JP2024039142A - 保持器および玉軸受 - Google Patents

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【課題】合成樹脂と金属製の補強部材とで一体に形成されているつの形保持器を用いた転がり軸受において、回転時の遠心力による保持器のつの部の変形を効果的に抑えられるようにする。【解決手段】保持器1の補強部材8を、保持器1の環状部5に配され、全周にわたって径方向に延びる環状円板部12と、その環状円板部12の内周部から軸方向他方側(つの部6と反対の側)へ延びる突部13とからなるものとした。これにより、この保持器1を用いた転がり軸受では、保持器1が遠心力を受けたときに、補強部材8の突部13が環状円板部12の軸方向他方側への傾きを抑えるように作用して、従来の保持器(補強部材の突部が環状円板部から軸方向一方側へ延びているもの)よりも効果的につの部6の径方向外側への変形を抑えることができる。【選択図】図3

Description

本発明は、冠形保持器のようなつの付きの一体形保持器と、その保持器を用いた玉軸受に関する。
自動車や工作機械等において高温環境下で高速回転する装置に組み込まれる玉軸受等の転がり軸受では、一般に、その転動体を転動自在に保持する保持器として、自己潤滑性を有する合成樹脂製の一体形保持器が採用されている。
ところが、近年、自動車等の各種回転装置の性能向上や小型化に伴い、そこに組み込まれる転がり軸受は、さらなる高速回転化や省スペース化が図られる一方、使用時の温度が上昇する傾向にある等、使用条件が一層厳しくなっている。このため、保持器として金属製のものに比べて剛性の低い合成樹脂製のものを用いている場合は、高速回転時に保持器の遠心力に対する耐変形性が不足することが懸念されるようになってきている。
特に、玉軸受に用いられる冠形保持器のようなつの付きの一体形保持器(以下、「つの形保持器」とも称する。)で合成樹脂製のものは、高速回転下で使用した際に、片持ち梁状のつの部が遠心力によって径方向外側に変形しやすく、変形したつの部の先端側の内周側部分が転動体に接触してその転動を妨げたり、保持器に異常摩耗や亀裂が発生したりする等のトラブルを生じるおそれがある。
このため、合成樹脂製の保持器を使用すると上記のようなトラブルの発生が懸念される場合には、インサート成形によって金属製の補強部材を合成樹脂と一体化して遠心力に対する耐変形性を高めた保持器が使用されることが多い(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に開示されている保持器は、全周にわたって径方向に延びる環状円板部と、環状円板部から軸方向一方側に延びる突部とが一体形成された金属製の補強部材を用いている。その補強部材は保持器の環状部およびつの部を形成する合成樹脂と一体化され、保持器の遠心力に対する曲げ剛性や捻り剛性を高めている。
特開2011-117609号公報
しかしながら、特許文献1の保持器では、補強部材の突部が環状円板部から軸方向一方側(つの部の突出方向)に延びるように配されているので、遠心力によってつの部が径方向外側に変形する際に、補強部材の突部が環状円板部の軸方向他方側への傾きを助長するように変形することになる。このため、高速回転下では遠心力によるつの部の変形を十分に抑えることができず、そのつの部の変形に起因するトラブルを防止できないおそれがある。
そこで、本発明は、合成樹脂と金属製の補強部材とで一体に形成されているつの形保持器を用いた転がり軸受において、回転時の遠心力による保持器のつの部の変形を効果的に抑えられるようにすることを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、環状部と、前記環状部から円周方向に等間隔で軸方向一方側に突出する複数のつの部とを備え、前記つの部の円周方向で隣り合うものどうしの間に転がり軸受の転動体を収容するポケットを有し、前記環状部および前記つの部は合成樹脂とその合成樹脂に埋め込まれる金属製の補強部材とで一体に形成されている保持器において、前記補強部材は、前記環状部に配され、全周にわたって径方向に延びる環状円板部と、前記環状円板部の内周部または外周部から軸方向他方側へ延びる突部とからなるものである構成(構成1)の保持器を提供するようにした。
すなわち、上記構成1のつの形保持器は、金属製の補強部材の突部を環状円板部から軸方向他方側(つの部と反対の側)へ突出させることにより、転がり軸受に組み込まれて回転による遠心力を受けたときに、補強部材の突部が環状円板部の軸方向他方側への傾きを抑えるように作用して、従来の保持器(補強部材の突部が環状円板部から軸方向一方側へ延びているもの)よりもつの部の径方向外側への変形が抑えられるようにしたのである。
ここで、保持器の環状部内における補強部材の環状円板部の軸方向位置は、ポケット底側に寄るほど、保持器の剛性を向上させるのに有利であるが、保持器をインサート成形する際に合成樹脂が流動しにくくなって成形作業が難しくなることが懸念される。これに対して、前記環状部の軸方向他方側の端面から前記補強部材の環状円板部までの距離を、前記ポケットの底から前記補強部材の環状円板部までの距離の1~2倍とすれば(構成2)、保持器のインサート成形時の作業性を確保しつつ、効果的に剛性を向上させることができる。
上記構成1または2において、前記補強部材は、冷間圧延鋼板によって形成されているものとするとよい(構成3)。このようにすると、プレス加工で補強部材を成形することができる。ここで、冷間圧延鋼板とは、日本工業規格(JIS G3141:2017)の「冷間圧延鋼板及び鋼帯」に準拠したものをいう。また、この場合、前記補強部材の板厚は、前記転動体の直径の4~8%とするとよい(構成4)。板厚が転動体の直径の4%以上であれば十分な補強効果を得ることができる一方、板厚が転動体の直径の8%を超えると、合成樹脂が流動しにくくなり、補強部材のインサートが満足にされない点や保持器の軽量化の点で不利になる懸念があるからである。
上記構成1乃至4のいずれにおいても、前記合成樹脂は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂のうちの少なくとも一つの樹脂を用いることができる(構成5)。
また、本発明の玉軸受は、上記構成1乃至5のいずれかの保持器と、内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配される前記転動体としての玉とを備えるものであり(構成6)、遠心力に対する保持器の耐変形性に優れるので、高速回転する用途に適している。
上記構成6の玉軸受では、前記保持器のポケットの内面形状を、外周側が球面であり、内周側が円筒面であるものとすることにより(構成7)、遠心力によって保持器が変形した際のつの部の玉との接触を生じにくくできる。あるいは、前記保持器のつの部を、前記環状部の半径方向中心よりも内周側のみに設け(構成8)、つの部の体積を少なくして遠心力による変形量が小さくなるようにしても、つの部を玉と接触しにくくすることができる。
上述したように、本発明のつの形保持器は、その環状部を形成する合成樹脂に埋め込まれる金属製の補強部材を、環状円板部とその内周部または外周部からつの部と反対の側へ延びる突部とからなるものとしたので、回転時の遠心力によるつの部の径方向外側への変形を効果的に抑えることができる。したがって、そのつの形保持器を用いた玉軸受等の転がり軸受は、保持器のつの部と転動体の接触によるトラブルを防止でき、ひいてはその転がり軸受が組み込まれる回転装置の性能を良好に維持することができる。
第1実施形態の保持器を用いた玉軸受の正面断面図 (a)は図1の保持器の軸方向一方側から見た側面図、(b)は(a)のII-II線に沿った断面図 (a)は図1の保持器の要部拡大断面図、(b)は(a)の補強部材の変形挙動を示す模式図 図1の保持器の変形挙動の解析例を示す断面図 図4に対応して比較例の保持器の変形挙動の解析例を示す断面図 図1の保持器と比較例の保持器の変形量の解析結果を示すグラフ (a)は図3に対応して保持器形状の変形例を示す断面図、(b)は(a)を軸方向一方側から見た側面図 (a)は図3に対応して保持器形状の別の変形例を示す断面図、(b)は(a)を軸方向一方側から見た側面図 (a)は図3に対応して第2実施形態の保持器を示す断面図、(b)は(a)の補強部材の変形挙動を示す模式図
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1は、第1実施形態の保持器1を用いた玉軸受を示す。この玉軸受は、外周面に軌道面2aが形成された内輪2と、内周面に軌道面3aが形成された外輪3と、内輪2の軌道面2aと外輪3の軌道面3aとの間に配される転動体としての鋼球(玉)4と、各鋼球4をそれぞれ等間隔で転動自在に保持する保持器1とを備えている。
ここで、保持器1、内輪2および外輪3のそれぞれの中心軸(図示省略)は同軸に配されており、玉軸受の設計上の回転中心である軸受中心軸に相当する。以下、保持器1の中心軸を単に「中心軸」という。
そして、軸方向とは中心軸に沿った方向のことをいい、軸方向一方側は図1における右側、軸方向他方側は図1における左側である。また、径方向とは中心軸と直交する方向のことをいう。径方向外側とは、径方向で中心軸から遠ざかる方向のことをいい、図1における上方側である。径方向内側とは、径方向で中心軸に接近する方向のことをいい、図1における下方側である。また、円周方向とは、中心軸周りに一周する円周に沿った方向のことをいう。
保持器1は、図1および図2(a)、(b)に示すように、円周方向に延びる環状部5と、環状部5から円周方向に等間隔で軸方向一方側に突出する複数のつの部6とからなる冠形保持器(つの形保持器)である。そして、その環状部5と各つの部6、すなわち保持器1全体は、合成樹脂7とその合成樹脂7に埋め込まれる金属製の補強部材8を一体化するインサート成形によって形成されている。
図3(a)にも示すように、保持器1の環状部5の外周面および内周面はそれぞれ円筒面となっており、つの部6の外周面および内周面は、それぞれ環状部5の外周面および内周面と同一面に形成されている。また、環状部5の外周面および内周面と軸方向他方側の端面との境界部分には面取り部5a、5bが形成され、内輪2と外輪3の間に密封板(図示省略)が配置される場合でも、その密封板と環状部5が干渉しないようになっている。
つの部6は、環状部5に軸方向で連続するベース9と、ベース9から軸方向一方側に突出する一対の爪10a、10bとを有する。そのベース9は、円周方向で隣り合うものどうしが連続している。一対の爪10a、10bは、互いに円周方向で離れた状態でベース9の軸方向一方側から片持ち梁状に突出している。
そして、つの部6の円周方向で隣り合うものどうしの間の空間は、鋼球4を一つずつ収容するポケット11となっている。ポケット11は、径方向外側、径方向内側および軸方向一方側に開口した空間であり、つの部6と同数だけ形成されている。
ポケット11の内面形状は球面であり、その径方向外側の開口と径方向内側の開口はそれぞれ鋼球4を径方向に通過させない口径となっている。また、ポケット11の軸方向一方側の開口、すなわちつの部6の隣り合う爪10a、10bどうしの隙間は鋼球4を軸方向に通過させない寸法となっている。
したがって、ポケット11への鋼球4の収納は、玉軸受を組み立てる際に、内輪2の軌道面2aと外輪3の軌道面3aとの間に配した鋼球4に対して、保持器1のつの部6を軸方向他方側から押し付けることにより、つの部6の爪10a、10bを弾性変形させて、ポケット11の軸方向一方側の開口を円周方向に広げながら鋼球4をポケット11内に入り込ませるようにする。
保持器1を形成する合成樹脂7は、エンジニアリングプラスチック等の射出成形可能な樹脂であればよく、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂のうちの少なくとも一つの樹脂を用いることができ、また、結晶性樹脂と非結晶性樹脂のいずれを使用してもよい。そのほか、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を主成分とし、適宜、他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ゴム、ガラス繊維(GF)、炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛等を添加したものであってもよい。
補強部材8は、保持器1の環状部5に配され、全周にわたって径方向に延びる環状円板部12と、環状円板部12の内周部から軸方向他方側(つの部6と反対の側)に延びる環状の突部13とからなる。
また、補強部材8は全体がSPCC、SPCD等の冷間圧延鋼板のプレス加工によって成形されており、その板厚は、十分な補強効果を確保することができ、かつ合成樹脂7への埋め込みや保持器1の軽量化の点で不利にならないように、鋼球4の直径の4~8%に設定されている。
補強部材8の環状円板部12は、全周で環状部5の内周と外周の中間位置の両側に延びるように配されている。また、突部13は、環状円板部12の内周端から軸方向他方側へ湾曲したうえで、軸方向に平行に延びている。そして、環状円板部12の外周面は環状部5の外周面に露出せず、突部13の先端面が環状部5の軸方向他方側の端面に露出する状態で、補強部材8全体が環状部5を形成する合成樹脂7に埋め込まれている。突部13の先端面を露出させているのは、インサート成形時の補強部材8全体の位置決めが容易に行えるようにするためである。
環状円板部12の環状部5内における軸方向位置は、図3(a)に示すように環状部5の軸方向他方側の端面から環状円板部12までの距離をD、保持器1のポケット11の底から環状円板部12までの距離をEとするとき、D:E=1~2:1に設定されている。これにより、保持器1のインサート成形時の作業性を確保しつつ、効果的に剛性を向上させることができる。
また、補強部材8全体の環状部5内における径方向位置は、環状部5の内周側に寄るほど遠心力の影響が小さくなって好ましいが、環状部5の内周側の面取り部5bと軸方向で重なるようにすると、突部13の軸方向寸法が小さくなって後述する突部13の効果が減少する。このため、補強部材8は、内径が環状部5の軸方向他方側の端面の最内径と同一となるように形成され、突部13の先端部が環状部5の内周側の面取り部5bにかからない状態で配されるようにしている。
なお、この玉軸受は前記密封板の適用を想定して保持器1の環状部5に面取り部5a、5bを形成したものであるが、密封板を適用しない転がり軸受では、保持器の環状部に面取りを形成する必要がないので、保持器の補強部材の内径を環状部の内径と同一として、突部の先端面および内周面がそれぞれ環状部の軸方向他方側の端面および内周面に露出する状態で補強部材を配置すればよい。
また、図3(a)に示すように、環状円板部12の内周端に連続する突部13の湾曲部の内側曲率半径をRとするとき、そのRの寸法は、小さいほど突部13の軸方向に平行に延びる部分の寸法が大きくなって剛性向上に有利であるが、補強部材8を成形する際に使用する金型が摩耗しやすくなることが懸念されるため、補強部材8の板厚の0.1~0.3倍に設定している。
また、突部13の先端面は、環状部5の軸方向他方側の端面と一致させることにより、インサート成形時の補強部材8の位置決め精度を向上させることができる。このため、突部13の湾曲部の曲げ角度は、理想的には90度が好ましく、製造工程や公差を考慮すると90~110度とするとよい。
この玉軸受は、上記の構成であり、保持器1の補強部材8として、保持器1の環状部に配される環状円板部12と、環状円板部12の内周部から軸方向他方側へ延びる突部13とからなるものを用いたので、図3(b)に示すように、保持器1が遠心力を受けて補強部材8が全体としてA方向へ変形するときに、補強部材8の突部13が環状円板部12の軸方向他方側への傾きを抑えるように作用して、保持器1のつの部6の径方向外側への変形が抑えられる。
次に、この第1実施形態の玉軸受における保持器1のつの部6の変形量低減効果を確認したCAE解析について説明する。
解析条件は、保持器1を形成する合成樹脂7の材質をポリアミド66(PA66)+GFとし、補強部材8の材質をSPCC、板厚を0.4mm(鋼球4の直径の5%)とし、軸受回転速度を5000~10000r/minの範囲で1000r/minずつ変化させて6条件で保持器1の変形を計算した。また、比較例として、第1実施形態の保持器1から補強部材8を省き、全体をポリアミド66+GFで形成した保持器1’についても、同様に変形を計算した。なお、解析した玉軸受において、dmn(鋼球4のピッチ円直径(mm)×軸受回転速度(r/min))の値を算出すると、軸受回転速度:5000r/minはdmn値:約27万に相当し、軸受回転速度:10000r/minはdmn値:約54万に相当する。
図4は第1実施形態の保持器1の変形挙動の解析例を、図5は比較例の保持器1’の変形挙動の解析例をそれぞれ示す(いずれも軸受回転速度が10000rpmの場合の例)。図4および図5において、実線は軸受回転中の保持器1、1’の形状を、一点鎖線は軸受停止時の保持器1、1’の形状をそれぞれ示す。図4、図5に示す点A、A’は、それぞれつの部6、6’の内周側のベース9と爪10bの境界となるコーナである。そして、点A、A’の軸受停止時の径方向位置と軸受回転中の径方向位置の差分である変位量をそれぞれδ、δ’とする。
図6は、第1実施形態の保持器1および比較例の保持器1’について、dmn値と解析で求められた点A、A’の変位量δ、δ’との関係を示す。いずれの速度条件でも、第1実施形態の保持器1の変位量δの方が比較例の保持器1’の変位量δ’よりも小さい(δがδ’の1/2程度)。このため、例えば、変位量δ、δ’が0.2mm以上で適用不可となる場合、比較例ではdmn:32.4万以上には適用できないが、第1実施形態ではdmn:48.6万まで適用でき、比較例の1.5倍までの軸受回転速度に対応できることになる。これにより、第1実施形態の保持器1の補強部材8は、遠心力によるつの部6の変形に対して大きな低減効果があることが確認された。
そして、この第1実施形態の保持器1におけるつの部6の変形量低減効果は、従来の補強部材(突部が環状円板部から軸方向一方側へ延びているもの)を用いた保持器よりも大きくなる。これは、保持器が遠心力を受けた際に、従来の補強部材を用いている場合は、補強部材の突部が環状円板部の軸方向他方側への傾きを助長するように作用するのに対し、第1実施形態の保持器1では、突部13が環状円板部12の軸方向他方側への傾きを抑えるように作用することによる。
したがって、第1実施形態の保持器1を用いた玉軸受は、高速運転した場合でも、外乱による保持器1全体の振動変形や、遠心力による保持器1のつの部6の径方向の変形を効果的に抑制して、保持器1のつの部6と鋼球4の接触による保持器1の破損等のトラブルを防止でき、ひいてはその玉軸受が組み込まれる回転装置の性能を良好に維持することができる。
また、玉軸受のミスアライメントにより鋼球4の遅れ進みが発生し、保持器1に負荷がかかってその環状部5のポケット底部に疲労による亀裂が発生しても、補強部材8によって保持器1の断裂を防止することができる。これにより、例えば、この玉軸受が自動車の回転装置に組み込まれている場合は、玉軸受の回転不良を防止できるため、機能影響を発生させない。
図7(a)、(b)は第1実施形態の保持器1の変形例を示す。この変形例では、保持器1のポケット11の内面形状を、外周側が球面であり、内周側が円筒面であるものとしている。これにより、遠心力によって保持器1が変形した際のつの部6の鋼球4との接触を生じにくくすることができる。
図8(a)、(b)は第1実施形態の保持器1の別の変形例を示す。この変形例では、 保持器1のつの部6を、環状部5の半径方向中心よりも内周側のみに設けている。これにより、つの部6の体積が少なくなって遠心力による変形量が小さくなるので、つの部6を鋼球4と接触しにくくすることができる。
図9(a)は第2実施形態の保持器1を示す。この第2実施形態の保持器1は、第1実施形態の補強部材8を、突部13が環状円板部12の外周部から軸方向他方側へ延びる補強部材14に変更したものであり、その他の部分の構成は第1実施形態と同じである。この第2実施形態では、図9(b)に示すように、保持器1が遠心力を受けたときの補強部材14の変形モードが第1実施形態と異なり、補強部材14全体がB方向へ変形するようになる。この補強部材14の変形は遠心力による保持器1のつの部6の径方向外側への変形と打ち消し合うため、第1実施形態よりもつの部6の変形を抑えることが可能となる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、本発明は、上述した各実施形態のような冠形保持器を用いた玉軸受に限らず、つの形保持器を用いた転がり軸受全般に広く適用することができる。
1 保持器
2 内輪
3 外輪
4 鋼球(転動体、玉)
5 環状部
6 つの部
7 合成樹脂
8、14 補強部材
11 ポケット
12 環状円板部
13 突部

Claims (8)

  1. 環状部と、前記環状部から円周方向に等間隔で軸方向一方側に突出する複数のつの部とを備え、前記つの部の円周方向で隣り合うものどうしの間に転がり軸受の転動体を収容するポケットを有し、前記環状部および前記つの部は合成樹脂とその合成樹脂に埋め込まれる金属製の補強部材とで一体に形成されている保持器において、
    前記補強部材は、前記環状部に配され、全周にわたって径方向に延びる環状円板部と、前記環状円板部の内周部または外周部から軸方向他方側へ延びる突部とからなるものであることを特徴とする保持器。
  2. 前記環状部の軸方向他方側の端面から前記補強部材の環状円板部までの距離は、前記ポケットの底から前記補強部材の環状円板部までの距離の1~2倍であることを特徴とする請求項1に記載の保持器。
  3. 前記補強部材は、冷間圧延鋼板によって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の保持器。
  4. 前記補強部材の板厚は、前記転動体の直径の4~8%であることを特徴とする請求項3に記載の保持器。
  5. 前記合成樹脂は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂のうちの少なくとも一つの樹脂が用いられていることを特徴とする請求項1または2に記載の保持器。
  6. 請求項1または2に記載の保持器と、内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配される前記転動体としての玉とを備える玉軸受。
  7. 前記保持器のポケットの内面形状は、外周側が球面であり、内周側が円筒面であることを特徴とする請求項6に記載の玉軸受。
  8. 前記保持器のつの部は、前記環状部の半径方向中心よりも内周側のみに設けられていることを特徴とする請求項6に記載の玉軸受。
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