JP2024021853A - ポリアミド系樹脂発泡粒子及びポリアミド系樹脂発泡粒子成形体 - Google Patents

ポリアミド系樹脂発泡粒子及びポリアミド系樹脂発泡粒子成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】型内成形性に優れ、幅広い成形圧で良好なポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を得ることができるポリアミド系樹脂発泡粒子を提供する。【解決手段】ポリアミド系樹脂を基材樹脂とするポリアミド系樹脂発泡粒子であって、前記発泡粒子がカーボンナノチューブを含有し、前記発泡粒子の独立気泡率が70%以上である、ポリアミド系樹脂発泡粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド系樹脂発泡粒子及びポリアミド系樹脂発泡粒子成形体に関する。
ポリアミド系樹脂は、耐熱性が高く、また耐摩耗性、耐薬品性等にも優れたプラスチックとして知られている。このポリアミド系樹脂を発泡させた発泡成形体は、耐熱性、耐摩耗性、及び耐薬品性等の優れた特性を保ちつつ、軽量化を図ることができることから、自動車部品、電気製品等での更なる用途展開が期待されている。
たとえば、特許文献1には、ポリアミド系樹脂発泡粒子、及び該発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体が開示されている。
国際公開第2020/050301号
前記特許文献1のような発泡粒子成形体を得る技術においては、発泡粒子を金型内に充填して、発泡粒子同士を融着させる必要があり、さらに成形性に優れるポリアミド系樹脂発泡粒子が求められていた。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、型内成形性に優れ、幅広い成形圧で良好なポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を得ることができるポリアミド系樹脂発泡粒子を提供することである。
前記課題に関し、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、カーボンナノチューブを含有し、特定範囲の独立気泡率を有するポリアミド系樹脂発泡粒子が、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、ポリアミド系樹脂を基材樹脂とするポリアミド系樹脂発泡粒子であって、前記発泡粒子がカーボンナノチューブを含有し、前記発泡粒子の独立気泡率が70%以上である、ポリアミド系樹脂発泡粒子、及び該ポリアミド系樹脂発泡粒子を型内成形してなるポリアミド系樹脂発泡粒子成形体である。
本発明によれば、型内成形性に優れ、幅広い成形圧で良好なポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を得ることができるポリアミド系樹脂発泡粒子を提供することができる。
熱流束示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線の一例である。
[ポリアミド系樹脂発泡粒子]
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子は、ポリアミド系樹脂を基材樹脂とするポリアミド系樹脂発泡粒子であって、前記発泡粒子がカーボンナノチューブを含有し、前記発泡粒子の独立気泡率が70%以上である。
(ポリアミド系樹脂)
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子の基材樹脂となるポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリアミド共重合体が挙げられ、ポリアミド共重合体が好ましい。
ポリアミドとしては、例えば、ポリ(カプロラクタム)としても知られるポリ(6-アミノヘキサン酸)(ポリカプロアミド、ナイロン6)、ポリ(ラウロラクタム)(ナイロン12)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン66)、ポリ(7-アミノヘプタン酸)(ナイロン7)、ポリ(8-アミノオクタン酸)(ナイロン8)、ポリ(9-アミノノナン酸)(ナイロン9)、ポリ(10-アミノデカン酸)(ナイロン10)、ポリ(11-アミノウンデカン酸)(ナイロン11)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)(ナイロン610)、ポリ(デカメチレンセバカミド)(ナイロン1010)、ポリ(ヘキサメチレンアゼラミド)(ナイロン69)、ポリ(テトラメチレンアジパミド)(ナイロン46)、ポリ(テトラメチレンセバカミド)(ナイロン410)、ポリ(ペンタメチレンアジパミド)(ナイロン56)、及びポリ(ペンタメチレンセバカミド)(ナイロン510)等のホモポリマーが挙げられる。
ポリアミド共重合体とは、2種以上の繰り返し単位を有し、それぞれの繰り返し単位の少なくとも一部にアミド結合を有するものを意味する。ポリアミド共重合体としては、例えば、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウリルラクタム(ナイロン6/66/12)、及びカプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)等が挙げられる。ポリアミド系樹脂は、これらのポリアミド及びポリアミド共重合体を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。以上のポリアミド系樹脂の中でも、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66、及びナイロン6/66/12から選択される1種または2種以上を組み合わせたポリアミド系樹脂であることが好ましく、ナイロン6/66及びナイロン6/66/12から選択される1種または2種であることがより好ましい。また、上記のポリアミド系樹脂として、植物由来原料を取り入れたポリアミド、ポリアミド共重合体も用いることができる。
ポリアミド共重合体は、ある一定量同じ繰り返し単位のアミドが続いた後に、異なる種類のアミドがある一定量続くブロック共重合体であっても、異なる種類のアミドがそれぞれランダムに繰り返すランダム共重合体であってもよいが、ランダム共重合体であることが好ましい。ポリアミド共重合体がランダム共重合体であれば、発泡粒子を型内成形する際に比較的低い成形圧力で成形することがより容易となる。
本発明で用いられるポリアミド系樹脂は、曲げ弾性率が1000MPa以上であることが好ましく、1200MPa以上であることがより好ましく、1500MPa以上であることがさらに好ましい。ポリアミド系樹脂の曲げ弾性率が上記範囲であれば、概ね曲げ弾性率が600MPa以下であるアミド系エラストマーとは異なり、発泡後に常温に晒されても収縮しにくく、高倍率の発泡粒子が得られ易くなるため好ましい。なお、ポリアミド系樹脂の曲げ弾性率の上限は概ね3000MPa程度である。
ポリアミド系樹脂の曲げ弾性率は、試験片を温度23℃、湿度50%の状態で24時間静置した後、JIS K7171:2016に準拠して測定することにより求めることができる。
前記ポリアミド系樹脂粒子で用いられ、得られるポリアミド系樹脂発泡粒子を構成するポリアミド系樹脂の融点(Tm0)は、耐熱性に優れたポリアミド系樹脂発泡粒子を得る観点から、好ましくは175℃以上、より好ましくは180℃以上、更に好ましくは185℃以上である。一方、発泡時の温度コントロールが容易であるという観点から、ポリアミド系樹脂の融点(Tm0)は、好ましくは230℃以下、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
なお、ポリアミド系樹脂の融点とは、ポリアミド系樹脂を1種単独で用いた場合は、そのポリアミド系樹脂の融点を指す。ポリアミド系樹脂が、2種以上のポリアミド系樹脂の混合物からなる場合、又はポリアミド系樹脂と他の熱可塑性樹脂の混合物からなる場合には、その混合物の最大吸熱ピークを融点とする。
本明細書において、樹脂の融点(Tm0)は、JIS K7121-1987に基づき、試験片の状態調節として「一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合」(試験片の状態調節における加熱速度と冷却速度は、いずれも10℃/分とする。)を採用し、熱流束示差走査熱量測定法により、加熱速度10℃/分で得られるDSC曲線の融解ピークのピーク頂点温度として求められる値である。DSC曲線が複数の融解ピークを有する場合、最も大きな面積を有する融解ピークのピーク頂点温度を融解温度として採用する。なお、ポリアミド系樹脂の試験片は、例えば、デシケーター内に入れた後、真空吸引して保存する等、高温、多湿条件下を避けて加水分解しないように保存したものを使用する。
本発明で用いられるポリアミド系樹脂は、密度が1.05g/cm3以上であることが好ましく、1.1g/cm3以上であることが好ましい。密度の測定は、ISO 1183-3に記載の方法に基づいて求めることができる。
本発明で用いられるポリアミド系樹脂は、分子鎖末端の官能基が封鎖されている末端封鎖ポリアミド系樹脂であることが好ましい。これにより、発泡粒子の製造過程での加水分解をより確実に抑制することができ、型内成形に好適な発泡粒子が得られやすくなる。
更には、型内成形により得られる発泡粒子成形体(以下、単に「成形体」ともいう。)の耐久性が向上する。
上記分子鎖末端を封鎖するための末端封鎖剤としては、例えばカルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物等を用いることができる。
これらの中でも、カルボジイミド化合物が好ましい。具体的には、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド(例えば、ラインケミー社製「Stabaxol 1-LF」)等の芳香族モノカルボジイミド、芳香族ポリカルボジイミド(例えば、ラインケミー社製「Stabaxol P」、「Stabaxol P100」、「Stabaxol P400」等)、ポリ(4,4’-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド(例えば日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライトLA-1」)等が挙げられる。これらの末端封鎖剤は単独で使用してもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、末端封鎖剤の配合量は、ポリアミド系樹脂100質量部に対して0.1~5質量部が好ましく、0.5~3質量部がより好ましい。
このように、本発明で用いられるポリアミド系樹脂は、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、及びイソシアネート化合物等から選ばれる1種以上の末端封鎖剤にて末端封鎖されたポリアミド系樹脂であることが好ましく、カルボジイミド化合物にて末端封鎖されたポリアミド系樹脂であることがより好ましい。
(カーボンナノチューブ)
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子はカーボンナノチューブを含有する。
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子に含有されるカーボンナノチューブは、本発明の効果を奏するものであれば、特に制限はないが、以下に示すカーボンナノチューブが好ましい。
前記カーボンナノチューブの平均直径は、好ましくは5~25nmであり、より好ましくは10~20nmである。
前記カーボンナノチューブの平均長さは、好ましくは0.2~50μmであり、より好ましくは0.5~50μmであり、更に好ましくは2~40μmである。
また、前記カーボンナノチューブのアスペクト比は、好ましくは20~1000であり、より好ましくは100~1000である。アスペクト比は、平均長さを平均直径で除することで求められる。
前記カーボンナノチューブの平均直径及び平均長さは、例えば、以下の方法により測定することができる。まず、走査型電子顕微鏡により発泡粒子の表面像を取得する。この表面像中に存在するカーボンナノチューブの直径を無作為に選択した50か所において測定する。そして、得られた直径の平均値を平均直径とすることができる。
同様に、走査型電子顕微鏡により取得した表面像から無作為に50本のカーボンナノチューブを選択し、画像解析により各カーボンナノチューブの長さを測定する。なお、カーボンナノチューブが直線状ではなく、折れ曲がった形状である場合には、キルビメーター等を用いてカーボンナノチューブの形状に沿った長さを測定すればよい。このようにして得られた長さの平均値を平均長さとすることができる。
前記カーボンナノチューブとしては、多層カーボンナノチューブを用いてもよい。
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子中の前記カーボンナノチューブの含有量は、基材樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上10質量部以下である。本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子中の前記カーボンナノチューブの含有量は、基材樹脂100質量部に対して、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.6質量部以上、より更に好ましくは0.8質量部以上であり、そして、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、より更に好ましくは2質量部以下である。カーボンナノチューブの含有量が上記の範囲であることで、幅広い成形圧で良好なポリアミド系樹脂発泡粒子成形体が得られる。本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子を製造する際には、カーボンナノチューブを含有するマスターバッチを用いることが好ましく、マスターバッチに含まれる前記ポリアミド系樹脂以外の樹脂が基材樹脂に含まれてもよい。上記のカーボンナノチューブとしては、市販のものを使用することができ、例えば、Nanocyl社などから購入することができる。
本発明において、本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子が型内成形性に優れ、幅広い成形圧で良好なポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を得ることができる理由は定かではないが、以下のことが考えられる。ポリアミド系樹脂発泡粒子を型内成形する際、スチームによる加熱と加圧によって、ポリアミド系樹脂の結晶成分を十分に融解させる必要があるが、型内成形後、温度と圧力が下がるにつれて樹脂の結晶化が進行し、ヒケ(体積が減少する変形)が生じる。この際、カーボンナノチューブにより、この時の体積収縮が抑えられるため成形収縮率が小さく抑えられ、幅広い成形圧で良好なポリアミド系樹脂発泡粒子成形体が得られるものと考えられる。
(着色剤)
本発明の発泡粒子には、得られる成形体の外観を向上させ、意匠性を高めるために、着色剤を含んでいてもよい。黒色系の成形体を製造する場合には、前記カーボンナノチューブのみでも着色した成形体を得ることが可能であるが、より着色度を向上させたり、色相を調整するために、更に着色剤を含有させてもよい。
着色剤としては、無機系または有機系の顔料や染料を用いることができる。着色剤は、用いられる。
無機顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、焼成顔料、メタリック顔料、マイカ、パール顔料、亜鉛華、沈降性シリカ、カドミウム赤などが挙げられる。
有機顔料としては、モノアゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、アンスラキノン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、ニトロソ系顔料、有機蛍光顔料等が挙げられる。
また、染料としては、例えば、アンスラキノン系染料、ペリノン系染料、塩基性染料、酸性染料、媒染染料等を挙げることができる。
これらの着色剤の中でも、耐候性の観点から、有機顔料または無機顔料を使用することが好ましい。耐熱性や耐候性の点から、無機顔料が好ましい。
発泡粒子中の着色顔料の含有量は、好ましくは0.5~10質量%であり、より好ましくは0.8~5質量%であり、更に好ましくは1~3質量%である。
なかでも、着色顔料としてカーボンブラックを用いた場合、発泡粒子中のカーボンブラックの含有量は、好ましくは0.5~10質量%であり、より好ましくは0.8~5質量%であり、更に好ましくは1~3質量%である。着色顔料の含有量が上記の範囲であることで、得られる発泡粒子成形体に優れた意匠性を与えることができる。
(他の樹脂及び添加剤)
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子は、ポリアミド系樹脂を基材樹脂とする。本明細書において、「ポリアミド系樹脂を基材樹脂とする」とは、ポリアミド系樹脂発泡粒子がポリアミド系樹脂を主成分とする樹脂から構成されていることを意味する。
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、前記ポリアミド系樹脂以外の他の樹脂を含んでいてもよい。この場合、前記ポリアミド系樹脂発泡粒子中の前記ポリアミド系樹脂以外の樹脂の含有量は、ポリアミド系樹脂100質量部に対して、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下が更に好ましく、10質量部以下がより更に好ましく、5質量部以下が特に好ましい。
他の樹脂として、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、酢酸ビニル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等が挙げられ、これらのなかではポリプロピレン系樹脂が好ましい。
本発明の発泡粒子には、通常使用される帯電防止剤、導電性付与剤、滑剤、紫外線吸収剤、難燃剤、金属不活性化剤、結晶核剤、及び充填材等の各種の添加剤を、必要に応じて適宜配合することができる。これらの各種添加剤の添加量は、成形体の使用目的により異なるが、基材樹脂100質量部に対して25質量部以下であることが好ましい。より好ましくは15質量部以下であり、更に好ましくは10質量部以下であり、より更に好ましくは5質量部以下である。
(ポリアミド系樹脂発泡粒子の特性)
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子の独立気泡率は70%以上である。本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子の独立気泡率は、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上であり、より更に好ましくは90%以上である。発泡粒子の独立気泡率が上記範囲を満足すると、見掛け密度が低い発泡粒子が得られやすい。また、独立気泡率が上記範囲を満足する発泡粒子を用いて型内成形した発泡粒子成形体は、融着性、回復性に優れる成形体が得られやすくなる。なお、独立気泡率は、発泡粒子中の全気泡の容積に対する独立気泡の容積の割合であり、ASTM-D2856-70に基づき空気比較式比重計を用いて求めることができる。
本発明の発泡粒子の見掛け密度は、好ましくは50kg/m3以上500kg/m3以下である。本発明の発泡粒子の見掛け密度は、より好ましくは70kg/m3以上、更に好ましくは100kg/m3以上であり、そして、より好ましくは300kg/m3以下、更に好ましくは200kg/m3以下である。
発泡粒子の見掛け密度が上記範囲であれば、型内成形性が良好となり、良好な発泡粒子成形体が得られ易くなる。なお、発泡粒子の見掛け密度は、以下の方法で測定される。
温度23℃の水の入ったメスシリンダーを用意し、相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日間放置した約500cm3の発泡粒子の質量W1を測定する。次に前記メスシリンダーに、該発泡粒子を金網を使用して沈める。金網の体積を考慮して、水位上昇分より読みとられる発泡粒子の容積V1[cm3]を測定し、発泡粒子の質量W1[g]を容積V1で割り算し(W1/V1)、単位を[kg/m3]に換算することにより、発泡粒子の見掛け密度を求める。
本発明の発泡粒子の平均気泡径は、好ましくは20μm以上200μm以下である。本発明の発泡粒子の平均気泡径は、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは40μm以上であり、そして、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。発泡粒子の平均気泡径が上記範囲であれば、型内成形性が良好となり、発泡粒子を用いて得られる成形体の外観が良好となる。
また、発泡粒子の最表面側の気泡の気泡径である最外気泡径は、好ましくは30~150μmであり、より好ましくは50~130μmである。また、前記平均気泡径に対する最外気泡径の比は、0.5~1.5であることが好ましく、0.7~1.3であることが成形性の観点から好ましい。
なお、ポリアミド系樹脂発泡粒子の平均気泡径及び最外気泡径は、後述する方法で測定される。
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子は、下記の条件1にて得られるDSC曲線において、ポリアミド系樹脂に固有の融解ピーク(固有ピーク)と、該固有ピークの頂点温度よりも高温側に頂点温度を有する融解ピーク(高温ピーク)とが現れる結晶構造を有することが好ましい。
(条件1)
JIS K7121-1987の熱流束示差走査熱量測定法に基づき、ポリアミド系樹脂発泡粒子を試験片とし、加熱速度10℃/分にて30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させ前記DSC曲線を測定する。
次により詳細に説明する。
前記DSC曲線は、前記測定方法により、発泡粒子を加熱することにより得られるDSC曲線(第1回目の加熱におけるDSC曲線)を意味する。また、ポリアミド系樹脂に固有の融解ピーク(固有ピーク)とは、発泡粒子を構成するポリアミド系樹脂が通常有する結晶の融解により現れる融解ピークである。
一方、固有ピークよりも高温側に頂点温度を有する融解ピーク(高温ピーク)とは、第1回目の加熱におけるDSC曲線で前記固有ピークよりも高温側に現れる融解ピークである。この高温ピークが現れる場合、樹脂中に二次結晶が存在するものと推定される。なお、発泡粒子を10℃/分の加熱速度で30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱(第1回目の加熱)した後、10℃/分の冷却速度で融解ピーク終了時よりも30℃高い温度から23℃まで冷却し、その後再び10℃/分の加熱速度で23℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱(第2回目の加熱)したときに得られるDSC曲線(第2回目の加熱におけるDSC曲線)においては、発泡粒子を構成するポリアミド系樹脂が通常有する結晶の融解による融解ピークのみが現れる。この固有ピークは前記第1回目の加熱におけるDSC曲線にも第2回目の加熱におけるDSC曲線にも現れ、ピーク頂点の温度は第1回目と第2回目とで多少異なる場合があるが、通常、その差は5℃未満である。これによって、いずれのピークが固有ピークであるかを確認することができる。
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子の高温ピークの融解熱量は、好ましくは0.1J/g以上20J/g以下である。本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子は、カーボンナノチューブを含有することで、高温ピークの融解熱量が小さい場合や高温ピークが発現しない結晶構造の発泡粒子であっても、型内成形が可能な成形圧力範囲の広い発泡粒子とすることができる。発泡粒子の高温ピークの融解熱量が前記範囲であると、更に成形性が向上する。本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子の高温ピークの融解熱量は、より好ましくは1J/g以上、更に好ましくは3J/g以上、より更に好ましくは5J/g以上であり、そして、より好ましくは10J/g以下、更に好ましくは7J/g以下である。
高温ピークの融解熱量は、ポリアミド系樹脂発泡粒子を試験片として、JIS K7121-1987の熱流束示差走査熱量測定法に基づいて求めることができる。具体的には、試験片を加熱速度10℃/分にて30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱することにより得られるDSC曲線(第1回目の加熱におけるDSC曲線)から求めることができ、より具体的には、実施例に記載の方法によって測定することができる。
<ポリアミド系樹脂発泡粒子の製造方法>
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子は、いかなる方法で得てもよいが、前記ポリアミド系樹脂を基材樹脂とし、カーボンナノチューブを含有する樹脂粒子を発泡させてポリアミド系樹脂発泡粒子を製造することが好ましい。より好ましいポリアミド系樹脂発泡粒子の製造方法は、ポリアミド系樹脂と、カーボンナノチューブを含有するマスターバッチとを混練し、造粒して、樹脂粒子を得る工程、及び樹脂粒子を発泡させる工程を有することが好ましい。本発明の発泡粒子の発泡方法としては、押出発泡方法、ガス含浸予備発泡方法、分散媒放出発泡方法、或いは、これらの方法及びこれらの方法の原理を基本としたその他の発泡方法が挙げられる。より好ましいポリアミド系樹脂発泡粒子の製造方法は、ポリアミド系樹脂と、カーボンナノチューブを含有するマスターバッチとを混練し、造粒して、樹脂粒子を得る工程、及び樹脂粒子を発泡させる工程を有する。以下に詳細に説明する。
(ポリアミド系樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子及び製造方法)
前記樹脂粒子の1個の質量は、目的とする発泡粒子の大きさ、見掛け密度等に応じて適宜設定されるが、0.5~15.0mgであることが好ましい。上記範囲内であれば、見掛け密度を高めることができる。かかる観点から、樹脂粒子の質量の下限は1.0mgであることがより好ましく、1.5mgであることが更に好ましい。一方、その上限は10.0mgであることがより好ましく、7.0mgであることが更に好ましく、5.0mgであることが特に好ましい。
樹脂粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法により得ることができる。例えば、ポリアミド系樹脂と、カーボンナノチューブとを混練し、造粒して、樹脂粒子を得ることができ、ポリアミド系樹脂と、カーボンナノチューブを含有するマスターバッチとを混練し、造粒して、樹脂粒子を得ることが好ましい。具体的には、ポリアミド系樹脂、カーボンナノチューブ又はカーボンナノチューブのマスターバッチ、必要に応じて気泡調整剤等の添加剤を押出機に投入し、混練して溶融混練物とし、溶融物を所定の質量となるように切断して樹脂粒子を得ることができる。
溶融物を所定の質量となるように切断する方法としては、押出機先端に付設されたダイの小孔からストランド状に溶融混練物を押し出し、押出された溶融物をペレタイザーで所定の質量となるように切断するストランドカット法、前記溶融混練物を気相中に押出した直後に切断するホットカット法、前記溶融混練物を水中に押出した直後に切断するアンダーウォーターカット法(UWC法)等が挙げられる。
上記のように、ポリアミド系樹脂粒子の製造にあたり、予めカーボンナノチューブを熱可塑性樹脂に分散させたマスターバッチを作製し、ポリアミド系樹脂、該マスターバッチ、必要に応じてさらに添加される添加剤を押出機に投入することが好ましい。カーボンナノチューブをマスターバッチとすることによりポリアミド系樹脂粒子中にカーボンナノチューブを均一に分散させやすくなる。
前記マスターバッチ中のカーボンナノチューブの濃度としては、1~40質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましく、10~20質量%が更に好ましい。また、ポリアミド系樹脂にカーボンナノチューブをより分散させやすくする観点から、マスターバッチ中の熱可塑性樹脂は、ポリアミド系樹脂及びポリオレフィン系樹脂から選ばれる1種以上であることが好ましく、ポリアミド系樹脂及びポリプロピレン系樹脂から選ばれる1種以上であることがより好ましい。
(ポリアミド系樹脂発泡粒子の製造方法の例)
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子の製造方法は、前記ポリアミド系樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子に発泡剤を含浸させる「含浸工程」と、加熱、圧力変化、体積変化等により、発泡剤を含浸した前記ポリアミド系樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子を発泡させる「発泡工程」とを有する製造方法が挙げられる。
(発泡剤)
本発明の発泡粒子の製造方法では、発泡剤として好ましくは物理発泡剤を用いる。物理発泡剤としては、有機系物理発泡剤として、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、クロロフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、及びメチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、及びメチルエチルエーテル等のジアルキルエーテル等が挙げられる。また、無機系物理発泡剤として、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気等が挙げられる。
物理発泡剤の中でも、環境への影響が少ないとともに可燃性がなく安全性に優れるという観点から、無機系物理発泡剤が好ましく、二酸化炭素又は窒素がより好ましく、二酸化炭素が更に好ましい。
(製造方法の例)
本発明の発泡粒子を製造する方法としては、前記「含浸工程」と「発泡工程」を有するものであれば、制限はないが、[1]樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、発泡剤を含浸させた樹脂粒子を発泡させずに取り出し、その後に発泡装置にて加熱して発泡粒子を得る方法、及び[2]密閉装置内の分散媒中に分散した樹脂粒子に発泡剤を含浸させるとともに、樹脂の軟化温度付近に昇温した後、低圧下で分散媒と共に樹脂粒子を装置外に放出することで発泡粒子を得る方法が好ましく、上記[2]の方法がより好ましい。
以下に[2]の方法である好適な製造方法を説明する。
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子を製造する製造方法は、次の各工程を有することが好ましい。
(1)密閉容器内で、ポリアミド系樹脂を基材樹脂とする前記樹脂粒子を水中に分散させ、分散液を得る分散工程と、
(2)該分散液中の該樹脂粒子に物理発泡剤を含浸させる含浸工程と、
(3)該分散液を、樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上50℃低い温度(Tm-50℃)未満で1分以上60分以下の保持時間で保持する保持工程
(4)発泡させる直前の分散液の温度(Te)を該樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上、50℃低い温度(Tm-50℃)未満とし、発泡剤を含む樹脂粒子を水と共に密閉容器内から密閉容器内の圧力よりも低圧下に放出して発泡させる発泡工程
本発明の発泡粒子を製造する製造方法は、上記工程以外の工程を有していてもよいし、上記工程において、更に他の成分を添加してもよい。上記含浸工程と上記保持工程は同時に行っても良く、上記保持工程を上記含浸工程よりも先に行っても構わない。
〔分散工程〕
分散工程は、密閉容器内で、前記樹脂粒子を水中に分散させ、分散液を得る工程である。
樹脂粒子を水中に分散させる方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、撹拌機を使用して、水を撹拌しながら水に樹脂粒子を添加し、更に撹拌することによって、分散液を得ることができる。
また、必要に応じて分散液に、酸化アルミニウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、カオリン、マイカ、タルク、スメクタイト等の無機物質等の分散剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤等の分散助剤を添加することが好ましい。樹脂粒子と分散剤との質量比(樹脂粒子/分散剤)は、20~2000とすることが好ましく、より好ましくは30~1000である。また、分散剤と分散助剤との質量比(分散剤/分散助剤)は、1~500とすることが好ましく、より好ましくは1~100である。
〔含浸工程〕
含浸工程は、分散液中の樹脂粒子に発泡剤を含浸させる工程である。また、同時に樹脂粒子を吸水させることもできる。樹脂粒子への発泡剤の含浸方法は特に限定されるものではないが、オートクレーブ等の加圧可能な密閉容器内で樹脂粒子を水中に分散させ、該樹脂粒子に発泡剤を含浸させることが好ましい。なお、発泡剤を樹脂粒子に短時間で十分に含浸させる観点から、樹脂粒子への発泡剤の含浸は、加圧に加えて、加熱することが好ましい。
含浸工程は、加圧する場合、密閉容器内の圧力が、大気圧から含浸時の圧力(以下、含浸圧力ともいう。)まで到達する工程を含む。
また、発泡剤を含浸させる工程は、樹脂粒子を水中に分散せた分散液を、常温から含浸時の温度(以下、含浸温度ともいう。)まで加熱する工程を含む。
加熱下で行われる含浸時の温度は、発泡剤を樹脂粒子に短時間で十分に含浸させる観点から、好ましくは50℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、そして、好ましくは樹脂粒子の融点(Tm(℃))以下、より好ましくは(Tm-20(℃))以下である。
また、加圧下で行われる含浸時の圧力(以下、含浸圧力ともいう。)は、発泡剤を樹脂粒子に短時間で十分に含浸させる観点から、分散液が入った容器に発泡剤を添加することにより、密閉容器内の圧力が、1.5MPa(G)以上となるようにすることが好ましく、2.5MPa(G)以上となるようにすることがより好ましく、そして、7MPa(G)以下となるようにすることが好ましく、5MPa(G)以下となるようにすることがより好ましい。
なお、「1.5MPa(G)」は、ゲージ圧で1.5MPaであることを意味する。
分散工程及び含浸工程は、樹脂粒子を吸水させる役割も有する。樹脂粒子を十分に吸水させて可塑化させる観点から、分散液を得る工程及び発泡剤を含浸させる工程の合計時間が20分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましい。一方、発泡粒子の生産性の観点からは、上記時間が60分以下であることが好ましい。
また、含浸工程における昇温速度は、樹脂粒子を十分に吸水させて可塑化させる観点から、10℃/分以下とすることが好ましく、7℃/分以下とすることがより好ましい。一方、発泡粒子の生産性の観点から、昇温速度は、1℃/分以上とすることが好ましく、2℃/分以上とすることがより好ましい。
〔保持工程〕
保持工程は、分散液を、樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上50℃低い温度(Tm-50℃)未満で1分以上60分以下の保持時間で保持する工程である。
保持工程における分散液の保持温度は、ポリアミド系樹脂を十分に吸水させ可塑化させる観点、及び発泡剤をポリアミド系樹脂に均一に含浸させる観点から、樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上、好ましくは80℃低い温度(Tm-80℃)以上、より好ましくは70℃低い温度(Tm-70℃)以上、更に好ましくは65℃低い温度(Tm-65℃)以上であり、そして、50℃低い温度(Tm-50℃)未満、好ましくは55℃低い温度(Tm-55℃)以下、より好ましくは57℃低い温度(Tm-57℃)以下、更に好ましくは59℃低い温度(Tm-59℃)以下である。
通常、ポリプロピレン系樹脂等の汎用樹脂を基材樹脂とする発泡粒子を製造する際、原材料の樹脂の融点付近で保持を行う。しかしながら、本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子の製造方法においては、樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上、50℃低い温度(Tm-50℃)未満で保持して製造される。これは、ポリアミド系樹脂が吸湿性を有するため、分散液として用いる水により樹脂粒子が可塑化され、融点が大幅に下がり、その結果、樹脂粒子の融点よりも大幅に低い温度で、所望の見掛け密度及び独立気泡率を有する発泡粒子を製造することが可能になったためと考えられる。
保持工程における保持時間は、発泡剤をポリアミド系樹脂に均一に含浸させ、高い独立気泡率を有する発泡粒子を得る観点から、1分以上、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、更に好ましくは13分以上である。そして、発泡粒子の生産性の観点、及びポリアミド系樹脂の加水分解を防ぐ観点から、保持する工程における保持時間は、60分以下、好ましくは40分以下、より好ましくは30分以下、更に好ましくは20分以下、より更に好ましくは18分以下である。上記時間で保持することにより、見掛け密度が低く、独立気泡率が高いポリアミド系樹脂発泡粒子を得ることが可能となる。保持する工程は、前記温度範囲内で多段階に設定することもでき、また、該温度範囲内で十分な時間を要してゆっくりと昇温させることも可能である。容易に製造が可能であるという観点からは、前記温度範囲内で一段階(保持温度が一定)に設定し、上記時間保持することが好ましい。
保持工程は、発泡剤をポリアミド系樹脂に均一に含浸させる観点から、加圧下で行われることが好ましく、含浸圧力と同じ圧力を維持することが好ましい。分散液が入った容器内の圧力は、1.5MPa(G)以上となるようにすることが好ましく、2.5MPa(G)以上となるようにすることがより好ましい。また、分散液が入った容器内の圧力は、7MPa(G)以下となるようにすることが好ましく、5MPa(G)以下となるようにすることがより好ましい。
〔発泡工程〕
発泡工程は、発泡剤を含浸した樹脂粒子を発泡させる工程である。
樹脂粒子の発泡方法は特に限定されるものではないが、前記保持する工程に続いて、発泡剤が含浸した樹脂粒子を水とともに、保持する工程における圧力より低い圧力雰囲気下(通常は大気圧下)に放出して発泡させる発泡法が好ましい。
発泡させる直前の分散液の温度Te(以下、発泡温度ともいう。)は、見掛け密度が低く、独立気泡率が高い発泡粒子を得る観点から、樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上、好ましくは80℃低い温度(Tm-80℃)以上、より好ましくは70℃低い温度(Tm-70℃)以上、更に好ましくは65℃低い温度(Tm-65℃)以上であり、そして、樹脂粒子の融点(Tm)よりも50℃低い温度(Tm-50℃)未満、好ましくは55℃低い温度(Tm-55℃)以下、より好ましくは57℃低い温度(Tm-57℃)以下、更に好ましくは59℃低い温度(Tm-59℃)以下である。
発泡させる工程における放出直前の圧力(発泡圧力)は、好ましくは0.5MPa(G)以上、より好ましくは1.5MPa(G)以上、更に好ましくは2.5MPa(G)以上であり、そして、好ましくは10MPa(G)以下、より好ましくは7MPa(G)以下、更に好ましくは5MPa(G)以下である。
[ポリアミド系樹脂発泡粒子成形体]
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子成形体は、前記ポリアミド系樹脂発泡粒子を型内成形してなるポリアミド系樹脂発泡粒子成形体である。
すなわち、本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子成形体は、本発明の前記ポリアミド系樹脂発泡粒子を型内成形することにより、得られるポリアミド系樹脂発泡粒子成形体である。
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子は、型内成形性に優れ、幅広い成形圧で良好なポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を得ることができるから、得られる発泡粒子成形体は、強度や外観が良好である発泡粒子成形体となる。本発明の前記発泡粒子を型内成形することにより得られる発泡粒子成形体は、成形後の成形収縮を抑制することができるため厚物の成形体が好適に得られる。発泡粒子成形体の厚みとしては、30mm以上であることが好ましく、40mm以上であることがより好ましい。
型内成形法は、従来公知の方法を採用することできるが、スチームによる加熱を用いることが好ましい。スチームにより、発泡粒子中のポリアミド系樹脂が、吸水し可塑化する為、成形圧を低くすることが可能となる。なお、得られた成形体を乾燥して水分を除去すれば、ポリアミド系樹脂本来の物性に戻り、成形体は高い耐熱性を有する成形体となる。
本発明の発泡粒子は、型内成形性に優れる。具体的には、成形体を得るために型内成形する際の二次発泡性に優れる。また、水冷時間を短くすることができ、その結果、全体の成形時間を短くすることができる。
発泡粒子成形体の水冷時間は、以下のようにして求められる。まず、得られた発泡粒子を成形型に充填し、スチーム加熱による型内成形を行なって板状の発泡粒子成形体を得る。加熱方法は両面の型のドレン弁を開放した状態でスチームを5秒間供給して予備加熱(排気工程)を行ったのち、移動側型よりスチームを供給し、次いで固定側型よりスチームを供給した後、成形加熱スチーム圧力(成形圧力=成形蒸気圧)まで加熱する。加熱終了後、放圧し、成形体の発泡力による表面圧力が0.02MPa(ゲージ圧)に低下するまで水冷したのち、型を開放し成形体を型から取り出す。発泡粒子成形体の水冷時間は、水冷開始から面圧が0.02MPa(ゲージ圧)に到達するまでに要した水冷時間(秒)とする。
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子を用いて得られたポリアミド系樹脂発泡粒子成形体の密度は、好ましくは10kg/m3以上250kg/m3以下である。本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子を用いて得られたポリアミド系樹脂発泡粒子成形体の密度は、より好ましくは20kg/m3以上、更に好ましくは40kg/m3以上であり、そして、より好ましくは200kg/m3以下、更に好ましくは100kg/m3以下である。なお、ポリアミド系樹脂発泡粒子成形体の密度は、以下の方法で測定される。
ポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を、相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日間放置し、その質量(W[g])を測定する。次に、発泡粒子成形体の寸法に基づいて、発泡粒子成形体の体積V[cm3]を測定する。発泡粒子成形体の質量W[g]を体積Vで割り算し(W/V)、単位を[kg/m3]に換算することにより、発泡粒子成形体の密度を求めることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
各例における原料、発泡粒子及び発泡粒子成形体の各種物性は、以下の方法により測定した。
[測定方法]
〔ポリアミド系樹脂の融点〕
JIS K7121-1987に基づき、熱流束示差走査熱量測定法により、ポリアミド系樹脂の融点を測定した。窒素流入量30mL/分の条件下で、10℃/分の加熱速度で30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融(1回目の昇温)してから、次いでその温度にて10分間保った後、10℃/分の冷却速度で30℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/分で融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融して得られる2回目のDSC曲線の融解ピークのピーク頂点温度として求めた。なお、測定装置として、高感度型示差走査熱量計「EXSTAR DSC7020」(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を使用した。また、試験片として用いた樹脂粒子及び発泡粒子は、高温、多湿条件下を避けて加水分解しないようデシケーター内で窒素雰囲気下とした後、真空吸引して水分量を1000質量ppm以下で24時間保存したものを融点の測定に使用した。
〔ポリアミド系樹脂の密度〕
ISO 1183-3に記載の方法に基づいて求めた。
〔ポリアミド系樹脂の曲げ弾性率(MPa)〕
ポリアミド系樹脂の曲げ弾性率は、JIS K7171:2016に準拠して測定することにより求めた。曲げ弾性率は、厚み4mm、幅10mm、長さ80mmの樹脂試験片を作製し、試験片を室温23℃、湿度50%の状態で72時間静置した後、支点間距離64mm、圧子の半径R15.0mm、支持台の半径R25.0mm、試験速度2mm/min、室温23℃、湿度50%の条件で、オートグラフAGS-10kNG(島津製作所製)試験機により測定し、算出された値(5点)の平均値を採用した。
〔発泡粒子の独立気泡率〕
ASTM-D2856-70に記載されている手順Cに準じて、発泡粒子の真の体積(発泡粒子を構成する樹脂の容積と、発泡粒子内の独立気泡部分の気泡全容積との和)の値Vxを測定した。この真の体積Vxの測定には、東芝・ベックマン株式会社製の空気比較式比重計「930」を用いた。次いで、下記の式(1)により独立気泡率を算出し、5回の測定結果の算術平均値を求めた。
独立気泡率(%)=(Vx-W/ρ)×100/(Va-W/ρ)・・・(1)
Vx:上記方法で測定される発泡粒子の真の体積(cm3
Va:発泡粒子の見掛けの体積(cm3
W:発泡粒子測定用サンプルの質量(g)
ρ:発泡粒子を構成する樹脂の密度(g/cm3
〔発泡粒子の見掛け密度〕
温度23℃の水の入ったメスシリンダーを用意し、相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日間放置した約500cm3の発泡粒子の質量W1を測定した。次に前記メスシリンダーに、該発泡粒子を金網を使用して沈めた。金網の体積を考慮して、水位上昇分より読みとられる発泡粒子の容積V1[cm3]を測定し、発泡粒子の質量W1[g]を容積V1で割り算し(W1/V1)、単位を[kg/m3]に換算することにより、発泡粒子の見掛け密度を求めた。
〔発泡粒子の平均気泡径及び最外気泡径〕
まず、発泡粒子の中心部を通るように発泡粒子を約二分割し、切断面を走査型電子顕微鏡にて写真を撮影した。次いで、得られた断面写真において、発泡粒子切断面の中心付近から8方向に等間隔に直線を引き、その直線と交わる気泡の数を全てカウントした。該直線の合計長さを、カウントされた気泡数で除して得られた値を発泡粒子の気泡径とした。この操作を10個の発泡粒子について同様に行い、各発泡粒子の気泡径の算術平均値を発泡粒子の平均気泡径とした。
また、発泡粒子の最外気泡径は、同様にして得られた断面写真において、最表面部分の気泡について、発泡粒子表面から垂線を引いたときの気泡の最大長さを算出し、上記測定を10か所以上の気泡において行い、その平均値を最外気泡径とした。
〔発泡粒子の高温ピークの融解熱量(ΔH2)〕
発泡粒子を試験片とし、熱流束示差走査熱量測定によって10℃/分の昇温速度で、30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで昇温して測定したときに得られる1回目のDSC曲線に得られた融解ピークから、各融解ピークの頂点の温度と融解熱量を求めた。なお、測定装置として、高感度型示差走査熱量計「EXSTAR DSC7020」(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を使用した。以下に図1(1回目のDSC曲線)を用いて説明する。
図1に示す1回目のDSC曲線において、2つの融解ピークが存在するが、低温側のピークがポリアミド系樹脂固有の融解ピークa、高温側のピークが高温ピーク(融解ピークb)である。
発泡粒子の高温ピークの融解熱量は、図1に示すDSC曲線において、固有ピークaよりも高温側に現れる高温ピークbの面積に相当し、次のようにして求めた。まず、図1に示すようにDSC曲線上の150℃の点Iと、DSC曲線上の融解終了温度を示す点IIとを結ぶ直線を引いた。次に、固有ピークaと高温ピークbとの間の谷部にあたるDSC曲線上の点IIIを通りグラフ横軸の温度に対して垂直な直線と、点Iと点IIとを結んだ直線との交点を点IVとした。このようにして求めた点IVと点IIとを結ぶ直線、点IIIと点IVを結ぶ直線及び点IIIと点IIを結ぶDSC曲線によって囲まれる部分(斜線部分)の面積を高温ピークの融解熱量(J/g)とした。
〔発泡粒子の成形可能範囲〕
後述の[ポリアミド系樹脂発泡粒子成形体の製造]の方法で、成形圧(成形スチーム圧)を0.10~0.24MPa(G)の間で0.02MPaずつ変化させて発泡粒子成形体を成形し、得られた成形体の融着性、表面外観(間隙=ボイドの度合い)、回復性(型内成形後の膨張または収縮の回復性)の項目について、型内成形性を評価した。下記で示した基準に達したものを合格とし、全ての項目で合格となったスチーム圧を成形可能なスチーム圧とした。なお、(G)を付した圧力は、ゲージ圧、つまり、大気圧を基準とした圧力の値である。
なお、成形可能なスチーム圧の上限値と下限値の差(成形上限-下限)を算出し、成形可能範囲とした。成形可能なスチーム圧の下限値から上限値までの幅が広いもの、つまり成形可能なスチーム圧の上限値と下限値の差が大きいものほど、成形可能範囲が広く、好適である。
(融着性)
発泡粒子成形体を折り曲げて破断させ、その破断面に存在する発泡粒子の数(C1)と、破壊した発泡粒子の数(C2)とを求めた。上記発泡粒子の数に対する破壊した発泡粒子の数の比率(C2/C1×100)を材料破壊率として算出した。異なる試験片を用いて前記測定を5回行い、それぞれの材料破壊率を求め、それらを算術平均した材料破壊率が80%以上であるときを合格とし、80%未満であるときを不合格とした。
(表面外観)
発泡粒子成形体の中央部に100mm×100mmの正方形を描き、該正方形の一の角から対角線上に線を引き、その線上の1mm×1mmの大きさ以上のボイド(間隙)の数を数えた。ボイドの数が5個未満であり、かつ表面に凹凸がないときを合格とし、それ以外を不合格とした。
(回復性)
型内成形により得られた縦250mm、横200mm、厚み50mmの平板形状の発泡粒子成形体における、四隅部付近(角より中心方向に10mm内側)の厚みと、中心部(成形体を、縦方向において2等分する線と、横方向において2等分する線との交点部分)の厚みとをそれぞれ計測した。次いで、四隅部付近のうち最も厚みの厚い箇所の厚みに対する中心部の厚みの比(%)を算出した。比が95%以上であるときを合格とし、95%未満を不合格とした。
〔成形体密度〕
発泡粒子成形体を、相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日間放置した。次にその質量を測定し、これをW[g]とした。
次に、発泡粒子成形体の寸法に基づいて、発泡粒子成形体の体積V[cm3]を測定した。
発泡粒子成形体の質量W[g]を体積Vで割り算し(W/V)、単位を[kg/m3]に換算することにより、発泡粒子成形体の密度を求めた。
〔表面平滑性〕
(発泡粒子成形体の表面平滑性の評価)
発泡粒子成形体の表面平滑性を次の基準で評価した。成形体表面の発泡粒子間隙が埋まっているほど、表面性に優れる。具体的には、発泡粒子成形体の中央部に100mm×100mmの正方形を描き、該部分の深さ1mm以上の凹みの個数を測定した。
◎:2個以下
〇:3~9個
×:10個以上
実施例1~12
[ポリアミド系樹脂粒子の製造]
押出機に、ポリアミド系樹脂「6434B」(宇部興産株式会社製)を供給し、表2及び3に示すカーボンナノチューブのマスターバッチ(MB1~4)を、それぞれカーボンナノチューブの量が表2及び3の量となるように供給し、気泡調整剤としてタルク「タルカンパウダーPK-S」(林化成株式会社製)を0.3質量%となるように供給し、末端封鎖剤として「Stabaxol P」(ラインケミー社製)をポリアミド系樹脂100質量部に対して1質量部となるように供給し、それぞれ溶融混練した。その溶融混練物は、押出機先端に取り付けた口金の細孔から断面円形状の単層ストランドとして押出し、押出されたストランドを水冷した後、ペレタイザーで質量が1個当たり約2.0mgとなるように切断し、乾燥してポリアミド系樹脂粒子を得た。
なお、ポリアミド系樹脂「6434B」は、ポリアミド6/66/12コポリマー(ナイロン6/66/12)、融点(Tm0):186℃、密度1.12g/cm3、曲げ弾性率:1070MPa、製品名:UBEナイロン6434Bである。
表1には、表2及び3に示すカーボンナノチューブのマスターバッチ(MB1~4)の詳細を示す。
表1に示したカーボンナノチューブは、いずれも市販のものである。
なお、表1のマスターバッチ樹脂種類において、「6434B」は前記ポリアミド系樹脂「6434B」であり、「FX4ET」は、ポリプロピレン系樹脂(プロピレン・1-ブテン・エチレン共重合体)、融点131℃、密度900g/cm3、曲げ弾性率650MPa、日本ポリプロ株式会社製「FX4ET」である。
また、末端封鎖剤は「Stabaxol P」(ラインケミー社製)であり、末端封鎖剤量はマスターバッチに用いられた樹脂に対する末端封鎖剤量(質量%)である。
[ポリアミド系樹脂発泡粒子の製造]
得られたポリアミド系樹脂粒子500gと、分散媒として水3.5リットルを、撹拌機を備えた5リットルのオートクレーブ内に仕込み、更に、ポリアミド系樹脂粒子100質量部に対して、分散剤としてカオリン0.3質量部と、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.004質量部とを添加した。オートクレーブ内の内容物を撹拌しながら室温(23℃)から含浸温度(131℃)まで昇温しながら、該オートクレーブ内に発泡剤として二酸化炭素を、オートクレーブ内の圧力が含浸圧力(4.0MPa(G))となるまで圧入した。このとき、室温(23℃)から含浸温度(131℃)に到達するまでの昇温時間は40分であった。次に、131℃、4.0MPa(G)で15分間保持した。
その後、発泡剤が含浸されたポリアミド系樹脂粒子を分散媒とともに大気圧(0.1MPa)下に放出した。発泡温度(発泡させる直前の分散液の温度)は131℃である。得られたポリアミド系樹脂発泡粒子を60℃のオーブン内にて24時間養生し、その後徐冷することによりポリアミド系樹脂発泡粒子を得た。
得られたポリアミド系樹脂発泡粒子について、前記評価を行った。結果を表2及び3に示す。
[ポリアミド系樹脂発泡粒子成形体の製造]
次に、ポリアミド系樹脂発泡粒子を用いてポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を作製した。
成形型を型締めした後、得られたポリアミド系樹脂発泡粒子を縦200mm×横65mm×厚さ40mmの平板成形型に充填し、スチーム加熱による型内成形を行なって板状のポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を得た。
加熱方法は両面の型のドレン弁を開放した状態でスチームを5秒間供給して予備加熱(排気工程)を行ったのち、固定側のドレン弁を開放した状態で移動側型よりスチームを供給し、次いで移動側のドレン弁を開放した状態で固定側型よりスチームを供給した後、排気弁を閉鎖し、成形加熱スチーム圧力0.12MPa(G;ゲージ圧)まで加熱した。
加熱終了後、放圧し、成形体の発泡力による金型表面への押圧力である表面圧力が0.02MPa(G)に低下するまで水冷したのち、型を開放し成形体を型から取り出した。その後、80℃のオーブン内に静置し、24時間後に取り出しポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を得た。
得られたポリアミド系樹脂発泡粒子成形体について、前記評価を行った。結果を表2及び3に示す。
比較例1~3
実施例1の[ポリアミド系樹脂粒子の製造]において、カーボンナノチューブのマスターバッチに替えて、表4に示すカーボンブラックのマスターバッチを表4に示す量となるように用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリアミド系樹脂粒子、ポリアミド系樹脂発泡粒子及びポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を得た。得られたポリアミド系樹脂発泡粒子及びポリアミド系樹脂発泡粒子成形体について、前記評価を行った。結果を表4に示す。
比較例4
実施例1の[ポリアミド系樹脂粒子の製造]において、カーボンナノチューブのマスターバッチを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、ポリアミド系樹脂粒子、ポリアミド系樹脂発泡粒子及びポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を得た。得られたポリアミド系樹脂発泡粒子及びポリアミド系樹脂発泡粒子成形体について、前記評価を行った。結果を表4に示す。
比較例5
実施例1の[ポリアミド系樹脂粒子の製造]において、発泡粒子の高温ピーク熱量を0J/gとした以外は、実施例1と同様にして、ポリアミド系樹脂粒子、ポリアミド系樹脂発泡粒子を得た。得られたポリアミド系樹脂発泡粒子は、独立気泡率58%、見掛け密度178kg/mであり、平均気泡径150μm、最外気泡径180μmであった。この発泡粒子は、型内成形性に劣り、成形を行っても、成形体形状を形成することが困難であった。
表2及び表3に示した結果より、実施例で得られたポリアミド系樹脂発泡粒子は、成形範囲が広く、幅広い成形圧で成形が可能であることがわかる。このように、本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子は、型内成形性に優れ、幅広い成形圧で良好なポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を得ることができることがわかる。
以上の本明細書の説明に基づき、本発明は、次の[1]~[6]に示す構成が採用されてよい。
[1]ポリアミド系樹脂を基材樹脂とするポリアミド系樹脂発泡粒子であって、前記発泡粒子がカーボンナノチューブを含有し、前記発泡粒子の独立気泡率が70%以上である、ポリアミド系樹脂発泡粒子。
[2]前記カーボンナノチューブの平均直径が5~25nmであり、前記カーボンナノチューブの平均長さが0.2~50μmである、上記[1]に記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
[3]前記カーボンナノチューブのアスペクト比が20~1000である、上記[1]又は[2]に記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
[4]前記カーボンナノチューブの含有量が、基材樹脂100質量部に対して0.1質量部以上3質量部以下である、上記[1]~[3]のいずれかに記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
[5]前記発泡粒子の見掛け密度が、50~500kg/mである、上記[1]~[4]のいずれかに記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
[6]上記[1]~[5]のいずれかに記載のポリアミド系樹脂発泡粒子を型内成形してなるポリアミド系樹脂発泡粒子成形体。

Claims (6)

  1. ポリアミド系樹脂を基材樹脂とするポリアミド系樹脂発泡粒子であって、
    前記発泡粒子がカーボンナノチューブを含有し、
    前記発泡粒子の独立気泡率が70%以上である、ポリアミド系樹脂発泡粒子。
  2. 前記カーボンナノチューブの平均直径が5~25nmであり、前記カーボンナノチューブの平均長さが0.2~50μmである、請求項1に記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
  3. 前記カーボンナノチューブのアスペクト比が20~1000である、請求項1又は2に記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
  4. 前記カーボンナノチューブの含有量が、基材樹脂100質量部に対して0.1質量部以上3質量部以下である、請求項1又は2に記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
  5. 前記発泡粒子の見掛け密度が、50~500kg/m3である、請求項1又は2に記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
  6. 請求項1又は2に記載のポリアミド系樹脂発泡粒子を型内成形してなるポリアミド系樹脂発泡粒子成形体。
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