JP2024029450A - スクライブヘッドおよびスクライブ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成により安定的かつ確実にカッターホイールをロックすることが可能なスクライブヘッドおよびスクライブ装置を提供することを目的とする。【解決手段】スクライブヘッド10は、ベース部材110と、上下動可能にベース部材110に支持された支持部材210と、回転軸R10について回転可能に支持部材210に支持された先細り形状のホルダ240と、回転軸R10から離間してホルダ240の下面に保持されたカッターホイール251aと、支持部材210に上下動可能に支持されたガイドシャフト221と、ガイドシャフト221を上方向に付勢するバネ222と、ガイドシャフト221の下端に設けられ、バネ222からの付勢によりホルダ240の外側面241aに圧接される圧接面231aを有する押圧部材230と、ベース部材110に設けられ、ガイドシャフト221の上端221cに対向する下面110aと、を備える。【選択図】図9

Description

本発明は、基板にスクライブラインを形成するためのスクライブヘッドおよび当該スクライブヘッドを備えたスクライブ装置に関する。
従来、ウエハー等の被加工物にスクライブラインを形成するスクライブ装置が知られている。以下の特許文献1には、圧力をシリンダ室内に供給することにより、ピストンロッドを付勢部材の付勢力に抗して下方に押し、スクライブ刃ユニットを揺動しないようにロックするスクライブ装置が記載されている。
特許第4841933号公報
上記特許文献1に記載のスクライブ装置では、スクライブ刃をロックするための構成として、シリンダ室と、シリンダ室に配置されたピストンと、シリンダ室に空気を供給するための圧力エアー供給源とが必要となるため、ロックのための構造が複雑となる。また、圧力エアー供給源からの空気圧によりピストンロッドの下面を支持軸の上面に圧接させる構成であるため、ロックの安定性および信頼性が低い。
かかる課題に鑑み、本発明は、簡易な構成により安定的かつ確実にカッターホイールをロックすることが可能なスクライブヘッドおよびスクライブ装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、スクライブヘッドに関する。本態様に係るスクライブヘッドは、スクライブ装置側の昇降機構により昇降されるベース部材と、所定範囲において上下動可能に前記ベース部材に支持された支持部材と、回転軸について回転可能に前記支持部材に支持された先細り形状のホルダと、前記回転軸から離間して前記ホルダの下面に保持されたカッターホイールと、前記支持部材に上下動可能に支持されたガイドシャフトと、前記ガイドシャフトを上方向に付勢する付勢部材と、前記ガイドシャフトの下端に設けられ、前記付勢部材からの付勢により前記ホルダの外側面に圧接される圧接面を有する押圧部材と、前記ベース部材に設けられ、前記支持部材が前記所定範囲の下限に位置づけられた状態において前記ガイドシャフトの上端に所定の距離で対向する対向面と、を備える。
本態様に係るスクライブヘッドによれば、支持部材が所定範囲の下限に位置づけられた状態において、スクライブ装置側の昇降機構によりベース部材を下降させると、カッターホイールが被当接面に当接する。その後、さらにベース部材を下降させると、カッターホイールの下降が被当接面により規制されるため、支持部材、ホルダ、ガイドシャフトおよび押圧部材は下降せず、ベース部材のみが下降する。これにより、ガイドシャフトの上端とベース部材の対向面との距離が縮まり、やがて当接する。この状態からさらにベース部材を下降させると、ガイドシャフトの上端が対向面に押されて、ガイドシャフトが付勢部材の付勢に抗して下方に移動する。このとき、押圧部材がガイドシャフトとともに下方に移動し、押圧部材の圧接面がホルダの外側面から離間する。これにより、ホルダは回転軸について回転可能となり、ホルダに保持されたカッターホイールも回転可能となる。また、上記の工程とは逆に、ベース部材を上昇させることで、押圧部材の圧接面がホルダの外側面に圧接され、ホルダおよびカッターホイールがロックされる。
このように、本態様に係るスクライブヘッドによれば、ガイドシャフト、付勢部材および押圧部材を追加するのみの簡素な構成により、ホルダおよびカッターホイールのロックおよび非ロックを切り替えることができる。また、押圧部材の圧接面を先細りのホルダの外側面に面接触により圧接させてロックが行われるため、安定的かつ確実に、ホルダおよびカッターホイールをロックできる。さらに、ベース部材を昇降させるといった極めて簡単な制御により、ホルダおよびカッターホイールのロックおよび非ロックを切り替えることができる。このため、非ロック状態でカッターホイールを走行させながらスクライブヘッドを上昇させることにより、ホルダおよびカッターホイールをロックでき、カッターホイールをロック直前の直線走行可能な状態に正確にロックできる。
本態様に係るスクライブヘッドにおいて、前記ベース部材は、ブロック形状を有し、前記支持部材および前記ガイドシャフトは、前記ベース部材の下方に配置され、前記対向面は、前記ベース部材の下面である。
この構成によれば、支持部材およびガイドシャフトがベース部材の下方に配置されるため、ベース部材、支持部材およびガイドシャフトからなる構造体をコンパクトにできる。また、ベース部材の下面が対向面に共用されるため、この構造体の構成を簡素にできる。
本態様に係るスクライブヘッドにおいて、前記ホルダの前記外側面は、平面視において略円形状であり、下方に向かうにつれて径が小さくなっており、前記押圧部材は、前記ホルダが上方から挿入される円形の開口を有し、前記開口の径を前記ホルダの外側面と同様に下方に向かうにつれて小さくすることにより、前記開口の内周面に前記圧接面が形成されている。
この構成によれば、ホルダの外側面の径および押圧部材の開口の径を調整することにより、ロック機構を実現できる。よって、ロック機構の構成を簡素にできる。
この場合、前記ホルダは、円錐体の外側面の一部を平坦に切り欠いた形状を含む。
この構成によれば、外側面の切り欠き量によって、ホルダの外側面と圧接面との接触面積を調整でき、ロックの保持力を調整できる。これにより、スクライブ動作時に、不意に大きなトルクがカッターホイールに掛かったとしても、ホルダの外側面が圧接面に対して滑ってカッターホイールがトルクの方向に回動し、カッターホイールに破損が生じることを抑制できる。
本態様に係るスクライブヘッドは、空気圧により前記支持部材を駆動して前記カッターホイールに荷重を付与するヘッド駆動部を備える。
この構成によれば、支持部材がヘッド駆動部に機械的に固定された構成でないため、カッターホイールが被当接面に当接した後、さらにベース部材を下降させた場合に、支持部材に対してベース部材を円滑に下降させることができる。よって、ベース部材の昇降によるカッターホイールのロックおよび非ロックの切り替えを円滑に行うことができる。
本発明の第2の態様は、スクライブ装置に関する。本態様に係るスクライブ装置は、上記第1の態様に係るスクライブヘッドと、前記昇降機構と、前記昇降機構とともに前記スクライブヘッドをスクライブ方向に移送する移送機構と、前記昇降機構および前記移送機構を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記カッターホイールのロックを解除する制御として、前記カッターホイールが被接触面に接触するまで前記ベース部材を下降させた後、さらに、前記ホルダの外側面と前記圧接面との接触が解除されるまで、前記ベース部材を下降させる制御を実行する。
本態様に係るスクライブ装置によれば、ベース部材を下降させるといった極めて簡単な制御により、カッターホイールのロックを解除できる。
本態様に係るスクライブ装置において、前記制御部は、前記カッターホイールのロックを解除する制御を実行した後、前記スクライブヘッドを前記スクライブ方向に移送させつつ前記ホルダの外側面と前記圧接面とが接触するまで前記ベース部材を上昇させる制御を実行する。
ロックの解除状態では、カッターホイールが被接触面に押し付けられているため、この状態からスクライブヘッドをスクライブ方向に移送することで、カッターホイールをスクライブ方向に直進させることができ、カッターホイールの稜線をスクライブ方向に平行にできる。このとき、スクライブヘッドをスクライブ方向に移送させつつホルダの外側面と圧接面とが接触するまでベース部材を上昇させることにより、カッターホイールの稜線がスクライブ方向に平行である状態を維持したまま、カッターホイールをロックできる。よって、その後、このロック状態によりスクライブ動作を行うことで、スクライブ軌跡の直線性を高精度に維持できる。
この場合、前記制御部は、前記カッターホイールのロックを解除する制御を実行した後、前記スクライブヘッドを前記スクライブ方向に移送させ、その後、前記スクライブヘッドを前記スクライブ方向に移送させつつ前記ホルダの外側面と前記圧接面とが接触するまで前記ベース部材を上昇させる制御を実行する。
この構成によれば、スクライブヘッドがスクライブ方向に移送されることにより、カッターホイールを確実にスクライブ方向に直進させることができる。そして、この状態から、さらに、スクライブヘッドをスクライブ方向に移送させつつホルダの外側面と圧接面とが接触するまでベース部材を上昇させることにより、カッターホイールの稜線がスクライブ方向に平行である状態を維持したまま、カッターホイールをロックできる。
本態様に係るスクライブ装置は、前記カッターホイールが被接触面に接触したことを検出するセンサを備え、前記制御部は、前記センサからの出力に基づいて前記カッターホイールが被接触面に接触したことが検出された位置から所定量だけ前記ベース部材を下降させることにより、前記ホルダの外側面と前記圧接面との接触を解除する。
この構成によれば、円滑かつ正確に、カッターホイールのロックを解除できる。
この場合、前記センサは、前記カッターホイールに付与される荷重を検出するためのロードセルである。
この構成によれば、ロードセルがセンサに共用されるため、スクライブ装置の構成の簡素化およびコストの低減を実現できる。
以上のとおり、本発明によれば、簡易な構成により安定的かつ確実にカッターホイールをロックすることが可能なスクライブヘッドおよびスクライブ装置を提供することができる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の1つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
図1は、実施形態に係る、スクライブ装置の構成を模式的に示す側面図である。 図2(a)は、実施形態に係る、スクライブテーブルの載置面にフレームユニットが載置された状態を示す平面図である。図2(b)は、実施形態に係る、図2(a)のA-A位置におけるフレームユニット、スクライブテーブルおよびテスト基板の断面図である。 図3は、実施形態に係る、スクライブヘッドの構成を示す斜視図である。 図4は、実施形態に係る、スクライブヘッドを、カッターホイールの中央位置でY-Z平面に平行な平面により切断した断面を示す図である。 図5は、実施形態に係る、スクライブヘッドを、シャフトの中央位置でX-Z平面に平行な平面により切断した断面を示す図である。 図6は、実施形態に係る、ベース部材およびベース部材に収容される各部の構成を示す斜視図である。 図7は、実施形態に係る、支持部材、ホルダおよび押圧部材の構成を示す斜視図である。 図8は、実施形態に係る、押圧部材を支持部材に設置するための構成を示す斜視図である。 図9は、実施形態に係る、カッターホイールの位置でX-Z平面に平行な面によりスクライブヘッドを切断したときの断面の一部を示す図である。 図10(a)は、実施形態に係る、ボールによってピンが上下に押し出されることを模式的に示す側面図である。図10(b)は、実施形態に係る、シャフトが軸受に対して上下に移動することを模式的に示す側面図である。 図11は、実施形態に係る、スクライブ装置の構成を示すブロック図である。 図12(a)、(b)は、実施形態に係る、スクライブヘッドの原点出し動作を模式的に示す側面図である。 図13(a)、(b)は、実施形態に係る、ホルダの回転位置調整を模式的に示す側面図である。 図14(a)、(b)は、実施形態に係る、ホルダの回転位置調整を模式的に示す側面図である。 図15(a)、(b)は、実施形態に係る、ホルダの回転位置調整を模式的に示す側面図である。 図16(a)、(b)は、実施形態に係る、被加工物に対するスクライブ動作を模式的に示す側面図である。 図17(a)、(b)は、実施形態に係る、被加工物に対するスクライブ動作を模式的に示す側面図である。 図18は、実施形態に係る、原点出し処理を示すフローチャートである。 図19は、実施形態に係る、ホルダの回転位置調整処理を示すフローチャートである。 図20は、実施形態に係る、スクライブ処理を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。便宜上、各図には、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が付記されている。Z軸正方向およびZ軸負方向は、それぞれ、鉛直上方向および鉛直下方向であり、X軸正方向は、スクライブ動作時にスクライブヘッドが移送される方向である。
図1は、スクライブ装置1の構成を模式的に示す側面図である。
図1に示すように、スクライブ装置1は、Y軸方向に移動可能な移動台2を備える。移動台2は、Y軸方向に延びるボールネジ3と螺合している。また、移動台2は、Y軸方向に延びる一対の案内レール4によってY軸方向に移動可能に支持されている。モータ(図示せず)の駆動によりボールネジ3が回転することで、移動台2が、一対の案内レール4に沿ってY軸方向に移動する。
移動台2には、回転機構5を介して、スクライブテーブル6が設置されている。回転機構5は、モータを備え、Z軸に平行な回転軸についてスクライブテーブル6を回転させる。スクライブテーブル6の上面(載置面61)には、フレームユニット20を吸着するための吸着構造が設けられている。フレームユニット20および吸着構造の構成は、追って、図2(a)、(b)を参照して説明する。
さらに、スクライブ装置1は、一対の支柱7a、7bと、支柱7a、7bに支持された移送機構8と、を備える。移送機構8は、昇降機構9とともにスクライブヘッド10およびカメラ11をX軸方向に移送する。移送機構8は、X軸方向に延びるボールネジおよびガイドレールと、ボールネジを駆動するモータと、支持板とを備える。支持板は、ボールネジと螺合するとともに、ガイドレールによってX軸方向に案内される。昇降機構9は、支持板に装着される。移送機構8のモータが駆動されると、支持板とともに昇降機構9がX軸方向に移送される。移送機構8は、支持板および昇降機構9をX軸方向に略揺らぎなく精緻に直線移送可能に構成されている。
昇降機構9は、スクライブヘッド10およびカメラ11をZ軸方向に昇降させる。昇降機構9は、Z軸方向に延びるボールネジおよびガイドレールと、ボールネジを駆動するモータと、支持板9aと、を備える。支持板9aは、ボールネジに螺合するとともに、ガイドレールによってZ軸方向に案内される。スクライブヘッド10およびカメラ11は、支持板9aの前面に装着されている。昇降機構9のモータが駆動されると、支持板9aとともにスクライブヘッド10およびカメラ11がZ軸方向に昇降される。
スクライブヘッド10の下端には、カッターホイール251aを保持したホルダユニット251が装着される。カメラ11は、撮像方向が下向きとなるように支持板9aに設置される。カメラ11は、移送機構8および昇降機構9により所定の撮像位置に位置づけられた状態で、スクライブテーブル6の上面(載置面61)に保持されたフレームユニット20を撮像する。カメラ11によって撮像された画像は、Z軸方向に平行な回転軸周りの回転方向およびY軸方向におけるフレームユニット20の位置調整(アラインメント)に用いられる。
図2(a)は、スクライブテーブル6の載置面61にフレームユニット20が載置された状態を示す平面図である。図2(b)は、図2(a)のA-A位置におけるフレームユニット20、スクライブテーブル6およびテスト基板66の断面図である。便宜上、図2(a)には、フレームリング21、被加工物23およびテスト基板66にハッチングが付されており、隙間20aにおいてテープの奥が透視された状態が示されている。
図2(a)、(b)に示すように、フレームユニット20は、フレームリング21と、テープ22と、被加工物23と、を備える。フレームリング21は、金属材料により構成された一定厚みの板状の部材である。フレームリング21は、平面視において、中央に円形の開口21aを有するリング状の形状を有する。
テープ22は、フレームリング21の下面に貼り付けられ、フレームリング21の開口21aを下側から覆う。テープ22は、たとえば樹脂材料により構成される。被加工物23は、フレームリング21の開口21aから露出したテープ22の上面に貼り付けられる。
被加工物23は、たとえば、ウエハーである、被加工物23が、ガラス基板等の他の部材であってもよい。被加工物23は、平面視において、開口21aより径が小さい円板状の形状を有する。被加工物23は、開口21aと略同心になるように、テープ22の上面に貼り付けられる。これにより、被加工物23は、テープ22によってフレームリング21の開口21aに固定される。この状態において、開口21aの内周と被加工物23の外周との間に、リング状の隙間20aが生じる。隙間20aの径方向の幅は、全周に亘って略一定である。
スクライブテーブル6は、平面視において、略正方形の形状を有する。スクライブテーブル6は、SUS等の金属材料からなっている。載置面61には、中心に対して対称な位置に、4つの円形の凹部62が形成されている。フレームユニット20は、フレームリング21が4つの凹部62に略均等に掛かるように、載置面61に載置される。この状態において、フレームユニット20の隙間20aの下方に、スクライブテーブル6の載置面61に沿って形成された溝63が位置づけられる。溝63のY軸正側の端部には、スクライブテーブル6を貫通する孔64が形成されており、孔64のZ軸負側の端部は、図示しない配管を介して圧力付与部305(図11参照)に接続されている。溝63のY軸負側の端部には、溝63がない隙間65が形成されている。
被加工物23に対するスクライブラインの形成工程では、スクライブ動作に先立ち、溝63内の空気が、孔64を介して圧力付与部305により吸引される。これにより、溝63内部に位置づけられたテープ22にテンションが加えられ、被加工物23の下側のテープ22が、スクライブテーブル6の載置面61に密着する。このとき、テープ22は、孔64から隙間65に向かって順に密着していくため、被加工物23下側のテープ22と載置面61との間に生じた空気が、隙間65から円滑に脱気される。こうして、フレームユニット20が、スクライブテーブル6の載置面61に吸着固定される。
載置面61においてフレームユニット20の外側には、2つのテスト基板66が配置されている。図2(a)に示すように、Y軸負側のテスト基板66はX軸方向に延びた形状であり、X軸負側のテスト基板66は、Y軸方向に延びた形状である。図2(b)に示すように、テスト基板66は、上面が載置面61の上面に一致するよう、載置面61に形成された凹部に設置されている。2つのテスト基板66は、スクライブテーブル6がZ軸まわりに回転することに合わせて回転する。
テスト基板66は、後述するホルダ240の回転位置調整の際に用いられる。ホルダ240の回転位置調整の際には、2つのテスト基板66のうち、フレームユニット20のY軸負側に位置づけられたテスト基板66が用いられる。回転位置調整については、追って図13(a)~図15(b)を参照して説明する。
次に、スクライブヘッド10の構成について説明する。
図3は、スクライブヘッド10の構成を示す斜視図である。
板部材101は、X-Z平面に平行な平板形状を有しており、昇降機構9の支持板9a(図1参照)に設置されている。ブラケット102は、水平面(X-Y平面)に平行な平板形状を有している。ブラケット102のY軸負側の端部は、板部材101に設置されており、ブラケット102のY軸正側近傍の端部は、軸部材103を介してベース部材110の上面に設置されている。
ブラケット102の上面にはロードセル104が設置されている。ロードセル104は、ロードセル104の上面に設けられた受け部104aに対して荷重が付与されると、付与された荷重を電気信号に変換し、荷重に応じた電気信号を出力する。ブラケット102のY軸正側の端部には、管105、106が設置されている。管105の一方の端部は、図示しない配管を介して圧力付与部305(図11参照)に接続されており、管105の他方の端部は、管106の一方の端部に接続されている。管106の他方の端部は、図示しない配管を介して管132に接続される。
ベース部材110は、ブロック形状を有しており、上面および下面は水平面に平行であり、側面はX-Z平面またはY-Z平面に平行である。ベース部材110のY軸負側の面は、板部材101に設置されている。ベース部材110は、板部材101を介して、スクライブ装置1側の昇降機構9により昇降される。
ベース部材110のY軸正側の面には、管121~124が設置されている。管121、122の一方の端部は、それぞれ、図示しない配管を介して圧力付与部305(図11参照)に接続されており、他方の端部は、それぞれ、ベース部材110の2つの孔116(図6参照)に接続されている。管123、124の一方の端部は、圧力付与部305(図11参照)に接続されており、他方の端部は、それぞれ、ベース部材110の2つの孔117(図6参照)に接続されている。
ベース部材110のX軸正側の面には、下方向に延びた板部材131が設置されている。板部材131の下端には、管132およびノズル133が設置されている。管132の一方の端部は、図示しない配管を介して管106に接続されており、管106の他方の端部は、ノズル133に接続されている。圧力付与部305(図11参照)から管105、106、132を介してノズル133に空気が供給されることにより、ノズル133の先端からホルダユニット251近傍に空気が吹き付けられる。これにより、被加工物23のスクライブ時に、ホルダユニット251近傍の破片等が吹き飛ばされるため、スクライブを適正に行うことができる。
ベース部材110には、上下方向にベース部材110を貫通する2つの筒孔115(図6参照)が形成されている。2つの筒孔115は、X軸方向に所定の間隔をあけて並んでいる。2つの筒孔115に、それぞれ、2つの軸受140が設置されている。2つの軸受140には、それぞれ、2つのシャフト201が通されている。2つのシャフト201の上端および下端は、それぞれ、ベース部材110から上下にはみ出している。
2つのシャフト201の上端は、板部材202に設置されている。板部材202は、水平面に平行な平板形状を有している。板部材202の上面には、Z軸正方向に延びた2つの軸部材203(図3、5参照)が設置されている。ブリッジ部材204は、2つの軸部材203の上端に架けられている。ブリッジ部材204の下面には、押込部材205が設置されており、押込部材205は、ロードセル104の受け部104aの真上に位置付けられている。
2つのシャフト201の下端は、支持部材210に設置されている。支持部材210は、ブロック形状を有しており、上面および下面は水平面に平行であり、側面はX-Z平面またはY-Z平面に平行である。支持部材210には、3つのガイドシャフト221および3つのバネ222が設置されている(図3、8参照)。3つのガイドシャフト221は、それぞれ、3つのバネ222を介して支持部材210に上下移動可能に支持されており、3つのバネ222により上方向に付勢されている。3つのガイドシャフト221の上端221c(図8参照)は、ベース部材110の下面110aに対向している。
3つのガイドシャフト221の下端は、押圧部材230に設置されている。ガイドシャフト221がバネ222により上方向に付勢されることにより、押圧部材230も、上方向に付勢されている。支持部材210の下端には、ホルダ240が装着されている。ホルダ240は、押圧部材230によって上方向に支持されている。ホルダ240の下部には、ホルダユニット251が設置されている。ホルダユニット251は、下端にカッターホイール251a(図4、5参照)を備える。
図4は、スクライブヘッド10を、カッターホイール251aの中央位置でY-Z平面に平行な平面により切断した断面を示す図である。
支持部材210の中央には、支持部材210を上下に貫通する開口211が形成されている。ホルダ240は、開口211内に設置された2つの軸受261により、Z軸方向について回転可能に支持されている。ホルダユニット251の下端には、X軸方向にスクライブラインを形成するためのカッターホイール251aが設置されている。カッターホイール251aは、Y軸方向について回転可能にホルダユニット251に支持されている。
流路111、112は、ベース部材110のY軸正側の面から、ベース部材110のY軸負側の端部近傍まで、Y軸方向に沿って延びている。流路111、112のY軸正側の端部は、それぞれ、2つの孔116(図6参照)に繋がっており、2つの孔116に設置された管121、122に接続されている。ベース部材110のY軸負側の端部近傍には、上下方向に所定の間隔をあけて筒孔113、114が形成されている。筒孔113は、ベース部材110の上面から上方に開放されており、筒孔114は、ベース部材110の下面110aから下方に開放されている。筒孔113、114の内側面は、Z軸方向に延びた筒形状を有している。流路111、112のY軸負側の端部は、それぞれ、筒孔113、114のY軸正側の内側面に繋がっている。
筒孔113には、Z軸方向に延びた筒形状の筒部材152が設置されている。筒部材152には、筒部材152を上下に貫通する受け孔152aが形成されており、受け孔152aは、Z軸方向に延びた筒形状を有している。受け孔152aには、球形状のボール151が配置されている。受け孔152aの径は、Z軸方向に一定であり、ボール151の径よりも僅かに大きい。
ボール151の上方において、板部材202の下面には、ピン153が設置されており、ピン153の下端とボール151の上端とが対向している。管121から流路111を通って受け孔152aに空気が供給されると、ボール151が空気によって上方向に押し出される。これにより、ボール151の上端がピン153を押し上げ、ピン153と一体的に板部材202、2つのシャフト201および支持部材210が上方向に移動する。また、支持部材210が上方向に移動することにより、支持部材210により支持されたホルダ240およびホルダユニット251も上方向に移動する。
ボール151、受け孔152aおよび流路111は、カッターホイール251aに荷重を付与するヘッド駆動部D1を構成する。ヘッド駆動部D1は、ボール151を上方向に移動させることにより、ホルダユニット251およびカッターホイール251aを上方向に移動させる。これにより、ヘッド駆動部D1は、カッターホイール251aに付与する荷重を減少させる方向に規定する。
筒孔114には、Z軸方向に延びた筒形状の筒部材162が設置されている。筒部材162には、筒部材162を上下に貫通する受け孔162aが形成されており、受け孔162aは、Z軸方向に延びた筒形状を有している。受け孔162aには、球形状のボール161が配置されている。受け孔162aの径は、Z軸方向に一定であり、ボール161の径よりも僅かに大きい。
ボール161の下方において、支持部材210の上面には、孔214(図7参照)にピン163が設置されており、ピン163の上端とボール161の下端とが対向している。管122から流路112を通って受け孔162aに空気が供給されると、ボール161が空気によって下方向に押し出される。これにより、ボール161の下端がピン163を押し下げ、ピン163と一体的に支持部材210が下方向に移動する。また、支持部材210が下方向に移動することにより、支持部材210により支持されたホルダ240およびホルダユニット251も下方向に移動する。
ボール161、受け孔162aおよび流路112は、カッターホイール251aに荷重を付与するヘッド駆動部D2を構成する。ヘッド駆動部D2は、ボール161を下方向に移動させることにより、ホルダユニット251およびカッターホイール251aを下方向に移動させる。これにより、ヘッド駆動部D2は、カッターホイール251aに付与する荷重を増加させる方向に規定する。
図5は、スクライブヘッド10を、シャフト201の中央位置でX-Z平面に平行な平面により切断した断面を示す図である。
軸受140は、ベース部材110に形成された筒孔115に設置されている。筒孔115は、筒形状を有し、ベース部材110を上下に貫通する孔である。シャフト201は、軸受140に形成された開口141内に収容されている。開口141は、筒形状を有し、軸受140を上下に貫通する孔である。開口141の径は、Z軸方向に一定であり、シャフト201の径よりも僅かに大きい。シャフト201の上端は、ネジ206により板部材202に設置されており、シャフト201の下端は、ネジ207により支持部材210に設置されている。
板部材101、ベース部材110、ブラケット102およびロードセル104は、図1に示した昇降機構9による支持板9aの上下移動に応じて、一体的に上下に移動する。一方、ピン153(図4参照)、板部材202、2本の軸部材203、ブリッジ部材204、押込部材205、2本のシャフト201、支持部材210およびピン163(図4参照)は、ヘッド駆動部D1、D2によるピン153、163の上下移動に応じて、一体的に上下に移動する。すなわち、ピン153、板部材202、2本の軸部材203、ブリッジ部材204、押込部材205、2本のシャフト201、支持部材210およびピン163は、所定範囲において上下動可能にベース部材110に支持されている。
図6は、ベース部材110およびベース部材110に収容される各部の構成を示す斜視図である。
軸受140の外側面は、アルミにより構成されており、軸受140のY軸正側には、孔142が形成されている。軸受140に形成された開口141の内側面は、多孔質(ポーラス)素材により構成されており、孔142と、多孔質素材に形成された多数の孔とが繋がっている。軸受140は、ベース部材110の筒孔115内に設置される。これにより、ベース部材110のY軸正側の面に形成された孔117と、軸受140の孔142とが接続される。そして、開口141にシャフト201が通される。管123、124(図3参照)を介して2つの孔117に空気が供給されると、開口141の内側面に形成された多数の孔から、開口141の中心軸に向かって空気が吹き出る。これにより、シャフト201が開口141の内側面に接触することなく、上下に移動可能となる。
ベース部材110の上面に形成された筒孔113には、上から筒部材152が設置され、筒部材152の受け孔152aに、ボール151が配置される。組み立て後において、上述したように、ボール151の上端は、ピン153の下端に位置づけられる。同様に、ベース部材110の下面に形成された筒孔114には、下から筒部材162が設置され、筒部材162の受け孔162aに、ボール161が配置される。組み立て後において、上述したように、ボール161の下端は、ピン163の上端に位置づけられる。
図7は、支持部材210、ホルダ240および押圧部材230の構成を示す斜視図である。
支持部材210には、中央に形成された開口211に加えて、2つの凹部212と、3つの開口213と、孔214とが形成されている。凹部212は、シャフト201の下端が嵌る形状を有している。凹部212の下面には、支持部材210を上下に貫通する孔212aが形成されている。3つの開口213は、支持部材210を上下に貫通しており、押圧部材230の3つの孔232に対向する位置に形成されている。3つの開口213の下端から、それぞれ、3つのネジ受け271が嵌め込まれる。
ホルダ240は、円錐台部241と、円錐台部241の上面から上方向に延びた軸部242と、を備える。円錐台部241は、先端(下端)に向かうにつれて細くなった先細り形状を有する。円錐台部241の側面には、外側面241aと、2つの平坦面241bとが形成されている。外側面241aは、平面視において略円形状であり、下方に進むにつれて径が小さくなっている。2つの平坦面241bは、X-Z平面に平行な平面である。言い換えれば、ホルダ240は、円錐体の外側面241aの一部を平坦に切欠いた形状を含む。
軸受261は、円筒形状を有しており、軸受261の中央には、軸受261を上下に貫通する孔261aが形成されている。
押圧部材230は、平面視において正三角形の頂点が丸められた形状を有し、上下方向に所定の厚みを有する。押圧部材230の中央には、押圧部材230を上下に貫通する開口231が形成されている。開口231は、平面視において円形状を有し、開口231の内周面には、圧接面231aが形成されている。圧接面231aは、開口231の径を下方に向かうにつれて小さくすることにより形成されている。開口231には、ホルダ240が上方から挿入される。押圧部材230の3つの頂点付近には、それぞれ、押圧部材230を上下に貫通する3つの孔232が形成されている。
組み立て時には、一方の軸受261が、開口211の上方から開口211内に設置され、他方の軸受261が、開口211の下方から開口211内に設置される。続いて、ホルダ240の軸部242が、下方の軸受261の孔261aに通され、さらに上方の軸受261の孔261aに通される。そして、軸部242の孔242aに、ネジ262が設置される。ネジ262の外周の径は、上方の軸受261の孔261aの径よりも大きい。これにより、ホルダ240が下方向に抜けることが防止される。こうして、ホルダ240は、支持部材210に対して上下方向に移動することが抑制されつつ、Z軸方向を回転の中心軸として回転可能となる。
その後、押圧部材230の開口231が、ホルダ240の円錐台部241に嵌め込まれる。これにより、押圧部材230の圧接面231aと、ホルダ240の外側面241aとが圧接する。
図8は、押圧部材230を支持部材210に設置するための構成を示す斜視図である。
開口213には、段部213a(図4参照)が形成されている。図4を参照して、段部213aよりも上方の開口213の部分の径は、段部213aよりも下方の開口213の部分の径よりも大きい。バネ222の外径は、段部213aよりも上方の開口213の部分の径と略同じである。したがって、3つのバネ222が開口213に上方から挿入されると、バネ222の下端は段部213aにより上向きに支持される。
ガイドシャフト221は、軸部221aと、軸部221aの上端に設けられた頭部221bと、を備える。ガイドシャフト221の上端221cは、X-Y平面に平行な平面である。軸部221aの径は、開口231およびバネ222の内径よりも小さく、頭部221bの径は、バネ222の外径よりも大きい。したがって、ガイドシャフト221が開口213に設置されたバネ222に上方から挿入されると、頭部221bの下面がバネ222の上端によって上向きに支持される。
ガイドシャフト221およびバネ222が開口213に挿入された後、ガイドシャフト221の下端が孔232に通され、ガイドシャフト221の下端が、ネジ272により押圧部材230の孔232に設置される。これにより、図4に示したように、押圧部材230が、バネ222により上方向に付勢され、押圧部材230の圧接面231aが、ホルダ240の外側面241aに押し付けられる。
図9は、カッターホイール251aの位置でX-Z平面に平行な面によりスクライブヘッド10を切断したときの断面の一部を示す図である。
上述したように、ホルダ240は、軸受261および支持部材210により、回転軸R10について回転可能に支持されている。ホルダ240の回転軸R10は、ホルダ240の中心を通り、Z軸方向に平行である。回転軸R10は、軸部242の中心に一致している。
上述したように、押圧部材230は、ガイドシャフト221を介して、バネ222により上方向に付勢されている。これにより、図9に示すように、押圧部材230の圧接面231aは、ホルダ240の外側面241aに圧接される。このとき、ホルダ240は、押圧部材230によって回転が規制された状態となる。また、後述するように、ガイドシャフト221の上端221cがベース部材110の下面110aにより下方向に押されると、バネ222の付勢に抗して、押圧部材230が下方向に移動する。これにより、押圧部材230の圧接面231aがホルダ240の外側面241aに押し付けられる状態が解除される。このとき、ホルダ240は、押圧部材230により規制されることなく回転軸R10について自由に回転可能となる。
ホルダ240の下面には、下方に開放された開口243が形成されている。開口243の上端には、磁石244が設置されている。また、開口243の内部には、回転軸R10と垂直な方向(図9に示す状態ではY軸方向)に延びた位置決めピン245が配置されている。ホルダユニット251の上端は、磁性材料により構成されている。開口243にホルダユニット251が挿入されると、ホルダユニット251の上端が磁石244に吸引され、ホルダユニット251の上部の傾斜面が位置決めピン245に当接する。これにより、カッターホイール251aの回転軸方向が、位置決めピン245の延びる方向に一致した状態で、ホルダユニット251およびカッターホイール251aが、ホルダ240の下面に保持される。
図9に示すように、ホルダユニット251がホルダ240に装着された状態において、カッターホイール251aの中心は、回転軸R10から離間した位置にある。これにより、後述のホルダ240の回転位置調整の際に、スクライブヘッド10がテスト基板66の上面に対してX軸方向に移動すると、ホルダ240がキャスターのように回転軸R10まわりに回転し、カッターホイール251aが、ホルダ240の進行方向の後ろ側に位置付けられる。
図10(a)は、ボール151、161によって、ピン153、163が上下に押し出されることを模式的に示す側面図である。図10(a)において、便宜上、空気の流れが、点線矢印で示されている。
上述したように、ヘッド駆動部D1は、ボール151、受け孔152aおよび流路111により構成される。ヘッド駆動部D2は、ボール161、受け孔162aおよび流路112により構成される。
流路111を介して受け孔152aに空気が供給されると、ボール151は、空気によって上方向に押し出され、ピン153が、ボール151によって上方向に押し出される。このとき、ボール151の径が、筒部材152の受け孔152aの径よりも僅かに小さいため、流路111から供給された空気が、ボール151と筒部材152の内側面との間の隙間G1を通り、隙間G1にエアギャップが形成される。これにより、ボール151が、筒部材152の内側面と接することなく上下に移動可能となる。
同様に、流路112を介して受け孔162aに空気が供給されると、ボール161は、空気によって下方向に押し出され、ピン163が、ボール161によって下方向に押し出される。このとき、ボール161の径が、筒部材162の受け孔162aの径よりも僅かに小さいため、流路112から供給された空気が、ボール161と筒部材162の内側面との間の隙間G2を通り、隙間G2にエアギャップが形成される。これにより、ボール161が、筒部材162の内側面と接することなく上下に移動可能となる。
図10(b)は、シャフト201が軸受140に対して上下に移動することを模式的に示す側面図である。図10(b)において、便宜上、空気の流れが、点線矢印で示されている。
孔116を介して軸受140の孔142に空気が供給されると、開口141の内側面を構成する多孔質素材に形成された多数の孔から、一斉に空気が吹き出す。このとき、シャフト201の径が、開口141の内側面の径よりも僅かに小さいため、開口141の内側面から吹き出した空気が、シャフト201と軸受140の内側面との間の隙間G3を通り、隙間G3にエアギャップが形成される。これにより、シャフト201が、軸受140の内側面と接することなく上下に移動可能となる。
図10(a)に示したようにボール151、161が上下に移動され、図10(b)に示したようにシャフト201が軸受140に対して上下に移動すると、ボール151またはボール161の移動に応じて、支持部材210が上下に移動する。具体的には、ボール151が上方向に押されると、ピン153および板部材202を介してシャフト201が上方向に移動するため、シャフト201に設置された支持部材210も上方向に移動する。また、ボール161が下方向に押されると、ピン163を介して支持部材210が下方向に移動する。
したがって、カッターホイール251aの下端が被当接面(被加工物23およびテスト基板66の上面)に接地したときに、ボール151が上方向に押されるよう空気が供給されていると、ピン153、163、シャフト201および支持部材210などの自重によってカッターホイール251aにかかる荷重を小さくできる。他方、ボール161が下方向に押されるように空気が供給されていると、上記自重に加えてカッターホイール251aにかかる荷重を大きくできる。
図11は、スクライブ装置1の構成を示すブロック図である。
スクライブ装置1は、制御部301と、テーブル駆動部302と、ヘッド移送部303と、ヘッド昇降部304と、圧力付与部305と、を備える。
制御部301は、CPU等の演算処理回路や、ROM、RAM、ハードディスク、SSD等の記憶部を備え、記憶部に記憶されたプログラムに従って各部を制御する。
テーブル駆動部302は、図1に示したボールネジ3や回転機構5を含む。テーブル駆動部302は、制御部301からの制御に応じて、スクライブテーブル6をY軸方向に移送し、あるいは、Z軸に平行な回転軸についてスクライブテーブル6を回転させる。ヘッド移送部303は、図1に示した移送機構8を備え、制御部301からの制御に応じてスクライブヘッド10およびカメラ11をX軸方向に移送する。ヘッド昇降部304は、図1に示した昇降機構9を備え、制御部301からの制御に応じてスクライブヘッド10およびカメラ11をZ軸方向に昇降させる。
圧力付与部305は、空圧源から付与される空気圧を調節するバルブ等を備える。圧力付与部305は、空圧源から付与される空気圧を、バルブ等を調整することにより、スクライブヘッド10の各部に対して個別に供給する。具体的には、圧力付与部305は、制御部301からの制御に応じて、孔64を介して溝63(図2(a)参照)内に負圧を印加する。圧力付与部305は、制御部301からの制御に応じて、管105、106、132を介してノズル133(図3参照)に空気を供給する。圧力付与部305は、制御部301からの制御に応じて、管121を介して筒孔113(図3参照)に空気を供給する。圧力付与部305は、制御部301からの制御に応じて、管122を介して筒孔114(図3参照)に空気を供給する。圧力付与部305は、制御部301からの制御に応じて、管123、124(図3参照)を介して2つの軸受140(図6参照)内に空気を供給する。
次に、スクライブヘッド10の原点出し動作、ホルダ240の回転位置調整およびスクライブ動作について、順に説明する。以下の図12(a)~図17(b)では、便宜上、スクライブヘッド10が簡略化して図示されている。
図12(a)、(b)は、スクライブヘッド10の原点出し動作を模式的に示す側面図である。
原点出し動作は、カッターホイール251aの先端が被加工物23の上面に接地するときの、スクライブヘッド10の高さ位置を取得するために実行される。このような原点出し動作は、たとえば、ホルダユニット251が交換された場合、被加工物23のロットが変更された場合、被加工物23が変更された場合など、スクライブ装置1を運用する施設等のルールに基づいて実行される。
図12(a)に示すように、原点出し動作では、まずスクライブヘッド10が被加工物23の余白部分の上方に位置付けられる。被加工物23の余白部分が用いられる理由は、被加工物23のうち実際に完成品として使用される部分を傷つけないためである。被加工物23およびテープ22の厚み合計はd1であり、被加工物23の上面は、スクライブテーブル6の載置面61に対して上方向にd1だけ離れている。
スクライブヘッド10が被加工物23の余白部分の上方に位置付けられると、たとえば、ボール161が僅かに下向きに押し出され、ロードセル104の検出荷重が微小程度になるよう、ヘッド駆動部D2が駆動される。この状態で、昇降機構9(図1参照)により、ベース部材110が下方向に移送される。
図12(b)に示すように、カッターホイール251aの先端が被加工物23の上面に接地すると、ホルダ240、支持部材210および押込部材205の下降が止まる。このとき、ベース部材110が昇降機構9の駆動に応じてさらに下降すると、ロードセル104の検出荷重が減少する。スクライブヘッド10の高さ位置を下向き(Z軸負方向)の座標で示すと、このときのベース部材110の下面110aの位置が、原点位置H0となる。
その後、ベース部材110が上方向に移送され、スクライブヘッド10は、図12(a)と同様の位置に戻される。こうして、原点出し動作が終了する。
図13(a)~図15(b)は、ホルダ240の回転位置調整を模式的に示す側面図である。
ホルダ240の回転位置調整は、回転軸R10まわりに回転するホルダ240の回転位置を、カッターホイール251aの刃の方向がX軸方向に沿うように、すなわち、カッターホイール251aの稜線がX軸方向に平行となるように調整するために実行される。このような回転位置調整は、図12(a)、(b)に示した原点出し動作後において、たとえば、ホルダユニット251が交換された場合や、前回の回転位置調整から所定の時間が経過した場合など、スクライブ装置1を運用する施設等のルールに基づいて実行される。
図13(a)に示すように、ホルダ240の回転位置調整では、まずスクライブヘッド10が、フレームユニット20(図2(a)参照)のY軸負側に位置づけられたテスト基板66の上方に位置付けられる。このとき、ボール161が下向きに押し出され、ロードセル104の検出荷重が所定の荷重になるよう、ヘッド駆動部D2が駆動される。
このようにヘッド駆動部D2が駆動されると、図13(a)に示すように、支持部材210は、ベース部材110の下面110aから最も下方向に離れた位置に位置付けられる。言い換えれば、支持部材210は、上下動可能な所定範囲の下限に位置付けられた状態となる。このとき、ベース部材110の下面110aは、ガイドシャフト221の上端221cに所定の距離d2で対向する。
図13(a)の状態から、図13(b)に示すように、ベース部材110の下面110aがガイドシャフト221の上端221cに接地するまで、ベース部材110が、昇降機構9により下方向に移送される。ここで、テスト基板66の上面は載置面61と同じ高さであり、被加工物23およびテープ22は所定の厚みd1(図12(a)参照)を有している。また、カッターホイール251aがテスト基板66の上面に接地したときの、ベース部材110の下面110aとガイドシャフト221の上端221cとの距離は、既知のd2(図13(a)参照)である。したがって、このとき、ベース部材110は、原点出し動作で取得された原点位置H0よりもさらにd1+d2だけ下方向にある位置H1まで下降される。これにより、ベース部材110の下面110aがガイドシャフト221の上端221cに接地する。
図13(b)の状態から、さらにベース部材110が下方向に移動され、ベース部材110の下面110aが位置H2まで下降すると、図14(a)に示すように、2本のガイドシャフト221がベース部材110によって下方向に押され、押圧部材230も下方向に移動する。これにより、バネ222によってホルダ240の外側面241aに押し付けられていた押圧部材230の圧接面231aが、外側面241aから離れ、圧接面231aと外側面241aとの間に僅かに隙間が生じる。
図14(a)の状態から、さらにベース部材110が下方向に移動され、ベース部材110の下面110aが位置H3まで下降すると、図14(b)に示すように、圧接面231aと外側面241aとの間の隙間が大きくなる。これにより、押圧部材230とホルダ240とが、離間した状態となる。原点位置H0から位置H3までの距離をd3とすると、このように押圧部材230とホルダ240とが離間した状態は、d3>d1+d2により表される。
図14(b)の状態から、移送機構8により昇降機構9がX軸方向に移送されると、図15(a)に示すように、スクライブヘッド10が、テスト基板66に対してX軸正方向に移動する。これにより、ホルダ240がキャスターのように回転軸R10まわりに回転し、カッターホイール251aが、回転軸R10のX軸負側に位置付けられる。また、スクライブヘッド10がX軸方向に移動しているため、カッターホイール251aの延びる方向(スクライブ方向)が、X軸方向に合わせられる。
図15(a)の状態から、移送機構8による昇降機構9のX軸方向の移送が維持されながら、ベース部材110が、昇降機構9により上方向に移送される。ベース部材110の下面110aが位置H1まで上昇すると、圧接面231aと外側面241aとの隙間がなくなり、押圧部材230によりホルダ240の回転がロックされる。
その後、ベース部材110がさらに上方向に移送され、スクライブヘッド10は、図13(a)と同様の位置に戻される。こうして、ホルダ240の回転位置調整が終了する。
図16(a)~図17(b)は、被加工物23に対するスクライブ動作を模式的に示す側面図である。
スクライブ動作は、図13(a)~図15(b)に示したホルダ240の回転位置調整が行われた後で実行される。したがって、スクライブ動作開始時には、カッターホイール251aのスクライブ方向は、適正にX軸方向に合わせられている。
図16(a)に示すように、スクライブ動作では、まずスクライブヘッド10が、被加工物23の上方に位置付けられる。このとき、ロードセル104の検出荷重が所定の荷重になるよう、ヘッド駆動部D1またはヘッド駆動部D2が駆動される。ヘッド駆動部D1、D2の両方が駆動していない状態では、ピン153、163、シャフト201および支持部材210などの自重によって、ロードセル104の検出荷重が所定の値(自重)となる。自重よりも小さな荷重を付与する場合には、ヘッド駆動部D1が駆動され、自重よりも大きな荷重を付与する場合には、ヘッド駆動部D2が駆動される。
図16(a)の状態から、図16(b)に示すように、ベース部材110の下面が原点位置H0に位置付けられるよう、ベース部材110が、昇降機構9により下方向に移送される。これにより、カッターホイール251aの先端が被加工物23の上面に接地する。
図16(b)の状態から、ロードセル104の検出荷重がゼロになり、且つ、カッターホイール251aの先端が被加工物23に対して所望の深さd4だけ入るまで、ベース部材110が、昇降機構9により下方向に移送される。これにより、ヘッド駆動部D1またはヘッド駆動部D2で設定した荷重が、カッターホイール251aから被加工物23に付与される。このとき、図17(a)に示すように、下面110aが原点位置H0からd4だけ下方の位置H4に位置付けられる。
また、このとき、ベース部材110の下面110aは、ガイドシャフト221の上端221cに接触する位置H1まで下降されず、下面110aの下降位置は、原点位置H0と位置H4との間の位置H5とされる。位置H5は、被加工物23に対してベース部材110を下降させ続けたときに、ベース部材110の下面110aとガイドシャフト221の上端221cとが当接するときの下面110aの位置である。原点位置H0から位置H5までの距離は、図13(a)に示したd2である。したがって、原点位置H0から位置H5までの距離d4は、d4<d2により表される。これにより、ベース部材110の下面110aがガイドシャフト221の上端221cを押し下げて、ホルダ240の回転位置が意図せず変動してしまうといった事態を回避できる。
図17(a)の状態から、移送機構8により昇降機構9がX軸方向に移送されることにより、図17(b)に示すように、スクライブヘッド10が、被加工物23に対してX軸正方向に移送される。これにより、被加工物23に対するスクライブが行われる。
図18は、原点出し処理を示すフローチャートである。
原点出し処理の前に、スクライブテーブル6の載置面61にフレームユニット20が設置される。また、スクライブヘッド10が、フレームユニット20の余白部分の上方位置に位置付けられる。
図12(a)に示したように、制御部301は、フレームユニット20の余白部分の上方位置で、ヘッド駆動部D1またはヘッド駆動部D2を駆動して、ロードセル104の検出荷重を所定値に設定する(S11)。続いて、図12(b)に示したように、制御部301は、昇降機構9を制御して、ベース部材110を下降させ(S12)、ロードセル104の検出荷重が変化するまでベース部材110の下降を継続する(S13)。
ロードセル104の検出荷重が変化すると(S13:YES)、制御部301は、検出荷重が変化したタイミングにおけるベース部材110の下面110aの位置を、原点位置H0(図12(b)参照)として記憶する(S14)。制御部301は、昇降機構9を制御して、スクライブヘッド10をフレームユニット20の余白部分の上方位置に戻す(S15)。こうして、原点出し処理が終了する。
図19は、ホルダ240の回転位置調整処理を示すフローチャートである。
ホルダ240の回転位置調整処理の前に、制御部301は、図18に示した原点出し処理を実行し、原点位置H0を取得する。また、回転位置調整で使用するテスト基板66が、フレームユニット20のY軸負側に位置付けられ、スクライブヘッド10が、テスト基板66の上方位置に位置付けられる。
図13(a)に示したように、制御部301は、テスト基板66の上方位置で、ヘッド駆動部D1またはヘッド駆動部D2を駆動して、ロードセル104の検出荷重を所定値に設定する(S21)。続いて、図13(b)に示したように、制御部301は、昇降機構9を制御して、ベース部材110を位置H1まで下降させる(S22)。位置H1は、原点位置H0に、図13(a)に示した距離d2を加算した位置である。
図14(b)に示したように、制御部301は、昇降機構9を制御して、ベース部材110を位置H3までさらに下降させて、ホルダ240のロック、すなわち圧接面231aと外側面241aとが密着した状態を解除させる(S23)。
図15(a)に示したように、制御部301は、移送機構8を制御して、スクライブヘッド10をX軸正方向に移送する(S24)。続いて、図15(b)に示したように、制御部301は、移送機構8を制御してスクライブヘッド10をX軸正方向に移送しつつ、昇降機構9を制御してベース部材110を上昇させる(S25)。これにより、制御部301は、ホルダ240をロック、すなわち、圧接面231aと外側面241aとが密着した状態にする(S26)。制御部301は、昇降機構9を制御して、スクライブヘッド10をテスト基板66の上方位置に戻す(S27)。こうして、ホルダ240の回転位置調整処理が終了する。
図20は、スクライブ処理を示すフローチャートである。
スクライブ処理の前に、図18に示した原点出し処理および図19に示したホルダ240の回転位置調整処理が実行される。図16(a)に示したように、制御部301は、移送機構8および昇降機構9を制御して、スクライブヘッド10を被加工物23の上方位置に位置付ける(S31)。
ここで、カッターホイール251aにより被加工物23に付与する目標荷重が閾値以下である場合(S32:YES)、制御部301は、上側のヘッド駆動部D1を制御して、ロードセル104の検出荷重を目標荷重に設定する(S33)。他方、目標荷重が閾値より大きい場合(S32:NO)、制御部301は、下側のヘッド駆動部D2を制御して、ロードセル104の検出荷重を目標荷重に設定する(S34)。ステップS32の閾値は、例えば、ピン153、163、シャフト201および支持部材210などの自重である。ステップS32~S34の制御により、目標荷重が上記自重以下の場合は、上側のヘッド駆動部D1が用いられ、目標荷重が上記自重より大きい場合は、下側のヘッド駆動部D2が用いられる。
続いて、図16(b)に示したように、制御部301は、昇降機構9を制御して、ベース部材110を原点位置H0まで下降させる(S35)。さらに、図17(a)に示したように、制御部301は、昇降機構9を制御して、ベース部材110を目標となるスクライブ深さd4だけ下降させる(S36)。図17(b)に示したように、制御部301は、移送機構8を制御して、スクライブヘッド10をX軸正方向に移送する(S37)。制御部301は、昇降機構9を制御して、スクライブヘッド10を被加工物23の上方位置に戻す(S38)。こうして、スクライブ処理が終了する。
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
図13(a)に示したように、支持部材210が所定範囲の下限に位置付けられた状態において、スクライブ装置1側の昇降機構9によりベース部材110を下降させると、カッターホイール251aがテスト基板66の上面(被当接面)に当接する。その後、さらにベース部材110を下降させると、カッターホイール251aの下降がテスト基板66の上面(被当接面)により規制されるため、支持部材210、ホルダ240、ガイドシャフト221および押圧部材230は下降せず、ベース部材110のみが下降する。これにより、図13(b)に示したように、ガイドシャフト221の上端221cとベース部材110の下面110a(対向面)との距離が縮まり、やがて当接する。この状態からさらにベース部材110を下降させると、ガイドシャフト221の上端221cがベース部材110の下面110a(対向面)に押されて、ガイドシャフト221がバネ222(付勢部材)の付勢に抗して下方に移動する。このとき、図14(a)、(b)に示したように、押圧部材230がガイドシャフト221とともに下方に移動し、押圧部材230の圧接面231aがホルダ240の外側面241aから離間する。これにより、ホルダ240は回転軸R10について回転可能となり、ホルダ240に保持されたカッターホイール251aも回転可能となる。また、上記の工程とは逆に、ベース部材110を上昇させることで、図15(b)に示したように、押圧部材230の圧接面231aがホルダ240の外側面241aに圧接され、ホルダ240およびカッターホイール251aがロックされる。
このように、本実施形態によれば、ガイドシャフト221、バネ222(付勢部材)および押圧部材230を追加するのみの簡素な構成により、ホルダ240およびカッターホイール251aのロックおよび非ロックを切り替えることができる。また、押圧部材230の圧接面231aを先細りのホルダ240の外側面241aに面接触により圧接させてロックが行われるため、安定的かつ確実に、ホルダ240およびカッターホイール251aをロックできる。さらに、ベース部材110を昇降させるといった極めて簡単な制御により、ホルダ240およびカッターホイール251aのロックおよび非ロックを切り替えることができる。このため、非ロック状態でカッターホイール251aを走行させながらスクライブヘッド10を上昇させることにより、ホルダ240およびカッターホイール251aをロックでき、カッターホイール251aをロック直前の直線走行可能な状態に正確にロックできる。
ベース部材110は、ブロック形状を有し、支持部材210およびガイドシャフト221は、ベース部材110の下方に配置され、ガイドシャフト221の上端221cに対向するベース部材110の対向面は、ベース部材110の下面110aである。この構成によれば、支持部材210およびガイドシャフト221がベース部材110の下方に配置されるため、ベース部材110、支持部材210およびガイドシャフト221からなる構造体をコンパクトにできる。また、ベース部材110の下面110aが対向面に共用されるため、この構造体の構成を簡素にできる。
図7に示したように、ホルダ240の外側面241aは、平面視において略円形状であり、下方に向かうにつれて径が小さくなっている。押圧部材230は、ホルダ240が上方から挿入される円形の開口231を有する。開口231の径をホルダ240の外側面241aと同様に下方に向かうにつれて小さくすることにより、開口231の内周面に圧接面231aが形成されている。この構成によれば、ホルダ240の外側面241aの径および押圧部材230の開口231の径を調整することにより、ロック機構を実現できる。よって、ロック機構の構成を簡素にできる。
図7に示したように、ホルダ240は、円錐体の外側面の一部を平坦に切り欠いた形状を含む。この構成によれば、円錐体の外側面の切り欠き量によって、ホルダ240の外側面241aと圧接面231aとの接触面積を調整でき、ロックの保持力を調整できる。これにより、スクライブ動作時に、不意に大きなトルクがカッターホイール251aに掛かったとしても、ホルダ240の外側面241aが圧接面231aに対して滑ってカッターホイール251aがトルクの方向に回動し、カッターホイール251aに破損が生じることを抑制できる。
ヘッド駆動部D1、D2は、空気圧により支持部材210を駆動してカッターホイール251aに荷重を付与する。この構成によれば、支持部材210がヘッド駆動部D1、D2に機械的に固定された構成でないため、カッターホイール251aがテスト基板66の上面(被当接面)に当接した後、さらにベース部材110を下降させた場合に、支持部材210に対してベース部材110を円滑に下降させることができる。よって、ベース部材110の昇降によるカッターホイール251aのロックおよび非ロックの切り替えを円滑に行うことができる。
図13(b)に示したように、制御部301は、カッターホイール251aのロックを解除する制御として、カッターホイール251aがテスト基板66の上面(被接触面)に接触するまでベース部材110を下降させた後、さらに、ホルダ240の外側面241aと押圧部材230の圧接面231aとの接触が解除されるまで、ベース部材110を下降させる制御を実行する(図19のS23)。この処理によれば、ベース部材110を下降させるといった極めて簡単な制御により、カッターホイール251aのロックを解除できる。
制御部301は、カッターホイール251aのロックを解除する制御を実行した後、図15(b)に示したように、スクライブヘッド10をX軸正方向(スクライブ方向)に移送させつつホルダ240の外側面241aと圧接面231aとが接触するまでベース部材110を上昇させる制御を実行する(図19のS25)。ロックの解除状態では、カッターホイール251aがテスト基板66の上面(被接触面)に押し付けられているため、この状態からスクライブヘッド10をスクライブ方向)に移送することで、カッターホイール251aをスクライブ方向に直進させることができ、カッターホイール251aの稜線をスクライブ方向に平行にできる。このとき、スクライブヘッド10をスクライブ方向に移送させつつホルダ240の外側面241aと圧接面231aとが接触するまでベース部材110を上昇させることにより、カッターホイール251aの稜線がスクライブ方向に平行である状態を維持したまま、カッターホイール251aをロックできる。よって、その後、このロック状態によりスクライブ動作を行うことで、スクライブ軌跡の直線性を高精度に維持できる。
制御部301は、カッターホイール251aのロックを解除する制御を実行した後、図15(a)に示したように、スクライブヘッド10をX軸正方向(スクライブ方向)に移送させ、その後、図15(b)に示したように、スクライブヘッド10をX軸正方向(スクライブ方向)に移送させつつホルダ240の外側面241aと圧接面231aとが接触するまでベース部材110を上昇させる制御を実行する(図19のS24、S25)。この制御によれば、スクライブヘッド10がスクライブ方向に移送されることにより、カッターホイール251aを確実にスクライブ方向に直進させることができる。そして、この状態から、さらに、スクライブヘッド10をスクライブ方向に移送させつつホルダ240の外側面241aと圧接面231aとが接触するまでベース部材110を上昇させることにより、カッターホイール251aの稜線がスクライブ方向に平行である状態を維持したまま、カッターホイール251aをロックできる。
図12(b)に示したように、スクライブ装置1は、カッターホイール251aが被加工物23の上面(被接触面)に接触したことを検出するロードセル104(センサ)を備える。図14(b)に示したように、制御部301は、ロードセル104(センサ)からの出力に基づいてカッターホイール251aが被加工物23の上面(被接触面)に接触したことが検出された原点位置H0からd3(所定量)だけベース部材110を下降させることにより、ホルダ240の外側面241aと圧接面231aとの接触を解除する(図19のS23)。この構成によれば、円滑かつ正確に、カッターホイール251aのロックを解除できる。
カッターホイール251aが被加工物23の上面(被接触面)に接触したことを検出するセンサは、カッターホイール251aに付与される荷重を検出するためのロードセル104である。この構成によれば、ロードセル104がセンサに共用されるため、スクライブ装置1の構成の簡素化およびコストの低減を実現できる。
<変形例>
上記実施形態において、ガイドシャフト221および押圧部材230は、一体形成されてもよい。
上記実施形態では、ガイドシャフト221は、ホルダ240の周囲に3本配置されたが、これに限らず、ホルダ240を挟んで2本のガイドシャフト221が配置されてもよく、ホルダ240の周囲に4本以上配置されてもよい。ただし、押圧部材230を支持部材210に対して安定的に保持させ、且つ、構成を簡素化する観点から、ガイドシャフト221は、上記のように3本配置されるのが好ましい。
上記実施形態において、ベース部材110の下面110aが、ガイドシャフト221の上端221cに対向して配置されたが、上端221cに対向する部分は、下面110aに限らない。たとえば、平面視において、ガイドシャフト221がベース部材110の外側にある場合、ベース部材110の側面に配置された突起の下面が、ガイドシャフト221の上端221cに対向して配置されてもよい。この場合、上端221cは、ベース部材110の側面に配置された突起の下面により下方向に押される。
上記実施形態では、ボール151、161は球形であったが、これに限らず、楕円体であってもよい。たとえば、ボール151、161が、平面視において円形であるような楕円球であってもよい。ボール151、161が平面視において円形であると、流路111から筒孔113に供給された空気を満遍なくボール151に当てることができ、流路112から筒孔114に供給された空気を満遍なくボール161に当てることができる。これにより、ボール151がピン153を円滑に押すことができ、ボール161がピン163を円滑に押すことができる。
上記実施形態では、カッターホイール251aが被加工物23の上面(被接触面)に接触したことが、ロードセル104の検出荷重により検出されたが、光電センサやカメラにより検出されてもよい。
上記実施形態では、外側面241aの一部を切欠いた平坦面241bが形成されることにより、ホルダ240の外側面241aと押圧部材230の圧接面231aとの接触面積が調整された。しかしながら、これに限らず、圧接面231aに平坦面が形成されることにより、外側面241aと圧接面231aとの接触面積が調整されてもよい。また、外側面241aおよび圧接面231aに形成する切欠きは、平坦面でなくてもよく、曲面等の他の形状であってもよい。
上記実施形態では、テスト基板66の上面が、スクライブテーブル6の載置面61と同じ高さに配置されたが、載置面61と異なる高さの位置に配置されてもよい。この場合、被加工物23およびテープ22の厚みd1と、テスト基板66の上面と載置面61の高さの差と、ベース部材110の下面110aとガイドシャフト221の上端221cとの距離d2に基づいて、図13(b)に示すように、ベース部材110の下面110aがガイドシャフト221の上端に接地する位置H1まで、ベース部材110が下降される。
上記実施形態では、カッターホイール251aのロックが解除された後、図15(a)に示したように、スクライブヘッド10をX軸正方向に移送する第1動作が行われ、その後、図15(b)に示したように、スクライブヘッド10をX軸正方向に移送させつつカッターホイール251aがロックされるまでベース部材110を上昇させる第2動作が行われた。しかしながら、これに限らず、第1動作が省略され、第2動作のみが行われてもよい。ただし、上記実施形態のように、第1動作が行われた後で第2動作が行われるほうが、カッターホイール251aをX軸方向に直進させることができ、カッターホイール251aの稜線を確実にX軸方向に平行にできる。
上記実施形態では、スクライブ動作時に、図20のステップS32~S34に示したように、目標荷重に応じてヘッド駆動部D1、D2の何れか一方が駆動されたが、ヘッド駆動部D1、D2の両方が駆動されて目標荷重が設定されてもよい。ただし、上記実施形態のように、ヘッド駆動部D1、D2の何れか一方が駆動されるほうが、目標荷重を精度良く設定できる。
上記実施形態において、スクライブ装置1の構成は、図1に示した構成に限られるものではない。たとえば、図1の構成では、スクライブヘッド10が、移送機構8によりX軸方向に移送されたが、スクライブヘッド10が移送されることに代えて、スクライブテーブル6がX軸方向に移送されてもよい。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
1 スクライブ装置
8 移送機構
9 昇降機構
10 スクライブヘッド
104 ロードセル(センサ)
110 ベース部材
110a 下面(対向面)
210 支持部材
221 ガイドシャフト
222 バネ(付勢部材)
221c 上端
230 押圧部材
231 開口
231a 圧接面
240 ホルダ
241a 外側面
251a カッターホイール
301 制御部
D1、D2 ヘッド駆動部
R10 回転軸

Claims (10)

  1. スクライブ装置側の昇降機構により昇降されるベース部材と、
    所定範囲において上下動可能に前記ベース部材に支持された支持部材と、
    回転軸について回転可能に前記支持部材に支持された先細り形状のホルダと、
    前記回転軸から離間して前記ホルダの下面に保持されたカッターホイールと、
    前記支持部材に上下動可能に支持されたガイドシャフトと、
    前記ガイドシャフトを上方向に付勢する付勢部材と、
    前記ガイドシャフトの下端に設けられ、前記付勢部材からの付勢により前記ホルダの外側面に圧接される圧接面を有する押圧部材と、
    前記ベース部材に設けられ、前記支持部材が前記所定範囲の下限に位置づけられた状態において前記ガイドシャフトの上端に所定の距離で対向する対向面と、を備える、
    ことを特徴とするスクライブヘッド。
  2. 請求項1に記載のスクライブヘッドにおいて、
    前記ベース部材は、ブロック形状を有し、
    前記支持部材および前記ガイドシャフトは、前記ベース部材の下方に配置され、
    前記対向面は、前記ベース部材の下面である、
    ことを特徴とするスクライブヘッド。
  3. 請求項1に記載のスクライブヘッドにおいて、
    前記ホルダの前記外側面は、平面視において略円形状であり、下方に向かうにつれて径が小さくなっており、
    前記押圧部材は、前記ホルダが上方から挿入される円形の開口を有し、
    前記開口の径を前記ホルダの外側面と同様に下方に向かうにつれて小さくすることにより、前記開口の内周面に前記圧接面が形成されている、
    ことを特徴とするスクライブヘッド。
  4. 請求項3に記載のスクライブヘッドにおいて、
    前記ホルダは、円錐体の外側面の一部を平坦に切り欠いた形状を含む、
    ことを特徴とするスクライブヘッド。
  5. 請求項1に記載のスクライブヘッドにおいて、
    空気圧により前記支持部材を駆動して前記カッターホイールに荷重を付与するヘッド駆動部を備える、
    ことを特徴とするスクライブヘッド。
  6. 請求項1ないし5の何れか一項に記載のスクライブヘッドと、
    前記昇降機構と、
    前記昇降機構とともに前記スクライブヘッドをスクライブ方向に移送する移送機構と、
    前記昇降機構および前記移送機構を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記カッターホイールのロックを解除する制御として、
    前記カッターホイールが被接触面に接触するまで前記ベース部材を下降させた後、さらに、前記ホルダの外側面と前記圧接面との接触が解除されるまで、前記ベース部材を下降させる制御を実行する、
    ことを特徴とするスクライブ装置。
  7. 請求項6に記載のスクライブ装置において、
    前記制御部は、前記カッターホイールのロックを解除する制御を実行した後、前記スクライブヘッドを前記スクライブ方向に移送させつつ前記ホルダの外側面と前記圧接面とが接触するまで前記ベース部材を上昇させる制御を実行する、
    ことを特徴とするスクライブ装置。
  8. 請求項7に記載のスクライブ装置において、
    前記制御部は、前記カッターホイールのロックを解除する制御を実行した後、前記スクライブヘッドを前記スクライブ方向に移送させ、その後、前記スクライブヘッドを前記スクライブ方向に移送させつつ前記ホルダの外側面と前記圧接面とが接触するまで前記ベース部材を上昇させる制御を実行する、
    ことを特徴とするスクライブ装置。
  9. 請求項6に記載のスクライブ装置において、
    前記カッターホイールが被接触面に接触したことを検出するセンサを備え、
    前記制御部は、前記センサからの出力に基づいて前記カッターホイールが被接触面に接触したことが検出された位置から所定量だけ前記ベース部材を下降させることにより、前記ホルダの外側面と前記圧接面との接触を解除する、
    ことを特徴とするスクライブ装置。
  10. 請求項9に記載のスクライブ装置において、
    前記センサは、前記カッターホイールに付与される荷重を検出するためのロードセルである、
    ことを特徴とするスクライブ装置。
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