JP2024022832A - 塗装金属板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピックアップロールとドクターロールとをリバース回転させる塗装方式を利用するに際してローピング模様の発生を抑制することができる、塗装金属板の製造方法を提供する。【解決手段】ピックアップロールによって塗液を持ち上げ、ピックアップロールの表面に付着した塗液の量をドクターロールによって調整した後、当該塗液を、アプリケーターロールを介して金属帯に転写することによって金属帯の表面に塗膜を形成する。ピックアップロールの軸方向から見た場合に、各ロールは同じ方向に回転する。ピックアップロールおよびドクターロールは、ピックアップロールの周速VP、ドクターロールの周速VD、塗液の粘度μ、およびピックアップロールとドクターロールとの間隔dを用いて表される[VP2-VD2≦1×109・μ・d-4]の関係を満たすように設置される。【選択図】 図1

Description

本発明は、塗装金属板の製造方法に関する。
従来、金属板への機能付与を目的として、金属板の表面に各種の塗装が行われている。このような金属板の表面への塗装方法の一つとして、金属帯の表面に塗料を連続して塗布するロールコータ方式が利用されている。ロールコータ方式では、ピックアップロールによって塗液パンから持ち上げられた塗液が、アプリケーターロール(塗装ロール)を介して金属帯の表面に転写される。これにより、金属帯の表面に塗膜が形成される。
ロールコータ方式を採用した塗装方法の問題点として、金属帯の塗装面に、ローピング模様が発生することが知られている。そこで、従来、ローピング模様の発生を防止するための種々の塗装方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、ピックアップロール、塗装ロールおよびメタリングロールを用いて基板表面に塗装を行う連続塗装方法が開示されている。特許文献1に開示された連続塗装方法では、メタリングロールがピックアップロールに近接して設置され、ピックアップロールとメタリングロールとの間に、塗料のメニスカスが形成される。特許文献1には、十分な塗料のメニスカスを形成することによって、ピックアップロールの表面の塗料の凹凸(むら)を解消できることができ、良好な塗膜が得られることが記載されている。
なお、特許文献1に開示された連続塗装方法では、ピックアップロールとメタリングロールとはフォワード回転している。すなわち、ピックアップロールとメタリングロールとが近接した位置では、メタリングロールの表面は、ピックアップロールの表面に対して同じ方向に移動する。特許文献1には、上記のような構成において、ピックアップロールの回転周速度を速くし、メタリングロールの回転周速度を遅くする程、メニスカスの量が多くなることが記載されている。
国際公開第95/29768号
ロールコータ方式を利用した塗装方法において、特許文献1とは異なり、ピックアップロールとメタリングロール(ドクターロールともいう。)とをリバース回転させる場合がある。すなわち、ピックアップロールとメタリングロールとが近接した位置においてメタリングロールの表面がピックアップロールの表面に対して反対方向に移動するように、ピックアップロールおよびメタリングロールを回転させる場合がある。
本発明者らによる検討の結果、ピックアップロールとメタリングロールとをリバース回転させる場合において、ピックアップロールの回転周速度を速くし、メタリングロールの回転周速度を遅くしても、ピックアップロールとメタリングロールとの間に適切なメニスカスを形成することができない場合があることが分かった。この場合、ローピング模様の発生を十分に抑制することができない。
そこで、本発明は、ピックアップロールとドクターロールとをリバース回転させる塗装方式を利用するに際してローピング模様の発生を抑制することができる、塗装金属板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は下記の塗装金属板の製造方法を要旨とする。
(1)ピックアップロールによって塗液を持ち上げ、
前記ピックアップロールの表面における前記塗液の付着量をドクターロールによって調整し、
前記ドクターロールによって付着量が調整された前記塗液を前記ピックアップロールからアプリケーターロールに転写し、
前記アプリケーターロールに転写された前記塗液を、所定方向に搬送される金属帯に転写することによって前記金属帯の表面に塗膜を形成する、塗装金属板の製造方法であって、
前記ピックアップロール、前記ドクターロールおよび前記アプリケーターロールの各回転軸は、互いに平行に設けられ、
前記ピックアップロールの軸方向から見た場合に、前記ピックアップロール、前記ドクターロールおよび前記アプリケーターロールは同じ方向に回転し、
前記ピックアップロールおよび前記ドクターロールは、下記の(i)式を満たすように設置される、塗装金属板の製造方法。
-V ≦1×10・μ・d-4 ・・・(i)
上記(i)式において、Vはピックアップロールの周速(m/s)を示し、Vはドクターロールの周速(m/s)を示し、μは、塗液の粘度(Pa・s)を示し、dはピックアップロールとドクターロールとの間隔(μm)を示す。
(2)前記塗膜を形成する前に、前記金属帯の表面に亜鉛めっき層を形成する、上記(1)に記載の塗装金属板の製造方法。
(3)前記ピックアップロールの周速は、前記ドクターロールの周速以上に設定される、上記(1)または(2)に記載の塗装金属板の製造方法。
(4)前記ピックアップロールと前記ドクターロールとの間隔は、1μm以上である、上記(1)から(3)のいずれかに記載の塗装金属板の製造方法。
(5)前記ドクターロールの表面に付着した塗液をドクターブレードによって掻き取る、上記(1)から(4)のいずれかに記載の塗装金属板の製造方法。
本発明によれば、塗装金属板を製造するに際して、ローピング模様の発生を抑制することができる。
図1は、金属帯の表面への塗膜の形成方法の一例を説明するための図である。 図2は、ピックアップロールとドクターロールとの関係を示す概略図である。 図3は、発明例、比較例、および参考例における、(V -V )の値と間隔dとの関係を示す図である。
(本発明者らによる検討)
図1は、金属帯の表面への塗膜の形成方法の一例を説明するための図であり、(a)は、塗装装置の概略構成を示す図であり、(b)は、ピックアップロールとドクターロールとの間に生じる塗液のメニスカス部を示す概略図である。
図1(a)に示す塗装装置10は、ピックアップロールとドクターロールとをリバース回転させる塗装方式を採用した装置である。具体的には、塗装装置10は、塗液パン12と、ピックアップロール14と、ドクターロール16と、アプリケーターロール18と、ドクターブレード20とを備えている。
ピックアップロール14、ドクターロール16およびアプリケーターロール18の各回転軸は、互いに平行に設けられている。また、ピックアップロール14、ドクターロール16およびアプリケーターロール18は、ピックアップロール14の軸方向から見た場合に、同じ方向に回転駆動される。言い換えると、ピックアップロール14は、ドクターロール16およびアプリケーターロール18に対してリバース回転する。
塗液パン12には、塗液22が貯留されている。ピックアップロール14は、塗液パン12から塗液22を持ち上げる。具体的には、塗液22は、ピックアップロール14の表面に付着することによって持ち上げられる。ピックアップロール14の軸方向において、塗液パン12の長さは、ピックアップロール14の長さよりも長い。ピックアップロール14の直径は特に限定されないが、例えば、塗液22を円滑に持ち上げることができるように適宜設定すればよい。
ドクターロール16は、ピックアップロール14に近接して配置され、ピックアップロール14の表面における塗液22の付着量を調整する。なお、ピックアップロール14の周速は、ドクターロール16の周速以上に設定するのが望ましい。これにより、ピックアップロール14とドクターロール16との間を通過する塗液22の量を十分に確保することができる。ピックアップロール14の表面の塗液22の付着量を調整する際にドクターロール16の表面に付着した塗液22は、ドクターブレード20によって掻き取られる。なお、ドクターロール16の直径は特に限定されないが、例えば、ピックアップロール14の表面における塗液22の付着量を効率よく調整することができるように適宜設定すればよい。
アプリケーターロール18は、ピックアップロール14に近接して配置される。ドクターロール16によって付着量が調整されたピックアップロール14の表面の塗液22は、アプリケーターロール18に転写される。アプリケーターロール18は、所定方向(矢印Aで示す方向。)に搬送される金属帯100に対してリバース回転し、ピックアップロール14から転写された塗液22を金属帯100の表面に転写する。これにより、金属帯100の表面に塗膜102が形成される。なお、アプリケーターロール18の直径は特に限定されないが、例えば、ピックアップロール14から金属帯100へ塗液22を円滑に転写することができるように適宜設定すればよい。
ここで、本発明者らのこれまでの研究により、アプリケーターロール18の表面に転写された塗液22に凹凸が生じると、その凹凸形状が金属帯100の表面に転写されて、ローピング模様が発生することが分かっていた。しかしながら、上記の凹凸形状がどの部分で発生するのかについては、これまで分かっていなかった。そこで、本発明者らは、上記の凹凸形状の発生原因について詳細な検討を行った。その結果、以下に説明するように、凹凸形状の発生原因が判明した。
図1(a)に示すように、ピックアップロール14とドクターロール16との間において、塗液22の表面にメニスカス部22aが生じることが知られている。一方で、このメニスカス部22aの周辺の塗液22の圧力状態については、これまで詳細な検討が行われていなかった。そこで、本発明者らは、メニスカス部22aの周辺の塗液22の圧力状態について詳細な検討を行った。その結果、メニスカス部22aの周辺において、ピックアップロール14の軸方向に塗液22の圧力が変動する場合があることが分かった。また、このような圧力変動が発生すると、図1(b)に示すように、メニスカス部22aに凹凸が生じることが分かった(ここで、矢印Bはピックアップロール14の軸方向を示す)。さらに、本発明者らによる検討の結果、メニスカス部22aにおいて生じた上記の凹凸形状は、塗液22が金属帯100の表面に転写されるまで残存し、金属帯100の表面のローピング模様の原因となることが分かった。このように、本発明者らの検討によって、メニスカス部22aの周辺において塗液22に圧力変動が発生していること、およびその圧力変動に起因してローピング模様が発生していることが分かった。
上記の点に関して、本発明者らは、メニスカス部22a周辺における塗液22の圧力自体を小さくすることができれば、メニスカス部22a周辺における塗液22の圧力変動を小さくすることができ、メニスカス部22aに凹凸が生じることを防止することができると考えた。そこで、本発明者らは、まず、メニスカス部22aの周辺における塗液22の圧力状態について検討した。
図2は、ピックアップロール14とドクターロール16との関係を示す概略図である。なお、図2には、径方向から見たピックアップロール14およびドクターロール16が示されている。図2においては、ピックアップロール14とドクターロール16との間隔をd(mm)とし、ピックアップロール14およびドクターロール16の長さをそれぞれ、L(mm)とする。なお、本実施形態では、ピックアップロール14の軸方向Bにおける中心を通りかつ軸方向Bに垂直な仮想的な平面でピックアップロール14およびドクターロール16を切断した切断面における、ピックアップロール14とドクターロール16との最短距離を、間隔dとする。
図2に示すように、本発明者らは、ピックアップロール14とドクターロール16との間の隙間を、ピックアップロール14の長さ方向に並ぶ複数の毛細管30の集合であると考えて、メニスカス部22a周辺における塗液22の圧力状態を検討した。なお、毛細管30の直径は、ピックアップロール14とドクターロール16との間隔dに等しいものとする。また、本実施形態では、ピックアップロール14の軸方向Bにおいて、ピックアップロール14とドクターロール16との間隔は一定であると仮定する。この場合、ピックアップロール14とドクターロール16との隙間を通過する塗液22のせん断速度は、下記式(1)で表すことができ、せん断応力は、下記式(2)で表すことができる。
D=32Q/πd ・・・(1)
τ=ΔP・d/4L ・・・(2)
上記式において、Dは、塗液22のせん断速度(s-1)を示し、Qは、塗液22の流量(mm/s)を示し、dは、毛細管30の直径(mm)を示し、τは、せん断応力(Pa)を示し、Lは、ピックアップロール14(ドクターロール16)の長さ(mm)を示す。また、ΔPは、ピックアップロール14とドクターロール16との隙間を通過する直前の塗液22の圧力P(図1(a)参照)と上記隙間を通過した直後の塗液22の圧力P(図1(a)参照)との差(Pa)を示す。
なお、図2においては、ピックアップロール14の長さおよびドクターロール16の長さは互いに等しいが、ピックアップロール14の長さおよびドクターロール16の長さが異なっていてもよい。また、アプリケーターロール18の長さが、ピックアップロール14またはドクターロール16の長さよりも、長くてもよく、短くてもよい。ただし、ピックアップロール14、ドクターロール16およびアプリケーターロール18の長さは、金属帯100の幅よりも大きく設定される。ピックアップロール14の長さとドクターロール16の長さとが異なる場合、上記式(2)においてLは、ピックアップロール14およびドクターロール16のうち短い方の長さを意味する。
ニュートンの法則(τ=μ・D)および上記式(1),(2)から、下記式(3)が導かれる。
(P-P)・d/4L=μ・32Q/πd ・・・(3)
ただし、上記式(3)において、μは、塗液22の粘度(Pa・s)を示す。
上記式(3)を整理すると、下記式(4)が得られる。
=P-μ・k/d ・・・(4)
ただし、上記式(4)において、kは、比例定数である。
上記式(4)から、メニスカス部22a周辺における塗液22の圧力(すなわち、圧力P)を小さくするためには、圧力Pを小さくする、または、直径d(すなわち、ピックアップロール14とドクターロール16との間隔d)を小さくする必要がある。ここで、圧力Pは、ベルヌーイの定理から、下記式(5)で表すことができる。
∝V -V ・・・(5)
ただし、上記式(5)において、Vはピックアップロール14の周速(m/s)を示し、Vはドクターロール16の周速(m/s)を示す。
以上のことから、本発明者らは、(V -V )の値、およびピックアップロール14とドクターロール16との間隔d(図2参照)を適切に調整することによって、メニスカス部22a周辺における塗液22の圧力(圧力P)を小さくすることができると考えた。そこで、本発明者らは、実機および塗装装置10を模擬した実験機において、(V -V )の値および間隔dを変えて、メニスカス部22aに凹凸が発生するか否かを調査した。その結果、下記の(i)式を満たす場合に、メニスカス部22aにおいて凹凸が発生することを抑制できることが分かった。
-V ≦1×10・μ・d-4 ・・・(i)
上記(i)式において、Vはピックアップロール14の周速(m/s)を示し、Vはドクターロール16の周速(m/s)を示し、μは、塗液22の粘度(Pa・s)を示し、dはピックアップロール14とドクターロール16との間隔(μm)を示す。
なお、上記式(4)から、塗液22の圧力P(図1(a)参照)を小さくしてメニスカス部22aにおける凹凸の発生を抑制するためには、塗液22の粘度μを大きくすること、およびピックアップロール14とドクターロール16との間隔dを小さくすることが好ましいことが分かる。また、上記式(4)および(5)から、ピックアップロール14の周速を小さくすること、およびドクターロール16の周速を大きくすることが好ましいことが分かる。
(本発明の実施形態の説明)
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものである。以下、本発明の一実施形態に係る塗装金属板の製造方法について説明する。なお、以下に説明する実施形態においては、上述の塗装装置10を用いて本発明に係る塗装金属板の製造方法を実施する場合について説明するが、本発明に係る塗装金属板の製造方法を実施するための塗装装置は上述の塗装装置10に限定されず、下記のステップS1~S4を実行することができる塗装装置であればよい。
図1に示すように、本実施形態に係る塗装金属板の製造方法は、ピックアップロール14によって塗液22を持ち上げる工程(ステップS1)、ピックアップロール14の表面における塗液22の付着量をドクターロール16によって調整する工程(ステップS2)、ドクターロール16によって付着量が調整された塗液22をピックアップロール14からアプリケーターロール18に転写する工程(ステップS3)、および、アプリケーターロール18に転写された塗液22を、所定方向に搬送される金属帯100に転写することによって金属帯100の表面に塗膜102を形成する工程(ステップS4)を備えている。
詳細な説明は省略するが、上記のようにして塗膜102が形成された金属帯100は、所定の工程(冷却工程、乾燥工程等)を経た後、所定の寸法に切断される。これにより、塗装金属板が得られる。
なお、金属帯100の厚みは特に限定されないが、例えば、0.1~6.0mmである。また、金属帯100の材料は特に限定されない。金属帯100の材料としては、例えば、鉄、鉄基合金、アルミニウム、アルミニウム基合金、銅、銅基合金等の種々の材料を用いることができる。また、上述のステップS1の工程の前に、金属帯100の表面に、任意のめっき層(例えば、亜鉛めっき層)が形成されていてもよい。本実施形態では、金属帯100として、例えば、亜鉛系めっき鋼板が用いられる。亜鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、亜鉛-ニッケルめっき鋼板、亜鉛-鉄めっき鋼板、亜鉛-クロムめっき鋼板、亜鉛-アルミニウムめっき鋼板、亜鉛-チタンめっき鋼板、亜鉛-マグネシウムめっき鋼板、亜鉛-マンガンめっき鋼板、亜鉛-アルミニウム-マグネシウムめっき鋼板、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム-シリコンめっき鋼板等が挙げられる。めっき方法は特に限定されず、電気めっき法、溶融めっき法、蒸着めっき法、分散めっき法、真空めっき法等の公知のめっき法を利用することができる。
上記のステップS1~S4の工程を実施するに際して、ピックアップロール14の周速V(m/s)、ドクターロール16の周速V(m/s)、塗液22の粘度μ(Pa・s)、およびピックアップロール14とドクターロール16との間隔d(μm)は、下記式(i)を満たすように設定される。
-V ≦1×10・μ・d-4 ・・・(i)
また、上記のステップS1~S4の工程を実施するに際して、ピックアップロール14、ドクターロール16およびアプリケーターロール18の各回転軸は、互いに平行に設けられる。また、ピックアップロール14の軸方向から見た場合に、ピックアップロール14、ドクターロール16およびアプリケーターロール18は同じ方向に回転するように駆動される。
なお、塗液22の種類は特に限定されないが、例えば、粘度が15~50mPa・sの塗液22が用いられる。本実施形態では、粘度が20~35mPa・sの塗液22が用いられる。塗液パン12に貯留されている塗液22の温度は、例えば、5~45℃に調整される。また、各ロールの表面粗さは特に限定されないが、ピックアップロール14の表面粗さ(Ra)は、例えば、0.01μm~2.0μmであり、ドクターロール16の表面粗さ(Ra)は、例えば、0.01μm~0.15μmであり、アプリケーターロール18の表面粗さ(Ra)は、例えば、0.4μm~4.0μmである。
ピックアップロール14とドクターロール16との間隔dは、例えば、1μm以上に設定される。なお、間隔dは、ピックアップロール14およびドクターロール16の寸法精度、組み立て精度等に応じて適宜設定すればよく、3μm以上に設定してもよく、15μm以上に設定してもよい。本実施形態では、間隔dは、例えば、100μm~300μmに設定される。
ピックアップロール14、ドクターロール16およびアプリケーターロール18の周速は特に限定されないが、ピックアップロール14の周速は、例えば、0.1~3.5m/sであり、ドクターロール16の周速は、例えば、0.1~3.5m/sであり、アプリケーターロール18の周速は、例えば、0.2~10.0m/sである。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
発明例の金属帯および比較例の金属帯として、電気亜鉛めっき鋼板を準備した。発明例および比較例の金属帯は、それぞれ2つずつ準備した。上述の塗装装置10と同様の構成を有する塗装装置によって、ピックアップロール14およびドクターロール16の周速ならびにピックアップロール14とドクターロール16との間隔dを変えて、各金属帯の表面に塗膜を形成した。そして、各金属帯の塗膜にローピング模様が発生しているかどうかを調べた。なお、塗液22の温度は25℃であって、このとき粘度は30mPa・sであった。後述の参考例においても同様である。
ローピング模様の発生状況は、以下のようにして調査した。まず、各金属帯から、20mm×20mmの大きさのサンプルを切り出した。次に、切り出した各サンプルに対してエリクセン加工を行った。エリクセン加工では、球頭パンチを用いて、油圧によって、サンプルの中央部を15mm押し出した。各サンプルにおいてエリクセン加工が施された部分(押し出された部分)の状態を、目視によって標準試料と比較し、ローピング模様の発生状況を4段階で評価した。具体的には、ローピング模様の程度が異なる4つの標準試料(4段階のローピング模様:模様無し、僅かな模様あり、中程度の模様あり、重度の模様あり)を準備し、各サンプルと標準試料とを比較し、ローピング模様の発生状況を評価した。
また、参考例(3パターン)として、上述の塗液パン12、ピックアップロール14およびドクターロール16を模擬した試験機において各ロールの周速ならびにロール間の間隔dを変えて、ロール間に発生する塗液のメニスカス部の状態を調べた。具体的には、4Kカメラ(SONY FDR-AX100)によってメニスカス部に焦点を合わせて撮影し、撮影された画像から目視によって凹凸の発生の有無を確認した。
図3に、発明例(2パターン)、比較例(2パターン)、および参考例(3パターン)における、(V -V )の値と、ピックアップロールとドクターロールとの間隔dとの関係を示す。なお、図3には、下記式(6)によって決定される曲線が破線で示されている。
-V =1×10・μ・d-4 ・・・(6)
上記(6)式において、Vはピックアップロールの周速(m/s)を示し、Vはドクターロールの周速(m/s)を示し、μは、塗液の粘度(Pa・s)を示し、dはピックアップロールとドクターロールとの間隔(μm)を示す。
図3を参照して、上述の(i)式の要件を満たした発明例では、金属帯の塗膜にローピング模様が発生することを十分に抑制できた。具体的には、図3に示す2つの発明例のうち、(V -V )の値が大きい方の発明例では、僅かなローピング模様が発生したが、ローピング模様の程度は十分に軽度なものであった。また、図3に示す2つの発明例のうち、(V -V )の値が小さい方の発明例では、ローピング模様は発生しなかった。一方、上述の(i)式の要件を満たしていない比較例では、金属帯の塗膜にローピング模様が発生していた。具体的には、図3に示す2つの比較例のうち、(V -V )の値が大きい方の比較例では、重度のローピング模様が発生した。また、図3に示す2つの発明例のうち、(V -V )の値が小さい方の比較例では、中程度のローピング模様が発生した。
また、図3に示すように、上述の(i)式の要件を満たした参考例では、ロール間の塗液のメニスカス部に凹凸が発生していなかった。一方、上述の(i)式の要件を満たしていない参考例(2パターン)では、ロール間の塗液のメニスカス部に凹凸が発生していた。
以上の結果から、上述の(i)式を満たすように、ピックアップロールおよびドクターロールの周速、ならびにピックアップロールとドクターロールとの隙間を設定することによって、金属帯の塗膜にローピング模様が発生することを抑制できることが分かった。
本発明によれば、塗装金属板を製造するに際して、ローピング模様の発生を抑制することができる。
10 塗装装置
12 塗液パン
14 ピックアップロール
16 ドクターロール
18 アプリケーターロール
20 ドクターブレード
22 塗液
22a メニスカス部
30 毛細管
100 金属帯
102 塗膜

Claims (5)

  1. ピックアップロールによって塗液を持ち上げ、
    前記ピックアップロールの表面における前記塗液の付着量をドクターロールによって調整し、
    前記ドクターロールによって付着量が調整された前記塗液を前記ピックアップロールからアプリケーターロールに転写し、
    前記アプリケーターロールに転写された前記塗液を、所定方向に搬送される金属帯に転写することによって前記金属帯の表面に塗膜を形成する、塗装金属板の製造方法であって、
    前記ピックアップロール、前記ドクターロールおよび前記アプリケーターロールの各回転軸は、互いに平行に設けられ、
    前記ピックアップロールの軸方向から見た場合に、前記ピックアップロール、前記ドクターロールおよび前記アプリケーターロールは同じ方向に回転し、
    前記ピックアップロールおよび前記ドクターロールは、下記の(i)式を満たすように設置される、塗装金属板の製造方法。
    -V ≦1×10・μ・d-4 ・・・(i)
    上記(i)式において、Vはピックアップロールの周速(m/s)を示し、Vはドクターロールの周速(m/s)を示し、μは、塗液の粘度(Pa・s)を示し、dはピックアップロールとドクターロールとの間隔(μm)を示す。
  2. 前記塗膜を形成する前に、前記金属帯の表面に亜鉛めっき層を形成する、請求項1に記載の塗装金属板の製造方法。
  3. 前記ピックアップロールの周速は、前記ドクターロールの周速以上に設定される、請求項1または2に記載の塗装金属板の製造方法。
  4. 前記ピックアップロールと前記ドクターロールとの間隔は、1μm以上である、請求項1または2に記載の塗装金属板の製造方法。
  5. 前記ドクターロールの表面に付着した塗液をドクターブレードによって掻き取る、請求項1または2に記載の塗装金属板の製造方法。
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