JP2024031502A - ポリエステル系紡績糸及び織編物 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用後、埋め立て地、海水、廃水プラント等において、生分解する特性を有し、かつ、アイロン掛けや高温染色を行うことが可能となるポリエステル系紡績糸及びこの紡績糸を用いた織編物を提供する。【解決手段】生分解性添加剤を0.1~10質量%含むポリエステル樹脂からなる生分解性ポリエステル繊維を少なくとも一部に含有する紡績糸であって、ポリエステル樹脂の融点が200℃以上であり、生分解性添加剤が脂肪族-芳香族エステル、ポリラクチド、官能性成分、単糖類、アルドヘキソースの少なくとも一種であるポリエステル系紡績糸。【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性を有するポリエステル系紡績糸及びこの紡績糸を用いた織編物に関するものである。
近年、SDGs(持続的な開発目標)に向けた開発が進む中で、地球規模での環境に対する意識向上に伴い、環境配慮型の繊維素材の開発が進められている。環境への負荷を低減できる繊維としては、天然繊維、植物由来成分を使用した合成繊維、生分解性を有する化学繊維等が挙げられる。
生分解性を有する繊維素材としては、使用後、最終的に水と二酸化炭素に分解するポリ乳酸を使用した繊維が広く提案されてきた。
例えば、生分解性を有する紡績糸として、特許文献1において、ポリ乳酸系繊維と羊毛繊維との混紡糸が提案されている。そして、この混紡糸を用いると、使用後は生分解することから、環境への負荷が少ない織編物が提供できる。
しかしながら、上記の混紡糸においては、ポリ乳酸系繊維が混紡糸表面の一部に露出している。そのため、この混紡糸を用いた織編物にアイロンを掛けると、ポリ乳酸系繊 維が溶融し、風合いが損なわれるという問題があった。また、得られた混紡糸を用いて製編織した後、染色を施すにあたって、高温での染色を行うと、ポリ乳酸系繊維の溶融が生じ、高温染色を行うことができないという問題があった。
このため、衣料用途、産業資材用途ともに使用できる用途が限られており、繊維素材として有用なものではなかった。
特開2002-069796号公報
本発明は、上記のような問題点を解消するものであり、使用後、埋め立て地、海水、廃水プラント等において、生分解する特性を有し、かつ、アイロン掛けや高温染色を行うことが可能となるポリエステル系紡績糸及びこの紡績糸を用いた織編物を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者は、上記の様な課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下(1)~(5)を要旨とするものである。
(1)生分解性添加剤を0.1~10質量%含むポリエステル樹脂からなる生分解性ポリエステル繊維を少なくとも一部に含有する紡績糸であって、ポリエステル樹脂の融点が200℃以上であり、生分解性添加剤が脂肪族-芳香族エステル、ポリラクチド、官能性成分、単糖類、アルドヘキソースの少なくとも一種であることを特徴とするポリエステル系紡績糸。
(2)前記生分解性ポリエステル繊維を紡績糸全体の20質量%以上含む、(1)に記載のポリエステル系紡績糸。
(3)天然繊維、再生セルロース繊維の少なくとも一種を含み、これらの合計含有量が紡績糸全体の80質量%以下である、(1)又は(2)に記載のポリエステル系紡績糸。
(4)糸条長手方向に対して垂直な断面が芯部と鞘部とを有する紡績糸であって、 芯部は、生分解性ポリエステル繊維を50質量%以上含有し、鞘部は、天然繊維または再生セルロース系繊維を50質量%以上含有する、(1)~(3)のいずれかに記載のポリエステル系紡績糸。
(5)(1)に記載のポリエステル系紡績糸を含む織編物。
本発明のポリエステル系紡績糸は、生分解性添加剤を含有することにより生分解性を付与した生分解性ポリエステル繊維を少なくとも一部に含む紡績糸であるため、使用後、埋め立て地、海水、廃水プラント等において、生分解する特性を有し、環境負荷を低減することができる。
また、製編織した織編物にはアイロンをかけることができ、また高温染色も行うことができるため、種々の衣料用途に好適に使用することができる。さらには、耐熱性に優れることから、農業、漁業資材等の産業資材用途にも好適に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル系紡績糸は、生分解性ポリエステル繊維を少なくとも一部に含有するものである。まず、本発明における生分解性ポリエステル繊維について説明する。
生分解性ポリエステル繊維を構成するポリエステル樹脂中には、生分解性添加剤が0.1~10質量%含まれている。生分解性添加剤の含有量が0.1質量%未満であると、使用後に十分な生分解性を付与することができない。一方、生分解性添加剤の含有量が10質量%を超える場合、繊維の強度や伸度が劣るものとなり、様々な用途に使用できる紡績糸を得ることが困難となる。
生分解性添加剤は、脂肪族-芳香族エステル、ポリラクチド、官能性成分、単糖類、アルドヘキソースの少なくとも一種である。
脂肪族-芳香族エステルとしては、ポリ[(1,4-ブチレンテレフタラート)-co-(1,4-ブチレンアジパート)] 、(ポリ[(テトラメチレンテレフタラート)-co-(テトラメチレンアジパート)])(BTA)を含むものが挙げられる。
また、脂肪族-芳香族エステル成分は、少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル、少なくとも1種のジオール(1,4-ブタンジオールなどであるが、これに限定されない)および少なくとも1種のポリ官能性の芳香族酸(フランジカルボン酸などであるが、これに限定されない)またはそのエステルにより形成されていてもよい。
生分解性添加剤のポリラクチド(PLA)成分は、1つ以上の生物活性熱可塑性脂肪族ポリエステル(例えば、再生可能資源によって得られる)であってもよい。いくつかの実施形態では、ポリラクチド成分はポリ-L-ラクチド(PLLA)、ポリ-D-ラクチド(PDLA)、ポリ(L-ラクチド-co-D,L-ラクチド)(PLDLLA)を含んでもよい。PLAは非生物学的加水分解により主に分解することができる。例えばPLA の分解は、まず水を材料へと拡散させ、エステル結合の加水分解および分子量重量の低下、続いて乳酸オリゴマーの細胞内導入および異化作用といった段階で起こり得る。プロテアーゼ、アクチノミセテス、菌類および/またはコンポスト微生物などの多くの異なる微生物は、PLAを分解することができる。
生分解性添加剤の官能性成分は、分解する(または分解を引き起こす)生分解に適した環境内に存在する微生物を誘引するか、またはポリマー材料(および場合によっては生分解性添加剤それ自身の成分)を、分解する(もしくは分解を引き起こす)他の微生物を誘引するよう構成されていてもよい。例えば、生分解性添加剤の官能性成分は、以下で議論される、1つ以上の代表的な微生物を誘引するよう構成されていてもよい。生分解性添加剤の官能性成分は、微生物を生分解性向上合成繊維に誘引し、かつ生分解性を促進させるため、(味覚、色覚、嗅覚または感覚といった)微生物の1つ以上の感覚器官を刺激するように構成される。
いくつかの実施形態では、生分解性添加剤の官能性成分は培養コロイドおよび天然繊維または人工繊維を含んでいてもよい。官能性成分は、膨張剤として官能性有機化学物質を含んでもよい。これはすなわち、天然繊維、培養コロイド、シクロデキストリン、ポリ乳酸などである。生分解性添加剤の官能性成分は、3,5-ジメチル- ペンテニル-ジヒドロ-2(3H)-フラノン異性体混合物を含んでもよい。
生分解性添加剤の単糖類とアルドヘキソース成分は、最終的に繊維のポリマー材料(およびこれによる繊維それ自身)を破壊する原因となる微生物を誘引し、または微生物活性を維持するため、微生物用の食物または消耗材料として作用することができる。いくつかの実施形態では、単糖類はグルコースであることが好ましい。単糖類としては、D-グルコース、D-ガラクトース、D-マンノースが好ましい。単糖類とアルドヘキソース成分は、繊維のポリマー材料のモノマーに結合されていてもよい。また、繊維の形成中、少なくともいくつかの単糖類やアルドヘキソース成分はポリマーと置換されていてもよい。
本発明における生分解性ポリエステル繊維は、生分解性添加剤を含まないが同様の組成物を有する繊維と比較すると、より迅速に生分解する。例えば、本発明における生分解性ポリエステル繊維は、ゴミ処分場、コンポスト堆積物/処理施設、海水/水路または繊維のポリマーを分解する微生物を含む、他の生物活性環境/物質などの、生分解に適した環境(好気性または嫌気性)に廃棄される場合、10年以内に完全に生分解(例えば、水、二酸化炭素、メタンおよびバイオマスまたはこれらの組合せへと変換される)することができる。
本発明における生分解性ポリエステル繊維は、生分解(すなわち、合成繊維材料を水、二酸化炭素、メタンまたはこれらの組合せへと分解する微生物を含む)に適した環境に廃棄される場合、約9.5~6年以内に完全に生分解することができる。
本発明の生分解性ポリエステル繊維を構成するポリエステル樹脂は、融点が200℃以上のものであり、中でも220℃以上であることが好ましい。融点が200℃未満であると、アイロン掛けや高温染色を行うことが困難なものとなる。なお、本発明における高温染色とは、高圧染色により温度130℃以上で染色を行うものをいう。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(ヘキサヒドロ-p-キシリレンテレフタレート)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレン(PCDT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を用いることができ、また、エステル単位の少なくとも85モルパーセントがエチレンテレフタレートまたはヘキサヒドロ-p-キシリレンテレフタレート単位である、共重合ポリエステルであってもよい。中でもポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。
また、これらのポリエステル樹脂は、一旦使用された後に再生された再生ポリエステル樹脂であってもよい。
本発明のポリエステル系紡績糸は、上記した生分解性ポリエステル繊維のみからなるものであってもよいし、生分解性ポリエステル繊維以外の他の繊維を含むものであってもよい。
他の繊維としては、環境配慮型の繊維を使用することが好ましく、具体的には、天然繊維、再生セルロース繊維、植物由来成分を使用した合成繊維が好ましい。
天然繊維は生分解性を有するものが好ましく、綿、麻等の植物繊維や羊毛、絹糸などの動物繊維が好ましい。再生セルロース繊維としては、生分解性を有するものとして、レーヨン、キュプラ、リヨセルを用いることが好ましい。植物由来成分を使用した合成繊維としては、とうもろこしなどの「デンプン」から得られるPTT繊維、ヒマシ油の成分である11-アミノウンデカン酸を重縮合することにより得られるナイロン11繊維を用いることが好ましい。
本発明のポリエステル系紡績糸中の生分解性ポリエステル繊維の含有量は20質量%以上であることが好ましい。
なお、他の繊維が上記したような生分解性を有する天然繊維や再生セルロース繊維でない場合は、生分解性を考慮し、生分解性ポリエステル繊維の含有量は50質量%以上であることが好ましく、中でも70質量%以上であることが好ましく、最も好ましくは、100質量%である。
本発明のポリエステル系紡績糸が生分解性ポリエステル繊維と他の繊維を含むものである場合、生分解性ポリエステル繊維と他の繊維の混合紡績糸とすることが好ましく、また、生分解性ポリエステル繊維と他の繊維の複合紡績糸とすることが好ましい。
つまり、本発明のポリエステル系紡績糸は、生分解性ポリエステル繊維のみからなるもの、生分解性ポリエステル繊維とその他繊維の混合紡績糸、生分解性ポリエステル繊維と他の繊維の複合紡績糸を含むものである。
複合紡績糸の場合は、糸条長手方向に対して垂直な断面が芯部と鞘部とを有する二層構造紡績糸であることが好ましく、芯部は、生分解性ポリエステル繊維を50質量%以上含有し、鞘部は、天然繊維または再生セルロース系繊維を50質量%以上含有するものであることが好ましい。なお、芯部に生分解性ポリエステル繊維以外の繊維を含む場合は、鞘部に使用する天然繊維や再生セルロース系繊維を用いることが好ましい。
このような二層構造紡績糸とすることにより、より高温でのアイロン掛けや染色を行うことが可能となり、染色性や取扱い性に優れたものとなる。
そして、生分解性ポリエステル繊維は、繊維長が30~64mm、強度が2.5~6.5cN/dtex、伸度が15~50%であることが好ましい。
なお、その他繊維として、植物由来成分を使用した合成繊維を用いる場合は、上記した生分解性ポリエステル繊維と同様の特性値を有することが好ましい。
また、その他繊維として再生セルロース系繊維を使用する場合は、繊維長が30~54mmのものであることが好ましく、単繊維繊度としては、0.5~3.0dtexのものが好ましい。
本発明のポリエステル系紡績糸は、肌着、中衣、ボトム衣料、スポーツ衣料などの衣料用途に好適であり、英式綿番手が5~80番手であることが好ましく、中でも8~50番手であることが好ましい。また、生分解性を有する素材であることから、農業、林業、水産業等に係る産業資材分野においても好適である。
次に、本発明のポリエステル系紡績糸の製造方法について説明する。
まず、生分解性ポリエステル繊維と必要に応じてその他繊維を混用し、混打綿機へ投入してシート状のラップを得る。このラップをカード機に投入し、カード機でウェブを紡出、集束し、カードスライバーを得る。
次に、カードスライバーを練条工程において、複数本合わせて延伸を行い、スライバーSを得る。スライバーSを粗紡機に供給し、粗紡機において、供給されたスライバーSを延伸し、粗糸を得る。この粗糸を精紡機のトランペット(ガイド)に通し、バックローラ、エプロン、フロントローラの順を経て、延伸を行った後、撚りをかけて紡績糸を得る。
芯鞘構造の二層構造紡績糸を得る際には、粗紡工程において、2種類のスライバー(スライバーS1とスライバーS2)を用意し、スライバーS1を芯部とし、スライバーS2をスライバーS1に巻き付けて鞘部を形成するように粗紡した後、上記と同様に精紡することにより、二層構造紡績糸を得ることができる。
また、本発明の織編物は、本発明のポリエステル系紡績糸を含むものである。織編物中に含まれる本発明の紡績糸の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、環境問題に配慮するという目的を果たすためには70質量%以上であることがより好ましく、100質量%すなわち、本発明の紡績糸のみを用いた織編物であることが特に好ましい。
織編物は、特に組織など限定されない。織物としては、平、綾、朱子、パイル及びこれらの変化組織等が挙げられる。編物としては、経編物又は緯編物のいずれであってもよい。経編物としては、例えば、デンビー編、コード編、アトラス編等が挙げられ、具体的にはトリコットハーフ、トリコットサテン等が挙げられる。また、緯編物としては、例えば、平編、ゴム編、パール編、スムース編等が挙げられ、具体的には、天竺、鹿の子、スムース等が挙げられる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中の各種の特性値及び評価は以下の通りである。
(番手の測定)
得られた紡績糸を用い、JISのL-1095 9.4.1に従って測定した。
(撚数の測定)
得られた紡績糸を用い、JISのL-1095 9.15.1のB法に従って測定した。
(強力・伸度)
得られた紡績糸を用い、引張試験機:敷島紡績株式会社製ST―2000を用いて、引張速度:30cm/分、つかみ間隔:50cmの条件にて、JISのL-1095 9.5.に従って測定した。
(アイロン掛け試験)
得られた加工上がり生地を用い、JIS L-0850「ホットプレッシングに対する染色堅牢度試験方法」B-2法の以下の処理条件で乾熱処理を行ない、評価した。
・温度条件:150±5℃(電気アイロン)
・処理時間:15秒
・処理圧力:2.5±0.5kPa
アイロン掛け後の生地における硬化の有無により以下の2段階で評価した。
○:生地に硬化が生じていない
×:生地に硬化が生じていた
(染色性)
染色後の生地における硬化の有無により以下の2段階で評価した。
○:生地に硬化が生じていない
×:生地に硬化が生じていた
実施例、比較例で使用する生分解性ポリエステル繊維、綿スライバー、リヨセル、ポリエステル繊維、ポリ乳酸繊維は以下のとおりである。
・生分解性ポリエステル繊維;単糸繊度1.5dtex、強度 4.3cN/dtex、伸度27%、繊維長38mm、捲縮率10%(『FIBER PARTNER』社製 紡績用生分解性ポリエステル繊維)
・綿繊維;有効繊維長33.8mm、短繊維含有率14.7%、繊度<マイクロネヤリーディング>4.9
・リヨセル;単糸繊度0.9dtex、強度3.5cN/dtex、伸度16.5%、繊維長34mm(『レンチング』社製 リヨセル)
・ポリ乳酸繊維;単糸繊度1.7dtex、繊維長38mm(ユニチカ社製『テラマック』)
実施例1(生分解性ポリエステル繊維100%使用の紡績糸の例)
上記記載の生分解性ポリエステル繊維のみを用いて、混打綿機へ投入してシート状のラップを得た。このラップをカード機に投入し、カード機内で梳綿工程を経た後、ウェブを紡出、集束し、カレンダーロールで押圧して350ゲレン/6ヤードのカードスライバー(スライバーP)を得た。
次に、スライバーPを練条工程において、8本合わせて6.5倍に延伸を行い430ゲレン/6ydの荒素スライバーを得たのち、更に8本を合わせて8.0倍に延伸を行い430ゲレン/6ヤードの練条スライバーSを得た。スライバーSを粗紡機に供給し、粗紡機において、供給されたスライバーSを7.8倍に延伸し、275ゲレン/30ヤードの粗糸を得た。
この粗糸を精紡工程において精紡機のトランペット(ガイド)に通し、バックローラ、エプロン、フロントローラの順を経て、36.2倍に延伸を行った後、撚りをかけて、生分解性ポリエステル繊維のみからなる英式綿番手30番手のリング紡績糸を得た。
得られた紡績糸を、丸編機(釜径:30インチ、ゲージ:28G、天竺組織)に供給し、天竺編地の生機(200cm、目付:120g/m)を得た。
得られた生機に対して、染色・仕上処理(精練、プレセット、染色、乾燥、ファイナルセット)を行い、加工上り生地を得た。その際の染色は、液流染色機を用い、分散染料(染色温度135℃)で染色を行った。
実施例2(生分解性ポリエステル繊維と綿の混紡糸の例)
実施例1の梳綿工程で得られた生分解性ポリエステル繊維のみからなるカードスライバー(スライバーP)と綿繊維のみからなるカードスライバー(スライバーC)を準備し、練条工程でスライバーPとスライバーCが30/70となるように混用し、430ゲレン/6ヤードの練条スライバーを得た。
この練条スライバーを実施例1と同様にして、粗紡工程、精紡工程を行い、生分解性ポリエステル繊維と綿の質量比(生分解性ポリエステル繊維/綿)が30/70となる英式綿番手30番手のリング紡績糸を得た。
得られた紡績糸を用いて実施例1と同様に、天竺編地の生機を得て、染色・仕上処理(精練、漂白、染色、乾燥、ファイナルセット)を行い、加工上り生地を得た。その際の染色は、液流染色機を用い、分散染料(染色温度135℃)で染色し、更に反応染料(染色温度80℃)で染色を行った。
実施例3
実施例1の梳綿工程で得られた生分解性ポリエステル繊維のみからなるカードスライバー(スライバーP)と、リヨセル繊維のみからなるカードスライバー(スライバーR)を準備し、練条工程でスライバーPとスライバーRが65/35となるように混用し、430ゲレン/6ヤードの練条スライバーを得た。
この練条スライバーを実施例1と同様にして、粗紡工程、精紡工程を行い、生分解性ポリエステル繊維とリヨセルの質量比(生分解性ポリエステル繊維/リヨセル)が65/35となる英式綿番手30番手のリング紡績糸を得た。
得られた紡績糸を用いて実施例1と同様に、天竺編地の生機を得て、染色・仕上処理(精練、プレセット、染色、乾燥、ファイナルセット)を行い、加工上り生地を得た。その際の染色は、液流染色機を用い、分散染料(染色温度135℃)で染色し、更に反応染料(染色温度80℃)で染色を行った。
実施例4(芯部が生分解性ポリエステル繊維、鞘が綿の二層構造紡績糸の例)
上記記載の生分解性ポリエステル繊維のみを用いて、混打綿機へ投入してシート状のラップを得た。このラップをカード機に投入し、カード機内で梳綿工程を経た後、ウェブを紡出、集束し、カレンダーロールで押圧して350ゲレン/6ヤードのカードスライバー得た。
次に、カードスライバーを練条工程において、8本合わせて11.8倍に延伸を行い、更に8本合わせて11.8倍に延伸を行い、160ゲレン/6ヤードのスライバーS1を得た。
(スライバーS2)
スライバーS2として綿のみで構成した370ゲレン/6ヤードの練条スライバーを準備した。
芯部用のスライバーとして、スライバーS1を、鞘部用のスライバーとして、スライバーS2を用意した。
図1(概略断面図)及び図2(概略断面図)に示す構造の粗紡機を用いて、芯部用のスライバーS1と鞘部用のスライバーS2を供給し、各スライバーの質量比をS1:S2=30:70となるようにした。その際、9.6倍に延伸し、図2におけるドラフト方向に対する芯部用のスライバーS1のフライヤーヘッドへの進行角度θを60°として、粗糸質量275ゲレン/30ydの芯/鞘構造の粗糸を得た。
この粗糸を精紡機のトランペット(ガイド)に通し、バックローラ、エプロン、フロントローラの順を経て、36.2倍の延伸を行った後、撚係数3.8(撚数20.8回/2.54cm)となる様、Z方向に撚りをかけ、英式綿番手30番手の二層構造紡績糸を得た。
得られた紡績糸を用いて実施例2と同様に、天竺編地の生機を得て、染色・仕上処理(精練、漂白、染色、乾燥、ファイナルセット)を行い、加工上り生地を得た。その際の染色は、液流染色機を用い、分散染料(染色温度135℃)で染色し、更に反応染料(染色温度80℃)で染色を行った。
比較例1
生分解性ポリエステル繊維に代えて、ポリ乳酸繊維を用いた以外は、実施例1と同様の紡績工程を行い、ポリ乳酸繊維のみからなる英式綿番手30番手のリング紡績糸を得た。
得られた紡績糸を用いて実施例1と同様にして天竺編地の生機を得た。
さらに実施例1と同様に染色・仕上処理を行ったところ、風合いが硬化した。そのため、実施例1と同様であるが、分散染料での染色温度を110℃に変更し、染色・仕上げ処理を行い、加工上り生地を得た。
比較例2
生分解性ポリエステル繊維に代えて、ポリ乳酸繊維を用いた以外は、実施例2と同様の紡績工程を行い、ポリ乳酸繊維と綿の質量比(ポリ乳酸繊維/綿)が30/70となる英式綿番手30番手のリング紡績糸を得た。
得られた紡績糸を用いて実施例2と同様にして天竺編地の生機を得た。
さらに実施例2と同様に染色・仕上処理を行ったところ、風合いが硬化した。そのため、実施例2と同様であるが、分散染料での染色温度を110℃に変更し、染色・仕上げ処理を行い、加工上り生地を得た。
比較例3
生分解性ポリエステル繊維に代えて、ポリ乳酸繊維を用いた以外は、実施例3と同様の紡績工程を行い、生分解性ポリエステル繊維とリヨセルの質量比(生分解性ポリエステル繊維/リヨセル)が65/35となる英式綿番手30番手のリング紡績糸を得た。
得られた紡績糸を用いて実施例1と同様にして天竺編地の生機を得た。
さらに実施例3と同様に染色・仕上処理を行ったところ、風合いが硬化した。そのため、実施例3と同様であるが、分散染料での染色温度を110℃に変更し、染色・仕上げ処理を行い、加工上り生地を得た。
実施例1~4、比較例1~3で得られた紡績糸及び加工上り生地の評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1~4で得られた紡績糸は、本発明で規定する特性を満足するものであったため、得られた編物は高温染色と150℃でのアイロン掛けを行うことができるものであった。
一方、比較例1~3で得られた紡績糸は、ポリ乳酸繊維を使用したものであったため、得られた編物は高温染色を行うことができなかった。このため、110℃で染色を行った生地を用いて150℃でアイロン掛けを行ったが、ポリ乳酸繊維の硬化が生じ、得られた編物は硬化により風合いが悪化したものとなった。

Claims (5)

  1. 生分解性添加剤を0.1~10質量%含むポリエステル樹脂からなる生分解性ポリエステル繊維を少なくとも一部に含有する紡績糸であって、ポリエステル樹脂の融点が200℃以上であり、生分解性添加剤が脂肪族-芳香族エステル、ポリラクチド、官能性成分、単糖類、アルドヘキソースの少なくとも一種であることを特徴とするポリエステル系紡績糸。
  2. 前記生分解性ポリエステル繊維を紡績糸全体の20質量%以上含む、請求項1に記載のポリエステル系紡績糸。
  3. 天然繊維、再生セルロース繊維の少なくとも一種を含み、これらの合計含有量が紡績糸全体の80質量%以下である、請求項1又は2に記載のポリエステル系紡績糸。
  4. 糸条長手方向に対して垂直な断面が芯部と鞘部とを有する紡績糸であって、 芯部は、生分解性ポリエステル繊維を50質量%以上含有し、鞘部は、天然繊維または再生セルロース系繊維を50質量%以上含有する、請求項1~3のいずれかに記載のポリエステル系紡績糸。
  5. 請求項1に記載のポリエステル系紡績糸を含む織編物。

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