JP2002309466A - 生分解性ストレッチ編物 - Google Patents

生分解性ストレッチ編物

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JP2002309466A
JP2002309466A JP2001112817A JP2001112817A JP2002309466A JP 2002309466 A JP2002309466 A JP 2002309466A JP 2001112817 A JP2001112817 A JP 2001112817A JP 2001112817 A JP2001112817 A JP 2001112817A JP 2002309466 A JP2002309466 A JP 2002309466A
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twisted
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Kunio Akasaki
久仁夫 赤崎
Futoshi Yamada
太志 山田
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Unitika Fibers Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 着用時に身体に柔らかくフィットする優れた
フィット性能および運動時に必要な伸縮が可能な優れた
ストレッチ性能を有し、且つ廃棄物処理の問題が軽減さ
れた安価な生分解性ストレッチ編物を提供すること。 【解決手段】 脂肪族ポリエステル繊維からなるS撚り
の捲縮糸およびZ撚りの捲縮糸を1〜数コース毎で交互に
給糸して形成された平編組織からなる生分解性ストレッ
チ編物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ストレッチ編物に
関するものであり、さらに詳しくは廃棄処理した際に微
生物により分解され、自然環境に悪影響を与えないよう
な生分解性ストレッチ編物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から合成繊維を用いたストレッチ編
物は広く用いられている。編物にストレッチ性能(伸縮
性)を付与するにあたっては、ポリウレタン繊維を伸長
しながらベース糸と同時給糸する方法や、ポリウレタン
をコア糸に配列したカヴァリングヤーン、あるいは芯部
にポリウレタン、鞘部をベース糸とした芯鞘複合加工糸
を使用して製編する方法等が行われている。ここでベー
ス糸とはストレッチ編物を構成する合成繊維のことであ
り、多くはナイロンやPETに代表される芳香族ポリエス
テルからなる繊維が使用されている。
【0003】しかしながら上記方法を用いてストレッチ
編物を製造するためには、ポリウレタン繊維用の特殊な
給糸装置をそなえた編機が必要であったり、あらかじめ
合成繊維とポリウレタンの様な弾性繊維との2素材の複
合糸を作成しておく必要があったりして、処理が煩雑で
あった。また、使用素材が2素材であることから仕上げ
加工における工程数増加にもつながり、製造コストの上
昇が問題となっていた。また、ポリウレタン繊維を用い
たストレッチ編物は必要以上のストレッチバック性を有
している為、着用時に強すぎる締め付け感や、それに伴
うムクミ感等の不快感を人体に与えることが多かった。
【0004】更に、従来使用素材としてベースに使われ
ているナイロンや芳香族ポリエステル繊維で構成された
ストレッチ編物は使用後の処理として焼却、あるいは埋
め立て処分場への廃棄が一般的であるが、これらの処理
には次のような問題があった。焼却する場合、焼却自体
にエネルギーを要する。また、ナイロンを焼却した場
合、有害なシアンガスが発生する恐れを伴う。埋め立て
処分場に廃棄する場合は、廃棄処理地の減少に伴い処理
地の確保が困難になりつつある。また土中に廃棄したナ
イロンや芳香族ポリエステルは長期にわたって比較的安
定に存在するため、自然環境を破壊したり土中の生態系
を破壊したりする恐れがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑みなされたものであって、着用時に身体に柔らかくフ
ィットする優れたフィット性能および運動時に必要な伸
縮が可能な優れたストレッチ性能を有し、且つ廃棄物処
理の問題が軽減された安価な生分解性ストレッチ編物を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は脂肪族ポリエス
テル繊維からなるS撚りの捲縮糸およびZ撚りの捲縮糸を
コース毎で交互に給糸して形成された平編組織からなる
生分解性ストレッチ編物に関する。
【0007】本発明の発明者等は編物を編成する繊維と
して脂肪族ポリエステル繊維からなるS撚りの捲縮糸お
よびZ撚りの捲縮糸を用い、さらにS撚りの捲縮糸および
Z撚りの捲縮糸をコース毎で交互に給糸することによ
り、簡便にストレッチ性を発現させ得ることを見出し
た。本発明においてはこのようにポリウレタンを用いる
ことなく、ストレッチ性を発現させ得るため、本発明の
編物は着用時において優れたフィット性を有している。
また、本発明において使用される脂肪族ポリエステル繊
維は生分解性を有するため、本発明の編物は廃棄処理問
題を軽減できる。
【0008】本明細書中、「編物」は最終製品としての
編物だけでなく、該編物製品を構成する生地(編地)を
も含む概念で用いるものとする。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のストレッチ編物を構成す
る平編組織は公知の平編組織である。すなわち糸を湾曲
させたループが連綴されてなる編物組織において、ルー
プが同じ方向(組織における表方向または裏方向のいず
れか一方の方向)に引き出されているものをいう。平編
組織は、詳しくは、ループをウェール方向に連綴させな
がら、コース方向に順次形成してなっているが、そのよ
うにコース方向に形成される一筋のループ筋を、本明細
書中、単に「コース」と呼ぶものとする。
【0010】本発明において、平編組織の編成に使用さ
れる脂肪族ポリエステル繊維は生分解性を有し、土壌中
に埋設されることにより分解される。このため、本発明
の編物は自然環境を破壊したり土壌中の生態系を破壊し
たりすることはない。
【0011】本発明において、脂肪族ポリエステルとし
ては、例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸のようなポ
リ(α−ヒドロキシ酪酸)またはこれらを主たる繰返し
単位とする共重合体が挙げられる。また、ポリ(ε−カ
プロラクトン)、ポリ(β−プロピオラクトン)のよう
なポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)や、ポリ−3
−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブ
チレート、ポリ−3−ヒドロキシプロピオレート、ポリ
3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシカプ
ロネート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ
−3−ヒドロキシオクタノエートのようなポリ(β−ヒ
ドロキシアルカノエート)や、これら繰返し単位とポリ
−3−ヒドロキシバリレートやポリ−4−ヒドロキシブ
チレートの繰返し単位との共重合体などが挙げられる。
また、グリコールとジカルボン酸の縮重合体からなるポ
リアルキレンアルカノエートであってもよく、その具体
例として例えば、ポリエチレンオキサレート、ポリエチ
レンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチ
レンアゼレート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチ
レンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチ
レンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリ
ネオペンチルオキサレートまたはこれらを主繰返し単位
とするポリアルキレンアルカノエート共重合体が挙げら
れる。本発明においては、生分解性能、融点、ガラス転
移点、実用性等の点から上記の重合体の中でも特にポリ
乳酸重合体を好適に用いることができる。
【0012】本発明において上記脂肪族ポリエステルは
融点が120℃以上、好ましくは160℃〜200℃、ガラス転
移点が40〜80℃であることが望ましい。ポリ乳酸の構造
単位には、光学活性の炭素があるため、D体とL体の光学
異性体が存在する。本発明で用いるポリ乳酸において、
L体にD体を共重合させる場合のD体の比率としては、10
モル%以下であることが好ましい。この場合において、
D体の共重合比率を増すにつれて融点が低下してゆき、D
体が18モル%以上となると明確な結晶融点は観察され
ず、軟化温度90℃未満の非晶性の強いポリマーとなる。
【0013】上記のような脂肪族ポリエステルからなる
繊維はガラス転移点以上の温度で形状記憶させることが
できる。このため後述するように、脂肪族ポリエステル
繊維にガラス転移点以上の温度で捲縮形状を付与するこ
とができ、その方向性はS方向、Z方向自由に選択でき
る。
【0014】また、脂肪族ポリエステル繊維の横断面形
状は特に限定されるものではなく、例えば、丸断面、多
葉断面、偏平断面、中空断面等いずれの断面形状であっ
てもよい。脂肪族ポリエステル繊維は通常、マルチフィ
ラメント糸条として使用されるが、異なる断面形状の繊
維を複数種類混用してなるマルチフィラメント糸条とし
て使用されてもよい。
【0015】本発明において上記のような脂肪族ポリエ
ステル繊維は捲縮を付与されたS撚り捲縮糸およびZ撚り
捲縮糸として使用される。捲縮を付与する方法として
は、方向性を持たせる点から仮撚り加工法が好ましく採
用される。すなわち、脂肪族ポリエステル繊維からなる
マルチフィラメント糸条の延伸糸を、仮撚り加工機にお
いてヒーター温度100℃〜130℃でヒーターゾーンと接触
通過させながら撚りを入れ、その後解除することにより
捲縮を与える。この時の撚り方向によってS撚り(右撚
り)捲縮糸とZ撚り(左撚り)捲縮糸とが区別される。
【0016】マルチフィラメント糸条の強度は、2.5cN/
dtex以上、より好ましくは3〜8cN/dtexであることが望
ましい。糸条の繊度は30〜130dtexが好ましい。糸条を
構成する単糸の繊度は0.6〜5.6dtexが好ましい。
【0017】本発明のストレッチ編物を構成する平編組
織は、公知の平編組織の編成方法において、上記のよう
なS撚り捲縮糸およびZ撚り捲縮糸をコースによって使い
分けることによって得られる。すなわち、各コース毎に
糸を給糸して、縦方向(ウェール方向)のループと連綴
させながら、ループを横方向(コース方向)に順次形成
する公知の平編組織の編成方法において、S撚り捲縮糸
およびZ撚り捲縮糸をコース毎で交互に給糸する。詳し
くは、S撚り捲縮糸(以下、単に「S」と表示することが
ある)およびZ撚り捲縮糸(以下、単に「Z」と表示する
ことがある)を、1〜数コース毎、好ましくは1〜5コー
ス毎で交互に給糸する。本発明においては、このように
S撚り捲縮糸とZ撚り捲縮糸は1〜数コース毎で交互に給
糸され、結果としてS撚り捲縮糸とZ撚り捲縮糸とは略同
数ずつ使用されるため、得られる編物の斜行は防止され
る。得られる編物の見かけをよくする観点からは、S撚
り捲縮糸およびZ撚り捲縮糸を1〜3コース毎、好ましく
は1コース毎で交互に給糸することが望ましい。
【0018】本明細書中、S撚り捲縮糸およびZ撚り捲縮
糸をnコース毎(nは2以上の自然数である)で交互に
給糸するとは、得られる平編組織において、隣接するn
本のコースがS撚り捲縮糸またはZ撚り捲縮糸の一方から
なり、次いで隣接するn本のコースが他方からなるコー
ス配列単位が繰り返されるように、S撚り捲縮糸およびZ
撚り捲縮糸を給糸することをいう。なお、S撚り捲縮糸
およびZ撚り捲縮糸を1コース毎で交互に給糸するとは、
得られる平編組織において、S撚り捲縮糸からなる1のコ
ースとZ撚り捲縮糸からなる1のコースとが繰り返される
ように、S撚り捲縮糸およびZ撚り捲縮糸を給糸すること
をいう。
【0019】公知の平編組織の編成方法を採用した編み
機においては通常、1のコースにつき1の給糸口が設け
られており、さらには形成されるコース順序で給糸口が
配列されている。従って例えば、S撚り捲縮糸およびZ撚
り捲縮糸を1コース毎で交互に給糸する場合、S撚り捲縮
糸およびZ撚り捲縮糸は、「S-Z」の順序単位を繰り返し
てなる順序で編み機の給糸口に給糸される。このとき、
1の給糸口に給糸されるのはS撚り捲縮糸またはZ撚り捲
縮糸のいずれか一方であることは明らかである(後述の
場合において同様である)。この場合、得られる平編組
織は、「S撚り捲縮糸からなるコース(以下、S撚りコー
スという)−Z撚り捲縮糸からなるコース(以下、Z撚り
コースという)」のコース配列単位が繰り返されてなっ
ている。そのような平編組織を表側よりデジタルカメラ
で撮影し、ディスプレイ上に表示した中間調画像(写
真)を図1に示す。図1において横方向は平編組織にお
ける横方向(コース方向)を示し、縦方向は平編組織に
おける縦方向(ウェール方向)を示す。当該図面より、
S撚りコースおよびZ撚りコースにおけるループは、それ
ぞれのコース毎に一様に傾斜していることがわかる。詳
しくは図中、S撚りコースのループは右上がりに傾斜
し、Z撚りコースのループは左上がりに傾斜している。
また、上記図面より、上記平編組織は1コース毎にルー
プの傾斜方向が変わり、全体としてアコーディオン形状
(いわゆる、ジクザグ形状)を有していることがわか
る。なお。この中間調画像の印字物(現物)を本出願と
同時に参考写真として提出する。
【0020】また例えば、S撚り捲縮糸およびZ撚り捲縮
糸を2コース毎で交互に給糸する場合、S撚り捲縮糸およ
びZ撚り捲縮糸は、「S-S-Z-Z」の順序単位を繰り返して
なる順序で編み機の給糸口に給糸される。この場合得ら
れる平編組織は、「S撚りコース−S撚りコース−Z撚り
コース−Z撚りコース」のコース配列単位が繰り返され
てなっている。そのような平編組織においては2コース
毎にループの傾斜方向が変わり、全体としてアコーディ
オン形状(いわゆる、ジクザグ形状)を有している。
【0021】また例えば、S撚り捲縮糸およびZ撚り捲縮
糸を3コース毎で交互に給糸する場合、S撚り捲縮糸およ
びZ撚り捲縮糸は、「S-S-S-Z-Z-Z」の順序単位を繰り返
してなる順序で編み機の給糸口に給糸される。この場合
得られる平編組織は、「S撚りコース−S撚りコース−S
撚りコース−Z撚りコース−Z撚りコース−Z撚りコー
ス」のコース配列単位が繰り返されてなっている。その
ような平編組織においては3コース毎にループの傾斜方
向が変わり、全体としてアコーディオン形状(いわゆ
る、ジクザグ形状)を有している。
【0022】また例えば、S撚り捲縮糸およびZ撚り捲縮
糸を4コース毎で交互に給糸する場合、S撚り捲縮糸およ
びZ撚り捲縮糸は、「S-S-S-S-Z-Z-Z-Z」の順序単位を繰
り返してなる順序で編み機の給糸口に給糸される。この
場合得られる平編組織は、「S撚りコース−S撚りコース
−S撚りコース−S撚りコース−Z撚りコース−Z撚りコー
ス−Z撚りコース−Z撚りコース」のコース配列単位が繰
り返されてなっている。そのような平編組織においては
4コース毎にループの傾斜方向が変わり、全体としてア
コーディオン形状(いわゆる、ジクザグ形状)を有して
いる。
【0023】また例えば、S撚り捲縮糸およびZ撚り捲縮
糸を5コース毎で交互に給糸する場合、S撚り捲縮糸およ
びZ撚り捲縮糸は、「S-S-S-S-S-Z-Z-Z-Z-Z」の順序単位
を繰り返してなる順序で編み機の給糸口に給糸される。
この場合得られる平編組織は、「S撚りコース−S撚りコ
ース−S撚りコース−S撚りコース−S撚りコース−Z撚り
コース−Z撚りコース−Z撚りコース−Z撚りコース−Z撚
りコース」のコース配列単位が繰り返されてなってい
る。そのような平編組織においては5コース毎にループ
の傾斜方向が変わり、全体としてアコーディオン形状
(いわゆる、ジクザグ形状)を有している。
【0024】なお本発明は、1の給糸口に給糸される糸
がS撚り捲縮糸またはZ撚り捲縮糸のいずれか一方である
限り、複数のS撚り捲縮糸またはZ撚り捲縮糸が1の給糸
口に給糸されることを妨げるものではない。
【0025】S撚り捲縮糸またはZ撚り捲縮糸の一方のみ
を用いて平編組織を編成し、編物を製編すると、上記の
ようなアコーディオン形状を有する平編組織が得られ
ず、平編組織全体が斜行し、得られる編物は最終製品と
しての商品価値が低下する。また、そのような編物は運
動時のストレッチ性能が十分ではなく、さらにはストレ
ッチバックが弱過ぎて着用時のフィット性能も十分では
ない。また捲縮を付与していない糸のみを用いて平編組
織を編成すると、各コースにおけるループは傾斜せず、
やはり上記のようなアコーディオン形状は得られないた
め、十分なストレッチ性およびフィット性が得られな
い。
【0026】平編組織の編成に際しては公知の手法によ
り、本発明のストレッチ編物にタックおよび/またはウ
ェルトループ等を形成してもよい。
【0027】従来から公知の平編組織(例えば、捲縮加
工を施さないナイロン製繊維からなる平編組織等)は一
般にコース方向にのみストレッチ性を有しているが、以
上のように編成される本発明の平編組織は該組織の横方
向(コース方向)だけでなく縦方向(ウェール方向)に
おいても優れたストレッチ性を有している。このため、
該平編組織を編成するに際して所望の形状に製編するこ
とにより、ストレッチ性に優れた各種のストレッチ編物
を得ることができる。ストレッチ編物製品としては、ス
トレッチ性を求められる製品を好ましく挙げることがで
きる。具体例として、例えば、タイツ、ストッキング、
ソックス、レオタード、スパッツ、下着類、手袋、帽子
等が挙げられる。本発明においては特にタイツ、ストッ
キングを得ることが好ましい。
【0028】本発明においてストレッチ編物とは、該編
物を構成する平編組織が縦方向(ウェール方向)におい
て伸長率50%以上、好ましくは70%以上および伸長回復
率80%以上、好ましくは90%以上を有する編物をいうも
のとする。
【0029】上記の伸長率および伸長回復率とは、JIS
L-1018(定速伸長法)によって求められる、編物の縦方
向(ウェール方向)の伸長率および伸長回復率をいう。
【0030】本発明の編物を構成する平編組織はコース
方向に、公知の平編組織がコース方向に有するストレッ
チ性と同程度のストレッチ性を有している。
【0031】このように本発明においては、ポリウレタ
ンを用いることなく、平編組織のコース方向とウェール
方向の両方向、特にウェール方向にストレッチ性を発現
させ得るため、着用時における優れたフィット性を得る
ことができると考えられる。
【0032】上記のような編物製品を製編するに際して
は、該製品の円筒形状部分を形成する平編組織の縦方向
(ウェール方向)が該円筒形状部分の軸方向と平行にな
るように製編することが好ましい。このように製編する
ことによって、該製品の円筒形状部分において径方向に
優れた収縮性を発揮でき、より優れたフィット性能を発
揮できるためである。
【0033】本発明のストレッチ編物、すなわち該編物
を構成する平編組織はカバーファクターが0.4〜0.75、
好ましくは0.45〜0.70であることが望ましい。カバーフ
ァクターが0.4未満であると組織自体が非常にルーズな
ものとなり、編物の商品価値が低下する傾向がある。ま
た、カバーファクターが0.75を超えると、繊維の自由度
が少なくなり、編物のストレッチ性能が低下する傾向が
ある。
【0034】カバーファクターは下式に従って算出でき
る。 カバーファクター=1/(L・W1/2) 但し、L=(K/N)1/2 (K=定数(平編では3.5)、N=C・w (C=コース密
度、w=ウェル密度)) W=糸の太さ
【0035】本発明においては、繊維同士の滑りを向上
させ、風合いならびにストレッチ性をより向上させるた
めに、得られた編物(平編組織)に平滑性樹脂を付与す
ることが望ましい。平滑性樹脂としては、通常ポリエス
テル繊維用として用いられている、シリコーン系樹脂等
で良い。付与される樹脂の量は0.1〜5%omfとすることが
望ましい。当該量が0.1%未満の場合、繊維間の滑りがあ
まり向上されずストレッチ性への貢献が少ない。また5%
を超えると編物にヌメリ感が残り非常に風合いの悪いも
のとなる。「%omf (% on mass of fiber)」は処理に
供される編物の重量に対する重量割合(重量%)を意味
する。
【0036】本発明のストレッチ編物を構成する脂肪族
ポリエステル繊維、特にポリ乳酸繊維は生分解性だけで
なく、加水分解する性質も有している。繊維の分解挙動
の詳細は明らかではないが、ある程度加水分解が進んで
からの方が、微生物による生分解が加速され、最終的に
より速く水と二酸化炭素に変化することが知られてい
る。詳しくは、温度55℃以上、湿度65%以上の高温多湿
環境下で加水分解を進行させると、生分解が効率的に行
われる。
【0037】このため、本発明のストレッチ編物は、高
温多湿の環境下に置かれることにより、脂肪族ポリエス
テル繊維、特にポリ乳酸繊維の加水分解が始まり、一定
期間経過後に微生物による生分解が経時的に効率よく進
行する。生分解の際には、バクテリア等の繁殖する堆肥
中や土壌中に放置すればよいが、温度や湿度を設定でき
るコンポスト機を利用することにより、より効率的な処
理が可能になる。
【0038】また本発明のストレッチ編物は染色されて
もよい。染色方法としては、脂肪族ポリエステル繊維が
例えば、ポリ乳酸繊維100%の場合には、分散染料を用
いて温度90〜110℃で処理(染色)すればよい。以下、
実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
【0039】
【実施例】実施例1 L-乳酸99.3%およびD-乳酸0.7%からなるポリ乳酸(融
点172℃、ガラス転移点57℃、重量平均分子量14万)を
常法によって溶融紡糸し、続いて延伸加工を行うことに
より、ポリ乳酸からなるマルチフィラメント糸(84デシ
テックス/36フィラメント)を得た。このポリ乳酸繊維
をヒーター温度105℃、給糸スピード100m/min、スピン
ドル回転数300,000rpmでそれぞれS撚りおよびZ撚りの仮
撚り加工を行ない、Z撚りの仮撚り捲縮糸とS撚りの仮撚
り捲縮糸とを得た。そして、これらのS撚り糸およびZ撚
り糸、ならびに市販の靴下用編み機(KS-424;永田精機
社製)を用いてストレッチタイツを製造した。詳しく
は、S撚り捲縮糸およびZ撚り捲縮糸を靴下用編み機の給
糸口に、1給糸口毎で交互に(すなわち「S-Z」の順序単
位を繰り返してなる順序で)、かつ1給糸口あたり1本ず
つ給糸し、カバーファクター0.53の平編組織にてストレ
ッチタイツを製編した後、仕上げ加工時に0.5%omfのシ
リコン系樹脂を付与した。平編組織は「S撚りコース−Z
撚りコース」のコース配列単位が繰り返されてなってい
た。ウェール方向の伸長率は140%、伸長回復率は95%
であった。
【0040】実施例2 S撚り捲縮糸およびZ撚り捲縮糸を靴下用編み機の給糸口
に、2給糸口毎で交互に(すなわち、「S-S-Z-Z」の順序
単位を繰り返してなる順序で)、かつ1給糸口あたり1本
ずつ給糸すること以外、実施例1と同様の手法にてポリ
乳酸繊維からなるストレッチタイツを製造した。平編組
織は「S撚りコース−S撚りコース−Z撚りコース−Z撚り
コース」のコース配列単位が繰り返されてなっていた。
ウェール方向の伸長率は150%、伸長回復率は90%であ
った。
【0041】比較例1 ポリ乳酸からなるマルチフィラメント糸(84デシテック
ス/36フィラメント)の代わりに84T36のナイロンマル
チフィラメントを用いること、および製編を行なう際、
22デシテックスのポリウレタンを2.5倍延伸しながら給
糸すること以外、実施例1と同様の手法にてストレッチ
タイツを製造した。
【0042】比較例2 S撚り捲縮糸のみを用い、該S撚り捲縮糸を靴下用編み機
の給糸口に1給糸口あたり1本ずつ給糸すること以外、実
施例1と同様の手法にてポリ乳酸繊維からなるストレッ
チタイツを製造した。
【0043】比較例3 ポリ乳酸からなるマルチフィラメント糸(84デシテック
ス/36フィラメント)の代わりに84T36のナイロンマル
チフィラメントを用いること以外、実施例1と同様の手
法にてストレッチタイツを製造した。
【0044】上記実施例1及び実施例2の手法にて作成
したストレッチタイツは、着用時のフィット感、運動時
のストレッチ感が非常に優れており、編地の表面感に関
しても乱れが無く良好であった。また、これらの使用後
のストレッチタイツを、土壌菌を利用したコンポスト機
(設定温度58℃、設定湿度70%)に投入したところ、い
ずれも10日間で残存質量が5%未満となる程度に分解消
滅していた。
【0045】比較例1のタイツは運動時のストレッチ感
は良好なものの、ストレッチバックが強過ぎ着用時のフ
ィット感の悪いものとなった。比較例1のサンプルを実
施例1,2と同様のコンポスト機に投入したところナイ
ロンマルチフィラメントは全く分解せずに残存してい
た。
【0046】比較例2のタイツは斜行が発生し商品価値
として低いものとなった。また、このタイツは運動時の
ストレッチ感が十分ではなく、またストレッチバックが
弱過ぎて着用時のフィット感も十分ではなかった。比較
例3のタイツは運動時のストレッチ感が十分ではなく、
またストレッチバックが弱過ぎて着用時のフィット感も
十分ではなかった。
【0047】
【発明の効果】本発明のストレッチ編物はポリウレタン
等のストレッチ原糸を用いることなく適度なストレッチ
性能を発現する。このため、身体に柔らかくフィットで
きる。また、使用後に廃棄する際には、土中やコンポス
ト機中で短期間に無害な物質に分解され得る。焼却処理
を行う場合でも、発熱量が小さく、有害ガスを発生しな
いので、環境への負荷を極めて小さくすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のストレッチ編物の一例をデジタルカ
メラで撮影し、ディスプレイ上に表示した中間調画像
(写真)を示す。
フロントページの続き Fターム(参考) 4L002 AA07 AB02 AB04 AC00 AC01 BA01 EA06 FA05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族ポリエステル繊維からなるS撚り
    の捲縮糸およびZ撚りの捲縮糸を1〜5コース毎で交互に
    給糸して形成された平編組織からなる生分解性ストレッ
    チ編物。
  2. 【請求項2】 S撚りの捲縮糸およびZ撚りの捲縮糸を、
    1コース毎で交互に給糸して形成された平編組織からな
    る請求項1に記載の生分解性ストレッチ編物。
  3. 【請求項3】 平編組織がタックおよび/またはウェル
    トループを有している請求項1または2に記載の生分解性
    ストレッチ編物。
  4. 【請求項4】 カバーファクターが0.4〜0.75である請
    求項1〜3いずれかに記載の生分解性ストレッチ編物。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007182245A (ja) * 2006-01-10 2007-07-19 Unitica Fibers Ltd 梱包材
JP2009500468A (ja) * 2005-07-04 2009-01-08 エルジー・ケム・リミテッド 形状記憶効果を有するポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)ブロックコポリマー
JP2010150675A (ja) * 2008-12-24 2010-07-08 Toyobo Specialties Trading Co Ltd 保温編地
JP2017031526A (ja) * 2015-07-31 2017-02-09 南海合繊株式会社 ベア天竺緯編物
WO2022071336A1 (ja) * 2020-09-29 2022-04-07 株式会社村田製作所 布および繊維製品

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