JP2024020700A - 車輌内装用加飾シート材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、表面に凹部を有し、凹凸感に優れるとともに座席形状への追従性に優れ、座席として組み上げるまでもなく加飾シート材の意匠の評価(凹凸感)も凹部の耐摩耗性や耐スクラッチ性等の耐久性の評価も可能で、しかも着座時の臀部をはじめ背中への違和感を抑えた座り心地に優れる車輌内装用加飾シート材を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係る車輌内装用加飾シート材1は、表皮層2とクッション層3とが積層一体化されたシート材に凹部4が形成された加飾シート材であって、凹部4は、加飾シート材1の裏面に裏材5が縫い付けられた位置に対応した加飾シート材1の表面に形成されたことを特徴とする。【選択図】図3
Description
本発明は、乗用車をはじめ車両の座席に用いられるクッション材が積層された加飾シート材に関する。
従来から、車両の座席には座り心地は当然ながら高い意匠性、及び使用頻度を想定した耐久性が求められてきた。また、乗員の着座を検知するセンサーの内蔵や、例えば面状のシートヒーターがクッションパッドと表皮カバーとの間に組み込まれたシートヒーターを内蔵した座席がある。
例えば、特許文献1には、着座時の異物感がないようにボタンを使用しないボタンダウン調の意匠を施した座席用クッションとして、表皮、カバーパッド、及び引込材を装飾パターン線により一体接合するとともに、引込材をクッションパッドの係止具に引き込むごとく係止して、カバーパッドに、装飾パターンに対応する盛り上がりを有する凹所を形成すると共に、凹所の外方に、凹所から出発するしわを形成した座席用クッションの発明が開示されている。
また、特許文献2には、シートパッドをシートカバーで被覆した状態において、シートカバーの意匠面に、より仕上がり性良く起伏を設けておくために、シートカバーは、表面材と、弾性材とが積層されて構成され、意匠面に露出するステッチ部と、弾性材の裏側に配置され且つ表材よりも撓み変形しにくいアンカー部とが設けられ、シートカバーの凹部では、弾性材を潰した状態でシートパッド側に撓み変形している表材が、ステッチ部によってアンカー部に縫い付けられている乗物用シートの発明が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の座席用クッションは、引込材として短冊状の布材を用い、布材の両端部を重ね合わせて装飾パターン線でもって表皮、カバーパット、裏基布及び引込材を一体に縫着する一方、引込材をクッションパッドの空所方向に強力に引き込んでインサートワイヤに係止するもので、クッションパッドとともに座席として組み上げて初めてボタンを使用しないボタンダウン調の意匠が形成されるものであるため、組み上がるまでは、仕上がりの意匠の評価が定まらず、しかもその凹所の耐久性も評価し難いという問題があった。
また、特許文献2に記載の乗物用シートは、より仕上がり性良く起伏が設けられたものであるが、シートカバーの座席形状追従性、表面の摩耗性、凹部について改良の余地があった。
また、各種センサーやシートヒーターを内蔵する際、すなわちクッションパッドと表皮カバーとの間に組み込む際に何ら制限を受けることもないし、座席の座り心地を損なわないことが求められる。
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、表面に凹部を有し、凹凸感に優れるとともに座席形状への追従性に優れ、座席として組み上げるまでもなく加飾シート材の意匠の評価(凹凸感)も凹部の耐摩耗性や耐スクラッチ性等の耐久性の評価も可能で、しかも着座時の臀部をはじめ背中への違和感を抑えた座り心地に優れる車輌内装用加飾シート材を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]表皮層とクッション層とが積層一体化されたシート材に凹部が形成された加飾シート材であって、
前記凹部は、前記加飾シート材の裏面に裏材が縫い付けられた位置に対応した前記加飾シート材の表面に形成されたことを特徴とする車輌内装用加飾シート材。
前記凹部は、前記加飾シート材の裏面に裏材が縫い付けられた位置に対応した前記加飾シート材の表面に形成されたことを特徴とする車輌内装用加飾シート材。
[2]前記裏材が、ニードルパンチ不織布と樹脂フイルムが積層された複合材であり、
前記ニードルパンチ不織布の目付が200g/m2~800g/m2の範囲、かつ
前記ニードルパンチ不織布の厚みが1.0mm~4.0mmの範囲である前項1に記載の車輌内装用加飾シート材。
前記ニードルパンチ不織布の目付が200g/m2~800g/m2の範囲、かつ
前記ニードルパンチ不織布の厚みが1.0mm~4.0mmの範囲である前項1に記載の車輌内装用加飾シート材。
[3]前記凹部の深さが、前記加飾シート材の厚みの2/5~4/5の範囲である前項1又は2に記載の車輌内装用加飾シート材。
[4]前記凹部と隣接する凹部を結ぶ線状の溝が、前記加飾シート材の表面に形成された前項1~3のいずれか1項に記載の車輌内装用加飾シート材。
[5]前記裏材1個の面積が、3.0cm2~20.0cm2の範囲である前項1~4のいずれか1項に記載の車輌内装用加飾シート材。
[6]前記クッション層の厚みが2.5mm~12.0mmの範囲である前項1~5のいずれか1項に記載の車輌内装用加飾シート材。
[7]前記凹部が略円形である前項1~6のいずれか1項に記載の車輌内装用加飾シート材。
[1]の発明では、前記凹部が前記加飾シート材の裏面に裏材が縫い付けられた位置に対応した前記加飾シート材の表面に形成されているので、凹凸感に優れ、座席として組み上げるまでもなく加飾シート材の意匠の評価(凹凸感)や凹部の耐摩耗や耐スクラッチ性等の耐久性を評価することができる。また、裏材は前記凹部の裏面側にだけに縫い付けられていることから、座席形状への追従性に及ぼす影響を抑えることができるとともに着座時の臀部をはじめ背中への違和感が抑えられた座り心地に優れる車輌内装用加飾シート材を提供できる。
[2]の発明では、前記裏材が、ニードルパンチ不織布と樹脂フイルムが積層された複合材であり、前記ニードルパンチ不織布の目付が200g/m2~800g/m2の範囲、かつ前記ニードルパンチ不織布の厚みが1.0mm~4.0mmの範囲であるので、前記加飾シート材の表面に形成された前記凹部を維持することができるとともに、前記凹部に対応する裏面の縫付にともなう窪み、すなわち裏面からの凹み返しを十分に抑制することができる。
[3]の発明では、前記凹部の深さが、前記加飾シート材の厚みの2/5~4/5の範囲であるので、凹凸感に優れるのはもちろんのこと、前記凹部の耐摩耗や耐スクラッチ性に優れ、耐久性を十分担保することができる。
[4]の発明では、前記凹部と隣接する凹部を結ぶ線状の溝が前記加飾シート材の表面に形成されているので、前記凹部による意匠性に加え、さらに複合柄としての立体感を表現することができる。
[5]の発明では、前記裏材1個の面積が、3.0cm2~20.0cm2の範囲であるので、着座時の臀部をはじめ背中への違和感もなく、加飾シート材の材料コストも最小限の追加に抑えることができる。
[6]の発明では、前記クッション層の厚みが2.5mm~12.0mmの範囲であるので、前記凹部の深さを担保でき、視覚的にも触覚的にも立体感を表現できるとともにクッション性と両立させることができる。
[7]の発明では、前記凹部が略円形であるので、意匠性に方向による特性がなく、加飾シート表面の360度いずれの方向からも同等に耐久性等を評価することができる。また、座席形状への追従性に異方性もなく優れることから張り込み後の仕上がり性を高めることができる。
次に、本発明の車輌内装用加飾シート材について図1~図4に基づいて詳しく説明する。
図1は、本発明に係る車両内装用加飾シート材の一実施形態を示す断面図である。図1に示すように、本発明に係る車輌内装用加飾シート材1は、表皮層2とクッション層3とが積層一体化されたシート材に凹部4が形成された加飾シート材であって、凹部4は、加飾シート材1の裏面に裏材5が縫い付けられた位置に対応した加飾シート材1の表面に形成されたことを特徴とする。
このような構成を採用することで、車輌内装用加飾シート材1は、凹凸感に優れ、座席として組み上げるまでもなく加飾シート材1の意匠の評価(凹凸感)や凹部4の耐摩耗や耐スクラッチ性等の耐久性を評価することができる。また、裏材5は凹部4の裏面側にだけに縫い付けられていることから、座席形状への追従性に及ぼす影響を抑えることができるとともに着座時の臀部をはじめ背中への違和感が抑えられた座り心地に優れる車輌内装用加飾シート材1を提供できる。
表皮層2は、特に限定されないが、例えば織物、編物、不織布、合成皮革を挙げることができる。表皮層2が繊維の場合は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維等の合成繊維、木綿、レーヨン繊維等を挙げることができる。これらを適宜組み合せてもよい。また、表皮層2が合成皮革の場合は、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂を挙げることができる。
クッション層3は、クッション性が良好な範囲で密度、硬さを選ぶことができるので軟質ウレタンフォームが好ましく、密度は15Kg/m3~45Kg/m3 、硬さは60N~180N/cm2の各範囲が好ましい。
また、図1には図示していないが、軟質ウレタンフォームの裏面に裏布(編地又は不織布)を積層したものが、車輌内装用加飾シート材1の製造工程において工程通過性に優れ、車輌内装用加飾シート材1を裁断する際の作業性が向上することから好ましい。前記編地としては、例えばトリコット、ジャージを挙げることができる。また、前記不織布としては、例えばスパンボンド不織布、スパンレース不織布を挙げることができる。なお、前記編地又は前記不織布の目付としては、例えば20g/m2~100g/m2が好ましい。
凹部4は、加飾シート材1の裏面に裏材5が刺繍糸により縫い付けられた位置に対応した加飾シート材1の表面に形成された窪みである。加飾シート材1の裏面に裏材5を縫い付けるには、工業用ミシンを使うのが好ましく、なかでも縫い付けるパターンを容易に設定でき、スポット状に縫い付けることもできることからコンピュータミシン又は刺繍機(多頭刺繍機を含む)が好ましい。工業用ミシン、コンピュータミシン又は刺繍機を使用し裏材5を縫い付けることによりステッチが形成されるが、ステッチは例えば十字、-字、星字、団子等を挙げることができる。前記刺繍糸の太さは160デニール~450デニールの範囲が好ましい。この範囲にすることで、一層細かな意匠とすることができる。なお、前記刺繍糸が凹部4に位置することから、前記刺繍糸の損傷が抑えられ、耐摩耗や耐スクラッチ性等の耐久性に優れたものとなる。
凹部4の形状としては、裏材5を縫い付けることにより表皮層2が引っ張られると同時にクッション層3が圧縮されつつ、表皮層2が表面方向への膨らみを維持した形状である。なお、同様にして加飾シート材1の裏面の裏材5も縫い付けにより窪みが形成される。
裏材5は、特に限定されないが、例えば織物、編物、不織布、樹脂フイルムからなる群から選らばれる単体、又は複数を積層一体化した複合材を挙げることができる。また、前記織物、前記編物の素材としては、例えばポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維を挙げることができる。前記不織布としては、例えばニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等を挙げることができる。前記不織布の素材としては、例えばポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維、レーヨン繊維等を挙げることができる。前記樹脂フイルムとしては、特に限定されないが、例えばポリエチレンフイルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ウレタンフィルム、ポリプロピレンフイルム等を挙げることができる。
また、裏材5の重さとしては、裏材5の縫い付けにともなう窪み、すなわち裏面からの凹み返しを緩和させ、加飾シート材1の表面側の凹部4より沈み込みが少なくなることから、200g/m2~800g/m2の範囲が好ましい。また、裏材5の厚みとしては、前記刺繍糸によって一点部分からの吊り上げに対するのと同様に、裏材5の縫い付けにともなう窪み、すなわち裏面からの凹み返しを緩和させるために変形が抑えられ、さらに着座時の臀部をはじめ背中への違和感が抑えられ、座り心地に優れることから、1.0mm~4.0mmの範囲が好ましい。
裏材5が、ニードルパンチ不織布と樹脂フイルムが積層された複合材であり、前記ニードルパンチ不織布の目付が200g/m2~800g/m2の範囲、かつ前記ニードルパンチ不織布の厚みが1.0mm~4.0mmの範囲が好ましい。
このような構成を採用することで、表面に形成された凹部4を維持することができるとともに、凹部4に対応する裏面の縫い付にともなう窪み、すなわち裏面からの凹み返しを十分に抑制することができる。
図2は、本発明に係る車両内装用加飾シート材1のクッション層3側から縫い付けられる裏材5の一例を示す断面図である。この例は、三層からなる積層材である裏材5の断面図である。すなわち、裏材5が、樹脂フイルム8とニードルパンチ不織布9と樹脂フイルム10がこの順で積層された複合材である。樹脂フイルム8と樹脂フイルム10とは同じであってもよいが、車両内装用加飾シート材1の表皮層2側から座った際の違和感を軽減するために、車両内装用加飾シート材1のクッション層3側に接する裏材5の樹脂フイルム8としては柔軟性があるものが好ましく、一方の樹脂フイルム10は、縫い付けによる凹み返しを抑制するために、できる限り変形が起こりにくい硬さを有することから、異なる種類が好ましい。
凹部4の深さD1は、加飾シート材1の厚みD0の2/5~4/5の範囲が好ましい。この範囲にすることで、凹凸感に優れるのはもちろんのこと、凹部4の耐摩耗や耐スクラッチ性に優れ、耐久性を十分担保することができる。なお、加飾シート材の厚みD0は、裏材5が多少なりとも撓んでいることから裏材5のないところ、すなわち表皮層2とクッション層3(裏布あれば含む)の合計の厚みを意味するものとする。
図3は、本発明に係る車両内装用加飾シート材1の一実施形態を示す表皮層2側からみた平面図である。図3では溝7を二重線で示している。凹部4と隣接する凹部4を結ぶ線状の溝7が、前記加飾シート材の表面に形成されているので、凹部4による意匠性に加え、さらに複合柄としての立体感を表現することができることから好ましい。
溝7としては凹部4の深さよりも浅いのが好ましい。溝7は、裏材5が加飾シート材1の裏面に縫い付けられ際に表皮層2が引っ張られ、加飾シート材1の表面に形成されたものである。凹部4の周辺部から隣接する他の凹部4に向かって形成されたものであるが、縫い付の際の刺繍糸のステッチと同じ方向に向かって形成された溝7が好ましい。例えば、十字のステッチであれば、十字を時計の文字盤にみたてると0時、3時、6時、9時の4方向に形成された溝7となり、一字のステッチであれば、3時、9時の2方向に形成された溝7となる。
図3ではステッチ6は、拡大図として円の中に十字のステッチを示した以外は省略しているが、9個の各凹部4が、十字のステッチ6の方向のそれぞれに一致した位置にある凹部4との間に溝7が形成され、全部で溝7は12本あることを示している。このように溝7は、縫い付の際の刺繍糸のステッチによって形成されたものであり、凹部4と相俟ってより複合的な柄を有する車輌内装用加飾シート材1とすることができる。
また、裏材5の面積は1個あたり3.0cm2~20.0cm2の範囲が好ましい。この範囲にすることで、着座時の臀部をはじめ背中への違和感もなく、加飾シート材1の材料コストも最小限の追加に抑えることができることから好ましい。
図4は、本発明に係る車両内装用加飾シート材1の一実施形態を示すクッション層3側からみた平面図である。すなわち、裏材5の形状が例示されている。図4に示すように例えば、円形、楕円形、矩形、三角形、六角形、平行四辺形を挙げることができる。なかでも、四方のバランスの点で円形が、また材料ロスを低減できる矩形、三角形、六角形、平行四辺形が好ましい。
クッション層3の厚みが2.5mm~12.0mmの範囲が好ましい。この範囲にすることで、凹部4の深さD1を担保でき、視覚的にも触覚的にも立体感を表現できるとともにクッション性と両立させることができることから好ましい。
凹部4は略円形であるのが好ましい。略円形であることで、意匠性に方向による特性がなく、加飾シート材1の表面の360度いずれの方向からも同等に耐久性等を評価することができる。また、座席形状への追従性に異方性もなく優れることから張り込み後の仕上がり性を高めることができる。
本発明に用いるシート材は、例えばフレームラミネート法、接着材を用いる積層法など公知の方法により表皮層2とクッション層3とが積層一体化されたシート材である。また、裏材5は単体でも複合体でもよいが、複合体の方が好ましい。単体の裏材5を前記シート材の裏面に接着するために接着剤又はホットメルト樹脂フイルムを用いれば容易である。あらかじめ特定の大きさに裏材5と前記ホットメルト樹脂フイルムをそれぞれ打抜き裁断し、前記シート材の裏面に前記ホットメルト樹脂フイルム、裏材5を順に重ね、前記ホットメルト樹脂フイルムの接着温度まで加熱することで接着すればよい。なお、複合材の裏材5を用いる場合は、例えばあらかじめ積層された樹脂フイルムと不織布を特定の大きさに打抜き裁断し、前記ホットメルト樹脂フイルムを介して前記シート材の裏面に重ね、前記ホットメルト樹脂フイルムの接着温度まで加熱することで接着すればよい。このようにして準備した裏材5(単体又は複合体)の中心に前記シート材の表面側から刺繍機を位置決めして、前記刺繍糸を縫い付けることで凹部4がシート材表面に形成された車両内装用加飾シート材1が得られる。表面の凹部4の位置は、求められる意匠に応じて適宜決めればよい。なお、例えば図3に示すような格子状に線状の溝7を配列するには、格子の交点が凹部4となるように裏材5を配置して、表面側から刺繍機で縫い付ければよい。刺繍糸によるステッチ6は十字にすればよい。
次に、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のものに特に限定されるものではない。なお、表1に用いた表皮層、クッション層、裏材、及び凹部の深さ等を、表2に評価結果を示す。
<使用材料他>
表皮層・・・織物(ポリエステル繊維原着糸、目付360g/m2、厚み0.75mm)
クッション層・・・軟質ウレタンフォーム(厚み10mm、密度30Kg/m3、硬度130N、裏布(ナイロンスパンボンド不織布、目付40g/m2、厚み0.3mm))
裏材・・・ポリエステル繊維ニードルパンチ不織布(目付300g/m2、厚み1.9mm)とポリエチレンフイルム(目付200g/m2、厚み0.3mm、)の二層複合体にポリウレタン樹脂ホットメルトフイルム(厚み100μm)を積層し、直径30mmの大きさの裁断品
刺繍機・・・多頭刺繍機(バルダン株式会社製)
刺繍糸・・・120デニール/2のトライオーバル異形断面糸(ポリエステル繊維)
刺繍針速度・・・800rpm
表皮層・・・織物(ポリエステル繊維原着糸、目付360g/m2、厚み0.75mm)
クッション層・・・軟質ウレタンフォーム(厚み10mm、密度30Kg/m3、硬度130N、裏布(ナイロンスパンボンド不織布、目付40g/m2、厚み0.3mm))
裏材・・・ポリエステル繊維ニードルパンチ不織布(目付300g/m2、厚み1.9mm)とポリエチレンフイルム(目付200g/m2、厚み0.3mm、)の二層複合体にポリウレタン樹脂ホットメルトフイルム(厚み100μm)を積層し、直径30mmの大きさの裁断品
刺繍機・・・多頭刺繍機(バルダン株式会社製)
刺繍糸・・・120デニール/2のトライオーバル異形断面糸(ポリエステル繊維)
刺繍針速度・・・800rpm
<実施例1>
上記の材料、刺繍機等を用いて車輌内装用加飾シート材を得た。すなわち、クッション層をフレームラミネート法により織物に積層しシート材を得た。次に、裏材を12個用意し、シート材の裏面側の8cm間隔の碁盤の目の位置12箇所に裏材をそれぞれ配置し接着した。その際、裏材のポリウレタン樹脂ホットメルトフイルムの側をシート材裏面のクッション層側に温度145℃で15秒間圧着することで溶着した。次に、シート材の裏材の位置に対応したシート材の表面から多頭刺繍機を用い、刺繍糸を十字に縫い付けることで、シート材表面に凹部が形成された車輌内装用加飾シート材を得た。なお、十字のステッチの向きはどれも同じ向きになるようにした。刺繍の際の針速度は800rpmで行った。得られた車輌内装用加飾シート材の表面からの凹部の深さ(D1)は5.5mmであった。凹部の深さ(D1)の加飾シート材の厚み(D0)に対する百分率は49.8%であった。こうして、着座等による凹部内の刺繍糸の摩耗が抑制され、比較的細い刺繍糸であっても耐久性を維持することができるうえ、細かな意匠を表現し、しかも表面には凹部と隣接する凹部を結ぶ線状の溝が、碁盤の線のように形成され、さらに複合柄としての立体感を表現していた。また、着座時に裏材を異物として感じることはなかった。すなわち臀部をはじめ背中への違和感はなかった。なお、車輌内装用加飾シート材から評価に必要な試験片を用意し、各評価法又は試験法により測定又試験をして評価した。評価の結果は、凹凸感は「〇」、耐摩耗性(テーバー)は「〇」、耐スクラッチ性は「〇」で、すべて合格であった。
上記の材料、刺繍機等を用いて車輌内装用加飾シート材を得た。すなわち、クッション層をフレームラミネート法により織物に積層しシート材を得た。次に、裏材を12個用意し、シート材の裏面側の8cm間隔の碁盤の目の位置12箇所に裏材をそれぞれ配置し接着した。その際、裏材のポリウレタン樹脂ホットメルトフイルムの側をシート材裏面のクッション層側に温度145℃で15秒間圧着することで溶着した。次に、シート材の裏材の位置に対応したシート材の表面から多頭刺繍機を用い、刺繍糸を十字に縫い付けることで、シート材表面に凹部が形成された車輌内装用加飾シート材を得た。なお、十字のステッチの向きはどれも同じ向きになるようにした。刺繍の際の針速度は800rpmで行った。得られた車輌内装用加飾シート材の表面からの凹部の深さ(D1)は5.5mmであった。凹部の深さ(D1)の加飾シート材の厚み(D0)に対する百分率は49.8%であった。こうして、着座等による凹部内の刺繍糸の摩耗が抑制され、比較的細い刺繍糸であっても耐久性を維持することができるうえ、細かな意匠を表現し、しかも表面には凹部と隣接する凹部を結ぶ線状の溝が、碁盤の線のように形成され、さらに複合柄としての立体感を表現していた。また、着座時に裏材を異物として感じることはなかった。すなわち臀部をはじめ背中への違和感はなかった。なお、車輌内装用加飾シート材から評価に必要な試験片を用意し、各評価法又は試験法により測定又試験をして評価した。評価の結果は、凹凸感は「〇」、耐摩耗性(テーバー)は「〇」、耐スクラッチ性は「〇」で、すべて合格であった。
<実施例2>
実施例1において、表皮層として織物に替えて塩化ビニル(厚み0.75mm、目付650g/m2、裏基布150デニール原着糸)を用い、クッション層の裏布をナイロンスパンボンド不織布に替えてスパンレース(ポリエチレンテレフタレート繊維、目付40g/m2、厚み0.3mm)を用いた以外は実施例1と同様にして車輌内装用加飾シート材を得た。こうして得られた車輌内装用加飾シート材の表面からの凹部の深さ(D1)は5.4mmであった。凹部の深さ(D1)の加飾シート材の厚み(D0)に対する百分率は48.9%であった。こうして、着座等による凹部内の刺繍糸の摩耗が抑制され、比較的細い刺繍糸であっても耐久性を維持することができるうえ、細かな意匠を表現し、しかも実施例1と同様に表面には凹部と隣接する凹部を結ぶ線状の溝が、碁盤の線のように形成され、さらに複合柄としての立体感を表現していた。また、着座時に裏材を異物として感じることはなかった。すなわち臀部をはじめ背中への違和感はなかった。なお、車輌内装用加飾シート材から評価に必要な試験片を用意し、各評価法又は試験法により測定又試験をして評価した。評価の結果は、凹凸感は「〇」、耐摩耗性(テーバー)は「〇」、耐スクラッチ性は「〇」で、すべて合格であった。
実施例1において、表皮層として織物に替えて塩化ビニル(厚み0.75mm、目付650g/m2、裏基布150デニール原着糸)を用い、クッション層の裏布をナイロンスパンボンド不織布に替えてスパンレース(ポリエチレンテレフタレート繊維、目付40g/m2、厚み0.3mm)を用いた以外は実施例1と同様にして車輌内装用加飾シート材を得た。こうして得られた車輌内装用加飾シート材の表面からの凹部の深さ(D1)は5.4mmであった。凹部の深さ(D1)の加飾シート材の厚み(D0)に対する百分率は48.9%であった。こうして、着座等による凹部内の刺繍糸の摩耗が抑制され、比較的細い刺繍糸であっても耐久性を維持することができるうえ、細かな意匠を表現し、しかも実施例1と同様に表面には凹部と隣接する凹部を結ぶ線状の溝が、碁盤の線のように形成され、さらに複合柄としての立体感を表現していた。また、着座時に裏材を異物として感じることはなかった。すなわち臀部をはじめ背中への違和感はなかった。なお、車輌内装用加飾シート材から評価に必要な試験片を用意し、各評価法又は試験法により測定又試験をして評価した。評価の結果は、凹凸感は「〇」、耐摩耗性(テーバー)は「〇」、耐スクラッチ性は「〇」で、すべて合格であった。
<比較例1>
実施例1において、シート材の裏面に裏材を用いないで、8cm間隔の碁盤の目の位置(全部で12箇所)に対応したシート材の表面から多頭刺繍機を用い、刺繍糸を十字に縫い付けた以外は実施例1と同様にして加飾シート材を得た。こうして得られた加飾シート材の表面からの凹部の深さ(D1)は3.3mmであった。凹部の深さ(D1)の加飾シート材の厚み(D0)に対する百分率は29.9%であった。また、表面には凹部と隣接する凹部を結ぶ線状の溝が、碁盤の線のように形成されているとは認められなかった。実施例と同様にして評価した。評価の結果は、凹凸感は「×」、耐摩耗性(テーバー)は「〇」、耐スクラッチ性は「×」であった。耐摩耗性(テーバー)を除き不合格であった。
実施例1において、シート材の裏面に裏材を用いないで、8cm間隔の碁盤の目の位置(全部で12箇所)に対応したシート材の表面から多頭刺繍機を用い、刺繍糸を十字に縫い付けた以外は実施例1と同様にして加飾シート材を得た。こうして得られた加飾シート材の表面からの凹部の深さ(D1)は3.3mmであった。凹部の深さ(D1)の加飾シート材の厚み(D0)に対する百分率は29.9%であった。また、表面には凹部と隣接する凹部を結ぶ線状の溝が、碁盤の線のように形成されているとは認められなかった。実施例と同様にして評価した。評価の結果は、凹凸感は「×」、耐摩耗性(テーバー)は「〇」、耐スクラッチ性は「×」であった。耐摩耗性(テーバー)を除き不合格であった。
本発明の実施例1、実施例2の車輌内装用加飾シート材は、表面に凹部を有し、凹凸感に優れるとともに座席形状への追従性に優れ、座席として組み上げるまでもなく加飾シート材から試験片を用意することで意匠の評価(凹凸感)も凹部の耐摩耗や耐スクラッチ性等の耐久性の評価も可能であった。しかも着座時の臀部をはじめ背中への違和感はなかった。また、いずれの評価も合格であった。
一方、比較例1の加飾シート材は、耐摩耗性(テーバー)の評価は「〇」で合格であったものの、凹凸感の評価と耐スクラッチ性の評価とも不合格で、表面に凹部を有するものの、意匠性に優れるとは言い難かった。
一方、比較例1の加飾シート材は、耐摩耗性(テーバー)の評価は「〇」で合格であったものの、凹凸感の評価と耐スクラッチ性の評価とも不合格で、表面に凹部を有するものの、意匠性に優れるとは言い難かった。
<凹凸感評価>
車輌内装用加飾シート材の表面に形成された凹部深さD1をレーザー変位計(LK―G3000、株式会社キーエンス製)により測定した。続いて、加飾シート材の厚みD0は、表皮層とクッション層(裏布あれば含む)の合計の厚みとし、凹部の深さ(D1)の加飾シート材の厚み(D0)に対する百分率を算出した。算出した値を次の判定基準により評価した。なお、判定が「〇」を合格とした。
(判定基準)
「〇」:40%以上。
「×」:40%未満。
車輌内装用加飾シート材の表面に形成された凹部深さD1をレーザー変位計(LK―G3000、株式会社キーエンス製)により測定した。続いて、加飾シート材の厚みD0は、表皮層とクッション層(裏布あれば含む)の合計の厚みとし、凹部の深さ(D1)の加飾シート材の厚み(D0)に対する百分率を算出した。算出した値を次の判定基準により評価した。なお、判定が「〇」を合格とした。
(判定基準)
「〇」:40%以上。
「×」:40%未満。
<テーバー摩耗試験法>
JIS L 1096 摩耗強さ C法に規定される方法で試験した。測定方法は、直径130mmの円形試験片1枚を採取し、その中心に直径約6mmの穴をあけ、テーバー型摩耗試験機を用いて、試験片の表面を上にして試験フォルダーに取り付ける。次いで、摩耗輪を試験片上にのせ、次の条件で試験を行い、試験片表面(表皮層、凹部及びステッチ)の摩耗程度を目視で観察して、次の判定基準に基づき耐摩耗性を評価した。なお、判定が「〇」以上を合格とした。
・試験条件
摩耗輪No:CS-10、荷重:4.9N、試験回転数:1000回、回転摩擦速度:約70rpm/min
(判定基準)
「◎」…変化が認められない。
「〇」…変化がわずかに認められる。
「×」…変化が明らかに認められる。
「××」…変化がやや著しい。
JIS L 1096 摩耗強さ C法に規定される方法で試験した。測定方法は、直径130mmの円形試験片1枚を採取し、その中心に直径約6mmの穴をあけ、テーバー型摩耗試験機を用いて、試験片の表面を上にして試験フォルダーに取り付ける。次いで、摩耗輪を試験片上にのせ、次の条件で試験を行い、試験片表面(表皮層、凹部及びステッチ)の摩耗程度を目視で観察して、次の判定基準に基づき耐摩耗性を評価した。なお、判定が「〇」以上を合格とした。
・試験条件
摩耗輪No:CS-10、荷重:4.9N、試験回転数:1000回、回転摩擦速度:約70rpm/min
(判定基準)
「◎」…変化が認められない。
「〇」…変化がわずかに認められる。
「×」…変化が明らかに認められる。
「××」…変化がやや著しい。
<スクラッチ試験法>
JIS L 0849 摩擦試験機II形(学振型)を用いて試験した。試験片の形状、摩擦試験機及び摩擦布として面ファスナーテープを用い規定に従い、次の条件で試験を行い、試験片表面(表皮層、凹部及びステッチ)の摩耗程度を目視で観察して、次の判定基準に基づき耐スクラッチ性を評価した。なお、判定が「〇」以上を合格とした。
・試験条件
摩耗子:ハードタイプ面(マッシュルームタイプ)「マジクロス 1H2」(伸和株式会社製)、荷重:2N、試験速度:毎分30往復、摩擦回数:6回
(判定基準)
「◎」…変化が認められない。
「〇」…変化がわずかに認められる。
「×」…変化が明らかに認められる。
「××」…変化がやや著しい。
JIS L 0849 摩擦試験機II形(学振型)を用いて試験した。試験片の形状、摩擦試験機及び摩擦布として面ファスナーテープを用い規定に従い、次の条件で試験を行い、試験片表面(表皮層、凹部及びステッチ)の摩耗程度を目視で観察して、次の判定基準に基づき耐スクラッチ性を評価した。なお、判定が「〇」以上を合格とした。
・試験条件
摩耗子:ハードタイプ面(マッシュルームタイプ)「マジクロス 1H2」(伸和株式会社製)、荷重:2N、試験速度:毎分30往復、摩擦回数:6回
(判定基準)
「◎」…変化が認められない。
「〇」…変化がわずかに認められる。
「×」…変化が明らかに認められる。
「××」…変化がやや著しい。
本発明の車輌内装用加飾シート材は、乗用車をはじめ車両の座席の表皮として好適である。
1・・・加飾シート材
2・・・表皮層
3・・・クッション層
4・・・凹部
5・・・裏材
6・・・ステッチ(刺繍糸)
7・・・溝
8・・・樹脂フイルム
9・・・ニードルパンチ不織布
10・・・樹脂フイルム
D0・・・加飾シート材の厚み
D1・・・凹部深さ
2・・・表皮層
3・・・クッション層
4・・・凹部
5・・・裏材
6・・・ステッチ(刺繍糸)
7・・・溝
8・・・樹脂フイルム
9・・・ニードルパンチ不織布
10・・・樹脂フイルム
D0・・・加飾シート材の厚み
D1・・・凹部深さ
Claims (7)
- 表皮層とクッション層とが積層一体化されたシート材に凹部が形成された加飾シート材であって、
前記凹部は、前記加飾シート材の裏面に裏材が縫い付けられた位置に対応した前記加飾シート材の表面に形成されたことを特徴とする車輌内装用加飾シート材。 - 前記裏材が、ニードルパンチ不織布と樹脂フイルムが積層された複合材であり、
前記ニードルパンチ不織布の目付が200g/m2~800g/m2の範囲、かつ
前記ニードルパンチ不織布の厚みが1.0mm~4.0mmの範囲である請求項1に記載の車輌内装用加飾シート材。 - 前記凹部の深さが、前記加飾シート材の厚みの2/5~4/5の範囲である請求項1又は2に記載の車輌内装用加飾シート材。
- 前記凹部と隣接する凹部を結ぶ線状の溝が、前記加飾シート材の表面に形成された請求項1~3のいずれか1項に記載の車輌内装用加飾シート材。
- 前記裏材1個の面積が、3.0cm2~20.0cm2の範囲である請求項1~4のいずれか1項に記載の車輌内装用加飾シート材。
- 前記クッション層の厚みが2.5mm~12.0mmの範囲である請求項1~5のいずれか1項に記載の車輌内装用加飾シート材。
- 前記凹部が略円形である請求項1~6のいずれか1項に記載の車輌内装用加飾シート材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022123074A JP2024020700A (ja) | 2022-08-02 | 2022-08-02 | 車輌内装用加飾シート材 |
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---|---|
JP2024020700A true JP2024020700A (ja) | 2024-02-15 |
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JP2022123074A Pending JP2024020700A (ja) | 2022-08-02 | 2022-08-02 | 車輌内装用加飾シート材 |
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Country | Link |
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2022
- 2022-08-02 JP JP2022123074A patent/JP2024020700A/ja active Pending
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