JP2024035049A - 横架材同士の接合構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】木造建築における横架材同士の接合を容易にする。【解決手段】横架材同士の接合構造70は、木造建築における第1横架材と、該第1横架材に直交する第2横架材の延在方向の端部と、を接合させる横架材同士の接合構造であって、釘N2からなる接合部材が、第1横架材及び第2横架材のうち少なくとも一方の横架材の側面から打ち込まれ、第1横架材と第2横架材とを接合している。【選択図】図17

Description

本発明は、横架材同士の接合構造に関する。
従来、木造建築の横架材の接合に際して、接合部を羽子板ボルトによって補強することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2010-281102号公報
しかしながら、羽子板ボルトの設置には、一方の横架材の側面に配置した羽子板ボルトの先端側を他方の横架材に貫通させ、座金とナットで締め付ける工程が必要になるため、工程数が増え、施工が容易ではないという課題があった。
本発明は上記課題を考慮してなされたものであり、木造建築における横架材同士の接合を容易にすることができる横架材同士の接合構造を提供することを目的とする。
第1の態様に係る横架材同士の接合構造は、木造建築における第1横架材と、該第1横架材に直交する第2横架材の延在方向の端部と、を接合させる横架材同士の接合構造であって、ビス又は釘からなる接合部材が、前記第1横架材及び前記第2横架材のうち少なくとも一方の横架材の一面から打ち込まれ、前記第1横架材と前記第2横架材とを接合している。
第1の態様によれば、羽子板ボルトに替えて、横架材の一面からビス又は釘を打ち込むことにより、横架材同士を接合している。これにより、施工時の工程が簡単なものになり、横架材同士の接合を容易にすることができる。
第2の態様に係る横架材同士の接合構造は、第1の態様に記載の構成において、前記第1横架材と前記第2横架材は、横架材同士を跨いで上面に配置された板状の接合用合板を介して接合されており、前記一面として前記接合用合板と当接した当接面を有し、前記接合用合板及び前記当接面に、複数の前記接合部材が打ち込まれている。
第2の態様によれば、横架材同士を跨いで横架材の上面に板状の接合用合板を配置し、各横架材と接合用合板との当接面にビス又は釘を打ち込んで横架材同士を接合させる。このように、接合用合板を介して横架材同士を接合させることにより、横架材同士の接合を容易にすることができる。
また、地震や強風による揺れで横方向の外力が作用した場合に、第1横架材の側面から第2横架材の端部を引き抜く方向の荷重がかかるところ、接合用合板を介して打ち込まれた釘等の接合部材によって横架材同士の相対的な変位が抑制される。この際、各横架材の上方から打ち込まれた接合部材は、横架材同士の横ずれによるせん断力を好適に受け止めることができる。これにより、接合部材が接合用合板と横架材との間で粘り強くかかる荷重に耐え、相対的な変位を抑えることにより、横架材同士を強力に接合することが可能となる。
第3の態様に係る横架材同士の接合構造は、第2の態様に記載の構成において、前記接合用合板は、各々が三角形状をなす一対の三角パネルによって構成され、前記一対の三角パネルは、前記第2横架材の中心線に対して互いの一辺を向かい合わせにし、前記第1横架材と前記第2横架材を跨いで配置されている。
第3の態様によれば、第2横架材の中心線に対して一対の三角パネルが互いの一辺を向かい合わせにし、第1横架材と第2横架材とを跨いで配置されている。そして、一対の三角パネルは、第1横架材及び第2横架材と当接した当接面に複数の釘が打ち込まれることにより第1横架材と第2横架材とを接合している。このように三角パネルを介して横架材同士を接合させることにより、横架材同士の接合を容易にすることができる。また、上述のように、横架材同士を強力に接合することが可能となる。
第4の態様に係る横架材同士の接合構造は、第2の態様又は第3の態様に記載の構成において、前記接合用合板は、前記第1横架材及び前記第2横架材の上面に配置された床板の一部を構成している。
第4の態様によれば、接合用合板として床板の一部を利用することで、床板の下方に接合用合板による段差が生じないため、床板の設置も容易にすることができる。
第5の態様に係る横架材同士の接合構造は、第1の態様に記載の構成において、前記第1横架材は、前記第2横架材の延在方向の端部に当接する第1側面と、該第1側面に対向して配置される前記一面としての第2側面とを有し、前記接合部材は、前記第2側面から第1側面に向かって打ち込まれ、前記第1横架材を貫通して前記第2横架材内に先端部が挿入されている。
第5の態様によれば、第1横架材の第2側面から第1側面に向かってビス又は釘からなる接合部材が打ち込まれ、該接合部材が第1横架材を貫通し、先端部が第2横架材内に挿入される。このようにして、羽子板ボルトに替えて、横架材の側面からビス又は釘を打ち込むことにより、横架材同士を接合している。これにより、施工時の工程が簡単なものになり、横架材同士の接合を容易にすることができる。
また、第1横架材の第2側面から第1側面に向かって打ち込まれるビス又は釘からなる接合部材は、地震や強風による揺れで横架材に横方向の外力が作用した場合に、横架材同士の横ずれによる引張力やせん断力を好適に受け止めることができる。これにより、接合部材が横架材内で粘り強くかかる荷重に耐え、相対的な変位を抑えることにより、横架材同士を強力に接合することが可能となる。
以上説明したように、本発明に係る建物によれば、木造建築における横架材同士の接合を容易にすることができるという優れた効果を奏する。
本実施形態に係る建物の構造であり、1階部分を例として概略的に示す斜視図である。 図1に示す建物の1階部分の室内空間部に配置されるインフィルの一例を示す斜視図である。 本実施形態に係る耐力壁を示す斜視図である。 本実施形態に係る耐力壁の分解斜視図である。 本実施形態に係る耐力壁において、面材を取り付ける前の状態を示す正面図である。 図5のA-A線に沿って切断した状態を示す断面図である。 本実施形態に係る2種の耐力壁を示す正面図である。 図7のB-B線に沿って切断した状態を示す断面図である。 本実施形態に係る柱と第1横架材との接合構造を示す斜視図である。 本実施形態に係る柱と第1横架材とを示す部分分解斜視図である。 (A)は、本実施形態に係るコーナ金具を示す側面図であり、(B)は、正面図である。 (A)は、ほぞ組工程を示す模式図であり、(B)は、コーナ金具取付工程を示す模式図であり、(C)及び(D)は、ビス打ち工程を示す模式図である。 (A)は、柱と第1横架材との接合構造を実施した柱と第1横架材の正面図であり、(B)はその側面図である。 本実施形態に係る第1横架材と第2横架材との接合構造を示す斜視図である。 本実施形態に係る耐力壁の変形例1を示す斜視図である。 本実施形態に係る耐力壁の変形例2を示す正面図である。 本実施形態に係る第1横架材と第2横架材との接合構造の変形例を示す斜視図である。 本実施形態に係る第1横架材と第2横架材との接合構造の変形例を示す斜視図である。 本実施形態に係る第1横架材と第2横架材との接合構造の変形例を示す斜視図である。 本実施形態に係る第1横架材と第2横架材との接合構造の変形例を示す斜視図である。
以下、図1~図16を参照して、本発明の一実施形態に係る建物Hについて説明する。図3~図16では、説明の便宜上、前後上下左右で示す矢印方向を耐力壁10の前後上下左右として説明する。
図1には、建物Hの1階部分の外壁部12が実線にて概略的に示されている。この図に示されるように、建物Hは、外壁部12を構成するスケルトン部14と、スケルトン部14の内側に形成される室内空間部16とで構成される。
外壁部12は、建物の外周に沿って間隔を空けて配置された複数の耐力壁10と、耐力壁10の間に配置される一般壁18とで構成される。一般壁18には、建物の玄関部や窓等を構成するための開口が形成されている。
外壁部12の内側には、室内空間16が形成されている。室内空間16は、耐力壁10、筋交い等の構造壁を含まないで構成されている。室内空間16は、図2に示されるように、室内壁等のインフィル19を配置して複数の居室を形成してもよいし、インフィル19を省略して、大空間を形成してもよい。
建物Hは、木造軸組み工法により建築されており、軸組となる複数の柱と複数の梁を連結させて建物骨格が形成されている。
図3~図8に示されるように、耐力壁10は、基礎1上に固定された第1横架材としての土台2と、土台2の上方に配置された梁3と、基礎1の上方に土台2を介して立設された通柱4と、通柱4から左右方向に離間して設けられ、基礎1上に土台2を介して立設されている管柱5と、通柱4と管柱5の間に設けられ、基礎1上に土台2を介して立設されている間柱6と、二つの縦受材7と、四つの横受材8と、正面視長方形状の平板状に形成され、通柱4及び管柱5の前後方向に一枚ずつ対向配置された構造用合板から成る面材9と、複数の連結部材としての複数のビスN1から主に構成されている。
土台2は、通柱4または管柱5を支持する一対の柱脚金物20と、一対の柱脚金物20の間、又は外側に配置される土台材21,22から主に構成されている。
土台材21,22は、木製であり、前後上下方向の断面形状が矩形を成す梁状に形成されている。土台材21,22は、柱脚金物20と同様にアンカーに固定されており、前後上下端面が柱脚金物20の前後上下端面と略同一平面をなしている。
通柱4及び管柱5(以下、単に「柱4,5」とも称する。)は、上下方向に延在する木製の四角柱(所謂四寸柱)であり、下端部に形成されたスリットに柱脚金物20の立設部20aが挿嵌され、その下端面が柱脚金物20の基部の上面に当接された状態でドリフトピンによって固定されている。
また、柱4,5の上端部は、図示しない接続金具を用いて梁3に固定されている。これにより、一対の柱4,5は、互いに略平行、且つ、土台2及び梁3に略直交して配置され、前後端面が柱脚金物20及び梁3の前後端面と略同一平面をなし、左右端面が柱脚金物20の左右端面と略同一平面をなしている。
図6に示されるように、一対の柱4,5には、左右方向に対向する側端部40,50の前端及び後端に凹部41がそれぞれ形成されている。凹部41は、鉛直方向視で柱4,5の前端及び後端の角部をL型に切り欠いて形成されており、柱4,5の下端部から上端部に亘って切削形成されている。
一対の柱4,5にそれぞれ形成された凹部41は、左右方向に対向して配置される第1側面43,53と、前後方向に面して配置される第2側面42,52とを有している。一対の柱4、5の凹部41において、第2側面42,52同士は同一平面をなしている。また、第2側面42,52の幅(左右方向の寸法)は、第1側面43,53の幅(前後方向の寸法)よりも大きく設定されている。この第2側面42,52の幅は、後述するビスN1の打ち込みにより柱4,5及び面材9の端部の破損が生じない大きさに設定される。
間柱6は、木製の四角柱であり、複数のビスN1によって下端部が土台材21に、上端部が梁3に固定され、前後面60が、柱4,5の前後面と略同一平面をなしている。縦受材7は、木製の四角柱であり、複数の木ネジによって通柱4の側端部40又は管柱5の側端部50に固定され、前後面70が柱4,5の前後面と連続する略同一平面をなしている。横受材8が土台材21に、梁3側の横受材8が梁3に固定され、前後面80が間柱6の前後面60及び各縦受材7の前後面70と連続する略同一平面をなしている。
図7及び図8に示されるように、構造用合板からなる面材9は、ベイマツから形成された合板であり、一対の柱4,5に形成された凹部41の内側に嵌合された後、複数のビス
N1を用いて柱4,5、間柱6、各縦受材7、各横受材8に連結されている。
この状態では、面材9の上下の側辺9T,9Dは、土台材21と梁3に当接している。また、面材9の左右の側辺9L,9Rが凹部41の第1側面43,53に当接している。さらに、面材9の背面9Bは、左右両側の側部が凹部41の第2側面42,52に当接している。
面材9には、面材9と一対の柱4,5、面材9と間柱6、面材9と縦受材7、面材9と横受材8とを連結する連結部材としての複数のビスN1が打ち込まれている。
ここで、一対の柱4,5の第2側面42,52には、上下方向に沿って等間隔に複数のビスN1が打ち込まれている。本実施形態では、第2側面42,52に打ち込まれた複数のビスN1のピッチ(配置間隔)に応じて、耐力壁10の強度(壁倍率)を変更し、所望の規定値に設計可能に構成されている。
また、図7に示されるように、建物Hのスケルトン部14には、第2側面42,52に打ち込まれるビスN1のピッチを異なる値に変更することにより、強度の異なる複数の種類の耐力壁10A,10Bが設けられている。図7に示す一例では、第1耐力壁10Aに打ち込まれたビスN1のピッチT1は、第2耐力壁10Bに打ち込まれたビスN1ピッチT2よりも小さく設定されているため、第2耐力壁10Bよりも壁倍率が大きくなるように設定されている。
以上のように、建物Hの外壁部12を構成するスケルトン部14では、複数の耐力壁10を配置することにより、建物Hの構造耐力を高めている。
一方で、建物Hの外壁部12には、地震や強風による揺れで横方向の外力が作用した場合に、外壁部を構成する他の管柱や、これらの管柱に接合された梁等の横架材などに引き抜き方向の荷重が作用する。従って、スケルトン部14に配置された管柱や梁等の横架材との接合部分を補強することで、外壁部12の構造耐力を高めることに寄与する。
このような柱と梁との接合部分の補強には、公知のホールダウン金物や羽子板ボルト等を用いることが一般的である。しかしながら、ホールダウン金物や羽子板ボルトを用いて補強した場合、一方の柱や梁に貫通孔を設ける工程が必要になり、施工が容易ではないという問題があった。
そこで、本発明の発明者らは、スケルトン部14に設けられた柱部材や梁等の接合部分の補強をビスのみで行う簡易な工法を考案した。以下では、スケルトン部14に配置された管柱23と土台21の土台材21の接合部分を例として説明する。
(柱と横架材との接合構造)
図3に示されるように、管柱23は、建物Hのスケルトン部14において、耐力壁10と間隔を設けて配置されている。管柱23は、上下方向に延在する四角柱で構成されており、延在方向の下端部が第1横架材としての土台21に接合され、延在方向の上端部が梁3に接合されている。
図9には、管柱23(柱)と土台2(横架材)との接合構造100が示されている。この接合構造100が適用される管柱23は、建物の基礎部分における角部ではなく建物の中央側に立設されている。なお、以下の例では、建物最下部の横木である土台2と管柱3の柱脚との接合箇所を例に取り、要部のみを拡大して説明するが、接合構造100は、上記したような引張耐力を要するその他箇所、例えば柱頭においても用いることができるこ
とは言うまでもない。
土台2は、例えば縦横の断面寸法が105mm角の角材であり、基礎上面に載置される。横架材2の上面2aには、略長方体状の有底の凹部としてのほぞ穴24が形成される。ほぞ穴24は、短寸の右側面24a,左側面24cと、長寸の前面24b,後面24dと、底面24eと、から構成されており、ほぞ穴24の深さはほぞ26の突出長よりも僅かに大きく形成されている。なお、ほぞ穴24は、凹溝や貫通穴として形成してもよく、土台2の材質としては、例えばヒノキの類、べいまつの類、べいつがの類を用いることができる。
管柱23は、例えば縦横の断面寸法が105mm角の角材であり、長手方向上端、すなわち柱頭(図示省略)と長手方向下端、すなわち柱脚(図10参照)に、それぞれ略長方体状のほぞ26が形成されている。管柱23は、柱脚側で上述した土台2とほぞ組され、柱頭側で建物躯体の上方側に横架される梁3とほぞ組される。管柱23の下面には、短寸の右側面26a,左側面26cと、長寸の前面26b,後面26dと、底面26eと、から主に構成されるほぞ26が形成されている。ほぞ26の前後左右寸法は、上述した土台2のほぞ穴24の前後左右寸法よりも僅かに大きく形成されている。また管柱23の材質としては、例えばスギの類、ヒノキの類、べいつがの類を用いることができる。
管柱23のほぞ26は、管柱23の下面が土台2の上面2aに接するまで土台2のほぞ穴24に圧入され、管柱23の左側面23cと土台2の上面2aとで直交する角部Lと、管柱23の右側面23bと土台2の上面2aとで直交する角部Rとがそれぞれ形成される(いわゆる、ほぞ組)。このように、土台2と管柱23とをほぞ組することによって、土台2と管柱23とが相対的なねじれ方向への変位及び、上下方向への変位がある程度抑制されているといえる。
図11(A)及び図11(B)に示されるように、コーナ金具30は、厚さ2.3mmほどの高張力鋼板に溶融亜鉛めっきが施された、側面視略L字状の金具である。コーナ金具30は、鋼板を屈曲させることで、主に略同厚の基部31と立ち上げ部32と傾斜部33とを有して構成されている。基部31には貫通孔30Aが複数形成され、立ち上げ部32には貫通孔30Bが複数形成されている。
基部31と立ち上げ部32とは、傾斜部33によって一体的に接続されている。傾斜部33は、水平に伸びる基部31の左側端部と、基部31に対して直行方向に延びる立ち上げ部32の下端部を繋いでおり、基部31に対して約60度傾斜することで、L字状の金具の面取り部を構成している。また、図11(A)に示されるように、コーナ金具30の基部31と傾斜部33とを合わせた短手方向寸法S1と、立ち上げ部32と傾斜部33とを合わせた長手方向寸法S2の比は、約1:3となっている。
本実施例においてコーナ金具30は、管柱23の右側面23bと土台2の上面2aとで形成される角部Rに設置される。コーナ金具30を角部Rに設置する際には、立ち上げ部32を管柱23の右側面23bに当接させ、複数のネジ30aを貫通孔30Bに通して管柱23にネジ留めする。また、基部31を土台2の上面2aに載置した状態で、複数のネジ30aを貫通孔30Aに通して土台2にネジ留めする。
図9に戻り、ビス34~37は、炭素鋼からなるいわゆる木ネジであり、主に頭部B1と胴部B2から構成され、胴部B2には雄ネジが形成され、胴部B2の径方向の寸法が約4mm、軸方向の寸法が約120mmに形成されている。なお、ビスの本数は本実施形態に限定されず、所望の強度に応じて適宜変更することができる。
ビス34~37は、コーナ金具30を角部Rに取り付けた後に、ブロック状のビス打ち治具400(図12(C)参照)を用いて管柱23の角部L,Rから土台2内に向けて打ち込まれる。ビス打ち治具4000は、例えば、土台2の上面2aに載置される直方体形状の基台410と、基台410の角部を面取りして形成される傾斜面420とを有している。ビス34~37は、角部Rに設置されたビス打ち治具400の傾斜面420に案内されて、管柱23の側面に対して一定の角度に傾斜した姿勢を保つことができる。
次に、柱と横架材との接合構造1を実施する手順を図12(A)~(D)と図13(A)及び図13(B)を用いて説明する。まず、図12(A)に示されるように、管柱23の下面に形成されたほぞ26を、土台2の上面2aに形成されたほぞ穴24に位置合わせし、圧入させ、角部L,Rを形成させる(ほぞ組工程)。
次に、図12(B)に示されるように、ほぞ組工程を経ることで形成された角部Rにコーナ金具30を取り付ける。コーナ金具30を取り付ける際は、立ち上げ部32を管柱23の右側面に当接させ、複数のネジ30aを用いて貫通孔30Bを介し管柱23にネジ留めし、基部31を土台2の上面2aに載置し複数のネジ30aを用いて貫通孔30Aを介して土台2にネジ留めすることで固定できる(コーナ金具取付工程)。
次に、図12(C)に示されるように、ビス打ち治具400の基部31を土台2の上面2aに載置させ、下端側の角部を角部Rに位置合わせする。この状態では、ビス打ち治具400の上面に傾斜面420が配置され、管柱23の側面から傾斜面420が斜めに延在する。
作業者は、傾斜面420にビス34~37の胴部B2を載置させることにより、ビス34~37のそれぞれを管柱23の側面に対して一定の角度に傾斜した姿勢にさせる。その後、電動ドライバーを用いて、管柱23の左右両側面に、前後間隔を空けたビス34~37が二本ずつ打ち込まれることにより、施工が完了する(図12(D))。
図13(A)及び図13(B)に示されるように、接合構造100により管柱23と土台2の接合が完了した状態では、一対のビス34,36及び35,37は、それぞれ管柱23の両側面から斜め打ちされており、各一対のビス34,36及び35,37は、管柱23を貫通して土台2内に先端部が挿入され、一対のビス同士は、土台2内で交差している。また、管柱23の下端部に形成されたほぞ26が土台2に形成されたほぞ穴24に圧入されており、二組の一対のビス34,36及び35,37は、ほぞ26を挟んで前後両側でそれぞれ斜め打ちされている。
上記接合構造100によれば、地震や強風による揺れで横方向の外力が作用した場合に管柱23にかかる引き抜き方向への荷重は、一対のビス34,36及び35,37の頭部B1を管柱23の中央側に引き込むように作用し、一対のビス34,36及び35,37の先端部が交差する内角部分にて管柱23の木材繊維が挟圧され、ビスが柱と横架材内で粘り強くかかる荷重に耐え、変位を抑えることができる。また、コーナ金具30は、引き抜き方向の荷重に対して、上下方向に歪むことで、その荷重に対して管柱23と土台2との引き抜けを防止する。
(横架材同士の接合構造)
次に、図14を参照して、土台2と土台2直交する大引き52との接合を例にして、スケルトン部14に採用されている横架材同士の接合構造500について説明する。なお、以下の例では、建物最下部の横木である土台2と大引き52との接合箇所を例に取り、要部のみを拡大して説明するが、接合構造500は、上記したような引張耐力を要するその
他箇所、例えば躯体上方に配置される梁3と、梁3に対して直交して接合される横架材においても用いることができることは言うまでもない。
図14に示されるように、第2横架材としての大引き52は、土台2に対して直交する方向(図14では前後方向)に延在する四角柱で構成されている。大引き52の材質としては、例えばスギの類、ヒノキの類、べいつがの類を用いることができる。
大引き52は、延在方向の一端部が、大引き52の上面52aから土台2の側面2bに向かって斜め打ちされた二本のビス54,55を用いて連結されている。なお、ビスの本数は本実施形態に限定されず、所望の強度に応じて適宜変更可能である。
土台2の側面2bに形成されたほぞ穴56に大引き52の端部に設けられたほぞ58が圧入されている。ほぞ穴56とほぞ58は、一例として、大入れ蟻掛けを構成する蟻穴と蟻ほぞの関係である。
ビス54,55は、炭素鋼からなるいわゆる木ネジであり、主に頭部B1と胴部B2から構成され、胴部B2には雄ネジが形成され、胴部B2の径方向の寸法が約4mm、軸方向の寸法が約120mmに形成されている。
各ビス54,55は大引き52の上面52aから斜め打ちされており、大引き52を貫通して土台2内に先端部が挿入されている。また、この状態では、二本のビス54,55が、ほぞ58を挟んで両側に配置されている。
かかる接合構造500の施工手順は、大引き52に形成されたほぞ58を土台2の側面に形成されたほぞ穴56に圧入させてほぞ組工程を完了させた後、図示しないビス打ち治具を用いて大引き52の上面52aからビス54,55を斜め打ちする工程を経て完了する。接合構造500に用いられるビス打ち治具は、上述の接合構造100で用いられるビス打ち治具400と基本的な構成を同一とするため詳細な説明を割愛する。即ち、直方体状の基台の角部を面取りして傾斜部を設け、大引きの上面に基台を載置した後、傾斜部によってビス54,55を大引き52の上面52aに対して所望の角度に傾斜支持するものである。
上記の接合構造500によれば、地震や強風による揺れで横方向の外力が作用した場合に大引き52にかかる引き抜き方向への荷重は、ビス54,55の頭部B1を大引き52の中央側に引き込むように作用し、ビス54,55の先端部が配置される内角部分にて土台2の木材繊維が挟圧され、ビス54,55が土台2と大引き52で粘り強くかかる荷重に耐え、変位を抑えることができる。
(作用・効果)
以上説明したように、本実施形態の建物Hでは、複数の耐力壁10を備えると共に、建物Hの外壁部12を構成するスケルトン部14を有しており、当該スケルトン部14の内側に耐力壁10を含まないで構成される室内空間部16が形成されている。このように、建物Hの外壁部12の構造耐力が耐力壁10によって高められた建物では、スケルトン部14を構成する外壁部12の内側に耐力壁10を含まない室内空間部16を形成することができるため、間取りの自由度が高められている。
また、本態様の耐力壁10では、耐力壁10を構成する一対の柱4,5には、該柱4,5の立設方向に沿って面材9の幅方向の端面を構成する側辺9L,9R及び背面9Bが当接する凹部41がそれぞれ形成され、面材9は、一対の凹部41の間に挿嵌されて複数のビスN1により連結されている。これにより、面材9は、その面に対して直交する方向に
作用する力に対する耐久性よりも、その辺に対して直交する方向に作用する力に対する耐久性の方が高いため、一対の柱4,5の配列方向に外力が作用した場合に、柱4,5の凹部41から面材9の側辺9L,9Rに力が作用しても破損し難く、その耐久性により一対の柱4,5同士の相対的な傾動を抑制できる。従って、複数のビスN1による抵抗力に加えて、一対の柱4,5の配列方向に作用する外力に対する抵抗力を高めることができるため、構造設計上の制約を抑制しつつ、耐力壁10の強度を高めることができる。
また、本実施形態では、各柱4,5に形成された凹部41は、面材9の側辺9L,9Rが当接する第1側面43,53と、面材pの背面9Bが当接する第2側面42,52とを有しており、複数のビスN1は、凹部41の第2側面42,52を介して面材9を柱4,5に連結している。ここで、本態様では、面材9の背面9Bが当接する第2側面42,52の幅は、第1側面43,53の幅よりも大きく設定されている。これにより、第2側面42,52を連結するビスN1によって、面材9や柱4,5に亀裂、欠け等の破損が生じることが抑制されるため、ビスの数や規格に適合する面材及び柱の選定が容易になる。
また、本実施形態では、スケルトン部14を構成する複数の耐力壁10には、第2側面42,52を連結するビスN1の配置間隔の変更により異なる強度に規定された第1耐力壁10Aと第2耐力壁10Bが用いられている。これにより、建物Hの外壁部12の外形や重量に合わせて各所に最適な強度の耐力壁を配置することができるため、間取りの自由度をより一層高めることができる。また、各耐力壁10A,10Bは、基本構造を同一にしつつ、ビスN1の配置間隔の変更により所望の強度に規定することができる。このため、所望の強度に応じた耐力壁の設計が容易であり、建築時のコストを低く抑えることができる。
また、本実施形態では、スケルトン部14において、耐力壁10と間隔を設けて配置された管柱23と土台2との接合を、一対のビス34,36及び35,37により行っている。
具体的には、管柱23の両側面からビス34~37が斜め打ちされており、一対のビス34,36及び35,37のそれぞれは、管柱23を貫通して土台2内に先端部が挿入されている。また、この状態では、一対のビス34,36及び35,37同士が土台2内で交差している。これにより、一対のビス34,36及び35,37は、管柱23と土台2との離間方向(引き抜き方向)への相対的な変位、離間方向と直交する方向への相対的な変位に対してそれぞれ抵抗する力を発揮することができる。さらに、一対のビス34,36及び35,37の先端部が土台2内で交差されるため、交差されたビス同士の前後間において木材繊維の密度が高められ、これらビスの引抜耐力が向上する。その結果、簡単且つ設計容易な構成にして、管柱23と土台2との相対的な離脱方向の変位を抑制でき、外壁部12の構造耐力を高めることができる。
[変形例の説明]
上記実施形態に係る耐力壁10では、横受材8の下方側に土台材21が配置される構成としたが、図15に示す耐力壁のように、横受材8と土台材21との間に床材11を介在させる構成としてもよい。かかる構成では、床材11の支持強度を向上させることができる。
また、上記実施形態に係る耐力壁10では、一対の柱4,5の下端部から上端部に亘って直線状に延びる一つの凹部41が形成される構成について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、図16に示す耐力壁のように、一対の柱4,5の上下方向に沿って所定の間隔をあけて複数の凹部41が形成され、面材9には、各凹部41に嵌合可能な複数の凸部60が形成されてもよい。
また、上記実施形態では、柱と横架材の接合部分に接合構造100を適用する例を説明したが、角材からなる横架材同士の接合部分に接合構造100を適用してもよい。
また、上記実施形態では、横架材同士の接合部分に接合構造500を適用する例について説明したが、角材からなる柱と横架材との接合部分に接合構造500を適用してもよい。
また、上記の接合構造500では、ビスを斜め打ちして土台2と大引き52とを連結する構造について説明したが、スケルトン部14における横架材同士の接合部分には、以下に説明する接合構造70を採用しても同様の効果を得ることができる。なお、以下の説明及び図17では、上記実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図17に示す接合構造70では、角材からなる土台2と大引き52が、一対の三角パネル72を介して接合されている。一対の三角パネル72は、大引き52の上面52aにおいて、大引き52の中心線Cに対して互いの一片を向かい合わせにした姿勢で配置される。この状態において、一対の三角パネル72は、管柱23を挟んで両側に配置される。また、各三角パネル72において、管柱23の角部に対応する位置には、切削加工により矩形状に切り欠いて形成された入隅部74が形成されており、当該入隅部74の内側に管柱23の角部が挿入され、位置決めされている。
一対の三角パネル72は、それぞれが土台2と大引き52を跨いで配置され、土台2及び大引き52との当接面に複数の釘N2を打ち込んで接合されている。
かかる構成の接合構造70によれば、複数の釘N2は、一対の三角パネル72を介して土台2と大引き52との離間方向(引き抜き方向)への相対的な変位、離間方向と直交する方向への相対的な変位に対してそれぞれ抵抗する力を発揮することができる。その結果、簡単且つ設計容易な構成にして、直交する横架材同士の相対的な離脱方向の変位を抑制でき、外壁部12の構造耐力を高めることができる。
なお、上記の説明では、土台2、管柱23及び大引き52の直交する部位に接合構造
70を適用したが、管柱23は必須ではなく、土台2と大引き52のみが直交する部位に適用することもできる。また、上記の接合構造70は、柱と横架材との接合部分に適用することもできる。
また、上記実施形態では、連結部材をビスで構成したが、これに限らず、釘、木ネジ、ボルト及びナット、接着剤等やこれらの組み合わせで構成してもよい。
また、接合構造70の釘N2は、釘に限らず、横架材同士の接合部に打ち込み可能な連結部材であればよい。
上記実施形態において、面材9は一対の柱4,5の前後両側に一枚ずつ配置される構成としたが、本発明はこれに限らない。前方又は後方の一方のみに配置してもよい。
また、面材9は、構造用合板に限らず、石膏ボードや中密度繊維版等で構成してもよい。
上記実施形態において、耐力壁との間に間隔を設けて配置される垂直材として、管柱23を例にとって説明したが、本発明はこれに限らない。垂直に立てられる構造材であればよく、例えば、通柱等であってもよい。
また、上記接合構造100は、建物の構造材を構成する角材同士の接合部に広く適用することができる。
以下、図18を参照して、上述の建物Hに適用することができる横架材同士の接合構造80Aについて、さらに説明する。一例として、図18には建物Hの二階部分に適用された接合構造80Aを建物上方側から見た平面図が示されている。接合構造80Aは、第1横架材84と、第1横架材84に直交する第2横架材86の延在方向(長手方向)の端部と、を接合している。第1横架材84及び第2横架材86は、一例として、建物Hの二階部分の床板82を下方側から支持する梁を構成している。第1横架材84と第2横架材86との接合部には図示しない蟻仕口が設けられており、第2横架材86の端部に設けられた蟻ほぞが第1横架材84の側面に設けられた蟻穴に嵌合している。
図18に示されるように、接合構造80Aでは、第1横架材84と第2横架材86が床板82を介して接合されている。床板82は、「接合用合板」の一例であり板状の合板で構成されている。床板82は、第1横架材84と第2横架材86とを跨いで第1横架材84の上面84aと第2横架材86の上面86aに配置されている。
また、床板82には、第1横架材84及び第2横架材86の上面84a,86aと当接した当接面に床板82の上方から複数の釘N2が打ち込まれ、これにより、第1横架材84と第2横架材86とを接合している。複数の釘N2は、第1横架材84及び第2横架材86の上面84a,86aに対して略垂直に打ち込まれている。釘N2は、「接合部材」の一例である。
複数の釘N2の一部は、第1横架材84の中心線Cに沿って打ち込まれ、床板82と第1横架材84とを接合している。また、複数の釘N2の他の一部は、第2横架材86の中心線Cに沿って打ち込まれ、床板82と第2横架材86とを接合している。
なお、釘N2による接合部は、第1横架材84の中心線Cと第2横架材86の中心線Cによって囲われた領域の内側に形成されることが好ましい。この場合、図示はしないが、第1横架材84に対して梁幅方向の両側から第2横架材86の端部がそれぞれ接合される構成においても、接合構造80Aを適用することが可能となる。即ち、第1横架材84の中心線Cに沿って対象をなすように第1横架材84の両側に接合構造80Aを二組設けることができる。
また、接合構造80Aにおいて、釘N2による接合部のピッチt1は、接合構造80Aに隣接する他の領域の接合部(一般床部における床板82と横架材との接合部)のピッチt2よりも小さく設定されている。一例として、ピッチt1は、20[mm]~50[mm]に設定することができ、ピッチt2は、75[mm]~150[mm]に設定することができる。
また、図示の例のように、接合構造80Aにおける釘N2の打ち込みは、隣接する釘N2の打ち込み位置を梁幅方向にずらしてジグザグ形状にすることが好ましい。これにより、直線に沿って打ち込む場合と比較して、接合用合板(床板82)を割れにくくすることができる。
また、上記において、接合部材は、釘N2に限らず、ビスを用いることも可能である。
また、上記において、接合構造80Aは、木造建築における小屋組みに適用してもよい。この場合、小屋組みの軒桁と小屋梁で「第1横架材」と「第2横架材」を構成してもよいし、互いに直交する小屋梁同士で「第1横架材」と「第2横架材」を構成してもよい。
また、図示の例では、接合構造80Aが建物の垂直材としての柱(管柱23)の仕口における横架材同士の接合部分に適用されているが、垂直材は必須ではなく、無くてもよい。また、木造建築における小屋組みに適用する場合は、柱の仕口に替えて小屋束の仕口であってもよい。
以上説明した接合構造80Aによれば、図17に示す接合構造70と同様に、木造建築における第1横架材84と、該第1横架材84に直交する第2横架材86の延在方向の端部と、を接合させる横架材同士の接合において、公知の羽子板ボルトを使用せずに横架材同士を接合させることができる。これにより、公知の羽子板ボルトの設置には、横架材に貫通孔を設ける工程が必要になり工数が増えるといった問題があったが、上記の構成によれば、釘N2又はビスからなる接合部材で横架材同士を接合させることができる。その結果、工数を減らして横架材同士の接合を容易にすることができる。
また、図示の例のように、床板82を介して打ち込まれる釘N2は、地震や強風による揺れで横架材に横方向の外力が作用した場合に、床板82と横架材との間の横ずれによるせん断力を好適に受け止めることができる。これにより、釘N2が床板82と横架材との間で粘り強くかかる荷重に耐え、変位を抑えることができ、横架材同士を強力に接合することが可能となる。
また、例えば、床板82の下方に別体の接合用合板を設けた場合は部材間に段差が生じるが、接合用合板として床板82の一部を利用することでこのような段差が生じないため、床板82の設置が容易になる。また、部材点数を減らすことができ、施工時の工程の簡素化を図ることができる。
以下、図19を参照して、上述の建物Hに適用することができる横架材同士の接合構造80Bについて、さらに説明する。なお、上述した各実施形態と同一の構成部分については、同一の符号を付して説明を割愛する場合がある。一例として、図19には建物Hの二階部分に適用された接合構造80Bを建物上方側から見た平面図が示されている。接合構造80Bは、第1横架材84と、第1横架材84に直交する第2横架材86の延在方向(長手方向)の端部と、を接合している。第1横架材84及び第2横架材86土台2は、一例として、建物Hの二階部分の床板82を下方側から支持する梁を構成している。
図19に示されるように、接合構造80Bでは、第1横架材84及び第2横架材86の上面84a,86aに配置される床板82の一部を切り出して、一対の三角パネル72を形成し、該一対の三角パネル72を介して土台2と大引き52とを接合している。即ち、建物Hの二階部分の床板82は、三角パネル72で構成された第1床板82Aと、第1床板82Aに隣接する第2床板82Bを含んで構成されている。なお、一対の三角パネル72を介した接合部分の構造は、上述の接合構造70と同様である。
即ち、接合構造80Bでは、床板82において、第1横架材84と第2横架材86とを跨いで第1横架材84の上面84aと第2横架材86の上面86aに配置された部分を切り出して一対の三角パネル72を形成し第1床板82Aとしている。このように第1床板82Aを構成する三角パネル72は、第1床板82Aに隣接する第2床板82Bと分離されており、第1床板82Aと第2床板82Bとが同一平面上に配置されている。
一対の三角パネル72は、各々が三角形状をなしており、第2横架材86の中心線Cに対して互いの一辺を向かい合わせにし、第1横架材84と第2横架材86を跨いで配置されている。各三角パネル72は、三辺のうちの他の一辺が、第1横架材84の中心線Cに沿って配置されている。また、各三角パネル72は、三辺のうちの残りの一辺が、切り離された第2床板82Bに隣接して配置されている。
また、各三角パネル72には、第1横架材84及び第2横架材86の上面84a,86aと当接した当接面に三角パネル72の上方から複数の釘N2が打ち込まれ、これにより、第1横架材84と第2横架材86とを接合している。複数の釘N2は、第1横架材84及び第2横架材86の上面84a,86aに対して略垂直に打ち込まれている。釘N2は、「接合部材」の一例である。
複数の釘N2の一部は、第1横架材84の中心線Cに沿って打ち込まれ、三角パネル72と第1横架材84とを接合している。また、複数の釘N2の他の一部は、第2横架材86の中心線Cに沿って打ち込まれ、三角パネル72と第2横架材86とを接合している。
なお、釘N2による接合部は、第1横架材84の中心線Cと第2横架材86の中心線Cによって囲われた領域の内側に形成されることが好ましい。この場合、図示はしないが、第1横架材84に対して梁幅方向の両側から二本の第2横架材86の端部がそれぞれ接合される構成においても、接合構造80Bを適用することが可能となる。即ち、第1横架材84の中心線Cに沿って対象をなすように第1横架材84の両側に接合構造80Bを二組設けることができる。
また、接合構造80Bにおいて、第1床板82Aに打ち込まれる釘N2の接合部のピッチt1は、接合構造80Bに隣接する他の領域の接合部(第2床板82Bの接合部)のピッチt2よりも小さく設定されている。一例として、ピッチt1は、20[mm]~35[mm]に設定することができ、ピッチt2は、75[mm]~150[mm]に設定することができる。
また、図示の例のように、接合構造80Bにおける釘N2の打ち込みは、隣接する釘N2の打ち込み位置を梁幅方向にずらしてジグザグ形状にすることが好ましい。これにより、直線に沿って打ち込む場合と比較して、第1床板82Aを割れにくくすることができる。
また、上記において、接合部材は、釘N2に限らず、ビスを用いることも可能である。
また、上記において、接合構造80Bは、木造建築における小屋組みに適用してもよい。この場合、小屋組みの軒桁と小屋梁で「第1横架材」と「第2横架材」を構成してもよいし、互いに直交する小屋梁同士で「第1横架材」と「第2横架材」を構成してもよい。
また、図示の例では、接合構造80Bが建物の垂直材としての柱(管柱23)の仕口における横架材同士の接合部分に適用されているが、垂直材は必須ではなく、無くてもよい。また、木造建築における小屋組みに適用する場合は、柱の仕口に替えて小屋束の仕口であってもよい。
以上説明した接合構造80Bは、基本的には、図17及び図18に示す上述の接合構造70,80Aの構成を踏襲している。従って、接合構造70,80Aと同様の作用並びに効果を奏することができる。
また、上述の接合構造80Aと同様に、接合用合板として床板82の一部を利用することで、床板82の下方に接合用合板による段差が生じないため、床板82の設置が容易になる。また、部材点数を減らすことができ、施工時の工程の簡素化を図ることができる。
一方、接合構造80Bでは、床板82の一部から一対の三角パネル72を切り出して第1床板82が構成され、第1床板82Aと該第1床板82Aに隣接する第2床板82とが分離された状態で同一平面上に配置されている。これにより、地震等の際に第2床板82Bにかかる横方向の力が第1床板82Aに直接伝達しないため、床構面全体にかかる横方向の力を受ける第2床板82Bの負荷よりも第1床板82Aの負荷を軽減させることができる。その結果、第1床板82Aによる横架材同士の接合強度を効率的に高めるができる。
以下、図20(A)及び図20(B)を参照して、上述の建物Hに適用することができる横架材同士の接合構造90について、さらに説明する。一例として、図20(A)には建物Hの二階部分に適用された接合構造90を建物上方側から見た平面図が示されている。図20(B)は、図20(A)の矢印Y方向から見た接合構造90の側面図である。
これらの図に示されるように、接合構造90は、第1横架材92と、第1横架材92に直交する第2横架材94の延在方向(長手方向)の端部と、を接合している。第1横架材92及び第2横架材96は、一例として、建物Hの二階部分の床板(不図示)を下方側から支持する梁を構成している。第1横架材92と第2横架材94との接合部には、蟻仕口が設けられており、第2横架材94の端部に設けられた蟻ほぞ95が第1横架材92の第1側面92bに設けられた蟻穴(符号省略)に嵌合している。
接合構造90では、第1横架材92の第1側面92bと第2側面92cとの間を貫通するビスN3によって第1横架材92と第2横架材94が接合されている。第1側面92bは、第2横架材94の延在方向(長手方向)の端部に当接する側面である。第2側面92cは、第1側面92bに対向して配置される第1横架材92の側面である。ビスN3は、「接合部材」の一例である。
図示の例では、第1横架材92の第2側面92cに二本のビスN3が打ち込まれている。二本のビスN3は、第1横架材92の梁成方向(高さ方向)に所定の間隔を空けて配置されるとともに、第1横架材92の第2側面92cに対し、略垂直に打ち込まれている。各ビスN3は、第1横架材92の第2側面92cから第1側面92bに向かって打ち込まれ、第1横架材92を貫通して第2横架材94内に先端部が挿入されている。これにより、二本のビスN3を介して、第1横架材92と第2横架材94とが接合されている。
図示の例では、第1横架材92及び第2横架材94の梁成は105[mm]~450[mm]に設定することができ、第1横架材92及び第2横架材94の梁幅は105[mm]~120[mm]に設定することができる。また、ビスN3の長さは、160[mm]~240[mm]に設定することができ、第2横架材94の内部に挿入される先端部の長さが20[mm]以上であることが好ましい。
さらに、第1横架材92の第2側面92cに打ち込まれたビスN3が、第2横架材94の蟻ほぞ95を介して第2横架材94内に先端部が挿入される構成としてもよい。この場合、蟻仕口によって接合強度が高められた部位が、ビスN3の接合によって補強され、横架材同士をより一層強固に接合することができる。本実施形態では、第1横架材92の上部に打ち込まれた一本のビスN3が第2横架材94の蟻ほぞ95に打ち込まれている。
なお、接合部材として打ち込まれるビスN3の本数は、図示の場合に限定されない、一本であってもよく、三本以上であってもよい。
また、上記において、接合部材は、ビスN3に限らず、釘を用いることも可能である。また、複数のビスN3が、第1横架材92の延在方向に沿って打ち込まれる構成としてもよい。
また、上記において、接合構造90は、木造建築における小屋組みに適用してもよい。この場合、小屋組みの軒桁と小屋梁で「第1横架材」と「第2横架材」を構成してもよいし、互いに直交する小屋梁同士で「第1横架材」と「第2横架材」を構成してもよい。
また、図示の例では、接合構造90が建物の垂直材としての柱(管柱23)の仕口における横架材同士の接合部分に適用されているが、垂直材は必須ではなく、無くてもよい。また、木造建築における小屋組みに適用する場合は、柱の仕口に替えて小屋束の仕口であってもよい。
さらに、図示の例では、ビスN3が第1横架材92の第2側面92cに対して略垂直に打ち込まれる構成としたが、これに限らない。接合部材としてのビスN3が、第1横架材92の第2側面92cに斜めに打ち込まれる構成としてもよい。かかる構成では、ビスの基端部(ビスの頭部)が、ビスN3の先端部よりも第2横架材94の梁幅方向の外側に配置される。この場合、図示はしないが、第1横架材92に対して梁幅方向の両側から二本の第2横架材94の端部がそれぞれ接合される構成においても、接合構造90を適用することが可能となる。即ち、第2横架材94の外側から第1横架材92の側面に斜めにビスN3を打ち込むことができるため、第1横架材92の第1側面92bと第2側面92cのそれぞれに、接合構造90を設けることができる。
また、複数のビスを打ち込む場合に、複数のビスN3が梁成方向に沿って所定の間隔を空けて打ち込まれる構成としてもよいし、第1横架材92の延在方向に沿って所定の間隔を空けて打ち込まれる構成としてもよい。
以上説明した接合構造90では、図17~図19に示す接合構造70,80A,80Bと同様に、木造建築における第1横架材92と、該第1横架材92に直交する第2横架材94の延在方向の端部と、を接合させる横架材同士の接合において、公知の羽子板ボルトを使用せずに横架材同士を接合させることができる。これにより、公知の羽子板ボルトの設置には、横架材に貫通孔を設ける工程が必要になり、高度な技術力が必要とされる施工を行う必要があったが、上記の構成によれば、ビスN3又は釘からなる接合部材で横架材同士を接合させることができる。その結果、横架材同士の接合を容易にすることができる。
また、図示の例のように、第1横架材92の第2側面92cから第1側面92bに向かって打ち込まれるビスN3は、地震や強風による揺れで横架材に横方向の外力が作用した場合に、第1横架材92と第2横架材94との間の横ずれによるせん断力を好適に受け止めることができる。これにより、ビスN3が横架材内で粘り強くかかる荷重に耐え、変位を抑えることができ、横架材同士を強力に接合することが可能となる。
2 土台(第1横架材)
2a 上面
2b 内側面(第1側面)
2c 外側面(第2側面)
52 大引き(第2横架材)
52a 上面
70 横架材同士の接合構造
72 三角パネル(接合用合板)
80A 横架材同士の接合構造
80B 横架材同士の接合構造
82 床板
90 横架材同士の接合構造
H 建物
N2 釘(接合部材)
N3 ビス(接合部材)

Claims (5)

  1. 木造建築における第1横架材と、該第1横架材に直交する第2横架材の延在方向の端部と、を接合させる横架材同士の接合構造であって、
    ビス又は釘からなる接合部材が、前記第1横架材及び前記第2横架材のうち少なくとも一方の横架材の一面から打ち込まれ、前記第1横架材と前記第2横架材とを接合している、
    横架材同士の接合構造。
  2. 前記第1横架材と前記第2横架材は、横架材同士を跨いで上面に配置された板状の接合用合板を介して接合されており、前記一面として前記接合用合板と当接した当接面を有し、
    前記接合用合板及び前記当接面に、複数の前記接合部材が打ち込まれている、
    請求項1に記載の横架材同士の接合構造。
  3. 前記接合用合板は、各々が三角形状をなす一対の三角パネルによって構成され、
    前記一対の三角パネルは、前記第2横架材の中心線に対して互いの一辺を向かい合わせにし、前記第1横架材と前記第2横架材を跨いで配置されている、
    請求項2に記載の横架材同士の接合構造。
  4. 前記接合用合板は、前記第1横架材及び前記第2横架材の上面に配置された床板の一部を構成する、
    請求項2又は請求項3に記載の横架材同士の接合構造。
  5. 前記第1横架材は、前記第2横架材の延在方向の端部に当接する第1側面と、該第1側面に対向して配置される前記一面としての第2側面とを有し、
    前記接合部材は、前記第2側面から第1側面に向かって打ち込まれ、前記第1横架材を貫通して前記第2横架材内に先端部が挿入されている、
    請求項1に記載の横架材同士の接合構造。
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