JP2024032093A - 一方向クラッチ、及び、魚釣用リール - Google Patents
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Abstract
【課題】リール本体の小型、軽量化が図れ、構成部材の取り扱いが容易な一方向クラッチを提供する。【解決手段】本発明の一方向クラッチ20は、内輪と、外輪27と、複数の転がり部材25を付勢する付勢バネを保持する保持部23aを具備した保持器23と、を備えている。保持器23は、保持部23aが設けられた第1保持器23Aと、外輪を軸方向で挟持するように前記第1保持器に取り付けられる第2保持器と、を備えており、第1保持器23Aと第2保持器23Bは、外輪27の内周輪郭よりも径方向内側に設けられた係合固定部30で一体化されることを特徴とする。【選択図】 図3
Description
本発明は、駆動軸の逆回転を防止する一方向クラッチ、及び、そのような一方向クラッチを組み込んだ魚釣用リールに関する。
一般的に、魚釣用リールであるスピニングリールには、ハンドルの回転操作でロータの釣糸巻き取り方向の回転を許容すると共に、ハンドルを逆回転させようとした際、ロータの逆回転を防止する逆転防止機構が組み込まれている。通常、逆転防止機構は、ピニオンギアに回り止め嵌合される内輪と、内輪の径方向外方に配設され、複数の転がり部材を保持した保持器と、保持器の径方向外方に配設され、リール本体に対して回り止め固定された外輪とを備えた一方向クラッチで構成されている。
前記一方向クラッチは、例えば、特許文献1に見られるように、構成部材を一体化したアッセンブリ構造にしておき、リール本体に対する組み付けをネジ止め式にする(外輪の外側にネジ座を設けてリール本体に固定する)ことが知られている。また、前記保持器については、転がり部材、付勢バネ、外輪などの構成部材が軸方向に抜けないように、複数の構造体(第1保持器、第2保持器)にして、これらを一体化することが行われている。
従来の魚釣用リールに組み込まれる一方向クラッチは、上記したように、保持器を複数の構造体にすることが行われているが、両者を一体化する構成について、充分な配慮がされていない。具体的には、第1保持器と第2保持器との係合を外輪の径方向外側で行なっているため、一方向クラッチが径方向で大きくなってしまい、リール本体を小型化することができないという問題が生じている。また、その際、軽圧入にする等、簡単に分離できる構造にしており、これにより、製造時、或いはリール本体への組み込み作業時、メンテナンス時に、構成部品の脱落等の飛散を気遣った作業が必要となっている。更に、そのような一方向クラッチを、リール本体に対して径方向外方でネジ止め固定することから、リール本体の小型、軽量化が図れない。
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、リール本体の小型、軽量化が図れ、構成部材の取り扱いが容易な一方向クラッチ、及び、そのような一方向クラッチを組み込んだ魚釣用リールを提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明に係る一方向クラッチは、内輪と、外輪と、複数の転がり部材を付勢する付勢バネを保持する保持部を具備した保持器と、を備え、前記保持器は、前記保持部が設けられた第1保持器と、前記外輪を軸方向で挟持するように前記第1保持器に取り付けられる第2保持器と、を備えており、前記第1保持器と第2保持器は、前記外輪の内周輪郭よりも径方向内側に設けられた係合固定部で一体化されることを特徴とする。
上記した一方向クラッチによれば、構成部材である保持器が、複数の転がり部材を付勢する付勢バネを保持する保持部を備えた第1保持器と、外輪を軸方向で挟持するように前記第1保持器に取り付けられる第2保持器とを備え、第1保持器と第2保持器は、外輪の内周輪郭よりも径方向内側に設けられた係合固定部で一体化される。すなわち、第1保持器と第2保持器を一体化するための係合固定部が、外輪に対して径方向外方に突出しないため、一方向クラッチを小型、軽量化することが可能となる。
また、上記した目的を達成するために、本発明は、上記した構成の一方向クラッチを組み込んだ魚釣用リールを提供するのであり、小型、軽量化された一方向クラッチを組み込んだことで、リール本体についても小型、軽量化を図ることが可能となる。
本発明によれば、リール本体の小型、軽量化が図れ、構成部材の取り扱いが容易な一方向クラッチが得られ、また、そのような一方向クラッチをリール本体に組み込むことで、小型、軽量化した魚釣用リールが得られる。
図1及び図2は、本発明に係る魚釣用リールであるスピニングリールの実施形態を示す図であり、図1は分解斜視図、図2は内部構成を示す図である。
なお、以下、一方向クラッチを説明するにあたり、スプール側となる方向を前方(上側)、リール本体側となる方向を後方(下側)と定義し、軸方向Xは、スプール軸の軸芯方向、中心Oは、スプール軸の軸芯位置と定義する(図2参照)。
なお、以下、一方向クラッチを説明するにあたり、スプール側となる方向を前方(上側)、リール本体側となる方向を後方(下側)と定義し、軸方向Xは、スプール軸の軸芯方向、中心Oは、スプール軸の軸芯位置と定義する(図2参照)。
最初に、本実施形態のスピニングリールの全体構成の概略について説明する。
スピニングリール(以下、リールと称する)1のリール本体2には、釣竿に装着されるリール脚2Aが一体形成されている。リール本体2の前方には、回転可能に支持されたロータ3と、ロータ3の回転運動と同期して前後動可能に支持された公知のスプール(図示せず)とが配設されている。
スピニングリール(以下、リールと称する)1のリール本体2には、釣竿に装着されるリール脚2Aが一体形成されている。リール本体2の前方には、回転可能に支持されたロータ3と、ロータ3の回転運動と同期して前後動可能に支持された公知のスプール(図示せず)とが配設されている。
前記ロータ3は、スプールの周囲を回転する一対の腕部3aを備えており、各腕部3aの夫々の前端部には、ベール5の基端部を取り付けたベール支持部材3bが釣糸巻き取り位置と釣糸放出位置との間で回動自在に支持されている。この場合、ベール5の一方の基端部は、ベール支持部材3bに一体的に設けられた釣糸案内部(ラインローラ)6に取り付けられている。
前記リール本体2内には、ハンドル軸が軸受けを介して回転可能に支持されており、その突出端部には、ハンドルが取り付けられている。前記ハンドル軸には、ハンドルを回転操作した際、その駆動力を前記ロータ3に伝達してロータを回転駆動する駆動力伝達機構10が設けられている。
駆動力伝達機構10は、公知のように、前記ハンドル軸に一体回転可能に装着された駆動ギアと、この駆動ギアに噛合するピニオン歯部を具備したピニオン11とを備えている。前記ピニオン11は、ハンドル軸と直交する前後方向に延出し、内部に軸方向に延在する空洞部11aが形成された回転駆動軸としての機能を有する。この場合、空洞部11aには、ハンドルを回転操作した際にスプールを前後動させる公知のオシレート機構と係合するスプール軸が挿通され、その先端に前記スプールが装着される。
前記ピニオン11は、リール本体1に回転可能に支持されている。また、ピニオン11はスプール側に向けて延出しており、ピニオン11の先端部には、前記ロータ3が一体回転可能に取り付けられている。前記ロータ3は、中心部分に形成されたボス部3Aの貫通孔がピニオン11の先端に外嵌され、ナット(図示せず)を締め付けることで固定される。また、前記ピニオン11上には、逆転防止機構を構成する一方向クラッチ20が配設されている。
上記した構成により、ハンドルを巻き取り操作すると、駆動力伝達機構10を介してロータ3が回転駆動される共に、オシレート機構及びスプール軸を介してスプールが前後方向に往復動される。したがって、釣糸は、回転駆動されるロータ3の釣糸案内部6を介してスプールに均等に巻回されるようになる。
次に、本実施形態の一方向クラッチ20について、図1及び図2に加え、図3から図8を参照して説明する。
図3から図8は、図1に示すスピニングリールに組み込まれるアッセンブリ構造となった一方向クラッチを示しており、図3は斜視図、図4は側面図、図5は図4のA-A線に沿った断面図、図6は図4のB-B線に沿った断面図、図7は図3に示す一方向ラッチの平面図、そして、図8(a)は一方向クラッチの保持器(第1保持器)の保持部の構成を示す図、図8(b)は図(a)のC-C線に沿った断面図である。
図3から図8は、図1に示すスピニングリールに組み込まれるアッセンブリ構造となった一方向クラッチを示しており、図3は斜視図、図4は側面図、図5は図4のA-A線に沿った断面図、図6は図4のB-B線に沿った断面図、図7は図3に示す一方向ラッチの平面図、そして、図8(a)は一方向クラッチの保持器(第1保持器)の保持部の構成を示す図、図8(b)は図(a)のC-C線に沿った断面図である。
図1に示したように、リール本体2のスプール側には、略円板形状に形成された基部2Bが配設されており、基部2Bの表面部分には、一方向クラッチ20の回転方向の移動を規制する規制部が設けられている。本実施形態の規制部は、リール本体2に設けられた円周壁(軸方向に突出する円筒部)2Cとして構成されている。前記ピニオン11は、円周壁2Cの中心部分を貫いて回転可能に支持されており、その中間部に一方向クラッチ20が配設されている。この場合、円周壁2Cには、後述する一方向クラッチ20の突出部(度当て)が配置されるように、180°間隔で切欠部2cが形成されている。
前記ピニオン11は、ハンドルの回転操作によって駆動ギアを介して回転駆動される。また、前記一方向クラッチ20は、ピニオン11の中間部分に配設されて、ピニオン11の釣糸巻き取り方向の回転を許容すると共に逆回転を防止する機能を備え、内輪21と、外輪27と、複数の転がり部材25を付勢する付勢バネ24を保持する保持部23aを備えた保持器23とを有している。保持器23は、前記保持部23aを備えた第1保持器23Aと、前記外輪27を軸方向で挟持するように第1保持器23Aに取り付けられる第2保持器23Bと、を備えている。そして、これらの構成部材は、アッセンブリ化されており(複数の構成部材を一体化したアッセンブリ構造;ASSYとも称される)、一体的に取り扱うことが可能となっている。
このように保持器23を、複数の部材(第1保持器23A及び第2保持器23B)で構成することで、外輪等の構成部材が軸方向に抜けることが抑制され、アッセンブリ化を図り易くなる。
このように保持器23を、複数の部材(第1保持器23A及び第2保持器23B)で構成することで、外輪等の構成部材が軸方向に抜けることが抑制され、アッセンブリ化を図り易くなる。
前記内輪21は、ピニオン11に対して回り止めされており、ピニオン11とともに一体回転する駆動軸としての機能を有する。具体的には、ピニオン11の断面は、部分的に非円形部が形成された形状となっており、この部分に内輪21の非円形部を嵌合させることで、内輪21は、ピニオン11と共に一体回転可能となっている。
前記保持器23は、内輪21の径方向外方に配設されており、上記したように第1保持器23A及び第2保持器23Bを一体化することで構成されている。本実施形態では、第1保持器23Aが下側に、第2保持器23Bが上側に配設されており、これら第1保持器23A及び第2保持器23Bは、外輪27を挟持するようにして一体的に組み付けられてアッセンブリ化されている。なお、第1保持器23Aを上側、第2保持器23Bを下側として定義しても良い。
上記した第1保持器23A及び第2保持器23Bは、後述する係合固定部30によって一体化されている。この係合固定部30については、楔領域27a及びフリー領域27bが形成されている外輪27の内周輪郭よりも内側に配設されており、この内側位置で第1保持器23A及び第2保持器23Bの係合固定が成される。
前記第1保持器23Aには、周方向に一定間隔おいて配置される前記保持部23aが形成されている。各保持部23aには、円周方向に向けて開口する(図5に示すように、反時計回り方向に向けて開口する)凹所23bが形成されており、各凹所23b内には、付勢バネ24が保持されている。そして、各保持部間には、転がり部材25が配設されており、各転がり部材25は、付勢バネ24によって周方向(図5では、反時計回り方向;逆回転方向)に付勢されている。
前記外輪27は、各転がり部材25の径方向外方に配設され、リング形状(略リング形状でも良い)に形成されている(図5参照)。外輪27の内周面には、夫々の転がり部材25の回転を阻止する楔領域27aと、転がり部材25を自由に回転させるフリー領域27bが連続して形成されている。前記保持器23(第1保持器23A)に保持されている各転がり部材25は、付勢バネ24によって常時、楔領域側に付勢された状態となっている。また、外輪27の外周面27dは、円形状(略円形状が含まれる)に形成されている。
前記略リング形状に形成された外輪27の一部には、径方向外方に突出するように突出部27cが設けられている。この突出部は、外輪27の回転を規制する度当てとしての機能を備えている(以下、度当て27cとも称する)。度当て27cは、外輪27の外周面27dから径方向外方に突出するように一体形成されており、1個所以上設けられている。この場合、外輪には、大きなトルクが掛かって、1個所では応力が集中して偏り等が生じる可能性があるので、等間隔で2個以上形成することが好ましい。本実施形態では、180°間隔で軸芯(中心О)を挟んで対向するように2個所設けられている。各度当て27cは、周方向に一定の幅を有しており、周方向の両サイド27e,27fが回り止め機能を有する。
前記第1保持器23Aは、図6に示すように、外輪27と同様な形状を備えており、好ましくは、外輪27の度当て27cと同じ位置(軸方向で重なる位置)に、略同形状の突出部23cが一体形成されている。この突出部23cも外輪と同様、180°間隔で軸芯(中心О)を挟んで対向するように2個所設けられており、度当てとしての機能を備えている(以下、度当て23cとも称する)。前記度当て23cは、周方向に一定の幅を有しており、周方向の両サイド23e,23fが回り止め機能を有する。
前記リール本体2に突出形成された円周壁2Cには、その円周壁を径方向に貫通する切欠部2cが形成されている。この切欠部2cは、上記した第1保持器23Aの度当て23c、及び、外輪27の度当て27cが配設できる程度に形成されており、この切欠部2cに各度当て23c,27cを嵌合し、その表面から第2保持器23Bを配設することで、一方向クラッチは回り止め固定されるとともに外輪の抜けが規制される(周方向及び軸方向の移動が規制される)。
なお、切欠部2cは、円周壁2Cに1個所以上形成されていれば良いが、本実施形態では、第1保持器23A及び外輪27に形成される度当てと同数となるように、円周方向に等間隔で2箇所(180°間隔で中心Оに対して対称となる2個所)形成されている。このように、切欠部2cについては、第1保持器23A及び外輪27に形成される度当てと同数で、2箇所以上設けておくことで、一方向クラッチがガタ付くことなく、安定して保持することが可能となる。
前記度当て23c,27cの外周面は、円周壁2Cの切欠部2c部分で径方向に露出しており、指を当て付けて摘まむことが可能となっている。このため、露出する各度当てによって、第1保持器23A及び外輪27を一体的に摘まみ易くなり、一方向クラッチ20の着脱作業性の向上が図れるようになる。この場合、切欠部2cの開口側(上端側)には、上方に移行するにしたがって次第に広がるように面取り2dを形成しておくことが好ましい(図4参照)。このような面取り2dを形成しておくことで、第1保持器23A及び外輪27の着脱操作が行ない易くなる。
上記した構成において、第1保持器23Aの度当て23cと切欠部2cについては、図6に示すように、隙間なく接触(遊度がない状態で接触)するように構成することが好ましい。このような嵌合関係によれば、第1保持器23Aに搭載されている転がり部材25のリール本体に対する相対位置が固定され、制動速度が遅くなる(制動するまでの時間がかかる)ことはなく、速やかなロック性能を維持することが可能となる。
すなわち、両者の間に遊度が存在していると、内輪21が釣糸巻き取り方向に回転した状態では、付勢バネ24を保持している第1保持器23Aも内輪によって連れ回り作用を受け、付勢バネ24は周方向に移動するようになる(図5において、付勢バネ24は、遊度の分、第1保持器と共に時計回り方向へ連れ回りする)。この状態で逆回転側に負荷がかかると、その遊度の分だけ、各転がり部材25を外輪27の楔領域27aに移動させる時間が延びてしまうため、制動までの時間がかかってしまい、迅速なロック性能を発揮することができない。これに対し、第1保持器23Aの度当て23cと切欠部2cを、図6に示すように、隙間がない嵌合状態にすることで、付勢バネ24の固定位置を維持することができ、遊度による作動までの時間がかかることはなく、逆回転時に速やかなロック性能を発揮することが可能となる。
なお、第1保持器23Aの外周面23gと円周壁2Cとの間は、隙間Sが生じる程度に形成しておいても良く、これにより、第1保持器23Aの公差を吸収することが可能となる。
また、前記外輪27については、図5に示すように、度当て27cと切欠部2cとの間、及び、外輪27の外周面と円周壁2Cの内周面との間に多少の遊度S1を持たせた状態にする構成することが好ましい。このように構成することで、外輪27と円周壁2Cに多少の公差が生じて、中心Оに対して同芯度がずれたとしても、そのずれを吸収することができ、これにより、スムーズな回転性能を確保しつつ、ガタ付きを防止し、更には、着脱操作を容易に行うことができる。また、外輪27を、円周壁2C内に嵌合させて両者の間が非接触状態(遊度S1が生じる)となるように構成することで、前記内輪21をセンタリングした際、外輪27と円周壁2Cとの間で非接触状態を維持して、両部材間で導通しないようにする(電食が生じないようにする)ことが可能となる。
なお、両部材の間に電食防止プレートを介在させるような構造であっても良い。
なお、両部材の間に電食防止プレートを介在させるような構造であっても良い。
次に、図7及び図8を参照して、前記第1保持器23A及び第2保持器23Bを一体化する係合固定部30の構成について説明する。この係合固定部30は、上述したように、楔領域27a及びフリー領域27bが形成される外輪27の内周輪郭よりも内側に配設されている。
前記係合固定部30は、例えば、第1保持器23Aに、周方向に所定の間隔をおいて軸方向に突出する変位可能な凸部を形成すると共に、第2保持器23Bの対応する位置に、凸部が嵌まり込む凹部を形成することで構成することが可能である。この構成では、第2保持器23Bを、外輪27を挟み込むように軸方向に移動させて凹部に凸部を係合させることで、第1保持器23A及び第2保持器23Bを一体化することが可能である。
具体的に本実施形態では、凸部は、図8(b)に示すように、弾性的に変位すると共に先端に係止爪31aを備えた変位部(突出片)31によって構成され、凹部は、変位部31の係止爪31aを抜け止めする抜け止め部32によって構成されている。この場合、抜け止め部32は、変位部31の先端側の係止爪31aを通過させる嵌合孔として構成されており、両者を組み付け易く(変位部31と抜け止め部32を位置合わせし易く)している。すなわち、第2保持器23Bの嵌合孔を変位部31に位置合わせして、第2保持器23Bを軸方向に移動させて第1保持器23Aに重ねると、係止爪部分が弾性的に変位(径方向内側に変位)する。そして、係止爪31aが抜け止め部32を通過すると、係止爪部分は元の位置に復帰し、係止爪31aの裏側平坦部31bと、抜け止め部32の周囲の平坦部32aが係合して抜け止めがなされる。
このように、前記第1保持器23A、外輪27、第2保持器23Bを組み付けるに際して、第2保持器23Bを第1保持器23Aに位置合わせして軸方向に移動させるだけの簡単な操作で、一方向クラッチのアッセンブリ化が容易に行えるようになる。
上記した構成では、変位部31は、前記第1保持器23Aの保持部23aに一体形成することが好ましい。本実施形態では、第1保持器23Aの度当て23cと切欠部2cは、図6に示したように、隙間がない嵌合状態にされているため、常時、安定した位置に付勢バネ24が位置するようになり、逆回転時に速やかなロック性能を発揮することができる。
また、上記した係合固定部30は、変位部31が弾性変形して、係止爪31aの裏側平坦部31bと、抜け止め部32の周囲の平坦部32aとが平坦部同士で固定されるので、第1保持器23Aと第2保持器23Bの着脱操作が容易に行えるようになる。
さらに、上記した係合固定部30は、第1保持器23Aと第2保持器23Bに複数個所設けておくことが好ましい。本実施形態では、図7に示すように、一方向クラッチの直径に対して略対称となる位置に4箇所形成されており、これにより、第1保持器23Aと第2保持器23Bが周方向に変位することなく、安定した固定状態を得ることが可能となる。
なお、本実施形態の係合固定部30は、第1保持器23Aと第2保持器23Bを着脱可能に構成したが、両部材を溶着又はカシメ又はネジ止めによって一体固定しても良い。このように、両部材を固定することで、固定状態が強固となり、衝撃に十分耐える抜去荷重を確保することができる。
また、上記した構成では、外輪27と第2保持器23Bとの間に、外輪27と第2保持器23Bとを位置決めする位置決め部を設けておくことが好ましい。このような位置決め部を設けておくことで、第1保持器23Aと第2保持器23Bを係合固定部30で一体化した際、両者の位置関係が保持されるようになり、上記した構成部材をアッセンブリ化した一方向クラッチをリール本体に組み込み易くすることができる。すなわち、第1保持器23Aの度当て23cと外輪27の度当て27cを揃えた状態で位置決めが成されることから、取り扱いが容易となり、円周壁2Cの切欠部2cへ組み付け易くなる。
前記位置決め部は、外輪27と保持器23との間の位置を固定するものであれば良い。例えば、本実施形態の位置決め部は、図3~図5に示すように、外輪27の度当て27cの外周面27c1に形成された凹所27c2と、第2保持器23Bに形成され、前記凹所27c2に嵌合する突起部23c2とを備えて構成されている。この場合、第2保持器23Bには、上記した度当て23c,27cと重なる位置に、径方向に突出する一対の突出片23mが形成されており、この突出片23mの外周面23nに前記突起部23c2が垂下するように形成されている。
上記した位置決め部を配設することで、円板状に形成された第1保持器23A、外輪27、第2保持器23Bを重ね、それぞれ径方向に突出する第1保持器23Aの度当て23c及び外輪27の度当て27cに対して、第2保持器23Bの突出片23mを位置合わせすることが容易に行えるようになる。このため、第2保持器23Bを軸方向に沿って外輪27に被せるようにすることで、前記突起部23c2が前記凹所27c2に嵌合されて位置決めが成されると共に、係合固定部30によって固定が成され、アッセンブリ化が容易に行えるようになる。
上記した一方向クラッチでは、円周壁2Cの径(円周壁の外周面の径)と、前記外輪27の最外径(度当て27cの露出側の外周面27c1の径)が同一となるように構成することが好ましく、これにより一方向クラッチが配設される部分を小型化することが可能となる。
上記した構成の一方向クラッチ20を組み込んだ魚釣用リールによれば、ハンドル(ロータ3)の釣糸繰出し方向の回転(逆回転)が防止される。
すなわち、ハンドルを釣糸巻き取り方向に回転操作してピニオンが回転駆動される(図5の時計回り方向に回転駆動される)と、ピニオンと共に内輪21も同方向に回転する。この際、保持器23(第1保持器23A)に保持される転がり部材25は、外輪27のフリー領域27bに移動するので、内輪21の回転力が外輪27に伝達されずピニオン11と共にロータ3は支障なく回転することができる。
すなわち、ハンドルを釣糸巻き取り方向に回転操作してピニオンが回転駆動される(図5の時計回り方向に回転駆動される)と、ピニオンと共に内輪21も同方向に回転する。この際、保持器23(第1保持器23A)に保持される転がり部材25は、外輪27のフリー領域27bに移動するので、内輪21の回転力が外輪27に伝達されずピニオン11と共にロータ3は支障なく回転することができる。
これに対して、ピニオンと共に内輪21が逆回転(ロータ3が釣糸繰出し方向に回転)しようとすると、保持器23(第1保持器23A)に保持される転がり部材25は、反時計回り方向に転動すると共に付勢バネ24によって外輪27の楔領域27aに位置するため、内輪21の回転力が外輪27に伝達される。この場合、外輪27は度当て27cによって回転が規制されているため、これがストッパとなって、ピニオン及びロータ3の逆回転が阻止される。
そして、上記した構成の一方向クラッチ20は、外輪27の内周輪郭よりも径方向内側で構成部品の保持(第1保持器23Aと第2保持器23Bの固定)がなされるので、一方向クラッチを小型化することが可能となる。したがって、それを組み込んだ魚釣用リールについても、リール本体の小型、軽量化が可能となり、実釣時の使用性の向上が図れる。この場合、第1保持器と第2保持器は、上記した構造の係合固定部30によって、相対的に軸方向に移動させるだけで一体化できるので、アッセンブリ化が容易に行えるようになる。特に、第1保持器23Aは、図6に示すように、隙間がない状態で回り止め固定された状態にあり、第1保持器23Aと第2保持器23Bは、付勢バネ24を保持する保持部23a部分で固定されるため、逆回転時に、制動までの時間がかかるようなことはなく、速やかなロック性能を発揮することができる。
さらに、本実施形態では、第1保持器23A、外輪27に、それぞれ径方向外方に突出するように度当てを形成し、この度当てをリール本体に設けた規制部に嵌合させて回転方向の移動を規制しているので、従来のように、リール本体にネジ止め等をすることが不要となり、リール全体の小型、軽量化を図ることが可能となる。特に、規制部については、リール本体に設けられた円周壁2Cの切欠部2cで構成し、ここに第1保持器23A、外輪27の各度当て23c、27cを配置した(好ましくは2箇所以上配置する)ことで、逆転方向にかかる負荷を効果的に受け止めることができる。
なお、上記した一方向クラッチ20をリール本体に組み込んだ後、図1及び図2に示すように、一方向クラッチ20に対する防水、防塵効果を高めるように、磁気シール機構50を配設しても良い。
この磁気シール機構50は、公知のように、駆動軸(内輪21)の外周面との間に微小隙間を介在して配設されるリング形状の磁性板(極板)51,52と、磁性板間に挟持されるリング状の磁石53とを備え、駆動軸と磁性板との間の隙間に磁性流体を充填した構成となっている。
また、本実施形態では、前記円周壁2Cと前記一方向クラッチ20を包み込むように、リール本体に防水キャップ60を設けている。この防水キャップ60は、一方向クラッチ20を包囲する円筒部61と、スプール側の開口を閉塞するカバー部62とを備えた形状となっており、カバー部62の内面に、前記磁気シール機構50の磁性板51が密着されている。
このように、一方向クラッチ20のスプール側に磁気シール機構50を配設すると共に、円周壁2Cと一方向クラッチ20を包み込むように、防水キャップ60を設けることで、水分や塵等の異物が浸入することが防止され、耐久性を高めることが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
上記の係合固定部30については、第2保持器23B側に変位部31を形成し、第1保持器23A側に抜け止め部32を形成しても良い。また、一体化するための係合固定の方法については、特に限定されることはなく、例えば、第1保持器23Aと第2保持器23Bを相対回転させて、両者をロックするような構造であっても良い。また、係合固定部30は、全ての構成要素が外輪の内周輪郭よりも径方向内側に位置しない構成であっても良い。すなわち、一部の構成要素が、外輪に重なる位置に配設されるものであっても良い。
本発明は、上記した係合固定部30以外の構成については、特に限定されることはなく、例えば、一方向クラッチを回り止めする規制部及び度当ての構成については、適宜、変形することが可能である。
上記した実施形態の一方向クラッチは、保持器23を固定状態にしてロータの逆回転を防止したが、リール本体の外部に突出する操作部材を設け、操作部材の操作で保持器を回動させることで転がり部材をフリー領域に位置させ、ロータの逆回転を許容するような構造であっても良い。さらに、一方向クラッチ20の軸方向の移動を規制するように、別途、一方向クラッチ20に隣接して規制プレート(図示せず)を配設しても良い。
上記した実施形態の一方向クラッチは、保持器23を固定状態にしてロータの逆回転を防止したが、リール本体の外部に突出する操作部材を設け、操作部材の操作で保持器を回動させることで転がり部材をフリー領域に位置させ、ロータの逆回転を許容するような構造であっても良い。さらに、一方向クラッチ20の軸方向の移動を規制するように、別途、一方向クラッチ20に隣接して規制プレート(図示せず)を配設しても良い。
本実施形態では、魚釣用リールとしてスピニングリールを例示したが、上記したようにアッセンブリ化した一方向クラッチ20については、それを組み込むことが可能な他のリール(両軸受け型リール等)にも適用することが可能である。
1 スピニングリール(魚釣用リール)
2 リール本体
2C 円周壁(規制部)
2c 切欠部
3 ロータ
20 一方向クラッチ
23 保持器
23A 第1保持器
23B 第2保持器
23c 度当て
27 外輪
27c 度当て
30 係合固定部
2 リール本体
2C 円周壁(規制部)
2c 切欠部
3 ロータ
20 一方向クラッチ
23 保持器
23A 第1保持器
23B 第2保持器
23c 度当て
27 外輪
27c 度当て
30 係合固定部
Claims (8)
- 内輪と、外輪と、複数の転がり部材を付勢する付勢バネを保持する保持部を具備した保持器と、を備えた一方向クラッチであって、
前記保持器は、前記保持部が設けられた第1保持器と、前記外輪を軸方向で挟持するように前記第1保持器に取り付けられる第2保持器と、を備えており、
前記第1保持器と第2保持器は、前記外輪の内周輪郭よりも径方向内側に設けられた係合固定部で一体化される、
ことを特徴とする一方向クラッチ。 - 前記係合固定部は、前記第1保持器と第2保持器を相対的に軸方向に移動した際に弾性的に変位すると共に係止爪を備えた変位部と、前記変位部の係止爪を抜け止めする抜け止め部と、を有している、
ことを特徴とする請求項1に記載の一方向クラッチ。 - 前記変位部は、前記第1保持器の保持部に一体形成され、
前記抜け止め部は、前記第2保持器に形成され、前記変位部の係止爪が係止される嵌合孔である、
ことを特徴とする請求項2に記載の一方向クラッチ。 - 前記係合固定部は、前記第1保持器と第2保持器に複数個所設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の一方向クラッチ。 - 前記係合固定部は、前記第1保持器と第2保持器を、溶着又はカシメ又はネジ止めによって一体固定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の一方向クラッチ。 - リール本体内に支持された回転駆動軸の一方向の回転を許容し、他方向の回転を阻止する一方向クラッチが組み込まれた魚釣用リールにおいて、
前記一方向クラッチは、内輪と、外輪と、複数の転がり部材を付勢する付勢バネを保持する保持部を具備した保持器と、を備えており、
前記保持器は、前記保持部が設けられた第1保持器と、前記外輪を軸方向で挟持するように前記第1保持器に取り付けられる第2保持器と、を備えており、
前記第1保持器と第2保持器は、前記外輪の内周輪郭よりも径方向内側に設けられた係合固定部で一体化される、
ことを特徴とする魚釣用リール。 - 前記リール本体には、前記一方向クラッチの回転方向の移動を規制するように固定する規制部が設けられ、
前記第1保持器及び前記外輪には、それぞれ径方向外方に突出する度当てが形成されており、
前記一方向クラッチは、前記リール本体に設けられた規制部と前記各度当てによって回転方向の移動が規制されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の魚釣用リール。 - 前記規制部は、リール本体に設けられた円周壁に周方向に沿って形成され、前記度当てが配置される切欠部である、
ことを特徴とする請求項7に記載の魚釣用リール。
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