JP2022157790A - 発泡粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形後の成形収縮を抑制し、融着性及び回復性に優れ、外観が良好である発泡粒子を提供する。【解決手段】ポリアミド系樹脂とポリアリーレンスルフィド系樹脂との混合樹脂を基材樹脂とする発泡粒子(expanded bead)であって、該発泡粒子の見掛け密度が10~300kg/m3であり、該ポリアミド系樹脂100質量部に対する前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂の配合割合が5~40質量部である発泡粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、発泡粒子、特にポリアミド系樹脂とポリアリーレンスルフィド系樹脂との混合樹脂を基材樹脂とする発泡粒子に関する。
ポリアミド系樹脂は、耐熱性が高く、また耐摩耗性、耐薬品性等にも優れたプラスチックとして知られている。このポリアミド系樹脂を発泡させた発泡成形体は、耐熱性、耐摩耗性、及び耐薬品性等の優れた特性を保ちつつ、軽量化を図ることができることから、自動車部品、電気製品等での更なる用途展開が期待されている。
ポリアミド系樹脂発泡成形体は前記のような優れた性質を有するが、結晶性を有することから汎用樹脂よりも発泡性に劣り、成形条件が限られるため、高発泡倍率の成形体を得ることも困難である。そこで、成形性を改善するために、添加物を用いる試みがなされている。
たとえば、特許文献1には、均一微細に発泡し、連続気泡率の小さい発泡板を得ることを目的として、三官能化合物、不飽和カルボン酸無水物、スチレン、オレフィン等の共重合体、又はポリカーボネート樹脂を改質剤として用い、ポリアミド系樹脂にこの改質剤を加えて溶融混練して組成物を作り、これを発泡させて得られる発泡用ポリアミド系樹脂が開示されている。
また、特許文献2には、熱可塑性ポリアミドとイタコン酸等の成分を含む架橋コポリマーを含む熱可塑性成形材料から得られるポリマーフォームが開示されている。
特開2000-103960号公報 特表2011-526315号公報
ポリアミド系樹脂発泡粒子を発泡成形体の原料として用いることで、粒子の分布を金型に合わせることで様々な形状の発泡成形体を得ることができる。
ポリアミド系樹脂発泡成形体は、前述のように軽量性に優れるが、成形後の収縮率が大きいという問題があった。また、成形の困難さから、融着性や回復性に劣るおそれや得られた発泡成形体の外観も光沢が乏しく、ボイド等が見られるものとなりやすいものであった。そのため、製造時においては、融着性及び回復性に優れ、成形後の成形収縮が少なく、更に外観が良好であるポリアミド系樹脂の発泡粒子成形体が求められていた。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、成形後の成形収縮を抑制し、融着性及び回復性に優れ、外観が良好である発泡粒子成形体とすることができる発泡粒子を提供することである。
前記課題に関し、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定範囲の見掛け密度を有し、特定割合のポリアミド系樹脂とポリアリーレンスルフィド系樹脂との混合樹脂を基材樹脂とする発泡粒子が、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]~[8]を提供する。
[1]ポリアミド系樹脂とポリアリーレンスルフィド系樹脂との混合樹脂を基材樹脂とする発泡粒子であって、該発泡粒子の見掛け密度が10~300kg/m3であり、該ポリアミド系樹脂100質量部に対する前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂の配合割合が5~40質量部である発泡粒子。
[2]前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂が、ポリフェニレンスルフィド樹脂である、上記[1]に記載の発泡粒子。
[3]前記発泡粒子の平均気泡径が30~150μmである、上記[1]または[2]に記載の発泡粒子。
[4]前記ポリアミド系樹脂が融点185~250℃のポリアミド共重合体である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の発泡粒子。
[5]前記ポリアミド系樹脂の融点(Tm1)と前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂の融点(Tm2)との差[Tm2-Tm1]が70~130℃である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の発泡粒子。
[6]前記発泡粒子が、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物及びリン系化合物からなる群より選択される熱安定剤を1種以上含む、上記[1]~[5]のいずれかに記載の発泡粒子。
[7]前記発泡粒子がカーボンブラックを含む、上記[1]~[6]のいずれかに記載の発泡粒子。
[8]上記[1]~[7]のいずれかに記載の発泡粒子が相互に融着した発泡粒子成形体。
本発明によれば、成形後の成形収縮を抑制し、融着性及び回復性に優れ、外観が良好である発泡粒子成形体とすることができる発泡粒子を提供することができる。
熱流束示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線の一例である。
[発泡粒子]
本発明の発泡粒子(expanded bead)は、ポリアミド系樹脂とポリアリーレンスルフィド系樹脂との混合樹脂を基材樹脂とする発泡粒子であって、該発泡粒子の見掛け密度が10~300kg/m3であり、該ポリアミド系樹脂100質量部に対する前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂の配合割合が5~40質量部である。
(ポリアミド系樹脂)
本発明の発泡粒子の基材樹脂となる混合樹脂を構成するポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリアミド共重合体が挙げられ、ポリアミド共重合体が好ましい。
ポリアミドとしては、例えば、ポリ(カプロラクタム)としても知られるポリ(6-アミノヘキサン酸)(ポリカプロアミド、ナイロン6)、ポリ(ラウロラクタム)(ナイロン12)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン66)、ポリ(7-アミノヘプタン酸)(ナイロン7)、ポリ(8-アミノオクタン酸)(ナイロン8)、ポリ(9-アミノノナン酸)(ナイロン9)、ポリ(10-アミノデカン酸)(ナイロン10)、ポリ(11-アミノウンデカン酸)(ナイロン11)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)(ナイロン610)、ポリ(デカメチレンセバカミド)(ナイロン1010)、ポリ(ヘキサメチレンアゼラミド)(ナイロン69)、ポリ(テトラメチレンアジパミド)(ナイロン46)、ポリ(テトラメチレンセバカミド)(ナイロン410)、ポリ(ペンタメチレンアジパミド)(ナイロン56)、及びポリ(ペンタメチレンセバカミド)(ナイロン510)等のホモポリマーが挙げられる。ポリアミド共重合体とは、2種以上の繰り返し単位を有し、それぞれの繰り返し単位の少なくとも一部にアミド結合を有するものを意味する。ポリアミド共重合体としては、例えば、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウリルラクタム(ナイロン6/66/12)、及びカプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)等が挙げられる。ポリアミド系樹脂は、これらのポリアミド及びポリアミド共重合体を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。以上のポリアミド系樹脂の中でも、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66、及びナイロン6/66/12から選択される1種または2種以上を組み合わせたポリアミド系樹脂であることが好ましく、ナイロン6/66及びナイロン6/66/12から選択される1種または2種であることがより好ましい。
ポリアミド共重合体は、ある一定量同じ繰り返し単位のアミドが続いた後に異なる種類のアミドがある一定量続くブロック共重合体であっても、異なる種類のアミドがそれぞれランダムに繰り返すランダム共重合体であってもよいが、ランダム共重合体であることが好ましい。ポリアミド共重合体がランダム共重合体であれば、発泡粒子を型内成形する際に比較的低い成形圧力で成形することが可能となる。
本発明で用いられるポリアミド系樹脂は、曲げ弾性率が1000MPa以上であることが好ましく、1200MPa以上であることがより好ましく、1500MPa以上であることがさらに好ましい。なお、アミド系エラストマーは、概ね曲げ弾性率が600MPa以下である。ポリアミド系樹脂の曲げ弾性率が上記範囲であれば、曲げ弾性率が高いことに由来して発泡後に常温に晒されても収縮しにくく、高倍率の発泡粒子が得られ易くなるため好ましい。また、曲げ弾性率が高いことにより型内成形性に優れるため好ましい。なお、ポリアミド系樹脂の曲げ弾性率の上限は概ね3000MPa程度である。
ポリアミド系樹脂の曲げ弾性率は、試験片を温度23℃、湿度50%の状態で24時間静置した後、JIS K7171:2016に準拠して測定することにより求めることができる。
本発明で用いられるポリアミド系樹脂は、密度が1.05g/cm3以上であることが好ましく、1.1g/cm3以上であることが好ましい。なお、アミド系エラストマーの密度は概ね1.05g/cm3未満である。密度の測定は、ISO 1183-3に記載の方法に基づいて求めることができる。
本発明で用いられるポリアミド系樹脂は、分子鎖末端の官能基が封鎖されている末端封鎖ポリアミド系樹脂であることが好ましい。これにより、発泡粒子の製造過程での加水分解をより確実に抑制することができ、型内成形に耐えうる発泡粒子が得られやすくなる。
更には、型内成形により得られる発泡粒子成形体(以下、単に「成形体」ともいう。)の耐久性が向上する。
上記分子鎖末端を封鎖するための末端封鎖剤としては、例えばカルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物等を用いることができる。
これらの中でも、カルボジイミド化合物が好ましい。具体的には、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド(例えば、ラインケミー社製「Stabaxol 1-LF」)等の芳香族モノカルボジイミド、芳香族ポリカルボジイミド(例えば、ラインケミー社製「Stabaxol P」、「Stabaxol P100」、「Stabaxol P400」等)、ポリ(4,4’-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド(例えば日清紡ケミカル(株)製「カルボジライトLA-1」)等が挙げられる。これらの末端封鎖剤は単独で使用してもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、末端封鎖剤の配合量は、ポリアミド系樹脂100質量部に対して0.1~5質量部が好ましく、0.5~3質量部がより好ましい。
このように、本発明で用いられるポリアミド系樹脂は、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、及びイソシアネート化合物等から選ばれる1種以上の末端封鎖剤にて末端封鎖されたポリアミド系樹脂であることが好ましく、カルボジイミド化合物にて末端封鎖されたポリアミド系樹脂であることがより好ましい。
(ポリアリーレンスルフィド系樹脂)
ポリアリーレンスルフィド系樹脂は、主たる繰返し単位が、-(Ar-S)-(ただし、Arはアリーレン基)で構成された重合体である。
本発明の発泡粒子の基材樹脂となる混合樹脂を構成するポリアリーレンスルフィド系樹脂における前記アリーレン基としては、例えば、p-フェニレン基、m-フェニレン基、o-フェニレン基、置換フェニレン基、p,p’-ジフェニレンスルホン基、p,p’-ビフェニレン基、p,p’-ジフェニレンエーテル基、p,p’-ジフェニレンカルボニル基、ナフタレン基等が挙げられる。これらのなかでもp-フェニレン基が好ましい。
本発明の発泡粒子の基材樹脂となる混合樹脂を構成するポリアリーレンスルフィド系樹脂は、好ましくはポリフェニレンスルフィド樹脂である。
前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂は、架橋型、半架橋型、直鎖型のいずれでも構わないが、押出機で樹脂を溶融混練する際の流動性に優れるという観点から、直鎖型が好ましい。
本発明における発泡粒子の基材樹脂は、ポリアミド系樹脂とポリアリーレンスルフィド系樹脂との混合樹脂からなる。本発明の発泡粒子において、前記ポリアミド系樹脂100質量部に対して前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂の配合割合は、5~40質量部である。前記ポリアミド系樹脂100質量部に対して前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂の配合割合は、10質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることが更に好ましい。前記ポリアミド系樹脂100質量部に対して前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂の配合割合は、30質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂は、型内成形する際、得られる成形体が金型内部寸法よりも小さくなる成形収縮をすることが知られている。特に、ポリアミド系樹脂の場合や発泡体の場合、得られる成形体は成形収縮が大きくなりやすい傾向にある。ポリアリーレンスルフィド系樹脂の配合割合が前記範囲であることによって、成形性を維持しつつ、発泡粒子を型内成形した後の成形収縮を大幅に抑制することができる。成形体の成形収縮率が小さく抑制されることによって、金型内部寸法に近い成形体が得られるため寸法精度が高い成形体を得ることができる。また、発泡粒子成形体は、通常、成形後に養生工程を設けるが、成形収縮率が小さい成形体の場合、養生工程の時間を短くすることができる。
本発明において、発泡粒子を型内成形した後の成形収縮率を低く抑制できる理由は以下のことが考えられる。発泡粒子を型内成形する際、スチームによる加熱と加圧によって、ポリアミド系樹脂の結晶成分の多くが融解するが、ポリアリーレンスルフィド系樹脂の融点がポリアミド系樹脂よりも高いためポリアリーレンスルフィド系樹脂の結晶成分は融解し難いと考えられる。型内成形後、温度と圧力が下がるにつれて樹脂の結晶化が進行する。この際、融解せずに残留しているポリアリーレンスルフィド系樹脂の結晶成分により、この時の体積収縮が抑えられるため成形収縮率が小さく抑えられるものと考えられる。
(熱安定剤)
本発明における熱安定剤とは、発泡粒子または発泡粒子成形体が高温環境下に置かれた際に熱による樹脂の劣化を抑制する効果を有するものである。本発明の発泡粒子は、好ましくは熱安定剤を含む。本発明の発泡粒子は、より好ましくは、耐候性をより向上させる観点から、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物及びリン系化合物からなる群より選択される熱安定剤を1種以上含む。本発明の発泡粒子は、より好ましくはヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物及びリン系化合物からなる群より選択される熱安定剤を1種以上含み、更に好ましくはヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物及びリン系化合物からなる群より選択される熱安定剤を2種以上含み、より更に好ましくはヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物及びリン系化合物からなる群より選択される熱安定剤を3種以上含む。複数の熱安定剤を含む場合、好ましくはヒンダードアミン系化合物から1種以上、ヒンダードフェノール系化合物から1種以上の熱安定剤を含み、より好ましくはヒンダードアミン系化合物から1種以上、ヒンダードフェノール系化合物から1種以上、リン系化合物から1種以上の熱安定剤を含む。
ヒンダードアミン系化合物の具体例としては、Bis(2,2,6,6,-tetramethyl-4-piperidyl)sebacate(商品名:Tinuvin770、BASFジャパン株式会社製)が挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の具体例としては、N,N'-hexane-1,6-diylbis(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenylpropionamide))(商品名:Iruganox1098、BASFジャパン株式会社製)が挙げられる。リン系化合物の具体例としては、Tris(2,4-di-tert-butylphenyl)phosphite(商品名:Irugafos168、BASFジャパン株式会社製)が挙げられる。
発泡粒子中の熱安定剤の含有量は、好ましくは0.1~5質量%であり、より好ましくは0.2~3質量部であり、更に好ましくは0.3~1質量%である。なお、熱安定剤を2種以上含む場合にはその合計量が上記範囲であることが好ましい。なかでも、熱安定剤としてヒンダードアミン系化合物を用いた場合、発泡粒子中のヒンダードアミン系化合物の含有量は、好ましくは0.1~1質量%である。熱安定剤としてヒンダードフェノール系化合物を用いた場合、発泡粒子中のヒンダードフェノール系化合物の含有量は、好ましくは0.05~0.5質量%である。熱安定剤としてリン系化合物を用いた場合、発泡粒子中のリン系化合物の含有量は、好ましくは0.05~0.5質量%である。熱安定剤の含有量が上記の範囲であることで、得られる発泡粒子成形体により優れた耐候性を与えることができる。
(着色剤)
本発明の発泡粒子は、好ましくは着色剤を含む。着色剤としては、無機系または有機系の顔料や染料を用いることができる。着色剤は、得られる成形体の外観を向上させ、意匠性を高めるために用いられる。
無機顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、焼成顔料、メタリック顔料、マイカ、パール顔料、亜鉛華、沈降性シリカ、カドミウム赤などが挙げられ、カーボンブラックが好ましい。
有機顔料としては、モノアゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、アンスラキノン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、ニトロソ系顔料、有機蛍光顔料等が挙げられる。
また、染料としては、例えば、アンスラキノン系染料、ペリノン系染料、塩基性染料、酸性染料、媒染染料等を挙げることができる。
これらの着色剤の中でも、耐候性の観点から、有機顔料または無機顔料を使用することが好ましい。耐熱性や耐候性の点から、無機顔料が好ましい。
これらのなかでも着色剤は、カーボンブラックが好ましい。すなわち、本発明の発泡粒子は、好ましくはカーボンブラックを含む。
発泡粒子中の着色顔料の含有量は、好ましくは0.5~10質量%であり、より好ましくは0.8~5質量%であり、更に好ましくは1~3質量%である。
なかでも、着色顔料としてカーボンブラックを用いた場合、発泡粒子中のカーボンブラックの含有量は、好ましくは0.5~10質量%であり、より好ましくは0.8~5質量%であり、更に好ましくは1~3質量%である。着色顔料の含有量が上記の範囲であることで、得られる発泡粒子成形体に優れた意匠性を与えることができる。
(他の樹脂及び添加剤)
本発明の発泡粒子には、本発明の目的、効果を阻害しない範囲において、ポリアミド系樹脂及びポリアリーレンスルフィド系樹脂の他に、他の熱可塑性樹脂を含有させてもよい。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、酢酸ビニル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等が挙げられる。
本発明の発泡粒子中の他の熱可塑性樹脂の含有量は、耐熱性、耐摩耗性、及び耐薬品性に優れた発泡粒子を得る観点から、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下である。本発明の発泡粒子は、ポリアミド系樹脂及びポリアリーレンスルフィド系樹脂のみからなることが特に好ましい。
本発明の発泡粒子には、ポリアミド系樹脂及びポリアリーレンスルフィド系樹脂の他に、通常使用される帯電防止剤、導電性付与剤、滑剤、紫外線吸収剤、難燃剤、金属不活性化剤、結晶核剤、及び充填材等の各種の添加剤を、必要に応じて適宜配合することができる。これらの各種添加剤の添加量は、成形体の使用目的により異なるが、基材樹脂100質量部に対して25質量部以下であることが好ましい。より好ましくは15質量部以下であり、更に好ましくは10質量部以下であり、より更に好ましくは5質量部以下である。
(発泡粒子の特性)
本発明の発泡粒子の見掛け密度は、10kg/m3以上であり、好ましくは30kg/m3以上であり、より好ましくは50kg/m3以上である。本発明の発泡粒子の見掛け密度は、300kg/m3以下であり、好ましくは200kg/m3以下であり、より好ましくは100kg/m3以下である。
発泡粒子の見掛け密度が上記範囲であれば、発泡粒子からなる成形体が成形収縮しにくく、良好な発泡粒子成形体が得られ易くなる。なお、発泡粒子の見掛け密度は、以下の方法で測定される。
温度23℃の水の入ったメスシリンダーを用意し、相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日間放置した約500cm3の発泡粒子の質量W1を測定する。次に前記メスシリンダーに、該発泡粒子を金網を使用して沈める。金網の体積を考慮して、水位上昇分より読みとられる発泡粒子の容積V1[cm3]を測定し、発泡粒子の質量W1[g]を容積V1で割り算し(W1/V1)、単位を[kg/m3]に換算することにより、発泡粒子の見掛け密度を求める。
本発明の発泡粒子の平均気泡径は、好ましくは20μm以上であり、より好ましくは30μm以上であり、更に好ましくは40μm以上である。本発明の発泡粒子の平均気泡径は、好ましくは200μm以下であり、より好ましくは150μm以下であり、更に好ましくは100μm以下である。
発泡粒子の平均気泡径が上記範囲であれば、発泡粒子を用いて得られる成形体の表面性が良好となる。なお、ポリアミド系樹脂発泡粒子の平均気泡径は、以下の方法で測定される。
まず、発泡粒子の中心部を通るように発泡粒子を約二分割し、切断面を走査型電子顕微鏡にて写真を撮影する。次いで、得られた断面写真において、発泡粒子切断面の中心付近から8方向に等間隔に直線を引き、その直線と交わる気泡の数を全てカウントする。該直線の合計長さを、カウントされた気泡数で除して得られた値を発泡粒子の気泡径とする。この操作を10個以上の発泡粒子について同様に行い、各発泡粒子の気泡径の算術平均値を発泡粒子の平均気泡径とする。
本発明の発泡粒子の独立気泡率は、85%以上であり、好ましくは88%以上であり、より好ましくは90%以上である。発泡粒子の独立気泡率が上記範囲を満足すると、見掛け密度が低い発泡粒子が得られやすい。また、独立気泡率が上記範囲を満足する発泡粒子を用いて型内成形した発泡粒子成形体は、融着性、回復性に優れる成形体が得られやすくなる。なお、独立気泡率は、発泡粒子中の全気泡の容積に対する独立気泡の容積の割合であり、ASTM-D2856-70に基づき空気比較式比重計を用いて求めることができる。
ポリアミド系樹脂の融点(Tm1)及びポリアリーレンスルフィド系樹脂の融点(Tm2)は、以下の条件1にて得られる2回目のDSC曲線から求めることができる。
条件1
JIS K7121-1987の熱流束示差走査熱量測定法に基づき、発泡粒子を試験片とし、加熱速度10℃/分にて30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に測定されるDSC曲線を1回目のDSC曲線とし、次いでその温度にて10分間保った後、冷却速度10℃/分にて30℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/分にて融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に測定されるDSC曲線を2回目のDSC曲線とする。
2回目のDSC曲線において、ポリアミド系樹脂固有の融解ピーク(I)と、融解ピーク(I)よりも高温側にポリアリーレンスルフィド系樹脂固有の融解ピーク(III)とを示す。上記2回目のDSC曲線の融解ピーク(I)の頂点の温度は発泡粒子を製造するための原料であるポリアミド系樹脂の融点(Tm1)に相当し、2回目のDSC曲線の融解ピーク(III)の頂点の温度は発泡粒子を製造するための原料であるポリアリーレンスルフィド系樹脂の融点(Tm2)に相当する。融解ピーク(I)及び融解ピーク(III)は、1回目のDSC曲線にも2回目のDSC曲線にも現われる。融解ピーク(I)及び融解ピーク(III)の頂点の温度は、それぞれ1回目のDSC曲線と2回目のDSC曲線で多少異なる場合があるが、その差は5℃以下、通常は2℃以下である。
本発明の発泡粒子は、2回目のDSC曲線において、ポリアミド系樹脂の融点(Tm1)と、ポリアリーレンスルフィド系樹脂の融点(Tm2)との差[Tm2-Tm1]が70℃以上であることが好ましく、75℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがさらに好ましく、130℃以下であることが好ましく、110℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。ポリアミド系樹脂の融点とポリアリーレンスルフィド系樹脂の融点との差が上記範囲であれば、成形後の成形収縮を効果的に抑制することができる。
ポリアミド系樹脂の融点(Tm1)は、好ましくは180℃以上であり、より好ましくは185℃以上である。ポリアミド系樹脂の融点(Tm1)は、好ましくは250℃以下であり、より好ましくは200℃以下である。ポリアリーレンスルフィド系樹脂の融点(Tm2)は、好ましくは260℃以上であり、より好ましくは270℃以上である。ポリアリーレンスルフィド系樹脂の融点(Tm2)は、好ましくは300℃以下であり、より好ましくは290℃以下である。
1回目のDSC曲線において、ポリアミド系樹脂固有の融解ピーク(I)の頂点の温度は、好ましくは180℃以上であり、より好ましくは185℃以上である。ポリアミド系樹脂固有の融解ピーク(I)の頂点の温度は、好ましくは250℃以下であり、より好ましくは200℃以下である。
1回目のDSC曲線において、ポリアリーレンスルフィド系樹脂固有の融解ピーク(III)の頂点の温度は、好ましくは260℃以上であり、より好ましくは270℃以上である。ポリアリーレンスルフィド系樹脂固有の融解ピーク(III)の頂点の温度は、好ましくは300℃以下であり、より好ましくは290℃以下である。
前記条件1において、試験片として発泡粒子を用いた1回目のDSC曲線には、ポリアミド系樹脂固有の融解ピーク(I)よりも高温側であり、樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を得るまでの熱履歴により形成されるポリアミド系樹脂の二次結晶に起因する融解ピーク(II)が存在する場合がある。本明細書において、融解ピーク(II)を高温ピークという。高温ピーク(融解ピーク(II))は2つ以上存在する場合もある。また、高温ピーク(融解ピーク(II))は、2回目のDSC曲線には認められない。高温ピーク(融解ピーク(II))の頂点の温度は、試験片として発泡粒子を用いた1回目のDSC曲線において、融解ピーク(I)よりも高温側に現れる。また、ポリアミド系樹脂固有の融解ピークの頂点の温度とポリアリーレンスルフィド系樹脂固有の融解ピークの頂点の温度との差にもよるが、高温ピーク(融解ピーク(II))の頂点の温度は、1回目のDSC曲線において、融解ピーク(I)と融解ピーク(III)の間に存在することが好ましい。すなわち、前記条件1にて得られる1回目のDSC曲線には、低温側から融解ピーク(I)、融解ピーク(II)、融解ピーク(III)の順で存在することが好ましい。高温ピークは、ポリアミド系樹脂固有の融解ピーク(I)よりも高温側に現れる。そのため、高温ピークの結晶は、ポリアミド系樹脂固有の融解ピーク(I)よりも型内成形時に融解し難く、結晶が残留しやすいと考えられる。上記ポリアリーレンスルフィド系樹脂を含有することに加え、ポリアミド系樹脂が高温ピークを有する場合には、さらに発泡粒子成形体の成形収縮率を低く抑えることができると考えられる。
融解ピーク(I)の頂点の温度と高温ピークの頂点の温度との差は、好ましくは10℃以上であり、より好ましくは12℃以上であり、さらに好ましくは15℃以上である。一方、融解ピーク(I)の頂点の温度と高温ピークの頂点の温度との差は、好ましくは40℃以下であり、より好ましくは30℃以下であり、さらに好ましくは25℃以下である。なお、融解ピーク(I)と高温ピークの頂点の温度の差の比較において、1回目のDSC曲線において、高温ピークが2つ以上現れる場合には、最も低温側の高温ピークの頂点の温度と融解ピーク(I)の頂点の温度とを比較する。
1回目のDSC曲線において、ポリアミド系樹脂固有の融解ピーク(I)の融解熱量は、好ましくは25J/g以上であり、より好ましくは30J/g以上である。ポリアミド系樹脂固有の融解ピーク(I)の融解熱量は、好ましくは60J/g以下であり、より好ましくは50J/g以下である。
1回目のDSC曲線において、ポリアリーレンスルフィド系樹脂固有の融解ピーク(III)の融解熱量は、好ましくは3J/g以上であり、より好ましくは5J/g以上である。ポリアリーレンスルフィド系樹脂固有の融解ピーク(III)の融解熱量は、好ましくは15J/g以下であり、より好ましくは10J/g以下である。
1回目のDSC曲線において、高温ピーク(融解ピーク(II))の融解熱量は、好ましくは1J/g以上であり、より好ましくは2J/g以上である。高温ピーク(融解ピーク(II))の融解熱量は、好ましくは13J/g以下であり、より好ましくは10J/g以下である。
ここで、各融解ピークの頂点の温度及び融解熱量は次のようにして求めることができる。
前記条件1である、熱流束示差走査熱量測定によって10℃/分の昇温速度で、30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで昇温して測定したときに得られる1回目のDSC曲線に得られた融解ピークから、各融解ピークの頂点の温度を求めることができる。各融解ピークの融解熱量は、以下の条件2により得られるDSC曲線に基づいて求めることができる。なお、測定装置として、高感度型示差走査熱量計「EXSTAR DSC7020」(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を使用することができる。
条件2
JIS K7122-1987の熱流束示差走査熱量測定法に基づき、発泡粒子を試験片とし、加熱速度10℃/分にて30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させ、1回目のDSC曲線を得る。
以下に図1(1回目のDSC曲線)を例に具体的に説明する。例えば図1に示す1回目のDSC曲線において、3つの融解ピークが存在するが、最も低温側のピークがポリアミド系樹脂固有の融解ピーク(I)、2番目のピークが高温ピーク(融解ピーク(II))、最も高温側のピークがポリアリーレンスルフィド系樹脂固有の融解ピーク(III)である。各融解ピークの頂点の温度は、それぞれのピークの最も吸熱量の多い点の温度である。
各融解ピークの頂点の融解熱量は、図1に示すDSC曲線において、各融解ピークの面積に相当し、以下のようにして求めることができる。DSC曲線上の120℃の点と、DSC曲線上の融解ピーク(II)の融解終了温度を示す点とを結ぶ直線を引く(ポリアミド系樹脂由来の融解ピークのベースライン)。融解ピーク(I)と融解ピーク(II)を、融解ピーク(I)と融解ピーク(II)との間の谷部にあたるDSC曲線上の点から前記ポリアミド系樹脂由来の融解ピークのベースラインまでグラフ横軸の温度に対して垂直な直線で分割する。分割された低温側のピークの面積がポリアミド系樹脂固有の融解ピーク(I)の融解熱量に相当し、分割された高温側のピークの面積が樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を得るまでの熱履歴により形成されるポリアミド系樹脂の二次結晶に起因する高温ピーク(融解ピーク(II))の融解熱量に相当する。
DSC曲線上の240℃の点と、ポリアリーレンスルフィド系樹脂固有の融解ピーク(III)の融解終了温度を示す点とを結ぶ直線を引く(ポリアリーレンスルフィド系樹脂固有の融解ピークのベースライン)。
前記ポリアミド系樹脂由来の融解ピークのベースラインとDSC曲線によって囲まれる部分の面積がポリアリーレンスルフィド系樹脂固有の融解ピーク(III)の融解熱量に相当する。
<発泡粒子の製造方法>
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子の製造方法は、前記ポリアミド系樹脂と前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂との混合樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子を発泡させてポリアミド系樹脂発泡粒子を製造する。
(混合樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子及び製造方法)
前記樹脂粒子の1個の質量は、目的とする発泡粒子の大きさ、見掛け密度等に応じて適宜設定されるが、0.5~15.0mgであることが好ましい。上記範囲内であれば、見掛け密度を高めることができる。かかる観点から、樹脂粒子の質量の下限は1.0mgであることがより好ましく、1.5mgであることが更に好ましい。一方、その上限は10.0mgであることがより好ましく、7.0mgであることが更に好ましく、5.0mgであることが特に好ましい。
本発明の発泡粒子を構成する樹脂粒子の融点(Tm)は、耐熱性に優れた発泡粒子を得る観点から、好ましくは185℃以上、より好ましくは188℃以上、更に好ましくは190℃以上である。一方、発泡時の温度コントロールが容易であるという観点から、樹脂粒子の融点(Tm)は、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下、更に好ましくは225℃以下である。なお、樹脂粒子の融点とは、ポリアミド系樹脂とポリアリーレンスルフィド系樹脂とを予め押出機等で混練した混練物の融点を指す。
本発明の発泡粒子を構成する樹脂粒子の融点(Tm)は、JIS K7121-1987に基づき、試験片の状態調節として「一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合」(試験片の状態調節における加熱速度と冷却速度は、いずれも10℃/分とする。)を採用し、熱流束示差走査熱量測定法により、加熱速度10℃/分で得られるDSC曲線の融解ピークのピーク頂点温度として求められる値である。
DSC曲線が複数の融解ピークを有する場合、最も大きな面積を有する融解ピークのピーク頂点温度を融解温度として採用する。なお、樹脂粒子の試験片は、例えば、デシケーター内で窒素雰囲気下とした後、真空吸引して保存する等、高温、多湿条件下を避けて加水分解しないように保存したものを使用する。
樹脂粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法により得ることができる。例えば、ポリアミド系樹脂、ポリアリーレンスルフィド系樹脂、必要に応じて気泡調整剤等の添加剤を押出機に投入し、混練して溶融混練物とし、押出機先端に付設されたダイの小孔からストランド状に溶融混練物を押し出し、押出された溶融物をペレタイザーで所定の質量となるように切断するストランドカット法、前記溶融混練物を気相中に押出した直後に切断するホットカット法、前記溶融混練物を水中に押出した直後に切断するアンダーウォーターカット法(UWC法)等により、樹脂粒子を得ることができる。
(発泡粒子の製造方法の例)
本発明の発泡粒子の製造方法は、前記混合樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子に発泡剤を含浸させる「含浸工程」と、加熱、圧力変化、体積変化等により、発泡剤を含浸した前記混合樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子を発泡させる「発泡工程」とを有する。
(発泡剤)
本発明の発泡粒子の製造方法では、発泡剤として好ましくは物理発泡剤を用いる。物理発泡剤としては、有機系物理発泡剤として、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、クロロフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、及びメチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、及びメチルエチルエーテル等のジアルキルエーテル等が挙げられる。また、無機系物理発泡剤として、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気等が挙げられる。
物理発泡剤の中でも、環境への影響が少ないとともに可燃性がなく安全性に優れるという観点から、無機系物理発泡剤が好ましく、二酸化炭素又は窒素がより好ましく、二酸化炭素が更に好ましい。
(製造方法の例)
本発明の発泡粒子を製造する方法としては、前記「含浸工程」と「発泡工程」を有するものであれば、制限はないが、[1]樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、発泡剤を含浸させた樹脂粒子を発泡させずに取り出し、その後に発泡装置にて加熱して発泡粒子を得る方法、及び[2]密閉装置内の分散媒中に分散した樹脂粒子に発泡剤を含浸させるとともに、樹脂の軟化温度付近に昇温した後、低圧下で分散媒と共に樹脂粒子を装置外に放出することで発泡粒子を得る方法が好ましく、上記[2]の方法がより好ましい。
以下に[2]の方法である好適な製造方法を説明する。
本発明の発泡粒子を製造する製造方法は、次の各工程を有することが好ましい。
(1)密閉容器内で、混合樹脂を基材樹脂とする前記樹脂粒子を水中に分散させ、分散液を得る分散工程と、
(2)該分散液中の該樹脂粒子に物理発泡剤を含浸させる含浸工程と、
(3)該分散液を、樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上50℃低い温度(Tm-50℃)未満で1分以上60分以下の保持時間で保持する保持工程
(4)発泡させる直前の分散液の温度(Te)を該樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上、50℃低い温度(Tm-50℃)未満とし、発泡剤を含む樹脂粒子を水と共に密閉容器内から密閉容器内の圧力よりも低圧下に放出して発泡させる発泡工程
本発明の発泡粒子を製造する製造方法は、上記工程以外の工程を有していてもよいし、上記工程において、更に他の成分を添加してもよい。上記含浸工程と上記保持工程は同時に行っても良く、上記保持工程を上記含浸工程よりも先に行っても構わない。
〔分散工程〕
分散工程は、密閉容器内で、前記樹脂粒子を水中に分散させ、分散液を得る工程である。
樹脂粒子を水中に分散させる方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、撹拌機を使用して、水を撹拌しながら水に樹脂粒子を添加し、更に撹拌することによって、分散液を得ることができる。
また、必要に応じて分散液に、酸化アルミニウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、カオリン、マイカ、タルク、スメクタイト等の無機物質等の分散剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤等の分散助剤を添加することが好ましい。樹脂粒子と分散剤との質量比(樹脂粒子/分散剤)は、20~2000とすることが好ましく、より好ましくは30~1000である。また、分散剤と分散助剤との質量比(分散剤/分散助剤)は、1~500とすることが好ましく、より好ましくは1~100である。
〔含浸工程〕
含浸工程は、分散液中の樹脂粒子に発泡剤を含浸させる工程である。また、同時に樹脂粒子を吸水させることもできる。樹脂粒子への発泡剤の含浸方法は特に限定されるものではないが、オートクレーブ等の加圧可能な密閉容器内で樹脂粒子を水中に分散させ、該樹脂粒子に発泡剤を含浸させることが好ましい。なお、発泡剤を樹脂粒子に短時間で十分に含浸させる観点から、樹脂粒子への発泡剤の含浸は、加圧に加えて、加熱することが好ましい。
含浸工程は、加圧する場合、密閉容器内の圧力が、大気圧から含浸時の圧力(以下、含浸圧力ともいう。)まで到達する工程を含む。
また、発泡剤を含浸させる工程は、樹脂粒子を水中に分散せた分散液を、常温から含浸時の温度(以下、含浸温度ともいう。)まで加熱する工程を含む。
加熱下で行われる含浸時の温度は、発泡剤を樹脂粒子に短時間で十分に含浸させる観点から、好ましくは50℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、好ましくは樹脂粒子の融点(Tm(℃))以下、より好ましくは(Tm-20(℃))以下である。
また、加圧下で行われる含浸時の圧力(以下、含浸圧力ともいう。)は、発泡剤を樹脂粒子に短時間で十分に含浸させる観点から、分散液が入った容器に発泡剤を添加することにより、密閉容器内の圧力が、1.5MPa(G)以上となるようにすることが好ましく、2.5MPa(G)以上となるようにすることがより好ましく、7MPa(G)以下となるようにすることが好ましく、5MPa(G)以下となるようにすることがより好ましい。
なお、「1.5MPa(G)」は、ゲージ圧で1.5MPaであることを意味する。
分散工程及び含浸工程は、樹脂粒子を吸水させる役割も有する。樹脂粒子を十分に吸水させて可塑化させる観点から、分散液を得る工程及び発泡剤を含浸させる工程の合計時間が20分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましい。一方、発泡粒子の生産性の観点からは、上記時間が60分以下であることが好ましい。
また、含浸工程における昇温速度は、樹脂粒子を十分に吸水させて可塑化させる観点から、10℃/分以下とすることが好ましく、7℃/分以下とすることがより好ましい。一方、発泡粒子の生産性の観点から、昇温速度は、1℃/分以上とすることが好ましく、2℃/分以上とすることがより好ましい。
〔保持工程〕
保持工程は、分散液を、樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上50℃低い温度(Tm-50℃)未満で1分以上60分以下の保持時間で保持する工程である。
保持工程における分散液の保持温度は、ポリアミド系樹脂を十分に吸水させ可塑化させる観点、及び発泡剤を混合樹脂に均一に含浸させる観点から、樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上、好ましくは80℃低い温度(Tm-80℃)以上、より好ましくは70℃低い温度(Tm-70℃)以上、更に好ましくは65℃低い温度(Tm-65℃)以上であり、50℃低い温度(Tm-50℃)未満、好ましくは55℃低い温度(Tm-55℃)以下、より好ましくは57℃低い温度(Tm-57℃)以下、更に好ましくは59℃低い温度(Tm-59℃)以下である。
通常、ポリプロピレン系樹脂等の汎用樹脂を基材樹脂とする発泡粒子を製造する際、原材料の樹脂の融点付近で保持を行う。しかしながら、本発明の発泡粒子の製造方法においては、樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上、50℃低い温度(Tm-50℃)未満で保持して製造される。これは、ポリアミド系樹脂が吸湿性を有するため、分散液として用いる水により樹脂粒子が可塑化され、融点が大幅に下がり、その結果、樹脂粒子の融点よりも大幅に低い温度で、所望の見掛け密度及び独立気泡率を有する発泡粒子を製造することが可能になったためと考えられる。
保持工程における保持時間は、発泡剤を混合樹脂に均一に含浸させ、高い独立気泡率を有する発泡粒子を得る観点から、1分以上、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、更に好ましくは13分以上である。そして、発泡粒子の生産性の観点、及びポリアミド系樹脂の加水分解を防ぐ観点から、保持する工程における保持時間は、60分以下、好ましくは40分以下、より好ましくは30分以下、更に好ましくは20分以下、より更に好ましくは18分以下である。上記時間で保持することにより、見掛け密度が低く、独立気泡率が高いポリアミド系樹脂発泡粒子を得ることが可能となる。保持する工程は、前記温度範囲内で多段階に設定することもでき、また、該温度範囲内で十分な時間を要してゆっくりと昇温させることも可能である。容易に製造が可能であるという観点からは、前記温度範囲内で一段階(保持温度が一定)に設定し、上記時間保持することが好ましい。
保持工程は、発泡剤を混合樹脂に均一に含浸させる観点から、加圧下で行われることが好ましく、含浸圧力と同じ圧力を維持することが好ましい。分散液が入った容器内の圧力は、1.5MPa(G)以上となるようにすることが好ましく、2.5MPa(G)以上となるようにすることがより好ましい。また、分散液が入った容器内の圧力は、7MPa(G)以下となるようにすることが好ましく、5MPa(G)以下となるようにすることがより好ましい。
〔発泡工程〕
発泡工程は、発泡剤を含浸した樹脂粒子を発泡させる工程である。
樹脂粒子の発泡方法は特に限定されるものではないが、前記保持する工程に続いて、発泡剤が含浸した樹脂粒子を水とともに、保持する工程における圧力より低い圧力雰囲気下(通常は大気圧下)に放出して発泡させる発泡法が好ましい。
発泡させる直前の分散液の温度Te(以下、発泡温度ともいう。)は、見掛け密度が低く、独立気泡率が高い発泡粒子を得る観点から、樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上、好ましくは80℃低い温度(Tm-80℃)以上、より好ましくは70℃低い温度(Tm-70℃)以上、更に好ましくは65℃低い温度(Tm-65℃)以上である。また、発泡温度は、樹脂粒子の融点(Tm)よりも50℃低い温度(Tm-50℃)未満、好ましくは55℃低い温度(Tm-55℃)以下、より好ましくは57℃低い温度(Tm-57℃)以下、更に好ましくは59℃低い温度(Tm-59℃)以下である。
発泡させる工程における放出直前の圧力(発泡圧力)は、好ましくは0.5MPa(G)以上、より好ましくは1.5MPa(G)以上、更に好ましくは2.5MPa(G)以上である。また、発泡圧力は、好ましくは10MPa(G)以下、より好ましくは7MPa(G)以下、更に好ましくは5MPa(G)以下である。
[発泡粒子成形体]
本発明の発泡粒子成形体は、前記発泡粒子が相互に融着した発泡粒子成形体である。
すなわち、本発明の発泡粒子成形体は、本発明の前記発泡粒子を型内成形することにより、得られる発泡粒子成形体である。
本発明の発泡粒子は、融着性及び回復性に優れ、成形後の成形収縮を抑制することができるから、該発泡粒子成形体は、成形後の成形収縮が抑制され、外観が良好である発泡粒子成形体となる。本発明の前記発泡粒子を型内成形することにより得られる発泡粒子成形体は、成形後の成形収縮を抑制することができるため厚物の成形体が好適に得られる。発泡粒子成形体の厚みとしては、30mm以上であることが好ましく、40mm以上であることが好ましい。
型内成形法は、従来公知の方法を採用することできるが、スチームによる加熱を用いることが好ましい。スチームにより、発泡粒子中のポリアミド系樹脂が、吸水し可塑化する為、成形圧を低くすることが可能となる。なお、得られた成形体を乾燥して水分を除去すれば、ポリアミド系樹脂本来の物性に戻り、成形体は高い耐熱性を有する成形体となる。
本発明の発泡粒子は、型内成形性に優れる発泡粒子成形体とすることができる。具体的には、成形体を得るために型内成形する際の二次発泡性に優れる。また、水冷時間を短くすることができ、その結果、全体の成形時間を短くすることができることから好ましい。
発泡粒子成形体の水冷時間は、以下のようにして求められる。まず、得られた発泡粒子を成形型に充填し、スチーム加熱による型内成形を行なって板状の発泡粒子成形体を得る。加熱方法は両面の型のドレン弁を開放した状態でスチームを5秒間供給して予備加熱(排気工程)を行ったのち、移動側型よりスチームを供給し、次いで固定側型よりスチームを供給した後、成形加熱スチーム圧力(成形圧力=成形蒸気圧)まで加熱する。加熱終了後、放圧し、成形体の発泡力による表面圧力が0.02MPa(ゲージ圧)に低下するまで水冷したのち、型を開放し成形体を型から取り出す。発泡粒子成形体の水冷時間は、水冷開始から面圧が0.02MPa(ゲージ圧)に到達するまでに要した水冷時間(秒)とする。
本発明の発泡粒子を用いて得られた発泡粒子成形体の嵩密度は、好ましくは10kg/m3以上であり、より好ましくは20kg/m3以上であり、更に好ましくは40kg/m3以上である。そして、本発明の発泡粒子を用いて得られた発泡粒子成形体の嵩密度は、好ましくは250kg/m3以下であり、より好ましくは200kg/m3以下であり、更に好ましくは100kg/m3以下である。なお、発泡粒子成形体の嵩密度は、以下の方法で測定される。
成形体の質量を外形寸法で除し、単位を[kg/m3]に換算することにより、成形体の嵩密度を求めることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
各例における樹脂粒子、発泡粒子及び成形体の各種物性は、以下の方法により測定した。
[測定方法]
〔融点〕
JIS K7121-1987に基づき、熱流束示差走査熱量測定法により、ポリアミド系樹脂、ポリアリーレンスルフィド系樹脂、及び樹脂粒子の融点を測定した。窒素流入量30mL/分の条件下で、10℃/分の加熱速度で30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融(1回目の昇温)してから、次いでその温度にて10分間保った後、10℃/分の冷却速度で30℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/分で融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融して得られる2回目のDSC曲線の融解ピークのピーク頂点温度として求めた。なお、測定装置として、高感度型示差走査熱量計「EXSTAR DSC7020」(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を使用した。また、試験片として用いた樹脂粒子及び発泡粒子は、高温、多湿条件下を避けて加水分解しないようデシケーター内で窒素雰囲気下とした後、真空吸引して水分量を1000質量ppm以下で24時間保存したものを融点の測定に使用した。
〔密度〕
ISO 1183-3に記載の方法に基づいて求めた。
〔曲げ弾性率(MPa)〕
ポリアミド系樹脂の曲げ弾性率は、JIS K7171:2016に準拠して測定することにより求めた。曲げ弾性率は、厚み4mm、幅10mm、長さ80mmの樹脂試験片を作製し、試験片を室温23℃、湿度50%の状態で72時間静置した後、支点間距離64mm、圧子の半径R15.0mm、支持台の半径R25.0mm、試験速度2mm/min、室温23℃、湿度50%の条件で、オートグラフAGS-10kNG(島津製作所製)試験機により測定し、算出された値(5点)の平均値を採用した。
〔ピークの頂点の温度及び融解熱量〕
発泡粒子を試験片とし、熱流束示差走査熱量測定によって10℃/分の昇温速度で、30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで昇温して測定したときに得られる1回目のDSC曲線に得られた融解ピークから、各融解ピークの頂点の温度と融解熱量を求めた。なお、測定装置として、高感度型示差走査熱量計「EXSTAR DSC7020」(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を使用した。以下に図1(1回目のDSC曲線)を用いて説明する。
図1に示す1回目のDSC曲線において、3つの融解ピークが存在するが、最も低温側のピークがポリアミド系樹脂固有の融解ピーク(I)、2番目のピークが高温ピーク(融解ピーク(II))、最も高温側のピークがポリアリーレンスルフィド系樹脂固有の融解ピーク(III)である。
各融解ピークの頂点の温度は、それぞれのピークの最も吸熱量の多い点の温度である。
各融解ピークの頂点の融解熱量は、図1に示すDSC曲線において、各融解ピークの面積に相当し、以下のようにして求めた。
まず、DSC曲線上の120℃の点と、DSC曲線上の融解ピーク(II)の融解終了温度を示す点とを結ぶ直線を引いた(ポリアミド系樹脂由来の融解ピークのベースライン)。
融解ピーク(I)と融解ピーク(II)を、融解ピーク(I)と融解ピーク(II)との間の谷部にあたるDSC曲線上の点から前記ポリアミド系樹脂由来の融解ピークのベースラインまでグラフ横軸の温度に対して垂直な直線で分割した。
分割された低温側のピークの面積がポリアミド系樹脂固有の融解ピーク(I)の融解熱量に相当し、分割された高温側のピークの面積がポリアミド系樹脂由来の高温ピーク(融解ピーク(II))の融解熱量に相当する。
次に、DSC曲線上の240℃の点と、ポリアリーレンスルフィド系樹脂固有の融解ピーク(III)の融解終了温度を示す点とを結ぶ直線を引いた(ポリアリーレンスルフィド系樹脂固有の融解ピークのベースライン)。
前記ポリアミド系樹脂由来の融解ピークのベースラインとDSC曲線によって囲まれる部分の面積がポリアリーレンスルフィド系樹脂固有の融解ピーク(III)の融解熱量に相当する。
〔発泡粒子の見掛け密度〕
温度23℃の水の入ったメスシリンダーを用意し、相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日間放置した約500cm3の発泡粒子の質量W1を測定した。次に前記メスシリンダーに、該発泡粒子を金網を使用して沈めた。金網の体積を考慮して、水位上昇分より読みとられる発泡粒子の容積V1[cm3]を測定し、発泡粒子の質量W1[g]を容積V1で割り算し(W1/V1)、単位を[kg/m3]に換算することにより、発泡粒子の見掛け密度を求めた。
〔発泡粒子の平均気泡径〕
まず、発泡粒子の中心部を通るように発泡粒子を約二分割し、切断面を走査型電子顕微鏡にて写真を撮影した。次いで、得られた断面写真において、発泡粒子切断面の中心付近から8方向に等間隔に直線を引き、その直線と交わる気泡の数を全てカウントした。該直線の合計長さを、カウントされた気泡数で除して得られた値を発泡粒子の気泡径とした。この操作を10個の発泡粒子について同様に行い、各発泡粒子の気泡径の算術平均値を発泡粒子の平均気泡径とした。
〔発泡粒子の独立気泡率〕
ASTM-D2856-70に記載されている手順Cに準じて、発泡粒子の真の体積(発泡粒子を構成する樹脂の容積と、発泡粒子内の独立気泡部分の気泡全容積との和)の値Vxを測定した。この真の体積Vxの測定には、東芝・ベックマン株式会社製の空気比較式比重計「930」を用いた。次いで、下記の式(1)により独立気泡率を算出し、5回の測定結果の算術平均値を求めた。
独立気泡率(%)=(Vx-W/ρ)×100/(Va-W/ρ)・・・(1)
Vx:上記方法で測定される発泡粒子の真の体積(cm3
Va:発泡粒子の見掛けの体積(cm3
W:発泡粒子測定用サンプルの質量(g)
ρ:発泡粒子を構成する樹脂の密度(g/cm3
〔成形体の嵩密度〕
各実施例及び各比較例で得られた発泡粒子を用い、実施例1の[混合樹脂発泡粒子成形体の製造]に記載した方法で発泡粒子成形体を作製した。
得られた成形体の質量を外形寸法で除し、単位を[kg/m3]に換算することにより、成形体の嵩密度を求めた。
[評価方法]
〔成形体の成形収縮率〕
各実施例及び各比較例で得られた発泡粒子を用い、実施例1の[混合樹脂発泡粒子成形体の製造]に記載した方法で発泡粒子成形体を作製した。その後、23℃相対湿度50%の環境下に24時間静置した後、発泡粒子成形体の寸法を測定し、縦、横、厚さの長さをそれぞれa’、b’、c’とし、金型の寸法(内部寸法)である縦、横、厚さの長さをそれぞれa、b、cとしたときの次式で示される値を成形体の成形収縮率(%)とした。成形体の成形収縮率の値が小さいほど、成形収縮率が抑制されており、好ましい。
(式)
成形収縮率(%)=[(a-a’)/a+(b-b’)/b+(c-c’)/c]×100/3
〔融着性〕
得られた発泡粒子成形体の融着性を評価するため融着率を測定し、融着率が90%以上である場合を「A」、融着率が90%未満である場合を「C」と評価した。
発泡粒子成形体の融着率は、以下の方法により測定した。各実施例及び各比較例で得られた発泡粒子成形体の表面の一方に、カッターナイフで該試験片の縦の長さを2等分する位置に厚み方向に約10mmの深さの切り込みを入れ、切り込み部から成形体を折り曲げて破断させた。破断面に存在する材料破壊した発泡粒子の個数mと、破断面に存在する全部の発泡粒子の個数nの比(m/n×100[%])を算出した。なお、成形体を折り曲げても破断できない場合は、融着率100%とした。異なる試験片を用いて前記測定を5回行い、それぞれの材料破壊率を求め、それらを算術平均して融着率とした。
〔回復性〕
各実施例及び各比較例で得られた発泡粒子成形体を23℃相対湿度50%の環境下に24時間静置した後、得られた発泡粒子成形体の中央部分と四隅部分の厚みをそれぞれ測定し、四隅部分のうち最も厚みが厚い部分に対する中央部分の厚みの比が90%以上である場合を「A」、90%未満である場合を「C」と評価した。
〔外観〕
各実施例及び各比較例で得られた発泡粒子成形体の表面を目視により確認し、外観を下記の基準で評価した。
(評価基準)
A:表面美麗で外観に優れるものであった
B:成形体表面にボイド(発泡粒子間の間隙)が散見され、外観に少し劣るものであった
C:成形体表面にボイド(発泡粒子間の間隙)が顕著に見られ、外観に劣るものであった
実施例1
[混合樹脂粒子の製造]
押出機に、ポリアミド系樹脂「6434B」(宇部興産株式会社製)を供給し、直鎖型ポリアリーレンスルフィド系樹脂「FZ-2100」(DIC株式会社製)を表1の配合割合となるように供給し、気泡調整剤としてタルク「タルカンパウダーPK-S」(林化成株式会社製)を0.3質量%となるように供給し、末端封鎖剤として芳香族ポリカルボジイミド「Stabaxol P100」(ラインケミー社製)を1質量%となるように供給し、溶融混練して溶融混練物を得た。その溶融混練物は、押出機先端に取り付けた口金の細孔から断面円形状のストランドとして押出し、押出されたストランドを水冷した後、ペレタイザーで質量が1個当たりの平均質量が2mgとなるように切断し、乾燥してペレット状の混合樹脂粒子を得た。樹脂粒子の融点は186℃であった。
なお、ポリアミド系樹脂「6434B」は、ポリアミド6/66/12コポリマー(ナイロン6/66/12)、融点(Tm):186℃、密度1.12g/cm3、曲げ弾性率:1070MPa、製品名:UBEナイロン6434Bである。
[混合樹脂発泡粒子の製造]
得られた混合樹脂粒子500gと、分散媒として水3.5リットルを、撹拌機を備えた5リットルのオートクレーブ内に仕込み、更に、混合樹脂粒子100質量部に対して、分散剤としてカオリン0.3質量部と、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.004質量部とを添加した。オートクレーブ内の内容物を撹拌しながら室温(23℃)から含浸温度(131℃)まで昇温しながら、該オートクレーブ内に発泡剤として二酸化炭素を、オートクレーブ内の圧力が含浸圧力(4.0MPa(G))となるまで圧入した。このとき、室温(23℃)から含浸温度(131℃)に到達するまでの昇温時間は40分であった。次に、131℃、4.0MPa(G)で15分間保持した。
その後、発泡剤が含浸された混合樹脂粒子を分散媒とともに大気圧(0.1MPa)下に放出した。発泡温度(発泡させる直前の分散液の温度)は131℃である。得られた混合樹脂発泡粒子を60℃のオーブン内にて24時間養生し、その後徐冷することにより混合樹脂発泡粒子を得た。
得られた混合樹脂発泡粒子について、前記評価を行った。結果を表1に示す。
[混合樹脂発泡粒子成形体の製造]
次に、混合樹脂発泡粒子を用いて発泡粒子成形体を作製した。
成形型を型締めした後、得られた混合樹脂発泡粒子を縦200mm×横65mm×厚さ40mmの平板成形型に充填し、スチーム加熱による型内成形を行なって板状の発泡粒子成形体を得た。
加熱方法は両面の型のドレン弁を開放した状態でスチームを5秒間供給して予備加熱(排気工程)を行ったのち、固定側のドレン弁を開放した状態で移動側型よりスチームを供給し、次いで移動側のドレン弁を開放した状態で固定側型よりスチームを供給した後、排気弁を閉鎖し、成形加熱スチーム圧力0.12MPa(成形圧力=成形蒸気圧)まで加熱した。
加熱終了後、放圧し、成形体の発泡力による表面圧力が0.02MPa(ゲージ圧)に低下するまで水冷したのち、型を開放し成形体を型から取り出した。その後、80℃のオーブン内に静置し、24時間後に取り出し混合樹脂発泡粒子成形体を得た。
得られた混合樹脂発泡粒子成形体について、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
ポリアリーレンスルフィド系樹脂「FZ-2100」(DIC株式会社製)に替えて、直鎖型ポリアリーレンスルフィド系樹脂「MA-505」(DIC株式会社製)を表1の配合割合となるように供給した以外は、実施例1と同様にして、混合樹脂粒子、混合樹脂発泡粒子及び混合樹脂発泡粒子成形体を得た。得られた混合樹脂発泡粒子及び混合樹脂発泡粒子成形体について、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3、比較例1及び比較例3
ポリアリーレンスルフィド系樹脂「FZ-2100」(DIC株式会社製)の配合割合を表1の量となるようにした以外は、実施例1と同様にして、混合樹脂粒子、混合樹脂発泡粒子及び混合樹脂発泡粒子成形体を得た。得られた混合樹脂発泡粒子及び混合樹脂発泡粒子成形体について、前記評価を行った。結果を表1に示す。
なお、実施例3で得られた発泡粒子成形体の結晶子サイズを測定したところ、9nmであった。
発泡粒子成形体の結晶子サイズは以下の方法により求めた。得られた発泡粒子成形体のX線回折(XRD)測定を、X線散乱装置「Smart Lab SE」(リガク社製)を用いた反射法により、行った。検出器には1次元半導体検出器 D/teX Ultra250を用いた。試料には試料厚みが2.0~3.0mm程度になるようにスライスした発泡粒子成形体を用いた。また、標準物質六ホウ化ランタンを測定して、bを求めた。得られた一次元X線回折プロフィールを、ピーク形状としてガウス関数を仮定して、結晶由来の回折ピークと非晶由来の回折ピークとにピーク分離を行った。ピーク分離により得られたピークのうち、最も狭いピーク幅を有するピークの半価全幅β(rad)を計算し、該半価全幅βを用いて下記式(2)に従って、発泡粒子成形体の結晶子サイズDを算出した。
Figure 2022157790000001
実施例4
カーボンブラック「ROYAL BLACK 986P」(越谷化成工業株式会社製)を表1の量となるように供給した以外は、実施例1と同様にして、混合樹脂粒子、混合樹脂発泡粒子及び混合樹脂発泡粒子成形体を得た。得られた混合樹脂発泡粒子及び混合樹脂発泡粒子成形体について、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例5
熱安定剤として、ヒンダードアミン系化合物〔Bis(2,2,6,6,-tetramethyl-4-piperidyl)sebacate、商品名:Tinuvin770、BASFジャパン株式会社製〕を0.18質量%となるように供給し、ヒンダードフェノール系化合物〔N,N'-hexane-1,6-diylbis(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenylpropionamide))、商品名:Iruganox1098、BASFジャパン株式会社製〕を0.09質量%となるように供給し、更にリン系化合物〔Tris(2,4-di-tert-butylphenyl)phosphite、商品名:Irugafos168、BASFジャパン株式会社製〕を0.09質量%となるように供給した以外は、実施例3と同様にして、混合樹脂粒子、混合樹脂発泡粒子及び混合樹脂発泡粒子成形体を得た。得られた混合樹脂発泡粒子及び混合樹脂発泡粒子成形体について、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例6
カーボンブラック「ROYAL BLACK 986P」(越谷化成工業株式会社製)を表1の量となるように供給し、熱安定剤として、ヒンダードアミン系化合物〔Bis(2,2,6,6,-tetramethyl-4-piperidyl)sebacate、商品名:Tinuvin770、BASFジャパン株式会社製〕を0.18質量%となるように供給し、ヒンダードフェノール系化合物〔N,N'-hexane-1,6-diylbis(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenylpropionamide))、商品名:Iruganox1098、BASFジャパン株式会社製〕を0.09質量%となるように供給し、リン系化合物〔Tris(2,4-di-tert-butylphenyl)phosphite、商品名:Irugafos168、BASFジャパン株式会社製〕を0.09質量%となるように供給した以外は、実施例1と同様にして、混合樹脂粒子、混合樹脂発泡粒子及び混合樹脂発泡粒子成形体を得た。得られた混合樹脂発泡粒子及び混合樹脂発泡粒子成形体について、前記評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
ポリアリーレンスルフィド系樹脂「FZ-2100」(DIC株式会社製)を用いず、樹脂としてポリアミド系樹脂「6434B」のみを供給した以外は、実施例1と同様にして、ポリアミド系樹脂粒子、ポリアミド系樹脂発泡粒子及びポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を得た。得られたポリアミド系樹脂発泡粒子及びポリアミド系樹脂発泡粒子成形体について、前記評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2022157790000002
表1に示した結果より、実施例で得られた発泡粒子成形体は、成形後の成形収縮が抑制され、外観が良好であった。このように、実施例で得られた発泡粒子は、融着性及び回復性に優れ、前記のように成形後の成形収縮が抑制され、外観が良好である発泡粒子成形体を得ることができることがわかる。
1 ポリアミド系樹脂固有の融解ピーク(I)
2 高温ピーク(融解ピーク(II))
3 ポリアリーレンスルフィド系樹脂固有の融解ピーク(III)

Claims (8)

  1. ポリアミド系樹脂とポリアリーレンスルフィド系樹脂との混合樹脂を基材樹脂とする発泡粒子であって、
    該発泡粒子の見掛け密度が10~300kg/m3であり、
    該ポリアミド系樹脂100質量部に対する前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂の配合割合が5~40質量部である発泡粒子。
  2. 前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂が、ポリフェニレンスルフィド樹脂である、請求項1に記載の発泡粒子。
  3. 前記発泡粒子の平均気泡径が30~150μmである、請求項1または2に記載の発泡粒子。
  4. 前記ポリアミド系樹脂が融点185~250℃のポリアミド共重合体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡粒子。
  5. 前記ポリアミド系樹脂の融点(Tm1)と前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂の融点(Tm2)との差[Tm2-Tm1]が70~130℃である、請求項1~4のいずれか一項に記載の発泡粒子。
  6. 前記発泡粒子が、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物及びリン系化合物からなる群より選択される熱安定剤を1種以上含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発泡粒子。
  7. 前記発泡粒子がカーボンブラックを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の発泡粒子。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の発泡粒子が相互に融着した発泡粒子成形体。
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