JP2024024156A - 導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法 - Google Patents

導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法 Download PDF

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大樹 橋本
Daiki Hashimoto
歌穂 小笠原
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Abstract

【課題】簡便な方法で、積層時の空隙の発生を抑制した、厚膜で高精細な導電パターンを有する導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法を提供すること。【解決手段】基材上に、導電粒子(a)およびバインダー樹脂(b)を含有する厚みTA1[μm]の導電パターン(A)を有する導電パターン付き基材を準備し、導電パターン(A)を基材上からセラミックグリーンシート上に転写する工程(転写工程)を有する導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法であって、前記転写工程において、転写後に導電パターン(A)のうちセラミックグリーンシート面から露出した部分の厚みTA2[μm]を、TA2<TA1とし、かつ、TA2≦7.0とする、導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法、それを用いた積層体の製造方法および焼成体の製造方法に関する。
近年、電子部品の小型化・高性能化の要求に伴い、内部配線の高精細化、高アスペクト化が求められている。電子部品の一種であるインダクタは、セラミックからなる絶縁体の内部にコイル状の内部電極を有し、一般的に、セラミックからなる平面状の絶縁層上に巻き線状に内部電極を形成したものが、複数層積層されてなる。インダクタの高性能化のためには、内部電極断面の抵抗値を低くすることが重要であり、導電パターンの高精細化の観点から、内部電極のアスペクト比を大きくすることが検討されている。かかる技術として、例えば、基材に感光性絶縁性組成物を塗布する工程、前記感光性絶縁性組成物の塗膜を所望のパターンに露光する工程、前記露光された感光性絶縁性組成物の塗膜を現像して溝を有する絶縁層を形成する工程、前記絶縁層上および前記溝内に感光性導電性組成物を塗布する工程、前記感光性導電性組成物の塗膜を前記溝に対応させて露光する工程、ならびに、前記露光された感光性導電性組成物の塗膜を現像して前記溝に対応する位置に回路パターンを形成する工程を含み、前記溝が側面に逆テーパー形状を有することを特徴とする、回路パターン付き基板の製造方法(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
特開2022-55762号公報
内部電極の厚みを厚くしてアスペクト比を大きくすると、導電パターン付きセラミックグリーンシートを複数層積層する工程において、セラミックグリーンシートと内部電極との段差が大きいことから、内部電極端部に空隙が生じやすい傾向にある。特許文献1に記載されるように溝を形成することにより、かかる段差は低減される。しかしながら、特許文献1に記載される方法においては、溝に感光性導電性組成物を塗布する工程において、溝の端部まで十分に感光性導電性組成物を充填することが困難であり、特に高精細化した場合に、回路パターン端部になお空隙が生じやすい課題があった。また、絶縁層に溝を形成するため、工程数が多く、生産性の向上が求められていた。
そこで本発明は、簡便な方法で、積層時の空隙の発生を抑制した、厚膜で高精細な導電パターンを有する導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、主として以下の構成を有する。
(1)基材上に、導電粒子(a)およびバインダー樹脂(b)を含有する厚みTA1[μm]の導電パターン(A)を有する導電パターン付き基材を準備し、
導電パターン(A)を基材上からセラミックグリーンシート上に転写する工程(転写工程)を有する導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法であって、
前記転写工程において、転写後に導電パターン(A)のうちセラミックグリーンシート面から露出した部分の厚みTA2[μm]を、TA2<TA1とし、かつ、
A2≦7.0とする、導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
(2)セラミックグリーンシート上に、導電粒子(a)およびバインダー樹脂(b)を含有する厚みTA1[μm]の導電パターン(A)を形成し、加圧により導電パターン(A)の一部をセラミックグリーンシートに埋め込む工程(埋め込み工程)を有する導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法であって、
前記埋め込み工程において、転写後の導電パターン(A)のうちセラミックグリーンシート面から露出した部分の厚みTA2[μm]を、TA2<TA1とし、かつ、TA2≦7.0μmとする、導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
(3)前記厚みTA1が、10<TA1≦25を満たす、(1)または(2)記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
(4)前記セラミックグリーンシートの厚みT[μm]が、TA1+4≦TBを満たす、(1)~(3)のいずれか記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
(5)前記導電パターン(A)が、さらに感光剤(c)を含有する、(1)~(4)のいずれか記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
(6)前記導電パターン付きセラミックグリーンシートにおける導電パターン(A)の頂部幅W[μm]の、底部幅W[μm]に対する比(W/W)が、0.3≦(W/W)<1を満たす、(1)~(5)のいずれか記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
(7)前記導電パターン付きセラミックグリーンシートにおける導電パターン(A)の表面粗さRa[μm]が、Ra<1.0を満たす、(1)~(6)のいずれか記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
(8)前記導電パターン(A)の軟化点t[℃]と、セラミックグリーンシートの軟化点t[℃]が、t<tを満たす、(1)~(7)のいずれか記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。(9)前記導電パターン(A)が、さらにウレタン結合を有する化合物を含有する、(1)~(8)のいずれか記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
(10)導電パターン付きセラミックグリーンシートを複数積層してなる積層体の製造方法であって、
(1)~(9)のいずれか記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法により、第1の導電パターンを形成し、導電パターン付きセラミックグリーンシートを得る工程、
第1の導電パターン付きセラミックグリーンシートの導電パターン側にセラミックグリーンシートを形成する工程、および、
第1の導電パターン付きセラミックグリーンシート形成したセラミックグリーンシート上に、(1)~(9)のいずれか記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法により、第2の導電パターンを形成する工程
を有する、積層体の製造方法。
(11)導電パターン付きセラミックグリーンシートを複数積層してなる積層体の製造方法であって、
(1)~(9)のいずれか記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法により、複数の導電パターン付きセラミックグリーンシートを得る工程、および、
複数の導電パターン付きセラミックグリーンシートを積層して熱圧着する工程
を有する、積層体の製造方法。
(12)(1)~(9)のいずれかに記載の製造方法により導電パターン付きセラミックグリーンシートを得る工程、および、得られた導電パターン付きセラミックグリーンシートを焼成する工程を有する、焼成体の製造方法。
本発明によれば、簡便な方法で、積層時の空隙の発生を抑制した、厚膜で高精細な導電パターンを有する導電パターン付きセラミックグリーンシートを得ることができる。
本発明における導電パターン付きセラミックグリーンシートは、基材上に、セラミックグリーンシートおよび導電パターンを有する。例えば、インダクタに用いる場合には、これを複数層積層し、焼成することにより、セラミックグリーンシートは絶縁層を、導電パターンは内部電極を構成する。
本発明の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法は、後述する転写工程または埋め込み工程において、転写または埋め込み前の導電パターン(A)の厚みTA1[μm]に対して、転写工程もしくは埋め込み工程後の導電パターン(A)のうちセラミックグリーンシートから露出した部分の厚みTA2[μm]を、TA2<TA1とし、かつ、TA2≦7.0とすることを特徴とする。本発明においては、転写工程または埋め込み工程によりTA2<TA1とするため、特許文献1に記載するような溝を形成する工程を要しないことから、生産性に優れる。また、所望の形状の導電パターンを転写または埋め込むため、溝の端部まで十分に感光性導電性組成物を充填することが困難であることに起因する空隙の発生を抑制することができる。さらに、TA2≦7.0とすることにより、導電パターン付きセラミックグリーンシートを複数層積層する工程において、セラミックグリーンシートと導電パターンとの段差を低減し、空隙の発生を抑制することができる。
本発明の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法の第一の態様は、基材上に、導電粒子(a)およびバインダー樹脂(b)を含有する厚みTA1[μm]の導電パターン(A)を有する導電パターン付き基材を準備し、導電パターン(A)を基材上からセラミックグリーンシート上に転写する工程(転写工程)を有する。導電ペーストをセラミックグリーンシートへ直接塗布する従来の技術に対して、予め基材上に形成した導電パターンをセラミックグリーンシート上に転写するため、生産性に優れ、空隙の発生を抑制することができる。また、セラミックグリーンシート上における高温乾燥を要しないため、熱によるセラミックグリーンシートの収縮を抑制し、高精細な導電パターンを形成することができる。
転写工程において、導電パターン(A)のうちセラミックグリーンシートから露出した部分の厚みTA2[μm]を、TA2<TA1とし、かつ、TA2≦7.0とする。転写工程において、かかる条件を満たすように導電パターン(A)の一部をセラミックグリーンシート中に埋め込むことにより、厚膜で高精細な導電パターンを有する導電パターン付きセラミックグリーンシートを複数層積層する場合であっても、セラミックグリーンシートと導電パターンとの段差を低減し、空隙の発生を抑制することができる。TA2が7.0より大きくなると、空隙が発生しやすくなる。
ここで、本発明におけるTA1およびTA2は、導電パターン付きセラミックグリーンシートを導電パターンの線幅方向に断裁した断面について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S2400)を用いて倍率3,000倍で拡大観察し、観察視野から無作為に選択した5箇所について導電パターンの最小厚みを測定し、その平均値を算出することにより求めることができる。
以下に、転写工程についてさらに説明する。
導電パターン(A)は、例えば、基材上に、後述する導電ペーストを、パターン印刷法や、レーザーエッチング法、フォトリソグラフィ法などにより、所望のパターンに配置することにより形成することができる。レーザーエッチング法は、導電パターンをラフパターン印刷した後に、レーザーにより不要部を除去する方法であり、フォトリソグラフィ法は、導電ペーストを塗布し、露光・現像により不要部を除去する方法である。これらの中でも、より高精細な導電パターンを形成する観点から、フォトリソグラフィ法が好ましい。
導電ペーストの塗布方法としては、例えば、スプレー塗布法、ロール塗布法、スクリーン印刷法、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーターを用いた塗布方法などが挙げられる。これらの中でも、厚膜塗布に適すること、連続生産性などの観点から、スクリーン印刷法が好ましい。
導電ペーストを塗布した後、乾燥により残存溶剤を除去することが好ましい。乾燥方法としては、例えば、オーブン、ホットプレート、赤外線等の加熱装置を用いた加熱乾燥や、真空乾燥などが挙げられる。加熱温度は、40~120℃が好ましく、加熱時間は、1~60分間が好ましい。
露光に用いられる化学線としては、紫外線、可視光線、電子線、X線などが挙げられる。本発明においては、水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)、g線(波長436nm)が好ましい。
現像に用いられる現像液としては、アルカリ現像液が好ましく、例えば、特開2019-215446号公報において、アルカリ現像を行う場合の現像液として例示されたものが挙げられる。
現像方法としては、例えば、露光後の硬化膜を形成した基材を静置または回転させながら現像液をスプレーする方法、露光後の硬化膜を形成した基材を現像液中に浸漬する方法、露光後の硬化膜を形成した基材を現像液中に浸漬しながら超音波をかける方法などが挙げられる。
現像により得られたパターンに、リンス液によるリンス処理を施してもよい。リンス液としては、例えば、特開2019-215446号公報において、リンス液として例示されたものが挙げられる。
さらに、必要に応じて、導電ペーストの残存溶剤や現像液を乾燥させる工程(乾燥工程)を有してもよい。残存溶剤や現像液を乾燥除去することにより、後述する焼成体を製造する際に、収縮率を低減することができる。乾燥方法としては、前述の導電ペーストの乾燥方法として例示した方法が挙げられる。
基材上に形成される導電パターン(A)の厚みTA1は、10μmを超えることが好ましく、配線抵抗を低減することができる。一方、導電パターン(A)の厚みTA1は、25μm以下が好ましく、転写工程において、セラミックグリーンシートの変形を抑制し、導電パターン付きセラミックグリーンシートを複数層積層する工程において、セラミックグリーンシートと導電パターンとの段差を低減し、空隙の発生をより抑制することができる。
次に、形成した導電パターン(A)を、基材上からセラミックグリーンシート上に転写する。例えば、導電パターン(A)がセラミックグリーンシート上に接するように導電パターン(A)付き基材をセラミックグリーンシート上に積層した後、加圧し、基材を剥離することが好ましい。加圧により転写することにより、容易にTA2<TA1とすることができる。加圧装置としては、例えば、プレスやロールラミネータ等が挙げられる。圧力は、0.1MPa~2.0MPaが好ましく、加圧時間は、10~300秒間が好ましい。加圧温度は、20℃~200℃が好ましい。加圧雰囲気としては、例えば、空気中、窒素中、真空中などが挙げられる。加圧条件を選択することにより、TA2を所望の範囲に容易に調整することができる。
本発明の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法の第二の態様は、セラミックグリーンシート上に、導電粒子(a)およびバインダー樹脂(b)を含有する厚みTA1[μm]の導電パターン(A)を形成し、加圧により導電パターン(A)の一部をセラミックグリーンシートに埋め込む工程(埋め込み工程)を有する。溝を形成する従来の技術に対して、生産性に優れる。また、所望の形状の導電パターンを埋め込むため、溝の端部まで十分に感光性導電性組成物を充填することが困難であることに起因する空隙の発生を抑制することができる。さらに、第一の態様に比べて、基材を必要としないため、生産性により優れる。
埋め込み工程において、導電パターン(A)のうちセラミックグリーンシートから露出した部分の厚みTA2[μm]を、TA2<TA1とし、かつ、TA2≦7.0とする。埋め込み工程において、かかる条件を満たすように導電パターン(A)の一部をセラミックグリーンシート中に埋め込むことにより、厚膜で高精細な導電パターンを有する導電パターン付きセラミックグリーンシートを複数層積層する場合であっても、セラミックグリーンシートと導電パターンとの段差を低減し、空隙の発生を抑制することができる。TA2が7.0以上になると、空隙が発生しやすくなる。
ここで、本発明におけるTA1およびTA2は、前述の第一の態様と同様に求めることができる。
以下に、埋め込み工程についてさらに説明する。導電パターン(A)の形成方法は、基材にかえてセラミックグリーンシート上に形成する点を除き、第一の態様と同様である。
次に、形成した導電パターン(A)を、加圧によりセラミックグリーンシートに埋め込む。加圧により埋め込むことにより、容易にTA2<TA1とすることができる。加圧条件は、第一の態様における転写工程における加圧条件と同様である。加圧条件を選択することにより、TA2を所望の範囲に容易に調整することができる。
次に、第一の態様および/または第二の態様に用いられる基材、セラミックグリーンシートおよび導電ペーストについて説明する。
基材としては、例えば、金属基板、ガラス基板、プラスチックフィルムなどが挙げられる。これらの中でも、導電パターンの剥離性や、露光光の光透過性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリイミド、アラミド、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂などの樹脂を含むプラスチックフィルムが好ましく、PET、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネートを含むフィルムがより好ましい。導電パターンの剥離性を向上させる観点から、プラスチックフィルムの片面または両面に、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等による離型処理が施されていることが好ましい。
基材の厚みは、取扱い性の観点から、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。一方、基材の厚みは、転写工程におけるセラミックグリーンシートへの追従性の観点から、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、75μm以下がさらに好ましい。
セラミックグリーンシートとしては、例えば、ガラス、セラミック、ガラスセラミック等の無機粉末およびバインダー樹脂を含有する絶縁組成物のシートなどが挙げられる。セラミックグリーンシートは、感光性有機成分を含有することも好ましく、感光性を付与することができる。この場合、絶縁組成物は、感光性有機成分を含有することが好ましい。また、基材として例示したプラスチックフィルムや光学用樹脂板等の基板上に、絶縁組成物のシートを有してもよい。
セラミックグリーンシートの厚みは、転写工程または埋め込み工程におけるセラミックグリーンシートの破れを抑制する観点から、TA1+4≦Tを満たすように選択することが好ましい。一方、電子部品の小型化の観点から、T≦100を満たすことが好ましい。
ここで、本発明におけるTは、導電パターン付きセラミックグリーンシートを導電パターンの線幅方向に断裁した断面について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S2400)を用いて倍率3,000倍で拡大観察し、観察視野から無作為に選択した5箇所についてセラミックグリーンシートの最小厚みを測定し、その平均値を算出することにより求めることができる。
セラミックグリーンシートは、例えば、プラスチックフィルムや光学用樹脂板などの基板上に、前述の無機粉末をバインダー樹脂に分散してペースト状にした絶縁組成物を塗布することにより得ることができる。塗布方法としては、例えば、前述の感光性ペーストの塗布方法として例示した方法などが挙げられる。セラミックグリーンシートが感光性を有する場合は、フォトリソグラフィ法によりパターン形成してもよい。
絶縁組成物が感光性有機成分を含有する場合、感光性有機成分としては、例えば、後述の導電ペーストの原料として例示するバインダー樹脂(b)、感光剤(c)や、不飽和結合を有する光重合性化合物などが挙げられる。
本発明に用いられる導電ペーストは、導電粒子(a)、バインダー樹脂(b)および溶剤を含有することが好ましく、さらに感光剤(c)および/またはウレタン結合を有する化合物(d)を含有することがより好ましい。
本発明における導電粒子(a)とは、20℃における比抵抗が1.0×10-4Ω・m以下の粒子を言い、焼成により導電パターンに導電性を付与する作用を有する。導電粒子(a)としては、例えば、銀、金、銅、白金、パラジウム、スズ、ニッケル、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ルテニウム、クロム、チタン、インジウムなどの金属や、これらの合金、カーボン、窒化チタンなどの粒子が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、配線抵抗を低減させる観点から、銀、銅、金の粒子が好ましく、安定性およびコストの観点から、銀粒子がより好ましい。
導電粒子(a)のメジアン径(D50)は、配線抵抗を低減させる観点から、1μm以上が好ましい。一方、導電粒子(a)のD50は、露光光の光透過性を向上させ、より高精細なパターンを形成する観点から、5μm以下が好ましい。なお、導電粒子(a)のD50は、粒度分布測定装置(Microtrac HRA Model No.9320-X100;日機装(株)製)を用いて、レーザー光散乱法により測定することができる。
導電ペースト中における導電粒子(a)の含有量は、配線抵抗を低減させる観点から、60質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。一方、導電粒子(a)の含有量は、セラミックグリーンシートへの密着性の観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。
バインダー樹脂(b)としては、アルカリ可溶性樹脂が好ましい。アルカリ可溶性樹脂とは、カルボキシル基および/または水酸基を側鎖に有する樹脂を言い、現像により溶解してパターン形成する作用を有する。アクリル樹脂が好ましく、炭素-炭素二重結合を有するアクリル系モノマーとその他のモノマーとの共重合体がより好ましい。炭素-炭素二重結合を有するアクリル系モノマーおよびその他のモノマーとしては、例えば、特開2019-215446号公報において、アルカリ可溶性樹脂(b-1)の例であるアクリル樹脂の原料として例示されたものが挙げられる。
バインダー樹脂(b)は、側鎖および/または分子末端に炭素-炭素二重結合を有することが好ましく、露光時の硬化反応速度を向上させることができる。炭素-炭素二重結合を有する構造としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。これらを2種以上有してもよい。バインダー樹脂(b)に炭素-炭素二重結合を導入する方法としては、例えば、アクリル樹脂の場合、アクリル樹脂中のメルカプト基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基に対して、グリシジル基またはイソシアネート基と炭素-炭素二重結合とを有する化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、アリルクロライドなどを反応させる方法などが挙げられる。
グリシジル基と炭素-炭素二重結合とを有する化合物としては、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、グリシジルクロトネート、グリシジルイソクロトネート、“サイクロマー(登録商標)”M100、A200(以上、(株)ダイセル製)などが挙げられる。イソシアネート基と炭素-炭素二重結合とを有する化合物としては、例えば、アクリロイルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アクリロイルエチルイソシアネート、メタクリロイルエチルイソシアネートなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
導電ペースト中におけるバインダー樹脂(b)の含有量は、粘度特性などの観点から、1~10質量%が好ましい。
感光剤(c)としては、光重合開始剤、溶解抑制剤などが挙げられる。より厚膜の導電パターンを形成する観点からは、光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤は、紫外線等の短波長の光を吸収して分解する、または、水素引き抜き反応によりラジカルを生じることにより、光硬化性を付与し、ネガ型のフォトリソグラフィ法によるパターン形成を可能とする。光重合開始剤としては、例えば、特開2019-215446号公報において、光反応開始剤(d)として例示されたものが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。光硬化性の観点から、オキシム系光重合開始剤が好ましい。
溶解抑制剤は、露光された箇所の現像液に対する溶解性を増大させ、ポジ型のフォトリソグラフィ法によるパターン形成を可能とする。溶解抑制剤としては、後述する露光工程において用いられる露光エネルギーにより酸が発生するものが好ましい。例えば、ジアゾジスルホン化合物、トリフェニルスルフォニウム化合物、キノンジアジド化合物などが挙げられる。ジアゾジスルホン化合物としては、例えば、ビス(シクロヘキシルスルフォニル)ジアゾメタン、ビス(ターシャルブチルスルフォニル)ジアゾメタン、ビス(4-メチルフェニルスルフォニル)ジアゾメタンなどが挙げられる。トリフェニルスルフォニウム化合物としては、例えば、ジフェニル-4-メチルフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルフォネート、ジフェニル-2,4,6-トリメチルフェニルスルフォニウムp-トルエンスルフォネート、ジフェニル(4-メトキシフェニル)スルフォニウムトリフルオロメタンスルフォネートなどが挙げられる。キノンジアジド化合物としては、例えば、ポリヒドロキシ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合したもの、ポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合および/またはスルホンアミド結合したものなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
導電ペースト中における感光剤(c)の含有量は、0.1~2質量%が好ましい。
ウレタン結合を有する化合物(d)は、セラミックグリーンシートと導電パターンとの密着性を向上させ、空隙の発生をより抑制することができる。ウレタン結合を有する化合物(d)としては、ウレタンアクリレートが好ましく、例えば、ダイセル・オルネクス(株)製“EBECRYL”(登録商標)210、“EBECRYL”220、“EBECRYL”230、“EBECRYL”270、“EBECRYL”280、“EBECRYL”284や、サートマー社製CN972、CN975、CN978、新中村化学工業(株)製UA-122P、UA-160TMなどのウレタン結合含有モノマーなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
導電ペースト中におけるウレタン結合を有する化合物(d)の含有量は、0.5~3質量%が好ましい。
溶剤は、感光性ペーストの粘度を調整する作用を有する。溶剤の大気圧下における沸点は、感光性ペーストを連続塗布する場合の塗布性を向上させる観点や、基材からの剥離性を向上させ、転写性を向上させる観点から、150℃以上が好ましい。一方、溶剤の大気圧下における沸点は、乾燥除去性の観点から、300℃以下が好ましい。沸点が前記範囲にある溶剤としては、例えば、エチレングリコールヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプリピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル-nプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールフェニルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
導電ペースト中における溶剤の含有量は、ペースト粘度の観点から、5~40質量%が好ましい。
導電ペーストは、その所望の特性を損なわない範囲で、非導電粒子、不飽和二重結合を有する化合物、可塑剤、レベリング剤、分散剤、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤、顔料等の添加剤を含有することもできる。
導電ペーストは、例えば、前述の(a)~(b)成分および必要に応じて(c)~(d)成分やその他添加剤を、溶剤に溶解および/または分散させることにより得ることができる。溶解および/または分散させる装置としては、例えば、三本ローラー、ボールミル等の分散機や混練機などが挙げられる。溶解および/または分散は、室温で行ってもよいし、加熱してもよい。
次に、本発明の製造方法により得られる導電パターン付きセラミックグリーンシートについて説明する。
本発明における導電パターン付きセラミックグリーンシートは、導電パターン(A)の頂部幅W[μm]の、底部幅W[μm]に対する比(W/W)が、0.3≦(W/W)<1を満たすことが好ましい。ここで、頂部幅Wおよび底部幅Wは、転写工程または埋め込み工程を経た導電パターン付きセラミックグリーンシートにおける導電パターン(A)についての値である。かかる比の値を0.3以上とすることにより、導電パターン(A)の断面積を大きくし、配線抵抗を低減することができる。比(W/W)は、0.6以上がより好ましい。一方、かかる比の値を1未満とする、すなわち、導電パターン(A)の断面形状を、頂部幅Wが底部幅Wより狭い順テーパー形状とすることにより、導電パターンとセラミックグリーンシートとの間の空隙の発生をより抑制し、厚膜で高精細な導電パターンを有する導電パターン付きセラミックグリーンシートを複数層積層する場合であっても、空隙の発生をより抑制することができる。
導電パターン(A)の断面形状を順テーパー形状とする方法としては、例えば、ネガ型の感光性ペーストを用いたフォトリソグラフィ法により導電パターン(A)を形成する場合、底部より頂部のほうが硬化しやすく、逆テーパー形状になりやすい傾向にあるため、前記第一の態様の転写工程により順テーパー形状とすることが好ましく、ポジ型の感光性ペーストを用いたフォトリソグラフィ方により導電パターン(A)を形成する場合、底部より頂部のほうが溶解しやすく、順テーパー形状になりやすい傾向にあるため、前記第二の態様の埋め込み工程により順テーパー形状を保つことが好ましい。
ここで、本発明におけるWおよびWは、導電パターン付きセラミックグリーンシートを導電パターンの線幅方向に断裁した断面について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S2400)を用いて倍率3,000倍で拡大観察し、観察視野から無作為に選択した5箇所の導電パターンについて頂部と底部の幅をそれぞれ測定し、その平均値を算出することにより求めることができる。
本発明における導電パターン付きセラミックグリーンシートは、導電パターン(A)の表面粗さRa[μm]が、Ra<1.0を満たすことが好ましい。Raを1.0μm未満とすることにより、導電パターン付きセラミックグリーンシートを複数層積層する際に、セラミックグリーンシートと導電パターンとの密着性を向上させ、空隙の発生をより抑制することができる。
本発明における導電パターン付きセラミックグリーンシートは、導電パターン(A)の軟化点t[℃]と、セラミックグリーンシートの軟化点t[℃]が、t<tを満たすことが好ましい。セラミックグリーンシートの軟化点tを導電パターン(A)の軟化点tより低くすることにより、転写工程または埋め込み工程においてセラミックグリーンシートが柔らかくなりやすく、導電パターン(A)の形状を保持したままセラミックグリーンシートに容易に埋め込むことができる。軟化点は、熱機械分析装置を用いて測定することができる。
本発明の積層体の製造方法の第一の態様は、
前述の方法により第1の導電パターンを形成し、導電パターン付きセラミックグリーンシートを得る工程、
第1の導電パターン付きセラミックグリーンシートの導電パターン側にセラミックグリーンシートを形成する工程、および、
第1の導電パターン付きセラミックグリーンシート形成したセラミックグリーンシート上に、前述の方法により第2の導電パターンを形成する工程
を有することが好ましい。
本発明の積層体の製造方法の第二の態様は、
前述の方法により複数の導電パターン付きセラミックグリーンシートを得る工程、および、
複数の導電パターン付きセラミックグリーンシートを積層して熱圧着する工程
を有することが好ましい。
積層方法としては、例えば、ガイド孔を用いてセラミックグリーンシートを積み重ねる方法などが挙げられる。熱圧着装置としては、例えば、油圧式プレス機などが挙げられる。熱圧着温度は90~130℃が好ましく、熱圧着圧力は5~20MPaが好ましい。
本発明における導電パターン付きセラミックスグリーンシートや積層体は、焼成して焼成体として用いることができる。焼成体の厚みは、焼成時の断線を抑制する観点から、2μm以上が好ましい。また、焼成体における導電パターンの線幅は、焼成時の断線を抑制する観点から、5μm以上が好ましい。
本発明の焼成体の製造方法は、
前述の製造方法により導電パターン付きセラミックグリーンシートまたはその積層体を得る工程、および、得られた導電パターン付きセラミックグリーンシートまたはその積層体を焼成する工程
を有することが好ましい。焼成方法としては、例えば、300~600℃で5分間~数時間熱処理した後、さらに850~900℃で5分間~数時間熱処理する方法などが挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<感光性ペーストの調製>
感光性ペーストに用いた原料は、以下の通りである。
導電粒子(a):粒径(D50)2.1μm、比抵抗1.6×10-8Ω・mの銀粒子
なお、導電粒子(a)の粒径(D50)は、粒度分布測定装置(Microtrac HRA Model No.9320-X100;日機装(株)製)を用いて、レーザー光散乱法により測定した。
バインダー樹脂(b):
b-1:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン=54/23/23(モル比)の共重合体のカルボキシル基100モル部に対して、40モル部のグリシジルメタクリレートを付加反応させたアクリル樹脂(重量平均分子量30,000、ガラス転移点110℃、酸価100mgKOH/g)
b-2:フェノールノボラックWR-101(DIC(株)製)
感光剤(c):
c-1:オキシム系光重合開始剤“アデカアークルズ(登録商標)”N-1919T((株)ADEKA製)
c-2:乾燥窒素気流下、α,α-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシ-α,α-ジメチルジメチルベンジルエチルベンゼン21.22g(0.05モル)と5-ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド33.58g(0.125モル)を1,4-ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4-ジオキサン50gと混合したトリエチルアミン15.18gを、系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後、30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、ろ液を水に投入した。その後、析出した沈殿をろ過で集めた。得られた沈殿を、真空乾燥機を用いて乾燥し、キノンジアジド化合物c-2を得た。
溶剤:シクロヘキサノールアセテート“セルトール(登録商標)”CHXA((株)ダイセル製、大気圧下における沸点:173℃)
ウレタン結合を有する化合物(d):エステル構造含有ウレタンアクリレートNKオリゴUA-122P(重量平均分子量1,100、新中村化学工業(株)製)
レベリング剤:“ディスパロン(登録商標)”L-1980N(楠本化成(株)製)
分散剤:フローレンG-700(共栄社化学(株)製)。
表1に示す各材料を計量し、混合し、3本ローラーを用いて混錬して、ネガ型の感光性ペーストI-1~2およびポジ型の感光性ペーストIIを得た。
Figure 2024024156000001
<セラミックグリーンシート付き基板の作製>
セラミック粉末“パルセラム(登録商標)”BT149(日本化学工業(株)製)250g、前述のバインダー樹脂(b-1)240g、可塑剤としてフタル酸ジブチル80g、光重合開始剤として“IRGACURE(登録商標)”651(BASF社製)30g、溶媒としてエチレングリコールモノブチルエーテル160gを計量し、混合し、3本ローラーを用いて混練して組成物を得た。
厚み100μmのPETフィルム上に、得られた組成物を塗布し、乾燥してセラミックグリーンシート付き基板を作製した。
各実施例および比較例における評価方法を以下に示す。
<導電パターン厚み、断面形状、およびセラミックグリーンシートの厚み>
各実施例および比較例により得られた導電パターン付きセラミックグリーンシートを、光学顕微鏡を用いて倍率1,000倍で拡大観察し、断線および剥がれが認められない最小線幅となる導電パターンを、線幅方向に断裁した。パターン断面を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S2400)を用いて、倍率3,000倍で拡大観察し、観察視野から無作為に選択した5箇所について、導電パターンの最小厚み、セラミックグリーンシートの最小厚み、頂部と底部の幅をそれぞれ測定し、その平均値を算出することにより、TA1、TA2、T、WおよびWを求めた。
<解像度>
各実施例および比較例により得られた導電パターン付きセラミックグリーンシートの導電パターンを、光学顕微鏡を用いて倍率1,000倍で拡大観察し、断線および剥がれが認められない最小線幅を解像度とした。
<配線端部の空隙>
各実施例および比較例により得られた導電パターン付きセラミックグリーンシートを5層積層し、0.3MPaにて30秒間圧着した後、導電パターンの線幅方向に断裁し、断面を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S2400)を用いて、倍率2,000倍で拡大観察した。縦45μm、横60μmの測定範囲の中央に配線端部がくるように配置し、空隙の面積を測定した。
<セラミックグリーンシートの破れ>
各実施例および比較例により得られた導電パターン付きセラミックグリーンシートについて、セラミックグリーンシートから基材を剥離した後、セラミックグリーンシート面を目視観察した。セラミックグリーンシートに破れの発生が認められず、導電パターンが見えていない場合を「A」、セラミックグリーンシートに破れが認められ、導電パターンが見えている場合を「C」と評価した。
<導電パターンの配線抵抗>
各実施例および比較例により得られた導電パターン付きセラミックグリーンシートを、880℃で10分間焼成し、導電パターンを得た。デジタルマルチメータ(CDM-16D;カスタム社製)を用いて、長さ40mmの配線抵抗測定用導電パターンのうち、光学顕微鏡を用いて倍率1,000倍で拡大観察して断線および剥がれが認められない最小線幅のパターンについて、配線抵抗を測定した。
(実施例1)
離型処理を施した厚み50μmのPET基材上に、前述の方法により得られた感光性ペーストI-1を、スクリーン印刷法により塗布し、温度80℃で10分間乾燥して、厚み12μmの乾燥膜を形成した。
乾燥膜に露光マスクを接触させ、露光装置(PEM-6M;ユニオン光学(株)製)を用いて、365nmの波長換算で300mJ/cm全線露光を行った。露光マスクとしては、解像度評価用の開口幅5~40μmの範囲で1μm刻みの細線と、配線抵抗測定用の長さ40mm、開口幅5~40μmの範囲で1μm刻みの細線を有するものを用いた。
0.2質量%のNaCO溶液に、露光した乾燥膜を有する基板を浸漬して現像した後、超純水によるリンス処理を行い、導電パターン付き基材を得た。
次に、前述の導電パターン付き基材と、厚み17μmのセラミックグリーンシートとを、導電パターンがセラミックグリーンシートに接するように対向させて、プレス機を用いて、温度:100℃、加圧時間:30秒間、圧力:0.3MPaの条件で熱圧着した後、導電パターン付き基材の基材を剥離し、導電パターンをセラミックグリーンシート上に転写して、導電パターン付きセラミックグリーンシートを得た。前述の方法により評価した結果を表2に示す。
(実施例2~5、比較例1)
感光性ペーストI-1の乾燥膜の厚みと、セラミックグリーンシートの厚みを表2に記載の通り変更し、TA2が表2に記載の通りになるように熱圧着時の圧力を表2に記載の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様に導電パターン付きセラミックグリーンシートを得た。前述の方法により評価した結果を表2に示す。
(実施例6)
感光性ペーストI-1をI-2に変更したこと以外は、実施例1と同様に導電パターン付きセラミックグリーンシートを得た。前述の方法により評価した結果を表2に示す。
(比較例2)
感光性ペーストI-1をIIに変更し、TA2が表2に記載の通りになるように熱圧着時の圧力を表2に記載の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様に導電パターン付きセラミックグリーンシートを得た。前述の方法により評価した結果を表2に示す。
(実施例7)
前述の方法により得られたセラミックグリーンシート付き基板のセラミックグリーンシート上に、前述の方法により得られた感光性ペーストI-1を、スクリーン印刷法により塗布し、温度80℃で10分間乾燥して、厚み12μmの乾燥膜を形成し、実施例1と同様に露光、現像、リンス処理を行い、導電パターンを形成した。
次に、セラミックグリーンシート上に形成した導電パターンを、プレス機を用いて、温度:100℃、加圧時間:30秒間、圧力:0.3MPaの条件で加圧し、導電パターンをセラミックグリーンシートに埋め込み、導電パターン付きセラミックグリーンシートを得た。前述の方法により評価した結果を表3に示す。
(実施例8~10、比較例3)
感光性ペーストI-1の乾燥膜の厚みと、セラミックグリーンシートの厚みを表3に記載の通り変更し、TA2が表3に記載の通りになるように熱圧着時の圧力を表3に記載の通りに変更したこと以外は、実施例7と同様に導電パターン付きセラミックグリーンシートを得た。前述の方法により評価した結果を表3に示す。
(比較例4)
感光性ペーストI-1をIIに変更し、TA2が表3に記載の通りになるように熱圧着時の圧力を表3に記載の通りに変更したこと以外は、実施例7と同様に導電パターン付きセラミックグリーンシートを得た。前述の方法により評価した結果を表3に示す。
(比較例5)
セラミックグリーンシート上に形成した導電パターンを圧着により埋め込む工程を実施しなかったこと以外は、実施例7と同様に導電パターン付きセラミックグリーンシートを得た。前述の方法により評価した結果を表3に示す。
(比較例6)
厚み6μmのセラミックグリーンシート上に、頂部幅17μm、底部幅20μmの溝を形成した後、塗膜の最大厚みが12μmになるように感光性ペーストI-1を塗布したこと以外は、比較例5と同様に導電パターン付きセラミックグリーンシートを得た。前述の方法により評価した結果を表3に示す。
(実施例11~14)
感光性ペーストI-1をIIに変更し、感光性ペーストIIの乾燥膜の厚みと、セラミックグリーンシートの厚みを表3に記載の通り変更し、TA2が表3に記載の通りになるように熱圧着時の圧力を表3に記載の通りに変更したこと以外は、実施例7と同様に導電パターン付きセラミックグリーンシートを得た。前述の方法により評価した結果を表3に示す。
(比較例7)
セラミックグリーンシート上に形成した導電パターンを圧着により埋め込む工程を実施しなかったこと以外は、実施例11と同様に導電パターン付きセラミックグリーンシートを得た。前述の方法により評価した結果を表3に示す。
(実施例15~18)
感光性ペーストI-1をIIに変更し、感光性ペーストIIの乾燥膜の厚みと、セラミックグリーンシートの厚みを表4に記載の通り変更し、TA2が表4に記載の通りになるように熱圧着時の圧力を表4に記載の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様に導電パターン付きセラミックグリーンシートを得た。前述の方法により評価した結果を表4に示す。
Figure 2024024156000002
Figure 2024024156000003
Figure 2024024156000004

Claims (12)

  1. 基材上に、導電粒子(a)およびバインダー樹脂(b)を含有する厚みTA1[μm]の導電パターン(A)を有する導電パターン付き基材を準備し、導電パターン(A)を基材上からセラミックグリーンシート上に転写する工程(転写工程)を有する導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法であって、
    前記転写工程において、転写後に導電パターン(A)のうちセラミックグリーンシート面から露出した部分の厚みTA2[μm]を、TA2<TA1とし、かつ、
    A2≦7.0とする、導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
  2. セラミックグリーンシート上に、導電粒子(a)およびバインダー樹脂(b)を含有する厚みTA1[μm]の導電パターン(A)を形成し、加圧により導電パターン(A)の一部をセラミックグリーンシートに埋め込む工程(埋め込み工程)を有する導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法であって、
    前記埋め込み工程において、転写後の導電パターン(A)のうちセラミックグリーンシート面から露出した部分の厚みTA2[μm]を、TA2<TA1とし、かつ、TA2≦7.0とする、導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
  3. 前記厚みTA1が、10<TA1≦25を満たす、請求項1または2記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
  4. 前記セラミックグリーンシートの厚みTが、TA1+4≦TBを満たす、請求項1または2記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
  5. 前記導電パターン(A)が、さらに感光剤(c)を含有する、請求項1または2記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
  6. 前記導電パターン付きセラミックグリーンシートにおける導電パターン(A)の頂部幅W[μm]の、底部幅W[μm]に対する比(W/W)が、0.3≦(W/W)<1を満たす、請求項1または2記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
  7. 前記導電パターン付きセラミックグリーンシートにおける導電パターン(A)の表面粗さRa[μm]が、Ra<1.0を満たす、請求項1または2記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
  8. 前記導電パターン(A)の軟化点t[℃]と、セラミックグリーンシートの軟化点t[℃]が、t<tを満たす、請求項1または2記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
  9. 前記導電パターン(A)が、さらにウレタン結合を有する化合物を含有する、請求項1または2記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法。
  10. 導電パターン付きセラミックグリーンシートを複数積層してなる積層体の製造方法であって、
    請求項1または2記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法により、第1の導電パターンを形成し、導電パターン付きセラミックグリーンシートを得る工程、
    第1の導電パターン付きセラミックグリーンシートの導電パターン側にセラミックグリーンシートを形成する工程、および、
    第1の導電パターン付きセラミックグリーンシート形成したセラミックグリーンシート上に、請求項1または2記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法により、第2の導電パターンを形成する工程
    を有する、積層体の製造方法。
  11. 導電パターン付きセラミックグリーンシートを複数積層してなる積層体の製造方法であって、
    請求項1または2記載の導電パターン付きセラミックグリーンシートの製造方法により、複数の導電パターン付きセラミックグリーンシートを得る工程、および、
    複数の導電パターン付きセラミックグリーンシートを積層して熱圧着する工程
    を有する、積層体の製造方法。
  12. 請求項1または2に記載の製造方法により導電パターン付きセラミックグリーンシートを得る工程、および、得られた導電パターン付きセラミックグリーンシートを焼成する工程を有する、焼成体の製造方法。
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