JP2024019854A - 被加工物の分割方法 - Google Patents

被加工物の分割方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024019854A
JP2024019854A JP2022122591A JP2022122591A JP2024019854A JP 2024019854 A JP2024019854 A JP 2024019854A JP 2022122591 A JP2022122591 A JP 2022122591A JP 2022122591 A JP2022122591 A JP 2022122591A JP 2024019854 A JP2024019854 A JP 2024019854A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
workpiece
support member
laser beam
force
grinding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022122591A
Other languages
English (en)
Inventor
百合子 里
Yuriko Sato
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Disco Corp
Original Assignee
Disco Abrasive Systems Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Disco Abrasive Systems Ltd filed Critical Disco Abrasive Systems Ltd
Priority to JP2022122591A priority Critical patent/JP2024019854A/ja
Publication of JP2024019854A publication Critical patent/JP2024019854A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Mechanical Treatment Of Semiconductor (AREA)
  • Dicing (AREA)
  • Grinding Of Cylindrical And Plane Surfaces (AREA)
  • Laser Beam Processing (AREA)

Abstract

【課題】被加工物を分割する際に、レーザ光線照射後の被加工物の反りを抑制する。【解決手段】被加工物(10、50)の第1の面(11、51)に支持部材(15、55、56)を固定する支持部材形成ステップと、支持部材を加熱して収縮させ、被加工物が第1の面から第2の面(12、52)に向かう方向に凸形状に反る力(Fb、Fe)を加える熱収縮ステップと、被加工物にレーザ光線を照射して改質層と第1の面に向けて延びるクラックとを形成し、クラックによって被加工物が第2の面から第1の面に向かう方向に凸形状に反る力(Fc、Ff)を加えるレーザ光線照射ステップと、被加工物の第2の面から研削して複数のチップ(14、54)に分割する研削ステップと、を備え、熱収縮ステップで被加工物を反らせる力と、レーザ光線照射ステップで被加工物を反らせる力とが相殺され、レーザ光線照射ステップ後の被加工物の反りを抑制する。【選択図】図3

Description

本発明は、被加工物の分割方法に関する。
ウェーハなどの被加工物を複数のチップに分割する分割方法として、レーザ加工と研削加工とを組み合わせたSDBG(Stealth Dicing Before Grinding)プロセスが知られている。SDBGプロセスでは、被加工物に対して透過性を有する波長のレーザ光線を被加工物の分割予定ラインに沿って照射し、被加工物の所定深さの位置に周囲よりも強度が低下した改質層を形成する。続いて、被加工物の裏面を研削することで、被加工物が仕上げ厚みまで薄化されると共に、被加工物が個々のデバイスチップに分割される。比較的厚みの大きい被加工物で、切削ブレードによる切削加工で分割するとチッピングが発生しやすい場合などに、SDBGプロセスの有用性が高い。
SDBGプロセスでは、改質層から被加工物の表面側に向けて延びるクラック(BHC:Backside Half Cut)をレーザ光線照射ステップで形成させるタイプの加工や、レーザ光線照射ステップでは被加工物にクラックを形成せずに、その後の研削ステップで研削圧力によって被加工物にクラックを形成して分割させるタイプの加工がある。
レーザ光線照射ステップで被加工物にクラックを形成すると、被加工物の表面側はクラックによって隙間が形成されるため裏面側よりも面積が増大(膨張)し、被加工物は、表面が凸形状で裏面が凹形状に反った状態になる。特に、被加工物上の個々のチップが小型になるほど、チップ間のクラックによって形成される隙間の累積量が増えるため、被加工物の反りが大きくなる。一例として、チップサイズ(チップの一辺の長さ)が0.25mm以下になると、クラックの累積による被加工物の反りが問題になりやすい。被加工物の反りが大きいと、被加工物の搬送を行いにくい、研削装置のチャックテーブルに被加工物を保持させにくい、被加工物が反った状態のまま研削を行って被加工物が破損する、被加工物が均一な研削量で研削されなくなる、などの問題が生じる。
レーザ光線照射ステップにおいて被加工物にクラックを形成しないタイプの加工は、チップが小型の場合に、未分割箇所が発生したり、カットラインの蛇行が発生したりするおそれがある。そのため、小型のチップを高い精度で確実に分割させるために、レーザ光線照射ステップで被加工物にクラックを形成する場合も多く、レーザ光線照射ステップ後にクラックが原因で被加工物に反りが発生することへの対策が求められている。
被加工物の反りを抑制するために、一部又は全ての分割予定ラインにおいて、改質層から被加工物の表面側に向けてクラックを形成するだけでなく、改質層から被加工物の裏面側に向けてもクラックを形成する(フルカットラインを形成する)という方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2017-084923号公報
特許文献1の加工方法では、被加工物の厚み方向で複数の位置(表面寄りの位置と裏面寄りの位置)に改質層を形成して、表面寄りの改質層から被加工物の表面側にクラックを伸展させ、裏面寄りの改質層から被加工物の裏面側にクラックを伸展させている。被加工物の反りを確実に抑制するために、多くの分割予定ラインにおいて被加工物の表面と裏面の双方にクラックを形成すると、レーザ光線照射ステップでの動作や制御が複雑になり、多くの時間を要するという問題があった。
また、SDBGプロセスでは、多くの場合、被加工物の表面側に保護用のテープを貼着した状態で、被加工物の裏面を研削する。レーザ光線照射ステップで、全ての分割予定ラインにおいて被加工物の表面と裏面の双方にクラックを形成すると、クラックによって被加工物がテープよりも膨張してしまい反りが大きく発生し、被加工物の搬送が難しくなるおそれがある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、レーザ光線照射後の被加工物の反りを効率的に抑制できる被加工物の分割方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、被加工物を分割予定ラインに沿って複数のチップに分割する被加工物の分割方法であって、被加工物の第1の面に支持部材を固定する支持部材形成ステップと、該支持部材を加熱して収縮させ、該被加工物が該第1の面から該第1の面の反対の第2の面に向かう方向に凸形状に反る力を加える熱収縮ステップと、該熱収縮ステップの実施後に、該被加工物の該第2の面からレーザ光線を照射し、該被加工物の内部に改質層と、該改質層から該第1の面に向けて延びるクラックと、を形成し、該クラックによって該被加工物の該第1の面側を膨張させ、該被加工物が該第2の面から該第1の面に向かう方向に凸形状に反る力を加えるレーザ光線照射ステップと、該レーザ光線照射ステップの後に、該被加工物の該第2の面から研削し、複数のチップに分割する研削ステップと、を備え、該熱収縮ステップで該被加工物に加えた該第1の面から該第2の面に向かう方向に凸形状に反る力と、該レーザ光線照射ステップで該被加工物に生じた該第2の面から該第1の面に向かう方向に凸形状に反る力と、が相殺され、該レーザ光線照射ステップ後の該被加工物の反りを抑制することを特徴とする。
該レーザ光線照射ステップにおいて、一部の分割予定ラインは、該改質層から該被加工物の該第1の面と該第2の面との両方にクラックを形成し、該被加工物が該第2の面から該第1の面に向かう方向に凸形状に反る力を弱めてもよい。
本発明の被加工物の分割方法によれば、支持部材の熱収縮を利用して、熱収縮ステップにおいて被加工物を反らせる力と、レーザ光線照射ステップにおいて被加工物を反らせる力とを相殺させ、レーザ光線照射後の被加工物の反りを効率的に抑制することができる。
被加工物を示す斜視図である。 第1実施形態の支持部材形成ステップを示す図である。 第1実施形態の熱収縮ステップを示す図である。 第1実施形態のレーザ光線照射ステップを示す図である。 第1実施形態の研削ステップを示す図である。 熱収縮ステップを行わずにレーザ光線照射ステップを行った比較例の被加工物を示す図である。 レーザ光線照射ステップの変形例を示す図である。 第2実施形態の支持部材形成ステップ(第1支持部材貼着ステップ)及び熱収縮ステップを示す図である。 第2実施形態の支持部材形成ステップ(樹脂被覆ステップ)を示す図である。 第2実施形態の支持部材形成ステップ(余剰領域除去ステップ)を示す図である。 第2実施形態のレーザ光線照射ステップを示す図である。 第2実施形態の研削ステップを示す図である。 レーザ加工装置の斜視図である。 研削装置の斜視図である。
以下、添付図面を参照して、本実施形態に係る被加工物の分割方法について説明する。主に図1から図7を参照して第1実施形態とその変形例を説明し、主に図8から図12を参照して第2実施形態を説明する。図13は、各実施形態のレーザ光線照射ステップで用いるレーザ加工装置を示しており、図14は、各実施形態の研削ステップで用いる研削装置を示している。
被加工物の分割方法の第1実施形態を説明する。図1は、第1実施形態の分割方法によって分割される被加工物10を示している。被加工物10は、例えばシリコンなどからなる円板形状の半導体ウェーハであり、第1の面である表面11と、第1の面とは反対側の第2の面である裏面12を有する。被加工物10の表面11側には、格子状の複数の分割予定ライン13で区画された複数の領域内に、電子デバイスであるチップ14が形成されている。つまり、被加工物10は、分割予定ライン13で区画される複数のチップ14を有している。
なお、本発明を適用する被加工物は半導体ウェーハには限定されず、レーザ光線照射後に研削して分割される被加工物であれば適用が可能である。例えば、被加工物は、セラミック、ガラス、サファイアなどの無機材料基板でもよいし、半導体製品のパッケージ基板などでもよい。
[支持部材形成ステップ]
図2に示す支持部材形成ステップでは、被加工物10の表面11を覆う支持部材15を形成する。支持部材15は、基材層151と粘着層152を有する。基材層151は、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの熱可塑性樹脂をシート状に形成したものであり、可撓性と非粘着性を有している。粘着層152は、基材層151に積層され、可撓性と粘着性を有している。粘着層152は所定の温度まで加熱すると軟化して、粘着性が高くなる。基材層151は、所定の温度まで加熱すると熱収縮を生じる。粘着層152の軟化が起こる温度よりも、基材層151の熱収縮が起こる温度の方が高い。
粘着層152を表面11に貼着することによって、被加工物10の表面11に支持部材15が固定される。貼着の際に粘着層152を軟化させて被加工物10への密着度を向上させるために、支持部材15を所定の温度域(例えば60℃~80℃程度)まで加熱してもよい。
[熱収縮ステップ]
図3に示す熱収縮ステップでは、支持部材15を加熱して熱収縮させる。例えば、表面11に支持部材15を固定した状態の被加工物10を加熱装置20に搬送する。加熱装置20は、筐体21の内部に熱源であるヒーター22を備えており、ヒーター22によって筐体21の上面である加熱面23を加熱することができる。加熱装置20まで搬送された被加工物10は、支持部材15を下向きにして加熱面23に載せられる。これにより、支持部材15の基材層151が加熱面23に接した状態になる。そして、ヒーター22によって加熱面23を加熱すると、加熱面23から支持部材15に伝熱されて支持部材15の温度が上昇する。
熱収縮ステップでは、支持部材15のうち基材層151に熱収縮が生じる温度まで加熱を行う。基材層151に熱収縮が生じる温度は、先の支持部材形成ステップで密着度向上のために粘着層152を軟化させる温度よりも高い。一例として、熱収縮ステップでは、支持部材15を100℃以上で10分間程度加熱する。
なお、図3に示す加熱装置20では、加熱面23上に載置した支持部材15に対してヒーター22によって下方から熱を加えているが、加熱方法はこれに限定されず、別の加熱方法を用いてもよい。例えば、赤外線照射や温風などによって支持部材15を加熱してもよい。赤外線照射や温風を用いる場合、支持部材15が上向きに露出するように支持して、上方から支持部材15に向けて赤外線の照射や温風の送風を行うこともできる。
図3に示すように、加熱装置20によって基材層151に熱収縮が生じる温度域まで加熱された支持部材15には、収縮(縮径)方向の力Faが生じる。支持部材15に収縮方向の力Faが生じると、被加工物10は、表面11から裏面12に向かう方向に凸形状に反る力Fbが加わる。つまり、力Fbは、表面11側から見た時に表面11が凹形状になり、裏面12側から見た時に裏面12が凸形状になるように、被加工物10を反らせる力として作用する。しかし、この時点では、被加工物10には後述する改質層101やクラック102が形成されておらず強度が高く、且つ、被加工物10は研削による薄化がされておらず所定の厚みがあるので、被加工物10は力Fbに抗して元の形状を維持しており、被加工物10の反りは抑制されている。換言すれば、熱収縮ステップでは、被加工物10の反りが生じないように、支持部材15の熱収縮の程度などのパラメータが設定されている。
上記の例では、支持部材形成ステップの後に熱収縮ステップを行っているが、熱収縮ステップは支持部材形成ステップと同時に行ってもよい。例えば、粘着層152が上方に向けて露出するようにして、加熱装置20の加熱面23上に支持部材15をセッティングし、ヒーター22によって支持部材15を加熱しておく。続いて、上方から被加工物10を支持部材15に接近させて、表面11を粘着層152に押し付ける。すると、被加工物10の表面11への支持部材15の固定が行われ、これと同時に基材層151を熱収縮させることができる。また、予め加熱しておいた被加工物10に支持部材15を押し付けて、支持部材形成ステップと熱収縮ステップを同時に行ってもよい。
[レーザ光線照射ステップ]
熱収縮ステップが完了したら、被加工物10をレーザ加工装置30に搬送して、図4に示すレーザ光線照射ステップを行う。熱収縮ステップで被加工物10に反りが生じていないので、レーザ加工装置30までの被加工物10の搬送を行いやすい。
図13に示すように、レーザ加工装置30は、被加工物10を保持するチャックテーブル31と、チャックテーブル31上の被加工物10に向けてレーザ光線L(図4)を照射するレーザ照射部32と、チャックテーブル31上の被加工物10を撮像する撮像部33と、を有している。レーザ加工装置30における上下方向をZ軸方向とする。レーザ加工装置30におけるX軸方向とY軸方向はそれぞれZ軸方向に対して垂直な方向(水平方向)であり、X軸方向とY軸方向が互いに垂直な関係にある。
チャックテーブル31は、レーザ加工装置30の基台34に対して、水平方向の移動が可能に支持されている。具体的には、第1移動機構35によってチャックテーブル31がX軸方向に移動され、第2移動機構36によってチャックテーブル31がY軸方向に移動される。
第1移動機構35は、基台34上に設けられてX軸方向に延びる一対のガイドレール351と、モータ352からX軸方向に延びるボールネジ353と、一対のガイドレール351を介してX軸方向に移動可能に支持された第1移動台354と、を有している。ボールネジ353は、第1移動台354に設けた螺合部(図示略)に螺合しており、モータ352を駆動してボールネジ353が回転すると、ボールネジ353から第1移動台354に動力が伝わり、第1移動台354がX軸方向に移動する。
第2移動機構36は、第1移動台354上に設けられてY軸方向に延びる一対のガイドレール361と、モータ362からY軸方向に延びるボールネジ363と、一対のガイドレール361を介してY軸方向に移動可能に支持された第2移動台364と、を有している。ボールネジ363は、第2移動台364に設けた螺合部(図示略)に螺合しており、モータ362を駆動してボールネジ363が回転すると、ボールネジ363から第2移動台364に動力が伝わり、第2移動台364がY軸方向に移動する。第2移動台364上にチャックテーブル31が支持されている。
チャックテーブル31は、被加工物10を載置する上向きの保持面311を有している。保持面311は吸引源(図示略)に連通する多孔質部材によって形成されており、吸引源を作動させて保持面311に吸引力を作用させることができる。
図4に示すように、レーザ照射部32は、レーザ光源321から発したレーザ光線Lを、集光器322で集光して、Z軸方向の下方に向けて照射させる。レーザ光線Lは、例えば、被加工物10の材質に対して透過性を有するパルスレーザビームである。
レーザ光線照射ステップは、レーザ加工装置30の制御部37が制御プログラムに従って各部を制御して実行される。被加工物10は、支持部材15(表面11)側を下向きにして、チャックテーブル31の保持面311に基材層151を載せて保持される。つまり、被加工物10は裏面12を上向きにして保持される。保持面311に被加工物10が載置されたら、制御部37は、保持面311に連通する吸引源を作動させ、被加工物10を保持面311に吸引保持させる。
続いて、制御部37は、撮像部33を用いて被加工物10の分割予定ライン13を検出させ、分割予定ライン13に沿ってレーザ光線Lを照射できるように、レーザ光線照射位置のアライメントを行わせる。具体的には、第1移動機構35及び第2移動機構36によってX軸方向及びY軸方向でのチャックテーブル31の位置を調整させて、複数の分割予定ライン13のうち所定の分割予定ライン13の一端を、レーザ照射部32の集光器322の直下に位置付ける。そして、レーザ照射部32から照射されるレーザ光線Lの集光点を、被加工物10の厚みの内部の所定位置に合わせる。
続いて、制御部37は、レーザ照射部32から被加工物10内の集光点にレーザ光線Lを照射させながら、チャックテーブル31を送り方向へ所定の送り速度で移動させる。レーザ光線Lは、裏面12から照射されて被加工物10に入射する。X軸方向へ延びる分割予定ライン13に沿う加工を行う場合は、送り方向がX軸方向であり、第1移動機構35によってX軸方向にチャックテーブル31を移動させる。Y軸方向へ延びる分割予定ライン13に沿って加工を行う場合は、送り方向がY軸方向であり、第2移動機構36によってY軸方向にチャックテーブル31を移動させる。そして、レーザ照射部32からのレーザ光線Lの照射位置が分割予定ライン13の他端に達したら、制御部37は、レーザ照射部32からのレーザ光線Lの照射を停止させ、送り方向へのチャックテーブル31の移動を停止させる。
これにより、被加工物10の内部には、分割予定ライン13に沿って被加工物10が改質された改質層101が形成される。改質とは、レーザ光線Lの照射によって、被加工物10の内部の密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲と異なる状態となることを意味しており、改質の結果、改質層101は周囲よりも強度が低下した領域になる。
1つの分割予定ライン13に沿って改質層101を形成したら、制御部37は、第1移動機構35及び第2移動機構36によってチャックテーブル31とレーザ照射部32の位置関係を変更させて、次に加工する分割予定ライン13の一端を、レーザ照射部32の集光器322の直下に位置付けさせる。そして、上記と同様に、被加工物10内の集光点にレーザ光線Lを照射させながら、被加工物10の加工送りを行わせて、次の分割予定ライン13に沿って改質層101を形成する。このようにして、格子状の全ての分割予定ライン13に沿って改質層101を形成する。
なお、以上で説明したレーザ加工装置30は一例であり、この構成に限定されるものではない。例えば、Z軸方向の軸を中心としてチャックテーブル31を回転可能にしてもよい。この構成では、全ての平行な分割予定ライン13に沿って改質層101を形成したら、チャックテーブル31を90°回転させて、未加工である残りの全ての平行な分割予定ライン13に沿って改質層101を形成することができる。
図4に示すように、レーザ光線照射ステップを行った被加工物10は、それぞれの改質層101から表面11に向けて亀裂であるクラック102が形成される。レーザ光線照射ステップにおいて、被加工物10の厚み方向におけるレーザ光線Lの集光点位置を適宜設定することによって、クラックが形成される方向をコントロールすることができる。例えば、被加工物10の厚みのうち表面11寄りの位置に改質層101を形成した場合には、主に改質層101に近い表面11に向けてクラック102が形成される。
表面11側にクラック102が形成されると、クラック102によって生じた隙間分、裏面12側に比して表面11側の面積が大きくなり(表面11側が膨張し)、被加工物10は、裏面12から表面11に向かう方向に凸形状に反る力Fcが作用する。つまり、力Fcは、表面11側から見た時に表面11が凸形状になり、裏面12側から見た時に裏面12が凹形状になるように、被加工物10を反らせる力として作用する。
図6は、上記の熱収縮ステップを行わずにレーザ光線照射ステップを行った比較例を示している。熱収縮ステップを行っていないため、支持部材15には収縮方向の力Fa(図3)が作用しておらず、被加工物10に対して、裏面12が凸形状に反る(表面11が凹形状に反る)方向の力Fb(図3)が加わっていない。そのため、被加工物10の表面11側にのみクラック102を形成して、被加工物10において表面11が凸形状に反る(裏面12が凹形状に反る)方向への力Fcが作用すると、この力Fcに応じて被加工物10が湾曲してしまう。湾曲した被加工物10は、表面11側から見た時に外周よりも中央が突出した中凸形状になり、裏面12側から見た時に外周よりも中央が凹んだ中凹形状になる。
これに対し、先の熱収縮ステップを行った場合、表面11を覆う支持部材15に収縮方向の力Fa(図3)が作用し、これに伴って被加工物10には表面11から裏面12に向かう方向に凸形状に反る力Fb(図3)が加わるので、表面11側のクラック102の箇所で隙間が広がることを抑制する。その結果、被加工物10は、図6のような反った形状にはならずに、図4に示す平坦な形状が維持される。
レーザ光線照射ステップで被加工物10の全ての分割予定ライン13に沿ってクラック102が形成された状態で、被加工物10の反りを抑制できるように、力Fa、Fbの大きさが設定されている。力Fa、Fbの大きさは、熱収縮ステップでの加熱の程度、支持部材15における基材層151の材質の選択(基材層151の熱収縮率の選択)、などによって設定が可能である。
[研削ステップ]
レーザ光線照射ステップが完了したら、支持部材15をレーザ加工装置30から研削装置40に搬送して、図5に示す研削ステップを行う。
図14に示すように、研削装置40は、被加工物10を保持するチャックテーブル41と、チャックテーブル41上の被加工物10に対する研削加工を行う研削機構42と、を有している。
チャックテーブル41は、被加工物10を載置する上向きの保持面411を有している。保持面411は吸引源(図示略)に連通する多孔質部材によって形成されており、吸引源を作動させて保持面411に吸引力を作用させることができる。チャックテーブル41は、図示を省略するテーブル回転機構によって、保持面411の中心を軸に回転される。
研削機構42は、スピンドルハウジング43に対してスピンドル44を回転可能に支持している。スピンドル44は、スピンドルモータ45の駆動力によって、上下方向に向く軸を中心として回転を行う。スピンドル44の下端にはマウント46が連結されており、マウント46に研削ホイール47が装着されている。研削ホイール47の下面には複数の砥石48が環状に設けられている。研削機構42は、図示を省略する昇降機構によって上下方向に移動される。
研削ステップは、研削装置40の制御部49が制御プログラムに従って各部を制御して実行される。図5に示すように、被加工物10は、支持部材15(表面11)側を下向きにして、チャックテーブル41の保持面411に基材層151を載せて保持される。つまり、被加工物10は裏面12を上向きにして保持される。保持面411に被加工物10が載置されたら、制御部49は、保持面411に連通する吸引源を作動させ、被加工物10を保持面411に吸引保持させる。
続いて、制御部37は、チャックテーブル41の保持面411に吸引保持された被加工物10の裏面12を、研削機構42の砥石48によって研削させる。研削加工の際には、昇降機構によって研削機構42を下降させて砥石48を被加工物10の裏面12に接触させ、スピンドル44によって研削ホイール47を回転(図14の矢印Raの回転)させると共に、テーブル回転機構によって保持面411の中心を軸にチャックテーブル41を回転(図14の矢印Rbの回転)させて、砥石48によって被加工物10を押圧しながら裏面12を研削する。被加工物10の表面11を支持部材15で覆っているので、チップ14を研削圧力から保護した状態で研削が行われる。
研削の際には、図示を省略する厚み測定器によって、被加工物10の厚みを測定する。そして、被加工物10が予め設定した仕上げ厚みまで研削されたことが検知されると、制御部49は、研削ホイール47の回転とチャックテーブル41の回転を停止させ、昇降機構によって研削機構42を上昇させてチャックテーブル41上の被加工物10から砥石48を離間させ、研削加工を終了する。
研削ステップで薄化された被加工物10は、砥石48を介して被加工物10に作用する研削ホイール47の研削圧力により、改質層101を分割起点として、クラック102に沿って個々のチップ14に分割される。改質層101だけではなく、改質層101から表面11に向けて延びるクラック102が形成されていることにより、被加工物10における未分割箇所の発生やカットラインの蛇行の発生を抑制して、精度の高い分割を実現できる。
被加工物10の表面11に支持部材15が貼着されているため、分割後には、個々のチップ14が脱落せずに、元の被加工物10に対応する位置関係を概ね維持している。分割後の被加工物10を研削装置40から搬出し、支持部材15を取り外して複数のチップ14に個片化して、一連の分割工程を完了する。
ところで、レーザ加工装置30でレーザ光線照射ステップ(図4)を行った被加工物10は、レーザ加工装置30から研削装置40に搬送され、研削装置40においてチャックテーブル41の保持面411に載せられて保持される。被加工物10を搬送する際には、吸引力で被加工物10を保持する搬送パッドなどが用いられる。その際に、被加工物10が反った形状であると、搬送パッドでの保持が難しくなったり、反った形状の被加工物10を保持できる特別な構造の搬送パッドが必要になったりする。
また、被加工物10が反った形状であると、被加工物10を研削装置40のチャックテーブル41の保持面411に載せた状態で、被加工物10の一部が保持面411から浮き上がった状態になり、保持面411に吸引力を作用させても被加工物10を適切に吸引保持できない場合がある。例えば、図6のように表面11が凸形状で裏面12が凹形状となる反りが被加工物10に発生した場合は、保持面411に載せた被加工物10の裏面12の外周側が上方に反り上がった状態になる。このような状態で研削機構42の砥石48を用いて被加工物10の研削を行うと、被加工物10の外周側の浮き上がり部分が破損したり、被加工物10の半径方向で研削量が不均一になったりして、良好な加工結果が得られなくなる。
従って、レーザ光線照射ステップ後の被加工物10では、改質層101やクラック102に起因する反りの発生を抑制することが求められる。図6に示すように、レーザ光線照射ステップで被加工物10に生じる反りは、裏面12から表面11に向かう方向に凸形状に反らせる力Fcに起因するものである。そして、本実施形態では、レーザ光線照射ステップの前に熱収縮ステップを行って、被加工物10に対して、表面11から裏面12に向かう方向に凸形状に反らせる力Fb(図3)を与えている。
つまり、熱収縮ステップを行って支持部材15が収縮する方向の力Faを与えることで、熱収縮ステップおいて被加工物10に加わる力Fbと、レーザ光線照射ステップにおいて被加工物10に加わる力Fcとが相殺されて、レーザ光線照射ステップ後の被加工物10の反りを緩和している。
このように、支持部材15の熱収縮を利用して被加工物10の反りを抑制した状態でレーザ光線照射ステップから研削ステップに移行するので、被加工物10を搬送しやすくなり、また、チャックテーブル41の保持面411に対して被加工物10の全体を浮き上がらずに密着保持させることができる。よって、レーザ光線照射ステップ後に被加工物10を搬送するための搬送機構を、安価でシンプルなものにできる。また、研削装置40による被加工物10の研削加工の精度を高めて、優れた加工結果を得ることができる。
支持部材15の収縮を利用した被加工物10の反り抑制は、熱収縮ステップで支持部材15を所定の温度まで加熱すれば効果を発揮するので、その後にレーザ光線照射ステップでのレーザ加工装置30の複雑な制御などを要さずに、比較的低コストで効率的に実現できるという利点がある。特に、支持部材形成ステップにおいて被加工物10に対する支持部材15の密着度を高める目的で加熱を行う場合には、そのための加熱装置を熱収縮ステップにも利用できるので、装置の追加設置を要さず、より一層低コストに実現できる。
また、支持部材15が表面11を覆っている領域で反り抑制の効果が得られるので、被加工物10の全体に亘って偏りなく反りを緩和することができる。
熱収縮ステップでは、粘着層152を軟化させる温度よりも高い温度で支持部材15を加熱して、基材層151を熱収縮させて収縮方向の力Faを発生させている。粘着層152に比して厚みが大きい基材層151の収縮を利用することによって、被加工物10の反りと支持部材15の反りを効率的に相殺させて、被加工物10の反りを抑制する効果を高めることができる。
本実施形態では、レーザ光線照射ステップから研削ステップにかけて、被加工物10と支持部材15のみの状態で搬送を行っている。これに対して、被加工物を環状のフレームなどに支持させて搬送する場合もある。被加工物をフレームに支持させれば、フレームの剛性によって被加工物の反りを抑制して搬送を行うことができる。しかし、フレームの使用に対応していないタイプの加工装置(研削装置など)があり、このような加工装置で加工する場合はフレームを装着せずに被加工物を搬送するので、フレームを用いずに支持部材15のみによって被加工物10の反りを抑制できる本実施形態の方法が特に有用である。
但し、被加工物の搬送時にフレームを取り付ける場合にも、研削ステップではフレームから被加工物を取り外すので、研削ステップでの被加工物の反りを抑制するという観点では、搬送時のフレームの有無に関わらず、支持部材15のみによって被加工物10の反りを抑制する本実施形態の方法に有効性がある。
図7は、レーザ光線照射ステップの変形例を示している。この変形例では、被加工物10の複数の分割予定ライン13の一部で、改質層101から表面11側に向かうクラック102に加えて、改質層103から裏面12側に向かうクラック104を形成している。つまり、一部の分割予定ライン13では、被加工物10の表面11と裏面12の双方に延びるクラック102とクラック104によってフルカットされている。
上述のように、レーザ光線照射ステップにおいて、被加工物10の厚み方向におけるレーザ光線Lの集光点位置を適宜設定することによって、クラックが形成される方向をコントロールすることができる。図7に示すように、被加工物10の厚みのうち表面11寄りの位置に改質層101を形成することによって、改質層101から表面11に向けてクラック102が形成され、被加工物10の厚みのうち裏面12寄りの位置に改質層103を形成することによって、改質層103から裏面12に向けてクラック104が形成される。
クラック104によって隙間が生じると、裏面12側の面積が大きくなり(裏面12側が膨張し)、被加工物10において、表面11から裏面12に向かう方向に凸形状に反る力が作用する。この力は、図3に示す力Fbと同様の力であるため、クラック102が原因で被加工物10が反ろうとする力Fc(図4)を弱める効果が得られる。従って、図7に示す変形例では、上述した支持部材15の熱収縮による反り抑制効果と、クラック104の形成による反り抑制効果とが相乗的に働いて、クラック102の形成を起因とする被加工物10の反りを抑制する効果が高くなる。
また、図7に示す変形例では、全ての分割予定ライン13に沿ってクラック104を形成するのとは異なり、支持部材15を用いた反り抑制効果を補助するように一部の分割予定ライン13に限定してクラック104を形成しているので、レーザ光線照射ステップにおける処理時間や手間の増加を最小限に抑えることができる。クラック104を形成する分割予定ライン13の数(クラック104の形成頻度)は任意に選択可能であり、クラック104を形成する分割予定ライン13を適宜織り交ぜることによって、被加工物10の反り抑制効果をコントロールできる。
上記実施形態では基材層151と粘着層152を積層した支持部材15に適用しているが、これとは異なる支持部材に適用することも可能である。例えば、支持部材は、粘着層を有さない熱可塑性の樹脂で構成されたシートであってもよい。この場合、支持部材の材質は、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンが好ましく、支持部材形成ステップでは、被加工物に対して支持部材が熱圧着で貼着される。熱収縮ステップでは、被加工物に熱圧着させる際の温度よりも高い温度で支持部材を加熱し、支持部材に熱収縮を生じさせる。従って、支持部材形成ステップでの貼着用の温度よりも、熱収縮ステップで熱収縮させるための温度の方が高く、熱収縮させるための特定の加熱状態を設定するという技術的な特徴において、粘着層152付きの支持部材15を用いる上記実施形態との共通性がある。なお、この変形例において、予め加熱しておいた支持部材に被加工物を押し付けて、支持部材形成ステップと熱収縮ステップを同時に行ってもよい。また、予め加熱しておいた被加工物に支持部材を押し付けて、支持部材形成ステップと熱収縮ステップを同時に行ってもよい。
また、支持部材は最初からシート形状でなくてもよく、粉体や液体を被加工物の第1の面に供給して、熱圧着、押圧、スピンコートなどの手段によって、被加工物の第1の面を覆うシート状に成形することも可能である。
続いて、被加工物の分割方法の第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する場合がある。
図8に示すように、第2実施形態の被加工物50は、第1の面である一方の面51と、第1の面とは反対側の第2の面である他方の面52を有する。詳細な図示を省略しているが、被加工物50には、上記の被加工物10と同様に、格子状の複数の分割予定ラインで区画された複数の領域内にチップ54(図12)が形成されている。また、被加工物50の一方の面51には、金属製の突起部である複数のバンプ53が形成されている。
[支持部材形成ステップ・熱収縮ステップ]
支持部材形成ステップでは、被加工物50の一方の面51を覆う複数の層構造の支持部材を形成する。支持部材形成ステップは、図8に示す第1支持部材貼着ステップと、図9に示す樹脂被覆ステップと、図10に示す余剰領域除去ステップと、を含んでいる。また、第1支持部材貼着ステップと共に熱収縮ステップが行われる。
図8に示す第1支持部材貼着ステップでは、ポリオレフィンやポリエチレンなどの熱可塑性樹脂からなるシートを被加工物50の一方の面51に密着させて、バンプ53を覆うように第1支持部材55を形成する。被加工物50に対して第1支持部材55を取り付ける際に、支持部材形成装置60が備える真空チャンバー内の減圧された空間で、ヒーター61で第1支持部材55を加熱して熱圧着させる。
ヒーター61で第1支持部材55を加熱する際に、第1支持部材55を被加工物50に熱圧着させるための温度よりも高い温度まで第1支持部材55を加熱し、第1支持部材55に熱収縮を生じさせる。つまり、第1支持部材貼着ステップから継続して、第1支持部材55に対する熱収縮ステップを行う。
図8に示すように、熱収縮が生じる温度域まで加熱された第1支持部材55には、収縮(縮径)方向の力Fdが生じる。第1支持部材55に収縮方向の力Fdが生じると、被加工物50に対して、一方の面51から他方の面52に向かう方向に凸形状に反る力Feが加わる。つまり、力Feは、一方の面51側から見た時に一方の面51が凹形状になり、他方の面52側から見た時に他方の面52が凸形状になるように、被加工物50を反らせる力として作用する。しかし、この時点では、被加工物50には後述する改質層501やクラック502が形成されておらず強度が高く、且つ、被加工物50は研削による薄化がされておらず所定の厚みがあるので、被加工物50は力Feに抗して元の形状を維持しており、被加工物50の反りは抑制されている。
続いて、図9に示す樹脂被覆ステップを行う。樹脂被覆ステップは、支持部材形成装置60の支持部材形成ステージ62で行われる。支持部材形成ステージ62は、ガラスなどの透光性材料で形成されており、上向きの保持面621を有する。支持部材形成ステージ62の下方には紫外線照射部63が設けられており、紫外線照射部63から保持面621に向けて紫外線UVを照射可能である。
支持部材形成装置60の制御部64は、図示を省略するシート供給機構を動作させて、支持部材形成ステージ62の保持面621上に第2支持部材56を載せる。第2支持部材56は、図示を省略する吸引機構で保持面621上に吸引保持されて平面性を維持する。
第2支持部材56は、ポリオレフィンやポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂からなるシートである。保持面621上に載せた段階での第2支持部材56の面積は、被加工物50の面積よりも大きい。第2支持部材56の外周部分には、環状のリングフレーム58が取り付けられてもよい。
続いて制御部64は、支持部材形成ステージ62の上方に位置づけた樹脂供給ノズル(図示略)から、第2支持部材56に向けて液状樹脂57を滴下させる。樹脂供給ノズルからの液状樹脂57の供給量は、ディスペンサ(図示略)によって調整可能である。
支持部材形成装置60は、被加工物50を保持する保持部65と、保持部65を上下に昇降移動させる昇降機構66と、を有している。保持部65は、第1支持部材55を下方に向けた状態の被加工物50の他方の面52を上方から吸引保持する。保持部65で保持した被加工物50を支持部材形成ステージ62の上方に位置づけた状態から、制御部64は、昇降機構66によって保持部65を下降させる。すると、第2支持部材56上に供給された液状樹脂57に第1支持部材55が接触して、被加工物50が下降する力によって液状樹脂57が押し広げられる。
液状樹脂57が十分に押し広げられたと判断される状態になったら、制御部64が昇降機構66を制御して被加工物50の下降を停止させる。この段階で、被加工物50の一方の面51から突出する複数のバンプ53が液状樹脂57に埋め込まれた状態になり、バンプ53による凹凸の無い平坦な状態で一方の面51が支持される。一方の面51を予め第1支持部材55で覆ってから液状樹脂57の層を形成することによって、液状樹脂57が複数のバンプ53の間に入り込んで後の工程で除去しにくくなることを防止できる。
続いて、制御部64は紫外線照射部63を制御して、液状樹脂57を硬化させる強度の紫外線UVを、紫外線照射部63から保持面621に向けて照射させる。紫外線照射部63から発した紫外線UVは、透光性を有する支持部材形成ステージ62及び第2支持部材56を透過して液状樹脂57に達し、紫外線硬化型樹脂である液状樹脂57を硬化させる。液状樹脂57が十分に硬化したと判断される状態になったら、制御部64は、紫外線照射部63からの紫外線UVの照射を終了させる。
以上の樹脂被覆ステップによって、被加工物50の一方の面51から突出する複数のバンプ53が第1支持部材55及び硬化した液状樹脂57によって覆われ、さらに液状樹脂57が第2支持部材56により支持され、バンプ53による凹凸が露出しない平坦な形状の支持部材が形成される。
続いて、図10に示す余剰領域除去ステップを行う。余剰領域除去ステップでは、支持部材形成ステージ62からシートカットテーブル67に被加工物50を搬送する。シートカットテーブル67へ被加工物50を搬送する搬送機構(図示略)は、リングフレーム58(図9)を保持して搬送する。被加工物50をシートカットテーブル67に載せ、シートカッター68を用いて、被加工物50の外形に沿って、第1支持部材55と第2支持部材56と液状樹脂57の余剰領域(被加工物50の外形よりも外側にはみ出す領域)をカットする。
以上の第1支持部材貼着ステップと、樹脂被覆ステップと、余剰領域除去ステップとを経て、支持部材形成ステップが完了する。第1支持部材貼着ステップと共に、第1支持部材55を熱収縮させる熱収縮ステップが行われているので、被加工物50には、一方の面51から他方の面52に向かう方向に凸形状に反る力Fe(図8)が加わっている。
なお、第1支持部材55を熱収縮させる熱収縮ステップは、第1支持部材貼着ステップとは分けて行うことも可能である。例えば、図8に示すヒーター61とは別に、加熱面を有する加熱装置を設け、被加工物50に取り付けた状態の第1支持部材55を加熱装置の加熱面に載せて加熱してもよい。第1支持部材55を熱収縮させる場合、ヒーター61を用いる以外に、赤外線照射や温風などによって第1支持部材55を加熱してもよい。
また、第1支持部材55に加えて、第2支持部材56についても熱収縮ステップを行って熱収縮させてもよい。第2支持部材56の熱収縮は、例えば、図3に示す加熱装置20を用いて行うことができる。被加工物50を加熱装置20まで搬送し、第2支持部材56を下向きにして加熱面23に載せて、ヒーター22によって加熱することによって、第2支持部材56が熱収縮する。第2支持部材56が熱収縮すると、第1支持部材55が熱収縮した場合と同じ方向の力Fe(図8)を、液状樹脂57を介して被加工物50に及ぼすことができる。
第2支持部材56を熱収縮させる場合、加熱装置20を用いる以外に、赤外線照射や温風などによって第2支持部材56を加熱してもよい。
紫外線硬化型樹脂である液状樹脂57に代えて、熱硬化型樹脂である液状樹脂を用いることもできる。この場合、液状樹脂に熱を加えて硬化させるのと同時に、第2支持部材56を熱収縮させる熱収縮ステップを行うことが可能である。
[レーザ光線照射ステップ]
支持部材形成ステップと熱収縮ステップが完了したら、被加工物50をレーザ加工装置30に搬送して、図11に示すレーザ光線照射ステップを行う。レーザ加工装置30で行うレーザ光線照射ステップについては、先に説明した第1実際形態と同様であるため、簡単に説明する。
レーザ加工装置30のチャックテーブル31の保持面311に第2支持部材56を載せ、保持面311に吸引力を作用させて被加工物50を保持した状態で、被加工物50の全ての分割予定ラインに沿ってレーザ光線Lの照射を行って、改質層501を形成する。被加工物50には、それぞれの改質層501から一方の面51に向けてクラック502が形成される。クラック502が形成されると、他方の面52側に比して一方の面51側の面積が大きくなって膨張し、被加工物50において、他方の面52から一方の面51に向かう方向に凸形状に反る力Ffが作用する。つまり、力Ffは、一方の面51側から見た時に一方の面51が凸形状になり、他方の面52側から見た時に他方の面52が凹形状になるように、被加工物50を反らせる力として作用する。
先の熱収縮ステップによって、第1支持部材55や第2支持部材56に収縮方向の力Fd(図8)が作用し、これに伴って被加工物50には一方の面51から他方の面52に向かう方向に凸形状に反る力Fe(図8)が加わっている。そのため、熱収縮ステップにおいて被加工物50に加わる力Feと、レーザ光線照射ステップにおいて被加工物50に加わる力Ffとが相殺されて、レーザ光線照射ステップ後の被加工物50の反りを緩和している。
レーザ光線照射ステップの変形例として、被加工物50の複数の分割予定ラインの一部で、一方の面51に向かうクラック502に加えて、他方の面52に向かうクラックを形成して、一方の面51と他方の面52の双方に延びるフルカット構造にしてもよい。これにより、先に説明した図7の変形例と同様の効果が得られる。
[研削ステップ]
レーザ光線照射ステップが完了したら、被加工物50を研削装置40に搬送して、図12に示す研削ステップを行う。研削装置40で行う研削ステップについては、先に説明した第1実際形態と同様であるため、簡単に説明する。
研削装置40のチャックテーブル41の保持面411に第2支持部材56を載せ、保持面411に吸引力を作用させて被加工物50を保持した状態で、被加工物50の他方の面52を研削機構42の砥石48によって研削する。被加工物50が予め設定した仕上げ厚みまで薄化されたら、砥石48による研削を完了する。
研削ステップで薄化された被加工物50は、改質層501を分割起点として、クラック502に沿って個々のチップ54に分割される。改質層501だけではなく、改質層501から一方の面51に向けて延びるクラック502が形成されていることにより、被加工物50における未分割箇所の発生やカットラインの蛇行の発生を抑制して、精度の高い分割を実現できる。
分割後の被加工物50を研削装置40から搬出し、第1支持部材55と第2支持部材56と硬化した液状樹脂57を取り外して複数のチップ54に個片化して、一連の分割工程を完了する。
以上のように、第2実施形態では、一方の面51にバンプ53を有する被加工物50を分割する際に、バンプ53による凹凸を埋めるように被加工物50に固定された支持部材(第1支持部材55、第2支持部材56)を熱収縮させて、レーザ光線照射ステップ後の被加工物50の反りを抑制している。
以上に説明した第1実施形態、第2実施形態、各変形例によれば、レーザ加工と研削加工とを組み合わせて被加工物を分割するSDBGプロセスにおいて、支持部材の熱収縮を利用して、レーザ光線照射後の被加工物の反りを効率的に抑制することができる。
なお、本発明の実施の形態は上記の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
以上説明したように、本発明の被加工物の分割方法は、レーザ光線照射後の被加工物の反りを効率的に抑制することができ、特に、レーザ光線照射後にフレームによる支持を用いずに被加工物の搬送を行うような加工装置における有用性が高い。
10 :被加工物
11 :表面(第1の面)
12 :裏面(第2の面)
13 :分割予定ライン
14 :チップ
15 :支持部材
20 :加熱装置
30 :レーザ加工装置
31 :チャックテーブル
32 :レーザ照射部
35 :第1移動機構
36 :第2移動機構
40 :研削装置
41 :チャックテーブル
42 :研削機構
47 :研削ホイール
48 :砥石
50 :被加工物
51 :一方の面(第1の面)
52 :他方の面(第2の面)
53 :バンプ
54 :チップ
55 :第1支持部材
56 :第2支持部材
57 :液状樹脂
60 :支持部材形成装置
61 :ヒーター
62 :支持部材形成ステージ
63 :紫外線照射部
68 :シートカッター
101 :改質層
102 :クラック
103 :改質層
104 :クラック
151 :基材層
152 :粘着層
501 :改質層
502 :クラック
L :レーザ光線
UV :紫外線

Claims (2)

  1. 被加工物を分割予定ラインに沿って複数のチップに分割する被加工物の分割方法であって、
    被加工物の第1の面に支持部材を固定する支持部材形成ステップと、
    該支持部材を加熱して収縮させ、該被加工物が該第1の面から該第1の面の反対の第2の面に向かう方向に凸形状に反る力を加える熱収縮ステップと、
    該熱収縮ステップの実施後に、
    該被加工物の該第2の面からレーザ光線を照射し、該被加工物の内部に改質層と、該改質層から該第1の面に向けて延びるクラックと、を形成し、該クラックによって該被加工物の該第1の面側を膨張させ、該被加工物が該第2の面から該第1の面に向かう方向に凸形状に反る力を加えるレーザ光線照射ステップと、
    該レーザ光線照射ステップの後に、
    該被加工物の該第2の面から研削し、複数のチップに分割する研削ステップと、を備え、
    該熱収縮ステップで該被加工物に加えた該第1の面から該第2の面に向かう方向に凸形状に反る力と、該レーザ光線照射ステップで該被加工物に生じた該第2の面から該第1の面に向かう方向に凸形状に反る力と、が相殺され、該レーザ光線照射ステップ後の該被加工物の反りを抑制することを特徴とする被加工物の分割方法。
  2. 該レーザ光線照射ステップにおいて、
    一部の分割予定ラインは、該改質層から該被加工物の該第1の面と該第2の面との両方にクラックを形成し、
    該被加工物が該第2の面から該第1の面に向かう方向に凸形状に反る力を弱めることを特徴とする請求項1に記載の被加工物の分割方法。
JP2022122591A 2022-08-01 2022-08-01 被加工物の分割方法 Pending JP2024019854A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022122591A JP2024019854A (ja) 2022-08-01 2022-08-01 被加工物の分割方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022122591A JP2024019854A (ja) 2022-08-01 2022-08-01 被加工物の分割方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024019854A true JP2024019854A (ja) 2024-02-14

Family

ID=89853917

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022122591A Pending JP2024019854A (ja) 2022-08-01 2022-08-01 被加工物の分割方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024019854A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7154809B2 (ja) ウエーハの加工方法
JP4777761B2 (ja) ウエーハの分割方法
CN108122837B (zh) 晶片的加工方法
US9640420B2 (en) Wafer processing method
US10297501B2 (en) Method for dividing wafer into individual chips
TWI760532B (zh) 晶圓加工方法
TWI574314B (zh) Wafer processing method
JP7071782B2 (ja) ウェーハの加工方法
KR102250216B1 (ko) 웨이퍼의 가공 방법
JP2017092125A (ja) ウエーハの加工方法
JP2016119370A (ja) ウエーハの加工方法
KR102586315B1 (ko) 피가공물의 가공 방법
KR102305385B1 (ko) 칩 간격 유지 방법
KR20170085949A (ko) 웨이퍼의 가공 방법
JP2024019854A (ja) 被加工物の分割方法
CN115440580A (zh) 晶片的加工方法
JP5378932B2 (ja) 被研削物の研削方法
JP2023116861A (ja) ウエーハの加工方法
JP7473414B2 (ja) ウエーハの加工方法
JP7132710B2 (ja) ウェーハの加工方法
KR20230131771A (ko) 웨이퍼의 가공 방법
JP2021068872A (ja) ウエーハの加工方法
TW202343554A (zh) 晶圓的處理方法
JP2021174934A (ja) チップの製造方法及びエッジトリミング装置
JP2021158164A (ja) デバイスチップの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20231030