JP2024023097A - 静電荷像現像用トナー組成物および静電荷像現像用トナー組成物の製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー組成物および静電荷像現像用トナー組成物の製造方法 Download PDF

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信太郎 村田
Shintaro Murata
克義 舘野
Katsuyoshi Tateno
基行 草宮
Motoyuki Kusamiya
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Abstract

【課題】酸化チタンを含有せず、かつ、優れた画像濃度、帯電量、帯電安定性および環境安定性を示す静電荷像現像用トナー組成物および静電荷像現像用トナー組成物の製造方法を提供する。【解決手段】トナー粒子と、外添剤とを含み、トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を含むバインダー樹脂と、着色剤と、離型剤とを含み、結晶性ポリエステル樹脂は、酸成分として、脂環族二塩基酸、テレフタル酸およびイソフタル酸を含み、結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、トナー粒子中、4~8質量%であり、外添剤は、平均粒子径が10~30nmであるシリカ粒子と、平均粒子径が100~300nmであるアルミナ粒子とを含み、シリカ粒子は、水酸化アルミニウムおよび有機物により表面処理された粒子である、静電荷像現像用トナー組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー組成物および静電荷像現像用トナー組成物の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、酸化チタンを含有せず、かつ、優れた画像濃度、帯電量、帯電安定性および環境安定性を示す静電荷像現像用トナー組成物および静電荷像現像用トナー組成物の製造方法に関する。
従来、トナー組成物を含む静電荷像現像剤において、長期にわたり安定な画像を出力するために、酸化チタン等の外添剤が配合されている(たとえば特許文献1参照)。また、従来、電子写真方式のプリンタ、複写機において、省エネルギーの観点から、定着温度の低温化、待機時間の短縮化が求められている。特許文献2には、定着温度が低温化されたトナー組成物が提案されている。特許文献2に記載のトナー組成物は、所定の結晶性ポリエステル樹脂を含む。
特開2003-122046号公報 特開2019-200362号公報
酸化チタンは、発がん性を示す懸念がある。しかしながら、酸化チタンを用いない場合、現像剤のトナー組成物の帯電量が過剰に上がり、トナー組成物のクリーニング性の低下、現像性および転写性の低下が起きるなどの問題が生じやすい。また、特許文献2に記載のトナー組成物は、酸化チタンを配合しない組成では、帯電が不安定になりやすい。
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、酸化チタンを含有せず、かつ、優れた画像濃度、帯電量、帯電安定性および環境安定性を示す静電荷像現像用トナー組成物および静電荷像現像用トナー組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、トナー粒子のほか、外添剤として、特定の平均粒子径を有する、表面処理されたシリカ粒子と、特定の平均粒子径を有するアルミナ粒子とを併用することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。上記課題を解決する本発明は、以下の構成を主に備える。
(1)トナー粒子と、外添剤とを含み、前記トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を含むバインダー樹脂と、着色剤と、離型剤とを含み、前記結晶性ポリエステル樹脂は、酸成分として、脂環族二塩基酸、テレフタル酸およびイソフタル酸を含み、前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、前記トナー粒子中、4~8質量%であり、前記外添剤は、平均粒子径が10~30nmであるシリカ粒子と、平均粒子径が100~300nmであるアルミナ粒子とを含み、前記シリカ粒子は、水酸化アルミニウムおよび有機物により表面処理された粒子である、静電荷像現像用トナー組成物。
このような構成によれば、静電荷像現像用トナー組成物は、酸化チタンを含有せず、かつ、優れた画像濃度、帯電量、帯電安定性および環境安定性を示す。
(2)前記アルミナ粒子は、表面処理が行われていない粒子である、(1)記載の静電荷像現像用トナー組成物。
このような構成によれば、静電荷像現像用トナー組成物は、トナー帯電量、帯電安定性、および環境安定性に優れる。
(3)前記アルミナ粒子のBET比表面積は、5~15m2/gである、(1)または(2)記載の静電荷像現像用トナー組成物。
このような構成によれば、静電荷像現像用トナー組成物は、トナー帯電量、帯電安定性、および環境安定性に優れる。
(4)前記結晶性ポリエステル樹脂は、質量平均分子量が20,000~40,000であり、融点が95~100℃である、(1)~(3)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー組成物。
このような構成によれば、静電荷像現像用トナー組成物は、低温定着性が良好となる。
(5)前記結晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分として炭素数4以上12以下の脂肪族ジオールを含む、(1)~(4)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー組成物。
このような構成によれば、静電荷像現像用トナー組成物は、保存安定性が良好となる。
(6)前記結晶性ポリエステル樹脂は、酸成分として、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸およびイソフタル酸を含み、アルコール成分として、1,4-ブタンジオールを含む、(1)~(5)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー組成物。
このような構成によれば、静電荷像現像用トナー組成物は、低温定着性と保存安定性とを両立し得る。
(7)前記バインダー樹脂は、非結晶性樹脂を含み、前記非結晶性樹脂は、質量平均分子量が4,000~150,000であり、軟化点が90~125℃である、(1)~(6)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー組成物。
このような構成によれば、静電荷像現像用トナー組成物は、優れた低温定着性と保存安定性とを両立し得る。
(8)さらに、樹脂型荷電調整剤を含む、(1)~(7)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー組成物。
このような構成によれば、静電荷像現像用トナー組成物は、帯電性がより優れる。
(9)前記有機物は、炭素数8~12のアルキルシラン、または、炭素数16~20の飽和脂肪酸のうち、少なくともいずれか一方を含む、(1)~(8)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー組成物。
このような構成によれば、静電荷像現像用トナー組成物は、流動性、帯電性、クリーニング性等が良好となる。
(10)前記有機物は、デシルシラン、または、ステアリン酸のうち、少なくともいずれか一方を含む、(1)~(9)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー組成物。
このような構成によれば、静電荷像現像用トナー組成物は、帯電安定性および環境安定性が良好となる。
(11)(1)~(10)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー組成物を製造するための静電荷像現像用トナー組成物の製造方法であり、混練後、冷却固化した後、粉砕、分級、外添剤を添加する工程を含む、静電荷像現像用トナー組成物の製造方法。
このような構成によれば、得られる静電荷像現像用トナー組成物は、低温定着性と保存安定性とを両立し得る。また、静電荷像現像用トナー組成物は、既存設備と同様の設備を用いて製造し得る。そのため、本製造方法によれば、トナー組成物は、高コスト化を防止することができる。
本発明によれば、酸化チタンを含有せず、かつ、優れた画像濃度、帯電量、帯電安定性および環境安定性を示す静電荷像現像用トナー組成物および静電荷像現像用トナー組成物の製造方法を提供することができる。
<静電荷像現像用トナー組成物>
本発明の一実施形態の静電荷像現像用トナー組成物(以下、トナー組成物ともいう)は、トナー粒子と、外添剤とを含む。トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を含むバインダー樹脂と、着色剤と、離型剤とを含む。結晶性ポリエステル樹脂は、酸成分として、脂環族二塩基酸、テレフタル酸およびイソフタル酸を含む。結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、トナー粒子中、4~8質量%である。外添剤は、平均粒子径が10~30nmであるシリカ粒子と、平均粒子径が100~300nmであるアルミナ粒子とを含む。シリカ粒子は、水酸化アルミニウムおよび有機物により表面処理された粒子である。以下、それぞれについて説明する。
(トナー粒子)
トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を含むバインダー樹脂と、着色剤と、離型剤とを含む。
・バインダー樹脂
バインダー樹脂は、トナー組成物に含まれる着色剤を分散させるとともに、印刷の際の定着過程において定着ローラの熱により記録媒体の表面で溶融したあと固化し、記録媒体の表面に着色剤を定着させるために配合される。
バインダー樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂を含む。なお、バインダー樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂のほかに、本実施形態の結晶性ポリエステル樹脂以外のバインダー樹脂を含んでもよい。
本実施形態の結晶性ポリエステル樹脂は、酸成分として脂環族二塩基酸、テレフタル酸、およびイソフタル酸を含む。これにより、本実施形態のトナー組成物は、低温定着性および保存安定性の両方を改善することができる。
脂環族二塩基酸は特に限定されない。一例を挙げると、脂環族二塩基酸は、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、4-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等である。これらの中でも、脂環族二塩基酸は、軟化点の調整が容易で定着性が良好であることから、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸であることが好ましい。
脂環族二塩基酸は、結晶性ポリエステル樹脂中、3質量%以上含まれていることが好ましく、5質量%以上含まれていることがより好ましい。また、脂環族二塩基酸は、結晶性ポリエステル樹脂中、50質量%以下含まれていることが好ましく、40質量%以下含まれていることがより好ましい。脂環族二塩基酸の含有量が上記範囲内であることにより、得られるトナー組成物は、低温定着性および保存安定性が優れる。
テレフタル酸およびイソフタル酸は、結晶性ポリエステル樹脂中、20質量%以上含まれていることが好ましく、25質量%以上含まれていることがより好ましい。また、テレフタル酸テレフタル酸およびイソフタル酸は、結晶性ポリエステル樹脂中、70質量%以下含まれていることが好ましく、60質量%以下含まれていることがより好ましい。テレフタル酸およびイソフタル酸の含有量が上記範囲内であることにより、得られるトナー組成物は、保存安定性が優れる。
本実施形態の結晶性ポリエステル樹脂は、酸成分として、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸およびイソフタル酸を含み、アルコール成分として、1,4-ブタンジオールを含むことが好ましい。これにより、トナー組成物は、低温定着性と保存安定性とを両立し得る。
なお、性能が低下しない範囲で、他の酸成分が配合されてもよい。
本実施形態の結晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分として、従来公知のアルコール成分が利用できる。アルコール成分は、トナーの低温定着性および保存安定性の両方を改善する点から、炭素数4以上12以下の脂肪族ジオールであることが好ましく、1,2-ブタンジオ-ル、1,3-ブタンジオ-ル、1,4-ブタンジオ-ル、1,5-ペンタンジオ-ル、1,6-ヘキサンジオ-ル、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチルオクタンジオール、1,10-デカンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールであることがより好ましく、1,4-ブタンジオールであることがさらに好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の質量平均分子量は、20,000以上であることが好ましく、25,000以上であることがより好ましい。また、結晶性ポリエステル樹脂の質量平均分子量は、40,000以下であることが好ましく、35,000以下であることがより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の質量平均分子量が上記範囲内であることにより、トナー組成物は、保存安定性および低温定着性がより優れる。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、トナー粒子中、4質量%以上であればよい。また、結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、トナー粒子中、8質量%以下であればよい。含有量が4質量%未満である場合、トナー組成物は、低温定着性が劣る。一方、含有量が8質量%を超える場合、トナー組成物は、保存安定性が劣る。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は特に限定されない。一例を挙げると、融点は、95℃以上であることが好ましい。また、融点は、100℃以下であることが好ましい。融点が上記範囲内であることにより、トナー組成物は、定着性がより優れる。なお、本実施形態において、融点は、示差走査熱量計を用いた熱分析における融解温度を測定することにより算出し得る。
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法は特に限定されない。一例を挙げると、結晶性ポリエステル樹脂は、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等により製造し得る。
結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180℃以上230℃以下の範囲で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。モノマーが反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させても良い。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーと、そのモノマーと重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させると良い。
結晶性ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒は、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物、リン酸化合物、およびアミン化合物等である。具体的には、以下の化合物が挙げられる。
触媒は、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4-t-ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物である。
本実施形態の結晶性ポリエステル樹脂を併用して使用できるバインダー樹脂は特に限定されない。一例を挙げると、バインダー樹脂は、ポリスチレン、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体等のスチレン系共重合体、上記本実施形態の結晶性ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂材料である。これらのバインダー樹脂は、併用されてもよい。これらの中でも、併用するバインダー樹脂としては、着色されやすく、鮮明な色彩のトナーが得られる点から、ポリエステルであることが好ましい。
本実施形態のバインダー樹脂は、上記樹脂材料のうち、非結晶性樹脂を含むことが好ましい。また、非結晶性樹脂は、質量平均分子量が4,000~150,000であり、軟化点が95~125℃である樹脂であることが好ましい。質量平均分子量は、4,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましい。また、質量平均分子量は、150,000以下であることが好ましく、120,000以下であることがより好ましい。軟化点は、90℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがより好ましい。また、軟化点は、125℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。質量平均分子量および軟化点が上記範囲内であることにより、得られるトナー組成物は、優れた低温定着性と保存安定性を示す。なお、本実施形態において、質量平均分子量は、たとえばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求めることができる。GPCによってポリスチレン換算による質量平均分子量を測定する際の装置としては、たとえば、Water 2690(ウォーターズ社製)、カラムとしてPLgel 5μL MIXED-D(Polymer Laboratories社製)等が挙げられる。また、軟化点は、ASTM E28-92に準拠して測定し得る。
上記本実施形態の結晶性ポリエステル樹脂以外のバインダー樹脂の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、バインダー樹脂の含有量は、トナー組成物中、75質量%以上であることが好ましい。また、バインダー樹脂の含有量は、トナー組成物中、85質量%以下であることが好ましい。バインダー樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、得られるトナー組成物は、着色剤を適切に分散させやすく、かつ、記録媒体上に定着させやすい。
・着色剤
着色剤は、トナー組成物に着色力を与えるために配合される。着色剤は特に限定されない。一例を挙げると、着色剤は、カーボンブラック等の黒色を呈する磁性粉等の着色剤、銅フタロシアニン、メチレンブルー、ビクトリアブルー等のシアン色を呈する着色剤、ローダミン染料、ジメチルキナクリドン、ジクロロキナクリドン、カーミンレッド等のマゼンタ色を呈する着色剤、ベンジジンイエロー、クロムイエロー、ナフトールイエロー、ジスアゾイエロー等のイエロー色を呈する着色剤等である。着色剤は併用されてもよい。
着色剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、着色剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下で使用されることが好ましい。なお、樹脂中に高濃度の顔料を予め分散させたマスターバッチが各種市販されているので、それを購入して着色剤として用いてもよい。この場合、トナー組成物に含まれる顔料の濃度が上記範囲内となるように、マスターバッチに含まれる顔料の濃度を考慮してその使用量が決定され得る。
・離型剤
離型剤は特に限定されない。一例を挙げると、離型剤は、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトン等のジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等のエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等のアミド系ワックス等である。離型剤は併用されてもよい。これらの中でも、離型剤は、エステル系ワックスと炭化水素系のワックスが好ましい。
離型剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、離型剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましく、5~20質量部であることがより好ましい。トナー粒子中の離型剤の含有量は、3~15質量%であることが好ましい。離型剤の含有量が上記範囲内であることにより、得られるトナー組成物は、印刷時の定着過程において、定着ローラと印刷面との良好な離型性が得られる。また、トナー組成物は、離型剤が滲出しにくく、帯電不良やフィルミング等を生じにくい。
・その他の成分
トナー粒子は、上記のほか、たとえば、荷電調整剤等を含んでもよい。荷電調整剤は、トナー組成物の帯電量を調節するために好適に配合される。
荷電調整剤は特に限定されない。一例を挙げると、荷電調整剤は、ニグロシン、塩基性染料、モノアゾ染料などの金属錯体、サリチル酸やジカルボン酸等といったカルボン酸とクロム、ジルコニウム、アルミニウム等といった金属との塩または錯体、有機染料、ナフテン酸や高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、芳香族系重縮合物等の樹脂型荷電調整剤等である。荷電調整剤は、併用されてもよい。これらのなかでも、帯電の安定性の点から、トナー組成物は、樹脂型荷電調整剤を含むことが好ましい。
荷電調整剤が配合される場合、荷電調整剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、荷電調整剤の含有量は、トナー粒子中、0.5質量%以上であることが好ましい。また、荷電調整剤の含有量は、トナー粒子中、8質量%以下であることが好ましい。荷電調整剤の含有量が上記範囲内であることにより、得られるトナー組成物は、帯電性がより優れる。
(外添剤)
外添剤は、トナー粒子の表面に付着し、トナー粒子の帯電特性を向上させたり、トナー粒子と分離した状態で存在してトナー組成物の流動性を向上させたり、印刷適性を改善させたりするために配合される。
本実施形態の外添剤は、平均粒子径が10~30nmであるシリカ粒子と、平均粒子径が100~300nmであるアルミナ粒子とを含む。シリカ粒子は、水酸化アルミニウムおよび有機物により表面処理された粒子である。
有機物は特に限定されない。有機物は、炭素数8~12のアルキルシラン、または、炭素数16~20の飽和脂肪酸のうち、少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。これにより、トナー組成物は、流動性、帯電性、クリーニング性等が良好となる。
これらの中でも、有機物は、デシルシラン、または、ステアリン酸のうち、少なくともいずれか一方を含むことがさらに好ましい。これにより、トナー組成物は、帯電安定性および環境安定性が良好となる。
シリカ粒子の平均粒子径(平均一次粒径)は、10nm以上であればよく、12nm以上であることが好ましい。また、シリカ粒子の平均粒子径(平均一次粒径)は、30nm以下であればよく、20nm以下であることが好ましい。シリカ粒子の粒径が10nm未満である場合、トナー組成物は、帯電安定性が劣り、帯電低下を引き起こすおそれがある。一方、シリカ粒子の粒径が30nmを超える場合、シリカ粒子の脱離による部材汚染を引き起こすおそれがある。本実施形態において、シリカ粒子の粒径(平均一次粒径)は、透過型電子顕微鏡写真を撮影し、粒子を画像処理することによってそれぞれの粒子の長軸の長さ(nm)と短軸の長さ(nm)を求めることにより算出し得る。
シリカ粒子の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、シリカ粒子の含有量は、トナー粒子100質量部に対し、0.05質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましい。また、シリカ粒子の含有量は、トナー粒子100質量部に対し、0.5質量部以下であることが好ましく、0.4質量部以下であることがより好ましい。シリカ粒子の含有量が上記範囲内であることにより、トナー組成物は、流動性、帯電性、クリーニング性等が良好となる。
水酸化アルミニウムおよび有機物によって、シリカ粒子を表面処理する方法は特に限定されない。一例を挙げると、シリカ粒子は、水酸化アルミニウムによる無機処理が行われ、かつ、上記有機物による有機処理が行われる。無機処理の方法は、たとえば、塩化アルミニウムなどの塩を添加し、加水分解させて水酸化アルミニウムをシリカ粒子表面に析出させる方法などが挙げられる。有機処理の方法は、たとえば、アルカリ金属の脂肪酸塩を添加し、その後、硫酸などの強酸を加えることによって遊離した脂肪酸をシリカ粒子表面に析出させる方法などが挙げられる。
本実施形態のシリカ粒子は、水酸化アルミニウムによる無機処理によって、シリカ粒子の抵抗が調整されている。また、シリカ粒子は、有機物による有機処理によって、疎水性が付与される。これにより、得られるトナー組成物は、帯電性および環境安定性が優れる。
アルミナ粒子の平均粒子径(平均一次粒径)は、100nm以上であればよく、130nm以上であることが好ましい。また、アルミナ粒子の平均粒子径(平均一次粒径)は、300nm以下であればよく、280nm以下であることが好ましい。アルミナ粒子の平均粒子径が100nm未満である場合、トナー組成物は、トナー帯電量、帯電安定性、および環境安定性が低下する。一方、アルミナ粒子の平均粒子径が300nmを超える場合、アルミナ粒子の脱離による画像不良が発生するおそれがある。本実施形態において、アルミナ粒子の粒径(平均一次粒径)は、透過型電子顕微鏡写真を撮影し、粒子を画像処理することによってそれぞれの粒子の長軸の長さ(nm)と短軸の長さ(nm)を求めることにより算出し得る。
本実施形態のアルミナ粒子は、表面処理が行われていない粒子であってもよい。これにより、トナー組成物は、トナー帯電量、帯電安定性、および環境安定性に優れる。
アルミナ粒子の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、アルミナ粒子の含有量は、トナー粒子100質量部に対し、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。また、アルミナ粒子の含有量は、トナー粒子100質量部に対し、5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましい。アルミナ粒子の含有量が上記範囲内であることにより、トナー組成物は、流動性、帯電性、クリーニング性等が良好となる。
アルミナ粒子のBET比表面積は特に限定されない。一例を挙げると、アルミナ粒子のBET比表面積は、5m2/g以上であることが好ましく、6m2/g以上であることがより好ましい。また、アルミナ粒子のBET比表面積は、15m2/g以下であることが好ましく、14m2/g以下であることがより好ましい。アルミナ粒子のBET比表面積が上記範囲内であることにより、トナー組成物は、トナー帯電量、帯電安定性、および環境安定性に優れる。
外添剤全体の説明に戻り、本実施形態の外添剤は、上記シリカ粒子およびアルミナ粒子のほかに、他の外添剤を適宜含んでもよい。他の外添剤は特に限定されない。一例を挙げると、他の外添剤は、負帯電性の潤滑剤粒子、正帯電性の潤滑剤粒子、無機酸化物粒子(ただし上記シリカ粒子を除く)等である。これらは併用されてもよい。
正帯電性の潤滑剤粒子は、キャリアや帯電ブレードとの間の摩擦帯電により正に帯電する潤滑剤粒子である。このような潤滑剤粒子は公知であり、脂肪酸の金属塩粒子が好ましく例示される。このような脂肪酸の金属塩の一例として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛等が好ましく挙げられ、中でもステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムがより好ましく挙げられる。正帯電性の潤滑剤粒子は、単独の種類であってもよいし、二種以上を組み合わせたものであってもよい。
負帯電性の潤滑剤粒子は、キャリアや帯電ブレードとの間の摩擦帯電により負に帯電する潤滑剤粒子である。このような潤滑剤粒子は公知であり、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン、窒化ホウ素、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリフッ化ビニリデンが好ましく例示され、それらの中でも窒化ホウ素、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)がより好ましく例示される。負帯電性の潤滑剤粒子は、単独の種類であってもよいし、二種以上を組み合わせたものであってもよい。
無機酸化物粒子は特に限定されない。一例を挙げると、無機酸化物粒子は、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素等である。無機酸化物粒子は併用されてもよい。
無機酸化物粒子は、表面が疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理の方法は特に限定されない。一例を挙げると、疎水化処理の方法は、従来公知の疎水化処理剤を疎水化処理前の無機酸化物粒子の表面に接触させて、疎水性のある官能基や成分を無機酸化物粒子の表面に化学結合させたり付着させたりする方法である。無機酸化物粒子を疎水化処理するための疎水化処理剤は特に限定されない。一例を挙げると、疎水化処理剤は、オクチルトリエトキシシラン、ポリジメチルシロキサン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン等である。疎水化処理剤は併用されてもよい。
本実施形態の外添剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対し、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。また、外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対し、5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましい。外添剤の含有量が上記範囲内であることにより、得られるトナー組成物は、流動性、帯電性、クリーニング性等が良好となる。
以上、本実施形態のトナー組成物は、酸化チタンを含有せずとも、優れた画像濃度、帯電量、帯電安定性および環境安定性を示す。
<静電荷像現像用トナー組成物の製造方法>
本発明の一実施形態の静電荷像現像用トナー組成物の製造方法(以下、トナー組成物の製造方法ともいう)は、上記した静電荷像現像用トナー組成物を製造するための製造方法である。トナー組成物の製造方法は特に限定されない。一例を挙げると、トナー組成物の製造方法は、混練後、冷却固化した後、粉砕、分級、外添剤を添加する工程を含む。なお、これらの各工程は、いずれも従来周知のトナー組成物の製造方法において採用されている工程である。すなわち、本実施形態のトナー組成物の製造方法は、従来周知の方法により、従来周知の製造装置を用いてトナー組成物を作製し得る。
より具体的には、まず、混練工程において、上記したトナー粒子の各成分が溶融混練され、混練物が作製される。各成分の混合は、従来公知の各種混合装置(たとえば、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)等)を使用し得る。溶融混練には、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっている。たとえば、KTK型2軸押出機((株)神戸製鋼所製)、TEM型2軸押出機(東芝機械(株)製)、PCM混練機((株)池貝製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。なお、トナー材料として、上記バインダー樹脂や着色剤を含むマスターバッチを用いてもよい。
その後、混練物を冷却し、次いで、冷却された混練物を粉砕する(たとえば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕した後、さらに、たとえば、クリプトロンシステム(川崎重工業(株)製)、スーパーローター(日清エンジニアリング(株)製)、ターボ・ミル(フロイント・ターボ(株)製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する)。粉砕工程で得られた粉体(粉砕物)は、分級される(たとえば、慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)の如き分級機や篩分機を用いて分級される)。粉砕および分級後のトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、4~10μmであることが好ましい。なお、本実施形態において、体積中位粒径(D50)は、体積基準のメジアン径とも呼ばれ、径がこの値より小さい粒子の体積合計と、径がこの値よりも大きい粒子の体積合計とが、全体の体積合計の各々50%ずつである値を示すものである。体積中位粒径(D50)は、粒度分布測定を行うことにより算出することができる。粒度分布測定装置は、ベックマン・コールター社製の「マルチサイザー3」を挙げることができる。次いで、トナー粒子に外添剤を加え、従来公知の各種混合装置(たとえば、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)等)で攪拌混合し、トナー組成物を得る。
以上、本実施形態のトナー組成物の製造方法は、特殊な設備を要さず、既存設備と同様の設備を用いてトナー組成物を製造し得る。そのため、本製造方法によれば、トナー組成物は、高コスト化を防止することができる。また、得られるトナー組成物は、上記のとおり、酸化チタンを含有せずとも、優れた画像濃度、帯電量、帯電安定性および環境安定性を示す。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。なお、特に制限のない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
使用した原料および調製方法を以下に示す。
<トナー母粒子1の製造方法(実施例のトナー母粒子:結晶性ポリエステル含有)>
バインダー樹脂として市販のポリエステル樹脂(FC1588、三菱ケミカル(株)製)52部と、同じくバインダー樹脂として市販のポリエステル樹脂(FC2509、三菱ケミカル(株)製)25部と、同じくバインダー樹脂として、特開2019-200362号の[0062]に記載の「結晶性ポリエステル樹脂1」5部と、着色剤として黄色着色剤(ピグメントイエロー180系着色剤)13.0部と、離型剤として脂肪酸エステルワックス(WE-10、日油(株)製)5部とをヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機を用いて溶融混練した。得られた混練物を溶融および固化させ、ロートプレックスにて粗粉砕した後、ジェットミルで微粉砕し、風力分級機を用いて分級して体積中位粒径が7.0μmの正帯電性トナー母粒子を得た。
<トナー母粒子2の製造方法(比較例のトナー母粒子:結晶性ポリエステル非含有)>
バインダー樹脂として市販のポリエステル樹脂(FC1588、三菱ケミカル(株)製)55部と、同じくバインダー樹脂として市販のポリエステル樹脂(FC2509、三菱ケミカル(株)製)27部と、着色剤として黄色着色剤(ピグメントイエロー180系着色剤)13.0部と、離型剤として脂肪酸エステルワックス(WE-10、日油(株)製)5部とをヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機を用いて溶融混練した。得られた混練物を溶融および固化させ、ロートプレックスにて粗粉砕した後、ジェットミルで微粉砕し、風力分級機を用いて分級して体積中位粒径が7.0μmの正帯電性トナー母粒子を得た。
<シリカ粒子>
シリカ粒子1:H05TA(HDK H05TA、表面処理:ポリジメチルシロキサン処理及びアミン処理、平均粒子径50nm、BET比表面積50m2/g、ワッカー社製)
<表面処理されたシリカ粒子>
シリカ粒子2:試作品、サカタインクス(株)製、無機処理:水酸化アルミニウム、有機処理:デシルシランにて表面処理したシリカ粒子、粒径15nm
<アルミナ>
アルミナ1:Alu C RK (AEROXIDE Alu C RK、粒径12nm、BET比表面積100m2/g、アエロジル社製、表面処理:アルキルシラン処理)
アルミナ2:AKP-53 (AKP-53、粒径170nm、BET比表面積13.7m2/g、住友化学(株)製、表面処理:なし)
アルミナ3:AKP-50 (AKP-50、粒径200nm、BET比表面積11.1m2/g、住友化学(株)製、表面処理:なし)
アルミナ4:AKP-30 (AKP-30、粒径260nm、BET比表面積7.4m2/g、住友化学(株)製、表面処理:なし)
アルミナ5:AKP-15(AKP-15、粒径600nm、BET比表面積3.6m2/g、住友化学(株)製、表面処理:なし)
<実施例1~4、比較例1~5>
(トナー組成物の調製)
以下の表1に示される配合割合(質量部)にしたがって、トナー母粒子100質量部に対して、各成分を加え、ヘンシェルミキサーで10分間攪拌し実施例および比較例のトナー組成物を得た。
Figure 2024023097000001
上記で得られた実施例および比較例のトナー組成物について、以下の条件で印刷物を作製し、画像濃度、トナー帯電量、帯電安定性および環境安定性を評価した。結果を表1に示す。
<画像濃度>
評価用非磁性二成分方式の正帯電方式の複写機を用いて、温度25℃、湿度50%の環境下(NN環境)、ISOチャートISO-IEC24712を10,000枚印刷した後、ベタ画像を印刷し、反射濃度計RD-914(マクベス社製)により画像濃度を評価した。
<トナー帯電量>
評価用非磁性二成分方式の正帯電方式の複写機を用いて、温度25℃、湿度50%の環境下(NN環境)、ISOチャートISO-IEC24712を10,000枚印刷した際のトナー帯電量をQ/MメーターMODEL210HS-2A(TREK社製)で評価した。
<帯電安定性>
評価用非磁性二成分方式の正帯電方式の複写機を用いて、温度25℃、湿度50%の環境下(NN環境)、ISOチャートISO-IEC24712を10,000枚印刷した際の初期と、10,000枚印刷後のトナー帯電量をQ/Mメーターで測定し、その差を下記評価基準に従って評価した。
(評価基準)
○:差は、-10μC/g未満であった。
△:差は、-10μC/g以上、-20μC/g未満であった。
×:差は、-20μC/g以上であった。
<環境安定性>
評価用非磁性二成分方式の正帯電方式の複写機を用いて、温度25℃、湿度50%の環境下(NN環境)、ISOチャートISO-IEC24712を5,000枚印刷した際のトナー帯電量と、温度10℃、湿度20%の環境下(LL環境)、ISOチャートISO-IEC24712を5,000枚印刷した際のトナー帯電量をQ/Mメーターで測定し、その差を下記評価基準に従って評価した。
(評価基準)
○:差は、-10μC/g未満であった。
△:差は、-10μC/g以上、-20μC/g未満であった。
×:差は、-20μC/g以上であった。
表1に記載のとおり、実施例1~4のトナー組成物は、優れた画像濃度、帯電量、帯電安定性および環境安定性を示した。

Claims (11)

  1. トナー粒子と、外添剤とを含み、
    前記トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を含むバインダー樹脂と、着色剤と、離型剤とを含み、
    前記結晶性ポリエステル樹脂は、酸成分として、脂環族二塩基酸、テレフタル酸およびイソフタル酸を含み、
    前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、前記トナー粒子中、4~8質量%であり、
    前記外添剤は、平均粒子径が10~30nmであるシリカ粒子と、平均粒子径が100~300nmであるアルミナ粒子とを含み、
    前記シリカ粒子は、水酸化アルミニウムおよび有機物により表面処理された粒子である、静電荷像現像用トナー組成物。
  2. 前記アルミナ粒子は、表面処理が行われていない粒子である、請求項1記載の静電荷像現像用トナー組成物。
  3. 前記アルミナ粒子のBET比表面積は、5~15m2/gである、請求項1または2記載の静電荷像現像用トナー組成物。
  4. 前記結晶性ポリエステル樹脂は、
    質量平均分子量が20,000~40,000であり、
    融点が95~100℃である、請求項1または2記載の静電荷像現像用トナー組成物。
  5. 前記結晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分として炭素数4以上12以下の脂肪族ジオールを含む、請求項1または2記載の静電荷像現像用トナー組成物。
  6. 前記結晶性ポリエステル樹脂は、
    酸成分として、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸およびイソフタル酸を含み、
    アルコール成分として、1,4-ブタンジオールを含む、請求項1または2記載の静電荷像現像用トナー組成物。
  7. 前記バインダー樹脂は、非結晶性樹脂を含み、
    前記非結晶性樹脂は、
    質量平均分子量が4,000~150,000であり、
    軟化点が90~125℃である、請求項1または2記載の静電荷像現像用トナー組成物。
  8. さらに、樹脂型荷電調整剤を含む、請求項1または2記載の静電荷像現像用トナー組成物。
  9. 前記有機物は、炭素数8~12のアルキルシラン、または、炭素数16~20の飽和脂肪酸のうち、少なくともいずれか一方を含む、請求項1または2記載の静電荷像現像用トナー組成物。
  10. 前記有機物は、デシルシラン、または、ステアリン酸のうち、少なくともいずれか一方を含む、請求項1または2記載の静電荷像現像用トナー組成物。
  11. 請求項1または2記載の静電荷像現像用トナー組成物を製造するための静電荷像現像用トナー組成物の製造方法であり、混練後、冷却固化した後、粉砕、分級、外添剤を添加する工程を含む、静電荷像現像用トナー組成物の製造方法。
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