JP2024027474A - 乗員保護装置 - Google Patents

Abstract

【課題】プリテンショナー機構の作動時、バッグ組付体を接合させたラップベルト部が乗員の腰部を好適に緊締できる乗員保護装置を提供すること。【解決手段】プリテンショナー機構付きのリトラクタから繰り出されるシートベルト１１のラップベルト部１３に、折り畳まれたエアバッグ２９が組み付けられる乗員保護装置１０。エアバッグは、乗員を受止可能に膨張するバッグ本体部３０と、ガス供給装置に先端部を連結させて、バッグ本体部に膨張用ガスを供給可能な導管部４５と、を備える。折り畳まれたバッグ本体部と導管部の元部４６側とが、バッグ組付体６０として、ラップベルト部のバッグ配置部位２２に接合される。バッグ組付体のバッグ配置部位に接合される接合部位５３の長さ寸法Ｌ１は、バッグ組付体の長さ寸法Ｌ０より、小さく設定されている。【選択図】図５

Description

本発明は、シートに着座した乗員を保護するための乗員保護装置に関する。

従来、乗員保護装置としては、エアバッグが、シートベルトのラップベルト部の部位に、折り畳まれて配設されて、作動時に、膨張用ガスを流入させて膨張し、前方移動する乗員の上半身を受け止めて保護するものが知られている（例えば、特許文献１参照）。シートベルトは、シートの背もたれ部における左右方向の一方の上端部側に配設されたプリテンショナー機構付きのリトラクタから繰り出され、先端を、シートの座部における左右方向のリトラクタを設けた側に固定される固定端として、座部の左右方向の固定端側と逆方向に配設されたバックルに対し、組み付けられたタングを締結させることにより、左右両端を座部の左右に連結させた状態として、シートに着座した乗員の腰部の前方側に、ラップベルト部、を配設させる構成としている。エアバッグは、乗員を受止可能に膨張するバッグ本体部と、シートベルトの固定端側に配設される膨張用ガスのガス供給装置に先端部を連結させて、バッグ本体部に膨張用ガスを供給可能に、元部側をバッグ本体部に連通させる導管部と、を備えて構成されていた。そして、折り畳まれたバッグ本体部と導管部の元部側とは、バッグ組付体として、ラップベルト部のバッグ配置部位に接合されていた。このバッグ組付体は、ラップベルト部を挿通させる筒状のベルト挿通部を、導管部の元部に縫合させており、ベルト挿通部を利用して、ラップベルト部のバッグ配置部位に接合されていた。

特開２０２０－６６４２５号公報

しかし、従来の乗員保護装置では、バッグ組付体が、バッグ本体部を折り畳んで、バッグ本体部の周壁を折り重ねて形成されていることから、形状保持性を有した状態の略直方体形状としていた。そのため、乗員にラップベルト部を装着した際、バッグ組付体の形状保持性により、ベルト挿通部の両端から突出するラップベルト部のバッグ配置部位の左右両縁付近が、乗員の腰部から離れて浮き上がる虞れがあった。このように、乗員の腰部の周囲に隙間を開けるように、ラップベルト部が浮き上がった場合には、車両の衝突等により、リトラクタのプリテンショナー機構が作動しても、ラップベルト部の部位が、乗員の腰部を強く緊締できず、緊締力に課題が生じてしまう。

本発明は、上述の課題を解決するものであり、ラップベルト部のバッグ配置部位にバッグ組付体が接合されていても、プリテンショナー機構の作動時、ラップベルト部が乗員の腰部を好適に緊締できる乗員保護装置を提供することを目的とする。

本発明に係る乗員保護装置では、シートの背もたれ部における左右方向の一方の上端部側に配設されたプリテンショナー機構付きのリトラクタから繰り出されるシートベルトが、先端を、シートの座部における左右方向の前記リトラクタを設けた側に固定される固定端として、前記座部の左右方向の前記固定端側と逆方向に配設されたバックルに対し、組み付けられたタングを締結させることにより、左右両端を前記座部の左右に連結させた状態として、シートに着座した乗員の腰部の前方側に、ラップベルト部、を配設させる構成とし、
前記ラップベルト部に折り畳まれて配設されて、作動時に、膨張用ガスを流入させて膨張し、前方移動する乗員の上半身を受け止めて保護可能なエアバッグ、を備えて構成されるとともに、
前記エアバッグが、
乗員を受止可能に膨張するバッグ本体部と、
前記シートベルトの固定端側に配設される膨張用ガスのガス供給装置に先端部を連結させて、前記バッグ本体部に膨張用ガスを供給可能に、元部側を前記バッグ本体部に連通させる導管部と、
を備えて構成され、
折り畳まれた前記バッグ本体部と前記導管部の前記元部側とが、バッグ組付体として、前記ラップベルト部のバッグ配置部位に接合される構成の乗員保護装置であって、
前記バッグ組付体における前記バッグ配置部位に接合される接合部位の前記ラップベルト部に沿った長さ寸法が、前記バッグ組付体における前記ラップベルト部に沿った長さ寸法より、小さく設定されていることを特徴とする。

本発明に係る乗員保護装置では、着座した乗員が、シートベルトを装着するように、タングをバックルに締結して、バッグ組付体を取り付けたラップベルト部を腰部の周りに装着した際、乗員の腰部の左右の縁側の前方側では、バッグ組付体の左右両縁側が乗員から浮いているものの、ラップベルト部自体は、乗員の腰部に接近するよう密着した状態に装着される。すなわち、ラップベルト部のバッグ配置部位では、バッグ組付体を接合させる接合部位の長さ寸法が、バッグ組付体の長さ寸法より、短いことから、その短い寸法の領域分、ラップベルト部が乗員の腰部に密着できる。そのため、プリテンショナー機構が作動されれば、乗員の腰部に隙間を設けずに密着していたラップベルト部が、的確に、乗員腰部を緊締できる。

したがって、本発明に係る乗員保護装置では、ラップベルト部のバッグ配置部位にバッグ組付体が接合されていても、プリテンショナー機構の作動時、ラップベルト部が乗員の腰部を好適に緊締することができる。

そして、実施形態の乗員保護装置では、前記接合部位の前記ラップベルト部に沿った長さ寸法が、５０～１２０ｍｍの範囲内に設定されていることが望ましい。

接合部位の長さ寸法が、５０ｍｍ未満では、ラップベルト部に取り付けるバッグ組付体の接合強度（取付強度）を確保し難く、１２０ｍｍを超えては、本発明の作用・効果を阻害してしまう。すなわち、接合部位の長さ寸法が１２０ｍｍを超えては、ラップベルト部を装着した乗員が、大柄乗員や小柄乗員として、ラップベルト部の装着時における接合部位の配置位置が、乗員の左右方向の中心から左右にずれて、腰部の周囲の曲率の大きな部位に配置される場合が生じ、接合部位の縁付近が、ラップベルト部を接合させた状態として、乗員の腰部の縁側から、隙間を開けるように、浮き上がり易くなり、緊締力の低下を招いて、好ましくないからである。そのため、接合部位の長さ寸法は、５０～１２０ｍｍの範囲内、望ましくは、７０～１００ｍｍの範囲内が良い。

また、実施形態の乗員保護装置では、前記バッグ組付体が、前記接合部位から左右に延びる前記ラップベルト部の部位を突出させて、前記バッグ本体部の膨張時に開口可能に、バッグカバーに覆われて配設されていることが望ましい。

このような構成では、バッグ組付体がバッグカバーに覆われることから、バッグ本体部を折り畳んだ折畳体への異物の侵入を防止できるとともに、バッグ本体部の折り崩れを防止できる。

この場合、前記バッグカバーは、前記接合部位とともに前記バッグ組付体を覆う本体カバー部と、該本体カバー部から突出する筒形状として、前記接合部位から左右に延びる前記ラップベルト部の部位をそれぞれ覆うベルトカバー部と、
を備えて構成されていることが望ましい。

このような構成では、バッグカバーが、本体カバー部により、バッグ組付体を覆い、左右のベルトカバー部が、本体カバー部から突出する状態として、バッグ組付体の接合部位から延びるラップベルト部の部位を覆う。そのため、バッグ組付体だけで無く、接合部位付近のラップベルト部自体もバッグカバーにより覆われて、バッグ本体部を折り畳んだ折畳体への異物の侵入を、好適に防止できる。

本発明の一実施形態である乗員保護装置を搭載したシートの斜視図である。 実施形態の乗員保護装置を搭載したシートの左側面図である。 実施形態の乗員保護装置を搭載したシートの正面図であり、シートベルトが乗員に装着された状態を示し、また併せて、エアバッグの膨張時を二点鎖線で示すとともに、さらに、エアバッグの配置部位の概略縦断面図を示す。 実施形態の乗員保護装置におけるシートベルト装着時におけるシートの左側面図である。 実施形態の乗員保護装置におけるシートベルト装着時における乗員の腰部の周囲を示す概略横断面図である。 実施形態の乗員保護装置のエアバッグの膨張状態を示す後方側から見た概略斜視図である。 実施形態のエアバッグの構成材料を示す図である。 実施形態の乗員保護装置の作動時におけるエアバッグの膨張完了時を示す正面図である。 実施形態の乗員保護装置の作動時におけるエアバッグの膨張完了時の左側面図である。 変形例における接合部位の長さ寸法を長くした場合のシートベルト装着時における小柄乗員の腰部の周囲を示す概略横断面図である。 実施形態のエアバッグカバーの変形例を示した概略斜視図である。 図１１に示すエアバッグカバーを使用した場合のシートベルト装着時における乗員の腰部の周囲を示す概略横断面図である。 実施形態の変形例のバッグ組付体を示す概略斜視図である。 図１３に示すバッグ組付体を使用した場合のシートベルト装着時における乗員の腰部の周囲を示す概略横断面図である。

以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の乗員保護装置１０は、図１～５に示すように、車両のシート１に搭載されるもので、シートベルト１１と、エアバッグ２９と、エアバッグ２９に膨張用ガスを供給するガス供給装置としてのインフレーター２４と、を備えて構成されている。シート１は、背もたれ部２と座部５とを備えている。さらに、実施形態の場合には、折り畳んだエアバッグ２９を覆うバッグカバー６５、を備えて構成されている。

シートベルト１１は、シート１に着座した乗員ＭＰを拘束できるように、シート１の左右方向の一方側（実施形態では左方側）において、上端１１ａ側を、背もたれ部２の上端３における左縁３ａ側の内部に配設されたリトラクタ１５から繰り出し可能とし、先端の下端１１ｂ側を、座部５の左側部６側に配設されたアンカ部材１６に固定される固定端として配設されている。

シートベルト１１の中間部位には、タング１８が配設され、タング１８は、シート１の左右方向の他方側（実施形態では右方側）における座部５の右側部７側に配設されたバックル１７に締結されることとなり、タング１８をバックル１７に締結させた状態のシートベルト１１は、タング１８からリトラクタ１５側に延びる部位を、乗員ＭＰの上半身ＭＵの前面側に配置されるショルダーベルト部１２とし、タング１８から固定端１１ｂ側に延びる部位を、乗員ＭＰの腰部ＭＷの前面側に配置されるラップベルト部１３としている。なお、バックル１７には、図示しないリリースボタンが配設されており、締結したタング１８を締結解除する際、リリースボタンを押圧操作すれば、タング１８をバックル１７から取り外すことができる。

リトラクタ１５は、シートベルト１１の急激な引き出しがあれば、引き出しを停止させ、さらに、車両の衝突等があれば、引き出したベルト１１を巻き取り可能なプリテンショナー機構１５ａを配設させて構成されている。なお、プリテンショナー機構１５ａの作動時には、ラップベルト部１３の部位で、約３０ｍｍ程度、巻き取られることとなる。

ガス供給装置としてのインフレーター２４は、膨張用ガスを吐出する略円柱状のインフレーター本体２５と、インフレーター本体２５から突出して略Ｌ字状に屈曲して配置されるパイプ部２６と、を備えて、リトラクタ１５の配設されている座部５の左側部６における後方側に取付固定されている（図１，２参照）。パイプ部２６には、エアバッグ２９の後述する導管部４５の先端部４８側が、外装され、さらに、クランプ２７で締め付けられて、連結されている。

なお、実施形態の場合、導管部４５の先端部４８は、後述するバッグカバー６５の延設筒部７２の先端７２ａに覆われて、先端７２ａとともに、クランプ２７により、パイプ部２６に締結されることとなる。

エアバッグ２９は、図６，８，９に示すように、膨張用ガスを流入させて大きく膨張するバッグ本体部３０と、バッグ本体部３０の下端３０ａ側に連通されて、ガス供給装置としてのインフレーター２４からの膨張用ガスをバッグ本体部３０に供給する導管部４５と、を備えて構成されている。これらのバッグ本体部３０と導管部４５とは、ポリエステル等の可撓性を有した織布から形成されている。

バッグ本体部３０は、膨張完了時に、周壁３１が、側方から見て略三角柱状に膨張する構成として、底面側の底壁部３２、後面側の後壁部３３、前面側の前壁部３４、及び、左右の側壁部３５（Ｌ，Ｒ）、を備えて構成されている。そして、膨張完了時のバッグ本体部３０は、底壁部３２の下面３２ａを、乗員ＭＰの大腿部ＭＦに支持させる支持面３７とし、後壁部３３の後面３３ａ側を、前方移動する乗員ＭＰの上半身ＭＵを受け止める乗員拘束面３８としている。

底壁部３２の後縁３２ｂ付近には、導管部４５からの膨張用ガスを流入させる複数（実施形態では左右に並設された２個）の流入口４０ａを開口させた流入口部４０が配設されている。また、左右の側壁部３５Ｌ，３５Ｒの前部側には、バッグ本体部３０内に流入する膨張用ガスの余剰分を排気するベントホール４３が開口されている。後壁部３３には、上下方向の寸法を狭めるようにタック部３３ｂが形成されており、バッグ本体部３０の膨張完了時、後壁部３３の上端３３ｃ側が、乗員ＭＰの頭部ＭＨに接近するように、構成されている（図９参照）。

バッグ本体部３０の周壁３１は、図６，７に示すように、前側部位３１ａと後側部位３１ｂとの二枚のシート材を縫合して形成されている。前側部位３１ａは、前壁部３４と、左右の側壁部３５（Ｌ，Ｒ）の前部側と、の領域を備えて構成され、後側部位３１ｂは、後壁部３３と、底壁部３２と、側壁部３５（Ｌ，Ｒ）の後部側と、の領域を備えて構成されている。

導管部４５は、元部４６を、エアバッグ２９のバッグ本体部３０における膨張用ガスを流入させるための流入口部４０に、連結させ、先端部４８を、インフレーター２４のパイプ部２６に、連結させている。元部４６は、幅広とし、先端部４８と元部４６との間を、先端部４８の幅寸法と同様とした筒状の中間部４９としている。この導管部４５は、外形形状を相互に等しくした外側材５０とバッグ側材５１との外周縁相互を縫合して形成されている（図６，７参照）。導管部４５の元部４６には、バッグ本体部３０の流入口部４０の流入口４０ａと連通する連通口４７が、配設され、連通口４７の周縁が、流入口４０ａの周縁に縫合されて、導管部４５が、バッグ本体部３０の下端３０ａとなる底壁部３２の後縁３２ｂ側に連結されている。導管部４５は、既述したように、先端部４８が、インフレーター２４のパイプ部２６に連結されて、インフレーター本体２５からの膨張用ガスをバッグ本体部３０に供給するように構成されている。また、導管部４５は、元部４６のバッグ本体部３０から離れた外側材５０の部位を、接合部位５３として、ラップベルト部１３のバッグ配置部位２２に、縫合糸５４を使用した縫合により、接合されている。

接合部位５３のラップベルト部１３に沿った長さ寸法Ｌ１は、後述するバッグ組付体６０のラップベルト部１３に沿った長さ寸法Ｌ０より、短く、実施形態の場合、長さ寸法Ｌ１は、約１００ｍｍとし、長さ寸法Ｌ０は、約２６０ｍｍとしている（図５参照）。

なお、導管部４５は、既述したように、外形寸法を同じとした下面側の外側材５０と、バッグ本体部３０側のバッグ側材５１と、の外周縁相互を縫合して形成されて、外側材５０とバッグ側材５１との外周縁相互の縫合前に、バッグ側材５１の連通口４７の周縁を、バッグ本体部３０の流入口４０ａの周縁に縫合させ、また、外側材５０の接合部位５３を、ラップベルト部１３のバッグ配置部位２２に縫合させておくこととなる。

そして、バッグ本体部３０は、折り畳まれた折畳体５６に形成され、導管部４５の元部４６とともに、バッグ組付体６０として、バッグ配置部位２２に接合されることとなる。なお、折畳体５６は、バッグ本体部３０の周壁３１における前壁部３４の全域を平らに展開させつつ、その前壁部３４の部位を、流入口部４０付近を平らに展開させた状態の後壁部３３と底壁部３２とを平らにした部位に重ね、その重ねた状態の左右両縁を、前壁部３４側の流入口部４０側に折り、さらに、その左右方向と直交する両端側を、前壁部３４側の流入口部４０の上に、接近させるように折り畳んで、形成されている。

さらに、実施形態の場合、バッグ組付体６０は、バッグカバー６５に覆われて、ラップベルト部１３に組み付けられている。バッグカバー６５は、合成皮革等の装飾性を有したシート材からなるカバー用素材７５から形成されて（図６参照）、実施形態の場合、接合部位５３とともにバッグ組付体６０を覆う本体カバー部６６と、本体カバー部６６から突出する筒形状として、接合部位５３から左右に延びるラップベルト部１３の部位（接合部位５３の近傍部位）１３ａ，１３ｂをそれぞれ覆うベルトカバー部７０（Ｌ，Ｒ）と、本体カバー部６６から延びて、導管部４５の中間部４９を覆う筒状の延設筒部７２と、を備えて構成されている。本体カバー部６６は、ラップベルト部１３の装着時における乗員ＭＰから離れる表側部６７と、乗員ＭＰ側の裏側部６８と、を備えて構成されて、裏側部６８には、ラップベルト部１３の近傍部位１３ａ，１３ｂを突出させる連通用開口６８ａ，６８ａが開口されている。また、表側部６７と裏側部６８とは、外周縁相互が縫合されているものの、ラップベルト部１３の装着時における上方側の縁は、膨張時のバッグ本体部３０を突出させるように開口可能な突出用縁６６ａとしている。

ベルトカバー部７０Ｌ，７０Ｒは、連通用開口６８ａ，６８ｂの周縁から突出するチューブ状（略四角筒形状）として、各々の先端に、ラップベルト部１３を挿通させる導出孔７０ａを開口させている。

カバー用素材７５は、本体カバー部６６の表側部６７から延設筒部７２の表側部位に連なる表側素材７６と、本体カバー部６６の裏側部６８から延設筒部７２の裏側部位に連なる裏側素材７７と、ベルトカバー部７０（Ｌ，Ｒ）を形成する４枚のベルトカバー用素材８１と、を備えて構成されている（図７参照）。裏側素材７７は、３枚の端側部７８、中間部７９、及び、延設側部８０から形成されている。端側部７８と中間部７９との間の部位は、連通用開口６８ｂの形成部位となって、その周縁がベルトカバー部７０Ｒと連結される部位となり、中間部７９と延設側部８０との間の部位は、連通用開口６８ａの形成部位となって、その周縁がベルトカバー部７０Ｌの連結される部位となる。

バッグカバー６５は、カバー用素材７５の裏側素材７７における端側部７８と中間部７９との間の部位と、中間部７９と延設側部８０との間の部位とに、それぞれ、ベルトカバー用素材８１を縫合しつつ、また、対応するベルトカバー用素材８１の外周縁相互を縫合して、ベルトカバー部７０（Ｌ，Ｒ）を形成する。この時、３枚の端側部７８、中間部７９、及び、延設側部８０が相互に連結されて裏側素材７７が形成される。そして、その裏側素材７７に表側素材７６を縫合すれば、バッグカバー６５を形成することができる。

但し、実施形態では、本体カバー部６６の先端側に、組付用開口６６ｂを残して、本体カバー部６６とベルトカバー部７０（Ｌ，Ｒ）とを形成して、バッグカバー６５を形成する。この組付用開口６６ｂは、バッグ組付体６０をラップベルト部１３のバッグ配置部位２２に接合させる際に、利用する。

実施形態の乗員保護装置１０の組み立てについて説明すると、バッグ本体部３０の底壁部３２における流入口部４０の流入口４０ａ周縁に、バッグ側材５１における導管部４５の元部４６の連通口４７周縁の部位を縫合した状態で、バッグ本体部３０を折り畳んで、折畳体５６を形成する。一方、リトラクタ１５から繰り出したシートベルト１１におけるシート１への固定前の固定端１１ｂ側を、バッグカバー６５のベルトカバー部７０Ｒにおける導出孔７０ａからバッグカバー６５内に挿入して、組付用開口６６ｂから取り出し、取り出した部位におけるラップベルト部１３のバッグ配置部位２２に、導管部４５の外側材５０の接合部位５３を、縫合糸５４を利用して、縫合する。ついで、外側材５０とバッグ側材５１の外周縁相互を縫合して、導管部４５を形成する。そして、シートベルト１１の固定端１１ｂ側を、バッグカバー６５の本体カバー部６６内に入れて、さらに、ベルトカバー部７０Ｒを経て、ベルトカバー部７０Ｌの導出孔７０ａから突出させる。また、導管部４５は、先端部４８側を、本体カバー部６６内に入れ、さらに、バッグカバー６５の延設筒部７２を通して、先端７２ａから突出させるとともに、折畳体５６と導管部４５の元部４６とからなるバッグ組付体６０を、バッグカバー６５の本体カバー部６６内に収納して、バッグカバー６５の組付用開口６６ｂを、縫合して塞ぐ。ついで、シートベルト１１の固定端１１ｂを、シート１の座部５の左側部６のアンカ部材１６に連結固定するとともに、導管部４５の先端部４８を、バッグカバー６５の延設筒部７２の先端７２ａとともに、シート１に組付済みのインフレーター２４のパイプ部２６に対し、クランプ２７を利用して、連結すれば、乗員保護装置１０を、シート１に搭載することができる。

そして、実施形態の乗員保護装置１０では、着座した乗員ＭＰが、シートベルト１１を装着する際には、図１，２に示す状態から、タング１８を把持しつつ、シートベルト１１を繰り出し、タング１８をバックル１７に締結して、図３，４に示すように、バッグ組付体６０を取り付けた（接合させた）ラップベルト部１３を腰部ＭＷの周りに装着することとなる。その際には、図５に示すように、乗員ＭＰの腰部ＭＷの左右の縁ＭＷＬ，ＭＷＲ側の前方側では、バッグ組付体６０の左右両縁６０ａ，６０ｂ側が、隙間ｈを空けて、乗員ＭＰから浮いているものの、ラップベルト部１３自体は、乗員ＭＰの腰部ＭＷに接近するよう密着した状態に装着される。すなわち、ラップベルト部１３のバッグ配置部位２２では、バッグ組付体６０を取り付ける接合部位５３の長さ寸法Ｌ１が、バッグ組付体６０の長さ寸法Ｌ０より、短いことから、その短い寸法の領域分、ラップベルト部１３が乗員ＭＰの腰部ＭＷに密着できる。そのため、プリテンショナー機構１５ａが作動されれば、乗員ＭＰの腰部ＭＷに隙間を設けずに密着していたラップベルト部１３が、巻き取られて、的確に、乗員ＭＰの腰部ＭＷを緊締できる。

なお、実施形態の場合、既述したように、バッグ組付体６０の長さ寸法Ｌ０は、約２６０ｍｍであり、接合部位５３の長さ寸法Ｌ１は、約１００ｍｍとしている。

したがって、実施形態の乗員保護装置１０では、ラップベルト部１３のバッグ配置部位２２にバッグ組付体６０が接合されていても、プリテンショナー機構１５ａの作動時、ラップベルト部１３が乗員ＭＰの腰部ＭＷを好適に緊締することができる。

その後、乗員保護装置１０が作動されれば、インフレーター２４が膨張用ガスを吐出して、膨張用ガスを導管部４５に流入させる。そして、導管部４５の先端部４８から流入するインフレーター２４からの膨張用ガスが、導管部４５の中間部４９を経て元部４６に流入し、連通口４７から流入口４０ａを経て、バッグ本体部３０に流入し、バッグ本体部３０が、バッグカバー６５を破断させて、ラップベルト部１３のバッグ配置部位２２から膨張して突出し、乗員ＭＰの上半身ＭＵの前方側で膨張を完了させることとなり（図８，９参照）、支持面３７を大腿部ＭＦに支持させたバッグ本体部３０が、乗員拘束面３８により、前方移動する乗員ＭＰの上半身ＭＵを受け止めて保護することができる。

そして、実施形態の乗員保護装置１０では、接合部位５３のラップベルト部１３に沿った長さ寸法Ｌ１が、５０～１２０ｍｍの範囲内の１００ｍｍに設定されている。

すなわち、接合部位５３の長さ寸法Ｌ１が、５０ｍｍ未満では、ラップベルト部１３に取り付けるバッグ組付体６０の接合強度を確保し難く、１２０ｍｍを超えては、ラップベルト部１３の乗員ＭＰの腰部ＭＷへの密着状態を好適に確保し難くなる。すなわち、接合部位５３の長さ寸法Ｌ１が１２０ｍｍを越えれば、ラップベルト部１３を装着した乗員ＭＰが、大柄乗員や小柄乗員として、例えば、小柄乗員ＭＰＳとしていれば、図１０に示すように、ラップベルト部１３の装着時における接合部位５３Ａの配置位置が、乗員ＭＰＳの左右方向の中心ＭＣから左右にずれて、腰部ＭＷの周囲の曲率の大きな部位に配置される場合が生じ、この場合、図例のように、接合部位５３Ａの長さ寸法Ｌ１が１２０ｍｍを越えていれば、接合部位５３Ａの縁５３ａ，５３ａ付近が、ラップベルト部１３を接合させた状態として、乗員ＭＰＳの腰部ＭＷの縁ＭＷＲ，ＭＷＬ側から、隙間ｈ１を開けるように、浮き上がり易くなり、緊締力の低下を招いて、好ましくないからである。そのため、接合部位５３の長さ寸法は、５０～１２０ｍｍの範囲内、望ましくは、７０～１００ｍｍの範囲内が良い。

また、実施形態の乗員保護装置１０では、バッグ組付体６０が、接合部位５３から左右に延びるラップベルト部１３の部位１３ａ，１３ｂを突出させて、バッグ本体部３０の膨張時に開口可能に、バッグカバー６５に覆われて配設されている。

そのため、実施形態では、バッグ組付体６０がバッグカバー６５に覆われることから、バッグ本体部３０を折り畳んだ折畳体５６への異物の侵入を防止できるとともに、バッグ本体部３０の折り崩れを防止できる。

さらに実施形態では、バッグカバー６５が、接合部位５３とともにバッグ組付体６０を覆う本体カバー部６６と、本体カバー部６６から突出する筒形状として、接合部位５３から左右に延びるラップベルト部１３の部位１３ａ，１３ｂをそれぞれ覆うベルトカバー部７０（Ｌ，Ｒ）と、を備えて構成されている。

そのため、実施形態では、バッグカバー６５が、本体カバー部６６により、バッグ組付体６０を覆い、左右のベルトカバー部７０（Ｌ，Ｒ）が、本体カバー部６６から突出する状態として、バッグ組付体６０の接合部位５３から延びるラップベルト部１３の部位１３ａ，１３ｂを覆う。そのため、バッグ組付体６０だけで無く、接合部位５３付近のラップベルト部１３自体もバッグカバー６５により覆われて、バッグ本体部３０の折畳体５６への異物の侵入を、好適に防止できる。

なお，上記の点を考慮しなければ、図１１，１２に示すバッグカバー６５Ａのように、ベルトカバー部７０（Ｌ，Ｒ）を設けずに、接合部位５３を含めたバッグ組付体６０を覆う本体カバー部６６Ａを備えて、本体カバー部６６Ａに、ラップベルト部１３の接合部位５３の近傍部位１３ａ，１３ｂを突出させる開口６８ａ，６８ｂを設けるだけの構成としてもよい。

また、実施形態では、バッグ組付体６０が、縫合により、ラップベルト部１３のバッグ配置部位２２に接合させたものを示したが、バッグ組付体６０が、バッグ配置部位２２に対し、ずれを抑制されて接合される状態であれば、図１３，１４に示すように、ラップベルト部１３のバッグ配置部位２２を包むような接合部材８５を利用して、バッグ組付体６０をバッグ配置部位２２に接合させてもよい。接合部材８５は、左右方向にラップベルト部１３を挿通させて、上下両縁８５ａが導管部４５の元部４６における外側材５０の部位に縫合される帯状材としており、長さ寸法Ｌ１を、バッグ組付体６０の長さ寸法Ｌ０（約２６０ｍｍ）より短い、約１００ｍｍとしている。

１…シート、２…背もたれ部、３…上端、１０…乗員保護装置、１１…シートベルト、１１ｂ…（固定端）先端、１３…ラップベルト部、１５…リトラクタ、１５ａ…プリテンショナー機構、１７…バックル、１８…タング、２２…バッグ配置部位、２４…（ガス供給装置）インフレーター、２９…エアバッグ、３０…バッグ本体部、４５…導管部、４６…元部、４８…先端部、４９…中間部、５３…接合部位、６０…バッグ組付体、６５，６５Ａ…バッグカバー、６６，６６Ａ…本体カバー部、７０（Ｌ，Ｒ）…ベルトカバー部、
Ｌ０…（バッグ組付体の）長さ寸法、Ｌ１…（接合部位の）長さ寸法、ＭＰ…乗員、ＭＷ…腰部、ＭＵ…上半身。

Claims (4)

1. シートの背もたれ部における左右方向の一方の上端部側に配設されたプリテンショナー機構付きのリトラクタから繰り出されるシートベルトが、先端を、シートの座部における左右方向の前記リトラクタを設けた側に固定される固定端として、前記座部の左右方向の前記固定端側と逆方向に配設されたバックルに対し、組み付けられたタングを締結させることにより、左右両端を前記座部の左右に連結させた状態として、シートに着座した乗員の腰部の前方側に、ラップベルト部、を配設させる構成とし、
   前記ラップベルト部に折り畳まれて配設されて、作動時に、膨張用ガスを流入させて膨張し、前方移動する乗員の上半身を受け止めて保護可能なエアバッグ、を備えて構成されるとともに、
   前記エアバッグが、
   乗員を受止可能に膨張するバッグ本体部と、
   前記シートベルトの固定端側に配設される膨張用ガスのガス供給装置に先端部を連結させて、前記バッグ本体部に膨張用ガスを供給可能に、元部側を前記バッグ本体部に連通させる導管部と、
   を備えて構成され、
   折り畳まれた前記バッグ本体部と前記導管部の前記元部側とが、バッグ組付体として、前記ラップベルト部のバッグ配置部位に接合される構成の乗員保護装置であって、
   前記バッグ組付体における前記バッグ配置部位に接合される接合部位の前記ラップベルト部に沿った長さ寸法が、前記バッグ組付体における前記ラップベルト部に沿った長さ寸法より、小さく設定されていることを特徴とする乗員保護装置。
2. 前記接合部位の前記ラップベルト部に沿った長さ寸法が、５０～１２０ｍｍの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項１に記載の乗員保護装置。
3. 前記バッグ組付体が、前記接合部位から左右に延びる前記ラップベルト部の部位を突出させて、前記バッグ本体部の膨張時に開口可能に、バッグカバーに覆われて配設されていることを特徴とする請求項１若しくは請求項２に記載の乗員保護装置。
4. 前記バッグカバーが、
   前記接合部位とともに前記バッグ組付体を覆う本体カバー部と、
   該本体カバー部から突出する筒形状として、前記接合部位から左右に延びる前記ラップベルト部の部位をそれぞれ覆うベルトカバー部と、
   を備えて構成されていることを特徴とする請求項３に記載の乗員保護装置。

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