JP5086941B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
このような燃料電池を用いた燃料電池システムでは、発電状態が所定レベルに到達するまでモータなどの外部負荷回路に接続しないように構成されているため、燃料電池の膜電極構造体に電流が長時間流れ、膜劣化が起こる。このような問題を解消するために、外部負荷回路に接続されるまでの間、燃料電池を抵抗体(放電抵抗)に接続して放電する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、イオン交換器が最も効果的に性能を発揮するのは60℃〜70℃であるが、燃料電池システムの起動時に略外気温まで温度が低下しているイオン交換器を放電抵抗の熱を利用して迅速に暖機することができる。したがって、イオン交換器を早期に機能を発揮させることができ、金属イオンが冷却液内を流れるのを抑制することができる。
次に、本発明の第一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。なお、本実施形態における各装置の取付方向や位置を示す定義は、車両進行方向を前方と定義するものとする。
図1に示すように、燃料電池システム10の燃料電池11は、水素ガスなどの燃料ガス(アノードガス)と空気などの酸化剤ガス(カソードガス)との電気化学反応により発電を行う固体高分子膜型燃料電池である。燃料電池11に形成された燃料ガス供給用連通孔13(燃料ガス流路21の入口側)には燃料ガス供給配管23が連結され、その上流端部には水素タンク30が接続されている。また、燃料電池11に形成された酸化剤ガス供給用連通孔15(酸化剤ガス流路22の入口側)には酸化剤ガス供給配管24が連結され、その上流端部にはエアコンプレッサ33が接続されている。なお、燃料電池11に形成されたアノードオフガス排出用連通孔14(燃料ガス流路21の出口側)にはアノードオフガス排出配管35が連結され、カソードオフガス排出用連通孔16(酸化剤ガス流路22の出口側)にはカソードオフガス排出配管36が連結されている。なお、燃料電池11には出力電圧を検出する電圧計18が取り付けられている。
図2に示すように、冷媒回路(冷却システム)50は、燃料電池11と、冷媒(水)を冷却する冷却器として機能するラジエータ51と、燃料電池11とラジエータ51との間で冷媒を循環させる循環経路52と、循環経路52中に設けられ冷媒を所定流量で循環させる循環ポンプ53と、ラジエータ51をバイパスさせるバイパス通路55中に設けられ冷媒が流通する流路を循環経路52またはバイパス通路55のいずれか一方に切り換える流路切換弁56とを含む。流路切換弁56に代替して冷媒の流通量を制御する流量制御弁を用いてもよい。
図3に示すように、燃料電池11には放電抵抗70と、ディスチャージ用リレー71と、コンタクタ72と、制御装置45と、が接続されている。コンタクタ72は、燃料電池11とモータなどの電力消費デバイス75との間に設けられ、燃料電池11と電力消費デバイス75とを断続する電磁開閉器である。また、ディスチャージ用リレー71は、放電抵抗70と燃料電池11とを断続するスイッチであり、ディスチャージ用リレー71をオン(閉)にすることにより、燃料電池11と放電抵抗70とが接続されるようになっている。これらディスチャージ用リレー71およびコンタクタ72の制御は制御装置45からの指示により行われる。制御装置45は、例えば、電圧計18の電圧値に基づいてディスチャージ用リレー71およびコンタクタ72の開閉をするように構成されている。
図4、図5に示すように、放電抵抗70は、略直方体形状のセメント抵抗である。具体的には、セメントで形成された本体の内部にニクロム線が内包されている。放電抵抗70は、燃料電池11の始動時や停止時に使用されるものであり、燃料電池11に対して電気的に接続可能に構成されている。
図6に示すように、S1では、燃料電池システム10が運転停止の状態において、運転者により車両のイグニッションスイッチ(不図示)がオン(IG−ON)されると、ディスチャージ制御が開始される。
S3では、電磁弁25を開いて燃料電池11のアノード側に燃料ガス(水素)を供給するとともに、エアコンプレッサ33を駆動して、燃料電池11のカソード側に酸化剤ガス(空気)を供給する。すると、アノード側では、触媒の作用によって、水素が水素イオンと電子に分解され、水素イオンがアノード側とカソード側との間に設けられた電解質膜(不図示)を介してカソード側に透過し、電子が放電抵抗70を介してカソード側に移動する。また、カソード側では、触媒の作用により、水素イオンおよび電子と、水素と酸素とが反応することで、燃料電池11内の電位が上昇し、回路電圧が上昇する。また同時に、冷媒回路50の循環ポンプ53を駆動して冷媒(水)を循環させる。
図7に示すように、S11では、燃料電池システム10が運転中の状態において、運転者により車両のイグニッションスイッチ(不図示)がオフ(IG−OFF)されると、ディスチャージ制御が開始される。
S13では、電磁弁25を閉じて燃料電池11のアノード側への燃料ガス(水素)の供給を停止するとともに、エアコンプレッサ33の駆動を停止して、燃料電池11のカソード側への酸化剤ガス(空気)の供給を停止する。なお、冷媒回路50の循環ポンプ53の駆動は継続させる。
次に、本発明の第二実施形態を図9に基づいて説明する。なお、第二実施形態は第一実施形態と放電抵抗の配置場所が異なるのみであり、その他の構成は第一実施形態と略同一であるため、同一箇所には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図9に示すように、放電抵抗170は、ラジエータ15の底面15aに当接するようにして配置されている。ラジエータ15の上方には冷媒の循環経路52が接続される入口部15bが形成され、ラジエータ15の下方には同じく循環経路52が接続される出口部15cが形成されており、ラジエータ15の内部には入口部15bから出口部15cに連通する配管(不図示)が形成されている。つまり、放電抵抗170は、ラジエータ15の出口部15c近傍に配置されている。
次に、本発明の第三実施形態を図10に基づいて説明する。なお、第三実施形態は第一実施形態と放電抵抗の形態が異なるのみであり、その他の構成は第一実施形態と略同一であるため、同一箇所には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図10に示すように、放電抵抗270は、可撓性のあるステンレス配管の内部にニクロム線が配されるとともに、酸化マグネシウムが充填されたシーズヒータで構成されている。本実施形態では、この放電抵抗270がイオン交換器65の筐体66の周面に当接するように巻きつけられている。
次に、本発明の第四実施形態を図11に基づいて説明する。なお、第四実施形態は第一実施形態と放電抵抗の形態および配置箇所が異なるのみであり、その他の構成は第一実施形態と略同一であるため、同一箇所には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図11に示すように、放電抵抗370は、可撓性のあるステンレス配管の内部にニクロム線が配されるとともに、酸化マグネシウムが充填されたシーズヒータで構成されている。本実施形態では、この放電抵抗370がイオン交換器65の筐体66内に収容されている。放電抵抗370は、筐体66内で固定用ブラケット79により支持固定されている。また、放電抵抗370に接続されているケーブル74は、筐体66に形成された開口を挿通させている。なお、開口にはグロメット78が配されており、防水性が確保されている。
例えば、本実施形態においては、放電抵抗をイオン交換器またはラジエータに当接するように配置した場合の説明をしたが、これに限らず、循環ポンプや流路切換弁に取り付けてもよい。
全ての冷媒が流通する循環ポンプや流路切換弁に放電抵抗を設けることにより、効率的に放電抵抗を冷却することができる。なお、流路切換弁をサーモスタッドバルブにしてもよい。この場合、サーモスタッドバルブは、冷媒の温度が高くなるとバイパス経路を遮断し、ラジエータ方向のみに冷媒を流す。逆に、冷媒の温度が低くなるとバイパス経路方向のみに冷媒を流し、ラジエータ方向は遮断するように構成する。
Claims (5)
- 燃料電池と、
該燃料電池の内部を通過する冷却液の循環経路と、
該循環経路内に配置される冷却液通過デバイスと、を備えた燃料電池システムにおいて、
前記冷却液通過デバイスがイオン交換器であり、
前記燃料電池の発電電力を放電する放電抵抗が、前記冷却液通過デバイスに接触するように取り付けられており、
前記燃料電池に反応ガスが供給され、前記燃料電池が所定の電圧に到達するまでの起動時に、前記放電抵抗により前記燃料電池の発電電力を消費するとともに、前記冷却液を前記イオン交換器および前記燃料電池に循環させるように構成されていることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記循環経路に循環ポンプを備え、
前記放電抵抗による前記燃料電池の放電時に前記循環ポンプを稼動させることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記冷却液通過デバイスに平坦部を形成し、該平坦部に前記放電抵抗を固定することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
- 前記冷却液通過デバイスの表面にL字部を形成し、前記放電抵抗の側面および底面がそれぞれ前記L字部の側面および底面に当接されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池システム。
- 前記冷却液通過デバイスにおける前記放電抵抗との当接面が金属により形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池システム。
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