記実施形態において、水素排気管38、逆止弁39及び開閉弁40内にもスタック12の全電解質層13c内から染み出した水が浸入することがあることから、これら水素排気管38、逆止弁39及び開閉弁40も大気に開放するように構成することもできる。この場合、燃料電池装置10の下方に水素排気管38を設け、水素排気管38が下方に傾斜しながら逆止弁39及び開閉弁40と接続されていることが水の排出性の点で好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る電気自動車のブロック構成図である。
【図2】実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。
【図3】実施形態に係るスタックの一部斜視図である。
【図4】実施形態に係るセルの断面図である。
【図5】実施形態に係る制御部のフローチャートである。
【符号の説明】
13e…空気流路
13b…空気極
13f…水素ガス流路
13d…水素極
13c…電解質層
10…燃料電池装置
56…直噴ノズル(給水手段)
51…水タンク
52…給水路(給水管)
54…給水ポンプ
55…開閉弁
58…大気開放弁
1…燃料電池システム
7…制御部
23…給気ファン
T1…外気温
Claims (5)
- 大気中の空気が上下に延びる空気流路により供給される空気極と、水素ガスが水平に延びる水素ガス流路により供給される水素極と、該空気極及び該水素極に挟持された固体高分子膜型の電解質層とを有し、該空気中の酸素と該水素ガスとの電気化学反応により電力を生じ得る燃料電池装置と、
該燃料電池装置の該空気極側に水を供給する給水手段と、
水を貯溜する水タンクと、
該水タンクから該給水手段に水を供給する給水路と、
該給水手段と該水タンクとの間に設けられた給水ポンプと、
該給水ポンプと該水タンクとの間の該給水路に設けられ、該給水手段及び該給水ポンプを大気に連通させるための大気開放弁と、
該給水ポンプと該給水手段との間の該給水路に設けられ、該給水路を開閉可能な開閉弁と、
該大気開放弁を開き、該開閉弁が開いた状態で該給水ポンプを一定時間駆動させる制御部とを備え、
該大気開放弁より下方に該水タンク、該給水路、該開閉弁、該給水ポンプ及び該給水手段が位置していることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記大気開放弁、前記給水ポンプ、前記開閉弁、前記給水手段が順次上方より位置していることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
- 前記制御部は、外気温が水の凍結温度未満である場合、前記開閉弁及び前記大気開放弁を開くことを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池システム。
- 前記制御部は、前記開閉弁及び前記大気開放弁を開いた後、給水ポンプを一定時間駆動することを特徴とする請求項3記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池装置の前記空気流路の上流側には空気を送る給気ファンが設けられ、前記制御部は停止時に該給気ファンを一定時間駆動することを特徴とする請求項4記載の燃料電池システム。
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