JP2024033545A - 電力変換システムおよびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】直流出力回路が並列接続された複数の自励式電力変換器により構成され、負荷に1000Aを超える大きな直流電流を負荷に供給する電力変換システムにおいて、主回路に追加要素を加えずに自励式電力変換器間の横流を抑制することができ、コンパクトかつ構成要素の高い利用率を実現する電力変換システム及びその制御方法を提供する。【解決手段】電力変換システムは、負荷状態量と運転指令とに基づき算出される負荷供給直流電流指令値に基づき負荷供給直流電圧を調整する負荷供給電圧調整部と、直流電流の平滑化と交流電源に流出する高調波電流の抑制を兼ねるリアクトルを備えた自励式電力変換器と、自励式電力変換器の備える直流コンデンサ電圧を所定の値に維持するための交流電流指令値と交流系統側に出力する交流電力の力率が所定の力率と一致するよう無効電力を制御するための電流指令値に基づきリアクトルを流れる電流を制御する電流制御部を備える。【選択図】図1

Description

本発明は直流負荷に電力を供給する電力変換システムおよびその制御方法に関する。
地球温暖化の抑制に向け、カーボンフリーの燃料である水素の利活用技術が活発に研究・開発されている。それら水素需要用途に向け、大規模な水素製造も求められ、世界各国で水電解槽による水素製造の実証プロジェクトが進んでいる。
なかでも欧州では洋上風力の発電電力を活用した数十MWの水素製造装置の実証プロジェクトが計画・進行しており、今後も水電解装置の大型化は継続するものと予想される。水電解槽によるMW級の水素製造においては、非特許文献1のTable 6.1にその一例が示されるように、水電解槽は数百V、数千Aという低圧・大電流特性を有し、その電源には非特許文献1のFigure7.4に示されるように、サイリスタ整流器による直流電流供給が適用されてきた。
サイリスタはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)など自己消弧型半導体スイッチング素子に比べ、大電流供給に優位である一方、系統に大きな低次高調波電流が流出する、動作点によって力率が変わる、という欠点を有する。そのため、非特許文献1のFigure 8.2に示されるように、高調波フィルタや力率改善用のSTATCOMなど付帯装置を要する。また、サイリスタ整流器に供給する交流電圧は数百Vとなり、直流回路のみならず交流回路にも大電流を流す必要があるため、当該変圧器は大型の設備となり、数10~数100MW級の水電解システムにおいては、システム全体の大型化・重量化回避が課題であった。
高調波フィルタや力率改善用STATCOMなどの付帯設備を設置しないための方法として、整流器の自己消弧型のスイッチング素子を備える自励式電力変換器化が考えられる。自励式電力変換器による大電流直流負荷への電力供給技術として、特許文献1では複数の自励式電力変換器の直流出力端子を横流抑制用のリアクトルおよび横流検出用の電流センサを備え、無負荷時に上記自励式電力変換器間を流れる横流を検出し、自励式電力変換器の出力電圧指令値を補正する電力供給構成および制御手法が開示されている。
特開2002-234365
しかし上記特許文献1に記載の技術においては、直流出力端子に大電流で飽和しないリアクトルを追加で備える必要があり、システムの大型化が懸念される。さらに、水電解槽は供給する負荷電流に応じて電圧降下が変動するため、定格値でのみ出力電圧指令値を補正するだけでは広い電圧範囲で負荷への電力供給が求められる水電解槽用電源としては無負荷時の出力電圧の調整だけでは他の運転動作点における横流抑制機能が担保されない、という課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、直流出力回路が並列接続された複数の自励式電力変換器により構成され、負荷に1000Aを超える大きな直流電流を負荷に供給する電力変換システムにおいて、主回路に追加要素を加えずに上記自励式電力変換器間の横流を抑制することができ、コンパクトかつ構成要素の高い利用率を実現する電力変換システム及びその制御方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る電力変換システムは、変圧器を介して交流系統に連系し負荷装置に直流電力を供給する電力変換システムであって、負荷状態量と運転指令とに基づき算出される負荷供給直流電流指令値に基づき負荷供給直流電圧を調整する負荷供給電圧調整部と、直流電流の平滑化と交流電源に流出する高調波電流の抑制を兼ねるリアクトルを備えた自励式電力変換器と、自励式電力変換器の備える直流コンデンサ電圧を所定の値に維持するための交流電流指令値と交流系統側に出力する交流電力の力率が所定の力率と一致するよう無効電力を制御するための電流指令値に基づき前記リアクトルを流れる電流を制御する電流制御部を備える。
本発明によれば、自励式電力変換器主回路に追加要素を加えずに自励式電力変換器の間を循環する横流を抑制することができ、コンパクトかつ構成要素の高い利用率を実現する電力変換システム及びその制御方法を構築することができる。
本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
本発明の実施例1に係る電力変換システムの全体構成を説明するための図。 電力変換システムの一部を構成する自励式電力変換器の構成を説明するための図。 自励式電力変換器を構成するセル変換器の構成を説明するための図。 電力変換システムを制御する統合制御装置の機能構成を示すブロック図。 水電解槽の電圧・電流・水素製造量の関係を示すグラフ。 統合制御装置に内包する、直流電流指令値算出器の機能構成を示すブロック図。 統合制御装置に内包する、交流電流指令値算出器と交流電流制御器の機能構成を示すブロック図。 統合制御装置に内包する、相間バランス制御器のブロック図。 統合制御装置に内包する、セルバランス制御器のブロック図。 統合制御装置に内包する、電圧指令値合成器の説明図。 統合制御装置に内包する、相電圧指令値合成器の説明図。 統合制御装置に内包する、ゲート信号生成器の説明図。 自励式電力変換器10の等価回路の説明図。 図13の近似回路を直流出力端子P、Nから見込んだ等価回路およびその簡略化した回路図。 実施例1に係る電力変換ユニットの動作例説明図。 実施例1の第2の形態における統合制御装置の説明図。 統合制御装置が内包する直流電流制御器の説明図。 実施例1の第2の形態における動作例。 本発明の実施例2に係る電力変換システムの説明図。 水電解槽ユニットの構成を説明する図。 統合制御装置100_aの機能構成を説明するブロック図。 統合制御装置が内包する異常検出器の異常判定手法の説明図。 直流電流制御器の機能構成を示すブロック図。
本発明の実施例を、図を用いて以下説明する。
[実施例1]
本発明の実施例1について、図1を用いて説明する。図1には、本発明の電力変換システム1およびその負荷である水電解槽ユニット30を示す。電力変換システム1は交流系統50より交流電力を受電し、水電解槽ユニット30に1000Aを超える大電流を供給するものである。
電力変換システム1は、大きく系統連系用の変圧器20、自励式電力変換器10、11、そして統合制御装置100により構成される。変圧器20は3巻線変圧器であり、自励式電力変換器10、11に互いに絶縁された交流電圧を供給する。
自励式電力変換器10、11の直流出力回路は並列に接続され、自励式電力変換器10、11の直流出力電流の合計が負荷電流I_loadとして水電解槽ユニット30に供給される。
統合制御装置100には、交流電圧センサ40で検出された系統電圧、自励式電力変換器10、11の備える電圧・電流センサ検出値、そして水電解槽ユニット30の温度情報、そして図示しないシステム制御器より入力される運転指令COMが入力され、自励式電力変換器10、11を構成する後述のセル変換器用のゲート信号GateSig1、GateSig2を出力する。
図2には自励式電力変換器10の主回路構成を示す。自励式電力変換器10は複数のセル変換器を直列接続するMulti Modular Converterである。
交流入力端子U、V、Wは、図に示すようにレグを構成するセル変換器およびバッファリアクトルの直列体の中点に接続される。U相、V相、W相レグは同様の構成を備えるため、U相に着目して回路構成を説明する。
U相レグはk個のセル変換器60UP_1、60UP_2、…、60UP_kとバッファリアクトル70UPで構成されるP側アーム、そして同様にk個のセル変換器60UN_1、60UN_2、…、60UN_kとバッファリアクトル70UNとで構成されるN側アーム、により構成される。該セル変換器は交流出力端子を直列に接続されており、該セル変換器の交流出力端子の和が交流入力端子Uに出力される。各セル変換器は直流コンデンサを備え、該セル変換器のスイッチングタイミングをずらすことによりアームとしてマルチレベルの準交流電圧を出力することが可能であり、これにより従来の2レベルや3レベルの自励式電力変換器に比べて交流系統側に流出する高調波電流を大幅に削減することができ、高調波フィルタレスでの主回路構成が可能となる。また、アーム出力電圧に含まれる商用周波数成分は、振幅と位相を独立に制御することが可能なため、所望の力率での運転が可能である。
本実施例の各アームには、該アームを流れる電流を検出する電流センサが備えられ、自励式電力変換器の直流出力端子N側からP側に流れる方向を正としてアーム電流が検出され、その検出値I_UP_1、I_UN_1、I_VP_1、I_VN_1、I_WP_1、I_WN_1は統合制御装置100に出力される。
また、直流出力端子P、Nより負荷に供給する電流は電流センサ70_Outにより検出され、その検出値I_dc_1は統合制御装置100に出力される。直流出力端子PとNの間の差電圧は電圧センサ90_Outにより検出され、その検出値V_load_1は統合制御装置100に出力される。
図2に示されるセル変換器はすべて同じ主回路構成を備える。代表例としてセル変換器60UP_1の主回路構成を図3を用いて説明する。
セル変換器60UP_1は、IGBTと該IGBTに逆並列接続されたダイオードにより構成されるスイッチングモジュールSW_P1、SW_P2、SW_N1、SW_N2と、直流コンデンサ60CUP_1で構成されるフルブリッジチョッパである。直流コンデンサ60CUP_1の電圧は電圧センサ90UP_1により検出され、その検出値Vdc_cell_UP_1は統合制御装置100に出力される。また、上記スイッチングモジュールのIGBTは統合制御装置100より出力されるゲート信号によりON・OFF制御され、交流出力端子に所望の電圧を出力する。
上記スイッチングモジュールには定格電流が100A以上の素子が選定され、該セル変換器により構成される自励式電力変換器を並列接続することによって、1000A以上の大電流を負荷である水電解槽ユニット30に出力する。
次に、統合制御装置100の演算ブロックを図4を用いて説明する。統合制御装置100は大きく水素製造演算部10030、単位変換器制御部10031、10032、そして表示器1008により構成される。
統合制御装置100は、図示しない上位制御装置から受け取る水素製造量指令値H2_Gen_Ref、運転指令COM、力率指令値PF_Ref、そして各センサにより検出された状態量検出値が入力され、自励式電力変換器10、11のセル変換器を駆動するゲート信号GateSig1、GateSig2を出力する。また、表示器1008には自励式電力変換器10、11の直流出力電流検出値および該水素製造量指令と運転指令COMに応じて算出される該自励式電力変換器の直流出力電流指令値を入力とし、それらをグラフ表示する。本水電解槽システムの操作者は、表示器1008に表示されるグラフより、所望の水素製造装置に必要と算出された各自励式電力変換器の直流出力電流指令値と、その実績である直流出力電流検出値を目視することでシステムの挙動を確認することができる。
運転指令COMは、自励式電力変換器10、11のゲートブロック/デブロック、および統合制御装置100内の積分演算のクリア/アクティベーションを制御する信号である。COMがネガティブである間はゲート信号GateSig1、GateSig2はすべてOFFであり、水素製造演算部10030、単位変換器制御部10031、10032の含む積分器はローパスフィルタを除き内部変数を含め演算がクリアされる。COMがアクティブになると、すべての積分演算器の演算が開始され、ゲート信号GateSig1、GateSig2も単位変換器制御部10031、10032の演算に従ってON、OFFが算出され、自励式電力変換器10、11が該ゲート信号によって電力変換を実現する。
単位変換器制御部10031は、交流電圧センサ40で検出した系統電圧検出値Grid_voltage、図示しない上位制御器より出力される力率指令値PF_Ref、セル変換器直流電圧検出値Vdc_cell_UP_1_1~Vdc_cell_WN_k_1、アーム電流検出値I_UP_1、I_UN_1、I_VP_1、I_VN_1、I_WP_1、I_WN_1を入力とし、自励式電力変換器10を構成するセル変換器の直流電圧が所定の電圧に一致し、自励式電力変換器10の受電する電力が所望の力率に一致するよう各セル変換器の電圧指令値を算出し、ゲート信号を出力する。また、該電圧指令値には本発明の特徴である直流出力電流制御用の直流出力電圧指令値Vdc_ref1が加算されることにより、自励式電力変換器10、11の個別直流電流制御が可能となる。直流電流制御が可能となるメカニズムについては、後述する。
単位変換器制御部10032は、単位変換器制御部10031と同様に、系統電圧検出値、力率指令値PF_Ref、セル変換器直流電圧検出値Vdc_cell_UP_1_2~Vdc_cell_WN_k_2、アーム電流検出値I_UP_2、I_UN_2、I_VP_2、I_VN_2、I_WP_2、I_WN_2を入力とし、ゲート信号GateSig2を算出する。単位変換器制御部10032の制御ブロックは単位変換器制御部10031と同様のため、説明を省く。
単位変換器制御部10031は、交流電流指令値算出器10041、交流電流制御器10051、相間バランス制御器10061、セル電圧バランス制御器10071、電圧指令値合成器10081、そしてゲート信号生成器10091により構成される。
交流電流指令値算出器10041は、上記セル変換器直流電圧検出値の平均値が所定の値に一致するよう系統に出力する有効電流指令値Isd_ref1を算出する。また、自励式電力変換器10の力率が力率指令値PF_Refに一致するよう、系統に出力する無効電流指令値Isq_refを算出する。
また、系統電圧検出値より電力変換システム1の連系する交流系統の正相電圧位相θを算出し、該位相角をもとに現在自励式電力変換器10が系統側に出力する有効電流Isd_1、無効電流Isq_1、そして交流電流制御のフィードフォワード演算に用いる系統電圧d軸成分フィルタ値Vsd_fil、系統電圧q軸成分フィルタ値を算出し、交流電流制御器10051に出力する。交流電流制御器10051は交流電流指令値算出器10041からの出力信号をもとに、有効電流Isd_1、無効電流Isq_1がそれぞれの指令値であるIsd_ref1、Isq_ref1に一致するよう交流電流制御用電圧指令値(交流電圧指令値)Vu_ref1、Vv_ref1、Vw_ref1を算出し、電圧指令値合成器10081に出力する。詳細は図7を用いて後述する。
相間バランス制御器10061は、アーム電流検出値I_UP_1、I_UN_1、I_VP_1、I_VN_1、I_WP_1、I_WN_1を入力とし、各相のレグに流れる直流電流成分がバランスするよう、補正電圧指令値を算出し、その算出結果を電圧指令値合成器10081に出力する。詳細は図8を用いて後述する。
セル電圧バランス制御器10071は、アーム内のセル変換器の直流コンデンサ電圧がバランスするよう、補償電圧指令値を算出し、その算出結果を電圧指令値合成器10081に出力する。詳細は図9を用いて後述する。
電圧指令値合成器10081は、交流電流制御器10051、相間バランス制御器10061、セル電圧バランス制御器10071の出力、および水素製造演算部10030の直流出力電圧指令値Vdc_ref1を合成することで各セル変換器の交流電圧指令値を算出し、その結果をゲート信号生成器10091に出力する。詳細は図10を用いて後述する。
ゲート信号生成器10091は電圧指令値合成器10081の出力をアーム内の各セルに対して位相が等分シフトされた三角波比較をすることで各セル変換器のゲート信号群GateSig1を算出し、自励式電力変換器10に出力する。詳細は図11を用いて後述する。
以下、単位変換器制御部の各演算器の詳細を説明する。
交流電流指令値算出器10041および交流電流制御器10051のブロック図を図7に示す。
交流電流指令値算出器10041の主な機能は、交流系統における電圧位相を算出すること(機能1)、自励式電力変換器10が系統に出力する有効電力と無効電力を算出し、自励式電力変換器10が指定された力率で交流側に出力する無効電力を制御するための無効電流指令値を算出すること(機能2)、自励式電力変換器10のセル変換器のコンデンサ電圧の平均値が所定の値に維持されるよう有効電流指令値を算出すること(機能3)、そして算出された交流電流指令値に交流出力電流が追従するよう、あらかじめ系統電圧と自励式電力変換器10の交流出力電圧を釣り合わせる電圧フィードフォワード項を算出すること(機能4)、である。それぞれの機能に対応する制御ブロックについて、順に説明する。
機能1:位相検出
系統電圧検出値Grid_voltageはα-β変換器10041_1に入力される。α-β変換器10041_1は数1に示される変換式により系統電圧のu相、v相、w相検出値より、α成分、β成分を算出し、位相検出器10041_2とd-q変換器10041_3に出力する。
Figure 2024033545000002
位相検出器10041_2では内部発振した正弦波cosωt、sinωtを用いて数2で示されるd-q変換を行い、算出結果のq軸成分がゼロになるようωを補正することで系統位相を算出するPhase Locked Loop(PLL)により正相電圧位相θ(=ωt)を算出する。
Figure 2024033545000003
ここで、Vsα、Vsβは系統電圧検出値のα成分、β成分、Vsd、Vsqは内部発振した正弦波cosωt、sinωtによりd-q変換された系統電圧のd軸成分、q軸成分である。PLLは系統連系変換器における位相検出で多用されるロジックであるため、内部発振角周波数ωの補正ロジックなどの詳細説明は省略する。
位相検出器10042_1はその算出結果であるθをd-q変換器10041_3、10041_10、そして交流電流制御器10051に出力する。
機能2:無効電流指令値算出
本機能は、系統電圧および自励式電力変換器10の系統出力電流のd-q成分の算出、それらを入力とした自励式電力変換器10の系統出力有効電力および無効電力の算出、そして有効電力と力率指令値から算出される無効電力指令値と上記無効電力出力値を一致させる無効電流指令値の算出により実現される。
系統電圧のd-q成分の算出は以下により実現される。d-q変換器10041_3はα-β変換器10041_1の出力値Vsα、Vsβと位相θを入力とし、数3で示されるように固定座標系の系統電圧α成分、β成分を回転座標変換し、d軸成分、q軸成分を算出する。
Figure 2024033545000004
算出された系統電圧d軸成分Vsd、q軸成分Vsqはローパスフィルタ10041_4、10041_5、およびPQ算出器10041_11に出力される。
系統出力電流のd-q成分の算出は以下で実現される。アーム電流の検出値I_UP_1とI_UN_1は減算器10041_6に入力される。この差より、自励式電力変換器10が変圧器20に向かって出力される系統出力電流U相成分I_Uが算出される。同様に、V相、W相のアーム電流から減算器10041_7、10041_8により系統出力電流のV相成分I_V、W相成分I_Wが算出され、I_U、I_V、I_Wはα-β変換器10041_9に出力される。α-β変換器10041_9は、10041_1と同様に数1の行列演算を行うことで出力電流のα成分およびβ成分を算出し、d-q変換器10041_10に出力する。
d-q変換器はd-q変換器10041_3と同様に、系統電圧位相θからcosθ、sinθを算出し、これらを用いた回転座標変換を行うことで系統出力電流のd軸成分Isd_1、q軸成分Isq_1を算出する。Isd_1、Isq_1はPQ算出器10041_11、交流電流制御器10051に出力される。PQ算出器10041_11は、数4に従い自励式電力変換器10の系統に出力する有効電力出力値Pおよび無効電力出力値Qを算出する。
Figure 2024033545000005
有効電力Pは力率指令値PF_Refと乗算器10041_12で乗算されることで無効電力指令値Qrefが算出され、該無効電力指令値とPQ算出器10041_11で算出された無効電力出力値Qが一致するよう、無効電力制御器10041_13は無効電流指令値Isq_ref1を算出する。無効電力制御器10041_13は無効電力指令値Qrefと無効電力出力値Qの差分を入力としたPI制御器により構成される。
機能3:有効電流指令値算出
交流電流指令値算出器10041は、自励式電力変換器10のセル変換器のコンデンサ電圧検出値の平均値を算出し、その平均値が所定の電圧値と一致するよう有効電流を算出することで当該機能を満たす。
具体的には、自励式電力変換器10を構成する全てのセル変換器の直流電圧検出値は平均値算出器10041_14に入力され、それらの平均値が平均直流電圧制御器10041_15に入力される。平均直流電圧制御器10041_15では、所定の電圧値Vdc_cell_refと平均値算出器10041_14が一致するよう、Isd_ref1を算出する。平均直流電圧制御器10041_15は平均値算出器10041_14の出力からVdc_cell_refを減算し、その差を入力としたPI制御演算をすることによりIsd_ref1を算出することでセル変換器のコンデンサ電圧を維持するための交流系統との有効電力の授受を実現する。
機能4:電圧フィードフォワード項の算出
前述のとおり、d-q変換器10041_3は、系統電圧のd軸成分Vsdとq軸成分Vsqを算出する。このVsd、Vsqに対し、ローパスフィルタ10041_4と10041_5でローパスフィルタ演算を行う。これによりVsdとVsqが含む系統電圧高調波成分に対してゲインを落としたd軸成分Vsd_fil、q軸成分Vsq_filを算出し、これらをフィードフォワード項として交流電流制御器10051に出力する。これにより、商用周波数成分に対しては位相遅れやゲイン低下がなく、電源高調波については統合制御装置100の演算遅れや自励式電力変換器10のスイッチング周波数に起因する遅れによる高調波増幅を回避したフィードフォワードが可能となる。
次に、交流電流制御器10051の演算ブロックについて説明する。交流電流指令値算出器10041により算出された、有効電流指令値Isd_ref1、無効電流指令値Isq_ref1および自励式電力変換器10の出力する有効電流Isd_1、無効電流Isq_1はそれぞれ電流制御器10051_1、10051_2に入力される。電流制御器10051_1、10051_2はd軸成分とq軸成分それぞれに対し、電流指令値と出力電流の差分をそれぞれ算出し、その差をゼロとするよう自励式電力変換器10の交流出力電圧の補正値Vd_ref1、Vq_ref1を算出する。具体的には上記差分をPI制御器の入力とすることで補正値Vd_ref1、Vq_ref1を算出する。
加算器10051_3、10051_4は交流電流指令値算出器で算出した電圧フィードフォワード項と上記補正値に対し、d軸成分、q軸成分それぞれで加算し、その和を逆d-q変換器10051_5に出力する。
逆d-q変換器は加算器10051_3の出力Vq_ref1、加算器10051_4の出力Vd_ref1、そして交流電流指令値算出器10041から入力される系統電圧位相から数5に示される行列演算を施し、固定座標上の交流電圧指令値Vα_ref1、Vβ_ref1を算出し、2相3相変換器10051_6に出力する。
Figure 2024033545000006
2相3相変換器10051_6は、逆d-q変換器の出力に対し、数6に示される行列演算を施すことで3相の交流電圧指令値Vu_ref1、Vv_ref1、Vw_ref1を算出する。
Figure 2024033545000007
2相3相変換器10051_6の出力は、電圧指令値合成器10081に入力される。
次に、相間バランス制御器10061の演算ブロックを図8を用いて説明する。
アーム電流検出値I_UP_1、I_UN_1、I_VP_1、I_VN_1、I_WP_1、I_WN_1はU相、V相、W相ごとに加算器10061_1、10061_2、10061_3で加算され、その和をゲイン乗算器10061_4、10061_5、10061_6で1/2倍することにより、各相のレグを直流出力端子N側からP側に流れる電流を算出する。乗算器10061_4、10061_5、10061_6の出力は加算器10061_7および減算器10061_9、10061_10、10061_11に入力される。
加算器10061_7ではU相、V相、W相のレグを流れる電流が加算され、その和をゲイン乗算器10061_8で1/3倍することにより平均値を算出する。該平均値を減算器10061_9、10061_10、10061_11に出力する。これにより、各相のレグを貫通して流れる電流成分の平均値に対し、各相レグを流れる電流の差分を算出でき、その差に対し補償ゲインを乗算するゲイン乗算器10061_12、10061_13、10061_14で定数倍した値を相間のレグ電流をバランスさせるための電圧指令値vphc_u1、vphc_v1、vphc_w1として電圧指令値合成器10081に出力する。ここで、該電圧指令値vphc_u1、vphc_v1、vphc_w1はレグ通貫電流の平均値に対する差分を定数倍して算出した値であるため、vphc_u1、vphc_v1、vphc_w1の和はゼロとなる。
次に、セル電圧バランス制御器10071を図9を用いて説明する。
セル電圧バランス制御器10071は、6つのアーム内セル電圧バランス制御器により構成される。該アーム内セル電圧制御器はすべて同様の構成を備えるため、代表例としてU相P側アームのアーム内セル電圧バランス制御器10071_1を取り上げ、その演算ブロックを説明する。
アーム内セル電圧バランス制御器10071_1はU相P側アームを構成するセル変換器の直流コンデンサ電圧検出値であるセル変換器直流電圧検出値Vdc_cell_UP_1_1、Vdc_cell_UP_2_1、・・・、Vdc_cell_UP_k_1、およびアーム電流検出値I_UP_1を入力とし、該セル電圧検出値の平均値から差分とアーム電流検出値I_UP_1の極性に応じてセル変換器の直流コンデンサ電圧をバランスするよう各セル変換器の出力電圧指令の補償値Vclc_UP_1_1、Vclc_UP_2_1、・・・、Vdc_UP_k_1を算出する。
具体的には、上記セル変換器の直流コンデンサ電圧検出値に対し、系統電圧の2倍の周波数以上に対して減衰効果を持つローパスフィルタ10071_1_1_1、10071_1_1_2、10061_1_1_kを各コンデンサ検出値に対して施す。これは、セル変換器が単相変換器であり、原理上セル変換器のコンデンサ電圧には系統周波数の2倍の周期の変動が生じ、本周波数成分が補償値に混入するとセル変換器の出力電圧にも同様に脈動が重畳し、意図しない低次高調波電流を系統に流出することになる。そのため、上記ローパスフィルタにより原理的に生じるコンデンサ脈動周波数成分を除去する。
上記ローパスフィルタの出力は減算器10071_1_3_1~10071_1_3_k、および平均値算出器10071_1_2に入力され、各ローパスフィルタの出力平均値に対する差分を上記減算器で算出し、その差がゲイン乗算器10071_1_4_1~10071_1_4_kに出力される。
上記ゲイン乗算器では、上記平均値から差分に比例した補償電圧値を算出し、乗算器10071_1_5_1~10071_1_5_kにそれぞれ出力する。
各セルのコンデンサの充電電流は、アーム電流と出力電圧の積で決まる。そのため、本アーム内セル電圧バランス制御器では、アーム電流検出値I_UP_1の極性により補償電圧の符号を変える。具体的にはアーム電流検出値I_UP_1をアーム電流極性判定器10071_1_6に入力し、該判定器は上記アーム電流検出値が正であれば1を、負であれば-1を乗算器10071_1_5_1~10071_1_5_kに出力する。これによりアーム電流の極性を補償電圧値に反映することが可能となる。乗算器10071_1_5_1~10071_1_5_kの出力はU相P側のアーム電圧指令値補償値Vclc_UP_1_1~Vclc_UP_k_1として電圧指令値合成器10081に出力される。ここで、Vclc_UP_1_1~Vclc_UP_k_1は、各セル変換器のコンデンサ電圧検出値の平均値に対する差分に比例した値であるため、その総和はゼロとなる。
上記では、U相P側のアーム内セル電圧バランス制御器について説明したが、同様にU相N側アーム、V相P側アーム、V相N側アーム、W相P側アーム、そしてW相N側アームに対しても同様に各アームの状態量を入力し、同様の演算を施すことにより各アームにおける電圧指令値補償値を算出し、その演算結果は電圧指令値合成器10081に出力される。
次に、電圧指令値合成器10081の演算ブロックを図10、図11を用いて説明する。上述のように、交流電流制御器10051の出力である交流電圧指令値Vu_ref1、Vv_ref1、Vw_ref1、相間バランス制御器10061の出力vphc_u1、vphc_v1、vphc_w1、セル電圧バランス制御器10071の出力Vclc_UP_1_1~Vclc_WN_k_1、そして後述の直流電流制御器10021の直流出力電圧指令値Vdc_ref1が電圧指令値合成器10081に入力され、その合成結果はゲート信号生成器10091に出力される。
電圧指令値合成器10081は上記入力信号に対してU相の電圧指令値を合成する相電圧指令値合成器10081_U_1、V相の電圧指令値を合成する相電圧指令値合成器10081_V_1、W相の電圧指令値を合成する相電圧指令値合成器10081_W_1により構成され、各相電圧指令値合成器の演算ブロックは同様である。ここでは、代表としてU相の相電圧指令値合成器10081_U_1を例に演算ブロックを説明する。
図11に相電圧指令値合成器10081_U_1のブロック図を示す。U相P側のセル変換器の電圧指令値を合成するセル電圧指令値合成器10081_UP_1~10081_UP_k、U相N側のセル変換器の電圧指令値を合成するセル電圧指令値合成器10081_UN_1~10081_UN_kにより構成される。
図11に示されるように、U相P側のセル電圧指令値合成器は他の電圧指令値もしくは補償値に対して交流電圧指令値Vu_ref1をマイナスの符号で重畳させ、U相N側のセル電圧指令値合成器では他の電圧指令値もしくは補償値に対して交流電圧指令値Vu_ref1をプラスの符号で重畳させる。これにより、交流成分に対しては自励式電力変換器10の直流出力端子P、Nをそれぞれ中点とした回路が構築される。また、交流出力電流はP側アームとN側アームに等しく流れる。そのため、バッファリアクトル70UPと70UNに生じる交流電流起因の電圧降下は振幅は等しく極性が異なるため、レグに生じる電圧降下としては相殺される。
各セル電圧指令値合成器の出力Vref_UP_1~Vref_UP_k、Vref_UN_1~Vref_UN_kはU相電圧指令値合成値としてゲート信号生成器10091に出力される。
図12には、ゲート信号生成器10091のブロック図を示す。電圧指令値合成器10081から出力された、各セル変換器の交流出力電圧指令値Vref_UP_1~Vref_WN_kは各セル変換器のゲート信号を生成するPWM変調器に入力され、上記セル変換器のIGBTのゲート信号が算出される。
PWM変調器10091_UP_1~10091_WN_kは三角波を搬送波とするPWM変調器であり、各変調器の搬送波周波数は等しい。また、同一アーム内のセル変換器のゲート信号を生成するPWM変調器では搬送波を互いに180degをアーム内セル変換器数kで除算した値だけ位相をずらしたものとすることで、交流出力端子に出力する高調波成分を抑制する。
以上の制御器により、自励式電力変換器10は、セル変換器のコンデンサ電圧を維持し、また系統側に出力する電力の力率を所望の値に制御することができる。
次に、本発明の新規な点である、自励式電力変換器の直流出力電流制御ロジックについて、図4に戻り説明する。
自励式電力変換器10、11の直流電流制御演算は水素製造演算部10030で実施される。水素製造演算部10030は、水素製造量指令値H2_Gen_Refと水電解槽ユニット30の温度情報Temp_electrolyserを入力として自励式電力変換器10、11の直流出力電流指令値Idc_ref1、Idc_ref2を算出する直流電流指令値算出器1001、直流出力電流指令値Idc_ref1と自励式電力変換器10の直流出力電流検出値I_dc_1、直流出力電圧検出値V_load_1をもとに直流出力電流検出値I_dc_1が直流出力電流指令値Idc_ref1に一致するよう自励式電力変換器10のセル変換器の電圧指令値を調整する直流出力電圧指令値Vdc_ref1を算出する直流電流制御器10021、自励式電力変換器11の直流出力電流検出値I_dc_2がIdc_ref2に一致するようIdc_ref2と自励式電力変換器11の直流出力電流検出値I_dc_2、直流出力電圧検出値V_load_2をもとに自励式電力変換器11のセル変換器の電圧指令値を調整する直流出力電圧指令値Vdc_ref2を算出する直流電流制御器10022により構成される。
水電解槽の生成する水素量は、供給する電流に対して線形に変化する。図5にその特性例を示す。グラフの横軸は水素製造速度、縦軸の第一軸(左側)は水電解槽の端子電圧、縦軸の第二軸(右側)は水電解槽への入力電流を示している。符号Aで示される曲線は端子電圧を示し、符号Bで示される特性は水電解槽への入力電流を示している。図5に示されるように、水素製造量と入力電流は原点を通過する一次関数で示される。
そのため、直流電流指令値算出器1001は図6に示すように水素製造量指令値であるH2_Gen_Ref[Nm3/h]を自励式電力変換器10、11の直流出力電流のper unit値に換算する単位換算器10011を用いて電流指令値に換算すればよい。
しかし、外気温や水電解槽に供給する水温により、水電解槽ユニットの加熱を防ぐ必要がある。そのため、水電解槽ユニットの温度情報Temp_Electrolyserに対し所定の温度T1を超えると1.0p.u.から値を減少させ、第二の所定の温度であるT2まで該温度が上昇した場合には水素製造量をゼロとする水素製造リミットテーブル10012を備える。該リミットテーブルの出力および上記単位換算器10011の出力は最小値算出器10013に入力され、最小値演算器は上記リミットテーブルで制限された直流出力電流指令値をランプリミッタ10014、10015に出力する。
ランプリミッタ10014は上記直流出力電流指令値と自励式電力変換器10の運転状態を示すStatus1を入力とし、自励式電力変換器10が運転ステータスである1になると、上記直流電流指令値に対し所定の時間変化率で出力である直流出力電流指令値Idc_ref1を上昇させる。ランプリミッタ10015についても同様であり、上記直流出力指令値と自励式電力変換器11の運転状態を示すStatus2を入力とし、自励式電力変換器11の直流出力電流指令値Idc_ref2を算出する。ここで、Status1は運転指令COMがアクティブのときに1、ネガティブの時に0となる状態変数であり、Status2は運転指令COMがアクティブになってから所定時間経過後に1、COMがネガティブになったときに0となる状態変数である。
直流電流制御器10021、10022は上記直流出力電流指令値とV_load_1、V_load_2、I_dc_1、I_dc_2をそれぞれ入力とし、直流電流制御器10021はIdc_ref1とI_dc_1と一致するようPI制御器によりVdc_ref1を算出し、直流電流制御器10022はIdc_ref2とI_dc_2が一致するようPI制御器によりVdc_ref2を算出する。
直流電流制御器10021と10022は同じブロック図を備えるため、直流電流制御器10021を代表として詳細を説明する。図23に直流電流制御器10021のブロック図を示す。直流電流制御器10021は直流出力電流指令値Idc_ref1と直流出力電流検出値I_dc_1を減算器10021_3に入力し、その差はPI制御器10021_6に出力される。PI制御器10021_6は入力された直流出力電流の指令値に対する検出値の差分に対しPI演算を施し、その出力を加算器10021_7に出力する。
一方、直流出力電圧検出値V_load_1はローパスフィルタ10021_2に入力され、ローパスフィルタ10021_2は、自励式電力変換器10もしくは11のスイッチングに起因するリプル成分を除去し、その出力を加算器10021_7に出力する。
加算器10021_7は2つの入力信号を加算し、Vdc_ref_1を算出する。ローパスフィルタ10021_2は、水電解槽ユニット30に残電圧があった場合でも自励式電力変換器10に残電圧と同様の直流出力電圧を出力させ、始動時の大きな直流電流の流入を回避する意図により搭載される。
上記のように算出されたVdc_ref1、Vdc_ref2を前述の電圧指令値合成器10081に出力することで自励式電力変換器10、11は指令値に従った直流出力電流を負荷に供給することができ、意図せぬ自励式電力変換器間の横流を回避できる。
自励式電力変換器10が上記制御器により直流出力電流を制御できることを図13および図14を用いて、説明する。
図13には、自励式電力変換器10の瞬時平均値による等価回路を示す。U相P側アームは交流電圧指令値Vu_ref1によってセル変換器により出力された電圧成分の和vu、相間バランス制御によりセル変換器により出力された電圧成分の和vphc_u1、そして直流電流制御器によりセル変換器により出力された電圧成分(vdc_ref1)/2、を示す可変電圧源とバッファリアクトル70UPで表される。図11を用いて相電圧指令値合成器10081_U_1のブロック図を説明したように、交流電流制御用電圧指令値はU相P側アームのセル変換器群に対し、マイナスの符号で重畳される。そのため、等価回路においてもvuはP側を基準とした出力電圧成分となる。
図13にはセル電圧バランス制御器の出力に対応する電圧源が記載されていない。これは、図9を用いたセル電圧バランス制御器の説明の中でも記載したとおり、各セル変換器へのコンデンサ電圧補償項であるVclc_UP_1_1~Vclc_UP_k_1の和がゼロになるため、アームを瞬時平均値で縮約した図13にはセル電圧バランス制御器の出力を示す電圧源が現れない。
同様に、U相N側のアームは3つの電圧源とバッファリアクトル70UNの直列回路として等価回路を表すことができる。ここで、U相N側アームにおいては、交流電流制御用電圧指令値によるセル変換器出力電圧の和vuはN側を基準とした出力電圧成分となる。V相、W相も上記説明と同様である。
図13の等価回路を直流出力端子P、Nから見込んだ回路に変換したものが図14(a)である。交流電流制御用電圧指令値による交流電圧はレグの中では相殺される。また、相間バランス制御によりセル変換器により出力された電圧成分vphc_u1、vphc_v1、vphc_w1は、図8を用いた相間バランス制御器10061の説明で述べたように合計がゼロとなる。そのため、3相レグを一括で示す図14(a)の等価回路には表れない。また、P側とN側のバッファリアクトルに交流出力電流起因で生じる電圧降下も、極性が異なり振幅が等しいため、レグの等価回路には表れない。ゆえに、直流電流制御器の出力を反映したセル変換器の出力電圧成分に対応する可変電圧源のみが等価回路に残る。また、U相、V相、W相のバッファリアクトルは直流出力端子から見込むと3並列のリアクトルとなるため、インダクタンスが1/3であるリアクトル70_P、70_Nとしてあらわすことができる。
図14(a)はリアクトルが2つ、出力の等しい可変電源が2つ直列の回路であるため、図14(b)のように整理することができる。ここで、リアクトル70_PNのインダクタンスはリアクトル70_P、70_Nの2倍である。
ゆえに、自励式電力変換器10は水電解槽ユニット30から見込むと直流電流制御器の出力に応じた可変電圧源とリアクトルで表すことができ、直流電流指令値に応じた直流出力電流の制御が可能であることがわかる。直流電流指令値に応じた直流出力電流制御が可能となることにより、自励式電力変換器10、11の間に意図せぬ横流が流れることを回避できる。また、該自励式電力変換器がもともと備えるバッファリアクトルは直流出力電流制御用のインダクタンスとしても寄与することから、直流出力電流を制御可能にするために追加の主回路要素を加える必要がない。そのため、水電解槽ユニット30に直流電流を供給するコンパクトな自励式の整流器を実現することができる。なお、本実施例においては電力変換システム1の主回路を自励式電力変換器10、11で構成しているが、自励式電力変換器は2台以上であっても同様の効果を奏する。
図15には、(a)~(c)順に電力変換システム起動時の負荷電流I_load、出力電圧v_load、そして自励式電力変換器10のゲートブロック(GB)/デブロック(GDB)状態を示す。図5で示すように、水電解槽は印加する電圧が所定の値を超えないと電流が流れない。そのため、上位制御装置からのCOMにより時刻t0でセル変換器のゲートブロックを解除し、直流電流制御器10021の演算を開始しても自励式電力変換器10の出力する電圧が水電解槽ユニットの水素製造を開始する電圧閾値Vthを超えるまで電流が流れない。
直流電流制御器10021、10022はPI制御器で構成されるため、直流出力電流指令値Idc_ref1と直流出力電流の差である領域Aの時間積分値が上記PI制御器の積分器に蓄積される。そのため、自励式電力変換器10、11の出力する電圧がVthを超えても面積AとBが略等しくなるまで電流オーバーシュートが生じ、水電解槽ユニットの加熱や当該自励式電力変換器の過負荷トリップを引き起こす可能性がある。
図16には、上記懸念への対策案を盛り込んだ、実施例1の第2の形態が備える統合制御装置のブロック図を示す。図4に示す統合制御装置100との差は、自励式電力変換器10の直流電流制御器10021の代わりに直流電流制御器10021_aを備え、直流電流制御器10021_aは上記の直流出力電流におけるオーバーシュートを抑制するため、直流出力電圧指令値Vdc_ref1を算出する制御器を2種類備えること、運転指令COMの代替信号として直流電流指令値算出器1001の演算開始許可フラグEnableSig1を出力すること、直流電流制御器10021_aが自励式電力変換器11の演算開始許可フラグENBLを出力する点である。
図17を用いて直流電流制御器10021_aのブロック図を説明する。
直流電流制御器10021_aは、直流出力電流指令値Idc_ref1、直流出力電流検出値I_dc_1、直流出力電圧検出値V_load_1、そして運転指令COMを入力とし、直流出力電圧指令値Vdc_ref1、自励式電力変換器11の演算開始許可フラグENBLを出力する。
減算器10021_a_3はIdc_ref1とI_dc_1を入力し、その差を算出し、PI制御器10021_a_6に出力する。PI制御器は後述のPI制御演算開始許可フラグEnableSig1が1以外であれば内部変数をゼロに初期化し、1であれば減算器10021_a_3の出力に対しPI演算を施し、その演算結果を加算器10021_a_7に出力する。加算器10021_a_7は後述の切り替え器10021_a_5の出力とPI制御器10021_a_6の出力を加算し、その和を直流出力電圧指令値Vdc_ref1として出力する。
直流電流制御器10021_aの特徴である、直流出力電流オーバーシュートを回避する仕組みについて以降説明する。
直流電流制御器10021_aは、運転指令COMがアクティブになってから所定の時間t3まではオープンループの直流出力電圧制御を行い、t3以降に直流電流制御に切り替える構成を備える。具体的には、運転指令COMを入力とする始動時電圧指令値算出器10021_a_1を備え、運転指令COMがアクティブになる時刻をt0とし、t0から所定の時刻t2までの間、オープン制御時の直流出力電圧指令値Vdc_ref_openを0から予め定める固定値である初期直流電圧指令値VINまでランプ状に増加させる。なお、VINは水電解槽ユニット30が水素製造を開始する閾値電圧Vthに対し、数%低い値に設定することが望ましい。時刻t2よりも遅い所定の時刻t3になるとPI制御演算開始許可フラグEnableSig1を0から1に変化させ、EnableSig1を遅延器10021_a_4、切り替え器10021_a_5、そしてPI制御器10021_a_6に出力する。
直流出力電圧検出値V_load_1はローパスフィルタ10021_a_2に入力され、該ローパスフィルタはV_load_1から高周波成分を除去し、その出力を切り替え器10021_a_5に出力する。
切り替え器10021_a_5はEnableSig1が1以外であれば、その出力をVdc_ref_openとし、EnableSig1が1であればその出力をローパスフィルタ10021_a_2の出力とする。本構成により、Vdc_ref1は時刻t3まではオープンループ制御時の直流電圧指令値となり、その間はPI制御器10021_a_6は内部変数がゼロに初期化されるためPI制御器10021_a_6に入力される直流出力電流の偏差によらず積分器の出力および内部変数はゼロのままとなり、電流偏差を蓄積することを回避できる。
時刻t3になったタイミングにおいては、PI制御器10021_a_6の出力は比例項のみで小さい値だが、切り替え器10021_a_5がローパスフィルタ10021_a_2の出力を加算器10021_a_7に出力することにより、オープンループ制御時に自励式電力変換器10が水電解槽ユニット30に印加していた直流電圧を直流電圧指令値にフィードフォワードすることができ、オープンループの直流電圧制御からクローズドループの直流出力電流制御へスムーズに制御切り替えができる。また遅延器10021_a_4は自励式電力変換器10がクローズドループの直流電流制御に切り替えられる時刻t3に対し、所定の時間が経過した時刻t5にENBLがゼロから1に切り替わるよう、時間遅延処理を施す。これにより、自励式電力変換器10が水電解槽ユニット30に対し電流が流れた状態で自励式電力変換器11を起動することができ、スムーズな運転開始が可能となる。
図18を用いて、電力変換システム1の動作波形を説明する。図18は(a)~(e)の順にそれぞれ負荷電流I_load、直流電圧検出値V_load_1、自励式電力変換器10のゲートブロック/デブロック状態、EnableSig1、ENBLを示し、横軸は時間である。時刻t0において運転指令COMがアクティブとなり、自励式電力変換器10のセル変換器がゲートブロックを解除する。時刻t0からt2まで、オープン制御時の直流出力電圧指令値Vdc_ref_openはゼロからVINに向けランプ状に上昇する。時刻t3においてEnableSig1がゼロから1に変化し、自励式電力変換器10の制御がオープンループの直流電圧制御からクローズドループの直流出力電流制御へ切り替わる。
また、EnableSig1を入力とし、自励式電力変換器10の直流出力電流指令値Idc_ref1はゼロから所定の値までランプ状に増加を開始する。時刻t3においては水電解槽ユニット30に出力する電圧が水素製造を開始する閾値電圧Vth近傍のVINまで増加しているため、直流電流制御器による直流電圧指令値補正により時刻t4には自励式電力変換器10から直流出力電流が流れ始める。そのため、直流電流制御用のPI制御器10021_a_6の積分器に蓄積される電流偏差時間積分値は図15に示す動作例に比べて大幅に削減され、直流出力電流に現れるオーバーシュート量を低減することができる。
EnableSig1に対して時間遅延された信号であるENBL信号を受け、自励式電力変換器11はクローズドループの電流制御で起動する。時刻t5においては、すでに自励式電力変換器10が水電解槽ユニット30に対して水素製造を開始する閾値以上の電圧を印加しているため、自励式電力変換器11は制御切り替え機構を持たなくても過大なオーバーシュートを起こさずに水電解槽ユニット30へ電流供給することが可能となる。
本実施例によれば、自励式電力変換器10、11を直流出力端において並列に接続することにより、単機で供給可能な直流電流に比べて大きな電流を負荷である水電解槽ユニットに供給することができる。また、自励式電力変換器10、11に対し、直流電流指令値に応じた直流出力電流制御を搭載することが可能となる。これにより、自励式電力変換器10、11の間に意図せぬ横流が流れ、装置の利用率が低下することを回避できる。さらに、該自励式電力変換器がもともと備えるバッファリアクトルは直流出力電流制御用のインダクタンスとしても寄与することから、直流出力電流を制御可能にするために追加の主回路要素を加える必要がない。そのため、水電解槽ユニット30に直流電流を供給するコンパクトな自励式の整流器を実現することができる。
加えて、実施例1の第2の形態においては、自励式電力変換器10の起動時における制御をオープンループの電圧制御とクローズドループの直流出力電流制御で切り替える機能を備えることにより、水電解槽ユニット30に供給する電流の過大なオーバーシュートを回避することができる。
[実施例2]
本発明の実施例2について、図19及び20を用いて説明する。本発明の実施例2と実施例1との差は、図19に示すように、水電解槽ユニット30_aが温度情報Temp_Electrolyserに加えて水電解槽ユニットを構築するN個の水電解槽スタック30_1~30_Nの極間電圧検出値の検出値であるスタック電圧検出値Vc_1~Vc_Nを電力変換システム1_aへ出力し、電力変換システム1_aは負荷電流I_loadと該スタック電圧検出値より上記水電解槽スタックの健全性を評価し、異常を認めた場合には水電解槽ユニット30_aへの負荷電流供給を停止する機能を備える点にある。負荷装置が複数の要素の直列体で構成される場合、電源側からは当該要素の異常は検出が困難である。水電解槽スタックは低電圧・大電流特性を有し、大容量化のために該スタックを直列に接続するシステムにおいては、直列数が多くなり、さらに該スタックの異常検出が困難となる。実施例2で示す電力変換システム1_aは、該スタックの標準的V-I特性から逸脱するスタックが存在する場合、当該スタックにおいて内部短絡などの異常が生じていることを検知し、速やかに負荷電流の供給を停止する。これにより、システム全体の安全性向上を図ることができる。実施例2において同一構成要素については同じ記号で示し、重複する説明を省く。
水電解槽ユニット30_aの構成を図20を用いて説明する。水電解槽ユニット30_aは5つの水電解槽スタックの直列体で構成されるブロックが複数個直列に接続された構成を持つ。水電解槽スタックの極間電圧は電圧センサ90_stc1~90_stcNにより計測され、その検出値Vc_1~Vc_Nは電力変換システム1_aの統合制御装置100_aに出力される。
統合制御装置100_aのブロック図を図21に示す。実施例1の統合制御装置100との差は、水素製造制御部10030_aが水電解槽スタック状態判定器1009を備え、該判定器は運転指令COMを水電解槽スタックの状態判定により補正した補正運転指令COM2を算出し、運転指令COMの代わりにCOM2を該統合制御装置内の演算器へ出力する点にある。
上記スタック電圧検出値Vc_1~Vc_Nは水電解槽スタック状態判定器1009に入力される。また、該判定器1009には自励式電力変換器10の直流出力電流検出値I_dc_1、自励式電力変換器11の直流出力電流検出値I_dc_2、そして運転指令COMが入力される。スタック状態判定器1009は、I_dc_1とI_dc_2より負荷電流I_loadを算出し、水電解槽スタック30_1~30_Nの極間電圧の検出値であるスタック電圧検出値Vc_1~Vc_Nが標準電圧範囲内であるか、否かを判定する。
具体的には、図22に示される横軸に負荷電流、縦軸に水電解槽スタックの電圧をプロットし、一点破線で示される標準的水電解槽のV-I特性に対し所定の幅を持たせた標準電圧範囲RANGE_Nの中に上記プロットが存在するか、否かを判定する。j番目の水電解槽スタックが内部短絡を起こしている場合、当該スタックの極間電圧は標準範囲を下回り、当該スタックのプロットが標準電圧範囲RANGE_Nを逸脱する。
スタック状態判定器1009は、すべてのスタックが標準電圧範囲にあれば運転指令COMを補正運転指令COM2として各演算器に出力し、標準電圧範囲を逸脱するプロットが存在する場合は、水電解槽スタック状態判定器1009は運転指令COMがアクティブであっても補正運転指令COM2をネガティブとし、GateSig1、GateSig2をすべてOFF指令とすることで電力変換システム1_aの運転を停止する。
以上のような異常検出機能を備えることにより、水電解槽スタックの中に内部短絡が発生した場合には速やかに電力変換システム1_aの運転を停止することで負荷電流の供給を停止し、内部短絡を起こしている異常スタックに電流供給によるさらなる内部温度上昇を回避することができ、システムの安全性を向上することができる。
なお、本実施例では水電解槽スタック状態判定器1009で異常を検出した場合には速やかに電力変換システム1_aを停止する構成を説明したが、異常を検出した際には自励式電力変換器10、11の出力する電流指令値をゼロに向かってランプ状に変化させ、その後ゲート信号をOFFにする構成としても良い。このとき、異常な水電解槽スタックに長時間電流を供給することを回避するため、電流指令値をランプ状に変化させる速度は電力変換システム1_aを起動するときの電流指令値の上昇速度より早く設定することが望ましい。
本実施例の電力変換システム1_aによれば、実施例1同様に追加の主回路要素を必要とせずに自励式電力変換器10と11の意図せぬ直流回路を介した横流を抑制することが可能となる。また、水電解槽スタックの中に内部短絡が発生した場合には速やかに電力変換システム1_aの運転を停止することで負荷電流の供給を停止し、システムの安全性を向上することができる。
以上で説明した本発明の実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)本発明に係る電力変換システムは、変圧器を介して交流系統に連系し負荷装置に直流電力を供給する電力変換システムであって、負荷状態量と運転指令とに基づき算出される負荷供給直流電流指令値に基づき負荷供給直流電圧を調整する負荷供給電圧調整部と、直流電流の平滑化と交流電源に流出する高調波電流の抑制を兼ねるリアクトルを備えた自励式電力変換器と、自励式電力変換器の備える直流コンデンサ電圧を所定の値に維持するための交流電流指令値と交流系統側に出力する交流電力の力率が所定の力率と一致するよう無効電力を制御するための電流指令値に基づきリアクトルを流れる電流を制御する電流制御部を備える。
上記の構成を採用することにより、自励式電力変換器の間を循環する横流を抑制することができ、コンパクトかつ構成要素の高い利用率を実現する電力変換システムを構築することができる。
(2)電力変換システムは直流出力端子が並列接続された複数の自励式電力変換器により構成され、該複数の自励式電力変換器の交流端子は変圧器を介して共通の交流系統に電気的に接続され、自励式電力変換器にそれぞれ直流出力電流指令値を算出する直流電流指令値算出部と、該直流出力電流指令値と自励式電力変換器の直流出力電流とが一致するよう該自励式電力変換器の直流出力電圧を制御する直流出力電圧制御部を備える制御装置をさらに備える。これにより、最小限の構成で本発明の効果を得ることが可能になる。
(3)自励式電力変換器はマルチモジュラーコンバータである。本発明はこのような構成を備えたシステムに対して好適に適用可能である。
(4)複数の自励式電力変換器を統合制御する統合制御装置をさらに備え、統合制御装置は複数の自励式電力変換器のうちの1つが負荷装置に直流電流を供給した後に他の自励式電力変換器を起動させる。これにより、システムの運転開始をスムーズに行うことが可能になる。
(5)負荷装置に最初に直流電流を供給する自励式電力変換器の負荷供給電圧調整部は、所定の電圧を負荷装置に供給する直流出力電圧制御部と、負荷供給直流電流指令値に応じて負荷供給直流電圧を調整する直流出力電流制御部と、を備え、自励式電力変換器は該自励式電力変換器の運転開始時に直流出力電圧制御部のあとに直流出力電流制御部に制御手段を切り替える切り替え部をさらに備える。これにより、オープンループの直流電圧制御からクローズドループの直流出力電流制御へスムーズに制御切り替えを行うことが可能になる。
(6)負荷装置が水電解槽である。本発明は、水電解槽のような低圧かつ大電流特性を有する装置に適用されるべくしてなされたものである。
(7)負荷状態量に温度情報を含む。これにより、負荷装置の温度状態に応じて適切に制御することが可能になる。
(8)水電解槽が複数の水電解槽スタックの直列体を含み、負荷状態量は水電解槽スタックの極間電圧を含み、負荷装置に供給する電流と極間電圧とから水電解槽スタックの健全性を確認する健全性確認部と、健全性確認部において水電解槽スタックに異常を検出した場合は水電解槽への電流出力を停止する停止部を備える。これにより、負荷装置が複数の要素の直列体で構成される場合であっても、異常の発生を的確に検知することが可能になる。
(9)電力変換システムは負荷供給直流電流指令値と該電力変換システムから負荷に供給される負荷供給直流電流の検出値を表示する表示器を備える。これにより、システムの操作者は、表示器に表示される情報に基づき、システムの挙動を確認することが可能になる。
(10)また本発明は、上記(1)~(9)に規定した電力変換システムに対応する電力変換システムの制御方法をも含む。
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
1・・・電力変換システム、10,11・・・自励式電力変換器、20・・・変圧器、30・・・水電解槽ユニット、100・・・統合制御装置、COM・・・運転指令、1001・・・直流電流指令値算出器、Temp_Electrolyser・・・水電解槽温度情報

Claims (18)

  1. 変圧器を介して交流系統に連系し負荷装置に直流電力を供給する電力変換システムであって、
    負荷状態量と運転指令とに基づき算出される負荷供給直流電流指令値に基づき負荷供給直流電圧を調整する負荷供給電圧調整部と、
    直流電流の平滑化と交流電源に流出する高調波電流の抑制を兼ねるリアクトルを備えた自励式電力変換器と、
    前記自励式電力変換器の備える直流コンデンサ電圧を所定の値に維持するための交流電流指令値と前記交流系統側に出力する交流電力の力率が所定の力率と一致するよう無効電力を制御するための電流指令値に基づき前記リアクトルを流れる電流を制御する電流制御部を備える、
    ことを特徴とする電力変換システム。
  2. 請求項1に記載の電力変換システムであって、
    前記電力変換システムは直流出力端子が並列接続された複数の前記自励式電力変換器により構成され、該複数の自励式電力変換器の交流端子は前記変圧器を介して共通の交流系統に電気的に接続され、
    前記自励式電力変換器にそれぞれ直流出力電流指令値を算出する直流電流指令値算出部と、該直流出力電流指令値と前記自励式電力変換器の直流出力電流とが一致するよう該自励式電力変換器の直流出力電圧を制御する直流出力電圧制御部を備える制御装置をさらに備える、
    ことを特徴とする電力変換システム。
  3. 請求項1に記載の電力変換システムであって、
    前記自励式電力変換器はマルチモジュラーコンバータである、
    ことを特徴とする電力変換システム。
  4. 請求項2に記載の電力変換システムであって、
    前記複数の自励式電力変換器を統合制御する統合制御装置をさらに備え、
    前記統合制御装置は前記複数の自励式電力変換器のうちの1つが前記負荷装置に直流電流を供給した後に他の自励式電力変換器を起動させる、
    ことを特徴とする電力変換システム。
  5. 請求項1に記載の電力変換システムであって、
    前記負荷装置に最初に直流電流を供給する前記自励式電力変換器の前記負荷供給電圧調整部は、所定の電圧を前記負荷装置に供給する直流出力電圧制御部と、前記負荷供給直流電流指令値に応じて前記負荷供給直流電圧を調整する直流出力電流制御部と、を備え、
    前記自励式電力変換器は該自励式電力変換器の運転開始時に前記直流出力電圧制御部のあとに前記直流出力電流制御部に制御手段を切り替える切り替え部をさらに備える、
    ことを特徴とする電力変換システム。
  6. 請求項1に記載の電力変換システムであって、
    前記負荷装置が水電解槽である、
    ことを特徴とする電力変換システム。
  7. 請求項1に記載の電力変換システムであって、
    前記負荷状態量に温度情報を含む、
    ことを特徴とする電力変換システム。
  8. 請求項6に記載の電力変換システムであって、
    前記水電解槽が複数の水電解槽スタックの直列体を含み、
    前記負荷状態量は前記水電解槽スタックの極間電圧を含み、
    前記負荷装置に供給する電流と前記極間電圧とから前記水電解槽スタックの健全性を確認する健全性確認部と、
    前記健全性確認部において前記水電解槽スタックに異常を検出した場合は前記水電解槽への電流出力を停止する停止部を備える、
    ことを特徴とする電力変換システム。
  9. 変圧器を介して交流系統に連系し負荷装置に直流電力を供給する電力変換システムの制御方法であって、
    前記電力変換システムは負荷状態量と運転指令とに基づき算出される負荷供給直流電流指令値に基づき負荷供給直流電圧を調整する負荷供給電圧調整部と、
    自励式電力変換器と、を備え、
    前記自励式電力変換器は直流電流の平滑化と交流電源に流出する高調波電流の抑制を兼ねるリアクトルを備え、
    前記自励式電力変換器の備える直流コンデンサ電圧を所定の値に維持するための交流電流指令値と前記交流系統側に出力する交流電力の力率が所定の力率と一致するよう無効電力を制御するための電流指令値に基づき前記リアクトルを流れる電流を制御する、
    ことを特徴とする電力変換システムの制御方法。
  10. 請求項9に記載の電力変換システムの制御方法であって、
    該電力変換システムは直流出力端子が並列接続された複数の前記自励式電力変換器により構成され、
    前記複数の自励式電力変換器の交流端子は前記変圧器を介して共通の交流系統に電気的に接続し、
    前記複数の自励式電力変換器に対し個別の直流出力電流指令値を算出し、
    前記直流出力電流指令値に前記自励式電力変換器の直流出力電流が一致するよう自励式電力変換器の電圧指令値を制御する、
    ことを特徴とする電力変換システムの制御方法。
  11. 請求項9に記載の電力変換システムの制御方法であって、
    前記自励式電力変換器はマルチモジュラーコンバータである、
    ことを特徴とする電力変換システムの制御方法。
  12. 請求項10に記載の電力変換システムの制御方法であって、
    前記電力変換システムは前記複数の自励式電力変換器を統合制御する統合制御装置をさらに備え、該統合制御装置は前記複数の自励式電力変換器のうちの1つが前記負荷装置に直流電流を供給した後に他の自励式電力変換器を起動させる、
    ことを特徴とする電力変換システムの制御方法。
  13. 請求項9に記載の電力変換システムの制御方法であって、
    前記負荷装置に最初に直流電流を供給する前記自励式電力変換器の負荷供給電圧調整部は、所定の電圧を前記負荷装置に供給する直流出力電圧制御部と、前記負荷供給直流電流指令値に応じて前記負荷供給直流電圧を調整する直流出力電流制御部を備え、
    前記自励式電力変換器は該自励式電力変換器の運転開始時に前記直流出力電圧制御部のあとに前記直流出力電流制御部に切り替える、
    ことを特徴とする電力変換システムの制御方法。
  14. 請求項9に記載の電力変換システムの制御方法であって、
    前記負荷装置が水電解槽である、
    ことを特徴とする電力変換システムの制御方法。
  15. 請求項10に記載の電力変換システムの制御方法であって、
    前記負荷状態量は温度情報を含み、該温度情報により前記直流出力電流指令値を補正する、
    ことを特徴とする電力変換システムの制御方法。
  16. 請求項14に記載の電力変換システムの制御方法であって、
    前記水電解槽が複数の水電解槽スタックの直列体を備え、
    前記負荷状態量は該水電解槽スタックの極間電圧を備え、
    前記電力変換システムは前記負荷装置に供給する電流と前記極間電圧とから前記水電解槽スタックの健全性を確認する健全性確認部をさらに備え、
    前記健全性確認部において前記水電解槽スタックに異常を検出した場合は前記水電解槽への電流出力を停止する、
    ことを特徴とする電力変換システムの制御方法。
  17. 請求項1に記載の電力変換システムであって、
    前記電力変換システムは前記負荷供給直流電流指令値と該電力変換システムから前記負荷装置に供給される負荷供給電流の検出値を表示する表示器を備える、
    ことを特徴とする電力変換システム。
  18. 請求項9に記載の電力変換システムの制御方法であって、
    前記電力変換システムは前記負荷供給直流電流指令値と該電力変換システムから前記負荷装置に供給される負荷供給電流の検出値を表示する、
    ことを特徴とする電力変換システムの制御方法。
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