JP2024037032A - ポリヒドロキシ酪酸共重合体の製造方法およびポリヒドロキシ酪酸共重合体粉体 - Google Patents

ポリヒドロキシ酪酸共重合体の製造方法およびポリヒドロキシ酪酸共重合体粉体 Download PDF

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Abstract

【課題】遠心分離の際のPHB共重合体粒子の不可逆性の凝集を抑制し、かつ、含有窒素量の低いPHB共重合体を得る製造方法を提供する。【解決手段】PHB共重合体を製造する方法であり、PHB共重合体は、3HB単位/3HB単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の組成比が80/20~88/12(mol/mol)であり、(a)PHB共重合体を含有する菌体を含む培養液に、アルカリ性タンパク質分解酵素を添加して、菌体を酵素処理する工程、(b)アルカリ水溶液を添加してpHを10.0~12.0に調整し、界面活性剤を添加する工程、(c)水性懸濁液を遠心分離し、PHB共重合体水性懸濁液を回収する工程、(d)グルコシダーゼを添加して、水性懸濁液を酵素処理する工程、および(g)水性懸濁液をデッドエンドろ過する工程、を含む、製造方法。【選択図】なし

Description

本発明はポリヒドロキシ酪酸共重合体の製造方法およびポリヒドロキシ酪酸共重合体粉体に関する。
ポリヒドロキシ酪酸共重合体(以下、「PHB共重合体」)は、生分解性を有することが知られている。
微生物が生成するPHB共重合体は、微生物の菌体内に蓄積されるため、PHB共重合体をプラスチックとして利用するためには、微生物の菌体内からPHB共重合体を分離・精製する工程が必要となる。PHB共重合体を分離・精製する工程では、PHB共重合体以外の生物由来成分を可溶化した後、得られた水性懸濁液からPHB共重合体を取り出す。このとき、例えば、遠心分離、ろ過、乾燥等の分離操作が行われる。乾燥としては、例えば、噴霧乾燥機、流動層乾燥機、ドラムドライヤー等が用いられるが、操作が簡便であることから、好ましくは、噴霧乾燥機が用いられる。
このようなPHB共重合体の製造方法の一例として、特許文献1には、PHBを含有する菌体を含む培養液のpHを調整し、培養液に酵素を添加して酵素処理した後に、液を遠心分離することが記載されている。
国際公開第2022/113530A1
しかしながら、PHB共重合体の中でも、特定の組成を有するPHB共重合の精製については、改善の余地があった。
そこで、本発明の目的は、遠心分離の際のPHB共重合体粒子の不可逆性の凝集を抑制し、かつ、含有窒素量の低いPHB共重合体を得る製造方法、および含有窒素量の低いPHB共重合体粉体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のPHB共重合体の製造工程において、従来技術では遠心分離の前に行っていた溶菌するための酵素処理工程を、遠心分離の後に行うことにより、遠心分離の際のPHB共重合体粒子の不可逆性の凝集を抑制し、含有窒素量が低いPHB共重合体を簡便に製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明の一態様は、PHB共重合体を製造する方法であって、前記PHB共重合体は、3-ヒドロキシブチレート(3HB)単位/3-ヒドロキシブチレート(3HB)単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の組成比が80/20~88/12(mol/mol)であり、(a)前記PHB共重合体を含有する菌体を含む培養液に、アルカリ性タンパク質分解酵素を添加して、前記菌体を酵素処理する工程、(b)前記工程(a)で得られた培養液にアルカリ水溶液を添加してpHを10.0~12.0に調整し、該調整前、該調整と同時、または該調整後のいずれかにおいて界面活性剤を添加する工程、(c)前記工程(b)で得られた界面活性剤添加後の水性懸濁液を遠心分離し、PHB共重合体水性懸濁液を回収する工程、(d)前記工程(c)で得られた水性懸濁液にグルコシダーゼを添加して、前記水性懸濁液を酵素処理する工程、および(g)前記工程(d)で得られた水性懸濁液をデッドエンドろ過する工程、を含む、PHB共重合体の製造方法(以下、「本製造方法」と称する。)である。以下において、「3-ヒドロキシブチレート」は、「3HB」と称する場合がある。
また、本発明の一態様は、PHB共重合体と、窒素化合物と、を含み、分散剤の含有量が0~50ppmであり、前記PHB共重合体が、3HB単位/3HB単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の組成比が80/20~88/12(mol/mol)であり、前記PHB共重合体中の全窒素量が100~620ppmである、PHB共重合体粉体(以下、「本PHB共重合体粉体」と称する。)である。
本発明の一態様によれば、遠心分離の際のPHB共重合体粒子の不可逆性の凝集を抑制し、かつ、含有窒素量の低いPHB共重合体を得る製造方法、および含有窒素量の低いPHB共重合体粉体を提供することができる。
本発明の実施の一形態について、以下に詳細に説明する。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。また、本明細書中に記載された文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。
〔1.本発明の概要〕
従来、PHB共重合体である、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(P3HB3HH)の精製において、純度の高い(含有窒素量の低い)P3HB3HHを得るために、溶菌酵素処理を行っていた(特許文献1)。また、前記溶菌酵素処理後に、分解された菌体細胞壁を除去するために、遠心分離を行っていた。しかしながら、上述のような従来技術は、特定のPHB共重合体の精製に適用した場合には、PHB共重合体粒子が遠心分離の際に不可逆性の凝集化を起こし、純度の高い(含有窒素量の低い)PHB共重合体が得られない場合がある、という問題があることを、本発明者は見出した。また、遠心分離の際の不可逆性の凝集化を起こした凝集体は、例えば、ディスクスタック型遠心分離機のノズル孔を閉塞させてしまうために、操作不可能となる、という問題も挙げられる。
そこで、本発明者は、本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のPHB共重合体(具体的には、3HB単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の組成比が高いPHB共重合体)の製造工程において、従来技術では遠心分離の前に行っていたグルコシダーゼ酵素処理工程を、遠心分離の後に行い、ろ過脱水することで、遠心分離の際に不可逆性の凝集化が発生することを抑制でき、かつ、含有窒素量が低いPHB共重合体を簡便に製造し得ることを見出すことに成功した。
本製造方法によれば、3HB単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の組成比が高いPHB共重合体において、含有窒素量の低いPHB共重合体を得ることができる。また、ろ過脱水により含水率の低い湿潤粉体を得ることができるので、効率的に含有窒素量の低いPHB共重合体を得る製造方法を提供することができる。
また、上述したような構成によれば、プラスチックゴミの発生量を低減でき、これにより、例えば、目標12「持続可能な消費生産形態を確保する」や目標14「持続可能な開発のために、海・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」等の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献できる。以下、本製造方法の構成について詳説する。
〔2.PHB共重合体の製造方法〕
本製造方法は、下記の工程(a)~工程(d)および工程(g)を必須の工程として含む方法である。また、本製造方法におけるPHB共重合体は、3HB単位/3HB単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の組成比が80/20~88/12(mol/mol)である。
・工程(a):PHB共重合体を含有する菌体を含む培養液に、アルカリ性タンパク質分解酵素を添加して、前記菌体を酵素処理する工程
・工程(b):前記工程(a)で得られた培養液にアルカリ水溶液を添加してpHを10.0~12.0に調整し、該調整前、該調整と同時、または該調整後のいずれかにおいて界面活性剤を添加する工程
・工程(c):前記工程(b)で得られた界面活性剤添加後の水性懸濁液を遠心分離し、PHB共重合体水性懸濁液を回収する工程
・工程(d):前記工程(c)で得られた水性懸濁液にグルコシダーゼを添加して、前記水性懸濁液を酵素処理する工程、および
・工程(g):前記工程(d)で得られた水性懸濁液をデッドエンドろ過する工程
また、本発明の一実施形態において、本製造方法は、上記工程(a)~工程(d)および工程(g)に加えて、以下の工程の少なくとも一つを含むことが好ましい。
・工程(e):前記工程(d)で得られた水性懸濁液にアルカリ性タンパク質分解酵素を添加して、前記水性懸濁液を酵素処理する工程
・工程(f):前記工程(d)で得られた水性懸濁液、または前記工程(e)で得られた水性懸濁液のpHを3.0~5.0に調整する工程
・工程(h):前記工程(g)の途中のポリヒドロキシ酪酸共重合体、または前記工程(g)で得られたポリヒドロキシ酪酸共重合体を洗浄する工程
・工程(i):前記工程(h)で得られたポリヒドロキシ酪酸共重合体を脱水および/または乾燥する工程
本製造方法において、上記の各工程は、工程(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)の順に行われることが好ましいが、目的に応じて、適宜順番を入れ替えることも可能である。
本製造方法により、最終的に、不可逆性のPHB共重合体の凝集体が得られる。
本発明の一実施形態において、PHB共重合体を含む水性懸濁液では、PHB共重合体は水性媒体中に分散した状態で存在している。本明細書では、少なくともPHB共重合体を含む水性懸濁液を、「PHB共重合体水性懸濁液」と略して表記する場合がある。
<工程(a)>
工程(a)は、PHB共重合体を含有する菌体を含む培養液に、アルカリ性タンパク質分解酵素を添加して、前記菌体を酵素処理する工程である。
(PHB共重合体)
本製造方法におけるPHB共重合体は、3HBと3HB以外のヒドロキシアルカノエートとの共重合体である。
3HB以外のヒドロキシアルカノエートとしては、例えば、3-ヒドロキシヘキサノエート)(3HH)、3-ヒドロキシバリレート(3HV)、4-ヒドロキシブチレート(4HB)、3-ヒドロキシオクタノエート(3HO)、3-ヒドロキシオクタデカノエート(3HOD)、3-ヒドロキシデカノエート(3HD)等が挙げられる。
PHB共重合体として、例えば、P3HB3HHを好ましく例示し得るが、これに限定されない。以下では、説明の便宜上、主として、P3HB3HHを代表例として説明する。
P3HB3HHは、3HBと3HHとの繰り返し単位の組成比を変えることで、融点、結晶化度を変化させ、結果として、ヤング率、耐熱性等の物性を変化させることができ、ポリプロピレンとポリエチレンとの間の物性を付与することが可能である。
本製造方法におけるPHB共重合体は、3HB単位/3HB単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の組成比が80/20~88/12(mol/mol)であり、81/19~87/13(mo1/mo1)であることが好ましく、82/18~86/14(mo1/mo1)であることがより好ましい。3HB単位/3HB単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の組成比が、88/12(mol/mol)以下であると、十分な硬度が得られ、80/20(mol/mol)以上であると、十分な柔軟性が得られる。
本発明の一実施形態において、PHB共重合体の重量平均分子量(以下、「Mw」と称する場合がある。)は、特に限定されないが、15万~80万が好ましく、20万~70万がより好ましく、25万~60万がさらに好ましい。重量平均分子量が15万以上であると、十分な機械物性等が得られ、80万以下であると、十分な結晶化速度が得られ、良好な成形加工性が達成される。P3HB系樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(昭和電工製「Shodex GPC-101」)によって、カラムにポリスチレンゲル(昭和電工製「Shodex K-804」)を用い、クロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算した場合の分子量として求めることができる。
(菌体)
工程(a)で用いられる菌体は、細胞内にPHB共重合体を生成し得る微生物である限り、特に限定されない。例えば、天然から単離された微生物および菌株の寄託機関(例えば、IFO、ATCC等)に寄託されている微生物、またはそれらから調製し得る変異体および形質転換体等を使用できる。例えば、PHB共重合体の一例であるP3HBを生成する菌体としては、1925年に発見されたBacillus megateriumが最初で、他にもカプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)(旧分類:アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)、ラルストニア・ユートロフア(Ralstonia eutropha))、アルカリゲネス・ラタス(Alcaligenes latus)等の天然微生物が挙げられる。これらの微生物ではPHB共重合体が菌体内に蓄積されることが知られている。
また、PHB共重合体の一例である、ヒドロキシブチレートとその他のヒドロキシアルカノエートとの共重合体を生成する菌体としては、P3HB3HVおよびP3HB3HH生産菌であるアエロモナス・キヤビエ(Aeromonas caviae)、P3HB4HB生産菌であるアルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)等が挙げられる。特に、P3HB3HHに関し、P3HB3HHの生産性を上げるために、PHB共重合体合成酵素群の遺伝子を導入したアルカリゲネス・ユートロファス AC32株(Alcaligenes eutrophus AC32, FERM BP-6038)(T.Fukui,Y.Doi,J.Bateriol.,179,p4821-4830(1997))等がより好ましい。また、菌体は、上記以外にも、生産したいPHB共重合体に合わせて、各種PHB共重合体合成関連遺伝子を導入した遺伝子組換え微生物であっても良い。
また、PHB共重合体は、例えば、国際公開第2010/013483号公報に記載された方法によっても製造され得る。
(アルカリ性タンパク質分解酵素)
本明細書において、「アルカリ性タンパク質分解酵素」とは、アルカリ環境下(例えばpH8.5の溶液中)でタンパク質を分解する活性を有するタンパク質分解酵素を意図する。
本発明の一実施形態において、アルカリ性タンパク質分解酵素は、アルカリ環境下でタンパク質を分解する活性を有する限り特に限定されず、例えば、セリン特異的タンパク質分解酵素(例えば、サブチリシン、キモトリプシン)、システイン特異的タンパク質分解酵素(例えば、パパイン、ブロメライン)等が挙げられる。汎用性・経済性の観点から、セリン特異的タンパク質分解酵素、とりわけ、サブチリシンを含むアルカラーゼが好ましい。これらの1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
アルカリ性タンパク質分解酵素としては、市販品を用いることもでき、例えば、Novozyme社製「アルカラーゼ」および「エスペラーゼ」;天野エンザイム株式会社社製「プロチンSD-AY10」および「プロテアーゼP「アマノ」3SD」;ダニスコジャパン株式会社製「マルチフェクトPR6L」および「オプチマーゼPR89L」;新日本化学工業株式会社製「スミチームMP」;ディー・エス・エムジャパン株式会社製「デルボラーゼ」;ナガセケムテックス株式会社製「ビオプラーゼOP」、「ビオプラーゼSP-20FG」および「ビオプラーゼSP-4FG」;HBI株式会社製「オリエンターゼ22BF」;ヤクルト薬品工業株式会社製「アロアーゼXA-10」等が挙げられる。
工程(a)において、アルカリ性タンパク質分解酵素による菌体の酵素処理を行う際には、使用するアルカリ性タンパク質分解酵素の至適pHおよび至適温度に合わせて前記培養液のpHおよび温度を調整することが好ましい。また、工程(a)におけるpHは、工程(b)でアルカリ水溶液の添加により調整されるpHよりも低いpHであることが好ましい。前記培養液のpHおよび温度の調整方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
本発明の一実施形態において、アルカリ性タンパク質分解酵素の至適pHは、当該アルカリ性タンパク質分解酵素がアルカリ環境下で活性を有する限り特に限定されないが、例えば8.0~12.0であり、好ましくは8.0~11.0であり、より好ましくは8.0~10.0であり、さらに好ましくは8.0~9.0であり、最も好ましくは8.5である。
本発明の一実施形態において、アルカリ性タンパク質分解酵素の至適温度は、特に限定されないが、過度の加温を必要とせず、PHB共重合体の熱変化(熱分解)を防ぐことができるとの観点から、70℃以下が好ましく、60℃以下がさらに好ましい。至適温度の下限は、特に限定されないが、過度の冷却操作が必要なく、経済的であるとの観点から、室温(例えば、25℃)以上であることが好ましい。
本発明の一実施形態において、アルカリ性タンパク質分解酵素の添加量は、特に限定されないが、例えば、0.05~1.0phrであり、0.1~0.5phrが好ましく、0.15~0.3phrがより好ましい。アルカリ性タンパク質分解酵素の添加量が、上記の範囲であれば、適度に菌体を分解することができる。
工程(a)は、アルカリ性タンパク質分解酵素と同時に、グルコシダーゼを実質的に添加しないことが好ましい。本明細書において、「グルコシダーゼ」とは、菌体の細胞壁(例えば、ペプチドグリカン)を分解する(溶菌する)活性を有する酵素を意図する。また、本明細書において、「グルコシダーゼを実質的に添加しない」とは、グルコシダーゼを0.0005phr以下で添加することを意図し、0phrであってもよい。グルコシダーゼとしては、上記の定義の範囲に含まれるものであれば特に限定されないが、例えば、リゾチーム、ラビアー、β-N-アセチルグルコサミニダーゼ、エンドリシン、オートリシン等が挙げられる。
工程(a)において、PHB共重合体を含有する菌体は、不活化されていることが好ましい。不活化の方法は特に限定されないが、例えば、実施例に記載するように、PHB共重合体を含有する菌体を含む培養液を、60~70℃で7時間、加熱および攪拌処理する方法が挙げられる。加熱および攪拌処理後の培養液は、さらに、工程(a)に適した温度まで、冷却されることが好ましい。
<工程(b)>
工程(b)は、前記工程(a)で得られた培養液にアルカリ水溶液を添加してpHを10.0~12.0に調整し、該調整前、該調整と同時、または該調整後のいずれかにおいて界面活性剤を添加する工程である。
工程(b)は、下記の工程(b1)および工程(b2)を含む。
・工程(b1):前記工程(a)で得られた培養液にアルカリ水溶液を添加してpHを10.0~12.0に調整する工程
・工程(b2):界面活性剤を添加する工程
(工程(b1))
工程(b1)は、上述の通り、前記工程(a)で得られた培養液にアルカリ水溶液を添加してpHを10.0~12.0に調整する工程である。当該工程によれば、菌体由来の不純物(核酸、タンパク質等)を分散および溶解することで、高純度のPHB共重合体を菌体から分離することができる。
本発明の一実施形態において、アルカリ水溶液は、塩基性化合物を含む水溶液である。アルカリ水溶液に含まれる塩基性化合物としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の金属炭酸塩;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム等の金属リン酸塩または金属リン酸水素塩等が挙げられる。
本発明の一実施形態において、アルカリ水溶液に含まれる塩基性化合物は、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。塩基性化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
工程(b1)において、アルカリ水溶液を添加することにより、pHを10.0~12.0に調整することが好ましく、pHを10.2~11.8に調整することがより好ましく、10.4~11.6に調整することがさらに好ましい。pHを10.0以上に調整することで、菌体成分の分解および溶解ができるという利点を有する。また、pHを12.0以下に調整することで、意図しない菌体の損傷を防ぐことができる。
工程(b1)における温度は、100℃未満であることが好ましく、80℃未満であることがより好ましい。下限は特に限定されないが、例えば、40℃以上であることが好ましい。
(工程(b2))
工程(b2)は、前記工程(a)で得られた培養液に界面活性剤を添加する工程である。当該工程によれば、特に細胞膜を効率的に処理することができ、前記菌体由来の不純物をより多く除去できるため、より高純度のPHB共重合体を菌体から分離することができる。
本発明の一実施形態において、界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤等が挙げられる。このうち、細胞膜の除去能力が高いとの観点から、陰イオン界面活性が好ましい。これらの1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルケニル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸エステル塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、α-スルホ脂肪酸塩のエステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N-アシルアミノ酸型界面活性剤等が挙げられる。この中でも、アルキル硫酸エステル塩が好ましく、細胞膜の除去能力が高く、安価であるとの観点から、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が特に好ましい。これらの1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
工程(b2)において、添加する界面活性剤の量は特に限定されず、前記培養液に対して、例えば、0.1~5.0重量%であり、0.3~2.5重量%が好ましい。
工程(b2)は、工程(b1)の前に行ってもよいし、同時に行ってもよいし、後に行ってもよい。好ましくは、工程(b2)は、工程(b1)の前に行われる。
本発明の一実施形態において、分散剤は、環境問題の観点から、生分解性を有する物質であることが好ましい。
本製造方法の工程(b)により得られるPHB共重合体水性懸濁液におけるPHB共重合体の体積メジアン径(以下、単に「PHB共重合体の体積メジアン径」と称する場合もある。)は、当該PHB共重合体の一次粒子の体積メジアン径(以下、「一次粒子径」と称する。)の30倍以下が好ましく、20倍以下がより好ましく、10倍以下がさらに好ましい。PHB共重合体の体積メジアン径が一次粒子径の30倍以下であることにより、PHB共重合体水性懸濁液がより優れた流動性を示すため、その後の工程(c)を高効率で実施することができ、PHB共重合体の生産性が一層向上する傾向がある。PHB共重合体の体積メジアン径は、例えば、HORIBA製レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-950を用いて測定される。
なお、上記のPHB共重合体の体積メジアン径は、PHB共重合体水性懸濁液におけるPHB共重合体の分散状態の指標とすることができる。上記のPHB共重合体の体積メジアン径を調整する方法は、特に限定されず、公知の手段(攪拌等)を適用できる。例えば、酸性条件下に曝される等して分散状態が崩れてしまったPHB共重合体水性懸濁液に対して、当業者が考え得る物理的処理、化学的処理、生物学的処理等を施し、PHB共重合体水性懸濁液におけるPHB共重合体を再度分散状態(例えば、上記のPHB共重合体の体積メジアン径を有する状態)に復帰させることもできる。
<工程(c)>
本製造方法における工程(c)では、工程(b)で得られた界面活性剤添加後の水性懸濁液を遠心分離し、PHB共重合体水性懸濁液を回収する。工程(c)後のPHB共重合体水性懸濁液中には、まだ菌体由来の不純物(細胞壁、タンパク質等)が含まれている。
工程(c)において、PHB共重合体水性懸濁液の回収は、当技術分野で公知である任意の遠心分離法により行われる。遠心分離の方法は、特に限定されないが、例えば、遠心沈降機、遠心脱水機等を用いた遠心分離が挙げられる。
工程(c)において、前記水性懸濁液を遠心分離し、上清を除去した後、沈降物に溶液を添加し、再度遠心分離および上清を除去する工程を繰り返し行うことが好ましい。この操作により、より濃縮および精製されたPHB共重合体水性懸濁液を得ることができる。ここで、上清を除去した後に添加する溶液は、前記培養液と同じpHに調整されたアルカリ水溶液であることが好ましい。
遠心沈降機としては、例えば、分離板型(例えば、ディスク型、セルフクリーニング型、ノズル型、スクリューデカンター型、スキミング型等)、円筒型、デカンター型の遠心沈降機が挙げられる。それぞれ沈降成分の排出の方法により、回文式と連続式がある。また遠心脱水機についても回文式と連続式とが挙げられる。これらの機器を用いることにより、比重差により、PHBを含む沈降物と、培養液成分とを分離することが可能である。
工程(c)において、PHB共重合体水性懸濁液を構成する溶媒(「溶媒」は、「水性媒体」とも称する。)は、特に限定されず、水、または水と有機溶媒との混合溶媒であってもよい。また、当該混合溶媒において、有機溶媒の濃度は、使用する有機溶媒の水への溶解度以下であれば特に限定されない。また、有機溶媒は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、iso-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジメチルホルムアミド、アセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド、ピリジン、ピペリジン等が挙げられる。中でも、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、iso-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル等が、除去しやすい点から好ましい。また、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、アセトン等が、入手容易であることからより好ましい。さらに、メタノール、エタノール、アセトンが、特に好ましい。
PHB共重合体水性懸濁液を構成する水性媒体中の水の含有量は、5重量%以上が好ましく、より好ましくは、10重量%以上であり、さらに好ましくは、30重量%以上であり、特に好ましくは、50重量%以上である。
なお、工程(c)におけるPHB共重合体水性懸濁液体は、本発明の本質を損なわない限り、他の溶媒、菌体由来の成分、精製時に発生する化合物等を含んでいても構わない。
<工程(d)>
本製造方法における工程(d)では、工程(c)で得られた水性懸濁液にグルコシダーゼを添加して、水性懸濁液を酵素処理する。
工程(d)では、前記工程(c)で得られたPHB共重合体水性懸濁液にグルコシダーゼを添加する前に、水を添加して、水性懸濁液の固形分濃度を調整してもよい。この時の水性懸濁液の固形分濃度は、好ましくは、10~40重量%であり、より好ましくは、20~40重量%である。水性懸濁液の固形分濃度が上記範囲内であると、水性懸濁液の濃度が高すぎず、グルコシダーゼと均一に混合される。
また、PHB共重合体水性懸濁液は、グルコシダーゼを添加する前に、pHが調整されてもよい。この場合の調整方法は、特に限定されず、例えば、酸を添加する方法等が挙げられる。酸は特に限定されず、有機酸、無機酸のいずれでもよく、揮発性の有無は問わない。より具体的には、酸としては、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸等が使用できる。
添加するグルコシダーゼの種類は特に限定されないが、工程(a)についての説明にて記載したグルコシダーゼであってもよい。
なお、工程(d)の前には、水性懸濁液を噴霧乾燥する工程を実施しないことが好ましい。すなわち、本発明の一実施形態に係るポリヒドロキシ酪酸共重合体の製造方法において、工程(d)の前において、水性懸濁液を噴霧乾燥する工程を行わないことが好ましい。ここで、噴霧乾燥は、後述する工程(i)についての説明にて記載した乾燥方法であってもよい。工程(d)の前に、水性懸濁液を噴霧乾燥しないことによって、PHB共重合体粒子が、不可逆的に凝集することを抑制することができる。
<工程(g)>
本製造方法における工程(g)では、工程(d)で得られた水性懸濁液をデッドエンドろ過する。デッドエンドろ過は、通気度が0.01~5.0cm/cm/secであるろ材を用いて行われることが好ましい。本明細書では、1秒あたりにろ材の単位面積(cm)を通過する空気量(cm)を通気度と称する。通気度が上記の範囲内であると、ろ液へのPHBの漏洩率が低いという利点を有する。
工程(g)で使用されるろ材としては、特に限定されないが、例えば、紙、ろ布(織布、不織布)、スクリーン、焼結板、素焼、高分子膜、パンチングメタル、ウェッジワイヤー等、種々の素材から選択可能である。価格、洗浄の容易さの観点から、好ましくは、ろ布が使用される。
工程(g)におけるろ過の方法は、デッドエンドろ過であればよく、特に限定されないが、例えば、吸引ろ過、加圧ろ過、遠心ろ過、重力式ろ過等が挙げられる。中でも、機器の大きさの観点から、好ましくは、吸引ろ過、加圧ろ過、遠心ろ過が用いられる。更に、構造の容易さから、より好ましくは、吸引ろ過、加圧ろ過が用いられる。
また、工程(g)で使用されるろ材としては、特に限定されないが、例えば、紙、ろ布(織布、不織布)、スクリーン、焼結板、素焼、高分子膜、パンチングメタル、ウェッジワイヤー等、種々の素材から選択可能である。価格、洗浄の容易さの観点から、好ましくは、ろ布が使用される。
本製造方法における工程(g)の前に、PHB共重合体水性懸濁液中のPHBは、不可逆性の凝集体となっている。すなわち、工程(g)に供されるPHB共重合体水性懸濁液中のPHBは、不可逆性の凝集体である。工程(g)に供されるPHB共重合体水性懸濁液中のPHBが不可逆性の凝集体であることにより、デッドエンドろ過が可能となる。
<工程(e)>
本製造方法における工程(e)は、工程(d)で得られた水性懸濁液にアルカリ性タンパク質分解酵素を添加して、水性懸濁液を酵素処理する工程である。工程(e)により、菌体由来のタンパク質を分解することができる。
工程(e)におけるアルカリ性タンパク質分解酵素は、工程(a)で用いたアルカリ性タンパク質分解酵素と同じであってもよく、異なっていてもよい。
<工程(f)>
本製造方法における工程(f)は、前記工程(d)で得られた水性懸濁液、または工程(e)で得られた水性懸濁液のpHを3.0~5.0に調整する工程である。
本製造方法の工程(f)に付される前のPHB共重合体水性懸濁液は、通常、工程(e)を経ることにより、7.0を超えるpHを有する。そこで、本製造方法の工程(f)により、上記PHB共重合体水性懸濁液のpHを3.0~5.0に調整する。その調製方法は、特に限定されず、例えば、酸を添加する方法が挙げられる。酸は、特に限定されず、有機酸、無機酸のいずれでもよく、揮発性の有無は問わない。より具体的には、酸としては、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸等が使用できる。
PHB共重合体水性懸濁液のpHが3.0~5.0であることによって、加熱溶融時の着色が低減され、加熱時および/または乾燥時の分子量低下が抑制されたPHB共重合体が得られる。
<分散剤>
本発明の一実施形態における前記水性懸濁液は、分散剤を含有していてもよい。すなわち、本発明の一実施形態における前記工程(f)は、PHB共重合体に加えて、分散剤をさらに含む水性懸濁液を調製する工程であってもよい。本発明の一実施形態において、前記分散剤を使用する場合は、pH7.0以下になるように調整する前に、前記分散剤を前記PHB共重合体水性懸濁液に添加することが好ましい。本発明の一実施形態における前記PHB共重合体水性懸濁液が、分散剤を含有することによって、PHB共重合体の生産性および熱安定性を好適に向上させることができる。
分散剤としては、特に限定されず、例えば、国際公開第2022/091685号公報に記載のものが挙げられる。
本製造方法の工程(f)における水性懸濁液に対する前記分散剤の添加量は、特に限定されないが、水性懸濁液に含まれる前記PHB共重合体の合計100重量部に対して、0~0.05重量部が好ましく、0~0.02重量部がより好ましく、0~0.01重量部がさらに好ましい。前記分散剤の添加量を上記の範囲とすることにより、PHB共重合体水性懸濁液におけるPHB共重合体の分散安定性がより向上する。また、前記分散剤の添加量を上記の範囲とすることにより、最終生成物であるPHB共重合体の純度が向上する。
<工程(h)>
工程(h)は、工程(g)の途中のPHB共重合体粉体、または工程(g)で得られたPHB共重合体粉体を洗浄する工程である。工程(h)は、前記工程(g)の途中または工程(g)の後で行われてよい。
工程(h)は、工程(g)におけるデッドエンドろ過を行っている途中において、例えば、イオン交換水を通水することで行われてもよい。また、工程(h)は、工程(g)のデッドエンドろ過後のろ過ケーキに対して、1次圧搾を実施した後、イオン交換水の通水することで行われてもよい。イオン交換水は、ろ液のpHが4.5~5.5の範囲になるまで通水できる。また、イオン交換水の通水の後、さらに2次圧搾を行ってもよい。圧搾工程では、圧搾によりPHAケーキを絞り、PHAケーキから水分を絞り出す。
1次圧搾および2次圧搾の圧力は、0.2~1.0MPaが好ましく、0.25~0.9MPaがより好ましく、0.3~0.8MPaがさらに好ましい。圧搾の圧力が0.2~1.0MPaであることにより、少ない洗浄水でもPHAろ過ケーキを良好に洗浄できる。
また、圧搾工程の後に、エアブロー工程を含んでもよい。エアブロー工程では、前記PHAケーキからエアブロー空気により水を押し出す。圧搾工程およびエアブロー工程の二段階の脱水工程を経ることにより、含水率の低いPHA凝集塊を得ることができる。
エアブロー工程におけるエアブロー圧力は、特に限定されないが、例えば、0.01~1.5Mpaであり、0.05~1.3Mpaであることが好ましく、0.10~1.0Mpaであることがより好ましい。エアブロー圧力が上記の範囲内であると、PHA凝集
塊の含水率が低下するという利点を有する。
また、工程(h)は、前記工程(g)で得られたPHB共重合体粉体を所定の濃度になるように純水に分散させて分散スラリーを調製した後、アルカリ水溶液を加えて、該分散スラリーpHを調整し、該分散スラリーをアルカリ性タンパク質分解酵素および/またはグルコシダーゼを含む洗浄液と共に撹拌することで行われてもよい。
<工程(i)>
工程(i)は、前記工程(h)で得られたPHB粉体を脱水および/または乾燥する工程である。脱水は、例えば、遠心分離、ろ過脱水等で行うことができる。乾燥には、例えば、噴霧乾燥機、流動層乾燥機、ドラムドライヤー等が用いられるが、操作が簡便であることから、好ましくは、ドラムドライヤーが用いられる。
ドラムドライヤーを用いた乾燥方法としては、例えば、PHB共重合体湿潤粉体をドラムドライヤーに供給し、当該乾燥機内で100~140℃のロールと接触させることで乾燥させる。
また、噴霧乾燥の方法としては、例えば、PHB共重合体水性懸濁液を微細な液滴の状態として乾燥機内に供給し、当該乾燥機内で熱風と接触させながら乾燥する方法等が挙げられる。PHB共重合体水性懸濁液を微細な液滴の状態で乾燥機内に供給する方法(アトマイザー)は、特に限定されず、回転ディスクを用いる方法、ノズルを用いる方法等の公知の方法が挙げられる。乾燥機内における液滴と熱風の接触方式は、特に限定されず、並流式、向流式、これらを併用する方式等が挙げられる。
〔3.PHB共重合体粉体〕
本発明の一実施形態に係るPHB共重合体粉体は、PHB共重合体と、窒素化合物と、を含み、分散剤の含有量が0~50ppmであり、PHB共重合体が、3-ヒドロキシブチレート単位/3-ヒドロキシブチレート単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の組成比が80/20~88/12(mol/mol)である。また、本PHB共重合体粉体は、PHB共重合体中の全窒素量が100~620ppmである。本PHB共重合体粉体は、3-ヒドロキシブチレート単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の組成比が高いPHB共重合体であるとともに、かつ、含有窒素量が低く、純度が高いため、種々の分野において極めて有用である。
本明細書において、「窒素化合物」とは、少なくとも窒素を含有する化合物を意味する。窒素化合物は、PHB共重合体粉体に残存するタンパク質や細胞壁の成分であるペプチドグリカンの分解物である。
本実施形態において、「PHB共重合体」、「窒素化合物」、および「分散剤」については、上記したものが援用される。
本PHB共重合体粉体は、窒素化合物を含む。本PHB共重合体粉体中の全窒素量は、PHB共重合体粉体を構成するPHB共重合体100重量部に対して、100~620ppmであること好ましく、100~550ppmであることがより好ましく、100~500ppmであることがさらに好ましい。全窒素量を上記範囲とすることにより、PHB共重合体粉体の純度が向上する傾向がある。本PHB共重合体粉体中の全窒素量は、実施例に記載の方法により測定される。
また、本PHB共重合体粉体に含まれる分散剤の含有量は、0~50ppmであり、0~30ppmであることが好ましく、0~10ppmであることがより好ましい。分散剤の含有量が、上記範囲であることにより、PHB共重合体粉体の純度が向上する。
本発明の一実施形態において、本PHB共重合体粉体は、上記した本製造方法(例えば、工程(a)~(d)および工程(g))により製造される。
本PHB共重合体粉体は、紙、フィルム、シート、チューブ、板、棒、容器(例えば、ボトル容器等)、袋、部品等、種々の用途に利用できる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
すなわち、本発明の一実施形態は、以下である。
<1>ポリヒドロキシ酪酸共重合体を製造する方法であって、
前記ポリヒドロキシ酪酸共重合体は、3-ヒドロキシブチレート単位/3-ヒドロキシブチレート単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の組成比が80/20~88/12(mol/mol)であり、
(a)前記ポリヒドロキシ酪酸共重合体を含有する菌体を含む培養液に、アルカリ性タンパク質分解酵素を添加して、前記菌体を酵素処理する工程、
(b)前記工程(a)で得られた培養液にアルカリ水溶液を添加してpHを10.0~12.0に調整し、該調整前、該調整と同時、または該調整後のいずれかにおいて界面活性剤を添加する工程、
(c)前記工程(b)で得られた界面活性剤添加後の水性懸濁液を遠心分離し、ポリヒドロキシ酪酸共重合体水性懸濁液を回収する工程、
(d)前記工程(c)で得られた水性懸濁液にグルコシダーゼを添加して、前記水性懸濁液を酵素処理する工程、および
(g)前記工程(d)で得られた水性懸濁液をデッドエンドろ過する工程、
を含む、ポリヒドロキシ酪酸共重合体の製造方法。
<2>前記工程(d)の後に、
(e)前記工程(d)で得られた水性懸濁液にアルカリ性タンパク質分解酵素を添加して、前記水性懸濁液を酵素処理する工程
をさらに含む、<1>に記載のポリヒドロキシ酪酸共重合体の製造方法。
<3>前記工程(e)の後に、
(f)<1>に記載の工程(d)で得られた水性懸濁液、または<2>に記載の工程(e)で得られた水性懸濁液のpHを3.0~5.0に調整する工程
をさらに含む、<1>または<2>に記載のポリヒドロキシ酪酸共重合体の製造方法。
<4>(h)前記工程(g)の途中のポリヒドロキシ酪酸共重合体、または前記工程(g)で得られたポリヒドロキシ酪酸共重合体を洗浄する工程、および
(i)前記工程(h)で得られたポリヒドロキシ酪酸共重合体を脱水および/または乾燥する工程、
をさらに含む、<1>~<3>のいずれかに記載のポリヒドロキシ酪酸共重合体の製造方法。
<5>前記工程(d)の前に、水性懸濁液を噴霧乾燥する工程を実施しない、
<1>~<4>のいずれかに記載のポリヒドロキシ酪酸共重合体の製造方法。
<6>ポリヒドロキシ酪酸共重合体と、窒素化合物と、を含み、
分散剤の含有量が0~50ppmであり、
前記ポリヒドロキシ酪酸共重合体が、3-ヒドロキシブチレート単位/3-ヒドロキシブチレート単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の組成比が80/20~88/12(mol/mol)であり、
前記ポリヒドロキシ酪酸共重合体中の全窒素量が100~620ppmである、ポリヒドロキシ酪酸共重合体粉体。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔測定および評価方法〕
実施例および比較例における測定および評価を、以下の方法で行った。
(通気度)
通気度はJISL1096に記載の方法で測定した。具体的には、フラジール型通気性試験機(パーミヤメーターP2 東洋精機製作所株式会社製)を用いて、傾斜型気圧計が125Paを示すように、空気の吸い込み量を調節し、そのときの空気流量を測定した。
(PHBろ過ケーキの含水率)
ろ過後に得られるPHBろ過ケーキを、加熱乾燥式水分計ML-50(株式会社A&D製)を用いて測定した。PHBろ過ケーキを105℃で加熱し、重量変化速度が0.05%(W.B.)/分を下回るまで加熱し、加熱前後の重量変化からPHBろ過ケーキの含水率を割り出した。
(全窒素量測定)
PHB共重合体紛体の全窒素量は、微量全窒素分析装置TN-2100H(日東精工アナリテック社)を用いて測定した。
〔実施例1〕
(菌体培養液の調製)
国際公開第WO2019/142717号に記載のラルストニア・ユートロファを、同文献の段落〔0041〕~〔0048〕に記載の方法で培養し、PHBを含有する菌体を含む菌体培養液を得た。なお、ラルストニア・ユートロファは、現在では、カプリアビダス・ネカトールに分類されている。PHB共重合体の繰り返し単位の組成比(3HB単位/3HB単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の組成比)は80/20~88/12(mol/mol)であった。
(不活化)
前記で得られた菌体培養液を、内温60~70℃で7時間加熱および攪拌処理することにより滅菌処理を行い、不活化培養液を得た。
(粘度低下処理)
前記で得られた不活化培養液に対して、1重量%となるように、35重量%過酸化水素(富士フイルム和光純薬製)を添加した。次いで、30%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを11.0に調整した。溶液を60℃で維持しつつ、30%水酸化ナトリウム水溶液を添加し続けることにより、pHを11.0で180分間維持し、PHB共重合体水性懸濁液を得た。
(酵素処理1)
前記で得られたPHB共重合体水性懸濁液に対し、10%硫酸を添加してpHを8.5に調整した。硫酸を添加したPHB水性懸濁液の固形分濃度を測定したところ、30重量%であった。その後、アルカリ性タンパク質分解酵素であるアルカラーゼ2.5L(Novozyme社製)を、液中濃度が300ppmとなるように添加し、50℃で2時間維持した(工程(a))。
(アルカリ処理)
前記酵素処理液に対して、0.3重量%になるようにドデシル硫酸ナトリウム(SDS、花王製)を添加した(工程(b2))。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pHが11.0±0.2となるように調整した(工程(b1))。次いで、前記酵素処理液を遠心分離(4000G、10分間)した後、上清を除去して2倍濃縮したPHB共重合体水性懸濁液を得た(工程(c))。前記濃縮PHB共重合体水性懸濁液に、除去した上清と同量の水酸化ナトリウムを添加して再度遠心分離(4000G、10分間)して、上清を除去することを4回繰り返した。PHBの体積メジアン径は、2.2μmであった。
(酵素処理2)
得られたPHB共重合体水性懸濁液に水を添加し、水性懸濁液の固形分濃度を15重量%に調整し、10%硫酸を添加してpHを7.0±0.2に調整した。さらに硫酸ナトリウムを7000ppmになるよう添加し、細胞壁中の糖鎖(ペプチドグリカン)を分解する酵素であるリゾチーム(富士フイルム和光純薬製)を、液中濃度が10ppmとなるように添加して、50℃で2時間保持した(工程(d))。その後、アルカリ性タンパク質分解酵素であるアルカラーゼ2.5L(Novozyme社製)を、液中濃度が300ppmとなるように添加し(工程(e))、次いで、50℃で30%水酸化ナトリウムを添加して、pH8.5に調整しながら2時間維持した。
(pH調整)
前記で得られたPHB共重合体水性懸濁液中を60℃で保持した。次いで、10%硫酸を添加してpHを4.0に調整した(工程(f))。液密度は1.01g/mLであった。
(ろ過)
前記PHB共重合体水性懸濁液を63℃のウォーターバスに入れ、液温が60℃になるように加温し、フィルタープレス機(日立造船製)を用いてろ過を行った(工程(g))。ろ布は通気度0.3cm/cm/minのろ布(PJ3、日立造船製)を使用した。ろ過後の1次圧搾を圧力0.4Mpaで実施し、その後イオン交換水を通水した(工程(h))。pHが5.3となったら通水を止め、2次圧搾を圧力0.7Mpaで実施した。その後、エアブロー圧力を0.3Mpaに調整してエアブローを実施した。得られたろ過ケーキの含水率(W.B.)は20.7wt%だった。得られたろ過ケーキを乾燥機(EYELA製、WFO-700)に入れ、60℃で24時間乾燥させ(工程(i))、PHB共重合体粉体を得た。得られたPHB共重合体粉体に含まれる全窒素量は476ppmだった。また、PHB共重合体粉体には、分散剤が含有されていなかった。
〔実施例2〕
酵素処理2において、アルカラーゼを添加しなかった以外は、実施例1と同じ方法でろ過ケーキを得た。すなわち、実施例2においては、工程(d)の後に工程(e)を行わなかった。得られたろ過ケーキの含水率(W.B.)は16.6wt%だった。ろ過ケーキを乾燥させ、PHB共重合体粉体に含まれる全窒素量を測定したところ600ppmだった。また、PHB共重合体粉体には、分散剤が含有されていなかった。
〔比較例1〕
酵素処理2を実施しなかった以外は、実施例1と同じ方法でろ過ケーキを得た。得られたろ過ケーキの含水率(W.B.)は20.2wt%だった。ろ過ケーキを乾燥させ、PHB共重合体粉体に含まれる全窒素量を測定したところ660ppmだった。また、PHB共重合体粉体には、分散剤が含有されていなかった。
(まとめ)
以上より、本製造方法によると、全窒素量の少ない、3HB単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の比率が高いPHB共重合体を簡便に製造できることが分かった。
本発明によれば、3HB単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の組成比が高いPHBを製造することができる。また、本発明の製造方法により得られたPHB共重合体は純度が高いため、農業、漁業、林業、園芸、医学、衛生品、衣料、非衣料、包装、自動車、建材、その他の分野に好適に利用することができる。

Claims (6)

  1. ポリヒドロキシ酪酸共重合体を製造する方法であって、
    前記ポリヒドロキシ酪酸共重合体は、3-ヒドロキシブチレート単位/3-ヒドロキシブチレート単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の組成比が80/20~88/12(mol/mol)であり、
    (a)前記ポリヒドロキシ酪酸共重合体を含有する菌体を含む培養液に、アルカリ性タンパク質分解酵素を添加して、前記菌体を酵素処理する工程、
    (b)前記工程(a)で得られた培養液にアルカリ水溶液を添加してpHを10.0~12.0に調整し、該調整前、該調整と同時、または該調整後のいずれかにおいて界面活性剤を添加する工程、
    (c)前記工程(b)で得られた界面活性剤添加後の水性懸濁液を遠心分離し、ポリヒドロキシ酪酸共重合体水性懸濁液を回収する工程、
    (d)前記工程(c)で得られた水性懸濁液にグルコシダーゼを添加して、前記水性懸濁液を酵素処理する工程、および
    (g)前記工程(d)で得られた水性懸濁液をデッドエンドろ過する工程、
    を含む、ポリヒドロキシ酪酸共重合体の製造方法。
  2. 前記工程(d)の後に、
    (e)前記工程(d)で得られた水性懸濁液にアルカリ性タンパク質分解酵素を添加して、前記水性懸濁液を酵素処理する工程
    をさらに含む、請求項1に記載のポリヒドロキシ酪酸共重合体の製造方法。
  3. 前記工程(g)の前に、
    (f)請求項1に記載の工程(d)で得られた水性懸濁液、または請求項2に記載の工程(e)で得られた水性懸濁液のpHを3.0~5.0に調整する工程をさらに含む、請求項1または2に記載のポリヒドロキシ酪酸共重合体の製造方法。
  4. (h)前記工程(g)の途中のポリヒドロキシ酪酸共重合体、または前記工程(g)で得られたポリヒドロキシ酪酸共重合体を洗浄する工程、および
    (i)前記工程(h)で得られたポリヒドロキシ酪酸共重合体を脱水および/または乾燥する工程、
    をさらに含む、請求項1に記載のポリヒドロキシ酪酸共重合体の製造方法。
  5. 前記工程(d)の前に、水性懸濁液を噴霧乾燥する工程を実施しない、
    請求項1に記載のポリヒドロキシ酪酸共重合体の製造方法。
  6. ポリヒドロキシ酪酸共重合体と、窒素化合物と、を含み、
    分散剤の含有量が0~50ppmであり、
    前記ポリヒドロキシ酪酸共重合体が、3-ヒドロキシブチレート単位/3-ヒドロキシブチレート単位以外のヒドロキシアルカノエート単位の組成比が80/20~88/12(mol/mol)であり、
    前記ポリヒドロキシ酪酸共重合体中の全窒素量が100~620ppmである、ポリヒドロキシ酪酸共重合体粉体。
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