JP2024033400A - 積層フィルムおよびその製造方法、ならびに成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】低い反射率を有するとともに、耐摩耗性に優れる立体形状の成形体が得られるアフターキュア型の積層フィルムおよびその製造方法、ならびに成形体を提供する。【解決手段】透明支持基材と、前記透明支持基材の少なくとも一方の面上に形成された未硬化のハードコート層と、前記未硬化のハードコート層上に形成された未硬化の低屈折率層と、を備え、前記低屈折率層は、活性エネルギー線硬化型の低屈折率層形成組成物を含み、前記低屈折率層形成組成物は、層形成成分および中空シリカ粒子を含み、前記中空シリカ粒子の含有量は、前記低屈折率層形成組成物の固形分100質量部に対して、40質量部以上60質量部以下であり、前記低屈折率層に含まれる前記中空シリカ粒子の数に対する、前記低屈折率層の前記ハードコート層とは反対側の表面から少なくとも一部が露出している前記中空シリカ粒子の数の割合は、40%以下である、積層フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、積層フィルムおよびその製造方法、ならびに成形体に関する。
ディスプレイは、コンピュータ、テレビジョン、携帯電話、携帯情報端末機器(タブレットパソコン、モバイル機器および電子手帳等)に加え、デジタルメーター、インストルメントパネル、ナビゲーション、コンソールパネル、センタークラスターおよびヒーターコントロールパネル等の車載用表示パネル等、様々な分野で使用されている。このような製品は、多くの場合、保護材で覆われている。保護材は、通常、ハードコート層を有するフィルムを成形することにより得られる。
ディスプレイの保護材には、視認側表面の反射率を低減させて視認性を向上することを目的として、さらに低屈折率層が設けられる場合がある。特許文献1および2には、低屈折率層に、低屈折率粒子として、中空シリカ粒子を配合することが記載されている。
国際公開第2019/163829号 国際公開第2020/189707号
視認性向上を目的に、低屈折率粒子を配合した低屈折率層を最表層に設計した場合、低屈折率層中には、多くの低屈折率粒子を配合する必要があり、得られる積層フィルムの最表層、つまり低屈折率層の表面は、低屈折率粒子に起因した凸凹形状の形成、または、低屈折率粒子が露出し易く、耐摩耗性が低下する場合がある。
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、その目的は、低い反射率を有するとともに、耐摩耗性に優れる成形体が得られるアフターキュア型の積層フィルムおよびその製造方法、ならびに成形体を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
透明支持基材と、
前記透明支持基材の少なくとも一方の面上に形成された未硬化のハードコート層と、
前記未硬化のハードコート層上に形成された未硬化の低屈折率層と、を備え、
前記低屈折率層は、活性エネルギー線硬化型の低屈折率層形成組成物を含み、
前記低屈折率層形成組成物は、層形成成分および中空シリカ粒子を含み、
前記中空シリカ粒子の含有量は、前記低屈折率層形成組成物の固形分100質量部に対して、40質量部以上60質量部以下であり、
前記低屈折率層に含まれる前記中空シリカ粒子の数に対する、前記低屈折率層の前記ハードコート層とは反対側の表面から少なくとも一部が露出している前記中空シリカ粒子の数の割合は、40%以下である、積層フィルム。
[2]
前記中空シリカ粒子の平均粒子径は、90nm以上110nm以下である、上記[1]に記載の積層フィルム。
[3]
前記低屈折率層形成組成物は、さらにシルセスキオキサンを含み、
前記中空シリカ粒子の含有量Waと前記シルセスキオキサンの含有量Wbとは、下記関係式:
Wb≧(3Wa/4)-24
を満たす、上記[1]または[2]に記載の積層フィルム。
[4]
前記未硬化のハードコート層と前記未硬化の低屈折率層との間に、さらに、少なくとも一つの未硬化の高屈折率層を備える、上記[1]または[2]に記載の積層フィルム。
[5]
立体形状を有する成形体の成形に用いられる、上記[1]または[2]に記載の積層フィルム。
[6]
硬化された上記[1]または[2]に記載の積層フィルムを含む、成形体。
[7]
立体形状を有する、上記[6]に記載の成形体。
[8]
透明支持基材の一方の面上に、未硬化のハードコート層を形成する工程と、
他の支持基材の一方の面上に、未硬化の低屈折率層を形成する工程と、
前記未硬化のハードコート層の前記透明支持基材とは反対側の面と、前記未硬化の低屈折率層の前記他の支持基材とは反対側の面とを貼り合わせて積層フィルムを得るラミネート工程と、を備え、
前記低屈折率層は、活性エネルギー線硬化型の低屈折率層形成組成物を含み、
前記低屈折率層形成組成物は、層形成成分および中空シリカ粒子を含み、
前記中空シリカ粒子の含有量は、前記低屈折率層形成組成物の固形分100質量部に対して、40質量部以上60質量部以下であり、
前記低屈折率層に含まれる前記中空シリカ粒子の数に対する、前記低屈折率層の前記ハードコート層とは反対側の表面から少なくとも一部が露出している前記中空シリカ粒子の数の割合は、40%以下である、積層フィルムの製造方法。
本発明によれば、低い反射率を有するとともに、耐摩耗性に優れる立体形状の成形体が得られるアフターキュア型の積層フィルムおよびその製造方法、ならびに成形体を提供することが可能である。
本発明の一実施形態に係る積層フィルムを模式的に示す断面図である。 図1の積層フィルムの一部の拡大断面図である。 本発明の一実施形態に係る成形体の一部を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る積層フィルムの製造方法を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る積層フィルムの製造方法におけるラミネート工程を説明する概略図である。 実施例2で作製された積層フィルムの断面のTEM画像である。
「積層フィルム」
本開示に係る積層フィルムは、透明支持基材と、透明支持基材の少なくとも一方の面上に形成された未硬化のハードコート層と、未硬化のハードコート層上に形成された未硬化の低屈折率層と、を有する。
低屈折率層は、活性エネルギー線硬化型の低屈折率層形成組成物を含む。低屈折率層形成組成物は、層形成成分(以下、第1の層形成成分と称する。)および中空シリカ粒子を含む。中空シリカ粒子は、積層フィルムの視認側表面の反射率を効果的に低減する。
中空シリカ粒子の含有量は、低屈折率層形成組成物の固形分100質量部に対して、40質量部以上60質量部以下である。低屈折率層形成組成物には、このように十分な量の中空シリカ粒子が配合されているが、中空シリカ粒子の多くは低屈折率層のハードコート層側に偏在している。つまり、低屈折率層中において、低屈折率層のハードコート層とは反対側の表面(以下、第1表面と称す。)と、中空シリカ粒子との間に、低屈折率層の一部であって、第1の層形成成分により形成される部分(以下、介在部分と称する場合がある。)が介在している。言い換えれば、介在部分は、中空シリカ粒子が低屈折率層から露出しないように、少なくとも中空シリカ粒子の第1表面側の表面を覆っている。介在部分は、低屈折率層の一部であるが、中空シリカ粒子を含まない。
低屈折率層の第1表面側の領域全体にわたって、介在部分が存在していることまでは要しない。すべての中空シリカ粒子に対して介在部分が存在していなくてもよい。介在部分のない領域においては、中空シリカ粒子の少なくとも一部が低屈折率層の第1表面から露出していることになる。低屈折率層に含まれる中空シリカ粒子の数に対する、低屈折率層の第1表面から少なくとも一部が露出する中空シリカ粒子(以下、露出シリカ粒子と称する場合がある。)の数の割合は、40%以下である。
中空シリカ粒子は摩擦によって脱落し易い。脱落した中空シリカ粒子が凝集体を形成すると、摩擦によって、積層フィルムに傷が入り易くなる。その結果、視感反射率が増大して、視認性が低下したり外観性が低下したりする。しかしながら、本開示においては、低屈折率層の外表面と中空シリカ粒子との間に介在部分があるため、中空シリカ粒子の摩擦による脱落が抑制される。よって、本開示に係る積層フィルムの硬化物を備える成形体は、耐摩耗性(耐擦傷性)に優れている。この成形体によれば、長期間にわたって良好な視認性が維持される。低屈折率層に含まれる中空シリカ粒子の数に対する、露出シリカ粒子の数の割合は、30%以下であってよく、より好ましくは、20%以下であってよい。
未硬化のハードコート層および未硬化の低屈折率層を備える積層フィルムは、アフターキュア型と呼ばれる。アフターキュア型の積層フィルムは、立体形状への成形後に硬化される。言い換えれば、立体形状への成形時、積層フィルムは未硬化状態であるため、その成形工程(代表的には、プレフォームや射出成型)におけるクラックや白化の発生が抑制される。そのため、アフターキュア型の積層フィルムは成形性に優れ、得られる成形品の外観は良好である。さらに、クラックが生じ難いため、ハードコート層および低屈折率層の機能は、より効果的に発揮される。ハードコート層および低屈折率層の機能とは、例えば、優れたハードコート性能および反射防止性能である。ハードコート性能としては、例えば、高い硬度、耐摩耗性および耐薬品性が挙げられる。
未硬化とは、硬化していない状態をいう。積層フィルムに含まれるハードコート層および低屈折率層は、半硬化の状態であってもよい。
硬化とは、JIS K 5500(塗料用語)で規定されている「硬化乾燥」と同義である。すなわち、硬化は、「(a)試験片の中央を親指と人指し指とで強く挟んでみて、塗面に指紋によるへこみが付かず、塗膜の動きが感じられず、また、塗面を指先で急速に繰り返してこすってみて、すり跡が付かない状態(dry hard)になることをいう。」
積算光量100mJ/cm以上の活性エネルギー線を照射された積層フィルムは、硬化しているといえる。
半硬化は、JIS K 5500(塗料用語)で規定されている「半硬化乾燥」と同義である。すなわち、半硬化は、「塗った面の中央を指先でかるくこすってみて塗面にすり跡が付かない状態(dry to touch)になったときをいう。」
ハードコート層および低屈折率層が活性エネルギー線に暴露されていない積層フィルムは、未硬化であるといえる。
積層フィルムは、要求される物性、形状等に応じて、例えば、プレフォームおよび射出成型等により立体形状に成形される。本開示に係る積層フィルムは、100℃以上190℃以下の成形温度において十分に延伸する。そのため、本開示に係る積層フィルムは、立体形状を有する成形体の成形に適している。本開示に係る積層フィルムによれば、ハードコート層および低屈折率層の機能を備え、かつ、複雑な立体形状を有する成形体を得ることができる。立体形状とは、3つの異なる方向に延びる軸で表現される形状であって、3次元構造と同義である。
(延伸率)
本開示に係る積層フィルムの160℃における延伸率E160は、例えば、50%以上である。よって、積層フィルムを、クラックを生じることなく、複雑な立体形状に成形し易い。特に、プレフォーム工程において、積層フィルムの損傷が抑制され易くなる。
積層フィルムの延伸率E160は、60%以上であってよく、70%以上であってよい。積層フィルムの延伸率E160は、400%未満であってよく、350%未満であってよく、300%未満であってよい。硬化した積層フィルムを含む成形体の160℃における延伸率は、15%未満であり、5%以下であり得る。
積層フィルムおよび成形体の延伸率E160はいずれも、以下のようにして測定できる。
チャック間距離が150mmである引張り試験機、および、長さ200mm×幅10mmに切り出した評価サンプルを準備する。160℃雰囲気下、引張力5.0Kgf、引張速度300mm/分の条件にて、評価サンプルを長辺方向に10%延伸する。延伸された評価サンプルのクラックの有無を目視で確認する。クラックの発生が無い場合、新たなサンプルを切り出し、次は長辺方向に20%まで延伸させる。そして、同様に、クラックの有無を目視で確認する。この手順を、延伸率を10%ずつ増加させながら繰り返して、クラックが初めて確認されたときの延伸率を、評価サンプルの延伸率E160とする。
以下、透明支持基材および各層について、さらに説明する。
[未硬化の低屈折率層]
未硬化の低屈折率層は、活性エネルギー線硬化型の低屈折率層形成組成物(以下、組成物LRと称す場合がある。)を含む。組成物LRは、活性エネルギー線により硬化する。活性エネルギー線の積算光量を調整することにより、低屈折率層の硬度および/または延伸率を制御することができる。活性エネルギー線は、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線である。組成物LRは、特に紫外線硬化型であってよい。
低屈折率層は、低屈折率を有する層として機能する。硬化された低屈折率層の屈折率は、例えば、1.20以上1.45以下である。これにより、良好な反射防止性が発揮される。積層フィルムは、2以上の未硬化の低屈折率層を備えてよい。
組成物LRは、第1の層形成成分および中空シリカ粒子を含む。低屈折率層中において、低屈折率層のハードコート層とは反対側の表面と中空シリカ粒子との間には、介在部分が存在している。
露出シリカ粒子は、硬化後の積層フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影した画像により特定される。例えば、低屈折率層の第1表面が空気と接触している場合、この空気に接触している、あるいは、低屈折率層から空気側に飛び出している中空シリカ粒子が、露出シリカ粒子である。露出シリカ粒子は、最表層に凹凸形状を形成し得る。
露出シリカ粒子の数の割合も同様に、硬化後の積層フィルム断面のTEM画像から求められる。まず、積層フィルムから、ウルトラミクロト-ム(例えば、LEICA社製のREICHERT-NISSEI ULTRACUT)にて超薄膜切片を作製する。作製した超薄膜切片の断面を、TEM(例えば、日本電子社製のJEM2100)にて観察する。TEM画像は、横幅が3μm程度になるように拡大する。中空シリカ粒子は透明あるいは半透明であり、TEM画像において、複数の中空シリカ粒子が重なって見える場合がある。TEM画像にて確認できる中空シリカ粒子のうち、その断面積の80%以上が、他の中空シリカ粒子を介さずに視認できるものを、低屈折率層に含まれる中空シリカ粒子とみなして、その数Nをカウントする。同様に、上記のように特定された露出シリカ粒子のうち、その断面積の80%以上が、他の中空シリカ粒子を介さずに視認できるものの数Nをカウントする。露出シリカ粒子の数の割合(%)は、この低屈折率層に含まれる中空シリカ粒子の数Nと露出シリカ粒子の数Nとから、式:100×N/Nによって算出される。
低屈折率層の厚さは、反射光の波長等を考慮して設計される。未硬化の低屈折率層の厚さは、例えば、65nm以上150nm以下である。未硬化の低屈折率層とは、乾燥後であって、かつ、未硬化の低屈折率層である(以下、単に未硬化の低屈折率層と称する。)。未硬化の低屈折率層の厚さがこの範囲であると、成形体に良好な反射防止性を付与できる。未硬化の低屈折率層の厚さは、80nm以上であってよく、90nm以上であってよい。未硬化の低屈折率層の厚さは、120nm以下であってよい。
低屈折率層は、未硬化の状態で未硬化のハードコート層と積層される。さらに、積層フィルムは、上記の通り、未硬化の状態で種々の加工に供される。そのため、低屈折率層には、反射防止性能に加えて、ハードコート層と同様に、高い硬度を有すること、低タックであって汚染され難いこと、加工の際の損傷および外観変化が抑制されること、他の層との熱収縮性の違いによるカールが抑制されること等が求められる。特に、低屈折率層には、優れた反射防止性能、低タックであって汚染され難いこと、加工の際の損傷(例えば、加飾工程における吸引跡等の凹み、スキージ痕)等が抑制されることが求められる。
これらの要求は、未硬化の低屈折率層の硬度、剛性、平滑性およびタック性等を制御することにより実現できる。未硬化の低屈折率層の上記物性は、その厚さおよび低屈折率層形成組成物の組成等によって調整可能である。
《低屈折率層形成組成物》
低屈折率層形成組成物(組成物LR)は、中空シリカ粒子を含む。中空シリカ粒子は、低屈折率層の強度を保持しつつ、その屈折率を下げることができる。組成物LRは、さらに、第1の層形成成分を含む。
〈中空シリカ粒子〉
中空シリカ粒子は、樹脂粒子の内部に気体が充填された空間(孔)を有する。空間は、1以上あればよく、複数であってもよい。中空シリカ粒子は、例えば、ナノポーラス構造を有する。
屈折率は、気体の占有率に反比例して低下する。そのため、中空シリカ粒子は、中空を有さないシリカ粒子の屈折率に比べて、低い屈折率を有する。中空シリカ粒子の屈折率は、例えば、1.1以上1.5以下である。中空シリカ粒子の屈折率は、1.15以上であってよく、1.2以上であってよい。中空シリカ粒子の屈折率は、1.45以下であってよく、1.4以下であってよい。
中空シリカ粒子の中空率は特に限定されず、屈折率等を考慮して適宜設定すればよい。中空率は、例えば、10%以上90%以下であってよい。中空率は、中空シリカ粒子のみかけの体積に占める、内部空間の総体積の割合である。中空シリカ粒子の中空率は、20%以上であってよい。中空シリカ粒子の中空率は、80%以下であってよい。
中空シリカ粒子の表面には、活性エネルギー線硬化性の官能基が存在していてもよい。活性エネルギー線硬化性の官能基としては、例えば、(メタ)アクリル基が挙げられる。
中空シリカ粒子の平均粒子径は、耐摩耗性の観点から、低屈折率層の膜厚より小さいことが望ましい。一方、屈折率の観点から、中空率は大きい方が望ましく、中空シリカ粒子の平均粒子径もまた、大きい方が望ましい。本開示で用いられる中空シリカ粒子の平均粒子径は、未硬化の低屈折率層の厚さの40%以上125%以下であってよい。このような大きな粒子径を有する中空シリカ粒子を含んでいても、低屈折率層から露出する中空シリカ粒子の数は少ない。中空シリカ粒子の平均粒子径は、未硬化の低屈折率層の厚さの45%以上であってよく、50%以上であってよい。中空シリカ粒子の平均粒子径は、未硬化の低屈折率層の厚さの110%以下であってよく、95%以下であってよい。
中空シリカ粒子の平均粒子径は、具体的には、90nm以上110nm以下であってよい。中空シリカ粒子の平均粒子径は、95nm以上であってよく、98nm以上であってよい。中空シリカ粒子の平均粒子径は、110nm以下であってよく、105nm以下であってよい。
中空シリカ粒子の平均粒子径は、1次粒子径であって、レーザ回折・散乱法により得られた体積基準の粒度分布における50%平均粒子径(D50)である。
中空シリカ粒子の含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、40質量部以上60質量部以下である。これにより、低屈折率層は、優れた反射防止性を発揮することができる。中空シリカ粒子の含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、42質量部以上であってよく、45質量部以上であってよい。中空シリカ粒子の含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、58質量部以下であってよく、55質量部以下であってよい。
組成物LRの固形分は、溶媒を除く組成物LRの全成分である。ハードコート層形成組成物の固形分も同様である。
〈その他の低屈折率粒子〉
組成物LRは、中空シリカ粒子以外の低屈折率粒子を含んでいてよい。その他の低屈折率粒子の含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、10質量部以下であってよい。低屈折率粒子としては、例えば、フッ化物ナノ粒子が挙げられる。
〈第1の層形成成分〉
第1の層形成成分は、第1反応性成分を含む。反応性とは、重合性不飽和基を少なくとも1つ有し、活性エネルギー線により架橋して硬化する性質をいう(以下、同じ)。第1反応性成分としては、反応性モノマー、反応性オリゴマー、あるいは反応性ポリマー(以下、反応性樹脂と称する場合がある。)が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型の第1反応性成分としては、より具体的には、不飽和二重結合を少なくとも1つ有する、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマーおよび( メタ)アクリレートポリマー等の(メタ)アクリレート化合物;ウレタン(メタ)アクリレートモノマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートポリマー等のウレタン(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。特に、反応性のアクリル樹脂であってよい。「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよび/ またはメタクリレートを表わす。
なかでも、反応性樹脂が好ましい。反応性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000以上100,000以下であってよい。反応性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上であってよく、9,000以上であってよい。反応性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、95,000以下であってよく、90,000以下であってよい。反応性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40℃以上120℃以下であってよい。反応性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40℃以上であってよい。反応性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、110℃以下であってよい。これにより、未硬化の低屈折率層の平滑性および剛性がさらに向上し易くなる。
第1の層形成成分は、非反応性の樹脂を含んでもよい。非反応性樹脂とは、活性エネルギー線( 代表的には、紫外線)を照射しても反応しない、あるいは、ほとんど反応性を示さない樹脂である。非反応性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。非反応性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000以上100,000以下であってよい。非反応性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上であってよい。非反応性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、95,000以下であってよい。
第1の層形成成分は、反応性樹脂とともに、非反応性樹脂を含んでよい。第1の層形成成分は、2種以上の反応性樹脂と、2種以上の非反応性樹脂とを含んでよい。
反応性アクリル樹脂および/または非反応性のアクリル樹脂の合計の含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、40質量部以下であってよい。反応性アクリル樹脂および/または非反応性のアクリル樹脂の合計の含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、20質量部以下であってよく、10質量部以下であってよい。反応性アクリル樹脂および/ または非反応性のアクリル樹脂の合計の含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、0質量部であってよく、2質量部以上であってよい。
複数種の反応性樹脂および/または非反応性樹脂が含まれる場合、1種の樹脂のMwが5,000以上100,000以下であればよい。他の樹脂のMwは、特に限定されない。他の樹脂のMwは、例えば、10,000以上80,000以下であってよい。様々な重量平均分子量を有する樹脂を併用することで、未硬化の低屈折率層は高い平滑性を有し易くなるとともに、未硬化の低屈折率層の硬度を所望の範囲に調整することが容易となる。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、3質量部以上60質量以下であってよい。多官能ウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、5質量部以上であってよく、7質量部以上であってよい。多官能ウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、50質量部以下であってよく、45質量部以下であってよい。
第1反応性成分は、多官能の(メタ)アクリレート化合物および多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種を含んでよい。これにより、硬化された低屈折率層は高い架橋密度を有するため、優れたハードコート性能を有する。加えて、硬化された低屈折率層の透明性が向上し易い。
<シルセスキオキサン>
組成物LRは、シルセスキオキサンを含むことが好ましい。シルセスキオキサンにより、未硬化の低屈折率層形成時に、中空シリカ粒子が偏在しやすくなるとともに、硬化された低屈折率層に滑り性が付与され、耐摩耗性が高まり易い。シルセスキオキサン(SQ)は、Si-O結合を主骨格とする高次構造(2次以上の構造)を有する。おそらく、シルセスキオキサンのこの高次構造が作用し、中空シリカ粒子の偏在化が進行するものと考えられる。
SQの骨格は特に限定されない。SQの骨格としては、例えば、カゴ型、ラダー型およびランダム型が挙げられる。組成物LRは、異なる骨格を有する複数のSQを含んでいてよい。
SQは、単位ケイ素原子1個当たり1.5個の酸素を有しており、一般式:
(RSiO1.5
(式中、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、ラジカル重合性基、カチオン重合性基を表わし、nは、2以上の整数である)で表される。
Rは、ラジカル重合性基であってよい。この場合、SQは、第1反応性成分としても機能し得る。nは、3以上の整数であってよく、4以上の整数であってよい。
SQの重量平均分子量(Mw)は、300以上10,000以下であってよい。SQの重量平均分子量(Mw)は、塗工性、貯蔵安定性、耐熱性等を考慮すると、500以上であってよい。同様の観点から、SQの重量平均分子量(Mw)は、8,000以下、6,000以下,3,000以下、2,000以下であってよい。
アルキル基の炭素数は、1~12であってよい。炭素数1~12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、3-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基が挙げられる。
アルコキシ基の炭素数は、1~12であってよい。炭素数1~12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基およびこれらの異性体等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、アスタチン(At)が挙げられる。ハロゲン原子は、例えば、パーフルオロアルキル基、パーフルオロポリエーテル基といった長鎖の形態で含まれていてよい。
アミノ基は、1級(-NH)であってよく、2級(-NHR)であってよく、3級(-NR’)であってよい。RおよびR’は、例えば、それぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基である。
ラジカル重合性基としては、例えば、アクリルアミド基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基、スチリル基、メルカプト基が挙げられる。ラジカル重合性基は、(メタ)アクリロイル基であってよい。
カチオン重合性としては、例えば、オキセタニル基、ビニル基、エポキシ基が挙げられる。
SQの含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、例えば、1質量部以上50質量部以下である。SQの含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、3質量部以上であってよく、5質量部以上であってよい。SQの含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、40質量部以下であってよく、30質量部以下であってよい。
中空シリカ粒子の含有量WaとSQの含有量Wbとは、下記関係式:
Wb≧(3Wa/4)-24
を満たしてよい。これにより、露出シリカ粒子の数がより低減する。
<無機酸化物微粒子>
組成物LRは、無機酸化物微粒子を含んでもよい。無機酸化物微粒子により、未硬化の低屈折率層の体積収縮が抑制されるとともに、剛性が高まり易くなる。そのため、未硬化の低屈折率層の製造工程中の外観変化が抑制され易い。さらに、硬化された低屈折率層の外観変化やカールの発生も抑制される。加えて、硬化された低屈折率層のタック性が低減するとともに耐摩耗性が高まり易い。
無機酸化物微粒子の含有量は、第1反応性成分の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であってよい。無機酸化物微粒子の含有量は、第1反応性成分の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上であってよい。無機酸化物微粒子の含有量は、第1反応性成分の固形分100質量部に対して、10質量部以下であってよい。
無機酸化物微粒子は特に限定されない。無機酸化物微粒子としては、例えば、シリカ(SiO)粒子(ただし、中空のものを除く)、酸化アルミニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化スズ粒子、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)粒子、酸化亜鉛粒子が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
無機酸化物微粒子の表面は、不飽和二重結合を含む官能基によって修飾されていてよい。官能基としては、(メタ)アクリロイル基が望ましい。なかでも、コストおよび塗料安定性の観点から、シリカ粒子、アルミナ粒子が好ましく、特に、表面が官能基により修飾されたシリカ粒子、アルミナ粒子が好ましい。無機酸化物微粒子の形態はゾルであってよい。
無機酸化物微粒子の平均粒子径は特に限定されない。透明性および組成物の性状安定性の観点から、無機酸化物微粒子の平均粒子径は5nm以上100nm以下であってよい。無機酸化物微粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡によって得られる断面の画像から、画像処理ソフトウェアを用いて測定される値である。他の粒状物の平均粒子径も、同様の方法により求められる。
<光重合開始剤>
組成物LRは、光重合開始剤を含んでよい。これにより、組成物LRの重合が進行し易くなる。
光重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、オキシムエステル系重合開始剤が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
光重合開始剤の含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上10質量部以下である。光重合開始剤の含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、1質量部以上であってよく、2質量部以上であってよい。光重合開始剤の含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、7質量部以下であってよく、5質量部以下であってよい。
<溶媒>
組成物LRは、溶媒を含んでもよい。溶媒は特に限定されず、組成物に含まれる成分、透明支持基材の種類および塗布方法等を考慮して、適宜選択される。
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトール等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒およびケトン系溶媒であってよい。
〈その他〉
組成物LRは、必要に応じて、種々の添加剤を含むことができる。添加剤としては、例えば、帯電防止剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面調整剤、表面改質剤、レベリング剤および光安定剤が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
各添加剤の含有量は特に限定されず、所望の効果に応じて適宜設定すればよい。各添加剤の含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、例えば、1質量部以上20質量部以下である。各添加剤の含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、2質量部以上であってよく、3質量部以上であってよい。各添加剤の含有量は、組成物LRの固形分100質量部に対して、15質量部以下であってよい。
表面調整剤および表面改質剤としては、例えば、パーフロロオクチルアクリレート、アクリル変性パーフロロポリエーテルがあげられる。
表面調整剤および表面改質剤の市販品としては、例えば、以下が挙げられる。
DIC社製:メガファックRS-72-K、メガファックRS-75、メガファックRS-76-E、メガファックRS-76-NS、メガファックRS-77
ダイキン工業社製:オプツール DAC-HP
ソルベイソレクシス社製:FLUOROLINK MD700、FLUOROLINK AD1700
ネオス社製:フタージェント 601ADH2
[未硬化のハードコート層]
未硬化のハードコート層は、活性エネルギー線硬化型のハードコート層形成組成物(以下、組成物HCと称す場合がある。)を含む。組成物HCは、上記の活性エネルギー線により硬化する。活性エネルギー線の積算光量を調整することにより、ハードコート層の硬度および/または延伸率を制御することができる。組成物HCは、特に紫外線硬化型であってよい。組成物HCは、組成物LRと同種の活性エネルギー線により硬化してよい。
未硬化のハードコート層の厚さは、例えば、1μm以上30μm以下である。未硬化のハードコート層がこのような厚さを有することにより、硬化後の反りが抑制され易い。また、優れたハードコート性能を有するハードコート層が得られる。未硬化のハードコート層の厚さは、3μm以上であってよい。未硬化のハードコート層の厚さは、25μm以下であってよく、20μm以下であってよい。
ハードコート層もまた、未硬化の状態で未硬化の低屈折率層と積層される。さらに、積層フィルムは、未硬化の状態で種々の加工に供される。そのため、未硬化のハードコート層には、高い硬度を有すること、低タックであって汚染され難いこと、加工の際の損傷および外観変化(例えば、プレフォーム工程における発泡、クラック)が抑制されること、他の層との熱収縮性の違いによるカールが抑制されること等が求められる。
これらの要求は、未硬化のハードコート層の硬度、剛性、平滑性およびタック性等を制御することにより実現できる。未硬化のハードコート層の上記物性は、その厚さおよびハードコート層形成組成物の組成等によって調整可能である。
《ハードコート層形成組成物》
ハードコート層形成組成物(組成物HC)は、第2の層形成成分を含む。
〈第2の層形成成分〉
第2の層形成成分は、第2反応性成分を含む。第2反応性成分としては、第1反応性成分と同様のものが例示できる。
第2の層形成成分は、反応性樹脂とともに、非反応性樹脂を含んでよい。第2の層形成成分は、2種以上の反応性樹脂と、2種以上の非反応性樹脂とを含んでよい。非反応性樹脂および反応性樹脂の少なくとも一方を含むことが好ましい。特定の理論に限定して解釈されるべきではないが、これにより、未硬化のハードコート層の平滑性および剛性を高めることができる。特に、非反応性アクリル樹脂および反応性アクリル樹脂の少なくとも一方を含むことが好ましい。
反応性樹脂および/または非反応性樹脂の合計の含有量は、組成物HCの固形分100質量部に対して、5質量部超80質量部以下であってよい。反応性樹脂および/または非反応性樹脂の合計の含有量は、組成物HCの固形分100質量部に対して、7質量部以上であってよく、10質量部以上であってよい。反応性樹脂および/または非反応性樹脂の合計の含有量は、組成物HCの固形分100質量部に対して、75質量部以下であってよく、70質量部以下であってよい。
組成物HCは、多官能の(メタ)アクリレート化合物および多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種を含んでよい。これにより、未硬化のハードコート層は、常温で高い粘性を示す一方、加温によって低粘度化する。そのため、未硬化のハードコート層は、未硬化の光干渉層と良好な密着性を示すとともに、複雑な形状に成形され易くなる。さらに、硬化されたハードコート層は高い架橋密度を有するため、ハードコート性能はより向上する。
なかでも、組成物HCは、反応性アクリル樹脂および/または非反応性のアクリル樹脂と、多官能ウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーと、を含むことが好ましい。これにより、未硬化のハードコート層の賦形性、未硬化の光干渉層との密着性がさらに向上し易い。また、硬化されたハードコート層のハードコート性能も、より向上し易い。
特に、組成物HCは、Mw5000以上100000以下の反応性アクリル樹脂および/または非反応性のアクリル樹脂と、アクリレート当量100g/eq.以上200g/eq.以下の多官能ウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーと、を含むことが好ましい。これにより、未硬化のハードコート層の低タック性はさらに向上する。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量は、組成物HCの固形分100質量部に対して、5質量部以上80質量以下であってよい。多官能ウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量は、組成物HCの固形分100質量部に対して、10質量部以上であってよく、13質量部以上であってよい。多官能ウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量は、組成物HCの固形分100質量部に対して、75質量部以下であってよく、72質量部以下であってよい。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーのアクリレート当量は、110g/eq.以上180g/eq.以下であってよく、115g/eq.以上160g/eq.以下であってよい。
<無機酸化物微粒子>
組成物HCは、無機酸化物微粒子を含んでよい。無機酸化物微粒子としては、組成物LRに関して例示されたものが同様に挙げられる。無機酸化物微粒子の含有量は、組成物HCの固形分100質量部に対して、例えば、1質量部以上20質量部以下であってよい。無機酸化物微粒子の含有量は、組成物HCの固形分100質量部に対して、5質量部以上であってよく、7質量部以上であってよい。無機酸化物微粒子の含有量は、組成物HCの固形分100質量部に対して、18質量部以下であってよく、15質量部以下であってよい。
<光重合開始剤>
組成物HCは、光重合開始剤を含んでよい。これにより、活性エネルギー線硬化型の樹脂成分の重合が進行し易くなる。光重合開始剤として、組成物LRに関して例示されたものが同様に挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、組成物HCの固形分100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上10質量部以下である。光重合開始剤の含有量は、組成物HCの固形分100質量部に対して、1質量部以上であってよい。光重合開始剤の含有量は、組成物HCの固形分100質量部に対して、8質量部以下であってよい。
<溶媒>
組成物HCは、溶媒を含んでもよい。溶媒は特に限定されず、組成物に含まれる成分、透明支持基材の種類および塗布方法等を考慮して、適宜選択される。溶媒としては、組成物LRに関して例示されたものが同様に挙げられる。なかでも、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒およびケトン系溶媒であってよい。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
〈その他〉
組成物HCは、必要に応じて、種々の添加剤を含むことができる。添加剤としては、例えば、帯電防止剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面調整剤、表面改質剤、レベリング剤および光安定剤が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
各添加剤の含有量は特に限定されず、所望の効果に応じて適宜設定すればよい。各添加剤の含有量は、組成物HCの固形分100質量部に対して、例えば、1質量部以上20質量部以下である。各添加剤の含有量は、組成物HCの固形分100質量部に対して、3質量部以上であってよく、5質量部以上であってよい。各添加剤の含有量は、組成物HCの固形分100質量部に対して、15質量部以下であってよい。
組成物HCおよび組成物LRに含まれる層形成成分は、同じであってよく、異なっていてもよい。なかでも、両者の層形成成分は、同一あるいは同種であってよい。未硬化のハードコート層と未硬化の低屈折率層との密着性が向上し、層間の剥離が生じ難くなるためである。
[未硬化の高屈折率層]
積層フィルムは、未硬化のハードコート層と未硬化の低屈折率層との間に、さらに、少なくとも1つの未硬化の高屈折率層を有していてもよい。高屈折率層の屈折率は、例えば、1.55超2.00以下である。積層フィルムは、1.55超2.00以下の屈折率を有する、2以上の未硬化の高屈折率層を備えてよい。
高屈折率層の厚さは、例えば、10nm以上300nm以下である。高屈折率層の厚さは、40nm以上であってよく、60nm以上であってよく、80nm以上であってよい。高屈折率層の厚さは、200nm以下であってよく、180nm以下であってよく、150nm以下であってよい。
高屈折率層を形成する高屈折率層形成組成物(以下、組成物HRと称す場合がある。)は、上記の組成物HCまたは組成物LRに含まれる成分と同様のものを含み得る。組成物HRは、組成物LRに含まれる成分と同様のものを含み得る。
組成物HRは、屈折率を調整するために高屈折率粒子を含んでいてもよい。高屈折率粒子としては、例えば、五酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。
高屈折率粒子の含有量は、組成物HRの固形分100質量部に対して、例えば、5質量部以上90質量部以下である。高屈折率粒子の含有量は、組成物HRの固形分100質量部に対して、10質量部以上であってよく、20質量部以上であってよい。高屈折率粒子の含有量は、組成物HRの固形分100質量部に対して、65質量部以下であってよく、60質量部以下であってよい。
[その他の未硬化の屈折率層]
積層フィルムは、低屈折率層および高屈折率層とは異なる光学的特性を有する、1以上の他の屈折率層を備えてよい。他の屈折率層の屈折率は、低屈折率層と高屈折率層との間であり、例えば、1.55以上1.75以下である。他の屈折率層は、例えば、ハードコート層と高屈折率層との間に配置される。
他の屈折率層の厚さは、例えば、10nm以上300nm以下である。他の屈折率層の厚さは、40nm以上であってよく、60nm以上であってよく、80nm以上であってよい。他の屈折率層の厚さは、200nm以下であってよく、180nm以下であってよく、150nm以下であってよい。
他の屈折率層を形成する他の屈折率層形成組成物は、上記の組成物HCまたは組成物LRに含まれる成分と同様のものを含み得る。他の屈折率層形成組成物は、組成物LRに含まれる成分と同様のものを含み得る。各屈折率層に含まれる成分は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
[透明支持基材]
透明支持基材は、透明である限り特に限定されない。透明であるとは、具体的には、全光線透過率が80%以上であることをいう。透明支持基材の全光線透過率は、80%以上であって、90%以上が好ましい。全光線透過率は、JIS K 7361-1に準拠する方法により測定することができる。透明支持基材としては、当分野において公知のものが、特に制限されることなく用いられる。透明支持基材は、無色であってもよく、有色であってもよい。
透明支持基材は、用途に応じて適宜選択される。透明支持基材としては、例えば、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロースフィルム;ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリルフィルム;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレンフィルム;ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィンフィルム;ナイロン、芳香族ポリアミド等のアミドフィルムが挙げられる。また、透明支持基材は、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリオキシメチレン、エポキシ樹脂等の樹脂を含むフィルムであってよく、これらポリマーの混合物を含むフィルムであってもよい。
透明支持基材は、複数のフィルムの積層体であってもよい。透明支持基材は、例えば、アクリル樹脂からなるフィルムと、ポリカーボネート樹脂からなるフィルムとの積層体であってよい。
透明支持基材は、光学的に異方性を有していてよく、等方性を有していてよい。光学的に異方性を有する透明支持基材の複屈折の大きさは、特に限定されない。異方性を有する透明支持基材の位相差は、波長の1/4(λ/4)であってよく、波長の1/2(λ/2)であってよい。
透明支持基材の厚さは、例えば、50μm以上600μm以下である。この場合、延伸後の積層フィルムの剛性が維持され易くなる。また、積層フィルムおよび成形体の反りが抑制され易い。さらに、透明支持基材および積層フィルムを、ロール状に容易に巻き取ることができるため、ロールtoロール加工を行うことができる。
透明支持基材の厚さは、100μm以上であってよく、200μm以上であってよい。透明支持基材の厚さは、500μm以下であってよく、400μm以下であってよく、300μm以下であってよく、260μm以下であってよい。
[保護フィルム]
積層フィルムは、未硬化の低屈折率層の、未硬化のハードコート層とは反対側の面に、保護フィルムを有していてよい。
保護フィルムは、低屈折率層および積層フィルムを保護するとともに、組成物LRをフィルム状に成形するための離型紙として機能する。この場合、保護フィルムは、後述する「他の支持基材」に相当する。保護フィルムは、塗布面に粘着層を有してもよい。
当分野において公知である保護フィルムが、特に制限されることなく用いられる。保護フィルムは、無色であってもよく、有色であってもよい。保護フィルムは、透明であってよく、不透明であってよい。
保護フィルムの厚さは、例えば、20μm以上260μm以下である。これにより、未硬化の低屈折率層の保護効果が高まり易い。保護フィルムの厚さは、25μm以上であってよく、30μm以上であってよく、33μm以上であってよく、35μm以上であってよい。保護フィルムの厚さは、200μm以下であってよく、100μm以下であってよく、65μm以下であってよい。保護フィルムの厚さは、粘着層の厚さを含まない値である。
保護フィルムは、例えば樹脂製である。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)を含む)等のポリオレフィンフィルム;これらを変性した変性ポリオレフィンフィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートおよびポリ乳酸等のポリエステルフィルム;ポリスチレンフィルム、AS樹脂フィルムおよびABS樹脂フィルム等のポリスチレン系樹脂フィルム;ナイロンフィルム;ポリアミドフィルム;ポリ塩化ビニルフィルム;ポリ塩化ビニリデンフィルム;ポリメチルペンテンフィルムが挙げられる。なかでも、ポリエチレンフィルム、ポリスチレンフィルム、変性ポリオレフィンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、OPPフィルムおよびCPPフィルムから選択される少なくとも1種であってよい。
樹脂フィルムには、必要に応じて、帯電防止剤、紫外線防止剤等の添加剤が添加されていてもよい。樹脂フィルムの表面は、コロナ処理あるいは低温プラズマ処理が施されていてもよい。
図1は、本開示に係る積層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。積層フィルム10は、透明支持基材11と、その一方の主面に配置された未硬化のハードコート層12と、未硬化のハードコート層12上に形成された未硬化の低屈折率層13と、を備える。図1では、便宜上、中空シリカ粒子を省略している。
図2は、図1の積層フィルム10の一部の拡大断面図である。低屈折率層13は、中空シリカ粒子131を含んでいる。図2では、便宜上、露出シリカ粒子131b以外の中空シリカ粒子のハッチングを省略し、カウントされない中空シリカ粒子131cの外形全体を破線で示している。ハッチングがなく、少なくとも一部が実線で表されている中空シリカ粒子は、カウントされる露出シリカ粒子以外の中空シリカ粒子131aである。図2において、12個の中空シリカ粒子131a、および、3個の露出シリカ粒子131bが示されている。Tは、介在部分の厚さを示している。
低屈折率層13の第1表面13Xは、空気と接触している。3つの露出シリカ粒子131bは、この空気に接触しているか、低屈折率層13から空気側に飛び出しているか、あるいは、第1表面13Xを凹凸形状にしている。
図2おいて、低屈折率層13に含まれる中空シリカ粒子(131aと131bとの合計)の数N(=12+3=15個)に対する、露出シリカ粒子131bの数(3個)の割合(%)は、100×3個(N)/15個(N)=20%である。
「成形体」
本開示に係る成形体は、上記積層フィルムの硬化物を含む。成形体は、透明支持基材と、硬化されたハードコート層と、硬化された低屈折率層と、をこの順に有する。成形体は、硬化されたハードコート層と硬化された低屈折率層との間に、さらに、少なくとも1つの硬化された高屈折率層を有していてもよい。成形体は、さらに、保護フィルムを有していてもよいし、有していなくてもよい。保護フィルムは、使用目的に応じて使用される。
成形体は立体形状を有していてよい。この成形体は、例えば、立体形状に成形された積層フィルムに活性エネルギー線を照射して、未硬化のハードコート層および未硬化の低屈折率層を完全に硬化させることにより得られる。
成形体は、ディスプレイおよびその周辺に配置される各種センサーの保護材として特に好適である。ディスプレイとして、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイが挙げられる。成形体は、特に、車載用のタッチパネルディスプレイおよびその周辺の保護材として適している。成形体において、低屈折率層は、ハードコート層より外側になるように配置される。
(耐摩耗性)
本開示に係る成形体は優れた耐摩耗性を有する。例えば、活性エネルギー線が照射された積層フィルムの低屈折率層の表面を、4cmあたり垂直荷重9.8Nをかけながら5,000回摩耗しても、低屈折率層には傷が視認されない。傷が視認されないということは、外観変化による視認性低下が抑制されるということである。
「傷が視認されない」とは、目視によっては、傷が観察できないことを意味する。「傷」とは、例えば、表面の荒れである。目視によって傷が観察されない限り、倍率100倍の顕微鏡を用いて摩耗試験後のサンプルを観察した際、ごく僅かな傷が観察されてもよい。
摩耗試験は、上記の条件のもと、既知の方法を用いて行われる。摩耗試験には、通常、綿布が固定された摩擦子が用いられる。この摩擦子によって、サンプルに4cmあたり垂直荷重9.8Nがかけられる。
(視感反射率)
低屈折率層の表面は平滑であって、積層フィルムは優れた反射防止性能を有する。例えば、積層フィルムの低屈折率層側から測定した、380nm以上780nm以下の波長領域における視感反射率は、0.1%以上4.0%以下である。積層フィルムを硬化して得られる成形体もまた、優れた反射防止性を有する。よって、成形体には外光による映り込みが少なく、成形体は、良好な表示特性および良好な視認性を有している。成形体の上記視感反射率は、同様に、0.1%以上4.0%以下であり得る。積層フィルムおよび成形体の上記視感反射率は、0.1%以上3.0%以下が好ましく、0.1%以上2.5%以下がより好ましい。
上記視感反射率は、正反射光を含むすべての反射光を測定して得られる。つまり、上記視感反射率は、いわゆるSCI(Specular Component Include)方式により測定される。この方法は、被測定物の表面状態による影響を受け難いため、未硬化の層の視感反射率を測定することができる。
積層フィルムの上記視感反射率は、具体的には、以下の方法により測定できる。
透明支持基材の、未硬化のハードコート層とは反対側の面に、黒色塗料(例えば、品名:CZ-805 BLACK(日弘ビックス社製))を、バーコーターを用い、乾燥膜厚が3μm以上6μm以下となるように塗布する。その後、室温環境下で5時間放置して乾燥させることにより、評価サンプルMを作成する。
得られた評価サンプルMの低屈折率層側から、分光色彩計(例えば、日本電色工業社製のSD7000)を用いて、380nm以上780nm以下の波長領域におけるSCI方式による視感反射率を測定する。
成形体の上記視感反射率は、以下のようにして測定できる。
上記で作成された評価サンプルMに、積算光量100mJ/cm以上(例えば、積算光量2000mJ/cm)の活性エネルギー線を照射することにより、評価サンプルNを作成する。得られた評価サンプルNの低屈折率層側から、上記と同様にして視感反射率を測定する。
[加飾層]
成形体は、さらに加飾層を備えてよい。加飾層は、模様、文字または金属光沢等の装飾を成形体に与える層である。加飾層により、成形体の意匠性が高まる。
成形体は、例えば、透明支持基材と、透明支持基材の一方の主面に配置されたハードコート層および低屈折率層と、透明支持基材の他方の主面に配置された加飾層と、を備える。加飾層は、透明支持基材の他方の主面の一部に設けられてもよい。成形体がディスプレイの保護材である場合、加飾層は、例えば、ディスプレイを囲むベゼル部分に設けられる。
加飾層としては、例えば、印刷層および蒸着層の少なくとも1つが挙げられる。印刷層および蒸着層はそれぞれ、1以上の層であり、複数の層を備えていてもよい。加飾層の厚さは特に限定されず、意匠性等に応じて、適宜設定される。
印刷層には、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、砂目模様、幾何学模様、文字、全面ベタが描かれる。印刷層は、例えば、バインダー樹脂と着色剤とを含む着色インキにより形成される。バインダー樹脂は特に限定されない。バインダー樹脂としては、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体等のポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキッド樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
着色剤は特に限定されず、公知の顔料または染料が挙げられる。黄色顔料としては、例えば、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン等の有機顔料またはチタンニッケルアンチモン酸化物等の無機顔料が挙げられる。赤色顔料としては、例えば、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドン等の有機顔料または弁柄等の無機顔料が挙げられる。青色顔料としては、例えば、フタロシアニンブルー等の有機顔料またはコバルトブルー等の無機顔料が挙げられる。黒色顔料としては、例えば、アニリンブラック等の有機顔料が挙げられる。白色顔料としては、例えば、二酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
蒸着層は、例えば、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、インジウム、スズ、銀、チタニウム、鉛、亜鉛等の群から選ばれる少なくとも一つの金属、またはこれらの合金もしくは化合物により形成される。
[成形樹脂層]
成形体は、さらに成形樹脂層を備えていてもよい。成形樹脂層は、透明支持基材とともにハードコート層および低屈折率層を支持する。成形体は、例えば、透明支持基材と、透明支持基材の一方の主面に配置されたハードコート層および低屈折率層と、透明支持基材の他方の主面に配置された成形樹脂層と、を備える。成形樹脂層の形状は制限されない。そのため、成形体のデザインの自由度が高まる。
成形体は、透明支持基材と、透明支持基材の一方の主面に配置されたハードコート層および低屈折率層と、透明支持基材の他方の主面に配置された加飾層と、成形樹脂層と、を備えていてもよい。この場合、加飾層は、透明支持基材と成形樹脂層とで挟まれるように配置されても良いし、透明支持基材、成形樹脂層、加飾層の順で配置されても良い。
成形樹脂層を形成する樹脂(成形用樹脂)は特に限定されない。成形樹脂層は、例えば、熱硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂を含む。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、熱硬化性ポリイミドが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、いわゆるエンジニアリングプラスチックが挙げられる。エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、超高分子量ポリエチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマーが挙げられる。
図3は、本開示に係る成形体の一部を模式的に示す断面図である。成形体20は、透明支持基材11と、その一方の主面に配置された硬化されたハードコート層22と、ハードコート層22上に形成された硬化された低屈折率層23と、加飾層24と、成形樹脂層25と、を備える。加飾層24は、透明支持基材11の他方の主面の一部を覆うように配置されている。成形樹脂層25は、透明支持基材11の他方の主面全体および加飾層24の全体を覆うように配置されている。
「積層フィルムの製造方法」
本開示に係る積層フィルムは、透明支持基材の一方の面上に、未硬化のハードコート層を形成する工程と、他の支持基材の一方の面上に、未硬化の低屈折率層を形成する工程と、未硬化のハードコート層の透明支持基材とは反対側の面と、未硬化の低屈折率層の他の支持基材とは反対側の面とを貼り合わせて積層フィルムを得るラミネート工程と、を備える方法により製造される。
低屈折率層は、活性エネルギー線硬化型の低屈折率層形成組成物を含み、低屈折率層形成組成物は、第1の層形成成分および中空シリカ粒子を含む。中空シリカ粒子の含有量は、低屈折率層形成組成物の固形分100質量部に対して、40質量部以上60質量部以下である。得られた低屈折率層に含まれる中空シリカ粒子の数に対する、露出シリカ粒子の数の割合は、40%以下である。
図4は、本開示に係る積層フィルムの製造方法を示すフローチャートである。
未硬化の低屈折率層を形成する工程において、中空シリカ粒子は、他の支持基材とは反対側に流動して、そこに偏在し易い。次のラミネート工程において、低屈折率層の他の支持基材とは反対側の面と、未硬化のハードコート層とが貼り合わされる。これにより、低屈折率層の他の支持基材側の表面が表出する。この表出した面が第1表面であり、中空シリカ粒子が偏在している方の表面の反対の面である。そのため、得られる積層フィルムにおいて、第1表面と中空シリカ粒子との間には、介在部分が形成されている。
ラミネート法によれば、未硬化のハードコート層と未硬化の低屈折率層との密着性が高くなる一方、混相が抑制され易い。そのため、優れた反射防止性能が発揮される。ラミネート法は、アフターキュア型の積層フィルムを製造するのに適した方法である。
(1-1)未硬化のハードコート層を形成する工程(S11)
未硬化のハードコート層は、透明支持基材の一方の面上に、例えば、上記の組成物HCを塗布することにより形成される。
組成物HCは、当業者において通常行われる手法によって調製することができる。組成物HCは、例えば、ペイントシェーカー、ミキサー等の通常用いられる混合装置を用いて、上記各成分を混合することによって調製することができる。
組成物HCの塗布方法は、当業者において通常行われる手法によって行われてよい。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、バーコート法(例えば、ワイヤーバーコート法)、ダイコート法、インクジェット法およびグラビアコート法が挙げられる。
組成物HCは、例えば、乾燥後であって、未硬化のハードコート層の厚さが1μm以上30μm以下になるように、塗布される。
塗布後、乾燥工程を行ってもよい。乾燥条件は特に限定されず、組成物HCに含まれる溶剤の少なくとも一部が除去されるように、適宜設定される。乾燥方法としては、例えば、風乾(自然乾燥)、加熱乾燥、真空乾燥が挙げられる。なかでも、加熱乾燥であってよい。加熱によって、乾燥とともに、未硬化のハードコート層がレベリングされ得る。乾燥は、透明支持基材上に未硬化のハードコート層が形成されてから、未硬化のハードコート層がラミネート工程に供されるまでの間に行われる。例えば、未硬化のハードコート層を備える透明支持基材がラミネート加工機に搬入される前に、未硬化のハードコート層が乾燥される。
未硬化のハードコート層と透明支持基材との積層体は、ロール状に巻き取られてもよい。これにより、ラミネート工程まで、ロールtoロール処理が可能となる。未硬化のハードコート層の表面に保護用のフィルムを貼り合わせた後、これらの積層体を巻き取ってもよい。保護用のフィルムと未硬化のハードコート層とは、粘着層を介して貼り合わされてもよい。
(1-2)未硬化の低屈折率層を形成する工程(S12)
未硬化の低屈折率層は、他の支持基材(代表的には、上記の保護フィルム)の一方の面上に、例えば、上記の組成物LRを塗布することにより形成される。組成物LRの調製および塗布は、組成物HCと同様に、当業者において通常行われる手法によって行われる。
組成物LRは、例えば、乾燥後であって、未硬化の低屈折率層の厚さが65nm以上150nm以下になるように、塗布される。
塗布後、乾燥工程を行ってもよい。乾燥条件は特に限定されず、組成物LRに含まれる溶剤の少なくとも一部が除去されるように、適宜設定される。乾燥方法としては、ハードコート層の乾燥と同様の方法が挙げられる。なかでも、加熱乾燥であってよい。加熱によって、中空シリカ粒子はさらに偏在し易くなる。
乾燥は、他の支持基材上に未硬化の低屈折率層が形成されてから、未硬化の低屈折率層がラミネート工程に供されるまでの間に行われる。例えば、未硬化の低屈折率層を備える他の支持基材がラミネート加工機に搬入される前に、未硬化の低屈折率層が乾燥される。
未硬化の低屈折率層と他の支持基材との積層体は、ロール状に巻き取られてもよい。これにより、ラミネート工程まで、ロールtoロール処理が可能となる。未硬化の低屈折率層の表面に保護用のフィルムを貼り合わせた後、これらの積層体を巻き取ってもよい。保護用のフィルムと未硬化の低屈折率層とは、粘着層を介して貼り合わされてもよい。
(1-3)ラミネート工程(S13)
他の支持基材上に形成された未硬化の低屈折率層と、透明支持基材上に形成された未硬化のハードコート層とが貼り合わされる。これにより、積層フィルムが得られる。
貼り合わせは、圧力をかけながら行われてよい。圧力は、例えば、0.1N/cm以上50N/cm以下であればよい。圧力は、0.5N/cm以上であってよい。圧力は、30N/cm以下であってよい。
貼り合わせの際の各層の温度は、特に限定されない。各層はいずれも未硬化であるため、低温で貼り合わせることができる。貼り合わせの際の各層の温度は、0℃以上100℃以下であってよい。一方、ラミネート法では混相の発生が抑制され易いため、貼り合わせの際に各層を加温してもよい。
ラミネート工程の後、積層フィルムはロール状に巻き取られてもよい。この場合、他の支持基材は剥離されていないことが望ましい。
未硬化のハードコート層と未硬化の低屈折率層との間に、未硬化の高屈折率層を備える積層フィルムは、例えば、以下の工程により製造される。
まず、他の未硬化の高屈折率層を、新たな支持基材上に形成する。次いで、未硬化のハードコート層の透明支持基材とは反対側の面と、未硬化の高屈折率層の新たな支持基材とは反対側の面とを貼り合わせる。新たな支持基材を剥離した後、露出した未硬化の高屈折率層に、他の支持基材で支持された未硬化の低屈折率層を貼り合わせる。必要に応じて、低屈折率層を貼り合わせる前に、未硬化の高屈折率層を未硬化のハードコート層、あるいはこれに積層された未硬化の高屈折率層に貼り合わせる工程を繰り返す。
これにより、透明支持基材と、未硬化のハードコート層と、少なくとも1つの未硬化の高屈折率層と、未硬化の低屈折率層と、他の支持基材と、をこの順に含む積層フィルムが得られる。他の支持基材は、剥離されてもよく、剥離されなくてもよい。
図5は、本開示に係る積層フィルムの製造方法におけるラミネート工程を説明する概略図である。透明支持基材11の一方の面上に、未硬化のハードコート層12が形成されている。この積層体は、未硬化のハードコート層の形成工程で得られる。この積層体は、図5の左方向から右方向に向かって、平坦な状態で搬送される。
一方、他の支持基材16の一方の面上に、未硬化の低屈折率層13が積層されている。この積層体は、未硬化の低屈折率層の形成工程で得られる。この積層体は、図5の左方向から右方向に向かって、平坦な状態で搬送される。
これら積層体を搬送しながら、未硬化のハードコート層12の透明支持基材11とは反対側の面と、未硬化の低屈折率層13の他の支持基材16とは反対側の面とを、一対のローラ30により圧力をかけながら。貼り合わせる。これにより、透明支持基材11と、未硬化のハードコート層12と、低屈折率層13と、他の支持基材16と、をこの順に含む積層フィルムが得られる。
図示例における各種寸法は、一態様に過ぎない。各層および各基材の厚さおよび大きさ、ローラの位置および大きさ等は、適宜設定すればよい。
「成形体の製造方法」
本開示に係る成形体は、上記の積層フィルムを所望の形状(典型的には、立体形状)に成形する工程と、その後、積層フィルムに活性エネルギー線を照射する硬化工程と、を備える方法により製造される。
一態様によれば、本開示に係る成形体は、上記の積層フィルムの透明支持基材の他方の主面に加飾層を形成する加飾工程と、加飾工程の後、積層フィルムに活性エネルギー線を照射する硬化工程と、を備える方法により製造される。
加飾工程の後、必要に応じて、射出成型工程、あるいは、プレフォーム工程および射出成型工程が行われる。プレフォーム工程では、積層フィルムが熱成形にて所望の立体形状に沿った形状に賦形される。
プレフォーム工程が行われる場合、硬化工程は、複数回行われてもよい。例えば、プレフォーム工程の後に、積層フィルムの一部を硬化させるように活性エネルギー線を照射する、半硬化工程が行われてもよい。この場合、射出成型工程の後、積層フィルムの残部を硬化させるように活性エネルギー線を照射する、本硬化工程が行われる。
すなわち、成形体は、加飾工程、プレフォーム工程、硬化工程および射出成型工程をこの順で備える方法により製造され得る。
成形体はまた、加飾工程、プレフォーム工程、半硬化工程、射出成型工程および本硬化工程をこの順で備える方法により製造され得る。
積層フィルムがロール状に巻き取られている場合、加飾工程の前に、積層フィルムをロールから巻き出して、スリットを形成したり、所望の形状および大きさに裁断したりする工程を行ってもよい。
以下、各工程について説明する。
(2-1)加飾工程
積層フィルムの透明支持基材の他方の主面に、加飾層(代表的には、印刷層および蒸着層)を形成する。
印刷層の形成方法は特に限定されない。印刷層の形成方法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、ロールコート法およびスプレーコート法が挙げられる。蒸着層の形成方法も特に限定されない。蒸着層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法および鍍金法が挙げられる。
(2-2)プレフォーム工程
積層フィルムを、所望の立体形状に沿った形状にプレフォームする。積層フィルムを、予め立体形状に近い形状に賦形することにより、射出成型(代表的には、インサートモールドラミネーション(IML)成型)が可能となる。IML成型では、積層フィルムが金型に挿入され、積層フィルムに向かって成形用樹脂が射出される。プレフォーム工程の後、積層フィルムの不要な部分を除去するトリミング工程を行ってもよい。
プレフォームの方法は特に限定されない。プレフォームは、例えば、真空成型法、圧空成型法、真空圧空成型法により実行される。プレフォームでは、金型と積層フィルムとが同じ処理室に設置される。積層フィルムは、透明支持基材が金型に対向するように設置される。積層フィルムを加熱して、処理室を真空状態および/または加圧状態にする。これにより、積層フィルムは金型に沿って変形する。次いで、積層フィルムを冷却して、金型から取り外す。プレフォームの際、積層フィルムを、90℃以上190℃以下で、10秒以上5分以内で、加熱してもよい。
(2-3)半硬化工程
積層フィルムの一部が硬化するように、活性エネルギー線を照射する。これにより、半硬化状態の積層フィルムが得られる。半硬化工程により、射出成型工程における積層フィルムの金型への貼り付きが抑制されるとともに、積層フィルムが、射出成型工程に必要な延伸率に調整されて、射出成型工程におけるクラックの発生を抑制することができる。半硬化工程の後、積層フィルムの不要な部分を除去するトリミング工程を行ってもよい。
活性エネルギー線の種類は特に限定されない。活性エネルギー線は、層形成組成物に含まれる樹脂成分の種類に応じて適宜選択される。活性エネルギー線は特に限定されず、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線であってよい。なかでも、380nm以下の波長を有する紫外線であってよい。紫外線は、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯を用いて照射される。
(2-4)射出成型工程
射出成型では、例えば、金型に低屈折率層を対向させるとともに、透明支持基材に向かって成形用樹脂が射出される。これにより、積層フィルムが金型の形状に賦形されるとともに、透明支持基材の他方の主面に成形樹脂層が形成される。
(2-5)硬化工程、本硬化工程
積層フィルムに活性エネルギー線を照射して、積層フィルムを完全硬化させる。これにより、成形体が得られる。活性エネルギー線は、積算光量が100mJ/cm以上になるように照射される。活性エネルギー線の積算光量は、5000mJ/cm以下であってよく、3000mJ/cm以下であってよい。活性エネルギー線は、半硬化工程と同種であってよく、異なっていてもよい。
以上、上記態様は一例であり、所望により公知の処理、加工工程等を導入してもよい。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
実施例および比較例において使用された各成分は、以下のとおりである。
(非反応性のアクリル樹脂)
アクリルポリマーA:Mw60,000
アクリルポリマーAは、以下のようにして調製した。
[アクリルポリマーAの調製]
n-ブチルメタクリレート30部、メチルメタクリレート70部、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート0.8部からなる混合物を調製した。別途、攪拌羽根、窒素導入管、冷却管および滴下漏斗を備えた500ml反応容器に、トルエン40部を投入し、110℃に加温した。この反応容器内を撹拌させながら、上記混合物を、窒素雰囲気下で2時間かけて等速で滴下した。滴下終了後、110℃の温度条件下で1時間反応を行った。その後、上記反応容器に、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート1部とトルエン25部との混合溶液を、1時間かけて滴下した。次いで、反応容器内を145℃まで加熱して、さらに2時間反応させた。続いて、反応容器内を110℃以下に冷却し、さらにトルエン59部を添加した。これにより、重量平均分子量60,000のアクリルポリマーAを得た。
(反応性オリゴマー)
KRM-8452:ダイセル オルネクス社製、多官能ウレタンアクリレートオリゴマー、Mw3,884、アクリル当量120g/eq
(反応性モノマー)
アロニックスM-402:東亜合成社製、DPHA
(中空シリカ粒子)
スルーリア22UB-10NB:日揮触媒社製、平均粒子径100nm
スルーリア4320:日揮触媒社製、平均粒子径55nm
(シルセスキオキサン)
AC-SQ SI-20:東亞合成社製、(メタ)アクリロイル基含有
MAC-SQ TM-100:東亞合成社製、(メタ)アクリロイル基含有
(他のシラン化合物)
KBM-5103:信越シリコーン社製、アクリロイル基含有シランカップリング剤、
BYK-UV 3570:ビックケミー社製、アクリロイル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン
(高屈折率粒子)
NANON5 ZR-010:ソーラー社製、酸化ジルコニウム、平均粒子径20nm
(光重合開始剤)
Omnirad 127:IGM RESINS社製、α-ヒドロキシアセトフェノン
Omnirad 184:IGM RESINS社製、α-ヒドロキシアルキルフェノン
(表面調整剤)
オプツールDAC-HP:ダイキン工業社製
(表面改質剤)
メガファックRS-57:DIC社製
(無機酸化物微粒子)
OSCAL 1842:日揮触媒化成工業社製、反応性シリカオルガノゾル、粒子径10nm
(透明支持基材)
TB1:品名AW-10U、ウェーブロック・アドバンスト・テクノロジー社製、PMMAおよびPCからなる2層(PMMA/PC)フィルム、厚さ300μm
(保護フィルム)
トレファン#40-2500、東レ社製、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、厚さ40μm
[組成物LR1-1の調製]
KRM-8452(反応性オリゴマー)34部、AC-SQ SI-20(シルセスキオキサン)6部、オプツール DAC-HP(表面調整剤)9部、メガファックRS-57(表面改質剤)8部、および、Omnirad184(光重合開始剤)3部を混合した。さらに、スルーリア22UB-10NB(中空シリカ粒子)40部を配合した。この混合物をプロピレングリコールモノメチルエーテルにより希釈して、固形分濃度3%の乳白色の組成物LR1-1を調製した。組成物LR1-1により形成される層の屈折率は、1.20以上1.55以下であった。
[組成物LR1-2~7、LR2-1~7の調製]
表1Aに示す配合にしたこと以外は、組成物LR1-1と同様にして、固形分濃度3%の、乳白色の組成物LR1-2~7、LR2-1~7を調製した。組成物LR1-2~7、LR2-1~7により形成される層の屈折率は、いずれも1.20以上1.55以下であった。
[組成物HR1の調製]
表1Bに示す配合にしたこと以外は、組成物LR1-1と同様にして、固形分濃度3%の乳白色の高屈折率層形成組成物HR1を調製した。組成物HR1により形成される層の屈折率は、1.55超2.00以下であった。
[組成物HC1の調製]
表1Cに示すように、アクリルポリマーA(非反応性のアクリル樹脂)47.6部、KRM-8452(反応性オリゴマー)33.3部、OSCAL 1842(無機酸化物微粒子)14.3部、および、Omnirad184(光重合開始剤)4.8部を混合した。この混合物をメチルイソブチルケトンにより希釈して、固形分濃度35%の透明な組成物HC1を調製した。
[組成物HC2~4の調製]
表1Cに示す配合にしたこと以外は、組成物HC1と同様にして、固形分濃度35%の透明な組成物HC2~4を調製した。
[実施例1]
(1)積層フィルムの製造
(1-1)未硬化の低屈折率層の形成
トレファン#40-2500(保護フィルム)に、組成物LR1-1を、グラビアコーターにより、乾燥後の厚さが100nmになるよう塗布した。その後、80℃で1分間乾燥させて溶媒を揮発させて、未硬化の低屈折率層を形成した。
(1-2)未硬化のハードコート層の形成
透明支持基材TB1のPMMAの面に、グラビアコーターにより、組成物HC1を乾燥後の厚さが8μmになるよう塗布した。その後、80℃で1分間乾燥させて溶媒を揮発させて、未硬化のハードコート層を形成した。
(1-3)未硬化のHC層とLR層との積層
透明支持基材TB1で支持された未硬化のHC層表面と、保護フィルムで支持された未硬化のLR層表面とを貼り合わせた。これにより、透明支持基材と、未硬化のHC層と、未硬化のLR層と、保護フィルムと、をこの順で有する積層フィルムを製造した。
(2)成形体の製造
(2-1)加飾層の形成
積層フィルムの透明支持基材の、未硬化のHC層とは反対側の面に、スクリーン印刷により加飾(印刷)層を形成し、乾燥温度80℃で10分間乾燥させた。その後、90℃で1時間乾燥させた。印刷層の形成には、黒色塗料(RIMインキ 極黒、十条ケミカル社製)を用いた。
(2-2)保護フィルムの剥離
次いで、保護フィルムを未硬化のLR層から剥離した。
(2-3)プレフォーム
印刷層を備える積層フィルムに対して、最大深さが6mmの立体形状の型を用いて、真空圧空成型法によりプレフォームを実施した。
(2-4)硬化
プレフォームされた積層フィルムに、積算光量2000mJ/cmの活性エネルギー線を照射した。続いて、トリミングを実施した。
(2-5)射出成型
最後に、射出成型を行って、透明支持基材の印刷層側に成形樹脂層(ポリカーボネート)を備える成形体を得た。なお、実施例において、特に言及のない限り、活性エネルギー線として、紫外線を使用した。
[実施例2-7、比較例1-7]
実施例1と同様にして、表1Aから表1Cに示す配合で調製された組成物を用いて、表2に示す構成を有する積層フィルムおよび成形体を作製した。
[実施例8]
実施例1の(1-1)および(1-2)と同様にして、未硬化のハードコート層および未硬化の低屈折率層をそれぞれ形成した。
別途、未硬化の低屈折率層の形成工程(1-1)と同様にして、表1Bに示された組成を有する未硬化の高屈折率層(HR層、乾燥後の厚さ100nm)が形成された保護フィルムを得た。その後、保護フィルムで支持された未硬化のHR層表面と、透明支持基材で支持された未硬化のHC層表面とを貼り合わせた。
次いで、保護フィルムを剥離して、未硬化のHR層を露出させた。このHR層に、(1-1)で作成された未硬化のLR層を貼り合わせた。これにより、透明支持基材と、未硬化のHC層と、HR層と、LR層と、保護フィルムとをこの順で備える積層フィルム、および成形体を作製した。
[評価]
積層フィルムおよび成形体に対して、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
(a)厚さ
積層フィルムから保護フィルムを剥離した後、積算光量300mJ/cmの活性エネルギー線を照射して、評価サンプルを得た。評価サンプルの断面を、ミクロト-ム(LEICA RM2265)にて析出させた。析出させた断面を、レーザ顕微鏡(VK8700、KEYENCE社製)または透過型電子顕微鏡(JEM2100、日本電子社製)にて観察し、厚さを測定した。
(b)露出シリカ粒子の割合
上記と同様にして得られた積層フィルムの断面をTEM(日本電子社製のJEM2100)にて観察した。TEM画像を横幅が3μm程度になるように拡大して、上記に従って、低屈折率層に含まれる中空シリカ粒子の数Nと露出シリカ粒子の数Nとをカウントした。最後に、式:100×N/Nに従って、露出シリカ粒子の割合(%)を算出した。
図6に、実施例2で作製された積層フィルムの断面のTEM画像を示す。
(c)耐摩耗性
成形体のLR層の表面を、積層フィルム表面4cmあたり垂直荷重9.8Nをかけながら、綿布を固定した摩擦子により5,000回摩擦した。その後、成形体のLR層の表面を目視により観察した。評価基準は次のとおりである。
良:5,000回の摩擦後、傷は視認されなかった
不良:5,000回の摩擦後、傷が視認された
(d)視感反射率
積層フィルムから保護フィルムを剥離した後、積算光量300mJ/cmの活性エネルギー線を照射した。次いで、透明支持基材における、HC層とは反対側の面に対し、黒色塗料(品名:CZ-805 BLACK(日弘ビックス社製)を、バーコーターを用い、乾燥膜厚が3μm以上6μm以下となるように塗布した。これを室温環境下で5時間放置し、乾燥を行うことにより、評価サンプルを作製した。
評価サンプルの低屈折率層側から、SCI方式による視感反射率を測定し、評価した。測定には、日本電色工業社製のSD7000を用い、測定波長領域を380nm以上780nm以下とした。
(e)延伸率
積層フィルムから長さ200mm×幅10mmの試験片を切り出した。この試験片を、チャック間距離が150mmである引張り試験機にセットして、160℃雰囲気下、引張力5.0Kgf、引張速度300mm/分の条件にて、評価サンプルを長辺方向に10%延伸した。延伸後の評価サンプルのクラックの有無を、目視で確認した。
クラックの発生が無ければ、新たな評価サンプルを切り出し、次は長辺方向に20%延伸させた。そして、同様にして、クラックの有無を目視で確認した。延伸率を10%ずつ大きくしながらこの手順を繰り返した。クラックが初めて確認されたときの延伸率を、積層フィルムの延伸率とした。同じ積層フィルムから切り出した評価サンプルに対して上記の評価を3回行い、各回で得られた延伸率の平均値を、積層フィルムの延伸率E160とした。
表2からわかるように、本開示に係る積層フィルムは耐摩耗性に優れる。一方、比較例1、2、4-7の積層フィルムは、露出シリカ粒子の割合が大きく、耐摩耗性に劣る。比較例3の積層フィルムは、良好な耐摩耗性を有するものの、視感反射率に劣る。
本開示は以下の態様を含む。
[1]
透明支持基材と、
前記透明支持基材の少なくとも一方の面上に形成された未硬化のハードコート層と、
前記未硬化のハードコート層上に形成された未硬化の低屈折率層と、を備え、
前記低屈折率層は、活性エネルギー線硬化型の低屈折率層形成組成物を含み、
前記低屈折率層形成組成物は、層形成成分および中空シリカ粒子を含み、
前記中空シリカ粒子の含有量は、前記低屈折率層形成組成物の固形分100質量部に対して、40質量部以上60質量部以下であり、
前記低屈折率層に含まれる前記中空シリカ粒子の数に対する、前記低屈折率層の前記ハードコート層とは反対側の表面から少なくとも一部が露出している前記中空シリカ粒子の数の割合は、40%以下である、積層フィルム。
[2]
前記中空シリカ粒子の平均粒子径は、90nm以上110nm以下である、上記[1]に記載の積層フィルム。
[3]
前記低屈折率層形成組成物は、さらにシルセスキオキサンを含み、
前記中空シリカ粒子の含有量Waと前記シルセスキオキサンの含有量Wbとは、下記関係式:
Wb≧(3Wa/4)-24
を満たす、上記[1]または[2]に記載の積層フィルム。
[4]
前記未硬化のハードコート層と前記未硬化の低屈折率層との間に、さらに、少なくとも一つの未硬化の高屈折率層を備える、上記[1]~[3]のいずれかに記載の積層フィルム。
[5]
立体形状を有する成形体の成形に用いられる、上記[1]~[4]のいずれかに記載の積層フィルム。
[6]
硬化された上記[1]~[5]のいずれかに記載の積層フィルムを含む、成形体。
[7]
立体形状を有する、上記[6]に記載の成形体。
[8]
透明支持基材の一方の面上に、未硬化のハードコート層を形成する工程と、
他の支持基材の一方の面上に、未硬化の低屈折率層を形成する工程と、
前記未硬化のハードコート層の前記透明支持基材とは反対側の面と、前記未硬化の低屈折率層の前記他の支持基材とは反対側の面とを貼り合わせて積層フィルムを得るラミネート工程と、を備え、
前記低屈折率層は、活性エネルギー線硬化型の低屈折率層形成組成物を含み、
前記低屈折率層形成組成物は、層形成成分および中空シリカ粒子を含み、
前記中空シリカ粒子の含有量は、前記低屈折率層形成組成物の固形分100質量部に対して、40質量部以上60質量部以下であり、
前記低屈折率層に含まれる前記中空シリカ粒子の数に対する、前記低屈折率層の前記ハードコート層とは反対側の表面から少なくとも一部が露出している前記中空シリカ粒子の数の割合は、40%以下である、積層フィルムの製造方法。
本発明によれば、耐摩耗性に優れる積層フィルムを提供することができる。そのため、この積層フィルムは、特にディスプレイの保護材を製造するために好ましく用いられる。
10 積層フィルム
11 透明支持基材
12 未硬化のハードコート層
13 未硬化の低屈折率層
13X 第1表面
131 中空シリカ粒子
131a カウントされる中空シリカ粒子
131b 露出シリカ粒子
131c カウントされない中空シリカ粒子
16 他の支持基材
20 成形体
22 硬化されたハードコート層
23 硬化された低屈折率層
24 加飾層
25 成形樹脂層
30 ローラ

Claims (8)

  1. 透明支持基材と、
    前記透明支持基材の少なくとも一方の面上に形成された未硬化のハードコート層と、
    前記未硬化のハードコート層上に形成された未硬化の低屈折率層と、を備え、
    前記低屈折率層は、活性エネルギー線硬化型の低屈折率層形成組成物を含み、
    前記低屈折率層形成組成物は、層形成成分および中空シリカ粒子を含み、
    前記中空シリカ粒子の含有量は、前記低屈折率層形成組成物の固形分100質量部に対して、40質量部以上60質量部以下であり、
    前記低屈折率層に含まれる前記中空シリカ粒子の数に対する、前記低屈折率層の前記ハードコート層とは反対側の表面から少なくとも一部が露出している前記中空シリカ粒子の数の割合は、40%以下である、積層フィルム。
  2. 前記中空シリカ粒子の平均粒子径は、90nm以上110nm以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記低屈折率層形成組成物は、さらにシルセスキオキサンを含み、
    前記中空シリカ粒子の含有量Waと前記シルセスキオキサンの含有量Wbとは、下記関係式:
    Wb≧(3Wa/4)-24
    を満たす、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記未硬化のハードコート層と前記未硬化の低屈折率層との間に、さらに、少なくとも一つの未硬化の高屈折率層を備える、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  5. 立体形状を有する成形体の成形に用いられる、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  6. 硬化された請求項1または2に記載の積層フィルムを含む、成形体。
  7. 立体形状を有する、請求項6に記載の成形体。
  8. 透明支持基材の一方の面上に、未硬化のハードコート層を形成する工程と、
    他の支持基材の一方の面上に、未硬化の低屈折率層を形成する工程と、
    前記未硬化のハードコート層の前記透明支持基材とは反対側の面と、前記未硬化の低屈折率層の前記他の支持基材とは反対側の面とを貼り合わせて積層フィルムを得るラミネート工程と、を備え、
    前記低屈折率層は、活性エネルギー線硬化型の低屈折率層形成組成物を含み、
    前記低屈折率層形成組成物は、層形成成分および中空シリカ粒子を含み、
    前記中空シリカ粒子の含有量は、前記低屈折率層形成組成物の固形分100質量部に対して、40質量部以上60質量部以下であり、
    前記低屈折率層に含まれる前記中空シリカ粒子の数に対する、前記低屈折率層の前記ハードコート層とは反対側の表面から少なくとも一部が露出している前記中空シリカ粒子の数の割合は、40%以下である、積層フィルムの製造方法。
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