JP2024034821A - 有価金属の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】廃リチウムイオン電池から、乾式製錬プロセスによって安価に有価金属を回収する方法を提供すること。【解決手段】本発明は、廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法であって、廃リチウムイオン電池を含む原料に対して酸化焙焼処理を施す酸化焙焼工程S3と、得られる酸化焙焼物を炭素の存在下で還元する還元工程S4と、を有する。酸化焙焼工程S3では、廃リチウムイオン電池を含む原料と共に炭酸カルシウムを炉内に装入して、酸化焙焼処理の処理温度を制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、廃リチウムイオン電池に含まれる有価金属の回収方法に関する。
近年、軽量で大出力の二次電池としてリチウムイオン電池が普及している。リチウムイオン電池としては、アルミニウムや鉄等の金属製の外装缶内に、銅箔からなる負極集電体に黒鉛等の負極活物質を固着した負極材、アルミニウム箔からなる正極集電体にニッケル酸リチウムやコバルト酸リチウム等の正極活物質を固着した正極材、ポリプロピレンの多孔質樹脂フィルム等からなるセパレータ、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)等の電解質を含む電解液等を封入したものが知られている。
リチウムイオン電池の主要な用途の一つに、ハイブリッド自動車や電気自動車があり、自動車のライフサイクルと共に、搭載されたリチウムイオン電池も将来大量に廃棄される見込みとなっている。このような使用済みの電池や、製造中に生じた不良品(以下、「廃リチウムイオン電池」と称する)を資源として再利用する提案が多くなされており、廃リチウムイオン電池の再利用法として、高温炉で廃電池を全量熔解する乾式製錬プロセスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示される方法は、銅製錬炉に装入物(銅精鉱)とスラグ形成剤とを投入して焙焼した後の還元工程において、発熱剤及び/又は還元剤の少なくとも一部を、金属鉄、金属アルミニウム、及びカーボンのいずれか1つ以上を含む廃リチウムイオン電池で置き換えて添加するというものである。
ところで、市販のリチウムイオン電池の電解質には、上述したように六フッ化リン酸リチウムが用いられている。六フッ化リン酸リチウムは、電解液として多用されているカーボネートへの溶解度やリチウムイオン解離度が高く、安価であるといった理由から広く用いられている。一般的な円筒型リチウムイオン電池である、いわゆる18650型電池が焙焼された廃リチウムイオン電池には約0.2質量%以上の割合で、車載用の角型電池が焙焼された廃リチウムイオン電池には約0.1質量%程度以上の割合で、リン(P)が含まれている。そして、18650型の場合には鉄製外装缶を、角型電池の場合にはアルミニウム製外装缶を取り除いたときにおける、電池内容物中のリン含有量はさらに高まる。
銅精錬炉のように、常に合金が存在する高温環境にリンを含む廃リチウムイオン電池を投入すると、リンは合金中へ分配され、最終的にはリンのほぼ全量が粗銅中へ不純物として混入してしまう。粗銅の湿式製錬プロセスによる電解処理では、リンの約7割は電解液中に分配されるため、電解が進むと電解液中のリン濃度が上昇してしまうという問題がある。電解液中のリン濃度を低減させるためには、湿式製錬プロセスにリンを除去するための浄液工程を新たに設ける必要がある。しかしながら、湿式製錬プロセスでは銅のみ採取すればよいわけではなく、他の回収対象元素の回収率への影響がないように工程を追加することは、技術的にもコスト的にも容易ではない。したがって、湿式製錬プロセスの前工程である乾式製錬プロセスにおいて、効果的にリンを除去することが求められている。
例えば、特許文献2に開示される方法によれば、廃リチウムイオン電池の内容物を酸化焙焼及び還元を経て熔融させることで得られた合金を部分硫化することによって、高濃度のリンを含有する内容物であっても、リンを残留合金に分配し、リン含有量の低い硫化物として銅、ニッケル、コバルト等の有価金属を回収することができる。しかしながら、この方法に規定される温度域の下限付近で酸化焙焼処理を行った場合は、処理対象となる廃リチウムイオン電池の品位に起因して、酸化焙焼処理における炭素(C)の酸化除去が不十分となる。その結果、還元熔融処理においてメタルとスラグの分離が妨げられ、有価金属の回収率が低下してしまうことがあった。さらに、鉄やリン等の不純物まで還元されてしまうことに起因し、後工程にて不純物を除去するためのコストが悪化してしまうことがあった。
こうした問題が生じることを回避するために、特許文献2に記載の方法に規定される温度域の上限付近で酸化焙焼処理を行うことは有効であるが、熱エネルギーコストがかかるうえ、温度制御が困難になることがある。そしてその結果、酸化焙焼物が焼結してしまうことにより、効率的な焙焼処理ができないことがあった。
このような傾向は、廃リチウムイオン電池に含まれる炭素量が過剰である場合に特に顕著となる。その理由は、過剰に含まれる炭素に起因して発熱が過多となり、燃料による調整ができなくなるからであると考えられる。発熱が過多となる状況を回避するためには、例えば、廃リチウムイオン電池の処理量を低下させる方法がある。ところが、そうした方法では、生産効率を悪化させてしまうため、採用することは困難であった。
このように、従来の技術では、酸化焙焼処理物の品位と、酸化焙焼処理の処理効率の両立を図ることは難しかった。
特許5818798号公報 特開2018-197385号公報
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、廃リチウムイオン電池から、乾式製錬プロセスによって安価に有価金属を回収する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、廃リチウムイオン電池を含む原料に対する酸化焙焼処理において、廃リチウムイオン電池を含む原料と共に炭酸カルシウムを炉内に装入して処理することで、酸化焙焼処理の処理温度(酸化焙焼温度)の制御することができ、効率的に炭素を除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法であって、前記廃リチウムイオン電池を含む原料に対して酸化焙焼処理を施す酸化焙焼工程と、得られる酸化焙焼物を炭素の存在下で還元する還元工程と、を有し、前記酸化焙焼工程では、前記廃リチウムイオン電池を含む原料と共に炭酸カルシウムを炉内に装入して、酸化焙焼処理の処理温度を制御する、有価金属の回収方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記酸化焙焼工程では、前記炭酸カルシウムの装入量を、前記原料に含まれるアルミニウム量に対して、酸化カルシウム量及び酸化アルミニウム量への換算で、酸化カルシウム(CaO)/酸化アルミニウム(Al)で表される質量比が1.0以上2.0以下となるように調整する、有価金属の回収方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記酸化焙焼工程では、処理対象となる前記原料中の炭素の化学当量の1.5倍以上の酸化剤を導入し、600℃以上900℃以下の範囲で選択される処理温度で前記酸化焙焼処理が行い、得られる前記酸化焙焼物の炭素品位を1.0質量%未満とする、有価金属の回収方法である。
本発明によれば、廃リチウムイオン電池から、乾式製錬プロセスによって安価に有価金属を回収する方法を提供することができる。
有価金属の回収方法の流れの一例を示す工程図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能である。
≪1.有価金属の回収方法の概要≫
本実施の形態に係る有価金属の回収方法は、リン(P)を含有する廃リチウムイオン電池に含まれる有価金属を回収する方法である。廃リチウムイオン電池から有価金属を回収するにあたっては、乾式製錬プロセスと、湿式製錬プロセスとが実行される。本実施の形態に係る有価金属の回収方法は、主として乾式製錬プロセスに係るものである。
廃リチウムイオン電池(以下、「廃電池」ともいう)とは、使用済みのリチウムイオン電池や、二次電池を構成する正極材等の製造工程で生じた不良品、製造工程内部の残留物、発生屑等のリチウムイオン電池の製造工程内における廃材を含む概念である。そして、廃リチウムイオン電池には、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)等の有価金属が含まれている。
図1は、有価金属の回収方法の流れの一例を示す工程図である。図1に示すように、本実施の形態に係る有価金属の回収方法は、廃リチウムイオン電池の電解液及び外装缶を除去する廃電池前処理工程S1と、電池の内容物を粉砕して粉砕物とする粉砕工程S2と、粉砕物を酸化焙焼する酸化焙焼工程S3と、酸化焙焼物を還元して有価金属を合金化する還元工程S4と、を有する。
特に、本実施の形態に係る方法では、酸化焙焼工程S3において、廃リチウムイオン電池を含む原料と共に炭酸カルシウムを炉内に装入し、酸化焙焼処理の処理温度を制御する、ことを特徴としている。
このような方法によれば、廃リチウムイオン電池に含まれる炭素を効率的にかつ効果的に酸化除去することができ、その結果、不純物であるリンを除去することが可能となり、安価にかつ効果的に有価金属を回収することができる。
また、リンを有効に除去することができるため、有価金属の回収における乾式製錬プロセス後の湿式製錬プロセスを単純化することができる。具体的には、湿式製錬プロセスでの処理量として、乾式製錬プロセスへ投入する廃リチウムイオン電池の量に比べて質量比で1/4から1/3程度まで少なくすることができ、湿式製錬プロセスを単純化することができる。したがって、乾式製錬プロセス(廃電池前処理工程S1~還元工程S4)を広義の前処理とすることで、不純物(リン)の少ない合金を得るとともに、処理量も大幅に減らすことで、乾式製錬プロセスと湿式製錬プロセスとを組み合わせることが工業的に可能となる。
なお、乾式製錬プロセスを経て得られた、有価金属を含む合金に対して湿式製錬プロセスを実行することで、不純物成分を除去し、銅、ニッケル、コバルト等の有価金属を分離精製して、それぞれを回収することができる。湿式製錬プロセスにおける処理としては、中和処理や溶媒抽出処理等の公知の方法により行うことができる。一例を挙げれば、銅、ニッケル、コバルトからなる合金の場合、硫酸等の酸で有価金属を浸出させた後(浸出工程)、溶媒抽出等により例えば銅を抽出し(抽出工程)、残存したニッケル及びコバルトの含有溶液は、電池製造プロセスにおける正極活物質製造工程に払い出すようにする。
≪2.回収方法の各工程について≫
以下、本実施の形態に係る有価金属の回収方法の各工程について具体的に説明する。
[廃電池前処理工程]
廃電池前処理工程S1は、廃リチウムイオン電池の爆発防止又は無害化、外装缶除去等を目的として行われる。すなわち、廃リチウムイオン電池は密閉系であり、内部に電解液等を有しているため、そのままの状態で粉砕処理を行うと、爆発の恐れがあり危険である。このため、何らかの方法で放電処理や電解液の除去処理を施す必要がある。また、外装缶は金属のアルミニウム(Al)や鉄(Fe)の場合が多く、こうした金属製の外装缶はそのまま有価金属として比較的容易に回収することができる。このように、廃電池前処理工程S1において電解液及び外装缶を除去することで、安全性を高め、また、銅、ニッケル、コバルト等の有価金属の回収生産性を高めることができる。
廃電池前処理工程S1での処理の具体的な方法は、特に限定されないが、例えば、針状の刃先で廃電池を物理的に開孔することにより、内部の電解液を流し出して除去することができる。また、廃電池をそのまま加熱し、電解液を燃焼して無害化してもよい。
廃電池を構成する外装缶に含まれるアルミニウムや鉄を回収する場合には、外装缶を粉砕した後に篩振とう機を用いて篩分けを行うことができる。アルミニウムの場合、軽度の粉砕であっても容易に粉状となり、効率的に回収できる。また、磁力による選別によって、外装缶に含まれている鉄の回収を行うことができる。
[粉砕工程]
粉砕工程S2では、廃電池の内容物を粉砕して粉砕物を得る。粉砕工程S2での処理は、乾式製錬プロセスでの反応効率を高めることを目的として行われる。反応効率を高めることで、銅、ニッケル、コバルトの有価金属の回収率を高めることができる。
粉砕工程S2での処理の具体的な粉砕方法は、特に限定されないが、カッターミキサー等の従来公知の粉砕機を用いて粉砕することができる。
[酸化焙焼工程]
酸化焙焼工程S3では、粉砕物を酸化焙焼して酸化焙焼物を得る。酸化焙焼工程S3では、廃電池の内容物中に含まれる炭素(C)を酸化除去し、また、粉砕物中に含まれる、少なくともアルミニウムを酸化することが可能な酸化度で処理する。なお、廃リチウムイオン電池を構成する主要元素は、酸素との親和力の差により一般的に、アルミニウム(Al)>リチウム(Li)>炭素(C)>マンガン(Mn)>リン(P)>鉄(Fe)>コバルト(Co)>ニッケル(Ni)>銅(Cu)、の順に酸化されやすい。
このように、酸化焙焼工程S3では、粉砕物を酸化焙焼することで、廃電池の内容物に含まれる炭素を除去することができる。そしてその結果、その後の還元工程S4において局所的に発生する還元有価金属の熔融微粒子が、炭素による物理的な障害なく凝集することが可能となり、一体化した合金として回収することができる。また、還元工程S4において廃電池の内容物に含まれるリンが炭素により還元されることを抑制し、有効にリンを酸化除去して、有価金属の合金中に分配されることを抑制することができる。
すなわち、酸化焙焼工程S3では、得られる酸化焙焼物中に含まれる炭素の含有量を1.0質量%未満とする。このように、炭素の含有量がほぼ0質量%となるように炭素を除去することで、リンを有効に酸化除去できるようにするとともに、次の還元工程S4にて有価金属を効率的に還元して合金化するための炭素量の調節を容易にする。
仮に、酸化焙焼処理を行わない場合、すなわち、廃電池内容物の粉砕物をそのまま炉に投入して還元熔融処理を行うと、廃電池に含まれる炭素が、その還元熔融処理により生成するメタルとスラグの分離を妨げ、結果として有価金属の回収率を低下させてしまう(あるいはスラグを十分に除去することができない)。また、還元熔融処理において酸化を併せて行うとしても、より厳密な酸化度の調整が困難となり、この点においても有価金属の回収率を低下させる。また、酸化焙焼処理での炭素の除去が不十分になって、ニッケル、コバルト、銅の化学当量以上の炭素が残留すると、粉砕物中に含まれる鉄やリン等の不純物までも還元されることになり、湿式製錬プロセスにおける不純物除去コストの悪化を招くこととなる。
さて、本実施の形態に係る方法では、廃リチウムイオン電池に対して酸化焙焼処理を施すにあたり、焙焼炉内に、その廃リチウムイオン電池を含む原料と共に、炭酸カルシウムを装入するようにする。このように、炭酸カルシウムを装入して酸化焙焼処理を施すことで、酸化焙焼処理の処理温度を効果的に制御することができる。
炭酸カルシウムを装入して酸化焙焼処理を施すことは、処理対象である廃リチウムイオン電池中の炭素品位が著しく高い場合(例えば、炭素品位が30質量%以上となる場合)に、とりわけ有効である。すなわち、廃リチウムイオン電池中の炭素品位が著しく高い場合は、炭素の燃焼反応が通常よりもより活発となるため発熱が過多となりやすい。そのため、焙焼炉内で燃焼させる燃料の供給量を減らすように調節したとしても、酸化焙焼処理の処理温度(酸化焙焼温度)が900℃を超えてしまうことがある。このとき、炭酸カルシウムを廃リチウムイオン電池と共に焙焼炉内に装入して処理することで、その炭酸カルシウムの熱分解反応が吸熱反応であることにより、活発化した燃焼反応による酸化焙焼温度の上昇を効果的に抑制することができる。しかも、炭酸カルシウムの熱分解温度は800℃付近にあるため、その熱分解温度以下の温度領域では吸熱反応は生じない。そのため、その温度領域において実施される酸化焙焼処理を阻害することもない。つまり、装入される炭酸カルシウムは、酸化焙焼処理の処理温度が900℃を超えることがないようにするためのブレーキとしてのみ機能する。
このように、本実施の形態においては、炭素の燃焼反応が通常よりも活発になる懸念がある場合においても、廃リチウムイオン電池の処理量を低下させるといった調整を行う必要はなく、効率的な酸化焙焼処理を行うことができる。
なお、炭酸カルシウムは、熱分解によって酸化カルシウムとなるため、生じた酸化カルシウムは後述する還元工程S4における反応のフラックスとして有効に機能させることができる。
炭酸カルシウムの装入量は、特に限定されないが、原料に含まれるアルミニウム量に対して、酸化カルシウム量及び酸化アルミニウム量への換算で、酸化カルシウム(CaO)/酸化アルミニウム(Al)で表される質量比が1.0以上2.0以下となるように調整することが好ましい。このような装入量で炭酸カルシウムを装入して処理することで、処理対象である廃リチウムイオン電池中の炭素品位が高い場合(例えば、炭素品位が30質量%以上となる場合)であっても、効率的に酸化焙焼処理の処理温度の上昇を抑制することができる。
炭酸カルシウムの装入量(酸化カルシウム(CaO)/酸化アルミニウム(Al)比)の最適値は、例えば、後述する実施例に示すように、廃リチウムイオン電池中の炭素品位、及び炭酸カルシウムの装入量と、酸化焙焼処理の処理温度との関係を求める予備試験を実施することにより、具体的に求めることができる。
酸化焙焼処理において、廃リチウムイオン電池を含む原料中の炭素の化学当量(炭素を酸化するのに必要な量)の1.5倍以上の酸化剤を導入することが好ましい。また、酸化剤の導入量は、原料中の炭素の化学当量の2.0倍以上3.0倍以下とすることがより好ましい。酸化剤としては特に限定されないが、取り扱いが容易な点と余剰酸化熱冷却の目的から、空気を用いることが好ましい。
このように、酸化剤を上述した条件で導入することで、短時間で酸化焙焼処理を完了させることができるうえ、容易に酸化対象となる廃リチウムイオン電池に含まれる炭素を酸化除去することができる。
さらに、酸化焙焼処理においては、上述した条件で酸化剤を導入するとともに、600℃以上900℃以下の処理温度で酸化焙焼処理を行うことが好ましい。これにより、従来に比べて短時間で効率的にかつ効果的に酸化焙焼処理を完了させることができるうえ、従来のように処理温度を高温に設定しなくても、容易に原料中の炭素を酸化除去することができる。
すなわち、上述した条件で酸化剤を導入し、酸化焙焼処理の温度条件を600℃以上とすることで、従来よりも短時間の処理で、廃リチウムイオン電池に含まれる炭素を有効に酸化除去することができる。さらに、酸化焙焼温度の温度条件を900℃以下とすることで、熱エネルギーコストを抑制でき、また、容易に温度制御を行うことができる。このように、600℃以上900℃以下の処理温度で酸化焙焼処理を行うことで、従来よりも酸化焙焼処理の効率を高めることができる。
しかも、酸化焙焼処理を公知のロータリーキルン等を用いて行う場合では、酸化焙焼温度を900℃以下に制御することで、キルンの内壁へのベコの付着を抑制でき、安定的にかつ均一に酸化焙焼処理を施すことができる。
また、本実施の形態に係る方法では、得られる前記酸化焙焼物の炭素品位(炭素含有量)が1.0質量%未満となるように、酸化焙焼処理の処理時間を設定することが好ましい。ここで、具体的な処理時間は、炭酸カルシウムの装入量と、酸化焙焼処理における処理温度と、酸化剤の導入量と、得られる酸化焙焼物中に含まれる炭素の含有量との関係を求める試験を実施し、その試験結果に基づいて設定すればよい。例えば、酸化焙焼処理の処理時間を2時間以上に設定することで、得られる酸化焙焼物中の炭素品位が1.0質量%未満となり易くなる。さらに、処理時間を3時間未満に設定することで、必要以上の処理時間をかけて酸化焙焼処理が行われることが防止されるため、処理効率をいっそう高めることが可能となる。
ここで、酸化焙焼処理の処理温度に関して、処理温度が600℃未満であると、上述した条件で酸化剤を導入しても、炭素が分解せずに残留しやすくなるうえ、アルミニウムの酸化も表面のみに留まり、その後の還元工程S4において合金中にアルミニウムが拡散しやすくなる。また、残留した炭素には、おおむねリンが含まれているため、残留炭素が多くなると比較的還元され易いリンが炭素によって無視できない程度に還元され、その後の還元工程S4においてそのリンが合金中に分配される可能性があり、好ましくない。そして、この一連の工程において有効にリンを除去できなくなるため、合金を回収した後に別途脱リン工程にてその合金からリンを除去する処理を行うことが必要になる。また、酸化焙焼処理の温度条件が600℃未満の場合は、炭素の酸化除去に長時間を要してしまうため、処理時間が長くなりすぎて、操業に支障をきたす懸念がある。
一方、酸化焙焼処理の処理温度が900℃より大きいと、酸化焙焼物が焼結しやすくなり、その後の還元工程S4での処理のハンドリングに支障をきたすことがある。また、酸化焙焼処理に公知のロータリーキルン等を用いた場合では、炉内耐火物に焙焼物が付着成長して炉内閉塞を招くことがあり、還元工程S4での処理効率が低下しやすくなる。さらに、その温度を維持するための炉体製造コストや熱エネルギーコストが極めて高くなり、効率的な処理を行うことができない。
また、酸化焙焼処理は、例えば公知の焙焼炉を使用して行うことができる。また、還元工程S4における還元熔融処理で使用する熔融炉とは異なる炉(予備炉)を設け、その予備炉内にて行うことが好ましい。焙焼炉としては、粉砕物を焙焼しながら酸素を供給することによってその内部で酸化処理を行うことが可能な、あらゆる形式のキルンを用いることができる。一例として、従来公知のロータリーキルン、トンネルキルン(ハースファーネス)等を好適に用いることができる。
[還元工程]
還元工程S4では、酸化焙焼工程S3により得られた酸化焙焼物を還元して還元物を得る。還元工程S4は、酸化焙焼処理で酸化したアルミニウム等の不要な酸化物は酸化物のままで、酸化焙焼処理で酸化してしまった銅等の有価金属の酸化物については還元及び熔融させ、還元物を一体化した合金として回収することを目的とする。
ここで、還元工程S4では、少なくとも炭素の存在下で還元熔融処理を行う。このような還元熔融処理により、スラグと有価金属を含む合金とを含む熔融物を得る。
炭素は、回収対象である有価金属の銅、ニッケル、コバルト等を容易に還元する能力がある還元剤である。例えば、炭素1モルで銅酸化物やニッケル酸化物等の有価金属の酸化物2モルを還元することができる黒鉛等が挙げられる。また、炭素1モルあたり2モル~4モルを還元できる炭化水素等を炭素の供給源として用いることができる。このように、還元剤としての炭素の存在下で還元熔融処理を行うことで、有価金属を効率的に還元して、有価金属を含む合金をより効果的に得ることができる。また、炭素を用いた還元では、例えばアルミニウム等の金属粉を還元剤として還元するテルミット反応を利用する場合と比べて、極めて安全性が高いという利点もある。
また、還元剤である炭素としては、人工黒鉛や天然黒鉛のほか、製品や後工程で不純物が許容できる程度であれば、石炭やコークス等を使用することもできる。なお、還元熔融処理では、アンモニアや一酸化炭素を添加するようにしてもよい。
このとき、炭素の存在量を適度に調節することが好ましい。炭素の存在量が多すぎると、酸化焙焼物中にリンが含まれている場合に、その炭素によってリンの多くが還元され、銅、ニッケル、コバルト等の有価金属を含む合金中に分配され、有効に除去することができず、リン品位の高い合金となってしまう。一方で、炭素の存在量が少なすぎると、リンは有効に除去されリン品位の低い合金が得られるものの、有価金属が有効に還元されず、有価金属の回収率が低下する。なお、炭素の存在量は、酸化焙焼物に残存したリンの含有量のほか、還元剤として使用する炭素(炭素供給源)の価格と回収する有価金属の価格との差(価格差)等を考慮して増減することができる。
具体的に、還元工程S4における還元熔融処理では、好ましくは、処理対象の酸化焙焼物100質量%に対して7.5質量%を超え10質量%以下となる割合、より好ましくは、8.0質量%以上9.0質量%以下となる割合の量の炭素の存在下で処理する。このようにして炭素の存在量をコントロールすることで、有価金属を有効に還元して回収率を向上させる一方で、リンの還元を抑制するとともにリンを有効に分離してリン品位の低い合金を得ることができる。
炭素の存在量は、上述したように、還元熔融処理において黒鉛等を添加することによって調節することができる。ここで、厳密には、酸化焙焼工程S3での酸化焙焼処理により酸化除去されなかった炭素の量も含めて調節することが好ましい。すなわち、炭素の存在量とは、還元熔融処理にて添加する炭素の量だけでなく、酸化焙焼物中に残留した炭素の量も含まれる。ただし、上述したように、酸化焙焼工程S3では、特定量の酸化剤を導入し、また特定の温度範囲の条件で酸化焙焼処理を行っていることから、原料に含まれる炭素は有効に除去され、得られる酸化焙焼物にはほとんど炭素が含まれていない。このことから、還元熔融処理における炭素量に関しては、炭素の添加量が実質的に存在量となり、添加する炭素によって自在に調整することができる。
還元熔融処理における温度条件(熔融温度)としては、特に限定されないが、1320℃以上1600℃以下の範囲とすることが好ましく、1450℃以上1550℃以下の範囲とすることがより好ましい。例えば、50質量%以上のコバルトを含む銅合金であれば概ね融点は1380℃以上となり、50質量%以上のニッケルを含む銅合金であれば概ね融点は1320℃以上となる。したがって、1320℃以上での温度で還元熔融することにより、銅、ニッケル、コバルト等の有価金属を合金として回収しやすくなる。また、1450℃以上で還元熔融すると、得られる合金の流動性が非常に良好となり、不純物成分と有価金属との分離効率が向上してより好ましい。一方で、熔融温度が1600℃を超えると、熱エネルギーが無駄に消費され、るつぼや炉壁等の耐火物の消耗も激しくなり、生産性が低下する可能性がある。そのため、熔融温度としては1600℃以下とすることが好ましい。
還元熔融処理においては、フラックスを用いることが好ましい。フラックスを用いて還元熔融することで、アルミニウム等の酸化物を含有するスラグをフラックスに溶解させて除去することができる。
フラックスとしては、カルシウム(Ca)を主成分として含むものが好ましい。例えば、酸化カルシウムや炭酸カルシウムを用いることができる。リンは酸化すると酸性酸化物になるため、スラグの組成は塩基性であるほどリンをスラグに分配して除去し易くなる。そのため、スラグ中で塩基性酸化物となるカルシウムが多い方がよく、酸性酸化物となる珪素(Si)は少ない方がよい。特に、生成するスラグ中の二酸化珪素(SiO)/酸化カルシウム(CaO)の質量比が0.5以下となるようにフラックスを添加して処理することが好ましい。また、酸化アルミニウム(Al)の割合が大きいとスラグの融点が上昇するため、酸化アルミニウムを熔融するために十分な量のカルシウムが必要であり、特にスラグ中の酸化カルシウム(CaO)/酸化アルミニウム(Al)の質量比が0.3以上2.0以下となるようにフラックスを添加して処理することが好ましい。これにより、スラグが塩基性となり、酸性酸化物を生成するリンを効果的に除去することができる。
還元熔融処理においては、粉塵や排ガス等が発生することがあるが、従来公知の排ガス処理を施すことによって無害化することができる。
また、還元工程S4での還元熔融処理を経て得られた合金には、回収前に硫黄を添加してもよく、これにより合金を脆くして破砕し易くすることができる。合金を破砕することで比表面積を大きくすることができ、これにより湿式製錬プロセスでの浸出性を向上させることができる。
なお、以上においては、酸化焙焼工程S3を経て得られた酸化焙焼物に対して還元及び熔融の処理を実行して、還元物を一体化した合金として回収する方法を説明したが、還元と熔融とを同時に行うことは必須ではなく、夫々の工程を独立して行うこともできる。
具体的には、先ず、還元工程として、酸化焙焼工程S3により得られた酸化焙焼物を還元して還元物を得る。この還元工程は、酸化焙焼処理で酸化したアルミニウム等の不要な酸化物は酸化物のままで、酸化焙焼処理で酸化してしまった銅等の有価金属の酸化物については還元し、次の熔融工程において還元物を一体化した合金として回収する。
還元工程では、例えば、500℃以上1000℃以下の温度(還元温度)で、かつ、炭素の存在下で酸化焙焼物を加熱還元する。還元温度としては特に限定されないが、500℃以上1000℃以下の範囲とすることで、還元時間を短縮することができ、また熱エネルギーコストを抑制して、還元処理効率を高めることができる。なお、還元温度が500℃未満であると還元反応効率が低くなって処理に長時間を要してしまい、一方で、還元温度が1000℃を超えると酸化焙焼物を還元する前に焼結が起こり易くなる。
還元処理は、還元炉を使用して行うことができ、還元炉の内部を所望とする温度にまでバーナー等を用いて加熱し、炉内に装入した酸化焙焼物を加熱還元する。
次に、熔融工程において、還元工程を経て得られた還元物を熔融して合金化する。このようにして還元物を熔融することによって、アルミニウム等の酸化物を含有するスラグと、有価金属である銅、ニッケル、コバルト等を含む合金とが含まれる熔融物が得られる。
熔融工程において、熔融処理における温度条件(熔融温度)としては、特に限定されないが、1320℃以上1600℃以下の温度とすることが好ましい。また、熔融処理では、酸化カルシウムや炭酸カルシウム等のフラックスを用いることが好ましい。なお、熔融処理では、粉塵や排ガス等が発生することがあるが、従来公知の排ガス処理を施すことによって無害化することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
廃リチウムイオン電池を含む原料から有価金属を含む合金を回収するにあたり、原料を酸化焙焼することによって原料に含まれる炭素(C)を除去するための処理(酸化焙焼処理)の条件について検証した。
(廃電池前処理工程)
先ず、処理対象の廃リチウムイオン電池として、18650型円筒型電池、車載用の角形電池の使用済み電池、及び電池製造工程で回収した不良品を用意した。そして、この廃リチウムイオン電池を塩水中に浸漬して放電させた後、水分を飛ばし、260℃の温度で大気中にて焙焼して電解液及び外装缶を分解除去し、電池内容物を得た。
(粉砕工程)
次に、電池内容物を粉砕機(商品名:グッドカッター:(株)氏家製作所製)により粉砕した。粉砕物(廃電池の粉砕物)中の炭素品位は26質量%であった。
(酸化焙焼工程)
次に、得られた粉砕物に対して、下記表1に示す条件(原料中の炭素品位、酸化カルシウム(CaO)/酸化アルミニウム(Al)の質量比に基づく炭酸カルシウム装入量、焙焼処理温度)で酸化焙焼処理を行った。酸化焙焼処理は、大気中においてロータリーキルンを稼働させることによって実施した。また、酸化剤としては、空気を導入した。
下記表1に、酸化焙焼処理の条件と、その酸化焙焼処理の処理温度(酸化焙焼温度)を測定した結果を示す。
Figure 2024034821000002
表1の結果から分かるように、実施例1~2と参考例1とでは、炭素品位が同一の原料を対象としたが、実施例1~2での酸化焙焼温度は、炭酸カルシウムの装入を行わなかった参考例1での酸化焙焼温度よりも低くなっていた。さらに、炭酸カルシウムの装入量に関して、酸化カルシウム(CaO)/酸化アルミニウム(Al)の質量比が高くなるほど、酸化焙焼温度が低下することが分かった。この結果から、装入した炭酸カルシウムが酸化焙焼温度の抑制に寄与していることが確認できた。
また、実施例3では、参考例1及び実施例1~2で用いた原料よりも炭素品位が高い(39質量%)原料を対象としたが、このように廃リチウムイオン電池中の炭素品位が著しく高い場合であっても、炭酸カルシウムを装入し、その装入量を酸化カルシウム(CaO)/酸化アルミニウム(Al)の質量比が1.0以上となる装入量に設定することで、酸化焙焼温度の上昇を抑制できることが分かった。
このような結果から、廃リチウムイオン電池中の炭素品位が高い場合であっても、炭酸カルシウムを装入し、好ましくは、その装入量を酸化カルシウム(CaO)/酸化アルミニウム(Al)の質量比で1.0以上となるように設定することで、酸化焙焼温度を900℃以下に抑制できることが確認できた。
一方で、比較例1は、実施例3と同様に高い炭素品位の原料を用いた例であるが、炭酸カルシウムの装入を行わなかったため、酸化焙焼温度が900℃を超えて1000℃にまで上昇してしまった。
また、比較例2は、廃リチウムイオン電池の装入量(処理量)を比較例1での処理量の80%とした事例であり、酸化焙焼温度を900℃以下に制御できているものの、実施例3での酸化焙焼温度に比べて65℃高くなった。実施例3と同水準にまで酸化焙焼温度を抑制するためには、廃リチウムイオン電池の処理量を更に減らす必要があることが分かった。つまり、比較例2の方法は非効率な方法であることが確認された。

Claims (3)

  1. 廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法であって、
    前記廃リチウムイオン電池を含む原料に対して酸化焙焼処理を施す酸化焙焼工程と、
    得られる酸化焙焼物を炭素の存在下で還元する還元工程と、を有し、
    前記酸化焙焼工程では、前記廃リチウムイオン電池を含む原料と共に炭酸カルシウムを炉内に装入して、酸化焙焼処理の処理温度を制御する、
    有価金属の回収方法。
  2. 前記酸化焙焼工程では、前記炭酸カルシウムの装入量を、前記原料に含まれるアルミニウム量に対して、酸化カルシウム量及び酸化アルミニウム量への換算で、酸化カルシウム(CaO)/酸化アルミニウム(Al)で表される質量比が1.0以上2.0以下となるように調整する、
    請求項1に記載の有価金属の回収方法。
  3. 前記酸化焙焼工程では、処理対象となる前記原料中の炭素の化学当量の1.5倍以上の酸化剤を導入し、600℃以上900℃以下の範囲で選択される処理温度で前記酸化焙焼処理が行い、得られる前記酸化焙焼物の炭素品位を1.0質量%未満とする、
    請求項1又は2に記載の有価金属の回収方法。
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