JP2024034644A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

Figure 2024034644000001
【課題】良好な排水性とCP特性を両立する。
【解決手段】実施形態の一例である空気入りタイヤ1において、トレッド10は、タイヤ周方向に延びる主溝20,21,22,23と、ショルダーブロック60,70とを有する。ショルダーブロック60,70には、主溝20,21,22,23と交差する方向に延びて当該各ブロック内で終端する横溝61,71がそれぞれ形成されている。トレッド10の接地面の矩形率は0.58~0.65であり、主溝20,21,22,23の幅の合計は接地幅の27%~33%である。
【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、より詳しくは、タイヤ周方向に延びる複数の主溝を備えたタイヤに関する。
従来、タイヤ周方向に延びる複数の主溝と、主溝と交差する方向に延びた横溝とを有するトレッドを備えた空気入りタイヤが広く知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたタイヤは、回転方向が指定されたタイヤであって、トレッドのショルダーブロックに形成された横溝が主溝につながっている。
特開2021-126948号公報
特許文献1に開示されたタイヤによれば、主溝と同様の深さで形成された横溝が主溝に連通しているため、良好な排水性が得られる。一方、本発明者の検討の結果、このようなタイヤでは、コーナリングパワー特性(以下、「CP特性」とする)が低下することが分かった。良好な排水性を確保しつつ、CP特性に優れた空気入りタイヤを実現することは重要な課題である。
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッドを備えた空気入りタイヤであって、トレッドは、タイヤ周方向に延びる主溝と、主溝により区画された第1および第2のショルダーブロックとを有し、第1および第2のショルダーブロックには、主溝と交差する方向に延びて当該各ブロック内で終端する横溝がそれぞれ形成され、トレッドの接地面の矩形率が、0.58~0.65であり、主溝の幅の合計が、接地幅の27%~33%であることを特徴とする。
本発明に係る空気入りタイヤによれば、良好な排水性とCP特性を両立できる。本発明に係る空気入りタイヤは、高い走行性能が求められる高機能タイヤに好適である。
実施形態の一例である空気入りタイヤの斜視図である。 実施形態の一例である空気入りタイヤの平面図であって、トレッドの一部を拡大して示す図である。 図2中のAA線端面図である。 第1のショルダーブロックおよび第2のリブを拡大して示す斜視図である。 第1のショルダーブロックの横溝を拡大して示す平面図である。 図5中のBB線断面図である。 トレッドの接地面の形状を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態の一例について詳細に説明する。以下で説明する実施形態はあくまでも一例であって、本発明は以下の実施形態に限定されない。また、以下で説明する実施形態の各構成要素を選択的に組み合わせてなる形態は本発明に含まれている。
図1は、実施形態の一例である空気入りタイヤ1の斜視図、図2は空気入りタイヤ1の平面図である。図3は、図2中のAA線端面図である。
図1~図3に示すように、空気入りタイヤ1は、トレッド10を備える。トレッド10は、タイヤ周方向に延びる複数の主溝と、主溝により区画された第1および第2のショルダーブロック60,70とを有し、タイヤ周方向に沿って環状に形成されている。詳しくは後述するが、ショルダーブロック60,70には、主溝22と交差する方向に延びて当該ブロック内で終端する横溝61,71がそれぞれ形成されている。そして、トレッド10の接地面の矩形率が0.58~0.65であり、主溝の幅の合計が接地幅Wの27%~33%である。
トレッド10には、上記の通り、複数の主溝が形成されている。主溝の本数は特に限定されないが、本実施形態では、4本の主溝20,21,22,23が形成されている。4本の主溝20,21,22,23は、タイヤ軸方向に曲がることなく、タイヤ周方向に沿って真っ直ぐに形成されている。各主溝は、互いに同じ幅、深さを有していてもよいが、本実施形態では、少なくとも、主溝20,21の幅と、主溝22,23の幅とが互いに異なる。4本の主溝を有することにより、排水性の改善効果がさらに高まる。
空気入りタイヤ1は、車両に対する装着方向が指定されたタイヤであって、車両の右側と左側とで車両に装着する向きが反対になる。トレッド10は、タイヤ赤道CLの左右で異なったトレッドパターンを有する。赤道CLとは、トレッド10のタイヤ軸方向のちょうど中央を通るタイヤ周方向に沿った仮想線である。本明細書では、説明の便宜上「左右」の用語を使用するが、この左右とは、空気入りタイヤ1が車両に装着された状態で車両の進行方向に向かって左右を意味する。空気入りタイヤ1は、例えば、加速性能が高い電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)等の電動車両、或いは車重が重いスポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)等のサマータイヤに好適である。
トレッド10は、4本の主溝により区画された、第1のリブ30と、第2のリブ40と、第3のリブ50と、第1のショルダーブロック60と、第2のショルダーブロック70とを有する。リブおよびブロックは、主溝の底に対応する位置からタイヤ径方向外側に向かって隆起した部分であって、陸とも呼ばれる。一般的に、トレッドのリブとは、主溝に挟まれた幅の細い陸であって、タイヤ周方向に連続して環状に形成されたものを意味する。ブロックとは、リブよりも幅広の陸、或いはタイヤ周方向に断続的に形成された陸を意味する。
トレッド10は、空気入りタイヤ1が車両に装着された状態において、車両外側に位置し、周方向に延びる主溝22と、主溝22により区画され、車両外側に配置されるショルダーブロック60と、車両内側に位置し、周方向に延びる主溝23と、主溝23により区画され、車両内側に配置されるショルダーブロック70とを有する。言い換えると、空気入りタイヤ1は、ショルダーブロック60が車両外側に位置し、ショルダーブロック70が車両内側に位置するように車両に装着される。また、第1のリブ30は赤道CL上に形成され、第2のリブ40はリブ30とショルダーブロック60との間に、第3のリブ50はリブ30とショルダーブロック70との間にそれぞれ形成されている。
空気入りタイヤ1は、タイヤ軸方向外側に膨らんだ一対のサイドウォール11と、一対のビード12とを備える。ビード12は、ホイールのリムに固定される部分であって、例えば、ビードコアとビードフィラーを有する。サイドウォール11とビード12は、タイヤ周方向に沿って環状に形成され、空気入りタイヤ1の側面を構成している。サイドウォール11は、トレッド10のタイヤ軸方向両端からタイヤ径方向に延びている。
空気入りタイヤ1には、トレッド10の接地端E1,E2と、サイドウォール11のタイヤ軸方向外側に最も張り出した部分との間に、サイドリブ13が形成されていてもよい。なお、接地端E1は車両外側の接地端、接地端E2は車両内側の接地端であり、それぞれショルダーブロック50,60に存在する。サイドリブ13は、タイヤ軸方向外側に向かって突出し、タイヤ周方向に沿って環状に形成されている。空気入りタイヤ1の接地端E1,E2、又はその近傍から左右のサイドリブ13までの部分は、ショルダー又はバットレス領域とも呼ばれる。本実施形態では、左右のサイドリブ13が一対のトレッド端となる。
トレッド10とサイドウォール11は、一般的に、異なる種類のゴムで構成されている。ショルダーは、トレッド10の接地面と同じゴムで構成されていてもよく、異なるゴムで構成されていてもよい。本明細書において、接地端E1,E2は、未使用の空気入りタイヤ1を正規リムに装着して正規内圧となるように空気を充填した状態で所定の荷重を加えたときに、平坦な路面に接地する領域(接地面)のタイヤ軸方向両端と定義される。乗用車用タイヤの場合、所定の荷重は正規荷重の88%に相当する荷重である。
ここで、「正規リム」とは、タイヤ規格により定められたリムであって、JATMAであれば「標準リム」、TRAおよびETRTOであれば「Measuring Rim」である。「正規内圧」は、JATMAであれば「最高空気圧」、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「INFLATION PRESSURE」である。正規内圧は、乗用車用タイヤの場合は通常180kPaであるが、Extra Load、又はReinforcedと記載されたタイヤの場合は220kPaとする。「正規荷重」は、JATMAであれば「最大負荷能力」、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「LOAD CAPACITY」である。
空気入りタイヤ1は、例えば、カーカス、ベルト、およびインナーライナーを備える。カーカスは、ゴムで被覆されたコード層であり、荷重、衝撃、空気圧等に耐える空気入りタイヤ1の骨格を形成する。ベルトは、トレッド10を構成するゴムとカーカスとの間に配置される補強帯である。ベルトは、カーカスを強く締めつけて空気入りタイヤ1の剛性を高める。インナーライナーは、カーカスの内周面に設けられたゴム層であって、空気入りタイヤ1の空気圧を保持する。
空気入りタイヤ1は、車両に対する装着方向が指定されたタイヤとして使用されるため、車両に対する装着方向を示すための表示を有することが好ましい。装着方向を示す表示は、車両内側又は外側を示す文字、記号、イラスト等であってもよく、その構成は特に限定されない。一般的に、空気入りタイヤ1の側面にはセリアルと呼ばれる記号が設けられているが、装着方向を示す表示としてセリアルを用いてもよい。
セリアルには、例えば、サイズコード、製造時期(製造年週)、製造場所(製造工場コード)などの情報が含まれる。車両の外側を向く空気入りタイヤ1の側面(サイドウォール11)のみにセリアルを設ける、或いは車両の外側を向く側面と内側を向く側面とで異なるセリアルを設けることで、車両に対する空気入りタイヤ1の装着方向を特定してもよい。具体例としては、空気入りタイヤ1の両側面に製造工場コードおよびサイズコードを設け、車両の外側を向く側面のみに製造年週を設けることが挙げられる。
以下、図2および図3を参照しながら、空気入りタイヤ1のトレッドパターンについて詳説する。
図2および図3に示すように、トレッド10は、タイヤ軸方向中央に形成されたセンターリブであるリブ30を有し、赤道CLに対して左右非対称のトレッドパターンを有する。以下では、赤道CLよりも接地端E1側の領域を第1領域とし、赤道CLより接地端E2側の領域を第2領域とする。空気入りタイヤ1のトレッドパターンは、第1領域が車両外側に、第2領域が車両内側に位置するように車両に対してタイヤが装着された場合に、良好な排水性を確保しつつ、低い空気抵抗と優れたCP特性を実現できる。空気入りタイヤ1は、上記のように、凍結および積雪のない路面で使用されるサマータイヤであって、EV、HV、或いはSUV用のタイヤに好適である。
トレッド10の第1領域には、接地端E1側から順に、ショルダーブロック60、リブ40、およびリブ30が形成されている。第1領域には、2本の主溝20,22が形成され、主溝20がリブ30とリブ40を分断し、主溝22がリブ40とショルダーブロック60を分断している。トレッド10の第2領域には、接地端E2側から順に、ショルダーブロック70、リブ50、およびリブ30が形成されている。第2領域には、2本の主溝21,23が形成され、主溝21がリブ30とリブ50を分断し、主溝23がリブ50とショルダーブロック70を分断している。
本実施形態では、4本の主溝および3本のリブの各々が全長にわたって一定の幅を有し、リブ30の幅方向中央位置が赤道CL上に位置するようにリブ30が形成されている。このため、リブ30のタイヤ軸方向両側に隣接配置される主溝20,21は、赤道CLから等距離の位置に形成されている。3本のリブ30,40,50は、略同じ幅を有する。本明細書において、「略同じ」とは特に断らない限り、全く同じ場合および実質的に同じと認められる場合を意図する(略一定、略平行等についても同様)。
4本の主溝20,21,22,23は、互いに同じ幅で形成されていてもよいが、本実施形態では、リブ30に隣接配置される主溝20,21の幅W20,W21が、ショルダーブロック60,70にそれぞれ隣接配置される主溝22,23の幅W22,W23よりも大きくなっている。本明細書において、溝の幅とは特に断らない限り、トレッド10の接地面に沿ったプロファイル面α(後述の図6参照)に沿った幅を意味する。トレッド10は、赤道CL近傍のセンター領域において、路面に接地するタイヤ周方向長さである接地長が接地端E1,E2近傍よりも長くなる。このため、主溝20,21を幅広に形成することで、例えば、センター領域の良好な排水性が確保され、ウェット制動性能が向上する。
主溝20,21は、互いに同じ幅を有していてもよい。また、主溝23は、主溝22よりも幅広に形成されていてもよい。幅W20,W21の一例は、17.0~18.5mmである。幅W22の一例は12.0~13.5mmであり、幅W23の一例は14.5~16.0mmである。なお、各主溝の壁は、溝底に向かって次第に溝幅が細くなるように傾斜している。主溝の壁はリブおよびブロックの測壁を構成するため、言い換えると、リブおよびブロックは接地面から離れるほど幅が広くなるように側壁が傾斜している。
4本の主溝20,21,22,23は、互いに同じ深さで形成されていてもよく、主溝20,21が主溝22,23よりも深く形成されていてもよい。溝の深さとは、特に断らない限り、溝の最深部の深さを意味する。より詳しくは、最深部におけるプロファイル面αから溝底までの最短距離を意味する。各主溝の深さは、例えば、主溝20,21が8.4mm、主溝22,23が8.2mmである。4本の主溝の少なくともいずれかには、一般的に、摩耗インジケータ(図示せず)が設けられる。摩耗インジケータは、溝底に配置される突起であって、トレッドゴムの摩耗レベルを確認するための指標となる。後述のサイプおよび横溝は、一般的に、摩耗インジケータの上面よりも深く形成される。
3本のリブ30,40,50には、タイヤ周方向に間隔をあけて複数のサイプが形成されている。本明細書において、サイプとは、ショルダーブロック60,70に形成される横溝61,71よりも幅が狭い細溝であって、溝幅が1.0mm以下である溝を意味する。溝幅には、後述する切開部の幅は含まれない。空気入りタイヤ1において、サイプは、例えば、リブの剛性を調整する役割を果たし、良好な乗り心地性能と制動性能の両立に寄与する。本実施形態において、リブ30には1種類のサイプ31が形成され、リブ40,50には2種類のサイプがそれぞれ形成されている。
3本のリブ30,40,50には、リブを横断するサイプは形成されておらず、いずれのサイプも一端が隣接する2本の主溝のうち一方のみにつながり、他端がリブ内で終端している。リブ30には、主溝20から赤道CLに到達しない長さでサイプ31が形成されている。なお、リブ30には主溝21から延びるサイプは形成されていない。リブ40には、主溝22から延びる2種類のサイプ41,42が、タイヤ周方向に交互に形成されている。リブ50には、主溝23から延びる2種類のサイプ51,52が、タイヤ周方向に交互に形成されている。
ショルダーブロック60には、上記の通り、タイヤ軸方向に延びた横溝61が形成されている。また、ショルダーブロック70には、タイヤ軸方向に延びた横溝71が形成されている。本明細書において、横溝(サイプについても同様)が「タイヤ軸方向に延びる」とは、横溝がタイヤ軸方向に沿って延びる形態、およびタイヤ軸方向に対して45°以下、好ましくは30°以下の傾斜角度で延びる形態の両方を意図する。なお、タイヤ周方向に延びる主溝についても同様であり、主溝はタイヤ周方向に対して45°以下の傾斜角度で曲がりながらジグザグ状に形成されてもよい。
ショルダーブロック60の横溝61は、主溝22につながっておらず、当該ブロック内で終端している。ショルダーブロック70の横溝71についても同様に、主溝23につながっておらず、当該ブロック内で終端している。ショルダーブロック60,70は、ブロックの接地面を横断する溝およびサイプを有さず、接地面がタイヤ周方向に連続している。特に、車両外側に位置するショルダーブロック60の横溝61が主溝22に連通しない構成は、ショルダーブロック60の剛性を高め、CP特性を向上させる。一方、この場合、排水性の低下が懸念されるが、空気入りタイヤ1では、接地面の矩形率、および接地幅Wに対する主溝の幅を特定の範囲に限定することにより、CP特性と排水性を高度に両立している。
以下、トレッドパターンを構成するリブ30,40,50およびショルダーブロック60,70のそれぞれについて、さらに詳説する。
[リブ30]
図2に示すように、リブ30は、赤道CL上に配置されたセンターリブであって、赤道CLよりも車両外側のみに形成された複数のサイプ31を有する。リブ30の接地面の幅は、例えば、トレッド10の平面視において、接地幅Wの10%~15%に相当する幅を有する。接地幅Wは、接地端E1から接地端E2までのタイヤ軸方向に沿った長さであって、一例としては200~220mmである。センターリブ30の幅が当該範囲内であれば、良好な制動性能と排水性能を両立し易くなる。センターリブ30の幅の一例は、29mmである。
サイプ31は、主溝20からタイヤ軸方向に延び、リブ30内で終端している。サイプ31は、例えば、タイヤ軸方向に対して5°~30°の角度で傾斜している。また、サイプ31は、主溝20から赤道CL(リブ30の幅方向中央位置)に至らない長さで形成されている。サイプ31のタイヤ軸方向に沿った長さは、リブ30の幅の20~45%が好ましい。サイプ31の幅は、例えば、0.5~1.0mmである。サイプ31は、主溝20よりも浅く形成される。サイプ31の深さは、主溝20の深さの70%~90%であってもよい。
複数のサイプ31は、互いに同じ間隔で形成されていてもよいが、好ましくは、タイヤ周方向に所定本数単位で僅かにサイプ同士の間隔を変化させたバリアブルピッチで形成される。この場合、サイプに起因して発生するピッチノイズの周波数をずらして共鳴を避けることができるので、ノイズが低減される。サイプ31の本数は特に限定されないが、一例としては30~40本である。サイプ31同士の間隔は、リブ40,50の各々に形成されるサイプ同士の間隔よりも広く、サイプ31の本数は、リブ40,50の各々に形成されるサイプの本数よりも少ない。サイプ31の本数は、リブ40,50の各々に形成されるサイプの本数の30~50%であってもよい。
リブ30には、サイプ31の縁に沿って切開部31aが形成されている。切開部31aは、後述の切開部61a,61bと同様に、リブ30の接地面から所定の深さ範囲において、サイプ31の縁を面取りして切り広げるように形成されている。切開部31aは、例えば、サイプ31の縁に作用する接地圧を分散させ、走行性能の向上に寄与する。切開部はサイプ31の幅方向両側に形成されていてもよいが、本実施形態では、サイプ31の幅方向片側だけに切開部31aが形成されている。
切開部31aを形成する斜面は、例えば、幅が最大となる部分において、トレッド10の接地面に沿ったプロファイル面αに対し、30°~60°又は40°~50°の角度で傾斜している。この場合、切開部31aの機能がより効果的に発揮され、また急制動、急加速時に、当該斜面が路面に接地してブロックの倒れ込みが抑制される。切開部31a(斜面)は、サイプ31の全長にわたって形成されていてもよく、主溝20に近づくほど拡幅していてもよい。切開部31aは、例えば、リブ30の接地面から、サイプ31の最深部の深さの30%に相当する深さ範囲内に形成される。この場合、リブ30の耐久性を損なうことなく、走行性能を改善できる。
[リブ40]
リブ40は、車両外側の第1領域において、主溝20を挟んでリブ30とタイヤ軸方向に対向配置され、かつ主溝22を挟んでショルダーブロック60とタイヤ軸方向に対向配置されている。リブ40の接地面の幅は、例えば、リブ30の接地面の幅と同じか、又はリブ30の接地面の幅よりもやや小さく、リブ30の接地面の幅の90~110%であってもよい。また、リブ40には、主溝20の縁を面取りして切り広げるように切開部43が形成されている。切開部43を形成する斜面は、例えば、プロファイル面αに対して30°~60°又は40°~50°の角度で傾斜している。切開部43(斜面)は、リブ40の全長にわたって一定の幅で形成されている。本実施形態において、主溝の縁に沿った切開部はリブ40のみに形成されている。
リブ40には、互いに形状が異なる2種類のサイプ41,42が形成されている。サイプ41は全長にわたって直線状に形成されているのに対し、サイプ42は主溝22の近傍で屈曲している。また、サイプ42は、タイヤ軸方向に沿った長さが、サイプ41よりもやや長くなっている。サイプ41,42は、リブ30のサイプ31と同様に、リブ40の幅方向中央位置よりも車両外側の領域のみに形成され、主溝22からタイヤ軸方向に延びてリブ40内で終端している。
サイプ41,42は、例えば、サイプ31と略同じ方向に延び、タイヤ軸方向に対して5°~30°の角度で傾斜している。タイヤ軸方向に対する傾斜角度は、サイプ41,42の方が、サイプ31よりやや大きくてもよい。また、サイプ41,42は、主溝22からリブ40の幅方向中央位置に至らない長さで形成されている。サイプ41,42のタイヤ軸方向に沿った長さは、リブ40の幅の20~45%が好ましい。サイプ41,42の幅は、例えば、0.5~1.0mmである。サイプ41,42の深さは、最深部において、主溝22の深さの70%~90%であってもよい。
サイプ41,42は、リブ40の全長にわたって良好な剛性バランスを確保するため、タイヤ周方向に所定の間隔をあけて交互に配置されていることが好ましい。また、サイプ41,42は、トレッド10の平面視において、ショルダーブロック60の横溝61と千鳥状に配置されている。即ち、タイヤ周方向に沿って、サイプ41,42と、横溝61とが、主溝22を隔てて交互に並ぶように配置されている。形状が異なる2種類のサイプ41,42をタイヤ周方向に交互に配置することで、例えば、CP特性、制動性能等の向上に寄与するようにリブ40の剛性を調整することが容易になる。
サイプ41,42の間隔は、同じであってもよいが、好ましくは、所定本数単位で僅かに間隔が変化したバリアブルピッチである。サイプ41,42の本数は特に限定されないが、一例としては60~80本である。サイプ41,42の合計の本数はリブ30のサイプ31の本数よりも多いが、本実施形態では、サイプ41,42のそれぞれの本数がサイプ31の本数と同数である。
図4は、リブ40およびショルダーブロック60を拡大して示す斜視図である。図4に示すように、サイプ42内の主溝22と隣接する領域には、突起42cが形成されている。突起42cは、後述する切開部42a、又はその近傍まで溝底が隆起した部分であって、平面視三角形状を有する。なお、突起42cにより、サイプ42の深く形成された部分は屈曲している。サイプ42の深さは、主溝22と隣接する領域において、他の領域より浅くなっていてもよい。
リブ40には、サイプ41の縁に沿って切開部41a,41bが、サイプ42の縁に沿って切開部42a,42bがそれぞれ形成されている。切開部41a,41bは、リブ40の接地面から所定の深さ範囲において、サイプ41の縁を面取りして切り広げるように形成されている。切開部42a,42bについても同様に、リブ40の接地面から所定の深さ範囲において、サイプ42の縁を面取りして切り広げるように形成されている。各切開部により、例えば、リブ40の接地圧が効果的に分散され、走行性能が改善される。
本実施形態では、サイプ41の幅方向両側に切開部41a,41bがそれぞれ形成され、サイプ42の幅方向両側に切開部42a,42bがそれぞれ形成されている。また、各切開部は、主溝22と反対側のサイプ41,42の長さ方向一端縁において屈曲し、屈曲部から離れるほど次第に幅が小さくなっている。他方、各切開部は、当該屈曲部から主溝22に向かって拡幅していてもよい。リブ40の各切開部を形成する斜面は、幅が最大となる部分において、プロファイル面αに対し、切開部31aを形成する斜面と略同じ角度で傾斜していてもよい。また、各切開部(斜面)は、リブ40の接地面から、サイプ41,42の最深部の深さの30%に相当する深さ範囲内に形成されることが好ましい。
[リブ50]
リブ50は、車両内側の第2領域において、主溝21を挟んでリブ30とタイヤ軸方向に対向配置され、かつ主溝23を挟んでショルダーブロック70とタイヤ軸方向に対向配置されている。リブ50の接地面の幅は、リブ30の接地面の幅と同じであってもよい。リブ50には、互いに形状が異なる2種類のサイプ51,52が形成されている。サイプ51,52は、いずれも主溝23からタイヤ軸方向に延び、リブ50内で終端している。各リブの両側に位置する主溝のうち、リブ30,40のサイプは車両外側の主溝に連通しているのに対し、サイプ51,52は車両内側の主溝に連通している。
サイプ51,52は、主溝23からリブ50の幅方向中央位置に至らない長さで形成されている。即ち、サイプ51,52は、リブ50の幅方向中央位置よりも車両内側の領域のみに形成されている。サイプ51,52のタイヤ軸方向に沿った長さは、リブ50の幅の20~45%が好ましい。サイプ51は、サイプ41と略同じ方向に真っ直ぐに延び、サイプ41と同一直線上に形成されていてもよい。サイプ52は、サイプ42と同様に主溝23の近傍で屈曲しているが、直線状に延びた部分はサイプ42と同一直線上に形成されていてもよい。サイプ51,52の深さは、最深部において、主溝23の深さの70%~90%であってもよい。
サイプ51,52は、サイプ41,42と同様に、タイヤ周方向に間隔をあけて交互に配置されることが好ましい。また、サイプ51、52は、トレッド10の平面視において、ショルダーブロック70の横溝71と千鳥状に配置されている。即ち、タイヤ周方向に沿って、サイプ51,52と、横溝71とが、主溝23を隔てて交互に並ぶように配置されている。各サイプ同士の間隔は、同じであってもよいが、好ましくは、所定本数単位で僅かに間隔が変化したバリアブルピッチである。本実施形態において、サイプ51,52の本数は、サイプ41,42の本数と同じである。
リブ50には、サイプ51の縁に沿って切開部51aが、サイプ52の縁に沿って切開部52a,52bがそれぞれ形成されている。各切開部は、リブ50の接地面から所定の深さ範囲(例えば、各サイプの最深部の深さの30%に相当する深さ範囲)において、各サイプの縁を面取りして切り広げるように形成されている。各切開部により、例えば、リブ50の接地圧が効果的に分散され、走行性能が改善される。リブ50の各切開部を形成する斜面は、幅が最大となる部分において、プロファイル面αに対し、切開部31aを形成する斜面と略同じ角度で傾斜していてもよい。
サイプ51の平面視形状は、赤道CLに対して、サイプ41を180°回転させた場合の平面視形状と類似しているが、サイプ51は、幅方向片側のみに切開部51aが形成されている点で、幅方向両側に切開部41a,41bが形成されたサイプ41と異なる。また、リブ30にはサイプ31のタイヤ周方向一方側に位置する縁に切開部31aが形成されているが、リブ50にはサイプ51のタイヤ周方向他方側に位置する縁に切開部51aが形成されている。
サイプ52の平面視形状は、赤道CLに対して、サイプ42を180°回転させた場合の平面視形状と類似しているが、各サイプの縁に形成された切開部の形状が互いに異なる。例えば、サイプ42の縁に形成された切開部42aは主溝22に向かって拡幅しているが、サイプ52の縁に形成された切開部52bはサイプ52の全長にわたって略一定の幅で形成されている。
[ショルダーブロック60]
以下、図4~図6をさらに参照しながら、ショルダーブロック60について詳説する。図5はショルダーブロック60の横溝61が形成された部分を拡大して示す平面図、図6は図5中のBB線断面図である。
図4に示すように、ショルダーブロック60は、車両外側の第1領域において、主溝22を隔ててリブ40と平行に配置されている。ショルダーブロック60の接地面の幅は、例えば、接地幅Wの15%~25%である。本実施形態では、ショルダーブロック60の接地面の幅が、接地幅Wの15%~25%の範囲内において、ショルダーブロック70の接地面の幅よりもやや大きくなっている。そして、車両外側の第1領域の接地面積が、車両内側の第2領域の接地面積よりもやや大きくなっている。この場合、CP特性をより効果的に改善できる。
ショルダーブロック60には、タイヤ周方向に間隔をあけて、主溝22と交差する方向に延びる横溝61が複数形成されている。横溝61は、上記のように、主溝22につながらずショルダーブロック60内で終端している。このため、ショルダーブロック60の接地面はタイヤ周方向に連続している。この場合、横溝が主溝22に連通する場合と比べて排水性はやや低下するが、CP特性は大きく向上する。また、タイヤ軸方向に延びる溝の長さが短くなることから、空気抵抗およびノイズの低減効果も得られる。
空気入りタイヤ1は、良好な排水性を確保しつつ、優れたCP特性を実現すべく、接地面の矩形率、および接地幅Wに対する主溝の幅を特定の範囲に制御した設計としている。また、ショルダーブロック60には、横溝61の幅方向両縁に沿って切開部61a,61bが形成されている。この場合、上記効果がより顕著になる。
横溝61は、各リブのサイプと同様に、バリアブルピッチで形成されていることが好ましい。横溝61の本数は、例えば、リブ40,50に形成されたサイプの本数と同数である。本実施形態において、横溝61は、長さ方向両端の近傍を除き、略一定の幅で形成されている。横溝61は、主溝22側に位置する長さ方向の第1端の近傍において、第1端に向かって次第に縮幅している。また、横溝61は、サイドリブ13側に位置する長さ方向の第2端に向かって、接地端E1の近傍から次第に拡幅している。横溝61の深さは、最深部において、主溝22と略同じ深さであってもよく、主溝22の深さの70%~95%であってもよい。
横溝61は、屈曲部61eを有し、屈曲部61eから上記第1端に向かって次第に溝幅が狭くなった先細り形状を有する。屈曲部61eは、横溝61の片側の縁が折れ曲がって形成され、タイヤ周方向一方側に突出している。屈曲部61eは、横溝61の第1端からタイヤ軸方向外側に所定長さ(例えば、ショルダーブロック60の接地面の幅の10%~25%に相当する長さ)離れた位置に形成される。横溝61の深さは、屈曲部61eよりも第1端側で次第に浅くなっていてもよい。横溝61の最深部は、屈曲部61eと接地端E1の間に位置する。
横溝61は、主溝22からタイヤ軸方向外側に所定長さ離れた位置より、接地端E1を超えてサイドリブ13の近傍まで延びている。当該所定長さは、例えば、ショルダーブロック60の接地面の幅の15%~25%である。この場合、排水性とCP特性の両立を図ることが容易になる。横溝61は、タイヤ軸方向に沿って延びていてもよいが、タイヤ軸方向に対して5°~25°の角度で傾斜していることが好ましい。本実施形態では、タイヤ軸方向に対する横溝61,71の傾斜角度は実質的に同じであり、互いに同じ方向に傾斜している。
ショルダーブロック60には、横溝61の縁に沿って切開部61a,61bが形成されている。切開部は、横溝61の幅方向片側のみに形成されていてもよいが、本実施形態では、横溝61の幅方向両縁に沿って形成されている。各切開部は、ショルダーブロック60の接地面から所定の深さ範囲において、横溝61の縁を面取りして切り広げるように形成されている。切開部61a,61bにより、例えば、CP特性の低下を抑制しつつ、排水性を向上させることができる。また、切開部61a,61bは、ショルダーブロック60の接地圧を分散し、CP特性等の走行性能を改善する。
切開部61a,61bは、横溝61の第1端から接地端E1を超える位置にわたって形成されている。切開部61a,61bは、横溝61の全長にわたって、横溝61の両縁に形成されていてもよい。切開部61a,61bの深さは、横溝61の最深部の幅方向両側において、最深部の深さの10%~30%が好ましく、15%~25%がより好ましい。この場合、排水性とCP特性の両立を図ることが容易になる。切開部61a,61bは、例えば、横溝61の開口から2.0mmの深さ範囲に形成される。
切開部61aを形成する斜面61cは、プロファイル面αに対して角度θで傾斜している。切開部61bを形成する斜面61dについても同様に、プロファイル面αに対して角度θで傾斜している。プロファイル面αに対する各斜面の傾斜角度θは、少なくとも横溝61の幅方向に対向する位置において同じであってもよい。横溝61の最深部の幅方向両側において、角度θは、例えば、30°~60°又は40°~50°である。この場合、切開部61a,61bによる効果がより顕著になる。斜面61c,61dは、リブ30の切開部31aを形成する斜面と略同じ角度で傾斜していてもよい。
切開部61a,61bは、例えば、トレッド10の平面視において、屈曲部61eから接地端E1まで実質的に同じ幅で形成されている。また、屈曲部61eから接地端E1まで、斜面61c,61dの角度θは一定であってもよい。切開部61aは、斜面61cと、プロファイル面αと、横溝61の壁を延ばした仮想線との間に囲まれた領域であるから(切開部61bについても同様)、切開部61a,61bの大きさは、例えば、主溝22側から接地端E1にわたって実質的に一定である。
トレッド10の平面視における切開部61aの幅W61aは、横溝61の最深部の幅方向両側において、例えば、横溝61の幅W61の30%~70%又は40%~60%である。切開部61bの幅は、横溝61の幅方向に対向する位置で切開部61aの幅W61aと同じであってもよい。なお、切開部61a,61bは、横溝61の屈曲部61eから第1端に向かって、次第に縮幅している。
[ショルダーブロック70]
ショルダーブロック70は、車両内側の第2領域において、主溝23を隔ててリブ50と平行に配置されている。ショルダーブロック70の接地面の幅は、例えば、接地幅Wの15%~25%であり、各リブの接地面の幅よりも大きい。ショルダーブロック70の接地面の幅は、ショルダーブロック60の接地面の幅と同じであってもよいが、本実施形態では、ショルダーブロック60の接地面の幅よりも小さくなっている。
ショルダーブロック70には、タイヤ周方向に間隔をあけて、主溝23と交差する方向に延びる横溝71が複数形成されている。横溝71は、上記のように、主溝23につながらずショルダーブロック70内で終端している。このため、ショルダーブロック70の接地面はタイヤ周方向に連続している。この場合、横溝が主溝23に連通する場合と比べて排水性はやや低下するが、制動性能は大きく向上する。また、空気抵抗およびノイズの低減効果も得られる。本実施形態では、第2領域における排水性の低下を抑制するため、主溝23の幅W23を車両外側の主溝22の幅W22より大きくしている。
横溝71は、主溝23からタイヤ軸方向外側に所定長さ離れた位置より、接地端E2を超えてサイドリブ13の近傍まで延びている。当該所定長さは、横溝61の場合と同様に、ショルダーブロック70の接地面の幅の15%~25%であってもよい。また、本実施形態において、横溝71は、タイヤ軸方向に対して5°~25°の角度で傾斜している。
横溝71は、各リブのサイプおよびショルダーブロック60の横溝61と同様に、バリアブルピッチで形成されていることが好ましい。横溝71の本数は、例えば、横溝61の本数と同数である。横溝71は、長さ方向両端の近傍を除き、略一定の幅で形成されている。横溝71は、主溝23側に位置する長さ方向の第1端の近傍において、第1端に向かって次第に縮幅している。また、横溝71は、サイドリブ13側に位置する長さ方向の第2端に向かって、接地端E2の近傍から次第に拡幅している。横溝71の深さは、最深部において、主溝23と略同じ深さであってもよく、主溝23の深さの70%~95%であってもよい。
横溝71は、屈曲部71eを有し、屈曲部71eから上記第1端に向かって次第に溝幅が狭くなった先細り形状を有する。横溝71の深さは屈曲部71eよりも第1端側で次第に浅くなり、横溝71の最深部は屈曲部71eと接地端E1の間に位置する。屈曲部71eは、横溝71の片側の縁が折れ曲がって形成され、タイヤ周方向他方側に突出している。即ち、横溝61,71の各屈曲部は、タイヤ周方向に対し、互いに反対方向に突出している。横溝71は、例えば、トレッド10の平面視において、横溝61を赤道CLに対して180°回転させた場合の形状と実質的に同じである。
ショルダーブロック70には、横溝71の縁に沿って切開部71a,71bが形成されている。切開部は、横溝71の幅方向片側のみに形成されていてもよいが、本実施形態では、横溝71の幅方向両側に形成されている。各切開部により、例えば、ショルダーブロック70の接地圧が効果的に分散され、走行性能が改善される。切開部71a,71bの深さ、幅、切開部71a,71bを形成する斜面の傾斜角度などは、ショルダーブロック60の切開部61a,61bの場合と同様である。
図7は、トレッド10の接地面の形状を模式的に示す図である。図7に示すように、トレッド10の接地面は、赤道CL上における接地面のタイヤ周方向に沿った長さである接地長(L1)に対し、接地端E1,E2近傍の接地長(L2)が比較的短く、楕円形状に近い形状を有する。接地長(L2)は、接地端E1,E2から接地幅Wの10%に相当する長さ分、タイヤ軸方向内側の位置における接地面のタイヤ周方向に沿った長さである。本明細書において、L2/L1がトレッド10の接地面の矩形率と定義される。
トレッド10の接地面の矩形率は、タイヤの内圧を250kPa、606kgの荷重をかけた状態において、0.58~0.65である。さらに、4本の主溝20,21,22,23の幅の合計が、接地幅Wの27%~33%である。ショルダーブロック60の横溝61が主溝22につながっていないトレッドパターンにおいて、これらの条件が満たされる場合、良好な排水性とCP特性を両立することが可能となる。
接地面の矩形率は、例えば、トレッド10のタイヤ軸方向中央の領域と接地端E1,E2の近傍の領域とのタイヤ径方向長さの差を小さくして、ショルダーに丸みを帯びさせる所謂接地面のラウンド化により小さくすることができる。タイヤの扁平率に応じて内圧を変更すると最適な矩形率は多少変化するが、本実施形態のトレッドパターンにおいて、上記条件下の矩形率が0.58~0.65であれば優れた排水性とCP特性を両立できる。本実施形態において、接地長(L2)は、トレッド10の左右において実質的に同じ長さである。
接地面の矩形率は、0.59~0.64がより好ましく、0.60~0.63が特に好ましい。接地面の矩形率は、0.62±0.01に設定されてもよい。本実施形態のトレッドパターンにおいて、接地面の矩形率が0.58を下回るとCP特性が低下し、良好な排水性とCP特性を両立できない。他方、接地面の矩形率が0.65を超えると排水性が低下し、この場合も良好な排水性とCP特性を両立できない。
トレッド10の接地幅Wに対する、主溝20,21,22,23の幅の合計の比率((W20+W21+W22+W23)×100/W)は、上記のように、27%~33%であり、より好ましくは28%~32%、特に好ましくは29%~31%である。本実施形態のトレッドパターンにおいて、当該比率が27%を下回ると排水性が低下し、良好な排水性とCP特性を両立できない。他方、当該比率が33%を超えるとCP特性が低下し、この場合も良好な排水性とCP特性を両立できない。
空気入りタイヤ1は、接地面の赤道CL上の位置の外径/2(H1)と、接地端E1,E2上の位置の外径/2(H2)との差(H1-H2)が、8.5~9.5mmであることが好ましい。外径/2(高さ)の差(H1-H2)が8.5~9.5mmとなるようにプロファイル面αを形成することにより、接地面の矩形率を上記範囲内に制御することが容易になり、良好な排水性とCP特性をより高度に両立できる。高さの差(H1-H2)は、空気入りタイヤ1の断面視において、接地端E1,E2から、接地面のタイヤ赤道CL上の位置からタイヤ軸方向に延びる仮想線までの最短距離である。
空気入りタイヤ1は、上記ベルトを覆うコード層を有していてもよい。当該コード層は、例えば、ベルトの外側に配置されたベルト補強層であって、タイヤ周方向に繊維糸を巻き付けることにより形成される。当該コード層は、ベルトの幅方向両端部を覆う部分が二重に巻かれ、他の部分よりも厚く形成されていてもよい。この場合、接地面をラウンド化でき、接地面の矩形率を上記範囲内に制御することが容易になる。ベルトの幅方向両端は、例えば、接地端E1,E2とサイドリブ13との間に位置する。
空気入りタイヤ1は、トレッド10の接地面の外周縁に沿った輪郭線に囲まれた領域の面積(A1)に対する、溝面積(A2)の比率(A2×100/A1)が、32%~36%であることが好ましく、33%~35%であることがより好ましい。当該比率はボイド比とも呼ばれ、溝面積(A2)は、プロファイル面αに沿った溝開口における面積を意味し、各主溝および各横溝の面積を含む。なお、溝面積(A2)には、サイプおよび切開部の面積は含まれない。ボイド比が当該範囲内であれば、良好な排水性とCP特性をより高度に両立できる。
以下、実験例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
<実験例1>
図1~図6に示すトレッドパターンを有するタイヤT1(タイヤサイズ:275/45R21 107W、接地幅W:210mm)について、有限要素に分割したFEMモデルを作成し、当該FEMモデルを用いたコンピュータシミュレーションにより、タイヤ性能(排水性およびCP特性)を評価した。
タイヤT1の接地面の矩形率、接地幅Wに対する主溝幅の比率((W20+W21+W22+W23)×100/W)、接地面の高さの差(H1-H2)、およびボイド比(A2×100/A1)等は、下記の通りである。
接地面の矩形率:0.62
主溝幅/接地幅:30.4%
接地面の高さの差(H1-H2):9.05mm
ボイド比:34.3%
タイヤT1のFEMモデルを用いたシミュレーション条件の詳細は下記の通りである。
サイズ:275/45R21 107W
リムサイズ:21X9.5JJ
空気圧:250kPa
荷重:606kg
排水性については、水膜(水深)を8mmに設定し、0km/hから加速させ、ハイドロプレーニング現象が発生した速度を評価した。
<実験例2~10>
接地面の矩形率、主溝幅/接地幅、接地面の高さの差(H1-H2)、およびボイド比を表1の値とした、タイヤT1と同様のトレッドパターンを有するタイヤT2~T10のFEMモデルを作成した。当該各モデルについて、実験例1と同様の条件でタイヤ性能(排水性およびCP特性)を評価した。
タイヤT1~T10の排水性およびCP特性の評価結果を表1に示す。表1の評価結果は、タイヤT1の評価結果を100とする相対値であって、数値が高いほど性能が良いことを示す。
Figure 2024034644000002
表1に示すように、タイヤT1~T3では、良好な排水性とCP特性が高度に両立されている。これに対し、タイヤT4、T8~T10は、優れたCP特性を有するものの排水性に劣る。また、タイヤT5~T7は、優れた排水性を有するもののCP特性に劣る。主溝につながらない横溝が形成されたショルダーブロックを含むトレッドパターンを有するタイヤにおいて、良好な排水性とCP特性を両立するためには、接地面の矩形率を0.58~0.65とし、主溝の幅の合計を接地幅Wの27%~33%とすることが重要であることが理解される。
なお、上記実施形態は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。4本の上記主溝、3本の上記リブ、各リブに形成された上記サイプ、および第2のショルダーブロック70の上記構成を含むトレッドパターンは、良好な排水性を確保しつつ、優れたCP特性を有するサマータイヤに好適であるが、トレッドパターンの一部を変更して、本発明の目的を実現することは可能である。例えば、本開示に目的を損なわない範囲で、各リブに形成されたサイプの本数、形状等を変更してもよい。
但し、図1~図7に示すトレッドパターンは、全体として、上記効果をより顕著に奏するパターンとなっている。上記実施形態のトレッドパターンを備える空気入りタイヤ1は、例えば、ドライ路面およびウェット路面の両方における制動性能に優れ、また急発進、急制動、急旋回時の操縦安定性にも優れる。このため、加速性能の高いEV、HV用、車重の重いSUV用のサマータイヤに好適である。
1 空気入りタイヤ、10 トレッド、11 サイドウォール、12 ビード、13 サイドリブ、20,21,22,23 主溝、30,40,50 リブ、31,41,42,51,52 サイプ、31a,41a,41b,42a,42b,43,51a,52a,52b,61a,61b,71a,71b 切開部、42c 突起、61e,71e 屈曲部、60,70 ショルダーブロック、61,71 横溝、61c,61d 斜面、CL 赤道、E1,E2 接地端

Claims (6)

  1. トレッドを備えた空気入りタイヤであって、
    前記トレッドは、
    タイヤ周方向に延びる主溝と、
    前記主溝により区画された第1および第2のショルダーブロックと、
    を有し、
    前記第1および前記第2のショルダーブロックには、前記主溝と交差する方向に延びて当該各ブロック内で終端する横溝がそれぞれ形成され、
    前記トレッドの接地面の矩形率が、0.58~0.65であり、
    前記主溝の幅の合計が、接地幅の27%~33%である、空気入りタイヤ。
  2. 前記主溝には、第1の主溝、第2の主溝、第3の主溝、および第4の主溝が含まれ、
    前記トレッドは、前記主溝により区画され、タイヤ周方向に延びた3本のリブを有する、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記空気入りタイヤは、車両に対する装着方向が指定されたタイヤであって、
    前記第1の主溝、前記第2の主溝、前記第3の主溝、および前記第4の主溝が、車両外側からこの順で配置され、前記第1の主溝の幅は前記第4の主溝の幅より小さく、前記第2および前記第3の主溝の幅は前記第4の主溝の幅より大きい、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記接地面のタイヤ赤道上の位置と、接地端上の位置との高さの差が、8.5~9.5mmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記接地面の輪郭線に囲まれた領域の面積に対する、溝面積の比率が、32%~36%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記第1および前記第2のショルダーブロックには、前記横溝に沿って切開部が形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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